説明

読み出し回路、及び不揮発性半導体記憶装置

【課題】動作範囲を拡大させることができる不揮発性半導体記憶装置の読み出し回路を提供すること
【解決手段】読み出し回路30は、メモリセルトランジスタ10に流れる電流Icellとダミーセルトランジスタ20に流れる基準電流Irefとに基づいて、メモリセルトランジスタ10に格納されたデータ値を検出するセンスアンプ回路40と、ダミーセルトランジスタ20のゲートに第1電圧V1を供給する電圧制御回路60とを備える。メモリセルトランジスタ10は、制御ゲート15と浮遊ゲート13を有する。電圧制御回路60は、ダミーセルトランジスタ20のゲートとソース間の電圧Vgsが、メモリセルトランジスタ10の制御ゲートとソース間の電圧VRより小さくなるように、第1電圧V1を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置のメモリセルに格納されたデータの読み出しに用いられる読み出し回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体記憶装置のメモリセルに格納されたデータの読み出しに用いられる読み出し回路が開示されている。図1は、この読み出し回路が適用された不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。この不揮発性半導体記憶装置100は、メモリセル110と、そのメモリセル110に格納されたデータ値を検出する読み出し回路130を備えている。読み出し回路130は、ダミーセル120、電流センスアンプ回路140、及び基準電流回路150を有している。
【0003】
メモリセル110は、スタックゲート型のNチャネルトランジスタからなり、制御ゲート(コントロールゲート)と浮遊ゲート(フローティングゲート)を備えている。ダミーセル120は、メモリセル110とほぼ同様の構造を有している。但し、ダミーセル120の制御ゲートと浮遊ゲートは、互いに短絡している。メモリセル110の浮遊ゲートに電子(例えば、ホットエレクトロン)を注入することにより、そのメモリセル110の閾値電圧は変化する。その閾値電圧は、電子が浮遊ゲートに注入された場合に高くなり、電子が浮遊ゲートから引き抜かれた場合に低くなる。フラッシュメモリ等の不揮発性半導体記憶装置は、この特性の変化を利用することによってデータを記憶する。
【0004】
このようなスタックゲート型のメモリセルトランジスタにおいて、制御ゲートに閾値電圧より大きい電圧が印加されると、ドレイン電流が流れる。この状態は、「強反転領域」における動作と呼ばれている。一般的なMOSトランジスタの「強反転領域」におけるドレイン電流Idは、次の式で表される。
【0005】
【数1】

【0006】
ここで、Vgはゲート・ソース間の電圧(Vgs)であり、Vdはドレイン・ソース間の電圧(Vds)であり、Vtは閾値電圧である。W及びLは、トランジスタのゲート幅及びゲート長である。また、μは平均表面移動度であり、Coxは単位面積あたりのゲート容量を示す。特に、ドレイン・ソース電圧Vdが小さい場合(例えば、1V以下)、ドレイン電流Idは、次の式で表される。
【0007】
【数2】

【0008】
図2は、不揮発性半導体記憶装置100におけるメモリセル110とダミーセル120のIV特性を示している。図2において、縦軸はドレイン電流Idを示し、横軸は、制御ゲートに印加される電圧Vcgを示している。ここで、図1に示されるように、メモリセル110及びダミーセル120のソースはグランドに接続されている。従って、図1及び図2においては、制御ゲート電圧Vcgは上記ゲート・ソース電圧Vgを示すと考えてよい。また、浮遊ゲートに電子が注入されたメモリセル110は、以下「OFFメモリセル」と参照される。また、浮遊ゲートから電子が引き抜かれたメモリセル110は、以下「ONメモリセル」と参照される。ONメモリセルは、電子が消去された消去メモリセルであり、例えば、データ値「0」に対応付けられる。一方、OFFメモリセルは、書き込みメモリセルに対応し、例えば、データ値「1」に対応付けられる。また、ONメモリセル及びOFFメモリセルの閾値電圧は、それぞれVt0及びVt1とする。
【0009】
上記数式(2)で表され、また図2に示されているように、強反転領域において、ドレイン電流Idは制御ゲート電圧Vcg(ゲート・ソース電圧Vg)にほぼ比例している。また、ダミーセル120におけるドレイン電流Idの、制御ゲート電圧Vcgの変化に対する変化係数(比例係数)は、メモリセル110のものより小さくなるように設定されている。この比例係数は、ゲート容量Cox、ゲート幅W、ゲート長Lを変化させることにより調整することが可能である。また、制御ゲートと浮遊ゲートが同じ電位になるため、ダミーセル120の閾値電圧Vtdは、ONメモリセルの閾値電圧Vt0より小さくなる。よって、ダミーセル120に対するIV特性は、図2に示された線で表される。
【0010】
このようなIV特性を有するメモリセル110及びダミーセル120の制御ゲートに対して、読み出し動作時には同じ制御ゲート電圧Vcgが供給される。この読み出し時に印加される電圧は、以下「リード電圧VR」と参照される。図2に示されるように、リード電圧VRは、閾値電圧Vt0とVt1の間に設定される。この時、ONメモリセルは強反転領域で動作し、ドレイン電流(読み出し電流)Ionが流れる。また、ダミーセル120も強反転領域で動作し、ドレイン電流(基準電流)Irefが流れる。
【0011】
ここで、リード電圧VRは、OFFメモリセルの閾値電圧Vt1よりも小さい。よって、OFFメモリセルは、強反転領域では動作しない。但し、OFFメモリセルに全く電流が流れないわけではない。実際のMOSトランジスタにおいては、ゲート電圧が閾値電圧以下でも、ソース・ドレイン間に電位差がある場合は微小な電流が流れる。その原因は次の通りである。ゲート直下の基板表面には、密度は低いが電子が多少存在する。その電子が基板内において拡散によりドレイン側へ運ばれることにより、微小な電流が流れる。この状態は、「弱反転領域」における動作と呼ばれている。一般的なMOSトランジスタの「弱反転領域」におけるドレイン電流Idは、次の式で表される。
【0012】
【数3】

【0013】
ここで、qは電荷量、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、mは所定のパラメータを示す。また、Vgはゲート・ソース間の電圧(Vgs)であり、Vdはドレイン・ソース間の電圧(Vds)である。リード電圧VRが制御ゲートに印加された時、図2に示されるように、OFFメモリセルにも微小なドレイン電流Ioffが流れることになる。不揮発性半導体記憶装置100においては、メモリセル110からの電流Icell(Ion、Ioff)と、ダミーセル120からの電流Irefを比較することによって、そのメモリセル110がONメモリセルかOFFメモリセルかの検出が行われる。
【0014】
半導体記憶装置100の具体的な構成及び動作は次の通りである。図1に示されるように、電流センスアンプ回路140は、PMOS141,142、NMOS143,144、及びNOR145を備えている。PMOS141、142は、カレントミラー回路を構成している。NOR145は、ストップ信号Stopに応じてNMOS143をOFFし、不必要な場合に電流が流れることを防止する役割を果たす。また、基準電流回路150は、PMOS151,152、NMOS153,154、及びNOR155を備えている。PMOS151、152は、カレントミラー回路を構成している。また、NMOS144、153も、カレントミラー回路を構成している。NOR155は、ストップ信号Stopに応じてNMOS154をOFFし、不必要な場合に電流が流れることを防止する役割を果たす。PMOS141、142、151、152は、全て同じサイズを有している。NMOS143、154は、同じサイズを有している。NMOS144、153は、同じサイズを有している。NOR145、155を構成するトランジスタも、全て同じサイズを有している。
【0015】
読み出し動作時、メモリセル110とダミーセル120の制御ゲートには、同じリード電圧VRが印加される。この時、格納されたデータ値に応じて、メモリセル110にはメモリセル電流Icell(Ion,Ioff)が流れる。PMOS141にもメモリセル電流Icellが流れる。PMOS141、142はカレントミラー回路を構成しており、またトランジスタサイズが同じであるため、PMOS142に流れる電流もメモリセル電流Icellとなる。
【0016】
一方、ダミーセル120には基準電流Iref(例えば10μA)が流れる。この時、PMOS152にも基準電流Irefが流れる。PMOS151、152はカレントミラー回路を構成しており、またトランジスタサイズが同じであるため、PMOS151に流れる電流も基準電流Irefとなる。よって、NMOS153にも基準電流Irefが流れる。NMOS144、153はカレントミラー回路を構成しており、またトランジスタサイズが同じであるため、NMOS144に流れる電流も基準電流Irefとなる。このNMOS144に流れる電流は、メモリセル110に格納されたデータの検出に用いられるため、以下「センス電流Isen」と参照される。
【0017】
メモリセル110がONメモリセル(データ値:0)の場合、すなわちメモリセル電流Icellが読み出し電流Ionである場合、図2に示されたように、その読み出し電流Ionはセンス電流Isen(基準電流Iref)より大きくなる。よって、接続点O1の電圧は、電源電圧VDD近傍まで上昇する。接続点O1に接続されたインバータ131を介して、出力OUTからは論理値「Low」が出力されることになる。一方、メモリセル110がOFFメモリセル(データ値:1)の場合、すなわちメモリセル電流Icellが読み出し電流Ioffである場合、図2に示されたように、その読み出し電流Ioffはセンス電流Isen(基準電流Iref)より小さくなる。よって、接続点O1の電圧は、グランド電圧GND近傍まで下降し、出力OUTからは論理値「Hi」が出力されることになる。このように、Ion>Iref>Ioffの関係が満たされる場合に、正常な読み出し動作が行われる。
【0018】
関連する技術として、以下のものが知られている。
【0019】
特許文献2には、ダミーセルにおいて電流の流れはじめるゲート電圧(立ち上がり電圧)を、メモリセルに対する立ち上がり電圧と同じにすることを目的とした技術が開示されている。この特許文献2の不揮発性半導体記憶装置は、スタックゲート型のNMOSからなるメモリセルと、シングルゲート型のNMOSからなるダミーセルと、第1及び第2の容量素子と、差動増幅センスアンプを備える。第1、第2の容量素子は、電源と接地の間で直列接続されており、それらの容量比は、メモリセルトランジスタの容量比とほぼ同じに設定される。第1と第2の容量素子の接続点の電位が、ダミーセルトランジスタのゲートに供給される。差動増幅センスアンプは、メモリセル側の読み出し電圧とダミーセル側のリファレンス電圧を比較する。
【0020】
特許文献3には、温度変動や製造プロセル条件の変動があっても正確なリード動作を保証することを目的とした技術が開示されている。この特許文献3の不揮発性半導体記憶装置は、メモリセルトランジスタと、リファレンストランジスタと、差動センスアンプと、リファレンストランジスタのゲート電圧を生成するためのゲート電圧発生回路を備える。このゲート電圧発生回路は、メモリセルトランジスタと同じ構造を有するダミーセルトランジスタと、そのダミーセルトランジスタのドレイン電流に比例した電流を生成するためのカレントミラーと、その電流に基づいてリファレンストランジスタのゲート電圧を生成するためのトランジスタ手段を備える。
【0021】
特許文献4には、高精度かつ短時間で基準電流値を設定することを目的とした技術が開示されている。この特許文献4の不揮発性半導体記憶装置は、差動増幅回路と外部端子を備える。差動増幅回路は、ダミーセルのドレイン・ソース間の電圧を電源電圧に依存した第1の基準電圧に設定し、ダミーセルのゲート電位を電源電圧の変動に依存しない第2の基準電圧で制御する。読み出し制御信号に応じてダミーセルに流れる基準電流が、外部端子から取り出される。この外部端子からの電流の値に基づいて、第2の基準電圧の値が調整され、基準電流の値が補正される。
【0022】
【特許文献1】特公平02−049519号公報
【特許文献2】特開平09−320283号公報
【特許文献3】特開2001−229686号公報
【特許文献4】特開2004−030754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
図3Aは、メモリセル110のドレイン電流の温度依存を示している。図3Aにおいて、縦軸はドレイン電流Id(メモリセル電流Icell)を示し、横軸は温度を示している。また、メモリセル110の制御ゲートには例えば3.0Vが印加されている。上述の「強反転領域」において、ドレイン電流Idを形成するものは、多数キャリアである電子である。電子は、ゲート直下の反転層内をソースからドレインに向かって移動する。この電子の移動度は、フォノン散乱により決定される。温度が上昇するにつれてフォノン散乱は激しくなるから、電子の移動度が低下する。よって、強反転領域においては、温度が上昇するにつれてドレイン電流Idは減少する。すなわち、ONメモリセルの読み出し電流Ionは、図3A中の関数f0で示される特性を有する。
【0024】
一方、上記式(3)で表されるように、「弱反転領域」におけるドレイン電流Idは、ゲート・ソース電圧Vgの増加に伴い指数関数的に増加するが、ドレイン・ソース電圧Vdにはほとんど依存しないことがわかる。これは、弱反転領域においてはチャネル中のキャリア(ここでは電子)密度が低く、ドレイン電流Idが、ソース・弱反転層間のポテンシャル障壁を乗り越える電子数で決定されるためである。高温になると、ソース・弱反転層間のポテンシャル障壁を乗り越える電子数は増加する。よって、弱反転領域においては、温度が上昇するにつれてドレイン電流Idは増加する。すなわち、OFFメモリセルの読み出し電流Ioffは、図3A中の関数f1で示される特性を有する。
【0025】
図3Bは、ダミーセル120のドレイン電流の温度依存を示している。図3Bにおいて、縦軸は基準電流(ダミーセル電流)Irefを示し、横軸は温度を示している。また、ダミーセル120の制御ゲートには例えば3.0Vが印加されている。上述の通り、ダミーセル120は、強反転領域で動作するので、図3A中の関数f0と同様の特性を有する。すなわち、ダミーセル120の基準電流Irefは、図3B中の関数fdで示される特性を有する。
【0026】
本願発明者らは、メモリセル110の特性が経年変化することにより、読み出し時の温度特性が劣化するという問題点を発見した。
【0027】
不揮発性半導体記憶装置においては、メモリセル110が長期間使用されている間に、特性が変化してしまう。その理由は次の通りである。不揮発性半導体記憶装置のメモリセル110は、電子をためる浮遊ゲートを有している。例えば、その浮遊ゲートを囲む絶縁膜には電子がトラップされている場合がある。この時、ONメモリセル(消去メモリセル)が長期間使用されていると、そのトラップされていた電子が浮遊ゲートへ入り込んでしまう可能性がある。また、OFFメモリセル(書き込みメモリセル)が長期間使用されていると、浮遊ゲートから電子が抜け出てしまう可能性がある。更に、あるメモリセルに書き込み等が行われる場合、そのメモリセルには高電圧が印加される。この時、そのメモリセルの周辺にもその高電圧の影響が及び、トラップされていた電子や他のメモリセルの浮遊ゲート中の電子が移動する可能性がある。このように、メモリセル110が長期間使用されていると、その浮遊ゲートに電子が出入りするため、そのメモリセル110の特性が変わってしまう。尚、ダミーセル120においては、制御ゲートと浮遊ゲートが短絡されているため、メモリセル110の場合のような特性の経年変化は起きにくい。
【0028】
メモリセル110の特性が経年変化することにより次のような問題が発生する。図4は、その問題点を説明するための図であり、従来の不揮発性半導体記憶装置100の温度特性を示している。図4において、縦軸は電流Icell,Isenを示し、横軸は温度を示している。ダミーセル120は強反転領域で動作するので、センス電流Isenの特性は関数fdで示されている(図3B参照)。
【0029】
消去が行われた直後、ONメモリセルは強反転領域で動作し、その読み出し電流Ionは関数f0で示される(図3A参照)。しかしながら、上述の理由で電子が浮遊ゲートに入り込んでくることにより、読み出し電流Ionは序々に減少し、また、ONメモリセルはより弱反転領域に近い領域で動作することになる。つまり、読み出し電流Ionの特性が関数f0から関数f0’に序々に変化する。ここで、動作領域がより弱反転領域側に近づくため、関数f0’の傾きは、関数f0の傾きより緩やかである(図3A参照)。この場合、常温〜高温領域においては、読み出し電流Ionはセンス電流Isenよりも大きいので、読み出し動作が正常に行われる。しかしながら、低温領域においては、図4に示されるように、読み出し電流Ionがセンス電流Isenより小さくなる可能性がある。その場合、読み出し動作が正常に行われないので、不揮発性半導体記憶装置を低温領域で動作させることが不可能になる。
【0030】
同様に、書き込みが行われた直後、OFFメモリセルは弱反転領域で動作し、その読み出し電流Ioffは関数f1で示される(図3A参照)。しかしながら、上述の理由で電子が浮遊ゲートから抜けることにより、読み出し電流Ioffは序々に増加し、また、OFFメモリセルはより強反転領域に近い領域で動作することになる。つまり、読み出し電流Ioffの特性が関数f1から関数f1’に序々に変化する。ここで、動作領域がより強反転領域に近づくため、関数f1’の傾きは、関数f1の傾きより緩やかである。この場合、低温〜常温領域においては、読み出し電流Ioffはセンス電流Isenよりも小さいので、読み出し動作が正常に行われる。しかしながら、高温領域においては、図4に示されるように、読み出し電流Ioffがセンス電流Isenより大きくなる可能性がある。その場合、読み出し動作が正常に行われないので、不揮発性半導体記憶装置を高温領域で動作させることが不可能になる。
【0031】
このように、従来の不揮発性半導体記憶装置100によれば、メモリセル110やダミーセル120の動作状態が様々であるため、読み出し動作が可能な温度領域が狭くなる。つまり、優れた温度特性を得ることができなかった。最近、マイコンに搭載されるフラッシュメモリ等において、広範囲の温度で読み出しを可能にする技術が望まれている。例えば、従来の技術において動作可能な温度範囲は−10〜125℃程度であったが、最近はその温度範囲として−40〜150℃程度が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0032】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0033】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(1)の読み出し回路(30)は、メモリセルトランジスタ(10)に流れる電流(Icell)と、ダミーセルトランジスタ(20)に流れる電流(Iref)に基づいて、メモリセル(10)に格納されたデータ値を検出する。データの読み出し時、ダミーセルトランジスタ(20)のゲートとソース間の電圧(V1)は、メモリセルトランジスタ(10)の制御ゲートとソース間の電圧(VR)より小さくなる。具体的には、ダミーセルトランジスタ(20)が強反転領域と弱反転領域との間の遷移領域において動作するように、そのダミーセルトランジスタ(20)のゲートとソース間の電圧(V1)が設定される。
【0034】
このように、本発明によれば、ダミーセルトランジスタ(20)が、強反転領域と弱反転領域の間の「遷移領域」において動作する。この遷移領域においては、ドレイン電流が温度上昇に伴い減少する強反転領域の特性と、ドレイン電流が温度上昇に伴い増加する弱反転領域の特性の中間の特性が得られる。つまり、基準電流(Iref)及びセンス電流(Isen)は、温度に関係なくほぼ一定の値を示す。
【0035】
消去が行われた直後、ONメモリセルは強反転領域で動作する。その後、経年変化によって、読み出し電流(Ion)は減少し、動作領域がより遷移領域に近づく。つまり、ONメモリセルもダミーセル(20)も、遷移領域、あるいはほぼ遷移領域で動作する。このため、読み出し電流(Ion)、センス電流(Isen)ともに、温度に依存せずにほぼ一定となる。これにより、読み出し電流(Ion)とセンス電流(Isen)の大小関係が反対になることが防がれる。よって、読み出し動作が正常に行われる温度範囲が拡大し、温度に関する動作マージンが拡大する。
【0036】
また、書き込みが行われた直後、OFFメモリセルは弱反転領域で動作する。その後、経年変化によって、読み出し電流(Ioff)は増加し、動作領域がより遷移領域に近づく。つまり、OFFメモリセルもダミーセル(20)も、遷移領域、あるいはほぼ遷移領域で動作する。このため、読み出し電流(Ioff)、センス電流(Isen)ともに、温度に依存せずにほぼ一定となる。これにより、読み出し電流(Ioff)とセンス電流(Isen)の大小関係が反対になることが防がれる。よって、読み出し動作が正常に行われる温度範囲が拡大し、温度に関する動作マージンが拡大する。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る読み出し回路によれば、不揮発性半導体記憶装置の温度特性が向上する。
【0038】
本発明に係る読み出し回路によれば、不揮発性半導体記憶装置の動作範囲が拡大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
添付図面を参照して、本発明による読み出し回路、及びそれを備える不揮発性半導体記憶装置を説明する。
【0040】
(第1の実施の形態)
(構成)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。この不揮発性半導体記憶装置1は、メモリセル10と、そのメモリセル10に格納されたデータ値を検出する読み出し回路30を備えている。読み出し回路30は、ダミーセル20、電流センスアンプ回路40、基準電流回路50、及び電圧制御回路60を有している。
【0041】
メモリセル10は、スタックゲート型のNチャネルトランジスタであり、制御ゲート(コントロールゲート)と浮遊ゲート(フローティングゲート)を備えている。図6A及び図6Bのそれぞれは、このメモリセル10(メモリセルトランジスタ)の構造を示す断面図及び平面図である。図6Aに示されるように、基板11上にトンネル絶縁膜12を介して浮遊ゲート13が形成されており、その浮遊ゲート13上にゲート絶縁膜14を介して制御ゲート15が形成されている。また、基板11中にはソース16及びドレイン17が形成されている。図6Bに示されるように、拡散層18(ソース16、ドレイン17)は、制御ゲート15をマスクとして用いることにより形成される。また、コンタクト19が制御ゲート15に接続するように形成されている。浮遊ゲート13は、メモリセル10毎に独立して設けられている。
【0042】
読み出し動作時、メモリセル10の制御ゲート15には、制御ゲート電圧Vcgとして「リード電圧VR」が供給される。図5に示されるように、このメモリセル10のソース16は、グランドGNDに接続されている。よって、本実施の形態において、リード電圧VRは、メモリセル10におけるゲート・ソース電圧Vgsを示すと考えてよい。また、浮遊ゲート13に電子が注入されたメモリセル10は、以下「OFFメモリセル」と参照される。また、浮遊ゲート13から電子が引き抜かれたメモリセル10は、以下「ONメモリセル」と参照される。ONメモリセルは、電子が消去された消去メモリセルであり、例えば、データ値「0」に対応付けられる。一方、OFFメモリセルは、書き込みメモリセルに対応し、例えば、データ値「1」に対応付けられる。また、ONメモリセル及びOFFメモリセルの閾値電圧は、それぞれVt0及びVt1とする。
【0043】
ダミーセル20は、メモリセル10とほぼ同一の構造を有する。つまり、ダミーセル20も、スタックゲート型のNチャネルトランジスタであり、制御ゲート(コントロールゲート)と浮遊ゲート(フローティングゲート)を備えている。図7A及び図7Bのそれぞれは、このダミーセル20(ダミーセルトランジスタ)の構造を示す断面図及び平面図である。図7Aに示されるように、基板21上にトンネル絶縁膜22を介して浮遊ゲート23が形成されており、その浮遊ゲート23上にゲート絶縁膜24を介して制御ゲート25が形成されている。また、基板21中にはソース26及びドレイン27が形成されている。図7Bに示されるように、拡散層28(ソース26、ドレイン27)は、制御ゲート25をマスクとして用いることにより形成される。また、ダミーセル20の浮遊ゲート23は、各セルを横切るように形成されており、複数のセルで共有されている。そして、その浮遊ゲート23は、セルアレイの端部において、コンタクト29によって制御ゲート25に接続されている。すなわち、本実施の形態において、ダミーセル20の浮遊ゲート23と制御ゲート25は、互いに短絡している。これにより、基準電流を生成するためのダミーセル20において、上述の特性の経年変化が起きることが防止される。
【0044】
読み出し動作時、ダミーセル20の制御ゲート25には、制御ゲート電圧Vcgとして「第1電圧V1」が供給される。図5に示されるように、このダミーセル20のソース26は、グランドGNDに接続されている。よって、本実施の形態において、第1電圧V1は、ダミーセル20におけるゲート・ソース電圧Vgsを示すと考えてよい。また、ダミーセル20の閾値電圧は、Vtdとする。
【0045】
電流センスアンプ回路40は、メモリセル10を流れるメモリセル電流Icell(読み出し電流Ion,Ioff)の大小を検出し、格納されているデータ値の判定を行うための回路である。図5に示されるように、電流センスアンプ回路40は、PMOS41,42、NMOS43,44,45、及びNOR46を備えている。PMOS41、42は、カレントミラー回路を構成している。メモリセル10のドレインは、NMOS43を介して、このカレントミラー回路に接続されている。NOR46は、ストップ信号Stopに応じてNMOS43をOFFし、不必要な場合に電流が流れることを防止する役割を果たす。カレントミラー回路の出力は、接続点O1に接続されており、その接続点O1はインバータ31を介して出力OUTに接続されている。NMOS44、45のソースはグランドGNDに接続されており、それらのドレインは接続点O2に接続されている。接続点O1と接続点O2は接続されている。
【0046】
基準電流回路50は、上記電流センスアンプ回路40がメモリセル電流Icellの大小を検出するために用いる基準電流Irefを生成するための回路である。図5に示されるように、基準電流回路50は、PMOS51,52、NMOS53,54、及びNOR55を備えている。PMOS51、52は、カレントミラー回路を構成している。ダミーセル20のドレインは、NMOS54を介して、このカレントミラー回路に接続されている。NOR55は、ストップ信号Stopに応じてNMOS54をOFFし、不必要な場合に電流が流れることを防止する役割を果たす。カレントミラー回路の出力は、NMOS53に接続されている。このNMOS53とNMOS44もカレントミラー回路を構成しており、また、このNMOS53とNMOS45もカレントミラー回路を構成している。尚、NMOS53とカレントミラー回路を構成するこのようなNMOS44、45と同様のトランジスタの数は、任意に設定可能である。
【0047】
PMOS41、42、51、52は、全て同じサイズを有している。NMOS43、54は、同じサイズを有している。NMOS44、45、53は、同じサイズを有している。NOR46、55を構成するトランジスタも、全て同じサイズを有している。
【0048】
電圧制御回路60は、ダミーセル20の制御ゲート25に「第1電圧V1」を供給するための回路である。例えば、図5において、この電圧制御回路60は、直列に接続された第1抵抗61及び第2抵抗62を有している。第1抵抗61の一端は中間ノード63に接続され、その他端は、メモリセル10の制御ゲート15に印加される電圧(リード電圧VR)が供給される端子に接続されている。また、第2抵抗62の一端は中間ノード63に接続され、その他端はグランドGNDに接続されている。中間ノード63は、ダミーセル20の制御ゲート25に接続されている。
【0049】
(動作)
本実施の形態において、読み出し動作時、電圧制御回路60は、ダミーセル20の制御ゲート25に第1電圧V1を供給する。ここで、ダミーセル20のゲート・ソース電圧Vgsが、メモリセル10のゲート・ソース電圧Vgsよりも小さくなるように、第1電圧V1が設定される。本実施の形態において、メモリセル10のゲート・ソース電圧Vgsは、リード電圧VRであり、ダミーセル20のゲート・ソース電圧Vgsは、第1電圧V1である。すなわち、電圧制御回路60は、リード電圧VRより小さくなるように第1電圧V1を設定する。
【0050】
図5に示された例の場合、電圧制御回路60は、中間ノード63の電圧を第1電圧V1として、制御ゲート25に供給する。第1抵抗61の抵抗値をR1、第2抵抗62の抵抗値をR2とする時、第1電圧V1は、次の式で与えられる。
【0051】
【数4】

【0052】
ここで、パラメータαは、リード電圧VRに対する第1電圧V1の比を示し、0以上1以下の値をとる。抵抗値R1及びR2を調整することによって、パラメータα、すなわち第1電圧V1を調整することが可能である。
【0053】
より具体的には、本実施の形態において、電圧制御回路60は、第1電圧V1を、ダミーセル20の閾値電圧Vtd近傍の電圧に設定する。これにより、ダミーセル20は、強反転領域と弱反転領域の間の「遷移領域」において動作するようになる。この「遷移領域」とは、強反転領域から弱反転領域に、あるいは弱反転領域から強反転領域に移行する際の中間的な領域である。つまり、遷移領域においては、ドレイン電流が温度上昇に伴い減少する強反転領域の特性と、ドレイン電流が温度上昇に伴い増加する弱反転領域の特性の中間の特性が得られる。
【0054】
図8は、本実施の形態における、ダミーセル20に流れる基準電流Irefの温度依存を示している。図8において、縦軸は基準電流(ダミーセル電流)Irefを示し、横軸は温度を示している。また、リード電圧VRとしては例えば3.0Vが印加されている。従来、ダミーセルは強反転領域で動作していたので、基準電流Irefは関数fdで示される特性を有していた(図3参照)。しかしながら、本実施の形態によれば、ダミーセル20の制御ゲート25にはリード電圧VRより小さい第1電圧V1が印加される。具体的には、第1電圧V1がダミーセル20の閾値電圧Vtd近傍の電圧になるように、抵抗値R1及びR2が設定される。これにより、ダミーセル20は強反転領域と弱反転領域の間の「遷移領域」において動作する。この場合、基準電流Irefは、図8中の“関数fD”で示される特性を有する。この特性は、ドレイン電流が温度上昇に伴い減少する強反転領域の特性と、ドレイン電流が温度上昇に伴い増加する弱反転領域の特性の中間的な特性である。つまり、本実施の形態によれば、ダミーセル20による基準電流Irefは、温度に関係なくほぼ一定の値を示す。例えば図8において、その基準電流Irefは、約5μAである。
【0055】
ダミーセル20によって生成された基準電流Irefは、PMOS52にも流れる。PMOS51、52はカレントミラー回路を構成しており、またトランジスタサイズが同じであるため、PMOS51に流れる電流も基準電流Irefとなる。よって、NMOS53にも基準電流Irefが流れる。NMOS44、53はカレントミラー回路を構成しており、またトランジスタサイズが同じであるため、NMOS44に流れる電流も基準電流Irefとなる。また、NMOS45、53もカレントミラー回路を構成しており、またトランジスタサイズが同じであるため、NMOS45に流れる電流も基準電流Irefとなる。従って、接続点O2に流れる電流は、基準電流Irefの2倍(例えば10μA)になる。この接続点O2に流れる電流は、メモリセル10に格納されたデータの検出に用いられるため、以下「センス電流Isen」と参照される。
【0056】
また、メモリセル10の制御ゲート15にリード電圧VRが印加され、格納されたデータ値に応じたメモリセル電流Icell(Ion,Ioff)が流れる。PMOS41にもメモリセル電流Icellが流れる。PMOS41、42はカレントミラー回路を構成しており、またトランジスタサイズが同じであるため、PMOS42に流れる電流もメモリセル電流Icellとなる。
【0057】
メモリセル10がONメモリセル(データ値:0)の場合、すなわちメモリセル電流Icellが読み出し電流Ionである場合、その読み出し電流Ionはセンス電流Isenより大きくなる。よって、接続点O1の電圧は、電源電圧VDD近傍まで上昇し、出力OUTからは論理値「Low」が出力されることになる。一方、メモリセル10がOFFメモリセル(データ値:1)の場合、すなわちメモリセル電流Icellが読み出し電流Ioffである場合、その読み出し電流Ioffはセンス電流Isenより小さくなる。よって、接続点O1の電圧は、グランド電圧GND近傍まで下降し、出力OUTからは論理値「Hi」が出力されることになる。
【0058】
(効果)
本実施の形態による効果は以下の通りである。図9は、本実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1の温度特性を示している。図9において、縦軸は電流Icell,Isenを示し、横軸は温度を示している。上述の通り、電圧制御回路60は、ダミーセル20が強反転領域と弱反転領域の間の「遷移領域」において動作するように、第1電圧V1を設定する。よって、基準電流Irefは、温度に関係なくほぼ一定の値を示す(図8参照)。また、この基準電流Irefに基づいて生成されるセンス電流Isenも、温度に関係なくほぼ一定の値を示す。図9において、このセンス電流Isenの特性は、関数fD’で示されている。
【0059】
消去が行われた直後、ONメモリセルは強反転領域で動作し、その読み出し電流Ionは関数f0で示される(図3A参照)。その後、経年変化によって、読み出し電流Ionは減少し、その特性が関数f0から関数f0’に序々に変化する。動作領域がより遷移領域に近づくため、関数f0’の傾きは、関数f0の傾きより緩やかである。つまり、ONメモリセルもダミーセル20も、遷移領域、あるいはほぼ遷移領域で動作する。このため、読み出し電流Ion、センス電流Isenともに、温度に依存せずにほぼ一定となる。これにより、読み出し電流Ionとセンス電流Isenの大小関係が反対になることが防がれる。低温〜高温領域にわたって、読み出し電流Ionはセンス電流Isenよりも大きくなるので、読み出し動作が正常に行われる。すなわち、動作可能な温度範囲が拡大し、不揮発性半導体記憶装置1の温度特性が向上する。
【0060】
また、書き込みが行われた直後、OFFメモリセルは弱反転領域で動作し、その読み出し電流Ioffは関数f1で示される(図3A参照)。その後、経年変化によって、読み出し電流Ioffは増加し、その特性が関数f1から関数f1’に序々に変化する。動作領域がより遷移領域に近づくため、関数f1’の傾きは、関数f1の傾きより緩やかである。つまり、OFFメモリセルもダミーセル20も、遷移領域、あるいはほぼ遷移領域で動作する。このため、読み出し電流Ioff、センス電流Isenともに、温度に依存せずにほぼ一定となる。これにより、読み出し電流Ioffとセンス電流Isenの大小関係が反対になることが防がれる。低温〜高温領域にわたって、センス電流Isenは読み出し電流Ioffよりも大きくなるので、読み出し動作が正常に行われる。すなわち、動作可能な温度範囲が拡大し、不揮発性半導体記憶装置1の温度特性が向上する。
【0061】
このように、本実施の形態によれば、書き込み/消去が行われたメモリセル10が長時間使用された後、そのメモリセル10とダミーセル20の動作状態はほぼ一致するようになる。これにより、不揮発性半導体記憶装置1において、広範囲の温度で読み出し動作を実行することが可能となる。つまり、不揮発性半導体記憶装置1の、温度に関する動作マージンが拡大する。
【0062】
(第2の実施の形態)
(構成)
本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図5に示された構成と同様の構成を有する。但し、基準電流Irefからセンス電流Isenを生成するためのNMOS45の有無は任意に設計され得る。センス電流Isenは、基準電流Irefに基づいて生成されればよい。以下の説明において、センス電流Isenと基準電流Irefは、等価に扱われる。
【0063】
(動作)
第1の実施の形態と同様に、読み出し動作時、電圧制御回路60は、ダミーセル20の制御ゲート25に第1電圧V1を供給する。この第1電圧V1は、メモリセル10の制御ゲート15に印加されるリード電圧VRより小さくなるように設定される。
【0064】
(効果)
図10は、メモリセル10及びダミーセル20のIV特性を示している。縦軸はドレイン電流Idを示し、横軸はそれぞれの制御ゲート(15,25)に印加される電圧Vcg(リード電圧VR,第1電圧V1)を示している。ONメモリセルのIV特性を示す線とダミーセル20のIV特性を示す線は、図中の点Pで交差する。同様に、OFFメモリセルのIV特性を示す線とダミーセル20のIV特性を示す線も交差する(図示されない)。
【0065】
従来技術によれば、ONメモリセルの制御ゲート15とダミーセル20の制御ゲート25には、同じリード電圧VRが印加されていた。ここで、メモリセル10からの読み出し動作を正常に行うためには、Ion>Iref>Ioffの関係が満たされる必要がある。そのため、従来技術によれば、リード電圧VRを点Pに対応した値(限界値)以下に設定することができなかった。もし、リード電圧VRが限界値以下になると、図10に示されるように、読み出し電流Ionが基準電流Irefより小さくなってしまう。読み出し電流Ioffに関しても、同様の限界値が存在する。これらのことは、不揮発性半導体記憶装置の動作領域に限界があったことを意味する。
【0066】
しかしながら、本発明によれば、ダミーセル20に供給される第1電圧V1は、ONメモリセルに供給されるリード電圧VRよりも低くなる。よって、リード電圧VRが同じ場合であっても、本発明に係る基準電流Irefは、従来の基準電圧Irefより小さくなる。従って、たとえリード電圧VRが限界値より小さくなっても、図10に示されるように、読み出し電流Ionより小さい基準電流Irefを生成することが可能となる。つまり、リード電圧VRが従来の不良動作領域にあっても、Ion>Iref>Ioffを満たすように基準電流Iref(第1電圧V1)を設定することが可能となり、正常な読み出し動作が可能となる。従って、本発明によれば、不揮発性半導体記憶装置1のリード電圧VRに関する動作マージンが拡大する。最近、低電圧電源化の要求は増しており、リード電圧VRの値をより低く設定することが望まれている。この点において、本発明は特に効果を奏する。
【0067】
(第3の実施の形態)
(構成)
本発明の第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第2の実施の形態と同様の構成を有する。
【0068】
(動作)
本実施の形態は、第2の実施の形態の特殊な場合である。つまり、第2の実施の形態と同様に、読み出し動作時、第1電圧V1は、メモリセル10の制御ゲート15に印加されるリード電圧VRより小さくなるように設定される。これにより、基準電流Irefが読み出し電流Ionより小さくなる領域が拡大する。ここで更に、本実施の形態によれば、パラメータα(式(4)参照)は、以下に示される特別な値に設定される。
【0069】
メモリセル10の制御ゲート15と浮遊ゲート13との間の容量をC1とする。また、メモリセル10の浮遊ゲート13と反転層が形成される基板表面との間の容量をC2とする。この時、メモリセル10のゲート容量Coxは、式:Cox=C1・C2/(C1+C2)で与えられる。また、読み出し時に制御ゲート15に印加されるゲート電圧は、リード電圧VRである。また、ONメモリセルの閾値電圧はVt0である。これらを用いて既出の式(2)を書き換えることによって、ONメモリセルを流れる読み出し電流Ion(強反転領域)は、次のように与えられる。
【0070】
【数5】

【0071】
一方、ダミーセル20は、メモリセル10とほぼ同一の構造を有するが、制御ゲート25と浮遊ゲート23は互いに短絡されている。よって、ダミーセル20のゲート容量Coxは、式:Cox=C2で与えられる。また、読み出し時に制御ゲート25に印加されるゲート電圧は、第1電圧V1である。また、ダミーセル20の閾値電圧はVtdである。これらを用いて既出の式(2)を書き換えることによって、ダミーセル20を流れる基準電流Iref(強反転領域)は、次のように与えられる。
【0072】
【数6】

【0073】
第1電圧V1は、既出の式(4)で表されるが、本実施の形態によれば、パラメータαは、次のように設定される。
【0074】
【数7】

【0075】
この場合、上記式(4)(7)を用いて上記式(5)(6)を展開すれば明らかなように、式(5)、(6)においてリード電圧VRに掛かる係数が等しくなる(係数=(W/L)・μ・C1・C2/(C1+C2))。但し、本実施の形態において、メモリセル10とダミーセル20のゲート長L及びゲート幅Wは、それぞれ等しいとする。このことは、“リード電圧VRの変化”に対する電流Ion、Irefの変化量(傾き)が等しくなることを意味する。
【0076】
図11は、読み出し電流Ionと基準電流Irefの、リード電圧VRに対する依存性を示している。既出の図10において、横軸はリード電圧VRあるいは第1電圧V1を示していたが、この図11においては、横軸はリード電圧VRのみを示していることが注意されるべきである。あるリード電圧VRに対応する基準電流Irefの値は、そのリード電圧VRに応じた第1電圧V1によってダミーセル20に流れる電流値を示している。言い換えれば、既出の図10中のIref(本発明)に対応する点が、リード電圧VRに対応する位置まで平行移動されている。
【0077】
リード電圧VRの変化に応じて、読み出し電流Ionは変化する。また、リード電圧VRの変化に連動して、第1電圧V1は、上記式(4)及び(7)の関係を満たしながら変化する。この第1電圧V1の変化に応じて、基準電流Irefも変化する。上述の通り、また図11に示されているように、本実施の形態によれば、強反転領域において、そのリード電圧VRの変化に対する電流Ion、Irefの変化量(傾き)が等しくなる。すなわち、リード電圧VRに対する変化特性が同じになる。
【0078】
尚、図11においては、メモリセル10とダミーセル20が、ほぼ等しいリード電圧VRで強反転領域から弱反転領域に移行する場合が示されている。その理由は、次の通りである。ダミーセル20のゲート容量(C2)は、メモリセル10のゲート容量(C1・C2/(C1+C2))より大きい。トランジスタの閾値電圧とゲート容量は反相関の関係にあるため、ダミーセル20の閾値電圧Vtdは、メモリセル10の閾値電圧Vt0より小さい。また、ダミーセル20の制御ゲート25に供給される第1電圧V1は、メモリセル10の制御ゲート15に供給されるリード電圧VRより小さい。よって、メモリセル10が閾値近傍で動作している時、ダミーセル20も閾値近傍で動作していると考えられる。
【0079】
図11と同様に、図12は、読み出し電流Ionとセンス電流Isenの、リード電圧VRに対する依存性を示している。図11と同様に、横軸はリード電圧VRを示している。縦軸には、基準電流Irefの代わりにセンス電流Isenが示されている。このセンス電流Isenは、基準電流Irefに基づいて生成される。従って、センス電流Isenについても、リード電圧VRに対する変化特性は、読み出し電流Ionの変化特性と同じになる。
【0080】
以上に説明されたように、本実施の形態は、第2の実施の形態の特別な場合であり、パラメータαは式(7)を満たすように設定される。つまり、式(7)が満たされるように、抵抗値R1及び抵抗値R2が設定される。これにより、リード電圧VRの変化に対する電流Ion、Irefの変化量(傾き)は等しくなる。例えば、通常のフラッシュメモリの場合、容量C1と容量C2が同じ値になるように製造されることが多い。この時、パラメータαは0.5となる。式(7)が満たされるためには、抵抗値R1と抵抗値R2が、同じになるように設定されればよい。この時、電圧制御回路60は、リード電圧VRの半分の電圧を、ダミーセル20の制御ゲート25に供給する。
【0081】
(効果)
本実施の形態によれば、ダミーセル20に供給される第1電圧V1は、ONメモリセルに供給されるリード電圧VRよりも低くなる。これにより、第2の実施の形態と同様に、基準電流Irefが読み出し電流Ionより小さくなる領域が拡大する。更に、パラメータαが式(7)を満たすことにより、図11及び図12に示されたように、両セルに対する特性を示す2本の線が交わることがなくなる。従って、正常な読み出し動作が実現されるリード電圧VRの範囲が“最大限”に拡大する。すなわち、不揮発性半導体記憶装置1の、リード電圧VRに関する動作マージンが最大限に拡大する。
【0082】
リード電圧VRは、典型的には電源電圧である。本実施の形態によれば、電源電圧が高い場合から低い場合まで、ONメモリセルのデータを正常に検出することが可能となる。特に、従来不可能であった低電圧電源の場合においても、正常な読み出し動作が可能となる。例えば、従来のマイコンに搭載されるフラッシュROMの最低電源電圧は2.0V程度であった。最近は、より低電圧(例えば1.5V)での読み出し動作が要求されている。本発明は、このような低電源電圧化の要求に応えることができる。
【0083】
(第4の実施の形態)
図13は、本発明の第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。図13において、図5に示された構成と同様の構成には同一の符号が付され、その説明は適宜省略される。
【0084】
本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置1aにおいては、シングルゲート型のNチャネルエンハンストランジスタがダミーセル20’として使用される。このダミーセル20’のソースはグランドGNDに接続されている。電圧制御回路60は、このダミーセル20’のゲートに第1電圧V1を印加する。このダミーセル20’の特性は、上述の実施の形態で用いられた制御ゲート25と浮遊ゲート23が短絡されたダミーセル20の特性と同一である。
【0085】
電圧制御回路60は、リード電圧VRより小さくなるように第1電圧V1を設定する。これにより、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。また、第1の実施の形態と同様に、電圧制御回路60は、ダミーセル20’が強反転領域と弱反転領域の間の「遷移領域」において動作するように、第1電圧V1を設定してもよい。つまり、電圧制御回路60は、第1電圧V1を、ダミーセル20’の閾値電圧近傍の電圧に設定してもよい。この場合、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。あるいは、電圧制御回路60は、上記式(7)を満たすように、第1電圧V1を設定してもよい。この場合、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。抵抗値R1及びR2は、適宜設定され得る。
【0086】
本実施の形態による追加的な効果は、以下の通りである。ダミーセルとしてメモリセル10と同様のスタックゲート型構造が採用される場合、その構造の複雑さ故に、製造上のばらつきが大きくなる。これは、ダミーセルに流れる電流のばらつきの原因となる。製造上のばらつきを抑えるために、ダミーセルを囲むように同じ構造を有する複数のセルを配置する場合、レイアウトサイズが増大してしまう。本実施の形態によれば、ロジック回路等で通常しようされるNチャネル・エンハンストランジスタが、ダミーセル20’として採用される。このようなトランジスタは、基本的なMOSトランジスタであり、シンプルな構造を有している。従って、製造上のばらつきが、上述の実施の形態に比べて低減される。よって、ダミーセル20’に流れる電流のばらつきが抑制される。
【0087】
(第5の実施の形態)
図14は、本発明の第5の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。図14において、図5に示された構成と同様の構成には同一の符号が付され、その説明は適宜省略される。
【0088】
本実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置1bにおいて、ダミーセル20のソースは、直接グランドに接続されず、第3抵抗70を介してGNDに接続されている。また、電圧制御回路60’は、リード電圧VRを第1電圧V1として、ダミーセル20の制御ゲート25に出力する。つまり、読み出し動作時、メモリセル10の制御ゲート10とダミーセル20の制御ゲート25には、同じリード電圧VRが印加される。基準電流をIref、第3抵抗70の抵抗値をRsとする時、本実施の形態におけるダミーセル20のゲート・ソース電圧Vgsは、次の式で表される。
【0089】
【数8】

【0090】
よって、本実施の形態においても、ダミーセル20のゲート・ソース電圧Vgsが、メモリセル10のゲート・ソース電圧(リード電圧VR)よりも小さくなる。つまり、そのゲート・ソース電圧Vgsは、式:Vgs=αVRで与えられる。これにより、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。また、第1の実施の形態と同様に、ダミーセル20が強反転領域と弱反転領域の間の「遷移領域」において動作するように、第3抵抗70の抵抗値Rsが設定されてもよい。つまり、式(8)で表されたゲート・ソース電圧Vgsが、ダミーセル20の閾値電圧Vtd近傍になるように、第3抵抗70の抵抗値Rsが設定されてもよい。この場合、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0091】
あるいは、第3の実施の形態と同様に、パラメータαが上記式(7)を満たすように設定されてもよい。この場合、ダミーセル20のゲート・ソース電圧Vgsは、次の式で表される。
【0092】
【数9】

【0093】
この時、上記式(8)と式(9)を用いることによって、次の式が得られる。
【0094】
【数10】

【0095】
この式(10)を満たすように、抵抗値Rsが設定される。この場合、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。例えば、容量C1とC2が等しく、リード電圧VRが3.0V、基準電流が5.0μAであるとき、第3抵抗70の抵抗値Rsは、300kΩに設定されればよい。また、第3の実施の形態の場合と同様に、シングルゲート型のNチャネル・エンハンストランジスタがダミーセル20’として用いられてもよい。
【0096】
本実施の形態による追加的な効果は、以下の通りである。既出の実施の形態においては、第1抵抗61と第2抵抗62を用いた分圧により、所望の第1電圧V1が得られていた。その場合、製造上のばらつきや各抵抗のバイアス依存によって、設計上の所望の抵抗分割比が崩れる可能性がある。抵抗分割比が所望の値からずれると、第1電圧V1も所望の値からずれることになる。本実施の形態によれば、ダミーセル20の制御ゲート25には、リード電圧VRが供給される。よって、抵抗分割比について考慮する必要性がなくなる。
【0097】
以上に説明されたように、本発明に係る読み出し回路30及びそれを備える不揮発性半導体記憶装置(1、1a、1b)によれば、温度特性が向上する。また、動作範囲が拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、従来の不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図2】図2は、従来技術に係るメモリセル及びダミーセルのIV特性を示すグラフ図である。
【図3A】図3Aは、従来技術に係るメモリセルのドレイン電流の温度依存を示すグラフ図である。
【図3B】図3Bは、従来技術に係るダミーセルのドレイン電流の温度依存を示すグラフ図である。
【図4】図4は、従来の不揮発性半導体記憶装置の温度特性を示すグラフ図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図6A】図6Aは、本発明に係るメモリセルの構造を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明に係るメモリセルの構造を示す平面図である。
【図7A】図7Aは、本発明に係るダミーセルの構造を示す断面図である。
【図7B】図7Bは、本発明に係るダミーセルの構造を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明に係るダミーセルのドレイン電流の温度依存を示すグラフ図である。
【図9】図9は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の温度特性を示すグラフ図である。
【図10】図10は、メモリセル及びダミーセルのIV特性を示すグラフ図である。
【図11】図11は、本発明に係る読み出し電流と基準電流のリード電圧依存を示すグラフ図である。
【図12】図12は、本発明に係る読み出し電流とセンス電流のリード電圧依存を示すグラフ図である。
【図13】図13は、本発明の第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【図14】図14は、本発明の第5の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0099】
1 不揮発性半導体記憶装置
10 メモリセル(メモリセルトランジスタ)
11 基板
12 トンネル絶縁膜
13 浮遊ゲート
14 ゲート絶縁膜
15 制御ゲート
16 ソース
17 ドレイン
18 拡散層
19 コンタクト
20 ダミーセル(ダミーセルトランジスタ)
21 基板
22 トンネル絶縁膜
23 浮遊ゲート
24 ゲート絶縁膜
25 制御ゲート
26 ソース
27 ドレイン
28 拡散層
29 コンタクト
30 読み出し回路
31 インバータ
40 電流センスアンプ回路
41、42 PMOS
43、44、45 NMOS
46 NOR
50 基準電流回路
51、52 PMOS
53、54 NMOS
55 NOR
60 電圧制御回路
61 第1抵抗
62 第2抵抗
63 中間ノード
70 第3抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ゲートと浮遊ゲートを有するメモリセルトランジスタに流れる電流と、ダミーセルトランジスタに流れる電流に基づいて、メモリセルに格納されたデータ値を検出する読み出し回路であって、
データの読み出し時、前記ダミーセルトランジスタのゲートとソース間の電圧が、前記メモリセルトランジスタの前記制御ゲートとソース間の電圧より小さくなることを特徴とする
読み出し回路。
【請求項2】
請求項1に記載の読み出し回路であって、
前記ダミーセルトランジスタが強反転領域と弱反転領域との間の遷移領域において動作するように、前記ダミーセルトランジスタのゲートとソース間の電圧が設定されることを特徴とする
読み出し回路。
【請求項3】
メモリセルトランジスタに流れる電流とダミーセルトランジスタに流れる基準電流とに基づいて、前記メモリセルトランジスタに格納されたデータ値を検出するセンスアンプ回路と、
前記ダミーセルトランジスタのゲートに第1電圧を供給する電圧制御回路と
を具備し、
前記メモリセルトランジスタは、制御ゲートと浮遊ゲートを有し、
前記電圧制御回路は、前記ダミーセルトランジスタのゲートとソース間の電圧が、前記メモリセルトランジスタの前記制御ゲートとソース間の第2電圧より小さくなるように、前記第1電圧を設定する
読み出し回路。
【請求項4】
請求項3に記載の読み出し回路であって、
前記電圧制御回路は、前記ダミーセルトランジスタが強反転領域と弱反転領域との間の遷移領域において動作するように、前記第1電圧を設定する
読み出し回路。
【請求項5】
請求項3に記載の読み出し回路であって、
前記電圧制御回路は、前記ダミーセルトランジスタの閾値電圧近傍の電圧を、前記第1電圧として設定する
読み出し回路。
【請求項6】
請求項3に記載の読み出し回路であって、
前記メモリセルトランジスタの前記制御ゲートと前記浮遊ゲートとの間の容量をC1、前記メモリセルトランジスタの前記浮遊ゲートと基板表面との間の容量をC2とするとき、
前記電圧制御回路は、前記第2電圧の(C1/(C1+C2))倍の電圧を、前記第1電圧として設定する
読み出し回路。
【請求項7】
請求項3に記載の読み出し回路であって、
前記電圧制御回路は、
前記第2電圧が供給される端子と中間ノードとの間に接続された第1抵抗と、
グランドと前記中間ノードとの間に接続された第2抵抗と
を有し、
前記電圧制御回路は、前記中間ノードの電圧を前記第1電圧として設定する
読み出し回路。
【請求項8】
請求項7に記載の読み出し回路であって、
前記ダミーセルトランジスタが強反転領域と弱反転領域との間の遷移領域において動作するように、前記第1抵抗と前記第2抵抗の抵抗値が設定された
読み出し回路。
【請求項9】
請求項7に記載の読み出し回路であって、
前記第1電圧が前記ダミーセルトランジスタの閾値電圧近傍になるように、前記第1抵抗と前記第2抵抗の抵抗値が設定された
読み出し回路。
【請求項10】
請求項7に記載の読み出し回路であって、
前記メモリセルトランジスタの前記制御ゲートと前記浮遊ゲートとの間の容量をC1、前記メモリセルトランジスタの前記浮遊ゲートと基板表面との間の容量をC2、前記第1抵抗の抵抗値をR1、前記第2抵抗の抵抗値をR2とするとき、
次式:
C1/(C1+C2)=R2/(R1+R2)
を満たすように、R1とR2が設定された
読み出し回路。
【請求項11】
請求項3に記載の読み出し回路であって、
前記ダミーセルトランジスタのソースは、第3抵抗を介してグランドに接続され、
前記電圧制御回路は、前記第2電圧を前記第1電圧として設定する
読み出し回路。
【請求項12】
請求項11に記載の読み出し回路であって、
前記ダミーセルトランジスタが強反転領域と弱反転領域との間の遷移領域において動作するように、前記第3抵抗の抵抗値が設定された
読み出し回路。
【請求項13】
請求項11に記載の読み出し回路であって、
前記ダミーセルトランジスタのソース・ゲート間電圧が前記ダミーセルトランジスタの閾値電圧近傍になるように、前記第3抵抗の抵抗値が設定された
読み出し回路。
【請求項14】
請求項11に記載の読み出し回路であって、
前記メモリセルトランジスタの前記制御ゲートと前記浮遊ゲートとの間の容量をC1、前記メモリセルトランジスタの前記浮遊ゲートと基板表面との間の容量をC2、前記第2電圧をVR、前記基準電流の値をIrefとするとき、
前記第3抵抗の抵抗値をR3は、次式:
R3=(VR/Iref)・(C2/(C1+C2))
で与えられる
読み出し回路。
【請求項15】
請求項3乃至14のいずれかに記載の読み出し回路であって、
前記ダミーセルトランジスタは、互いに短絡した制御ゲートと浮遊ゲートを有し、
前記電圧制御回路は、前記ダミーセルトランジスタの前記制御ゲートに前記第1電圧を印加する
読み出し回路。
【請求項16】
請求項3乃至14のいずれかに記載の読み出し回路であって、
前記ダミーセルトランジスタは、シングルゲート型のエンハンストランジスタであり、
前記電圧制御回路は、前記エンハンストランジスタのゲートに前記第1電圧を印加する
読み出し回路。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載の読み出し回路であって、
前記メモリセルトランジスタと前記ダミーセルトランジスタのゲート長及びゲート幅は等しい
読み出し回路。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかに記載の読み出し回路を有する不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−179126(P2006−179126A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372009(P2004−372009)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000232036)NECマイクロシステム株式会社 (72)
【Fターム(参考)】