説明

移動機器

【課題】備えられる情報検知機能の効用をより高めた移動機器を提供する。
【解決手段】モバイル機器の持ち主が乗車する車両の発車または停車時に特有の加速度変化パターンとモバイル機器全体への加速度を比較することで、モバイル機器の持ち主が車両に確実に乗車したことの判定や停車の事前告知による乗り過ごし防止を行う。位置検出情報との組合せで、車両が所定位置で停止または右折や左折をするために移動しているのかどうかの事前把握や、減速なしの所定位置通過を判断する。改札入場情報と加速度検知でモバイル機器の持ち主の車両への乗車を判断する。車両の発着予定情報と加速度検知時刻により乗車車両を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル機器や車両などの移動機器に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器は車両などの移動機器には、加速度センサやGPSなど種々の情報検知機能が種々の目的のために設けられている。
【特許文献1】特開2002−204467号公報
【特許文献2】特開2008−35144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの機能の効用の可能性については、なお検討すべき課題は多い。
【0004】
本発明の課題は、上記に鑑み、備えられる情報検知機能の効用をより高めた移動機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明は、移動機器全体の所定の動きに特有の加速度変化パターンを記憶する記憶部と、加速度検出部が検出する加速度変化を記憶部に記憶された加速度変化パターンと比較する比較部と、この比較部の比較結果に基づいて移動機器体全体に所定の動きがあったかどうかを判定する判定部とを有する移動機器を提供する。これによって、移動機器に備えられた加速度検出機器全体の動きの判定が可能となる。
【0006】
本発明の移動機器は、例えばモバイル機器であり、その記憶部はモバイル機器の持ち主が乗車する車両の発車時に特有の加速度変化パターンを記憶するとともに判定部は前記車両の発車を判定する。これによって、モバイル機器の持ち主が車両に確実に乗車したことを判定できる。
【0007】
本発明の移動機器がモバイル機器である場合、本発明の他の具体的な特徴によれば、記憶部は、モバイル機器の持ち主が乗車する車両の停車時に特有の加速度変化パターンを記憶するとともに、判定部は車両の停車を事前に判定する。これによって、モバイル機器の持ち主車両の停車を事前に告知し、乗り過ごしを防止することなどが可能となる。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、加速度検出部と、移動機器自体の位置を検出する位置検出部と、加速度検出部および位置検出部に基づいて移動機器全体の動きの態様を判断する判断部とを有する移動機器が提供される。このような加速度検出と位置検出の組合せは、これらの情報がそれぞれ単独で利用される場合よりも有用な情報把握が可能となる。
【0009】
例えば、判断部は、移動機器が所定の加速度変化を伴って所定位置に移動しているか否かを判断する。これによって、例えば、移動機器が所定位置で停止または右折や左折をするために移動しているのかどうかを事前に把握することができる。また、他の例では、判断部は、移動機器が減速せずに所定位置を通過したかどうかを判断する。これによって、例えば停止または右折や左折などが予定されている所定位置を移動機器がそのまま通過したことなどを速やかに把握することができる。このような移動機器の好適な例は、移動機器が車や列車などの車両である場合である。
【0010】
上記本発明の他の具体的な特徴によれば、移動機器はモバイル機器であり、判断部は、モバイル機器の持ち主が乗車する車両が所定の駅で停車せずに通過したかどうかを判断する。これによって、例えば想定されていた各駅停車列車が実は急行列車であったことなどが把握できる。また、移動機器がモバイル機器である場合の他の具体例では、判断部は、モバイル機器の持ち主が乗車する車両が所定の駅に停車するために減速していることを予測する。これによって、モバイル機器の持ち主車両の停車を事前に告知し、乗り過ごしを防止することなどが可能となる。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、加速度検出部と、移動機器自体の所在に関する情報を取得する情報取得部と、前記加速度検出部および前記情報取得部に基づいて移動機器全体の所在を判断する判断部を有することを特徴とする移動機器が提供される。このような加速度検出と情報取得部の組合せは、これらの情報が単独で利用される場合よりも有用な情報把握が可能となる。なおこの特徴における情報取得部は自動的に情報を取得する機能だけでなく操作部などによって手動で情報を入力する機能も含む。
【0012】
上記本発明の具体的な特徴によれば、判断部の判断結果を外部に送信する送信部が設けられる。これによって、判断部により把握された情報に基づいて外部から移動機器の状況をモニタすることが出来る。例えば移動機器がモバイル機器であった場合、モバイル機器の持ち主の行動をきめ細かく見守ることができる。
【0013】
上基本発明の他の具体的な特徴によれば、移動機器はモバイル機器であり、情報取得部はモバイル機器の持ち主が乗車すべき車両の発着場への入場情報を取得するとともに、判断部は入場情報および加速度検出部による出発加速度検知によりモバイル機器の持ち主の車両への乗車を判断する。これによって、例えば、モバイル機器の持ち主が単に駅の改札に入ったことだけでなく、その持ち主が実際に車両に乗車したことを判断できる。
【0014】
上基本発明の他の具体的な特徴によれば、移動機器はモバイル機器であり、情報取得部はモバイル機器の持ち主が乗車すべき車両の発着予定情報を取得するとともに、判断部は発着予定情報と加速度検出部による加速度検知時刻によりモバイル機器の持ち主の車両への乗車を判断する。これによって、例えば、モバイル機器の持ち主が単に駅の改札に入ったことだけでなく、その持ち主が実際に乗車した車両を特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るモバイル機器システムの実施例を示すブロック図である。実施例は携帯電話2を含む交通機関利用システムを構成しており、携帯電話2に、交通機関の利用に関する情報を記憶するとともに携帯電話2と交通機関の管理システムとの交信等により交通機関利用の利便性を高めたものである。さらに、携帯電話2に内蔵されている加速度センサが検出する交通機関の運行に伴う加減速情報を上記の記憶情報と組み合わせることにより、交通機関利用の利便性をさらに高めている。
【0016】
携帯電話2は、携帯電話全体を制御するコンピュータからなる携帯制御部4を有し、携帯操作部6の操作に応じて、電話機能部8などを制御する。この携帯制御部4の機能は記憶部10に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部10は、後述のように路線図、時刻表、定期券、乗車券などの交通機関利用に関する情報を記憶するとともに、携帯電話2全体の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。携帯制御部4は、さらに表示部12を制御し、携帯操作部6の操作と連携するGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行う。
【0017】
GPS部14は、GPSシステムに基づいて衛星または最寄の放送局より携帯電話2の絶対位置情報である緯度、経度、および高度の情報を得て携帯制御部4に送る。この絶対位置情報は、携帯制御部4の制御により地図とともに表示部12に表示され、ナビゲーション情報として提供される。
【0018】
携帯電話2は、電話機能部8および電話通信部16により通常の通話を含む電話回線を介した無線通信を行うことができる。電話通信部16は他の携帯電話との電話会話のための通信を行うとともに、インターネット経由で後述する駅サーバと通信して交通機関の利用に関する情報をダウンロードする。携帯電話2には、これと別に無線LAN、微弱無線通信、近傍界通信のいずれかまたはこれらの併用による携帯近距離通信部18が備えられており、近距離通信圏内に存在する外部機器との無線通信が可能となっている。携帯近距離通信部18による通信は、法規制上問題のない規格に基づくものであって、通信圏は限られるが電話回線などのように料金が発生しないものである。
【0019】
携帯近距離通信部18は、後述する改札との交信の他、上記のGPS部14において取得した絶対位置情報を他の機器のGPS部に送信すると共に、他の機器がそのGPS部で取得した絶対位置情報を受信することができる。これにより、表示部12において自分の位置だけでなく他の機器の位置についても同一の地図上で表示することが可能となり、両者の相対関係を地図上で確認できる。その詳細については、同一出願人による特許願2007−28393などに記載されている。また、携帯電話2は、振動部20を有し、携帯電話2を振動させることによって着信などの告知を行うとともに、後述するように、加速度センサ26による減速検知などに基づき降車駅への接近を使用者に告知し、使用者の乗り過ごしを警告する。
【0020】
携帯電話2全体は、充電式の主電源22によって給電されていると共に、記憶部10はさらにリチウム電池などからなる補助電源24によりバックアップされている。これによって、主電源22の放電や交換の際に記憶部10に記憶されている情報が揮発するのを防ぐ。
【0021】
携帯電話2は、さらに加速度センサ26を有しており、使用者が携帯電話2を振ったことなどの検出による入力インターフェースを構成するとともに、携帯電話2の持ち主が乗車している交通機関の加速や減速を検出することにより降車予定駅への接近判定情報を提供する。
【0022】
第2携帯電話2は、また、外部アクセサリとの接続部28を有し、この接続部28にはイヤホンセットが接続可能となっている。イヤホンセットは左用イヤホン30、右用イヤホン32およびリモコン34からなり、リモコン34は、手元操作のためのリモコン操作部36と表示部38を有する。イヤホンは携帯電話2の記憶部10に記憶されている音楽コンテンツやゲームコンテンツの音情報を再生するとともに、後述するように、加速度センサ26による減速検知などに基づき降車駅への接近を使用者に報知するアナウンスを行って使用者の乗り過ごしを警告する。この警告は振動部20による警告と組み合わせてもよい。
【0023】
駅サーバ40は、駅全体を制御するコンピュータからなるサーバ制御部42を有し、サーバ通信部44を制御して携帯電話2の電話通信部16に路線図、時刻表、定期券など交通機関の利用に関する情報を送信する。その通信料金は駅サーバ40側が負担する。サーバ制御部42の機能はサーバ記憶部46に格納されたソフトウエアによって実行される。サーバ記憶部44はまた、サーバ通信部による通信の制御等に必要な種々のデータを一時的に格納する。
【0024】
交通機関の利用に関する情報としては、乗車券など、利用の都度必要となるものがあるが、これは、駅施設に備えられる発券場などから携帯近距離通信部18に直接送信することで、通信料金の発生しない形で行われる。なお、座席指定券情報などその都度使用されるものではあるが予約が可能なものは、他の情報と同様にして、駅サーバ側の通信料金負担にてサーバ通信部44から携帯電話2の電話通信部16に送信することも可能である。
【0025】
改札機48は、改札機全体を制御するコンピュータからなる改札制御部50を有し、改札記憶部52に格納されたソフトウエアによって制御を実行する。改札制御部50は駅構内LANでサーバ制御部とも接続されている。改札記憶部52はまた、改札機48の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。改札機48は、さらに改札近距離通信部54を有し、改札を通る使用者が保持している携帯電話2の携帯近距離通信部18と通信する。通信結果は、改札検知/処理部56で処理され、改札通過者が適正かどうか検知するとともに、通過に必要な情報を処理する。
【0026】
なお、図1において、携帯電話2と駅サーバが直接通信を行っているごとく図示しているが、周知のように携帯電話は通信回線のインフラストラクチャー通信によるものであり、実際には電話通信部16とサーバ通信部44とは、基地局を介して通信している。一方、携帯電話2と改札機48とは、図示のとおり、携帯近距離通信部18と改札近距離通信部54によって直接の通信が行われる。
【0027】
図2は、図1の第1実施例における携帯制御部4の交通機関利用機能の基本フローチャートであり、近距離通信電波による改札機48への接近検知によってスタートする。フローがスタートすると、改札機48との交信により、まずステップS2で携帯電話2のIPアドレスを確認する処理を行い、携帯電話
2の持ち主の改札接近を検知する。次に、ステップS4で改札機48との交信により記憶部10に記憶されている定期券情報や乗車券情報により改札を通過する資格があるかどうかの認証処理を行う。
【0028】
次にステップS6では携帯電話2と改札機48との交信により携帯電話2の持ち主が認証後所定時間内に改札機48を通過して入場したかどうかチェックする。なお、当然ながら、ステップS4で改札通過認証ができなければ改札機48のゲートが閉じるので携帯電話2の持ち主は改札入場できない。ステップS6で改札入場が検知されるとステップS8に進んで携帯電話2の持ち主が改札を通過した旨の情報を改札機48に送信する。なお、送信された改札通過情報は、ステップS2で確認されたIPアドレスとともに改札制御部50から駅サーバ40のサーバ制御部42に転送される。駅サーバ40は受信したIPアドレスに対応して予め登録されている送信先に携帯電話2の持ち主名、駅名、改札通過時間をサーバ通信部44からインターネット経由でメール送信する。送信先は例えば携帯電話4の持ち主の家庭であり、これによって、家庭では携帯電話の持ち主の動向を把握できるので子供や高齢者の見守りが可能となる。
【0029】
次いでステップS10では、改札機48から、路線図、時刻表等の更新情報を受信する。さらにステップS12では改札機48から乗車駅名などの乗車駅情報を受信し、ステップS14に進む。ステップS14では、加速度センサ26が列車の発車に特有の加速度を検出したかどうかチェックする。そして検知がなければステップS16に進み、その駅で乗車せずに改札を出場するという例外的な状況がなかったどうかを念のためチェックし、出場がなければステップS14に戻る。このようにして、発車加速度の検出および改札出場の検出がない限りステップS14およびステップS16を繰り返し、携帯電話2の持ち主が改札入場後に乗った列車が発車するのを待つ。
【0030】
ステップS14で発車加速度が検知されるとステップS18に進み、降車駅検知処理に入る。これは、携帯電話2の持ち主に降車予定駅での降車を促し、居眠りや考え事による乗り過ごしをしないよう告知するために必要となる処理であり、降車駅を検知したと判断したときは検知フラグを立てる。その詳細は後述する。ステップS18では、ステップS20の降車駅検知処理において降車駅検知フラグが立てられたかどうかのチェックが行われる。そして降車駅検知フラグが立っていればステップS22に進み、降車駅告知処理が行われる。これは携帯電話2の持ち主に降車駅検知を告知するための処理であり、その詳細は後述するが、次のステップS24に移行するまでには、降車駅事前検知フラグがリセットされるとともに列車確定情報および推定降車駅も消去される。
【0031】
ステップS24では、告知から所定時間内に発車加速を検出したかどうかのチェックを行う。これは、降車駅の告知にもかかわらず乗り過ごしをしてしまったか、または予定通りに乗り換えた列車が発車したかのチェックである。所定時間内に発車加速を検知しない場合はステップS26に進み、その後さらに所定時間内に携帯電話2の持ち主が降車駅の改札を出場したかどうかのチェックを行う。ステップS26で降車駅改札出場が検出されるとステップS28に進み、携帯電話2の持ち主が降車駅の改札を通過した旨の情報を降車駅の改札機に送信してフローを終了する。なお、ステップS8の場合と同様にして、送信された降車駅における改札通過情報は、IPアドレスとともに降車駅の改札制御部から降車駅の駅サーバ経由で予め登録されている送信先にインターネット経由でメール送信され、例えば携帯電話2の持ち主の家庭では、本人が降車駅を出たことを知ることができる。
【0032】
一方、ステップS20で降車駅検知フラグが立っていることが確認されないとき、またはステップS24で所定時間内の発車加速が検知されないとき、またはステップS26で所定時間内の改札出場が検知されないときはいずれもステップS30に進み、GPS修正処理に入る。この処理は、ステップS18において検知を行う対象の降車駅を変更する必要がないかどうかをGPS部14の情報に基づき確認し、必要に応じこれを修正する処理である。その詳細は後述する。ステップS30のGPS修正処理が完了するとステップS32で改札出場の有無をチェックする。これは、何かの都合で降車後所定時間内に降車駅の改札を出なかった結果ステップS26からステップS30に移行した場合の対策であり、ここで改札出場が検出されるとステップS28に進み、ステップS26経由でステップS28に至る場合と同様の処理を行う。
【0033】
これに対し、ステップS32で改札出場が検知されない場合はステップS18に戻り、以下、ステップS20で降車駅が検知されるか、ステップS24で発車加速が検知されないか、またはステップS26もしくはステップS32で改札出場が検知されるかしない限り、ステップS18からステップS26、ステップS30およびステップS32のループを繰り返す。
【0034】
また、ステップS16で改札出場が検出された場合は、ステップS34に進み、一旦乗車駅の改札を入った携帯電話2の持ち主が列車に乗らずにそのまま改札を出た旨の情報を改札機48に送信してフローを終了する。なお、この場合も、ステップS8の場合と同様にして、乗車駅改札出場情報は、IPアドレスとともに改札制御部50から駅サーバ経由40で予め登録されている送信先にインターネット経由でメール送信され、例えば携帯電話2の持ち主の家庭では、本人が何らかの事情で乗車駅での乗車を取りやめたことを知ることができる。なお、ステップS6において所定時間内の改札入場が検出されなければ、ステップS4で携帯電話2の持ち主の改札通過認証ができなかったかまたは本人の意思により改札入場が実行されなかったことを意味するので、直ちにフローを終了する。
【0035】
なお、上記のステップS14およびステップS16のループが繰り返される間、他の機能が行われていないように見えるが、これはフロー説明の簡単化のためであり、実際には、ステップS14、ステップS16、ステップS24、ステップS26およびステップS32は、割込みの有無を見ているステップである。具体的には、例えばステップS12を経ることでステップS14での発車加速検知の割込みが可能となり、割込みが検知されるとステップS18に進むことになる。また、ステップS12を経てステップS14で発車加速検知の割込みが検知されない限りステップS16での改札出場割込みが可能とされ、改札出場割込みがかかるとステップS34に進むことになる。なお、当然ながらステップS12を経るまではステップS14およびステップS16の割込みは不可となっている。また、ステップS14またはステップS16のいずれかでの割込み検知によってそれぞれステップS18またはステップS34に進んだときは、ステップS14およびステップS16での割込みはともに不可とされる。以上によって、ステップS12を経由してステップS14またはステップS16での後割込みを待つ間、携帯制御部4は他の機能を実行することができる。
【0036】
同様にして、ステップS20、ステップS24、ステップS26、ステップS32も実際には割込みの有無を見ているステップであり、それぞれ直前のステップにて割込み可とされるとともに、割込み検知で次のステップに進むと割込み不可とされる。これによって、ステップS18からステップS26およびステップS30、ステップS32のループが繰り返される間、携帯制御部4は他の機能を実行することができる。以下、説明は省略するが、図示のフローにおいて、いつ生じるかわからない検地を待つステップについては、同様に割り込み検地のステップとして理解されるものとする。
【0037】
図3は、図2のステップS18における降車駅検知処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS42で乗車列車推定処理が行われる。その詳細は後述する。ステップS42で携帯電話2の持ち主の乗車した列車が推定されるとステップS44に進み、降車駅推定処理が行われる。なお、この降車駅は最終目的地到達までに乗り換えが必要な場合、乗換のための降車駅が推定される。ステップS44の降車駅推定処理の詳細は後述する。ステップS44で降車駅が推定されるとステップS46に進む。
【0038】
ステップS46は列車が次駅での停車のために減速したことが加速度センサ26によって検知されたかどうかチェックする。列車は停車以外にも適宜減速を行うが、停車のための減速かどうかは予め記憶されている停車用の減速パターンとの照合により判断する。ステップS46で停車減速が検知されるとステップS47で停車減速回数カウンタをインクリメントしてステップS48に進み、必要に応じ図2のステップS10による更新も経た次駅位置の情報が記憶部10に保持されているかどうかチェックする。そして次駅位置情報があればステップS50に進み、停車減速が検知された時点でGPS14によって得られる現在位置が次駅位置手前の所定距離以内に接近しているかチェックする。
【0039】
ステップS50で次駅への接近が検出されないときは、次駅位置情報、停車減速検地またはGPS情報取得のいずれかに何らかの不備があったことが考えられるので、ステップS52に移行する。また、ステップS48で次駅位置情報が検出できなかったときは直接ステップS52に移行する。ステップS52では、必要に応じ図2のステップS10による更新も経た次駅到着予定時刻の情報が記憶部10に保持されているかどうかチェックする。そして次駅到着予定時刻情報があればステップS54に進み、停車減速が検知された現在時刻が次駅到着予定時刻直前の所定時間内であるかどうかチェックする。
【0040】
ステップS54で次駅到着予定時刻直前であることが検出されないときは、次駅到着予定時刻情報、停車減速検地に何らかの不備があったことが考えられるので、ステップS56に移行する。また、ステップS52で次駅到着予定時刻情報が検出できなかったときは直接ステップS56に移行する。ステップS56では、前駅の停車履歴があるかどうかをチェックし、この確認ができなければステップS58に進み、ステップS47でカウントされている停止減速検知回数が所定回数に達したかどうかチェックし所定回数に達していればステップS60に移行する。
【0041】
一方、ステップS50で次駅への接近が検出されたときはステップS62に進み、接近している次駅が降車駅かどうかチェックする。これはステップS44での降車駅推定および必要に応じ図2のステップS10による更新も経た路線図および時刻表情報に基づいて可能である。そしてステップS62で降車駅であることが確認されるとステップS60に移行する。また、ステップS54で次駅到着予定時刻直前であることが検出されたときもステップS62に進み、到着予定時刻直前の次駅が降車駅かどうかチェックする。そして降車駅であることが確認されるとステップS60に移行する。
【0042】
さらに、ステップS56において前駅で正しく停車したことの履歴が確認された場合もステップS62に移行し、次駅が降車駅かどうかチェックする。そして降車駅であることが確認されるとステップS60に移行する。ステップS56からステップS62に至る場合は、ステップS46で検知された停車減速が次駅への接近によるものであることが確認されたわけではないが、少なくとも前駅での停車が確認されているので、稀に事故等による次駅前での減速の可能性があるが、減速は次駅への接近とみなしてステップS62に進むようにしている。そして上記と同様にステップS62で降車駅であることが確認されるとステップS60に移行する。
【0043】
ステップS60では、降車駅事前検知フラグをセットし、図2のステップS20を経たステップS22での降車駅告知処理に備える。なお、上記のようにステップS58で停止減速検知が所定回数に達したときもステップS60に進み降車駅事前検知フラグをセットする。この
場合は、ステップS58でのチェック以外に何の情報もない場合に相当するが、上記所定回数を降車駅までの途中停車駅の数に設定しておくことにより、停車減速検知が所定回数目であることを持って降車駅での停車のための減速と看做してステップS60に移行する。事故やダイヤの乱れにより駅以外において減速が行われ、これがカウントされてしまったときは、降車駅まで来ていないのに停車減速検知が所定回数に達してしまう可能性もあるが、この場合でも安全を見て降車駅での停車のための減速と看做す。なお、後述するようにこのように誤りの可能性のある場合は、図2のステップS22における降車駅告知処理においての告知の態様を変える。
【0044】
ステップS60での降車駅事前検知フラグセットが完了すると、ステップS64に進み、停車減速回数カウンタをリセットしてフローは終了する。なお、ステップS46で停車減速が検知されない場合またはステップS58で停止減速検知が所定回数に達していることが検知されない場合は、直ちにフローを終了する。
【0045】
また、ステップS62で停車減速検知が降車駅のためであることが検知されなかったときは、途中駅での停車のための減速であったことを意味するからステップS66に進み、加速度センサ26によりその駅での停車が検知されるかどうかチェックする。停車の検知は予め記憶されている停車と判断できる加速度変化パターンとの照合およびステップS46での検知からの経過時間による。そして停車が確認できなければ、列車が停車減速後、実際には停車しなかったことを意味するので直ちにフローを終了する。一方停車が確認されたときはステップS68に進み、停車検知後所定時間内に発車加速が検知されるかどうかチェックする。そして加速が検知されれば、以上をもって途中駅での停車および再発進が確認できるのでステップS70に進み、停車駅通過履歴を更新してフローを終了する。なお、ステップS68で停車後所定時間内の発車加速が検知されない場合は、列車自体の事故や携帯電話2の持ち主が降車予定駅でないにもかかわらずその駅で降車したなど種々の場合が考えられるので直ちにフローを終了する。
【0046】
図3のフロー自体は、スタートから終了まで繰り返しなしに一度だけ実行される。そしてフロー終了後、図2のステップS20における降車駅事前検知フラグ有無のチェックに進み、ここでフラグが検出されない場合にステップS30およびステップS32を経てステップS18に戻る。従ってこのようなループの繰り返しの中でステップS18に至る度に、図3のフローが一度実行されることになる。これによって、図2のステップS20で降車駅事前検知フラグが検出されるかまたはステップS32で改札出場が検出されるかしないかぎり、ステップS18の具体的内容である図3の降車駅検知処理が繰り返し機能して、列車の進行による降車駅への接近に備えることができる。なお、ステップS56経由でステップS70に至った場合は、稀に停車駅履歴更新が誤りとなる可能性があるが、その修正については後述する。
【0047】
図4は、図3のステップS42における乗車列車推定処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS74で乗車列車確定情報の有無をチェックする。列車確定情報がある場合とは、少なくとも一度は図2のステップS18を経由し、図3のステップS42における乗車列車推定処理を経た場合を意味する。一方、列車情報がない場合とは、図2のフローにおいて改札入場後初めてステップS18に至ったか、または、後述する手順により乗車列車確定情報が消去された場合を意味する。ステップS74で列車情報が検知されればステップS76に移行する。
【0048】
ステップS76では、図1の記憶部10に定期券情報があるかどうかチェックする。そして定期券情報があれば、図1のGPS部14からの情報に基づき、現在地が定期券乗車区間内かどうかチェックする。乗車区間内であればステップS80に進み、現時刻が定期券乗車の往路時間帯かどうかチェックする。その結果往路時間帯でなければステップS82に進んで復路時間帯かどうかチェックし、該当すればステップS84に進む。また、ステップS80で往路時間帯であることが検知されれば直接ステップS84に進む。なお、往路時間帯および復路時間帯は、毎日の改札通過時刻を学習して自動設定されるがこれに優先して手動設定することもできる。これらの設定結果はステップS80およびステップS82での現時刻との比較のために図1の記憶部10に記憶されている。
【0049】
ステップS84では、往路時間帯または復路時間帯であることの確認に基づいて定期券による日常路線におけるそれら時間帯の列車に乗車中であるものと看做し、列車推定範囲をこれに該当するものに限定する。そしてステップS86に進む。一方、ステップS76で定期券情報が検出されなかったとき、またはステップS78でGPS現在地が定期券区間内でなかったとき、または、ステップS80からステップS82を経て往路時間帯および復路時間帯のいずれでもなかったときは直接ステップS86に至る。
【0050】
ステップS86では、図2のステップS26経由でステップS18に至ったのかどうかがチェックされる。ステップS26経由であるということは、降車駅告知後所定時間内の加速もまた改札出場もなくステップS30に至り、そこからステップS18に戻った場合である。これは、告知された駅を降りて乗り換え列車を待っているか、または何らかの事情で降車駅に留まっていることを意味する。ステップS26経由であることが検知されなければステップS88に進み、図2のステップS14経由でステップS18に至ったのかどうかがチェックされる。ステップS14経由であるということは、改札入場後初めてステップS18に至った場合であることを意味する。従って、ステップS14経由であれば改札入場駅を発車したことが確実なのでステップS90に進み、ステップS10で得た駅情報より発車駅を確認する。そしてフローはステップS92に進む。一方、ステップS88で、ステップS14経由であることが検知されなければ、ステップS24経由でステップS18に戻ったことを意味する。これは、告知された駅を乗り過ごして列車が発車してしまったか又は乗り換え列車が発車したことを意味する。従って、この場合はステップS94に進み、GPS部14から得た位置情報から発車駅を確認し、ステップS92に至る。
【0051】
ステップS92では、図2のステップS14で加速を検知した時刻が時刻表のいずれかの列車の発車時刻と一致するかどうかチェックする。そして、一致すればステップS92に進み、駅情報と発車時刻よりその列車を乗車列車であると推定してフローを終了する。一方、ステップS92で加速時刻に一致する発車時刻の列車が時刻表になければダイヤが乱れていると推定されるので、ステップS98に進み、元の時刻表より乗車している可能性のある列車候補を複数設定してフローを終了する。
【0052】
ステップS86においてステップS26経由であることが検知されたときは、上記のように、携帯電話2の持ち主が、何らかの理由で降車駅に留まっている場合に相当するのでステップS100に進み、GPS情報より現在駅を確認する。次いでステップS102で現在駅をその時刻以降に発車可能な列車を検索する。これらの列車としては、乗り越し列車を降りた場合の戻り列車または待ち合わせ時間の長い乗り換え列車などであり、現在駅情報、時刻情報および時刻表情報そして可能な場合は定期券情報を動員して複数の乗車可能列車候補が検索される。そして、ステップS104で検索された乗車列車候補を設定してフローを終了する。なお、図4のフローを終了して推定列車が確定していない場合、図3においてステップS42の乗車列車推定処理に後続しているステップS44の降車駅推定処理の中で、これらの候補の中から乗車列車も含めて絞りこんでいく。
【0053】
図5は、図3のステップS44における降車駅推定処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS112で推定降車駅情報の有無がチェックされる。そしてこの情報がなければ推定降車駅を決定するためステップS114以下に移行する。推定降車駅情報がない場合とは、図2においてステップS14経由で初めてステップS18の降車駅検知処理に至った場合、または、当初の推定降車駅に至って降車駅告知処理が行われた結果、推定降車駅情報が消去された場合である。後者の場合は、乗り換えや乗り越しの際に生じる。
【0054】
ステップS114では、降車駅推定処理に先行する乗車列車推定処理において乗車列車が確定しているかどうかをチェックする。確定していない場合とは、ステップS98またはステップS104において複数の列車候補が設定されている場合であり、このような場合にはステップS116に進み、GPSの履歴に基づく移動方向により乗車列車が確定できるかどうかチェックする。このチェックは上り列車か下り列車かの識別または路線が分岐している場合のどの方面に向かう列車かの識別等に有効である。しかしながらこのチェックでは同一路線の同一方向に向かう列車が複数候補になっている場合の絞込みはできない。
【0055】
ステップ116で乗車列車が確定できなかった場合はステップS118に進み、停車駅履歴を参照して乗車列車が確定できるかどうかチェックする。これは、例えば急行列車か各駅停車列車かの識別に有効である。ステップS118で乗車列車が確定できなかった場合はステップS120に進み、乗車しなかった列車を除外することで乗車列車が確定できるかどうかチェックする。これは例えば、異なった発車時刻の列車候補があったときにおいて、先の発車時刻の列車に乗らなかったことをもって、乗ろうしている列車が後の発車時刻の列車であることが確定するような場合である。ステップS120でも乗車列車が確定できなかった場合はステップS122に進む。
【0056】
ステップS122では、携帯電話2の持ち主の過去の乗車履歴の学習情報を加味した所定の推定論理により乗車列車を一つ仮設定する処理を行って乗車列車を確定し、ステップS124に移行する。また、ステップS112、ステップS114、ステップS116、ステップS118およびステップS120のいずれかで乗車列車が確定された場合はその時点で直ちにステップS124に移行する。
【0057】
ステップS124では、定期券情報の有無をチェックし、情報がなければ切符による乗車であることを意味するから、ステップS126に進む。ステップS126では、切符情報、現在位置情報および路線情報から次駅が切符の運賃内かどうかをチェックする。そして運賃内であればステップS128に進み、乗車列車情報よりそれが各駅停車列車であるかどうかチェックし、該当しなければ急行等であることを意味するからステップS130に進み、停車せずに通過する駅を対象駅から除外してステップS132に移行する。一方、ステップS128で各駅停車列車であることが検出された場合には直接ステップS132に移行する。
【0058】
ステップS132では、運賃内に乗換駅があるかどうかをチェックし、該当する駅があればステップS134に進んでそのうち最も近い乗換駅を推定降車駅としてフローを終了する。一方ステップS132で運賃内に乗換駅がなければステップS136に進み、運賃内における最も近い駅を推定降車駅としてフローを終了する。なお、運賃内における最も近い駅とは、購入した切符の運賃より一ランク低い運賃で乗車できる駅を除いて最も近い駅を意味する。換言すれば、その切符を購入しなければならない駅のうち最も近い駅である。これらステップS134およびステップS136は切符乗車において降車する可能性のある駅があれば安全のためこれを推定降車駅とし、この駅に近づけば告知を行うようにするものである。もちろん、まだ所望の降車駅でない可能性もあるが、切符の運賃範囲から見て降車駅に近い駅であることは間違いないのでこのような推定を行う。
【0059】
一方、ステップS126において次駅が運賃内でないと判断されたときは、ステッ
プS138に進み、この次駅を推定降車駅としてフローを終了する。これは、降車駅を乗り越した場合である可能性が高く、速やかに次駅での降車を告知するのが適切と考えられるからである。
【0060】
また、ステップS124で定期券情報が検出された場合はステップS140に移行し、定期券を利用して往復する時間帯の列車かどうかをチェックする。この時間帯の列車でなければ、定期券によって決まっている日常の降車駅に向かっているとは限らないのでステップS126に進み、上記の切符乗車と同様の処理を行う。一方、ステップSステップS140で往復時間帯の列車であると判断されたときはステップS142に進み、途中乗換駅があるかどうかチェックする。そして乗換駅があると判断されたときはステップS134に進んで乗換駅を推定降車駅とし、フローを終了する。ステップS132からステップS134に至った場合は乗換駅が必ずしも所望の降車駅であるとは限らないが、ステップS142を経由してステップS134に至ったときは、定期券乗車における本当の乗換駅である。一方、ステップS142で途中乗換駅がないと判断されたときはステップS144に進み、定期券情報における目的駅を推定降車駅としてフローを終了する。この場合も定期券乗車における本当の降車駅である。
【0061】
図6は、図2のステップS30におけるGPS修正処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS152で推定降車駅が設定されているかどうかチェックする。推定降車駅が設定されているということは乗車列車が確定していることを意味する。図6のフローはこの乗車列車の確定に万一誤りがあった場合これを訂正するためのものである。この機能は、ステップS122で仮設定した確定列車に誤りの可能性があるので、これを訂正することを主な目的として設けられているが、通常の処理で確定した列車について誤りがあった場合にも対応することができる。
【0062】
ステップS152で推定降車駅が設定されていることが検知されればステップS154でGPS情報が入手可能かチェックし、可能ならばステップS156に進んで現在地のGPS情報を入手する。次いでステップS158でGPS情報に基づき、現在地が確定列車の路線外に移動してしまっているかどうかチェックする。該当すれば現実とは異なる路線のものを乗車列車として確定してしまったことを意味する。ステップS158に該当しなければステップS160に進み、推定降車駅を通過してしまったかどうかチェックする。これに該当するのは、例えば各駅停車のものを乗車列車として確定したところ現実には推定降車駅を通過する急行列車に乗車していた場合などである。この場合は推定降車駅に近づいても停車減速が検知されることはない。
【0063】
ステップS160に該当しなければステップS162に進み、停車駅履歴が乗車列車として確定したもののダイヤと不一致となっているかどうかチェックする。これも乗車列車として誤ったものを確定してしまったときに生じる。ステップS162に該当すればステップS164に移行する。なお、ステップS158またはステップS160に該当する場合もステップS164に移行する。
【0064】
ステップS164では、定期券または切符の乗車券情報を読み出す。以下、ステップS166で路線図情報を、ステップS168で時刻表情報を、ステップS170で時刻情報を、ステップS172でGPS現在位置情報をそれぞれ読み出し、ステップS174でこれらの情報を元に乗車列車の確定修正処理を行ってフローを終了する。
【0065】
一方、ステップS152で推定降車駅の設定が検知されない場合は、ステップS176に移行する。ステップS176では、図2のステップS26経由でステップS30のGPS修正処理に入った場合において発車加速が検知されたか否かをチェックしている。このような発車加速が検知される場合とは、例えばステップS22の降車駅告知処理に従って降車した駅で、比較的長時間、乗り換え列車または折り返し列車を待ち、到着して乗車した列車が発車した場合などに該当する。このような加速検知は乗車列車確定のための決定的な情報なのでステップS164に移行し、以下ステップS164からステップS174を実行することで乗車列車の確定を行う。一方、ステップS176で加速が検知されない場合は直ちにフローを終了する。このような場合は、図2のステップS18に戻り、ステップS104によって乗車列車の確定を行う。
【0066】
なお、ステップS154で現在地のGPS情報が得られない場合は、ステップS176に移行する。この場合においてステップS176で発車加速が検知された場合には、GPS情報がなくても乗車列車確定修正ができる場合があるのでステップS164に移行するようにしている。また、ステップS162に至って停車駅履歴の不一致が検出されなかったときもステップS176に移行するようにしている。この場合は、GPS情報に基づく乗車列車確定上の種々の不合理がいずれも検出されなかったことを意味しているので、乗車列車確定修正処理の必要性がなく、通常は直ちにフローを終了することを想定している。しかしながら、この場合でも、ステップS176で発車加速が検知されたときには、念のため、ステップS164に移行して乗車列車の確認を行う。
【0067】
図7は、図2のステップS22における降車駅告知処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS182で次駅が運賃内かどうかのチェックを行う。そして運賃内でなければステップS184に進み、告知強制オン解除操作を許可する。本発明の実施例は、居眠りは考えごとにより降車駅の接近に気づかない携帯電話2の持ち主に対し、これを告知することを目的にしているので、通常は持ち主が携帯電話2をどのように設定していても告知機能が強制的にオンになるよう設計している。つまり、通常は告知機能を携帯電話2の持ち主が解除することを許可していない。しかしながら、ステップS182で次駅が運賃内でないことが検知された場合は既に乗り越し状態であり、この状態で携帯電話2の持ち主が告知機能を解除する操作を望むときは意図的に乗り越しをしている場合と考えられる。このような場合にも告知強制オンが解除できずに告知が繰り返されることは携帯電話2の持ち主にとって煩わしいので、ステップS184でその操作を許可しステップS186に至る。一方、ステップS182で次駅運賃内である場合は直接ステップS186に至るようにし、当初の設計思想どおり、告知強制オンを解除する操作ができないままとする。
【0068】
ステップS186では、定期券情報経由で降車駅告知に至ったかどうかの履歴をチェックする。定期券情報経由とは、図5のステップS144で設定された推定降車駅またはステップS140経由でステップS134に至った結果で設定された推定降車駅について図3のステップS60における降車駅事前検知フラグセットが行われた場合を意味する。これに該当すれば、ステップS188に進み、降車勧告アナウンスを準備してステップS190に進む。一方、ステップS186で定期券情報経由であることが検知できなかったときはステップS192に進み、注意喚起アナウンスを準備してステップS190に進む。このアナウンスは降車駅到着の可能性について注意喚起するものであり、ステップS188のアナウンスと異ならしめることによって、状況に応じたアナウンスの信頼性を高めている。
【0069】
ステップS190では、アナウンスに先立ち事前に所定時間(例えば30秒)音楽を再生する処理をする。なお、既に音楽が再生中であればステップS190は所定時間をカウントするステップとなる。そして、ステップS190における所定時間経過後、ステップS194において所定の短時間(例えば2秒)の無音状態を確保する処理を行う。次いでステップS196で図1の振動部20の機能を強制的にオンにするとともにアナウンスの音量を強制的に最大にする。これによって携帯電話2の持ち主がバイブレーション機能をオフに設定していたとしても強制的にバイブレーションが機能するようになる。また、帯電話2の持ち主がイヤホン音量を絞るよう設定していたとしても、アナウンスは最大音量で行われるようになる。以上の後、ステップS198に至って注意喚起のバイブレーションを開始させる。同時にステップS200でアナウンスを開始させる。バイブレーションおよびアナウンスの開始後ステップS202に進み、停車後所定時間が経過したかどうかチェックする。そして、経過がなければステップS198に戻り、以下所定時間が経過するまでバイブレーションおよびアナウンスを継続する。
【0070】
以上のようにしてバイブレーションおよびアナウンスの開始の前に再生されている音楽を断って短い無音時間を設け、その後バイブレーションおよびアナウンスを開始するのは、例えば睡眠中の携帯電話2の持ち主を効果的に覚醒させるためである。ポイントはステップS194の無音時間の確保であり、継続的に流れていた音楽を断ちその後無音とした後アナウンスを行うことでアナウンスによる刺激効果を高めている。従って、上記のように音楽は乗車後継続して再生されていてもよいし、ステップS190に至って再生開始する際の再生所定時間は、降車駅告知に間に合う限り、いくら長くてもよい。
【0071】
ステップS202で停車後所定時間経過が検出されたときは、ステップS204に進みバイブレーションおよびアナウンスによる告知を終了させる。その後、ステップS206で列車確定情報を消去し、ステップS208で推定降車駅情報を消去するとともに、ステップS210で降車駅事前検知フラグをリセットしてフローを終了する。以上によって、図2においてステップS24またはステップS26経由でステップS30に至ったときは、列車確定情報、推定降車駅情報および降車駅事前検知フラグがいずれもない状態となる。なお、言うまでもないが図2においてステップS20経由でステップS30に至ったときは、列車確定情報、推定降車駅情報がある状態である。図2におけるステップS18からステップS32のループは以上のような前提で繰り返される。
【0072】
上記に述べた本発明の種々の特徴は、実施例に限定されず、広く活用が可能である。例えば、図3のステップS46で停車減速を検知しなかった場合は、降車駅事前検知フラグが立たずに図2のステップS20からステップS30に至り、さらに図6のステップS160に進んで推定降車駅を通過したことが検知された場合は、上記のようにステップS164からステップS174で乗車列車確定修正処理が行われる。これは、既に述べたように、例えば各駅停車のものを乗車列車として確定したところ現実には推定降車駅を通過する急行列車に乗車していた場合などに該当し、推定列車修正が行われる。このように、減速を検知することなく予定位置を通過したことを検出し、速やかに修正処理を行うことができる構成は、実施例のような推定列車の修正だけでなく広く応用できる有用な特徴である。例えば、カーナビゲーションにおいて交差点における右折を案内していたところ、実際には車が減速せず直進してしまった場合、GPSだけでは案内経路の修正は交差点を通過したことが位置情報として検知されてから行われる。これに対し、上記のように加速度情報を加味することによって、案内どおりでない走行がリアルタイムで検知でき、案内経路の修正がより速やかに行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態に係るモバイル機器システムの実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の第1実施例における携帯制御部の基本フローチャートである。
【図3】図2のステップS18の詳細を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS42の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図3のステップS44の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図2のステップS30の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図2のステップS22の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
26 加速
度検出部10 記憶部4 比較部4 判定部4 判断部6、16、18 情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度検出部と、移動機器全体の所定の動きに特有の加速度変化パターンを記憶する記憶部と、前記加速度検出部が検出する加速度変化を前記記憶部に記憶された加速度変化パターンと比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づいて移動機器体全体に所定の動きがあったかどうかを判定する判定部とを有することを特徴とする移動機器。
【請求項2】
前記移動機器はモバイル機器であり、前記記憶部は、モバイル機器の持ち主が乗車する車両の発車時に特有の加速度変化パターンを記憶するとともに前記判定部は前記車両の発車を判定することを特徴とする請求項1記載の移動機器。
【請求項3】
前記移動機器はモバイル機器であり、前記記憶部は、モバイル機器の持ち主が乗車する車両の停車時に特有の加速度変化パターンを記憶するとともに前記判定部は前記車両の停車を事前に判定することを特徴とする請求項1または2記載の移動機器。
【請求項4】
移動機器自体の位置を検出する位置検出部を有し、前記加速度検出部および前記位置検出部に基づいて移動機器全体の動きの態様を判断する判断部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動機器。
【請求項5】
移動機器自体の所在に関する情報を取得する情報取得部を有し、前記加速度検出部および前記情報取得部に基づいて移動機器全体の所在を判断する判断部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の移動機器。
【請求項6】
加速度検出部と、移動機器自体の位置を検出する位置検出部と、前記加速度検出部および前記位置検出部に基づいて移動機器全体の動きの態様を判断する判断部とを有することを特徴とする移動機器。
【請求項7】
前記判断部は、移動機器が所定の加速度変化を伴って所定位置に移動しているか否かを判断することを特徴とする請求項6記載の移動機器。
【請求項8】
前記判断部は、移動機器が減速せずに所定位置を通過したかどうかを判断することを特徴とする請求項7記載の移動機器。
【請求項9】
前記移動機器は車両であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の移動機器。
【請求項10】
前記移動機器はモバイル機器であり、前記判断部は、モバイル機器の持ち主が乗車する車両が所定の駅で停車せずに通過したかどうかを判断することを特徴とする請求項8記載の移動機器。
【請求項11】
前記移動機器はモバイル機器であり、前記判断部は、モバイル機器の持ち主が乗車する車両が所定の駅に停車するために減速していることを予測することを特徴とする請求項8記載の移動機器。
【請求項12】
加速度検出部と、移動機器自体の所在に関する情報を取得する情報取得部と、前記加速度検出部および前記情報取得部に基づいて移動機器全体の所在を判断する判断部を有することを特徴とする移動機器。
【請求項13】
前記判断部の判断結果を外部に送信する送信部を有することを特徴とする請求項12記載の移動機器。
【請求項14】
前記移動機器はモバイル機器であり、前記情報取得部はモバイル機器の持ち主が乗車すべき車両の発着場への入場情報を取得するとともに、前記判断部は前記入場情報および前記加速度検出部による出発加速度検知によりモバイル機器の持ち主の車両への乗車を判断することを特徴とする請求項12または13記載の移動機器。
【請求項15】
前記移動機器はモバイル機器であり、前記情報取得部はモバイル機器の持ち主が乗車すべき車両の発着予定情報を取得するとともに、前記判断部は発着予定情報と前記加速度検出部による加速度検知時刻によりモバイル機器の持ち主の車両への乗車を判断することを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の移動機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−290811(P2009−290811A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143984(P2008−143984)
【出願日】平成20年5月31日(2008.5.31)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】