説明

液処理装置

【課題】簡素な手法により2つのカップを一体に上昇させることが可能な液処理装置を提供する。
【解決手段】液処理装置1では、被処理基板の回転保持部21を囲むように設けられた第1、第2のカップ51、52は、回転する被処理基板Wから飛散した処理液を下方側へ案内し、第1の駆動部610及び第2の駆動部620は、処理液を受け止める位置と、その下方側の位置との間で第1のカップ51及び第2のカップ52昇降させる。制御部7は、第1、第2のカップ51、52の同時上昇時、第1のカップ51の上昇速度を第2のカップ52の上昇速度よりも大きくし、第1のカップ51またはその第1の昇降部材は、前記第2のカップ52またはその第2の昇降部材に下方側から重なり合って、第1の駆動部の駆動力を伝達させることにより、これら第1のカップ51と第2のカップ52とを同時に上昇させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて被処理体の液処理を行う枚葉式の液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板である半導体ウエハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとして、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理などがある。
【0003】
例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)に対する液処理を実施する液処理装置として、鉛直軸周りに回転自在に構成されたスピンチャック上にウエハを保持し、ウエハを回転させながらその表面や裏面に処理液を供給して液処理を行う枚葉式の液処理装置が知られている。
【0004】
回転するウエハに供給された処理液は、遠心力の作用によりウエハから振り飛ばされ、液滴やミストとなってスピンチャックの周囲に飛散する。このため液処理装置には、周囲に飛散した処理液を受け止めて、処理液の排出ラインへ案内するカップなどと呼ばれる円環形状のカバーが設けられることがある。
【0005】
例えば特許文献1には、スピンチャックを囲むように大きさの異なる2種類のカップを入れ子状に配置し、内側のカップを昇降自在に構成した枚葉式の基板処理装置が記載されている。この基板処理装置は、薬液(処理液)による液処理の際には、スピンチャックよりも下方位置まで内側のカップを下降させ、周囲に飛び散った薬液を外側のカップで受け止めて薬液の回収ラインへ導く一方、純水などのリンス液を用いたリンス処理の際には退避していた内側のカップを上昇させて、周囲に飛び散ったリンス液を内側のカップで受け止め、薬液とは別のラインからリンス液を排出する。しかしながら特許文献1に記載の基板処理装置では昇降自在なカップを1つしか備えていないので、リンス液の他に複数種類の薬液を用いる場合には、使用する薬液に応じてカップを使い分け、これらの薬液を別々に回収、排液することができない。
【0006】
この点、特許文献2には、スピンチャックの周囲に、各々昇降自在に構成された3つの案内部(カップ)を入れ子状に配置し、使用する処理液の種類に応じて各案内部を昇降させることにより、リンス液や処理液を分別して排出する基板処理装置が記載されている。そして、スピンチャックに近い、内側の2つの案内部を同時に昇降させる際には、これら案内部同士の隙間を微小な状態に保ちながら昇降動作を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−183010号公報:請求項4、段落0036〜0038、図4、5
【特許文献2】特許4531612号公報:請求項1、段落0014、0057〜0060、図8、9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載の基板処理装置では、同時に昇降する2つの案内部同士の隙間を微小な状態に保つことにより、意図しない排出経路(2つの案内部の隙間)に他の処理液が進入することを防止している。そして、案内部同士の隙間を微小な状態に保ちながら昇降を行う具体的な手法は、同期をとって(同時に同速度で)2つの案内部を昇降させることである旨が説明されている。
【0009】
特許文献2によれば、基板処理装置は各カップを昇降させるための独立した駆動機構を備えている。このため2つの案内部間で昇降動作の同期をとるためには、異なる駆動機構の動作開始タイミングや駆動速度を制御可能な高度な制御システムが必要となり、装置コストの上昇要因となる。
【0010】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、簡素な手法により2つのカップを同時に上昇させることが可能な液処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る液処理装置は、被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させるための回転保持部と、
この回転保持部に保持された被処理基板の被処理面に処理液を供給するための処理液供給部と、
被処理基板から飛散した処理液を受け止めて下方側へ案内するために前記回転保持部を囲むように内側から順番に設けられた第1のカップ及び第2のカップと、
回転する被処理基板から飛散した処理液を受け止める処理位置と、この処理位置から下方側に退避した退避位置との間で、前記第1のカップ及び第2のカップを各々第1の昇降部材及び第2の昇降部材を介して昇降させるために設けられ、これら各カップの昇降速度の設定値が変更可能な第1の駆動部及び第2の駆動部と、
前記第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させるときは、第1のカップの上昇速度の設定値が第2のカップの上昇速度の設定値よりも大きくなるように、これら第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力する制御部と、を備え、
前記第1のカップまたは第1の昇降部材は、前記第2のカップまたは第2の昇降部材に下方側から重なり合って、第1の駆動部の駆動力を第2のカップまたは第2の昇降部材に伝達させることにより、これら第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させることを特徴とする。
【0012】
前記液処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記制御部は、前記第1のカップと第2のカップとを同時に下降させるときには、第2のカップの下降速度の設定値が第1のカップの下降速度の設定値よりも大きくなるように、前記第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力し、前記第2のカップまたは第2の昇降部材は、第1のカップまたは第1の昇降部材に上方側から重なり合って、第2の駆動部の駆動力を第1のカップまたは第1の昇降部材に伝達させることにより、これら第1のカップと第2のカップとを同時に下降させること。
(b)前記制御部は、前記第2のカップを単独で上昇させるときには、第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させるときの上昇速度よりも大きくなるように、前記第2の駆動部に制御信号を出力すること。
(c)前記第2のカップと第1のカップを同時に上昇させる際に、これら第2のカップと第1のカップとの間に形成される隙間を閉じるシール部を備えたこと。
(d)前記シール部は第1のカップと第2のカップとの少なくとも一方側に設けられ、前記制御部は、前記第1のカップ及び第2のカップを退避位置まで下降させたとき、当該第1のカップよりも上方側であって、前記シール部により隙間が閉じられていない状態となる位置に第2のカップを位置させ、これら第1のカップと第2のカップとを上昇させるときは、第1のカップが第2のカップよりも早く上昇を開始することにより、前記シール部にて隙間を閉じてから第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させるように、前記第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力すること。
(e)前記制御部は、前記第1のカップを単独で下降させるときには、第1のカップと第2のカップとを同時に下降させるときの下降速度よりも大きくなるように、前記第1の駆動部に制御信号を出力すること。
(f)前記第2のカップと第1のカップを同時に下降させる際に、これら第2のカップと第1のカップとの間に形成される隙間を閉じるシール部を備えたこと。
(g)前記シール部は第1のカップと第2のカップとの少なくとも一方側に設けられ、前記制御部は、前記第1のカップ及び第2のカップを処理位置まで上昇させたとき、当該第2のカップよりも下方側であって、前記シール部により隙間が閉じられていない状態となる位置に第1のカップを位置させ、これら第1のカップと第2のカップとを下降させるときは、第2のカップが第1のカップよりも早く下降を開始することにより、前記シール部にて隙間を閉じてから第1のカップと第2のカップとを同時に下降させるように、前記第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力すること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被処理基板の液処理が行われる回転保持部の周囲に隣り合って配置された第1、第2のカップやその昇降動作用の昇降部材には、互いに上下方向に重ね合わせることが可能な部位が設けられている。そして、これらのカップを同時に上昇させるときには、第1のカップの上昇速度の設定値を第2のカップの上昇速度の設定値よりも大きくすることにより、上下に重なり合った部位を介して、第1のカップに設けられた第1の駆動部の駆動力が第2のカップ側に伝達されるので、同期制御を行わなくても2つのカップを一体に昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係わる液処理装置の構成を示す縦断側面図である。
【図2】前記液処理装置にてウエハの液処理を行う際の動作の流れの一例を示すフロー図である。
【図3】前記液処理装置の液処理時の動作を示す第1の説明図である。
【図4】前記液処理装置の液処理時の動作を示す第2の説明図である。
【図5】前記液処理装置の液処理時の動作を示す第3の説明図である。
【図6】他の構成例に係わる液処理装置の第1の説明図である。
【図7】前記他の構成例に係わる液処理装置の第2の説明図である。
【図8】さらに他の構成例に係わる液処理装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係わる液処理装置1の構成について図1を参照しながら説明する。液処理装置1は、ウエハWを保持するスピンチャック21と、このスピンチャック21を下面側から支持し、回転モーター23によりスピンチャック21を回転させる回転軸22と、ウエハWの被処理面(本例では上面)に処理液を供給するための処理液ノズル31と、回転するウエハWから振り飛ばされた処理液を受け止めて下方側へ案内するための3個のカップ51〜53と、を備えている。
【0016】
スピンチャック21は、ウエハWを保持する円板状の部材であり、その上面には、ウエハWを裏面(下面)側から吸着保持するための、真空ポンプなどに接続された不図示の吸引孔が開孔している。また、スピンチャック21には不図示の昇降ピンが設けられており、これらの昇降ピンをスピンチャック21の上面から突没させることによりウエハWを昇降させて、外部の搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0017】
支持部材241により、スピンチャック21の周縁部、上方位置に支持された案内部24は、当該スピンチャック21との間に隙間を形成し、回転するウエハWから振り飛ばされた処理液を、この隙間を介してカップ51〜53に向けて案内する役割を果たす。
また、回転軸22は、液処理装置1のベースプレート10に設けられた回転モーター23に接続されており、回転モーター23を駆動させることによりスピンチャック21を回転させることができる。スピンチャック21、回転軸22、回転モーター23は本実施の形態の回転保持部に相当する。
【0018】
処理液ノズル31は、ウエハWの上面に各種の処理液を供給する役割を果たす。処理液ノズル31はノズルアーム32に支持されており、スピンチャック21上に保持されたウエハWの上方の処理位置と、この処理位置から退避した退避位置との間を移動することができる。処理液ノズル31は、切り替え弁41を介して各種の液供給部42〜45に接続されている。
【0019】
酸性液供給部43は希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))などの酸性の処理液を供給する役割を果たし、アルカリ液供給部44はSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)などのアルカリ性の処理液を供給する役割を果たす。リンス液供給部45は脱イオン水(DeIonized Water:DIW)などリンス洗浄用のリンス液の供給を行い、有機液供給部42は有機溶剤である乾燥処理用のIPA(IsoPropyl Alcohol)の供給を行う。
【0020】
スピンチャック21の周囲には、円環形状の3つのカップ51〜53が配置されており、前記隙間から飛散した処理液を受け止めて下方側へ案内する役割を果たす。以下、これらのカップ51〜53は、スピンチャック21に近い内側から順に、第1のカップ51、第2のカップ52、第3のカップ53とする。
【0021】
スピンチャック21に最も近い位置に配置された第1のカップ51は、スピンチャック21と案内部24との間に形成される既述の隙間へ向けて、円環形状に成形された板材の内壁面を対向させて配置され、この内壁面にて処理液を受け止めて下方側へ案内する。第1のカップ51の上端にはスピンチャック21へ向けて内側に折れ曲がった屈曲部511が周方向に沿って形成されている。この屈曲部511は、処理液のミストが第1のカップ51の上方側へと流出するのを抑えると共に、後述の係合部としての役割も果たしている。
【0022】
第1のカップ51の下端からは、下方側に伸びる2枚の案内部512が周方向に沿って形成されており、第3のカップ53の内壁側や外壁側を流れる処理液を後述の排液溝11、12に向けて滴下させることができる。
【0023】
これら2枚の案内部512に挟まれた第1のカップ51の底面には、周方向に間隔をおいて複数本の支持部材611が接続されている。これら支持部材611の下端部は、例えば円環形状の共通の板材からなる連結部材612に連結されており、この連結部材612は昇降軸613を介して、エアシリンダーなどからなるアクチュエーター610に支持されている。
【0024】
支持部材611に支持された第1のカップ51は、アクチュエーター610から昇降軸613を突没させることにより、回転するウエハWから飛散した処理液を受け止める処理位置と、この処理位置から下方側に退避した退避位置との間を移動することができる。またアクチュエーター610は、後述する制御部7からの制御信号を受けて、昇降軸613の突没速度を、通常時の速度である基準設定と、この基準設定時よりも低速の低速設定との間で切り替え、第1のカップ51の昇降速度を変化させることができる。支持部材611、連結部材612、昇降軸613は第1のカップ51の第1の昇降部材に相当し、アクチュエーター610は第1の駆動部に相当する。
【0025】
第2のカップ52は、第1のカップ51の外方位置に配置された部材であり、円環形状に成形された板材の内壁面をスピンチャック21と案内部24との隙間へ対向させて配置される点と、その上端に内側へ向けて折れ曲がった屈曲部521が形成されている点と、その下端には下方側へ向けて伸びる2枚の案内部522が形成されている点とにおいて、前述の第1のカップ51と共通している。
【0026】
一方、第2のカップ52の屈曲部521は、第1のカップ51の屈曲部511の上方側まで伸び出しており、第2のカップ52の屈曲部521の下面に第1のカップ51の屈曲部511の上面を当接させて、屈曲部511、521同士を係合させる(重ね合わせる)ことができる。この観点において、第2のカップ52の屈曲部521は第1のカップ51側の屈曲部511と係合する係合部の役割を果たしている。
【0027】
さらに第1のカップ51と同様に、第2のカップ52は支持部材621、連結部材622、昇降軸623と、アクチュエーター620とに接続されている。この結果、第2のカップ52についても上方側の処理位置と、この処理位置から下方側に退避した退避位置との間を移動することができる。またアクチュエーター610と同じく、アクチュエーター620は制御部7からの制御信号を受けて、昇降軸623の突没速度を基準設定または低速設定に切り替え、第2のカップ52の昇降速度を変化させることができる。支持部材621、連結部材622、昇降軸623は第2のカップ52の第2の昇降部材に相当し、アクチュエーター620は第2の駆動部に相当する。
【0028】
このように構成された第2のカップ52は、図3に示すように第1のカップ51を退避位置まで下降させる一方、第2のカップ52を処理位置まで上昇させ、第1のカップ51の外壁面と第2のカップ52の内壁面との間に処理液を流下させる流路を形成して使用する。これにより、回転するウエハWから飛散し、第2のカップ52の内壁面にて受け止められた処理液は下方側へと案内される。
【0029】
第3のカップ53は、第1のカップ51及び第2のカップ52のさらに外方位置に、円環形状に形成された板材の内壁面をスピンチャック21と案内部24との隙間へ向けて対向させて配置され、この内壁面にて処理液を受け止めて下方側へ案内する。第3のカップ53の上端には内側へ向けて折れ曲がった屈曲部531が形成されており、当該屈曲部531は第1のカップ51や第2のカップ52の上方側の領域までのびだしている。
【0030】
また本例では、第3のカップ53は液処理装置1のベースプレート10に固定された構造となっている。そして、図5に示すように第1のカップ51、第2のカップ52を退避位置まで下降させると、第2のカップ52の外壁面と第3のカップ53の内壁面との間に処理液を流下させる流路が形成される。この結果、回転するウエハWから飛散した処理液は、第2のカップ52の内壁面にて受け止められ、前記流路内を流下して下方側へと案内される。
【0031】
図1に示すように、第1のカップ51、第2のカップ52の下方位置には、これらのカップ51、52の周方向に沿って互いに区画され、処理液を排出するための3つの排液溝(第1の排液溝11、第2の排液溝12、第3の排液溝13)が形成されている。排液溝11、12、13には各々排液管111、121、131が接続されている。
【0032】
そして、第1のカップ51で受け止められた処理液は、案内部512から第1の排液溝11へと滴下し、当該第1の排液溝11内を流れて排液管111より外部へと排出される。また、第2のカップ52で受け止められた処理液は、第1のカップ51と第2のカップ52との間の流路を通って案内部512、522から第2の排液溝12へと滴下し、当該第2の排液溝12を流れて排液管121より外部へと排出される。
【0033】
そして、第3のカップ53で受け止められた処理液は、第2のカップ52と第3のカップ53との間の流路を通って第3のカップ53の内壁面を流下し、また案内部522から滴下して第3の排液溝13へと流れ込み、当該第3の排液溝13より排液管131を介して外部へと排出されるようになっている。
【0034】
また、図1に示した101は、液処理装置1を収容する不図示の筐体内に形成されている清浄空気のダウンフローなど、液処理装置1内に進入した周囲の雰囲気を排気する排気管である。
【0035】
以上に説明した構成を備えた液処理装置1は、図1に示すように制御部7と接続されている。制御部7は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には液処理装置1の作用、つまり、スピンチャック21にウエハWを載置し、ウエハWを回転させながら各種の処理液を切り替えて液処理を行い、乾燥してから搬出するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0036】
特に本例の制御部7は、処理液ノズル31から供給する処理液の種類と各処理液を受け止めて外部に排出するカップ51〜53とを対応付けて記憶しており、処理液を切り替えるタイミングに合わせて第1のカップ51や第2のカップ52を昇降させることにより使用するカップ51〜53を変更し、処理液を分別して排出、回収することができる。本例では、DIWによるリンス洗浄、IPA乾燥には第1のカップ51を用い、アルカリ性の処理液による液処理には第2のカップ52を用い、酸性の処理液による液処理には第3のカップ53を用いるように、処理液とカップ51〜53とが対応づけられている。
【0037】
また、本例の制御部7は、処理液の切り替えに応じて移動する第1のカップ51、第2のカップ52の移動方向や、第1のカップ51、第2のカップ52の移動または停止の組み合わせに応じて各カップ51、52の昇降速度を変更するようにアクチュエーター610、620に対して制御信号を出力する機能を備えている。
【0038】
特に、制御部7は、第1のカップ51及び第2のカップ52を同時に同じ方向へ移動させる際には、昇降方向の後方側のカップ51、52の昇降速度が、前方側のカップ52、51の昇降速度よりも大きくなるように設定する機能を備えている。この設定により、第1のカップ51及び第2のカップ52の係合部(屈曲部511、521)を上下に重ね合わせることができる。これにより、上昇時には第1の駆動部610の駆動力を第2のカップ52に伝達させ、また下降時には第2の駆動部620の駆動力を第1のカップ51に伝達させて、これら2つのカップ51、52が一体となった状態で昇降させることができる。
【0039】
具体的には(表1)に示すように、第1のカップ51及び第2のカップ52を同時に上昇させるときには、第2のカップ52の上昇速度を低速設定、第1のカップ51の上昇速度を基準設定とする。下方側に位置する係合部(屈曲部511)にて上方側の係合部(屈曲部521)を押し上げることにより、第1のカップ51と第2のカップ52とを一体に上昇させることができる。
【0040】
また、第1のカップ51及び第2のカップ52を同時に下降させるときには、第1のカップ51の下降速度を低速設定、第2のカップ52の下降速度を基準設定とする。上方側に位置する係合部(屈曲部521)にて下方側の係合部(屈曲部511)を押し下げることにより、第1のカップ51と第2のカップ52とを一体に下降させることができる。
そして、第1のカップ51や第2のカップ52を個別に昇降させる時には、短時間での移動を完了できるように、これらの昇降速度は基準速度に設定される。
【0041】
【表1】

【0042】
以下、本実施の形態に係わる液処理装置1の動作について図2〜図4を参照しながら説明する。まず、外部の搬送アームがウエハWを保持した状態でスピンチャック21の上方位置に進入すると(スタート)、スピンチャック21から昇降ピン(不図示)を上昇させ、搬送アームと昇降ピンとを交差させて昇降ピンにウエハWを受け渡す。しかる後、昇降ピンを下降させ、ウエハWをスピンチャック21上に載置する(ステップS1)。
【0043】
このとき図3に示すように、第2のカップ52は処理位置、第1のカップ51は退避位置まで予め移動し、これらのカップ52、51の間に流路を形成した状態で待機している。しかる後、ウエハWの回転を開始し、アルカリ液供給部44からアルカリ性処理液を供給して液処理を開始する(ステップS2)。
【0044】
回転するウエハWの表面に供給されたアルカリ性処理液は、パーティクルや有機性の汚染物質を除去しながらウエハW表面に広がり、やがてスピンチャック21の周縁部に到達する。スピンチャック21の周縁部に到達した処理液は、案内部24とスピンチャック21との隙間を介してスピンチャック21の周囲に振り飛ばされ、第1のカップ51と第2のカップ52との間に形成された流路に進入して第2のカップ52の内壁面に受け止められる。そして処理液は第2のカップ52の内壁面や第1のカップ51の外壁面に案内されつつ、流下して第2の排液溝12に流れ込み、排液管121を介して回収タンクに回収され、または外部へ排出される。
【0045】
予め設定した時間だけアルカリ性処理液による液処理を行ったら、処理液ノズル31に供給する処理液をリンス液供給部45からのリンス液に切り替えると共に、退避位置の第1のカップ51を基準速度で処理位置まで上昇させる(ステップS3)。そしてウエハWのリンス洗浄を行い、スピンチャック21の周囲に振り飛ばされたリンス液を第1のカップ51にて受け止めて、第1の排液溝11、排液管111を介して外部へ排出する(図4、ステップS4)。
【0046】
次いで、リンス洗浄を終えるタイミングにて、第1のカップ51及び第2のカップ52を同時に下降させる(ステップS5)。このとき第2のカップ52の下降速度が第1のカップ51の下降速度よりも大きくなっていることにより、下降速度の大きな第2のカップ52の係合部(屈曲部521)が、下降速度の小さな第1のカップ51の係合部(屈曲部511)と重なり合い、第2のカップ52が第1のカップ51を押し下げる状態となる。この結果、同期制御を行わなくても2つのカップ51、52は、第2のカップ52に設定されている基準設定時の下降速度にて一体となって下降する。
【0047】
またこのとき、第1のカップ51と第2のカップ52との間に形成される流路は、互いに係合した屈曲部511、521によって閉じられた状態となっているので、ウエハWの回転によりアルカリ性の処理液を含むリンス液が周囲に飛散しても、当該流路へのこれら処理液の進入を抑えつつ、カップ51、53の切り替えを行うことができる。この観点において、屈曲部511、512は第1のカップ51と第2のカップ52との間に形成される流路(隙間)を閉じるシール部の役割も果たしている。
【0048】
2つのカップが退避位置まで移動し、図5に示す状態となったら、酸性液供給部43から酸性処理液を供給してウエハWの表面の自然酸化膜を除去する(ステップS6)。そしてスピンチャック21から振り飛ばされた処理液は、第3のカップ53の内壁面に受け止められ第2のカップ52と第3のカップ53との間の流路、第3の排液溝13、排液管131を通って回収タンクに回収され、また外部へ排出される。
【0049】
予め設定した時間だけ酸性処理液による液処理を行ったら、処理液ノズル31に供給する処理液をリンス液供給部45からのリンス液に切り替えると共に、退避位置の第1のカップ51、第2のカップ52を同時に上昇させる(ステップS7)。このとき第1のカップ51の上昇速度が第2のカップ52の上昇速度よりも大きくなっていることにより、上昇速度の大きな第1のカップ51の係合部(屈曲部511)が、上昇速度の小さな第2のカップ52の係合部(屈曲部521)と重なり合い、第1のカップ51が第2のカップ52を押し上げる状態となる。この結果、同期制御を行わなくても2つのカップ51、52は、第1のカップ51に設定されている基準設定時の上昇速度にて一体となって上昇する。
【0050】
またこのとき、既述のように第1のカップ51と第2のカップ52との間に形成される流路は、両屈曲部511、521によって閉じられた状態となっている。このため、ウエハW上に残存している酸性処理液を含むリンス液が、ウエハWの回転により周囲に飛散しても、アルカリ性処理液の排出経路(第1のカップ51と第2のカップ52との間の流路、第2の排液溝12、排液管121)に進入することを抑えることができる。
【0051】
さらにこのとき、第1のカップ51によって押し上げられている第2のカップ52は、独自のアクチュエーター620を備えているので、第1のカップ51側のアクチュエーター610に加わる荷重は、第1のカップ51と第2のカップ52との合計重量よりも小さい。したがって、1つのアクチュエーター610にて2つのカップ51、52を上昇させる場合に比べて必要な駆動力が小さく、過度に駆動力の大きなアクチュエーター610を設置しなくてもよい。
【0052】
第1、第2のカップ51、52を処理位置まで上昇させたら、スピンチャック21の周囲に振り飛ばされたリンス液を第1のカップ51にて受け止めて、第1の排液溝11、排液管111を介して外部へ排出する(図4)。次いで、回転するウエハWの表面に有機液供給部42からの有機処理液を供給してIPA乾燥を行い、振り切り乾燥を行ってウエハWの処理を終了する(ステップS8)。このとき、スピンチャック21から振り飛ばされた有機処理液についても第1のカップ51→第1の排液溝11→排液管111を介して回収タンクに回収され、また外部へ排出される。その際、排液管111の下流にてリンス液の排出ラインと有機処理液の排出ラインとを切り替えるようにしてもよい。
【0053】
こうして液処理を終えたら、スピンチャック21の回転を停止し、真空チャックを解除して昇降ピンを上昇させ、外部から進入してきた搬送アームにウエハWを受け渡して搬出する(ステップS9)。しかる後、いずれも処理位置にて待機している第1のカップ51及び第2のカップ52について、第2のカップ52を停止したまま、第1のカップ51を基準速度で退避位置まで下降させて、次のウエハWを受け入れる準備をし(図3、ステップS10)、一連の動作を終える(エンド)。
【0054】
本実施の形態の液処理装置1によれば以下の効果がある。スピンチャック21の周囲に隣り合って配置された第1、第2のカップ51、52に、互いに上下方向に重なり合う係合部(屈曲部511、521)を設けている。そして、これらのカップ51、52を同時に上昇させるときには、第1のカップ51の上昇速度が第2のカップ52の上昇速度よりも大きくなるようにして前記係合部同士を上下に重ね合わせ、また、両カップ51、52を同時に下降させるときには、第2のカップ52の下降速度が第1のカップ51の下降速度よりも大きくなるようにして前記係合部同士を上下に重ね合わせる。この結果、同期制御を行わなくても2つのカップ51、52を一体に昇降させることができる。
【0055】
ここで、処理液を切り替えて液処理を行う際に、全てのカップを使用しなくてもよい。例えば酸性処理液による液処理とリンス洗浄、IPA乾燥のみを行い、アルカリ性処理液による液処理を行わない場合には、第1のカップ51と第2のカップ52の間の流路を閉じたまま、これらのカップ51、52の一体昇降を繰り返してもよい。このとき液処理装置1では、第1のカップ51を利用したリンス液及び有機処理液の排出と、第3のカップ53を利用した酸性処理液の排出が行われる一方、第2のカップ52は使用されない。しかる後、アルカリ性処理液を含む液処理になったら、図2を用いて説明した動作が実行されるようにカップ51、52の昇降シーケンスを変更して第2のカップ52の使用が再開される。
【0056】
この他、図5に示す例では、第1のカップ51、第2のカップ52が退避位置まで下降したときに、シール部である屈曲部521、511同士が上下に重なり合って、両カップ52、51の間に形成される流路を閉じた状態となっている。ここで例えば、第1のカップ51がさらに下方位置まで移動しており、屈曲部521、511の間が開いた状態となっているときに、これらのカップ51、52を処理位置まで上昇させるとする。
【0057】
この場合には、第2のカップ52よりも早く第1のカップ51の上昇を開始させ、第1のカップ51が第2のカップ52の退避位置まで到達して、屈曲部521、511間が閉じた状態となったら、第2のカップ52の上昇を開始して、両カップ51、52を同時に上昇させるようにするとよい。2つのカップ51、52の間の流路が閉じられた状態となってから、第2のカップ52の上昇を開始することにより、回転するウエハWから飛散する処理液の当該流路への流れ込みを抑えることができる。
【0058】
上述の動作は、第1のカップ51及び第2のカップ52が処理位置まで上昇しているときに、第2のカップ52が第1のカップ51よりもさらに上方に位置している場合にも有効である。即ち、第1のカップ51よりも早く第2のカップ52の下降を開始させ、第2のカップ52が第1のカップ51の処理位置まで到達して、屈曲部521、511間が閉じた状態となったら、第1のカップ51の下降を開始して、両カップ51、52を同時に下降させた場合にも、上昇時の場合と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、処理液の種類に応じて使用するカップ51〜53の対応関係は、上述の実施の形態に示した例に限定されない。例えば、アルカリ性処理液や酸性処理液の処理時に第1のカップ51を用いてもよいし、酸性処理液による処理やリンス洗浄、IPA乾燥の際に第2のカップ52を用いてもよい。アルカリ性処理液による処理やリンス洗浄、IPA乾燥時に第3のカップ53を用いてもよく、上記に例示したもの以外の処理液を分別する場合に本発明を適用してもよいことは勿論である。
【0060】
図6、図7には、昇降自在な第3のカップ53aを備えた液処理装置1aの例を示している。本例の第3のカップ53aは、上下方向に分割されており、その上部側が昇降機構532により保持されている。そして図6に示すように、処理液を第2のカップ52(または第1のカップ51)により受け止める場合には、第3のカップ53aを第2のカップ52の直上位置まで下降させ、第2のカップ52と第3のカップ53aとの間の流路を塞いで他の処理液が進入することを防止する。一方、第3のカップ53aにて処理液を受け止める場合には、図7に示すように第1のカップ51、第2のカップ52を退避位置まで退避させると共に、第3のカップ53aを上昇させて液処理を行う。
【0061】
また、第1のカップ51と第2のカップ52とを一体に昇降させる際に上下に重ね合わされる係合部は、カップ51、52の上端に設けた屈曲部511、521を利用する場合に限定されない。例えば、図8に示すようにカップ51、52の基部側に係合部513、523を設けてもよい。例えば小片状の係合部513、523を用いて各カップ51、52の周方向に沿って点在させれば、第1のカップ51と第2のカップ52との間の流路を流れる処理液を遮ることなく第2の排液溝12に処理液を排出することができる。
【0062】
また、これら係合部は第1のカップ51、第2のカップ52に設ける場合に限られるものではなく、カップ51、52の昇降部材側に設けてもよい。例えば図8には、カップ51、52の昇降部材の一部を構成し、円環形状の板材からなる連結部材612、622の周方向に沿って、互いに係合する係合部614、624を設けた例を併せて示してある。この他、昇降部材に係合部を設ける場合には、例えば支持部材611、621や昇降軸613、623に上下に重なり合う部材を設けてもよい。
【0063】
このとき屈曲部511、521に係合部としての機能を持たせなくてもよいし、係合部513、523を省略してもよい。この場合には、屈曲部521は第1のカップ51と第2のカップ52との間の流路を閉じるシール部としての役割や飛散した処理液を案内する役割を果たす。こうして液処理装置1b内のカップ51、52を互いに接触させないことにより、パーティクルの発生を抑制することができる。
また、第3のカップ53は必ずしも設けなくてもよく、例えば液処理装置1を収容する筐体の底面に排液管を設け、ここから処理液を排出してもよい。
【0064】
上述の各実施の形態に係わる液処理装置1、1a、1bでは、ウエハWの表面(上面)に処理液を供給して液処理を行う例について示したが、ウエハWの処理面はこれに限られるものではない。例えば被処理面にウエハWの裏面(下面)が含まれている場合には、スピンチャック21の回転軸22内に処理液の供給流路を形成して、当該被処理面に処理液を供給する場合にも本発明は適用することができる。
また、本発明の液処理装置1、1a、1bにて処理する被処理基板についても半導体ウエハに限定されるものではなく、角形基板などを処理する液処理装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
W ウエハ
1 液処理装置
21 スピンチャック
31 処理液ノズル
51 第1のカップ
511 屈曲部
52 第2のカップ
521 屈曲部
53、53a
第3のカップ
610、620
アクチュエーター
611、621
支持部材
612、622
連結部材
7 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を保持して鉛直軸周りに回転させるための回転保持部と、
この回転保持部に保持された被処理基板の被処理面に処理液を供給するための処理液供給部と、
被処理基板から飛散した処理液を受け止めて下方側へ案内するために前記回転保持部を囲むように内側から順番に設けられた第1のカップ及び第2のカップと、
回転する被処理基板から飛散した処理液を受け止める処理位置と、この処理位置から下方側に退避した退避位置との間で、前記第1のカップ及び第2のカップを各々第1の昇降部材及び第2の昇降部材を介して昇降させるために設けられ、これら各カップの昇降速度の設定値が変更可能な第1の駆動部及び第2の駆動部と、
前記第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させるときは、第1のカップの上昇速度の設定値が第2のカップの上昇速度の設定値よりも大きくなるように、これら第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力する制御部と、を備え、
前記第1のカップまたは第1の昇降部材は、前記第2のカップまたは第2の昇降部材に下方側から重なり合って、第1の駆動部の駆動力を第2のカップまたは第2の昇降部材に伝達させることにより、これら第2のカップと第1のカップとを同時に上昇させることを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のカップと第2のカップとを同時に下降させるときには、第2のカップの下降速度の設定値が第1のカップの下降速度の設定値よりも大きくなるように、前記第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力し、前記第2のカップまたは第2の昇降部材は、第1のカップまたは第1の昇降部材に上方側から重なり合って、第2の駆動部の駆動力を第1のカップまたは第1の昇降部材に伝達させることにより、これら第1のカップと第2のカップとを同時に下降させることを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2のカップを単独で上昇させるときには、第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させるときの上昇速度よりも大きくなるように、前記第2の駆動部に制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記第1のカップと第2のカップを同時に上昇させる際に、これら第1のカップと第2のカップとの間に形成される隙間を閉じるシール部を備えたことを特徴とする請求項1または3に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記シール部は第1のカップと第2のカップとの少なくとも一方側に設けられ、
前記制御部は、前記第1のカップ及び第2のカップを退避位置まで下降させたとき、当該第1のカップよりも上方側であって、前記シール部により隙間が閉じられていない状態となる位置に第2のカップを位置させ、これら第1のカップと第2のカップとを上昇させるときは、第1のカップが第2のカップよりも早く上昇を開始することにより、前記シール部にて隙間を閉じてから第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させるように、前記第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1のカップを単独で下降させるときには、第1のカップと第2のカップとを同時に下降させるときの下降速度よりも大きくなるように、前記第1の駆動部に制御信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記第1のカップと第2のカップを同時に下降させる際に、これら第1のカップと第2のカップとの間に形成される隙間を閉じるシール部を備えたことを特徴とする請求項2または6に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記シール部は第1のカップと第2のカップとの少なくとも一方側に設けられ、
前記制御部は、前記第1のカップ及び第2のカップを処理位置まで上昇させたとき、当該第2のカップよりも下方側であって、前記シール部により隙間が閉じられていない状態となる位置に第1のカップを位置させ、これら第2のカップと第1のカップとを下降させるときは、第2のカップが第1のカップよりも早く下降を開始することにより、前記シール部にて隙間を閉じてから第1のカップと第2のカップとを同時に下降させるように、前記第1の駆動部及び第2の駆動部に制御信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の液処理装置。
【請求項9】
被処理基板を囲むように内側から順番に設けられた第1のカップ及び第2のカップを、被処理基板から飛散した処理液を受け止める処理位置とこの処理位置の下方側の退避位置との間で昇降させる動作を含む液処理方法であって、
鉛直軸周りに回転する被処理基板の被処理面に処理液を供給する工程と、
前記第1のカップと第2のカップとを前記退避位置から処理位置へ同時に上昇させるときは、第1のカップの上昇速度を第2のカップの上昇速度よりも大きくして、前記第1のカップまたは当該第1のカップを昇降させるための第1の昇降部材が、前記第2のカップまたは当該第2のカップを昇降させるための第2の昇降部材に下方側から重なり合って、当該第2のカップまたは第2の昇降部材を押し上げることにより、これら第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させる工程と、を含むことを特徴とする液処理方法。
【請求項10】
前記第1のカップと第2のカップとを前記処理位置から退避位置へ同時に下降させるときは、第2のカップの下降速度を第1のカップの下降速度よりも大きくして、前記第2のカップまたは第2の昇降部材が、前記第1のカップまたは第1の昇降部材に上方側から重なり合って、当該第1のカップまたは第1の昇降部材を押し下げることにより、これら第1のカップと第2のカップとを同時に下降させる工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の液処理方法。
【請求項11】
前記第2のカップを単独で退避位置から処理位置まで上昇させるときには、第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させるときよりも大きな上昇速度で前記第2のカップを上昇させる工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の液処理方法。
【請求項12】
前記第1のカップと第2のカップとの少なくとも一方側には、当該第1のカップと第2のカップを同時に上昇させる際に、これらカップ同士の間に形成される隙間を閉じるシール部が設けられ、
前記第1のカップ及び第2のカップを退避位置まで下降させたとき、当該第1のカップよりも上方側であって、前記シール部により隙間が閉じられていない状態となる位置に第2のカップを位置させる工程を含み、
前記第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させる工程では、第1のカップが第2のカップよりも早く上昇を開始することにより、前記シール部にて隙間を閉じてから第1のカップと第2のカップとを同時に上昇させることを特徴とする請求項9または11に記載の液処理方法。
【請求項13】
前記第1のカップを単独で処理位置から退避位置まで下降させるときには、第1のカップと第2のカップとを同時に下降させるときよりも大きな下降速度で前記第1のカップを下降させる工程を含むことを特徴とする請求10に記載の液処理方法。
【請求項14】
前記第1のカップと第2のカップとの少なくとも一方側には、当該第1のカップと第2のカップを同時に下降させる際に、これらカップ同士の間に形成される隙間を閉じるシール部が設けられ、
前記第1のカップ及び第2のカップを処理位置まで上昇させたとき、当該第2のカップよりも下方側であって、前記シール部により隙間が閉じられていない状態となる位置に第1のカップを位置させる工程を含み、
前記第1のカップと第2のカップとを同時に下降させる工程では、第2のカップが第1のカップよりも早く下降を開始することにより、前記シール部にて隙間を閉じてから第1のカップと第2のカップとを同時に下降させることを特徴とする請求項10または13に記載の液処理方法。
【請求項15】
回転保持部により保持され、鉛直軸周りに回転する被処理基板の被処理面に処理液供給部より処理液を供給して液処理を行う液処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項9ないし14のいずれか一つに記載された液処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227285(P2012−227285A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92430(P2011−92430)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】