説明

炭化珪素半導体装置

【課題】オーミック電極の接触抵抗を低減するとともに高い耐圧特性を実現することが可能な炭化珪素半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、基板2と不純物層としてのp+領域25とを備える。基板2は炭化珪素からなり、転位密度が5×10cm−2以下であって、導電型は第1導電型(n型)である。p領域25は、基板上に形成され、前記第1導電型とは異なる第2導電型の導電性不純物濃度が1×1020cm−3以上5×1021cm−3以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置に関し、より特定的には、オーミック電極を備える炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化珪素(SiC)を用いたFET(電界効果トランジスタ)などの炭化珪素半導体装置が知られている(たとえば、半導体SiC技術と応用第191頁(非特許文献1)参照)。たとえば、SiCを用いたMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)は、ユニポーラ素子でありながら、Siを用いた素子ではGTO(Gate Turn-Off thyristor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのバイポーラトランジスタ素子でのみ実現されている高い耐圧(たとえば1kV以上)を実現可能であることから、高耐圧、低損失かつ高速スイッチングが可能な素子として期待されている。なお、Siを用いたパワーデバイスとしてのMOSFETでは、DMOSFET(Double-Diffused-MOSFET)構造が広く採用されているが、SiCを用いたMOSFETの場合、選択的な導電性不純物のドーピングをイオン注入により実施するため、そのようなイオン注入により導電性不純物を注入したMOSFETはDiMOSFET(Double-Implanted MOSFET)と呼ばれている。
【非特許文献1】半導体SiC技術と応用、日本、日刊工業新聞社、2003年3月31日、p.191
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したMOSFETにおいては、たとえば導電性がn型のSiC基板の表面上に、SiCからなるエピタキシャル層を形成し、当該エピタキシャル層に導電型がp型の導電性不純物をイオン注入することによりp型領域を形成する。当該p型領域に接触するようにp型のオーミック電極が形成される。
【0004】
ここで、p型領域とオーミック電極との接触抵抗を低減するために、p型領域でのp型導電性不純物の濃度を高くする(つまり当該導電性不純物の注入量を多くする)ことが考えられる。しかし、この場合p型領域においてイオン注入に起因する欠陥が多く形成される。このような欠陥は電流のリークパスとして作用するため、MOSFETの耐圧性能が劣化することになっていた。つまり、SiCを用いた半導体装置において、オーミック電極と不純物領域との接触抵抗を低減すると同時に高い耐圧特性を実現することは従来難しかった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、オーミック電極の接触抵抗を低減するとともに高い耐圧特性を実現することが可能な炭化珪素半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った炭化珪素半導体装置は、基板と不純物層とを備える。基板は炭化珪素からなり、転位密度が5×10cm−2以下であって、導電型は第1導電型である。不純物層は、基板上に形成され、第1導電型とは異なる第2導電型の導電性不純物濃度が1×1020cm−3以上5×1021cm−3以下である。
【0007】
このようにすれば、不純物層に接触するようにオーミック電極を形成した場合に、当該オーミック電極と不純物層との接触抵抗を実用上問題無い程度に低くできるとともに、転位密度が上述のような値に低減された基板を用いることにより、基板や当該基板上に形成される不純物層においてリークパスとなり得る欠陥の密度を十分低減することになるので、炭化珪素半導体装置の耐圧特性を良好なものとすることができる。
【0008】
なお、基板の転位密度を5×10cm−2以下としたのは、このようにすれば炭化珪素半導体装置の耐圧特性を良好に保つことが可能であるからである。また、不純物層における導電性不純物濃度の下限を1×1020cm−3としたのは、この値より導電性不純物濃度を下げると、不純物層に接触するようにオーミック電極を形成したときに当該オーミック電極と不純物層との接触抵抗を許容範囲を超えて大きくなるためである。また、不純物層における導電性不純物濃度の上限を5×1021cm−3としたのは、これ以上導電性不純物を導入すると、不純物層の結晶性が低下し、炭化珪素半導体装置の特性が劣化するからである。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、オーミック電極の接触抵抗を問題ない程度に低減できると同時に、耐圧特性の良好な炭化珪素半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明による半導体装置の実施の形態1を示す断面模式図である。図1を参照して、本発明の半導体装置の実施の形態1を説明する。
【0012】
図1を参照して、本発明による半導体装置1は、炭化珪素半導体装置の一例である縦型DiMOSFET(Double Implanted MOSFET)であって、基板2、バッファ層21、耐圧保持層22、p領域23、n+領域24、p+領域25、酸化膜26、ソース電極11および上部ソース電極27、ゲート電極10および基板2の裏面側に形成されたドレイン電極12を備える。具体的には、導電型がn型の炭化ケイ素(SiC)からなる基板2の表面上に、炭化ケイ素からなるバッファ層21が形成されている。このバッファ層21は導電型がn型であり、その厚みはたとえば0.5μmであり、不純物濃度はたとえば5×1017cm−3である。また、このバッファ層21上には耐圧保持層22が形成されている。この耐圧保持層22は、導電型がn型の炭化ケイ素からなり、たとえばその厚みはたとえば10μmである。また、耐圧保持層22におけるn型の導電性不純物の濃度としては、たとえば5×1015cm-3という値を用いることができる。なお、上述したバッファ層21を形成せず、基板2上に直接耐圧保持層22を形成するようにしてもよい。
【0013】
この耐圧保持層22の表面には、導電型がp型であるp領域23が互いに間隔を隔てて形成されている。p領域23におけるp型の導電性不純物の濃度としては、たとえば1×1017cm-3という値を用いることができる。p領域23の内部においては、p領域23の表面層にn+領域24が形成されている。n+領域24におけるn型の導電性不純物の濃度としては、たとえば1×1019cm-3という値を用いることができる。また、このn+領域24に隣接する位置には、p+領域25が形成されている。このp+領域25におけるp型の導電性不純物の濃度としては、たとえば1×1020cm-3という値を用いることができる。一方のp領域23におけるn+領域24上から、p領域23、2つのp領域23の間において露出する耐圧保持層22、他方のp領域23および当該他方のp領域23におけるn+領域24上にまで延在するように、酸化膜26が形成されている。酸化膜26上にはゲート電極10が形成されている。また、n+領域24およびp+領域25上にはソース電極11が形成されている。このソース電極11上には上部ソース電極27が形成されている。そして、基板2において、バッファ層21が形成された側の表面とは反対側の裏面に、ドレイン電極12が形成されている。
【0014】
ここで、上述した半導体装置1は、基板2と不純物層としてのp+領域25とを備える。基板2は炭化珪素からなり、転位密度が5×10cm−2以下であって、導電型は第1導電型(n型)である。p領域25は、基板上に形成され、前記第1導電型とは異なる第2導電型の導電性不純物濃度が1×1020cm−3以上5×1021cm−3以下である。
【0015】
このようにすれば、p領域25に接触するようにオーミック電極であるソース電極11を形成した場合に、当該ソース電極11とp領域25との接触抵抗を実用上問題無い程度に低くできる。さらに、転位密度が上述のような値に低減された基板2を用いることにより、基板2や当該基板上に形成されるエピタキシャル層などにおいてリークパスとなり得る欠陥の密度を十分低減できる。このため、半導体装置1の耐圧特性を良好なものとすることができる。
【0016】
なお、基板2の転位密度の測定は、基板2の表面をKOHなどの薬液を用いてエッチングし、当該エッチングによって形成されるエッチピット数を計測することにより測定できる。また、p領域25における導電性不純物の濃度は、たとえばSIMS(Secondary Ionization Mass Spectrometer)などを用いて測定できる。
【0017】
次に、図1に示した半導体装置1の動作について説明する。図1を参照して、ゲート電極10に閾値以下の電圧を与えた状態、すなわちオフ状態では、ゲート絶縁膜としての酸化膜26の直下に位置するp領域23と導電型がn型である耐圧保持層22との間が逆バイアスとなり、非導通状態となる。一方、ゲート電極10に正の電圧を印加していくと、p領域23の酸化膜26と接触する付近であるチャネル領域において、反転層が形成される。その結果、n領域24と耐圧保持層22とが電気的に接続され、ソース電極11とドレイン電極12との間に電流が流れる。
【0018】
次に、図1に示した半導体装置1の製造方法を説明する。図2は、図1に示した半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。図2を参照して、本発明による半導体装置の実施の形態1の製造方法を説明する。
【0019】
まず、図2に示すように、基板準備工程(S10)を実施する。この工程においては、具体的には(0001)面の<11−20>方向におけるオフ角度が8度である炭化ケイ素基板を準備する。当該炭化ケイ素基板の導電型はn型である。このような基板2(図1参照)は、たとえば(0001)面を主表面とするSiCインゴットから上述したオフ角となるように基板を切り出すといった手法により得ることができる。
【0020】
次に、バッファ層形成工程(S20)を実施する。具体的には、バッファ層として導電型がn型の炭化ケイ素からなるエピタキシャル層を形成する。なお、このバッファ層形成工程(S20)は実施せず、上記工程(S10)に続いて後述するエピタキシャル層形成工程(S30)を実施してもよい。
【0021】
次にエピタキシャル層形成工程(S30)を実施する。具体的には、バッファ層21上に耐圧保持層22を形成する。この耐圧保持層22としては、導電型がn型の炭化ケイ素からなる層をエピタキシャル成長法によって形成する。このエピタキシャル層形成工程(S30)においては、原料ガスとしてたとえばSiH4ガスおよびC38ガスを用いることができる。
【0022】
次に、注入工程(S40)を実施する。具体的には、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて形成した酸化膜をマスクとして用いて、導電型がp型の不純物を耐圧保持層22に注入する。このようにして、p領域23(図1参照)を形成する。また、上述した注入工程において用いた酸化膜を除去した後、再度新たなパターンを有する酸化膜を、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて形成する。そして、当該酸化膜をマスクとして用いて、n型の導電性不純物を所定の領域に注入することにより、n+領域24(図1参照)を形成する。また、同様の手法により、導電型がp型の導電性不純物を注入することにより、p+領域25を形成する。
【0023】
上述のような注入工程(S40)の後、活性化熱処理を行なう。この活性化熱処理の処理条件としては、たとえばアルゴンガスを雰囲気ガスとして用いて、加熱温度を1700℃、加熱時間を30分とした条件を用いることができる。
【0024】
次に、図2に示すようにゲート絶縁膜形成工程(S50)を実施する。具体的には、耐圧保持層22、p領域23、n+領域24、p+領域25上を覆うように酸化膜26(図1参照)となるべき酸化膜を形成する。このゲート絶縁膜となるべき酸化膜を形成する方法としては、たとえばドライ酸化(熱酸化)を行なってもよい。このドライ酸化の条件としては、たとえば酸素含有雰囲気中で加熱温度を1200℃、加熱時間を30分といった条件を用いることができる。
【0025】
次に、電極形成工程(S60)を実施する。具体的には、上記酸化膜上にフォトリソグラフィを用いてパターンを有するレジスト膜を形成する。当該レジスト膜をマスクとして用いて、n+領域24およびp+領域25上に位置する酸化膜の部分をエッチングにより除去する。この後、レジスト膜上および当該酸化膜において形成された開口部内部においてn+領域24およびp+領域25と接触するように金属などからなる導電体膜を形成する。その後、レジスト膜を除去することにより、当該レジスト膜上に位置していた導電体膜を除去(リフトオフ)する。
【0026】
ここで、導電体膜の材料としては、たとえばニッケル(Ni)を用いることができる。また、当該材料として、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)およびこれらの金属にシリコン(Si)を含有した材料を用いてもよい。この結果、図1に示すように、ソース電極11を得ることができる。また、基板2の裏面上にドレイン電極12(図1参照)を形成する。なお、ここでアロイ化のための熱処理を行なうことが好ましい。具体的には、たとえば雰囲気ガスとして不活性ガスであるアルゴン(Ar)を用い加熱温度を950℃、加熱時間を2分といった熱処理(アロイ化処理)を行なってもよい。
【0027】
その後、ソース電極11上に上部ソース電極27(図1参照)を形成する。また、このとき一方のn+領域24上から他方のn+領域24上まで延在するように、酸化膜26上にゲート電極10を形成する。このようにして、図1に示す半導体装置を得ることができる。
【0028】
(実施の形態2)
図3は、本発明による半導体装置の実施の形態2を示す断面模式図である。図3を参照して、本発明による半導体装置の実施の形態2を説明する。
【0029】
図3を参照して、本発明による半導体装置1は炭化珪素半導体装置の一例である横型構造のJFETであって、炭化ケイ素(SiC)からなり、導電型がn型である基板2と、第1のp型層32と、n型層33と、第2のp型層34と、ソース領域35と、ゲート領域36と、ドレイン領域37と、酸化膜38と、コンタクト電極39と、上部ソース電極27と、上部ゲート電極28と上部ドレイン電極29と、電位保持領域43とを備える。第1のp型層32は基板2の上部表面上に形成されている。第1のp型層32の厚みはたとえば10μmとすることができる。また、第1のp型層32におけるp型の導電性不純物の濃度はたとえば1×1016cm−3とすることができる。n型層33は、第1のp型層32上に形成されている。n型層33の厚みはたとえば0.4μmとすることができる。また、n型層33におけるn型の導電性不純物の濃度はたとえば2×1017cm−3とすることができる。第2のp型層34はn型層33上に形成されている。第2のp型層34の厚みはたとえば0.3μmとすることができる。また、第2のp型層34におけるp型の導電性不純物の濃度はたとえば2×1017cm−3とすることができる。上述したp型層およびn型層はそれぞれ導電型がp型およびn型である炭化ケイ素からなる。
【0030】
第2のp型層34およびn型層33には、n型層33よりも高濃度の導電型がn型である不純物(n型不純物)を含むソース領域35およびドレイン領域37が形成される。また、第2のp型層34およびn型層33には、上述したソース領域35およびドレイン領域37に挟まれるように、第1のp型層32および第2のp型層34よりも高濃度の導電型がp型である不純物(p型不純物)を含むゲート領域36が形成される。このように、ソース領域35、ゲート領域36およびドレイン領域37は、それぞれ第2のp型層34を貫通してn型層33にまで到達するように形成されている。また、ソース領域35、ゲート領域36およびドレイン領域37の底部は、第1のp型層32の上部表面(第1のp型層32とn型層33との境界部)から間隔を隔てて配置されている。
【0031】
また、ソース領域35から見てゲート領域36とは反対側には、第2のp型層34の上部表面34A(n型層33に面する表面とは反対側の主面)から第2のp型層34を貫通してn型層33にまで到達するように溝部41が形成されている。溝部41の底壁は、第1のp型層32とn型層33との界面から間隔を隔てて、n型層33の内部に配置されている。また、溝部41の底壁からn型層33を貫通し、第1のp型層32に至るように、第1のp型層32および第2のp型層34よりも高濃度のp型不純物を含む電位保持領域43が形成されている。この電位保持領域43の底部は、n型である基板2の上部表面(基板2と第1のp型層32との境界部)から間隔を隔てて配置されている。
【0032】
ソース領域35、ゲート領域36、ドレイン領域37、および電位保持領域43のそれぞれの上部表面に接触するように、コンタクト電極39が形成されている。コンタクト電極39は、ソース領域35、ゲート領域36、ドレイン領域37および電位保持領域43とオーミック接触可能な材料からなる。コンタクト電極19の材料として、たとえばNiを用いることができる。また、コンタクト電極19は、Ti、Al、あるいはこれらの金属のシリサイドから構成されていてもよい。
【0033】
隣接するコンタクト電極39の間には、酸化膜38が形成されている。すなわち、絶縁層としての酸化膜38は、第2のp型層34の上部表面、溝部41の底壁および側壁において、コンタクト電極39が形成されている領域以外の領域全体を覆うように形成されている。この結果、隣接するコンタクト電極19同士は絶縁された状態になる。
【0034】
ソース領域35、ゲート領域36およびドレイン領域37上に位置するコンタクト電極39の上部表面上に接触するように、それぞれ上部ソース電極27、上部ゲート電極28、上部ドレイン電極29が形成されている。この結果、上部ソース電極27、上部ゲート電極28、上部ドレイン電極29は、コンタクト電極39を介して、それぞれソース領域35、ゲート領域36およびドレイン領域37と電気的に接続される。また、上部ソース電極27は、ソース領域35上のコンタクト電極19の上部表面上から、電位保持領域43上のコンタクト電極19の上部表面上にまで延在するように形成されている。この結果、電位保持領域43上のコンタクト電極39は、ソース領域35上のコンタクト電極39と同電位に保持される。上部ソース電極27、上部ゲート電極28、上部ドレイン電極29は、たとえばAlなどの導電体により構成される。
【0035】
図3に示した半導体装置1は、基板2と不純物層としてのゲート領域36とを備える。基板2は炭化珪素からなり、転位密度が5×10cm−2以下であって、導電型は第1導電型(n型)である。不純物層であるゲート領域36は、基板2上に形成され、n型とは異なる第2導電型(p型)の導電性不純物濃度が1×1020cm−3以上5×1021cm−3以下である。
【0036】
このようにすれば、実施の形態1に示した半導体装置1と同様に、不純物層であるゲート領域36に接触するようにオーミック電極であるコンタクト電極39を形成した場合に、当該コンタクト電極39とゲート領域36との接触抵抗を実用上問題無い程度に低くできる。さらに、転位密度が上述のような値に低減された基板2を用いることにより、基板2や当該基板上に形成されるエピタキシャル層(第1のp型層32、n型層33、第2のp型層34)においてリークパスとなり得る欠陥の密度を十分低減できる。このため、半導体装置1の耐圧特性を良好なものとすることができる。
【0037】
次に、半導体装置1の動作について簡単に説明する。図3を参照して、上部ゲート電極28に印加される電圧が0Vの状態では、n型層33においてゲート領域36とドレイン領域37とで挟まれた領域および当該挟まれた領域と第1のp型層32とで挟まれた領域(ドリフト領域)、ならびにゲート領域36と第1のp型層32とで挟まれた領域(チャネル領域)は空乏化されていない。このため、ソース領域35とドレイン領域37とはn型層33を介して電気的に接続された状態となっている。そのため、ソース領域35からドレイン領域37に向かって電子が移動することにより電流が流れる。
【0038】
一方、上部ゲート電極28に負の電圧を印加していくと、上述したチャネル領域およびドリフト領域の空乏化が進行する。この結果、ソース領域35とドレイン領域37とは電気的に遮断された状態となる。そのため、ソース領域35からドレイン領域37に向かって電子が移動することができず、電流は流れない。
【0039】
次に、図3に示した半導体装置の製造方法について説明する。図4は、図3に示した半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。図4を参照して、本発明による半導体装置の実施の形態2の製造方法を説明する。
【0040】
図4に示すように、図3に示した半導体装置1の製造方法においては、まず基板準備工程(S10)を実施する。具体的には、図2に示した工程(S10)と同様に、導電型がn型であって転位密度が5×103cm-2以下となっている炭化ケイ素からなる基板2を準備する。
【0041】
次に、図4に示すように、エピタキシャル層形成工程(S30)を実施する。具体的には、上述した工程(S10)において準備された基板2の一方の主表面上にたとえば気相エピタキシャル成長法を用いて炭化ケイ素からなる第1のp型層32、n型層33、および第2のp型層34を順次形成する。気相エピタキシャル成長法において、たとえば材料ガスとしてシラン(SiH4)ガスおよびプロパン(C38)ガスを用いることができる。また、このときキャリアガスとしてはたとえば水素(H2)ガスを用いることもできる。また、p型層を形成するために、導電型がp型の不純物を導入するp型不純物源としては、たとえばジボラン(B26)やトリメチルアルミニウム(TMA)を用いることができる。また、n型層を形成するために用いるn型不純物源としては、たとえば窒素(N2)ガスを用いることができる。
【0042】
次に上述のようにして形成した第2のp型層34およびn型層33に溝部を形成する。具体的には、第2のp型層34の上部表面34Aから第2のp型層34を貫通してn型層33に到達するように、たとえばドライエッチングを用いて溝部41を形成する。この溝部41の形成工程においては、たとえば溝部41を形成するべき位置に開口部を有するマスク層を第2のp型層34の上部表面34A上に形成し、当該マスク層をマスクとして用いてSF6ガスを用いたドライエッチングを行なってもよい。
【0043】
次に、図4に示すように注入工程(S40)を実施する。具体的には、まず第1イオン注入工程として、高濃度のn型不純物を含む領域であるソース領域35およびドレイン領域37を形成する。具体的には、まず第2のp型層34の上部表面34A上および溝部41の内壁にレジストを塗布した後、露光および現像処理を行なうことにより(フォトリソグラフィにより)、所望のソース領域35およびドレイン領域37の形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜を形成する。そして、このレジスト膜をマスクとして用いて、リン(P)あるいは窒素(N)などのn型不純物がイオン注入法により第2のp型層34およびn型層33に注入される。これにより、ソース領域35およびドレイン領域37が形成される。
【0044】
次に、注入工程(S40)として、第2イオン注入工程を実施する。具体的には、上述した第1イオン注入工程と同様に、所望のゲート領域36および電位保持領域43の平面形状に応じた領域に開口を有するレジスト膜がフォトリソグラフィ法を用いて形成される。そして、このレジスト膜をマスクとして用いて、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)などのp型不純物がイオン注入法により第2のp型層34、n型層33および第1のp型層32の所定領域に導入される。この結果、ゲート領域36および電位保持領域43が形成される。
【0045】
次に、注入したn型不純物またはp型不純物を活性化するための活性化アニール工程を実施する。この活性化アニール工程においては、上述した注入工程(S40)において用いられたレジスト膜を除去した後、イオンが注入された第2のp型層34、n型層33および第1のp型層32を加熱する。この結果、上述したイオン注入によって導入された不純物が活性化される。当該活性化アニール処理としては、たとえばアルゴンガスを雰囲気として用いて、加熱温度を1700℃程度にし、保持時間を30分程度とする熱処理を行なってもよい。
【0046】
次に、図4に示すように、絶縁膜形成工程(S70)を実施する。この工程(S70)においては、上述した工程を実施することにより所定のイオン注入層が形成された第2のp型層34、n型層33および第1のp型層32が形成された基板2の表面が熱酸化される。これにより、二酸化ケイ素(SiO2)からなる酸化膜38が、第2のp型層34の上部表面34Aおよび溝部41の内壁を覆うように形成される。
【0047】
次に、図4に示すように電極形成工程(S60)を実施する。具体的には、ソース領域35、ゲート領域36、ドレイン領域37および電位保持領域43のそれぞれの上部表面に接触するように、コンタクト電極39を形成する。コンタクト電極39の形成方法としては、まず形成すべきコンタクト電極39の平面形状に応じた領域に、フォトリソグラフィ法を用いて開口パターンを有するレジスト膜を形成する。そして、このレジスト膜をマスクとして用いて、たとえば反応性イオンエッチング(RIE)によりソース領域35、ゲート領域36、ドレイン領域37および電位保持領域43上の酸化膜38を部分的に除去する。その後、たとえばニッケル(Ni)を蒸着することにより、酸化膜38が部分的に除去されることにより形成された開口部から露出するソース領域35、ゲート領域36、ドレイン領域37および電位保持領域43の上部表面およびレジスト膜の上部表面上に導電層(ニッケル膜)が形成される。その後、レジスト膜を除去することにより、レジスト膜上の導電体層が除去(リフトオフ)される。この結果、酸化膜38の開口部から露出したソース領域35、ゲート領域36、ドレイン領域37および電位保持領域43の上部表面上に導電体層が残存する。その後、たとえば1000℃程度に加熱する熱処理工程を実施することにより、上述した導電体層がシリサイド化する。この結果、ソース領域35、ゲート領域36、ドレイン領域37および電位保持領域43にオーミック接触可能なNiSi(ニッケルシリサイド)からなるコンタクト電極39が形成される。なお、コンタクト電極39を構成する材料としてTiまたはAl、あるいはこれらのシリサイドを用いてもよい。
【0048】
その後、コンタクト電極39上に上部ソース電極27、上部ゲート電極28および上部ドレイン電極29を形成する。具体的には、酸化膜38上に上部ソース電極27、上部ゲート電極28および上部ドレイン電極29の平面形状と同じ開口パターンを有するレジスト膜を形成する。このレジスト膜の開口パターンの内部においてはコンタクト電極39が露出している。そして、当該レジスト膜の上部表面および開口パターンの内部にアルミニウムなどの導電体膜を蒸着する。その後、レジスト膜とともにレジスト膜上の導電体膜を除去する(リフトオフ)。この結果、図3に示すような上部ソース電極27、上部ゲート電極28および上部ドレイン電極29を形成することができる。このようにして、図3に示すような半導体装置を得ることができる。
【0049】
ここで、上述した実施の形態1、2に示した半導体装置の好ましい変形例を説明する。
上記半導体装置1において、基板2の転位密度は1×10cm−2以下であってもよい。この場合、半導体装置1の耐圧特性をより向上させることができる。
【0050】
上記半導体装置1において、基板2の螺旋転位密度は1cm−2以下であってもよい。ここで、基板2中の螺旋転位は耐圧特性の劣化を招く(アバランシェ破壊電圧を低下させる要因となる)ため、特にその密度を低減することが有効である。ここで、基板2の螺旋転位密度の上限を1cm−2としたのは、螺旋転位密度がこの値を超えると、耐圧が劣化する場合があるためである。
【0051】
上記半導体装置1において、基板2の螺旋転位密度は0.1cm−2以下であってもよい。この場合、半導体装置1の耐圧特性をより向上させることができる。ここで、基板2の螺旋転位密度のより好ましい上限を0.1cm−2としたのは、このようにすれば確実に耐圧の向上を実現できるからである。
【0052】
上記半導体装置1では、不純物層としてのp+領域25またはゲート領域36における第2導電型(p型)の導電性不純物濃度が4×1020cm−3以上5×1021cm−3以下であってもよい。この場合、不純物層に接触するようにオーミック電極としてのソース電極11またはコンタクト電極39を形成したときに、当該ソース電極11とp領域25との間、またはコンタクト電極39とゲート領域36との間の接触抵抗をより低減することができる。ここで、導電性不純物濃度のより好ましい下限を4×1020cm−3としたのは、接触抵抗をより低減できるから、という理由による。また、導電性不純物濃度のより好ましい上限を5×1021cm−3としたのは、これ以上導電性不純物を導入すると、不純物層の結晶性が低下し、炭化珪素半導体装置の特性が劣化するからである。
【0053】
上記半導体装置1において、不純物層(p+領域25)に接触するように形成されるオーミック電極(ソース電極11)と、基板2に接触するように形成される他のオーミック電極(ドレイン電極12)とを備えていてもよい。ソース電極11とドレイン電極12とは同じ材料により構成されてもよい。この場合、上記ソース電極11とドレイン電極12とを同じ材料を用いて形成できるので、当該ソース電極11およびドレイン電極12を同時または連続して形成することができる。このため、ソース電極11およびドレイン電極12を互いに異なる材料により構成する場合より、半導体装置1の製造プロセスを簡略化できる。
【0054】
上記半導体装置1において、ソース電極11およびドレイン電極12を構成する材料はニッケル(Ni)を含んでいてもよい。この場合、互いに導電型の異なる不純物層(p領域25)と基板2とにそれぞれ接触するソース電極11およびドレイン電極12を、ニッケルを含む材料により形成することで、同じ材料を用いて、不純物層(p領域25)と基板2との両方についてオーミック接触した電極(ソース電極11およびドレイン電極12)を形成することができる。
【0055】
上記半導体装置1において、ソース電極11およびドレイン電極12を構成する材料は、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とを含んでいてもよい。また、上記半導体装置1において、ソース電極11およびドレイン電極12を構成する材料はチタンとアルミニウムに加えてシリコン(Si)を含んでいてもよい。この場合、同じ材料を用いて、互いに導電型の異なる不純物層(p領域25)と基板2とにそれぞれオーミック接触する電極(ソース電極11およびドレイン電極12)を形成することができる。
【0056】
上記半導体装置1において、上記ソース電極11およびドレイン電極12、あるいはコンタクト電極39を構成する材料は、チタン、アルミニウム、シリコンの積層構造を用いてもよい。この場合、たとえばチタンの厚みを0nm以上40nm以下、アルミニウムの厚みを20nm以上100nm以下、シリコンの厚みを10nm以上50nm以下とすることができる。またより好ましくは、チタンの厚みを5nm以上30nm以下、アルミニウムの厚みを30nm以上70nm以下、シリコンの厚みを15nm以上35nm以下とすることができる。
【0057】
(実施例1)
本発明の効果を確認するため、以下のような実験を行なった。
【0058】
(試料)
発明例の試料:
図5は、実験のために作成した発明例の試料を示す断面模式図である。図5を参照して、実施例において作製した発明例の試料の構造を説明する。
【0059】
図5に示すように、発明例の試料である素子では、基板2の主表面上にバッファ層21を形成している。このバッファ層21上にはn-型層52が形成されている。このn-型層52上にはp型層53が形成されている。p型層53上にはp+型層54が形成されている。このp+型層54の上部表面上にはオーミック電極55が形成されている。オーミック電極55の上部表面上にはアルミニウムからなる電極56が形成されている。そして、オーミック電極55の端面から基板2の上部表面にまで到達するように、素子の側面上には酸化膜からなる絶縁膜57が形成されている。また、基板2の裏面(バッファ層51が形成された側の表面とは反対側の裏面)には裏面電極58が形成されている。
【0060】
基板2としては、炭化ケイ素からなり、(0001)面の<11−20>方向におけるオフ角度が8度となった基板を準備した。基板2の転位密度は1×10cm−2であった。また、バッファ層21におけるn型の導電性不純物の濃度は5×1017cm-3である。n型の導電性不純物としては窒素を用いた。また、バッファ層21の厚みは0.5μmとした。
【0061】
また、n-型層52における導電型がn型の導電性不純物の濃度は5×1015cm-3とし、その厚みは2.2μmとした。なお、n-型層52における導電型がn型の導電性不純物としては上述したバッファ層21と同様の元素を用いた。またp型層53およびp+型層54における導電性不純物の濃度プロファイルは図6に示すようになっている。ここで、図6は、図5に示した半導体装置のp+型層54およびp型層53における最表面からの深さ方向での導電性不純物の濃度分布を示すグラフである。
【0062】
図6を参照して、横軸はp+型層54の上部表面から基板2に向かう方向での深さ(単位:μm)を示しており、縦軸はp型を示す導電性不純物の濃度を示している。図6からもわかるように、p+型層54の厚みは約0.1μm程度であり、その導電性不純物濃度はおよそ3×1020cm-3程度である。また、p型層53は、その厚みがおよそ0.8μm程度であり、図6に示すような導電性不純物の濃度分布を有している。また、図5に示した半導体装置の平面形状は円形状であって直径が500μmである。
【0063】
比較例の試料:
比較例の試料として、構造は同様であるが、基板2における転位密度が1×104cm-2という基板を用いた。そして、他の構造は図5に示した発明例の試料と同様の構造とした。
【0064】
比較例2の試料:
比較例2の試料も、図5に示した半導体装置と同様の構造を備えるが、基板2における転位密度とp+型層54における導電性不純物の濃度が発明例の試料とは異なっている。具体的には、比較例2の半導体装置を構成する基板2における転位密度は1×104cm-2とした。また、p+型層54における導電性不純物の濃度を5×1019cm-3とした。
【0065】
(測定)
上述した発明例および比較例1、2の試料について、オーミック電極55とp+型層54との接触抵抗および形成した試料での逆方向の電流電圧特性を測定した。接触抵抗の測定方法としては、TLM(Transmission Line Model)法を用いた。また、逆方向の電流電圧特性の測定方法としては、カーブトレーサによる電流電圧特性測定という方法を用いた。
【0066】
(結果)
発明例の測定結果を図7に示す。図7は、本発明の発明例の試料についての逆方向電流電圧特性を示すグラフである。図7において縦軸は電流(μA)を示し、横軸が電圧(V)を示している。縦軸の1マスは10μAであり、横軸の1マスは100Vを示す。なお、図7のグラフにおいては、右上の角が原点となっている。
【0067】
図7からわかるように、発明例の試料においては約450V程度でアバランシェ破壊を示した。このデータは当該試料がほぼ理想耐圧を示したことを意味する。また、発明例の試料におけるオーミック電極55とp+型層54との接触抵抗は2×10-3Ωcm-2であった。
【0068】
次に、比較例1の測定結果を図8に示す。図8は、比較例1の試料についての逆方向電流電圧特性を示すグラフである。図8のグラフにおける縦軸および横軸は図7に示したグラフと同様である。ただし、図8の横軸においては、1マスが10Vを示している。図8からもわかるように、比較例1の試料では比較的低い電圧(ほぼ25V程度)からリーク電流が検出された。また、オーミック電極55の接触抵抗は2×10-3Ωcm-2であった。このオーミック電極の接触抵抗自体は、上述した発明例の試料におけるオーミック電極の接触抵抗とほぼ同等であった。
【0069】
比較例2の試料については、逆方向での電流電圧特性は比較例1の試料と同様であり、比較的低い電圧からリーク電流が検出された。さらに、比較例2の試料においては、オーミック電極の接触抵抗は2×10-2Ωcm-2と、実施例2や比較例1の試料よりも大きな接触抵抗を示していた。
【0070】
(実施例2)
本発明における基板の転位密度と耐圧との関係を確認するため、以下のような実験を行なった。
【0071】
(試料)
測定用の試料として、実施例1と同様に図5に示した構造の試料を準備した。なお、ここでは転位密度の異なる基板2(転位密度が1×10cm−2〜1×10cm−2に分布する8種類の基板)を用いて試料を作成した。なお、各試料ともp+型層54における導電性不純物の濃度を4×1020cm-3とした。他の構造は実施例1における試料と同様である。
【0072】
(測定)
実施例1と同様の方法により、各試料について逆方向の電流電圧特性を測定した。そして、流れた電流(リーク電流)が10μAを超えたときの電圧を耐圧と定義し、各試料について耐圧の値を決定した。
【0073】
(結果)
測定結果を図9に示す。図9は、実施例2における測定結果を示すグラフである。図9を参照して、横軸は各試料の基板の転位密度(単位:cm−2)を示し、縦軸は耐圧(単位:V)を示している。図9から分かるように、基板の転位密度が5×10cm−2程度以下であれば十分高い耐圧を示しているが、転位密度が1×10cm−2を超えると耐圧が50V以下と極めて低くなっていることがわかる。このため、基板の転位密度は5×10cm−2とすればよいことが分かる。
【0074】
(実施例3)
本発明における、オーミック電極が接触するように形成される不純物層の導電性不純物濃度とオーミック電極の接触抵抗との関係を確認するため、以下のような実験を行なった。
【0075】
(試料)
測定用の試料として、実施例1の発明例と同様に図5に示した構造の試料を準備した。なお、ここでは本発明の不純物層に対応するp+型層54の不純物濃度を変更した試料(p+型層54の不純物濃度が1×1019cm-3〜5×1020cm-3に分布する5種類の試料)を作成した。なお、他の構造は実施例1における発明例の試料と同様である。
【0076】
(測定)
実施例1と同様の方法により、各試料についてオーミック電極55とp+型層54との接触抵抗を測定した。
【0077】
(結果)
測定結果を図10に示す。図10は、実施例3における測定結果を示すグラフである。図10を参照して、横軸は各試料のp+型層の不純物濃度(単位:cm-3)を示し、縦軸は接触抵抗(接触抵抗率とも言う)(単位:Ωcm-2)を示している。
【0078】
図10から分かるように、p+型層54の不純物濃度が高くなれば接触抵抗が低減することが分かる。そして、接触抵抗の許容最大値を1×10−2Ωcm-2と規定すると、p+型層54の不純物濃度を1×1020cm−3以上とすることで、接触抵抗を許容範囲に収める(十分低い値とする)ことが可能であることがわかる。
【0079】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明による半導体装置の実施の形態1を示す断面模式図である。
【図2】図1に示した半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明による半導体装置の実施の形態2を示す断面模式図である。
【図4】図3に示した半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】実験のために作成した発明例の試料を示す断面模式図である。
【図6】図5に示した半導体装置のp+型層およびp型層における最表面からの深さ方向での導電性不純物の濃度分布を示すグラフである。
【図7】本発明の発明例の試料についての逆方向電流電圧特性を示すグラフである。
【図8】比較例1の試料についての逆方向電流電圧特性を示すグラフである。
【図9】実施例2における測定結果を示すグラフである。
【図10】実施例3における測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0081】
1 半導体装置、2 基板、10 ゲート電極、11 ソース電極、12 ドレイン電極、19 コンタクト電極、21,51 バッファ層、22 耐圧保持層、23 p領域、24 n領域、25 p領域、26,38 酸化膜、27 上部ソース電極、28 上部ゲート電極、29 上部ドレイン電極、32 第1のp型層、33 n型層、34 第2のp型層、34A 上部表面、35 ソース領域、36 ゲート領域、37 ドレイン領域、39 コンタクト電極、41 溝部、43 電位保持領域、52 n型層、53 p型層、54 p型層、55 オーミック電極、56 電極、57 絶縁膜、58 裏面電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなり、転位密度が5×10cm−2以下である第1導電型の基板と、
前記基板上に形成され、前記第1導電型とは異なる第2導電型の導電性不純物濃度が1×1020cm−3以上5×1021cm−3以下である不純物層とを備える、炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記基板の転位密度は1×10cm−2以下である、請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記基板の螺旋転位密度が1cm−2以下である、請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記基板の螺旋転位密度が0.1cm−2以下である、請求項3に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記不純物層における前記第2導電型の導電性不純物濃度が4×1020cm−3以上5×1021cm−3以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記不純物層に接触するように形成されるオーミック電極と、
前記基板に接触するように形成される他のオーミック電極とを備え、
前記オーミック電極と前記他のオーミック電極とは同じ材料により構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記オーミック電極と前記他のオーミック電極とを構成する材料はニッケルを含む、請求項6に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記オーミック電極と前記他のオーミック電極とを構成する材料は、チタンとアルミニウムとを含む、請求項6に記載の炭化珪素半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−87397(P2010−87397A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257280(P2008−257280)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【Fターム(参考)】