説明

補助ポンプ駆動制御装置

【課題】補助ポンプの小型化が可能で、車載性および重量の点で有利な補助ポンプ駆動制御装置を提供すること。
【解決手段】エンジンにより駆動されてコントロールバルブユニット13に油圧を送るメカオイルポンプOP1と、エンジンEとは異なるポンプ駆動源により駆動され、補助吸入油路31を介してオイルを吸引し、コントロールバルブユニット13に補助吐出油路32を介して油圧を送る電動オイルポンプOP2と、補助吐出油路32とオイル貯留部12aとを接続した副吸入油路40と、電動オイルポンプOP2の駆動を制御し、電動オイルポンプOP2の駆動開始時には、電動オイルポンプOP2を逆転駆動させる駆動準備処理を実行する補助ポンプ駆動制御手段と、を備えていることを特徴とする補助ポンプ駆動制御装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧で作動する油圧供給対象に油圧を供給する油圧源として、主ポンプと補助ポンプとを備えた装置において、補助ポンプの駆動制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駆動源としてエンジンとモータとの2つの異なる駆動源を備えたいわゆるハイブリッド車両が知られている。また、このようなハイブリッド車両では、駆動源からの駆動力の伝達経路の途中に設けられた摩擦係合要素などの油圧作動機構に油圧を供給する油圧供給源として、エンジンにより駆動されて油圧を発生させる主ポンプと、エンジンの停止時に、電動機により駆動されて油圧を発生させる補助ポンプとを備えたものが、例えば、特許文献1などにより知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−356148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、寒冷地などにおいての低温時に、補助ポンプや配管に残存するオイル温度が低温となりオイル粘度が高くなり、補助ポンプの駆動開始時点での負荷が大きくなる。
このため、補助ポンプを駆動させるモータとして、低温時の高負荷でも駆動可能な出力が必要となり、補助ポンプの大型化を招き、車載性悪化および重量増を招くという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、補助ポンプの小型化が可能で、車載性および重量の点で有利な補助ポンプ駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の補助ポンプ駆動制御装置は、駆動源とは異なるポンプ駆動源により駆動され、駆動時に、オイル源から補助吸入油路を介してオイルを吸引して油圧供給対象に補助吐出油路を介して油圧を送る補助ポンプと、前記補助吐出油路とオイル源とを接続した副吸入油路と、前記補助ポンプの駆動を制御し、前記補助ポンプの駆動開始時には、前記補助ポンプを、前記油圧供給対象に油圧を送る回転方向とは逆の回転方向で駆動させる駆動準備処理を実行する補助ポンプ駆動制御手段と、を備えていることを特徴とする補助ポンプ駆動制御装置とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の補助ポンプ駆動制御装置にあっては、補助ポンプ駆動制御手段は、補助ポンプの駆動開始時に、駆動準備処理を実行し、補助ポンプを逆転駆動させる。この逆転駆動により、副吸入油路を介してオイル源のオイルが補助ポンプに吸入され、補助吸入油路に吐出される。
このとき、外気温度の影響で、補助ポンプおよび補助吸入油路のオイルが、低温・高粘性になっていても、補助ポンプは、外気に影響を受けているオイルに対し相対的に高温・低粘性のオイル源に貯留されたオイルを吸入するため、油圧供給対象に油圧を送る回転方向で駆動させる時に比べて低負荷で駆動することができる。
さらに、補助ポンプの油圧供給対象に油圧を送る回転方向とは逆の回転方向に駆動させることにより、オイル源の相対的に高温・低粘性のオイルが、副吸入油路に供給されるため、その後、補助ポンプの正転駆動を開始した時点では、この駆動準備処理により供給された高温・低粘性のオイルを吸入することになり、低温の影響を受けた高粘性のオイルを吸入した場合と比較して、低負荷で駆動させることができる。
このように、低温時でも、補助ポンプを低負荷で駆動可能であるため、補助ポンプの小型化が可能で、車載性および重量の点で有利とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の補助ポンプ駆動制御装置が適用されたハイブリッド車両の一例を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の補助ポンプ駆動制御装置の油圧回路を示す概略図である。
【図3】実施例1の補助ポンプ駆動制御装置の駆動準備処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例1との比較例の作動例を示すタイムチャートである。
【図5】実施例1の補助ポンプ駆動制御装置の作動例を示すタイムチャートである。
【図6】実施例2の補助ポンプ駆動制御装置の油圧回路を示す概略図である。
【図7】実施例2の補助ポンプ駆動制御装置の作動例を示すタイムチャートである。
【図8】実施例3の補助ポンプ駆動制御装置の油圧回路を示す概略図である。
【図9】実施例3の補助ポンプ駆動制御装置の作動例を示すタイムチャートである。
【図10】実施例4の補助ポンプ駆動制御装置の油圧回路を示す概略図である。
【図11】実施例4の補助ポンプ駆動制御装置の作動例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態の補助ポンプ駆動制御装置は、車両の駆動輪(FL,FR)を駆動させる駆動源(E)と、駆動源(E)により駆動され、駆動時に、オイル源(12a)から主吸入油路(21)を介してオイルを吸引し、油圧により駆動される油圧供給対象(13)に主吐出油路(22)を介して油圧を送る主ポンプ(OP1)と、前記駆動源(E)とは異なるポンプ駆動源により駆動され、駆動時に、前記オイル源(12a)から補助吸入油路(31)を介してオイルを吸引し、前記油圧供給対象(13)に補助吐出油路(32)を介して油圧を送る補助ポンプ(OP2)と、前記補助吐出油路(32)と前記オイル源(12a)とを接続した副吸入油路(40)と、前記補助ポンプ(OP2)の駆動を制御し、前記補助ポンプ(OP2)の駆動開始時には、前記補助ポンプ(OP2)を、前記油圧供給対象(13)に油圧を送る回転方向とは逆の回転方向で駆動させる駆動準備処理を実行する補助ポンプ駆動制御手段(7)と、を備えていることを特徴とする補助ポンプ駆動制御装置である。
【実施例1】
【0010】
図1〜図5に基づき、この発明の最良の実施の形態の実施例1の補助ポンプ駆動制御装置について説明する。
【0011】
まず、実施例1の補助ポンプ駆動制御装置を適用したハイブリッド車両の概略を説明する。
【0012】
(駆動系)
実施例1の補助ポンプの駆動制御装置を適用したハイブリッド車両の駆動系の構成を説明する。
【0013】
図1は実施例1の補助ポンプ駆動制御装置が適用された前輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【0014】
実施例1を適用したハイブリッド駆動システムは、図1に示すように、エンジン(駆動源)Eと、クラッチCLと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、メカオイルポンプ(主ポンプ)OP1と、電動オイルポンプ(補助ポンプ)OP2と、変速機CVTと、ディファレンシャルDFと、左駆動輪FLと、右駆動輪FRと、を有する。
【0015】
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジン制御コントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。
【0016】
クラッチCLは、エンジンEと第1モータジェネレータMG1との間に介装された電磁式のクラッチ等であり、クラッチ制御コントローラ2からの制御指令に基づいて締結・開放が制御される。
【0017】
このクラッチCLが開放された状態では、第1モータジェネレータMG1のみの駆動力で走行するEVモードが形成される。一方、クラッチCLの締結状態では、エンジンEと第1モータジェネレータMG1との駆動力で走行するHEVモードが形成される。
【0018】
第1モータジェネレータMG1は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータジェネレータ制御コントローラ4からの制御指令に基づいて、インバータ5により作り出された三相交流を印加することにより制御される。この第1モータジェネレータMG1は、駆動バッテリ6からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能して駆動バッテリ6を充電することもできる。なお、この第1モータジェネレータMG1のロータは、変速機CVTの入力軸に連結されている。
【0019】
第2モータジェネレータMG2は、エンジンEのクランク軸に連結され、エンジンEの駆動力を入力して発電を行なうとともに、エンジンEの始動時には、スタータモータとして駆動力をクランク軸に出力する。
【0020】
変速機CVTは、例えば、無段変速機であり、変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換えるもので、コントロールバルブユニット(油圧供給対象)13で形成される制御油圧により変速比を制御される。
【0021】
変速機CVTの作動を制御するコントロールバルブユニット13に油圧を供給する手段として、メカオイルポンプOP1と電動オイルポンプOP2とが設けられている。
メカオイルポンプOP1は、エンジンEを動力源として駆動するもので、エンジンEの出力軸に設けられている。
電動オイルポンプOP2は、エンジンEの駆動停止時に変速機CVTに油圧を供給するもので、例えば、変速機CVTを収容するミッションケース(図示省略)の外部に取り付けられ、ポンプ駆動源として図示を省略した電動モータを備えている。
なお、図1では、メカオイルポンプOP1と電動オイルポンプOP2とは、離れて記載されているが、変速機CVTとエンジンEとは、一体のユニットとして構成されており、両ポンプOP1、OP2も、このユニットに組み付けられている。
【0022】
(制御系)
次に、実施例1の補助ポンプ駆動制御装置を適用したハイブリッド車両の制御系を説明する。
【0023】
実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジン制御コントローラ1と、クラッチ制御コントローラ2と、変速制御コントローラ3と、モータジェネレータ制御コントローラ4と、インバータ5と、駆動バッテリ6と、統合コントローラ7と、を有して構成されている。なお、エンジン制御コントローラ1と、クラッチ制御コントローラ2と、変速制御コントローラ3と、モータジェネレータ制御コントローラ4と、統合コントローラ7とは、互いの情報交換が可能なCAN通信線を介して接続されている。
【0024】
エンジン制御コントローラ1は、統合コントローラ7からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
【0025】
クラッチ制御コントローラ2は、統合コントローラ7にて設定された走行モード、すなわち、EVモード、HEVモードに基づいて、クラッチCLの締結および開放を制御する。
【0026】
変速制御コントローラ3は、アクセル開度と、車速と、変速機CVTの潤滑油温度を含む情報を入力し、あらかじめ設定された最適な変速比を得る制御指令をコントロールバルブユニット13に出力する。
【0027】
モータジェネレータ制御コントローラ4は、図外の12Vバッテリを電源とし、第1モータジェネレータMG1のロータ回転位置を検出するレゾルバからの情報を入力し、統合コントローラ7からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、両モータジェネレータMG1,MG2のモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ5へ出力する。
【0028】
統合コントローラ7は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、図示を省略した車速センサやアクセル開度センサなどのセンサからの各種情報を入力し、エンジン制御コントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、クラッチ制御コントローラ2へのクラッチCLの締結・開放制御と、変速制御コントローラ3への変速比指令(油圧指令)制御と、モータジェネレータ制御コントローラ4への制御指令による両モータジェネレータMG1,MG2の動作制御と、を行なう。
【0029】
また、統合コントローラ7は、後述の駆動準備処理を実行するのにあたり、少なくとも、外気温度センサ101および変速機油温センサ102、電動オイルポンプ回転数センサ103から、外気温度Tout、変速機油温Tat、電動オイルポンプ回転数Nopを入力する。
【0030】
(油圧回路構造)
次に、変速機CVTとメカオイルポンプOP1および電動オイルポンプOP2とを接続する油圧回路構造を図2に基づいて簡単に説明する。
【0031】
変速機CVTを覆うミッションケース10(図1参照)の下部には、オイルを貯留するオイル源としてのオイル貯留部12aを形成するオイルパン12が設けられ、このオイル貯留部12aに貯留されたオイルが、メカオイルポンプOP1と電動オイルポンプOP2とのいずれかにより吸入されて変速機CVTの内部に設けられたコントロールバルブユニット13に吐出され、変速機CVTの変速比がコントロールされる。
【0032】
メカオイルポンプOP1は、エンジンEに隣接して図示を省略したユニットケース内に設置され(図1参照)、吸入側が、主吸入油路21を介してオイルパン12のオイル貯留部12aに接続され、吐出側が、主吐出油路22を介してコントロールバルブユニット13に接続されている。なお、コントロールバルブユニット13には、オイルをオイル貯留部12aへ戻すリターン油路50が設けられている。
【0033】
電動オイルポンプOP2は、変速機CVTのミッションケース10の外部に設置されて(図1参照)、吸入側が、補助吸入油路31を介してオイルパン12のオイル貯留部12aに接続され、吐出側が、補助吐出油路32を介してコントロールバルブユニット13に接続されている。また、補助吐出油路32は、接続部33で主吐出油路22の途中に接続されている。なお、図2において、点線OUTで示す範囲が、ミッションケース10の外部に設置されている部分を示している。
【0034】
主吐出油路22の接続部33よりも上流に、逆流防止用のメイン側逆止弁24が設けられ、かつ、補助吐出油路32の途中にも、逆流防止用の補助側逆止弁34が設けられている。
【0035】
さらに、補助吐出油路32において補助側逆止弁34よりも上流部分と、オイルパン12のオイル貯留部12aとが、副吸入油路40で接続されている。
この副吸入油路40の途中には、補助吐出油路32からオイル貯留部12aの方向への流れを規制する副逆止弁41が設けられている。
【0036】
(電動オイルポンプの駆動制御)
電動オイルポンプOP2の駆動は、統合コントローラ7により制御され、エンジンEを停止してメカオイルポンプOP1が駆動されないEVモード時に駆動される。
【0037】
次に、この統合コントローラ7による電動オイルポンプOP2の駆動開始時の制御について図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、このフローは、EVモードと判定されてHEVモードからEVモードに移行するのに先立ち実行される。
【0038】
ステップS1およびステップS2では、ステップS3以降の駆動準備処理を実行するか否かを判定する。
まず、ステップS1では、外気温度Toutがあらかじめ設定された外気設定温度Toutthよりも高いか否か判定し、外気設定温度Toutthよりも高い場合は、ステップS7の通常制御に進み、外気設定温度Toutthよりも高くない極低温時は、ステップS2に進む。なお、外気設定温度Toutthは、オイルの粘度が高まり電動オイルポンプOP2の出力に対する負荷が所定以上大きくなる温度であり、あらかじめ電動オイルポンプOP2の油温−吐出能力に基づいて設定されている。
また、通常制御では、電動オイルポンプOP2は、駆動準備処理を実行することなく駆動を開始させる。
【0039】
ステップS2では、変速機油温Tatが、駆動準備処理実行温度Tbよりも高いか否か判定し、駆動準備処理実行温度Tbよりも高い場合はステップS3に進み、駆動準備処理実行温度Tbよりも低い場合はステップS1に戻る。
なお、駆動準備処理実行温度Tbは、外気設定温度Toutthよりも高く、EV許可温度Tokevよりも僅かに低い温度に設定されている。
ここでEV許可温度Tokevは、EVモードに移行するのを許可する温度である。すなわち、極低温時には、駆動バッテリ6が所望の電力出力を得られず、第1モータジェネレータMG1により充分な駆動力が得られない。そこで、第1モータジェネレータMG1にて所望の駆動力を得ることのできるEV許可温度Tokevが設定されており、このEV許可温度Tokevよりも低温ではEVモードが禁止されている。駆動準備処理実行温度Tbは、このEV許可温度Tokevよりも僅かに低い温度に設定されており、駆動準備処理は、EVモードが許可される直前に実行される。
【0040】
駆動準備処理の最初のステップS3では、電動オイルポンプOP2の逆転を開始し、ステップS4に進む。なお、電動オイルポンプOP2は、正転時には、補助吸入油路31からオイルを吸入し、補助吐出油路32に吐出し、油圧供給対象としてのコントロールバルブユニット13に油圧を供給する。一方、電動オイルポンプOP2の逆転時には、補助吐出油路32からオイルを吸入し、補助吸入油路31に吐出するが、補助吐出油路32は、副吸入油路40が接続されていることから、オイル貯留部12aのオイルが副吸入油路40および補助吐出油路32を介して吸入される。
【0041】
ステップS4では、電動オイルポンプOP2の逆転を継続させるか継続終了かを判定する継続終了判定を行なう。この継続終了判定は、電動オイルポンプOP2の電流値Iopが継続判定設定値Iset1以下であり、かつ、電動オイルポンプ回転数Nopが、継続判定回転数Nset1rpm/h以上となった場合に、継続終了と判定してステップS5に進み、これらの上記条件を満たさない場合は、ステップS3に戻って逆転を継続させる。
【0042】
なお、実施例1では、継続判定設定値Iset1、継続判定回転数Nset1は、電動オイルポンプOP2および補助吸入油路31から高粘度オイルの吐き出しが終了した、あるいは、副吸入油路40、電動オイルポンプOP2、補助吸入油路31に、必要吸入量の低粘度オイルを吸入したと判定できる値に設定されている。
【0043】
ステップS5では、電動オイルポンプOP2を正転させ、ステップS6に進む。
ステップS6では、駆動準備処理の終了判定を行う。この駆動準備処理の終了判定は、電動オイルポンプOP2の電流値Iopが変速機油温Tatに応じた準備終了判定電流値Iset2以下、かつ、電動オイルポンプ回転数Nopが変速機油温Tatに応じた準備終了判定回転数Nset2rpm/h以下となった場合に、電動オイルポンプOP2の負荷が許容量まで低下したとして、駆動準備処理の終了と判定され、ステップS7に進み、これらの条件を満たさない場合は、ステップS3に戻り、駆動準備処理を継続する。
【0044】
(実施例1の作用)
次に、実施例1の作用を説明する。
(比較例の作動例)
まず、実施例1の作用を説明する前に、図4のタイムチャートに基づいて、駆動準備処理を実行しない比較例の作用を説明する。
【0045】
この図4のタイムチャートは、EV許可温度Tokevよりも低い場合の走行例を示しており、この場合、t1〜t2の時点では、変速機油温TatがEV許可温度Tokevよりも低いため、エンジンEを駆動させるHEVモードで走行している。このHEVモードでの走行により変速機CVTでは、機器の摺動摩擦などにより変速機油温Tatが上昇する。
【0046】
そして、t2の時点で、変速機油温TatがEV許可温度Tokevに達し、この例の場合は、EVモードに移行され、電動オイルポンプOP2の駆動が開始される。
このとき、電動オイルポンプOP2の内部および補助吸入油路31の一部は外気に触れており、この部分に残留するオイルの温度は、図において点線で示すように、変速機油温Tatよりも低温になっている。
【0047】
したがって、電動オイルポンプOP2の駆動開始時に、このように低温で高粘性となったオイルを吸引するため、電動オイルポンプOP2の負荷が大きく、電動オイルポンプOP2として、この負荷に耐える駆動トルクを出力できるものが必要となる。
その後、この低温で高粘性のオイルを吐出し、かつ、オイルパン12の高温となったオイルが電動オイルポンプOP2まで達したt3時点で、低温・高粘性による負荷が軽減される。
【0048】
(実施例1の作動例)
次に、上記比較例と同様の動作を行った場合の実施例1の動作例を、図5のタイムチャートに基づいて説明する。
【0049】
この図5のタイムチャートは、図4の比較例と同様に、外気温度Toutが外気設定温度Toutthよりも低いとともに、EV許可温度Tokevよりも低い場合の走行例を示している。この場合も、t11〜t12の時点では、変速機油温TatがEV許可温度Tokevよりも低いため、エンジンEを駆動させるHEVモードで走行している。そして、このHEVモードでの走行により変速機CVTでは、摩擦などにより変速機油温Tatが徐々に上昇している。
【0050】
そして、t12の時点で、変速機油温TatがEV許可温度Tokevの直前の駆動準備処理実行温度Tbに達し、ステップS1→S2→S3の処理に基づいて、駆動準備処理が開始される。
【0051】
この駆動準備処理では、まず、電動オイルポンプOP2が逆転される。この逆転は、電動オイルポンプOP2の電流値Iopが継続判定設定値Iset1以下であり、電動オイルポンプOP2の電動オイルポンプ回転数Nopが、継続判定回転数Nset1rpm/h以上となるまで継続される(ステップS4→S3)。
この電動オイルポンプOP2の逆転により、電動オイルポンプOP2および補助吸入油路31に残って低温の外気温度Toutにより低温・高粘性となったオイルが、オイルパン12へ戻されるとともに、副吸入油路40を介して、オイル貯留部12aの暖まったオイルが供給されるため、電動オイルポンプOP2の油温が上昇する。
【0052】
その後、電動オイルポンプOP2の電流値Iopが継続判定設定値Iset1よりも大きくなり、電動オイルポンプ回転数Nopが、継続判定回転数Nset1rpm/hよりも大きくなったt13の時点で、いったん、逆転が停止された後、t14の時点で電動オイルポンプOP2が正転される(ステップS4→S5)。
【0053】
そして、電流値Iopおよび電動オイルポンプ回転数Nopが、準備終了判定電流値Iset2以下、かつ、準備終了判定回転数Nset2以上であるか否かに基づいて、電動オイルポンプOP2および補助吸入油路31の低温で高粘性となったオイルが、オイル貯留部12aに戻されたか否か判定する(ステップS6)。すなわち、逆転によりオイル貯留部12aから吸入した相対的に高温・低粘性のオイルが、電動オイルポンプOP2および補助吸入油路31まで行き渡った場合、電動オイルポンプOP2が正転した際には、負荷が小さくなる。この負荷が小さな状態では、電流値Iopが高負荷時と比較して低くなるとともに、電動オイルポンプ回転数Nopは高くなる。よって、これら電流値Iopと電動オイルポンプ回転数Nopに基づいて、補助吸入油路31に高粘度のオイルが残留しているか否かを判定する。
【0054】
このタイムチャートの例では、このt14時点で、電動オイルポンプOP2の電流値Iopが準備終了判定電流値Iset2未満で、電動オイルポンプ回転数Nopが、準備終了判定回転数Nset2rpm/hを越えていることから、通常制御に移行される。
【0055】
この場合、図4の比較例と比べ、電動オイルポンプOP2および補助吸入油路31に、相対的に高温・低粘性のオイルが満たされているため、負荷が小さく、電動オイルポンプOP2は、低出力のものでも必要な油圧を発生させることができ、車載性および重量の点で有利である。
【0056】
なお、駆動準備処理における正転時に、電流値Iop、電動オイルポンプ回転数Nopが、それぞれ準備終了判定電流値Iset2よりも大きいか、準備終了判定回転数Nset2に満たない場合は、再び電動オイルポンプOP2を逆転させて、補助吸入油路31に残留する低温で高粘性のオイルをオイル貯留部12aに戻す。
【0057】
(実施例1の効果)
以上説明したように、実施例1の電動オイルポンプ構造にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
【0058】
a)電動オイルポンプOP2の駆動開始時に、オイルが所定以上の高粘度となる低温の場合は、駆動準備処理を実行し、電動オイルポンプOP2を逆転させ、副吸入油路40を介してオイルパン12の暖められたオイルを吸入するようにした。
したがって、外気温度Toutの影響で、低温で高粘性となったオイルが、電動オイルポンプOP2および補助吸入油路31に残っていても、これらはオイル貯留部12aに戻され、電動オイルポンプOP2および補助吸入油路31を、低粘性のオイルで満たすことができる。
したがって、駆動準備処理の実行後に通常制御に移行した場合、電動オイルポンプOP2は、オイル貯留部12aに貯留された相対的に低粘性のオイルを吸引することができ、低負荷で駆動させることができる。
このように、低温時でも、電動オイルポンプOP2を低負荷で駆動可能であるため、電動オイルポンプOP2の小型化が可能で、車載性および重量の点で有利とすることが可能である。
【0059】
b)駆動準備処理は、外気温度Toutが、あらかじめ設定された外気設定温度Toutthよりも低温時に実行し、外気設定温度Toutthよりも高温時には実行しないようにした。このように、外気温度Toutが、極低温でなく粘性が高くない場合には、電動オイルポンプOP2の負荷が小さく、駆動準備処理が不要であり、このような場合の駆動準備処理の実行頻度を少なくして、電動オイルポンプOP2が、通常制御に移行する時間を短くして、制御応答性を高めることができる。
【0060】
c)駆動準備処理では、電動オイルポンプOP2の電流値Iopが準備終了判定電流値Iset2以下となり、電動オイルポンプ回転数Nopが準備終了判定回転数Nset2を越えるまで、逆転と正転を繰り返すようにした。このため、電動オイルポンプOP2の低温のオイルがオイル貯留部12aに戻されて負荷があらかじめ設定された設定値以下となるまで、駆動準備処理による逆転が成され、低温のオイルがオイル貯留部12aに確実に戻される。しかも、電流値Iopと電動オイルポンプ回転数Nopに基づいて、ポンプ負荷が設定値以下となった時点で、駆動準備処理が終了され、不要な駆動準備処理が実行されないようにして、制御応答性を高めることができる。
【0061】
d)駆動準備処理を、変速機油温TatがEV許可温度Tokevになる直前に実行開始するようにしたため、EVモードへの移行が許可された際には、電動オイルポンプOP2は、低負荷で駆動開始可能となっており、EVモードへの移行が円滑に成される。
【0062】
e)ハイブリッド車両では、外気温度ToutがEV許可温度Tokevよりも低い場合、HEVモードとしてエンジンEにより走行可能であり、また、このHEVモードによる走行で、変速機CVT内の温度を上昇させることができる。
したがって、駆動準備処理の実行時には、オイル貯留部12a内のオイル温度を、外気に触れる電動オイルポンプOP2や補助吸入油路31などのオイル温度よりも、加熱手段などを用いることなく効率良く高めることができ、上記a)b)のような駆動準備処理を実行することによる効果を安価に達成できる。
【0063】
(他の実施例)
以下に、他の実施例について説明するが、これら他の実施例は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1あるいは他の実施例と共通する構成については共通する符号を付けることで説明を省略する。
【実施例2】
【0064】
実施例2は、実施例1の変形例であり、図6に示すように、副吸入油路40を廃止するとともに、副吸入油路として、主吸入油路21、メカオイルポンプOP1、主吐出油路22、接続部33を通る経路200を用いた例である。
また、実施例2では、補助側逆止弁34に、駆動準備処理を実行する温度で開弁させるアクチュエータ201を追加し、アクチュエータ201の駆動時に、補助吐出油路32をオイルが逆流可能としている。
【0065】
さらに、実施例2では、図3のフローチャートのステップS3において電動オイルポンプOP2を逆転させる際に、同時に、アクチュエータ201を駆動させて補助側逆止弁34を開弁させるようにしている。よって、実施例2では、補助側逆止弁34は、外気温度Toutが外気設定温度Toutthよりも低い場合に開弁されることになる。
【0066】
次に、実施例2の作動例を、図7のタイムチャートに基づいて説明する。
この図7のタイムチャートに示す例も、実施例1と同様に、外気温度Toutが外気設定温度Toutthよりも低いとともに、EV許可温度Tokevよりも低い場合の走行例を示しており、t21〜t22の時点では、変速機油温TatがEV許可温度Tokevよりも低いため、エンジンEを駆動させるHEVモードで走行している。そして、このHEVモードでの走行により変速機CVTでは、摩擦などにより変速機油温Tatが徐々に上昇している。
【0067】
そして、t22の時点で、変速機油温Tatが駆動準備処理実行温度Tbに達し、ステップS1→S2→S3の処理に基づいて、駆動準備処理が開始される。
実施例2にあっては、この駆動準備処理では、電動オイルポンプOP2が逆転された際に、アクチュエータ201が駆動されて、補助側逆止弁34が開弁される。したがって、オイル貯留部12aで暖められたオイルが、図6において点線OILで示すように、主吸入油路21、メカオイルポンプOP1、接続部33を通り補助吐出油路32へ至る経路200を経て電動オイルポンプOP2に吸入され、補助吸入油路31を通って、オイル貯留部12aに吐出される。
【0068】
(実施例2の効果)
実施例2では、実施例1と同様に、上記a)〜e)に記載の効果が得られるのに加え、下記の作用効果を得ることができる。
【0069】
すなわち、実施例2では、副吸入油路40および副逆止弁41を廃止したため、油圧回路構成を簡略化することができる。
【0070】
また、補助側逆止弁34は、駆動準備処理の実行時に開弁するようにしたため、より低負荷でオイルを吸入可能であり、電動オイルポンプOP2の小型化および消費エネルギの低減を図ることが可能である。
【0071】
加えて、補助側逆止弁34を開弁させるのにあたり、駆動準備処理の実行に連動してアクチュエータ201を駆動させるようにしたため、駆動準備処理の実行が必要な外気温度Toutに応じて補助側逆止弁34を開弁するための専用の温度検出手段が不要となり、専用の温度検出手段を設けるものと比較して、構成の簡略化を図ることができる。
【実施例3】
【0072】
実施例3は、実施例2の変形例であり、副吸入油路として、主吸入油路21、メカオイルポンプOP1、主吐出油路22、接続部33を通る経路200を用いた点は実施例2と同様である。
【0073】
また、実施例3では、図8に示す補助側逆止弁334には、閉弁状態で主吐出油路22側から電動オイルポンプOP2側へ、あらかじめ設定された量のオイルリークを許す構造となっている。
【0074】
したがって、実施例3では、電動オイルポンプOP2の逆転時には、補助側逆止弁334を開弁しなくても、図において点線OILで示すように、主吐出油路22から補助吐出油路32を通り、補助吸入油路31に至るオイルの流れが生じる。
【0075】
さらに、実施例3では、ステップS3の電動オイルポンプOP2の逆転時には、補助側逆止弁334のリーク量に応じたオイル流量が得られるように、電動オイルポンプOP2を断続的に駆動させるようにしている。
【0076】
図9は、実施例3の動作例を示すタイムチャートであり、実施例1,2と同様に、t31の時点で、HEVモードによる走行を開始し、変速機油温Tatが駆動準備処理実行温度Tbに達したt32の時点で、駆動準備処理が開始される。
【0077】
そして、このタイムチャートに示すように、t32の時点かt33の時点まで、電動オイルポンプOP2は、断続的に逆転される。このタイムチャートでは、短時間の逆転を3回繰り返している。
【0078】
その後、ステップS6でYES判定されて、通常制御に移行され、かつ、t34の時点で変速機油温TatがEV許可温度Tokevに達し、EVモードに移行されて、電動オイルポンプOP2の駆動が開始される。
【0079】
(実施例3の効果)
上述の実施例3では、実施例1と同様に記a)〜e)の効果を奏するのに加え、以下に述べる作用効果を得ることができる。
【0080】
実施例3では、駆動準備処理において電動オイルポンプOP2の逆転を行った場合、補助側逆止弁334を開弁させなくても、そのリークに基づいてオイルが移動する。よって、電動オイルポンプOP2の逆転時にオイル貯留部12aからオイルを吸入するのに、別途油路を追加することなく既存の主吸入油路21および主吐出油路22を用いることができ、かつ、実施例2で示したアクチュエータ201も不要であり、構成を簡略化できコスト的に有利である。
【0081】
さらに、実施例3では、駆動準備処理の実行時に、電動オイルポンプOP2は、断続的に逆転を行なうため、オイル貯留部12aのオイルは、補助側逆止弁334のリーク量に基づいて、徐々に補助吸入油路31に向けて吐出供給され、補助吸入油路は、相対的に高温のオイルで満たされる。
よって、駆動準備処理において、補助逆止弁334における少ないリーク量でオイルを吸入するようにしても、電動オイルポンプOP2は、低負荷で駆動可能であり、いっそう電動オイルポンプOP2の小型化を図ることができる。
【実施例4】
【0082】
実施例4は、実施例3の変形例であり、図10に示すように、補助側逆止弁34と並列に補助吐出油路32と主吐出油路22とを接続するリーク油路400が設けられ、副吸入油路として、主吸入油路21、メカオイルポンプOP1、主吐出油路22、リーク油路400を通る経路402を用いた例である。
なお、リーク油路400には、電動オイルポンプOP2を正転させた際に、オイルが補助側逆止弁34を開弁して補助吐出油路32を流れるように、補助側逆止弁34よりもオイル流通抵抗の高いオリフィス401が設けられている。
【0083】
したがって、実施例4では、電動オイルポンプOP2の逆転時には、図において点線OILで示すように、主吸入油路21、メカオイルポンプOP1、主吐出油路22、リーク油路400を通って補助吸入油路31に至る経路402を通るオイルの流れが生じる。
なお、実施例4にあっても、電動オイルポンプOP2の逆転時には、リーク油路400のリーク量に応じて断続的に駆動するようにしている。
【0084】
図11は、実施例4の動作例を示すタイムチャートであり、実施例1〜3と同様に、t41の時点で、HEVモードによる走行を開始し、変速機油温Tatが駆動準備処理実行温度Tbに達したt42の時点で、駆動準備処理が開始される。
【0085】
この動作例では、t42〜t43の時点で駆動準備処理が実行され、電動オイルポンプOP2が断続的に(3回)逆転され、t43の時点でステップS6でYES判定され、通常制御に移行される。
その後、t34の時点で変速機油温TatがEV許可温度Tokevに達し、EVモードに移行されて、電動オイルポンプOP2の駆動が開始される。
【0086】
(実施例4の効果)
以上のように、実施例4では、実施例1と同様に、a)〜e)の効果を奏するのに加えて、駆動準備処理において電動オイルポンプOP2の逆転時に、オイル貯留部12aからオイルを吸引する経路として、補助側逆止弁34を迂回する経路を追加するとともに、オリフィス401を追加するだけでよい。このため、構成の簡略化を図ることが可能であり、コスト的に有利である。
【0087】
また、電動オイルポンプOP2の逆転時に、断続的に逆転させるため、オイルの吸入経路にオリフィス401が設けられていても、電動オイルポンプOP2の負荷を低減させて小型化を図ることができる。
【0088】
以上、本発明の補助ポンプ駆動制御装置を実施の形態および実施例1〜4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態および実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0089】
例えば、実施例1では、ハイブリッド車両に適用した例を示したが、駆動源の駆動を停止させた際に、電動オイルポンプを駆動させて油圧を発生させるものであれば、ハイブリッド車両以外の車両、すなわち、駆動源としてエンジンのみを搭載した車両や、駆動源としてモータのみを搭載した電動車両などにも適用することができる。
【0090】
また、ハイブリッド車両として前輪駆動のハイブリッド車両を示したが、後輪駆動のハイブリッド車両や四輪駆動のハイブリッド車両へも適用できる。また、実施例1では、エンジンEと第1モータジェネレータMG1とをクラッチCLにより切り離し可能なものを示したが、両者E,MG1が常時結合しているものなどクラッチを持たずエンジンとモータジェネレータと変速機(自動変速機、無段変速機、動力合成変速機、動力分割変速機等)のみを持つハイブリッド車両にも適用できる。
【0091】
また、変速機として変速機CVTを示したが、遊星歯車や複数のギヤを有した自動変速機や、手動変速機など他の形式の変速機に適用することもできる。
【0092】
また、実施例1〜4では、ポンプ駆動源として電動モータを示したが、駆動源の停止時に駆動するポンプ駆動源であれば、電動モータ以外のものを用いてもよい。
【0093】
また、実施例1〜4では、主ポンプとして、エンジンEのみにより駆動されるメカオイルポンプOP1を示したが、このメカオイルポンプOP1を、変速機CVTに設け、エンジンEと第1モータジェネレータMG1とのいずれかが駆動している場合に、メカオイルポンプOP1が油圧を発生させるようにしてもよい。この場合、電動オイルポンプOP2は、EVモードで走行中に停車した場合に駆動される。
【0094】
また、実施例3では、補助側逆止弁34を電動のアクチュエータ201により開弁するようにしたものを示したが、バイメタルなどオイル温度に応じて作動するアクチュエータを設けて、所定温度で開弁するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
7 統合コントローラ(補助ポンプ駆動制御手段)
12a オイル貯留部(オイル源)
13 コントロールバルブユニット(油圧供給対象)
21 主吸入油路
22 主吐出油路
24 メイン側逆止弁
31 補助吸入油路
32 補助吐出油路
33 接続部
34 補助側逆止弁
40 副吸入油路
41 副逆止弁
200 経路(副吸入油路)
201 アクチュエータ
334 補助側逆止弁
400 リーク油路
402 経路(副吸入油路)
E エンジン(駆動源)
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
OP1 メカオイルポンプ(主ポンプ)
OP2 電動オイルポンプ(補助ポンプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動輪を駆動させる駆動源と、
駆動源により駆動されて、オイル源から主吸入油路を介してオイルを吸引し、油圧供給対象に主吐出油路を介して油圧を送る主ポンプと、
前記駆動源とは異なるポンプ駆動源により駆動され、駆動時に、前記オイル源から補助吸入油路を介してオイルを吸引し、前記油圧供給対象に補助吐出油路を介して油圧を送る補助ポンプと、
前記補助吐出油路と前記オイル源とを接続した副吸入油路と、
前記補助ポンプの駆動を制御し、前記補助ポンプの駆動開始時には、前記補助ポンプを、前記油圧供給対象に油圧を送る回転方向とは逆の回転方向で駆動させる駆動準備処理を実行する補助ポンプ駆動制御手段と、
を備えていることを特徴とする補助ポンプ駆動制御装置。
【請求項2】
前記補助ポンプのオイル温度に関連する温度を検出する温度検出手段を備え、
前記補助ポンプ駆動制御手段は、前記温度検出手段の検出温度があらかじめ設定された設定温度よりも低温時に前記駆動準備処理を実行することを特徴とする補助ポンプ駆動制御装置。
【請求項3】
前記副吸入油路に副逆止弁が設けられ、
前記副逆止弁に、前記低温時に開弁させる低温開弁手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補助ポンプ駆動制御装置。
【請求項4】
前記補助吐出油路が、接続部で前記主吐出油路に接続され、
前記副吸入路として、前記主吸入油路、前記主ポンプ、前記接続部、前記補助吐出油路を経て補助ポンプに至る経路が用いられ、
前記補助吐出油路には、補助側逆止弁が設けられ、
前記補助側逆止弁は、閉弁状態でオイルリーク量が確保され、
前記補助ポンプ駆動制御手段は、前記駆動準備処理において、前記逆転駆動を断続的に行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の補助ポンプ駆動制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−978(P2011−978A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146032(P2009−146032)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】