説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】トナーの劣化状態を静電潜像担持体上の画像濃度又はこれから検出する転写率を高感度、低コストで検出し、検出した情報に基づいて劣化トナーの処理を実施することにより、廃棄トナーを低減し、良好な画像が得られる画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】所定の基準電界で転写された画像の画像濃度を検出する第一の検出工程と、該基準電界よりも低い電界又は高い電界で転写された画像の画像濃度を検出する第二の検出工程とを有し、前記第一の検出工程及び第二の検出工程の後、各々の検出工程で検出された画像濃度に基づいて、劣化トナーを処理する処理工程を実施する画像形成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、電子写真方式には多様な方法が知られており、一般的には像担持体表面を帯電させ、帯電させた像担持体を露光して静電潜像を形成する。次いで、静電潜像にトナーを現像し、像担持体上にトナー像を形成する。さらに、転写体となる中間転写体を介して、または、直接的に像担持体上のトナー像を転写体となる記録材上に転写し、この転写されたトナー像を加熱、圧力もしくはこれらの併用によって定着することにより、記録材上に画像が形成された記録物が得られる。なお、トナー像転写後の像担持体上に残ったトナーは、ブレード、ブラシ、ローラ等の既知の方法によりクリーニングされる。
近年の電子写真技術の動向として、カラー画像出力の高速化が要求されている。カラー画像の出力を高速化するために、複数の像担持体と現像装置を用いて、各像担持体上に形成したカラートナー画像を、中間転写体を介して、または直接的に記録材上に転写するタンデム型の電子写真方式が用いられている。特に、中間転写体を用いた転写方式は、記録材の搬送が簡単であり、多様な記録材を使用できる利点が有るため様々な画像形成装置に採用されている。
また、更なる高速化を実現するためにプロセス速度を高速化する傾向があり、トナーが装置内で受けるストレスが増大している。トナーに対するストレスが増大すると、帯電性が変化したり、トナー表面に付着している外添剤がトナー中に埋もれて流動性が低下する等、トナーが劣化する速度が速くなる。トナー劣化を抑制する手段としては、外添剤の粒径を大きくしてトナー中に埋もれにくくする等の対策が行われているが、外添剤の粒径が大きいとトナーから分離しやすくなり、像担持体を傷つけやすい等の副作用もあり、トナー劣化を抑制するのは困難である。
さらに、トナーが劣化すると、トナー帯電量、帯電量分布、トナー流動性が変化し、地かぶり、画像濃度低下などの異常画像が発生することが多くなる。したがって、画像形成装置を稼働させるには、少なくとも、これらの異常画像の発生を防止しなければならない。
【0002】
特許文献1では、トナーが劣化することを前提として、一定の画像出力毎に、劣化したトナーを強制的に現像し、クリーニングによって回収する対策が提示されている。しかし、一定の画像出力毎にトナーを強制消費すると、大量の廃棄トナーが生じてしまう。
したがって、廃棄トナー量を低減するには、トナーの劣化状態を検出し、検出情報に基づいて劣化トナーを効率的に処理することが有効である。このために、トナーの劣化状態を検出する手段は様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献2では、現像トナー層の電位を検出し、電位の変動からトナーの劣化程度を判断している。また、現像トナー層の画像濃度を検出する例や、画像濃度検出と現像剤のトナー濃度検出等を組み合わせてトナーや現像剤の劣化を判断している例がある。特許文献3では、現像剤の劣化によって正規の帯電極性と逆の帯電極性のトナーが増加することにより生じる非画像部へのトナー付着(カブリ現象)を顕在化する方法として、現像バイアス、または/及び転写バイアスを制御して、記録媒体または中間転写体上に縞模様を顕在化させてカブリを検出している。特許文献4では、現像トナー層の画像濃度を検出し、検出結果に基づいて現像能力を可変できる可変手段を制御し、画像品質の劣化を抑制している。特許文献5では、ハーフトーンパッチを出力して濃度を検知し、入力データと出力濃度との関係を求めた結果から劣化したトナーを強制排出し、新トナーの補給してトナー濃度を制御することにより、現像剤の帯電効率を安定化している。特許文献6では、光学式トナー濃度センサと透磁率センサとにより検出された測定値に基づき、誤差無く現像剤の劣化度合を判定し、画像形成条件を変化、または現像器内の現像剤を入れ替えることにより、安定した画像を形成している。上記の例は、いずれも現像トナー層に関する検出方法で、現像特性の変化を検出している。現像特性はキャリア等のトナーへの帯電付与部材の帯電性やトナーの帯電性及び流動性等の粉体特性の影響を受けるが、特にトナー帯電量変化の影響が大きく、トナーの流動性等、粉体特性変化の検出に対する感度が低い。
【0003】
一方、転写後の画像濃度を検出して、トナー劣化を検出する手段が提案されている。特許文献7では、基準トナー像を一定の転写条件で転写媒体に転写して転写残トナー量を検出、または通常とは逆の転写条件で転写媒体に転写した場合の転写残トナー量を検出し、現像機内のトナーの逆帯電成分量を特定して、現像条件の変更または現像剤の交換を実施している。しかし、現像量や転写率はトナーの帯電量や粉体特性によって変化するため、一定の現像条件及び転写条件で転写残トナー量を検出しても、環境によって帯電量が変化したのか、耐久による劣化によって帯電量や粉体特性が変化したのかが判別できない。
また、特許文献8では、現像量と転写量、または現像量と転写残トナー量を一つの画像濃度センサで検出して転写率を求め、劣化によりトナー特性が変化した場合に、転写率が適正範囲となるように転写条件を制御している。しかし、現像量と転写量を検出する際には、両面印刷モードにして、一度記録材に転写し、再度現像して現像量を検出し、次に反転した記録材の印刷面の転写量を検出しているため、中間転写体上に転写する場合には適用できない。また、現像量と転写残トナー量を検出する際には、現像後に転写せずに現像量を検出し、再度現像して転写後に転写残トナー量を検出する必要があり、現像量検出に使用したトナーは廃棄されるので、廃棄トナー量が増える。また、現像量を検出する際に転写領域を通過後の付着量を検出するため、中間転写体を使用する場合は現像層が中間転写体と接触して現像層の一部が中間転写体に付着してしまい、正確な現像量が検出できない。転写特性はトナーと部材間の付着力の影響が大きく、現像特性に比べて劣化による粉体特性変化の検出に対する感度が高いが、前記のように転写特性を検出する際に現像量と転写量または転写残トナー量を検出する必要があり、検出手段を複数設けるためにコストが増加するか、検出手段は増やさないが検出できる構成が限定されるという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】特開平09−34243号公報
【特許文献2】特開平8−123263号公報
【特許文献3】特開2005−62858号公報
【特許文献4】特開2004−239978号公報
【特許文献5】特開2007−206496号公報
【特許文献6】特開2004−170660号公報
【特許文献7】特開2003−207958号公報
【特許文献8】特開平7−92753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、中間転写体を使用する画像形成装置において、粉体特性を含めたトナー劣化状態を高感度、低コストで検出し、検出した情報に基づいてトナーの劣化状態を判断し、吐き出し等の処理を実施することにより、廃棄トナー量を低減し、良好な画像が得られる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像にトナー像を形成する現像工程と、該静電潜像担持体と中間転写体との間に電界を形成して該トナー像を中間転写体に転写する転写工程とを有する画像形成方法において、所定の基準電界で転写された画像の画像濃度を検出する第一の検出工程と、該基準電界よりも低い電界又は高い電界で転写された画像の画像濃度を検出する第二の検出工程とを有し、前記第一の検出工程及び第二の検出工程の後、各々の検出工程で検出された画像濃度に基づいて、劣化トナーを処理する処理工程を実施することを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記第一及び第二の検出工程は、前記静電潜像担持体上の画像の画像濃度を検出することを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記所定の基準電界は、転写率が最大となる電界であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記処理工程は、現像装置内の劣化トナーを前記静電潜像担持体上に移行させることを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との比と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をすることを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との差と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をすることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記第一及び第二の検出工程は、前記中間転写体上の画像の画像濃度を検出することを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記所定の基準電界は、転写率が最大となる電界であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記処理工程は、現像装置内の劣化トナーを前記静電潜像担持体上に移行させることを特徴とする法。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との比と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をすることを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との差と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成方法は、さらに、前記第二の検出工程で、複数の電界で転写した画像の画像濃度を検出することを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、該静電潜像担持体と中間転写体との間の電界を電流により制御することを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、該静電潜像担持体と中間転写体との間の電界を電圧により制御することを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、さらに、静電潜像形成手段と、該静電潜像にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を中間転写体に転写する転写手段とを有する画像形成ユニットを複数備えてカラー画像を形成する画像形成方法であって、前記第一の検出工程と前記第二の検出工程を、各画像形成ユニットでの画像濃度を検出することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、潜像を形成する静電潜像担持体と、静電潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電装置と、帯電した静電潜像担持体表面に露光し潜像を書き込む露光装置と、静電潜像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し可視像化する現像装置と、静電潜像担持体表面の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置と、静電潜像担持体表面の可視像を直接又は中間転写体に転写した後に記録媒体に転写する転写装置と、記録媒体上のトナー像を定着させる定着装置とを備える画像形成装置において、上記いずれか1つに記載の画像形成方法を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記課題を解決する手段としての画像形成方法では、一定の現像されたトナー量に対する転写率が最大となる基準電界の近傍で転写した後の転写残トナー又は転写トナーの画像濃度とこの基準電界よりも低い、または基準電界よりも高い1つ以上の転写電界で転写した後の転写残トナー又は転写トナーの画像濃度を検出し、これらの画像濃度を用いることにより、トナー劣化状態を感度よく検出することが可能で、検出した情報に基づいて劣化トナーを効率的に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、この発明の画像形成方法を実施する画像形成装置を示す全体構成図であり、ここではその一例としてカラー画像形成装置を示している。このカラー画像形成装置1は中間転写ベルト11を用いたタンデム型の電子写真装置であり、最下部に給紙テーブル2を、その上方に画像形成装置本体1を、さらにその上部にスキャナ3及び原稿自動給送装置(ADF)4をそれぞれ設けてある。
発明の画像形成方法は、図1に示す画像形成装置1によって、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、定着工程等が行われる。以下に、そのための画像形成装置1の構成について詳述する。
画像形成装置本体1には、ほぼ中央に無端状の中間転写ベルト11を備えた転写装置9が設けてあり、中間転写ベルト11は駆動ローラ14と従動ローラ15、16により張架され、回転駆動される。従動ローラ15の左方には、図示しないベルトクリーニング装置により、画像転写後その表面に残留する残留トナーが除去されて次の画像形成に備えられる。
駆動ローラ14と従動ローラ15との間に架け渡された直線状の中間転写ベルト11の上方には、その移動方向に沿って、感光体5Y、5C、5M、5K(以下、色を特定する必要がない場合には単に感光体5という)を、回転可能に設けてあり、その周りには現像装置7、帯電装置6、感光体クリーニング装置8を設けてある。これらを一つのユニットとして画像形成ユニット10を形成する。この画像形成ユニット10の現像装置7によって現像工程が行われる。
また、感光体5には、レーザ光を照射する公知の露光装置21が設けられている。この露光装置21で静電潜像形成工程が行われる。
一次転写手段を構成する一次転写ローラ9Y、9C、9M、9Kが設けてある。この感光体5の近傍には、画像濃度検出手段29がそれぞれ設けられている。さらに、感光体5の周りには、そのほかに図示しない除電装置、潤滑剤塗布装置をそれぞれ設けてあり、これらは1つの画像形成部10を構成している。
一方、中間転写ベルト11の下側には二次転写手段を構成する二次転写装置22を設けてある。この二次転写装置22が中間転写ベルト11を介して従動ローラ16に圧接するようになっている。そして、この二次転写装置22が中間転写ベルト11との間に送り込まれる記録媒体として用紙Pに、中間転写ベルト11上のトナー画像を一括転写する。
二次転写装置22の用紙搬送方向下流側には、用紙P上に形成されたトナー画像を無端状の定着ベルトに加圧ローラで加熱・圧接する定着装置25が設けられている。画像転写後の用紙Pは、一対のローラ23、23間に架け渡された無端状の搬送ベルト24によって定着装置25へ搬送される。なお、この二次転写装置22は転写ローラや非接触のチャージャを用いた転写方式であっても差し支えない。この中間転写ベルト11を含む転写装置9で転写工程が行われる。
そして、この二次転写装置22の下側には、用紙表裏両面に画像を形成する際に用紙Pを反転させる用紙反転装置28を設けてある。
【0013】
上記のような構成からなるカラー画像形成装置1でカラーのコピーをとるときは、通常、原稿自動給送装置4の原稿台30上に原稿をセットするが、手動で原稿をセットする場合には、原稿自動給送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、この原稿を原稿自動給送装置4を閉じることによりコンタクトガラス32へ押圧する。
次に、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動給送装置4に原稿をセットしたときは原稿が自動でコンタクトガラス32上に給送され、手動でコンタクトガラス32上にセットしたときは直ちにスキャナ3が作動し、第一走行体33及び第二走行体34が走行を開始する。これにより、第一走行体33の光源からの光が原稿に向けて照射され、さらに第二走行体34の一対のミラーにより180度方向を変えて結象レンズ35を通り読取りセンサ36に入射して原稿の内容が読取られる。
また、上述したスタートスイッチの押下により、中間転写ベルト11が回動を開始すると同時に各感光体5Y、5C、5M、5Kも回動を開始してそれぞれの感光体上にイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各単色画像を形成する。このようにして各感光体上に形成された各単色画像は、図1で時計回り方向に回動する中間転写ベルト11上に重ね合わせて順次転写されてフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0014】
一方、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、給紙ユニット43内の選択された給紙トレイ44から用紙Pが繰り出され、分離ローラ45により一枚に分離されて搬送ガイド板48に搬送される。繰り出された用紙Pは搬送ローラ47により複写機本体1に搬送され、レジストローラ49に当接して一旦停止状態になる。レジストローラ49は中間転写ベルト11上のカラー画像に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、停止状態にあった用紙Pを中間転写ベルト11と二次転写ローラ22との間に送り込み、用紙P上に上記の二次転写装置22によりカラー画像を転写する。カラー画像が転写された用紙Pは、搬送機能も有する二次転写装置22により、定着装置25へ搬送され、加熱・加圧されて転写画像が定着される。この定着装置25によって定着工程が行われる。
その後、排出側に案内され、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出されてスタックされる。
なお、両面コピーモードが選択されている場合には、表面に画像を形成した用紙Pは用紙反転装置28側に搬送され、反転して再び2次転写位置22へ導かれ、裏面に画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ上に排出されてスタックされる。また、ブラック単色画像を中間転写ベルト11上に形成する場合には、駆動ローラ14以外の従動ローラ15、16を移動させてイエロー、シアン、マゼンタの感光体5Y、5C、5Mを中間転写ベルト11から離間させるようにしている。なお、図1に示したタンデム型でなく、感光体5が一つしかない所謂1ドラム型の画像形成装置1にあっては、ファーストコピー速度を早くするために、最初に黒色を作像するのが一般的であり、その後原稿がカラーの場合のみ残りの色の作像を行うようにしている。
【0015】
本発明の画像形成方法が用いられる画像形成装置1では、感光体5上の静電潜像からトナー像の可視像を形成する際に必要な露光装置6、現像装置7、転写装置9を用い、さらに、転写後の感光体5上の画像濃度を測定する画像濃度検出手段29を用いることでトナーの劣化状態を検出し、判断する。
本実施形態に用いる画像濃度検出手段29は、転写装置9と感光体クリーニング装置8の間に設置され、転写後の感光体5上の転写残トナー画像の画像濃度を検出する。
また、感光体5ではなく、中間転写ベルト11の近傍に画像濃度検出手段29を設けることで、中間転写ベルト11上の転写トナー画像の画像濃度を検出してもよい。
図2は、この発明の画像形成方法を実施する画像形成装置を示す部分構成図であり、画像濃度検出手段を中間転写体近傍に配置している。
画像濃度検出手段29は、公知の様々なセンサを用いることができる。例えば、トナー濃度を測定する光センサーが用いられる。この光センサは、発光素子、受光素子を内蔵していて、感光体5の表面と感光体5上のトナーとの反射光量を比較する。光センサによる反射光量の比較によって、付着したトナーの画像濃度を検出することができる。
その他に、付着したトナー量、画像濃度を検出するための手段としては、トナー画像の帯電電位を検出する方法があるが、帯電電位は環境条件等によるトナー帯電量の変動の影響を受けやすいため、画像濃度の検出が有効である。
【0016】
図3は、転写電界と転写率との関係を示すグラフである。ここで、転写率は以下のように測定する。
感光体5上にベタ画像を現像し、一次転写の途中でプロセスを止め、感光体5を画像形成装置1から取り出し、転写前の感光体上トナー重量を検出して単位面積当たりの現像されたトナー量(M/A)Dを求め、かつ転写後の感光体5上トナー重量を検出して単位面積当たりの転写残トナー量(M/A)NTを求める。(M/A)D及び(M/A)NTは、感光体に付着したトナーを真空ポンプによって吸引し、ポンプと吸引口の間に設置したフィルターに付着したトナーの重量Mを検出し、トナーの吸引面積AからM/Aを求めるサックイン法で検出した。転写率は、(M/A)D及び(M/A)NTを用いて下記式(1)から計算して求めた。式(1)の分子は単位面積当たりの転写されたトナー量に対応する。
転写率=100×((M/A)D−(M/A)NT)/(M/A)D……式(1)
転写率の検出方法としては、前記の方法以外にも、感光体5上の現像されたトナー量と中間転写ベルト11上の転写されたトナー量から求める方法、感光体5上の転写残トナー量と中間転写ベルト11上の転写されたトナー量から求める方法がある。
図3の実線に示すように、転写率は転写電界の増大と共に増加して飽和し、一定の電界以上では放電の影響で低下する傾向にある。トナーが劣化すると転写効率が低下するために、転写率の転写電界依存性が図3の破線のように変化する。図3に示すように、トナーの劣化によって転写率が低下するが、転写率の低下する程度が転写電界によって異なることがわかる。転写率が最大となる基準電界における転写率の低下は比較的小さいが、転写率が最大となる基準電界よりも低電界または高電界での転写率の低下は大きい。この知見により、転写率が最大となる基準電界よりも低電界または高電界での転写率低下の大きさによってトナーの劣化状態を高感度に検出できることを見出した。トナー劣化状態の検出に用いる転写電界としては、できるだけ転写率低下の程度が大きい転写電界を選択する必要がある。
なお、ここでは、最も大きい転写率となる電界を基準電界と称する。本発明の画像形成方法としては、この転写率が最大となる転写電界を「基準電界」とする。「所定の基準電界」が、厳密に定めることは困難である。したがって、実際には、この基準電界近傍又は一定の範囲であれば良く、いいかえれば転写率が極端に低下しない範囲であれば良い。
【0017】
転写率を検出するには、前記のように、現像されたトナー量と転写残トナー量、現像されたトナー量と転写されたトナー量、転写されたトナー量と転写残トナー量のいずれかを検出するため、各画像形成ユニット10についてそれぞれ二つの検出手段が必要でコストが増えてしまう。しかし、式(1)より、現像されたトナー量(M/A)Dを一定にすれば、転写残トナー量(M/A)NT、または、中間転写ベルト11上の転写されたトナー量(=((M/A)D−(M/A)NT)のいずれかを検出すれば転写率を検出できるので、この場合は画像濃度検出手段29が1つで足りることで、2つの画像濃度検出手段29を設置するよりも低コストになる。
また、現像剤の状態及び現像条件が同じであれば感光体5上の現像されたトナー量は一定になるが、環境条件や現像剤の劣化等により現像剤の状態が変化すると、現像条件が同じでも現像されたトナー量は変動する。現像されたトナー量が変化すると、転写率が同じでも転写残トナー量又は転写トナー量は変化してしまうため、転写残トナー量又は転写トナー量の変化が現像されたトナー量の変化なのか、転写率の変化なのかを区別することができない。転写せずに感光体上トナー量を検出することにより、現像されたトナー量を検出することもできるが、未転写トナーの画像濃度検出は、トナーを無駄に消費することになり、トナー廃棄量が増えてしまう。このため、現像されたトナー量が変動してもトナーの劣化による転写率の低下を評価できるようにする必要がある。現像されたトナー量が変化しても、転写率が変化していなければ、転写残トナー量又は転写トナー量と転写電界の関係は転写残トナー量又は転写トナー量の絶対値が変わるだけで相対的には変わらない。そこで、トナー量を画像濃度検出手段29を用いて画像濃度として検出し、その場合に基準電界又はその近傍における転写残トナー量と一定の転写電界、例えば、基準電界より小さい転写電界又は大きい転写電界における転写残トナー量の差又は比で評価すれば、現像されたトナー量が変化しても、劣化による転写率の低下を評価できることを見出した。基準電界としては、比較的劣化による変化が小さい転写率が最大となる転写電界とした。
【0018】
転写電界の制御は、電流を一定にする定電流制御と電圧を一定にする定電圧制御があり、それぞれメリットがある。定電流制御は環境変動等により転写部材の抵抗が変化しても一定の転写電界となり、定電圧制御は画像面積の違いによる転写電界の変動が少ない。本発明のトナー劣化状態検出手段に用いる電界の制御としては、電流制御でも良く、電圧制御でも良い。本実施例では定電流制御を用いた。
図4は、トナーの劣化状態のレベルにおける転写電流と転写残トナーの画像濃度との関係を示すグラフである。図4を用いてトナー劣化状態の検出方法について説明する。画像形成装置1で、転写する場合、まず劣化していない初期の現像剤を用いて様々な転写電流における転写残トナーの画像濃度を画像濃度センサ29で検出し、転写残トナーの画像濃度と転写電流との関係を求める。また、初期の現像剤を用いた場合の様々な画像評価を実施する。
同様にして、劣化状態の異なる現像剤について、転写残トナーの画像濃度と転写電流との関係を求め、様々な画像評価を実施する。なお、色によってトナーの特性が異なる場合があるため、上記の評価は各色のトナーについて実施する必要がある。
転写残トナーの画像濃度と転写電流の関係と画像評価から、使用しているトナーの、初期のレベル、使用可能なレベル、使用上の問題のないレベル、交換すべきレベル、使用不可なレベルという状態にあることを判断することができる。
【0019】
したがって、本発明の画像形成方法では、所定の基準電流で転写された画像の画像濃度を検出する第一の検出工程と、基準電流よりも低い電流又は高い電流で転写された画像の画像濃度を検出する第二の検出工程とから、各々の検出工程で検出された画像濃度に基づいて、劣化トナーの状況を判断し、劣化トナーを処理する処理工程を実施することが可能である。
図4に示すように、トナーの各劣化状態における転写残トナーの画像濃度と転写電流との関係から、トナー劣化状態の検出の際に用いる転写残トナーの画像濃度が最小となる転写電流I0と、I0より低い1つ以上の転写電流I1を選定する。図4の各レベルにおいて、I0での転写残トナーの画像濃度とI1での転写残トナーの画像濃度を求め、トナーの劣化状態を判断して、劣化トナーの吐き出し等の処理工程を実施しない画像濃度の上限を設定する。この場合、基準電流I0より大きい電流I2で転写残トナーの画像濃度を求め、トナーの劣化状態を判断してもよい。
ここで、処理工程でトナーが実用上問題のあるレベルで劣化していると判断された場合は、劣化したトナーを処理する。劣化したトナーの処理としては、劣化したトナーの吐き出し処理の実施、劣化したトナーを含む現像剤の交換又はこのような警告を表示する。又は、劣化していない新規トナーを補充するような警告を表示する。
劣化トナーの吐き出し処理は、感光体5上に劣化したトナーを強制的に現像し、クリーニング装置8によって回収する。このシーケンスを画像形成ユニット10毎に実施するが、タイミングをずらせて実施しても良く、同時に実施しても良い。同時に実施する場合は、他の画像形成ユニット10で転写したトナーが転写ローラ9に搬送されてこない間に検出を完了する必要がある。
【0020】
このように、転写率が最大となる転写電流で転写した場合の転写残トナーの画像濃度A0と、転写率が最大となる転写電流より低い転写電流、または転写率が最大となる転写電流より高い転写電流で転写した場合の転写残トナーの画像濃度A1を検出し、トナーの劣化状態を知ることができる。さらに、第一の検出工程と第二の検出工程で検出した画像濃度の比又は画像濃度の差からトナーの劣化が進行していることを感度よく検出できることを見出した。
ここで、トナーの劣化状態を検出するシーケンスについて説明する。
図5は、転写電流と転写残トナーの画像濃度比との関係を示すグラフである。
感光体5上に所定の付着量になるように現像し、基準電流I0で転写し、感光体5上の転写残トナーの画像濃度A0を濃度検出手段29で検出する。同様にして、転写電流I1で転写し、転写残トナーの画像濃度A1を検出し、画像濃度比A1/A0を算出する。画像濃度比A1/A0が画像濃度比A1/A0の上限設定値よりも大きくなった場合は劣化トナーの吐き出しを実施する。劣化トナーの吐き出しは、感光体5上に劣化したトナーを強制的に現像し、クリーニング装置8によって回収する。このシーケンスを画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K毎に実施するが、タイミングをずらせて実施しても良く、同時に実施しても良い。同時に実施する場合は、他の画像形成ユニットで転写したトナーが転写部に搬送されてこない間に検出を完了する必要がある。
上記の説明では、転写率が最大となる基準電流よりも低い、または高い1つの転写電流で転写した画像の画像濃度を検出しているが、転写率が最大となる基準電流よりも低い2つ以上の転写電流、転写率が最大となる転写電流よりも高い2つ以上の転写電流、転写率が最大となる転写電流よりも低い1つ以上の転写電流と転写率が最大となる転写電流よりも高い1つ以上転写電流で転写した場合の転写残トナーの画像濃度を検出し、各画像濃度A1、A2、・・・とA0の比であるA1/A0、A2/A0、・・・ を求め、これらの比からトナーの劣化状態を評価しても良い。複数の比から評価することにより、より正確な判定ができる。
図6は、転写電流と転写残トナーの画像濃度差との関係を示すグラフである。
転写率が最大となる基準電流よりも低い、または高い1つの転写電流で転写した画像の画像濃度を検出しているが、転写率が最大となる基準電流よりも低い2つ以上の転写電流、転写率が最大となる基準電流よりも高い2つ以上の転写電流、転写率が最大となる基準電流よりも低い1つ以上の転写電流と転写率が最大となる基準電流よりも高い1つ以上転写電流で転写した場合の転写残トナーの画像濃度を検出し、各画像濃度A1、A2、・・・とA0の比であるA1−A0、A2−A0、・・・ を求め、これらの比からトナーの劣化状態を評価しても良い。複数の比から評価することにより、より正確な判定ができる。
【0021】
また、本発明の画像形成方法は、図1に示す複数の画像形成ユニット10を有するカラー画像形成装置に適用することができる。劣化状態の異なる現像剤について、転写残トナーの画像濃度と転写電流との関係を求め、様々な画像評価を実施する。この場合、これを用いるトナーの色、の特性が異なる場合があるため、上記の画像形成方法は、画像形成ユニット10毎に、または、各色のトナー毎について実施する。
【0022】
また、これまでは、検出工程で検出されるトナー画像の画像濃度は、感光体5上の転写残トナー画像を用いていた。しかし、この画像形成方法は、上述したように、第一の検出工程と第二の検出工程で検出した、中間転写ベルト11上の画像濃度の比又は画像濃度の差からトナーの劣化が進行していることを感度よく検出できることを見出した。
中間転写ベルト11上の画像濃度を画像濃度検出手段29で検出する場合は、画像濃度検出手段29を一番下流のユニットの下流に1つ設置し、各画像形成ユニット10で転写された画像をその下流のユニットで転写しないようにすれば、各画像形成ユニット10の画像濃度を検出でき、画像形成装置1の低コスト化、構造の簡略化を実現することができる。中間転写ベルト11上で画像濃度を検出する場合は、中間転写ベルト11の駆動ローラ14等の指示するローラの上又はその近傍に画像濃度検出手段29を設置すれば、画像濃度検出手段29と中間転写ベルト11との変動を抑えることができる。
図7は、トナーの劣化状態のレベルにおける転写電流と転写トナーの画像濃度との関係を示すグラフである。転写したトナー画像の画像濃度に基づいてトナーは劣化してゆく過程を判断して、図7に示すように、初期の劣化していないレベルから、使用可能なレベル、画像上何ら異常画像が表れず使用上問題のないレベル、文字等の情報判断に問題はないが画像上異常画像が表れ始め交換すべきレベル、文字等の情報判断ができず使用不可能なレベルと状態が変化して行くのがわかる。
【0023】
図8は、転写電流と転写したトナー画像の画像濃度差及び転写したトナー画像の画像濃度比との関係を示すグラフである。検出例における第一の検出工程と第二の検出工程での画像濃度の差又は比を比較することで判断することができる。
本発明の画像形成方法では、第一の検出工程は、感光体5から中間転写ベルト11に基準電流で転写された画像の画像濃度と、第二の検出工程は、感光体5から中間転写ベルト11に基準電流より低い電流又は高い電流で転写された画像の画像濃度を検出する。この転写したトナー画像の画像濃度に基づいて、トナーの劣化状態を判断する処理工程を実施する。また、この処理工程の判断では、転写したトナー画像の画像濃度の比又は差を用いる。これは、上述した転写残トナーの画像濃度差又は画像濃度比を検出し、処理工程で処理したのと同様の方法である。
第一の検出工程で、転写したトナー画像の画像濃度が最大となる基準電流で転写した場合の転写したトナー画像の画像濃度A0を検出する。
次いで、第二の検出工程で、転写したトナー画像の画像濃度が最大となる基準電流より低い転写電流又は転写したトナー画像の画像濃度が最大となる基準電流より高い転写電流で転写した場合の転写したトナー画像の画像濃度A1を検出するここでは、図8では、低い転写電流で転写したトナー画像の画像濃度を検出している。転写したトナー画像の画像濃度比A1/A0が小さいほどトナーの劣化が進行していることを感度よく検出でき、トナーの劣化レベルを判断することができる。
また、同様に、転写したトナー画像の画像濃度差A0−A1が大きいほどトナーの劣化が進行していることを感度よく検出できることを見出した。したがって、同様に、所定の転写電流での転写したトナー画像の画像濃度差A0−A1の大きさによってトナーの劣化レベルを判断することができる。
次いで、処理工程で、使用不可能なレベルに達したときには、劣化したトナーを処理し、使用不可能なレベルに達していないときには、画像形成動作を継続する。
【0024】
次に、本発明の画像形成方法に用いられる制御手段ついて説明する。画像形成装置1は、図9に示すように制御手段60を備えている。図9は、本発明の画像形成方法に用いる制御手段を示すブロック図である。制御手段60は記憶部となるROM61とRAM62、中央演算部となるCPU63およびタイマ64を備えた周知のコンピュータで構成されている。制御手段60の入力側には画像濃度センサが信号線を介して接続され、出力側には帯電手段、現像手段、転写手段の電源が信号線を介して接続されている。制御手段60には、転写電流I0、I1の設定値や画像濃度比の上限設定値等が記憶されている。
【0025】
(第1の実施形態)
画像形成装置1においては、画像濃度の制御や各色の色ズレ調整のためのプロセスコントロールが、電源オン時や所定枚数の出力後、環境変化が検知された場合などに行われる。この既存の制御終了に続けて図10に示すような制御を行う。図10は、本発明の画像形成方法による制御の一形態を示すフローチャートである。
まず始めに、プロセスコントロール制御の最後に続けて、帯電装置6の電源を制御して帯電出力をオンする(ステップS1)。
次に、設定した画像濃度に対応する光量で、画像パターンを感光体5上に書き込みをして潜像を形成する(ステップS2)。
次に、現像装置7を用いて複数の画像パターンをトナーで現像し、トナー画像を形成する(ステップS3)。
次に、画像パターンの一部の画像を転写装置9の基準電流I0で転写する(ステップS4)。
次に、画像パターンの残りの一部の画像を転写電流I1で転写する。(ステップS5)。
次に、第一の検出工程として、基準電流I0で転写した画像の転写残トナーの画像濃度A0を画像濃度検出手段29で検出する(ステップS6)。
さらに、次に、第二の検出工程として、転写電流I1で転写した画像の転写残トナーの画像濃度A1を画像濃度検出手段29で検出する(ステップS7)。
次に、処理工程として検出した複数の画像濃度からその画像濃度の比A1/A0を制御手段60で計算する(ステップS8)。さらに、画像濃度の比A1/A0が、予め、画像形成装置毎に設定されている上限設定値以上であるか否かを、制御手段60で判断する(ステップS9)。このときに、予め定めておいた条件を満たしている場合には、この制御を終了し、この条件を満たしていない場合は、劣化トナーの吐き出しを実施する(ステップS10)。
その後、このプロセス制御は終了する。
これによって、トナーが劣化しているか判断することができる。さらに、トナーが劣化している状態にあり、このままでは異常画像が発生すると判断した場合には、現像剤全体の中から劣化したトナーのみを取り除くことができ、異常画像の発生を防止することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
本発明の画像形成方法では、画像濃度比を求める転写電流として基準電流I0よりも小さい転写電流I1を用いたが、基準電流I0よりも大きい転写電流を用いても良い。また、上記の実施例では画像濃度比を求める転写電流を1つ設定したが、基準電流I0よりも小さい転写電流を2つ以上設定しても良い。また、基準電流I0よりも大きい転写電流を2つ以上設定しても良い。さらに、基準電流I0よりも小さい転写電流と基準電流I0よりも大きい転写電流を組み合わせて2つ以上設定しても良い。
基準電流I0よりも大きい転写電流を2つ以上設定する場合の実施例を以下に示す。
トナーの各劣化状態における転写残トナーの画像濃度と転写電流との関係から、トナー劣化状態の検出の際に用いる転写残トナーの画像濃度が最小となる基準電流I0と、基準電流I0より高い転写電流I2、I3を選定する。基準電流I0での転写ベルト上画像濃度とI2、I3での転写残トナーの画像濃度を検出し、基準電流I0での転写残トナーの画像濃度とI2、I3での転写残トナーの画像濃度の平均値の比を求め、この画像濃度比について劣化トナーの吐き出しを実施しない上限値を設定する。
図11は、本発明の画像形成方法による制御の他の形態を示すフローチャートである。
ステップS1からステップS3までは図7と同様で、ステップS4で画像パターンの一部を基準電流I0で転写し、ステップS5において残りの画像の一部を転写電流I2で転写し、ステップS6で残りの画像を転写電流I3で転写する。ステップS7では基準電流I0で転写した転写残トナーの画像濃度A0を検出し、ステップS8において転写電流I2で転写した転写残トナーの画像濃度A2を検出し、ステップS9において転写電流I3で転写した転写残トナーの画像濃度A3を検出する。ステップS10では(A2+A3)/2A0を計算し、ステップS11において、(A2+A3)/2A0が上限設定値以上であるか否かを判断し、この条件を満たしている場合にはこの制御を終了し、この条件を満たしていない場合には、劣化トナーの吐き出しプロセスを開始する。
その後、このプロセス制御は終了する。
【0027】
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、感光体5上の転写残トナーの画像濃度を検出して、処理工程を行う画像形成方法であったが、ここでは、中間転写ベルト11上の転写トナーの画像濃度を検出して、処理工程を行う画像形成方法である。
図12は、本発明の画像形成方法による制御の他の形態を示すフローチャートである。
まず始めに、プロセスコントロール制御の最後に続けて、帯電装置6の電源を制御して帯電出力をオンする(ステップS1)。
次に、設定した画像濃度に対応する光量で、画像パターンを感光体5上に書き込みをして潜像を形成する(ステップS2)。
次に、現像装置7を用いて複数の画像パターンをトナーで現像し、トナー画像を形成する(ステップS3)。
次に、画像パターンの一部の画像を転写装置9の基準電流I0で転写する(ステップS4)。
次に、画像パターンの残りの一部の画像を転写電流I1で転写する。(ステップS5)。
次に、第一の検出工程として、基準電流I0で転写して、中間転写ベルトに形成された画像の転写トナーの画像濃度A0を画像濃度検出手段29で検出する(ステップS6)。
さらに、次に、第二の検出工程として、転写電流I1で転写して、中間転写ベルトに形成された画像の転写トナーの画像濃度A1を画像濃度検出手段29で検出する(ステップS7)。
次に、処理工程として検出した複数の画像濃度からその画像濃度の比A1/A0を制御手段60で計算する(ステップS8)。さらに、画像濃度の比A1/A0が、予め、画像形成装置毎に設定されている下限設定値以下であるか否かを、制御手段60で判断する(ステップS9)。このときに、予め定めておいた条件を満たしている場合には、この制御を終了し、この条件を満たしていない場合は、劣化トナーの吐き出しを実施する(ステップS10)。
その後、このプロセス制御は終了する。
これによって、トナーが劣化しているか判断することができる。さらに、トナーが劣化している状態にあり、このままでは地かぶり等の異常画像が発生すると判断した場合には、現像剤全体の中から劣化したトナーのみを取り除くことができ、異常画像の発生を防止することができる。
【0028】
これらによって、トナーが劣化しているかを、転写率を検出することで判断することができる。さらに、トナーが劣化している状態にあり、このままでは地かぶり等の異常画像が発生すると判断した場合には、現像剤全体の中から劣化したトナーのみを取り除くことができ、異常画像の発生を防止することができる。
以上の制御フローは、既存のプロセス制御の後にするとして記載したが、出力状況等を考慮して既存のプロセス制御とは異なるタイミングで実施しても良い。また、以上の制御を各色のトナーについて実施する必要があるが、同時に実施しても良いし、各色のトナーの使用状況等を参照して制御のタイミングをずらせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の画像形成方法を実施する画像形成装置を示す全体構成図であり、ここではその一例としてカラー画像形成装置を示している。
【図2】この発明の画像形成方法を実施する画像形成装置を示す部分構成図であり、画像濃度検出手段を中間転写体近傍に配置している。
【図3】転写電界と転写率との関係を示すグラフである。
【図4】トナーの劣化状態のレベルにおける転写電流と転写残トナーの画像濃度との関係を示すグラフである。
【図5】転写電流と転写残トナーの画像濃度比との関係を示すグラフである。
【図6】転写電流と転写残トナーの画像濃度差との関係を示すグラフである。
【図7】トナーの劣化状態のレベルにおける転写電流と転写トナーの画像濃度との関係を示すグラフである
【図8】転写電流と転写したトナー画像の画像濃度差及び転写したトナー画像の画像濃度比との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の画像形成方法に用いる制御手段を示すブロック図である。
【図10】本発明の画像形成方法による制御の一形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明の画像形成方法による制御の他の形態を示すフローチャートである。
【図12】本発明の画像形成方法による制御の他の形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1 画像形成装置
2 給紙テーブル
3 スキャナ
4 原稿自動搬送装置(ADF)
5 感光体
6 帯電装置
7 現像装置
8 クリーニング装置
9 1次転写装置
10 画像形成ユニット
11 中間転写体
21 露光装置
22 2次転写装置
24 2次転写ベルト
25 定着装置
29 画像濃度検出手段
41 ガイド部
42 給紙ローラ
43 側板
44 給紙トレイ
45 分離部
46 保持部材
47 搬送ローラ
48 搬送ガイド板
49 レジストローラ
50 回転体部材
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 制御手段
61 ROM
62 RAM
63 CPU
64 タイマ
P 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
該静電潜像にトナー像を形成する現像工程と、
該静電潜像担持体と中間転写体との間に電界を形成して該トナー像を中間転写体に転写する転写工程とを有する画像形成方法において、
前記画像形成方法は、
所定の基準電界で転写された画像の画像濃度を検出する第一の検出工程と、
該基準電界よりも低い電界又は高い電界で転写された画像の画像濃度を検出する第二の検出工程とを有し、
前記第一の検出工程及び第二の検出工程の後、各々の検出工程で検出された画像濃度に基づいて、劣化トナーを処理する処理工程を実施する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成方法において、
前記画像形成方法は、
前記第一及び第二の検出工程は、前記静電潜像担持体上の画像の画像濃度を検出する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成方法において、
前記所定の基準電界は、転写率が最大となる電界である
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記処理工程は、現像装置内の劣化トナーを前記静電潜像担持体上に移行させる
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との比と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をする
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との差と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をする
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成方法において、
前記画像形成方法は、
前記第一及び第二の検出工程は、前記中間転写体上の画像の画像濃度を検出する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成方法において、
前記所定の基準電界は、転写率が最大となる電界である
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の画像形成方法において、
前記処理工程は、現像装置内の劣化トナーを前記静電潜像担持体上に移行させる
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との比と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をする
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
請求項7ないし9のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記第一の検出工程で検出された画像濃度と前記第二の検出工程で検出された画像濃度との差と、所定の閾値との大小関係を比較することにより、前記劣化トナーを処理する処理工程の実施判断をする
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記画像形成方法は、前記第二の検出工程で、複数の電界で転写した画像の画像濃度を検出する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記画像形成方法は、該静電潜像担持体と中間転写体との間の電界を電流により制御する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記画像形成方法は、該静電潜像担持体と中間転写体との間の電界を電圧により制御する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の画像形成方法において、
前記画像形成方法は、静電潜像形成手段と、該静電潜像にトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を中間転写体に転写する転写手段とを有する画像形成ユニットを複数備えてカラー画像を形成する画像形成方法であって、
前記第一の検出工程と前記第二の検出工程を、各画像形成ユニットでの画像濃度を検出する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
潜像を形成する静電潜像担持体と、
静電潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電装置と、
帯電した静電潜像担持体表面に露光し潜像を書き込む露光装置と、
静電潜像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し可視像化する現像装置と、
静電潜像担持体表面の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置と、
静電潜像担持体表面の可視像を直接又は中間転写体に転写した後に記録媒体に転写する転写装置と、
記録媒体上のトナー像を定着させる定着装置とを備える画像形成装置において、
前記画像形成装置は、請求項1ないし15のいずれか1つに記載の画像形成方法を用いる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−265604(P2009−265604A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260353(P2008−260353)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】