直径100ミリメートルの炭化シリコン基板上の高均一性のIII族窒化物エピタキシャル層
半導体構造が開示され、この半導体構造は、少なくとも100mmの直径を有する炭化シリコンのウェハと、ウェハ上のIII族窒化物ヘテロ構造とを含んでおり、これは、多くの特性において、高い均一性を示す。これらは、ウェハ全面で3パーセント未満のシート抵抗率の標準偏差;ウェハ全面で1パーセント未満の電子移動度の標準偏差;ウェハ全面で約3.3パーセント以下のキャリア密度の標準偏差;およびウェハ全面で約2.5パーセントの導電性の標準偏差を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波高出力アプリケーションのための半導体材料の使用に関し、詳細には、高電子移動度トランジスタ(HEMT)に対するIII族窒化物材料の使用に関し、最も詳細には、これらの材料系における改善に関し、材料系における改善は、トランジスタの電子的性能における対応する改善をもたらす。
【背景技術】
【0002】
HEMTは、例えば、レーダ、セル式電話、衛星通信、およびその他のマイクロ波回路のアプリケーション(しかし、これらには限定されない)のようなアプリケーションにおいて信号増幅の利点を提供する固体トランジスタである。
【0003】
HEMTは、従来の電界効果トランジスタ(FET)と非常に似た挙動を示す。ドレイン電極とソース電極との間の導電チャネルは、ゲート電極に電圧を印加することによって影響され得る。これは、ドレインソース電流を変調する。HEMTにおいて、導電チャネルは、ヘテロ構造(2つの異なる半導体材料が互いに隣接する)によって形成される。ヘテロ材料の間の(特に、これらへテロ材料のそれぞれのバンドギャップおよび電子親和力の)差異は、ヘテロ界面における電荷キャリアの薄層の形成を促進するために十分でなければならない。薄層は、典型的には、2次元電子ガス(「2DEG」)と称される。この層におけるキャリア濃度およびそれらの速度は、HEMTが非常に高い周波数で高い利得を維持することを可能にする。
【0004】
その他の半導体デバイスと同様に、任意の所与のHEMTの性能パラメータの多くは、それらが形成される材料に直接関係している。HEMTに対してより標準的な材料になっているガリウムヒ素(GaAs)は、シリコンよりも高い電子移動度(6000cm2/V−s)および低いソース抵抗を提供するので、対応するシリコンベースのデバイスよりも高い周波数で機能し得るデバイスを提供する。とはいえ、ガリウムヒ素は、比較的小さなバンドギャップ(1.42eV)および比較的小さいブレークダウン電圧を有し、高出力、高周波アプリケーションを制限してしまうので、ガリウムヒ素はあまり適切ではないか、または一部の場合においては、高出力、高周波アプリケーションに対して不適切である。
【0005】
したがって、HEMTにおける興味は、III族窒化物材料系のような高いバンドギャップ材料に移っている。特定の構成に依存して、III族窒化物は、約6eV(AlN対して)の高いバンドギャップ、および比較的高い移動度(約2000cm2/V−s)を有し得る。HEMTの動作に関連しておそらくより重要な点として、窒化アルミニウムガリウムをベースとした構造は、1平方センチメートルあたり(cm−2)1013よりも多くの2DEGシート密度を示し得る。
【0006】
上述のように、半導体デバイスの性能は、それらが形成される材料、ならびにそれらの材料の特定の層または基板の設計および品質に関係する。材料における品質または均一性の欠如、または(単数または複数の)デバイスのプレカーサー(precursor)を形成する材料構造における品質または均一性の欠如は、材料系から利用可能な結果としてのデバイスの生産量を低減させ、そのようなデバイスのサイズを制限する。
【0007】
サイズに関連して、不均一な材料から構成されたデバイスはまた、低い線形性を示し、閾値電圧において高い変動を示す。加えて、通常、エピタキシャル成長は、ウェハ全面で材料の変動(組成および特性)を生成する。これらは、1つ以上の要素(例えば、窒化アルミニウムガリウムにおけるアルミニウム)の密度における差異、および異なる厚さを含み得る。
【0008】
今までのところ、高品質のIII族窒化物構造は、2インチおよび3インチのウェハ上で利用可能であるが、これらは大きな出力のデバイスに対しては、有利ではない。加えて、各ウェハの縁は、サイズに関わらず、典型的には約8mmの損失を要求するので、縁の損失は、ウェハが小さいほど大きくなる。さらに、100mmはその他の材料(例えば、ガリウムヒ素)に対する共通のウェハサイズなので、III族窒化物エピタキシャル層を有する100mmのウェハは、非常にありふれた設備によって扱われ、設備を新しくすることは回避され得る。
【0009】
しかしながら、処理コストは、典型的に、サイズに関わらずに同程度であり得る。なぜならば、小さなウェハは、所与のサイズのデバイスごとの製造コストを増加させるからである。
【0010】
したがって、理論的には大きなウェハが望ましいが、ボー(湾曲)またはワープ(反り)が増加することが原因で、そして上述の典型的なエピタキシャル成長の特性が原因で、大きなウェハは管理することが困難である。
【0011】
したがって、大サイズ、高品質、高均一性能の、III族窒化物へテロ構造を含むウェハは、半導体業界においては、価値のある望ましい解決策である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(概要)
一局面において、本発明は、半導体のプレカーサー構造であって、少なくとも100ミリメートルの直径を有する炭化シリコンの単結晶と、基板上のIII族窒化物核形成層と、核形成層上の第1のIII族窒化物エピタキシャル層と、第1のIII族窒化物エピタキシャル層上の第2のIII族窒化物エピタキシャル層であって、第1の層と第2の層との間の界面で2次元電子ガスを生成するように第1の層の組成とは異なる組成を有しており、第2のIII族窒化物エピタキシャル層と、を含んでいる。2次元電子ガスにおける電子移動度を増加させるために、第2の層上に第3のIII族窒化物エピタキシャル層が存在し得る。プレカーサー構造は、前記100ミリメートル構造全面で、シート抵抗率の標準偏差が約1パーセント(1%)以下であり、プレカーサー構造はまた、前記100ミリメートル構造全面で、移動度の標準偏差が約1パーセント以下である。
【0013】
別の局面において、本発明は、有機金属気相成長(MOCVD)に適合したソースガスを用いて半絶縁性の半導体基板上にIII族窒化物層をエピタキシャル成長させるための方法である。この局面において、改善は、互いに組成が十分に異なっている2つのIII族窒化物エピタキシャル層から形成されたヘテロ構造を成長させ、窒素が大半を占める空気中でそれらの界面で、かつ少なくとも100mmの直径の基板上で、2次元電子ガスを生成することを含んでいる。
【0014】
別の局面において、本発明は、半導体基板構造であって、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性基板と、少なくとも2つのエピタキシャル層から形成された基板上のIII族窒化物ヘテロ構造であって、これら少なくとも2つのエピタキシャル層は、それらの界面において、2次元電子ガスを生成するように異なる組成を有する、III族窒化物へテロ構造と、ヘテロ構造に対して導電性のある、ソース、ドレイン、およびゲートのそれぞれの複数のコンタクトと、を含んでいる。ヘテロ構造は、100mm基板全面で、シート抵抗の標準偏差が約1パーセント以下であり、ヘテロ構造は、100mm基板全面で、移動度の標準偏差が1パーセント以下である。
【0015】
別の局面において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハ、ならびにウェハ上のIII族窒化物ヘテロ構造であり、これは、多くの特性において、高い均一性を示す。これらは、ウェハ全面で3パーセント未満のシート抵抗の標準偏差;ウェハ全面で約0.43〜0.73パーセントの間の電子移動度の標準偏差;ウェハにわたる約3.3パーセントのキャリア密度の標準偏差;ウェハ全面で約2.5パーセントの導電性の標準偏差を含む。
【0016】
別の局面において、本発明は、複数の半絶縁性炭化シリコンウェハ(各々は、少なくとも100mmの直径を有する)、であり、該ウェハは、各ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造、および各ウェハの上面としての窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)バリア層を有している。この局面において、ウェハの75パーセントは、0.08〜1.00以内の、AlGaNバリア層の中心の厚さに対する縁の厚さの比、および約0.98〜1.02の間の、(すなわち、1.00の0.02以内の)AlGaNバリア層におけるアルミニウムの最大の割合に対する最小の割合の比を有している。
【0017】
上述の目的およびその他の目的、本発明の利点、ならびにそれらを実現するための方法は、添付の図面を参酌することにより、以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一局面において、本発明は、100ミリメートル(すなわち、4インチよりもわずかに小さい)の直径の炭化シリコン基板から形成された、非常に均一であって耐久性のある品質の窒化アルミニウムガリウムの高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造である。
【0019】
別の局面において、本発明は、非常に均一な100ミリメートルの直径のウェハのプレカーサーであり、この上に、個々のHEMTが形成される。
【0020】
別の局面において、本発明は、非常に均一な100ミリメートルの直径の基板構造上の複数のHEMTである。
【0021】
本発明にしたがうHEMTのプレカーサーは、ヘテロ構造および関連する層(これらは、物理的性質、化学的性質、および電子的性質が非常に均一である)を生成するエピタキシャル成長プロセスから形成される。観察される均一性の差異は、典型的には1パーセントまたはそれ未満であり、室温における電子移動度は、2000cm2/V−sよりも大きい。これらの成長技術は、非常に平滑なエピタキシャル層をもたらし、反復性があり、III族窒化物エピタキシャル層における抵抗の改善を示し、そしてこれは、半絶縁基板(特に、半絶縁炭化シリコン基板)上に成長されるトランジスタの電気的特性を改善する。高い均一特性は、本明細書において、特に図面を参照することにより、本明細書においてさらに十分に記載される。
【0022】
始めに、図1および図2は、本発明の概略図を示している。図1は、広く30で指示されている半導体のプレカーサー構造を示している。この構造は、基板31を含んでおり、これは、少なくとも100ミリメートルの直径であり、例示的な実施形態においては、単一の結晶配向の半絶縁性炭化シリコンから形成されている。
【0023】
典型的な実施形態において、III族窒化物核形成層32は、基板31上に存在しており、基板31をカバーしている。核形成層32は、基板31と残りの構造との間に、適切な成長の遷移(transition)を提供する。第1のIII族窒化物エピタキシャル層33は、核形成層32上に存在しており、第2の異なる組成のIII族窒化物エピタキシャル層34は、第1のエピタキシャル層33上に存在している。エピタキシャル層33および34の組成、すなわちヘテロ構造は、2次元電子ガス(2DEG)を第1の層と第2の層との間の界面に生成するように、互いに異なる組成を有している。このガスは、概略的に35で示されているが、図1は一定の比率では描かれておらず、2DEGはエピタキシャル層33、34と同じ意味での物理的な層を形成していないということを理解すべきである。
【0024】
III族窒化物層を組み込んだ半導体デバイスの当業者は、本明細書に記載されている構造は例示のためのものであり、限定のためのものではないということを理解すべきである。さらに、本明細書に記載されている本発明は、様々なデバイスおよび構造(本明細書において特に記載されているものとは異なるもの、または本明細書に記載されているものよりも精巧なもの)と適切に組み合わされ得る。一群の例示的なデバイスは、米国特許第6,316,793号;米国特許第6,548,333号;米国特許第6,849,882号;米国特許出願公開第20020066908号;米国特許出願公開第20030020092号;および米国特許出願公開第20040061129号に開示されている。しかしながら、これらは、本発明と組み合わされ得る様々なデバイスを一切限定していない。
【0025】
多くの実施形態において、2次元電子ガスにおける電子移動度を増加させるために、第3のIII族窒化物エピタキシャル層36が、第2の層34上に存在する。
【0026】
当業者は、ウェハおよびウェハ上のエピタキシャル層の評価は、典型的には小さな縁の部分を除いているということを理解すべきである。縁の部分のサイズは、測定技術に依存するが、(任意の材料の)100mmのウェハに対しては、典型的には、全体で約5〜10mmであり得る(例えば、周辺部分は約2.5〜5mmの幅である)。したがって、本明細書に開示されている測定は、縁の除外を考慮に入れており、ウェハおよびエピタキシャル層を、それらのそれぞれの縁の除外部分以外について記載している。
【0027】
このプレカーサー構造は、物理的性質、化学的性質、および電子的性質が非常に均一である。この構造は、100ミリメートル構造全面で、約1パーセント(1%)以下のシート抵抗率の標準偏差を有しており、同様にプレカーサー構造は、100ミリメートルの構造全面で、約1パーセント以下の移動度の標準偏差を有している。
【0028】
一部の実施形態において、この構造は、100ミリメートル構造全面で、0.75%以下のシート抵抗率の標準偏差を有しており、100ミリメートル構造全面で、0.43%以下の移動度の標準偏差を有している。
【0029】
特定の実施形態において、炭化シリコンの単結晶基板は、炭化シリコンの3C、4H、6H、および15Rのポリタイプから選択されたポリタイプを有している。核形成層32は、典型的には、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)および窒化アルミニウム(AlN)からなる群から選択される。
【0030】
例示的な実施形態において、第1のIII族窒化物エピタキシャル層33は、窒化ガリウムであり、第2の層34は窒化アルミニウムガリウム、すなわちAlxGa1−xN、但し0<x≦1を含んでいる。窒化ガリウムおよび窒化アルミニウムガリウムの当業者は、x=1の場合に、第2のIII族窒化物エピタキシャル層34は、窒化アルミニウム(すなわち、AlN)を含み得るということを認識し得る。
【0031】
これらの例示的な実施形態において、第3のIII族窒化物エピタキシャル層は、同様に窒化アルミニウムガリウムを含むが、第2のIII族窒化物エピタキシャル層34とは異なるアルミニウムの原子分率(すなわち、「x」)を有している(それゆえに異なるガリウムの原子分率「1−x」を有している)。そのような構造において、ヘテロ構造層(例えば、GaN層33およびAlGaN層34)の間の組成の差異は、2DEGを誘導するのに十分である。
【0032】
エピタキシャル層33、34によって形成されたヘテロ構造は、高周波数デバイスに有用なので、炭化シリコン基板31は、典型的には半絶縁性である。
【0033】
図2は、広く40で指示されている半導体構造の概略図であり、これは、複数のHEMTのプレカーサーを含んでいる。この構造は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性基板41を含んでおり、例示的な実施形態においては、炭化シリコンから形成されている。III族へテロ構造42は、基板41上に存在しており、少なくとも2つのエピタキシャル層43および44から構成されている。これらエピタキシャル層43、44は、それらの界面において、2次元電子ガスを生成するように、組成が異なっている。ソース45、ドレイン46、およびゲート47の複数のコンタクトのそれぞれは、ヘテロ構造42に対して導電性がある。図2に示されているように、コンタクト45、46、47およびヘテロ構造42の間の導電性をもつ関係は、図2に示されている層51のような中間的な層を含み得る。
【0034】
ヘテロ構造42は、100mmウェハ基板全面で、約1パーセント以下のシート抵抗率の標準偏差を有しており、ヘテロ構造42は、100mm基板全面で、約1パーセント以下の移動度の標準偏差を有している。
【0035】
図2に示されているように、例示的な実施形態において、構造40は、基板41と窒化ガリウム層43との間において、基板41上のIII族窒化物核形成層50を含んでいる。
【0036】
一部の実施形態において、窒化アルミニウムガリウム層44は、非意図的に(unintentionally)ドープされる。そのような実施形態において、構造40は、ドープされた窒化アルミニウムガリウム層51を、非意図的にドープされた窒化アルミニウムガリウム層44上に含み得る。代替的に、層51は、特定のアプリケーションに対して望ましくあり得るとき、または特定のアプリケーションに対して必要であり得るときに、非意図的にドープされた窒化アルミニウムガリウムの層を含み得る。
【0037】
図2は、2組のソースコンタクト45、ドレインコンタクト46、およびゲートコンタクト47を示しているが、半導体製造の当業者は、典型的な100mmウェハは、多数(おそらくは数百)のそのようなコンタクトを含み得、これらは、100mmウェハ上に同様に多数のHEMTのプレカーサー構造を規定することを理解すべきである。そのようなデバイスを互いに絶縁および分離するステップは、当該技術分野において一般に周知であり、本明細書においては詳細に繰り返されない。
【0038】
本発明は、特に、今までに入手可能な類似の構造に対し、性能および品質の利点を提供する。
【0039】
したがって、別の局面において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンのウェハと、ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で、3パーセント(3%)未満のシート抵抗率の標準偏差を示し、多くの実施形態においては、2.7%未満のシート抵抗率の標準偏差を示し、一部の実施形態においては、約1.3%低いシート抵抗率の標準偏差を示す。
【0040】
そのような実施形態は、導電性の適切な範囲にわたって、例えば、約450オーム/□の平均シート抵抗にわたって、および約342〜356オーム/□のシート抵抗を伴って、これらの特性を示す。
【0041】
さらに他の実施形態において、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で約0.75〜1.23パーセントの間のシート抵抗率の均一性の標準偏差を示し、約293〜311オーム/□の間の平均シート抵抗率および329オーム/□以下の最大シート抵抗率を示す。
【0042】
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハと、ウェハ上のIII族へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で約0.43〜0.73パーセントの間の電子移動度の標準偏差を示す。この局面において、テストされたウェハは、室温において、約2017〜2052cm2/V−sの間の電子移動度を示し、その他の実施形態においては、役2061〜2081cm2/V−sの間の電子移動度を示す。
【0043】
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハと、ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で、約3.3パーセントのキャリア密度の標準偏差を示す。特に、この実施形態にしたがう構造は、1平方センチメートルあたり(cm−2)約8.2×1012(8.2E12)〜約8.9×1012(8.9E12)の間のキャリア密度で、これらの結果を示す。
【0044】
さらに別の局面において、そして導電性は抵抗の逆数なので、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハと、ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で、約2.5パーセントの導電性の標準偏差を示す。このコンテクストで評価されたウェハはまた、約2.69×10−3〜2.86×10−3mhosの間の導電性を示す。
【0045】
図18に示されているように、別の局面において、本発明は、複数の半絶縁性炭化シリコンウェハ(各々は、少なくとも100mmの直径を有する)、ならびに各ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造、ならびに各ウェハの上面としての窒化アルミニウムガリウムのバリア層として記載され得、ウェハの75パーセントは、少なくとも0.92の窒化アルミニウムガリウムのバリア層の中心に対する縁の厚さの比を有している。図面に示されているように、これらの結果は、少なくとも10個の複数のウェハに対して決定されており、一部の実施形態においては、少なくとも15個のウェハに対して決定されている。このコンテクストにおいて、ウェハのうちの50パーセントは、少なくとも0.94のAlGaN層の中心に対する縁の厚さの比を有しており、ウェハのうちの25パーセントは、少なくとも0.95のAlGaN層の中心に対する縁の厚さの比を有している。
【0046】
別の局面において(図19)、そしてウェハごとの一貫性を再び考慮すると、本発明は、複数の半絶縁性炭化シリコンウェハ(各々は、少なくとも100mmの直径を有する)、ならびに各ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造、ならびに各ウェハの上表面としての窒化アルミニウムガリウムのバリア層である。この局面において、ウェハは、約0.98〜1.02の間の窒化アルミニウムガリウムのバリア層における中心に対する縁のアルミニウムの割合の比を有している。すなわち、ウェハは、化学気相成長に対する以前の多くのエピタキシャルの結果とは対照的に、ウェハ全面で高い一貫性を示す。
【0047】
図19に示されているように、これらの結果は、少なくとも10個の複数のウェハにわたって維持され得、多くの場合においては、少なくとも15個の複数のウェハにわたって維持され得る。言い換えると、本発明は、少なくとも10個の複数のウェハを含み得、ウェハのうちの少なくとも75パーセントは、0.99の窒化アルミニウムガリウムにおける中心に対する縁のアルミニウムの割合の比を有している。
【0048】
図3は、100ミリメートルの(4’’の)半絶縁性4H炭化シリコンウェハに対するシート抵抗の均一性のプロットである。平均の均一性は、100ミリメートルウェハの90パーセントの利用可能な領域上で、452オーム/□であった。この測定は、ウェハ円の内部における数字として指示されており、Lehighton Electronics,Inc.(アメリカ合衆国、Pennsylvania州、Lehighton)製造のLehighton Model 1510デバイスを用いて測定された。
【0049】
図4〜図11は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗率の等高図であり、各々には、示されているウェハに対する統計的概要(stastical summary)が付随されている。このシート抵抗率もまた、Lehighton Model 1510デバイスで測定された。図4〜図11に示されているように、表されている最も大きな標準偏差は1.23パーセントであり、一部の値は約0.75パーセントの低さであるので、本発明によって提供された高い均一性を示している。
【0050】
図12および図13は、本発明にしたがう、100ミリメートルの直径の高純度の半絶縁性(HPSI)4H−SiC基板上に成長させられたHEMT構造に関する移動度のデータのプロットである。これらは、Lehighton Model 1610機器を用いることにより、図12および図13に示されている5点で測定された。各場合において、移動度は1%よりも十分小さな標準偏差で2000cm2/V−sを超えていた。図12および図13におけるウェハに対する各キャリア密度は、1平方センチメートルあたり0.9×1013(つまり「0.9E13cm−2」であり、1つの有効数字として表される)であった。
【0051】
図14は、本発明にしたがうウェハに対するキャリア密度(「濃度」)のプロットであり、約3.1パーセントの割合として表される標準偏差を示している。
【0052】
図15は、本発明にしたがうウェハ構造に対する導電性(mhos)のプロットであり、約2.5パーセントの割合として表される標準偏差を示している。
【0053】
図16は、本発明にしたがうウェハに対して測定されたシート抵抗のプロットであり、約1.3パーセントの割合として表される標準偏差を示している。
【0054】
対応するように、図14Aは、わずか0.96%の標準偏差でキャリア密度の結果を示しており;図15Aは、わずか0.74%の標準偏差で導電性の結果を示しており;図16Aは、わずか0.75%の標準偏差でシート抵抗の結果を示している。
【0055】
いくつかの図面の基礎となるデータは、以下の表に示されている:
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
図17は、本発明にしたがう18個のウェハのシート抵抗の標準偏差をプロットしているグラフであり、変位値(quantile)が付随されている。図17は、大きな欠陥を有する基板における実験的なエピタキシャル成長を含んでいるので、データは高い(均一性が低い)値に向けて動いている。言い換えると、望ましくないサンプルが含まれている場合でさえも、本発明の高い品質は明確に示されている。
【0058】
図18は、本発明にしたがう16個のウェハに対する、CVゼロバイアス容量によって決定された、ウェハの中心に対するウェハの縁におけるAlGaNバリアの厚さの比のプロットであり、ここでもまた変位値が列挙されている。本明細書に開示されているように、最良のウェハは、最小の厚さと最大の厚さとの間で、1%の変化を有しており、典型的には、ウェハの縁における厚さは、ウェハの中心における厚さよりも6%小さい。
【0059】
図19は、本発明にしたがう16個のウェハのサンプルに対する、ウェハの中心に対するウェハの縁において測定されたアルミニウムの割合の比の変位量が付随されているプロットである。平均では、縁において測定されたアルミニウムの割合は、ウェハの中心における測定の99.1パーセントであり、優れた組成制御を示している。上述のように、小さな縁の部分は、これらの測定を行うときには、除外されている。
【0060】
図20および図21は、本発明にしたがう、100mmのHPSI 4H−SiCウェハ上に成長させられたHEMTに対して、X線回折によって得られた、アルミニウムのモル分率のマップである。
【0061】
図22および図23は、本発明にしたがう、100ミリメートルの直径のHPSI 4H−SiC基板上に成長させられたHEMTに対して、同様にX線回折によって測定された、AlGaNバリア層の厚さの表面のマップのプロットである。
【0062】
別の局面において、本発明は、互換性のある(compatible)基板上にアルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層を含んでいる半導体構造である。III族窒化物層は、少なくとも100ミリメートルの直径を有しており、1.36パーセント未満のアルミニウム含有量の標準偏差を示している。本発明のこの局面は、図24において、棒グラフおよび関連する統計量に示されている。本明細書に示されているように、アルミニウムの含有量の低い標準偏差に加えて、複数のウェハが同時に考慮されるときに、ウェハのうちの少なくとも75パーセントは、1.95%またはそれ未満のそれぞれのIII族窒化物層のアルミニウム含有量の標準偏差を有している。図24は、少なくとも15個の複数のウェハを示しており、これらの特性は、本発明によって提供される一貫性および精度を示している。
【0063】
別の局面において、本発明は、互換性のある基板上にアルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層の半導体構造であり、これは、少なくとも100ミリメートルの直径を有している。III族窒化物層は、2.1パーセント未満の厚さの標準偏差を示している。図25もまた、複数のウェハについて、これらの有利な特徴を示している。図25に示されているように、これらの複数のウェハのうちの少なくとも75パーセントは、7.2パーセント未満のそれぞれのIII族窒化物層の厚さの標準偏差を有している。特に、図25は、少なくとも15個の複数のウェハにわたって、この一貫性を示している。
【0064】
これらの測定は、X線回折を用いて得られ、統計用語がそれらの慣習的な意味で用いられている。
【0065】
炭化シリコン基板上のIII族窒化物層の成長に関する多くの背景的局面は、当該技術分野において一般に周知であり、余分な実験をすることなしに、当業者によって実施され得る。しかしながら、特別な議論として、本明細書に示されている構造は、典型的には、有機金属気相成長(MOCVD)を用いて成長させられる。さらなる背景として、サファイア基板上の関連する材料の成長に関する議論は、Kellerによる、Effect of growth termination conditions on the performance of AlGaN/GaN high electron mobility transistors、APPLIED PHYSICS LETTERS、Vol.70、No.20、May14、2001、pp3088〜90に開示されている。本発明によって取得される高い均一性はまた、関連する技術、例えば、MOVPE(metal−organic vapor phase epitaxy)または分子線エピタキシー(MBE)を用いることによっても可能であるが、MOCVDによって生成される材料は、MBEによって生成される材料よりも一般にコストが低く、MOCVDは、高品質(例えば、低い転位密度)のIII族窒化物材料を生成する傾向がある。
【0066】
本発明において、トリメチルガリウム((CH3)3Ga;「TMG」)およびトリメチルアルミニウム((CH3)3Al;「TMA」)が、III族のプレカーサーとして用いられており、アンモニア(NH3)が、窒化物のプレカーサーとして用いられている。しかしながら、特別な改善点として、本発明にしたがうと、最良の結果は、AlN層およびAlGaN層が、最小(約5パーセント)の水素(H2)を含む空気中で、例えば、窒素(N2)が大半を占める空気中で成長させられたときに現れることが発見された。
【0067】
n型のAlGaN層が望ましいとき、これは典型的に、プレカーサーガスとしてシラン(SiH4)を用いることによって、シリコンを用いてドープされる。
【0068】
本明細書に示され、記載された構造を形成する際に、層は、典型的には約1000℃の温度で成長させられる。
【0069】
本発明によって扱われる別の要素として、エピタキシャル層は、堆積された膜に存在する応力が原因で、そして一部の場合においては、基板に存在する応力が原因で、基板においてボーまたはワープまたはその両方を引き起こし得る。本明細書において、ボーおよびワープという用語は、当該技術分野における周知であって、それらの定義が権威のある情報源(例えば、SEMI;www.semi.org)から入手可能な意味で、用いられている。ボーまたはワープは、ウェハを処理するときに、一般には望ましくない。なぜならば、ボーまたはワープのいずれも、適切なツール(例えば、ステッパー)による、その後の平坦化を十分に妨げ得るからである。加えて、ワープおよびボーは、アニーリングステップまたはベーキングステップの間に、高温の表面との均一な接触を妨げ得る。別の問題として、真空ツールは、ボーまたはワープのあるウェハを落としてしまう傾向があるので、ウェハの破損および損失が、生じ得る。別の問題として、さらなる処理のために、例えば、ビアを形成するために、しばしば薄くされる。そのような薄くするステップにおいて、ウェハの形状の問題は、より一層深刻なものとなる。したがって、ひずみ(strain)が小さいエピタキシャル層、および結果として得られる平坦なウェハが、非常に望まれている。
【0070】
III族窒化物(「III−V」とも称される)エピタキシャル層の製造は、層におけるひずみを制御するように制御され得、ボーおよびワープを最小化または除去することを助ける。例えば、III−Vエピタキシャル層が製造される際のIII−V比(III−V ratio)および/または圧力は、III−Vエピタキシャル層におけるひずみを制御するように制御され得る。V/III比を増加させることによって、III−V層は圧縮可能(compresive)にされ得る。さらに、低圧力でIII−Vエピタキシャル層を製造することによって、III−Vエピタキシャル層は、より圧縮可能になり得る。加えて、III−Vエピタキシャル層の厚さが増加するに伴い、圧縮ひずみを有していない層は、引っ張りひずみを有することになり得る。そのような引っ張りひずみは、III−Vエピタキシャル層の欠陥(例えば、亀裂)を引き起こし得る。したがって、厚さ、成長条件、および原料物質は、製造の間にIII−Vエピタキシャル層のひずみにおける変化を回避するように制御され得る。
【0071】
GaN/AlNの核形成条件の制御によって、アイランド(island)の成長および合体(coalescence)を介して初期ひずみを制御することは、GaNエピタキシャル層のひずみを制御するためにも用いられる。例えば、圧力およびNH3の流速は、GaNエピタキシャル層の成長に起因するひずみおよびボーを低減および/または制御するように調整され得る。
【0072】
応力の制御のためのその他の技術は、同一出願人による米国特許第6,841,001号に開示されている。
【0073】
図26および図27は、本発明にしたがう、ウェハの望ましい(すなわち最小の)ボー特性およびワープ特性を示している。図26は、ウェハのカウントに対するミクロン単位のボーの大きさのプロットであり、これらの100マイクロメートルのウェハに対し、中間的な(平均的な)ボーは、31ミクロン未満であり、標準偏差は、26ミクロン未満であることを示している。複数のものとして見た場合、そのような100ミリメートルのウェハの群のうちの少なくとも75パーセントは、57ミクロン未満のボーを有している。
【0074】
図27は、ワープについて同様の結果を示している。本明細書に開示されているように、少なくとも15個の複数のウェハに対し、中間的なワープは、37ミクロン未満であり、標準偏差は、29ミクロン未満であった。100ミリメートルのウェハのうちの少なくとも75パーセントは、66ミクロン未満のワープを有している。
【0075】
厚い膜(例えば、約6ミクロンのIII族窒化物)に対し、約24ミクロンの小さなボーの大きさ、および約28ミクロンの小さな全ワープは、窒化アルミニウムの核形成層に対する初期の窒化ガリウムの成長条件を制御することによって、圧縮ひずみを意図的に低減させることにより、実現される。より薄い膜(例えば、約2ミクロンのIII族窒化物)に対し、約2ミクロンの小さなボーの大きさ、および5ミクロンの全ワープは、窒化アルミニウムの核形成層に対する初期の窒化ガリウムの成長条件を制御することによって、圧縮ひずみを意図的に低減させることにより、実現される。これらの結果を取得するにあたって、使用された100ミリメートルの直径の炭化シリコン基板は、約0.6ミリメートルの厚さであった。
【0076】
したがって、別の局面において、本発明は、100ミリメートル以上の炭化シリコンのウェハであって、100ミクロン未満のワープを有する1つ以上のIII族窒化物層が、その上に堆積されている。特定の実施形態において、炭化シリコンのウェハは、1ミリメートル未満の厚さであり得、(単数または複数の)窒化物層の全厚さは、1ミクロンよりも大きなものであり得る。その他の実施形態において、ウェハおよび層は、50ミクロン未満のワープを示し、その他の実施形態においては、25ミクロン未満のワープを示し、その他の実施形態においては、10ミクロン未満のワープを示し、一部の実施形態においては、5ミクロン未満のワープを示す。
【0077】
別の局面において、本発明は、100ミリメートル以上の炭化シリコンのウェハであって、100ミクロン未満のボーを有するIII族窒化物層が、その上に堆積されている。例示的な実施形態において、炭化シリコンのウェハは、1ミリメートル未満の厚さであり得、(単数または複数の)III族窒化物層の厚さは、1ミクロンよりも大きな厚さである。その他の実施形態において、ウェハおよび堆積されたエピタキシャル層は、50ミクロン未満のボーを示し、その他の実施形態においては、25ミクロン未満のボーを示し、その他の実施形態においては、10ミクロン未満のボーを示し、一部の実施形態においては、5ミクロン未満のボーを示す。
【0078】
特に、25ミクロン未満のボーを有するウェハおよび堆積されたエピタキシャル層は、1ミリメートル未満の厚さの炭化シリコン基板、および5ミクロンよりも大きい厚さの窒化物層を用いることにより、実現され得る。一部の実施形態において、5ミクロン未満のボーを有するウェハおよび堆積されたエピタキシャル層は、炭化シリコンが1ミリメートル未満の厚さであり、窒化物の全厚さが1ミクロンよりも大きいウェハ上で、実現され得る。一般に、所与の量の応力を有する膜に対し、ウェハのボーは、ウェハの直径および膜の厚さと共に増加し、基板の厚さと共に低減する。
【0079】
図面および明細書において、本発明の好適な実施形態が開示され、特定の用語が用いられてきたが、それらは一般的であって説明的な意味でのみ用いられており、限定を目的として用いられてはおらず、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明にしたがう半導体材料の断面の概略図を示している。
【図2】図2は、本発明にしたがうトランジスタのプレカーサーを有する半導体ウェハの概略的な断面図である。
【図3】図3は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗のマップである。
【図4】図4は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図5】図5は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図6】図6は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図7】図7は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図8】図8は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図9】図9は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図10】図10は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図11】図11は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図12】図12は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図13】図13は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図14】図14は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図14A】図14Aは、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図15】図15は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図15A】図15Aは、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図16】図16は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図16A】図16Aは、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図17】図17は、いくつかのウェハにわたるシート抵抗の結果のチャートであり、変位値を含んでいる。
【図18】図18は、ウェハの中心と比較したときのウェハの縁におけるIII族窒化物の厚さの比率に関して、複数のウェハにわたるプロットであり、変位値を含んでいる。
【図19】図19は、図18に類似した棒グラフおよび変位値であるが、ウェハの中心に対するウェハの縁におけるアルミニウムの割合の比を表している。
【図20】図20は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するアルミニウムのモル分率のマップである。
【図21】図21は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するアルミニウムのモル分率のマップである。
【図22】図22は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するIII族窒化物バリアの厚さのプロットである。
【図23】図23は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するIII族窒化物バリアの厚さのプロットである。
【図24】図24は、アルミニウムの標準偏差パーセントに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【図25】図25は、厚さの標準偏差パーセントに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【図26】図26は、ミクロン単位のボーの大きさに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【図27】図27は、ミクロン単位のワープに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波高出力アプリケーションのための半導体材料の使用に関し、詳細には、高電子移動度トランジスタ(HEMT)に対するIII族窒化物材料の使用に関し、最も詳細には、これらの材料系における改善に関し、材料系における改善は、トランジスタの電子的性能における対応する改善をもたらす。
【背景技術】
【0002】
HEMTは、例えば、レーダ、セル式電話、衛星通信、およびその他のマイクロ波回路のアプリケーション(しかし、これらには限定されない)のようなアプリケーションにおいて信号増幅の利点を提供する固体トランジスタである。
【0003】
HEMTは、従来の電界効果トランジスタ(FET)と非常に似た挙動を示す。ドレイン電極とソース電極との間の導電チャネルは、ゲート電極に電圧を印加することによって影響され得る。これは、ドレインソース電流を変調する。HEMTにおいて、導電チャネルは、ヘテロ構造(2つの異なる半導体材料が互いに隣接する)によって形成される。ヘテロ材料の間の(特に、これらへテロ材料のそれぞれのバンドギャップおよび電子親和力の)差異は、ヘテロ界面における電荷キャリアの薄層の形成を促進するために十分でなければならない。薄層は、典型的には、2次元電子ガス(「2DEG」)と称される。この層におけるキャリア濃度およびそれらの速度は、HEMTが非常に高い周波数で高い利得を維持することを可能にする。
【0004】
その他の半導体デバイスと同様に、任意の所与のHEMTの性能パラメータの多くは、それらが形成される材料に直接関係している。HEMTに対してより標準的な材料になっているガリウムヒ素(GaAs)は、シリコンよりも高い電子移動度(6000cm2/V−s)および低いソース抵抗を提供するので、対応するシリコンベースのデバイスよりも高い周波数で機能し得るデバイスを提供する。とはいえ、ガリウムヒ素は、比較的小さなバンドギャップ(1.42eV)および比較的小さいブレークダウン電圧を有し、高出力、高周波アプリケーションを制限してしまうので、ガリウムヒ素はあまり適切ではないか、または一部の場合においては、高出力、高周波アプリケーションに対して不適切である。
【0005】
したがって、HEMTにおける興味は、III族窒化物材料系のような高いバンドギャップ材料に移っている。特定の構成に依存して、III族窒化物は、約6eV(AlN対して)の高いバンドギャップ、および比較的高い移動度(約2000cm2/V−s)を有し得る。HEMTの動作に関連しておそらくより重要な点として、窒化アルミニウムガリウムをベースとした構造は、1平方センチメートルあたり(cm−2)1013よりも多くの2DEGシート密度を示し得る。
【0006】
上述のように、半導体デバイスの性能は、それらが形成される材料、ならびにそれらの材料の特定の層または基板の設計および品質に関係する。材料における品質または均一性の欠如、または(単数または複数の)デバイスのプレカーサー(precursor)を形成する材料構造における品質または均一性の欠如は、材料系から利用可能な結果としてのデバイスの生産量を低減させ、そのようなデバイスのサイズを制限する。
【0007】
サイズに関連して、不均一な材料から構成されたデバイスはまた、低い線形性を示し、閾値電圧において高い変動を示す。加えて、通常、エピタキシャル成長は、ウェハ全面で材料の変動(組成および特性)を生成する。これらは、1つ以上の要素(例えば、窒化アルミニウムガリウムにおけるアルミニウム)の密度における差異、および異なる厚さを含み得る。
【0008】
今までのところ、高品質のIII族窒化物構造は、2インチおよび3インチのウェハ上で利用可能であるが、これらは大きな出力のデバイスに対しては、有利ではない。加えて、各ウェハの縁は、サイズに関わらず、典型的には約8mmの損失を要求するので、縁の損失は、ウェハが小さいほど大きくなる。さらに、100mmはその他の材料(例えば、ガリウムヒ素)に対する共通のウェハサイズなので、III族窒化物エピタキシャル層を有する100mmのウェハは、非常にありふれた設備によって扱われ、設備を新しくすることは回避され得る。
【0009】
しかしながら、処理コストは、典型的に、サイズに関わらずに同程度であり得る。なぜならば、小さなウェハは、所与のサイズのデバイスごとの製造コストを増加させるからである。
【0010】
したがって、理論的には大きなウェハが望ましいが、ボー(湾曲)またはワープ(反り)が増加することが原因で、そして上述の典型的なエピタキシャル成長の特性が原因で、大きなウェハは管理することが困難である。
【0011】
したがって、大サイズ、高品質、高均一性能の、III族窒化物へテロ構造を含むウェハは、半導体業界においては、価値のある望ましい解決策である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(概要)
一局面において、本発明は、半導体のプレカーサー構造であって、少なくとも100ミリメートルの直径を有する炭化シリコンの単結晶と、基板上のIII族窒化物核形成層と、核形成層上の第1のIII族窒化物エピタキシャル層と、第1のIII族窒化物エピタキシャル層上の第2のIII族窒化物エピタキシャル層であって、第1の層と第2の層との間の界面で2次元電子ガスを生成するように第1の層の組成とは異なる組成を有しており、第2のIII族窒化物エピタキシャル層と、を含んでいる。2次元電子ガスにおける電子移動度を増加させるために、第2の層上に第3のIII族窒化物エピタキシャル層が存在し得る。プレカーサー構造は、前記100ミリメートル構造全面で、シート抵抗率の標準偏差が約1パーセント(1%)以下であり、プレカーサー構造はまた、前記100ミリメートル構造全面で、移動度の標準偏差が約1パーセント以下である。
【0013】
別の局面において、本発明は、有機金属気相成長(MOCVD)に適合したソースガスを用いて半絶縁性の半導体基板上にIII族窒化物層をエピタキシャル成長させるための方法である。この局面において、改善は、互いに組成が十分に異なっている2つのIII族窒化物エピタキシャル層から形成されたヘテロ構造を成長させ、窒素が大半を占める空気中でそれらの界面で、かつ少なくとも100mmの直径の基板上で、2次元電子ガスを生成することを含んでいる。
【0014】
別の局面において、本発明は、半導体基板構造であって、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性基板と、少なくとも2つのエピタキシャル層から形成された基板上のIII族窒化物ヘテロ構造であって、これら少なくとも2つのエピタキシャル層は、それらの界面において、2次元電子ガスを生成するように異なる組成を有する、III族窒化物へテロ構造と、ヘテロ構造に対して導電性のある、ソース、ドレイン、およびゲートのそれぞれの複数のコンタクトと、を含んでいる。ヘテロ構造は、100mm基板全面で、シート抵抗の標準偏差が約1パーセント以下であり、ヘテロ構造は、100mm基板全面で、移動度の標準偏差が1パーセント以下である。
【0015】
別の局面において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハ、ならびにウェハ上のIII族窒化物ヘテロ構造であり、これは、多くの特性において、高い均一性を示す。これらは、ウェハ全面で3パーセント未満のシート抵抗の標準偏差;ウェハ全面で約0.43〜0.73パーセントの間の電子移動度の標準偏差;ウェハにわたる約3.3パーセントのキャリア密度の標準偏差;ウェハ全面で約2.5パーセントの導電性の標準偏差を含む。
【0016】
別の局面において、本発明は、複数の半絶縁性炭化シリコンウェハ(各々は、少なくとも100mmの直径を有する)、であり、該ウェハは、各ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造、および各ウェハの上面としての窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)バリア層を有している。この局面において、ウェハの75パーセントは、0.08〜1.00以内の、AlGaNバリア層の中心の厚さに対する縁の厚さの比、および約0.98〜1.02の間の、(すなわち、1.00の0.02以内の)AlGaNバリア層におけるアルミニウムの最大の割合に対する最小の割合の比を有している。
【0017】
上述の目的およびその他の目的、本発明の利点、ならびにそれらを実現するための方法は、添付の図面を参酌することにより、以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一局面において、本発明は、100ミリメートル(すなわち、4インチよりもわずかに小さい)の直径の炭化シリコン基板から形成された、非常に均一であって耐久性のある品質の窒化アルミニウムガリウムの高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造である。
【0019】
別の局面において、本発明は、非常に均一な100ミリメートルの直径のウェハのプレカーサーであり、この上に、個々のHEMTが形成される。
【0020】
別の局面において、本発明は、非常に均一な100ミリメートルの直径の基板構造上の複数のHEMTである。
【0021】
本発明にしたがうHEMTのプレカーサーは、ヘテロ構造および関連する層(これらは、物理的性質、化学的性質、および電子的性質が非常に均一である)を生成するエピタキシャル成長プロセスから形成される。観察される均一性の差異は、典型的には1パーセントまたはそれ未満であり、室温における電子移動度は、2000cm2/V−sよりも大きい。これらの成長技術は、非常に平滑なエピタキシャル層をもたらし、反復性があり、III族窒化物エピタキシャル層における抵抗の改善を示し、そしてこれは、半絶縁基板(特に、半絶縁炭化シリコン基板)上に成長されるトランジスタの電気的特性を改善する。高い均一特性は、本明細書において、特に図面を参照することにより、本明細書においてさらに十分に記載される。
【0022】
始めに、図1および図2は、本発明の概略図を示している。図1は、広く30で指示されている半導体のプレカーサー構造を示している。この構造は、基板31を含んでおり、これは、少なくとも100ミリメートルの直径であり、例示的な実施形態においては、単一の結晶配向の半絶縁性炭化シリコンから形成されている。
【0023】
典型的な実施形態において、III族窒化物核形成層32は、基板31上に存在しており、基板31をカバーしている。核形成層32は、基板31と残りの構造との間に、適切な成長の遷移(transition)を提供する。第1のIII族窒化物エピタキシャル層33は、核形成層32上に存在しており、第2の異なる組成のIII族窒化物エピタキシャル層34は、第1のエピタキシャル層33上に存在している。エピタキシャル層33および34の組成、すなわちヘテロ構造は、2次元電子ガス(2DEG)を第1の層と第2の層との間の界面に生成するように、互いに異なる組成を有している。このガスは、概略的に35で示されているが、図1は一定の比率では描かれておらず、2DEGはエピタキシャル層33、34と同じ意味での物理的な層を形成していないということを理解すべきである。
【0024】
III族窒化物層を組み込んだ半導体デバイスの当業者は、本明細書に記載されている構造は例示のためのものであり、限定のためのものではないということを理解すべきである。さらに、本明細書に記載されている本発明は、様々なデバイスおよび構造(本明細書において特に記載されているものとは異なるもの、または本明細書に記載されているものよりも精巧なもの)と適切に組み合わされ得る。一群の例示的なデバイスは、米国特許第6,316,793号;米国特許第6,548,333号;米国特許第6,849,882号;米国特許出願公開第20020066908号;米国特許出願公開第20030020092号;および米国特許出願公開第20040061129号に開示されている。しかしながら、これらは、本発明と組み合わされ得る様々なデバイスを一切限定していない。
【0025】
多くの実施形態において、2次元電子ガスにおける電子移動度を増加させるために、第3のIII族窒化物エピタキシャル層36が、第2の層34上に存在する。
【0026】
当業者は、ウェハおよびウェハ上のエピタキシャル層の評価は、典型的には小さな縁の部分を除いているということを理解すべきである。縁の部分のサイズは、測定技術に依存するが、(任意の材料の)100mmのウェハに対しては、典型的には、全体で約5〜10mmであり得る(例えば、周辺部分は約2.5〜5mmの幅である)。したがって、本明細書に開示されている測定は、縁の除外を考慮に入れており、ウェハおよびエピタキシャル層を、それらのそれぞれの縁の除外部分以外について記載している。
【0027】
このプレカーサー構造は、物理的性質、化学的性質、および電子的性質が非常に均一である。この構造は、100ミリメートル構造全面で、約1パーセント(1%)以下のシート抵抗率の標準偏差を有しており、同様にプレカーサー構造は、100ミリメートルの構造全面で、約1パーセント以下の移動度の標準偏差を有している。
【0028】
一部の実施形態において、この構造は、100ミリメートル構造全面で、0.75%以下のシート抵抗率の標準偏差を有しており、100ミリメートル構造全面で、0.43%以下の移動度の標準偏差を有している。
【0029】
特定の実施形態において、炭化シリコンの単結晶基板は、炭化シリコンの3C、4H、6H、および15Rのポリタイプから選択されたポリタイプを有している。核形成層32は、典型的には、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)および窒化アルミニウム(AlN)からなる群から選択される。
【0030】
例示的な実施形態において、第1のIII族窒化物エピタキシャル層33は、窒化ガリウムであり、第2の層34は窒化アルミニウムガリウム、すなわちAlxGa1−xN、但し0<x≦1を含んでいる。窒化ガリウムおよび窒化アルミニウムガリウムの当業者は、x=1の場合に、第2のIII族窒化物エピタキシャル層34は、窒化アルミニウム(すなわち、AlN)を含み得るということを認識し得る。
【0031】
これらの例示的な実施形態において、第3のIII族窒化物エピタキシャル層は、同様に窒化アルミニウムガリウムを含むが、第2のIII族窒化物エピタキシャル層34とは異なるアルミニウムの原子分率(すなわち、「x」)を有している(それゆえに異なるガリウムの原子分率「1−x」を有している)。そのような構造において、ヘテロ構造層(例えば、GaN層33およびAlGaN層34)の間の組成の差異は、2DEGを誘導するのに十分である。
【0032】
エピタキシャル層33、34によって形成されたヘテロ構造は、高周波数デバイスに有用なので、炭化シリコン基板31は、典型的には半絶縁性である。
【0033】
図2は、広く40で指示されている半導体構造の概略図であり、これは、複数のHEMTのプレカーサーを含んでいる。この構造は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性基板41を含んでおり、例示的な実施形態においては、炭化シリコンから形成されている。III族へテロ構造42は、基板41上に存在しており、少なくとも2つのエピタキシャル層43および44から構成されている。これらエピタキシャル層43、44は、それらの界面において、2次元電子ガスを生成するように、組成が異なっている。ソース45、ドレイン46、およびゲート47の複数のコンタクトのそれぞれは、ヘテロ構造42に対して導電性がある。図2に示されているように、コンタクト45、46、47およびヘテロ構造42の間の導電性をもつ関係は、図2に示されている層51のような中間的な層を含み得る。
【0034】
ヘテロ構造42は、100mmウェハ基板全面で、約1パーセント以下のシート抵抗率の標準偏差を有しており、ヘテロ構造42は、100mm基板全面で、約1パーセント以下の移動度の標準偏差を有している。
【0035】
図2に示されているように、例示的な実施形態において、構造40は、基板41と窒化ガリウム層43との間において、基板41上のIII族窒化物核形成層50を含んでいる。
【0036】
一部の実施形態において、窒化アルミニウムガリウム層44は、非意図的に(unintentionally)ドープされる。そのような実施形態において、構造40は、ドープされた窒化アルミニウムガリウム層51を、非意図的にドープされた窒化アルミニウムガリウム層44上に含み得る。代替的に、層51は、特定のアプリケーションに対して望ましくあり得るとき、または特定のアプリケーションに対して必要であり得るときに、非意図的にドープされた窒化アルミニウムガリウムの層を含み得る。
【0037】
図2は、2組のソースコンタクト45、ドレインコンタクト46、およびゲートコンタクト47を示しているが、半導体製造の当業者は、典型的な100mmウェハは、多数(おそらくは数百)のそのようなコンタクトを含み得、これらは、100mmウェハ上に同様に多数のHEMTのプレカーサー構造を規定することを理解すべきである。そのようなデバイスを互いに絶縁および分離するステップは、当該技術分野において一般に周知であり、本明細書においては詳細に繰り返されない。
【0038】
本発明は、特に、今までに入手可能な類似の構造に対し、性能および品質の利点を提供する。
【0039】
したがって、別の局面において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンのウェハと、ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で、3パーセント(3%)未満のシート抵抗率の標準偏差を示し、多くの実施形態においては、2.7%未満のシート抵抗率の標準偏差を示し、一部の実施形態においては、約1.3%低いシート抵抗率の標準偏差を示す。
【0040】
そのような実施形態は、導電性の適切な範囲にわたって、例えば、約450オーム/□の平均シート抵抗にわたって、および約342〜356オーム/□のシート抵抗を伴って、これらの特性を示す。
【0041】
さらに他の実施形態において、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で約0.75〜1.23パーセントの間のシート抵抗率の均一性の標準偏差を示し、約293〜311オーム/□の間の平均シート抵抗率および329オーム/□以下の最大シート抵抗率を示す。
【0042】
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハと、ウェハ上のIII族へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で約0.43〜0.73パーセントの間の電子移動度の標準偏差を示す。この局面において、テストされたウェハは、室温において、約2017〜2052cm2/V−sの間の電子移動度を示し、その他の実施形態においては、役2061〜2081cm2/V−sの間の電子移動度を示す。
【0043】
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハと、ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で、約3.3パーセントのキャリア密度の標準偏差を示す。特に、この実施形態にしたがう構造は、1平方センチメートルあたり(cm−2)約8.2×1012(8.2E12)〜約8.9×1012(8.9E12)の間のキャリア密度で、これらの結果を示す。
【0044】
さらに別の局面において、そして導電性は抵抗の逆数なので、本発明は、少なくとも100mmの直径を有する半絶縁性炭化シリコンウェハと、ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造とを含む半導体構造であって、ウェハおよびヘテロ構造は、ウェハ全面で、約2.5パーセントの導電性の標準偏差を示す。このコンテクストで評価されたウェハはまた、約2.69×10−3〜2.86×10−3mhosの間の導電性を示す。
【0045】
図18に示されているように、別の局面において、本発明は、複数の半絶縁性炭化シリコンウェハ(各々は、少なくとも100mmの直径を有する)、ならびに各ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造、ならびに各ウェハの上面としての窒化アルミニウムガリウムのバリア層として記載され得、ウェハの75パーセントは、少なくとも0.92の窒化アルミニウムガリウムのバリア層の中心に対する縁の厚さの比を有している。図面に示されているように、これらの結果は、少なくとも10個の複数のウェハに対して決定されており、一部の実施形態においては、少なくとも15個のウェハに対して決定されている。このコンテクストにおいて、ウェハのうちの50パーセントは、少なくとも0.94のAlGaN層の中心に対する縁の厚さの比を有しており、ウェハのうちの25パーセントは、少なくとも0.95のAlGaN層の中心に対する縁の厚さの比を有している。
【0046】
別の局面において(図19)、そしてウェハごとの一貫性を再び考慮すると、本発明は、複数の半絶縁性炭化シリコンウェハ(各々は、少なくとも100mmの直径を有する)、ならびに各ウェハ上のIII族窒化物へテロ構造、ならびに各ウェハの上表面としての窒化アルミニウムガリウムのバリア層である。この局面において、ウェハは、約0.98〜1.02の間の窒化アルミニウムガリウムのバリア層における中心に対する縁のアルミニウムの割合の比を有している。すなわち、ウェハは、化学気相成長に対する以前の多くのエピタキシャルの結果とは対照的に、ウェハ全面で高い一貫性を示す。
【0047】
図19に示されているように、これらの結果は、少なくとも10個の複数のウェハにわたって維持され得、多くの場合においては、少なくとも15個の複数のウェハにわたって維持され得る。言い換えると、本発明は、少なくとも10個の複数のウェハを含み得、ウェハのうちの少なくとも75パーセントは、0.99の窒化アルミニウムガリウムにおける中心に対する縁のアルミニウムの割合の比を有している。
【0048】
図3は、100ミリメートルの(4’’の)半絶縁性4H炭化シリコンウェハに対するシート抵抗の均一性のプロットである。平均の均一性は、100ミリメートルウェハの90パーセントの利用可能な領域上で、452オーム/□であった。この測定は、ウェハ円の内部における数字として指示されており、Lehighton Electronics,Inc.(アメリカ合衆国、Pennsylvania州、Lehighton)製造のLehighton Model 1510デバイスを用いて測定された。
【0049】
図4〜図11は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗率の等高図であり、各々には、示されているウェハに対する統計的概要(stastical summary)が付随されている。このシート抵抗率もまた、Lehighton Model 1510デバイスで測定された。図4〜図11に示されているように、表されている最も大きな標準偏差は1.23パーセントであり、一部の値は約0.75パーセントの低さであるので、本発明によって提供された高い均一性を示している。
【0050】
図12および図13は、本発明にしたがう、100ミリメートルの直径の高純度の半絶縁性(HPSI)4H−SiC基板上に成長させられたHEMT構造に関する移動度のデータのプロットである。これらは、Lehighton Model 1610機器を用いることにより、図12および図13に示されている5点で測定された。各場合において、移動度は1%よりも十分小さな標準偏差で2000cm2/V−sを超えていた。図12および図13におけるウェハに対する各キャリア密度は、1平方センチメートルあたり0.9×1013(つまり「0.9E13cm−2」であり、1つの有効数字として表される)であった。
【0051】
図14は、本発明にしたがうウェハに対するキャリア密度(「濃度」)のプロットであり、約3.1パーセントの割合として表される標準偏差を示している。
【0052】
図15は、本発明にしたがうウェハ構造に対する導電性(mhos)のプロットであり、約2.5パーセントの割合として表される標準偏差を示している。
【0053】
図16は、本発明にしたがうウェハに対して測定されたシート抵抗のプロットであり、約1.3パーセントの割合として表される標準偏差を示している。
【0054】
対応するように、図14Aは、わずか0.96%の標準偏差でキャリア密度の結果を示しており;図15Aは、わずか0.74%の標準偏差で導電性の結果を示しており;図16Aは、わずか0.75%の標準偏差でシート抵抗の結果を示している。
【0055】
いくつかの図面の基礎となるデータは、以下の表に示されている:
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
図17は、本発明にしたがう18個のウェハのシート抵抗の標準偏差をプロットしているグラフであり、変位値(quantile)が付随されている。図17は、大きな欠陥を有する基板における実験的なエピタキシャル成長を含んでいるので、データは高い(均一性が低い)値に向けて動いている。言い換えると、望ましくないサンプルが含まれている場合でさえも、本発明の高い品質は明確に示されている。
【0058】
図18は、本発明にしたがう16個のウェハに対する、CVゼロバイアス容量によって決定された、ウェハの中心に対するウェハの縁におけるAlGaNバリアの厚さの比のプロットであり、ここでもまた変位値が列挙されている。本明細書に開示されているように、最良のウェハは、最小の厚さと最大の厚さとの間で、1%の変化を有しており、典型的には、ウェハの縁における厚さは、ウェハの中心における厚さよりも6%小さい。
【0059】
図19は、本発明にしたがう16個のウェハのサンプルに対する、ウェハの中心に対するウェハの縁において測定されたアルミニウムの割合の比の変位量が付随されているプロットである。平均では、縁において測定されたアルミニウムの割合は、ウェハの中心における測定の99.1パーセントであり、優れた組成制御を示している。上述のように、小さな縁の部分は、これらの測定を行うときには、除外されている。
【0060】
図20および図21は、本発明にしたがう、100mmのHPSI 4H−SiCウェハ上に成長させられたHEMTに対して、X線回折によって得られた、アルミニウムのモル分率のマップである。
【0061】
図22および図23は、本発明にしたがう、100ミリメートルの直径のHPSI 4H−SiC基板上に成長させられたHEMTに対して、同様にX線回折によって測定された、AlGaNバリア層の厚さの表面のマップのプロットである。
【0062】
別の局面において、本発明は、互換性のある(compatible)基板上にアルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層を含んでいる半導体構造である。III族窒化物層は、少なくとも100ミリメートルの直径を有しており、1.36パーセント未満のアルミニウム含有量の標準偏差を示している。本発明のこの局面は、図24において、棒グラフおよび関連する統計量に示されている。本明細書に示されているように、アルミニウムの含有量の低い標準偏差に加えて、複数のウェハが同時に考慮されるときに、ウェハのうちの少なくとも75パーセントは、1.95%またはそれ未満のそれぞれのIII族窒化物層のアルミニウム含有量の標準偏差を有している。図24は、少なくとも15個の複数のウェハを示しており、これらの特性は、本発明によって提供される一貫性および精度を示している。
【0063】
別の局面において、本発明は、互換性のある基板上にアルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層の半導体構造であり、これは、少なくとも100ミリメートルの直径を有している。III族窒化物層は、2.1パーセント未満の厚さの標準偏差を示している。図25もまた、複数のウェハについて、これらの有利な特徴を示している。図25に示されているように、これらの複数のウェハのうちの少なくとも75パーセントは、7.2パーセント未満のそれぞれのIII族窒化物層の厚さの標準偏差を有している。特に、図25は、少なくとも15個の複数のウェハにわたって、この一貫性を示している。
【0064】
これらの測定は、X線回折を用いて得られ、統計用語がそれらの慣習的な意味で用いられている。
【0065】
炭化シリコン基板上のIII族窒化物層の成長に関する多くの背景的局面は、当該技術分野において一般に周知であり、余分な実験をすることなしに、当業者によって実施され得る。しかしながら、特別な議論として、本明細書に示されている構造は、典型的には、有機金属気相成長(MOCVD)を用いて成長させられる。さらなる背景として、サファイア基板上の関連する材料の成長に関する議論は、Kellerによる、Effect of growth termination conditions on the performance of AlGaN/GaN high electron mobility transistors、APPLIED PHYSICS LETTERS、Vol.70、No.20、May14、2001、pp3088〜90に開示されている。本発明によって取得される高い均一性はまた、関連する技術、例えば、MOVPE(metal−organic vapor phase epitaxy)または分子線エピタキシー(MBE)を用いることによっても可能であるが、MOCVDによって生成される材料は、MBEによって生成される材料よりも一般にコストが低く、MOCVDは、高品質(例えば、低い転位密度)のIII族窒化物材料を生成する傾向がある。
【0066】
本発明において、トリメチルガリウム((CH3)3Ga;「TMG」)およびトリメチルアルミニウム((CH3)3Al;「TMA」)が、III族のプレカーサーとして用いられており、アンモニア(NH3)が、窒化物のプレカーサーとして用いられている。しかしながら、特別な改善点として、本発明にしたがうと、最良の結果は、AlN層およびAlGaN層が、最小(約5パーセント)の水素(H2)を含む空気中で、例えば、窒素(N2)が大半を占める空気中で成長させられたときに現れることが発見された。
【0067】
n型のAlGaN層が望ましいとき、これは典型的に、プレカーサーガスとしてシラン(SiH4)を用いることによって、シリコンを用いてドープされる。
【0068】
本明細書に示され、記載された構造を形成する際に、層は、典型的には約1000℃の温度で成長させられる。
【0069】
本発明によって扱われる別の要素として、エピタキシャル層は、堆積された膜に存在する応力が原因で、そして一部の場合においては、基板に存在する応力が原因で、基板においてボーまたはワープまたはその両方を引き起こし得る。本明細書において、ボーおよびワープという用語は、当該技術分野における周知であって、それらの定義が権威のある情報源(例えば、SEMI;www.semi.org)から入手可能な意味で、用いられている。ボーまたはワープは、ウェハを処理するときに、一般には望ましくない。なぜならば、ボーまたはワープのいずれも、適切なツール(例えば、ステッパー)による、その後の平坦化を十分に妨げ得るからである。加えて、ワープおよびボーは、アニーリングステップまたはベーキングステップの間に、高温の表面との均一な接触を妨げ得る。別の問題として、真空ツールは、ボーまたはワープのあるウェハを落としてしまう傾向があるので、ウェハの破損および損失が、生じ得る。別の問題として、さらなる処理のために、例えば、ビアを形成するために、しばしば薄くされる。そのような薄くするステップにおいて、ウェハの形状の問題は、より一層深刻なものとなる。したがって、ひずみ(strain)が小さいエピタキシャル層、および結果として得られる平坦なウェハが、非常に望まれている。
【0070】
III族窒化物(「III−V」とも称される)エピタキシャル層の製造は、層におけるひずみを制御するように制御され得、ボーおよびワープを最小化または除去することを助ける。例えば、III−Vエピタキシャル層が製造される際のIII−V比(III−V ratio)および/または圧力は、III−Vエピタキシャル層におけるひずみを制御するように制御され得る。V/III比を増加させることによって、III−V層は圧縮可能(compresive)にされ得る。さらに、低圧力でIII−Vエピタキシャル層を製造することによって、III−Vエピタキシャル層は、より圧縮可能になり得る。加えて、III−Vエピタキシャル層の厚さが増加するに伴い、圧縮ひずみを有していない層は、引っ張りひずみを有することになり得る。そのような引っ張りひずみは、III−Vエピタキシャル層の欠陥(例えば、亀裂)を引き起こし得る。したがって、厚さ、成長条件、および原料物質は、製造の間にIII−Vエピタキシャル層のひずみにおける変化を回避するように制御され得る。
【0071】
GaN/AlNの核形成条件の制御によって、アイランド(island)の成長および合体(coalescence)を介して初期ひずみを制御することは、GaNエピタキシャル層のひずみを制御するためにも用いられる。例えば、圧力およびNH3の流速は、GaNエピタキシャル層の成長に起因するひずみおよびボーを低減および/または制御するように調整され得る。
【0072】
応力の制御のためのその他の技術は、同一出願人による米国特許第6,841,001号に開示されている。
【0073】
図26および図27は、本発明にしたがう、ウェハの望ましい(すなわち最小の)ボー特性およびワープ特性を示している。図26は、ウェハのカウントに対するミクロン単位のボーの大きさのプロットであり、これらの100マイクロメートルのウェハに対し、中間的な(平均的な)ボーは、31ミクロン未満であり、標準偏差は、26ミクロン未満であることを示している。複数のものとして見た場合、そのような100ミリメートルのウェハの群のうちの少なくとも75パーセントは、57ミクロン未満のボーを有している。
【0074】
図27は、ワープについて同様の結果を示している。本明細書に開示されているように、少なくとも15個の複数のウェハに対し、中間的なワープは、37ミクロン未満であり、標準偏差は、29ミクロン未満であった。100ミリメートルのウェハのうちの少なくとも75パーセントは、66ミクロン未満のワープを有している。
【0075】
厚い膜(例えば、約6ミクロンのIII族窒化物)に対し、約24ミクロンの小さなボーの大きさ、および約28ミクロンの小さな全ワープは、窒化アルミニウムの核形成層に対する初期の窒化ガリウムの成長条件を制御することによって、圧縮ひずみを意図的に低減させることにより、実現される。より薄い膜(例えば、約2ミクロンのIII族窒化物)に対し、約2ミクロンの小さなボーの大きさ、および5ミクロンの全ワープは、窒化アルミニウムの核形成層に対する初期の窒化ガリウムの成長条件を制御することによって、圧縮ひずみを意図的に低減させることにより、実現される。これらの結果を取得するにあたって、使用された100ミリメートルの直径の炭化シリコン基板は、約0.6ミリメートルの厚さであった。
【0076】
したがって、別の局面において、本発明は、100ミリメートル以上の炭化シリコンのウェハであって、100ミクロン未満のワープを有する1つ以上のIII族窒化物層が、その上に堆積されている。特定の実施形態において、炭化シリコンのウェハは、1ミリメートル未満の厚さであり得、(単数または複数の)窒化物層の全厚さは、1ミクロンよりも大きなものであり得る。その他の実施形態において、ウェハおよび層は、50ミクロン未満のワープを示し、その他の実施形態においては、25ミクロン未満のワープを示し、その他の実施形態においては、10ミクロン未満のワープを示し、一部の実施形態においては、5ミクロン未満のワープを示す。
【0077】
別の局面において、本発明は、100ミリメートル以上の炭化シリコンのウェハであって、100ミクロン未満のボーを有するIII族窒化物層が、その上に堆積されている。例示的な実施形態において、炭化シリコンのウェハは、1ミリメートル未満の厚さであり得、(単数または複数の)III族窒化物層の厚さは、1ミクロンよりも大きな厚さである。その他の実施形態において、ウェハおよび堆積されたエピタキシャル層は、50ミクロン未満のボーを示し、その他の実施形態においては、25ミクロン未満のボーを示し、その他の実施形態においては、10ミクロン未満のボーを示し、一部の実施形態においては、5ミクロン未満のボーを示す。
【0078】
特に、25ミクロン未満のボーを有するウェハおよび堆積されたエピタキシャル層は、1ミリメートル未満の厚さの炭化シリコン基板、および5ミクロンよりも大きい厚さの窒化物層を用いることにより、実現され得る。一部の実施形態において、5ミクロン未満のボーを有するウェハおよび堆積されたエピタキシャル層は、炭化シリコンが1ミリメートル未満の厚さであり、窒化物の全厚さが1ミクロンよりも大きいウェハ上で、実現され得る。一般に、所与の量の応力を有する膜に対し、ウェハのボーは、ウェハの直径および膜の厚さと共に増加し、基板の厚さと共に低減する。
【0079】
図面および明細書において、本発明の好適な実施形態が開示され、特定の用語が用いられてきたが、それらは一般的であって説明的な意味でのみ用いられており、限定を目的として用いられてはおらず、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明にしたがう半導体材料の断面の概略図を示している。
【図2】図2は、本発明にしたがうトランジスタのプレカーサーを有する半導体ウェハの概略的な断面図である。
【図3】図3は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗のマップである。
【図4】図4は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図5】図5は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図6】図6は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図7】図7は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図8】図8は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図9】図9は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図10】図10は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図11】図11は、本発明にしたがうウェハに対するシート抵抗の等高図である。
【図12】図12は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図13】図13は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図14】図14は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図14A】図14Aは、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図15】図15は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図15A】図15Aは、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図16】図16は、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図16A】図16Aは、本発明にしたがうウェハの様々な電子的特性に対するポイントデータである。
【図17】図17は、いくつかのウェハにわたるシート抵抗の結果のチャートであり、変位値を含んでいる。
【図18】図18は、ウェハの中心と比較したときのウェハの縁におけるIII族窒化物の厚さの比率に関して、複数のウェハにわたるプロットであり、変位値を含んでいる。
【図19】図19は、図18に類似した棒グラフおよび変位値であるが、ウェハの中心に対するウェハの縁におけるアルミニウムの割合の比を表している。
【図20】図20は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するアルミニウムのモル分率のマップである。
【図21】図21は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するアルミニウムのモル分率のマップである。
【図22】図22は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するIII族窒化物バリアの厚さのプロットである。
【図23】図23は、本発明にしたがう100ミリメートル基板上に成長させられたトランジスタのプレカーサーに対するIII族窒化物バリアの厚さのプロットである。
【図24】図24は、アルミニウムの標準偏差パーセントに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【図25】図25は、厚さの標準偏差パーセントに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【図26】図26は、ミクロン単位のボーの大きさに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【図27】図27は、ミクロン単位のワープに対するウェハのカウントの棒グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造であって、
少なくとも100mmの直径を有する炭化シリコン基板と、
該基板上のIII族窒化物へテロ構造と
を備えており、該へテロ構造は、
シート抵抗率の標準偏差がウェハ全面で3パーセント未満であること、または電子移動度の標準偏差が該ウェハ全面で3パーセント未満であること
のうちの少なくとも1つを特徴とする、半導体構造。
【請求項2】
前記炭化シリコンは、半絶縁性である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
平均のシート抵抗率は、約300オーム/□である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
最大のシート抵抗率は、329オーム/□以下である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記へテロ構造は、前記基板上の窒化アルミニウムガリウムのエピタキシャル層を含んでおり、該窒化アルミニウムガリウム層では、前記100ミリメートル構造全面で、シート抵抗率の標準偏差が約1.5パーセント以下である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記III族へテロ構造は、少なくとも2つのエピタキシャル層から形成されており、該少なくとも2つのエピタキシャル層は、それらの界面で2次元電子ガスを生成するように組成が異なっており、
前記構造は、該へテロ構造に対する導電性のある、ソース、ドレイン、およびゲートのそれぞれの複数のコンタクトをさらに含んでいる、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記へテロ構造は、前記基板上の窒化ガリウム層と、該窒化ガリウム層上の窒化アルミニウムガリウム層とを含んでいる、請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体のプレカーサー構造であって、
前記へテロ構造の層の組成は、第1の層と第2の層との間の界面で2次元電子ガスを生成するように異なっており、
該プレカーサー構造は、前記100ミリメートル構造全面で、シート抵抗率の標準偏差が約1パーセント以下である、半導体のプレカーサー構造。
【請求項9】
前記炭化シリコン基板は、炭化シリコンの3C、4H、6H、および15Rのポリタイプから選択されたポリタイプを有する単結晶である、請求項8に記載の半導体のプレカーサー構造。
【請求項10】
前記2次元電子ガスにおける電子移動度を増加させる、前記第2の層上の第3のIII族窒化物エピタキシャル層を含んでいる、請求項8に記載の半導体のプレカーサー構造。
【請求項11】
前記ウェハ全面で、キャリア密度の標準偏差が3.3%未満である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項12】
キャリア密度は、約9E12cm−2である、請求項11に記載の半導体構造。
【請求項13】
アルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層を含み、
該III族窒化物の層では、最大のアルミニウム含有量に対する最小のアルミニウム含有量の比は、少なくとも0.9である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項14】
請求項13に記載の構造を組み込んだ複数の炭化シリコンのウェハであって、
該各ウェハの上面としてのAlGaNバリア層を含んでおり、
該ウェハでは、該AlGaNバリア層における中心に対する縁のアルミニウムの割合の比は、約0.98〜1.02の間であり、
該ウェハの75%では、該AlGaNバリア層の最大の厚さに対する最小の厚さの比は少なくとも0.8である、ウェハ。
【請求項15】
半導体構造であって、
互換性のある基板上の窒化ガリウムおよび窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択されたIII族窒化物のエピタキシャル層を備え、
該III族窒化物の層は、少なくとも100ミリメートルの直径を有しており、
該III族窒化物の層では、最大の厚さに対する最小の厚さの比は少なくとも0.8である、半導体構造。
【請求項16】
半導体構造であって、
少なくとも約100ミリメートルの直径を有する炭化シリコンウェハと、
該炭化シリコンウェハ上のIII族窒化物層であって、該炭化シリコンウェハと実質的に同じ直径を有している、III族窒化物層と
を備えており、
該ウェハおよびエピタキシャル層は、100ミクロン未満のワープを有している、半導体構造。
【請求項17】
半導体構造であって、
少なくとも100ミリメートルの直径を有する炭化シリコンのウェハと、
該炭化シリコンのウェハ上のIII族窒化物のエピタキシャル層であって、該ウェハと実質的に同じサイズを有している、III族窒化物のエピタキシャル層と
を備えており、
該ウェハおよびエピタキシャル層は、100ミクロン未満のワープを有している、半導体構造。
【請求項18】
前記エピタキシャル層は、1ミクロンよりも大きい厚さを有しており、前記炭化シリコンのウェハは、1ミリメートル未満の厚さを有している、請求項16または請求項17に記載の半導体構造。
【請求項19】
半導体構造であって、
互換性のある基板上のアルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層を備え、
該III族窒化物の層は、少なくとも100ミリメートルの直径を有しており、
該III族窒化物の層は、5パーセント未満の厚さの標準偏差を示している、半導体構造。
【請求項20】
前記基板は、炭化シリコンを含んでいる、請求項19に記載の半導体構造。
【請求項21】
有機金属気相成長に適合したソースガスを用いて半導体基板上にIII族窒化物層をエピタキシャル成長させる方法であって、改善は、
互いに組成が十分に異なっている2つのIII族窒化物エピタキシャル層から形成されたヘテロ構造を成長させ、最小の水素を含む空気中でそれらの界面で、かつ少なくとも100mmの直径の基板上で、2次元電子ガスを生成すること
を含んでいる、方法。
【請求項22】
半絶縁性の基板上で、ヘテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記基板上の窒化ガリウムエピタキシャル層と、
該窒化ガリウム層上のAlxGa1−xN、但し0<x≦1のエピタキシャル層と
からなるヘテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、およびアンモニアをソースガスとして用いることによって、前記へテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記へテロ構造における窒化アルミニウムガリウムのエピタキシャル層にドーピングするシリコンソースガスとしてシランを用いることを含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
半絶縁性炭化シリコン基板上にヘテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記窒化ガリウムエピタキシャル層を成長させるステップの前に、前記基板上に核形成層を成長させるステップをさらに含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
半導体構造であって、
少なくとも100mmの直径を有する炭化シリコン基板と、
該基板上のIII族窒化物へテロ構造と
を備えており、該へテロ構造は、
シート抵抗率の標準偏差がウェハ全面で3パーセント未満であること、または電子移動度の標準偏差が該ウェハ全面で3パーセント未満であること
のうちの少なくとも1つを特徴とする、半導体構造。
【請求項2】
前記炭化シリコンは、半絶縁性である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
平均のシート抵抗率は、約300オーム/□である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
最大のシート抵抗率は、329オーム/□以下である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記へテロ構造は、前記基板上の窒化アルミニウムガリウムのエピタキシャル層を含んでおり、該窒化アルミニウムガリウム層では、前記100ミリメートル構造全面で、シート抵抗率の標準偏差が約1.5パーセント以下である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記III族へテロ構造は、少なくとも2つのエピタキシャル層から形成されており、該少なくとも2つのエピタキシャル層は、それらの界面で2次元電子ガスを生成するように組成が異なっており、
前記構造は、該へテロ構造に対する導電性のある、ソース、ドレイン、およびゲートのそれぞれの複数のコンタクトをさらに含んでいる、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記へテロ構造は、前記基板上の窒化ガリウム層と、該窒化ガリウム層上の窒化アルミニウムガリウム層とを含んでいる、請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体のプレカーサー構造であって、
前記へテロ構造の層の組成は、第1の層と第2の層との間の界面で2次元電子ガスを生成するように異なっており、
該プレカーサー構造は、前記100ミリメートル構造全面で、シート抵抗率の標準偏差が約1パーセント以下である、半導体のプレカーサー構造。
【請求項9】
前記炭化シリコン基板は、炭化シリコンの3C、4H、6H、および15Rのポリタイプから選択されたポリタイプを有する単結晶である、請求項8に記載の半導体のプレカーサー構造。
【請求項10】
前記2次元電子ガスにおける電子移動度を増加させる、前記第2の層上の第3のIII族窒化物エピタキシャル層を含んでいる、請求項8に記載の半導体のプレカーサー構造。
【請求項11】
前記ウェハ全面で、キャリア密度の標準偏差が3.3%未満である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項12】
キャリア密度は、約9E12cm−2である、請求項11に記載の半導体構造。
【請求項13】
アルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層を含み、
該III族窒化物の層では、最大のアルミニウム含有量に対する最小のアルミニウム含有量の比は、少なくとも0.9である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項14】
請求項13に記載の構造を組み込んだ複数の炭化シリコンのウェハであって、
該各ウェハの上面としてのAlGaNバリア層を含んでおり、
該ウェハでは、該AlGaNバリア層における中心に対する縁のアルミニウムの割合の比は、約0.98〜1.02の間であり、
該ウェハの75%では、該AlGaNバリア層の最大の厚さに対する最小の厚さの比は少なくとも0.8である、ウェハ。
【請求項15】
半導体構造であって、
互換性のある基板上の窒化ガリウムおよび窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択されたIII族窒化物のエピタキシャル層を備え、
該III族窒化物の層は、少なくとも100ミリメートルの直径を有しており、
該III族窒化物の層では、最大の厚さに対する最小の厚さの比は少なくとも0.8である、半導体構造。
【請求項16】
半導体構造であって、
少なくとも約100ミリメートルの直径を有する炭化シリコンウェハと、
該炭化シリコンウェハ上のIII族窒化物層であって、該炭化シリコンウェハと実質的に同じ直径を有している、III族窒化物層と
を備えており、
該ウェハおよびエピタキシャル層は、100ミクロン未満のワープを有している、半導体構造。
【請求項17】
半導体構造であって、
少なくとも100ミリメートルの直径を有する炭化シリコンのウェハと、
該炭化シリコンのウェハ上のIII族窒化物のエピタキシャル層であって、該ウェハと実質的に同じサイズを有している、III族窒化物のエピタキシャル層と
を備えており、
該ウェハおよびエピタキシャル層は、100ミクロン未満のワープを有している、半導体構造。
【請求項18】
前記エピタキシャル層は、1ミクロンよりも大きい厚さを有しており、前記炭化シリコンのウェハは、1ミリメートル未満の厚さを有している、請求項16または請求項17に記載の半導体構造。
【請求項19】
半導体構造であって、
互換性のある基板上のアルミニウムを含むIII族窒化物のエピタキシャル層を備え、
該III族窒化物の層は、少なくとも100ミリメートルの直径を有しており、
該III族窒化物の層は、5パーセント未満の厚さの標準偏差を示している、半導体構造。
【請求項20】
前記基板は、炭化シリコンを含んでいる、請求項19に記載の半導体構造。
【請求項21】
有機金属気相成長に適合したソースガスを用いて半導体基板上にIII族窒化物層をエピタキシャル成長させる方法であって、改善は、
互いに組成が十分に異なっている2つのIII族窒化物エピタキシャル層から形成されたヘテロ構造を成長させ、最小の水素を含む空気中でそれらの界面で、かつ少なくとも100mmの直径の基板上で、2次元電子ガスを生成すること
を含んでいる、方法。
【請求項22】
半絶縁性の基板上で、ヘテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記基板上の窒化ガリウムエピタキシャル層と、
該窒化ガリウム層上のAlxGa1−xN、但し0<x≦1のエピタキシャル層と
からなるヘテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、およびアンモニアをソースガスとして用いることによって、前記へテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記へテロ構造における窒化アルミニウムガリウムのエピタキシャル層にドーピングするシリコンソースガスとしてシランを用いることを含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
半絶縁性炭化シリコン基板上にヘテロ構造を成長させることを含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記窒化ガリウムエピタキシャル層を成長させるステップの前に、前記基板上に核形成層を成長させるステップをさらに含んでいる、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【図15】
【図15A】
【図16】
【図16A】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【図15】
【図15A】
【図16】
【図16A】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2008−544486(P2008−544486A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515692(P2008−515692)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/012930
【国際公開番号】WO2006/135477
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/012930
【国際公開番号】WO2006/135477
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】
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