説明

積層体およびその製造方法ならびに半導体装置

【課題】低い比誘電率を有し、かつ密着性に優れた積層体およびその製造方法、ならびに該積層体を含む半導体装置を提供する。
【解決手段】積層体は、シリカ系膜および有機系膜を含み、前記シリカ系膜と前記有機系膜とが、アルキル基、アシル基またはアリール基、と水素原子、フッ素原子、アルキル基、またはアリール基を有し2重結合を含む炭化水素基を有するアルコキシシランシラン化合物を硬化させて得られる層間膜を介して積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ系膜および有機系膜を含む積層体およびその製造方法ならびに半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置における層間絶縁膜として、CVD法等の真空プロセスによって形成されたシリカ(SiO)系膜や、有機ポリマーを主成分とする有機系膜が用いられている。
【0003】
近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれる、テトラアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜が使用されるようになってきている。また、半導体装置の高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるオルガノポリシロキサンを主成分とする低比誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
【0004】
一方、半導体装置のさらなる高集積化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、したがって、より低比誘電率の層間絶縁膜材料が求められるようになっている。
【0005】
そのような層間絶縁膜材料の一例として、特開2000−256621号公報に開示されている低比誘電率の絶縁膜形成用塗布型組成物が挙げられる。特開2000−256621号公報に記載された塗布型膜形成用組成物は、アルコキシシラン類を金属触媒存在下で加水分解縮合して得られるものである。この塗布型膜形成用組成物を用いることにより、低比誘電率でかつ高弾性率であり、CMP耐性などに優れた膜を得ることができる。
【特許文献1】特開2000−256621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の半導体装置の製造プロセスにおいては、積層膜の平坦化を目的としてCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程が多用されている。一方、加工プロセスの簡易化を図るために、近年、シリカ系膜の上に有機系膜を形成することが求められている。しかしながら、シリカ系膜と有機系膜との積層膜に対してCMP等の処理を行なうと、両者の密着性不足が原因により、シリカ系膜と有機系膜との間で剥がれが発生することがあった。
【0007】
本発明は、低い比誘電率を有し、シリカ系膜と有機系膜とが密着性が良好な状態で積層された積層体およびその製造方法、ならびに該積層体を含む半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる積層体は、
シリカ系膜および有機系膜を含み、
前記シリカ系膜と前記有機系膜とが、下記一般式(1)で表されるシラン化合物を硬化させて得られる層間膜を介して積層されている。
【化4】

・・・・・(1)
[式中、R〜Rは独立して、アルキル基、アシル基またはアリール基を示し、Xは下記一般式(2)または下記一般式(3)を示す。]
【化5】

・・・・・(2)
【化6】

・・・・・(3)
[式中、Y〜Yは独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、YとYまたはYとYとの組み合わせで環を形成していても良い。]
【0009】
上記積層体において、前記シリカ系膜は、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、および下記一般式(6)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物を用いて形成された塗膜を硬化して得ることができる。
Si(OR104−a ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基を示し、R10は1価の有機基を示し、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR11 ・・・・・(5)
(式中、R11は1価の有機基を示す。)
12(R13O)3−bSi−(R16−Si(OR143−c15 ・・・・・(6)
(式中、R12〜R15は独立して、1価の有機基を示し、bおよびcは独立して、0〜2の数を示し、R16は酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)を示し、dは0または1を示す。)
【0010】
上記積層体において、前記有機系膜は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリベンゾオキサゾール、およびポリイミドのうち少なくとも1種の化合物からなることができる。
【0011】
上記積層体において、前記層間膜の膜厚は、前記シリカ系膜の膜厚の1/1000〜1/10であることができる。
【0012】
上記積層体において、前記層間膜の膜厚は、前記有機系膜の膜厚の1/1000〜1/10であることができる。
【0013】
上記積層体において、半導体装置の絶縁膜として使用できる。
【0014】
本発明の一態様にかかる半導体装置は、上記絶縁膜を含む。
【0015】
本発明の一態様にかかる積層体の製造方法は、
基材上に、シリカ系膜形成用組成物を塗布した後乾燥させて、第1の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜の上に、上記一般式(1)で表されるシラン化合物を塗布した後乾燥させて、第2の塗膜を形成する工程と、
前記第2の塗膜の上に、有機系膜形成用組成物を塗布した後乾燥させて、第3の塗膜を形成する工程と、
前記第1、第2、および第3の塗膜を硬化させて、シリカ系膜、層間膜、および有機系膜を含む積層体を得る工程と、
を含む。
【0016】
上記積層体の製造方法において、前記積層体を得る工程において、熱、電子線、および紫外線から選ばれる少なくとも1種を用いて前記第1、第2、および第3の塗膜を硬化させることができる。
【0017】
上記積層体の製造方法において、前記第2の塗膜を形成する前に、前記第1の塗膜に紫外線を照射する工程をさらに含むことができる。
【0018】
上記積層体の製造方法において、前記第1の塗膜に紫外線を照射する工程において、波長200nm以下の紫外線を照射することができる。
【発明の効果】
【0019】
上記積層体によれば、前記シリカ系膜と前記有機系膜とが、上記一般式(1)で表されるシラン化合物を硬化させて得られる層間膜を介して積層されている。上記一般式(1)で表される化合物を塗布して層間膜を形成することにより、例えば1〜20nm(好ましくは1〜10nm)のごく薄い膜膜の積層膜が製膜可能であるため、下層のシリカ系膜への影響が少ない。また、前記層間膜は上層の有機系膜との反応性の高い官能基を有しているため、上記積層体は低誘電率であり、前記シリカ系膜と前記有機系膜との密着性が良好である。さらに、上記一般式(1)で表される化合物を塗布して形成される前記層間膜は、単位構造あたり1ないし2つの反応性基を有するため、従来のシランオリゴマーを用いた場合と比較して、反応性基を多く有するため、密着性の向上につながる。このため、上記積層体は例えば、半導体装置の絶縁膜として好適に用いることができる。
【0020】
上記積層体の製造方法によれば、第1、第2および第3の塗膜を積層した後に、硬化処理を行なうことにより、第2の塗膜に含まれる炭素−炭素二重結合が、第1の塗膜および第3の塗膜中の成分と反応する。これにより、シリカ系膜と有機系膜とが層間膜を介して十分に密着した積層体を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態にかかる積層体およびその製造方法、ならびに該積層体を含む半導体装置について具体的に説明する。
【0022】
1.積層体
本発明の一実施形態に係る積層体は、シリカ系膜および有機系膜を含み、シリカ系膜と有機系膜とが、下記一般式(1)で表されるシラン化合物(以下、「化合物1」ともいう。)を硬化させて得られる層間膜を介して積層されている。
【化7】

・・・・・(1)
[式中、R〜Rは独立して、アルキル基、アシル基またはアリール基を示し、Xは下記一般式(2)または下記一般式(3)を示す。]
【化8】

・・・・・(2)
【化9】

・・・・・(3)
[式中、Y〜Yは独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、YとYまたはYとYとの組み合わせで環を形成していても良い。]
【0023】
以下、本実施形態に係る積層体を構成する各層について具体的に説明する。
【0024】
1.1.層間膜
1.1.1.化合物1
化合物1は、一般式(1)で表されるように、一般式(2)または(3)で示される炭素−炭素二重結合を有する有機基を含むシラン化合物である。
【0025】
一般式(1)において、R〜Rは独立して、アルキル基、アリール基である。ここで、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4であり、これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子などに置換されていてもよい。アシル基としては、例えばアセチル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基が挙げられる。
【0026】
一般式(2)または(3)において、アルキル基、アリール基としては、一般式(1)のR〜Rとして例示したものと同様の基が挙げられる。
【0027】
一般式(2)で表される基(X)としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキサニル基、スチリル基、シクロペンタニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。
【0028】
一般式(3)で表される基(X)としては、例えばアリル基、2−メチルプロペニル基、2−ブテニル基、シンナミル基、シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニルメチル基が挙げられる。
【0029】
より好ましくは、一般式(2)または(3)で示される基(X)としては、例えばビニル基、アリル基、2−イソプロペニル基、スチリル基が挙げられる。
【0030】
化合物1の具体例としては、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、1−プロペニルトリメトキシシラン、1−プロペニルトリエトキシシラン、2−プロペニルトリメトキシシラン、2−プロペニルトリエトキシシラン、2−プロペニルトリ−n−プロポキシシラン、2−プロペニルトリ−iso−プロポキシシラン、2−プロペニルトリ−n−ブトキシシラン、2−プロペニルトリ−sec−ブトキシシラン、2−プロペニルトリ−tert−ブトキシシラン、2−プロペニルトリフェノキシシラン、1−ブテニルトリメトキシシラン、1−ブテニルトリエトキシシラン、1−ペンテニルトリメトキシシラン、1−ペンテニルトリエトキシシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルトリ−n−プロポキシシラン、スチリルトリ−iso−プロポキシシラン、スチリルトリ−n−ブトキシシラン、スチリルトリ−sec−ブトキシシラン、スチリルトリ−tert−ブトキシシラン、スチリルトリフェノキシシラン、シクロペンテニルトリメトキシシラン、シクロペンテニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリ−iso−プロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリ−tert−ブトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン、2−メチルプロペニルトリメトキシシラン、2−メチルプロペニルトリエトキシシラン、2−ブテニルトリメトキシシラン、2−ブテニルトリエトキシシラン、(シクロペンテニル)メチルトリメトキシシラン、(シクロペンテニル)メチルトリエトキシシラン、(シクロヘキセニル)メチルトリメトキシシラン、(シクロヘキセニル)メチルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ−n−プロポキシシラン、ジビニルジ−iso−プロポキシシラン、ジビニルジ−n−ブトキシシラン、ジビニルジ−sec−ブトキシシラン、ジビニルジ−tert−ブトキシシラン、ジビニルジフェノキシシラン、ジ−1−プロペニルジメトキシシラン、ジ−1−プロペニルジエトキシシラン、ジ−2−プロペニルジメトキシシラン、ジ−2−プロペニルジエトキシシラン、ジ−2−プロペニルジ−n−プロポキシシラン、ジ−2−プロペニルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−2−プロペニルジ−n−ブトキシシラン、ジ−2−プロペニルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−2−プロペニルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−2−プロペニルジフェノキシシラン、ジ−1−ブテニルジメトキシシラン、ジ−1−ブテニルジエトキシシラン、ジ−1−ペンテニルジメトキシシラン、ジ−1−ペンテニルジエトキシシラン、ジ−1−ヘキサニルジメトキシシラン、ジ−1−ヘキサニルジエトキシシラン、ジスチリルジメトキシシラン、ジスチリルジエトキシシラン、ジスチリルジ−n−プロポキシシラン、ジスチリルジ−iso−プロポキシシラン、ジスチリルジ−n−ブトキシシラン、ジスチリルジ−sec−ブトキシシラン、ジスチリルジ−tert−ブトキシシラン、ジスチリルジフェノキシシラン、ジシクロペンテニルジメトキシシラン、ジシクロペンテニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジエトキシシラン、ジアリルジ−n−プロポキシシラン、ジアリルジ−iso−プロポキシシラン、ジアリルジ−n−ブトキシシラン、ジアリルジ−sec−ブトキシシラン、ジアリルジ−tert−ブトキシシラン、ジアリルジフェノキシシラン、ジ−2−メチルプロペニルジメトキシシラン、ジ−2−メチルプロペニルジエトキシシラン、ジ−2−ブテニルジメトキシシラン、ジ−2−ブテニルジエトキシシラン、ジ(シクロペンテニル)メチルジメトキシシラン、ジ(シクロペンテニル)メチルジエトキシシラン、ジ(シクロヘキセニル)メチルジメトキシシラン、ジ(シクロヘキセニル)メチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジ−n−プロポキシシラン、メチルビニルジ−iso−プロポキシシラン、メチルビニルジ−n−ブトキシシラン、メチルビニルジ−sec−ブトキシシラン、メチルビニルジ−tert−ブトキシシラン、メチルビニルジフェノキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、n−プロピルビニルジメトキシシラン、n−プロピルビニルジエトキシシラン、iso−プロピルビニルジメトキシシラン、iso−プロピルビニルジエトキシシラン、n−ブチルビニルジメトキシシラン、n−ブチルビニルジエトキシシラン、iso−ブチルビニルジメトキシシラン、iso−ブチルビニルジエトキシシラン、sec−ブチルビニルジメトキシシラン、sec−ブチルビニルジエトキシシラン、tert−ブチルビニルジメトキシシラン、tert−ブチルビニルジエトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、メチル−2−プロペニルジメトキシシラン、メチル−2−プロペニルジエトキシシラン、メチルスチリルジメトキシシラン、メチルスチリルジエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルメチルジ−n−プロポキシシラン、アリルメチルジ−iso−プロポキシシラン、アリルメチルジ−n−ブトキシシラン、アリルメチルジ−sec−ブトキシシラン、アリルメチルジ−tert−ブトキシシラン、アリルメチルジフェノキシシラン、アリルエチルジメトキシシラン、アリルエチルジエトキシシラン、アリル−n−プロピルジメトキシシラン、アリル−n−プロピルジエトキシシラン、アリル−iso−プロピルジメトキシシラン、アリル−iso−プロピルジエトキシシラン、アリル−n−ブチルジメトキシシラン、アリル−n−ブチルジエトキシシラン、アリル−iso−ブチルジメトキシシラン、アリル−iso−ブチルジエトキシシラン、アリル−sec−ブチルジメトキシシラン、アリル−sec−ブチルジエトキシシラン、アリル−tert−ブチルジメトキシシラン、アリル−tert−ブチルジエトキシシラン、アリルフェニルジメトキシシラン、アリルフェニルジエトキシシランが挙げられる。
【0031】
化合物1として特に好ましい化合物は、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−プロペニルトリメトキシシラン、2−プロペニルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジ−2−プロペニルジメトキシシラン、ジ−2−プロペニルジエトキシシラン、ジスチリルジメトキシシラン、ジスチリルジエトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシランである。
【0032】
なお、化合物1単独で塗膜を形成してもよいし、あるいは、後述する有機溶媒に溶解させたものを用いて塗膜を形成してもよい。層間膜の膜厚が薄膜化でき、誘電率の上昇を最小限に抑えられるため、好ましくは、後述する有機溶媒に溶解させたものを用いて塗膜を形成する。
【0033】
1.1.2.構造
層間膜の膜厚は、1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。層間膜の膜厚が1nm未満であると、シリカ系膜と有機系膜との間の密着性が十分でない場合があり、一方、20nmを超えると、誘電率の上昇、脱ガス量の増加といった悪影響が発生する場合がある。
【0034】
また、層間膜の膜厚は、シリカ系膜の膜厚の1/1000〜1/10であることが好ましい。さらに、層間膜の膜厚は、有機系膜の膜厚の1/1000〜1/10であることが好ましい。
【0035】
層間膜はより好ましくは、下記実施例に示されるように、一般式(1)のR〜Rがアシル基であり、かつ、Xが一般式(2)で表されるシラン化合物を硬化させて得られる膜である。
【0036】
1.2.シリカ系膜
シリカ系膜は、下記一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物2」とする。)、下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物3」とする。)、および下記一般式(6)で表される化合物(以下、「化合物4」とする。)の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物を用いて形成された塗膜を硬化して得られる。ここで、塗膜(第1の塗膜)は例えば、上記加水分解縮合物を含む膜形成用組成物(以下、「シリカ系膜形成用組成物」ともいう。)を基材に塗布して成膜した後、乾燥させることにより形成することができる。
Si(OR104−a ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基を示し、R10は1価の有機基を示し、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR11 ・・・・・(5)
(式中、R11は1価の有機基を示す。)
12(R13O)3−bSi−(R16−Si(OR143−c15 ・・・・・(6)
(式中、R12〜R15は独立して、1価の有機基を示し、bおよびcは独立して、0〜2の数を示し、R16は酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)を示し、dは0または1を示す。)
【0037】
本発明において、「加水分解物」とは、化合物2〜4から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物に含まれるアルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。また、ここで、「縮合物」とは、化合物2〜4の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、わずかな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物等をも包含した概念である。
【0038】
シリカ系膜の膜厚は、10〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。
【0039】
1.2.1.化合物2
一般式(4)において、RおよびR10の1価の有機基としては、例えばアルキル基、アリール基、アリル基、グリシジル基が挙げられる。なかでも、一般式(4)において、Rは1価の有機基、特にアルキル基またはアリール基であることが好ましい。ここで、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4であり、これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子などに置換されていてもよい。一般式(4)において、アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基が挙げられる。
【0040】
化合物2として好ましい化合物は、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−iso−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリ−tert−ブトキシシラン、フルオロトリフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリエトキシシランなど;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジ−γ−アミノプロピルジメトキシシラン、ジ−γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、ジ−γ−トリフロロプロピルジメトキシシランなど;が挙げられる。
【0041】
好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランであり、特に好ましくはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランである。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0042】
1.2.2.化合物3
一般式(5)において、R11で表される1価の有機基としては、先の一般式(4)において示したものと同様の有機基が挙げられる。化合物3の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどが挙げられる。好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラフェノキシシランであり、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0043】
1.2.3.化合物4
一般式(6)において、R12〜R15で表される1価の有機基としては、先の一般式(4)において示したものと同様の有機基が挙げられる。化合物4のうち一般式(6)におけるR16が酸素原子の化合物としては、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンが挙げられる。
【0044】
これらのうち、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを、好ましい例として挙げることができる。
【0045】
さらに、一般式(6)において、R16がフェニレン基で表される基の化合物としては、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼンなど挙げることができる。
【0046】
これらのうち、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンなどを好ましい例として挙げることができる。
【0047】
さらに、一般式(6)において、R16が−(CH−で表される基の化合物としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタンが挙げられる。これらのうち、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタンが挙げられる。
【0048】
一般式(6)において、d=0の化合物としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランが挙げられる。
【0049】
これらのうち、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランが好ましい例である。
【0050】
本実施形態においては、化合物2〜4のうち少なくとも1種を用い、また、化合物2〜4をそれぞれ2種以上用いることもできる。シリカ系膜形成用組成物の貯蔵安定性が良好である点で、化合物2および化合物3を用いることが好ましい。
【0051】
1.2.4.金属キレート化合物、酸性化合物または塩基性化合物
化合物2〜4の加水分解縮合は、金属キレート化合物、酸性化合物、または塩基性化合物の存在下で行なうことができる。以下、金属キレート化合物、酸性化合物、および塩基性化合物それぞれについて説明する。
【0052】
1.2.4a.金属キレート化合物
化合物2〜4から選択されるシラン化合物の加水分解縮合時に使用可能な金属キレート化合物は、下記一般式(7)で表される。
17βM(OR18α−β ・・・・・(7)
(式中、R17はキレート剤、Mは金属原子、R18は炭素数2〜5のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示し、αは金属Mの原子価、βは1〜αの整数を表す。)
【0053】
ここで、金属Mとしては、IIIB族金属(アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム)およびIVA族金属(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)より選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましく、チタン、アルミニウム、ジルコニウムがより好ましい。
【0054】
金属キレート化合物の具体例としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン、等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、等のアルミニウムキレート化合物;等の1種または2種以上が挙げられる。
【0055】
特に、(CH(CH)HCO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(CH(CH)HCO)4−tTi(CHCOCHCOOC(CO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(CO)4−tTi(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)4−tTi(CHCOCHCOOC(CH(CH)HCO)4−tZr(CHCOCHCOCH(CH(CH)HCO)4−tZr(CHCOCHCOOC(CO)4−tZr(CHCOCHCOCH,(CO)4−tZr(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)4−tZr(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)4−tZr(CHCOCHCOOC(CH(CH)HCO)3−tAl(CHCOCHCOCH(CH(CH)HCO)3−tAl(CHCOCHCOOC(CO)3−tAl(CHCOCHCOCH,(CO)3−tAl(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)3−tAl(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)3−tAl(CHCOCHCOOC等の1種または2種以上が、使用される金属キレート化合物として好ましい。
【0056】
金属キレート化合物の使用量は、加水分解縮合時の化合物2〜4から選ばれるシラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。金属キレート化合物の使用割合が0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、10重量部を超えると塗膜のクラック耐性が低下することがある。また、金属キレート化合物は、加水分解縮合時に化合物2〜4から選ばれるシラン化合物とともに有機溶剤中にあらかじめ添加しておいてもよいし、水の添加時に水中に溶解あるいは分散させておいてもよい。
【0057】
金属キレート化合物の存在下で化合物2〜4から選ばれるシラン化合物を加水分解縮合させる場合、化合物2〜4から選ばれるシラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると塗膜の耐クラック性が劣る場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
【0058】
1.2.4b.酸性化合物
化合物2〜4から選択されるシラン化合物の加水分解縮合時に使用可能な酸性化合物としては、有機酸または無機酸が例示できる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物、無水フタル酸の加水分解物が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸が挙げられる。なかでも、加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化のおそれが少ない点で有機酸が好ましく、このうち、カルボキシル基を有する化合物がより好ましく、なかでも、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、無水マレイン酸の加水分解物が特に好ましい。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0059】
酸性化合物の使用量は、加水分解縮合時の化合物2〜4から選ばれるシラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。酸性化合物の使用割合が0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、10重量部を超えると塗膜のクラック耐性が低下することがある。また、酸性化合物は、加水分解縮合時に化合物2〜4から選ばれるシラン化合物とともに有機溶剤中にあらかじめ添加しておいてもよいし、水の添加時に水中に溶解あるいは分散させておいてもよい。
【0060】
酸性化合物の存在下で化合物2〜4から選ばれるシラン化合物を加水分解縮合させる場合、化合物2〜4から選ばれるシラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると塗膜の耐クラック性が劣る場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
【0061】
1.2.4c.塩基性化合物
化合物2〜4から選択されるシラン化合物の加水分解縮合時に使用可能な塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、尿素、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、が挙げられる。これらの中で、アンモニア、有機アミン類、アンモニウムハイドロオキサイド類を好ましい例として挙げることができ、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイドが特に好ましい。これらの塩基性化合物は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0062】
塩基性化合物の使用量は、化合物2〜4から選ばれるシラン化合物のアルコキシル基の総量(R10O−基,R11O−基,R13O−基およびR14O−基で表される基)の合計1モルに対して、通常、0.00001〜1モル、好ましくは0.00005〜0.5モルである。塩基性化合物の使用量が上記範囲内であれば、反応中のポリマーの析出やゲル化のおそれが少ない。
【0063】
塩基性化合物の存在下で化合物2〜4から選ばれるシラン化合物を加水分解縮合させる場合、化合物2〜4から選ばれるシラン化合物の総量1モル当たり0.5〜150モルの水を用いることが好ましく、0.5〜130モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると塗膜の耐クラック性が劣る場合があり、150モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。
【0064】
この場合、水とともに、沸点100℃以下のアルコールを用いることが好ましい。ここで、沸点100℃以下のアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが挙げられる。沸点100℃以下のアルコールの使用量は、化合物2〜4から選ばれるシラン化合物の総量1モルに対して通常3〜100モル、好ましくは5〜80モルである。
【0065】
なお、沸点100℃以下のアルコールは、化合物2〜4から選ばれるシラン化合物の加水分解および/またはその縮合の際に生じる場合があり、その含量が20重量%以下、好ましくは5重量%以下になるように蒸留などにより除去することが好ましい。また、添加剤として、オルソギ酸メチル等の脱水剤やさらなる金属錯体やレベリング剤が含まれていてもよい。
【0066】
また、塩基性化合物の存在下で化合物2〜4から選ばれるシラン化合物から加水分解縮合物を得た後、シリカ系膜形成用組成物のpHを7以下に調整することが好ましい。pHを調整する方法としては、1)pH調整剤を添加する方法、2)常圧または減圧下で、組成物中から塩基性化合物を留去する方法、3)窒素、アルゴンなどのガスをバブリングすることにより、組成物中から(塩基性化合物を除去する方法、4)イオン交換樹脂により、組成物中から塩基性化合物を除去する方法、5)抽出や洗浄によって塩基性化合物を系外に除去する方法、などが挙げられる。これらの方法は、それぞれ、組み合わせて用いてもよい。
【0067】
ここで、上記pH調整剤としては、無機酸や有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸、シュウ酸が挙げられる。また、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物、無水フタル酸の加水分解物が挙げられる。これら化合物は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0068】
上記pH調整剤による組成物のpHは7以下、好ましくは1〜6に調整される。上記pH調整剤により上記範囲内にpHを調整することにより、組成物の貯蔵安定性が向上するという効果が得られる。pH調整剤の使用量は、組成物のpHが上記範囲内となる量であり、その使用量は、適宜選択される。
【0069】
1.2.5.有機溶剤
化合物2〜4から選択されたシラン化合物を有機溶剤中で加水分解縮合を行なうことができる。ここで、有機溶剤としては、下記一般式(8)で表される溶剤であることが好ましい。
19O(CHCHCHO)γ20 ・・・・・(8)
(式中、R19およびR20は独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはCHCO−から選ばれる1価の有機基を示し、γは1〜2の整数を表す。)
【0070】
一般式(8)において、炭素数1〜4のアルキル基としては、一般式(4)において示したものと同様のものが挙げられる。
【0071】
一般式(8)で表される有機溶剤としては、具体例には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテートなどが挙げられ、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが好ましい。これらは1種または2種以上を同時に使用することができる。なお、一般式(8)で表される溶剤とともに、エステル系溶媒やアミド系溶媒等の他の溶剤が多少含まれていてもよい。
【0072】
シリカ系膜形成用組成物の全固形分濃度は、好ましくは1〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。シリカ系膜形成用組成物の全固形分濃度が1〜30重量%であることにより、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、より優れた保存安定性を有するものとなる。なお、この全固形分濃度の調整は、必要であれば、濃縮および有機溶剤による希釈によって行われる。
【0073】
シリカ系膜形成用組成物は、さらに下記の有機溶剤を溶剤の50重量%以下含有していてもよい。有機溶剤としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョンなどのケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンなどの含硫黄系溶媒が挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0074】
また、シリカ系膜形成用組成物は、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、トリアゼン化合物などの成分をさらに含有していてもよい。コロイド状シリカとは、例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30μm、好ましくは10〜20μm、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物が挙げられる。
【0075】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキサイド構造などが挙げられる。具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物が挙げられる。ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
−(A’)j’−(B’)k’
−(A’)j’−(B’)k’−(A’)l’
(式中、A’は−CHCHO−で表される基を、B’は−CHCH(CH)O−で表される基を示し、j’は1〜90、k’は10〜99、l’は0〜90の数を示す。)
【0076】
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、などのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0077】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0078】
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N’−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステル等の末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤が挙げられる。また、市販品としてはメガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(裕商(株)製)、NBX−15((株)ネオス)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、上記メガファックF172,BM−1000,BM−1100,NBX−15が特に好ましい。
【0079】
シリコーン系界面活性剤としては、例えばSH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製などを用いることが出来る。これらの中でも、上記SH28PA、SH30PAに相当する下記一般式(9)で表される重合体が特に好ましい。
【化10】

・・・・・(9)
(式中、R31は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、z’は1〜20の整数であり、x’、y’はそれぞれ独立に2〜100の整数である。)
【0080】
界面活性剤の使用量は、化合物2〜4から選択されたシラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して通常0.0001〜10重量部である。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0081】
シランカップリング剤としては、例えば3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0082】
シリカ系膜形成用組成物は、沸点100℃以下のアルコールの含量が20重量%以下、特に5重量%以下であることが好ましい。沸点100℃以下のアルコールは、化合物2〜4の加水分解および/またはその縮合の際に生じる場合があり、その含量が20重量%以下、好ましくは5重量%以下になるように蒸留などにより除去することが好ましい。また、添加剤として、オルソギ酸メチル等の脱水剤やさらなる金属錯体やレベリング剤が含まれていてもよい。
【0083】
1.3.有機系膜
有機系膜は、有機系膜形成用組成物を塗布し、溶剤を除去することにより得られた第2塗膜を硬化して得ることができる。
【0084】
有機系膜の膜厚は、10〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましい。
【0085】
また、有機系膜は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリベンゾオキサゾールおよびポリイミドの少なくとも1種の化合物からなることが好ましい。この場合、前記化合物は、下記一般式(10)〜(13)の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し構造単位からなる重合体であるのがより好ましい。
【化11】

・・・・・(10)
【化12】

・・・・・(11)
【化13】

・・・・・(12)
【化14】

・・・・・(13)
(式(10)〜(13)中、R〜R12はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子を示し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれる少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、o〜sは0〜4の整数を表し、fは5〜100モル%、gは0〜95モル%、hは0〜95モル%(ただし、f+g+h=100モル%)、iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、i+j=100モル%)であり、AおよびBはそれぞれ独立に、下記一般式(14)〜(16)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、R13,R13’は水素原子または下記一般式(17)および(18)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは下記一般式(19)および(20)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
【化15】

・・・・・(14)
【化16】

・・・・・(15)
【化17】

・・・・・(16)
(式(14)〜(16)中、R14、R15、R20およびR21は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化18】

で表される基を示し、R16〜R19およびR22〜R24は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、またはアリール基を示し、kは0〜3の整数を表し、lは2〜3の整数を表し、t〜zは独立に0〜4の整数を表す。)
【化19】

・・・・・(17)
【化20】

・・・・・(18)
(式(17)および(18)中、R25はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、m’は0〜5の整数を表し、n’は0〜7の整数を表す。)
【化21】

・・・・・(19)
【化22】

・・・・・(20)
(式(19)および(20)中、R25はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、R26は単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、メチルフェニルメチリデン基、トリフルオロメチルメチルメチリデン基、トリフルオロメチルフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化23】

で表される基を示し、式中、R27は、独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、またはフェニル基を表し、a1、a2は独立に0〜4の整数を表し、a3は0〜6の整数を表す。)
【0086】
以下に、一般式(10)〜(13)で表される化合物の詳細を説明する。
【0087】
1.3.1.化合物5
一般式(10)で表される重合体(以下、「化合物5」ともいう。)は、例えば、下記一般式(21)に示す化合物をモノマーとして、遷移金属化合物を含む触媒系の存在下に重合することによって製造することができる。
【化24】

・・・・・(21)
(式中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、o,pは0〜4の整数を表し、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す。)
【0088】
一般式(21)中のXを構成するQ,Q’のうち、アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0089】
また、式(21)中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、p−トリル基、p−ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。一般式(21)中のXとしては、下記一般式(22)〜(27)に示す2価の基が好ましい。これらのうちでは、一般式(27)に示すフルオレニレン基がさらに好ましい。
−C(CH− ・・・・・(22)
−C(CF− ・・・・・(23)
−C(CF)(C)− ・・・・・(24)
−CH(CH)− ・・・・・(25)
−C(C− ・・・・・(26)
【化25】

・・・・・(27)
【0090】
一般式(21)に示す化合物(モノマー)の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタンが挙げられる。この場合、一般式(21)に示す化合物を2種以上共重合することもできる。
【0091】
また、一般式(21)に示す化合物の少なくとも1種と、下記一般式(28)および(29)に示す化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを共重合させてもよい。
【化26】

・・・・・(28)
(式中、R10,R11はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R33,R34は、−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、q,rは0〜4の整数を表す。)
【0092】
一般式(28)において、R10,R11のうち、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子が挙げられ、1価の有機基としては、アルキル基として、例えばメチル基、エチル基が挙げられ、ハロゲン化アルキル基として、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられ、アリル基として、例えばプロペニル基が挙げられ、アリール基として、例えばフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。また、R33,R34中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、例えばメチル基、エチル基が挙げられ、ハロゲン化アルキル基として、例えばトリフルオロメチル基が挙げられ、アリール基として、例えばフェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基が挙げられる。
【0093】
一般式(28)に示す化合物としては、例えば、4,4’−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジプロペニルビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’,5,5’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4−メチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニル、3,3’−ジアリル−4,4’−ビス(4−フルオロベンゼンスルフォニロキシ)ビフェニル、4,4’−ジクロロ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジブロモ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジヨード−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルフォン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノンが挙げられる。一般式(28)に示す化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【化27】

・・・・・(29)
(式中、R12は、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R35,R36は、−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、sは0〜4の整数を表す。)
【0094】
一般式(29)において、R12のうち、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子が挙げられ、1価の有機基としては、アルキル基として、例えばメチル基、エチル基が挙げられ、ハロゲン化アルキル基として、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられ、アリル基として、例えばプロペニル基が挙げられ、アリール基として、例えばフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。また、R35,R36中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、例えばメチル基、エチル基が挙げられ、ハロゲン化アルキル基として、例えばトリフルオロメチル基が挙げられ、アリール基として、例えばフェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基が挙げられる。
【0095】
一般式(29)に示す化合物としては、例えば、o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもでき、好ましくはm−ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェノキシベンゼンなどである。一般式(29)に示す化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
化合物5中の繰り返し構造単位の割合は、一般式(10)において、fは5〜100モル%、好ましくは5〜95モル%、gは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%、hは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%(ただし、f+g+h=100モル%)である。fが5モル%未満(gまたはhが95モル%を超える)では、重合体の有機溶剤への溶解性が劣る場合がある。
【0097】
化合物5を製造する際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系が好ましく、この触媒系としては、(I)遷移金属塩および配位子、または配位子が配位された遷移金属(塩)、ならびに(II)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物が挙げられる。これらのうち、特に塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0098】
また、配位子としては、例えばトリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンが挙げられるが、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジンが好ましい。上記配位子は、1種単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、例えば、塩化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、臭化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、ヨウ化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、硝酸ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2’−ビピリジン、臭化ニッケル2,2’−ビピリジン、ヨウ化ニッケル2,2’−ビピリジン、硝酸ニッケル2,2’−ビピリジン、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが挙げられるが、塩化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2’−ビピリジンが好ましい。
【0099】
このような触媒系において使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、酸や有機酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。また、このような触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物が挙げられるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0100】
このような触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、一般式(21)、一般式(28)、および一般式(29)で示される化合物の総量1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満であると、重合反応が充分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。このような触媒系において、遷移金属塩および配位子を用いる場合、この配位子の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不充分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。また、触媒系における還元剤の使用割合は、一般式(21)で表される化合物、一般式(28)で表される化合物および一般式(29)で表される化合物の総量1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満であると、重合が充分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
【0101】
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、一般式(21)で表される化合物、一般式(28)で表される化合物および一般式(29)で表される化合物の総量1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満であると、重合速度を上げる効果が不充分であり、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
【0102】
重合体の合成において使用可能な重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどを挙げることができ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、充分に乾燥してから用いることが好ましい。重合溶媒中における一般式(21)で表される化合物、一般式(28)で表される化合物および一般式(29)で表される化合物の総量の濃度は、通常、1〜100重量%、好ましくは5〜40重量%である。また、上記重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。なお、化合物5のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1,000〜1,000,000である。
【0103】
1.3.2.化合物6
一般式(11)で表される重合体(以下、「化合物6」ともいう)は、例えば、下記一般式(30)〜(32)に示す化合物を含むモノマーを触媒系の存在下に重合することによって製造することができる。
【化28】

・・・・・(30)
(式中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基またはハロゲン原子、Xは−CQQ’−(ここでQ,Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、o、pは0〜4の整数を表し、R37,R38は水酸基、ハロゲン原子、−OM’基(M’はアルカリ金属である)からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。)
【0104】
一般式(30)に示す化合物(モノマー)の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ブロモフェニル)メタン、ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、ビス(4−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパンが挙げられる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させてもよい。なお、一般式(30)に示す化合物を2種以上共重合することもできる。
【化29】

・・・・・(31)
(式中、R10,R11はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R39,R40は水酸基、ハロゲン原子、−OM’基(M’はアルカリ金属である)からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−およびフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、q,rは0〜4の整数を表す。)
【0105】
一般式(31)に示す化合物としては、例えば、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジプロペニルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジエチルビフェニル、4,4’−ジメチルヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4−ジヒドロキシオクタフルオロビフェニル、3,3’−ジアリル−4,4’−ビス(4−ヒドロキシ)ビフェニル、4,4’−ジクロロ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジブロモ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジヨード−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−クロロフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させてもよい。一般式(31)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【化30】

・・・・・(32)
(式中、R12は炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基,またはハロゲン原子を示し、R35,R36は−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、sは0〜4の整数を表す。)
【0106】
一般式(32)に示す化合物としては、例えば、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシトルエン、2,5−ジヒドロキシトルエン、2,6−ジヒドロキシトルエン、3,4−ジヒドロキシトルエン、3,5−ジヒドロキシトルエン、o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもできる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させても良い。一般式(32)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。一般式(11)で表される化合物6中の繰り返し構造単位の割合は、一般式(11)において、Iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、I+j=100モル%)である。
【0107】
一般式(11)で表される化合物6の合成方法としては、例えば、ビスフェノール化合物とジハロゲン化化合物をアルカリ金属化合物の存在下、溶剤中で加熱することにより得られる。上記ビスフェノール化合物およびジハロゲン化化合物の使用割合は、ビスフェノール化合物が45〜55モル%、好ましくは48〜52モル%、ジハロゲン化化合物が55〜45モル%、好ましくは52〜48モル%である。ビスフェノール化合物の使用割合が45モル%未満または55モル%を越えると重合体の分子量が上昇しにくく、塗膜の塗布性が劣る場合がある。この際使用するアルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属リチウムが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。アルカリ金属化合物の使用量は、ビスフェノール化合物に対して、通常、100〜400モル%、好ましくは100〜250モル%である。また、反応を促進させるため、金属銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、ギ酸第一銅、ギ酸第二銅などの助触媒を使用しても良い。この助触媒の使用量は、ビスフェノール化合物に対し、通常、1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%である。
【0108】
反応に使用する溶剤としては、例えばピリジン、キノリン、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテル、ジアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホキシド、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを使用することができる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。
【0109】
化合物6を合成する際の反応濃度としては、モノマーの重量を基準として、2〜50重量%、反応温度としては50〜250℃である。また、重合体合成時に生じる金属塩や未反応モノマーを除去するため、反応溶液をろ過することや反応溶液を重合体に対して貧溶剤である溶媒により再沈殿や酸性、アルカリ性水溶液により洗浄することが好ましい。このようにして得られる化合物6のGPC法による重量平均分子量は、通常、500〜500,000、好ましくは800〜100,000である。
【0110】
1.3.3.化合物7
一般式(12)で表される重合体(以下、「化合物7」ともいう)は、例えば、下記一般式(33)および(34)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、下記一般式(35)および(36)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを触媒の存在下で重合することにより得ることができる。
【化31】

・・・・・(33)
【化32】

・・・・・(34)
(式(33)および(34)中、R14〜R19およびk,t,u,v,wは、一般式(10)および(12)に関して定義した通りである。)
【化33】

・・・・・(35)
【化34】

・・・・・(36)
(式(35)および(36)中、R19〜R24およびl,w,x,y,zは一般式(11)および(12)に関して定義した通りであり、X’はハロゲン原子を示す。)
【0111】
一般式(33)で表される化合物としては、例えば、4,4’−ジエチニルビフェニル、3,3’−ジエチニルビフェニル、3,4’−ジエチニルビフェニル、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,3’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、4,4’−ジエチニルベンゾフェノン、3,3’−ジエチニルベンゾフェノン、3,4’−ジエチニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチニルジフェニルメタン、3,3’−ジエチニルジフェニルメタン、3,4’−ジエチニルジフェニルメタン、4,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,3’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジエチニルベンズアニリド、3,3’−ジエチニルベンズアニリド、3,4’−ジエチニルベンズアニリド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,3’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、2,4,4’−トリエチニルジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−エチニルフェニル)フルオレン、4,4”−ジエチニル−p−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−m−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−o−ターフェニルが挙げられる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0112】
一般式(34)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、2,5−ジエチニルトルエン,3,4−ジエチニルトルエンが挙げられる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0113】
一般式(35)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(2−ブロモベンゾイル)−3−(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(2−ヨードベンゾイル)−3−(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−3−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−3−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−3−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−3−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−4−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−4−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−4−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、3,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、9,9−ビス(4−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ブロモフェニル)フルオレン、4,4”−ジクロロ−m−ターフェニル、4,4”−ジヨード−m−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−m−ターフェニル、4,4”−ジクロロ−p−ターフェニル、4,4”−ジヨード−p−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−p−ターフェニルが挙げられる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0114】
一般式(36)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、2,3−ジヨードトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,6−ジブロモトルエン、3,4−ジブロモトルエンが挙げられる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0115】
化合物7は、一般式(33)で表される化合物および/または一般式(34)で表される化合物と、一般式(35)で表される化合物および/または一般式(36)で表される化合物を触媒の存在下で重合させることにより製造され、この際、一般式(33)で表される化合物および/または一般式(34)で表される化合物と、一般式(35)で表される化合物および/または一般式(36)で表される化合物の使用割合は、前者の化合物の総量1モルに対して、後者の化合物の総量が0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、特に好ましくは0.95〜1.05である。後者の化合物の総量が0.8モル未満の場合や1.2モルを越える場合は、得られる重合体の分子量が上昇しにくい。
【0116】
化合物7の製造においては、一般式(33)〜(36)で表される化合物を、遷移金属化合物を含む触媒の存在下で重合させることが好ましい。さらに、遷移金属化合物および塩基性化合物を含む触媒がより好ましく、特に下記の(a)成分、(b)成分および(c)成分から構成されているものが特に好ましい。
【0117】
(a)パラジウム塩およびパラジウムに対し配位子として結合するか、配位子として結合する基(原子団)を供給して錯体(錯イオンを含む)を形成し得る物質(以下、配位子形成体という)、またはパラジウム錯体(必要に応じて配位子形成体をさらに加えてもよい)
(b)1価の銅化合物
(c)塩基性化合物
【0118】
(a)成分のうちパラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム等が挙げられる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、パラジウム塩の使用割合は、一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは、0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0119】
(a)成分のうち配位子形成体としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリシアノフェニルホスフィン、トリシアノメチルホスフィン等が挙げられる。中でも、トリフェニルホスフィンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。配位子形成体の使用割合は、一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0004〜50モル、さらに好ましくは0.004〜5モルである。0.0004モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、50モルを超えると精製が困難となることがある。
【0120】
(a)成分のうちパラジウム錯体としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウムが挙げられる。中でも、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、パラジウム錯体の使用割合は、一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0121】
(b)1価の銅化合物としては、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)が挙げられる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、(b)1価の銅化合物の使用割合は、一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0122】
(c)塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエチルアミン、アンモニア、n−ブチルアミン、イミダゾールが挙げられる。中でも、ジエチルアミン、ピペリジン、n−ブチルアミンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、(c)塩基性化合物の使用割合は、一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、1〜1000モル、さらに好ましくは1〜100モルである。1モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、100モルを超えると経済的ではなくなる。
【0123】
1.3.4.化合物8
一般式(13)で表される重合体(以下、「化合物8」ともいう)は、例えば、下記一般式(37)と、下記一般式(38)および(39)に示す化合物を反応させることによって製造することができる。
【化35】

・・・・・(37)
【化36】

・・・・・(38)
【化37】

・・・・・(39)
(式(37)〜(39)中、R13,R13’は水素原子または一般式(14)および(15)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは一般式(16)および(17)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
【0124】
一般式(13)に表される化合物8は、一般式(37)のシクロペンタジエノン基と一般式(38)および(39)のアセチレン基とをディールズアルダー反応をすることにより得ることができる。
【0125】
化合物8の数平均分子量(Mn)は3,500より大きく、好ましくは4,000より大きく、好ましくは6,400未満であり、より好ましくは6,000未満である。また、化合物8の重量平均分子量(Mw)は500より大きく、好ましくは8,000より大きく、好ましくは15,000未満であり、より好ましくは12,000未満である。さらに、化合物8は好ましくは約2.5未満、より好ましくは約2.3未満の多分散性(Mw/Mn)を有する。
【0126】
有機系膜の形成工程においては、必要に応じて溶媒を用いることができる。重合溶媒としては特に制限はないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレンクリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクルペンタノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は十分に乾燥、脱酸素して用いることが好ましい。これらの溶媒は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。重合溶媒中におけるモノマー(重合成分)濃度は、好ましくは1〜80重量%、さらに好ましくは5〜60重量%である。また、重合温度は、好ましくは、0〜150℃、さらに好ましくは5〜100℃である。また、重合時間は、好ましくは、0.5〜100時間、さらに好ましくは1〜40時間である。
【0127】
有機系膜を形成するためには、化合物5〜8の群から選ばれる少なくとも1種の重合体を有機溶剤に溶解して有機系膜形成用組成物を得、この有機系膜形成用組成物を基板に塗布して乾燥させて塗膜(第3の塗膜)を形成し、この塗膜を硬化させることにより、有機系膜が得られる。ここで、有機系膜形成用組成物に使用できる有機溶剤としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾールなどのモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョンなどのケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンなどの含硫黄系溶媒が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0128】
有機系膜形成用組成物には、さらにコロイド状シリカ、有機系膜を形成するために用いられる化合物5〜8以外の有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、重合性の二重結合を含有する化合物、重合性の三重結合などの成分を添加してもよい。化合物5〜8以外の有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体が挙げられる。
【0129】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などを有する重合体が挙げられる。
【0130】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0131】
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリ(ビニルメトシキシロキサン)、ポリ(ビニルエトキシシロキサン)などが挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0132】
ラジカル発生剤としては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−nプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、スクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルアンドベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;ジベンジル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジフェニルビベンジル、α,α’−ジフェニル−α−メトキシビベンジル、α,α’−ジフェニル−α,α’−ジメトキシビベンジル、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジメチルビベンジル、α,α’−ジメトキシビベンジル、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニル−n−ヘキサン、2,2,3,3−テトラフェニルコハク酸ニトリルなどのビベンジル化合物が挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0133】
重合性の二重結合を含有する化合物としては、例えば、アリルベンゼン、ジアリルベンゼン、トリアリルベンゼン、アリルオキシベンゼン、ジアリルオキシベンゼン、トリアリルオキシベンゼン、α,ω―ジアリルオキシアルカン類、α,ω―ジアリルアルケン類、α,ω―ジアリルアルケン類、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N―アリルフタルイミド、N―アリルピロメリットイミド、N、N’―ジアリルウレア、トリアリルイソシアヌレート、2,2’−ジアリルビスフェノールAなどのアリル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、スチルベン、プロペニルベンゼン、ジプロペニルベンゼン、トリプロペニルベンゼン、フェニルビニルケトン、メチルスチリルケトン、α,α’―ジビニルアルカン類、α,α’―ジビニルアルケン類、α,α’―ジビニルアルキン類、α,α’―ジビニルオキシアルカン類、α,α’―ジビニルアルケン類、α,α’―ジビニルアルキン類、α,α’―ジアクリルオキシアルカン類、α,α’―ジアクリルアルケン類、α,α’―ジアクリルアルケン類、α,α’―ジメタクリルオキシアルカン類、α,α’―ジメタクリルアルケン類、α,α’―ジメタクリルアルケン類、ビスアクリルオキシベンゼン、トリスアクリルオキシベンゼン、ビスメタクリルオキシベンゼン、トリスメタクリルオキシベンゼン、N―ビニルフタルイミド、N―ビニルピロメリットイミドなどのビニル化合物;2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンエーテル、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。重合性の三重結合を含有する化合物としては、例えば、下記一般式(40)および(41)で表される化合物もしくはいずれか一方が挙げられる。
【化38】

・・・・・(40)
【化39】

・・・・・(41)
(式(40)および(41)中、R41は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R42はv’価の芳香族基を示し、R43はw’価の芳香族基を示し、u’は0〜5の整数を表し、v’およびw’はそれぞれ独立に2〜6の整数を表す。)
【0134】
一般式(40)において、R41で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。
【0135】
重合性の三重結合を含有する化合物としては、そのほか、エチニルベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニルフェニル)エーテル、トリメチルシリルエチニルベンゼンが挙げられる。これらの重合性の三重結合を含有する化合物は、1種または2種以上を同時に使用しても良い。
【0136】
有機系膜形成用組成物の全固形分濃度は、好ましくは1〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が1〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れたものとなる。
【0137】
1.3.5.作用効果
本実施形態にかかる積層体は、4ポイントベンディング法にて測定された、シリカ系膜と有機系膜との間の破壊靭性が10J/m以上(例えば、10〜20J/m)であるため、密着性に優れている。このため、この積層体を例えば半導体装置の絶縁膜に使用した場合、CMP(化学機械研磨)時の剥離を効果的に防止することができる。
【0138】
2.積層体の形成方法
本発明の一実施形態にかかる積層体の形成方法は、基材上に、シリカ系膜形成用組成物を塗布した後乾燥させて、第1の塗膜を形成する工程と、この第1の塗膜の上に、一般式(1)で表されるシラン化合物を塗布した後乾燥させて、第2の塗膜を形成する工程と、この第2の塗膜の上に、有機系膜形成用組成物を塗布した後乾燥させて、第3の塗膜を形成する工程と、第1、第2、および第3の塗膜を硬化させて、シリカ系膜、層間膜、および有機系膜を含む積層体を得る工程と、を含む。
【0139】
本実施形態にかかる積層体の製造方法において使用する基材としては、Si、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層が挙げられる。また、塗膜を形成するための膜形成用組成物を塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。次いで、膜形成用組成物の塗布を終えた基材に、例えば熱処理を施すことなどにより有機溶剤を除去することが好ましい。このようにして、基材の上に第1の塗膜を形成する。第1の塗膜の膜厚は、好ましくは10〜500nm、より好ましくは50〜300nmである。
【0140】
次いで、第1の塗膜の上に第2および第3の塗膜を順に形成する。第2および第3の塗膜の形成は、上述した第1の塗膜の形成と同様に行なうことができる。第2の塗膜の膜厚は、好ましくは、1〜20nm、より好ましくは1〜10nmである。第3の塗膜の膜厚は、好ましくは、10〜500nm、より好ましくは50〜300nmである。
【0141】
次に、第1〜第3の塗膜が積層された積層膜に対して硬化処理を施す。硬化処理は、加熱、電子線照射、紫外線照射から選ばれる少なくとも1種により行なうことができる。加熱により硬化を行なうときは、好ましくは300〜500℃、より好ましくは350〜450℃の条件で行なう。なお、硬化処理は酸素濃度が50ppm以下で行なうことが好ましい。
【0142】
また、第2の塗膜を形成する前に、第1の塗膜に紫外線を照射するのが好ましい。この工程によれば、第2の塗膜と第1の塗膜との反応性を高め、第2の塗膜と第3の塗膜の反応サイトを増やすことにより、シリカ系膜と層間膜との密着性をより高めることができる。この場合、シリカ系膜と層間膜との密着性をさらに高めることができる点で、波長200nm以下の紫外線を用いるのが好ましく、波長172nmの紫外線を照射するのがより好ましい。
【0143】
3.絶縁膜
本発明の一実施形態にかかる絶縁膜は、上記積層体を含む。このため、本実施形態にかかる絶縁膜は低誘電率であり、シリカ系膜と有機系膜との密着性に優れている。したがって、本実施形態にかかる絶縁膜は、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体装置用層間絶縁膜、半導体装置の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示装置用の保護膜や絶縁膜などの用途に有用である。
【0144】
4.半導体装置
本発明の一実施形態にかかる半導体装置は、上記絶縁膜を含む。本実施形態にかかる半導体装置において、上記絶縁膜を例えば、層間絶縁膜や平坦化絶縁膜などに用いることにより、絶縁膜の密着性が十分に確保されているため、CMP処理やパッケージング処理時の膜剥がれが抑制され、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0145】
5.実施例
次に、本発明の積層体およびその製造方法を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%は、特記しない限りそれぞれ重量部および重量%であることを示す。また、以下の記載は本発明の態様を概括的に示すものであり、特に理由なく、かかる記載により本発明は限定されるものではない。
【0146】
本実施例では、まず、シリカ系膜、層間膜および有機系膜のための膜形成用組成物(I)〜(III)をそれぞれ調製した。その後、得られた膜形成用組成物(I)〜(III)を用いて積層体の形成を行なった。得られた積層体の密着性および比誘電率の測定は以下の方法に従い行なった。
【0147】
5.1.評価方法
5.1.1.密着性
4ポイントベンディング法にて、得られた積層体におけるシリカ系膜と有機系膜との間の破壊靭性を測定し、この破壊靭性を密着性の指標とした。
【0148】
5.1.2.比誘電率の測定
積層体が形成されたウエハ上にアルミニウムを蒸着して、誘電率評価用基板を作製した。比誘電率は、横川・ヒューレットパッカード(株)製のHP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメーターを用いて、10kHzにおける容量値から算出した。
【0149】
5.1.3.重量平均分子量(Mw)
重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、重合体1gを100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃流速:1cc/分
【0150】
5.2.合成例
5.2.1.合成例1(シリカ系膜形成用組成物(I)の調製)
石英製セパラブルフラスコに、蒸留エタノール570g、イオン交換水160g、および10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液30gを入れ、均一に攪拌した。この溶液にメチルトリメトキシシラン136gおよびテトラエトキシシラン209gの混合物を添加した。この溶液を55℃に保ったまま2時間反応を行った。この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gを加えた後、50℃のエバポレーターを用いて溶液を10%となるまで濃縮して、シリカ系膜形成用組成物(I)を得た。
【0151】
5.2.2.合成例2(有機系膜形成用組成物(II)の調製)
温度計、アルゴンガス導入管、および攪拌装置を備えた1000mL三口フラスコにテトラヒドロフラン120ml、ジクロロビストリフェニルフォスフィンパラジウム3.46g、ヨウ化銅1.44g、ピペリジン20ml、および4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン185.72gを加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル65.48gを加えて25℃で20時間反応させた。次いで、この反応液をメタノール5リットルで再沈殿を2回繰り返した後、シクロヘキサノンに溶解させ、超純水で2回洗浄し、メタノール5リットルでさらに再沈殿し、沈殿を濾過および乾燥して、重量平均分子量35,000の重合体Aを得た。この重合体A 2gおよび重量平均分子量500のポリビニルメトキシシロキサン0.05gをシクロヘキサノン18gに溶解させ、0.2μm孔径のポリテトラフルオロエチレン(デュポン社製、テフロン(登録商標))製フィルターで濾過を行い、有機系膜形成用組成物(II)を得た。
【0152】
5.2.3.合成例3(膜形成用組成物溶液(III)の調製)
石英製セパラブルフラスコ中で、40%メチルアミン水溶液15.84g、超純水725.72gおよびエタノール1541.7gの混合溶液中に、メチルトリメトキシシラン136.23g(完全加水分解縮合物換算66.75g)とテトラエトキシシラン166.66g(完全加水分解縮合物48.33g)およびビニルトリメトキシシラン29.65g(完全加水分解縮合物15.71g)を加えて、60℃で2時間反応させた。その後室温まで冷却した後、この溶液に60%硝酸水溶液42.85gを加え、室温で1時間撹拌した。この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル392.37gを加え、その後、減圧下で全溶液量1307.9gとなるまで濃縮した。その後、酢酸の10%プロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液65.40gを添加し、固形分含有量10%となるように調整し、第2のシリカ系膜のための膜形成用組成物(III)を得た。
【0153】
5.3.実施例1
シリカ系膜形成用組成物(I)を基材(8インチシリコンウエハ)に塗布し、膜厚130nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第1の塗膜(膜厚130nm)を得た。次に、この第1の塗膜の上に短波長DUV(波長:172nm)を照射した後、ビニルトリアセトキシシランを塗布して、膜厚3nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第2の塗膜(膜厚3nm)を得た。次いで、この第2の塗膜の上に有機系膜形成用組成物(II)を用いて膜厚120nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第3の塗膜(膜厚120nm)を得た。続いて、各膜が形成されたシリコンウエハについて、窒素雰囲気下で400℃の加熱処理を30分間施すことにより、シリカ系膜(膜厚125nm)、層間膜(膜厚3nm)、および有機系膜(膜厚115nm)からなる実施例1の積層体を得た。
【0154】
実施例1の積層体の比誘電率および密着性を測定した結果を表1に示す。
【0155】
5.4.実施例2
シリカ系膜形成用組成物(I)を基材(8インチシリコンウエハ)に塗布し、膜厚130nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第1の塗膜(膜厚130nm)を得た。次に、この第1の塗膜の上に短波長DUV(波長:172nm)を照射した後、ジビニルジアセトキシシランを塗布して、膜厚3nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第2の塗膜(膜厚3nm)を得た。次いで、この第2の塗膜の上に有機系膜形成用組成物(II)を用いて膜厚120nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第3の塗膜(膜厚120nm)を得た。続いて、各膜が形成されたシリコンウエハについて、窒素雰囲気下で400℃の加熱処理を30分間施すことにより、シリカ系膜(膜厚125nm)、層間膜(膜厚3nm)、および有機系膜(膜厚115nm)からなる実施例2の積層体を得た。
【0156】
実施例2の積層体の比誘電率および密着性を測定した結果を表1に示す。
【0157】
5.5.比較例1(層間膜を含まない積層体の製造)
シリカ系膜形成用組成物(I)を基材(8インチシリコンウエハ)に塗布し、膜厚130nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第1の塗膜(膜厚130nm)を得た。次に、この第1の塗膜の上に有機系膜形成用組成物(II)を用いて膜厚120nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第3の塗膜(膜厚120nm)を得た。続いて、各膜が形成されたシリコンウエハについて、窒素雰囲気下で400℃の加熱処理を30分間施すことにより、シリカ系膜(膜厚125nm)、および有機系膜(膜厚115nm)からなる比較例1の積層体を得た。
【0158】
比較例1の積層体の比誘電率および密着性を測定した結果を表1に示す。
【0159】
5.6.比較例2(層間膜を含まない積層体の製造DUVあり)
シリカ系膜形成用組成物(I)を基材(8インチシリコンウエハ)に塗布し、膜厚130nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第1の塗膜(膜厚130nm)を得た。次に、この第1の塗膜に短波長DUV(波長:172nm)を照射した後、有機系膜形成用組成物(II)を用いて膜厚130nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第3の塗膜(膜厚120nm)を得た。その後、各膜が形成されたシリコンウエハについて、窒素雰囲気下で400℃の加熱処理を30分間施すことにより、シリカ系膜(膜厚125nm)、および有機系膜(膜厚115nm)からなる比較例2の積層体を得た。
【0160】
比較例2の積層体の比誘電率および密着性を測定した結果を表1に示す。
【0161】
5.7.比較例3(シランオリゴマーを用いて形成された層間膜を含む積層体の製造)
シリカ系膜形成用組成物(I)を基材(8インチシリコンウエハ)に塗布し、膜厚130nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第1の塗膜(膜厚130nm)を得た。次に、この第1の塗膜の上に、上記合成例3で得られた膜形成用組成物溶液(III)を10nmの膜厚で塗布した後、80℃で1分間、200℃で1分間基板を乾燥し、第2の塗膜(膜厚3nm)を得た。次いで、この第2の塗膜の上に有機系膜形成用組成物(II)を用いて膜厚120nmの塗膜を形成し、この塗膜に対して80℃で1分間次いで200℃で1分間の加熱処理を行い乾燥させて、第3の塗膜(膜厚120nm)を得た。続いて、各膜が形成されたシリコンウエハについて、窒素雰囲気下で400℃の加熱処理を30分間施すことにより、シリカ系膜(膜厚125nm)、層間膜(膜厚3nm)、および有機系膜(膜厚115nm)からなる実施例1の積層体を得た。
【0162】
比較例3の積層体の比誘電率および密着性を測定した結果を表1に示す。
【0163】
【表1】

【0164】
比較例1の積層体では、シリカ系膜の上に有機系膜が層間膜を介さずに直接積層されている。表1に示すように、比較例1の積層体は比誘電率が低いものの、実施例1の積層体と比較して破壊靱性が低く、シリカ系膜と有機系膜との間の密着性が低かった。
【0165】
また、比較例2の積層体は、層間膜を形成せずに、シリカ系膜となる第1の塗膜に短波長DUVを照射する処理を行って得られた積層体である。表1に示すように、比較例2の積層体は比誘電率が低いものの、実施例1の積層体と比較して破壊靱性が低く、シリカ系膜と有機系膜との間の密着性が低かった。
【0166】
また、比較例3の積層体は、シランオリゴマーを使用したもので密着性は高い値を示しているが、薄膜化ができず誘電率が高い、オリゴマー合成の手間がかかる等の不都合な点が実施例と比較して確認される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ系膜および有機系膜を含み、
前記シリカ系膜と前記有機系膜とが、下記一般式(1)で表されるシラン化合物を硬化させて得られる層間膜を介して積層されている、積層体。
【化1】

・・・・・(1)
[式中、R〜Rは独立して、アルキル基、アシル基またはアリール基を示し、Xは下記一般式(2)または下記一般式(3)を示す。]
【化2】

・・・・・(2)
【化3】

・・・・・(3)
[式中、Y〜Yは独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、YとYまたはYとYとの組み合わせで環を形成していても良い。]
【請求項2】
請求項1において、
前記シリカ系膜は、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、および下記一般式(6)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物を用いて形成された塗膜を硬化して得られる、積層体。
Si(OR104−a ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基を示し、R10は1価の有機基を示し、aは1〜2の整数を示す。)
Si(OR11 ・・・・・(5)
(式中、R11は1価の有機基を示す。)
12(R13O)3−bSi−(R16−Si(OR143−c15 ・・・・・(6)
(式中、R12〜R15は独立して、1価の有機基を示し、bおよびcは独立して、0〜2の数を示し、R16は酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)を示し、dは0または1を示す。)
【請求項3】
請求項1または2において、
前記有機系膜は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリベンゾオキサゾール、およびポリイミドのうち少なくとも1種の化合物からなる、積層体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記層間膜の膜厚は、前記シリカ系膜の膜厚の1/1000〜1/10である、積層体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記層間膜の膜厚は、前記有機系膜の膜厚の1/1000〜1/10である、積層体。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
半導体装置の絶縁膜として使用される、積層体。
【請求項7】
請求項6において、
前記絶縁膜を含む、半導体装置。
【請求項8】
基材上に、シリカ系膜形成用組成物を塗布した後乾燥させて、第1の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜の上に、上記一般式(1)で表されるシラン化合物を塗布した後乾燥させて、第2の塗膜を形成する工程と、
前記第2の塗膜の上に、有機系膜形成用組成物を塗布した後乾燥させて、第3の塗膜を形成する工程と、
前記第1、第2、および第3の塗膜を硬化させて、シリカ系膜、層間膜、および有機系膜を含む積層体を得る工程と、
を含む、積層体の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記積層体を得る工程において、熱、電子線、および紫外線から選ばれる少なくとも1種を用いて前記第1、第2、および第3の塗膜を硬化させる、積層体の製造方法。
【請求項10】
請求項8または9において、
前記第2の塗膜を形成する前に、前記第1の塗膜に紫外線を照射する工程をさらに含む、積層体の製造方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記紫外線は波長200nm以下である、積層体の製造方法。

【公開番号】特開2009−160826(P2009−160826A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−975(P2008−975)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】