説明

薄膜製造方法及び薄膜製造装置

薄膜製造方法が提供される。基板チャンバ内に提供される。チャンバ内に第1反応ガス及び第2反応ガスが供給される。第1反応ガスが解離されて結晶性ナノ粒子を形成する。第2反応ガスを利用して基板上に非結晶性物質の形成が抑制される。そして、基板上に提供された結晶性ナノ粒子から結晶性薄膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜製造方法及び薄膜製造装置に係り、さらに詳細には、結晶性ナノ粒子から結晶性薄膜を形成する薄膜製造方法及び薄膜製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の場合、結晶化されたシリコン膜を得るためには、一例として、プラズマ化学気相蒸着(PECVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)、熱線化学気相蒸着(HFCVD:hot filament chemical vapor depositionまたはHWCVD:hot wire chemical vapor deposition)などを含む化学気相蒸着方法を利用し、非晶質シリコンを基板に蒸着した後、固相結晶化(SPC:solid phase crystallization)、金属誘導側面結晶化(MILC:metal induced lateral crystallization)、エキシマレーザ結晶化(excimer laser crystallization)などの方法を利用し、高温で長時間再結晶化過程を経たり、または触媒を利用したり、エキシマレーザを利用したりして、表面を瞬間的に結晶化させる方法が利用された。
【0003】
このように、膜蒸着及び結晶化の2段階を経る蒸着方法は、工程が複雑となりうる。具体的には、長時間の熱処理時間が必要であるので、工程速度が遅くなり、高温で長時間熱処理を行うので、高温で耐えることができる材料からなる基板を使用しなければならないという困難さがある。また、触媒を利用する場合、蒸着された膜に不純物が残り、エキシマレーザを利用する場合、工程を行うのに高価の装備が必要であるという困難さがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、別途の後熱処理または脱水素工程なしに、高品位結晶性薄膜を蒸着できる薄膜製造方法を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、別途の後熱処理または脱水素工程なしに、高品位結晶性薄膜を蒸着できる薄膜製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために本発明の一態様による薄膜製造方法が提供される。前記薄膜製造方法において、まず、チャンバ内に基板を提供する。前記チャンバ内に、第1反応ガス及び第2反応ガスを供給する。そして、前記第1反応ガスを解離し、結晶性ナノ粒子を形成する。前記第2反応ガスを利用し、前記基板上に非結晶性物質の形成を抑制する。そして、前記基板上に提供された前記結晶性ナノ粒子から、結晶性薄膜を形成する。
【0007】
一実施例によれば、前記結晶性ナノ粒子は、形成される前記結晶性ナノ粒子の類型によって、負電荷または正電荷を有するように荷電されうる。
【0008】
他の実施例によれば、前記基板に電場を形成し、前記荷電結晶性ナノ粒子を前記基板へ誘導できる。
【0009】
さらに他の実施例によれば、前記第2反応ガスを利用し、前記基板上に前記非結晶性物質が成長することを抑制したり、またはすでに成長した非結晶性物質をエッチングできる。
【0010】
さらに他の実施例によれば、前記結晶性薄膜の結晶度を、供給される前記第1反応ガスと第2反応ガスとの比率によって決定できる。
【0011】
前記技術的課題をなすための本発明の他の態様による薄膜製造装置は、内部に基板が装入されるチャンバと、前記チャンバ内に第1反応ガスを供給する第1ガス供給装置と、前記第1反応ガスを解離させて結晶性ナノ粒子を形成するエネルギー源と、前記基板上で非結晶性物質の形成を抑制する第2反応ガスを提供する第2ガス供給装置とを含む。
【0012】
一実施例によれば、前記エネルギー源は、前記第1ガス供給装置と前記基板との間に設けられた熱線構造体を含む。
【0013】
他の実施例によれば、前記薄膜製造装置は、前記基板上部に開閉可能に設けられ、前記第1反応ガスまたは前記エネルギー源から放出される熱を基板に対して遮断する基板遮断部をさらに含むことができる。
【0014】
さらに他の実施例により、前記薄膜製造装置は、前記基板と連結されて前記基板に電場を形成させるバイアス印加部をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、別途の後熱処理工程または脱水素工程なしにも、高品位結晶性薄膜の蒸着が可能である。このように、後熱処理工程または脱水素工程の省略によって、工程時間及び製作コストを節約できる。基板と離隔された熱線構造体で反応ガスの解離がなされるので、基板上で低温工程が可能である。従って、工程温度に拘束されずに、多様な形態の基板を使用できる。
【0016】
そして、本発明によれば、製造される薄膜の結晶度を、供給される反応ガスの比率によって異なって調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置を概略的に図示した図面である。
【図2】本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置を概略的に図示した図面である。
【図3】本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置を概略的に図示した図面である。
【図4】本発明の一実施例による薄膜蒸着の機構を説明する概念図である。
【図5】本発明の一実施例による薄膜製造方法の各段階を図示するフローチャートである。
【図6】塩素(Cl)を含む雰囲気でのシリコン過飽和度をシミュレーションで摸写した結果を示したグラフである。
【図7】本発明の一実施例において、塩化水素ガスの流量によって異なって蒸着された薄膜をラマン分光器で測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施例についてさらに詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明される実施例に限定されるものではなく、他の形態で具体化され得る。ただ、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底して完全になりうるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝えられるように、提供されるものである。図面で、さまざまな装置、層(または膜)及び領域を明確に表現するために、前記装置、層(または膜)及び領域の幅や厚さを拡大して示した。全体的に、図面の説明時に、観察者の視点から説明し、装置が他の装置または基板上に位置すると言及される場合、他の装置または基板上にじかに位置したり、またはそれらの間に追加的な装置が介在されてもよい。また、当該分野で当業者であるならば、本発明の技術的思想を外れない範囲内で、本発明を多様な他の形態で具現できるであろう。そして、複数の図面上の同一符号は、同じ要素を指す。
【0019】
図1は、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置を概略的に図示した図面である。図1を参照すれば、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、基板Sが装入されるチャンバ110、チャンバ110内に第1反応ガスを供給する第1ガス供給装置120、前記第1反応ガスを解離させて結晶性ナノ粒子を形成するエネルギー源131、及び前記基板S上で非結晶性物質の形成を抑制する第2反応ガスを供給する第2ガス供給装置150を含む。薄膜蒸着装置100は、基板Sを支持する基板支持台140、前記基板Sに電場を形成するバイアス印加部190及び前記基板S上部に、開閉可能に設けられた基板遮断部14をさらに含むことができる。
【0020】
チャンバ110は、真空排気系Vと連通され、図示されていないが、基板Sを装入/搬出できるようにする基板出入口を含むことができる。
【0021】
第1ガス供給装置120がチャンバ110の上部に配される。図示されているように、第1実施例で第1ガス供給装置120は、シャワーヘッド120でありうる。シャワーヘッド120は、チャンバ110の上部に配され、チャンバ110内部に、前記第1反応ガスを供給する。シャワーヘッド120は、ガス流入口121及びガス噴出口123を含む。
【0022】
前記第1反応ガスは、チャンバ110外部からガス流入口121を介してシャワーヘッド120に流入され、ガス噴出口123を介してチャンバ110内部に提供される。
【0023】
一実施例によれば、前記第1反応ガスは、前記基板S上に実質的に形成される薄膜の元素を含むことができる。
【0024】
一実施例によれば、シリコン薄膜を形成する場合、前記第1反応ガスは、Sin2n+2(ここで、nは自然数)で表示されるシラン系化合物を主体とするガスを含むことができる。例えば、前記第1反応ガスは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、テトラシランなどを含むことができ、望ましくは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、またはこれを含んだ混合ガスを含むことができる。他の実施例によれば、前記第1反応ガスは、Sin2n+2-mm(ここで、n,mは自然数であり、m<2n+2であり、mは0も含むことができる)で表示されるフッ化シラン、例えば、SiH3F、SiH22、SiHF3、SiF4、Si26、Si2HF5、Si38;Sin2n+2-mmで表示される有機シラン、例えば、Si(CH3)H3、Si(CH322、Si(CH33Hなど、またはこれらの化合物や混合物を含むことができる。
【0025】
他の実施例によれば、ゲルマニウム薄膜を形成する場合、前記第1反応ガスは、Gen2n+2で表示されるゲルマニウムガス、例えば、GeH4、Ge26;Gen2n+2-mmで表示されるフッ化ゲルマニウムガス、例えば、GeF4など、またはこれらの化合物や混合物を含むことができる。
【0026】
さらに他の実施例によれば、炭素薄膜や炭素ナノチューブまたはナノワイヤを蒸着する場合、前記第1反応ガスは、炭化水素ガス、例えば、CH4、C26、C38、C24、C22などや、それ以外の炭化水素化合物を含むことができる。
【0027】
さらに他の実施例によれば、前記第1反応ガスとして、前述の前記ガスは、単独で使われもするが、フッ素、塩素のような反応性があるガス;ドーパントであるIII族元素を含有したガス、例えば、B26、B(CH33など;ドーパントであるV族元素を含有したガス、例えば、PH3など;ヘリウム、アルゴン、ネオンのような不活性ガス;水素及び窒素のような別途のガスがさらに導入されて共に使われうる。前記さらに導入になるガスは、前記シャワーヘッド120を介して、前記第1反応ガスと混合して提供されたり、別途のガス供給装置(図示せず)を介して第1反応ガスと分離されてチャンバ110に供給されうる。
【0028】
一実施例によれば、前記第1反応ガスは、ガス形態、または液体ソースを気化させた蒸気の形態でチャンバ110内部に提供されうる。前記第1反応ガスが液体ソースを気化させた蒸気の形態で提供される場合、前記蒸気をチャンバ110の内部に運搬する運搬ガス(carrier gas)が付加的に使われうる。前記運搬ガスの例としては、水素、窒素、ヘリウム、アルゴンなど、非反応性ガスが使われうる。
【0029】
エネルギー源131がシャワーヘッド120の下部に配される。第1実施例でエネルギー源131は、熱線構造体131でありうる。熱線構造体131は、タングステン(W)のような金属を含むことができ、格子型、フィラメント型のような形状を有することができる。熱線構造体131は、電流が印加される場合、電気抵抗によって熱を発生させる。熱線構造体131で発生する熱は、シャワーヘッド120から提供される前記第1反応ガスを化学的に解離させる。熱線構造体131は、前記第1反応ガス内の構成元素間の結合を解離させることができるほどに十分な熱を発生させるように調節できる。
【0030】
一実施例によれば、前記第1反応ガスが前記基板S上に実質的に形成される薄膜の元素を含む場合、熱線構造体131は、前記第1反応ガスを解離させ、前記結晶性ナノ粒子を形成できる。
【0031】
基板Sは、基板支持台140上に配されうる。基板Sの材質は、導電性物質、非導電性物質及び高分子物質のうちいずれか一つでありうる。例えば、基板Sは、金属基板、高分子基板または金属酸化物基板でありうる。
【0032】
基板支持台140は、チャンバ110の下部で、シャワーヘッド120と対向するように位置できる。図示されているように、基板支持台140は、基板Sを支持する載置部141、及び基板Sを回転または上下動させうる支持部142を含むことができる。基板支持台140は、載置部141に載置された基板Sを加熱できる加熱手段(図示せず)、基板または載置部141の温度を測定できる熱電対、及び前記加熱手段を冷却するための冷却手段を含むことができる。
【0033】
基板遮断部14が基板支持台140上に配されうる。基板遮断部14は、回転または併進(translational)の移動によって、基板S上に配されたり、基板Sから退去可能なように構成されうる。また、基板遮断部14は、基板S及びシャワーヘッド120、または基板S及び熱線構造体131間を遮断し、基板Sがシャワーヘッド120または熱線構造体131に露出されないように、開閉可能に構成されうる。従って、基板遮断部14は、シャワーヘッド120から提供される前記第1反応ガスの前記基板S上への流入を選択的に調節できる。また、基板遮断部14は、熱線構造体131から放出される熱が基板に作用することを選択的に遮断できる。かような基板遮断部14を利用することによって、基板S上に蒸着される薄膜の厚さを制御でき、工程初期に正常状態に至っていない前記第1反応ガスの基板S上への蒸着を遮断できる。基板遮断部14は、上下動可能であるように構成され、基板遮断部14の高さを調節できる。上下動可能な基板支持台140の構造によって、基板Sとシャワーヘッド120との間隔Dが調節され、基板Sと熱線構造体131との間隔d1も調節可能である。シャワーヘッド120と熱線構造体131との間隔d2を調節するために、シャワーヘッド120または熱線構造体131が上下動が可能である。間隔d1,d2,Dは、チャンバ110内の圧力などによって変更され、基板Sに伝達される熱量、蒸着される薄膜の蒸着速度によって調節されうる。
【0034】
バイアス印加部190がチャンバ110の下部に配される。バイアス印加部190は、載置部141に載置された基板Sにバイアスを印加して基板Sに電場を形成できる。一実施例によれば、基板Sに形成された前記電場は、前記第1反応ガスが解離されて形成された結晶性ナノ粒子がチャンバ110内で荷電される場合、前記荷電結晶性ナノ粒子を基板S方向に誘導できる。この場合、前記荷電結晶性ナノ粒子は、相対的に大きい流速(flux)で基板Sに達しうる。その結果、前記荷電結晶性ナノ粒子から形成される薄膜は、基板Sとの密着力が増加し、前記薄膜の蒸着速度が増大しうる。そして、蒸着された前記薄膜の結晶化度が上昇しうる
第2ガス供給装置150がチャンバ110内に配される。第2ガス供給装置は、外部から第2反応ガスを流入して基板S上に供給する。一実施例によれば、第2ガス供給装置150は、間隔d1に第2反応ガスを噴出できるように配されうる。一実施例によれば、前記第2反応ガスは、ガス形態、または液体ソースを気化させた蒸気の形態でチャンバ110内部に提供されうる。一実施例によれば、前記第2反応ガスは、基板S上に結晶性薄膜が形成される間、気相から非結晶性物質が前記基板S上に形成されることを抑制するように基板S上で作用できる。前記第2反応ガスは、一例として、塩化水素のような17族元素を含む化合物ガスを含むことができる。第2反応ガスは、Cl系、F系のような反応性の強い元素を含むことができる。
【0035】
一実施例によれば、前記第2反応ガスとして、前述の前記化合物ガスは、単独で使われうるが、ドーパントであるIII族元素を含有したガス、例えば、B26、B(CH33など;V族元素を含有したガス、例えば、PH3など;ヘリウム、アルゴン、ネオンのような不活性ガス;水素及び窒素のようなガスがさらに導入されて共に使われうる。前記さらに導入されるガスは、第2ガス供給装置150を介して、前記第2反応ガスと混合して提供されたり、別途のガス供給装置(図示せず)を介して、第2反応ガスと分離されてチャンバ110に供給されうる。
【0036】
一実施例によれば、前記第2反応ガスが液体ソースを気化させた蒸気の形態で提供される場合、前記蒸気をチャンバ110の内部に運搬する運搬ガス(carrier gas)が付加的に使われうる。前記運搬ガスの例としては、水素、窒素、ヘリウム、アルゴンなど、非反応性ガスが使われうる。
【0037】
前述の薄膜蒸着装置100で、第1反応ガスは、シャワーヘッド120を介してチャンバ110内に供給され、第2反応ガスは、第2ガス供給装置150によって、チャンバ110内に供給される構成を例示したが、それらに限定されるものではなく、第1反応ガスまたは第2反応ガスは、シャワーヘッド120または第2ガス供給装置150を介して、チャンバ110内に供給されうる。
【0038】
前述の本発明の第1実施例の薄膜蒸着装置100によれば、シャワーヘッド120から提供された第1反応ガスは、チャンバ110内で熱線構造体131によって解離され、結晶性ナノ粒子を形成できる。前記結晶性ナノ粒子は、チャンバ110内で前記結晶性ナノ粒子110の類型によって、負電荷または正電荷に荷電された後、バイアス印加部190によって形成された電場に沿って基板S上に誘導され、基板S上で結晶性薄膜として形成されうる。第2ガス供給装置150から提供された第2反応ガスは、前記結晶性薄膜が形成される間、基板S上で非結晶性物質が形成されることを防止できる。このように、形成しようとする薄膜の元素を含む前記第1反応ガスをあらかじめ気相で解離して結晶性ナノ粒子を形成することによって、前記結晶性ナノ粒子から結晶性薄膜を形成する工程が低温の基板上でなされうる。従って、ガラスまたは高分子基板など多様な形態の基板が使われうる。前記第2反応ガスは、前記第1反応ガスから非晶質物質が基板に形成されることを防止することによって、形成される前記結晶性薄膜の結晶度を上昇させることができる。
【0039】
図2は、本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置を概略的に図示した図面である。図2を参照すれば、本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置200は、基板240が装入されるチャンバ215、ガス供給装置220及びエネルギー源230を含む。薄膜蒸着装置200は、基板240に電場を形成するバイアス印加部290をさらに含むことができる。
【0040】
図示されたように、薄膜蒸着装置200は、水平の形態であり、チャンバ215にガスが水平に供給されて排気される。チャンバ215は、石英材質のチューブ形状でありうる。
【0041】
ガス供給装置220は、チャンバ215内に、第1反応ガスまたは第2反応ガスを供給できる。一実施例によれば、ガス供給装置220は、第1反応ガス及び第2反応ガスを別途の配管を介して、チャンバ215内に供給できる。他の実施例によれば、ガス供給装置220は、第1反応ガス及び第2反応ガスを混合した後に、同じ配管を介してチャンバ215内に供給できる。一実施例によれば、前記第1反応ガスは、基板240上に実質的に形成される薄膜の元素を含むことができる。一実施例によれば、前記第2反応ガスは、基板240上に結晶性薄膜が形成される間、非結晶性物質が基板240上に形成されることを抑制するように基板上に作用しうる。一実施例によれば、前記第1反応ガスまたは前記第2反応ガスは、ガス形態、または液体ソースを気化させた蒸気の形態でチャンバ215内部に提供されうる。
【0042】
エネルギー源230が基板240の周囲に配される。第2実施例でエネルギー源230は、発熱体230でありうる。発熱体230の材質は、グラファイト、シリコンなどを含むことができ、パイプ、板、コイルのような形態を有することができる。
【0043】
一実施例によれば、発熱体230は熱を放出し、基板240上に実質的に形成される薄膜の元素を含む前記第1反応ガスを解離させ、結晶性ナノ粒子を形成させることができる。
【0044】
バイアス印加部290がチャンバ215内に配される。一実施例によれば、バイアス印加部290は、基板240の上部に配された第1プレート270、第1プレート270に対向して基板240の下部に配された第2プレート275、第1プレート270にライン271で連結された接地装置280、及び第2プレート275にライン276で連結された電源285を含む。異なったものとしては、接地装置280が第2プレート275にライン276で連結され、電源285が第1プレート270にライン271で連結されてもよい。基板240は、第2プレート275の第1プレート270の対向面上に配され、第2プレート275には、基板240を載置するためのリセスが形成されうる。
【0045】
第1プレート270は、接地装置280によって接地連結され、第2プレート275は、電源285からの交流または直流の電圧を基板240の下部に印加できる。これにより、第1プレート270及び基板240間に電場が形成されうる。第1プレート270及び第2プレート275の材質は、一例として、金属の導電性材質でありうる。第1プレート270及び第2プレート275のサイズは、基板240の面積より大きく、サイズを蒸着の目的によって変更させることができる。電源285から基板240の下部に印加される電圧は、一例として、+1,000Vないし−1,000Vの範囲で、直流、周波数0.01Hzないし10kHzの交流または直流のパルス形態で印加できる。
【0046】
バイアス印加部290は、チャンバ215内で前記結晶性薄膜の元素を含むガスが解離されて形成される荷電結晶性ナノ粒子を、基板240側に誘導できる。この場合、前記荷電結晶性ナノ粒子は、相対的に大きい流速をもって基板に達しうる。その結果、前記荷電結晶性ナノ粒子から形成される薄膜は、基板240との密着力が増大し、前記薄膜の蒸着速度が増大しうる。そして、蒸着された薄膜の結晶化度が上昇しうる。一例として、印加される電場が交流またはパルス直流である場合、前記荷電結晶性ナノ粒子の基板240への到達による衝撃によって発生する基板240損傷を減少させることができる。前述のバイアス印加部290の構成は、第1実施例のバイアス印加部190に適用されうる。
【0047】
図3は、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置を概略的に図示した図面である。図3を参照すれば、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置300は、基板340が装入されるチャンバ315、ガス供給装置320及びエネルギー源330を含む。薄膜蒸着装置300は、基板340に電場を形成するバイアス印加部390をさらに含むことができる。
【0048】
図3に図示されたように、薄膜蒸着装置300は、垂直の形態であって、チャンバ315にガスが垂直に供給されて排気されるという点を除いては、薄膜蒸着装置300の構成要素は、第2実施例による薄膜蒸着装置200の構成要素と類似している。従って、前述の第2実施例と類似または同じ構成要素は、重複を避けるために説明を省略する。
【0049】
一実施例によれば、荷電結晶性ナノ粒子は、ガスの流動によって下方に移動していて、第1プレート370と接触しうる。従って、第1プレート370は、前記荷電結晶性ナノ粒子が通過可能なように、網状に製作されうる。前記網状のサイズ、形態及び設置位置は、蒸着させようとする目的によって変更が可能である。前述のバイアス印加部390の構成は、第1実施例のバイアス印加部190に適用されうる。
【0050】
本発明の一実施例による薄膜蒸着装置の例として、図1ないし図3と関連して、薄膜蒸着装置100、200、300を開示したが、本発明の一実施例による薄膜蒸着装置は、それらに限定されるものではなく、当業者に自明であるならば、多様な変形例が可能であり、一例として、プラズマ気相蒸着法または物理的気相蒸着法が適用されうる。
【0051】
以下、本発明の一実施例による薄膜蒸着方法について説明する。本発明の一実施例による薄膜蒸着方法は、「荷電ナノ粒子による薄膜蒸着機構理論(以下、荷電ナノ粒子理論)」に基づく。前記荷電ナノ粒子理論によれば、化学蒸着工程中に、気相で反応ガスが解離されて電気的に荷電ナノ粒子らまず生成され、このナノ粒子が基板に蒸着されて薄膜が成長する。このような荷電ナノ粒子理論は、Nong M.Hwang他,J.Crystal Growth206(1999)177-186;Nong M.Hwang,J.Crystal Growth204(1999)85-90;Nong M.Hwang.J.Crystal Growth 205(1999)59-63;Nong M.Hwang,J.Crystal Growth 198/199(1999)945-950;Nong-Moon Hwang他,Int.Mat.Rev.49(2004)49171-190;Nong-M.Hwangl他,J.Ceramic Processing Res.1(2000)34-44;Nong M.Hwang他,J.Crystal Growth 218(2000)33-39;Nong M.Hwang他,J.Crystal Growth 218(2000)40-44;Jn.-D.Jeon他,J.Crystal Growth 213(2000)79-82;Woo S.Cheong他,J.Crystal Growth 204(1999)52-61;S.-C.Lee,J.Crystal Growth 242(2002)463-470;Jin-YongKim他,Pure Appl.Chem.,vol. 78(2006)1715-1722;Jean-Ho Song他,Thin Solid Films 515(2007)7446-7450などに開示されている。
【0052】
図4は、本発明の一実施例による薄膜蒸着機構について説明する概念図である。図4では、一実施例として、結晶性シリコン膜の蒸着機構を図示しているが、、他のさまざまな類型の結晶性膜の形成にも、実質的に同一に適用されうる。
【0053】
図4を参照すれば、まずチャンバ内に、第1反応ガスとしてシラン(SiH4)が提供される。シランは、一例として、高温の熱線構造体131が提供した熱によって、気相でシリコン(Si)と水素(H)とに解離され、解離された前記気相のシリコンが、前記チャンバ内で過飽和になれば、シリコンは析出されうる。析出されるシリコンは、核生成及び成長し、気相でシリコンナノ粒子を形成できる。気相で形成されるシリコンナノ粒子は、前記チャンバの壁や他の粒子の表面と接触し、内部電荷を交換することによって荷電されうる。一方、前記シリコンナノ粒子は、高温の気相で結晶性ナノ粒子に容易に成長されうる。前記結晶性シリコンナノ粒子は、結晶性を有して基板に蒸着される。蒸着される前記結晶性シリコンナノ粒子は、結晶性薄膜を形成できるシード(seed)の役割を行える。また、前記結晶性シリコンナノ粒子は、荷電されているので、前記結晶性シリコンナノ粒子間、または前記結晶性シリコンナノ粒子と成長する表面間に、電気的相互作用を発生させ、その結果、前記結晶性シリコンナノ粒子は、規則的な配享を有し、前記基板の表面に蒸着されうる。その後、前記結晶性シリコンナノ粒子が基板に連続的に蒸着され、前記基板上に結晶性シリコン薄膜が形成されうる。
【0054】
一方、少なくとも、前記結晶性シリコンナノ粒子が前記基板に蒸着される間、第2反応ガス、一例として、塩化水素(HCl)が基板に供給されうる。塩化水素ガスは、前記基板上に形成される非結晶性物質、一例として、非結晶シリコンと反応し、Si+Cll、Si+Hm(ここで、l,mは、任意の整数)などを形成することによって、基板から非結晶シリコンを脱離、またはエッチングさせることができる。前記非結晶シリコンは、前記チャンバ内で前記結晶性ナノ粒子を形成できないシリコン原子を含むガスの反応基が基板と反応することによって、形成されうる。前記非結晶シリコンは、シリコン原子間で結合された前記結晶性ナノ粒子と比較し、比較的単原子、または単原子に近い群集体状態を維持するので、結晶性ナノ粒子より反応性がさらに大きくありえる。従って、前記塩化水素は、前記非結晶シリコンと優先的に反応することによって、前記基板から前記非結晶シリコンを除去できる。
【0055】
結果的に、前記荷電ナノ粒子理論による蒸着機構を適用することによって、前記結晶性シリコン薄膜を前記基板上に形成できる。前記結晶性シリコンナノ粒子は、気相で形成されるので、基板は、相対的に低温でありうる。従って、ガラスまたは高分子を含む低温基板を使用できる。
【0056】
図5は、本発明の一実施例による薄膜製造方法の各段階を図示するフローチャートである。図5を参照すれば、S510段階で、チャンバ内に基板が提供される。前記基板の材質は、導電性物質、非導電性物質及び高分子のうち、いずれか一つでありうる。例えば、基板Sは、金属基板、高分子基板または金属酸化物基板でありうる。
【0057】
その後、S520段階で、前記チャンバ内に、第1反応ガス及び第2反応ガスを供給する。一実施例によれば、前記第1反応ガスは、前記基板上に実質的に形成される薄膜の元素を含むことができる。前記第1反応ガスは、ガス形態、または液体ソースを気化させた蒸気の形態で、前記チャンバ内部に提供されうる。
【0058】
シリコン薄膜を形成する場合、一実施例によれば、前記第1反応ガスは、Sin2n+2(ここで、nは自然数)で表示されるシラン系化合物を主体とするガスを含むことができる。例えば、前記第1反応ガスは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、テトラシランなどを含むことができ、望ましくは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、またはこれらを含んだ混合ガスを含むことができる。他の実施例によれば、前記第1反応ガスは、Sin2n+2-mm(ここで、n,mは自然数であり、m<2n+2であり、mは0も含むことができる)で表示されるフッ化シラン、例えば、SiH3F、SiH22、SiHF3、SiF4、Si26、Si2HF5、Si38;Sin2n+2-mmで表示される有機シラン、例えば、Si(CH3)H3、Si(CH322、Si(CH33Hなど、またはこれらの化合物や混合物を含むことができる。
【0059】
ゲルマニウム薄膜を形成する場合、一実施例によれば、前記第1反応ガスは、Gen2n+2で表示されるゲルマニウムガス、例えば、GeH4、Ge26;Gen2n+2-mmで表示されるフッ化ゲルマニウムガス、例えば、GeF4などまたはこれらの化合物や混合物を含むことができる。
【0060】
炭素薄膜や炭素ナノチューブまたはナノワイヤを蒸着する場合、一実施例によれば、前記第1反応ガスは、炭化水素ガス、例えば、CH4、C26、C38、C24、C22などや、それ以外の炭化水素化合物を含むことができる。
【0061】
前記第1反応ガスとして、前述の前記ガスは単独で使われうるが、フッ素、塩素のような反応性のあるガス;ドーパントであるIII族元素を含有したガス、例えば、B26、B(CH33など;V族元素を含有したガス、例えば、PH3など;ヘリウム、アルゴン、ネオンのような不活性ガス;水素及び窒素のようなガスがさらに導入されて共に使われうる。
【0062】
第2反応ガスは、一例として、塩化水素のような17族元素を含む化合物ガスでありうる。第2反応ガスは、Cl系、F系のような反応性の強い元素を含むことができる。一実施例によれば、前記第2反応ガスとして、前述の前記化合物ガスは、単独で使われうるが、ドーパントであるIII族元素を含有したガス、例えば、B26、B(CH33など;V族元素を含有したガス、例えば、PH3など;ヘリウム、アルゴン、ネオンのような不活性ガス;水素及び窒素のようなガスがさらに導入されて共に使われうる。
【0063】
S530段階で、前記第1反応ガスを解離して結晶性ナノ粒子を形成する。前記チャンバ内で、エネルギー源によって、前記第1反応ガスが解離され、気相で前記結晶性ナノ粒子が形成されうる。
【0064】
一実施例によれば、前記エネルギー源は、熱またはプラズマを提供し、前記第1反応ガスを解離できる。一実施例によれば、前記結晶性ナノ粒子は、生成される前記結晶性ナノ粒子の類型によって、負電荷または正電荷を帯びるように荷電されうる。すなわち、前記結晶性ナノ粒子の荷電状態は、前記結晶性ナノ粒子が生成される工程条件、一例として、前記チャンバ内の圧力、温度などによって異なるように調節されうる。他の例として、前記結晶性ナノ粒子の荷電状態は、エネルギー源の一例である熱線構造体131(図1)の種類及び化学成分によって、異なるように調節されうる。
【0065】
一実施例によれば、前記基板に電場を形成し、前記荷電結晶性ナノ粒子を前記基板へ誘導できる。
【0066】
S540段階で、前記第2反応ガスを利用し、前記基板上に非結晶性物質の形成を抑制する。すなわち、第2反応ガスを利用し、前記基板上に前記非結晶性物質が成長することを抑制したり、すでに成長した前記非結晶性物質をエッチングできる。前記非結晶性物質は、前記基板に形成される結晶性薄膜の元素と同じ元素を含むことができる。
【0067】
一実施例によれば、第2反応ガス、一例として、塩化水素ガスは、前記基板上に形成されうる非結晶性シリコンと反応し、Si+Cll、Si+Hm(ここで、l,mは任意の整数)などの反応で、前記基板上で非結晶性シリコンを脱離、またはエッチングさせることができる。
【0068】
また、前記塩化水素ガスは、前記非結晶性シリコンに付着された水素と反応し、前記基板上で前記水素を除去できる。すなわち、前記塩化水素ガスで解離された塩素または水素は、前記非結晶性シリコンに付着または結合された前記水素と反応し、H+Cln、H+Ho(ここで、n,oは任意の整数)などの反応で基板上で前記水素を除去できる。
【0069】
S550段階で、前記基板上に提供された前記結晶性ナノ粒子から結晶性薄膜を形成する。前記基板上に提供される前記結晶性ナノ粒子は、結晶性薄膜を形成できるシードの役割を行える。また、前記結晶性ナノ粒子は、荷電されているので、前記結晶性ナノ粒子間、または前記結晶性ナノ粒子と成長する前記基板の表面との間に電気的相互作用が発生し、前記結晶性ナノ粒子は、規則的な配向を有し、前記基板表面に蒸着されうる。これにより、前記基板上に結晶性薄膜が形成されうる。一例として、前記結晶性薄膜は、シリコン膜、窒化シリコン膜、ゲルマニウム膜、炭素薄膜、炭素ナノチューブまたはナノワイヤを含むことができる。
【0070】
一実施例によれば、前記S400段階及び前記500段階は、同時に行われたり、または前記S400段階は、少なくとも前記S500段階が進められる間に行われうる。
【0071】
一実施例によれば、前記チャンバ内に供給される前記第1反応ガスと前記第2反応ガスとの比率が調節されることによって、前記基板上に形成される前記結晶性薄膜の結晶度が調節されうる。
【0072】
図6は、塩素(Cl)を含む雰囲気でのシリコン過飽和度をシミュレーションで摸写した結果を示したグラフである。図6は、全体圧力を10Torrに維持するとき、前記チャンバ内の気相でのシリコンと塩素との比率、及び前記チャンバ内部温度による気相で過飽和シリコンのモル分率を示している。
【0073】
図6を参照すれば、前記気相内での前記塩素の比率が上昇するほど、全体温度にわたって、前記過飽和シリコンのモル分率が低下することが分かり、同じシリコン及び塩素比率では、温度が上昇するにつれて、前記過飽和シリコンのモル分率が上昇していて、再び低下することが分かる。前記結晶性シリコンナノ粒子は、前記過飽和シリコンが気相で核生成及び成長することによって形成されうる。従って、同じシリコン及び塩素比率では、1,000℃ないし1,500℃の高温で、前記結晶性シリコンナノ粒子が形成され、1,000℃未満では、形成される前記結晶性シリコンナノ粒子の量が急減することを予測できる。同様に、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100で、熱線構造体131近くの高温では、前記第1反応ガスから前記結晶性シリコンナノ粒子が優先的に生成され、相対的に低温の基板近くでは、前記第1反応ガスから前記結晶性シリコンナノ粒子の形成が抑制されることを予測できる。
【0074】
前述の本発明の一実施例による薄膜形成方法によれば、第1反応ガスを解離して結晶性ナノ粒子を形成し、前記結晶性ナノ粒子から基板上に結晶性薄膜を形成できる。このとき、第2反応ガスは、前記第1反応ガスから解離された非結晶性元素の群集体が前記基板上に形成されることを抑制できる。従って、前記基板上に形成される前記結晶性薄膜の結晶度が向上する。このような方法によって、結晶性薄膜の結晶度を上昇させる方法は、従来の方法の薄膜蒸着後にさらに実施する後熱処理工程及び脱水素工程なしにも、低温で高品位の結晶性薄膜を形成できるようにする。そして、後熱処理工程及び脱水素工程の省略によって、工程時間及び製作コストを節約できる。また、製造される薄膜の結晶性、蒸着厚及び表面状態をユーザの意図通りに調節できる。
【0075】
そして、高品位の結晶性薄膜を低温で容易に製造できるので、前記結晶性薄膜を有機発光表示装置や可撓性表示装置のような表示手段や太陽電池など、さまざまな電子装置に多様に応用できる。
【0076】
以下、本発明の実験例について説明する。
[実験例]
図1と関連して前述の第1実施例の薄膜蒸着装置を利用し、基板上にシリコン薄膜を形成した。第1反応ガスとしては、10%濃度のシランを100sccm使用し、熱線構造体は、フィラメント型を使用した。前記熱線構造体を1,600℃の温度で加熱し、前記第1反応ガスを解離した。
【0077】
前記第1反応ガスの供給と同時に、第2反応ガスとして、塩化水素(純度99.99%)を、表1のようにその流量を変化させつつ供給し、薄膜をそれぞれ蒸着した。前記塩化水素ガスが使われていない(a)の場合、従来の技術である比較例に該当する薄膜である。
【0078】
基板は、2.5cm×2.5cm×1mm(厚さ)のコーニングガラスを使用し、前記基板温度は、320℃を維持してバイアスを印加した。チャンバ内の工程圧力は、10Torrに維持し、工程時間は20分とした。
【0079】
【表1】

前記塩化水素の流量によって、それぞれ蒸着された薄膜に対して、ラマン分光器で前記薄膜等の結晶性を測定した。
[評価]
図7は、本発明の一実施例において、塩化水素ガスの流量によって異なって蒸着された薄膜を、ラマン分光器で測定した結果を示したグラフである。
【0080】
図7を参照すれば、比較例である(a)の場合、蒸着された薄膜内で非晶質のシリコンが優勢であることを観察でき、塩化水素ガスの流量が増大するほど、グラフのピークがシリコンウェーハ内の結晶質シリコンピーク側に移動する様子を観察できる。従って、塩化水素ガスの流量が増大するにつれて、薄膜の結晶性が上昇することを確認することができる。これは、増大した流量の塩化水素がさらに効果的に非結晶性シリコンを基板から除去し、薄膜内の非晶質シリコンの量を減らしたためであると判断できる。
【0081】
以上では、図面及び実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練当業者は、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、本発明の多様な修正及び変更が可能であるということを理解することができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)チャンバ内に基板を提供する段階と、
(b)前記チャンバ内に第1反応ガス及び第2反応ガスを供給する段階と、
(c)前記第1反応ガスを解離して結晶性ナノ粒子を形成する段階と、
(d)前記第2反応ガスを利用し、前記基板上に非結晶性物質の形成を抑制する段階と、
(e)前記基板上に提供された前記結晶性ナノ粒子から結晶性薄膜を形成する段階とを含む薄膜製造方法。
【請求項2】
(c)段階で、
前記結晶性ナノ粒子は、形成される前記結晶性ナノ粒子の類型によって、負電荷または正電荷を有するように荷電されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項3】
前記結晶性ナノ粒子の荷電状態は、前記結晶性ナノ粒子が形成される前記チャンバ内の圧力または温度によって異なるように調節されることを特徴とする請求項2に記載の薄膜製造方法。
【請求項4】
前記第1反応ガスは、前記結晶性薄膜の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項5】
前記第1反応ガスは、シラン系化合物、ゲルマニウム系化合物及び炭化水素系化合物によって構成になるグループから選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4に記載の薄膜製造方法。
【請求項6】
(c)段階は、
前記第1反応ガスを熱またはプラズマによって解離し、気相で前記結晶性ナノ粒子を形成する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項7】
(f)前記基板に電場を形成し、前記荷電結晶性ナノ粒子を前記基板へ誘導する段階をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の薄膜製造方法。
【請求項8】
(d)段階は、
前記第2反応ガスを利用し、前記基板上に前記非結晶性物質が成長することを抑制したり、すでに成長した非結晶性物質をエッチングする段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項9】
前記非結晶性物質は、前記結晶性薄膜の元素と同じ元素を含む請求項8に記載の薄膜製造方法。
【請求項10】
前記第2反応ガスは、17族元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項11】
前記第2反応ガスは、フッ化物系または塩素系の化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜製造方法。
【請求項12】
前記結晶性薄膜の結晶度を、供給される前記第1反応ガスと第2反応ガスとの比率によって決定することを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項13】
前記形成される結晶性ナノ粒子の量は、前記第1反応ガスから解離された元素の温度による気相での過飽和度に比例することを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項14】
前記結晶性薄膜は、シリコン膜、窒化シリコン膜、ゲルマニウム膜、炭素薄膜、炭素ナノチューブ及びナノワイヤのうち、いずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項15】
前記(d)及び前記(e)の段階は、同時に進められることを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項16】
内部に基板が装入されるチャンバと、
前記チャンバ内に第1反応ガスを供給する第1ガス供給装置と、
前記第1反応ガスを解離させて結晶性ナノ粒子を形成するエネルギー源と、
前記基板上で非結晶性物質の形成を抑制する第2反応ガスを提供する第2ガス供給装置とを含む薄膜製造装置。
【請求項17】
前記エネルギー源は、前記第1ガス供給装置と前記基板との間に設けられた熱線構造体を含むことを特徴とする請求項16に記載の薄膜製造装置。
【請求項18】
前記基板上部に開閉可能に設けられ、前記第1反応ガスまたは前記エネルギー源から放出される熱を基板に対して遮断する基板遮断部をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の薄膜製造装置。
【請求項19】
前記基板と連結され、前記基板に電場を形成させるバイアス印加部をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の薄膜製造装置。
【請求項20】
前記バイアス印加部は、
前記基板の上部に設けられた第1プレートと、
前記第1プレートに対向して前記基板の下部に設けられた第2プレートと、
前記第1プレート及び第2プレートのうち、いずれか一つに電圧を印加する電源と、
前記第1プレート及び第2プレートのうち、他の一つを接地させる接地装置とを含むことを特徴とする請求項19に記載の薄膜製造装置。
【請求項21】
前記電圧は、交流、直流及びパルス直流のうち、いずれか一つであることを特徴とする請求項20に記載の薄膜製造装置。
【請求項22】
前記基板は、前記第2プレートの前記第1プレート対向面上に置かれ、前記第1プレートに前記接地装置が連結され、前記第2プレートに前記電源が連結されたものであることを特徴とする請求項20に記載の薄膜製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−521586(P2010−521586A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553530(P2009−553530)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004795
【国際公開番号】WO2009/025481
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508369906)エスエヌユー アール アンド ディービー ファウンデーション (11)
【Fターム(参考)】