説明

薬剤、食品、および栄養補助剤のための制御放出システム

本発明は、口腔ケア製品、栄養補助剤、食品および飲料に組み込まれうる、1つまたは多数の活性剤並びに香料、冷却剤、および甘味料などの感覚マーカーを効率的に封入するための多成分制御放出システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、1つまたは複数の活性成分および感覚マーカー(すなわち香料、冷却剤、甘味料など)を効果的に封入し、複数の活性成分を連続的に次々に放出するための、口腔ケア製品、栄養補助剤、食品および飲料に組み込まれうる多成分制御放出システムに関する。本発明の制御放出システムは、広範囲の香料、感覚マーカー、および他の活性成分の安定性並びにバイオアベイラビリティを高め、それらの口腔内での滞留時間を延長し、それらの放出特性を制御し、口中での香料および感覚マーカーの感覚を延長して持続する感覚または持続する感触を提供する。本発明はさらに、本発明の制御放出システムを含む口腔ケア製品、食品および飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
製品の品質保持期間を延長するために、並びに食品および飲料が消費される間、口中での感覚を延長するために、近年、広範囲の試みがさまざまな活性成分香料および感覚マーカーの放出特性の制御に向けられている。食品中の活性成分および香料の放出の安定性の向上並びに制御の改善を提供するために、さまざまな方法および組成物が報告されている。
【0003】
噴霧乾燥は、市販の食品中に封入される材料の大部分を占める。噴霧乾燥封入プロセスは、比較的簡単で経済的であり、簡単に大きな生産量にスケールアップされる。噴霧乾燥封入のおもな利点は、封入されうる活性剤および感覚マーカーの範囲が広いことである。これらの活性剤は油溶性香料、水溶性化合物、天然抽出物、単一成分香料化合物、並びに水溶性および油溶性成分の両方を有する複合化合物の香料を含む。米国特許第3,971,852号は、加工されたデンプン、ゴムおよび他の天然の親水コロイドを低分子量のポリヒドロキシ化合物とともに使用し、80体積%の最大値で油を封入したガラス状の細胞のマトリクスが得られることを開示する。このシステムは、油状の香料を囲むシェルを形成するが、脂溶性の香料に限られる。
【0004】
米国特許第4,532,145号は、10〜30%の糖または食品酸などの低分子量成分で構成され、固体の残りが70〜90%の量のマルトデキストリン炭水化物である担体溶液からの噴霧乾燥によって揮発性香料が固定されるプロセスおよび組成物を開示する。
【0005】
米国特許第5,124,162号は、香料が加えられ、次いで溶液が噴霧乾燥されて0.50g/ccのバルク密度を有する流動粉末を与える、単糖類および二糖類(22〜45%)、マルトデキストリン(25〜50%)、並びにアラビアゴム、アカシアゴム、または化工デンプンなどの高分子量の炭水化物(10〜35%)からなる担体混合物を開示する。
【0006】
米国特許第4,859,377号は、生体制御試薬を環境による劣化から保護し、さらにターゲットの害虫の感染を促進するために、昆虫病原体を封入するアミロースを含むアルファ化デンプンの使用を記載する。封入はあらかじめのり化されたデンプンの水性分散液中で行われる:乾燥した粒状生成物のためには、分散液中のデンプンの固形物の含量は25〜40%である;噴霧可能な液体状生成物のためには、化学的に分解されたデンプンが1〜10%の固形物の含量で用いられる。
【0007】
米国特許第4,911,952号は、封入される化学的生物的試薬は、約5〜約25重量%のアミロースを含む未加工のデンプンの水性分散液に混合されることを開示する。初期のデンプン固形物の含量が約20重量%である分散液は、完全に分裂したデンプンの粒状物および著しく解重合していない完全に分離したアミロース分子を特徴とする。その後の乾燥は、分散液を保護マトリクスに変換し、再会合したデンプン鎖の隙間に試薬を結合させる、アミロース分子の再会合によって達成される。試薬を環境に放出する速度は、デンプン中のアミロースの比率を変えることで変化させることができる。生体活性成分の封入は劣化させる環境条件からの保護を提供し、取り扱いの安全性を改良し、これらの化合物の周辺媒体への放出を減速する。
【0008】
米国特許第5,183,690号は、封入される生体活性試薬が連続的にデンプン材料および水と混合され、デンプンののり化温度を超える温度で機械的な高い剪断力を受けて試薬の不連続なドメインをトラップするデンプンの不溶性マトリクスとして連続的に回復することを開示する。あるいは、デンプンがのり化するのに十分な温度に水とデンプンが加熱された後、封入されるコア材料が加えられ、水性分散液に混合される。さまざまな処理パラメータに関連する一連の条件をあらかじめ選択することによって、試薬の環境への放出速度を制御することができる。生体活性組成物の封入は、劣化させる環境条件からの保護を提供し、取り扱いの安全性を改良し、これらの化合物の周辺媒体への放出を減速する。
【0009】
米国特許第5,506,353号は、水素化デンプン加水分解物および20以下のデキストロース等量値を有するマルトデキストリンの特定の低齲蝕原性のマトリクスに固定される香料油を含む粒子状の香料組成物を開示する。香料油の封入のプロセスは、香料油と(a)約40〜約85重量%の、水素化デンプン加水分解物からなる粒子状のポリオール、(b)約10〜約30重量%の、20以下のデキストロース等量値を有するマルトデキストリン、(c)乳化剤および水、との均質な混合物を形成すること、並びに得られた混合物を噴霧乾燥して約0.15〜約0.85g/ccのバルクの流動密度を有する粒子状の生成物を形成することを含む。消費できる食用の材料に、上述の定義の粒子状の香料組成物を加えることを含む、香りの特性を与える、高める、または修正する方法;および歯磨き粉ベースに、上述の定義の粒子状の香料組成物を加えることを含む、香りの特性を与える、高める、または修正する方法が記載される。
【0010】
食品のための活性成分および感覚マーカーの封入の別のプロセスは、溶融押し出しである。このプロセスでは、溶融システム、すなわち押し出し機が連続的にキャリア溶融体を形成するために用いられる。封入される香料は、溶融した炭水化物キャリア中に混合されるか注入される。
【0011】
米国特許第2,809,895号は、レモン、ライム、またはグレープフルーツオイルなどのエッセンシャルオイルを、コーンシロップ、抗酸化剤、および分散剤を含むマトリクスに封入するプロセスを開示する。エッセンシャルオイル、抗酸化剤、および分散剤はコーンシロップに加えられ、得られた混合物は85℃〜125℃に加熱され、撹拌または押し出されてペレット状のエマルジョンが形成され、得られた粒子は溶媒で洗浄され最後に乾燥される。
【0012】
同様に、米国特許第3,922,354号において、Galuzziらは、部分的にのり化した未加工のデンプンから調製された低水分、高固形分のマトリクスに活性剤を組み込むための高剪断混合の使用を開示する。修飾されたデキストリン、モノ−およびジグリセリドの混合物、焼いたシリアル固形物、および冷却剤が活性剤の放出の制御に用いられる。
【0013】
米国特許第4,232,047号は、デンプン、タンパク質、小麦粉、加工デンプン、ゴム、またはこれらの混合物などのマトリクス封入媒体に分散されるマイクロフェーズとして包まれる摂取可能な薬剤の栄養補助食品濃縮物の調製を教示する。前記濃縮物は、摂取可能な薬剤および封入媒体を少量の水とともに混合し、押出圧力および温度制御の下で混合物を変換することによって調製される。例示されたタンパク質はゼラチンである。
【0014】
米国特許第4,230,687号は、少量の水の存在下で加工デンプン、ゴム、およびタンパク質の封入マトリクスに活性剤を分布させるための、剪断応力、激しい機械的な仕事、および熱の適用を開示する。遅い放出のマトリクスにはタンパク質が用いられ;速い放出には加工デンプンが用いられる。
【0015】
米国特許第4,420,534号は、10〜30重量%の、一連の単糖類または二糖類、固体状コーンシロップまたは有機酸から選択される低分子量成分を含み、混合物の残りはマルトデキストリンである、マトリクス組成物の使用を記載する。マトリクスベースは無水の液体香料成分と乾式混合され、単軸押し出し機で溶融され、>40℃のガラス転移温度を有するガラスとして特徴づけられる固体のマトリクスが得られる。
【0016】
米国特許第4,689,235号は、油、香料、フレグランス、農薬、殺虫剤、薬剤などの積載能力が改善された、押し出し可能な封入マトリクス組成物を開示する。前記マトリクスは、マルトデキストリンおよびオクテニルブタン二酸水素アミロデキストリンまたは等価物を含む。
【0017】
米国特許第4,610,890号および米国特許第4,707,367号は、エッセンシャルオイルの含有量が高い固体のエッセンシャルオイル香料組成物、製品を調製する工程であり、糖およびデンプン加水分解物を乳化剤とともに含む加熱または調理した水性混合物の調製を含む工程を開示する。選択されたエッセンシャルオイルまたは他の油溶性香料は、密閉した容器の中で制御された圧力条件下で混合物と合わせられて混合され、均質な溶融液が形成される。前記溶融液は相対的に低温の溶媒中に押し出され、乾燥されて選択された固化防止剤と合わせられ、安定な、比較的非吸湿性の当該発明の粒子状香料組成物を得る。均質な溶融液中に混合されるエッセンシャルオイル香料の選択された量は、封入される固体粒子状組成物中に約12〜35重量%のエッセンシャルオイルを与えるのに十分である。工程の間、封入効率は好ましくは約60%またはそれ以上、より好ましくは約70%以上、最も好ましくは約75〜80以上%に維持される。さらに、前記工程の調理温度は好ましくは最大約126℃またはそれ以下に維持される。
【0018】
米国特許第4,610,890号および米国特許第4,707,367号は、エッセンシャルオイルの含有量が高く、糖、デンプン加水分解物および乳化剤を含む水性混合物の形成によって組成物が調製される、固体のエッセンシャルオイル組成物を調製する工程を記載する。前記エッセンシャルオイルは、密閉した容器の中で制御された圧力条件下で水溶液と合わせられて均質な溶融液が形成され、その後相対的に低温の溶媒中に押し出され、乾燥されて固化防止剤と合わせられる。
【0019】
米国特許第4,929,447号は、特にチューインガム組成物において、溶媒を加えることなく高分子量のポリビニル酢酸で膜を形成する疎水性可塑剤と混合された高分子量のポリビニル酢酸を含む、活性成分を保護し、それによって制御放出を提供するための方法および組成物を開示する。人工甘味料であるアスパルテームなどの活性成分は、例えば後に冷却されて固体になり、すりつぶされて粒子状になりうる溶融混合液によって、封入する組成物に混合される。封入された活性成分は、その後、例えば長い品質保持期間および活性成分の高度な制御放出を有するチューイングガムなどの形態で、人が摂取するための組成物として用いられうる。
【0020】
すりつぶせるガラス状の炭水化物マトリクスへの成分の封入は、米国特許第5,009,900号、および米国特許第5,087,461号、および米国特許第5,972,404号および米国特許第6,004,594号に開示される。米国特許第5,009,900号および第5,087,461号では、ビタミンもしくは香料成分などの、揮発性の、および/または不安定な成分が、約2以下のデキストロース等量値を有する水溶性の化工デンプン、約5〜約15の範囲のデキストロース等量値を有するマルトデキストリン、約21〜約42の範囲のデキストロース等量値を有するコーンシロップ固体またはポリデキストロース、および単糖類または二糖類を含む押し出しガラス状マトリクスに封入される。
【0021】
米国特許第6,468,568号および米国特許第6,436,453号は、食品の味および見た目に悪い影響をおよぼさない無機物またはビタミンの強化成分が、無機物またはビタミンをすりつぶせるガラス状マトリクス組成物に封入することによって得られることを開示する。前記ガラス状マトリクス組成物は、ベータ−2−1−フルクトフラノース材料、好ましくはフルクトオリゴ糖(FOS)などのオリゴ糖、およびガラス状マトリクスを形成するだけでなく食物の繊維の含有量を有益に増加させるイヌリンを含む。無機物またはビタミン封入物とガラス形成オリゴ糖マトリクス材料との間の大きな不利な相互作用をさけるために、および封入物のガラス状マトリクスからの制御放出を達成するために、少なくとも1つの食用油が封入する組成物に含まれる。a.少なくとも1つの無機物またはビタミンを含む封入される成分を食用油に混合し、前記少なくとも1つの無機物またはビタミンが前記油に封入されるスラリーを得る、b.前記スラリーを少なくとも1つの溶融したガラス形成オリゴ糖マトリクス成分を含む溶融液に混合し、溶融混合液を得る、およびc.溶融混合液を冷却して、油に封入された無機物またはビタミンをガラス状マトリクスに封入する、を含む、無機物またはビタミンをガラス状マトリクスに封入する方法が記載される。
【0022】
米国特許第5,897,897号、米国特許第6,187,351号、および米国特許第6,416,799号は、室温でガラス状態で安定な炭水化物ベースのガラス状マトリクスが、水性可塑剤を溶融押し出しで用いることによって調製されうることを開示する。このようなガラス状マトリクスは、封入物、特に香料の封入に有用である。
【0023】
コアセルベーションは1950年代に商品化された別の封入技術であり、製薬、フレグランス、および高付加価値製品の産業に広い用途が見出だされた。しかしながら、比較的高い加工費、敏感な多段階バッチ工程、食品の調製に用いられうるポリマー試薬を制限する規制、並びに水溶性および脂溶性の両方の性質を有する封入物の取り扱いの難しさは、食品産業における香料の封入のためのコアセルベーションの適用を大幅に制限した。これらの問題についての一般的な議論は、本明細書中に参照として組み込まれる、R.Versic,“Coacervation for Flavor Encapsulation,”in Flavor Encapsulation,American Chemical Society Symposium Series #370,S.Risch and G.Reneccius,Eds.,Chapter 14,1988に与えられる。コアセルベーションマイクロカプセルシステムは、溶液中の1つのポリマー種から誘導される簡単なコアセルベートの形態で生成されうる。2つの異なった、反対の電荷をもつポリマー種の相互作用を必要とする複合コアセルベートもまた、よく特徴づけられている。
【0024】
米国特許第3,962,463号は、香料成分を、ゼラチンワックス、ポリエチレンなどに封入し、その後封入された香料微粒子をチューインガムの表面にデポジットすることを開示する。米国特許第4,217,368号は、ガムベースに分散された、包まれた、トラップされた、および他の方法で保護された(第2の)甘味料の制御放出を開示する。相対的に保護されていない第1の甘味料は、初期の香料のバーストを提供する。米国特許第4,259,355号は、ゼラチン、デキストリン、アカシアゴム、または加工された食用デンプンにヒドロキシプロピルセルロース固体状懸濁化剤を用いてトラップされた、加水分解的に放出されうる香料油を開示する。
【0025】
米国特許第4,230,687号は、厳しくかつ詳細な機械的剪断の条件を用いて香料を封入媒体と混合する、香料のポリマー媒体への封入を開示する。香料はマトリクスの水和速度に依存する、つまり用いられる特定のマトリクスに依存する速度で、封入するマトリクスから徐々に放出される。ポリマーマトリクスは、カゼインなどの天然の物質、ゼラチン、加工デンプン、ゴムなどの材料から誘導されてもよい。
【0026】
米国特許第5,266,335号に開示されるように、化学的に架橋したポリマーフィルムに包まれた油滴を得る複合コアセルベーション封入は、チューインガムにシナモンオイルを封入するために用いられている。
【0027】
米国特許第5,418,010号は、固体または液体のコア材料がタンパク質スラリーに分散され、加熱されてタンパク質溶融液を生成し、その後変性してコア材料および工程の生成物の封入をもたらす、マイクロカプセル化の工程を開示する。
【0028】
米国特許第6,428,827号は、チューインガム中の香料の持続時間を改善する方法および組成物を開示する。好ましい形態において、当該発明は、もとのセルロース材料よりも水溶性の低い材料を得るために多官能カルボキシレートと架橋したヒドロキシプロピルセルロースを含むマトリクス組成物を提供する。前記マトリクスは積み重ねることができ、中に香料が組み込まれてもよく、ガムの組成物に用いられ香りの長時間の放出を容易にする。
【0029】
コーティングまたは油脂コーティングは用いられている他の封入技術である。通常このような油脂コーティングは流動層技術によって塗布される。この技術は、活性剤が激しい気流にさらされ、かなりの活性剤がこのような条件下で揮発するかまたは酸化される結果になるなどの重大な欠点がある。油脂の添加速度は気流が運び去ることができる熱負荷によって決まるので遅くなければならないことが多いため、このような空気との接触は長時間にわたって起こりうる。さらに、このことは流動層技術の全体の生産性を制限し、したがって加工費および最終的には商業的な有用性に影響をおよぼす。さらに、上述のように、または他の任意の方法を用いて塗布した油脂コーティングによって得られる保護膜は、油脂でコートされた粒子が油脂の融点を超える温度にさらされると簡単に失われうる。
【0030】
米国特許第3,976,794号は、食用油脂でコートした砂糖の粒子を含む粉砂糖でコートした、甘みをつけたココナッツ製品を示す。米国特許第3,949,094号および第3,949,096号は、さまざまな油脂および乳化剤でコートされたさまざまな香料、着色料、並びに調味料を調製する工程、香辛料をスプレーし、次に特定の食用コーティング材料をスプレーしてそれを止めることを含む工程を示す。
【0031】
米国特許第4,765,996号において、白米または大麦は、油/油脂および/またはワックスを穀物の上にコーティングすることによって、それを親水性乳化剤でコーティングすることによって、および、これらをデンプンを用いたコーティング剤でさらにコーティングすることによって、穀物の中および上に固定された栄養剤によって栄養価が高められる。
【0032】
米国特許第5,500,223号は、粒子サイズが実質的に100nmより小さいシリカの水性分散液を用いる封入工程を開示する。エマルジョンはシリカ分散液を封入される材料と高剪断混合することによって形成され、エマルジョンはゲル化する。前記工程によって、疎水性材料は、材料の高い積載度、並びに界面活性剤および鉱物油などの他の物質の存在下でのよい不浸透性を有する構造に封入される。前記工程を用いることによって、香料、フレグランス、および化粧品成分などの疎水性材料は、さまざまな製品で遅延放出のために封入されうる。
【0033】
米国特許第6,165,516号は、コーティングおよび乾燥によってカフェインの性質を物理的に変化させることによって得られた、カフェインを制御放出するチューインガムを製造する方法と、それによって製造されたチューインガムを開示する。カフェインは封入によってコートされ、部分的に集塊によってコートされ、吸収によってトラップされるか、または多段階の封入、集塊、および吸収によって処理される。その後コートされたカフェインは共に乾燥され、粒子サイズにされて、放出のための変性カフェインが製造される。チューインガムに組み込まれると、これらの粒子はガムが噛まれたときに速い放出または遅い放出を作り出すのに適する。
【0034】
米国特許第4,971,797号は、シクロデキストリンとの共結晶による、熱的に安定な組成物中の安定化スクラロース錯体を開示する。得られた結晶性生成物は粉砕され、蔗糖、サッカリンなどのよく知られた甘味料の代わりにまたはそれに加えて、さまざまな食品、化粧品、および経口薬に甘味料成分として用いるために、所望のサイズの粒子が形成されうる。当該発明の安定化スクラロース組成物の調製は、シクロデキストリンの中のスクラロース分子封入を構成し、それによってスクラロースを熱によって引き起こされる変色から保護する。
【0035】
噴霧冷却は、商業的に実施されている封入の他の形態である。この工程は、液体の香料を溶融油脂に混合して溶液/分散液を生成することから始まる。次に、得られた混合物はチャンバーに噴霧され、そこで噴霧された液滴が固化される十分に冷たい気流に接触し、したがって粗封入生成物が形成される。噴霧冷却のおもな難点には、油脂/活性剤の相互作用、経時的な脂溶性材料の蒸発、加工の間の揮発性材料の目減りがある。
【0036】
米国特許第5,064,669号は、制御放出流動性香料粉末並びにこれらの物質を調製および使用するための工程および装置、油脂および/またはワックスなどの高融点の封入するまたは化粧掛けする材料、およびこの出発物質を融解するための1以上の乳化剤を加熱すること;1以上の含水香料組成物をテクスチュアコンディショニング剤と混合すること;香料組成物およびテクスチュアコンディショニング剤を溶融油脂またはワックスと混合し、エマルジョンの形態の均質な混合物を得ること;香料組成物を含む混合物を冷却し、固体に封入された香料の分離した粒子を得ること:を含む工程とともに、その方法で製造された製品およびそれを用いる方法を開示する。
【0037】
米国特許第6,245,366号は、油脂でコートされた封入組成物が、(i)活性剤を溶融油脂と混合してスラリーを得ること、および(ii)スラリーを冷却して活性剤が固体油脂に分散した固形物を得ること;によって調製されうることを開示する。
【0038】
米国特許第6,328,998号は、疎水性分子を封入するためのポリマーミセルが提供されることを開示する。さらに、疎水性分子をこれらのミセルを介してホストに運搬する方法および製剤も提供される。ポリマーミセルの添加によるリポソームまたは脂質ベースの製剤の安定化の方法もまた提供される。
【0039】
したがって、技術的に、1つまたは多数の活性成分および感覚マーカー(すなわち、香料、冷却剤など)を効率的に封入し、それらの安定性およびバイオアベイラビリティを向上させ、それらの放出特性を制御し、持続する感覚または持続する感触を提供するために、食品および飲料が消費される間、口中でのそれらの感覚を延長させ、多数の活性成分を連続的に放出するための、食品および飲料に組み込むことができる効率的で経済的な工程を用いる方法並びに組成物を提供する必要性が残されている。
【発明の開示】
【0040】
発明の概要
本発明は、1以上の型の活性成分、香料、または香料とさまざまな活性成分との組み合わせを効果的に封入し、それらを次々に連続的に、または香りを変化させて放出するための、口腔ケア、食品、飲料に組み込まれうる、改善された制御放出システムに関する。本発明の制御放出システムは、広範囲の活性成分および感覚マーカー(すなわち香料、冷却剤、甘味料など)を、それらの安定性およびバイオアベイラビリティを高め、それらの口腔内での滞留時間を延長し、それらの放出特性を制御し、長持ちする感覚または長持ちする感触を提供するために、食品および飲料が消費される間、口中でのそれらの感覚を延長するために封入しうる。
【0041】
本発明の制御放出システムは、湿度感受性マイクロ粒子に封入された固体疎水性ナノ粒子を含む。ナノ粒子は、個々に湿度感受性マイクロ粒子マトリクスにコートされるのではなく、水感受性マイクロ粒子マトリクスに均質に分散される。さまざまな香料および活性成分が疎水性ナノ粒子マトリクス、水感受性マイクロ粒子マトリクス、またはナノ粒子マトリクスおよびマイクロ粒子マトリクスの両方に組み込まれうる。ナノ粒子に封入される活性剤、香料、および感覚マーカーは、マイクロ粒子に封入されるものと同じであっても異なっていてもよい。ナノ粒子の表面は、デポジションを改善し、口腔内でのナノ粒子の滞在時間を延長するために生体接着剤を含んでもよい。または、ナノ粒子に生体接着性を与えるために、生体接着性ポリマーが水感受性マイクロ粒子マトリクスに組み込まれてもよい。
【0042】
前記マイクロ粒子は、約20ミクロン〜約100ミクロンの範囲の平均サイズを有する。前記ナノ粒子は、約0.01ミクロン〜約5ミクロンの範囲の平均サイズを有し、約30℃〜約90℃の範囲の融点を有する。第1の香料または活性成分は水感受性マイクロ粒子に封入され、系が水分にさらされる(唇、口中などを濡らす)と放出され、第2の香料または活性成分は固体疎水性ナノ粒子に封入され、長時間にわたって放出されうる。さらに、前記制御放出システムの製造は、最小限の加工段階を用い、効率的であり経済的である。
【0043】
本発明の制御放出システムは、香料、感覚マーカー、および他のさまざまな活性成分を含みうる湿度感受性マイクロ粒子に封入された、同様に香料、感覚マーカー、および他のさまざまな活性成分を含む固体疎水性ナノ粒子から形成される流動性粉末である。ナノ粒子に封入される活性成分は、マイクロ粒子に封入されるものと同じであっても異なっていてもよい。本発明の制御放出システムは:
(i)保存の間、必要とされるまでの、香料の揮発性成分を含めた活性成分の保護;
(ii)ビタミン、生体活性剤、栄養剤などのさまざまな活性成分のバイオアベイラビリティの向上;
(iii)マイクロ粒子の湿度感受性マトリクスに封入された香料および他の活性成分に加えて、同一のまたは他の香料および活性剤を含むナノ粒子の、湿度トリガ放出;
(iv)湿度に対応する香りまたは他の嗅覚刺激の変化;
(v)固体疎水性ナノ粒子に封入された香料および他の活性成分の、長時間にわたる持続的な放出、および、
(vi)香料、感覚マーカー、甘味料および他の活性成分の、長持ちする感覚または長持ちする感触、
を特徴とする。
【0044】
本発明の制御放出システムは、食品および飲料中のさまざまな活性成分および香料または香料成分の安定性を向上させ、これらを不快な臭いおよび臭気の発生から保護し(例えばシトラールおよびシトラスノートを酸化から保護する)、不快な臭いおよび臭気の発生を防ぎ、食品および飲料の品質保持期間を延長する。
【0045】
本発明はまた:
(i)香料および他の活性成分を固体疎水性ナノ粒子へ組み込み;
(ii)1以上の香料および他の活性成分、ナノ粒子、並びにデンプン誘導体、天然ゴム、ポリビニルアルコール、タンパク質、親水コロイド、またはこれらの混合物などの水感受性材料を含む水性混合物を形成し;そして、
(iii)前記混合物を噴霧乾燥させて粉末組成物を形成する、
の段階を有する本発明の多成分制御放出システムの製造方法を提供する。
【0046】
本発明はさらに:
(i)1以上の疎水性材料を前記材料の融点を超える温度まで加熱して溶融体を形成し;
(ii)第1の香料を溶融体に溶解または分散させ;
(iii)1以上の第1の活性剤を溶融体に溶解または分散させ;
(iv)第2の香料、活性成分、並びにデンプン誘導体、天然ゴム、ポリビニルアルコール、タンパク質、親水コロイド、またはこれらの混合物などの湿度感受性材料を水相に溶解または分散させ;
(v)組成物を前記疎水性材料の融点超に加熱し;この高温溶融体を前記水相と混合し分散液を形成し;
(vi)均質な微細分散液が得られるまで、前記融解温度超の温度で前記分散液を高い剪断力で均質化し;
(vii)前記分散液を室温まで冷却し;そして、
(viii)乳化した混合懸濁液を噴霧乾燥して乾燥粉末組成物を形成する、
の段階を有する、香料および他の活性成分を含む食品並びに飲料のための多成分制御放出システムの製造工程を提供する。
【0047】
異なった香料または感覚マーカーをナノ粒子およびマイクロ粒子の中に含む、本発明の多成分システムを含む口腔ケア製品、食品、または飲料は、長時間の香りの感覚および感触だけでなく、湿度に対応した感知できる香りの推移(香りの変化)または嗅覚刺激の変化を提供することが明らかになった。本発明の多成分システムは、固体疎水性ナノ粒子に封入された香料、感覚マーカー、および活性成分の放出速度を長時間にわたって延長し、香料、感覚マーカー、甘味料、および他の活性成分の持続的な感覚または持続的な感触を提供することが明らかになった。他の実施形態においては、食品並びに飲料のための制御放出組成物は、香料、感覚マーカー、甘味料、および他の活性成分を含む疎水性ナノ粒子から形成される。
【0048】
本発明の多成分制御放出システムは、約1重量%〜約50重量%の疎水性マトリクス、約1重量%〜約50重量%の水感受性マトリクス、および約1重量%〜約50重量%の香料または他の活性成分を含みうる。
【0049】
本発明は、食品および飲料について、製品の性能を高め、競合他社の製品と差別化するための特性を提供し、長期間の保存安定性を提供するという、上記の要求を満足するものである。本発明は、以下の図面を参照することによって、より十分に説明される。
【0050】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の制御放出システムの模式図である。
【0051】
図2は、HeLa培養細胞に接着する生体接着性ナノ粒子のイメージである。
【0052】
図3は、HeLa培養細胞に接着する実施例1〜4の生体接着性ナノ粒子のイメージである。
【0053】
図4は、ニートシトラールオイルを含むチョコレートからのシトラールの重量減少(%)と、本発明の制御放出システムに封入されたシトラールを含むチョコレートからのシトラールの重量減少(%)のグラフである。
【0054】
詳細な説明
本発明は、食品、飲料、および他の口腔ケア組成物の性能を向上させる方法を提供する。本発明は、製品を使用する間、湿度に対応して感知できる香りの推移(香りの変化)または嗅覚刺激の変化を提供し、長時間にわたって香りの感覚および感触を持続させうる制御放出システムに関する。
【0055】
本発明の制御放出システムは、図1に示されるような、香料、感覚マーカー、および活性成分を含みうる湿度感受性マイクロ粒子に封入された、同一のまたは異なった1以上の香料、感覚マーカー、および活性成分を同様に含む固体疎水性ナノ粒子から形成される流動性粉末である。「粒子」の用語は、固体の、実質的に球体の微粒子を説明することを意図するものである。本発明の教示に従って、他の微粒子形状が形成されてもよいことは理解されるであろう。
【0056】
本発明のナノ粒子は、約0.01ミクロン〜約10ミクロンの範囲の平均粒径を有する。好ましくは、前記ナノ粒子の粒子サイズは、約0.05ミクロン〜約2ミクロンの範囲である。任意の個々の粒子の線形寸法は、粒子の表面の2点を結ぶ最長の直線の長さを表す。
【0057】
さらなるビタミン、生体的にまたは栄養的に活性な成分、食用の活性成分、および製薬上活性な成分が、本発明の制御放出システムに加えられてもよい。
【0058】
栄養補助成分は、例えば抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、などのビタミン、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、利用できる鉄、および鉄塩などの無機物、生きている乳酸菌、糸状菌、および酵母、などの細菌のような微生物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、微量元素、オメガ−3脂肪酸および中鎖トリグリセリドなどの必須および/または高級不飽和脂肪酸、栄養補助食品、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、およびフィターゼなどの酵素、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、およびアミノ酸並びにこれらの混合物などの、健康を増進する、または疾患を予防する、または快適さを高める成分を含みうる。
【0059】
本発明の多成分放出システムは、食品に用いられうる。「食品」の用語は、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの身体の栄養素を含む、植物または動物由来の、または合成された物質を表す。本発明の多成分制御放出システムは、例えばパン、ウエハース、クッキー、クラッカー、プレッツェル、ピザ、およびロールパンなどの焼いた食品、インスタントの朝食用シリアル、ホットシリアル、パスタ製品、フルーツスナック、塩味のスナック、穀物ベースのスナック、および電子レンジ用のポップコーンなどのスナック、ヨーグルト、チーズ、およびアイスクリームなどの乳製品、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、およびチョコレートなどの甘いもの、動物のえさ、ドッグフードおよびキャットフードなどのペットフード、魚およびえびなどの水産養殖品、並びにベビーフード、特殊調製粉乳、病院給食、病人向けの特別食、スポーツフード、パフォーマンスフード、または栄養バー、または強化食品などの特別な目的の食品、スープまたはソースのプレブレンド、デザートミックス、ディナーミックス、ブレッドミックスおよびケーキミックスのようなベーキングミックス並びにベーキング用の粉などの、家庭用または外食産業用の食品のプレブレンドあるいはミックスなどの、人または動物の消費を意図した食品に組み込まれうる。本発明の分離した粒子は、朝食用シリアル、スナック、スープ、サラダ、ケーキ、クッキー、クラッカー、プディング、デザートまたはアイスクリームのトッピングとして用いられうる。また、ヨーグルト、デザート、プディング、カスタード、アイスクリームまたは他のペースト状もしくはクリーム状の食品の顆粒状材料としても用いられうる。食品には、チョコレート、ソースおよびスープなどの料理用の食品が含まれうる。
【0060】
最終的な製品が焼いた食品の場合、本発明の制御システムは他の通常の料理用材料と混合された後、焼かれて最終的な製品が提供される。本発明の多成分制御放出システムは、粉末状の飲料ミックスおよび液体状の飲料などの飲料に用いられうる。
【0061】
例えば、本発明の多成分制御放出システムは、水を加えるソースおよびスープに用いられうる。本発明に係るソースおよびスープは、多くの種類の風味および食感で作製されうる。スープまたはソースに水が加えられたときの所望の風味および食感に応じて、さまざまな香料が本発明の多成分制御放出システムに封入されうる。香料成分は、砂糖、塩、クエン酸およびその置換体などの結晶性成分;ドライミルク、チーズ、クリームパウダーなどの乳製品;香辛料、天然および人工の香料、並びにデンプン(天然のデンプン、加工デンプン、もちデンプンなど)、タンパク質化合物(例えばアルブミン、グロブリン、卵タンパク質または乳漿タンパク質濃縮物)、植物ゴムおよびこれらの任意の組み合わせなどの増粘剤を含みうる。
【0062】
本発明の多成分制御放出システムは、飲料に用いられうる。例えば、粉末状の飲料ミックスは本発明の制御放出システムを利用しうる。
【0063】
粉末状の飲料ミックスが求められる場合、本発明の制御放出システムは、香料を封入し、懸濁剤などと混合され、最終的な乾燥混合製品が形成されうる。液体状の飲料を製造するためには、本発明の制御放出システムは、香料を封入し、水などの液体および懸濁剤などの他の成分と混合されて最終的な飲料製品が製造されうる。
【0064】
本発明の制御放出システムは、栄養補助剤に用いられうる。「栄養補助剤」の用語は、人または動物に消費されたとき、食事療法上または健康上の効果を提供しうる任意の化合物あるいは化学物質を表す。栄養補助剤の例として、ビタミン、無機物などが挙げられる。
【0065】
本発明によって提供される生体分解性多成分制御放出システムは、一般に任意の適当な通常の口腔衛生用製品に組み込まれうる。典型的なデリバリーシステムとして、ゲル、チューインガム、歯磨き粉、およびマウスウオッシュが挙げられる。歯磨き粉は、約5ミクロン〜約50ミクロンの間の粒子サイズを有するシリカまたはアルミナなどの研磨剤、約0.1ミクロン〜約1ミクロンの間の粒子サイズを有するコロイダルシリカなどの増粘剤、およびニートフレーバーオイルのような、他の通常の成分を含みうる。口腔衛生用製品は、ナノ粒子が運搬される物理的な位置およびナノ粒子の用途に応じて適切に選択されうる。本発明に従う上述の典型的なデリバリーシステムは、生体接着性のナノ粒子の口腔内への効率的なデリバリーをもたらすため、好ましい。
【0066】
さらなる成分は、通常粒子の約1重量%〜約20重量%の量で存在する。
【0067】
I.ナノ粒子を形成するためのマトリクス材料
マトリクス材料を選択する際に考慮すべきこととしては、活性成分に対する優れたバリア特性、低い毒性および刺激性、安定性、結着性、並びに所定の活性剤を高度に取り込む能力が挙げられる。本発明の組成物および装置のための適当なワックス材料は、約30℃〜約90℃の範囲の融点および約1℃〜約10℃の浸透点を有する、不活性で無毒な材料である。ワックスの例としては、天然ワックス、合成ワックス、およびこれらの混合物が挙げられる。適当なワックスには、さらに、蜜ろうのような動物性ワックス、カルナバ、カンデリラ、サトウキビ、米ぬか、およびヤマモモのワックスのような植物性ワックス、パラフィンおよびマイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックスのような鉱物ワックスといった、天然ワックス、再生ワックス、または合成の食物認可ワックス、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
当業者に周知の他の疎水性材料、並びに「Industrial Waxes」,Vol.I and II,by Bennett F.A.I.C.,published by Chemical Publishing Company Inc.,1975、およびMartindale,「The Extra Pharmacopoeia」,The Pharmaceutical Press,28th Edition pp.1063−1072,1982に記載されているような適当な材料が、本発明において用いられてもよい。
【0069】
本発明に用いられうる適当な油脂材料および/またはグリセリド材料としては、特に制限されないが;モノ−、ジおよびトリグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロールおよびステロイド誘導体、テルペン、並びにビタミン;の脂質類が含まれる。本発明に用いられうる他の固形油脂材料の例として、固形硬化ひまし油および植物油、固形油脂、並びにこれらの混合物が挙げられる。用いられうる他の油脂材料としては、合成または天然源からの単離によって製造されうる、食品グレードの純度を有するトリグリセリドが挙げられる。天然源には、長鎖トリグリセリド(LCT)の源としての、動物性油脂または、大豆油などの植物油が含まれうる。本発明での使用に適当な他のトリグリセリドは、大部分が中鎖脂肪酸(C10〜C18)から構成され、中鎖トリグリセリド(MCT)として示される。かようなトリグリセリドの脂肪酸部分は不飽和または多価不飽和であってもよく、種々の脂肪酸材料を有するトリグリセリドの混合物であってもよい。油脂材料として用いられうるステロイドは、特に制限されないが、コレステロール、コレステロールサルフェート、コレステロールヘミスクシネート、6−(5−コレステロール−3−ベータ−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−アルファ−D−ガラクトピラノシド、6−(5−コレステン−3−ベータ−トロキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−アルファ−D−マンノピラノシドおよびコレステリル(4’−トリメチル−3,5−アンモニオ)ブタノエートが挙げられる。油脂材料は、特に制限されないが、飽和および不飽和脂肪酸、偶数および奇数脂肪酸、シスおよびトランス異性体、並びにアルコール、エステル、無水物、ヒドロキシ脂肪酸およびプロスタグランジンを含む脂肪酸誘導体を含みうる、脂肪酸並びにその誘導体であってもよい。用いられうる飽和および不飽和脂肪酸は、特に制限されないが、12〜22個の間の炭素原子をもつ直鎖または分岐した構造の分子が含まれる。用いられうる飽和脂肪酸の例として、特に制限されないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸が挙げられる。用いられうる不飽和脂肪酸の例として、特に制限されないが、ラウリン酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペテロセリン酸、およびオレイン酸が挙げられる。用いられうる分岐脂肪酸の例として、特に制限されないが、イソラウリン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、およびイソプレノイドが挙げられる。脂肪酸誘導体は、12−(((7’−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)−オクタデカン酸;N−[12−(((7’−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチル−アミノ)オクタデカノイル]−2−アミノパルミチン酸、N−スクシニル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、およびパルミトイル−ホモシステイン;および/またはこれらの組み合わせを含む。用いられうるモノ、ジおよびトリグリセリドまたはこれらの誘導体には、特に制限されないが、6〜24個の間の炭素原子をもつ脂肪酸を含む分子または脂肪酸の混合物、ジガラクトシルジグリセリド、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール;1,2−シジパルミトイル−sn−3−スクシニルグリセロール;および1,3−ジパルミトイル−2−スクシニルグリセロールが挙げられる。
【0070】
界面活性剤もまた疎水性マトリクスに封入され、一般にすべての食品認可のおよび製薬上許容される界面活性剤が含まれうる。
【0071】
ラウリル硫酸ナトリウムは水溶性の塩であり、白色もしくはクリーム色の粉末、結晶、またはフレークとして製造される。ドデシル硫酸ナトリウムとしても知られるラウリル硫酸ナトリウムは、おもにラウリル硫酸ナトリウムからなるアルキル硫酸ナトリウムの混合物であってよい。ラウリル硫酸ナトリウムは、硫酸モノドデシルエステルナトリウム塩としても知られる。さらに、ラウリル硫酸ナトリウムは、シグマまたはアルドリッチなどの商業的供給源から、固体の形態および溶液としての両方で、容易に入手できる。ラウリル硫酸ナトリウムの溶解度は10mlの水に対して約1gである。おもにラウリル酸からなるココナッツオイルの脂肪酸は、触媒水素化されて対応するアルコールを生成する。次いでアルコールは硫酸とエステル化(硫酸化)され、得られた二硫酸アルキル(アルキル硫酸)の混合物は、pHを制御した条件下でアルカリと反応させることによってナトリウム塩に変換される。
【0072】
本発明において界面活性剤として用いられる他のアニオン性界面活性剤には、ドキュセート塩(例えばそのナトリウム塩など)が挙げられる。他の適当なアニオン性界面活性剤には、特に制限されないが、アルキルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン酸塩、多価アルキルカルボン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、脂肪酸、ポリペプチド凝縮物、および硫酸エステルが挙げられる。
【0073】
本発明の他の実施形態においては、両性(両親媒性)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および/またはカチオン性界面活性剤が、本発明の共加工組成物における界面活性剤として用いられうる。適当な製薬上許容される非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン化合物、レシチン、エトキシル化アルコール、エトキシル化エステル、エトキシル化アミド、ポリオキシプロピレン化合物、プロポキシル化アルコール、エトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー、プロポキシル化エステル、アルカノールアミド、アミンオキシド、多価アルコールの脂肪酸エステル、エチレングリコールエステル、ジエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセロールエステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、SPAN(ソルビタンエステルなど)、TWEEN(すなわち蔗糖エステル)、グルコース(デキストロース)エステルおよびシメチコンが挙げられる。
【0074】
他の適当な製薬上許容される界面活性剤としては、アカシア、塩化ベンザルコニウム、コレステロール、乳化ワックス、モノステアリン酸グリセロール、ラノリンアルコール、レシチン、ポロキサマー、ポリオキシエチレン、およびひまし油誘導体が挙げられる。
【0075】
本発明のナノ粒子は、約30℃〜約90℃の範囲、好ましくは約40℃〜約90℃の範囲の融点を有しうる。粒子の融点は、通常は用いられるキャリアマトリクスの関数である。したがって、好ましいマトリクス材料は、約50℃〜約80℃、好ましくは約60℃〜約70℃の範囲の融点を有する。本発明のキャリアシステムの使用のために重要なのはキャリアマトリクスの融点よりも、むしろ粒子の融点であるということは理解されるべきである。
【0076】
II. マイクロ粒子を形成するためのマトリクス材料
湿度感受性および生体接着性材料
本発明のマイクロ粒子を形成するための湿度感受性材料は、水溶性および水分散性の合成ポリマーおよびコポリマー、デンプン誘導体、多糖、親水コロイド、天然ゴム、タンパク質、並びにこれらの混合物を含む。
【0077】
本発明に有用な合成水感受性ポリマーの例として、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸およびメタクリレートのアニオン性ポリマー、ジメチル−アミノエチルアンモニウム官能基をもつカチオン性ポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミドまたはポリエステルが挙げられる。
【0078】
水溶性ヒドロキシアルキルまたはカルボキシアルキルセルロースの例として、ヒドロキシエチルおよびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルおよびカルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルおよびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルカルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルカルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。これらのカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、特にそして好ましくはナトリウムおよびカリウム誘導体も有用である。
【0079】
本発明の実施に有用なポリビニルアルコールは、約75%〜約99%までの程度(加水分解度と称する)で加水分解されたポリ酢酸ビニルを用いた「ポリビニルアルコール」と称される、部分的におよび完全に加水分解されたポリ酢酸ビニルである。かような材料は、参照により本明細書中に引用される、1991年9月24日に発行された米国特許第5,051,222号の実施例I〜XIVのいずれの方法によっても調製されうる。
【0080】
本発明の実施に有用なポリビニルアルコールは、ペンシルヴェニア州ワーミニスターのゲーリング−モンゴメリー インコーポレイテッド(Gehring−Montgomery, Inc. of Warminister Pennsylvania)より市販されている、約14,000Daの分子量および約83%の加水分解度を有するモウィオール(Mowiol)(登録商標)3−83、モウィオール(登録商標)3−98、並びに、16,000Daの分子量を有する完全に加水分解された(98%)ポリビニルアルコールである。他の適当なポリビニルアルコールは:約15,000〜27,000Daの分子量および約88%の加水分解度を有し、ペンシルヴェニア州アレンタウンのエアー プロダクツ アンド ケミカルズ,インコーポレイテッド(Air Products & Chemicals, Inc. of Allentown, Pennsylvania)より市販されているエアヴォール(AIRVOL)(登録商標)205、並びに、15,000〜27,000Daの分子量および約99%の加水分解度を有し、ペンシルヴェニア州アレンタウンのエアー プロダクツ アンド ケミカルズ,インコーポレイテッドより市販されているバイネックス(VINEX)(登録商標)1025;約22,000〜26,000Daの分子量および約89%の加水分解度を有し、デュ ポン カンパニー,ポリマー プロダクツ デパートメント,ウィルミントン,デラウェア(the Du Pont Company, Polymer Products Department, Wilmington, Delaware)より市販されている、エルヴァノール(ELVANOL)(登録商標)51−05;約76%〜約79%の加水分解度を有し、英国CM20 2BH、エセックス州、ハーロウ市、テンプルフィールズのハーロウ ケミカル カンパニー リミテッド(Harlow Chemical Co. Ltd. Of Templefields, Harlow, Essex, England CM20 2BH)より市販されているアルコテックス(ALCOTEX)(登録商標)78、並びに、約86%〜約88%の加水分解度を有し、英国CM20 2BH、エセックス州、ハーロウ市、テンプルフィールズのハーロウ ケミカル カンパニー リミテッドより市販されているアルコテックス(登録商標)F88/4;並びに、日本 530、大阪市、北区、野崎町、9−6の日本合成化学工業株式会社(Nippon Gohsei K.K., The Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd., of No. 9−6, Nozaki Cho,Kita−Ku, Osaka, 530 Japan)より市販されている、ゴーセノール(GOHSENOL)(登録商標)GL−03およびゴーセノール(登録商標)KA−20である。
【0081】
適当な多糖は、例えばアラビアゴムのような天然ゴム、デンプン誘導体、デキストリン化および加水分解されたデンプンなどの、甘くない、コロイド状に溶解するタイプの多糖である。適当な多糖としては、ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニー(the National Starch and Chemical Company of Bridgewater, New Jersey)より市販されているカプール(Capule)(登録商標)、エヌ−ロック(N−Lok)(登録商標)、ハイ−キャップ(Hi−Cap)(商標)100またはハイ−キャップ(商標)200;アイオワ州マスカティーンのグレイン プロセシング コーポレイション(the Grain Processing Corporation of Muscatine, Iowa)より市販されているピュア−コート(Pure−Cote)(商標)などの、水に分散性の市販の加工デンプンがある。好ましい実施形態において、前記天然ゴムは、ミッドランド州ベルカンプのティーアイシー ガムズ インコーポレイテッド(TIC Gums Inc.Belcamp,Midland)より市販されているアラビアゴムである。適当な親水コロイドはキサンタン、マルトデキストリン、ガラクトマンナンまたはトラガカントであり、好ましくは、アイオワ州マスカティーンのグレイン プロセシング コーポレイションより市販されているマルトリン(Maltrin)(商標)M100、およびマルトリン(商標)M150のようなマルトデキストリンである。
【0082】
上皮表面または粘液の上へのナノ粒子のデポジションを向上させることによって、その口腔内での滞留時間が延長され、ドラッグデリバリーのための生体接着性システムの製薬上および医療上の性質が改善されうる。ナノ粒子またはマイクロ粒子マトリクスに生体接着性ポリマーを組み込むことは、粘膜内層を通るナノ粒子の吸収を制御または増大させるために、あるいは胃腸を通るナノ粒子の通過をさらに遅らせるために用いられうる。本明細書中で用いられる生体接着性ポリマーは、粘液上皮に通常の生理条件下で結合するものである。胃腸管での生体接着は2段階で進行する:(1)合成材料が粘液基質中に接触した点における粘弾性による変形、および(2)接着性合成材料と粘液または上皮細胞との間の結合の形成。一般には、ポリマーの組織への接着は、(i)物理的または機械的結合、(ii)1次または共有化学結合、および/または(iii)イオン結合のような2次化学結合によって達成されうる。物理的または機械的結合は、生体接着性材料を粘液または粘膜のひだのすきまにデポジットまたは包含することによって生じる。生体接着特性に寄与する2次化学結合は、ファンデルワールス相互作用のような分散性相互作用および水素結合のようなより強い特殊な相互作用を含みうる。水素結合を形成するおもな要因である親水性官能基は、ヒドロキシルおよびカルボキシル基を含む。本発明に用いられる適当な生体接着性ポリマーには、H.S.Sawhney,C.P.PathakおよびJ.A.HubellのMacromolecules.1993,26:581−587に記載されている生体内分解性ハイドロゲル、本明細書中に組み込まれる教示、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)およびポリ(フマル−コ−セバシン)酸を含む。
【0083】
無水モノマーまたはオリゴマーがポリマーに組み込まれた、増強された生体接着特性をもつポリマーが提供されうる。オリゴマー添加剤は、タンパク質、多糖、および合成生体適合性ポリマーを含む、広範囲の親水性および疎水性のポリマーに、混合されるか、または組み込まれうる。無水オリゴマーは、有機添加物単独での使用に加えて、金属酸化物粒子に結合して生体接着性を高めることができる。有機色素は、その電荷および疎水性/親水性によって、ポリマーに組み込まれたときのポリマーの生体接着特性を増大または減少させることができる。オリゴマー化合物を、通常は生体接着性のない広範囲の異なったポリマーに組み込むことで、粘膜などの組織の表面へのポリマーの接着性を増加させるために用いることができる。
【0084】
III. 香料、感覚マーカー、および他の活性成分
さまざまな香料および活性成分が、疎水性ナノ粒子マトリクス、水感受性マイクロ粒子マトリクス、またはナノ粒子とマイクロ粒子マトリクスとの両方に組み込まれうる。ナノ粒子に封入される活性成分、香料、および感覚マーカーは、マイクロ粒子に封入されるものと同じであっても異なっていてもよい。本発明の制御システムに香料が含まれうる。本発明のシステムに封入されうる香料は、任意の香料物質であってよく、香料作製者の要求に従って選択されうる。一般には、このような香料物質は、室温で大気圧より低い蒸気圧を特徴とする。本願で用いられる高沸点の芳香物質は、ほとんどの場合、室温で固体であるが、高沸点の液体も含みうる。アルデヒド、ケトン、エステルなどの物質を含む、さまざまな化学物質が芳香剤および香料の用途で知られている。より一般的には、さまざまな化学成分の複雑な混合物を含む天然の植物油および動物油、並びに浸出液が、芳香剤または香料としての用途で知られており、このような物質が本願で用いられうる。本発明で有用な香料は、単一の香料物質であってもよく、その組成が比較的簡単であってもよく、またはすべての任意の所望の香りを提供するために選択される、天然または合成の化学成分の極めて精巧で複雑な混合物を含んでもよい。
【0085】
本発明での使用に適当な香料物質は、いずれの文献も参照により本明細書中に組み込まれる、S.Arctander,Perfume Flavors and Chemicals,Vols.I and II,Aurthor,Montclair,N.J.およびMerck Index,8th Edition,Merck&Co.,Inc.Rahway,N.J.中に、より完全に記載されている。
【0086】
本発明の制御放出システムに含まれうる適当な冷却剤には、メントール、乳酸メンチル、エトキシ酢酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、炭酸エチル1−メンチル、(1S,3S,4R)−p−メント−8−エン−3−オール、メンチルピロリドンカルボキシレート、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミドなどの不揮発性メントール類似体(本明細書中に参照として組み込まれる、米国特許第4,136,163号に記載されている)、例えばN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(このようなアクリルカルボキサミドは本明細書中に参照として組み込まれる、米国特許第4,153,679号に記載されている)、例えばN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、および、例えばl−メントン−ld−イソメントングリセリンケタールなどのケタール冷却剤(本明細書中に参照として組み込まれる、WO 93/23005に記載されている)が挙げられる。用いられうる適当な冷却剤は、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、乳酸メンチル(Frescolat ML)、メントングリセリンアセタール(Frescolat MGA)およびエトキシ酢酸メンチル(Menglytate)である。
【0087】
さらなるビタミン、生体的にまたは栄養的に活性な化合物、食用活性成分、および製薬上活性な成分が本発明の制御放出システムに添加されうる。
【0088】
栄養補助成分は、例えば抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、などのビタミン、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、利用できる鉄、および鉄塩などの無機物、生きている乳酸菌、糸状菌、および酵母などの細菌のような微生物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、微量元素、オメガ−3脂肪酸および中鎖トリグリセリドなどの必須および/または高級不飽和脂肪酸、栄養補助食品、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、およびフィターゼなどの酵素、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、およびアミノ酸並びにこれらの混合物などの、健康を増進する、または疾患を予防する、または快適さを高める成分を含みうる。
【0089】
IV. 加工方法
IVa. ナノ粒子
本発明のナノ粒子中に封入される香料および活性成分は、(1)疎水性材料を融点を超える温度まで加熱して、溶融体を形成し、(2)前記第1の香料および前記第1の活性成分を前記溶融体中に溶解または分散させ、(4)前記溶融体を水相中に乳化し;そして(5)分散液を室温まで冷却して、微細な懸濁液を形成する、段階により調製されうる。
【0090】
香料および他の活性成分は疎水性の固体ナノ粒子に組み込まれうる。好ましくは、約1重量%〜約80重量%、より好ましくは約1重量%〜約60重量%の活性成分がナノ粒子の形成に用いられうる。
【0091】
IVb. マイクロ粒子
本発明の制御放出システムは、(a)選択された香料および活性成分を、ナノ粒子の疎水性の内部に導入し、(b)1以上の香料および活性成分、ナノ粒子、並びに水感受性材料を含む水性混合物を形成し、そして(c)本発明の混合物を噴霧乾燥させて、乾燥粉末組成物を形成する、段階により調製されうる。したがって、ナノ粒子は、マイクロ粒子構造中に封入されうる。ナノ粒子中に導入される香料および活性成分と同一であっても異なっていてもよい1以上の香料または活性成分が、マイクロ粒子構造中に導入されうる。
【0092】
多成分制御放出システムの製造工程は、以下の段階を含む:
(i)疎水性材料を融点を超える温度まで加熱して、溶融体を形成し;
(ii)前記第1の香料を前記溶融体中に溶解または分散させ;
(iii)前記第1の活性成分を、前記溶融体中に溶解または分散させ;
(iv)前記第2の香料、前記第2の活性成分、並びにデンプン誘導体、天然ゴム、ポリビニルアルコール、タンパク質、親水コロイド、またはこれらの混合物などの湿度感受性および/または生体接着性材料を水相中に溶解または分散させ;
(v)疎水性材料の融解温度を超えるまで組成物を加熱し;
(vi)この高温溶融体を前記水相と混合して分散液を形成し;
(vii)約1ミクロン〜約2ミクロンの粒子サイズを有する均質な微細分散液が得られるまで、前記融解温度超の温度で前記分散液を高い剪断力で均質化し;
(viii)前記分散液を室温まで冷却し;そして、
(ix)乳化混合懸濁液を噴霧乾燥させて、乾燥粉末組成物を形成する。
【0093】
均質化は、シンプルパドルまたはリボンミキサーのような、本技術分野において周知の種々のミキサーを用いた任意の適当な手法により行われてもよく、ただし、リボンまたはプラウブレンダー、ドラムアグロメレーター、および高剪断力ミキサーなどの他のミキサーが用いられてもよい。本工程に適当な装置としては、マサチューセッツ州エヴェレットのエーピーブイ ゴーリン インコーポレイテッド(APV Gaulin Inc.Everett,Massachusetts)から入手可能な、モデル ラニー 100 ラブ ホモジナイザー(model Rannie 100 lab homogenizer)、マサチューセッツ州イースト ロング メドウのシルヴァーソン マシーンズ(Silverson Machines.of East Long Meadow,Massachusetts)またはニュー ジャージー州スパータのスコット プロセシング エクイップメント コーポレイション(Scott Prossessing Equipment Corp. of Sparta,New Jersey)から入手可能な、ローターステーター高剪断力ミキサー、および他の高剪断力ミキサーが挙げられる。
【0094】
過剰な水分を除去する目的で、懸濁液をスプレー乾燥させる。噴霧乾燥は本技術分野において周知であり、主要な材料が香味油である食品、および主要な材料が芳香性油である化粧品などの多くの用途において商業的に用いられている。参照により本明細書中に組み込まれる、Balassa,“Microencapsulation in the Food Industry”,CRC Critical Review Journal in Food Technology,July 1971,pp.245−265;Barreto.“Spray Dried Perfumes for Specialties,Soap and Chemical Specialties”,December 1966;Maleeny,Spray Dried Perfumes,Soap and San Chem,Jan.1958,pp.135 et seq.;Flinn and Nack,“Advances in Microencapsulation Techniques”,Batelle Technical Review,Vo.16,No.2,pp.2−8(1967);米国特許第5,525,367号;および米国特許第5,417,153号を参照。
【0095】
好ましい実施形態において、活性剤はマイクロ粒子の約0.01重量%〜約60重量%、好ましくは約1重量%〜約50重量%のレベルで存在する。好ましい実施形態において、ナノ粒子は通常、マトリクス材料の約1重量%〜約80重量%、好ましくは約1重量%〜約60重量%のレベルで水感受性材料中に存在し、残りは芳香剤、香料、他の活性剤、および水感受性材料である。好ましい実施形態において、湿度感受性材料は通常、マトリクス材料の約1重量%〜約80重量%、好ましくは約1重量%〜約60重量%のレベルで存在し、残りは芳香剤、香料、他の活性成分、および疎水性材料である。
【0096】
一実施形態において、マイクロ粒子は、ナノ粒子を充分に封入しうる条件下で、選択された活性剤を含むナノ粒子を、ポリビニルアルコール、またはポリビニルアルコールおよび多糖の組成物と混合することにより、形成される。好ましくは、エマルジョンが形成されるまで、選択された活性剤をポリビニルアルコール、またはポリビニルアルコールおよび多糖の組成物と混合し、次いでこのエマルジョンを噴霧乾燥させることにより封入されたナノ粒子を形成する。好ましい実施形態において、湿度感受性マトリクスは、マトリクス材料の約1重量%〜約80重量%、好ましくは約1重量%〜約70重量%のレベルのポリビニルアルコール材料により形成され、残りは活性剤および最適量の多糖の重量である。他の実施形態において、ポリビニルアルコールは約1%〜約80%の量でマトリクス材料中に存在し、多糖の重量は約1%〜約80%の量で存在する。好ましい実施形態において、活性剤組成物は通常、約0.01重量%〜約80重量%、好ましくは約1重量%〜約50重量%の封入される活性剤のレベルで存在し、残りはポリビニルアルコール、またはポリビニルアルコールおよび多糖である。必要であれば、保存剤、界面活性剤などの本技術分野において公知の他の成分が、本発明の教示に従って用いられてもよい。本発明の多成分システムの粒子は、約0.5ミクロン〜約300ミクロン、より好ましくは約1ミクロン〜約200ミクロン、最も好ましくは約2ミクロン〜約50ミクロンのサイズを有する。本発明は、粒子の表面に、最小限の、好ましくは1%未満の活性剤を有する。
【0097】
ポリビニルアルコールは、揮発性芳香成分の透過に対する優れたバリア材料であり、その結果、本発明の制御放出システムは乾燥状態において知覚可能な香りを生じない。充分な量の、体液のような液体により湿らせる、または唇を湿らせると、例えば他のマトリクス材料に対するポリビニルアルコールの比など、マトリクスの組成に応じて、マトリクスは溶解して活性成分のバーストを提供するか、またはマトリクスを膨潤および軟化させて封入された活性剤を長時間にわたってゆっくりと放出する。異なる拡散速度を提供する、湿度により活性化される粒子を用いることも含まれる。例えば、湿度により活性化される粒子は、以下の速度のいずれかにより拡散しうる:
(i)単位時間あたり実質的に連続して放出される、定常状態または0次放出速度:
(ii)時間とともに放出速度が0へと減少する、1次放出速度;および
(iii)初速度は遅いが、続いて時間とともに増加する、遅延放出。
【0098】
多糖と組み合わせた、より少量のポリビニルアルコールを含むマトリクスと比較すると、マトリクス中の大量のポリビニルアルコールにより、より遅い放出速度が提供されることがわかっている。例えば、約70%〜約80%のポリビニルアルコールを有するマトリクスは、約30%〜約40%の多糖および約40%〜約50%のポリビニルアルコールを有するマトリクスよりも、より遅い放出速度を有する。例えば、約70%〜約80%の範囲のような大量のポリビニルアルコールがマトリクス中に用いられると、マトリクスは、マトリクスが湿度と接触したときから48時間までの長時間にわたって、活性剤の制御された放出を提供する。約30%〜約40%の量のポリビニルアルコールおよび約30%〜約40%の量の多糖のように、マトリクス中でポリビニルアルコールが多糖と組み合わされると、水分との接触によってより大量の活性剤が放出されて活性剤の「バースト」が提供され、活性剤は、例えばマトリクスが液体に接触したときから約6時間〜約24時間の範囲までのより短い時間にわたって放出される。一般的に、粒子の表面の活性剤は液体との接触により放出され、活性剤の残りは、マトリクスが溶解する場合にはバースト中に放出され、マトリクスが膨潤および軟化すると長時間にわたって放出される。
【0099】
分子拡散によって活性剤を長時間にわたって放出することを目的として、疎水性材料から形成されるナノ粒子は制御放出システムを提供する。ナノ粒子の疎水性マトリクス中の芳香剤、香料、および他の活性成分は、過渡拡散により放出されうる。ナノ粒子の疎水性マトリクス中に溶解している活性成分の放出速度の、早い時間および遅い時間での理論的な近似値は、下記の等式により算出されうる:
【0100】
【数1】

【0101】
ここで:
rは、シリンダーの半径であり;
は、無限大の時間後に制御放出システムから放出される芳香剤の量であり;
は、時間t後に制御放出システムから放出される芳香剤の量であり;そして、
は、マトリクス中の芳香剤または香料物質の拡散係数である。
【0102】
疎水性ナノ粒子から香料または他の活性剤が放出される放出速度は、一般的に、湿度感受性マトリクスから活性剤が放出される放出速度よりも遅い。活性剤は、活性剤の所望の放出時間に応じて、疎水性ナノ粒子または湿度感受性マトリクス中に導入されうる。例えば、所定の第1の活性剤は、製品が消費されるときに放出されるように湿度感受性のマトリクス中に導入され、所定の第2の活性剤は、前記第1の活性剤が放出される際または放出された後の長時間にわたって放出されるように、疎水性ナノ粒子中に導入されうる。例えば、本発明に従って形成される湿度感受性マトリクスは、湿度との接触で第1の活性剤を放出して、第1の活性剤の持続的な放出とともに「バースト」を提供することができ、本発明に従って形成されるナノ粒子は、放出速度に応じて、数時間内のような初期から数日まで、活性剤を放出しうる。
【0103】
V. 生体接着性の測定
口腔は、角質化されていない、層をなした扁平上皮細胞が並んでいる。これらの型の上皮細胞はまた、食道、膣、および頸部を含む他の柔らかい組織の表面にも並ぶ。ナノ粒子が口腔内に接着および滞在する能力を決定するために用いられるHeLa細胞系は、上皮性細胞系であり、当初は頸部の腫瘍から得られた。HeLa細胞は、10%のウシ胎仔血清を含むイーグルス社のミニマルエッセンシャルミディアム(Minimal Essential Medium(Eagles))で培養した。ナノ粒子の細胞表面への接着性を試験するために、HeLa細胞を2mlの培地中で1ディッシュ(35mm)あたり2×10細胞の密度で平地培養する。各データ点に3つのディッシュをシードする。次の日、ナノ粒子を1mlの培地に分散させる。細胞が培養された培地を吸引し、すぐにナノ粒子を含む培地に移す。例えば5分、15分、および30分などの時間で、ナノ粒子を重力で細胞に接着させる。唾液によって口に入ることまたは歯ブラシの後で口を水ですすぐことをシュミレートして、各時間で培地を吸引し、細胞表面を2mlの培地で2回静かにリンスする。オリンパスIX−70倒立蛍光顕微鏡およびプリンストン インスツルメンツ(Princeton Instruments)のマイクロマックス(Micromax)冷却CCDカメラを用いて細胞を速やかに画像化する。画像を保存し記録し、アイピー ラブ、サイエンティフィック イメージング ソフトウェア(IPLab Scientific Imaging Software)(ヴァージニア州、スキャナリティクス インコーポレイテッド(Scanalytics,Inc,VA))を用いて解析し、単位領域あたりの細胞に接着した粒子の数を決定する。各ディッシュについて、3つのランダムな領域の画像を解析する。1回の実験で、各時間ごとに全部で9つのデータ点が得られる。9つのデータ点を平均する。各実験を少なくとも3回繰り返す。3回以上の独立した実験から得られた結果を平均して、平均値±標準偏差(SD)として表す。スチューデンツ t−テスト法(Student’s t−test method)を用いた、スタットビュー(StatView)プログラムを用い、データを統計的に解析し、群の間の差が統計的に有意であるかを決定する。p<0.05であれば結果は有意であると認められる。本発明のナノ粒子のHeLa培養細胞に接着する能力を図2に示す。図3は、実施例1〜4に記載されるナノ粒子の、HeLa細胞への特異的な接着を示す。
【0104】
以下の実施例により、本発明はさらに説明されうる。ただし、これらの実施例は単に例示の目的で含まれており、そうでないと特記しない限り本発明の範囲を制限することを意図するものではないと理解されるであろう。本明細書中、詳細な説明、実施例および特許請求の範囲に記載の百分率、比率、および部は、全て質量基準であり、そうでないと特記しない限り概略値である。
【実施例】
【0105】
二元的な香料の制御放出システムの調製
実施例1
以下の手法により、長時間にわたってビタミンEを運搬するとともに香りの変化を提供する、制御放出システムを調製する。ペパーミント香料およびビタミンEを疎水性ナノ粒子に封入し、フルーツ香料を水感受性マイクロ粒子に封入する。ナノ粒子の疎水性マトリクスは、ニューヨーク州ウエスト バビロンのストラール アンド ピッチ インコーポレイテッド(Stahl & Pitsch Inc. of West Babylon, New−York)から市販されている、カンデリラワックスである。マイクロ粒子の水感受性マトリクスは、ハイ−キャップ(商標)100(ニュー ジャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニーから市販されている)である。
【0106】
100gのカンデリラワックスを80℃のオーブン中に仕込み、溶融させる。多目的シリコンラバーヒーター(コール−パルマー インストゥルメント カンパニー(Cole−Palmer Instrument Company))を装着した1ガロン容器中に、1500gの脱イオン水を仕込む。500gのハイ−キャップ(商標)100(ニュー ジャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニーから市販されている)を水に添加し、この水溶液をプロペラミキサーを用いて混合しながら90℃まで加熱した。カンデリラワックスをオーブンから取り出し、50gのペパーミント香料(ニュー ジャージー州サウス ハッケンサックのノヴァイル インコーポレイテッド(Noville Inc.of South−Hackensack,NewJersey)から市販されている)および50gのビタミンE(ニュー ジャージー州リトル フォールのジーン インターナショナル コーポレイション(JEEN International Corporation of Little Fall,New−Jersey)から市販されている)をこの溶融体中にガラス棒を用いて手動で混合する。この香料/ビタミンE/ワックス混合物を水溶液中に注ぎ、この分散液および300gのフルーツ香料(ニュー ジャージー州サウス ハッケンサックのノヴァイル インコーポレイテッドから市販されている)を、エーピーブイ ゴーリン インコーポレイテッド(APV Gaulin Inc)から入手可能なラニー 100 ラブ ホモジナイザーを用いて20,000psiで均質化する。この分散液をチューブインチューブ型の熱交換器(モデル 00413,エナジー インコーポレイテッド ハンソン マサチューセッツ(Model 00413,Energy Inc. Hanson Massachusetts))中を通過させることにより室温まで冷却し、懸濁液を形成する。得られた懸濁液を、ボーウェン ラブ モデル ドライヤー(ニュー ジャージー州ミドルセックスのスプレー−テック製)(Bowen Lab Model Drier(at Spray−Tek of Middlesex,New Jersey))により、380°Fの入口温度、225°Fの出口温度、および45,000r.p.m.のホイール速度で、250c.f.m.の空気を用いて噴霧乾燥させて、固体疎水性ナノ粒子中に封入された5%のペパーミント香料および5%のビタミンEを含有する、流動性の乾燥粉末を製造する。得られた制御放出システムは、5%のペパーミント香料、5%のビタミンE、10%のカンデリラワックス、30%のフルーツ香料、および50%の水感受性材料を含む。
【0107】
実施例2
以下の手法により、長時間にわたって冷却剤を放出するとともに香りの変化を提供する、制御放出システムを調製する。冷却剤(WS−3、フロリダ州ジャクソンヴィルのミレニアム スペシャリティ ケミカルズ(Millennium Specialty Chemicals,of Jacksonville,Florida)から市販されている)を疎水性ナノ粒子に封入し、フルーツ香料(ニュー ジャージー州サウス ハッケンサックのノヴァイル インコーポレイテッドから市販されている)を水感受性マイクロ粒子に封入する。ナノ粒子の疎水性マトリクスは、ニューヨーク州ウエスト バビロンのストラール アンド ピッチ インコーポレイテッド(Stahl & Pitsch Inc. of West Babylon, New−York)から市販されている、カンデリラワックスである。マイクロ粒子の水感受性マトリクスは、ハイ−キャップ(商標)100(ニュー ジャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニーから市販されている)である。
【0108】
150gのカンデリラワックスを80℃のオーブン中に仕込み、溶融させる。多目的シリコンラバーヒーター(コール−パルマー インストゥルメント カンパニー(Cole−Palmer Instrument Company))を装着した1ガロン容器中に、1500gの脱イオン水を仕込む。450gのハイ−キャップ(商標)100(ニュー ジャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニーから市販されている)を水に添加し、この水溶液をプロペラミキサーを用いて混合しながら90℃まで加熱した。カンデリラワックスをオーブンから取り出し、100gの冷却剤(WS−3、フロリダ州ジャクソンヴィルのミレニアム スペシャリティ ケミカルズから市販されている)をこの溶融体中にガラス棒を用いて手動で混合する。この冷却剤/ワックス混合物を水溶液中に注ぎ、この分散液および300gのフルーツ香料(ニュー ジャージー州サウス ハッケンサックのノヴァイル インコーポレイテッドから市販されている)を、エーピーブイ ゴーリン インコーポレイテッドから入手可能なラニー 100 ラブ ホモジナイザーを用いて20,000psiで均質化する。この分散液をチューブインチューブ型の熱交換器(モデル 00413,エナジー インコーポレイテッド ハンソン マサチューセッツ)中を通過させることにより室温まで冷却し、懸濁液を形成する。得られた懸濁液を、ボーウェン ラブ モデル ドライヤー(ニュー ジャージー州ミドルセックスのスプレー−テック製)により、380°Fの入口温度、225°Fの出口温度、および45,000r.p.m.のホイール速度で、250c.f.m.の空気を用いて噴霧乾燥させて、固体疎水性ナノ粒子中に封入された10%の冷却剤を含有する、流動性の乾燥粉末を製造する。得られた制御放出システムは、10%の冷却剤、15%のカンデリラワックス、30%のフルーツ香料、および45%の水感受性材料を含む。
【0109】
実施例3
以下の手法により、シトラールを疎水性ナノ粒子に封入することによってシトラールを酸化から保護し、長時間にわたって持続するシトラールの感触を提供する、制御放出システムを調製する。ナノ粒子の疎水性マトリクスは、ニューヨーク州ウエスト バビロンのストラール アンド ピッチ インコーポレイテッドから市販されている、カルナバワックスである。マイクロ粒子の水感受性マトリクスは、ハイ−キャップ(商標)100(ニュー ジャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニーから市販されている)である。
【0110】
250gのカルナバワックス(ニューヨーク州ウエスト バビロンのストラール アンド ピッチ インコーポレイテッドから市販されている)および50gのポリソルベート 80(polysorbate 80)(ニュー ジャージー州マウント オリーブのBASF(BASF of Mt.Olive,New Jersey)からT−MAZ(登録商標)の商品名で市販されている)を90℃のオーブン中に仕込み、溶融させる。多目的シリコンラバーヒーター(コール−パルマー インストゥルメント カンパニー)を装着した1ガロン容器中に、1800gの脱イオン水を仕込む。500gのハイ−キャップ(商標)100(ニュー ジャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニーから市販されている)を水に添加し、この水溶液をプロペラミキサーを用いて混合しながら90℃まで加熱した。溶融体をオーブンから取り出し、200gのシトラール(ニュー ジャージー州サウス ハッケンサックのノヴァイル インコーポレイテッドから市販されている)をこの溶融体中にガラス棒を用いて手動で混合する。このシトラール/カルナバ/ポリソルベート 80の混合物を水溶液中に注ぎ、この分散液を、エーピーブイ ゴーリン インコーポレイテッドから入手可能なラニー 100 ラブ ホモジナイザーを用いて20,000psiで均質化する。この分散液をチューブインチューブ型の熱交換器(モデル 00413,エナジー インコーポレイテッド ハンソン マサチューセッツ)中を通過させることにより室温まで冷却し、懸濁液を形成する。得られた懸濁液を、ボーウェン ラブ モデル ドライヤー(ニュー ジャージー州ミドルセックスのスプレー−テック製)により、380°Fの入口温度、225°Fの出口温度、および45,000r.p.m.のホイール速度で、250c.f.m.の空気を用いて噴霧乾燥させて、固体疎水性ナノ粒子中に封入された20%のシトラールを含有する、流動性の乾燥粉末を製造する。得られた制御放出システムは、20%のシトラールを含む。
【0111】
実施例4
以下の手法により、メントールを感覚マーカーとして、および塩化セチルピリジニウム(CPC)を生物活性成分と生体接着性/粘膜接着性界面活性剤との双方のために含む、多成分制御放出システムを調製する。ナノ粒子の疎水性マトリクスは、ニューヨーク州ウエスト バビロンのストラール アンド ピッチ インコーポレイテッドから市販されている、カンデリラワックスからなる。
【0112】
300gのカンデリラワックスを80℃のオーブン中に仕込み、溶融させる。多目的シリコンラバーヒーター(コール−パルマー インストゥルメント カンパニー)を装着した1ガロン容器中に、1600gの脱イオン水を仕込む。495gのカプセルスターチ(Cupsul Starch)(ニュー ジャージー州ブリッジウォーターのナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニーから市販されている)および5gのCPCを水に添加し、この水溶液をプロペラミキサーを用いて混合しながら90℃まで加熱した。カンデリラワックスの溶融体をオーブンから取り出し、200gのメントールをこのワックス中にガラス棒を用いて手動で混合する。このメントール/ワックスの混合物を水溶液中に注ぎ、この分散液を、エーピーブイ ゴーリン インコーポレイテッドから入手可能なラニー 100 ラブ ホモジナイザーを用いて20,000psiで均質化する。この分散液をチューブインチューブ型の熱交換器(モデル 00413,エナジー インコーポレイテッド ハンソン マサチューセッツ)中を通過させることにより室温まで冷却し、懸濁液を形成する。得られた懸濁液を、ボーウェン ラブ モデル ドライヤー(ニュー ジャージー州ミドルセックスのスプレー−テック製)により、380°Fの入口温度、225°Fの出口温度、および45,000r.p.m.のホイール速度で、250c.f.m.の空気を用いて噴霧乾燥させて、固体疎水性ナノ粒子中に封入された20%のメントールおよびマイクロ粒子の水感受性マトリクス中に0.05%のCPCを含有する、流動性の乾燥粉末を製造する。
【0113】
ナノ粒子の形状およびサイズを、試料を走査電子顕微鏡(SEM)下で観察することによって確認した。SEM観察によって、実施例1のナノ粒子は、平均粒子サイズが約1ミクロンの、事実上の球形であることが示された。上述の技術を用いて、ナノ粒子のインビトロの生体接着性の測定を行った。粒子の細胞への接着の測定は、上述のように、ナノ粒子について、適切な制御をして、培養されたヒトの上皮のHeLa細胞をモデル系として用いて行った。ナノ粒子は培養されたHeLa細胞に対して非常に高い生体接着特性を示すことが観察された。
【0114】
実施例1〜4のナノ粒子は非常に高い生体接着特性を示し、口腔衛生用品(本明細書中に参照として組み込まれる、1999年3月16日に発行された“Dentifrices Composition”と題する米国特許第5,882,630号に従う)だけでなく、飲料、食品に用いられると、感覚マーカーおよび他の活性成分の放出を長時間にわたって持続する能力を示す。
【0115】
実施例5
歯磨き粉の使用
10gの実施例1〜3の懸濁液を、90gの歯磨き粉組成物;本明細書中に参照として組み込まれる、1999年3月に発行された“Dentifrices Composition”と題する米国特許第5,882,630号に記載され、以下を含む;と混合した。
【0116】
【表1】

【0117】
1%のニートメントールを含む歯磨き粉および実施例4に記載の本発明の多成分デリバリーシステムを含む他の試料を、1gの歯磨き粉で歯をブラッシングした後歯を50mlの水で2回リンスすることによって、歯に塗布した。
【0118】
ナノ粒子を含む製品と同じ量のニート香料を含む同様の製品を塗布した後、口中の香りの感覚を官能検査で評価した。製品を塗布した後、10分後、1時間後、および3時間後にどの製品が最も強い香りの感覚を与えるかを(0〜10のスケールを用いて)決定するパネルテストを行った。
【0119】
【表2】

【0120】
本発明の多成分制御放出システムを含む歯磨き粉は、ニートメントールを含む試料に比べて、長時間にわたってより強いメントールの感覚を提供した。本発明の多成分システムを含む歯磨き粉は、より優れた特性を有し、より長く続くメントールの感覚を提供することが容易に明らかになった。
【0121】
制御放出システムのチョコレートへの組み込み
実施例6
実施例3に記載の制御放出システムを、市販のネスレ(Nestle)(登録商標)料理用チョコレートに組み込んだ。同じ量のニートシトラールオイルを同様に市販のネスレ(登録商標)料理用チョコレートに組み込んだ。図4に示すように、本発明のデリバリーシステムの、シトラールを酸化から保護し、その放出を持続させる能力を30℃における重量減少によって決定した。
【0122】
その結果、はじめの100時間の間に、ニートオイルを含むチョコレートからは約20%のシトラールが失われたが、本発明の制御放出システムに封入されたシトラールを含むチョコレートからは、シトラールは減少しないことが明らかになった。
【0123】
実施例7
実施例1および2に記載の制御放出システムを、市販のネスレ(Nestle)(登録商標)料理用チョコレートに組み込んだ。実施例1および2の制御放出システムを含むチョコレートの、チョコレートを食べたときに高衝撃芳香「バースト」を生じさせ、香りの変化を与え、長時間にわたって口中に香りの感覚を持続させる能力を評価した。
【0124】
チョコレートバーをテストし、香りの強度に加えて香りの特性を評価した。チョコレートをテストして1分後に、香りの変化がはっきりと感じられた。実施例2および3のデリバリーシステムを含むチョコレートの冷却の感覚は、製品を消費した3時間後に感じられた。
【0125】
制御放出システムの粉末飲料への組み込み
実施例8
実施例3の制御放出システムを含む粉末飲料の性能(すなわち、長時間にわたって持続するシトラスの口中の感覚を生じさせる能力)を評価し、ニートシトラールを同じ量で含む同様の製品の性能と比較した。
【0126】
ナノ粒子を含む上述の飲料と、同じ量のニート香料を含む同様の飲料を使用した後、口中の香りの感覚を官能検査で評価した。製品を消費した後、1分後、10分後、および20分後にどの製品が最も強い香りの感覚を与えるかを(0〜10のスケールを用いて)決定するパネルテストを行った。
【0127】
【表3】

【0128】
上記の実施形態は、本発明の原理が適用されうる多くの可能な具体的な実施形態のほんのいくつかを例示するためのものであると解される。当業者によれば、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、これらの原理に従って、容易に多くの多様な変更がなされうる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の制御放出システムの模式図である。
【図2】HeLa培養細胞に接着する生体接着性ナノ粒子のイメージである。
【図3】HeLa培養細胞に接着する実施例1〜4の生体接着性ナノ粒子のイメージである。
【図4】ニートシトラールオイルを含むチョコレートからのシトラールの重量減少(%)と、本発明の制御放出システムに封入されたシトラールを含むチョコレートからのシトラールの重量減少(%)のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性材料で形成される複数個の固体ナノ粒子を含み、前記疎水性材料が天然ワックス、合成ワックス、油脂、グリセリド、脂肪酸、脂肪酸誘導体およびこれらの混合物を含み、それぞれの前記固体ナノ粒子が有効量の第1の活性剤を含むコアを含み、前記複数個のナノ粒子が湿度感受性マイクロ粒子中に均質に分散され、前記マイクロ粒子が前記コアを囲む湿度感受性材料および生体接着性材料で形成されるか、または前記湿度感受性材料に含まれる前記生体接着性材料で形成され、前記湿度感受性マトリクス材料が水溶性合成ポリマー、水分散性合成ポリマー、デンプン誘導体、天然ゴム、多糖、タンパク質、親水コロイドおよびこれらの混合物を含む;
口腔またはさまざまな組織の粘膜を含む生体表面へのデリバリーのための多成分湿度活性化制御放出デリバリーシステム。
【請求項2】
前記疎水性材料が30℃〜90℃の範囲の融点を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記疎水性材料がカルナバワックスを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記疎水性材料がカンデリラワックスを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記湿度感受性マトリクス材料が、水分との接触により、およびその後連続的に長時間にわたって活性剤を放出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記水溶性合成ポリマーが:ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸およびメタクリレートのアニオン性ポリマー、ジメチル−アミノエチルアンモニウム官能基をもつカチオン性ポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミドおよびポリエステル並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記天然ゴムがアラビアゴムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ナノ粒子が界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記生体接着性材料が、生体内分解性ハイドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)およびポリ(フマル−コ−セバシン)酸並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記生体接着性材料が、無水モノマーまたはオリゴマーを含むポリマーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の活性剤が、香料または冷却剤の感覚マーカーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記冷却剤が;メントール、不揮発性メントール類似体、乳酸メンチル、エトキシ酢酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、炭酸エチル1−メンチル、(1S,3S,4R)−p−メント−8−エン−3−オール、メンチルピロリドンカルボキシレート、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、ケタール冷却剤、l−メントン−ld−イソメントングリセリンケタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、乳酸メンチル、メントングリセリンアセタールおよびエトキシ酢酸メンチルからなる群から選択される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の活性剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される栄養補助成分である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
1以上の両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記湿度感受性マトリクスが第2の活性剤を含み、前記第2の活性剤が前記第1の活性剤と同じであるかまたは異なり、前記湿度感受性マトリクス材料が、水分との接触により、およびその後連続的に長時間にわたって前記第2の活性剤を放出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の活性剤が、香料または冷却剤の感覚マーカーである、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記冷却剤が;メントール、不揮発性メントール類似体、乳酸メンチル、エトキシ酢酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、炭酸エチル1−メンチル、(1S,3S,4R)−p−メント−8−エン−3−オール、メンチルピロリドンカルボキシレート、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、ケタール冷却剤、l−メントン−ld−イソメントングリセリンケタール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、乳酸メンチル、メントングリセリンアセタールおよびエトキシ酢酸メンチルからなる群から選択される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2の活性剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される栄養補助成分である、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記ナノ粒子が、約0.01ミクロン〜約10ミクロンの範囲の平均粒子径を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記湿度感受性マイクロ粒子が、有効量の前記第2の活性剤を放出して前記活性剤のバーストを提供する、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の活性剤の前記バーストの後、前記第2の活性剤が連続的に長時間にわたって放出される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
(i)前記疎水性材料を前記疎水性材料の融点を超える温度まで加熱して溶融液を形成し;
(ii)前記第1の活性剤を前記溶融液に溶解または分散させ;
(iii)前記湿度感受性マトリクス材料および前記生体接着性材料を水相に溶解または分散させ、組成物を形成し;
(iv)段階(ii)で形成される混合物の融点を越える温度に前記組成物を加熱し、熱溶融液を形成し;
(v)段階(ii)の前記熱溶融液を段階(iii)で形成される水溶液と混合して分散液を形成し;
(vi)均質な微細分散液が得られるまで段階(v)で形成される前記材料混合物の融解温度を超える温度で懸濁液を高い剪断力で均質化し;
(vii)前記懸濁液を室温まで急速に冷却し分散液を形成し;そして、
(viii)前記冷却分散液を噴霧乾燥して乾燥粉末組成物を形成する、
段階を含む、請求項1に記載のシステムの製造方法。
【請求項23】
請求項1に記載のシステムを含む口腔ケア製品。
【請求項24】
請求項1に記載のシステムを含む、口腔ケアにおける使用に適した歯磨き粉。
【請求項25】
請求項1に記載のシステムを含む、口腔ケアにおける使用に適したチューインガム。
【請求項26】
請求項1に記載のシステムを含む、口腔ケアにおける使用に適した製菓組成物。
【請求項27】
請求項1に記載のシステムを含む、口腔ケアにおける使用に適した薬剤組成物。
【請求項28】
請求項1に記載のシステムを含む、口腔ケアにおける使用に適した歯磨剤組成物。
【請求項29】
請求項1に記載のシステムを含む食品。
【請求項30】
前記第1の活性剤が香料、感覚マーカーまたは栄養補助剤を含む、請求項29に記載の食品。
【請求項31】
前記香料が;結晶性成分、乳製品、香辛料、天然香料、人工香料、増粘剤、タンパク質化合物、植物ゴムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の食品。
【請求項32】
前記栄養補助剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項30に記載の食品。
【請求項33】
前記第1の活性剤および前記第2の活性剤が、香料、感覚マーカーまたは栄養補助剤の1以上から選択される、請求項15に記載の食品。
【請求項34】
前記香料が;結晶性成分、乳製品、香辛料、天然香料、人工香料、増粘剤、タンパク質化合物、植物ゴムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項33に記載の食品。
【請求項35】
前記栄養補助剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項33に記載の食品。
【請求項36】
請求項1に記載のシステムを含む、水を添加可能なソースまたはスープ組成物。
【請求項37】
前記第1の活性剤が、香料、感覚マーカーまたは栄養補助剤を含む、請求項36に記載の水を添加可能なソースまたはスープ組成物。
【請求項38】
前記香料が;結晶性成分、乳製品、天然香料、人工香料、増粘剤、タンパク質化合物、植物ゴムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の水を添加可能なソースまたはスープ組成物。
【請求項39】
前記栄養補助剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項37に記載の水を添加可能なソースまたはスープ組成物。
【請求項40】
前記第1の活性剤および前記第2の活性剤が、香料、感覚マーカーまたは栄養補助剤の1以上から選択される、請求項15に記載の食品。
【請求項41】
前記香料が;結晶性成分、乳製品、香辛料、天然香料、人工香料、増粘剤、タンパク質化合物、植物ゴムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項40に記載の水を添加可能なソースまたはスープ組成物。
【請求項42】
前記栄養補助剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される栄養補助成分を含む、請求項40に記載の食品。
【請求項43】
請求項1に記載のシステムを含む飲料。
【請求項44】
前記飲料が粉末混合飲料または液体状飲料である、請求項32に記載の飲料。
【請求項45】
前記第1の活性剤が香料、感覚マーカーまたは栄養補助剤を含む、請求項43に記載の飲料。
【請求項46】
前記香料が;結晶性成分、乳製品、香辛料、天然香料、人工香料、増粘剤、タンパク質化合物、植物ゴムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項45に記載の飲料。
【請求項47】
前記栄養補助剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される栄養補助成分を含む、請求項45に記載の飲料。
【請求項48】
前記第1の活性剤が香料、感覚マーカーまたは栄養補助剤を含む、請求項15に記載の飲料。
【請求項49】
前記香料が;結晶性成分、乳製品、香辛料、天然香料、人工香料、増粘剤、タンパク質化合物、植物ゴムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項48に記載の飲料。
【請求項50】
前記栄養補助剤が;抗酸化剤、植物化学物質、ホルモン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸塩、葉酸、プロビタミン、無機物、カルシウム、セレン、マグネシウム塩、鉄、鉄塩、微生物、細菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、プレバイオティクス、プロバイオティクス、不飽和脂肪酸、オメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、栄養補助食品、酵素、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、顔料、オリゴペプチド、ジペプチド、アミノ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される栄養補助成分を含む、請求項48に記載の飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−523221(P2006−523221A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508716(P2006−508716)
【出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/004003
【国際公開番号】WO2004/082660
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(503272069)サルヴォナ エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】