説明

窒化物半導体装置

【課題】エンハンメント型GaN系HFETの閾値電圧のバラツキを低減する。
【解決手段】窒化物半導体装置80では、第2のリセスエッチングによりアンドープGaN層3の上部に突起部51が設けられる。突起部51上には、上部が第1のリセスエッチングにより形成されたアンドープAlGaN層4aが設けられる。積層部7は、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4a、及び絶縁膜5から構成される。トレンチ部8は、絶縁膜5、アンドープAlGaN層4a、及びアンドープGaN層3表面がリセスエッチングされたものである。積層部7及びトレンチ部8上にはゲート絶縁膜6が設けられる。ゲート絶縁膜6上には、トレンチ部8を覆うようにゲート電極33が設けられる。絶縁膜5はゲート絶縁膜6よりも膜厚が厚く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GaNを用いた窒化物半導体電界効果トランジスタである窒化物半導体装置は、Siと比較して大きなバンドギャップを有し、高臨界電界を有しているので高耐圧、低オン抵抗、低損出なデバイスを実現できる。特に、AlGaNとGaNのヘテロ構造を用いたGaN HFET(Heterojunction FET)は単純な素子構造で所望の特性を実現することができる。AlGaNとGaNのヘテロ構造では、AlGaNとGaNのヘテロ界面での分極などにより高濃度な2次元電子ガス(2DEG two dimensional electron gas)が得られ、GaN HFETの低オン抵抗化が達成できる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載されるGaN HFETでは、ゲート電極に電圧を印加しないときにオン状態とならないエンハンスメント型(ノーマリーオフ型)の素子にするために、リセスエッチングにより形成された積層部幅を縮小化している。このため、エンハンスメント型GaN HFETの閾値電圧(Vth)のバラツキが増大するという問題点がある。また、エンハンスメント型GaN HFETの閾値電圧(Vth)を所定値、例えば3V以上に設定しにくいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−311355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エンハンメント型で閾値電圧(Vth)のバラツキが低減される窒化物半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の窒化物半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に、直接或いはバッファ層を介して設けられる第1の窒化物半導体層と、前記第1の窒化物半導体層上に設けられる第2の窒化物半導体層と、前記第1の窒化物半導体層の上部に周囲がリセスエッチングされ、リセスエッチングされずに残置された突起部と、上部がリセスエッチングされ、前記突起部上に設けられる第2の窒化物半導体層と、前記突起部上に前記上部がリセスエッチングされた第2の窒化物半導体層を介して設けられる絶縁膜とが積層形成されるストライプ状の積層部と、前記積層部の両側に配置され、上部がリセスエッチングされた前記第2の窒化物半導体層がストライプ方向でリセスエッチングされ、前記第1の窒化物半導体層表面が露呈されるストライプ状のトレンチ部と、前記積層部の側面と前記積層部及び前記トレンチ部上に設けられ、前記絶縁膜よりも膜厚が薄いゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、前記ゲート電極を挟んで相対向するように配置されるソース電極及びドレイン電極とを具備することを特徴とする。
【0007】
更に、本発明の他態様の窒化物半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に、直接或いはバッファ層を介して設けられる第1の窒化物半導体層と、前記第1の窒化物半導体層上に設けられる第2の窒化物半導体層と、前記第1の窒化物半導体層の上部に周囲がリセスエッチングされ、リセスエッチングされずに残置された突起部と、上部がリセスエッチングされ、前記突起部上に設けられる第2の窒化物半導体層と、前記突起部上に前記上部がリセスエッチングされた第2の窒化物半導体層を介して設けられる絶縁膜とが積層形成されるストライプ状の積層部と、前記積層部の両側に配置され、上部がリセスエッチングされた前記第2の窒化物半導体層がストライプ方向でリセスエッチングされ、前記第1の窒化物半導体層表面が露呈されるトレンチ部と、前記積層部の側面と前記積層部及び前記トレンチ部上に設けられるゲート絶縁膜と、前記トレンチ部に前記ゲート絶縁膜を介して埋設されるゲート電極と、前記ゲート電極を挟んで相対向するように配置されるソース電極及びドレイン電極とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エンハンメント型で閾値電圧(Vth)のバラツキが低減される窒化物半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る窒化物半導体装置を示す平面図。
【図2】図1のA−A線に沿う窒化物半導体装置の断面図。
【図3】図1のB−B線に沿う窒化物半導体装置の断面図。
【図4】図1のC−C線に沿う窒化物半導体装置の断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る比較例の窒化物半導体装置を示す断面図。
【図6】本発明の実施例1に係る積層部幅と閾値電圧(Vth)の関係を示す図、図中実線(a)は本実施例の関係図、図中破線(b)は比較例の関係図。
【図7】本発明の実施例2に係る窒化物半導体装置を示す断面図。
【図8】本発明の実施例2に係る積層部幅と閾値電圧(Vth)の関係を示す図、図中実線(a)は本実施例の関係図、図中破線(b)は比較例の関係図。
【図9】本発明の実施例2に係る閾値電圧(Vth)のバラツキを示す図、図中ヒストグラム(a)は本実施例の分布図、図中ヒストグラム(b)は比較例の分布図。
【図10】本発明の実施例3に係る窒化物半導体装置を示す平面図。
【図11】図10のD−D線に沿う窒化物半導体装置の断面図。
【図12】本発明の実施例4に係る窒化物半導体装置を示す平面図。
【図13】図12のE−E線に沿う窒化物半導体装置の断面図。
【図14】図12のF−F線に沿う窒化物半導体装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、本発明の実施例1に係る窒化物半導体装置について、図面を参照して説明する。図1は窒化物半導体装置を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿う窒化物半導体装置の断面図、図3は図1のB−B線に沿う窒化物半導体装置の断面図、図4は図1のC−C線に沿う窒化物半導体装置の断面図、図5は比較例の窒化物半導体装置を示す断面図である。本実施例では、ゲート電極直下に深さの異なる2種類のリセス領域を設けてGaN HFETをエンハンメント化(ノーマリーオフ化)している。
【0012】
図1に示すように、窒化物半導体装置80には、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33、及び素子領域34が設けられる。窒化物半導体装置80は、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)GaN HFET(Heterojunction FET)である。窒化物半導体装置80は、高耐圧(例えば、100〜1000V)で、高出力のスイッチング素子に適用される。HFETは、ヘテロ接合電界効果トランジスタと呼称される。
【0013】
ソース電極31は、図中左端に設けられる。ドレイン電極32は、図中右端に設けられる。ゲート電極33は、相対向して配置されるソース電極31とドレイン電極32の間の素子形成領域34上に設けられる。ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33、及び素子領域34は、図示しない素子分離領域により周囲と分離される。
【0014】
ゲート電極33直下には、矩形状のリセス領域(第1のリセス領域)41と、矩形状で、横方向寸法がリセス領域41よりも長く、リセス深さがリセス領域41よりも深く、長端部側がリセス領域41よりもせり出す構造を有するリセス領域(第2のリセス領域)42が設けられる。リセス領域(第2のリセス領域)42は、図中上端部及び下端部に配置される。リセス領域(第2のリセス領域)42とリセス領域(第1のリセス領域)41は、図中上下方向に交互に周期的に配置される。交互に繰り替えして配置されるリセス領域(第1のリセス領域)41及びリセス領域(第2のリセス領域)42は、ソースとドレインがショートしないように素子領域34を分断するように素子領域34よりも外側(素子分離領域)まで延在している。
【0015】
窒化物半導体装置80では、ゲート電極33直下にリセス領域(第2のリセス領域)42とリセス領域(第1のリセス領域)41を設けることにより、閾値電圧(Vth)をエンハンメント化している。例えば、リセス領域(第1のリセス領域)41を設けない場合、AlGaNとGaNのヘテロ界面での分極により発生する高濃度な2次元電子ガス(2DEG two dimensional electron gas)の影響により窒化物半導体装置80を安定にエンハンメント化(閾値電圧(Vth)のプラス化)するのか困難となる。
【0016】
ここで、リセス領域41及び42は、例えばBClプラズマを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法で素子領域34を垂直にリセスエッチングして形成される。このRIE法では、GaN HFETである窒化物半導体装置80のRIEダメージによる特性劣化を抑制するために低RFバイアスパワー(例えば、10W程度)条件でリセスエッチングを行うのが好ましい。また、RIEにより発生するダメージ及び汚染を防止するためにRIE後処理を行うのが好ましい。リセスエッチングとは、ゲート領域や素子分離領域などを選択的にウェットエッチング或いはドライエッチングすることをいう。ストライプ状のリセス領域41は、リセス深さがリセス領域41よりも深く、端部がリセス領域41よりもせり出したストライプ状のリセス領域42が両側に配置されている。このような構造を有するリセス領域42を配置することにより、活性領域となるリセス領域41間の相互干渉を抑制することができる。
【0017】
図2に示すように、窒化物半導体装置80では、半導体基板であるシリコン基板1の第1主面(表面)上にバッファ層2が設けられる。バッファ層2の第1主面(表面)上にはアンドープGaN層3が設けられる。バッファ層2は、シリコン基板1とアンドープGaN層3の格子不整合を緩和するために設けられたものである。積層部7の領域には、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4a、絶縁膜5、ゲート絶縁膜6、ゲート電極33が積層形成される。ここで、突起部51は、ゲートストライプ方向(図1に示すストライプ状に形成されたリセス領域41及び42の方向)に沿って形成されたものである。アンドープAlGaN層4aは、アンドープAlGaN層4の上部を第1のリセスエッチングにより形成されたものである。アンドープGaN層3の突起部51は、アンドープGaN層3の上部を第2のリセスエッチングにより形成されたものである。
【0018】
図1のリセス領域(第1のリセス領域)41は、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4a、及び絶縁膜5から構成され、積層部幅W1を有する積層部7に対応する。図1のリセス領域(第2のリセス領域)42は、絶縁膜5、アンドープAlGaN層4a、及びアンドープGaN層3表面がリセスエッチングされ、トレンチ幅W2を有するトレンチ部8に対応する。
【0019】
積層部7及びトレンチ部8上にはゲート絶縁膜6が設けられる。ゲート絶縁膜6上には、トレンチ部8を覆うようにゲート電極33が設けられる。ゲート電極33は、トレンチ部8上では膜厚が厚く、積層部7上ではトレンチ部8上よりも膜厚が薄く形成されている。絶縁膜5の膜厚T1はゲート絶縁膜6の膜厚T2よりも厚く設定されている。
【0020】
ここで、バッファ層2、アンドープGaN層3、及びアンドープAlGaN層4は、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成される。バッファ層2には、GaN層とAlN層が交互に繰り返し積層形成される多層膜を用いている。絶縁膜5にはシリコン酸化膜(SiO膜)を用いているが、代わりにシリコン酸化膜(SiO膜)よりも誘電率の小さなSiOC膜などのLow−k絶縁膜を用いてもよい。ゲート絶縁膜6にはシリコン窒化膜(SiN膜)を用いているが、代わりにタンタル酸化膜(Ta膜)、ハフニウム酸化膜(HfO膜)、或いはアルミナ膜(Al膜)などのHigh−kゲート絶縁膜を用いてもよい。ゲート電極33にはP型不純物がドープされた多結晶シリコン膜を用いているが、代わりにニッケル(Ni)/金(A)の積層膜或いはチタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)の積層膜などを用いてもよい。ソース電極31及びドレイン電極32にはチタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層膜を用いているが、代わりにチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/金(Au)の積層膜を用いてもよい。
【0021】
また、アンドープAlGaN層4の表面をリセスエッチングして形成されるアンドープAlGaN層4aの厚さは、ゲート電圧が印加していないときに、アンドープAlGaN層4とアンドープGaN層3の界面9で発生する2次元電子ガス(2DEG two dimensional electron gas)が消失するように設定されている。トレンチ部8の底部のゲート絶縁膜6とアンドープGaN層3の界面10では、ゲート電圧が印加していないときにキャリアが発生しない。
【0022】
このため、ゲート電極33に比較的値の小さい正の電圧が印加されると、界面10には反転チャネル層が発生し、トランジスタがオン状態となる。このとき、積層部7の上部にゲート絶縁膜6よりも膜厚の厚い絶縁膜5を設けているので、ゲート電極33から与えられる電圧の影響は受けないので界面9にはキャリアが発生しない。その後、ゲート電圧の値が上昇するにつれて、積層部7の側面からゲート電極33の電位の影響を受けて界面9にもキャリアが発生する。界面9は良好なエピタキシャル界面であるため、移動度が高く、従って、界面9にキャリアが発生するゲート電圧以上の電圧をゲート電極33に与えることで、窒化物半導体装置80ではオン抵抗を大きく低下させることができる。
【0023】
図3に示すように、ゲートストライプ方向におけるリセス領域(第1のリセス領域)41の両側では、シリコン基板1上に、バッファ層2、アンドープGaN層3、アンドープAlGaN層4、絶縁膜5、ゲート絶縁膜6、及びゲート電極33が積層形成される。ここでは、ソース電極31側とドレイン電極32側のリセス領域(第1のリセス領域)41に対するゲート電極33の延在幅を同じに設定しているが、窒化物半導体装置80の電流コプラス低減、高耐圧化を図るためにゲート電極33のドレイン電極32側への延在幅を大きく(所謂、フィールドプレート構造)してもよい。
【0024】
ここで、アンドープAlGaN層4は、Al×Ga(1−×)N(0<×<1)で表される範囲に設定される。例えば、×の値は0.25に設定される。
【0025】
図4に示すように、リセス領域(第2のリセス領域)42の両側は、シリコン基板1上に、バッファ層2、アンドープGaN層3、アンドープAlGaN層4、絶縁膜5、ゲート絶縁膜5、及びゲート電極33が積層形成される。ここでは、ソース電極31側とドレイン電極32側のリセス領域(第2のリセス領域)42に対するゲート電極33の延在幅を同じに設定しているが、窒化物半導体装置80の電流コラプス低減、高耐圧化を図るためにゲート電極33のドレイン電極32側の延在幅を大きく(所謂、フィールドプレート構造)してもよい。
【0026】
図5に示すように、比較例の窒化物半導体装置90では、アンドープAlGaN層4がリセスエッチングされず、アンドープAlGaN層4上にはゲート絶縁膜6よりも膜厚の厚い絶縁膜5が設けられない。具体的には、積層部7aがアンドープGaN層3の突起部51とアンドープAlGaN層4から構成される。比較例の窒化物半導体装置90では、トレンチ部8のトレンチ幅W2及び積層部7aの積層部幅W1を適宜変化させることによりエンハンスメント化を図っている。
【0027】
次に、窒化物半導体装置のDC特性について図6を参照して説明する。図6は積層部幅と閾値電圧(Vth)の関係を示す図、図中実線(a)は本実施例の関係図、図中破線(b)は比較例の関係図である。
【0028】
図6に示すように、実線(a)で示す本実施例の窒化物半導体装置80では、ゲート電圧が印加していないときに、2次元ガスが消失するようにアンドープAlGaN層4の上部がリセスエッチングされ、ゲートストライプ(突起部51)間はトランチ部8で分離され、ゲートストライプ(突起部51)間の相互干渉を抑制するためにトレンチ部8をゲートストライプ(突起部51)よりも突き出た構造としている。このため、積層部幅W1が変化しても窒化物半導体装置80の閾値電圧(Vth)の変化が非常に少なく、しかも閾値電圧(Vth)の値をプラスに維持することできる。
【0029】
具体的には、積層部幅W1が40nm乃至2000nmの範囲で閾値電圧(Vth)を+1V以上にすることができる。なお、図示していないが積層部幅W1が40nm以下の領域では閾値電圧(Vth)が+2V以上となる。また、積層部幅W1が数μmになっても閾値電圧(Vth)の値がマイナスにはならない。つまり、積層部幅W1の幅が変化しても閾値電圧(Vth)の値をプラスに保持でき、閾値電圧(Vth)のバラツキを大幅に抑制することができる。
【0030】
なお、アンドープAlGaN層4の上部をリセスエッチングすることにより、閾値電圧(Vth)を(−)から(+)化している。ここでは、図6に示す領域では閾値電圧(Vth)を(+)1V以上を保持することができている。
【0031】
一方、破線(b)で示す比較例の窒化物半導体装置90では、閾値電圧(Vth)の変化が非常に大きく、閾値電圧(Vth)の値をプラスに維持する領域が非常に狭い。具体的には、積層部幅W1が70nm以下の領域で閾値電圧(Vth)の値をプラスにできる。積層部幅W1が70nmより大きな領域では閾値電圧(Vth)の値がマイナスとなる。つまり、リセスエッチング等により積層部幅W1の幅が変化すると閾値電圧(Vth)の値をプラスに保持することが困難となり、閾値電圧(Vth)のバラツキが増大する。しかも、実施例よりも閾値電圧(Vth)の値を大きくできない。
【0032】
上述したように、本実施例の窒化物半導体装置では、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33、及び素子領域34が設けられる。シリコン基板1上のバッファ層2、アンドープGaN層3、及びアンドープAlGaN層4はMOCVD法により形成される。アンドープGaN層3の突起部51は、アンドープGaN層3の上部を第2のリセスエッチングにより形成される。突起部51上には、上部が第1のリセスエッチングにより形成されたアンドープAlGaN層4aが設けられる。積層部7は、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4a、及び絶縁膜5から構成される。トレンチ部8は、絶縁膜5、アンドープAlGaN層4a、及びアンドープGaN層3表面がリセスエッチングされたものである。積層部7及びトレンチ部8上にはゲート絶縁膜6が設けられる。ゲート絶縁膜6上には、トレンチ部8を覆うようにゲート電極33が設けられる。絶縁膜5はゲート絶縁膜6よりも膜厚が厚く設定されている。
【0033】
このため、窒化物半導体装置80の閾値電圧(Vth)の値をプラスに保ちながら、閾値電圧(Vth)のバラツキ化を大幅に低減できる。また、所定値以上のゲート電圧をゲート電極33に印加したときに、アンドープGaN層3とアンドープAlGaN層4の界面9にキャリアが発生するので窒化物半導体装置80を低オン抵抗化することができる。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の実施例2に係る窒化物半導体装置について、図面を参照して説明する。図7は窒化物半導体装置を示す断面図である。本実施例では、GaN層をP型にして閾値電圧(Vth)を大きく設定している。
【0035】
以下、実施例1と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0036】
図7に示すように、窒化物半導体装置81では、バッファ層2の第1主面(表面)上にはP型GaN層21が設けられる。積層部7の領域には、P型GaN層21の突起部51、アンドープAlGaN層4がリセスエッチングされたアンドープAlGaN層4a、絶縁膜5、ゲート絶縁膜6、ゲート電極33が積層形成される。窒化物半導体装置81は、エンハンスメント型GaN HFET(Heterojunction FET)である。窒化物半導体装置81は、高耐圧(例えば、100〜1000V)で、高出力のスイッチング素子に適用される。
【0037】
アンドープGaN層の代わりにP型GaN層21を用いると、窒化物半導体装置81の閾値電圧(Vth)を実施例1よりも大きく設定できる。窒化物半導体装置81の閾値電圧(Vth)を、例えば+3V以上に設定できると、電力変換回路等の電力制御分野で要求される仕様規格を満足することが可能となる。
【0038】
次に、窒化物半導体装置のDC特性について図8及び図9を参照して説明する。図8は積層部幅と閾値電圧(Vth)の関係を示す図、図中実線(a)は本実施例の関係図、図中破線(b)は比較例の関係図である。図9は閾値電圧(Vth)のバラツキを示す図、図中ヒストグラム(a)は本実施例の分布図、図中ヒストグラム(b)は比較例の分布図である。
【0039】
図8に示すように、実線(a)で示す本実施例の窒化物半導体装置81では、積層部幅W1が変化しても窒化物半導体装置81の閾値電圧(Vth)の変化が非常に少なく、しかも閾値電圧(Vth)の値をプラスに維持することできる。具体的には、積層部幅W1が40nm乃至2000nmの範囲で閾値電圧(Vth)を+3V以上にすることができる。なお、図示していないが積層部幅W1が40nm以下の領域では閾値電圧(Vth)が+4V以上となる。また、積層部幅W1が数μmになっても閾値電圧(Vth)の値がマイナスにはならない。
【0040】
一方、破線(b)で示す比較例の窒化物半導体装置では、閾値電圧(Vth)の変化が非常に大きく、閾値電圧(Vth)の値をプラスに維持する領域が非常に狭い。具体的には、積層部幅W1が90nm以下の領域で閾値電圧(Vth)の値をプラスにできる。積層部幅W1が90nmより大きな領域では閾値電圧(Vth)の値がマイナスとなる。
【0041】
図9に示すように、例えば積層部幅W1が80nmの場合、図中ヒストグラム(b)で示す比較例の窒化物半導体装置では、閾値電圧(Vth)の平均値が+0.5Vで所定の規格である+3Vを満足することができず、しかもバラツキの指標としての標準偏差(σ)が0.77と大きく、閾値電圧(Vth)のバラツキが非常に大きくなる。この結果は、リセス用マスク形成、リセスエッチング等のプロセス条件に対して閾値電圧(Vth)のマージンを大きく設定することができないことを示している。
【0042】
一方、例えば積層部幅W1が80nmの場合、図中ヒストグラム(a)で示す本実施例の窒化物半導体装置81では、閾値電圧(Vth)の平均値が+3.82Vで所定の規格である+3Vを満足し、しかもバラツキの指標としての標準偏差(σ)が0.068と非常に小さく、全ての値が所定の規格である+3Vを満足している。この結果は、リセス用マスク形成、リセスエッチング等のプロセス条件に対してプロセスマージンを大きく設定できることを示している。
【0043】
上述したように、本実施例の窒化物半導体装置では、シリコン基板1上のバッファ層2、P型GaN層21、及びアンドープAlGaN層4はMOCVD法により形成される。P型GaN層21の突起部51は、P型GaN層21の上部を第2のリセスエッチングにより形成される。突起部51上には、上部が第1のリセスエッチングにより形成されたアンドープAlGaN層4aが設けられる。積層部7は、P型GaN層21の突起部51、アンドープAlGaN層4a、及び絶縁膜5から構成される。トレンチ部8は、絶縁膜5、アンドープAlGaN層4a、及びP型GaN層21表面がリセスエッチングされたものである。積層部7及びトレンチ部8上にはゲート絶縁膜6が設けられる。ゲート絶縁膜6上には、トレンチ部8を覆うようにゲート電極33が設けられる。絶縁膜5はゲート絶縁膜6よりも膜厚が厚く設定されている。
【0044】
このため、窒化物半導体装置81の閾値電圧(Vth)の値を電力制御分野で要求されるプラスの値に保ちながら、閾値電圧(Vth)のバラツキ化を大幅に低減できる。また、所定値以上のデート電圧をゲート電極33に印加したときに、アンドープGaN層3とアンドープAlGaN層4の界面9にキャリアが発生するので窒化物半導体装置81を低オン抵抗化することができる。
【実施例3】
【0045】
次に、本発明の実施例3に係る窒化物半導体装置について、図面を参照して説明する。図10は窒化物半導体装置を示す平面図、図11は図10のD−D線に沿う窒化物半導体装置の断面図である。本実施例では、積層部上にゲート電極を設けていない。
【0046】
以下、実施例2と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0047】
図10に示すように、窒化物半導体装置82には、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33a、及び素子領域34が設けられる。窒化物半導体装置82は、エンハンスメント型GaN HFET(Heterojunction FET)である。窒化物半導体装置82は、高耐圧(例えば、100〜1000V)で、高出力のスイッチング素子に適用される。HFETは、ヘテロ接合電界効果トランジスタと呼称される。
【0048】
ゲート電極33aは、リセス領域(第2のリセス領域)42及び素子領域34上に設けられる。ゲート電極33aは、リセス領域(第1のリセス領域)41上には設けられない。窒化物半導体装置82は、リセス領域(第2のリセス領域)42とリセス領域(第1のリセス領域)41を設けることにより、エンハンメント化(ノマリーオフ化)している。
【0049】
図11に示すように、窒化物半導体装置82では、トレンチ部8にゲート電極33aが埋設される。ここでは、ゲート電極33aの表面部の高さがゲート絶縁膜5の高さと略同一に設定される。埋設された複数のゲート電極は、上部に設けられるゲート電極(図示せず)により束ねられる。
【0050】
上述したように、本実施例の窒化物半導体装置では、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33a、及び素子領域34が設けられる。シリコン基板1上のバッファ層2、アンドープGaN層3、及びアンドープAlGaN層4はMOCVD法により形成される。アンドープGaN層3の突起部51は、アンドープGaN層3の上部を第2のリセスエッチングにより形成される。突起部51上には、上部が第1のリセスエッチングにより形成されたアンドープAlGaN層4aが設けられる。積層部7は、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4a、及び絶縁膜5から構成される。トレンチ部8は、絶縁膜5、アンドープAlGaN層4a、及びアンドープGaN層3表面がリセスエッチングされたものである。積層部7及びトレンチ部8上にはゲート絶縁膜6が設けられる。ゲート絶縁膜6上にはトレンチ部8を覆うようにゲート電極33が埋設され、積層部7上にはゲート電極33が設けられない。埋設された複数のゲート電極は、上部に設けられるゲート電極(図示せず)により束ねられる。絶縁膜5はゲート絶縁膜6よりも膜厚が厚く設定されている。
【0051】
このため、窒化物半導体装置82の閾値電圧(Vth)の値をプラスに保ちながら、閾値電圧(Vth)のバラツキ化を大幅に低減できる。また、所定値以上のデート電圧をゲート電極33aに印加したときに、アンドープGaN層3とアンドープAlGaN層4の界面9にキャリアが発生するので窒化物半導体装置82を低オン抵抗化することができる。
【0052】
なお、本実施例では、アンドープAlGaN層4a上にゲート絶縁膜6よりも膜厚の厚い絶縁膜5を形成しているが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。例えば、アンドープAlGaN層4a上の絶縁膜5を省いてもよい。また、トレンチ部8に積層部7のゲート絶縁膜5と同じ高さまでゲート電極33aを埋設しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ゲート電極33aをアンドープAlGaN層4aと同じ高さまで埋設してもよい。
【実施例4】
【0053】
次に、本発明の実施例4に係る窒化物半導体装置について、図面を参照して説明する。図12は窒化物半導体装置を示す平面図、図13は図12のE−E線に沿う窒化物半導体装置の断面図、図14は図12のF−F線に沿う窒化物半導体装置の断面図である。本実施例では、AlGaN層上にInGaN層を設けてGaN系HFETの閾値電圧をエンハンメント化している。
【0054】
以下、実施例1と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0055】
図12に示すように、窒化物半導体装置83には、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33b、及び素子領域34が設けられる。窒化物半導体装置83は、エンハンスメント型GaN HFET(Heterojunction FET)である。窒化物半導体装置83は、高耐圧(例えば、100〜1000V)で、高出力のスイッチング素子に適用される。
【0056】
ゲート電極33b直下には、矩形状の非リセス領域43と、矩形状で、横方向寸法が非リセス領域43よりも長く、長端部側が非リセス領域43よりもせり出す構造を有するリセス領域44が設けられる。リセス領域44は、図中上端部及び下端部に配置される。非リセス領域43とリセス領域44は、図中上下方向に交互に周期的に配置される。ストライプ状の非リセス領域43は、端部が非リセス領域43よりもせり出したストライプ状のリセス領域44が両側に配置されている。このような構造を有するリセス領域44を配置することにより、活性領域となる非リセス領域43間の相互干渉を抑制することができる。
【0057】
窒化物半導体装置83では、ゲート電極33直下に非リセス領域43とリセス領域44を設けることにより、エンハンメント化している(詳細は後述する)。ここで、リセス領域44は、例えばBClプラズマを用いたRIE法で素子領域34を垂直にエッチングして形成される。
【0058】
図13に示すように、窒化物半導体装置83では、半導体基板であるシリコン基板1の第1主面(表面)上にバッファ層2が設けられる。バッファ層2の第1主面(表面)上にはアンドープGaN層3が設けられる。積層部7bの領域には、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4、アンドープInGaN層22、絶縁膜5、ゲート絶縁膜6、ゲート電極33bが積層形成される。
【0059】
ここで、図12に示す非リセス領域43は、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4、アンドープInGaN層22、及び絶縁膜5から構成され、積層部幅W1を有する積層部7bに対応する。図12に示すリセス領域44は、絶縁膜5、アンドープInGaN層22、アンドープAlGaN層4、及びアンドープGaN層3表面が垂直にリセスエッチングされ、トレンチ幅W2を有するトレンチ部8bに対応する。
【0060】
積層部7b及びトレンチ部8b上にはゲート絶縁膜6が設けられる。ゲート絶縁膜6上には、トレンチ部8bを覆うようにゲート電極33bが設けられる。アンドープInGaN層4は、例えばMOCVD法を用いて形成される。
【0061】
図14に示すように、非リセス領域43では、シリコン基板1の第1主面(表面)上にバッファ層2、アンドープGaN層3、アンドープAlGaN層4、アンドープInGaN層22、絶縁膜5、ゲート絶縁膜6、及びゲート電極33bが積層形成される。ゲートストライプ方向での非リセス領域43の両端部では、シリコン基板1の第1主面(表面)上にバッファ層2、アンドープGaN層3、アンドープAlGaN層4、絶縁膜5、ゲート絶縁膜6、及びゲート電極33bが積層形成される。
【0062】
アンドープAlGaN層4上に設けられるアンドープInGaN層22は、アンドープAlGaN層4とは逆方向の歪みを発生させる。アンドープInGaN層22の厚さは、ゲート電圧が印加していないときに、アンドープAlGaN層4とアンドープGaN層3の界面9で発生する2次元電子ガス(2DEG two dimensional electron gas)が消失するように設定されている。
【0063】
このため、ゲート電極33bに比較的値の小さい正の電圧が印加されると、界面10には反転チャネル層が発生し、トランジスタがオン状態となる。このとき、積層部7bの上部にゲート絶縁膜6よりも膜厚の厚い絶縁膜5を設けているので、ゲート電極33bから与えられる電圧の影響は受けないので界面9にはキャリアが発生しない。その後、ゲート電圧の値が上昇するにつれて、積層部7bの側面からゲート電極33bの電位の影響を受けて界面9にもキャリアが発生する。界面9は良好なエピタキシャル界面であるため、移動度が高く、従って、界面9にキャリアが発生するゲート電圧以上の電圧をゲート電極33bに与えることで、窒化物半導体装置83ではオン抵抗を大きく低下させることができる。
【0064】
なお、本実施例では、アンドープGaN層3を用いているが、閾値をコントロールするために、p型もしくはn型ドーパントをドーピングしてもよい。また、ゲート電極33aを積層部7b上には設けずにトレンチ部8bに埋設してもよい。
【0065】
上述したように、本実施例の窒化物半導体装置では、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極33b、及び素子領域34が設けられる。シリコン基板1上のバッファ層2、アンドープGaN層3、及びアンドープAlGaN層4、及びアンドープInGaN層22はMOCVD法により形成される。アンドープGaN層3の突起部51は、アンドープGaN層3の上部をリセスエッチングにより形成される。突起部51上には、アンドープAlGaN層4及びアンドープInGaN層22が設けられる。積層部7bは、アンドープGaN層3の突起部51、アンドープAlGaN層4、アンドープInGaN層22、及び絶縁膜5から構成される。トレンチ部bは、絶縁膜5、アンドープInGaN層22、アンドープAlGaN層4、及びアンドープGaN層3表面がリセスエッチングされたものである。積層部7b及びトレンチ部8b上にはゲート絶縁膜6が設けられる。ゲート絶縁膜6上には、トレンチ部8を覆うようにゲート電極33bが設けられる。アンドープInGaN層22は、アンドープAlGaN層4とは逆方向の歪みを発生させる。絶縁膜5はゲート絶縁膜6よりも膜厚が厚く設定されている。
【0066】
このため、窒化物半導体装置83の閾値電圧(Vth)の値をプラスに保ちながら、閾値電圧(Vth)のバラツキ化を大幅に低減できる。また、所定値以上のデート電圧をゲート電極33bに印加したときに、アンドープGaN層3とアンドープAlGaN層4の界面9にキャリアが発生するので窒化物半導体装置83を低オン抵抗化することができる。
【0067】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々、変更してもよい。
【0068】
実施例では、エンハンスメント型GaN系HFETを高耐圧パワーデバイスに適用しているが、マイクロ波やミリ波用などの高周波デバイスにも適用することができる。また、電流コラプス低減や高耐圧化を図るためにエンハンスメント型GaN系HFETにデユアルフィールドプレート構造を採用してもよい。デユアルフィールドプレート構造とはゲート電極をドレイン側に延在させ、ゲート電極を跨いでソース電極をドレイン側に延在させたものである。
【0069】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) 半導体基板と、前記半導体基板上に設けられるバッファ層と、前記バッファ層上に設けられるGaN層と、前記GaN層上に設けられるAlGaN層と、前記GaN層の上部に周囲がリセスエッチングされ、リセスエッチングされずに残置された突起部と、上部がリセスエッチングされ、前記突起部上に設けられるAlGaN層と、前記突起部上に前記上部がリセスエッチングされたAlGaN層を介して設けられる絶縁膜とが積層形成されるストライプ状の積層部と、前記積層部の両側に配置され、上部がリセスエッチングされた前記AlGaN層がストライプ方向でリセスエッチングされ、前記GaN層表面が露呈されるストライプ状のトレンチ部と、前記積層部の周囲及び前記トレンチ部上に設けられ、前記絶縁膜よりも膜厚が薄いゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、前記ゲート電極を挟んで相対向するように配置されるソース電極及びドレイン電極とを具備し、エンハンスメント型電界効果トランジスタである窒化物半導体装置。
【0070】
(付記2) 前記絶縁膜は、シリコン酸化膜(SiO膜)或いはSiOC膜であり、前記ゲート絶縁膜がシリコン窒化膜(SiN膜)、タンタル酸化膜(Ta膜)、ハフニウム酸化膜(HfO膜)、或いはアルミナ膜(Al膜)である付記1に記載の窒化物半導体装置。
【0071】
(付記3) 前記半導体基板はシリコン基板であり、前記バッファ層はAlN層とGaN層が繰り返し積層される積層膜である付記1又は2に記載の窒化物半導体装置。
【0072】
(付記4) 前記GaN層はアンドープGaN層であり、前記AlGaN層はアンドープAlGaN層である付記1乃至3のいずれかに記載の窒化物半導体装置。
【0073】
(付記5) 前記GaN層はP型GaN層であり、前記AlGaN層はアンドープAlGaN層である付記1乃至3のいずれかに記載の窒化物半導体装置。
【0074】
(付記6) 前記積層部と前記トレンチ部は、前記ソース電極と前記ドレイン電極が配置される方向に対して垂直方向に繰り返し複数配置される付記1乃至5のいずれかに記載の窒化物半導体装置。
【符号の説明】
【0075】
1 シリコン基板
2 バッファ層
3 アンドープGaN層
4、4a アンドープAlGaN層
5 絶縁膜
6 ゲート絶縁膜
7、7a、7b 積層部
8、8b トレンチ部
9、10 界面
21 P型GaN層
22 アンドープInGaN層
31 ソース電極
32 ドレイン電極
33、33a、33b ゲート電極
34 素子領域
41、42、44 リセス領域
43 非リセス領域
51 突起部
80〜83、90 窒化物半導体装置
T1、T2 膜厚
W1 積層部幅
W2 トレンチ幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に、直接或いはバッファ層を介して設けられる第1の窒化物半導体層と、
前記第1の窒化物半導体層上に設けられる第2の窒化物半導体層と、
前記第1の窒化物半導体層の上部に周囲がリセスエッチングされ、リセスエッチングされずに残置された突起部と、上部がリセスエッチングされ、前記突起部上に設けられる第2の窒化物半導体層と、前記突起部上に前記上部がリセスエッチングされた第2の窒化物半導体層を介して設けられる絶縁膜とが積層形成されるストライプ状の積層部と、
前記積層部の両側に配置され、上部がリセスエッチングされた前記第2の窒化物半導体層がストライプ方向でリセスエッチングされ、前記第1の窒化物半導体層表面が露呈されるストライプ状のトレンチ部と、
前記積層部の側面と前記積層部及び前記トレンチ部上に設けられ、前記絶縁膜よりも膜厚が薄いゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、
前記ゲート電極を挟んで相対向するように配置されるソース電極及びドレイン電極と、
を具備することを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板上に、直接或いはバッファ層を介して設けられる第1の窒化物半導体層と、
前記第1の窒化物半導体層上に設けられる第2の窒化物半導体層と、
前記第1の窒化物半導体層の上部に周囲がリセスエッチングされ、リセスエッチングされずに残置された突起部と、上部がリセスエッチングされ、前記突起部上に設けられる第2の窒化物半導体層と、前記突起部上に前記上部がリセスエッチングされた第2の窒化物半導体層を介して設けられる絶縁膜とが積層形成されるストライプ状の積層部と、
前記積層部の両側に配置され、上部がリセスエッチングされた前記第2の窒化物半導体層がストライプ方向でリセスエッチングされ、前記第1の窒化物半導体層表面が露呈されるトレンチ部と、
前記積層部の側面と前記積層部及び前記トレンチ部上に設けられるゲート絶縁膜と、
前記トレンチ部に前記ゲート絶縁膜を介して埋設されるゲート電極と、
前記ゲート電極を挟んで相対向するように配置されるソース電極及びドレイン電極と、
を具備することを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記第1の窒化物半導体層はGaN層であり、前記第2の窒化物半導体層はAlGaN層であり、エンハンメント型電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板上に、直接或いはバッファ層を介して設けられる第1の窒化物半導体層と、
前記第1の窒化物半導体層上に設けられる第2の窒化物半導体層と、
前記第2の窒化物半導体層上に設けられる第3の窒化物半導体層と、
前記第1の窒化物半導体層の上部に周囲がリセスエッチングされ、リセスエッチングされずに残置された突起部と、前記突起部上の第2の窒化物半導体層と、前記突起部上に前記第2の窒化物半導体層を介して設けられる前記第3の窒化物半導体層と、及び前記突起部上に前記第2及び第3の窒化物半導体層を介して設けられる絶縁膜とが積層形成されるストライプ状の積層部と、
前記積層部の両側に配置され、前記第2及び第3の窒化物半導体層がストライプ方向でリセスエッチングされ、前記第1の窒化物半導体層表面が露呈されるストライプ状のトレンチ部と、
前記積層部の側面と前記積層部及び前記トレンチ部上に設けられ、前記絶縁膜よりも膜厚が薄いゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、
前記ゲート電極を挟んで相対向するように配置されるソース電極及びドレイン電極と、
を具備することを特徴とする窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記第1の窒化物半導体層はGaN層であり、前記第2の窒化物半導体層はAlGaN層であり、前記第3の窒化物半導体層はInGaN層であり、エンハンメント型電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−176195(P2011−176195A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40079(P2010−40079)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】