説明

物品配列検査方法および物品配列検査装置

【課題】整列状態にあることが要求される物品の列について、整列状態を乱す物品の位置ずれ、欠落、倒れなどの種々の整列不良を検出することを可能とする。
【解決手段】物品の列が整列状態にあるかどうかを検査する方法であって、準備工程では、整列状態にある物品a〜aの列Pに対しその物品の列を列方向の全幅にわたって切断するような帯状の光Rを照射して各物品a〜aの表面に各物品の輪郭に沿う光切断線Lを生成するとともに、その光切断線Lを撮像して基準となる画像を取得する。検査工程では、検査対象の物品b〜bの列Pに対し同じ帯状の光Rを照射するとともに、前記準備工程で撮像した光切断線の生成位置に対応する位置に生成された光切断線Lを撮像して検査対象画像を取得した後、その検査対象画像を前記基準となる画像と照合して、検査対象の物品b〜bの列Pが整列状態にあるかどうかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品の列が整列状態にあるかどうかを検査するための物品配列検査方法およびその装置であって、特にこの発明は、成形された多数個のびんを最終の包装工程まで搬送する際、コンベヤ上の複数列にわたるびんの列などが整列状態にあるかどうかを検査するのに用いられる物品配列検査方法および物品配列検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガラスびんを製造する製びん工場では、製びん機により成形されたガラスびんは、徐冷工程へ送られて冷却された後、検査工程へ送られてガラスびんに欠陥がないかどうかが検査される。欠陥がないと判断されたガラスびんは包装工程へ送られ、複数本のガラスびんが整列状態でカートンに詰め込まれたり、図17および図18に示すように、薄板状の基板9上に整列状態で密に並べられかつその状態のものが複数段に積み上げられて、その段積み状態で梱包されたりする。
【0003】
前記基板9上には、千鳥配列などの配列方法により複数本のガラスびん1が密に配列されるため、隣り合うガラスびん1,1が擦れ合って擦り傷を生じさせるおそれがあり、これを防止するのに、徐冷工程を経たコンベヤ上の全てのガラスびんの表面に「コールドエンドコーティング」と称されるびん同士の摩擦を低くするためのコーティング処理が施される。
【0004】
図19は、コーティング処理を行うためのコーティング剤の噴霧機構8を示している。同図中、10は徐冷後のガラスびん1を搬送するコンベヤであり、このコンベヤ10上において、複数個のガラスびん1が幅方向へ一直線状に並んでガラスびんの列Pを構成し、その列Pが一定間隔毎に多数列にわたって連なっている。
噴霧機構8は、コンベヤ10の上方位置に幅方向に配備されたガイドレール80と、ガイドレール80に沿って往復動する一対の噴霧ガン81,81とを備えたものであり、ガイドレール80をコンベヤ10の速度に合わせてコンベヤ10の走行方向(図中、矢印Zで示す)へ移動させつつ各噴霧ガン81を前後のガラスびん1の列P,Pの間を移動させ、各列Pのガラスびん1の表面にコーティング剤を噴霧する(例えば特許文献1参照)。
【0005】
各噴霧ガン81をいずれのガラスびん1にも衝突させずに移動させるには、各列Pを構成する複数個のガラスびん1が一直線上に整列した状態にあることが必要であり、そのために、噴霧機構8の設置位置の上流側に、ガラスびん1の列Pが整列状態にあるかどうかを検出するための光電センサ7が配置されている。この光電センサ7はコンベヤ10を挟んで対向する両側位置に投光器71および受光器72を設置して構成されており、ガラスびん1の列Pが、図20(1)に示すように、整列状態にあるときの受光器72の受光信号i(図21(1)に示す)を基準とし、受光器72の受光信号iのオン時間T1が基準値より小さいか、またはオフ時間T2が基準値より大きい場合には、ガラスびん1の列Pは不整列の状態にあると判断し、警報を発するなどして係員に知らされる。
【0006】
オン時間T1は投光器71からの光がいずれのガラスびん1にも遮られずに通過した時間長さを意味し、オフ時間T2は投光器71からの光がいずれかのガラスびん1により遮られた時間長さを意味する。図20(2)に示すように、ガラスびん1の列Pを構成するいずれかのガラスびん1Aが列Pからはみ出ていると、図21(2)に示すように、オン時間T1は短くなり、オフ時間T2は長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−279858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した光電センサ7においては、投光器71からの光がガラスびん1に当たったとき光が透過せずに確実に遮られるように、投光器71および受光器72を低い位置に設置し、光が肉厚の大きなびん底部に当たるようにしている。ところが、図20(3)に示すように、いずれかのガラスびん1Bが前列のガラスびん1に凭れ掛かっているような場合、投光器71からの光はそのガラスびん1に当たらず、オン時間T1およびオフ時間T2は基準値と差がなくなり(図21(3)参照)、その種の整列不良を検出することが困難である。
【0009】
また、包装工程では、基板9上に所定の個数のガラスびん1が整列状態に並べられて、その状態のまま段積みされるが(図17,18参照)、ガラスびん1が整列状態にあるかどうかは主として外周部に沿って目視により検査されている。この種の目視検査では、外周部に位置するガラスびん1が欠落していたり、はみ出ていたりすると、その発見は容易であるが、中心部ないしはその周辺部にガラスびんの欠落があった場合、それによって外周部の整列状態が崩れることがないため、ガラスびんの欠落が見逃されるおそれがある。
【0010】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、整列状態にあることが要求される物品の列について、整列状態を乱す物品の位置ずれ、欠落、倒れなどの種々の整列不良を容易に検出することができる物品配列検査方法および物品配列検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明による物品配列検査方法は、物品の列が整列状態にあるかどうかを検査する方法であって、整列状態にある物品の列に対しその物品の列を列方向の全幅にわたって切断するような帯状の光を照射して各物品の表面に物品の輪郭に沿う光切断線を生成するとともに、その光切断線を撮像して基準となる画像を取得する準備工程と、検査対象の物品の列に対し同じ帯状の光を照射するとともに、前記準備工程で撮像した光切断線の生成位置に対応する位置に生成された光切断線を撮像して検査対象画像を取得した後、その検査対象画像を前記基準となる画像と照合して、検査対象の物品の列が整列状態にあるかどうかを判別する検査工程とから成ることを特徴とするものである。
【0012】
この発明の上記した構成において、「物品」には、びん、缶などの容器や容器以外の種々の物品が含まれ、また、物品の材質も、ガラス製、合成樹脂製、金属製、木製、陶磁器製など、種々のものが含まれる。「帯状の光」は、例えば光源の前方にスリット板を配置するなどして生成されるもので、光源としてレーザダイオードのように指向性に優れたものを用いるのが望ましい。「光切断線」とは、帯状の光が物品の表面に照射されることにより生成される輝線のことであり、物品が帯状の光によって切断されているように見えることによって「光切断線」と呼んでいる。
【0013】
上記した物品配列検査方法によると、検査対象の物品の列が不整列の状態にあるとき、すなわち、物品の列を構成する物品のいずれかが欠落していたり、列からはみ出ていたり、両隣の物品のいずれかの方へ偏って位置していたり、隣の物品に凭れ掛かっていたり、倒れていたりすると、不整列の原因となっている物品の箇所に生成される光切断線が整列状態にあるときの光切断線と一致せず、したがって、検査対象画像が基準となる画像と違ったものとなるので、検査対象の物品の列は整列状態にないと判断する。
これに対して、検査対象の物品の列が整列状態にある場合は、物品の列を構成する全ての物品の箇所において光切断線が整列状態にあるときの光切断線と一致し、したがって、検査対象画像は基準となる画像と類似するので、検査対象の物品の列は整列状態にあると判断する。
【0014】
この発明の一実施態様においては、前記物品の列は、複数個のびん(例えば、ガラスびん)が一直線状に並んだびんの列であり、そのびんの列がコンベヤ上で複数列にわたっているものを検査対象とするものである。
この実施態様においては、前記準備工程では、コンベヤ上のびんの列が整列状態にあるものについて前記基準となる画像を取得し、前記検査工程では、各列について前記基準となる画像に対応する検査対象画像を順次取得するとともに、各検査対象画像を前記基準となる画像とそれぞれ照合して、検査対象の各物品の列が整列状態にあるかどうかを判別する。
【0015】
この発明の他の実施態様においては、前記物品の列は、複数個のびんが一直線状に並んだびんの列であり、例えば、基板上に複数本のガラスびんが所定の配列(例えば千鳥配列)で密に配列されたもののように、そのびんの列が基板上で複数列にわたっているものを検査対象とするものである。
この実施態様においては、前記準備工程では、基板上のびんの列が整列状態にあるものについて前記基準となる画像を取得し、前記検査工程では、各列について前記基準となる画像に対応する検査対象画像をそれぞれ取得するとともに、各検査対象画像を前記基準となる画像とそれぞれ照合して、検査対象の各物品の列が整列状態にあるかどうかを判別する。
【0016】
この発明による物品配列検査装置は、複数個のびんが一直線状に並ぶびんの列が複数列にわたって整列状態にあるかどうかを検査するものであって、びんの列に対しそのびんの列を列方向の全幅にわたって切断するような帯状の光を上方より照射して各びんの表面にびんの輪郭に沿う光切断線を生成するための投光装置と、投光装置により所定の位置に生成された光切断線を上方より撮像する撮像装置と、撮像装置より画像を取り込んでびんの列が整列状態にあるかどうかを判別するための処理を実行する画像処理装置と、前記判別結果を係員に報知するための警報装置とから成る。前記画像処理装置は、びんの列が整列状態にあるものについて前記撮像装置により光切断線を撮像して取得した基準となる画像を記憶する記憶手段と、検査対象のびんの列について列毎に前記撮像装置により光切断線を撮像して取得した検査対象画像を前記記憶手段に記憶された基準となる画像とそれぞれ照合し検査対象のびんの列が整列状態にあるかどうかを判別してその判別結果を前記警報装置へ出力する判別手段とを備えている。
【0017】
この発明の上記した構成において、検査対象が例えば基板上に複数個のびんが整列状態で配置されたもの、すなわち、びんの列が静止するものである場合、前記投光装置および撮像装置は、複数列にわたるびんの列の上方位置に、びんの列と直交する方向へ移動可能に設けられる。また、検査対象が例えばコンベヤ上にびんの列が多数列にわたって連続するもの、すなわち、びんの列が移動するものである場合、前記投光装置および撮像装置は、複数列にわたるびんの列の上方位置に固定して設けられる。
【0018】
上記した物品配列検査装置によりびんの列が複数列にわたって整列状態にあるかどうかを検査する場合、投光装置により検査対象の各列のびんの列に対しそのびんの列を列方向の全幅にわたって切断するような帯状の光を上方より順次照射して各びんの表面にびんの輪郭に沿う光切断線を生成し、各光切断線を撮像装置により上方よりそれぞれ撮像して検査対象画像を取得する。画像処理装置の記憶手段には、びんの列が整列状態にあるものについて前記撮像装置により光切断線を撮像して取得した基準となる画像が記憶されており、画像処理装置の判別手段は、検査対象の各列について取得した検査対象画像を記憶手段に記憶された基準となる画像とそれぞれ照合する。いずれかの列において、列を構成するびんのいずれかが欠落していたり、列から前後にはみ出ていたり、左右いずれかの方向に偏って位置していたり、隣のびんに凭れ掛かっていたり、倒れていたりすると、その不整列の原因となっているびんの箇所での光切断線は整列状態にあるときの光切断線と一致せず、したがって、検査対象画像は基準となる画像と違ったものとなるので、検査対象のびんの列は整列状態にないと判断し、その判断結果が警報装置により係員に報知される。
これに対して、検査対象のびんの列が整列状態にある場合は、びんの列を構成する全てのびんの箇所での光切断線が整列状態にあるときの光切断線と一致し、したがって、検査対象画像は基準となる画像と類似するので、画像処理装置の判別手段は検査対象のびんの列が整列状態にあると判断する。
【0019】
この発明による物品配列検査装置の上記した構成において、画像処理装置を構成する記憶手段や判別手段は、好ましくは、プログラムされたコンピュータにより実現するが、これに限らず、専用のハードウェア回路をもって実現することもできる。また、警報装置は係員の視覚や聴覚に訴えて整列不良を知らせるためのもので、警報ブザーや警報ランプの他、ディスプレイなども含まれる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によると、整列状態にあることが要求される物品の列について、整列状態を乱す物品の位置ずれ、欠落、倒れなどの種々の整列不良を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の物品配列検査方法の原理を示す説明図である。
【図2】この発明の第1実施例である物品配列検査装置の構成を示す説明図である。
【図3】ガラスびんの列に沿って生成された光切断線を示す斜視図である。
【図4】図3の光切断線を撮像して得られる画像を示す説明図である。
【図5】複数列にわたるガラスびんの列の具体例を示す平面図である。
【図6】図5の具体例について生成された光切断線を撮像して得られる画像を示す説明図である。
【図7】第1実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の第2実施例である物品配列検査装置の構成を示す説明図である。
【図9】基板上に整列状態で支持されたガラスびんを示す平面図である。
【図10】ガラスびんが欠落した部分を示す平面図である。
【図11】ガラスびんの欠落がない列およびガラスびんの欠落のある列についての光切断線を撮像して得られる画像を示す説明図である。
【図12】第2実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第1実施例の画像処理装置による準備工程での制御の流れを示すフローチャートである。
【図14】第1実施例の画像処理装置による検査工程での制御の流れを示すフローチャートである。
【図15】第2実施例の画像処理装置による準備工程での制御の流れを示すフローチャートである。
【図16】第2実施例の画像処理装置による検査工程での制御の流れを示すフローチャートである。
【図17】基板上にガラスびんが整列状態で並べられたものが段積みされた状態を示す正面図である。
【図18】基板上にガラスびんが整列状態で並べられたものの一部を省略して示す平面図である。
【図19】ガラスびんを搬送するコンベヤとコーティング剤の噴霧機構とを示す平面図である。
【図20】整列状態にあるガラスびんの列と不整列状態にあるガラスびんの列とを示す正面図である。
【図21】図20の整列状態および不整列状態にあるガラスびんの列についての受光器の受光信号を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1(1)(2)は、この発明の物品配列検査方法の原理を示している。同図中、a〜aおよびb〜bは円筒形状をなす物品であり、物品a〜aおよびb〜bがそれぞれ一列に並んで物品の列P,Pを構成している。図1(1)に示す全ての物品a〜aは一定の間隔で一直線状に並び、整列状態にある。図1(2)に示す物品b〜bのうち手前から2個目の物品bは列からはみ出て不整列の状態になっている。
【0023】
この発明による物品配列検査方法は、このような物品の列が整列状態にあるかどうかを検査するためのもので、準備工程と検査工程とを順次実施するものである。まず準備工程では、図1(1)に示すような整列状態にある物品a〜aの列Pに対しその物品a〜aの列Pを列方向の全幅Sにわたって切断するような帯状の光Rを照射し、各物品a〜aの表面に物品の輪郭に沿う光切断線Lを一連に生成するとともに、連なる光切断線Lを撮像して基準となる画像を取得する。なお、図中、2は投光装置であり、この投光装置2より扇状に広がる帯状の光Rが出射される。
【0024】
つぎに検査工程では、例えば、図1(2)に示すような不整列状態になっている可能性のある検査対象の物品b〜bの列Pに対し同じ帯状の光Rを照射し、前記準備工程で撮像した光切断線Lの生成位置に対応する位置、図示例では物品の列の一端縁tから半径rに相当する距離の位置に光切断線Lを一連に生成するとともに、連なる光切断線Lを撮像して検査対象画像を取得する。その検査対象画像は前記基準となる画像と照合され、検査対象の物品b〜bの列Pが整列状態にあるかどうかを判別する。
【0025】
図示例では、手前から2個目の物品bが列からはみ出ているので、他の物品b,b,bの部分での光切断線Lの形態が準備工程で生成された物品a,a,aの部分での光切断線Lの形態とは一致せず、したがって、検査対象画像と基準となる画像とは違ったものとなる。
【0026】
図2は、この発明の第1実施例である物品配列検査装置の概略構成を示している。
図示例の物品配列検査装置は、製びん装置で成形された多数個のガラスびん1を最終の包装工程まで搬送する際、徐冷工程を経たコンベヤ10上の複数列にわたるガラスびん1の列Pが整列状態にあるかどうかを、前記したコーティング剤の噴霧機構が設置された位置の上流側で検査するものである。
【0027】
図示例の物品配列検査装置は、コンベヤ10の上方に投光装置2および撮像装置3を下方に向けて設置されて成るものである。投光装置2は光源としてレーザダイオードのようなレーザ光源を含むものであり、コンベヤ10によって矢印Zの方向へ移動するガラスびん1の列Pに対しそのガラスびん1の列Pを列方向の全幅にわたって切断するような帯状の光Rを真下へ照射する。この帯状の光Rがガラスびん1の列Pに当たると、図3に示すように、各ガラスびん1の表面にガラスびん1の輪郭に沿う光切断線Lが生成される。なお、帯状の光Rは、隣り合うガラスびん1,1間ではコンベヤ10の上面に当たるので、光切断線Lはコンベヤ10の上面にも生成される。
【0028】
この一連に連なる光切断線Lは撮像装置3により斜め上方より撮像される。この撮像装置3で取得された画像は画像処理装置4に取り込まれ、ガラスびん1の列Pが整列状態にあるかどうかを判別するための処理が実行される。前記撮像装置3は、光切断線Lが全幅にわたって視野内に収まるように高さおよび向きが最適な状態に調整されており、この撮像装置3によって、図4に示すような、ガラスびん1の列Pの全幅にわたる光切断線の画像Gが取得される。
【0029】
コンベヤ10の両側方のコンベヤ10を挟んで対向する位置に、光電センサ7を構成する投光器71および受光器72が設置されている(図19参照)。受光器72の受光信号レベルは、ガラスびんの列Pを構成するいずれかのガラスびん1が光電センサ7の光路を遮ったときに立下るので、この立下りをガラスびん1が通過することを示す検出信号kとして画像処理装置4に取り込まれる。なお、光電センサ7は図19,20で説明したものと同様の構成のものである。
【0030】
この検出信号kは撮像装置3の撮像タイミングを決めるための基準となるもので、画像処理装置4は、前記検出信号kを入力した後、設定時間Tだけ遅れたタイミングでシャッター駆動信号jを撮像装置3へ出力する。このシャッター駆動信号jは、光切断線Lがガラスびん1の中心を通る位置に生成されるタイミングで出力される。前記設定時間Tは、コンベヤ10の速度をv、ガラスびん1の半径をr、光電センサ7の光路位置と帯状の光Rの照射位置との間の距離をdとすると、(d+r)/vにより求めることができる。なお、距離dは、d≧0であり、例えばd=0に設定する。図中、5は警報ブザー50および警報ランプ51よりなる警報装置であり、コンベヤ10上のガラスびん1の列Pが不整列の状態にあると判断されたときに鳴動および点灯動作して係員に報知する。
【0031】
図5は、1列がn個のガラスびん1a〜1nよりなる5列のガラスびんの列P〜Pを例示している。なお、図中、矢印Zはコンベヤによりガラスびんが搬送される方向である。図示例では、1列目、4列目、および5列目のガラスびんの列P,P,Pは一直線状に整列した状態にあるが、2列目のガラスびんの列Pは2番目のガラスびん1bが前方へはみ出し、3列目のガラスびんの列Pは3番目のガラスびん1cが倒れて特に底部が4列目のガラスびんの列Pに干渉している。
【0032】
1列目のガラスびんの列Pは整列状態にあるので、光電センサ7によりガラスびん1a〜1nのいずれかの前端縁が検出された後、前記の設定時間Tだけ遅れたタイミングで撮像装置3が撮像動作を行ったとき、全てのガラスびん1a〜1nの中心を通る光切断線Lが撮像され、図6(1)に示すような画像G1が取得される。なお、図中、rはガラスびんの半径を示す。
【0033】
2列目のガラスびんの列Pは不整列の状態にあり、2番目のガラスびん1bが搬送方向Zへはみ出ているので、光電センサ7により2番目のガラスびん1bの前端縁が検出された後、設定時間Tだけ遅れたタイミングで撮像装置3が撮像動作を行ったとき、2番目のガラスびん1bについてはその中心を通り、他のガラスびんについては中心から外れた位置を通る光切断線Lが撮像され、図6(2)に示すような画像G2が取得される。
【0034】
3列目のガラスびんの列Pも不整列の状態にあり、3番目のガラスびん1cが倒れて口部が前列の手前まで突出しているので、光電センサ7により3番目のガラスびん1cの口部が検出された後、設定時間Tだけ遅れたタイミングで撮像装置3が撮像動作を行うことになり、その結果、他のガラスびんの前方であって倒れた3番目のガラスびん1cの首部を通る光切断線Lが撮像され、図6(3)に示すような画像G3が取得される。
【0035】
4列目のガラスびんの列Pは整列状態にあるが、3列目の倒れたガラスびん1cの底部が4列目のガラスびんの列Pと干渉する位置まで突出しているので、4列目のガラスびんの列Pを切断するような光切断線は撮像されず、4列目のガラスびんの列Pについては整列状態にあるかどうかは判別できない。この場合、3列目のガラスびんの列Pについて整列不良が検出されて係員に報知されるので、係員は3列目の整列不良を是正する際に、4列目のガラスびんの列Pが整列状態にあるかどうかを確認することができるが、この種のガラスびんの転倒状態を光電センサ7の受光器72の受光出力などにより検出したとき4列目のガラスびんの列Pが整列状態にあるかどうかを問わず整列不良である旨を係員に報知して係員による目視確認を義務付けるようにしてもよい。なお、この種のガラスびんの転倒状態は、光電センサ7の受光器の受光信号が立ち下がった後、立ち上がるまでの時間を監視し、その立下り時間が所定の基準値(例えば、ガラスびんの列の前後の配列間隔をqとしたとき、(q+2r)/v)に達したかどうかにより検出することが可能である。
【0036】
5列目のガラスびんの列Pは整列状態にあるので、光電センサ7によりガラスびん1a〜1nのいずれかの前端縁が検出された後、設定時間Tだけ遅れたタイミングで撮像装置3が撮像動作を行ったとき、全てのガラスびん1a〜1nの中心を通る光切断線Lが撮像され、図6(1)に示すような画像G5が取得される。
【0037】
図7は、前記画像処理装置4の構成例を示している。図示例の画像処理装置4は、パーソナルコンピュータにより構成されており、制御、演算の主体であるCPU40、プログラムや画像などのデータが格納されるハードディスク41、プログラムやデータの読み書きに供されるメインメモリ42を含んでいる。CPU40にはI/Oポート43,44を介して投光装置2、光電センサ7、警報ブザー50、および警報ランプ51などが接続されている。光電センサ7の受光器72より得られる前記検出信号kはI/Oポート44を経てCPU40に取り込まれる。
【0038】
前記撮像装置3はUSBポートなどの取込デバイス45を介してCPU40に接続されている。撮像装置3は画像処理装置4の取込デバイス45より出力されるシャッター駆動信号jを受けて撮像動作し、その撮像により得られた濃淡画像データDは取込デバイス45から画像処理装置4に取り込まれる。撮像装置3は例えばCCDカメラであり、光切断線Lを撮像して得られる濃淡画像データDやその濃淡画像を2値化処理して得られる2値画像データは1画素単位で画像処理装置4のハードディスク41に記憶される。画像処理装置4には液晶などのディスプレイ6が接続され、このディスプレイ6に撮像装置2で撮像された画像や検査結果などが表示される。
【0039】
図8は、この発明の第2実施例である物品配列検査装置の概略構成を示している。この物品配列検査装置は、最終の包装工程において、図9に示すように、平面形状が矩形状の基板9上に多数個のガラスびん1が千鳥配列などの配列方法により密に並べられたものを検査対象としている。図9において、P,P,P,…Pは基板9上に千鳥配列された複数列(図示例ではm列)にわたるガラスびんの列である。
【0040】
図示例の物品配列検査装置は、検査対象が水平状態で位置決めされる所定の検査位置の上方に投光装置2および撮像装置3を下方に向けて設置して成るものである。投光装置2と撮像装置3とは矩形枠状の可動フレーム30に角度調整可能に支持されており、基板9の一方の端部91の上方位置から他方の端部92の上方位置に向けてガラスびんの各列P,P,P,…Pと直交して移動するものである。図8,9において、矢印Xは可動フレーム30の移動方向を示している。
【0041】
可動フレーム30の前後両側位置にはそれぞれガイドローラ31,31が上方へ突設されている。各ガイドローラ31は検査位置の上方に架設された左右のガイドレール32,32に移動可能に支持される。可動フレーム30は、図示しない減速機付のモータを駆動源とする駆動機構33を搭載しており、モータ駆動されるピニオンギヤ34が各ガイドレール32と平行に敷設されたラック35に噛み合っている。なお、ガイドレール32およびラック35は一定の高さ位置に固定して設けられるが、高さ調節が可能に上下移動可能としてもよい。また、駆動機構33はこの実施例のような構成のものに限定されるものではない。
【0042】
投光装置2は、基板9上のガラスびん1の各列P,P,P,…Pについて、ガラスびんの列を全幅にわたって切断するような帯状の光Rを真下へ照射する。この帯状の光Rは、可動フレーム30の移動にしたがってガラスびん1の列P,P,P,…Pに順々に当たり、各列のガラスびん1の表面にガラスびん1の輪郭に沿う光切断線Lが順次生成される。なお、帯状の光Rは、隣り合うガラスびん1,1間では基板9の上面に当たるので、光切断線Lは基板9の上面にも生成される。
【0043】
この一連に連なる光切断線Lは、各列毎に、撮像装置3により斜め上方より撮像される。この撮像装置3で取得された画像は画像処理装置4に取り込まれ、全ての列P,P,P,…Pについて、ガラスびん1の列が整列状態にあるかどうかを判別するための処理が実行される。撮像装置3は、光切断線Lが全幅にわたって視野内に収まるように高さおよび向きが調整され、各列P,P,P,…Pについて光切断線Lがガラスびん1の中心を通る位置(図9において点線で示す)に生成されるタイミングで撮像動作する。画像処理装置4は可動フレーム30が前後の列間隔に相当する距離だけ移動する毎にシャッター駆動信号jを撮像装置3へ出力する。なお、可動フレーム30の移動量は駆動源であるモータの回転数から容易に求めることができる。
【0044】
図10は、ガラスびんの欠落があるガラスびんの列P〜Pを例示している。図示例では、1列目、3列目、および4列目のガラスびんの列P,P,Pは一直線状に整列した状態にあるが、2列目のガラスびんの列Pにはガラスびんの欠落がある。
【0045】
1列目のガラスびんの列Pは整列状態にあるので、所定のタイミングで撮像装置3が撮像動作を行ったとき、全てのガラスびん1の中心を通る光切断線Lが撮像され、図11(1)に示すような画像G1が取得される。
【0046】
2列目のガラスびんの列Pは1個のガラスびんが欠落して不整列の状態にあるので、所定のタイミングで撮像装置3が撮像動作を行ったとき、ガラスびんの欠落部分では光切断線Lが基板9の上面に生成されることになるため、図6(2)に示すような画像G2が取得される。
【0047】
図12は、第2実施例における画像処理装置4の構成例を示している。図示例の画像処理装置4は、第1実施例と同様の構成であって、CPU40、ハードディスク41、メインメモリ42を含んでいる。CPU40にはI/Oポート43,44を介して投光装置2、駆動機構33、警報ブザー50、および警報ランプ51などが、USBポートなどの取込デバイス45を介して撮像装置3が、それぞれ接続されている。撮像装置3は画像処理装置4の取込デバイス45より所定のタイミングで出力されるシャッター駆動信号jを受けて撮像動作し、その撮像により得られた濃淡画像データDやその濃淡画像を2値化処理して得られる2値画像データは取込デバイス45から画像処理装置4に取り込まれてハードディスク41に記憶される。画像処理装置4にはディスプレイ6が接続され、このディスプレイ6に撮像装置2で撮像された画像や検査結果などが表示される。
【0048】
図13〜図16は、上記した画像処理装置4のCPU40による制御の流れを示している。同図中、「ST」は「STEP」の略であり、制御の流れにおける各手順を示している。
図13および図14は、コンベヤによって移動する複数列にわたるガラスびんの列が整列状態にあるかどうかを図2に示した物品配列検査装置により検査するための準備工程および検査工程での制御の流れである。
【0049】
図13に示す準備工程は、整列状態にあるコンベヤ10上のガラスびん1の列から基準となる画像を取得するためのもので、ST1でCPU40が投光装置2を点灯駆動すると、投光装置2はコンベヤ10の上面に向けてコンベヤ10の幅方向に沿う帯状の光Rを照射する。つぎのST2では、光電センサ7がガラスびん1の列を構成するいずれかのガラスびん1の前端縁を検知したかどうかを判定しており、CPU40が受光器72より検出信号kを入力したとき、ST2の判定が「YES」となり、CPU40が有する内部タイマが前記の設定時間Tの計時動作を開始する(ST3)。ガラスびん1の列が帯状の光Rの照射位置までコンベヤ10によって搬送され、さらに、ガラスびん1の中心が光切断線Lが生成される位置に到達したとき、タイマがタイムアップしてST4の判定が「YES」となり、CPU40はシャッター駆動信号jを撮像装置3へ送り、撮像装置3は光切断線Lを撮像する(ST5)。
【0050】
撮像装置3により取得された光切断線Lの濃淡画像データDは画像処理装置4に取り込まれ、光切断線Lの画像と背景の画像とを切り分けるために2値化処理などの所定の画像処理が実行された後、その2値画像が基準となる画像(以下「基準画像」という。)としてハードディスク41に記憶される(ST6,7)。そして、CPU40はST8で投光装置2を消灯し、準備工程を完了する。なお、この実施例では2値画像を基準画像および後述の検査対象画像に用いているが、濃淡画像をそのまま基準画像および検査対象画像に用いることも可能である。
【0051】
図14に示す検査工程は、整列不良のおそれがあるガラスびん1の列がコンベヤ10上で複数列にわたっているものを検査対象とするもので、ST1でCPU40が投光装置2を点灯駆動すると、投光装置2はコンベヤ10の上面に向けてコンベヤ10の幅方向に沿う帯状の光Rを照射する。つぎのST2では、光電センサ7が1列目のガラスびん1の列を構成するいずれかのガラスびん1の前端縁を検知したかどうかを判定しており、CPU40が受光器72より検出信号kを入力したとき、ST2の判定が「YES」となり、CPU40が有する内部タイマは設定時間Tの計時動作を開始する(ST3)。光電センサ7により検知された1列目のガラスびん1が帯状の光Rの照射位置までコンベヤ10によって搬送され、さらに、ガラスびん1の中心が光切断線Lが生成される位置に到達したとき、タイマがタイムアップしてST4の判定が「YES」となり、CPU40はシャッター駆動信号jを撮像装置3へ送り、撮像装置3は光切断線Lを撮像する(ST5)。
【0052】
撮像装置3により取得された光切断線Lの濃淡画像データDは画像処理装置4に取り込まれ、2値化処理などの所定の画像処理が実行された後、その2値画像が検査対象画像として取得され、ハードディスク41に記憶される(ST6)。つぎにCPU40は、その検査対象画像をハードディスク41に記憶されている基準画像と照合し、両者が一致するかどうかにより1列目のガラスびん1の列が整列状態にあるかどうかを判別する(ST7)。この実施例では、検査対象画像と基準画像との類似度合を正規化相互相関演算を実行することにより算出し、両者の類似度合を示す相関係数を所定のしきい値と比較することにより検査対象画像が基準画像に一致するかどうか、すなわち、ガラスびん1の列が整列状態にあるかどうかを判断している。
【0053】
検査対象画像が基準画像に一致すると判断されると、ST8の判定が「YES」であり、ST10を経てST2へ戻り、2列目のガラスびん1の列が光電センサ7の位置に到達するのに待機する。検査対象画像が基準画像に一致しないと判断されると、ST8の判定が「NO」であり、CPU40は警報装置5の警報ブザー50を鳴動させ、警報ランプ51を点灯させることで整列不良があることを係員に報知した後(ST9)、ST10からST2へ戻り、2列目のガラスびん1の列が光電センサ7の位置に達するのに待機する。
係員はST9の報知を受けてガラスびん1の整列不良を目視で確認してそれを是正する。
2列目以降についても同様の検査手順が実行され、全ての列についての検査が終了したとき、ST10の判定が「YES」となり、CPU40は投光装置2を消灯させて検査を完了する(ST11)。
【0054】
上記した一連の検査手順を実行することにより、ガラスびんの前後、左右の各方向の位置ずれ、ガラスびんの欠落、倒れ、凭れなどの種々の整列不良を確実に検出して係員に報知できる。これにより、係員は速やかに不整列の状態を手作業で是正でき、下流位置でのコーティング剤の噴霧作業に支障が生じるのを阻止できる。
【0055】
図15および図16は、基板上の複数列にわたるガラスびんの列、すなわち、静止状態のガラスびんの列が整列状態にあるかどうかを図8に示した物品配列検査装置により検査するための準備工程および検査工程での制御の流れを示している。
【0056】
図15に示す準備工程は、整列状態にある基板9上の複数列にわたるガラスびん1の列から列毎の基準画像を取得するためのもので、CPU40はST1で駆動機構33を駆動して可動フレーム30を初期位置に位置決めた後、つぎのST2で投光装置2を点灯駆動する。投光装置2は基板9上の1列目のガラスびん1の列に向けて幅方向に沿う帯状の光Rを照射し、ガラスびん1の中心を通る位置に光切断線Lを生成する。
【0057】
つぎのST3は、1列目のガラスびん1の列であるかどうかを判定しており、この場合、その判定は「YES」であるから、CPU40はシャッター駆動信号jを撮像装置3へ送り、撮像装置3は光切断線Lを撮像する(ST5)。撮像装置3により取得された光切断線Lの濃淡画像データDは画像処理装置4に取り込まれ、2値化処理などの所定の画像処理が実行された後、その2値画像が1列目のガラスびんの列についての基準画像としてハードディスク41に記憶される(ST6,7)。
【0058】
つぎのST8は最終列のガラスびん1の列であるかどうかを判定しており、この場合、その判定は「NO」であるから、CPU40は駆動機構33を動作させて可動フレーム30を移動させる(ST9)。ST4では可動フレーム30が前後の列間隔に相当する距離だけ移動したかどうか、すなわち、光切断線Lの位置が次列のガラスびん1の中心を通る位置に達したかどうかを判定しており、ST4の判定が「YES」であれば、ST4からST5へ進み、CPU40はシャッター駆動信号jを撮像装置3へ送り、撮像装置3は光切断線Lを撮像する(ST5)。撮像装置3により取得された光切断線Lの濃淡画像データDは画像処理装置4に取り込まれ、2値化処理などの所定の画像処理が実行された後、その2値画像が2列目のガラスびんの列についての基準画像としてハードディスク41に記憶される(ST6,7)。
【0059】
同様にして、全ての列についての基準画像が取得されると、ST8の判定が「YES」となり、CPU40は駆動機構33の動作を停止させ(ST10)、投光装置2を消灯して(ST11)、準備工程を完了する。
【0060】
図16に示す検査工程は、整列不良のおそれがあるガラスびん1の列が基板9上で複数列にわたっているものを検査対象とするもので、CPU40はST1で駆動機構33を駆動して可動フレーム30を初期位置に位置決めた後、つぎのST2で投光装置2を点灯駆動する。投光装置2は基板9の上面の1列目のガラスびん1の列に向けて幅方向に沿う帯状の光Rを照射し、ガラスびん1の中心を通る位置に光切断線Lを生成する。
【0061】
つぎのST3は、1列目のガラスびん1の列であるかどうかを判定しており、この場合、その判定は「YES」であるから、CPU40はシャッター駆動信号jを撮像装置3へ送り、撮像装置3は光切断線Lを撮像する(ST5)。撮像装置3により取得された光切断線Lの濃淡画像データDは画像処理装置4に取り込まれ、CPU40は2値化処理などの所定の画像処理を実行して1列目のガラスびんの列についての検査対象画像を取得し、ハードディスク41に記憶させる(ST6)。
【0062】
つぎにCPU40は、その検査対象画像をハードディスク41に記憶されている1列目のガラスびん1の列についての基準画像と照合し、両者が一致するかどうかにより1列目のガラスびん1の列が整列状態にあるかどうかを判別する(ST7)。この実施例では、検査対象画像と基準画像との類似度合を正規化相互相関演算を実行することにより算出し、両者の類似度合を示す相関係数を所定のしきい値と比較することにより検査対象画像が基準画像に一致するかどうか、すなわち、ガラスびん1の列が整列状態にあるかどうかを判断している。
【0063】
検査対象画像が基準画像に一致すると判断されると、ST8の判定が「YES」であり、ST8からST10へ進む。検査対象画像が基準画像に一致しないと判断されると、ST8の判定が「NO」であり、CPU40は警報装置5の警報ブザー50を鳴動させ、警報ランプ51を点灯させることで整列不良があることを係員に報知した後(ST9)、ST10へ進む。
【0064】
ST10は最終列のガラスびん1の列であるかどうかを判定しており、この場合、その判定は「NO」であるから、CPU40は駆動機構33を動作させて可動フレーム30を移動させ(ST11)、ST4で可動フレーム30が前後の列間隔に相当する距離だけ移動したかどうか、すなわち、光切断線Lの位置が次列のガラスびん1の列位置に達したかどうかを判定する。ST4の判定が「YES」であれば、ST4からST5へ進み、CPU40はシャッター駆動信号jを撮像装置3へ送り、撮像装置3は光切断線Lを撮像する(ST5)。撮像装置3により取得された光切断線Lの濃淡画像データDは画像処理装置4に取り込まれ、2値化処理などの所定の画像処理が実行されて2列目のガラスびんの列についての基準画像を取得しハードディスク41に記憶される(ST6)。
【0065】
つぎにCPU40は、その検査対象画像をハードディスク41に記憶されている2列目のガラスびん1の列についての基準画像と照合し、両者が一致するかどうかにより2列目のガラスびん1の列が整列状態にあるかどうかを判別する(ST7)。検査対象画像が基準画像に一致すると判断されると、ST8の判定が「YES」であり、ST8からST10へ進む。一方、検査対象画像が基準画像に一致しないと判断されると、ST8の判定が「NO」であり、CPU40は警報装置5の警報ブザー50を鳴動させ、警報ランプ51を点灯させることにより整列不良があることを係員に報知した後(ST9)、ST10へ進む。
【0066】
3列目以降についても同様の検査手順が実行され、全ての列についての検査が終了したとき、ST10の判定が「YES」となり、CPU40は駆動機構33の動作を停止させ(ST12)、投光装置2を消灯して(ST13)、検査工程を完了する。
【0067】
上記した一連の検査手順を実行することにより、ガラスびんの欠落などの整列不良を確実に検出して係員に報知できる。これにより、係員は速やかにガラスびんの補充など、不整列の状態を手作業で是正できる。
なお、上記の各実施例において、全ての検査対象画像をその撮像時間をタグとして画像処理装置4のハードディスク41に記憶させて保管することで、過去にわたって画像の確認が可能となり、トレーサビリティが保証される。
【符号の説明】
【0068】
1 ガラスびん
2 投光装置
3 撮像装置
4 画像処理装置
5 警報装置
9 基板
10 コンベヤ
33 駆動機構
40 CPU
41 ハードディスク
P ガラスびんの列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の列が整列状態にあるかどうかを検査する方法であって、整列状態にある物品の列に対しその物品の列を列方向の全幅にわたって切断するような帯状の光を照射して各物品の表面に物品の輪郭に沿う光切断線を生成するとともに、その光切断線を撮像して基準となる画像を取得する準備工程と、検査対象の物品の列に対し同じ帯状の光を照射するとともに、前記準備工程で撮像した光切断線の生成位置に対応する位置に生成された光切断線を撮像して検査対象画像を取得した後、その検査対象画像を前記基準となる画像と照合して、検査対象の物品の列が整列状態にあるかどうかを判別する検査工程とから成ることを特徴とする物品配列検査方法。
【請求項2】
前記物品の列は、複数個のびんが一直線状に並んだびんの列であり、そのびんの列がコンベヤ上で複数列にわたっているものを検査対象とする請求項1に記載された物品配列検査方法であって、
前記準備工程では、コンベヤ上のびんの列が整列状態にあるものについて前記基準となる画像を取得し、前記検査工程では、各列について前記検査対象画像を順次取得するとともに、各検査対象画像を前記基準となる画像とそれぞれ照合して、検査対象の各物品の列が整列状態にあるかどうかを判別することを特徴とする物品配列検査方法。
【請求項3】
前記物品の列は、複数個のびんが一直線状に並んだびんの列であり、そのびんの列が基板上で複数列にわたっているものを検査対象とする請求項1に記載された物品配列検査方法であって、
前記準備工程では、基板上のびんの列が整列状態にあるものについて前記基準となる画像を取得し、前記検査工程では、各列について前記検査対象画像をそれぞれ取得するとともに、各検査対象画像を前記基準となる画像とそれぞれ照合して、検査対象の各物品の列が整列状態にあるかどうかを判別することを特徴とする物品配列検査方法。
【請求項4】
複数個のびんが一直線状に並ぶびんの列が複数列にわたって整列状態にあるかどうかを検査する装置であって、びんの列に対しそのびんの列を列方向の全幅にわたって切断するような帯状の光を上方より照射して各びんの表面にびんの輪郭に沿う光切断線を生成するための投光装置と、投光装置により所定の位置に生成された光切断線を上方より撮像する撮像装置と、撮像装置より画像を取り込んでびんの列が整列状態にあるかどうかを判別するための処理を実行する画像処理装置と、前記判別結果を係員に報知するための警報装置とから成り、前記画像処理装置は、びんの列が整列状態にあるものについて前記撮像装置により光切断線を撮像して取得した基準となる画像を記憶する記憶手段と、検査対象のびんの列について列毎に前記撮像装置により光切断線を撮像して取得した検査対象画像を前記記憶手段に記憶された基準となる画像とそれぞれ照合し検査対象のびんの列が整列状態にあるかどうかを判別してその判別結果を前記警報装置へ出力する判別手段とを備えて成る物品配列検査装置。
【請求項5】
前記投光装置および撮像装置は、複数列にわたるびんの列の上方位置に、びんの列と直交する方向へ移動可能に設けられている請求項4に記載された物品配列検査装置。
【請求項6】
前記投光装置および撮像装置は、複数列にわたるびんの列の上方位置に固定して設けられている請求項4に記載された物品配列検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−113728(P2013−113728A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260497(P2011−260497)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】