説明

磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法

【課題】本発明は、最大板厚偏差に優れるガラス基板を研削するガラス基板の研削方法と、該研削方法を用いた工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状を、内周端における上定盤の研削面と下定盤の研削面との差をDinとし、外周端における上定盤の研削面と下定盤の研削面との差をDoutとしたとき、DoutからDinを引いたΔD(=Dout−Din)が−30μm〜+30μmとしたことを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面研削装置を用いてガラス基板の両主平面を研削するガラス基板の研削方法と、該研削方法を用いた工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の磁気ディスクの高記録密度化にともない、磁気記録媒体用ガラス基板への要求特性が年々厳しくなっている。磁気ディスクの高記録密度化を達成するため、ガラス基板の主平面の面積を有効活用するべく、磁気ヘッドをガラス基板の端部まで通過させるようになってきている。また、大容量の情報を磁気ディスクへ速く記録再生するため、磁気ディスクの回転速度を高速化する検討も行われている。
【0003】
磁気ヘッドをガラス基板の端部まで通過させる、磁気ディスクの回転速度を高速化させる場合、磁気記録媒体用ガラス基板の形状(例えば、最大板厚偏差、平坦度など)に乱れがあると、磁気ヘッドの浮上姿勢が乱され、磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触することにより発生する障害が生じるおそれがある。そのため、磁気記録媒体用ガラス基板の形状、特に最大板厚偏差といった寸法仕様には厳しいものが要求さるようになってきている。
【0004】
一般に、磁気記録媒体用ガラス基板の製造工程は、ガラス基板の形状を形成する形状付与工程と、ガラス基板の板厚を所定の厚みに揃え、平坦度を所定の値にする研削工程と、ガラス基板の両主平面を平滑な鏡面に仕上げる研磨工程と、ガラス基板の表面に付着した異物を除去する洗浄工程とを有している。
【0005】
前記研削工程には、鋳鉄定盤を用いて炭化ケイ素やアルミナ等の遊離砥粒を含む研削液をガラス基板と定盤との間に供給しながらガラス基板を研削加工する遊離砥粒研削方法や、ダイヤモンド砥粒を金属、樹脂、またはガラス質(ビトリファイド)で結合して成形した固定砥粒工具を定盤の表面に固定し、該固定砥粒工具を用いてガラス基板を研削加工する固定砥粒研削方法が知られている。
【0006】
上記研削方法によりガラス基板を研削する前に、両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面は、所定の形状となるようにドレス処理が施される。上定盤の研削面と下定盤の研削面が所定の形状から外れると、研削するガラス基板に対して均一に加工圧力を負荷することが難しくなり、ガラス基板の研削量にバラツキが生じ、研削したガラス基板の板厚を所定の厚みに揃えることが難しくなる。
【0007】
ガラス基板の研削に適した研削面を得るため、偏磨耗した研削面を修正する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、特許文献1は、研削加工中にガラス基板を破損させないことを目的としているため、ガラス基板を研削する研削面の形状の高低差は大きく、研削されたガラス基板の板厚の均一性は所望のレベルとならないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、最大板厚偏差に優れたガラス基板を研削するガラス基板の研削方法と、該研削方法を用いた工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状を、内周端における上定盤の研削面と下定盤の研削面との差をDinとし、外周端における上定盤の研削面と下定盤の研削面との差をDoutとしたとき、DoutからDinを引いたΔD(=Dout−Din)が−30μm〜+30μmであることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガラス基板の研削方法は、ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状を所定の形状とすることにより、板厚の均一性に優れたガラス基板を高い生産性で製造できる。本発明の研削方法を用いた工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法は、最大板厚偏差に優れた磁気記録媒体用ガラス基板を提供することができる。したがって、磁気記録媒体用ガラス基板の上に、磁性層などの薄膜を形成して製造した磁気ディスクのHDD試験において、磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触することにより発生する障害を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】磁気記録媒体用ガラス基板の斜視図。
【図2】両面研削装置の概略図。
【図3】上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状測定位置を示す概略図。
【図4】ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状が、ΔD(=Dout−Din)>0である形状を模式的に表す断面図。
【図5】ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状が、ΔD(=Dout−Din)<0である形状を模式的に表す断面図。
【図6】ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状測定結果(実施例)。(a)上定盤の研削面の形状測定結果、(b)下定盤の研削面の形状測定結果。
【図7】ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状測定結果(比較例)。(a)上定盤の研削面の形状測定結果、(b)下定盤の研削面の形状測定結果。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下に記載される実施形態に限らない。
【0014】
一般に、磁気記録媒体用ガラス基板および磁気ディスクの製造工程は、以下の工程を含む。(1)フロート法またはプレス成形法で成形されたガラス素基板を、円盤形状に加工した後、内周側面と外周側面に面取り加工を行う。(2)ガラス基板の上下主平面に研削加工を行う。(3)ガラス基板の側面部と面取り部に端面研磨を行う。(4)ガラス基板の上下主平面に研磨を行う。研磨工程は、1次研磨のみでも良く、1次研磨と2次研磨を行っても良く、2次研磨の後に3次研磨を行っても良い。(5)ガラス基板の精密洗浄を行い、磁気記録媒体用ガラス基板を製造する。(6)磁気記録媒体用ガラス基板の上に磁性層などの薄膜を形成し、磁気ディスクを製造する。
【0015】
なお、上記磁気記録媒体用ガラス基板および磁気ディスクの製造工程において、各工程間にガラス基板洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。さらに、磁気記録媒体用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を研磨工程前、または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
【0016】
本発明において、磁気記録媒体用ガラス基板は、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよく、ガラス基板の表層に強化層を有する強化ガラス(例えば、化学強化ガラス)でもよい。また、本発明のガラス基板のガラス素基板は、フロート法で造られたものでも良く、プレス成形法で造られたものでもよい。
【0017】
本発明は、(2)ガラス基板の上下主平面に研削加工を行う工程に関し、磁気記録媒体用ガラス基板の研削加工に係るものである。
【0018】
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板10の斜視図を図1に、両面研削装置20の概略図を図2にそれぞれ示す。図1において、101は磁気記録媒体用ガラス基板の主平面、102は内周側面、103は外周側面、をそれぞれ示す。図2において、10は磁気記録媒体用ガラス基板、30は上定盤の研削面、40は下定盤の研削面、50はキャリア、201は上定盤、202は下定盤、203はサンギア、204はインターナルギア、をそれぞれ示す。
【0019】
磁気記録媒体用ガラス基板10は、キャリア50のガラス基板保持部に保持された状態で、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との間に狭持され、ガラス基板の両主平面に上定盤の研削面30と下定盤の研削面40を互いに押圧させた状態で、ガラス基板の両主平面に研削液を供給するとともに、ガラス基板と研削面を相対的に動かして、ガラス基板の両主平面を同時に研削する。
【0020】
両面研削装置20は、サンギア203とインターナルギア204をそれぞれ所定の回転比率で回転駆動することにより、キャリア50を自転させながらサンギア203の周りを公転するように移動させ、上定盤201と下定盤202をそれぞれ所定の回転数で回転駆動して、ガラス基板の主平面を研削する。
【0021】
上定盤201と下定盤202のガラス基板と対向する面には、遊離砥粒研削方法を用いるときは固定砥粒工具が装着されていなくてもよく、固定砥粒研削方法を用いるときは固定砥粒工具が装着されている。固定砥粒研削方法を用いる場合、上定盤201と下定盤202に装着された固定砥粒工具は、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40をそれぞれ所定の形状とするため、ドレス治具を用いてドレス処理が施される。ドレス処理は、ドレス治具と研削面30、40との間にドレス水を供給するとともに、ドレス治具と研削面30、40を相対的に動かして、固定砥粒工具の研削面を削ることにより行われる。
【0022】
ドレス処理を施した研磨パッドの研削面の形状は、真直度計、ダイヤルゲージ、ストレートエッジと隙間ゲージ、などを用いて測定される。真直度計を用いた研削面の形状測定は、上定盤201や下定盤202を両面研削装置に取り付けた状態で測定できる。
【0023】
図3に、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状測定位置を示した。形状測定は、真直度計をサンギア203の外周より外側で、研削面真直度計の測定子が研削面30、40の内周端(X2、X3)と外周端(X1、X4)を通過するように設置して行う。
【0024】
図4と図5に、ガラス基板を研磨する前の上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状を模式的に表す断面図を示した。図4と図5において、Dinは内周端における上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との差、Doutは外周端における上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との差、ΔH1は上定盤の研削面30の最大高低差、ΔH2は下定盤の研削面40の最大高低差をそれぞれ表す。
【0025】
図4は、ΔD(=Dout−Din)>0である研削面の形状を模式的に表した断面図であり、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、内当り形状の研削面形状である。図5は、ΔD(=Dout−Din)<0である研削面の形状を模式的に表した断面図であり、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、外当り形状の研削面形状である。
【0026】
真直度計を用いて測定した、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状測定結果(本発明の実施例)を図6に示した。図6において、上段のプロファイル(a)は、上定盤の研削面30の形状測定結果、下段のプロファイル(b)は、下定盤の研削面40の形状測定結果である。研削面の形状測定結果から、外周端(X1とX4)を基準点とし、基準点からの最高高さ(Hmax)と最低高さ(Hmin)を求め、最大高低差ΔH(=Hmax−Hmin)を算出する。外周端(X1とX4)より内周端(X2、X3)が高いときは最大高低差ΔHをプラス値とし、外周端(X1とX4)より内周端(X2、X3)が低いときは最大高低差ΔHをマイナス値とする。
【0027】
内周端における上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との差をDinとし、外周端における上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との差をDoutとしたとき、DoutからDinを引いたΔD(=Dout−Din)は、下定盤の研削面40の最大高低差ΔH2から上定盤の研削面30の最大高低差ΔH1を引くことにより求められ、ΔD=Dout−Din=ΔH2−ΔH1となる。
【0028】
図6と図7を用い、研削面の形状測定結果について更に説明する。図6において、上定盤の研削面30は、最高高さ(Hmax)は+2.5μm、最低高さ(Hmin)は−6.0μmであるため、上定盤の研削面30の最大高低差ΔH1(=Hmax−Hmin)は+8.5μmとなる。下定盤の研削面40は、最高高さ(Hmax)は+5.0μm、最低高さ(Hmin)は−3.5μmであるため、下定盤の研削面30の最大高低差ΔH2(=Hmax−Hmin)は+8.5μmとなる。ΔD(=Dout−Din=ΔH2−ΔH1)は0μmであるため、図6の研削面の形状は、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が平坦に当る形状である。
【0029】
図7において、上定盤の研削面30は、最高高さ(Hmax)は+14.2μm、最低高さ(Hmin)は−3.8μmであるため、上定盤の研削面30の最大高低差ΔH1(=Hmax−Hmin)は+18.0μmとなる。下定盤の研削面40は、最高高さ(Hmax)は+2.0μm、最低高さ(Hmin)は−14.9μmであるため、下定盤の研削面30の最大高低差ΔH2(=Hmax−Hmin)は−16.9μmとなる。ΔD(=Dout−Din=ΔH2−ΔH1)は−34.9μmであるため、図7の研削面の形状は、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、外当り形状の研削面形状である。
【0030】
両面研削装置20を用いてガラス基板を研削加工し、最大板厚偏差に優れる磁気記録媒体用ガラス基板を得るには、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状ΔD(=Dout−Din)は−30μm〜+30μmである。
【0031】
ΔDが−30μm未満の場合、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当るためガラス基板に対する研削加工の圧力が外周端側で高くなる、また、研削されるガラス基板の周速は研削面の内周端側より外周端側で速くなる。そのため、研磨加工されるガラス基板の研削量は、ガラス基板が研削面の外周端側を通過するとき多くなり、同一ガラス基板面内および/または同一ロットで研削加工したガラス基板間の研削量にバラツキが生じやすくなり、最大板厚偏差に優れる磁気記録媒体用ガラス基板を得ることが難しくなる。
【0032】
ΔDが+30μmを超える場合、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当りすぎてしまい、上定盤201と下定盤202を安定的に回転駆動できず、研磨加工の圧力をガラス基板に対して均一に負荷できなくなり、ガラス基板の研削量にバラツキが生じ、最大板厚偏差に優れる磁気記録媒体用ガラス基板を得ることが難しくなる。
【0033】
ΔD(=Dout−Din)は、−25μm〜+25μmが好ましく、−20μm〜+20μmが更に好ましく、−15μm〜+15μmが特に好ましい。
【0034】
ドレス処理は、ドレス治具と研削面30、40との間にドレス水を供給するとともに、ドレス治具と研削面30、40を相対的に動かして、固定砥粒工具の研削面を削ることにより行われる。上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、ドレス水の温度Tdと上定盤201の温度Tpの温度差ΔTpd(Tp−Td)を制御することにより、所定の形状に形成できる。本明細書において、特にことわりのない限り、上定盤201と下定盤202とは、同じ温度に制御されるものとする。
【0035】
ドレス水の温度Tdが上定盤201の温度Tpより低い場合(ΔTpd>0)、上定盤201は上定盤の研削面側で収縮し、下定盤202は下定盤の研削面側で収縮するため、ドレス処理を行うときの上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、外当り形状の研削面形状(図5に示した形状)となる。研削面を外当り形状としてドレス処理を行うと、研削面の外周端側が多く削られ、ドレス処理を施した後、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、内当り形状の研削面形状(図4に示した形状)に形成される。
【0036】
ドレス水の温度Tdが上定盤201の温度Tpより高い場合(ΔTpd<0)、上定盤201は上定盤の研削面側で膨張し、下定盤202は下定盤の研削面側で膨張するため、ドレス処理を行うときの上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、内当り形状の研削面形状(図4に示した形状)となる。研削面を内当り形状としてドレス処理を行うと、研削面の内周端側が多く削られ、ドレス処理を施した後、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、外当り形状の研削面形状(図5に示した形状)に形成される。
【0037】
上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状を、ΔD(=Dout−Din)が−30μm〜+30μmとなるように形成するには、ΔTpd(Tp−Td)は−7℃〜+2℃が好ましい。
【0038】
ΔTpd(=Tp−Td)を−7℃未満(例えば、−10℃)でドレス処理すると、形成される上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、ΔD(=Dout−Din)が+30μmを超える研削面形状となり、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当りすぎてしまい、上定盤201と下定盤202を安定的に回転駆動できず、研削加工の圧力をガラス基板に対して均一に負荷できなくなり、ガラス基板の研削量にバラツキが生じ、最大板厚偏差に優れる磁気記録媒体用ガラス基板を得ることが難しくなる。
【0039】
ΔTpd(=Tp−Td)が+2℃を超えた状態でドレス処理すると、形成される上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、ΔD(=Dout−Din)が−30μm未満の研削面形状となり、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当るためガラス基板に対する研削加工の圧力が外周端側で高くなり、研削するガラス基板の周速が外周端側で速くなる、などの理由から、研削加工されるガラス基板は外周端側を通過するときに研削量が多くなり、同一ガラス基板面内および/または同一ロットで研削されたガラス基板間の研削量にバラツキが生じ、最大板厚偏差に優れる磁気記録媒体用ガラス基板を得ることが難しくなる。
【0040】
ドレス水の温度Tdと上定盤201の温度Tpの温度差ΔTpd(=Tp−Td)は、−7℃〜+2℃が好ましく、−5℃〜+2℃が特に好ましい。
【0041】
ドレス処理により、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状をそれぞれ所定の形状に形成した後、ガラス基板の研削加工を行う。
【0042】
磁気記録媒体用ガラス基板10は、キャリア50のガラス基板保持部に保持された状態で、上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との間に狭持され、ガラス基板の両主平面に上定盤の研削面30と下定盤の研削面40を互いに押圧させた状態で、ガラス基板の両主平面に研削液を供給するとともに、ガラス基板と研削面を相対的に動かして、ガラス基板の両主平面を同時に研削する。
【0043】
ガラス基板を研削加工しているときの上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、ガラス基板の両主平面に供給する研削液の温度Tcと上定盤201の温度Tpの温度差ΔTcp(=Tc−Tp)を調整することにより制御できる。
【0044】
研削液の温度Tcが上定盤201の温度Tpより低い場合、上定盤201は上定盤の研削面側で収縮し、下定盤202は下定盤の研削面側で収縮するため、ガラス基板を研削加工しているときの上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、外当り形状の研削面形状(図5に示した形状)となる。
【0045】
研削液の温度Tcが上定盤201の温度Tpより高い場合、上定盤201は上定盤の研削面側で膨張し、下定盤202は下定盤の研削面側で膨張するため、ガラス基板を研削加工しているときの上定盤の研削面30と下定盤の研削面40の形状は、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当る、内当り形状の研削面形状(図4に示した形状)となる。
【0046】
ガラス基板の両主平面に供給する研削液の温度Tcと上定盤201の温度Tpの温度差ΔTcp(=Tc−Tp)は、−2℃〜+8℃が好ましい。
【0047】
ΔTcp(=Tc−Tp)が−2℃未満(例えば、−6℃)でガラス基板を研削加工すると、外周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当りすぎるため、研削面の外周端側でガラス基板の研削量が多くなり、同一ガラス基板面内および/または同一ロット内のガラス基板間の研削量にバラツキが生じ、最大板厚偏差に優れる磁気記録媒体用ガラス基板を得ることが難しくなる。
【0048】
ΔTcp(=Tc−Tp)が+8℃を超えた状態でガラス基板を研削加工すると、内周端側で上定盤の研削面30と下定盤の研削面40が強く当りすぎるため、上定盤201と下定盤202を安定的に回転駆動できず、研削加工の圧力をガラス基板に対して均一に負荷できなくなり、ガラス基板の研削量にバラツキが生じ、平行度に優れる磁気記録媒体用ガラス基板を得ることが難しくなる。
【0049】
ガラス基板の両主平面に供給する研削液の温度Tcと上定盤201の温度Tpの温度差ΔTcp(=Tc−Tp)は、−2℃〜+8℃が好ましく、−2℃〜+6℃が更に好ましく、−1℃〜+4℃が特に好ましい。
【0050】
本発明は、遊離砥粒を用いた研削方法と固定砥粒工具を用いた研削方法との両方に適用できる。固定砥粒工具を用いた研削方法は、ダイヤモンド砥粒を金属、樹脂、またはガラス質などで結合して成形した固定砥粒工具を研削装置の定盤の表面に固定して、ガラス基板を研削するものであり、ダイヤモンドの硬度に由来する高い研削速度が得られるため、特に好適に使用される。
【0051】
ダイヤモンド砥粒を金属、樹脂、またはガラス質などで結合して成形した固定砥粒工具は、ダイヤモンド砥粒が固定砥粒工具の研削面に表出している。該ダイヤモンド砥粒は、平均粒子直径(以下、平均粒径と略す)が0.5〜45μmであることが好ましい。ダイヤモンド砥粒の平均粒径が0.5μm未満の場合、ガラス基板を研削する速度が低下し、生産性が悪くなるおそれがある。ダイヤモンド砥粒の平均粒径が45μmを超える場合、ガラス基板の研削加工時にガラス基板の表面にキズ(加工変質層)を深く発生させてしまい、その後の研磨工程でキズ(加工変質層)を充分に除去しきれず、磁気記録媒体用ガラス基板の主平面の欠陥として残留するおそれがある。また、研削したガラス基板の表面が粗く仕上がるため、その後の研磨工程において、研磨量を多く設定する必要があり、磁気記録媒体用ガラス基板の製造工程全体の生産性が劣るおそれがある。ダイヤモンド砥粒の平均粒径は0.5〜45μmが好ましく、1〜40μmが特に好ましい。
【0052】
磁気記録媒体用ガラス基板は、他のガラス基板製品に要求される板厚特性や平坦度特性に比べて厳しいレベルのものが要求されるが、本研削方法および本研削方法を用いた工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法が最も好適に適用されるものである。
【0053】
本発明において、中心部に円孔を有する円盤形状のガラス基板の板厚測定は、例えばマイクロメータまたは質量法を用いて測定される。同一のガラス基板面内における最大板厚偏差を評価する場合、マイクロメータを用いて測定すると良い。
【0054】
板厚測定は、磁気記録媒体用ガラス基板の記録再生領域の内径側領域と外径側領域において、0°、90°、180°、270°の計8箇所の位置で行い、同一ガラス基板面内の最大板厚偏差(=最大板厚−最小板厚)と、同一ロットで研削したガラス基板間の最大板厚偏差(=最大板厚−最小板厚)を評価する。板厚測定を行うガラス基板の枚数は、特に制限されるものではなく、例えば、16B型の両面研削装置を用いて100枚のガラス基板を同時に研削する場合、1ロットから5〜10枚のガラス基板を抜き取って板厚を測定すればよい。
【0055】
磁気記録媒体用ガラス基板の記録再生領域の内径側領域と外径側領域にて、0°、90°、180°、270°の計8箇所の位置で板厚を測定し、同一のガラス基板面内における最大板厚偏差を評価したとき、同一ガラス基板面内における最大板厚偏差は、3μm以下がよく、2μm以下が好ましく、1μm以下が更に好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。また、同一ロットで研削されたガラス基板間の最大板厚偏差は、4μm以下がよく、3μm以下が好ましく、2μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。
【0056】
本研削方法を用いた工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造される磁気記録媒体用ガラス基板は、記録再生領域の内径側領域と外径側領域にて、0°、90°、180°、270°の計8箇所の位置で板厚を測定して、同一ガラス基板面内における最大板厚偏差を評価したとき、同一ガラス基板面内における最大板厚偏差は、1μm以下が好ましく、0.5μm以下が更に好ましく、0.3μm以下が特に好ましい。また、同一ロットで研削された磁気記録媒体用ガラス基板間の最大板厚偏差は2μm以下が好ましく、1μm以下が更に好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。
【0057】
磁気記録媒体用ガラス基板の上に、磁性層などの薄膜を形成して製造した磁気ディスクのHDD試験結果において、同一ガラス基板面内における最大板厚偏差が3μmを超えると、磁気ヘッドの浮上姿勢が乱され、磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触して障害が発生する。同一ガラス基板面内における最大板厚偏差は小さいほど、磁気ヘッドの浮上姿勢は安定化する。
【実施例】
【0058】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0059】
[磁気記録媒体用ガラス基板の形状付与]
外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmの磁気記録媒体用ガラス基板用に、フロート法で成形されたSiOを主成分とするガラス基板をドーナツ状円形ガラス基板(中央部に円孔を有する円盤形状ガラス基板)に加工した。
【0060】
このドーナツ状円形ガラス基板の内周側面と外周側面を、面取り幅0.15mm、面取り角度45°の磁気記録媒体用ガラス基板が得られるように面取り加工した。
【0061】
[磁気記録媒体用ガラス基板の端面研磨]
次に、内周側面と内周面取り部を研磨ブラシと酸化セリウム砥粒を用いて研磨し、内周側面と内周面取り部のキズを除去し、鏡面となるように内周端面を研磨加工した。内周端面研磨を行ったガラス基板は、アルカリ性洗剤を用いたスクラブ洗浄、アルカリ性洗剤溶液への浸漬した状態での超音波洗浄により、砥粒を洗浄除去する。
【0062】
内周端面研磨後のガラス基板の外周側面と外周面取り部を研磨ブラシと酸化セリウム砥粒を用いて研磨し、外周側面と外周面取り部のキズを除去し、鏡面となるように外周端面を研磨加工した。外周端面研磨後のガラス基板は、アルカリ性洗剤を用いたスクラブ洗浄と、アルカリ性洗剤溶液への浸漬した状態での超音波洗浄により、砥粒を洗浄除去される。
【0063】
[磁気記録媒体用ガラス基板の研削]
面取り加工後のガラス基板は、研磨具として鋳鉄定盤とアルミナ砥粒を含有する研削液用いて、両面研削装置(浜井産業社製、製品名:16BF−4M5P)により上下主平面を1次研削した。研削したガラス基板は、砥粒を洗浄除去した後、2次研削する。
【0064】
2次研削は、研磨具として固定砥粒工具(3M社製、製品名:Trizact9μmAA1)と研削液を用いて、両面研削装置(浜井産業社製、製品名:16BF−4M5P)により上下主平面を研削した。ガラス基板の2次研削は、メインの研削加工圧力は100g/cm、定盤回転数は30rpmとし、研削量は研削されたガラス基板の板厚が設定した板厚となるように研削時間を設定して行った。ガラス基板の研削は、上定盤を反時計回りに駆動、下定盤を時計回りに駆動、キャリアが反時計回りとなるようにサンギアとインターナルギアを駆動させて行った。研削後のガラス基板は、洗浄した後に最大板厚偏差を測定した。
【0065】
両面研削装置の上定盤と下定盤に装着した固定砥粒工具は、ガラス基板を研削する前に、ドレス治具を用いてドレス処理が施され、所定の研削面の形状に形成される。ドレス処理を施した固定砥粒工具の研削面の形状は、真直度計(Hitzハイテクノロジー社製、製品名:HSS−1700)を用いて測定した。上定盤と下定盤の研削面の形状の測定は、図3に示したX線上を沿うように真直度計を設置し、真直度計の測定子が研削面の外周端(X1とX4)と内周端(X2とX3)を通過するように走査させて行った。ドレス処理を施した固定砥粒工具(ガラス基板を研削する前)の研削面の真直度計測定結果から、上定盤の研削面の最大高低差ΔH1、下定盤の研削面の最大高低差ΔH2、ΔD(=ΔH2−ΔH1=Dout−Din)を求めた。
【0066】
2次研削加工したガラス基板の板厚は、マイクロメータ(ミツトヨ社製、製品名:MDC−MJ/JP)を用いて測定した。ガラス基板の板厚は、磁気記録媒体用ガラス基板の中心部から15mm(記録再生領域の内径側領域)と27mm(記録再生領域の外径側領域)において、0°、90°、180°、270°の計8箇所の位置で測定した。同一ガラス基板面内における最大板厚偏差は、8箇所の位置で測定した板厚の最大板厚と最小板厚の差から求めた。板厚の測定は、1ロット(100枚)につき5枚のガラス基板を抜き取って行った。同一ロットで研削加工されたガラス基板間の最大板厚偏差は、5枚のガラス基板を測定して得た板厚(計40点)の最大板厚と最小板厚の差から求めた。
【0067】
図6に、両面研削装置の上定盤と下定盤に固定した固定砥粒工具の研削面を、リング形状のホワイトアルミナからなるドレス治具を用い、上定盤の温度Tpを22℃、ドレス水の温度Tdを20℃にてドレス処理を施した、固定砥粒工具の研削面の形状を、真直度計を用いて測定した結果を示す。ΔTpdを+2℃としてドレス処理を行うことにより、ΔDが0μmの研削面の形状を得ることができた。
【0068】
上記ドレス処理を施した、図6の研削面形状を有する両面研削装置を用い、ガラス基板を10ロット研削した。上定盤の温度Tpを22℃、研削液の温度Tcを25℃として研削した、ガラス基板の板厚測定結果と、同一ガラス基板面内の最大板厚偏差と、同一ロット内の最大板厚偏差を表1(実施例)に記す。全てのロットにおいて、同一ガラス基板面内の最大板厚偏差は1.0μm以下、同一ロット内で研削加工されたガラス基板の最大板厚偏差は2.0μm以下であり、最大板厚偏差に優れるガラス基板を得ることができた。
【0069】
図7に示すように、両面研削装置の上定盤と下定盤に固定した固定砥粒工具の研削面の形状ΔDを−34.9μmとし、ガラス基板を10ロット研削した。研削されたガラス基板の最大板厚偏差の測定結果を、表2(比較例)に記す。研削面の形状ΔDを−34.9μmとしてガラス基板を研削すると、同一ガラス基板面内の最大板厚偏差が3.0μmを超えてしまうガラス基板や、同一ロット内で研削加工されたガラス基板の最大板厚偏差が4.0μmを超えてしまうロットがあり、最大板厚偏差に優れるガラス基板を安定的に得ることが難しくなった。
【0070】
[磁気記録媒体用ガラス基板の研磨]
端面加工後のガラス基板は、研磨具として硬質ウレタン製の研磨パッドと酸化セリウム砥粒を含有する研磨液(平均粒子直径、以下、平均粒径と略す、約1.1μmの酸化セリウムを主成分した研磨液組成物)を用いて、両面研磨装置により上下主平面を1次研磨した。研磨後のガラス基板は、酸化セリウムを洗浄除去した後、平行度を測定した。
【0071】
1次研磨後のガラス基板は、研磨具として軟質ウレタン製の研磨パッドと、上記の酸化セリウム砥粒よりも平均粒径が小さい酸化セリウム砥粒を含有する研磨液(平均粒径約0.5μmの酸化セリウムを主成分とする研削液組成物)を用いて、両面研磨装置により上下主平面を研磨し、酸化セリウムを洗浄除去した。
【0072】
2次研磨後のガラス基板は、仕上げ研磨(3次研磨)を行う。仕上げ研磨(3次研磨)の研磨具として軟質ウレタン製の研磨パッドと、コロイダルシリカを含有する研磨液(一次粒子の平均粒径が20〜30nmのコロイダルシリカを主成分とする研磨液組成物)を用いて、両面研磨装置により上下主平面を研磨加工した。
【0073】
[磁気記録媒体用ガラス基板の洗浄]
3次研磨を行ったガラス基板を、仕上げ研磨の研磨液と同じpHに調整した溶液に浸漬し、アルカリ性洗剤によるスクラブ洗浄、アルカリ性洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、純水に浸漬した状態での超音波洗浄、を順次行い、イソプロピルアルコール蒸気にて乾燥した。
【0074】
ガラス基板を洗浄乾燥した後、磁気記録媒体用ガラス基板の最大板厚偏差を測定した。磁気記録媒体用ガラス基板の最大板厚偏差は、マイクロメータを用い、研削後のガラス基板と同じ方法で測定した。磁気記録媒体用ガラス基板の同一ガラス基板面内における最大板厚偏差は1μm以下であり、同一ロットで研削加工されたガラス基板間の最大板厚偏差は2μm以下であった。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、板形状を有するガラス基板の研削工程を有するガラス基板の製造方法に適用できる。板形状を有するガラス基板として、磁気記録媒体用、フォトマスク用、液晶や有機EL等のディスプレイ用などのガラス基板が具体的なものとして挙げられる。
【符号の説明】
【0078】
10:磁気記録媒体用ガラス基板、101:磁気記録媒体用ガラス基板の主平面、102:内周側面、103:外周側面、
20:両面研磨装置、30:上定盤の研削面、40:下定盤の研削面、50:キャリア、201:上定盤、202:下定盤、203:サンギア、204:インターナルギア、
X:研削面の形状測定位置、X2とX3:研削面30、40の内周端、X1とX4:研削面30、40の外周端、
Din:内周端における上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との差、Dout:外周端における上定盤の研削面30と下定盤の研削面40との差、ΔH1:上定盤の研削面30の最大高低差、ΔH2:下定盤の研削面40の最大高低差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状を有するガラス基板の形状付与工程と、前記ガラス基板の主平面の研削工程と、前記主平面の研磨工程と、前記ガラス基板の洗浄工程と、を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
前記研削工程は、両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面との間に板形状を有するガラス基板を保持したキャリアを配置し、ガラス基板の両主平面に上定盤の研削面と下定盤の研削面を互いに押圧させた状態で、ガラス基板の主平面に研削液を供給するとともに、ガラス基板と研削面を相対的に動かして、ガラス基板の両主平面を同時に研削するものであり、
前記上定盤および前記下定盤は、内周端と外周端のある円盤形状を有するものであり、
ガラス基板を研削する前の両面研削装置の上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状は、内周端における上定盤の研削面と下定盤の研削面との差をDinとし、外周端における上定盤の研削面と下定盤の研削面との差をDoutとしたとき、DoutからDinを引いたΔD(=Dout−Din)が−30μm〜+30μmであることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
両面研削装置を用いたガラス基板の研削工程は、上定盤の研削面と下定盤の研削面の形状を形成するドレス処理工程を有し、前記ドレス処理に用いるドレス水の温度Tdは、上定盤の温度Tpに対し、TpからTdを引いたΔTpd(=Tp−Td)が−7℃〜+2℃である請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
両面研削装置を用いたガラス基板の研削工程において、前記研削液の温度Tcは、上定盤の定盤温度Tpに対し、TpからTcを引いたΔTcp(=Tc−Tp)が−2℃〜+8℃である請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記研削が固定砥粒工具によるものであり、上定盤の研削面と下定盤の研削面には、それぞれ固定砥粒工具が設置されている請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記固定砥粒工具は、樹脂製板状部材または金属製板状部材からダイヤモンド砥粒が表出している請求項4記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項6】
前記ダイヤモンド砥粒は、平均粒子直径が0.5〜45μmである請求項5記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造した、中心部に円孔を有する磁気記録媒体用ガラス基板であって、同一のガラス基板面内における最大板厚偏差が3μm以下で研削加工された中心部に円孔を有する円盤形状のガラス基板。
【請求項8】
中心部に円孔を有する磁気記録媒体用ガラス基板であって、同一のガラス基板面内における最大板厚偏差が1μm以下である請求項7に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
【請求項9】
同一のロットで研削加工されたガラス基板間の最大板厚偏差が4μm以下で研削加工された中心部に円孔を有する請求項7記載の円盤形状のガラス基板。
【請求項10】
中心部に円孔を有する磁気記録媒体用ガラス基板であって、同一のロット内のガラス基板間の最大板厚偏差が2μm以下である請求項8に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−156627(P2011−156627A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21114(P2010−21114)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】