説明

発光素子のドライバ回路

【課題】発光素子のドライバ回路においてノイズ発生を抑制する。
【解決手段】発光素子202と、発光素子202と直接に接続された電流制限用インダクタ24との直列接続部と、直列接続部に並列に接続され、電流制限用インダクタ24に蓄えられたエネルギーを回生する回生用ダイオード27と、発光素子202及び電流制限用インダクタ24に流れる電流を制御するトランジスタ26と、トランジスタ26の動作を制御する制御部22と、電流制限用インダクタ24と電磁気的に結合し、制御部22に制御信号を出力するタイミング用インダクタ28とを備え、制御信号に応じて制御部22からトランジスタ26を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子のドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード等の発光素子の開発に伴って、複数の発光素子を直列に接続して発光させる光源を駆動するドライバ回路が考案されている。
【0003】
従来の発光素子のドライバ回路100は、図4に示すように、整流ブリッジ10、制御部12、電流制限用インダクタ14、トランジスタ16及び回生用ダイオード18を含んで構成される。
【0004】
電流制限用インダクタ14は、駆動対象となる複数の発光素子の直列接続体102に直列に接続される。発光素子が発光ダイオード(LED)である場合、それぞれの発光ダイオードは互いに順方向を揃えるように直列接続される。回生用ダイオード18は、電流制限用インダクタ14と発光素子の直列接続体102とに並列に接続される。また、トランジスタ16は、LED接続部102に含まれる発光素子及びインダクタに流れる電流を制御するように、電流制限用インダクタ14と発光素子の直列接続体102とに直列接続される。
【0005】
発光素子の直列接続体102と電流制限用インダクタ14には整流ブリッジ10から電源電圧が印加される。制御部12がトランジスタ16のゲート電圧をハイレベルとするとトランジスタ16がオン状態となる。このとき、図5に示すように、トランジスタ16のドレイン−ソース間の電圧Vdsは低下し、電流制限用インダクタ14の電流制限作用により発光素子の直列接続体102と電流制限用インダクタ14を流れる電流IDは徐々に増加する。制御部12は電流IDが各発光素子の定格値を超える前にトランジスタ16のゲート電圧をローレベルに切り替える。これによりトランジスタ16がオフ状態となり、トランジスタ16のドレイン−ソース間の電圧Vdsは電源電圧Vdcとなり、電流IDは低下する。また、オフ状態の際に電流制限用インダクタ14に蓄積されたエネルギーは、回生電流Ioffにより回生用ダイオード18を介して電源に回生される。このように、トランジスタ16のスイッチングを制御部12により制御することによって、電流制限用インダクタ14の働きによって各発光素子の定格値以下に維持しつつ発光させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のドライバ回路100では、制御部12がトランジスタ16をオフ状態からオン状態とする際に発光素子の直列接続体102、電流制限用インダクタ14及びトランジスタ16に印加される電圧が急激に変化することになる。そのため、図6に示すように、電流IDの立ち上がり部分においてスパイク状のノイズが発生する場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑み、ノイズ発生を抑制した発光素子のドライバ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、発光素子と、前記発光素子と直接に接続された電流制限用インダクタと、の直列接続部と、前記直列接続部に並列に接続され、前記電流制限用インダクタに蓄えられたエネルギーを回生する回生部と、前記発光素子及び前記電流制限用インダクタに流れる電流を制御するスイッチ素子と、前記スイッチ素子の動作を制御する制御部と、前記電流制限用インダクタと電磁気的に結合し、前記制御部に制御信号を出力するタイミング用インダクタと、を備え、前記制御信号に応じて前記制御部から前記スイッチング素子のスイッチングのタイミングを制御する発光素子のドライバ回路である。
【0009】
ここで、前記制御信号に応じて、前記スイッチング素子の端子間電圧が極小となるタイミングで前記スイッチング素子をオフ状態からオン状態へ切り替えることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発光素子のドライバ回路においてノイズ発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の実施の形態におけるドライバ回路200は、図1に示すように、整流ブリッジ20、制御部22、電流制限用インダクタ24、トランジスタ26、回生用ダイオード27、タイミング用インダクタ28及びタイミング検出回路29を含んで構成される。
【0012】
整流ブリッジ20は、整流用ダイオードをブリッジ状に接続した回路であり、入力される交流電源電圧Vacを全波整流して直流電源電圧Vdcとして出力する。整流ブリッジ20には、全波整流された電源電圧を平滑化するための平滑化回路を設けてもよい。
【0013】
ドライバ回路200の駆動対象となる発光素子は発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)等とすることができる。複数の発光素子を直列に接続した直列接続体202を駆動対象としてもよい。発光ダイオード(LED)である場合、発光素子の直列接続体202を構成する際にはそれぞれの発光ダイオードが互いに順方向を揃えるように直列接続する。さらに、直列接続体202を並列に接続してもよい。
【0014】
電流制限用インダクタ24は、駆動対象となる複数の発光素子の直列接続体202に直列に接続される。回生用ダイオード27は、電流制限用インダクタ24と発光素子の直列接続体202とに並列に接続される。
【0015】
トランジスタ26は、制御部22によりオン状態及びオフ状態が制御されるスイッチング素子である。トランジスタ26は電流制限用インダクタ24と発光素子の直列接続体202とに直列接続される。発光素子の直列接続体202と電流制限用インダクタ24にはトランジスタ26のドレイン−ソース間を介して整流ブリッジ20から電源電圧Vdcが印加される。トランジスタ26のゲートには制御部22が接続される。制御部22は、所定のタイミングでトランジスタ26をオン/オフ制御することによって発光素子に断続的に電力を供給して発光させる。
【0016】
トランジスタ26がオン状態に制御された場合、ドレイン−ソース間を介して電流制限用インダクタ24と直列接続体202に電流が流れる。このとき、電流制限用インダクタ24の作用によって、発光素子に流れる電流が徐々に増加するように制限される。また、トランジスタ26がオフ状態に制御された場合に、ドレイン−ソース間は遮断状態となり、電流制限用インダクタ24に蓄積された電磁的なエネルギーが回生用ダイオード27を介して電源に回生される。
【0017】
このとき、制御部22では、電流制限用インダクタ24の働きによって各発光素子の動作が定格値以下に制限されるようにトランジスタ26のスイッチングの周期を制御する。これによって、発光素子を適切に発光させることができる。
【0018】
本実施の形態のドライバ回路200では、タイミング用インダクタ28は電流制限用インダクタ24と電磁気的に結合する。タイミング用インダクタ28の一端はタイミング検出回路29を介して制御部22に接続され、他端は接地される。
【0019】
タイミング検出回路29は、タイミング用インダクタ28からの信号を検出する回路である。今回の回路例ではタイミング検出回路29で、立下り電圧を伝える役目をしている。具体例としては、トランジスタQ0、抵抗R、ダイオードDを含んで構成される。タイミング検出回路29によりタイミング用インダクタ28から出力される振動電圧の極小点が検出される。タイミング検出回路29の出力信号をトリガとして制御部22はトランジスタ26をオフ状態からオン状態へ切り替える制御信号(ゲート電圧)を出力する。
【0020】
制御部22は、例えば、図2に示すように、クロックジェネレータ30、比較器32、フリップフロップ34、NOT素子36及びトランジスタQ1,Q2を含んで構成できる。
【0021】
クロックジェネレータ30は、タイミング検出回路29からトリガが入力されるとパルス信号を出力する。クロックジェネレータ30から出力されるパルス信号はフリップフロップ34のセット端子に入力される。フリップフロップ34はパルス信号が入力されるとセットされ、その反転出力がローレベルとなる。これによりトランジスタQ1がオン状態及びトランジスタQ2がオフ状態となり、制御部22の出力端子OUTからトランジスタ26のゲートに出力されるゲート電圧がハイレベルとなる。これによりトランジスタ26がオン状態となる。
【0022】
このとき、図3に示すように、トランジスタ26のドレイン−ソース間の電圧Vdsは低下し、電流制限用インダクタ24の電流制限作用により発光素子の直列接続体202と電流制限用インダクタ24を流れる電流IDは徐々に増加する。これにより発光素子が発光する。
【0023】
また、トランジスタ26がオン状態になると、電流IDの増加に伴って電流検出抵抗Rswの端子電圧Vswも徐々に増加する。端子電圧Vswは比較器32において基準電圧Vrefと比較され、端子電圧Vswが基準電圧Vref以上になるとフリップフロップ34のリセット端子がハイレベルになる。これによって、フリップフロップ34はリセットされ、その反転出力はハイレベルとなる。これによりトランジスタQ1がオフ状態及びトランジスタQ2がオン状態となり、制御部22の出力端子OUTからトランジスタ26のゲートに出力されるゲート電圧がローレベルとされ、トランジスタ26がオフ状態となる。
【0024】
このようにして、制御部22は電流IDが各発光素子の定格値を超える前にトランジスタ26のゲート電圧をローレベルに切り替える。このように、トランジスタ26のスイッチングを制御部22により制御することによって、電流制限用インダクタ24の働きによって各発光素子の定格値以下に維持しつつ発光させることができる。
【0025】
また、図3に示すように、タイミング用インダクタ28及びタイミング検出回路29を用いることによって、トランジスタ26がオン状態からオフ状態となったときの電源電圧Vdsのリンギングの極小値を検出し、それをトリガとしてトランジスタ26を再度オン状態とすることができる。リンギングが極小値となるタイミングでトランジスタ26をオン状態にすることによって、電流IDの立ち上がり時にスパイク状のノイズが重畳することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態における発光素子のドライバ回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における制御部の構成の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における発光素子のドライバ回路の動作を示す図である。
【図4】従来の発光素子のドライバ回路の構成を示す図である。
【図5】従来の発光素子のドライバ回路の動作を示す図である。
【図6】従来の発光素子のドライバ回路の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10 整流ブリッジ、12 制御部、14 電流制限用インダクタ、16 トランジスタ、18 回生用ダイオード、20 整流ブリッジ、22 制御部、24 電流制限用インダクタ、26 トランジスタ、27 回生用ダイオード、28 タイミング用インダクタ、29 タイミング検出回路、30 クロックジェネレータ、32 比較器、34 フリップフロップ、36 NOT素子、100,200 ドライバ回路、102,202 直列接続体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子と直接に接続された電流制限用インダクタと、の直列接続部と、
前記直列接続部に並列に接続され、前記電流制限用インダクタに蓄えられたエネルギーを回生する回生部と、
前記発光素子及び前記電流制限用インダクタに流れる電流を制御するスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の動作を制御する制御部と、
前記電流制限用インダクタと電磁気的に結合し、前記制御部に制御信号を出力するタイミング用インダクタと、を備え、
前記制御信号に応じて前記制御部から前記スイッチング素子のスイッチングのタイミングを制御することを特徴とする発光素子のドライバ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のドライバ回路であって、
前記制御信号に応じて、前記スイッチング素子の端子間電圧が極小となるタイミングで前記スイッチング素子をオフ状態からオン状態へ切り替えることを特徴とする発光素子のドライバ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−130365(P2010−130365A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303078(P2008−303078)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】