説明

試験構造を集積回路に組み込むためのシステムおよび方法

【課題】 高い歩留まりを得ることができるように、カスタマイズされた回路を正確に試験するための手段を提供する。
【解決手段】 例えばASICのような集積回路においてデバイス固有の試験を実行しパラメータ・データを取得して、過剰な試験時間要件も、追加のシリコンも、特別な試験機器も必要とすることなく、各チップを個別に試験するためのシステムおよび方法(1000)が提供される。試験システムは、IC設計における未使用のバックフィル空間に組み込まれたデバイス試験構造(920)を含み、ICに含まれる選択された1組のデバイスと同一の1組のダミー・デバイス(940)を試験する。デバイス試験構造(920)は、カスタマ要件および設計要件(1010)に従って、ライブラリ(920)から選択される。選択された試験構造は、更に、優先度(1040)の順序で優先順位をつけて(1030)、設計内の設計要素に割り当てられる。配置アルゴリズム(1060)が、設計、レイアウト、および製造要件を用いて、選択した試験構造を、製造される設計(950)の最終レイアウトに配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品(例えばチップ)ごとに製造プロセス・データを取得する分野に関し、更に具体的には、製造プロセスを調整するために用いる詳細な製品分析を実行するために用いられるデバイス・データを取得するための手段の提供に関係する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、本出願の譲受人に譲渡された係属中の米国出願第11/459,367号に関する。
【0003】
半導体製造の複雑かつ精密な特質のため、製造ラインにおける全てのプロセスが確実に必要な仕様内にあることは不可欠である。これによって、最高の製品歩留まりが保証される。製造ラインの健全性(HOL:health of the line)を維持するためには、製造プロセスを監視し、欠陥を補正することが重要である。
【0004】
プロセスをリアルタイムで調整するため製造中にインラインで実行される試験もあれば、製造後に実行される試験もある。カーフ(kerf)試験は、一般的な種類の試験であり、ウェハ上のダイ群についてプロセス、電圧、および温度(PVT)に関連した情報を提供する。他の試験には、I/O受信器/ドライバ・レベル、PSRO(performance screen ring oscillator)試験、および「アット・スピード(at speed)」試験としても知られるMUXスキャン試験が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カーフ試験に伴う問題は、これが、ウェハ上の各ダイに固有の詳細情報を提供せず、更に、各チップ内のいくつかのデバイスの電気的パラメータに関する情報を提供することができないことである。その例として、特に、小さい製造ロット・サイズを有するカスタム設計、標準的なデバイスとは異なるデバイス寸法、および他の製品に固有の特性が挙げられる。
【0006】
インライン試験は時間も費用もかかるので、最短の時間内で適切な試験を実行することが重要である。一般に、試験は、1組のカーフをサンプリングして全体的なHOL測定値を得ることによって行われる。特定用途向け集積回路(ASIC)等のカスタマイズされた回路では、サンプリングによる試験は、ウェハの各ダイ内のデバイス・パラメータを正確に評価することができない。デバイス・パラメータを仕様内に維持することは、歩留まりを改善し、カスタマの要求および発送予想に応えるために重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題に基づいて、適切なフィードバックを製造ラインに中継して可能な限り最高の歩留まりを確実とすることができるように、カスタマイズされた回路を正確に試験するための手段が必要とされている。更に、試験プロセスに並外れた時間がかからず、過剰なシリコンのスペースを必要とせず、従ってコストに悪影響を与えないことも必要である。試験プロセスは、不必要な試験構造のオーバーヘッドを与えることなく特定の試験要件を満たすように適合可能でなければならない。
【0008】
本発明は、典型的にはバックフィル(backfill)において、試験構造を物理的な集積回路設計に(すなわちネットリストに)組み込むシステムおよび方法である。試験構造および対応するシステムは、関連するダイ上の回路およびそのデバイスの正確な電気的および物理的測定値を提供する。図1に試験構造100を示す。これは、試験対象の1つ以上のデバイス(DUT)構造170および180を活性化するためのデコーダを有する論理コントローラ110と、1つ以上のDUT構造170または180に必要な論理レベルまたは必要な電圧を供給するデコード・レベル・トランスレータ(DLT)120と、試験システムが停止している場合に集積回路を分離する保護回路と、を含む。
【0009】
試験構造100は、シングルまたはデュアル供給モードのいずれかで動作することができる。シングル供給モードにおいては、ウェハ最終試験(WFT)またはモジュール最終試験(MFT)あるいはその両方の間、各DUT170または180あるいはその両方の電流(ION)測定値を算出して記録する。デュアル供給モードにおいては、制御ブロック190が、例えば、DUT170または180あるいはその両方のゲートに対する電圧を制御すると共に、DUT170または180あるいはその両方のソースまたはドレインあるいはその両方に対して電力を供給する。次いで、各DUT170または180あるいはその両方について、閾値電圧(Vt)、ION、および有効電流(Ieff)の測定値を算出して記録する。
【0010】
試験構造100は、特定用途向け集積回路(ASIC)内のデバイス性能モニタである。マクロが、ASICチップ上で用いられる全てのデバイスの種類および設計点を表現する。試験構造100は、例えば、既存の電子チップ識別マクロ(ECID:IBM社において用いられる)と一体化することができ、または、PSROの近傍に配置することができ、スタンドアロンのマクロとして配置し、または、非連続的に配置して制御ブロック190をチップ上でDUT170または180から物理的に離れた位置に置くことができる。
【0011】
試験構造100は、いくつかの独特のユーザ定義デバイス試験を提供する。全ての試験は、FETアレイに関連した平均ION、Vt、およびLeff等のオンチップ・デバイスの適用可能パラメータを測定および記録することを含む。試験は、空間的な変動について明らかにする。この明細書において、各DUT170または180あるいはその両方は、nFETまたはpFETデバイスを指すが、これらに限定されるわけではない。また、DUT170または180あるいはその両方は、ワイヤ、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、および他の回路要素とすることも可能である。更に、多数の試験構造100を単一のチップ上に配置することによって、チップ間変動(ACV)データを抽出し分析することができる。
【0012】
リリース・チェックの間、特定のICチップ上の全てのデバイス種類および設計点を求め、試験構造100に存在するものと照合する。試験構造100が、IC設計の一部ではないDUT170または180あるいはその両方を含む場合、試験構造100は設計には含まれない。試験構造100は、固有のマスク要求をドライブしてはならない。ICとコンパチブルな試験構造100だけが選択される。何がチップ上かつ試験構造100内にあるかを記述する情報が、製造および試験の技術者に中継される。
【0013】
試験構造100は、設計内に組み込んで、既存のECIDマクロに結合することができ、これは、極めて低い抵抗の要求(<10オーム保証)の少なくとも1つのファットワイヤ(fatwire)I/Oを含む。ファットワイヤI/Oは、試験において精密測定ユニット(PMU)に接続され、これは正確な電圧力および電流測定作業のために用いられる。
【0014】
チップ設計プロセス中に、チップ当たりの必要な試験構造100の数、種類、位置、およびルーティングのための決定が規定される。カスタマ指示、内部ルール、および履歴データが、試験構造100の選択、合成、および配置のための要件を提供する。これらの要件には、利用可能なバックフィル、ファットワイヤI/Oからの距離、例えば製品性能を保証するために用いられるPSRO等の重要な論理マクロに対する近接、試験構造100の連続性、分析のための所望の試験データ、および設計のための試験構造100間の最小距離が含まれるが、これらに限定されるわけではない。当業者には、ICの設計および製造において維持し従わなければならない多くの要件および仕様が認められよう。
【0015】
試験構造100をカスタマ設計(例えばネットリスト)に組み込むプロセスは、設計内で個別の要素を識別し、各々が様々なDUT170および180を有する試験構造100のライブラリを比較することを含む。様々な個別の要素に一致する試験構造100をリストに記憶する。このリストは、更に、限定ではないが、カスタマ指示、内部ルール、および履歴データを含む要件に従って優先順位がつけられる。試験構造100のためのダイ上に可能な配置ブロック(例えば領域)と共に利用可能ファットワイヤI/Oおよび他の要素を含むデータ構造を用いて、試験構造100の優先順位をつけたリストを処理し、可能な範囲で、最適な要素および配置領域に割り当てる。配置可能な試験構造100を、ネットリストにおいて合成し、配置およびルーティング・ツールを用いて配置する。最終設計チェックを行って、DFMルールに準拠していることを保証する。障害を引き起こす試験構造100はネットリストから除去し、ネットリストを再び合成してチェックする。全てのDFM試験に通るまでこのプロセスを繰り返す。最終的なネットリストをデータ構造として記録し、次いでこれを、例えばGDSIIファイルとして製造にリリース(すなわちテープ出力)する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試験構造のシステム・レベルのブロック図である。
【図2】論理制御のブロック図である。
【図3】デコード・レベル・トランスレータ(DLT)のブロック図である。
【図4】pFET DLT(pDLT)の概略図である。
【図5】nFET DLT(nDLT)の概略図である。
【図6】供給/保護/分離(SPI)回路の概略図である。
【図7】分離回路の詳細概略図である。
【図8】試験中にpFET構造を選択するためのSPI制御回路の論理図である。
【図9】試験中にnFET構造を選択するためのSPI制御回路の論理図である。
【図10】本発明の試験構造組み込みシステムのシステム・ブロック図を示す。
【図11】本発明の試験構造をネットリストに組み込む1つの方法のフロー図である。
【図12】試験構造の一致リストに優先順位をつけるステップの詳細な例である。
【図13】本発明の一実施形態に従って集積回路設計内で試験構造に優先順位をつけて割り当てるために用いられる可能な内部ルールまたはカスタマ指示の例を示す。
【図14】本発明の一実施形態に従って集積回路設計内で試験構造に優先順位をつけて割り当てるために用いられる可能な内部ルールまたはカスタマ指示の例を示す。
【図15】本発明の一実施形態に従って集積回路設計内で試験構造に優先順位をつけて割り当てるために用いられる可能な内部ルールまたはカスタマ指示の例を示す。
【図16】本発明の一実施形態に従って集積回路設計内で試験構造に優先順位をつけて割り当てるために用いられる可能な内部ルールまたはカスタマ指示の例を示す。
【図17】本発明の一実施形態に従って集積回路設計内で試験構造に優先順位をつけて割り当てるために用いられる可能な内部ルールまたはカスタマ指示の例を示す。
【図18】本発明の一実施形態に従って集積回路設計内で試験構造に優先順位をつけて割り当てるために用いられる可能な内部ルールまたはカスタマ指示の例を示す。
【図19】本発明の一実施形態に従って試験構造を結合するための論理、要素、および試験構造を配置するための利用可能チップ領域を含むネットリストの例示的なレイアウトである。
【図20】試験構造をチップ上の配置可能領域(例えば配置ブロック)に割り当てる例示的な方法のフロー図である。
【図21】試験構造をチップ上の配置ブロックに割り当てる代替的な方法の例のフロー図である。
【図22】試験構造をチップ上の配置ブロックに割り当てる方法を更に詳述するフロー図を示す。
【図23】試験構造の各々についての最適および最良の配置ブロックを識別する方法のフロー図を示す。
【図24】試験構造の各々についての可能な配置割り当て位置を示す表である。
【図25】最終的な試験構造割り当て表を生成する方法のフロー図を示す。
【図26】配置可能な試験構造の各々についての最終的な配置ブロックの表である。
【図27】本発明の機能を実行するためのコンピュータ読み取り可能媒体を含むコンピュータ・システムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の試験構造100を示す。試験構造100は制御ブロック190を含み、これは更に、論理制御110と、デコード・レベル・トランスレータ(DLT)群120a〜120d(この例では4つのDLTを示す)と、SPI制御回路130に結合されたpFET SPI回路140と、SPI制御回路160に結合されたnFET SPI回路150と、を含む。試験構造100は、更に、あるデバイス・タイプ(この例ではpFETアレイ)を表すDUT170と、第2のデバイス・タイプ(この例ではnFETアレイ)を表すDUT180と、を含む。DUT170および180は各々、制御ブロック190に結合されている。
【0018】
動作において、制御ブロック190は、対応するDUT170または180あるいはその両方を動作させ、結果として得られる試験データを試験装置(図示せず)に供給する。試験構造100の各要素について、以下の図において更に説明する。
【0019】
図2は論理制御110を示す。これは、ラッチL1に結合された制御信号C1を含み、これは更にデコーダ210のパッドS1に接続されている。制御信号C2はラッチL2に結合され、その出力はデコーダ210のパッドS0に結合されている。イネーブル信号ENは第3のラッチL3に結合され、その出力はデコーダ210のパッドENに結合されている。デコーダ210は更に、一連の出力D0〜D3を含み、これらはそれぞれDLT120a〜120dに結合されている。
【0020】
論理制御110によって、各DUT170または180を試験のために個別に活性化することができる。図2においては、例示の目的のため、デコーダ210を2:4デコーダとして示すが、2:4デコーダであることは必須ではない。CUT170およびDUT180の実施が別々であるので、デコーダ210は2対8デコーダとしてふるまい、各デコーダ出力によってDUT170およびDUT180を制御する。典型的なデコーダ・サイズは4:16または5:32であり、これは32から64のDUTを制御する機能を達成する。ENがローである場合、デコーダ210の出力D0〜D3はローであり、これによって確実に全てのDUT170およびDUT180のゲートがオフとなる。
【0021】
図3は、DLT120aの詳細な図である。DLT120aは、DLT120b〜120dのいずれかの例であり、従って、一例としてDLT120の機能および構造を説明する役割を果たす。DLT120aは、デコーダ210の出力D3からの入力信号Iと、pFETレベル・トランスレータ310と、pFETレベル・トランスレータ320と、を含む。更に、pFETレベル・トランスレータ310は、入力パッドIと、DUT170に結合された出力パッドPと、第2の入力パッドHPと、第3の入力パッドLPと、を含む。nFETレベル・トランスレータ320は、DLT120aを活性化/非活性化する入力パッドIと、DUT180に結合された出力パッドNと、第2の入力パッドHNと、第3の入力パッドLNと、を含む。pFETレベル・トランスレータ310およびnFETレベル・トランスレータ320は、図4および図5にそれぞれ詳細に示す。
【0022】
動作において、DLT120aに対する入力Iはデコーダ210から来る。DLT120aのIピンに接続されたデコーダ210からの出力信号D3がハイである場合、DLT120aのPおよびN出力はアクティブであり(すなわちN=1およびP=0)、これによって、関連するDUT170のゲートおよび関連するDUT180のゲートをターンオンする。以下の表1に、DLT120aに対する供給電圧入力を示す。
【0023】
【表1】

【0024】
表1において、「シングル」供給は、単一の電圧源(S0P、S0N)からのDUT170およびDUT180入力を表し、これはDUT170およびDUT180にそれぞれ単なる論理1および0を駆動する。
【0025】
表1において、「デュアル」は、2つの別個の電圧供給からの入力を表し、nFETレベル・トランスレータ320上のHNが信号S1を受信し、pFETレベル・トランスレータ310上のLPも信号S1を受信する。
【0026】
デュアル供給モードにおいて、S1は、出力PおよびNからDUT170および180のゲートにそれぞれ送信される。S1を掃引して、DUT170およびDUT180の切り替え電圧(Vth)およびFET電流(ION)を求める。
【0027】
一般に、DLT120によって、論理制御110は、異なる電圧範囲にあるDUT170および180を制御することができる。DLT120は、制御論理110に供給されるVddと、DLT120のためにS0を生成する際に用いられる試験構造「供給/VDD/GND」と、を含む2つの電圧ドメイン間の連絡を行うための手段を与える。DLT120の目的は、デバイス・レベルの試験を行うために、DUT170およびDUT180に正確な論理レベルまたはアナログ・ゲート電圧あるいはその両方を供給することである。BEOL特性の場合、DUT120を制御するために用いるFETの種類に応じて、nFETレベル・トランスレータ320またはpFETレベル・トランスレータ310のいずれかを用いる。DUT実施の均等化(等しいnおよびpの実施)によって、試験構造の使用を最適化する。
【0028】
図4は、pFETレベル・トランスレータ310の詳細な概略図を示す。これは、pFET P1〜P5と、nFET N1〜N2と、入力がIである第1のインバータと、を含む。このインバータは、第2のS0P給電インバータに直列に接続されている。表1に示すように、試験の種類に従ってHPおよびLPを駆動する。出力PはDUT170に送信される。
【0029】
pFETレベル・トランスレータ310に対する入力は、第1のインバータによって反転されて、イネーブルされた場合に逆の出力状態を達成する。これは、DUT170に関連したpFETによって必要とされる。例えばS0PをHPに印加するシングル供給の適用では、pFETレベル・トランスレータ310の出力は、入力に対して逆の論理レベルを有する。
【0030】
デュアル供給の適用では、S1をLPに印加する。GNDをS1に置き換えて、図4にFET N2およびP5として示すパス・ゲートを介してDUT170のゲートまで電圧掃引を可能とする。
【0031】
図5は、nFETレベル・トランスレータ320の詳細な概略図を示す。これは、pFET P1〜P5と、nFET N1〜N2と、入力がIであるインバータと、を含み、S0NまたはS1のいずれかによって給電される。表1に示すように、試験の種類に応じてHNおよびLNを駆動する。出力NはDUT180に送信される。
【0032】
nFETレベル・トランスレータ320は、非反転の入力を有する。nFETレベル・トランスレータ320の電力供給は、試験構造電力供給(S0N)全体の派生物から、または別個の電力供給(S1)から開始することができる。S1は、DUT180のためのアナログ・ゲート電圧を制御する。
【0033】
図6は、保護回路610、供給回路620、および分離回路630を含むSPI回路140の概略ブロック図である。更に、分離回路630はレベル・トランスレータ640を含み、これは、供給/VDD/GND電力供給と、イネーブル入力Iと、供給回路620のpFETに結合された出力Pと、を有する。図7に、分離回路630の詳細な概略図を示し、以下で説明する。
【0034】
図7のレベル・トランスレータ640は、pFET P1〜P4と、nFET N1〜N3と、入力Iを有するVdd給電インバータと、を含む。分離回路630は、DUT170を電気的に分離して、試験中に実際のASIC回路が影響を受けないようにし、試験構造が動作していない間、DUT170からの漏れ電流によっても影響を受けないようにする。レベル・トランスレータ640は、供給電圧(供給/VDD/GND)を、図6の供給回路620における供給pFETの対応するゲートに直接ルーティングする。
【0035】
試験構造はnFETおよびpFETのDUTを分離しているので、各々に専用のSPI構造を設ける。一度にSPI回路140または150の1つのみが活性化される。これを達成するには、適切なSPI回路140または150を選択して、SPI制御回路130またはSPI制御回路160のいずれかを用いてそれぞれ活性化を行う。図6はSPI回路140を示すが、これはSPI回路150を含むいずれかのSPI回路の例として意図されるので、SPI回路150についてはこれ以上詳細には論じない。
【0036】
図8はSPI制御回路130の論理図を示し、図8はSPI制御回路160の論理図を示す。更に、SPI制御回路130は、Enable信号、Efuse_prog信号、selPfet信号、およびNANDゲートを含む。NANDゲートは、Enableおよびチップ上のラッチ(図示せず)から来るselPfetからの入力を有する。更に、EnableおよびEfuse_prog信号は保護回路610に結合されている。NAND出力は、SPI回路140のI入力に直接供給される。一度に1つのみのSPI回路を(selPfetおよびEnableを用いて)選択することによって、未使用のSPI回路150を介した電流を制御して(gated)偶発的な漏れを低減する。Efuse_progは、非試験構造ASIC回路(図示せず)を保護するために存在する。試験構造はASIC回路と供給/VDD/GNDピンを共有するので、既存のEfuse_prog信号を用いて他のASIC動作から試験構造を分離し、その逆も行う。
【0037】
供給回路620を介して供給電圧が提供される。供給回路620は、出力信号をDUT170に送信する大きい供給pFETを含む。供給pFETのゲートは分離回路630の出力に結合され、ソースは供給/VDD/GNDに接続され、ドレインは保護回路610の出力に接続されている。供給pFETは充分に大きく、試験構造測定の間に最小の電圧降下(<50mV)を有することを確実とするが、3.0V以上であり得る高電圧を処理するのに充分なほどロバストである。
【0038】
SPI保護回路610は、供給/VDD/GND(ファットワイヤI/O)に高電圧が印加された場合に、供給回路620の供給pFETを過剰なソース−ドレインおよびゲート−ドレイン電位差から保護する。高電圧の印加中、供給は3.0vであり、試験構造は非動作である(オフ)、すなわち全てのDUT170および180はターンオフされている。イネーブル=0でありEfuse_prog=1である場合、VDDは保護回路610を介して供給回路620の供給pFETのドレイン上へと強制される。供給pFETの両端の最大の電位差は、供給からVDDを引いた値よりも大きくないことが保証される。シミュレーションを行って、この電圧レベルが供給pFETに対して損傷を与えていないことを検証した。
【0039】
ウェハまたはモジュールのいずれかの最終試験(WFT、MFT)中、シングル供給モード動作において、テスタ(図示せず)が、DUT170およびDUT180の各々について背景電流(IBG)およびDUT電流(IMEAS)を測定することによって、電流を算出する。IONは、IMEASとIBGとの差に等しい(すなわちION=IMEAS−IBG)。テスタは、DUT170およびDUT180の双方についてIONデータを記録する。表2は、試験構造DUTを制御するために用いられるシングル・モード動作についての真理表である。
【0040】
【表2】

【0041】
また、試験構造は、DUT170および180のゲート電圧を別個に制御するように構成可能である。デュアル供給モード試験によって、ION測定機能に加えて、閾値電圧Vt測定機能を可能とする。デュアル供給モードにおいて、有効電流(Ieff)を算出することができる。Ieffは、IONのみよりも、デバイス性能のより良い指標となる。デュアル供給モードを実施するために、専用のパッドS1を接続出し(wire out)しなければならない。図3に、S1をLNおよびHPとしてそれぞれ示す。
【0042】
表3は、デュアル供給モードの例示的な真理表を示す。
【0043】
【表3】

【0044】
試験構造100は、ASIC設計内の様々な位置に配置して、同一のチップの異なる領域を試験することができる。また、代替的なDUT170/180構造を設計に組み込んで、各試験構造がそれに近接した特定のDUT構造を試験することを可能とすることもできる。また、単一の試験構造100を設計して、特定のチップ位置内のワイヤ、抵抗器、キャパシタ、インダクタ等、DUT170または180あるいはその両方の構造の多数の多様性を試験することも可能である。以下の図は、試験構造100の回路設計内への組み込みの例を示す。以下の例は、例示の目的のために示し、本発明を図示する構成のみに限定することは意図していない。当業者には、本発明の範囲および精神内の他の構成も認められよう。
【0045】
図10は、試験構造100を集積回路ネットリスト910内に組み込むためのシステム900を示す。システム900は試験構造ライブラリ920を含み、これは、組み込まれた回路ネットリスト910に従って一致試験構造リスト915を生成する。優先度明細930のデータベースは、一致試験構造リスト915から優先順位をつけた一致試験構造リスト925を生成するための優先順位づけ情報を提供する。要素および配置ブロック940のデータベースは、優先順位をつけた一致試験構造925から試験構造割り当てリスト935を生成するための情報を提供する。未使用の試験構造945のデータベースは、優先順位をつけた一致試験構造リスト925内にあるが試験構造割り当てリスト935にない全ての試験構造100を受信する。システム900は、更に、配置/設計ルール955データベースを含み、試験構造100の配置および組み込みを完成させ、結果として、ICを製造するために用いられるデータ構造950が得られる。データ構造950は、例えばGDSIIファイルとすることができる。データ構造950は、集積回路ネットリスト910の少なくとも1つの要素に結合された少なくとも1つの優先順位をつけた一致試験構造100を含む。
【0046】
図11は、試験構造100をネットリスト910に組み込むためのオペレーティング・システム900の方法1000を示す。ステップ1010において、方法1000は、試験のための潜在的な候補である可能性があるカスタマ・ネットリスト910内の個別の要素またはデバイスを識別する。
【0047】
ステップ1020において、方法1000は、ステップ1010において識別した個別のデバイスを、試験構造ライブラリ920に含まれる試験構造100と比較し、一致試験構造リスト915を生成する。これは、DUT170またはDUT180あるいはその両方を含む試験構造100のリストを含み、DUT170またはDUT180あるいはその両方が、ネットリスト910内の個別のデバイスの少なくとも1つに一致する。
【0048】
ステップ1030において、方法1000は、一致試験構造リスト915に優先順位をつけることによって、優先順位をつけた一致試験構造リスト925を生成する。方法1000は、優先度明細930のデータベースに記憶された優先順位づけアルゴリズムおよび優先順位づけデータを用いて(詳細は図12を参照)、一致試験構造リスト915に配された試験構造100に優先順位をつけて、優先順位をつけた一致試験構造リスト925を生成する。ネットリスト910内における最高の優先度の個別デバイス、要素、コア、IP、マクロ等が、割り当てた試験構造100を最初に有することになり、これに従って対応する試験構造100に優先順位をつける。
【0049】
ステップ1040において、方法1000は、要素および配置ブロック940のデータベースによって与えられる通りに、優先順位をつけた一致試験構造リスト925から、試験構造100を(最も高い優先度の試験構造100から始めて)、ネットリスト910の要素(例えばファットワイヤ)に割り当てる。ステップ1040は、1.試験構造100を割り当てることができるネットリスト910の要素がなくなるまで、2.割り当てる試験構造100がなくなるまで、または3.別の試験構造100をネットリスト910内に挿入するために利用可能な物理空間(配置ブロック)がなくなるまで、のいずれかまで継続する。図20から図23に、ステップ1040を詳細に示す。
【0050】
ステップ1050において、方法1000は、未使用の試験構造945のデータベースに、優先順位をつけた一致試験構造リスト925にリスト化されたがステップ1040において設計要素に割り当てられなかった試験構造100をポピュレートする(populate)。
【0051】
ステップ1060において、方法1000は、配置/設計ルール955および合成ツールを用いて、選択した試験構造100をネットリスト910に組み込んで、データ構造950を生成する。図13から図19に、カスタマ・ネットリスト910内への試験構造100の配置の例をいくつか示す。
【0052】
ステップ1070において、方法1000は、データ構造950上で最終チェック・アルゴリズムを実行して、生産性要件のための設計を満足したことを保証する(例えばリリース・プロセス・ルール、DRC、LVS、ワイヤ負荷チェック等)。いずれかの設計チェック・ルールが達成されない場合、方法1000は、必要な配置およびルーティングの変更を行って、DFMルール、製品仕様、機能設計要件等の仕様に準拠することを保証する。特定の試験構造100について何の解決策も見出されない場合、これはデータ構造950から除去され、未使用の試験構造945に配置される。
【0053】
ステップ1080において、方法1000は、データ構造950が全ての試験に合格したか否かを判定する。イエスの場合、方法1000は最終データ構造950を記録して終了する。ノーの場合、方法1000はステップ1090に進む。
【0054】
ステップ1090において、方法1000は、障害(複数の障害)を引き起こしている試験構造100を除去し、ステップ1050に進む。方法1000は、全てのチェック・アルゴリズムが合格するまで繰り返す。
【0055】
図12は、方法1000の優先順位づけステップ1030の詳細な例示的な図を示す。試験構造一致リスト915は、一致試験構造、すなわちTS1、TS2、TS3、TS10、TS25、およびTS50のリストを示し、これらはネットリスト910内のデバイスまたは要素あるいはその両方に対応する。複数の優先順位づけアルゴリズム1100がリスト915に優先順位をつけて、優先順位をつけた一致試験構造リスト925を生成する。優先順位づけアルゴリズム1100は、優先度明細930からのデータ入力を用いる。優先度明細930はルールおよび指示1140を含み、これは例えば内部ルール1110およびカスタマ指示1120を含む。優先度明細930は、更に履歴データ1130を含む。当業者には、リスト915に優先順位をつけるために使用可能な多くの他のデータ・ポイントがあることは認められよう。この例において、優先順位をつけた一致試験構造リスト925が示す試験構造100は、以下の順序で優先順位がつけられている。すなわち、TS3、TS50、TS2、TS1、TS10、およびTS25である。従って、この例では、TS3が最高の優先度の試験構造100であり、方法1000によってステップ1040においてネットリスト910内に最初に配置されるものとなる。TS3の配置の後はTS50である等となる。
【0056】
図13から図18は、設計950内における試験構造100の配置の例である。図13から図18は、単に配置構成の少数の例に過ぎず、限定として解釈されるものではない。当業者によって認められるように、試験構造100を集積回路設計の他の場所に配置して、全ての設計ルールを満足させると共に試験構造100の目的を達成するようにすることができる。更に、所望の測定の種類によって、集積回路設計内の最適な配置または複数の配置が決定する。
【0057】
図13は、例示的な配置構成を示す。これは、電力供給の配線制限内に収まり、制約金属ルーティング距離によるIR降下を有効に最小化することによって、ルーティングの最適化を行う。これは例示的な配置構成であり、内部ルールおよび指示1140によって、金属ルーティング距離を最小化することでIR降下を最小限に抑えるように試験構造100a、b、およびcを要素1200a、1200b、および1200cにそれぞれ結合する必要があることが求められる。図1に示すように、試験構造100は、供給/Vdd/GNDレールにおいて要素1200に結合される。
【0058】
図14が示す配置例においては、内部ルールおよび指示1140によって、試験構造100aおよび100cを要素1200aに結合しなければならず、試験構造100bおよび100dを要素1200bに結合しなければならないように、ファンアウト(fanout)構成の配置が求められる。この例においては、ファンアウトの最適化によって、カスタマ・チップ1300のために、漏れの制限、容量性負荷、およびバランス負荷を維持する。
【0059】
図15が示す配置構成例においては、内部ルールおよび指示1140によって、複数のマクロ1410a〜1410dについての近接性の要件を決定し、試験構造100aから100dの各々をその各マクロ1410の近傍に配置するようにする。例えば、マクロ1410はPSROとすることができる。この構成を用いて、例えば、スクリーニング方法およびAC−DC相関を確認する。
【0060】
図16が示す配置構成例においては、内部ルールおよび指示1140によって、論理1500がDUT170a〜170cおよびDUT180a〜180dを含まなければならず、更に、制御ブロック190を論理1500の内部または論理1500の外側のいずれかに配置することができることが求められる。更に、図16は、非連続試験構造100の例である。
【0061】
図17は、連続的および非連続的の双方の試験構造100の配置の構成例である。DUT170a〜170cおよびDUT180a〜180dを論理1600の内部または外部あるいはその両方に配置することができ、DUT170a〜170cおよびDUT180a〜180dを制御するために制御ブロック190を論理1600に近接して配置しなければならない。試験構造100aは連続的な試験構造であり、要素1620に近接して配置しなければならない。要素1620は、例えばカーフとすることができる。
【0062】
図18が示す配置構成例においては、内部ルールおよび指示1140によって、特定のDUT170を論理ブロック1700内に配置しなければならないことが求められる。制御ブロック190は、DUT170を制御するために、近接要件を有する。
【0063】
図19は、要素および配置ブロック940と組み合わせたネットリスト910のレイアウトの一例を示す。ネットリスト910のレイアウトは、要素1200a、1200b、1200c、複数の配置ブロック1800、および複数の論理マクロ1810〜1890を含む。配置ブロック1800は、連続的または非連続的あるいはその両方の試験構造100を保持するのに充分な大きさの利用可能なシリコン領域である。優先順位を付けた一致試験構造リスト925からの試験構造100は、方法1000のステップ1040において、配置ブロック1800の1つ以上に割り当てられる。図24に、結果として得られる配置オプション表2300を示す。
【0064】
図示しない他の例の構成は、充分な試験構造100をカスタマ・チップに配置して、試験構造100の特別な配置が規則正しいチップ間変動測定値を与えるようにすることを含む。クリティカルなタイミング要件を有するマクロの近傍に試験構造100を配置することによって、ASST試験結果の検証およびAC試験結果の検証を可能とする。DUT170またはDUT180あるいはその両方をカスタマ・チップ上のマクロの境界内に配置することは、同様のバックフィルを含む制御された物理的環境を提供し、配線密度およびデバイスの幾何学的形状に適合する。更に別の配置例は、カーフの近傍にある試験構造100を、マクロの近傍に別の試験構造100を配置して、チップからカーフ、カーフからマクロ、およびチップからマクロへのDCオフセットを定量化する。
【0065】
本発明が提供する重要なプロセスの改善は、試験中に試験構造から収集したパラメータ・データを製造ラインにフィードバックして、チップ・パラメータを仕様に準拠させるために必要なプロセス・ステップを調整することである。例えば、これまで監視していない重要なプロセス・パラメータはN−Pスキュー(skew)であり、これは、公称閾値電圧からの逸脱のNfet−Pfetの測定値である。本発明を用いることによって、インプラント・プロセス等のプロセスの1つをラインにおいて変更してスキューを補正することによって、NfetおよびPfetスキューを調整して、デバイス間のスキュー変動を補正することができる。
【0066】
図20は、方法1000のステップ1040の詳細な図である。ステップ1910において、方法1000は、優先順位をつけた試験構造リスト925内の全ての試験構造100に配置ブロック1800が割り当てられているか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ1940に進み、ノーの場合、方法1000はステップ1920に進む。
【0067】
ステップ1920において、方法1000は、リスト925から、最高の優先度の割り当てられていない試験構造100を選択し、ステップ1930に進む。例えば、方法1000は、リスト925からTS3を選択する。
【0068】
ステップ1930において、方法1000は、各要素1200を分析し、各要素1200ごとに選択した試験構造100を適切な配置ブロック1800に割り当てる。例えば、方法1000は、要素1200aを分析し、配置ブロック1800a、1800b、および1800iを、TS3の最適な配置領域として割り当て、データを配置オプション表2300(図24を参照)に記録する。方法1000は、続けて要素1200bに移り、配置ブロック1800b、1800c’、および1800d’を配置オプション表2300においてTS3に割り当てる。従って、1800bが最適な配置ブロックであり、1800c’および1800d’が最良の(best-fit)配置ブロックである。方法1000は続けて要素1200cを分析する。これは、配置ブロック1800k、1800f、1800g’を配置オプション表2300においてTS3に割り当て、従って1800kおよび1800fが最適な配置ブロックであり、1800g’が最良の配置ブロックである。要素1200はこれ以上は存在しないので、方法1000はステップ1910に戻る。
【0069】
ステップ1940において、方法1000は、試験構造割り当てリスト935を生成し、ステップ1950に進む。ステップ1940については、図25において更に詳細に説明する。
【0070】
ステップ1950において、方法1000は、全ての試験構造100が配置可能であるか否かを判定する。イエスの場合、方法1000は、合成のためにステップ1060に進む。ノーの場合、方法1000はステップ1050に進んで、未使用の試験構造945のデータベースに配置不可能な試験構造100を記憶する。
【0071】
図21は、代替的なステップ1040である。ステップ1910aにおいて、方法1000は、全ての要素120に割り当てられたか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ1940に進み、ノーの場合、方法1000はステップ1920aに進む。
【0072】
ステップ1920aにおいて、方法1000は、次の割り当てられていない要素1200を選択し、ステップ1930aに進む。
【0073】
ステップ1930aにおいて、方法1000は、各試験構造100ごとに、適切な配置ブロック1800を選択した要素1200に割り当てる。例えば、方法1000は、要素1200aおよびTS3を選択する。次いで、方法1000は、配置オプション表2300において、配置ブロック1800a、1800b、および1800iをTS3および要素1200aのために割り当てる。次に、方法1000は、TS50を選択し、配置オプション表2300において、1800a’、1800j’を最良の配置ブロック1800として割り当てる。次いで方法1000は、TS2を選択し、配置オプション表2300において、最良の配置ブロック1800a’、1800j’、1800i’を割り当てる。最後に、方法1000は、TS1を選択するが、配置ブロック1800はTS1の要件を満たす要素1200aにおける割り当てに利用可能でないので、配置オプション表2300に配置ブロック1800を入力しない。方法1000はステップ1910に戻る。
【0074】
図22は、ステップ1930または1930aの詳細のフロー図を示す。ステップ2110において、方法1000は、選択した試験構造が連続的であるか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2200に進む。ノーの場合、方法1000はステップ2120に進む。
【0075】
ステップ2120において、方法1000は、選択した試験構造100が、特定の要素、論理ブロック、コア、マクロ等に対する近接要件(典型的にカスタマ指示1120において確立される)を有するか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2140に進み、ノーの場合、方法1000はステップ2130に進む。
【0076】
ステップ2130において、方法1000は各配置ブロック1800を分析して、選択した試験構造100および設計要素1200のサイズおよびルート機能要件を満たすか否かを判定する。イエスの場合、方法1000は、選択した配置ブロック1800に、配置オプション表2300において可能な配置ブロック1800オプションとしてラベルを付ける。方法1000はステップ1910に戻る。
【0077】
ステップ2140において、方法1000は、各配置ブロック1800を分析して、選択した試験構造100および設計要素1200の近接、サイズ、およびルート機能要件を満たすか否かを判定する。イエスの場合、方法1000は、選択した配置ブロック1800に、配置オプション表2300において最適な配置ブロック1800オプションとしてラベルを付ける。方法1000はステップ1910に戻る。
【0078】
図23は、配置ブロック1800オプションを非連続的な試験構造100に割り当てるステップ2200のフロー図である。ステップ2210において、方法1000は、選択した試験構造100の制御ブロック190が近接要件を有するか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2230に進み、ノーの場合、方法1000はステップ2220に進む。
【0079】
ステップ2220において、方法1000は、各配置ブロック1800を分析して、選択した試験構造制御ブロック190および選択した要素1200のサイズおよびルート機能要件を満たすか否かを判定する。満たす場合、選択した配置ブロック1800に、配置オプション表2300において可能な配置ブロック1800’としてラベルを付ける。全ての配置ブロック1800を分析すると、方法1000は決定ステップ2240に戻る。
【0080】
ステップ2230において、各配置ブロック1800ごとに、方法1000は分析を行って、選択した試験構造制御ブロック190および選択した要素1200の近接、サイズ、およびルート機能要件を満たすか否かを判定する。満たす場合、選択した配置ブロック1800に、配置オプション表2300において最適な配置ブロック1800としてラベルを付ける。全ての配置ブロック1800を分析すると、方法1000はステップ2235に戻る。
【0081】
ステップ2235において、方法1000は、試験構造100の選択した制御ブロック190について最適な配置ブロック1800が見出されたか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2235に進み、ノーの場合、方法1000はステップ2220に進む。
【0082】
ステップ2240において、方法1000は、選択した試験構造100に関連したDUT170または180あるいはその両方が近接要件を有するか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2250に進み、ノーの場合、方法1000はステップ2260に進む。
【0083】
ステップ2250において、各配置ブロック1800ごとに、方法1000は分析を行って、選択した試験構造100のDUT170または180あるいはその両方および選択した要素1200の近接、サイズ、およびルート機能要件を満たすか否かを判定する。満たす場合、選択した配置ブロック1800に、配置オプション表2300において最適な配置ブロック1800としてラベルを付ける。全ての配置ブロック1800を分析すると、方法1000はステップ2255に戻る。
【0084】
ステップ2255において、方法1000は、試験構造100の選択したDUT170または180あるいはその両方について、最適な配置ブロック1800が見つかったか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ1910に戻る。ノーの場合、方法1000はステップ2260に進む。
【0085】
ステップ2260において、方法1000は、各配置ブロック1800を分析して、選択したDUT170または180あるいはその両方および選択した要素1200のサイズおよびルート機能要件を満たすか否かを判定する。満たす場合、選択した配置ブロック1800に、配置オプション表2300において最良の配置ブロック1800’としてラベルを付ける。全ての配置ブロック1800を分析すると、方法1000はステップ2255に戻る。
【0086】
図24は、例示的な配置オプション表2300を示す。各適用可能試験構造100および各適用可能要素1200について、最適な配置ブロック1800および最良の配置ブロック1800’を配置オプション表2300に記録する。
【0087】
図25は、ステップ1940の詳細のフロー図を示す。決定ステップ2410において、方法1000は、全ての連続的および非連続的な試験構造100を最適な配置ブロック1800に割り当て可能であるか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2420に進む。ノーの場合、方法1000はステップ2430に進む。
【0088】
ステップ2430において、方法1000は、試験構造100が共通の最適な配置ブロック1800を共有可能である場合に、全ての連続的および非連続的な試験構造が配置ブロック1800に割り当てられるか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2450に進む。ノーの場合、方法1000はステップ2440に進む。
【0089】
ステップ2440において、方法1000は、最も高い優先度の試験構造100から始めて、できる限り多くの連続的および非連続的な試験構造100を、それら各々の最適な配置ブロック1800に割り当てる。次いで、全ての残りの試験構造100を、それら各々の最良の配置ブロック1800’に割り当てる。方法1000はステップ2460に進む。
【0090】
ステップ2460において、方法1000は、全ての試験構造100が少なくとも1つの配置ブロック1800または1800’に割り当てられているか否かを判定する。イエスの場合、方法1000はステップ2470に進む。ノーの場合、方法1000はステップ1050に進んで、配置不可能な試験構造100を未使用の試験構造945のデータベースに記憶する。
【0091】
ステップ2420において、方法1000は、対応する最適な配置ブロック1800を用いて、試験構造割り当てリスト935を生成し、ステップ1060に進む。
【0092】
ステップ2450において、方法1000は、対応する最適な配置ブロック1800および共有配置ブロック1800を用いて、試験構造割り当てリスト935を生成する。方法1000はステップ1060に進む。
【0093】
ステップ2470において、方法1000は、最適な配置ブロック1800、共有配置ブロック1800、および最良の配置ブロック1800’を用いて、試験構造割り当てリスト935を生成する。方法1000はステップ1060に進む。
【0094】
図26は、要素1200a〜1200c、試験構造TS3、TS50、DUT170a〜170d、TS2、およびTS1のための例示的な試験構造割り当てリスト935である。この例では、TS1は配置することができず、従って未使用試験構造945のデータベースに追加される。TS2は、TS3と配置ブロック1800bを共有し、DUT170dは固定される(tie off)(例えばオフ位置にあるか、または他の何らかの低い漏れ構成にあるFET(複数のFET))。
【0095】
図27は、本発明において記載したシステムおよび方法を実施するために使用可能な汎用コンピュータ・システムのブロック図を示す。このシステムおよび方法は、汎用コンピュータによって用いるために着脱可能または硬質の媒体上に1組の命令として符号化することができる。図27は、本発明を実施するための汎用コンピュータの概略ブロック図である。図27は、コンピュータ・システム2600を示し、これは少なくとも1つのマイクロプロセッサまたは中央演算処理装置(CPU)2605を有する。CPU2605は、システム・バス2620を介して、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)2610と、リード・オンリ・メモリ(ROM)2615と、着脱可能またはプログラムあるいはその両方の記憶デバイス2655および大容量データまたはプログラムあるいはその両方の記憶デバイス2650を接続するための入出力(I/O)アダプタ2630と、キーボード2665およびマウス2600を接続するためのユーザ・インタフェース2635と、データ・ポートを接続するためのポート・アダプタ2625と、ディスプレイ・デバイス2670を接続するためのディスプレイ・アダプタ2640と、に相互接続されている。ROM2615は、コンピュータ・システム2600のための基本オペレーティング・システムを含む。着脱可能データまたはプログラム記憶デバイス2655あるいはその両方の例は、フロッピ・ドライブ、テープ・ドライブ、携帯型フラッシュ・ドライブ、ジップ・ドライブ等の磁気媒体、およびCD ROMまたはDVDドライブ等の光媒体を含む。大容量データまたはプログラム記憶デバイス2650あるいはその両方の例は、フラッシュ・メモリ等のハード・ディスク・ドライブおよび不揮発性メモリを含む。キーボード2665およびマウス2660に加えて、トラックボール、書き込みタブレット、圧力パッド、マイクロフォン、光ペン、および位置検知スクリーン・ディスプレイ等の他のユーザ入力デバイスを、ユーザ・インタフェース2635に接続することも可能である。ディスプレイ・デバイス2670の例は、ブラウン管(CRT)および液晶ディスプレイ(LCD)を含む。
【0096】
当業者によって、コンピュータ・プログラムを生成し、コンピュータ・システム2600または、データまたは着脱可能プログラムあるいはその両方の記憶デバイス2665に記憶して、本発明の実施を簡略化することができる。動作において、本発明を実施するために生成したコンピュータ・プログラムのための情報を、適切な着脱可能データまたはプログラムあるいはその両方の記憶デバイス2655上に配し、データ・ポート2645を介して供給し、またはキーボード2665を用いて入力する。ユーザは、コンピュータ・プログラムが実行する機能を操作し、上述したデータ入力手段のいずれかによって他のデータ入力を提供することによって、プログラムを制御する。ディスプレイ・デバイス2670は、ユーザがコンピュータ・プログラムを正確に制御し本発明に記載した所望のタスクを実行するための手段を提供する。
【0097】
上述の記載および図面は、本発明の特徴および利点を達成する典型的な実施形態を単に例示するに過ぎないものと考えられる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、試験および分析を実行するための具体的なレイアウト設計、システム、およびデバイス自体に、変更および置換を行うことが可能であることは、当業者には認められよう。従って、本発明は、前述の記載および図面によって限定されるものと考えられるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライブラリにおいて第1の試験構造を識別するステップであって、前記第1の試験構造が、集積回路(IC)設計における少なくとも1つのデバイスに一致する第1の試験対象デバイス(DUT)を有する、前記ステップと、
前記第1の試験構造を含むように前記集積回路設計を変更するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
複数の試験構造であって、その各々が前記集積回路設計における複数のデバイスの少なくとも1つに一致する少なくとも1つのDUTを含む前記複数の試験構造のリストを生成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの優先順位づけアルゴリズム、および、複数のカスタマ指示、複数の履歴データ、または複数の内部ルールの少なくとも1つを用いて、前記複数の試験構造のリストから、複数の優先順位をつけた試験構造を含む優先順位をつけたリストを生成するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記集積回路設計を変更する前記ステップが、前記優先順位をつけた試験構造の少なくとも1つのために前記集積回路において領域が利用可能であるか否かを判定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記優先順位をつけた試験構造の前記少なくとも1つに結合するために前記集積回路において所定の要素が利用可能であるか否かを判定するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記優先順位をつけた試験構造の前記少なくとも1つを所定の要素に割り当てるステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記リストに存在するが前記集積回路設計には存在しない前記複数の試験構造の少なくとも1つをデータベースに記憶するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記変更するステップが、複数の配置アルゴリズムを用いて前記優先順位をつけた試験構造の前記少なくとも1つを前記設計内に配置することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記変更した設計をコンパイルし、
複数の設計チェック・アルゴリズムを実行するステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の仕様を満足させるように前記変更した設計を調節するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記変更した設計に対応する集積回路を製造し、
製造試験中に前記試験構造を用いて前記少なくとも1つのデバイスのパラメータを測定するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのデバイスがPSRO(performance screen ring oscillator)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
個々の回路チップ・パラメータを試験するためのシステムであって、
少なくとも1つのデバイスおよび少なくとも1つの要素を含むIC設計と、
少なくとも1つの試験構造を含むライブラリと、
前記少なくとも1つのデバイスに一致する少なくとも1つの試験構造を含む第1のリストと、
前記第1のリストと優先度明細を含む第1のデータベースとから導出される、複数の優先順位をつけた一致試験構造を含む第2のリストと、
前記第2のリストと複数の要素を含む第2のデータベースとから生成される第3のリストと、
前記少なくとも1つの要素に結合された少なくとも1つの優先順位をつけた一致試験構造を含む変更されたIC設計と、
を含む、システム。
【請求項14】
前記第1のデータベースが、複数のカスタマ指示、複数の履歴データ、または複数の内部ルールの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの優先順位をつけた一致試験構造を前記IC設計内に配置するための少なくとも1つの配置アルゴリズムを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記IC設計のバックフィル領域が前記優先順位をつけた一致試験構造を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第3のリストに存在しない前記一致試験構造を含む第3のデータベースを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記ICにおける前記試験構造のパラメータが測定可能であるように、前記要素が前記試験構造に対するアクセスを提供する、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
IC設計を変更するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードを有するコンピュータ読み取り可能媒体を含むコンピュータ読み取り可能プログラムであって、
ライブラリにおいて第1の試験構造を識別するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードであって、前記第1の試験構造が、集積回路(IC)設計における少なくとも1つのデバイスに一致する第1の試験対象デバイス(DUT)を有する、前記コードと、
前記第1の試験構造を含むように前記IC設計を変更するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
を含む、コンピュータ読み取り可能プログラム。
【請求項20】
複数の一致試験構造を含むリストに優先順位をつけるためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、前記IC設計における少なくとも1つの要素に最も高い優先度の一致試験構造を割り当てるためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、を更に含む、請求項19に記載のコンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2010−525610(P2010−525610A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506389(P2010−506389)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/059967
【国際公開番号】WO2008/134222
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】