説明

着色シリコーンヒドロゲルレンズ製造用硬化性着色インク

本発明は、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための化学線または熱硬化性インクを提供する。本発明のインクは、少なくとも一種の着色剤、溶媒、およびエチレン性不飽和基と少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含むバインダーポリマーを含む。本発明のインクは、化学線または熱硬化させてシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ上に着色塗膜を形成する能力を有することを特徴とし、着色塗膜は、コンタクトレンズのレンズ材料に共有結合することなく、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズへの良好な付着性を有する。本発明は、また、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学線または熱硬化性インクおよび着色コンタクトレンズの製造方法に関し、特に、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
美容上の目的で、一種または複数の着色剤をレンズ中に分散させた、またはレンズ上にプリントさせたコンタクトレンズの需要は高い。これらの着色コンタクトレンズは、眼の自然な美しさを高め、または装着者の虹彩に特有の模様を提供し、または非美容的模様もしくはマーク、例えば、回転マーク、反転マーク、商品/商標コード、ロット番号、「DEMO」レンズなどを提供するが、これらの模様もしくはマークは装着者、アイケア従事者、製造業者のためになるものである。親水性(ヒドロゲル)コンタクトレンズかまたは次いでヒドロゲルコンタクトレンズを製造するために使用されるモールドのいずれかをプリントするのに適したプリントインクを製造するために様々な方法が開示されてきた。
【0003】
Loshaekへの米国特許第4,668,240号は、官能基−COOH、−OH、または−NH−R(Rは水素またはC〜Cアルキルである)を1個以上含有するレンズポリマーで製造した着色コンタクトレンズを開示している。レンズ表面の少なくとも一部を色塗で被覆するが、この色塗は、少なくとも一種の顔料、同じ官能基を有するバインダーポリマー、ならびに−NCOおよびエポキシの少なくとも一つから選択した分子当たり少なくとも2個の基を有する追加の化合物を含む。Loshaekの特許は、また、レンズポリマーが官能基−NCOまたはエポキシを1個以上含有してよいが、それに対してバインダーポリマーは官能基−COOH、−OH、または−NH−Rの内の1個以上を含有してよいことも開示している。次いで、レンズおよびバインダーポリマーまたは結合用ポリマー中の基−COOH、−OH、または−NH−Rと、バインダーポリマーまたはレンズ中の基−NCOまたはエポキシとの反応によって、レンズおよび結合用ポリマーを互いに結合させる。
【0004】
Narducyらへの米国特許第4,857,072号は、着色親水性コンタクトレンズの製造方法を開示している。レンズ表面の少なくとも一部を色塗で被覆するに、この色塗は、少なくとも一種の顔料、官能基を有する結合用ポリマー、および−NCO一分子当たり少なくとも2個の基を有する追加の化合物を含む。次いで、被覆レンズを、色塗をレンズに付着させる条件に付す。
【0005】
Quinnへの米国特許第5,272,010号は、イソシアナート化合物を必要としないこと以外は米国特許第4,668,240号および同第4,857,072号に類似する、着色コンタクトレンズの調製方法を開示している。その代わり、ヘキサメトキシメチルメラミンのような定着剤を使用する。
【0006】
Quinnらへの米国特許出願刊行物第2003/0054109号は、着色親水性コンタクトレンズの製造方法を開示している。レンズ表面の少なくとも一部を色塗で被覆するに、この色塗は、少なくとも一種の着色剤、ならびに潜在的架橋結合可能なペンダント基(例えば、エポキシ、ヒドロキシ、アルケニル、イソシアネート、ペルオキシ、ペルエステル、無水物、シラン、およびそれらの組合せ)を有するバインダーポリマーを含む。次いで、レンズを、色塗をレンズに付着させる条件に付す。そのような方法では、インクには、ヘキサメチレンジイソシアナートやヘキサメトキシメチルメラミンのような別の定着剤種が実質的に存在しない。
【0007】
しかし、当分野で公知の方法には幾つかの短所がある。第一に、従来技術に記載されているインクは、非シリコーンヒドロゲルレンズ向けであり、シリコーンヒドロゲルとの使用には望ましくないはずである。近年、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、例えば、Focus NIGHT & DAYTM(CIBA VISION)は、高酸素透過性によって得られる角膜の健康に有利であることおよび快適さから、ますます人気が高まっている。従来技術に記載されているインクには、シリコーンヒドロゲルレンズには適合し得ない特性(例えば、表面エネルギー、酸素透過性、含水率、膨張特性など)がある。それらのインクは、慣用の(非シリコーン系)ヒドロゲル用に設計され、シリコーンヒドロゲルレンズ用には設計されていないからである。それらのインクは、シリコーンヒドロゲルレンズの特性に悪い影響を与え得る。
【0008】
第二に、従来技術に記載されているインクは、インク中の定着剤、アクチベータ(活性化薬剤)、およびバインダーポリマー中に存在する反応性官能基のために不安定であるという問題を有しうる。プリントの質、インクポットライフ、およびインクのレンズ付着能力に負の影響を与える、反応性官能基間での早期の反応が生じうる。
【0009】
第三に、従来技術に記載されているインクでは、レンズへの色塗の付着性を促進するために、製造工程中、薬剤または反応性コーティングを追加する必要が生じるかもしれない。これは、製造工程に追加成分を加えることに伴う不利全てを有している。
【0010】
第四に、従来技術に記載されているインクは、インクを硬化させる(ゲル化させる)または色塗のレンズ付着性を促進させるための融通性を、製造業者に供し得ない。例えば、熱硬化は、しばしば、プラスチック(例えば、ポリプロピレン)製使い捨てモールドの成形面の一面にインクをプリントした後実施される。レンズの作製前に、プラスチック製使い捨てモールド上でインクを熱硬化させると、モールドを変形させ、容認できない品質のレンズを生じ得る。さらに、インクの熱硬化によって、ポリプロピレンの成形面を巻き込む熱酸化過程が生じ得る。それ故に、熱硬化は、硬化反応速度およびレンズ質に悪影響を与えうる。
【0011】
従って、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法、およびシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ上に高品質カラーイメージをプリントするのに適したインクについての要求が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来技術の少なくとも一つの以上の欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、本発明は、着色コンタクトレンズ、特に、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのインクを提供する。本発明のインクは、少なくとも一種の着色剤、溶媒、およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを有するバインダーポリマーを含み、該インクはコンタクトレンズ上に着色塗膜を形成するために化学線または熱硬化させて着色塗膜を形成する能力を有することを特徴とし、着色塗膜はコンタクトレンズのレンズ材料に共有結合することなく、コンタクトレンズへの良好な付着性を有する。
【0014】
別の態様では、本発明は、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、(a)シリコーンヒドロゲルで構築したコンタクトレンズを供するステップ、(b)インクでレンズ表面の少なくとも一部に色塗を適用するステップであって、該インクが少なくとも一種の着色剤、およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む、光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含むステップ;並びに(c)該インクを硬化させ、それによって色塗をレンズに付着させるステップを含む方法を提供する。
【0015】
それ以上の態様では、本発明は、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、(a)インクでレンズモールドの成形面の少なくとも一面の少なくとも一部に色塗を適用するステップであって、該インクが少なくとも一種の着色剤、およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む、光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含み、該モールドが成形面間にレンズ形成用キャビティを有し、着色塗膜がレンズ形成用キャビティ内部に曝露される第1表面、および成形面と接触する第2表面を含有するステップ;(b)色塗を定位置に実質的に維持しながら、該モールドのレンズ形成用キャビティにレンズ形成材料を分注するステップ;(c)レンズ形成用キャビティ内でレンズ形成材料を硬化させてコンタクトレンズを形成し、それで着色塗膜が成形面から脱離し、コンタクトレンズ本体と一体になるステップを含む方法を含む。
【0016】
なお更に別の態様では、本発明は、中にイメージを埋封させた着色コンタクトレンズの製造方法を提供する。この方法は、(a)インクでレンズモールドの成形面の少なくとも一面の少なくとも一部に色塗を適用するステップであって、該インクが少なくとも一種の着色剤、および光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含み、該モールドが成形面間にレンズ形成用キャビティを有するステップ;(b)着色塗膜を熱もしくは化学線硬化させて着色フィルムを形成するステップであって、該フィルムはいずれの成形面にも共有結合していないステップ;(c)該モールドのレンズ形成用キャビティにレンズ形成材料を分注するステップ;(d)レンズ形成材料を着色フィルムに十分な時間浸漬させ、それで、成形面から着色フィルムを剥がしながら、レンズ形成材料の一部が着色フィルムと成形面との間の空間に浸透するようにするステップ;(c)レンズ形成用キャビティ内でレンズ形成材料を硬化させてコンタクトレンズを形成し、それで着色コンタクトレンズの前面と後面との間のコンタクトレンズ本体内に着色フィルムを埋封するステップを含む。
【0017】
以下スキーム1〜7に、本発明の好ましい実施態様に従って着色シリコーンヒドロゲルレンズを製造するための、様々な光硬化性インクバインダーの合成方法を記載する。任意の数の溶媒(例えば、トルエン、THF、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロペンタノン、乳酸エチル)をポリマー合成に利用できる。スキームに収載した材料の略語は以下の通りである:DMA=N,N−ジメチルアクリルアミド、HEMA=2−ヒドロキシエチルメタクリラート、MAA=メタクリル酸、TRIS=3−メタクリロキシプロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン、PDMS−MA=モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、IEM=2−イソシアナトエチルメタクリラート、DABCO=1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、DBTDL=ジブチルスズジラウラート、AIBN=2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)。
【0018】
【化2】













【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
今、本発明の実施態様について、詳細に言及することにする。本発明において本発明の範囲または精神から逸脱することなしに、様々な変更および変形をなすことができることは当業者には明らかであると思う。例えば、一実施態様の部分として例示しまたは記載する特徴を別の実施態様で使用して、なおさらなる実施態様を生じることができる。これより、本発明は添付の特許請求の範囲内で普通のような変更および変形ならびにそれらの均等物に及ぶことを意図する。本発明の他の目的、特徴、および態様は、以下の詳細な記述に開示され、またはその記述から明白である。当業者は、本考察が例示的実施態様の説明にしか過ぎず、本発明のより広い態様を制限することを意図するものではないことを理解されるべきである。
【0020】
他に規定しない場合には、本明細書中で使用する技術的および科学的用語は全て、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用される名称および実験手順は、周知であり、当分野で一般的に使用されている。これらの手順には、当分野および様々な一般文献で提供されているもののような慣用法が使用される。用語が単数形で示されている場合、本発明者らはその用語の複数形も企図している。本明細書中で使用する名称および以下に記載する実験手順は、周知であり、当分野で一般的に採用されているものである。
【0021】
「コンタクトレンズ」は、装着者の眼上または眼内に置くことができる構造物を言う。コンタクトレンズは、使用者の視力を修正し、改善し、または改変することができるが、そうである必要はない。コンタクトレンズは、当分野で公知のまたは後に開発される任意の適当な材料にすることができ、ソフトレンズ、ハードレンズ、またはハイブリッドレンズにすることができる。コンタクトレンズは、乾燥状態または湿潤状態であることができる。「乾燥状態」は水和する前の状態のソフトレンズ、または保存もしくは使用条件下にあるハードレンズ状態を言う。「湿潤状態」は、水和された状態のソフトレンズを言う。本明細書中で使用する通りの、コンタクトレンズの「フロント面または前面」は、装着中眼から離れた方を向くレンズ表面を言う。典型的に実質的に凸面である前面は、また、レンズのフロントカーブと称してもよい。
【0022】
本明細書中で使用する通りのコンタクトレンズの「リア面または後面」は、装着中眼に向かって面するレンズ表面を言う。典型的に実質的に凹面であるリア面は、また、レンズのベースカーブと称してもよい。
【0023】
「着色コンタクトレンズ」は、上にカラーイメージをプリントさせた(ハードまたはソフト)コンタクトレンズを言う。カラーイメージは、美容上の模様、例えば、虹彩様の模様、Wild EyeTMパターン、オーダーメード(MTO)パターンなどにすることができ;使用者が容易にコンタクトレンズを取扱いかつ挿入するのを可能にする反転マーク;あるいは例えば、番号の形でかまたはバーコードとしてのいずれかでコンタクトレンズ在庫保有ユニット(SKU)にすることができる。カラーイメージは、単色イメージまたは多色イメージにすることができる。カラーイメージは、デジタルイメージであることが好ましいが、アナログイメージにすることもできる。
【0024】
着色コンタクトレンズは、本発明の方法およびシステムを使用し、高品質カラーイメージを直接コンタクトレンズ上にプリントするによって製造することができる。コンタクトレンズは、プリントする前は透明であることができる。代わりに、コンタクトレンズは、プリントする前に色を付けることができる。すなわち、当分野で周知の方法を使用して、そのレンズに着色剤を加えた後に、本発明のプリント方法を使用してそのレンズにプリントしてもよい。
【0025】
「着色剤」は、染料または顔料またはそれらの混合物のいずれかを意味し、物品にカラーイメージをプリントするために使用される。
【0026】
「染料」は、溶媒に可溶な材料を意味し、色を与えるために使用される。染料は、典型的には半透明であり、光を吸収するが散乱させない。染料は、コンタクトレンズの光学領域およびコンタクトレンズの非光学領域の両方に及ぶことができる。以下に記述する通りの装置で使用できるかぎり、ほぼいずれの染料も本発明で使用することができる。これらの染料には、蛍光染料、リン光染料、および慣用の染料が含まれる。
【0027】
「蛍光」は、可視光または一波長での紫外線を吸収した後に、より長い波長でほぼ直ちに発光することによって引き起こされるルミネセンスを意味する。蛍光発光は、光または入射紫外線が停止するとほぼ直ちに終わる。
【0028】
「リン光」は、一波長での放射線を吸収した後に、異なる波長での遅れた発光によって引き起こされるルミネセンスである。リン光の発光は、入射光が停止した後も長時間続く。
【0029】
「顔料」は、顔料が不溶性である液体中で懸濁する粉末にした材料を意味する。顔料は、色を付けするために使用される。一般に、顔料は染料より不透明である。
【0030】
本明細書中で使用する通りの用語「慣用の顔料または非真珠箔顔料」は、散漫散乱の光学原理に基づいて色を付ける任意の吸収性顔料について記載する意図であり、その色はその形状大きさと無関係である。任意の適した非真珠箔顔料を使用してよいが、非真珠箔顔料は、熱耐性であり、無毒でありかつ水溶液に不溶性であるということが現時点で好ましい。好ましい非真珠箔顔料の例には、医療器具において許可され、FDAによって認可されている任意の着色剤、例えば、 D&C Blue No. 6、D&C Green No. 6、D&C Violet No. 2、カルバゾールバイオレット、ある種の銅錯体、ある種の酸化クロム、様々な酸化鉄、フタロシアニン(PCN)グリーン、フタロシアニン(PCN)ブルー、二酸化チタンなどが含まれる。本発明で使用してよい着色剤のリストについては、Marmiom DM Handbook of U.S. Colorantsを参照のこと。非真珠箔顔料のより好ましい実施態様(C.I.はカラーインデックス番号である)には、青色には、フタロシアニンブルー(顔料ブルー15:3、C.I.74160)、コバルトブルー(顔料ブルー36、C.I.77343)、TonerシアンBG(Clariant)、PermajetブルーB2G(Clariant);緑色には、フタロシアニングリーン(顔料グリーン7、C.I.74260)およびクロムセスキオキシド;黄色、赤色、褐色および黒色には、様々な酸化鉄;PR122、PY154、バイオレットには、カルバゾールバイオレット、黒色には、Monolith black C-K(CIBA Specialty Chemicals)が含まれ、それらに限らない。「真珠光」は真珠のような光沢があること;物理的外観が真珠に似ていること;またはほぼ中間色のわずかに青味を帯びたミディアムグレイ色をしていることを意味する。
【0031】
「真珠箔顔料」は、高屈折率材料(例えば酸化チタニウムや酸化鉄のような金属酸化物)の光学的に薄いコーティングで塗被された低屈折率材料の透明な薄い板状体(例えば、透明な雲母板状体)であり、薄膜干渉の光学原理に主として基づいて色を付ける干渉(効果)顔料のクラスを言う。金属酸化物の光学的に薄いコーティングは、金属酸化物の単一薄層または多数薄層で構成されることができる。板状体に適用される光学的に薄いコーティングは、干渉効果に寄与し、干渉効果は、外観を照明および見る条件に応じて変化させる。色は、コーティングの厚み、屈折率、および照明の角度によって決定される。光学的に薄いコーティングは、また、雲母板状体からの部分反射および雲母板状体を通る部分的透過により、濃く深い光沢のある効果の原因にもなる。このクラスの顔料は、真珠のような光沢と虹色効果とを提供することができる。酸化物コーティングを有する雲母板状体である真珠箔顔料は、ニュージャージー州IselinのEnglehard Corp.から「Mearlin Pigment」系統、例えば、「Hi-Lite Interference Colors」、「Dynacolor Pearlescent Pigments」、「MagnaPearl」、「Flamenco」、および「Celini Colors」で市販されている。真珠箔着色剤の更なる製造業者は以下の通りである:ジョージア州SavannahのKemira, Inc.商品名が「Flonac Lustre Colors」の顔料;およびニューヨーク州HawthorneのEM Industries, Inc.商品名が「Affair Lustre Pigments」の顔料。
【0032】
本明細書で使用する通りのインクに関する「安定な」は、特定の時間に渡って液相分離および/または顔料沈殿および/または粘度上昇が生じないことを意味する。安定なインクによって、着色眼用レンズの製造において一層の融通性をもたらすことができる。
【0033】
本明細書中で使用する通りのインクに関する用語「医療器具への良好な付着」は、インクでコンタクトレンズ上にプリントしたカラーイメージが、少なくとも指摩擦試験に通ることができることを意味し、指摩擦試験および滅菌存続試験に通ることができることが好ましい。
【0034】
「バインダーポリマー」は、医療器具(好ましくはコンタクトレンズ)、例えば、当分野でその用語が公知であるような医療器具にまたは中に着色剤を捕捉しまたは結合するために、架橋剤によって、あるいは化学的または物理的手段(例えば、湿気、加熱、UV照射など)による開始する際に、架橋することができる架橋結合可能なポリマーを言う。
【0035】
用語「オレフィン性不飽和基」は、本明細書中で広義に使用しかつ少なくとも1個の>C=C<基を有するいずれの基を包含することを意図する。エチレン性不飽和基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル、または他のC=C含有基が含まれ、それらに限定しない。
【0036】
「ヒドロゲル」は、完全に水和した場合、少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマー材料を言う。一般的に、ヒドロゲル材料は、追加のモノマーおよび/またはマクロマーの存在または不存在において少なくとも一種の親水性モノマーの重合または共重合によって得られる。
【0037】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーまたは少なくとも一種のシリコーン含有マクロマーを含む重合可能組成物の共重合によって得られるヒドロゲルを言う。
【0038】
本明細書で使用する通りの「親水性」は、脂質とよりも水と容易に結合することになる材料またはその部分を表す。
【0039】
「レンズ形成材料」は、熱または化学線硬化(すなわち重合および/または架橋)させて架橋されたポリマーを得ることができる重合可能な組成物を言う。重合可能な組成物もしくは材料またはレンズ形成材料を硬化しまたは重合することに関して、本明細書中で使用する通りの「化学線」は化学線性照射、例えば、UV照射、電離放射(例えば、γ線またはX線照射)、マイクロ波照射などにより硬化(例えば、架橋および/または重合)を実施することを意味する。熱硬化または化学線硬化法は当業者に周知である。レンズ形成材料は、当業者に周知である。
【0040】
「プレポリマー」は、化学線または熱によりあるいは化学的に硬化(例えば、架橋および/または重合)して、出発ポリマーよりも分子量がはるかに大きい架橋ポリマーおよび/または重合ポリマーを得ることができる出発ポリマーを言う。「架橋結合可能なプレポリマー」は、化学線照射する際に架橋して出発ポリマーよりも分子量がはるかに大きい架橋ポリマーを得ることができる出発ポリマーを言う。
【0041】
「モノマー」は、重合させることができる低分子量化合物を意味する。典型的には、低分子量とは平均分子量700ダルトン未満を意味する。
【0042】
本明細書中で使用する通りの「ビニルモノマー」は、エチレン性不飽和基を有しかつ化学線または熱により重合させることができる低分子量化合物を言う。典型的には、低分子量は平均分子量700ダルトン未満を意味する。本明細書中で使用する通りの「親水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとしては、典型的には水溶性でありまたは少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマーを生成するビニルモノマーを言う。
【0043】
本明細書中で使用する通りの「疎水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとしては、典型的には、水に不溶でありかつ10重量%未満の水を吸収することができるポリマーを生成するビニルモノマーを言う。
【0044】
「マクロマー」は、さらに重合/架橋反応を受けることが可能な官能基を含む中〜高分子量化合物またはポリマーを言う。典型的には、中および高分子量は、平均分子量が700ダルトンを超えることを意味する。マクロマーは、エチレン性不飽和基を有しかつ化学線または熱により重合させることができることが好ましい。
【0045】
「ポリマー」は、一種以上のモノマー、マクロマーおよびまたはオリゴマーを重合/架橋することによって形成される材料を意味する。
【0046】
「光開始剤」は、光の使用によりラジカル架橋/重合反応を開始する化学薬品を言う。適した光開始剤には、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocure(登録商標)型、およびIrgacure(登録商標)型が含まれ、これらに限定されず、Darocure(登録商標)1173、およびIrgacure(登録商標)2959が好ましい。「熱開始剤」は、熱エネルギーの使用によりラジカル架橋/重合反応を開始する化学薬品を言う。適した熱開始剤の例には、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物等が含まれ、これらに限定されない。熱開始剤は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)が好ましい。
【0047】
本明細書で使用する通りの「相互侵入高分子網目(IPN)」は、広く2種以上のポリマーの密接した網目を言い、ポリマーの少なくとも一種は他方の存在下で合成されるおよび/または架橋されるのいずれかである。IPNを調製するための技術は当業者に知られている。一般的な手順については、米国特許第4,536,554号、同第4,983,702号、同第5,087,392号、および同第5,656,210号を参照されたい。
【0048】
約室温〜約145℃の温度範囲で重合を実施するのが一般的である。
【0049】
一態様では、本発明は、着色コンタクトレンズ、特に、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのインクを提供する。本発明のインクは、少なくとも一種の着色剤、溶媒、およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む、光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含む。
【0050】
コンタクトレンズまたはモールドの成形面に着色塗膜を形成するために、本発明のインクは、化学線または熱硬化可能である。
【0051】
本発明のインクは、また、コンタクトレンズ、好ましくはシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズへの良好な付着性を有する。本明細書中で使用する通りの着色塗膜またはインクに関する「コンタクトレンズまたはシリコンヒドロゲルコンタクトレンズへの良好な付着性」は、レンズ上にインクで生成した(カラーイメージを有する)着色塗膜が少なくとも指摩擦試験に通り好ましくは指摩擦試験およびメタノール中(または他の適した溶媒、例えば、イソプロパノールなど)超音波処理存続試験に通ることができることを意味する。
【0052】
指摩擦試験は、包装溶液、例えば、生理食塩水から水和したコンタクトレンズを取り出し、2本の指、または指と手掌とのいずれかの間で約10秒までの間レンズを指で摩擦することによって行う。着色剤の表面にじみ、汚れ、または剥離の可視および顕微鏡(〜10×)観察は、摩擦試験の不合格を示す。
【0053】
メタノール中(または他の適当な溶媒、例えば、イソプロパノールなど)超音波処理試験は以下のように実施する。着色コンタクトレンズを、例えば、メタノール、イソプロパノール、または適した溶媒5mlに液浸し、約1分間超音波処理し、次いで、ホウ酸塩緩衝生理食塩水(BBS)を入れたバイアルに入れる。約10秒後に、生理食塩水を排出し、約5mlの新鮮BBSを加える。BBS中で約5分間平衡化させた後に、付着異常の徴候(例えば、着色剤の表面にじみ、汚れ、または剥離)についてレンズを点検する。
【0054】
本発明を任意の特定の機構または理論に限定しないで、本発明のインクバインダーは、シリコーンヒドロゲルレンズのレンズ材料と相互侵入網目(IPN)を形成できると考えられる。IPN形成による本発明のインクのレンズへの付着には、レンズポリマー中に反応性官能基が存在することを要しない。本発明のインクによって予備成形したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズにカラーイメージを直接プリントして、着色コンタクトレンズを製造することができる。プリントしたインクを、コンタクトレンズのレンズ材料中に少なくとも部分的に浸透させ、次いで硬化(架橋)させる。硬化は、UV照射または熱によって活性化することができる。インク中のバインダーポリマーを、シリコーンヒドロゲルのレンズ材料の存在下で架橋させてIPNを形成する。
【0055】
代わりに、コンタクトレンズを製造するために、最初に、カラーイメージを本発明のインクでモールド上にプリントし、プリントしたインクを硬化させて着色フィルムを形成することができる。次いで、レンズ形成材料をモールド中に分注する。レンズ形成材料を硬化させたインク中に浸透させ、次いで硬化させて着色コンタクトレンズを形成し、該着色コンタクトレンズにカラーイメージがモールドから転写される。着色コンタクトレンズのレンズ材料(単数または複数のポリマー)をポリマー(すなわち、インク中の架橋したバインダーポリマー)の存在下で架橋する。好ましくは、着色フィルムを有するモールド中にレンズ形成材料を分注するステップの後およびプリントしたモールド中でレンズ形成材料を硬化させるステップの前に、成形面から着色フィルムを剥がしながらレンズ形成材料の一部を着色フィルムと成形面との間の空間に浸透させるように十分な時間、モールド上の着色フィルムにレンズ形成材料に浸軟させる。そして次いで、モールド中のレンズ形成材料を硬化させて着色フィルムをレンズの前面と後面との間のレンズ本体に埋封させた着色コンタクトレンズを形成する。これによって、レンズ表面に直接プリントをしたレンズと比較して、表面がより滑らかにかつ快適さがより大きくなることになる。
【0056】
プリントの質およびレンズへのインクの付着に影響し得る要因は、分子量、分子量分布、バインダーポリマーの組成、レンズの組成、溶媒型およびレンズとインクの両方の含有量が含まれ、それらに限定されない。レンズ材料を膨潤させる溶媒は、レンズへのバインダーポリマーの浸透を高めると予想される。その上に、インク中の顔料の量および粒径特性もプリントの質および付着に影響を与えうる。プリントしたインクおよびレンズ形成材料は、モールド中で同時に硬化させることができることは理解される。このような方法(同時硬化)には、急速硬化を受けやすい、インクおよびレンズ形成材料が最も好都合である。急速硬化速度論が、インク模様の発汗または損失を最少にすることになるからである。採用した工程条件およびプリント工程の型も、プリントの質およびおそらくレンズへのインクの付着にも影響すると予想される。パッドプリンティングの場合には、プリント速度、プリントパッド内のゴムのタイプ、プリントパッドのデュロメータ、凸版(cliche)のタイプ(例えば、金属、セラミック、プラスチック)、インクカップのタイプ(例えば、開放または閉鎖)などの要因は全て、プリントの質に幾分影響すると予想される。しかし、レンズとインクとの間の付着は、IPN以外の機構によって行われ得る。レンズ材料が、あるタイプの官能基を有している場合、バインダーポリマーとレンズポリマーとの間の直接結合(結合形成)が可能である。例えば、UV硬化可能基(ビニル官能性)を含むレンズポリマーは、光硬化性インクバインダーのレンズポリマーへの直接結合を促進することになる。求核付加反応は、また、インクバインダーをレンズに結合する別の方式も提供することになる。例えば、求核性基(例えば、R−SH)を含むレンズは、バインダーポリマー中のペンダントメタクリラート基とのマイケル付加反応を受け得る。代わりに、求核性基(例えば、RSH、NHR2、R=アルキル、R=H、アルキル)を含むバインダーポリマーは、アクリラートやメタクリラートのような基を含むレンズポリマーとのマイケル付加反応を受け得る。そのような反応は、インクをレンズに結合させることになる。その上に、求核性基を含むバインダーポリマーは、エポキシ、無水物、ハロゲン化アルキルおよびイソシアナートのような求電子性基を含むレンズポリマーとの反応を受け得る。代わりに、インクバインダーポリマー中に求電子性基およびレンズポリマー中に求核性基を持たせることによって、インクをレンズに結合させることができる。硬化性インクは、また、求核性官能基および求電子性官能基の両方をバインダーポリマー中に組み込むことによって製造することもできる。例えば、硬化性シリコーンヒドロゲルインクバインダーは、DMAをTRIS、グリシドリメタクリラート(glycidlymethacrylate)、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサンおよび2−(ジメチルアミノ)エチルアクリラートと共重合させることによって調製することができる。適当な条件下で、ジメチルアミノ官能基は、得られたバインダーポリマー中のエポキシ官能基と反応することになる。
【0057】
好ましい実施態様では、本発明のインクは、モールドからコンタクトレンズに良好な移動性を有する。インクに関して「モールドからコンタクトレンズへの良好な移動性」は、モールドの成形面にインクによってプリントしたカラーイメージを、モールド中で硬化させたコンタクトレンズ上に完全に転写することができることを意味する。インクは、また、凸版からプリントパッドにおよびプリントパッドからレンズモールドまたはレンズにも良好な移動性を有することにもなる。インクの組成、溶媒のタイプ、バインダーの組成、バインダーポリマーの分子量、バインダーポリマーの分子量分布、プリントパッド(ゴムのタイプおよびプリント速度)ならびにレンズおよびレンズ成形面の性質がプリントの質に影響を与えることになる。例えば、プリント速度が比較的遅くかつインクを塗った凸版を比較的長いサイクル時間空気に曝露する工程では、比較的沸点が高い溶媒中にインクを有することが望ましい。高沸点溶媒は、凸版中のインクの早期の乾燥を最少にすることになる。
【0058】
典型的には、本発明のインクは、溶媒、着色剤、およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含む。溶媒は、水、有機もしくは無機溶媒、数種の有機溶媒の混合物、または水と一種以上の水溶性もしくは水混和性有機溶媒との混合物にすることができる。本発明のインクのバインダーを溶解しかつ着色剤の安定性を助成することができる限り、任意の公知の適した溶媒を使用することができる。溶媒の例には、水、アセトン、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−エチオキシエタノール(ethyoxyethanol)など)、グリコール、ケトン、エステル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトフェノン、二塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、二塩化エチレン、イソホロン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、2−ニトロプロパン、エチレングリコールモノエチルエーテル、炭酸プロピレン、シクロヘキサノール、クロロホルム、トリクロロエチレン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、クロロベンゼン、ニトロエタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、1−ブタノール、メチルイソブチルケトン、ニトロメタン、トルエン、エタノール、ジエチレングリコール、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノールアミン、四塩化炭素、プロピレングリコール、ヘキサン、エチレングリコール、およびホルムアミドが含まれ、これらに限定されない。
【0059】
着色剤は、染料、または好ましくは、顔料にすることができる。一般に、染料では、顔料で得られる高度に不透明なプリントを得ることはできない。好ましくは、本発明のインクの着色剤は、少なくとも一種の顔料を含む。着色剤は、また、組み合わせて所望の色をもたらす2種以上の顔料の混合物であってもよい。単に2種以上の原色を一緒に混合することによって、任意の色を得ることができるからである。本明細書中で定義する通りの「原色」は、シアン、黄色、マゼンタ、白色、および黒色を意味する。着色剤は、少なくとも一種の顔料および少なくとも一種の染料の混合物であってもよい。当業者ならば、どのように着色剤を選択するかを知っている。非真珠箔顔料は、大きさが約5ミクロン以下であることが好ましい。顔料の粒子が大きい程、粉砕される粒子を小さくすることができる。当分野で公知の任意の数の方法が、顔料を粉砕するために使用することができる。顔料の粒径を減少させる好ましい方法の例には、高速ミキサー、Kady Mills(ローターステータ分散器)、コロイドミル、ホモジナイザー、ミクロ流動化装置、ソノレータ(sonalator)、超音波ミル、ロールミル、ボールミル、ローラーミル、振動ボールミル、磨砕機(attritor)、サンドミル、可変動力(varikinetic)ディスペンサー、3ロールミル、バンバリーミキサー、または当業者に周知の他の方法が含まれる。真珠箔顔料の場合には、加工中、板状体の破損を最小にしかつ十分なレベルの分散を維持することが重要である。真珠箔顔料は、混合中穏やかに取り扱う必要があり、それらは、粉砕し、あるいは長時間の混合、微粉砕または高剪断にかけるべきではない。そのような操作は顔料を損傷し得るからである。粒子径分布、形状および配向は、最終外観に強く影響する。真珠箔顔料の微粉砕、高剪断混合または長時間の加工は回避すべきである。そのような操作は、金属酸化物被覆層の剥離、板状体の破砕、板状体の集塊および板状体の圧縮に至りうるからである。金属酸化物の剥離、圧縮、破砕および集塊は、真珠箔の効果を減少させることになる。
【0060】
本発明の光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーは、エチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む。本発明の光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーは、少なくとも一種の親水性ビニルモノマーに由来する親水性セグメントをさらに含むことが好ましい。
【0061】
本発明によれば、本発明の光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーは、ペンダント官能基を有するシリコン含有ポリマーをエチレン的に官能化した誘導体であり、好ましくは、ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択される。本明細書で使用する通りの用語「エチレン的に官能化した」は、ペンダント官能基を備えたシリコーン含有ポリマーにエチレン性不飽和基を導入することを表わすことを意図するものである。
【0062】
シリコーン含有ポリマーは、重合可能な組成物の共重合生成物であることが好ましく、この組成物は(a)少なくとも一種の親水性ビニルモノマー、(b)少なくとも1個の官能基を有する少なくとも一種の官能化用ビニルモノマー、および(c)少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーを含む。重合可能な組成物は、また、重合開始剤(すなわち、光開始剤もしくは熱開始剤)、好ましくはインクに使用した溶媒である溶媒、および連鎖移動剤をも含むことができる。
【0063】
シロキサン含有モノマーの例には、メタクリロキシアルキルシロキサン、3−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリロキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化したポリジメチルシロキサン、モノアクリラート化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、およびトリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリラート(TRIS)が含まれ、これらに限定されない。好ましいシロキサン含有モノマーはTRISであり、このTRISは3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランをさし、CAS No.17096−07−0によって表される。用語「TRIS」には、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランの二量体も含まれる。様々な分子量のモノメタクリル化またはモノアクリラート化ポリジメチルシロキサンを使用することが可能である。光硬化性バインダーポリマーには、バインダーポリマーの調製で使用したシリコン含有モノマーが、良好な加水分解(または求核)安定性を有することになるのが好ましい。光硬化性バインダーポリマーの調製で使用されるアルコキシシランモノマーは、水と反応しない(または水との有意な反応をおこさない)ことが好ましい。
【0064】
任意の公知の適したシロキサン含有マクロマーをソフトコンタクトレンズを調製するために使用することができる。特に好ましいシロキサン含有マクロマーは、米国特許第5,760,100号に記載されているマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、およびマクロマーDからなる群から選択される。
【0065】
ほぼいずれの親水性ビニルモノマーも、本発明の液体組成物に使用することができる。適した親水性モノマーには、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)アクリラートおよびメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アリル)アクリルアミドおよびメタクリルアミド、エトキシル化アクリラートおよびメタクリラート、ヒドロキシル置換(低級アルキル)アクリルアミドおよび−メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−および4−ビニルピリジン、合計3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)−(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)およびジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラートおよびメタクリラート、アリルアルコールなどがあり、これは網羅的なリストではない。好ましい親水性ビニルモノマーの中には、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリラートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)、グリセロールメタクリラート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、N−(1,1ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、アクリル酸、およびメタクリル酸がある。
【0066】
本発明では、少なくとも一種の官能基を含む任意の公知の適したビニルモノマーを官能化用ビニルモノマーとして使用することができる。そのようなビニルモノマーの好ましい例には、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート、およびビニルベンジルコリド(vinylbenzylchoride)が含まれる。
【0067】
ペンダント官能基を備えたシリコーン含有ポリマーを調製するための重合可能な組成物に、ビニルモノマーを親水性ビニルモノマーとしておよび官能化用ビニルモノマーとして両方で使用できることは理解すべきである。親水性ビニルモノマーは官能基(例えば、DMA、NVP)を有しないことが好ましい。本発明では任意の公知の適した連鎖移動剤を使用することができる。好ましい連鎖移動剤の例には、メルカプトエタン、メルカプトエタノール、エタンジチオール、プロパンジチオール、およびメルカプト末端ポリジメチルシロキサンが含まれる。
【0068】
本発明によれば、ペンダント官能基を有するシリコン含有ポリマーのエチレン的に官能化した誘導体は、シリコン含有ポリマーと、エチレン性不飽和基とシリコーン含有ポリマーの官能基とが反応して共有結合を形成することができる基とを含むエチレン性官能化剤との反応生成物である。一対の適合する官能基が、既知の反応条件下、例えば、酸化還元条件、脱水縮合条件、付加条件、置換(代替)条件、2+2シクロ付加条件、Diels-Alder反応条件、ROMP(Ring Opening Metathesis Polymerization)条件、加硫条件、カチオン性架橋条件、エポキシ硬化条件下で、共有結合または結合を形成できることは当分野で周知である。例えば、ヒドロキシル、アミノ(一級もしくは二級)または酸基は、イソシアナート基と共有結合可能であり;アミノ基はアルデヒド(アルデヒド基およびアミノ基から形成されたシッフ塩基をさらに還元させてよい)と共有結合可能であり;ヒドロキシル基またはアミノ基はカルボキシル基と共有結合可能である。
【0069】
好ましいエチレン性官能化剤の例には、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロリルクロリド(methacrylolylchloride)、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリラート、およびメタクリル酸無水物が含まれ、これらに限定されない。
【0070】
スキーム1〜7は、本発明の好ましい光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを調製するための2段階工程を例示する。第1段階では、共重合反応を重合可能な組成物中で熱によって開始し、この組成物は溶媒(例えば、酢酸エチル)、熱開始剤(例えば、AIBN)、連鎖移動剤(例えば、メルカプトエタノール)、官能基を有しない親水性ビニルモノマー(例えば、DMA)、少なくとも1個の官能基(例えば、HEMA、MAA、またはグリシジルメタクリラート)を有するビニルモノマー、アルコキシシランモノマー(例えば、TRIS)、およびモノメタクリル化ポリジメチルシロキサンを含む。共重合は、熱かまたはUV光のいずれかによって開始できることは理解される。工程の第2段階では、シリコーン含有ポリマーを光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーに転換する。
【0071】
本発明のインクは、シリコーンヒドロゲルとのその適合性を高めるために、さらにDMA、TRIS、およびPDMS−MA(モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン)のような重合可能な成分を含むことができる。
【0072】
本発明のインクは、また、熱開始剤または好ましくは光開始剤を用いて硬化させることもできる。任意の適した光開始剤をインク配合物に使用することができる。光開始剤の例には、Irgacure2959、Irgacure907、Irgacure500、Irgacure651、Irgacure369、Daracure1173、およびDaracure4265が含まれ、これらに限定されない。さらに、開始剤の組合せを使用することができる。インク配合物中の顔料は、インク配合物中の光硬化性基に達するUV光量を阻止または低減し、それによって硬化速度を遅くすることができる。広範なUV吸収スペクトルを有する光開始剤をこのような問題を軽減するのを助成するために使用することができる。例えば、Irgacure907およびIrgacure369は長波UV領域において強力なUV吸収を有し、暗色インクの硬化において有効である。IrgacureおよびDarcure開始剤は、CIBA Specialty Chemicalsから入手することができる。追加の開始剤には、VAZO−52、VAZO−64、VAZO−67、およびVAZO88が含まれる。光増感剤をインクに加えて、インクの光硬化をしやすくすることもできる。
【0073】
インク硬化の速度論は、バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量およびタイプを変えることによって調整できる。例えば、所与の一連の硬化条件下で、バインダーポリマー中のメタクリラート基の量を増加すると、インクがゲルになるのに要する時間を短縮することになる。バインダーポリマーと所与の量のエチレン性不飽和基との反応性は、メタクリラート基よりもむしろアクリラート基を使用することによって上昇させることができる。
【0074】
バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量を変えることによって、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ上の硬化させたインク(すなわち、着色塗膜または着色フィルム)のモジュラスを制御することもできる。例えば、バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量を減少させて、インクのモジュラスを低下させることができる。この特徴によって着色シリコンヒドロゲルコンタクトレンズのモジュラスに及ぼす硬化させたインクの影響をある程度制御できるようになる。インクのその他の特性は、バインダーポリマー配合物中の親水性成分および疎水性成分の割合を調節することによって調整することができる。そのような調節を行うことによって、インクとレンズとの間の特性適合、例えば、膨潤特性を良好にすることができる。
【0075】
本発明のインクには、さらに、界面活性剤、湿潤剤、抗菌剤、酸化防止剤、抗凝固剤、および当分野で公知の他の添加物からなる群から選択される一種以上の成分を含むことができる。
【0076】
本発明の好ましい態様では、本発明のインクは、約10%〜99重量%、好ましくは約20%〜95重量%、より好ましくは約30%〜80重量%の量の溶媒;約1%〜約90重量%、好ましくは約10%〜約80重量%、より好ましくは約25%〜約75重量%の量の光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマー;約0.0〜約25重量%、好ましくは約0.05%〜約20重量%、より好ましくは約0.1%〜15重量%の量の着色剤;および約0〜約5重量%、好ましくは約0.02%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.05%〜2.0重量%の量の重合開始剤を含む。
【0077】
ここに開示したインクは、シリコーンヒドロゲルレンズと使用するために設計されているが、インクは、適当な組成物(例えば、低含水率配合物)の非シリコーンヒドロゲルと使用することができる。
【0078】
本発明のインクには、いくつかの特有の特徴がある。第一に、それらは光硬化性または熱硬化性(熱硬化可能)である。そのような特徴は、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造工程を設計する際に、製造業者に融通性を提供することができる。第二に、インクの硬化速度論は、光開始剤の構造、バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量およびバインダーポリマー中のエチレン性不飽和基(例えば、メタクリラートはアクリラートよりも硬化が遅い)のタイプを変えることによって制御できる。第三に、本発明のインクは、多重プリントレンズを製造するために使用することができる。プリントしたインクは、比較的速い速度で光硬化させることができ、2種のプリント間に有意の休止時間が生じないからである。多重プリントレンズを製造するために使用するインクは、同時にまたは必要に応じて別々に硬化させることができる。第四に、本発明のインクは、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの酸素透過性に著しい悪影響を及ぼすことがない。本発明は、また、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法も指向する。
【0079】
別の態様では、本発明は、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、(a)シリコーンヒドロゲルで構築したコンタクトレンズを供するステップ;(b)インクでレンズ表面の少なくとも一部に色塗を適用するステップであって、該インクは、少なくとも一種の着色剤およびエチレン性不飽和基と少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む、光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含むステップ;並びに(c)該インクを硬化させ、それによって色塗をレンズに付着させるステップを含む方法を提供する。
【0080】
更なる態様では、本発明は、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、(a)インクでレンズモールドの成形面の少なくとも一面の少なくとも一部に色塗を適用するステップであって、該インクが少なくとも一種の着色剤およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含み、該モールドは成形面間にレンズ形成用キャビティを有し、着色塗膜がレンズ形成用キャビティ内部に曝露される第1表面および成形面と接触する第2表面とを有するステップ;(b)色塗を定位置に実質的に維持しながら、該モールドのレンズ形成用キャビティにレンズ形成材料を分注するステップ;(c)レンズ形成用キャビティ内でレンズ形成材料を硬化させてコンタクトレンズを形成し、それによって着色塗膜が成形面から脱離し、着色コンタクトレンズ本体と一体になるステップを含む方法を含む。
【0081】
最初に、着色塗膜を成形面に形成するために、インクをモールドの成形面に適用する場合は、インクを硬化させた後、プリントしたモールド中にレンズ形成材料を分配することができる。代わりに、プリントしたモールド中のレンズ形成用キャビティ中で、インクをレンズ形成材料と同時に硬化させて着色コンタクトレンズを形成することができる。プリンティングモールドの場合には、プリントしたモールド上のインクをレンズに移動させる前に、プリントしたモールド中でレンズ形成材料を硬化させる。
【0082】
例えば、パッドトランスファープリンティング(すなわちパッドプリンティング)、またはインクジェットプリンティングのような任意のプリント技術によって、インクをコンタクトレンズまたはモールドの成形面に適用することができる。他のタイプのプリント技術も、レンズおよびまたはモールドをプリントするために使用できることは理解される。
【0083】
パッドトランスファープリンティングでは、カラーイメージをパッド転移器具上に配置しまたはプリントし、パッド転移器具上のイメージを別の表面、例えばポリマーまたはレンズに転写させる(Spivackへの米国特許第3,536,386号、Knappへの同第4,582,402号および同第4,704,017号、Rawlingsらへの同第5,034,166号)。このプリントの典型的な例は以下の通りである。凸版を形成するために、イメージを金属中にエッチングする。凸版をプリンタに配置する。一旦プリンタ中で、開放インクウェルドクタリング系によるかまたはイメージを横切って滑動する閉鎖インクカップのいずれかによって凸版にインクを塗る。次いで、シリコーンパッドは、凸版からインクを塗ったイメージを取り上げ、コンタクトレンズにイメージを転写する。シリコーンパッドは、弾力性が変わることができるシリコーンを含む材料から製造される。シリコーン材料の特性によって、シリコーン材料がコンタクトレンズまたはモールドに接触する場合に、インクをパッドに一時的に固着させかつパッドから完全に剥離することも可能にする。適当なパッドトランスファープリンティング構造には、当分野で公知であるように、Tampo型プリンティング構造(Tampo vario 90/130)、ゴムスタンプ、シンブル、ドクターブレード、ダイレクトプリンティング、または転移プリンティングが含まれ、それらに限定されない。パッドプリンティング操作用インクは、以下の特性の内の1つ以上を有することが好ましい:粘度が約50,000cps未満、好ましくは約5000cps未満、最も好ましくは1500cps未満であること、粒径が(非真珠箔顔料では)約5μm未満であり、表面張力が約20mN/m〜約60mN/mであること;長期安定性(すなわち、約4時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは24時間、さらにより好ましくは少なくとも7日、最も好ましくは少なくとも3週間安定);適当な(視認可能な)カラーレベル;医療器具への良好な付着性;およびモールド中に作製された医療器具へのモールドからの良好な転移性。インクの物理的安定性は、その化学的安定性と異なり得る。例えば、インクが任意の有意な化学反応を受けていなくても、顔料はインクから沈降する(物理的現象)。そのような状態では、単に攪拌または再混合することによってインクを使用可能状態へ回復することができる。顔料の沈殿を遅らせまたは排除する他の手段には、添加物の使用、pHの変更、インライン混合、冷蔵、顔料粒径の変化、および顔料粒子の顔料コーティングが含まれ、それらに限定されない。
【0084】
本発明のインクおよびバインダーポリマーは、パッドプリンティング操作だけでなくインクジェットプリンティング操作においても使用できることは理解されるべきである。しかし、インクジェットプリンティング操作用には、配合物調整が必要になる。インクジェット適用では、本発明のインクは以下の特性の内の1つ以上を有する:粘度が約50センチポアズ(cps)未満、好ましくは約15cps未満、最も好ましくは15cps未満であること;表面張力が約20mN/m〜約60mN/mであること;粒径が約5μm未満であること;長期安定性(すなわち、約4時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは少なくとも24時間、さらにより好ましくは少なくとも7日、最も好ましくは少なくとも3週間安定);適当な(視認可能)カラーレベル;均一なドロップ形成(すなわち、「コーヒー汚染」または「ドーナツ」作用がない)、ジェット安定性(すなわち個々の滴形成が容易);医療器具への良好な付着性、モールド中で作製された医療器具へのモールドからの良好な転移性;およびインクジェットノズル中のインク安定性(最小乾燥またはクラスト形成作用)。
【0085】
本明細書で使用する通りの「コーヒー汚染外観」または「コーヒー汚染作用」は、コンタクトレンズまたはモールド上のカラードットの周辺端部が暗色になりかつ内部領域が淡色になることを意味する。
【0086】
本明細書で使用する通りの「ドーナツ外観」または「ドーナツ作用」は、コンタクトレンズまたはモールド上のカラードットの淡色もしくは無色の中央帯が、暗色環状帯に囲まれていることを意味する。
【0087】
インクジェットプリント工程を使用してレンズをプリントすることは、公表されている米国特許出願第2001/0050753号、同第2001/0085934号、同第2003/0119943号、および同第2003/0184710号に記載されている。
【0088】
さらに別の態様では、本発明はその中にイメージを埋封させた着色コンタクトレンズの製造方法を提供する。この方法は(a)インクでレンズモールドの成形面の少なくとも一面の少なくとも一部に色塗を適用するステップであって、該インクは少なくとも一種の着色剤、ならびに光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含み、該モールドは成形面間にレンズ形成用キャビティを有するステップ;(b)着色塗膜を熱もしくは化学線硬化させて着色フィルムを形成するステップであって、該フィルムはいずれの成形面にも共有結合していないステップ;(c)該モールドのレンズ形成用キャビティにレンズ形成材料を分注するステップ;(d)レンズ形成材料を着色フィルムに十分な時間浸漬させ、それで、成形面から着色フィルムを剥がしながら、レンズ形成材料の一部が着色フィルムと成形面との間の空間に浸透するようにするステップ;(c)レンズ形成用キャビティ内でレンズ形成材料を硬化させてコンタクトレンズを形成し、それによって着色コンタクトレンズの前面と後面との間のコンタクトレンズ本体内に着色フィルムを埋封させるステップを含む。
【0089】
着色フィルムに、好ましくは少なくとも5分、より好ましくは少なくとも10分、さらにいっそう好ましくは少なくとも20分間レンズ形成材料を浸漬する。本発明のこの態様では、化学的に、熱的に、または化学線的に(例えば、UV線)硬化させてモールド上に着色フィルムを形成することができる限り、いずれのインクでも着色コンタクトレンズを製造するのに適している。インクは、少なくとも一種の着色剤、バインダーポリマー、定着剤、および場合により希釈剤を含むことができる。インクは、上記した本発明のインクが好ましい。
【0090】
本発明のこの態様によれば、バインダーポリマーは、ヒドロキシル基−OH、アミノ基−NHR(Rは水素またはC〜Cアルキルである)、カルボキシル基−COOH、エポキシ基、アミド基−CONHRイソシアナート基、ペルオキシ基、パーエステル基、無水物基、アルコキシシラン基、シラノール基、アセトキシシラン基、シラン基、ハロシラン基、およびそれらの組合せからなる群から選択される潜在的架橋結合可能な基を含む。
【0091】
アルコキシシラン、アセトキシシラン、シラン類、またはハロシランは、湿気に曝露されると、すなわち湿気活性化型架橋(硬化)下でシラノールを形成する。シラノールは、相互に反応してシロキサン結合を形成する。従って、ペンダントシラノール基(または前駆体)を含むバインダーポリマー鎖は、シロキサン連鎖の形成を通し、組み合わさって架橋結合を形成することになる。湿気により活性化するということは、架橋結合がポリマーを水和する間に形成することになる。好ましい潜在的架橋結合可能なペンダント基は、ハロシランおよびアルコキシシランであり、アルコキシシランが最も好ましい。
【0092】
ハロシランは、アルコキシシラン、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅など)およびアルコール+カルボン酸に曝露されることによって、シロキサン結合を形成することができる。
【0093】
アルコキシシランは、互いに組み合わさってシロキサン結合を形成することができる。シリコーンの架橋および硬化は周知である(W. Noll, Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press, Inc., Londonを参照)。
【0094】
さらに、アルコキシシランも、シラノール、アセトキシシラン、カルボン酸、およびHClのような酸に曝露されるとシロキサン結合を形成する。シロキサン結合を形成する加水分解反応および非加水分解反応を使用して、一旦カラーコーティングをレンズに適用して、カラーコーティングに架橋結合を導入することができる。水和ステップ中に水をレンズに適用すると、架橋反応が開始し、それによって色塗をレンズに付着させる。
【0095】
潜在的架橋結合可能なハロシラン基またはアルコキシシラン基は、式(I)で示されることが好ましい:
【0096】
【化3】

【0097】
[式中、nは、0〜12の整数であり、Zはハロゲン化物かまたは−ORのいずれかであり;各Rは、互いに独立に、ハロゲン化物、または置換もしくは非置換C1−6アルキル基であり;Rは、互いに独立に、置換もしくは非置換C1−6アルキル基であり、qは1〜3の整数であり、nは1〜12の整数(好ましくは1〜6、より好ましくは2〜4)である。
【0098】
アルコキシシラン化合物(上式においてZが−ORである)の典型的な例には、メタクリロキシエチルトリ−メトキシシラン、メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシエチルジ−メチルメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシエチル−メチルジエトキシシラン、メタクリロキシエチルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシ−プロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリル−オキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリル−オキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、スチリル−エチルトリメトキシシラン、および3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリ−メトキシシランヒドロクロリドが含まれ、これらに限定されない。これらの化合物は、単独でまたは、それらの2種以上の混合物として組み合わせて使用することができる。
【0099】
は、非置換C1−6アルキル、より好ましくは非置換C1−4アルキル、より好ましくは非置換C1−2アルキル、最も好ましくはメチル基であることが好ましい。上記のRは非置換アルキルであることが現時点で好ましいが、本明細書に記載したようにそのような置換が本発明を妨げない限り、上記の好ましいR基の内の任意のものを置換することができることも当業者に明らかである。さらに、各Rは、(存在するとすれば)存在する他のRと同じであることが好ましい。
【0100】
好ましいアルコキシシラン化合物は、メトキシシラン(Zが−ORであり、Rがメチルである)である。好ましいメトキシシランには、メタクリロキシエチルトリ−メトキシシラン、メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、およびメタクリロキシエチル−ジメチルエトキシシランが含まれる。
【0101】
Zが、ハロゲン化物であるならば、好ましいハロゲン化物は塩化物である。同様に、各Zは、(存在するとすれば)存在する他のZと同じであることが好ましい。上式(I)の重合可能なハロシラン化合物の好ましい例には、メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、およびメタクリロキシエチルトリクロロシランが含まれ、これらに限定されない。
【0102】
上式で、qは、縮合反応の反応性を考慮することによって適切に決定することができる。
【0103】
「定着剤」は、2個以上の官能基を含む化合物(または架橋剤)を言う。架橋剤分子は、2個以上のモノマー分子またはポリマー分子を架橋するために使用することができる。多くの異なる架橋反応を使用することにより、異なるバインダーポリマー分子間で化学的結合を引き起こして、顔料着色された粒子を取り込むことができる。ほとんどの架橋剤は、二機能性または多機能性反応基によって識別される。例えば、ジフェノリック、ジエポキシド、ジメラミン、ジイソシアナート、またはジアルデヒド樹脂を使用することができる。多機能性フェノール類は、下記の通りの構造(HOHCPh)−R有し、ここで、Phはフェノール基である。多機能性エポキシドは、下記の通りの構造(CHOCH)−Rを有する。多機能性アルデヒドは、下記の通りの構造(HCO)−Rもしくは(CHCO)−Rを有する。多機能性イソシアナートは、下記の通りの構造(OCN)−Rを有する。メラミン樹脂は下記の通りの構造(HOHCMel)−Rを有し、ここで、Melは、
【0104】
【化4】


である。
【0105】
上記の例では、Rは、脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、脂肪族−芳香族炭化水素、ビニルアルコール、ビニルブチラ−ル、または酢酸ビニルでよく、nは1超える数字である。混合した官能基を使用することができる(すなわち、エポキシドとイソシアナート)。
【0106】
イソシアナート化合物の例には、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、2,4−トルエンジイソシアナートおよびビス(イソシアナトフェイル)(isocyanato pheyl)メタンが含まれる。
【0107】
エポキシド含有基の例には、ビスフェノール、ジエポキシド、およびエピクロルヒドリンが含まれる。
【0108】
本発明によれば、希釈剤は、一種以上のビニルモノマーの溶媒または溶液にすることができる。
【0109】
インクには、さらに、熱開始剤、光開始剤界面活性剤、湿潤剤、抗菌剤、酸化防止剤、抗凝固剤、および当技術分野で公知の他の添加物からなる群から選択される一種以上の成分を含めることができる。
【0110】
本発明は、着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための実用性を有する。そのようなレンズは、長期装着コンタクトレンズ、一日装着コンタクトレンズ、および/または義眼器具にすることができる。
【0111】
本発明のバインダーポリマーは、また、一日装着または長期装着様式用シリコーンヒドロゲルレンズの製造において、レンズ形成材料としての使用を見出すこともできる。さらに、本発明のバインダーポリマーは、(IOL用)眼内レンズ、医療用コーティング(例えば注射針やカテーテル用コーティング)、創傷処置、通気性塗料、および通気性コーティングとしての使用を見出すこともできる。ペイントの通気能力の向上は、木材または他の表面から湿気が放出されることによるふくれおよび/または剥離を減少させるようである。
【0112】
前の開示は、当業者に本発明を実施させることを可能にする。読者が、具体的実施態様およびそれらの利点をさらによく理解できるようにするために、以下の実施例を参照することを提言する。配合物におけるパーセントは、特に明記しない限り重量%に基づく。
【実施例】
【0113】
実施例1
本実施例は、光硬化性バインダーポリマー前駆体の合成および光硬化性バインダーポリマーの合成について記載する。
ペンダント官能基を有するシリコーン含有ポリマーの合成
【0114】
A1: 1リットルのジャケット式ガラス製反応ケトルにVAZO−64(0.6472g)、DMA(106.09g)、TRIS(106.26g)、メルカプトエタノール(0.253g)、HEMA(37.55g)、および酢酸エチル(301.9g)からなる溶液を装入する。窒素を気泡として室温で約15分間混合物中に通し、次いで、混合物を40℃に加熱し、約200RPMで攪拌する。約16時間後に、反応混合物はさらに著しく粘稠になる。反応をFT−IR分析によってモニターする。全反応時間である約20時間後、11mgの4−ヒドロキシ−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ、遊離基)および2.38gの酢酸エチルからなる溶液を反応混合物に加える。反応混合物の重力測定分析によって溶液の固形分が約68%であることが示されている。
【0115】
B1: 1リットルのジャケット式ガラス製反応ケトルにVAZO−64(0.6298g)、DMA(100.13g)、TRIS(95.16g)、メルカプトエタノール(0.259g)、HEMA(37.58g)、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(17.54g)(平均分子量約5000、ペンシルベニア州Tullytown在、Gelest, Inc.製)および酢酸エチル(329g)からなる溶液を装入する。窒素を気泡として室温で約20分間混合物中に通し、次いで、混合物を40℃に加熱し、約200RPMで約28時間攪拌する。重力測定分析による固形分の割合が69%になるまで、反応混合物をロータリーエバポレータによって濃縮する(槽温度、約40℃で)。
【0116】
FT−IR分析:数滴の反応混合物(A1またはB1)を約15mlのヘキサンに入れ、得られた沈殿物をヘキサンからから分離し、無水エタノールに溶解する。フィルムをNaClディスク上に流し込み、75℃で約5分間(または100℃で約10分間)乾燥する。それぞれ、1643.7、1724.4、および3421cm−1にあるアミド、エステル、およびヒドロキシ官能基の特徴的なピークをモニターする。
【0117】
C1:1リットルのジャケット式ガラス容器にDMA(250.03g)、TRIS(200.04g)、HEMA(75.08g)、メルカプトエタノール(0.5582g)、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(25.02g)、VAZO−64(1.0005g)、および酢酸エチル(600g)を装入する。窒素を気泡として室温で数分間混合物中に通し、次いで、混合物を40℃で加熱し、約250RPMで攪拌する。約18時間後に、反応混合物はさらに著しく粘稠になる。反応を40℃で延べ約24時間加熱し、次いで、室温に冷却させる。この手順で使用するモノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンは、平均MWが約5000であり、ペンシルベニア州Tullytown在、Gelest, Inc.から購入した。
【0118】
FT−IR分析:数滴の反応混合物(C1)を5mlのヘキサンに入れる。得られた沈殿物をイソプロパノール(約3ml)に溶解し、フィルムをNaClディスク上に流し込み、80℃で数分間乾燥する。3417、1724、および1646cm−1にあるヒドロキシル、エステルおよびアミド官能基の特徴的なピークをそのスペクトルで観察する。
光硬化性バインダーポリマーの調製
【0119】
A2:シリコーン含有ポリマーA1(先に調製した前駆体)の68%酢酸エチル溶液150.17gに、18.8029gの2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)および0.0035gの4−ヒドロキシ−TEMPOからなる溶液を加える。室温で混合物をスパーテルで均質になるまで攪拌し、次いで、FT−IRによってチェックする。次いで、0.0705gのジブチルチンジラウラート(DBTDL)を反応混合物中で攪拌する。反応混合物を35℃で約45分間加熱し、その時点でFT−IRによればNCOはもはや存在しない。
【0120】
B2: シリコーン含有ポリマーB1(先に調製した前駆体)の69%酢酸エチル溶液58gに、6.13gの2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)、0.035gのDBTDL、および0.0020gの4−ヒドロキシ−TEMPOからなる溶液を加える。混合物を均質になるまで攪拌し、次いで40℃(約75分)でFT−IRによりイソシアン酸塩がもはや存在しなくなるまで加熱する。
【0121】
C2:550gのコポリマーC1を含む酢酸エチル約600gに、約5mlの酢酸エチルに溶解している58.5mgの4−ヒドロキシ−TEMPOを加える。次いで、コポリマー混合物を約30分間混合する。この混合物に、約0.364gのDBTDLおよび76.19gの2−イソシアナトエチルメタクリラートからなる溶液を加える。反応混合物を攪拌し、FT−IRによりイソシアン酸塩がもはや存在しなくなるまで45℃(約60分間)で加熱する。重力測定分析により、コポリマー溶液の固形分のパーセントを実測して約54%である。3種のインク(インク3、インク4、インク5)は、コポリマーC2の固形分54%酢酸エチル溶液から調製する。インクは、溶媒、PCNグリーンおよび光開始剤をコポリマーC2の54%酢酸エチル溶液に加えることによって調製した。インク配合物は、インクの節に記載されている。
【0122】
実施例2
本実施例は、本発明のバインダーポリマーが、シリコーンヒドロゲルレンズ製造用レンズ形成材料においてプレポリマーとして使用できることを例示する。
【0123】
バインダーポリマーA2からレンズを調製。(プレポリマーとして実施例1で調製した)25.06gのバインダーポリマーA2溶液に、0.0142gのIrgacure2959を加える。均質になるまで試料を混合する。ポリプロピレンモールド(FreshLook)に約75μlの試料を充填し、1.8mW/cm2UV光(Grobelランプ)で30秒間照射する。透明なヒドロゲルレンズをBBS(ホウ酸塩緩衝生理食塩水、FreshLookパッケージング溶液)に入れオートクレーブで滅菌する。重力測定分析によるレンズ含水率は約25%である。
【0124】
バインダーポリマーB2からレンズを調製。約13gのバインダーポリマーB2(プレポリマーとして、実施例1で調製)溶液に、Irgacure2959(.00749g)および1gの酢酸エチルを加える。均質になるまで試料を混合する。ポリプロピレン製レンズ(FreshLook)モールドに試料を充填する。次いで、充填したモールドを2.5mW/cm2で約10秒間照射する。わずかに曇ったヒドロゲルレンズをモールドから取り出し、BBSに入れ、滅菌する。レンズの含水率は19%(+/−5%)である。脱イオン水によってレンズに前進接触角109°および後退角69°を形成する。
【0125】
バインダーポリマーC2からレンズを調製
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造用レンズ形成材料(LF−4)は、バインダーポリマーC2の61%エタノール溶液(インク6の調製で記載されている通り、バインダーポリマーC2中の酢酸エチルをエタノールと交換する)18.04gを2.03gのエタノール中の0.0192gのIrgacure2959からなる溶液と混合することによって調製する。混合しかつ遠心分離した後に、得られたポリマー溶液の粘度は、25.0℃で約1310cpsである。ポリプロピレンレンズ(FreshLook)モールドに試料を充填する。次いで、充填したモールドを2.02mW/cm2で約10秒間照射する。ヒドロゲルレンズをモールドから回収し、BBSに入れ、滅菌する。レンズの含水率は約21%である。
【0126】
実施例3
シリコーン含有マクロマーの合成
平均分子量が1030g/molであり、末端基滴定によるヒドロキシル基1.96meq/gを含むペルフルオロポリエーテルFomblin(登録商標)ZDOL(Ausimont S.p.A、Milan製)51.5g(50mmol)を、50mgのジブチルスズジラウラートと共に三つ口フラスコに導入する。フラスコ内容物を約20mbarになるまで攪拌しながら排気し、続いてアルゴンで減圧する。この操作を2度繰り返す。続いて、アルゴン下で保管されている新たに蒸留したイソホロンジイソシアナート22.2g(0.1mol)をアルゴン向流中に加える。水浴で冷却することによって、フラスコ内温度を30℃未満に維持する。終夜室温で攪拌した後に、反応は終了する。イソシアナート滴定によって、NCO含有量が1.40meq/g(理論上:1.35meq/g)ことが分かる。Shin-Etsu社製であり、平均分子量が2000g/mol(滴定によるヒドロキシル基1.00meq/g)のα,ω−ヒドロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンKF−6001 202gをフラスコに導入する。フラスコ内容物を約0.1mbarになるまで排気し、アルゴンで減圧する。この操作を2度繰り返す。脱気したシロキサンをアルゴン下で保管されている新たに蒸留したトルエン202mlに溶解し、100mgのジブチルスズジラウラート(DBTDL)を加える。溶液を完全に均質化した後に、イソホロンジイソシアナート(IPDI)と反応したペルフルオロポリエーテルの全てをアルゴン下で加える。終夜室温で攪拌した後に、反応が終了する。溶媒を高真空下室温でストリップして除去する。ミクロ滴定は、ヒドロキシル基0.36meq/g(理論上0.37meq/g)を示す。
【0127】
アルゴン下で13.78g(88.9mmol)の2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)を、247gのα,σ−ヒドロキシプロピル末端ポリシロキサン−ペルフルオロポリエーテル−ポリシロキサン3ブロックコポリマー(化学量論平均での3ブロックコポリマー、しかし他のブロック長も存在する)に加える。混合物を室温で3日間攪拌する。次いで、ミクロ滴定では、もはや何らイソシアナート基が示されない(検出限界0.01meq/g)。0.34meq/gのメタクリル基が実測される(理論上0.34meq/g)。
【0128】
このようにして調製されたマクロマーは、完全に無色透明である。それは、何ら分子量が変化しないで、光の非存在下、室温大気中で数ヶ月間貯蔵することができる。
【0129】
実施例4
本実施例は、インクおよび着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの調製を例示する。
インクの調製
【0130】
インク1:7.51gのLF−1、2.51gのPCNブルー、および15gの酢酸エチルを混合することによって光硬化性インクを調製する。
【0131】
インク2:22.64gのバインダーポリマーAを1.38gのPCNグリーン、および1.5gの酢酸エチルに溶解している0.0581gのIrgacure2959と混合することによって、光硬化性インクを調製する。インクのブルックフィールド粘度は、25℃で約680cpsである。
【0132】
インク3〜インク5:インク3〜インク5についての配合物を54%固形分溶液としてのバインダーポリマーC2と、溶媒、開始剤、およびPCNグリーンと混合することによって調製する。配合、粘度、および手動でのプリンティング中になされる観察を以下に挙げる。
【0133】
【表1】

【0134】
インク6:54%酢酸エチル溶液として約540gの光硬化性コポリマーC2をロータリーエバポレータ(バス温度約45℃)によって、溶媒トラップ中でそれ以上の酢酸エチルの縮合がもはや観察されなくなるまで濃縮する。溶液に繰り返しエタノールを加えることによって、濃縮したコポリマー溶液中の酢酸エチルをエタノールと交換し、続いて溶媒をストリップする。濃縮したコポリマー溶液を約100mlのエタノールで希釈し、次いで、ロータリーエバポレーターを使用しストリッピングに付す。エタノールを100ml分加えた後、溶媒ストリッピングを約6回繰り返す。次いで、コポリマー溶液の固形分のパーセントを求めて約61%である。インクは、約40.28gの61%固形分コポリマーと、グリーン顔料ペーストと、1.29gのDaracure1173を混合することによって調製する。グリーン顔料ペーストは、約49.4gのCr、0.2gのPCNブルーおよび187.7gのエタノールからなる混合物を約17時間微粉砕(ボールミル)することによって調製し、その時点で約99%の粒子が約5ミクロン未満になる。
レンズ形成材料
【0135】
LF−1:シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造用レンズ形成材料は、25.06gのバインダーポリマーA2(プレポリマーとして)溶液を0.0142gのIrgacure2959と混合することによって調製する。
【0136】
LF−2:シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造用レンズ形成材料は、約35.8gのバインダーポリマーA2を、41mgのIrgacure2959および3gの酢酸エチルと混合することによって調製する。
【0137】
LF−3:実施例3で調製したシロキサン含有マクロマーをレンズ形成材料(Lotrafilcon B)Iの調製で使用し、この材料は実施例3で調製したシロキサン含有マクロマーを25.92%,TRISを19.25%、DMAを28.88%、変性エタノールを24.95%、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−o−エン(Daracure1173)を1.0%含む。
【0138】
LF−4:シルコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造用レンズ形成材料は、バインダーポリマーC2の61%エタノール溶液(インク6の調製で記載されている通り、バインダーポリマーC2中の酢酸エチルをエタノールと交換する)18.04gを2.03gのエタノール中0.0192gのIrgacure2959からなる溶液と混合することによって調製する。
【0139】
インクのUV硬化試験。ポリプロピレンレンズモールドに約76μlのインク2を充填する。次いで、モールドを閉じ、45秒間1.9mW/cm2のUV光(Grobelランプ)で照射する。成型品を取り出すと、グリーンポリマーが得られる。インクは、また、3分間2.4mW/cm2でも硬化して湾曲しているグリーンレンズを生じる。
【0140】
インク6のUV硬化試験:ポリプロピレンベースカーブモールドにインク6をプリントし、約1.85mW/cm2(UVB−1センサ付きUVPSラジオメーター)で照射する(Light Sources FS 40T12、UV−B−BP)。プリントしたモールドを0、5、10、30、45、および65分間照射し、次いで、硬化の有効性をチェックする。これは、プリントしたモールドをエタノール中に浸漬した後、プリントおよびプリント模様を目視検査することによって行う。この試験結果を以下に挙げる。
【0141】
【表2】

【0142】
着色シリコーンヒドロゲルレンズの調製
【0143】
レンズI:ポリプロピレンレンズモールドのベースカーブ部分をインク1でパッドプリントする。モールドの雌型部分に約75μlのLF−1を充填する。モールド半分を組み合わせて閉じる。次いで、モールドをUVランプ(Grobelランプ)下に30秒間置き、1.8mW/cm2で照射する。重力測定分析によるレンズ含水率は約29%である。レンズ上の脱イオン水の接触角は約108°(前進角)および後退角は56°である。
【0144】
レンズII:(レンズ試料1563−76−3):ポリプロピレンレンズモールドのベースカーブ部分にインク2をパッドプリント(シリコーンゴムパッド)する。次いで、モールドの雌型部分に約75μlのLF−2を充填し、モールドのプリントしたベースカーブ部分で閉じる。着色シリコーンヒドロゲルレンズは、閉じたモールドを1.9mW/cm2で30秒間照射することによって得られる。GrobelランプをUV硬化に使用する。プリントしたレンズをホウ酸塩緩衝生理食塩水(FreshLookパッケージング溶液)に入れ、121℃で45分間滅菌する。重力測定分析によるレンズ含水率は約23%である。レンズ上の脱イオン水の接触角は約108°(前進角)であり後退角は64°である。
【0145】
レンズIII:ポリプロピレンレンズモールドのベースカーブをインク2でパッドプリントする。インクは、レンズモールドの上下にライトを備えたライトボックス中でUV硬化する。ライトボックスにはPhillipsライト(40ワット、F405)が備えられている。上部ライトの強度は約3.61mW/cm2であり、下部ライトの強度は約3.54MW/cm2である。インクを約25分間硬化させる。レンズモールドの雌型部分に約75μlのLF−3を充填し、それらの表面上にインク模様を硬化させたベースカーブモールドでモールドを閉じる。プリントしたレンズは、上部ライト強度約3.61mW/cm2および下部ライト強度約3.54mW/cm2で約2時間、UV硬化ボックス中で閉じたモールドを硬化することによって得られる。プリントしたレンズをBBS中に水和させ、121℃で45分間滅菌する。重力測定分析によるレンズ含水率は約36%である。レンズ上の脱イオン水の接触角は約105°(前進角)であり、後退角は73°である。
【0146】
レンズIV:ポリプロピレンベースカーブレンズモールドをインク6でプリントする。次いで、プリントしたモールドを約1.85mW/cm2(UVB−1センサ付きUVPSラジオメーター)で約20分間照射する(Light Sources FS 40T12、UV−B−BP)。ポリプロピレンレンズフロントカーブモールド半分に約75μlのLotrafilcon-Bレンズ配合物を充填し、次いで、モールドをプリントし硬化させたインクを収容するベースカーブモールドで閉じる。プリントし硬化させたインクは、閉じたモールド中で約20分間Lotrafilcon-Bに浸漬し、次いで、モールドを1.85mW/cm2で約45分間照射する。モールドを開け、プリントしたシリコーンヒドロゲルレンズをCIBA Vision SoftWare生理食塩水を入れたガラス製バイアルに入れる。レンズを約123℃で約60分間滅菌する。レンズの横断面分析は、プリントしたインクがレンズの前および後カーブ表面間にサンドイッチされていることを示す。
シリコーンヒドロゲルレンズ上にプリントされたインクの付着試験
【0147】
レンズII:プリントしたレンズ(レンズII)を5mlのメタノールに入れ、1分間超音波処理し、次いで、ホウ酸塩緩衝生理食塩水(BBS)を入れたバイアルに入れる。約10秒後、生理食塩水を排出し、次いで、約5mlの新鮮生理食塩水を各レンズ試料に加える。BBS中で約5分間平衡化させた後に、付着異常の徴候についてレンズを点検する。レンズを指摩擦した後でも付着異常の徴候は存在しない。
【0148】
レンズIII:プリントしたレンズ(レンズIII)を5mlのメタノールに入れ、1分間超音波処理し、次いで、ホウ酸塩緩衝生理食塩水(BBS)を入れたバイアルに入れる。約10秒後に、生理食塩水を排出し、次いで、約5mlの新鮮生理食塩水を各レンズ試料に加える。BBS中で約5分間平衡化させた後、付着異常の徴候についてレンズを点検する。レンズを指摩擦した後でも付着異常の徴候は存在しない。
【0149】
レンズIV:プリントしたレンズ(レンズIV)をメタノールに入れ、約30秒間超音波処理し、次いでホウ酸塩緩衝生理食塩水(BBS)に入れる。レンズをメタノールから取り出し、最短の5分間BBS中で平衡化する。各レンズを約10秒間指で擦り、付着異常の徴候についてチェックする。レンズを指摩擦した後でも付着異常の徴候は存在しない。プリントしたレンズの横断面分析では、プリント模様が、レンズのフロントカーブ(前側)とバックカーブ(後側)表面との間に埋封されていることが示されている。
【0150】
本発明の種々の実施態様を特定の用語、器具、および方法を使用し記載してきたが、そのような説明は例示的目的にすぎない。使用した語句は、制限よりもむしろ説明の語句である。添付の請求項の範囲に記載する、本発明の精神もしくは範囲から逸脱することなしに当業者が変更および変形をなし得ることは理解されるべきである。さらに、種々の実施態様の態様は、全体でかまたは部分でのいずれかで、交換しうることも理解すべきである。従って、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、中に包含される好ましい説明の記載に限定されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色コンタクトレンズを製造するためのインクであって、少なくとも一種の着色剤、溶媒、およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含むバインダーポリマーを含み、該インクは、化学線または熱硬化されてコンタクトレンズ上に着色塗膜を形成する能力を有することを特徴とし、着色塗膜はコンタクトレンズのレンズ材料に共有結合することなく、コンタクトレンズへの良好な付着性を有するインク。
【請求項2】
前記コンタクトレンズが、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである、請求項1のインク。
【請求項3】
前記インクが、モールドからコンタクトレンズへの良好な転移性を有する、請求項2のインク。
【請求項4】
溶媒量が約10%〜95重量%であり、バインダーポリマー量が約1%〜約90重量%であり、かつ着色剤量が約0〜約25重量%である、請求項2のインク。
【請求項5】
前記着色剤が、溶媒にやや溶けにくいかまたは溶媒に不溶性のいずれかである、少なくとも顔料および/または少なくとも一種の染料を含む、請求項2のインク。
【請求項6】
前記溶媒が、アセトン、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−エトキシエタノール、イソプロパノール)、グリコール、ケトン、エステル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトフェノン、二塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、二塩化エチレン、イソホロン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、2−ニトロプロパン、エチレングリコールモノエチルエーテル、炭酸プロピレン、シクロヘキサノール、クロロホルム、トリクロロエチレン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、クロロベンゼン、ニトロエタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、1−ブタノール、メチルイソブチルケトン、ニトロメタン、トルエン、エタノール、ジエチレングリコール、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノールアミン、四塩化炭素、プロピレングリコール、ヘキサン、エチレングリコール、およびホルムアミドからなる群から選択される一種以上の有機溶媒である、請求項5のインク。
【請求項7】
前記バインダーポリマーが、ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択されるペンダント官能基を有するシリコン含有ポリマーのエチレン的に官能化した誘導体である、請求項2のインク。
【請求項8】
前記シリコン含有ポリマーが、(a)少なくとも一種の親水性ビニルモノマー、(b)ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む少なくとも一種の官能化用ビニルモノマー、(c)少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマー、ならびに(d)場合により、重合開始剤、連鎖移動剤、および溶媒からなる群から選択される一種以上の成分、を含む重合可能組成物の共重合生成物である、請求項7のインク。
【請求項9】
前記シロキサン含有ビニルモノマーが、メタクリロキシアルキルシロキサン、3−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリロキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化したポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、トリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリラート(TRIS)、またはN−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]−メタクリルアミドである、請求項8のインク。
【請求項10】
前記親水性ビニルモノマーが、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)アクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アルキル)アクリルアミドおよび(低級アルキル)メタクリルアミド、エトキシル化アクリラート、エトキシル化メタクリラート、ヒドロキシル置換(低級アルキル)アクリルアミド、ヒドロキシル置換(低級アルキル)メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−および4−ビニルピリジン、合計3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)アクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、アミノ(低級アルキル)メタクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、あるいはアリルアルコールである、請求項8のインク。
【請求項11】
前記官能化用ビニルモノマーが、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート、またはビニルベンジルコリド(vinylbenzylchoride)である、請求項8のインク。
【請求項12】
前記親水性ビニルモノマーが官能基を有しない、請求項8のインク。
【請求項13】
前記重合可能な組成物が、メルカプトエタン、メルカプトエタノール、エタンジチオール、プロパンジチオール、およびメルカプト末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される連鎖移動剤を含む、請求項8のインク。
【請求項14】
前記バインダーポリマーが、前記シリコン含有ポリマーと、エチレン性不飽和基および前記シリコーン含有ポリマーの官能基と反応して共有結合を形成することができる基を含むエチレン性官能化用剤との反応生成物である、請求項8のインク。
【請求項15】
前記エチレン性官能化用剤が、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロリルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリラート、またはメタクリル酸無水物である、請求項14のインク。
【請求項16】
着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
(a)シリコーンヒドロゲルで構築したコンタクトレンズを供するステップ、
(b)インクでレンズ表面の少なくとも一部に着色被膜を適用するステップであって、該インクが少なくとも一種の着色剤およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む、光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含むステップ、並びに
(c)該インクを硬化させ、それによって色塗をレンズに付着させるステップ
を含む方法。
【請求項17】
前記バインダーポリマーが、ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択されるペンダント官能基を有するシリコン含有ポリマーのエチレン性官能化された誘導体である、請求項16の方法。
【請求項18】
前記シリコン含有ポリマーが、(a)少なくとも一種の親水性ビニルモノマー、(b)ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む少なくとも一種の官能化用ビニルモノマー、(c)少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマー、ならびに(d)場合により、重合開始剤、連鎖移動剤、および溶媒からなる群から選択される一種以上の成分、を含む重合可能な組成物の共重合生成物である、請求項17の方法。
【請求項19】
前記シロキサン含有ビニルモノマーが、メタクリロキシアルキルシロキサン、3−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリロキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、トリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリラート(TRIS)、またはN−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミドであり、前記親水性ビニルモノマーが、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)アクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アルキル)アクリルアミドおよび(低級アルキル)メタクリルアミド、エトキシル化アクリラート、エトキシル化メタクリラート、ヒドロキシル置換(低級アルキル)アクリルアミド、ヒドロキシル置換(低級アルキル)メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−および4−ビニルピリジン、合計3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)アクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、アミノ(低級アルキル)メタクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、あるいはアリルアルコールであり、前記官能化用ビニルモノマーが、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート、またはビニルベンジルコリドである、請求項18の方法。
【請求項20】
前記バインダーポリマーが、前記シリコン含有ポリマーと、エチレン性不飽和基と前記シリコーン含有ポリマーの官能基とが反応して共有結合を形成することができる基とを含むエチレン性官能化剤との反応生成物であり、該エチレン性官能化用剤が、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロリルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリラート、またはメタクリル酸無水物である、請求項17の方法。
【請求項21】
着色シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
(a)インクでレンズモールドの成形面の少なくとも一面の少なくとも一部に着色塗膜を適用するに、該インクが少なくとも一種の着色剤、およびエチレン性不飽和基と、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマーに由来するセグメントとを含む、光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含み、該モールドが成形面間にレンズ形成用キャビティを有し、着色塗膜がレンズ形成用キャビティ内部に曝露される第1表面および成形面と接触する第2表面を含有するステップ、
(b)色塗を定位置に実質的に維持しながら、該モールドのレンズ形成用キャビティにレンズ形成材料を分注するステップ、および
(c)レンズ形成用キャビティ内でレンズ形成材料を硬化させてコンタクトレンズを形成し、それによって着色塗膜が成形面から脱離し、着色コンタクトレンズ本体と一体になるステップ
を含む方法。
【請求項22】
前記バインダーポリマーが、ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択されるペンダント官能基を有するシリコン含有ポリマーのエチレン性官能化誘導体である、請求項21の方法。
【請求項23】
前記シリコン含有ポリマーが、(a)少なくとも一種の親水性ビニルモノマー、(b)ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含有する少なくとも一種の官能化用ビニルモノマー、(c)少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマー、ならびに(d)場合により、重合開始剤、連鎖移動剤、および溶媒からなる群から選択される一種以上の成分、を含む重合可能な組成物の共重合生成物である、請求項22の方法。
【請求項24】
前記シロキサン含有ビニルモノマーが、メタクリロキシアルキルシロキサン、3−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリロキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、トリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリラート(TRIS)、またはN−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミドであり、前記親水性ビニルモノマーが、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)アクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アルキル)アクリルアミドおよび(低級アルキル)メタクリルアミド、エトキシル化アクリラート、エトキシル化メタクリラート、ヒドロキシル置換(低級アルキル)アクリルアミド、ヒドロキシル置換(低級アルキル)メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−および4−ビニルピリジン、合計3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)アクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、アミノ(低級アルキル)メタクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、あるいはアリルアルコールであり、前記官能化用ビニルモノマーが、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート、またはビニルベンジルコリドである、請求項23の方法。
【請求項25】
前記バインダーポリマーが、前記シリコン含有ポリマーと、エチレン性不飽和基と前記シリコーン含有ポリマーの官能基とが反応して共有結合を形成することができる基とを含むエチレン性官能化用剤との反応生成物であり、該エチレン性官能化用剤が、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロリルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリラート、またはメタクリル酸無水物である、請求項23の方法。
【請求項26】
前記方法が、ステップ(a)およびステップ(b)の間に、着色塗膜を化学線硬化するステップをさらに含む、請求項23の方法。
【請求項27】
着色塗膜およびレンズ形成用キャビティ中のレンズ形成材料を同時に硬化させる、請求項23の方法。
【請求項28】
着色塗膜およびレンズ形成用キャビティ中のレンズ形成材料が、化学線照射により同時に硬化される、請求項27の方法。
【請求項29】
化学線がUV照射である、請求項28の方法。
【請求項30】
着色コンタクトレンズを製造する方法であって、
(a)インクでレンズモールドの成形面の少なくとも一面の少なくとも一部に色塗を適用するに、該モールドが成形面間にレンズ形成用キャビティを有するステップ、
(b)着色塗膜を熱もしくは化学線硬化させて、着色フィルムを形成し、該フィルムはいずれの成形面にも共有結合していないステップ、
(c)該モールドのレンズ形成用キャビティにレンズ形成材料を分注するステップ、
(d)レンズ形成材料を着色フィルムに十分な時間浸透させ、それで、成形面から着色フィルムを剥がしながら、レンズ形成材料の一部は着色フィルムと成形面との間の空間に浸透するようにするステップ、および
(e)レンズ形成用キャビティ内でレンズ形成材料を硬化させてコンタクトレンズを形成し、それによって着色コンタクトレンズの前面と後面の間のコンタクトレンズ本体に着色フィルムを埋封するステップ
を含む方法。
【請求項31】
前記着色フィルムが、レンズ形成材料により約5分〜約30分間浸透される、請求項30の方法。
【請求項32】
前記インクが、少なくとも一種の着色剤、および光硬化性もしくは熱硬化性バインダーポリマーを含み、前記バインダーポリマーが、ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択されるペンダント官能基を有するシリコン含有ポリマーのエチレン性官能化された誘導体である、請求項30の方法。
【請求項33】
前記シリコン含有ポリマーが、(a)少なくとも一種の親水性ビニルモノマー、(b)ヒドロキシル基(−OH)、一級アミノ基(−NH)、二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含む少なくとも一種の官能化用ビニルモノマー、(c)少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはビニルマクロマー、ならびに(d)場合により、重合開始剤、連鎖移動剤、および溶媒からなる群から選択される一種以上の成分、を含む重合可能組成物の共重合生成物である、請求項32の方法。
【請求項34】
前記シロキサン含有ビニルモノマーが、メタクリロキシアルキルシロキサン、3−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリロキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、トリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリラート(TRIS)、またはN−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミドであり、前記親水性ビニルモノマーが、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)アクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アルキル)アクリルアミドおよび(低級アルキル)メタクリルアミド、エトキシル化アクリラート、エトキシル化メタクリラート、ヒドロキシル置換(低級アルキル)アクリルアミド、ヒドロキシル置換(低級アルキル)メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−および4−ビニルピリジン、合計3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)アクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート、アミノ(低級アルキル)メタクリラート(用語「アミノ」には四級アンモニウムも含まれる)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、ジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)メタクリラート、あるいはアリルアルコールであり、前記官能化用ビニルモノマーが、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート、またはビニルベンジルコリドである、請求項33の方法。
【請求項35】
前記バインダーポリマーが、前記シリコン含有ポリマーと、エチレン性不飽和基と前記シリコーン含有ポリマーの官能基とが反応して共有結合を形成することができる基とを含むエチレン性官能化用剤との反応生成物であり、該エチレン性官能化用剤が、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロリルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリラート、またはメタクリル酸無水物である、請求項33の方法。
【請求項36】
前記方法が、ステップ(a)およびステップ(b)の間に、色塗を化学線硬化するステップをさらに含む、請求項33の方法。
【請求項37】
着色塗膜およびレンズ形成用キャビティ中のレンズ形成材料を同時に硬化させる、請求項33の方法。
【請求項38】
レンズ形成用キャビティ内の着色塗膜およびレンズ形成材料が化学線によって同時に硬化される、請求項37の方法。
【請求項39】
化学線がUV線である、請求項38の方法。
【請求項40】
前記インクが、少なくとも一種の着色剤、バインダーポリマー、定着剤、および場合により希釈剤を含む、請求項30の方法。
【請求項41】
前記バインダーポリマーが、ヒドロキシル基−OH、アミノ基−NHR(Rは水素またはC〜Cアルキルである)、カルボキシル基−COOH、エポキシ基、アミド基−CONHR、イソシアナート基、ペルオキシ基、ペルエステル基、無水物基、アルコキシシラン基、シラノール基、アセトキシシラン基、シラン基、ハロシラン基、およびそれらの組合せからなる群から選択される潜在的架橋結合可能な基を含む、請求項40の方法。
【請求項42】
前記定着剤が、ジフェノール化合物、ジエポキシド化合物、ジメラミン化合物、ジイソシアナート化合物、またはジアルデヒド化合物、(HOHCPh)−R、(CHOCH)−R、(HCO)−Rもしくは(CHCO)−R、(OCN)−R、または(HOHC−Mel)−Rであり、(式中Phはフェノール基であり、RはC〜C35の脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、または脂肪族−芳香族ラジカル、ビニルアルコールラジカル、ビニルブチラールラジカル、または酢酸ビニルラジカルであり、nは1より大きい数字であり、Melは、
【化1】


である、請求項41の方法。
【請求項43】
前記定着剤が、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)メタン、ビスフェノール、ジエポキシド、エピクロロヒドリン、またはそれらの組合せである、請求項42の方法。

【公表番号】特表2007−538113(P2007−538113A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508839(P2007−508839)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004247
【国際公開番号】WO2005/102675
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】