説明

液体の加熱及び冷却用器具

電力を供給する接続架台又はベースユニットに嵌る、一連の異なるコードレス器具の提供がこれまで提案されている。本発明は、ベースユニット(1)がいずれの器具を現在使用しているかを認識するように、ベースユニット(1)とコードレス器具(9)との間のデータ接続(4,12)を提供する。これによって、十分に精巧なベースユニット(1)に取り付けられた制御システム(12)が、任意のコードレスユニット、現在使用中のユニット(9)の識別、データ接続(4,12)を介して得られる制御する方法を制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に家庭用器具の分野における、液体の加熱及び/又は冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、標準的なプラグに嵌合してコンセントを用いた電力供給を受けるベースと;ベースと電気的に接触するが注ぐために容易に取り外せる取り外し可能な液体容器と、からなる2つの部品で家庭用器具を作製することが普及している。このような器具は、取り外し可能な容器に取り付ける電気ケーブルを有しないため、一般に、「コードレス」と称される。これらのコードレス器具は、通常、水の温度を沸点まで上げた後にスイッチオフするよう構成されたシンプルな湯沸かしである。
【0003】
数多くの器具のうちの任意の1つを受ける単一のベースユニットを有するコードレスシステムについての提案がこれまでになされている。この一例が、特許明細書WO 96/22718に記載されている。他の実施例が、US2003/0092322号に記載されており、ベースユニットが、異なる器具を取り替え可能に受容できる多くの架台を具えて形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなこれまでの提案では、ベースユニットが物理的に器具を支持して器具に電力供給するにすぎない。何らかの制御機構を、当然ながらその機能に応じて個々の器具の構成に組み込む必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、接続架台と、接続架台に取り付けるよう構成され接続架台から電力の供給を受ける複数の電気器具とを具えるシステムが供給されており、器具が各々異なる機能を発揮するよう構成され、データ接続を与えるインターフェイス構成が、接続架台が現在使用中の器具に関する情報を得ることができることを特徴とする液体を加熱及び/又は冷却する。
【0006】
接続架台が接続した器具の物理的な支持として機能するのが好ましいが、電気的及びデータ接続の適切な構成を提供することが不可欠なものではない。
【0007】
本発明では、接続架台に高度に洗練された制御システムを導入することが経済的に適しているため、各器具の機能性を追加したり、各個別の器具の中に重複する複雑な制御を具える必要性を無くす。例えば、ある器具は、水が沸いたときにスイッチが切れることだけを要する単なる電気湯沸しでもよい。他のものは、多くの異なるスイッチ作動を要して、一定の時間間隔及び/又は温度測定等に応じてベースユニットの制御の下で実行するコーヒー又はティーメーカーでもよい。別の器具は、ベースユニットが、飲み物のその時の温度を検出して、温度が閾値を上回った場合に電源をオンにするワイン又は飲料冷却器でもよい。接続架台に、所定の温度といったユーザが決めた要求を入力する装備を設けてもよい。
【0008】
データ接続は、多くの可能性のある異なる形式のうちの1つを取ることができる。例えば、器具及び接続架台に設けられた物理的な接触の一式を、器具を接続するときに嵌合するよう構成できる。別の可能性は、電力を供給するのに使用するのと同じような導線にデータ信号を多重送信することである。別の可能性は、接続架台と器具との間に光又は赤外線リンクを設けることである。他の可能性は、非接触型スマートカードの使用時に用いる誘導コイルを有する。さらに、別の可能性は、ブルートゥース(Bluetooth「商標名」)として知られるプロトコルの下で利用できる短距離無線通信システムを使用することである。
【0009】
データ接続を提供する場合、多くの有用な異なる機能をシステムに含めることができる。例えば、各器具をその同一性を表示する番号を伝送するよう構成できる。この番号は、水を沸かすシンプルな湯沸かし又は沸点よりも低い温度にミルクを加熱するミルク保温器として器具を識別できる。番号の代わりに、各器具を、その物理的な形状によって接続架台が器具を識別できるよう構成できる。さらに別の可能性は、接続架台を、加熱又は冷却機構の電気的特性によって器具を識別するよう構成することである。例えば、接続架台が、出力回路の電気抵抗を検出することで、器具の識別に関して推測してもよい。そして、接続架台は、
a)接続した器具を問い合わせ、
b)器具から温度情報をダウンロードし、
c)ユーザに好み(例えば、加熱すべき所望のミルクの温度)を入力するよう案内し、
d)器具への電力供給を制御して、例えば、設定温度が達するとき又は加熱速度を制御するときにスイッチオフといった所望の作用を達成する
制御システムを有する。
【0010】
また、この制御システムは、動作が完了したときに、例えば、音響信号を出力することで、ユーザに報知できる手段を含めることができる。この信号として、単純な音、合成音声又は文章表示が可能である。
【0011】
各器具が、それ自身の加熱又は冷却機構を通常有することが想定される。ある変形例では、接続架台が加熱及び/又は冷却機構も有しているのが望ましい。例えば、コーヒーメーカーが、一体型ヒータを収容してもよく、接続架台もまたろ過の後に温度を保持するホットプレートを有してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ここで、本発明を実施する1つの方法を添付図面に関する実施例を用いて説明する。
【0013】
まず、図1を参照すると、従来の家庭用コンセントから電力の供給を受けるベースユニット又は接続架台1が示されている。これは、初期設定でOFF位置にあるスイッチ2を介して、接続架台の上部支持面から突き出る2つの接触ピン3Aに供給される。また、この上面に隣接して、以下に説明する器具の中の関連するコイルと協働する誘導コイル4が設けられている。
【0014】
プロセッサ5が、本実施例ではディスプレイ7と可聴式音響機器7Aとスイッチパネル8とを具えるユーザインターフェイスシステムに連結している。
【0015】
図1に、ベース1に支持されたシンプルな電気湯沸し9が示されている。これは、湯沸かしの頑丈なベースの中に組み込まれているヒータ10に接続された端子3Bから電力を受ける。また、水を貯める空洞の中に突き出る温度センサ11がこのベースに組み込まれており、さらに電子ユニット12が温度センサに接続されている。
【0016】
電子ユニット12は、マイクロプロセッサと、ROM(read−only memory)と、誘導コイルとを有している。後者によって、データがユニット1と湯沸かし9との間で送受信され、また、少量の電力を送って低電圧の電力供給をユニット12に出力する。メモリは、湯沸かし及び命令又はデータの識別を規定する情報を有しており、接続架台がその作動を正確に制御できる。これは、特定の器具に適した方法で接続架台の動作を制御するプログラムの形式をとる。ユニット12は、いわゆる非接触型スマートカードの使用で知られている方式で設置されている。
【0017】
動作の際に、湯沸かし9といった器具が接続架台1の上に設置され、ON/OFFスイッチ8が動作する。そして、これにより、プロセッサが以下のようにしてルーチンに従う。
【0018】
まず、プロセッサが、要素4及び12によって成される誘導結合を介して、ユニット12のメモリにアドレス付けをして、そこからユニット9の識別及びそれに関する特性を引き出す。図示したシンプルな湯沸かしのケースでは、この情報は、単に、湯沸かしの中の水の温度を沸点まで上げて、その後所定の短い時間湯を沸騰した状態にさせるべきというものである。
【0019】
ユニット9が検出されない場合、スイッチ2は、OFF位置のままであり、露出した端子3Aにけっして電流が流れないことを保証する。しかしながら、ユニット9が検出されると、プロセッサがスイッチ2を作動させることで、ヒータ10が湯沸かし9の中の水を加熱できる。そして、プロセッサが、センサ11が測定する温度を監視する。検出した温度が100℃に達すると、プロセッサが所定の遅延時間待って、殺菌するのに十分な時間、確実に水を沸騰状態にする。そして、電力供給がスイッチ2によってOFFになり、ユニット7及び7Aを介してユーザに表示して、沸騰した水が使える状態となる。
【0020】
図2は、図1に示すのと同じ接続架台1に支持されたコーヒーメーカー12を示す。このケースでは、図1で符号12で示すものに相当する電子ユニットから引き出された情報は、コーヒーメーカーの中の水の量や、出来上がった後に直ぐに全てのコーヒーを使用するかどうかといったこと又は保温すべきかといった、特定の質問をユーザに問う命令を含んでいる。これらの質問は、目に見えるディスプレイ7を用いて問われ、ユーザはスイッチ制御8を用いて返答を入力する。そして、プロセッサをユニット12の中のプログラムによって制御して、ユーザの返答によって、十分な時間水を沸騰させ続けて、全ての湯がコーヒー粉の上に蒸気圧によって確実に噴出する。そして、スイッチ2が、補助ヒータに電力供給を切り換える位置にセットされ、ろ過したコーヒーを満足を与える飲用温度に保持する。
【0021】
当然のことながら、湯沸かし及びコーヒーメーカーは、単なる一例で記載されており、多くの他の器具を同じような接続架台に使用できる。例として、ワイン冷却器又は保温器、水冷却器、ブランデー保温器、乳児用ミルク保温器及び片手鍋が挙げられる。これらの器具では、ユニット12に含まれているプログラム制御の下でユーザに問いかけて、要する温度あるいは加熱する液体の特性を特定する。そして、加熱動作を液体及びユーザの個人的な好みに適した方法で制御して、その時の温度をディスプレイ7上でユーザに表示する。温度をちょうど必要又は必要ではない温度に常に上げ下げできるため、本発明を用いることによって、エネルギー利用の最適経済性を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に従って構成された接続架台と、それに支持された湯沸かしとを極めて図式的に示す。
【図2】図2は、図1と同様に図1と同じ接続架台に支持されたコーヒーメーカーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続架台と、
前記接続架台に取り付けるよう構成され前記接続架台から電力の供給を受ける複数の電気器具とを具え、
前記器具が各々異なる機能を発揮するよう構成されており、
データ接続を与えるインターフェイス構成によって、前記接続架台が現在使用中の前記器具に関する情報を得ることができることを特徴とする液体を加熱及び/又は冷却するシステム。
【請求項2】
各器具が、その識別に関する情報を前記接続架台に送信する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各器具が、前記接続架台の動作を制御する命令又はプログラムを有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記接続架台が、接続した前記器具の動作を前記データ接続を介して伝えられる前記器具の識別に応じて制御する命令又はプログラムを有することを特徴とする請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
各器具が、前記器具の中に含まれている液体の温度を信号表示する手段を有し、さらに前記接続架台にこの信号を送信する手段を具えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
請求項2,3又は4を引用した場合の請求項5に記載のシステムにおいて、
さらに、前記接続架台の中のユーザインターフェイスが、現在接続している前記器具の識別に適した一連のオプションをユーザに提供してユーザから返答を受けるよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
さらに、制御システムが、使用者が接続した器具の中に含まれる液体の温度を調整できる前記接続架台の一部を形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
さらに、前記接続架台が、接続した器具の液体の温度に関する情報を使用者に表示する手段を具えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のシステムに使用する器具。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のシステムに使用する接続架台。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−525078(P2008−525078A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547680(P2007−547680)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2005/050259
【国際公開番号】WO2006/067530
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(506276228)
【Fターム(参考)】