車両のフレーム構造
【課題】本発明は、車体剛性を確保しながら車両の重心を一層低く抑えることを可能にする車両のフレーム構造を提供することを課題とする。
【解決手段】車体フレーム11の略中心に、車両長手方向に延び、前端部47が第2フロントクロスパイプ46に連結され、後端部49が第2フロントクロスパイプ46より後方に設けられている第2ロアクロスフレーム44に連結されるセンターフレーム48が備えられ、このセンターフレーム48は、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプ34と略一直線上に延びており、車両平面視で、センターフレームの前端部47は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置で第2フロントクロスパイプ46に連結されている。
【解決手段】車体フレーム11の略中心に、車両長手方向に延び、前端部47が第2フロントクロスパイプ46に連結され、後端部49が第2フロントクロスパイプ46より後方に設けられている第2ロアクロスフレーム44に連結されるセンターフレーム48が備えられ、このセンターフレーム48は、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプ34と略一直線上に延びており、車両平面視で、センターフレームの前端部47は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置で第2フロントクロスパイプ46に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフレーム構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車体フレームを、前輪が懸架されるフロントフレームと、乗員が着座する座席を有するセンタフレームと、後輪が懸架されるリヤフレームと、から構成した車両が知られている(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
【0003】
特許文献1の図1において、センタフレーム13(符号は、同公報のものを流用する。以下同じ。)は、車両長手方向に延びている左右一対のロアサイドフレーム42、42と、これらの左右一対のロアサイドフレーム42、42の上方に取り付けられ乗員が足を置く床部32を有する左右一対のサブフレーム73、73と、が備えられている。所定の車体剛性を確保するため、センタフレーム13は、ロアサイドフレーム42とサブフレーム73とからなる上下2段構造とした。
【0004】
ところで、近年、よりスポーティーな乗り味を追求する低床低重心の車両においては、所定の車体剛性を確保しながら、車両の重心を一層低く抑えることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−103370公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、車体剛性を確保しながら車両の重心を一層低く抑えることを可能にする車両のフレーム構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体フレームに、車体の下部で車両長手方向に延びる左右一対のフロントロアフレームと、これらのフロントロアーフレームの前端に連結され上方に一旦延びた後湾曲し車両長手方向に延びる左右一対のフロントアッパーフレームと、これらのフロントアッパーフレームに連結され車両長手方向に延び前輪サスペンションアーム取付部を有する左右一対のフロントサブパイプと、これらのフロントサブパイプ前部間を連結する第1フロントクロスパイプと、フロントサブパイプ後部間を連結する第2フロントクロスパイプと、が備えられている車両のフレーム構造において、車体フレームの略中心に、車両長手方向に延び、前端部が第2フロントクロスパイプに連結され、後端部が第2フロントクロスパイプより後方に設けられている車体フレームに連結されるセンターフレームが備えられ、このセンターフレームは、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプと略一直線上に延びており、車両平面視で、センターフレームの前端部は、左右一対のフロントサブパイプと第2フロントクロスパイプとの連結部よりも内側位置で記第2フロントクロスパイプに連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、車体の前端部に、フロントバンパーが取り付けられ、このフロントバンパーから車両後方に左右一対のフロントバンパー支持パイプが延びており、これらの左右一対のフロントバンパー支持パイプは、左右一対のフロントアッパーフレームに連結され、左右一対のフロントバンパー支持パイプの後端部は、左右一対のフロントサブパイプと左右一対のフロントアッパーフレームとの連結部に接続され、車両側面視で、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプおよびセンターフレームは、一直線上に延びていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、フロントバンパー支持パイプの剛性は、円形断面を呈するフロントサブパイプの剛性よりも低く、このフロントサブパイプの剛性は、角形断面を呈するセンターフレームの剛性よりも低くしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、車体フレームは、前輪の駆動系を支持するフロントフレーム部と、このフロントフレーム部の後方に設けられ乗員の居住空間をなすセンターフレーム部と、このセンターフレーム部の後方に設けられエンジンが取り付けられるとともに後輪の駆動系を支持するリヤフレーム部と、からなり、センターフレーム部に、乗員が着座する運転者席と助手席とが、車両の幅方向に並列に取り付けられ、フロントフレーム部に、前輪を駆動するフロント最終減速機が取り付けられ、車体幅方向略中央部に、フロント最終減速機へエンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトが配置され、センターフレームは、プロペラシャフトから左右いずれか一方にオフセット配置され、車両側面視で、センターフレームとプロペラシャフトとが重なっていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、運転席と前記助手席の間に、センターフレームとプロペラシャフトを収納するセンターコンソールが配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、センターフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対の中央ロアフレームが設けられ、リヤフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対のリヤロアフレームが設けられ、フロントロアフレームと中央ロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第1ロアクロスフレームが設けられ、車両平面視で、フロントロアフレームと中央ロアフレームとは一直線上に延びており、中央ロアフレームとリヤロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレームが設けられ、リヤロアフレームは、中央ロアフレームより車両幅方向外側に設けられ、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲しているサイドフレームが設けられ、このサイドフレームは、前端部がフロントロアアームに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレームの端部および第2ロアクロスフレームの端部にこの順で連結され、後端部がリヤロアフレームに連結され、センターフレームの後端部は、左右一対の中央ロアフレームよりも内側位置で第2ロアクロスフレームに連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、円形断面を呈するフロントロアフレームの剛性は、角形断面を呈する中央ロアフレームの剛性よりも小さくしたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、フロントバンパーの下方に、左右一対のフロントロアアームによって支持され、フロントバンパーとフロントバンパー支持パイプをともに支持するフロントバンパー下部取付部が設けられ、フロントバンパー下部取付部の剛性は、フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明では、フロントバンパ支持パイプは、車両の長手方向でねじを介して車体に締結されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、フロントアッパーフレームの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレームが連結され、この第1アッパークロスフレームの剛性は、フロントアッパーフレームの剛性よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明は、中央ロアフレームと第2ロアクロスフレームの間に補強部材が掛け渡されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明は、フロントロアフレームとフロントサブパイプの間に、フロントサブ起立パイプが設けられ、車両側面視で、フロント最終減速機とステアリング軸の回転を車両幅方向の往復運動に変換するステアリングボックスとを囲うように、フロントロアフレーム、フロントアッパーフレーム、フロントサブパイプおよびフロントサブ起立パイプが配置され、車両側面視で、フロント最終減速機の下方にフロントロアフレームが配置され、フロント最終減速機の入力部の上部に設けられている凹部に接近して配置されているステアリングボックスの上方に、フロントサブパイプが配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項13に係る発明は、ステアリングボックスから前輪へ延ばされているタイロッドと、フロントサブパイプから前輪に延ばされている上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置され、フロントサブパイプから下方へ前輪サスペンションアーム取付部の構成部材としてのアームブラケットを延ばし、このアームブラケットに、上部サスペンションアームの基部を連結するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明では、センターフレームは、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプと略一直線上に延びており、センターフレームの前端部は、第2フロントクロスパイプに連結され、センターフレームの後端部は、第2フロントクロスパイプより後方に設けられている車体フレームに連結されている。
【0021】
車両前方から車体に衝撃力が入力されたとき、衝撃力は、フロントサブパイプへ伝達され、このフロントサブパイプの後端部に連結した第2クロスフレームを介してセンターフレームに伝達され、このセンターフレームの後端部に設けられている車体フレームへ伝達される。
【0022】
また、車両前方から入力された衝撃力を、後方に設けられている車体フレームへ伝達するセンターフレームは、車体フレームの略中心に配置され、車両長手方向に延びており、且つ、左右一対のフロントサブパイプと第2フロントクロスパイプとの連結部よりも内側位置に配置されている。センターフレームが車体フレームの略中央部に配置されていれば、センターフレームの左右側方に座席などを配置することが可能になる。座席は、センターフレームの左右側方に、センターフレームを避けて配置可能となるため、車両の重心を一層低く抑えることが可能になる。
【0023】
したがって、本発明の車両のフレーム構造によれば、車体剛性が確保されるとともに、車両の重心を一層低く抑えることができる。車両の重心を一層低く抑えることができるようになれば、車両の操縦性を高めることができる。
【0024】
請求項2に係る発明では、左右一対のフロントバンパー支持パイプの後端部は、左右一対のフロントサブパイプに連結されるとともに、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプおよびセンターフレームは、車両側面視で、一直線上に延びている。
【0025】
フロントバンパーに入力された車両前方の衝撃力は、フロントバンパー支持パイプへ伝達され、このフロントバンパー支持パイプの後端部に接続された左右一対のフロントサブパイプへ伝達され、このフロントサブパイプの後方に延びているセンタフレームへ伝達され、このセンタフレームの後方に設けられている車体フレームへ伝達される。
【0026】
この場合に、フロントサブパイプとの間を連結するフロントバンパー支持パイプは、車両側面視で、センターフレームと一直線上に配置したので、衝撃力は、上記各部材の軸方向に円滑に伝達され、車両前方の衝撃力を後方に設けた車体フレームで確実に受けることができる。
【0027】
請求項3に係る発明では、車体の強度を、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプ、センターフレームの順に高い剛性になるように構成した。車両前方から入力された衝撃力は、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプ、そして、センターフレームと、この順に伝達される。
【0028】
この場合に、フロントバンパー支持パイプは、フロントサブパイプよりも大きく撓み、フロントサブパイプは、センターフレームよりも大きく撓む。これにより、センターフレームよりも車両の前方に設けたフロントバンパー支持パイプで大きな衝撃力を吸収することができる。車両前部の剛性を車両後部の剛性よりも低くしたので、車両前方から受けた衝撃力を車両の前部で確実に吸収することができる。
【0029】
請求項4に係る発明では、車両側面視で、センターフレームとプロペラシャフトとが重なるように配置され、センターフレームとプロペラシャフトとは、車両幅方向に互いにずらすように配置されているので、車両の重心が高くなることを回避することができる。
【0030】
請求項5に係る発明では、センターフレームとプロペラシャフトは、センターコンソールに収納されているので、車室内の居住性を高めるとともに、車室内の外観性を高めることができる。
【0031】
請求項6に係る発明では、サイドフレームは、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲するとともに、その前端部がフロントロアアームに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレームの端部および第2ロアクロスフレームの端部にこの順で連結され、その後端部がリヤロアフレームに連結されている。
かかる構成によれば、サイドフレームとセンターフレームと中央ロアフレームとで、車体フレームが立体的に構成されることになり、センターフレーム部の低床化を可能にしつつ、所定の車体剛性を確保することができる。
【0032】
加えて、センターフレームの後端部は、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレームに連結されている。衝撃力を受けたときに、第2ロアクロスフレームが撓むことでセンターフレームから伝達された衝撃力を確実に吸収させることができる。
【0033】
請求項7に係る発明では、フロントロアフレームの剛性は、中央ロアフレームの剛性よりも小さくした。中央ロアフレームよりも衝撃力を先に受けるフロントロアフレームの剛性を中央ロアフレームの剛性よりも小さくして、フロントロアフレームを主体に前方からの衝撃力を吸収する一方、乗員が居住する中央ロアフレーム部の剛性を確保するようにした。このため、車体の重量増加を抑えつつ所定の衝撃力を吸収させることが可能になる。
【0034】
請求項8に係る発明では、フロントバンパー下部取付部の剛性は、フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さくした。
車両の前方から衝撃力が入力されたときに、フロントバンパー下部取付部の剛性は、フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さくしたので、フロントバンパーに衝撃力がかかったときに、先ず、フロントバンパー下部取付部が外れ、フロントバンパ支持パイプの軸方向に衝撃力を伝達させることができる。そして、フロントバンパ支持パイプがその軸方向に潰れるようにすることで、所定の衝撃力を吸収させることができる。
【0035】
請求項9に係る発明では、フロントバンパ支持パイプは、車両の長手方向でねじを介して車体に締結されている。車両前方から衝撃力を受けたときに、フロントバンパ支持パイプを締結するねじに剪断力がかからないようにすることができる。
【0036】
請求項10に係る発明では、車両前方から衝撃力を受けたときに、第1アッパークロスフレームの剛性は、フロントアッパーフレームの剛性よりも大きいので、フロントアッパーフレームが撓み、このフロントアッパーフレームにて衝撃力を受ける。剛性のより大きい第1アッパークロスフレームでフロントアッパーフレームを支持し、衝撃力がかかったときに、フロントアッパーフレームを撓むようにすることで、車両剛性の確保と衝撃吸収性能の確保とを両立させることができる。
【0037】
請求項11に係る発明では、中央ロアフレームと第2ロアクロスフレームの間に補強部材が掛け渡されている。
中央ロアフレームから入力された衝撃力の一部は、補強部材を経由して第2ロアクロスフレームへ分散して伝達される。このため、車体フレームの剛性を効果的に高めることが可能になる。
【0038】
請求項12に係る発明では、フロントロアフレーム、フロントアッパーフレーム、フロントサブパイプおよびフロントサブ起立パイプとで囲われた領域に、フロント最終減速機とステアリングボックスとが配置されている。加えて、フロント最終減速機の入力部の上部に設けられている凹部に接近して配置されているステアリングボックスの上方に、フロントサブパイプが配置されている。
【0039】
フロントフレーム部の下部に、フロント最終減速機とステアリングボックスとが集中配置されているので、車両の低重心化が図れるとともに配置スペースの節減が図れる。加えて、上記フレーム構造によって、フロント最終減速機とステアリングボックスを保護することができる。
【0040】
請求項13に係る発明では、ステアリングボックスから前輪へ延ばされているタイロッドと、フロントサブパイプから前輪に延ばされている上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置され、フロントサブパイプから下方へアームブラケットを延ばし、このアームブラケットに、上部サスペンションアームの基部を連結するようにした。
【0041】
仮に、タイロッドと上部サスペンションアームとが車両正面視で、重なるように配置されていない場合には、車両平面視における車輪前端部と車輪後端部の左右の前輪間距離の差(トーイン)が大きくなる場合がある。
この点、本発明では、タイロッドと上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置されているので、前輪のトーインの変化を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る車両のフレーム構造の左側面図である。
【図2】本発明に係る車両のフレーム構造の平面図である。
【図3】本発明に係る車両のフロントフレーム部の斜視図である。
【図4】本発明に係る車両のフレーム構造の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る車両のフレーム構造の斜視図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】フロントバンパーが衝撃力を受けたときの作用説明図である。
【図8】車両のフレーム構造の実施例図および比較例図である。
【図9】本発明に係る車両のフロントフレーム部の左側面図である。
【図10】図9の10矢視図である。
【図11】図9の11矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中および実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、車両に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0044】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、車体フレーム11の全体構造について説明する。
図1において、本発明の車両10に備えられている車体フレーム11は、前輪12を懸架するフロントフレーム部13と、このフロントフレーム部13の後方に設けられ乗員が着座する座席14を備え居住空間を形成するセンターフレーム部15と、このセンターフレーム部15の後方に設けられエンジン16および後輪17を懸架するリヤフレーム部18と、からなる。
【0045】
次に、車体フレーム11の基部を構成するフロア部を中心として説明を行う。
車両のフレーム11(車体フレーム11)は、車両長手方向にフロントロアフレーム21が延設され、このフロントロアフレームの後端部22から後方へ中央ロアフレーム23が延設され、この中央ロアフレームの後端部24から後方へリヤロアフレーム25が延設され、フロントロアフレームの前端部26に連結され、上方に一旦延びた後湾曲し車両長手方向に向けてフロントアッパーフレーム28が延設されている。
【0046】
フロントフレーム部13の構成部材としてのフロントアッパーフレーム28は、下から上に、上方立ち上がり部31と、この上方立ち上がり部31から傾斜を変え車両後方へ延びている傾斜部32とからなる。
フロントアッパーフレームの上方立ち上がり部31に、フロントサブパイプ34の前端が連結され、フロントサブパイプ34は車両長手方向に延設されている。フロントサブパイプ34は、前輪サスペンションアーム取付部35を有する部材である。
【0047】
フロントサブパイプ34は、フロントロアフレーム21の上方に配置されており、車体フレーム11の前部は、フロントサブパイプ34とフロントロアフレーム21とで上下2段構造となっている。
フロントサブパイプ34の前端に、フロントバンパー41が配置されている。フロントバンパー41の詳細は後述する。
【0048】
図2において、フロントロアフレーム21L、21Rと中央ロアフレーム23L、23Rの間で、車幅方向には、第1ロアクロスフレーム43が延びており、中央ロアフレーム23L、23Rとリヤロアフレーム25L、25Rの間で、車幅方向には、第2ロアクロスフレーム44が延びている。第1ロアクロスフレーム43および第2ロアクロスフレーム44は、いずれも、各ロアフレームの間に介在されている部材である。
【0049】
第1ロアクロスフレーム43は、フロントフレーム部13とセンターフレーム部15とを分ける部材であり、第2ロアクロスフレーム44は、センターフレーム部15とリヤフレーム部18とを分ける部材である。
なお、第1ロアクロスフレーム43と第2ロアクロスフレーム44の間に、運転者Dが着座する運転者席57が配置されている。
【0050】
次に、車両のフロントフレーム部の構成について説明する。
図3において、フロントサブパイプ34L、34Rの前端で、車両幅方向に第1フロントクロスパイプ45が延び、フロントサブパイプ34L、34Rの後端で、車両幅方向に第2フロントクロスパイプ46が延びている。第2フロントクロスパイプ46と左のフロントロアフレーム21Lの間に、左のフロントサブ起立パイプ50Lが掛け渡され、第2フロントクロスパイプ46と右のフロントロアフレーム21Rの間に、右のフロントサブ起立パイプ50Rが掛け渡されている。
【0051】
フロントバンパー41は、左右に延びている腕部101と、この腕部101から下方に延びており車両正面視で略U字状を呈するU字部102とからなる。U字部102は、水平部103とこの水平部103の左右端部から上方に延びている左右の立部104L、104Rとからなる。左右の立部104L、104Rから各々後方へ左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rが延びており、これらフロントバンパー支持パイプの後端部にフランジ部107L、107Rが形成され、これらのフランジ部107L、107Rに対応する座部108L、108Rがフロントアッパーフレームの上方立ち上がり部31L、31Rに形成され、複数のねじ109によって、フランジ部107L、107Rを座部108L、108Rに締結した。
【0052】
また、U字部の水平部103に薄板を曲げ加工して形成したフロントバンパー下部取付部111が固着され、このフロントバンパー下部取付部111は、左右一対のフロントロアフレーム21L、21Rの先端に取り付けられている。フロントバンパー下部取付部111の剛性は、フロントバンパー支持パイプ105L、105Rの剛性よりも小さい値に設定されている。
【0053】
以下、フロントバンパー41の構造についてまとめる。
車体の前端部に、フロントバンパー41が取り付けられ、このフロントバンパー41から車両後方に左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rが延びており、これらの左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rは、左右一対のフロントアッパーフレーム28L、28Rに連結され、左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rの後端部は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと左右一対のフロントアッパーフレーム28L、28Rとの連結部113L、113Rに接続されフロントバンパー41の下方に、左右一対のフロントロアフレーム21L、21Rによって支持され、フロントバンパー41とフロントバンパー支持パイプ105L、105Rをともに支持するフロントバンパー下部取付部111が設けられ、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rは、車両の長手方向で複数のねじ109を介して車体に締結されている。
【0054】
第2フロントクロスパイプ46と第2ロアクロスフレーム(図2、符号44)の間に、車両前方から受けた衝撃力を受けるセンターフレーム48が掛け渡されている。このセンターフレーム48は、直線状に形成されている部材であり、車両後方に向け斜め下方に傾斜するように延びている。センターフレーム48の詳細については後述する。
【0055】
次に、車体フレーム全体の構成について説明する。
図4において、フロントロアフレーム21L、21Rの中間部からリヤロアフレーム25L、25Rの中間部にかけて、車両幅方向外方に、次いで、車両長手方向に、最後に、車両幅方向内方に、サイドフレーム51L、51Rが延びており、これらのサイドフレーム51L、51Rの前部から上方に第1起立フレーム53L、53Rが上方に延び、上端部がフロントアッパーフレーム28L、28Rに連結されている。
【0056】
サイドフレーム51L、51Rの前部から後部にかけて乗員の居住空間を形成し車両側面視で、略コ字状を呈するロールバー54L、54Rが設けられている。これらのロールバー54L、54Rは、サイドフレーム51L、51Rであって、第1ロアクロスフレーム43との連結部55L、55Rを起点として上方に延び、次いで、水平方向で後方に延び、最後に、下方に延び、前記前記サイドフレーム51L、51Rであって、第2ロアクロスフレーム44との連結部56L、56Rを終点とする部材である。
【0057】
図1を併せて参照して、左右一対のサイドフレーム51L、51Rは、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲しており、これらの左右のサイドフレーム51L、51Rは、左右のサイドフレームの前端部93L、93Rが各々フロントロアフレーム21L、21Rに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレーム43の端部および第2ロアクロスフレーム44の端部にこの順で連結され、その後端部94L、94Rが左右一対のリヤロアフレーム25L、25Rに連結されている。
【0058】
以下、リヤフレーム部18の構成について説明する。
リヤロアフレーム25L、25Rに、且つ、前から後に、第2起立フレーム62、62、第3起立フレーム63、63および第4起立フレーム64、64がこの順に立設され、これらの第2〜第4起立フレーム62〜64、62〜64の上端に、複数の部材からなるリヤトップフレーム65が取り付けられている。
【0059】
第3起立フレーム63、63の中間部と第4起立フレーム64、64の中間部の間に、車両長手方向にリヤサブパイプ66、66が掛け渡され、これらのリヤサブパイプ66、66の前端部で、車幅方向に第1リヤクロスフレーム68が掛け渡され、リヤサブパイプ66、66の後端部で、車幅方向に第2リヤクロスフレーム69が掛け渡されている。リヤサブパイプ66、66は、後輪サスペンションアーム取付部67、67を有する部材である。
【0060】
リヤトップフレーム65は、第2起立フレーム62、62の上端に取り付けられ、車幅方向に延びており、両端部がロールバー54に連結されている前リヤクロスパイプ85と、前リヤクロスパイプ85の後方に設けられ、車幅方向に延びており、第4起立フレーム64の上端に取り付けられている後リヤクロスパイプ86と、後リヤクロスパイプ86と前リヤクロスパイプ85との間に掛け渡した左右のリヤアッパフレーム87L、87Rと、を主要な構成要素とする。そして、前リヤクロスパイプ85、後リヤクロスパイプ86および左右のリヤアッパフレーム87L、87R相互間の結合強度を高める補強部材として、複数の補強フレーム88L、88R、89L、89R、90a、90bが設けられている。
【0061】
次に、車体フレーム11に搭載されているエンジンなどの部材について説明する。
図2に戻って、車体フレーム11は、フロントフレーム部13とセンターフレーム部15とリヤフレーム部18との3つの部分からなり、フロントフレーム部13に、前輪12、12を駆動するフロント最終減速機71が取り付けられ、センターフレーム部15に、乗員が着座する座席14としての運転席57と助手席58とが、車両の幅方向に並列に取り付けられ、リヤフレーム部18に、エンジン16および後輪17、17の駆動系としてのリヤ最終減速機72が取り付けられている。
車体幅方向中心線上に、フロント最終減速機71へエンジン16の駆動力を伝達するプロペラシャフト73が配置されている。74はチェンジユニットである。
【0062】
左右のフロントロアフレーム21L、21Rの前端の間に、バンパ下クロスフレーム81が掛け渡され、左右のフロントロアフレーム21L、21Rの後端に連結され車両幅方向に延設されている第1ロアクロスフレーム43が設けられ、この第1ロアクロスフレーム43の後方に、同じく車両幅方向に延設した第2ロアクロスフレーム44が設けられ、第1ロアクロスフレーム43に、左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rの前端部29L、29Rが連結され、第2ロアクロスフレーム44に、左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rの後端部24L、24Rが連結されている。
【0063】
第2ロアクロスフレーム44から車両長手方向後方へ、左右一対のリヤロアフレーム25L、25Rが延設され、これらの左右のリヤロアフレーム25L、25Rの間に、サブリヤクロスメンバー82が掛け渡されている。
【0064】
すなわち、センターフレーム部15の下部に、車両長手方向に延びている左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rが設けられ、リヤフレーム部18の下部に、車両長手方向に延びている左右一対のリヤロアフレーム25L、25Rが設けられ、フロントロアフレーム21と中央ロアフレーム23L、23Rの間に、車両幅方向に延びている第1ロアクロスフレーム43が設けられ、車両平面視で、フロントロアフレーム21L、21Rと中央ロアフレーム23L、23Rとは一直線上に延びており、中央ロアフレーム23L、23Rとリヤロアフレーム25L、25Rの間に、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレーム44が設けられ、リヤロアフレーム25L、25Rは、中央ロアフレーム23L、23Rより車両幅方向外側に設けられている。センターフレーム48は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置に配置されている。
【0065】
センターフレームの後端部49は、左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rよりも内側位置で第2ロアクロスフレーム44に連結されている。中央ロアフレーム23L、23Rと第2ロアクロスフレーム44の間に補強部材91L、91Rが掛け渡されている。このような補強部材91L、91Rであれば、中央ロアフレーム23L、23Rから入力した衝撃力の一部は、補強部材91L、91Rを経由して第2ロアクロスフレーム44へ分散して伝達される。したがって、衝撃吸収性能を高めることが可能になる。
【0066】
図2に戻って、センターフレーム部15において、第1ロアクロスフレーム43と第2ロアクロスフレーム44との間に配置され、且つ、第1ロアクロスフレーム43の後方で、車両幅方向には、センタサブクロスフレーム95が掛け渡されている。同様に、左の中央ロアフレーム23Lと左のサイドフレーム51Lの間で、車両幅方向に左サブクロスフレーム96が掛け渡され、右の中央ロアフレーム23Rと右のサイドフレーム51Rの間で、車両幅方向に右サブクロスフレーム97が掛け渡されている。
【0067】
第1ロアクロスフレーム43と左サブクロスフレーム96の間で、車両長手方向にサブフレーム98、98が掛け渡され、左サブクロスフレーム96と第2ロアクロスフレーム44の間で、車両長手方向にサブフレーム99、99が掛け渡されている。
また、左サブクロスフレーム96と第2ロアクロスフレーム44の間で、車両長手方向に、第2のサブフレーム98bが掛け渡され、右サブクロスフレーム97と第2ロアクロスフレーム44の間で、車両長手方向に、第2のサブフレーム99bが掛け渡されている。
【0068】
図1に戻って、フロントアッパーフレーム28が設けられている座部(図3、符号108L、108R)と反対側のフロントアッパーフレーム28に、フロントサブパイプ34が連結され、車両側面視で、フロントサブパイプ34とフロントバンパー支持パイプ105とは、略一直線となるように配置されている。
【0069】
以下、前端部が左右一対のフロントサブパイプ34の後端に連結され、後端部が車両幅方向に延びている第2フロントクロスパイプ46に連結され、フロントバンパー41で受けた衝撃力が伝達されるセンターフレーム48の構造について詳細に説明する。
【0070】
図2および図3において、センターフレーム48は、車体フレーム11の略中心に、車両長手方向に延び、前端部47が第2フロントクロスパイプ46に連結され、後端部49が第2フロントクロスパイプ46より後方に設けられている第2ロアクロスフレーム44に連結されている断面角形を呈する部材である。センターフレーム48は、車両平面視で、車体幅方向中心線から左にオフセット配置されている。なお、車体幅方向中心線から右側にオフセット配置することは差し支えない。
【0071】
センターフレームの前端部47は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置で第2フロントクロスパイプ46に連結されている
なお、本実施例において、センターフレームの後端部49は、第2ロアクロスフレーム44に連結されているが、第2フロントクロスパイプ46の後方に設けられているフレームに連結されていればどのフレームであっても差し支えない。例えば、第2フロントクロスパイプ46の後方で車両幅方向にクロスパイプを渡し、このクロスパイプに連結するものでも良い。
【0072】
図1を併せて参照して、センターフレーム48は、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプ34と略一直線上に延びている。フロントバンパー支持パイプ105、フロントサブパイプ34およびセンターフレーム48は、一直線上に延びている。
【0073】
図3において、左右一対のフロントサブパイプ34の前端に対応する左右一対のフロントアッパーフレームの上方立ち上がり部31L、31Rで、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rの前端の連結部の近傍に、第1フロントクロスパイプ45が掛け渡され、フロントサブパイプ34L、34Rの後部間に、フロントサブパイプ34L、34Rを連結する第2フロントクロスパイプ46が設けられ、この第2フロントクロスパイプ46の両端は、左右の第1起立フレーム53L、53Rに各々連結されている。
【0074】
左右の第1起立フレーム53L、53Rの中間部で、左右の第1起立フレーム53L、53Rの間に、第1サブクロスフレーム123および第2サブクロスフレーム124が掛け渡されている。なお、左右の第1起立フレーム53L、53Rの上端部は、各々、フロントアッパーフレームの傾斜部32L、32Rに連結されている。
【0075】
図5において、センターフレーム部15に、上方から左右のロールバー54L、54Rが取り付けられ、リヤフレーム部18に、第2〜第4起立フレーム62〜64と一体化させたリヤトップフレーム65が上方から取り付けられている。
以下、センターフレーム部15にロールバー54L、54Rを取り付け、リヤフレーム部18に、複数の部材からなるリヤトップフレーム65を取り付けてなる車体フレームの構造について説明する。
【0076】
車体フレーム11に、車体の下部で車両長手方向に延びる左右一対のフロントロアフレーム21L、21Rと、これらのフロントロアフレームの前端部に連結され上方に一旦延びた後方に湾曲し車両長手方向に延びる左右一対のフロントアッパーフレーム28L、28Rと、これらのフロントアッパーフレーム28L、28Rに連結され車両長手方向に延び前輪サスペンションアーム取付部35L、35Rを有する左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと、これらのフロントサブパイプ34L、34Rの前部間を連結する第1フロントクロスパイプ45と、前記フロントサブパイプ34L、34Rの後部間を連結する第2フロントクロスパイプ46と、が備えられている。
フロントアッパーフレーム28L、28Rの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレーム121が連結されている。
【0077】
以下、フレーム、パイプ間の剛性について説明する。
フロントバンパー支持パイプ105L、105Rの剛性は、円形断面を呈するフロントサブパイプ34の剛性よりも低く、このフロントサブパイプ34の剛性は、角形断面を呈するセンターフレーム48の剛性よりも低くした。
円形断面を呈するフロントロアフレーム21の剛性は、角形断面を呈する中央ロアフレーム23L、23Rの剛性よりも小さくした。
【0078】
フロントロアフレーム21L、21Rの剛性は、中央ロアフレーム23L、23Rの剛性よりも小さくした。衝撃力を最初に受けるフロントフレーム部13の剛性をセンターフレーム部15の剛性よりも小さくして、前方からの衝撃力を吸収する一方、乗員が居住するセンターフレーム部15の剛性を確保するようにした。このため、車体の重量増加を抑えつつ所定の衝撃吸収性能を確保することができる。
【0079】
前述したように、サイドフレーム51L、51Rは、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲するとともに、その前端部93L、93Rがフロントロアフレーム21L、21Rに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレーム43の端部および第2ロアクロスフレーム44の端部にこの順で連結され、その後、後端部94L、94Rがリヤロアフレーム25L、25Rに連結されている。
【0080】
サイドフレーム51L、94Rとセンターフレーム48と中央ロアフレーム23L、23Rは、立体的に構成されているので、センターフレーム部15を低床化しつつ、所定の車体剛性を確保することができる。
加えて、センターフレームの後端部49は、第2ロアクロスフレーム44に連結されている。衝撃力を受けたときに、第2ロアクロスフレーム44が撓むことでセンターフレーム48から伝達された衝撃力を吸収させることができる。
【0081】
次に、運転席と助手席の間を通過するセンターフレームおよびプロペラシャフトと、これらのセンターフレームおよびプロペラシャフトを覆うセンターコンソールについて説明する。
図6において、運転席57と助手席58の間に、センターフレーム48とプロペラシャフト73を収納するセンターコンソール122が配置されている。センターフレーム48とプロペラシャフト73は、センターコンソール122に収納されているので、車室内の居住性を高めるとともに、車室内の外観性を高めることができる。
【0082】
以上に述べた車両のフレーム構造の作用を次に述べる。
図7(a)において、車両の前端部に設けられているフロントバンパー41が障害物Bに接触する前の状態が示されている。フロントバンパー下部取付部111の剛性は、フロントバンパー支持パイプ105の剛性よりも小さく構成されている。
【0083】
図7(b)において、フロントバンパー41が障害物Bに接触した直後の状態が示されている。このとき、フロントバンパー下部取付部111の剛性は低いので、フロントバンパー41に衝撃力がかかったときに、フロントロアフレーム21の先端部からフロントバンパー下部取付部111が外れる。フロントバンパー下部取付部111が外れるので、フロントバンパ支持パイプ105の軸方向に衝撃力が伝達される。
【0084】
すなわち、衝撃力が入力されたときに、フロントバンパー下部取付部111の剛性は、フロントバンパー支持パイプ105L、105Rの剛性よりも小さくしたので、フロントバンパー下部取付部111が引きちぎられることで、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rの軸方向に衝撃力を伝達させることができる。そして、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rがその軸方向に潰れるようにすることで、所定の衝撃吸収性能を確保させることができる。
【0085】
図7(c)において、フロントバンパー41が障害物Bに接触し、フロントバンパー下部取付部111が外れた後の状態が示されている。
フロントバンパー下部取付部が外れた後、フロントバンパ支持パイプ105の軸方向に衝撃力を伝達される。フロントバンパ支持パイプ105が軸方向に潰れる。上記メカニズムにより、所定の衝撃力を吸収させるようにした。
【0086】
図5に戻って、フロントアッパーフレーム28L、28Rの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレーム121が連結されている。そして、第1アッパークロスフレーム121の剛性は、フロントアッパーフレーム28の剛性よりも大きい。
【0087】
車両前方から衝撃力を受けたときに、第1アッパークロスフレーム121の剛性は、フロントアッパーフレーム28の剛性よりも大きいので、フロントアッパーフレーム28が撓み、このフロントアッパーフレーム28にて衝撃力を受ける。剛性のより大きい第1アッパークロスフレーム121でフロントアッパーフレーム28を支持し、衝撃力がかかったときに、フロントアッパーフレーム28を撓むようにすることで、車両剛性の確保と衝撃吸収性能の確保とを両立させることができる。
【0088】
加えて、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rは、車両の長手方向で複数のねじ(図3、符号109)を介して車体に締結されている。かかる構成であれば、車両前方から衝撃力を受けたときに、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rを締結する複数のねじ109に剪断力がかからないようにすることができる。
【0089】
図1に戻って、センターフレーム48は、左右一対のフロントサブパイプ34と略一直線上に延びており、センターフレームの前端部(図2、符号47)は、第2フロントクロスパイプ46に連結され、センターフレームの後端部(図2、符号49)は、第2フロントクロスパイプ46より後方に設けられている第2ロアアクロスフレーム44に連結されている。
【0090】
フロントバンパー41に入力された車両前方の衝撃力は、フロントバンパー支持パイプ105L、105Rに伝達され、このフロントバンパー支持パイプ105L、105Rの後端部に接続された左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rに伝達され、これらのフロントサブパイプ34L、34Rの後方に延びているセンタフレーム48に伝達され、このセンタフレーム48の後方に設けられている車体フレームとしての第2ロアクロスフレーム44に伝達される。
【0091】
車両側面視で、フロントサブパイプ34との間を連結するフロントバンパー支持パイプ105L、105Rをセンターフレーム48と一直線上に配置したので、衝撃力は、上記各部材の軸方向に円滑に伝達され、車両前方の衝撃力を後方に設けた第2ロアクロスフレーム44で確実に受けることができる。
【0092】
車体を構成する各フレームの強度は、フロントバンパー支持パイプ105L、105R、フロントサブパイプ34、センターフレーム48の順に高剛性になるように構成した。車両前方から入力された衝撃力は、フロントバンパー支持パイプ105L、105R、フロントサブパイプ34、そして、センターフレーム48と、この順に伝達され、センターフレーム48よりもフロントバンパー41で大きな衝撃力を受けることができる。したがって、車両前方から受けた衝撃力を車両の前部で確実に受けることができる。
【0093】
図8(a)において、実施例が示されており、車両前方から入力された衝撃力を伝達するセンターフレーム48は、車体フレーム11の略中心に配置され、車両長手方向に延びている。
【0094】
図8(b)において、比較例が示されており、車両前方からの衝撃力を受け、所定の車体剛性を確保するため、車両側面視で、サブフレーム87Bとロアサイドフレーム51Bの上下2段構造とする必要があった。そうすると、車両の乗員が足を置く足置き面116Bの高さをΔhだけ上方に上昇させる必要がある。足置き面116Bの高さを上昇させると車両の重心が高くなり、車両の操縦性に課題が残る。
【0095】
この点、本発明では、センターフレーム48は、車体フレーム11の略中心に配置され、車両長手方向に延びている。
図2を併せて参照して、センターフレーム48は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置に配置されている。
【0096】
そうすると、センターフレーム48の左右側方に座席などを配置することが可能になる。座席14は、センターフレーム48とは無関係に配置することができるようになるため、図8(a)に示されている如く、車両の重心を一層低く抑えることが可能になる。
【0097】
したがって、本発明の車両のフレーム構造であれば、車体剛性の確保と車両の低重心化とを両立させることができる。車両の重心を一層低く抑えることができるようになれば、車両の操縦性を高めることができる。
【0098】
図6において、車両側面視で、センターフレーム48とプロペラシャフト73とが重なるように配置されるとともに、センターフレーム48とプロペラシャフト73とは、車両幅方向に互いにずらすように配置されているので、車両の重心が高くなる心配はない。
【0099】
以下、車両前部に配置されているフロント最終減速機とステアリングボックスを囲うように配置されている車体フレーム構造などについて説明する。
図9において、フロントロアフレーム21Lとフロントサブパイプ34Lの間に、フロントサブ起立パイプ50Lが設けられ、車両側面視で、フロント最終減速機71とステアリング軸131の回転を車両幅方向の往復運動に変換するステアリングボックス132とを囲うように、フロントロアフレーム21L、フロントアッパーフレーム28L、フロントサブパイプ34Lおよびフロントサブ起立パイプ50Lが配置され、車両側面視で、フロント最終減速機71の下方にフロントロアフレーム21Lが配置され、フロント最終減速機の入力部133の上部に設けられている凹部134に接近して配置されているステアリングボックス132の上方に、フロントサブパイプ34Lが配置されている。
【0100】
同様に、車体の右側を構成するフロントロアフレーム21R、フロントアッパーフレーム28R、フロントサブパイプ34Rおよびフロントサブ起立パイプ50Rの構造は、左側を構成するフレーム群と同様なものであり、説明を省略する。135Lはフロントサスペンションである。
【0101】
フロントフレーム部21L、21Rの下部に、フロント最終減速機71とステアリングボックス132とが集中配置されているので、車両の低重心化が図れるとともに配置スペースの節減が図れる。加えて、上記フレーム構造によって、フロント最終減速機71とステアリングボックス132を保護することができる。
【0102】
図10および図11において、車体から延びているフロントサスペンションアーム138L、138R、148L、148Rの先端に前輪12(左の前輪12のみ示す。以下同じ。)が取り付けられ、フロント最終減速機71から前輪12へエンジンの駆動力を伝達する前輪車軸142、142が延びている。
【0103】
ステアリングボックス132から前輪12へ延ばされているタイロッド137L、137Rと、フロントサブパイプ34L、34Rから前輪12に延ばされている上部サスペンションアーム138L、138Rとが、車両正面視で、左右で各々、重なるように配置され、フロントサブパイプ34L、34Rから下方へ前輪サスペンションアーム取付部35L、35Rの構成部材としてのアームブラケット141L、141Rを延ばし、これらのアームブラケット141L、141Rに、上部サスペンションアーム138L、138Rの基部を連結するようにした。
【0104】
仮に、タイロッドと上部サスペンションアームとが車両正面視で、重なるように配置されていない場合には、車両平面視における車輪前端部と車輪後端部の左右の前輪間距離の差(トーイン)が大きくなる場合がある。
この点、本発明では、タイロッド137L、137Rと上部サスペンションアーム138L、138Rとが、車両正面視で、重なるように配置されているので、前輪12のトーインの変化を抑えることが可能になる。
【0105】
尚、本発明は、実施の形態では低床型車両に適用したが、一般の車両に適用することは差し支えない。
請求項1では、車体側面視で、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプおよびセンターフレームは、一直線上に延びていなくても差し支えない。
請求項2では、フロントサブパイプの剛性は、センターフレームの剛性と同等またはそれ以上の剛性にすることは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、四輪車に好適である。
【符号の説明】
【0107】
10…車両、11…車体フレーム、12…前輪、13…フロントフレーム部、15…センターフレーム部、16…エンジン、17…後輪、18…リヤフレーム部、21、21L、21R…フロントロアフレーム、23、23L、23R…中央ロアフレーム、25、25L、25R…リヤロアフレーム、26、26L、26R…フロントロアフレームの前端、28、28L、28R…フロントアッパーフレーム、34、34L、34R…フロントサブパイプ、35、35L、35R…前輪サスペンションアーム取付部、41…フロントバンパー、43…第1ロアクロスフレーム、44…第2ロアクロスフレーム、45…第1フロントクロスパイプ、46…第2フロントクロスパイプ、47…センターフレームの前端部、48…センターフレーム、49…センターフレームの後端部、50L、50R…フロントサブ起立パイプ、51、51L、51R…サイドフレーム、57…運転席、58…助手席、71…フロント最終減速機、73…プロペラシャフト、91L、91R…補強部材、105、105L、105R…フロントバンパー支持パイプ、109…ねじ、111…フロントバンパー下部取付部、121…第1アッパークロスフレーム、122…センターコンソール、131…ステアリング軸、132…ステアリングボックス、134…凹部、137L、137R…タイロッド、138L、138R…上部サスペンションアーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフレーム構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車体フレームを、前輪が懸架されるフロントフレームと、乗員が着座する座席を有するセンタフレームと、後輪が懸架されるリヤフレームと、から構成した車両が知られている(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
【0003】
特許文献1の図1において、センタフレーム13(符号は、同公報のものを流用する。以下同じ。)は、車両長手方向に延びている左右一対のロアサイドフレーム42、42と、これらの左右一対のロアサイドフレーム42、42の上方に取り付けられ乗員が足を置く床部32を有する左右一対のサブフレーム73、73と、が備えられている。所定の車体剛性を確保するため、センタフレーム13は、ロアサイドフレーム42とサブフレーム73とからなる上下2段構造とした。
【0004】
ところで、近年、よりスポーティーな乗り味を追求する低床低重心の車両においては、所定の車体剛性を確保しながら、車両の重心を一層低く抑えることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−103370公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、車体剛性を確保しながら車両の重心を一層低く抑えることを可能にする車両のフレーム構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体フレームに、車体の下部で車両長手方向に延びる左右一対のフロントロアフレームと、これらのフロントロアーフレームの前端に連結され上方に一旦延びた後湾曲し車両長手方向に延びる左右一対のフロントアッパーフレームと、これらのフロントアッパーフレームに連結され車両長手方向に延び前輪サスペンションアーム取付部を有する左右一対のフロントサブパイプと、これらのフロントサブパイプ前部間を連結する第1フロントクロスパイプと、フロントサブパイプ後部間を連結する第2フロントクロスパイプと、が備えられている車両のフレーム構造において、車体フレームの略中心に、車両長手方向に延び、前端部が第2フロントクロスパイプに連結され、後端部が第2フロントクロスパイプより後方に設けられている車体フレームに連結されるセンターフレームが備えられ、このセンターフレームは、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプと略一直線上に延びており、車両平面視で、センターフレームの前端部は、左右一対のフロントサブパイプと第2フロントクロスパイプとの連結部よりも内側位置で記第2フロントクロスパイプに連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、車体の前端部に、フロントバンパーが取り付けられ、このフロントバンパーから車両後方に左右一対のフロントバンパー支持パイプが延びており、これらの左右一対のフロントバンパー支持パイプは、左右一対のフロントアッパーフレームに連結され、左右一対のフロントバンパー支持パイプの後端部は、左右一対のフロントサブパイプと左右一対のフロントアッパーフレームとの連結部に接続され、車両側面視で、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプおよびセンターフレームは、一直線上に延びていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、フロントバンパー支持パイプの剛性は、円形断面を呈するフロントサブパイプの剛性よりも低く、このフロントサブパイプの剛性は、角形断面を呈するセンターフレームの剛性よりも低くしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、車体フレームは、前輪の駆動系を支持するフロントフレーム部と、このフロントフレーム部の後方に設けられ乗員の居住空間をなすセンターフレーム部と、このセンターフレーム部の後方に設けられエンジンが取り付けられるとともに後輪の駆動系を支持するリヤフレーム部と、からなり、センターフレーム部に、乗員が着座する運転者席と助手席とが、車両の幅方向に並列に取り付けられ、フロントフレーム部に、前輪を駆動するフロント最終減速機が取り付けられ、車体幅方向略中央部に、フロント最終減速機へエンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトが配置され、センターフレームは、プロペラシャフトから左右いずれか一方にオフセット配置され、車両側面視で、センターフレームとプロペラシャフトとが重なっていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、運転席と前記助手席の間に、センターフレームとプロペラシャフトを収納するセンターコンソールが配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、センターフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対の中央ロアフレームが設けられ、リヤフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対のリヤロアフレームが設けられ、フロントロアフレームと中央ロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第1ロアクロスフレームが設けられ、車両平面視で、フロントロアフレームと中央ロアフレームとは一直線上に延びており、中央ロアフレームとリヤロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレームが設けられ、リヤロアフレームは、中央ロアフレームより車両幅方向外側に設けられ、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲しているサイドフレームが設けられ、このサイドフレームは、前端部がフロントロアアームに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレームの端部および第2ロアクロスフレームの端部にこの順で連結され、後端部がリヤロアフレームに連結され、センターフレームの後端部は、左右一対の中央ロアフレームよりも内側位置で第2ロアクロスフレームに連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、円形断面を呈するフロントロアフレームの剛性は、角形断面を呈する中央ロアフレームの剛性よりも小さくしたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、フロントバンパーの下方に、左右一対のフロントロアアームによって支持され、フロントバンパーとフロントバンパー支持パイプをともに支持するフロントバンパー下部取付部が設けられ、フロントバンパー下部取付部の剛性は、フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明では、フロントバンパ支持パイプは、車両の長手方向でねじを介して車体に締結されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、フロントアッパーフレームの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレームが連結され、この第1アッパークロスフレームの剛性は、フロントアッパーフレームの剛性よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明は、中央ロアフレームと第2ロアクロスフレームの間に補強部材が掛け渡されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明は、フロントロアフレームとフロントサブパイプの間に、フロントサブ起立パイプが設けられ、車両側面視で、フロント最終減速機とステアリング軸の回転を車両幅方向の往復運動に変換するステアリングボックスとを囲うように、フロントロアフレーム、フロントアッパーフレーム、フロントサブパイプおよびフロントサブ起立パイプが配置され、車両側面視で、フロント最終減速機の下方にフロントロアフレームが配置され、フロント最終減速機の入力部の上部に設けられている凹部に接近して配置されているステアリングボックスの上方に、フロントサブパイプが配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項13に係る発明は、ステアリングボックスから前輪へ延ばされているタイロッドと、フロントサブパイプから前輪に延ばされている上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置され、フロントサブパイプから下方へ前輪サスペンションアーム取付部の構成部材としてのアームブラケットを延ばし、このアームブラケットに、上部サスペンションアームの基部を連結するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明では、センターフレームは、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプと略一直線上に延びており、センターフレームの前端部は、第2フロントクロスパイプに連結され、センターフレームの後端部は、第2フロントクロスパイプより後方に設けられている車体フレームに連結されている。
【0021】
車両前方から車体に衝撃力が入力されたとき、衝撃力は、フロントサブパイプへ伝達され、このフロントサブパイプの後端部に連結した第2クロスフレームを介してセンターフレームに伝達され、このセンターフレームの後端部に設けられている車体フレームへ伝達される。
【0022】
また、車両前方から入力された衝撃力を、後方に設けられている車体フレームへ伝達するセンターフレームは、車体フレームの略中心に配置され、車両長手方向に延びており、且つ、左右一対のフロントサブパイプと第2フロントクロスパイプとの連結部よりも内側位置に配置されている。センターフレームが車体フレームの略中央部に配置されていれば、センターフレームの左右側方に座席などを配置することが可能になる。座席は、センターフレームの左右側方に、センターフレームを避けて配置可能となるため、車両の重心を一層低く抑えることが可能になる。
【0023】
したがって、本発明の車両のフレーム構造によれば、車体剛性が確保されるとともに、車両の重心を一層低く抑えることができる。車両の重心を一層低く抑えることができるようになれば、車両の操縦性を高めることができる。
【0024】
請求項2に係る発明では、左右一対のフロントバンパー支持パイプの後端部は、左右一対のフロントサブパイプに連結されるとともに、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプおよびセンターフレームは、車両側面視で、一直線上に延びている。
【0025】
フロントバンパーに入力された車両前方の衝撃力は、フロントバンパー支持パイプへ伝達され、このフロントバンパー支持パイプの後端部に接続された左右一対のフロントサブパイプへ伝達され、このフロントサブパイプの後方に延びているセンタフレームへ伝達され、このセンタフレームの後方に設けられている車体フレームへ伝達される。
【0026】
この場合に、フロントサブパイプとの間を連結するフロントバンパー支持パイプは、車両側面視で、センターフレームと一直線上に配置したので、衝撃力は、上記各部材の軸方向に円滑に伝達され、車両前方の衝撃力を後方に設けた車体フレームで確実に受けることができる。
【0027】
請求項3に係る発明では、車体の強度を、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプ、センターフレームの順に高い剛性になるように構成した。車両前方から入力された衝撃力は、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプ、そして、センターフレームと、この順に伝達される。
【0028】
この場合に、フロントバンパー支持パイプは、フロントサブパイプよりも大きく撓み、フロントサブパイプは、センターフレームよりも大きく撓む。これにより、センターフレームよりも車両の前方に設けたフロントバンパー支持パイプで大きな衝撃力を吸収することができる。車両前部の剛性を車両後部の剛性よりも低くしたので、車両前方から受けた衝撃力を車両の前部で確実に吸収することができる。
【0029】
請求項4に係る発明では、車両側面視で、センターフレームとプロペラシャフトとが重なるように配置され、センターフレームとプロペラシャフトとは、車両幅方向に互いにずらすように配置されているので、車両の重心が高くなることを回避することができる。
【0030】
請求項5に係る発明では、センターフレームとプロペラシャフトは、センターコンソールに収納されているので、車室内の居住性を高めるとともに、車室内の外観性を高めることができる。
【0031】
請求項6に係る発明では、サイドフレームは、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲するとともに、その前端部がフロントロアアームに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレームの端部および第2ロアクロスフレームの端部にこの順で連結され、その後端部がリヤロアフレームに連結されている。
かかる構成によれば、サイドフレームとセンターフレームと中央ロアフレームとで、車体フレームが立体的に構成されることになり、センターフレーム部の低床化を可能にしつつ、所定の車体剛性を確保することができる。
【0032】
加えて、センターフレームの後端部は、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレームに連結されている。衝撃力を受けたときに、第2ロアクロスフレームが撓むことでセンターフレームから伝達された衝撃力を確実に吸収させることができる。
【0033】
請求項7に係る発明では、フロントロアフレームの剛性は、中央ロアフレームの剛性よりも小さくした。中央ロアフレームよりも衝撃力を先に受けるフロントロアフレームの剛性を中央ロアフレームの剛性よりも小さくして、フロントロアフレームを主体に前方からの衝撃力を吸収する一方、乗員が居住する中央ロアフレーム部の剛性を確保するようにした。このため、車体の重量増加を抑えつつ所定の衝撃力を吸収させることが可能になる。
【0034】
請求項8に係る発明では、フロントバンパー下部取付部の剛性は、フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さくした。
車両の前方から衝撃力が入力されたときに、フロントバンパー下部取付部の剛性は、フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さくしたので、フロントバンパーに衝撃力がかかったときに、先ず、フロントバンパー下部取付部が外れ、フロントバンパ支持パイプの軸方向に衝撃力を伝達させることができる。そして、フロントバンパ支持パイプがその軸方向に潰れるようにすることで、所定の衝撃力を吸収させることができる。
【0035】
請求項9に係る発明では、フロントバンパ支持パイプは、車両の長手方向でねじを介して車体に締結されている。車両前方から衝撃力を受けたときに、フロントバンパ支持パイプを締結するねじに剪断力がかからないようにすることができる。
【0036】
請求項10に係る発明では、車両前方から衝撃力を受けたときに、第1アッパークロスフレームの剛性は、フロントアッパーフレームの剛性よりも大きいので、フロントアッパーフレームが撓み、このフロントアッパーフレームにて衝撃力を受ける。剛性のより大きい第1アッパークロスフレームでフロントアッパーフレームを支持し、衝撃力がかかったときに、フロントアッパーフレームを撓むようにすることで、車両剛性の確保と衝撃吸収性能の確保とを両立させることができる。
【0037】
請求項11に係る発明では、中央ロアフレームと第2ロアクロスフレームの間に補強部材が掛け渡されている。
中央ロアフレームから入力された衝撃力の一部は、補強部材を経由して第2ロアクロスフレームへ分散して伝達される。このため、車体フレームの剛性を効果的に高めることが可能になる。
【0038】
請求項12に係る発明では、フロントロアフレーム、フロントアッパーフレーム、フロントサブパイプおよびフロントサブ起立パイプとで囲われた領域に、フロント最終減速機とステアリングボックスとが配置されている。加えて、フロント最終減速機の入力部の上部に設けられている凹部に接近して配置されているステアリングボックスの上方に、フロントサブパイプが配置されている。
【0039】
フロントフレーム部の下部に、フロント最終減速機とステアリングボックスとが集中配置されているので、車両の低重心化が図れるとともに配置スペースの節減が図れる。加えて、上記フレーム構造によって、フロント最終減速機とステアリングボックスを保護することができる。
【0040】
請求項13に係る発明では、ステアリングボックスから前輪へ延ばされているタイロッドと、フロントサブパイプから前輪に延ばされている上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置され、フロントサブパイプから下方へアームブラケットを延ばし、このアームブラケットに、上部サスペンションアームの基部を連結するようにした。
【0041】
仮に、タイロッドと上部サスペンションアームとが車両正面視で、重なるように配置されていない場合には、車両平面視における車輪前端部と車輪後端部の左右の前輪間距離の差(トーイン)が大きくなる場合がある。
この点、本発明では、タイロッドと上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置されているので、前輪のトーインの変化を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る車両のフレーム構造の左側面図である。
【図2】本発明に係る車両のフレーム構造の平面図である。
【図3】本発明に係る車両のフロントフレーム部の斜視図である。
【図4】本発明に係る車両のフレーム構造の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る車両のフレーム構造の斜視図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】フロントバンパーが衝撃力を受けたときの作用説明図である。
【図8】車両のフレーム構造の実施例図および比較例図である。
【図9】本発明に係る車両のフロントフレーム部の左側面図である。
【図10】図9の10矢視図である。
【図11】図9の11矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中および実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、車両に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0044】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
先ず、車体フレーム11の全体構造について説明する。
図1において、本発明の車両10に備えられている車体フレーム11は、前輪12を懸架するフロントフレーム部13と、このフロントフレーム部13の後方に設けられ乗員が着座する座席14を備え居住空間を形成するセンターフレーム部15と、このセンターフレーム部15の後方に設けられエンジン16および後輪17を懸架するリヤフレーム部18と、からなる。
【0045】
次に、車体フレーム11の基部を構成するフロア部を中心として説明を行う。
車両のフレーム11(車体フレーム11)は、車両長手方向にフロントロアフレーム21が延設され、このフロントロアフレームの後端部22から後方へ中央ロアフレーム23が延設され、この中央ロアフレームの後端部24から後方へリヤロアフレーム25が延設され、フロントロアフレームの前端部26に連結され、上方に一旦延びた後湾曲し車両長手方向に向けてフロントアッパーフレーム28が延設されている。
【0046】
フロントフレーム部13の構成部材としてのフロントアッパーフレーム28は、下から上に、上方立ち上がり部31と、この上方立ち上がり部31から傾斜を変え車両後方へ延びている傾斜部32とからなる。
フロントアッパーフレームの上方立ち上がり部31に、フロントサブパイプ34の前端が連結され、フロントサブパイプ34は車両長手方向に延設されている。フロントサブパイプ34は、前輪サスペンションアーム取付部35を有する部材である。
【0047】
フロントサブパイプ34は、フロントロアフレーム21の上方に配置されており、車体フレーム11の前部は、フロントサブパイプ34とフロントロアフレーム21とで上下2段構造となっている。
フロントサブパイプ34の前端に、フロントバンパー41が配置されている。フロントバンパー41の詳細は後述する。
【0048】
図2において、フロントロアフレーム21L、21Rと中央ロアフレーム23L、23Rの間で、車幅方向には、第1ロアクロスフレーム43が延びており、中央ロアフレーム23L、23Rとリヤロアフレーム25L、25Rの間で、車幅方向には、第2ロアクロスフレーム44が延びている。第1ロアクロスフレーム43および第2ロアクロスフレーム44は、いずれも、各ロアフレームの間に介在されている部材である。
【0049】
第1ロアクロスフレーム43は、フロントフレーム部13とセンターフレーム部15とを分ける部材であり、第2ロアクロスフレーム44は、センターフレーム部15とリヤフレーム部18とを分ける部材である。
なお、第1ロアクロスフレーム43と第2ロアクロスフレーム44の間に、運転者Dが着座する運転者席57が配置されている。
【0050】
次に、車両のフロントフレーム部の構成について説明する。
図3において、フロントサブパイプ34L、34Rの前端で、車両幅方向に第1フロントクロスパイプ45が延び、フロントサブパイプ34L、34Rの後端で、車両幅方向に第2フロントクロスパイプ46が延びている。第2フロントクロスパイプ46と左のフロントロアフレーム21Lの間に、左のフロントサブ起立パイプ50Lが掛け渡され、第2フロントクロスパイプ46と右のフロントロアフレーム21Rの間に、右のフロントサブ起立パイプ50Rが掛け渡されている。
【0051】
フロントバンパー41は、左右に延びている腕部101と、この腕部101から下方に延びており車両正面視で略U字状を呈するU字部102とからなる。U字部102は、水平部103とこの水平部103の左右端部から上方に延びている左右の立部104L、104Rとからなる。左右の立部104L、104Rから各々後方へ左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rが延びており、これらフロントバンパー支持パイプの後端部にフランジ部107L、107Rが形成され、これらのフランジ部107L、107Rに対応する座部108L、108Rがフロントアッパーフレームの上方立ち上がり部31L、31Rに形成され、複数のねじ109によって、フランジ部107L、107Rを座部108L、108Rに締結した。
【0052】
また、U字部の水平部103に薄板を曲げ加工して形成したフロントバンパー下部取付部111が固着され、このフロントバンパー下部取付部111は、左右一対のフロントロアフレーム21L、21Rの先端に取り付けられている。フロントバンパー下部取付部111の剛性は、フロントバンパー支持パイプ105L、105Rの剛性よりも小さい値に設定されている。
【0053】
以下、フロントバンパー41の構造についてまとめる。
車体の前端部に、フロントバンパー41が取り付けられ、このフロントバンパー41から車両後方に左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rが延びており、これらの左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rは、左右一対のフロントアッパーフレーム28L、28Rに連結され、左右一対のフロントバンパー支持パイプ105L、105Rの後端部は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと左右一対のフロントアッパーフレーム28L、28Rとの連結部113L、113Rに接続されフロントバンパー41の下方に、左右一対のフロントロアフレーム21L、21Rによって支持され、フロントバンパー41とフロントバンパー支持パイプ105L、105Rをともに支持するフロントバンパー下部取付部111が設けられ、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rは、車両の長手方向で複数のねじ109を介して車体に締結されている。
【0054】
第2フロントクロスパイプ46と第2ロアクロスフレーム(図2、符号44)の間に、車両前方から受けた衝撃力を受けるセンターフレーム48が掛け渡されている。このセンターフレーム48は、直線状に形成されている部材であり、車両後方に向け斜め下方に傾斜するように延びている。センターフレーム48の詳細については後述する。
【0055】
次に、車体フレーム全体の構成について説明する。
図4において、フロントロアフレーム21L、21Rの中間部からリヤロアフレーム25L、25Rの中間部にかけて、車両幅方向外方に、次いで、車両長手方向に、最後に、車両幅方向内方に、サイドフレーム51L、51Rが延びており、これらのサイドフレーム51L、51Rの前部から上方に第1起立フレーム53L、53Rが上方に延び、上端部がフロントアッパーフレーム28L、28Rに連結されている。
【0056】
サイドフレーム51L、51Rの前部から後部にかけて乗員の居住空間を形成し車両側面視で、略コ字状を呈するロールバー54L、54Rが設けられている。これらのロールバー54L、54Rは、サイドフレーム51L、51Rであって、第1ロアクロスフレーム43との連結部55L、55Rを起点として上方に延び、次いで、水平方向で後方に延び、最後に、下方に延び、前記前記サイドフレーム51L、51Rであって、第2ロアクロスフレーム44との連結部56L、56Rを終点とする部材である。
【0057】
図1を併せて参照して、左右一対のサイドフレーム51L、51Rは、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲しており、これらの左右のサイドフレーム51L、51Rは、左右のサイドフレームの前端部93L、93Rが各々フロントロアフレーム21L、21Rに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレーム43の端部および第2ロアクロスフレーム44の端部にこの順で連結され、その後端部94L、94Rが左右一対のリヤロアフレーム25L、25Rに連結されている。
【0058】
以下、リヤフレーム部18の構成について説明する。
リヤロアフレーム25L、25Rに、且つ、前から後に、第2起立フレーム62、62、第3起立フレーム63、63および第4起立フレーム64、64がこの順に立設され、これらの第2〜第4起立フレーム62〜64、62〜64の上端に、複数の部材からなるリヤトップフレーム65が取り付けられている。
【0059】
第3起立フレーム63、63の中間部と第4起立フレーム64、64の中間部の間に、車両長手方向にリヤサブパイプ66、66が掛け渡され、これらのリヤサブパイプ66、66の前端部で、車幅方向に第1リヤクロスフレーム68が掛け渡され、リヤサブパイプ66、66の後端部で、車幅方向に第2リヤクロスフレーム69が掛け渡されている。リヤサブパイプ66、66は、後輪サスペンションアーム取付部67、67を有する部材である。
【0060】
リヤトップフレーム65は、第2起立フレーム62、62の上端に取り付けられ、車幅方向に延びており、両端部がロールバー54に連結されている前リヤクロスパイプ85と、前リヤクロスパイプ85の後方に設けられ、車幅方向に延びており、第4起立フレーム64の上端に取り付けられている後リヤクロスパイプ86と、後リヤクロスパイプ86と前リヤクロスパイプ85との間に掛け渡した左右のリヤアッパフレーム87L、87Rと、を主要な構成要素とする。そして、前リヤクロスパイプ85、後リヤクロスパイプ86および左右のリヤアッパフレーム87L、87R相互間の結合強度を高める補強部材として、複数の補強フレーム88L、88R、89L、89R、90a、90bが設けられている。
【0061】
次に、車体フレーム11に搭載されているエンジンなどの部材について説明する。
図2に戻って、車体フレーム11は、フロントフレーム部13とセンターフレーム部15とリヤフレーム部18との3つの部分からなり、フロントフレーム部13に、前輪12、12を駆動するフロント最終減速機71が取り付けられ、センターフレーム部15に、乗員が着座する座席14としての運転席57と助手席58とが、車両の幅方向に並列に取り付けられ、リヤフレーム部18に、エンジン16および後輪17、17の駆動系としてのリヤ最終減速機72が取り付けられている。
車体幅方向中心線上に、フロント最終減速機71へエンジン16の駆動力を伝達するプロペラシャフト73が配置されている。74はチェンジユニットである。
【0062】
左右のフロントロアフレーム21L、21Rの前端の間に、バンパ下クロスフレーム81が掛け渡され、左右のフロントロアフレーム21L、21Rの後端に連結され車両幅方向に延設されている第1ロアクロスフレーム43が設けられ、この第1ロアクロスフレーム43の後方に、同じく車両幅方向に延設した第2ロアクロスフレーム44が設けられ、第1ロアクロスフレーム43に、左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rの前端部29L、29Rが連結され、第2ロアクロスフレーム44に、左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rの後端部24L、24Rが連結されている。
【0063】
第2ロアクロスフレーム44から車両長手方向後方へ、左右一対のリヤロアフレーム25L、25Rが延設され、これらの左右のリヤロアフレーム25L、25Rの間に、サブリヤクロスメンバー82が掛け渡されている。
【0064】
すなわち、センターフレーム部15の下部に、車両長手方向に延びている左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rが設けられ、リヤフレーム部18の下部に、車両長手方向に延びている左右一対のリヤロアフレーム25L、25Rが設けられ、フロントロアフレーム21と中央ロアフレーム23L、23Rの間に、車両幅方向に延びている第1ロアクロスフレーム43が設けられ、車両平面視で、フロントロアフレーム21L、21Rと中央ロアフレーム23L、23Rとは一直線上に延びており、中央ロアフレーム23L、23Rとリヤロアフレーム25L、25Rの間に、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレーム44が設けられ、リヤロアフレーム25L、25Rは、中央ロアフレーム23L、23Rより車両幅方向外側に設けられている。センターフレーム48は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置に配置されている。
【0065】
センターフレームの後端部49は、左右一対の中央ロアフレーム23L、23Rよりも内側位置で第2ロアクロスフレーム44に連結されている。中央ロアフレーム23L、23Rと第2ロアクロスフレーム44の間に補強部材91L、91Rが掛け渡されている。このような補強部材91L、91Rであれば、中央ロアフレーム23L、23Rから入力した衝撃力の一部は、補強部材91L、91Rを経由して第2ロアクロスフレーム44へ分散して伝達される。したがって、衝撃吸収性能を高めることが可能になる。
【0066】
図2に戻って、センターフレーム部15において、第1ロアクロスフレーム43と第2ロアクロスフレーム44との間に配置され、且つ、第1ロアクロスフレーム43の後方で、車両幅方向には、センタサブクロスフレーム95が掛け渡されている。同様に、左の中央ロアフレーム23Lと左のサイドフレーム51Lの間で、車両幅方向に左サブクロスフレーム96が掛け渡され、右の中央ロアフレーム23Rと右のサイドフレーム51Rの間で、車両幅方向に右サブクロスフレーム97が掛け渡されている。
【0067】
第1ロアクロスフレーム43と左サブクロスフレーム96の間で、車両長手方向にサブフレーム98、98が掛け渡され、左サブクロスフレーム96と第2ロアクロスフレーム44の間で、車両長手方向にサブフレーム99、99が掛け渡されている。
また、左サブクロスフレーム96と第2ロアクロスフレーム44の間で、車両長手方向に、第2のサブフレーム98bが掛け渡され、右サブクロスフレーム97と第2ロアクロスフレーム44の間で、車両長手方向に、第2のサブフレーム99bが掛け渡されている。
【0068】
図1に戻って、フロントアッパーフレーム28が設けられている座部(図3、符号108L、108R)と反対側のフロントアッパーフレーム28に、フロントサブパイプ34が連結され、車両側面視で、フロントサブパイプ34とフロントバンパー支持パイプ105とは、略一直線となるように配置されている。
【0069】
以下、前端部が左右一対のフロントサブパイプ34の後端に連結され、後端部が車両幅方向に延びている第2フロントクロスパイプ46に連結され、フロントバンパー41で受けた衝撃力が伝達されるセンターフレーム48の構造について詳細に説明する。
【0070】
図2および図3において、センターフレーム48は、車体フレーム11の略中心に、車両長手方向に延び、前端部47が第2フロントクロスパイプ46に連結され、後端部49が第2フロントクロスパイプ46より後方に設けられている第2ロアクロスフレーム44に連結されている断面角形を呈する部材である。センターフレーム48は、車両平面視で、車体幅方向中心線から左にオフセット配置されている。なお、車体幅方向中心線から右側にオフセット配置することは差し支えない。
【0071】
センターフレームの前端部47は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置で第2フロントクロスパイプ46に連結されている
なお、本実施例において、センターフレームの後端部49は、第2ロアクロスフレーム44に連結されているが、第2フロントクロスパイプ46の後方に設けられているフレームに連結されていればどのフレームであっても差し支えない。例えば、第2フロントクロスパイプ46の後方で車両幅方向にクロスパイプを渡し、このクロスパイプに連結するものでも良い。
【0072】
図1を併せて参照して、センターフレーム48は、車両側面視で、左右一対のフロントサブパイプ34と略一直線上に延びている。フロントバンパー支持パイプ105、フロントサブパイプ34およびセンターフレーム48は、一直線上に延びている。
【0073】
図3において、左右一対のフロントサブパイプ34の前端に対応する左右一対のフロントアッパーフレームの上方立ち上がり部31L、31Rで、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rの前端の連結部の近傍に、第1フロントクロスパイプ45が掛け渡され、フロントサブパイプ34L、34Rの後部間に、フロントサブパイプ34L、34Rを連結する第2フロントクロスパイプ46が設けられ、この第2フロントクロスパイプ46の両端は、左右の第1起立フレーム53L、53Rに各々連結されている。
【0074】
左右の第1起立フレーム53L、53Rの中間部で、左右の第1起立フレーム53L、53Rの間に、第1サブクロスフレーム123および第2サブクロスフレーム124が掛け渡されている。なお、左右の第1起立フレーム53L、53Rの上端部は、各々、フロントアッパーフレームの傾斜部32L、32Rに連結されている。
【0075】
図5において、センターフレーム部15に、上方から左右のロールバー54L、54Rが取り付けられ、リヤフレーム部18に、第2〜第4起立フレーム62〜64と一体化させたリヤトップフレーム65が上方から取り付けられている。
以下、センターフレーム部15にロールバー54L、54Rを取り付け、リヤフレーム部18に、複数の部材からなるリヤトップフレーム65を取り付けてなる車体フレームの構造について説明する。
【0076】
車体フレーム11に、車体の下部で車両長手方向に延びる左右一対のフロントロアフレーム21L、21Rと、これらのフロントロアフレームの前端部に連結され上方に一旦延びた後方に湾曲し車両長手方向に延びる左右一対のフロントアッパーフレーム28L、28Rと、これらのフロントアッパーフレーム28L、28Rに連結され車両長手方向に延び前輪サスペンションアーム取付部35L、35Rを有する左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと、これらのフロントサブパイプ34L、34Rの前部間を連結する第1フロントクロスパイプ45と、前記フロントサブパイプ34L、34Rの後部間を連結する第2フロントクロスパイプ46と、が備えられている。
フロントアッパーフレーム28L、28Rの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレーム121が連結されている。
【0077】
以下、フレーム、パイプ間の剛性について説明する。
フロントバンパー支持パイプ105L、105Rの剛性は、円形断面を呈するフロントサブパイプ34の剛性よりも低く、このフロントサブパイプ34の剛性は、角形断面を呈するセンターフレーム48の剛性よりも低くした。
円形断面を呈するフロントロアフレーム21の剛性は、角形断面を呈する中央ロアフレーム23L、23Rの剛性よりも小さくした。
【0078】
フロントロアフレーム21L、21Rの剛性は、中央ロアフレーム23L、23Rの剛性よりも小さくした。衝撃力を最初に受けるフロントフレーム部13の剛性をセンターフレーム部15の剛性よりも小さくして、前方からの衝撃力を吸収する一方、乗員が居住するセンターフレーム部15の剛性を確保するようにした。このため、車体の重量増加を抑えつつ所定の衝撃吸収性能を確保することができる。
【0079】
前述したように、サイドフレーム51L、51Rは、車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲するとともに、その前端部93L、93Rがフロントロアフレーム21L、21Rに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、第1ロアクロスフレーム43の端部および第2ロアクロスフレーム44の端部にこの順で連結され、その後、後端部94L、94Rがリヤロアフレーム25L、25Rに連結されている。
【0080】
サイドフレーム51L、94Rとセンターフレーム48と中央ロアフレーム23L、23Rは、立体的に構成されているので、センターフレーム部15を低床化しつつ、所定の車体剛性を確保することができる。
加えて、センターフレームの後端部49は、第2ロアクロスフレーム44に連結されている。衝撃力を受けたときに、第2ロアクロスフレーム44が撓むことでセンターフレーム48から伝達された衝撃力を吸収させることができる。
【0081】
次に、運転席と助手席の間を通過するセンターフレームおよびプロペラシャフトと、これらのセンターフレームおよびプロペラシャフトを覆うセンターコンソールについて説明する。
図6において、運転席57と助手席58の間に、センターフレーム48とプロペラシャフト73を収納するセンターコンソール122が配置されている。センターフレーム48とプロペラシャフト73は、センターコンソール122に収納されているので、車室内の居住性を高めるとともに、車室内の外観性を高めることができる。
【0082】
以上に述べた車両のフレーム構造の作用を次に述べる。
図7(a)において、車両の前端部に設けられているフロントバンパー41が障害物Bに接触する前の状態が示されている。フロントバンパー下部取付部111の剛性は、フロントバンパー支持パイプ105の剛性よりも小さく構成されている。
【0083】
図7(b)において、フロントバンパー41が障害物Bに接触した直後の状態が示されている。このとき、フロントバンパー下部取付部111の剛性は低いので、フロントバンパー41に衝撃力がかかったときに、フロントロアフレーム21の先端部からフロントバンパー下部取付部111が外れる。フロントバンパー下部取付部111が外れるので、フロントバンパ支持パイプ105の軸方向に衝撃力が伝達される。
【0084】
すなわち、衝撃力が入力されたときに、フロントバンパー下部取付部111の剛性は、フロントバンパー支持パイプ105L、105Rの剛性よりも小さくしたので、フロントバンパー下部取付部111が引きちぎられることで、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rの軸方向に衝撃力を伝達させることができる。そして、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rがその軸方向に潰れるようにすることで、所定の衝撃吸収性能を確保させることができる。
【0085】
図7(c)において、フロントバンパー41が障害物Bに接触し、フロントバンパー下部取付部111が外れた後の状態が示されている。
フロントバンパー下部取付部が外れた後、フロントバンパ支持パイプ105の軸方向に衝撃力を伝達される。フロントバンパ支持パイプ105が軸方向に潰れる。上記メカニズムにより、所定の衝撃力を吸収させるようにした。
【0086】
図5に戻って、フロントアッパーフレーム28L、28Rの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレーム121が連結されている。そして、第1アッパークロスフレーム121の剛性は、フロントアッパーフレーム28の剛性よりも大きい。
【0087】
車両前方から衝撃力を受けたときに、第1アッパークロスフレーム121の剛性は、フロントアッパーフレーム28の剛性よりも大きいので、フロントアッパーフレーム28が撓み、このフロントアッパーフレーム28にて衝撃力を受ける。剛性のより大きい第1アッパークロスフレーム121でフロントアッパーフレーム28を支持し、衝撃力がかかったときに、フロントアッパーフレーム28を撓むようにすることで、車両剛性の確保と衝撃吸収性能の確保とを両立させることができる。
【0088】
加えて、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rは、車両の長手方向で複数のねじ(図3、符号109)を介して車体に締結されている。かかる構成であれば、車両前方から衝撃力を受けたときに、フロントバンパ支持パイプ105L、105Rを締結する複数のねじ109に剪断力がかからないようにすることができる。
【0089】
図1に戻って、センターフレーム48は、左右一対のフロントサブパイプ34と略一直線上に延びており、センターフレームの前端部(図2、符号47)は、第2フロントクロスパイプ46に連結され、センターフレームの後端部(図2、符号49)は、第2フロントクロスパイプ46より後方に設けられている第2ロアアクロスフレーム44に連結されている。
【0090】
フロントバンパー41に入力された車両前方の衝撃力は、フロントバンパー支持パイプ105L、105Rに伝達され、このフロントバンパー支持パイプ105L、105Rの後端部に接続された左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rに伝達され、これらのフロントサブパイプ34L、34Rの後方に延びているセンタフレーム48に伝達され、このセンタフレーム48の後方に設けられている車体フレームとしての第2ロアクロスフレーム44に伝達される。
【0091】
車両側面視で、フロントサブパイプ34との間を連結するフロントバンパー支持パイプ105L、105Rをセンターフレーム48と一直線上に配置したので、衝撃力は、上記各部材の軸方向に円滑に伝達され、車両前方の衝撃力を後方に設けた第2ロアクロスフレーム44で確実に受けることができる。
【0092】
車体を構成する各フレームの強度は、フロントバンパー支持パイプ105L、105R、フロントサブパイプ34、センターフレーム48の順に高剛性になるように構成した。車両前方から入力された衝撃力は、フロントバンパー支持パイプ105L、105R、フロントサブパイプ34、そして、センターフレーム48と、この順に伝達され、センターフレーム48よりもフロントバンパー41で大きな衝撃力を受けることができる。したがって、車両前方から受けた衝撃力を車両の前部で確実に受けることができる。
【0093】
図8(a)において、実施例が示されており、車両前方から入力された衝撃力を伝達するセンターフレーム48は、車体フレーム11の略中心に配置され、車両長手方向に延びている。
【0094】
図8(b)において、比較例が示されており、車両前方からの衝撃力を受け、所定の車体剛性を確保するため、車両側面視で、サブフレーム87Bとロアサイドフレーム51Bの上下2段構造とする必要があった。そうすると、車両の乗員が足を置く足置き面116Bの高さをΔhだけ上方に上昇させる必要がある。足置き面116Bの高さを上昇させると車両の重心が高くなり、車両の操縦性に課題が残る。
【0095】
この点、本発明では、センターフレーム48は、車体フレーム11の略中心に配置され、車両長手方向に延びている。
図2を併せて参照して、センターフレーム48は、左右一対のフロントサブパイプ34L、34Rと第2フロントクロスパイプ46との連結部114L、114Rよりも内側位置に配置されている。
【0096】
そうすると、センターフレーム48の左右側方に座席などを配置することが可能になる。座席14は、センターフレーム48とは無関係に配置することができるようになるため、図8(a)に示されている如く、車両の重心を一層低く抑えることが可能になる。
【0097】
したがって、本発明の車両のフレーム構造であれば、車体剛性の確保と車両の低重心化とを両立させることができる。車両の重心を一層低く抑えることができるようになれば、車両の操縦性を高めることができる。
【0098】
図6において、車両側面視で、センターフレーム48とプロペラシャフト73とが重なるように配置されるとともに、センターフレーム48とプロペラシャフト73とは、車両幅方向に互いにずらすように配置されているので、車両の重心が高くなる心配はない。
【0099】
以下、車両前部に配置されているフロント最終減速機とステアリングボックスを囲うように配置されている車体フレーム構造などについて説明する。
図9において、フロントロアフレーム21Lとフロントサブパイプ34Lの間に、フロントサブ起立パイプ50Lが設けられ、車両側面視で、フロント最終減速機71とステアリング軸131の回転を車両幅方向の往復運動に変換するステアリングボックス132とを囲うように、フロントロアフレーム21L、フロントアッパーフレーム28L、フロントサブパイプ34Lおよびフロントサブ起立パイプ50Lが配置され、車両側面視で、フロント最終減速機71の下方にフロントロアフレーム21Lが配置され、フロント最終減速機の入力部133の上部に設けられている凹部134に接近して配置されているステアリングボックス132の上方に、フロントサブパイプ34Lが配置されている。
【0100】
同様に、車体の右側を構成するフロントロアフレーム21R、フロントアッパーフレーム28R、フロントサブパイプ34Rおよびフロントサブ起立パイプ50Rの構造は、左側を構成するフレーム群と同様なものであり、説明を省略する。135Lはフロントサスペンションである。
【0101】
フロントフレーム部21L、21Rの下部に、フロント最終減速機71とステアリングボックス132とが集中配置されているので、車両の低重心化が図れるとともに配置スペースの節減が図れる。加えて、上記フレーム構造によって、フロント最終減速機71とステアリングボックス132を保護することができる。
【0102】
図10および図11において、車体から延びているフロントサスペンションアーム138L、138R、148L、148Rの先端に前輪12(左の前輪12のみ示す。以下同じ。)が取り付けられ、フロント最終減速機71から前輪12へエンジンの駆動力を伝達する前輪車軸142、142が延びている。
【0103】
ステアリングボックス132から前輪12へ延ばされているタイロッド137L、137Rと、フロントサブパイプ34L、34Rから前輪12に延ばされている上部サスペンションアーム138L、138Rとが、車両正面視で、左右で各々、重なるように配置され、フロントサブパイプ34L、34Rから下方へ前輪サスペンションアーム取付部35L、35Rの構成部材としてのアームブラケット141L、141Rを延ばし、これらのアームブラケット141L、141Rに、上部サスペンションアーム138L、138Rの基部を連結するようにした。
【0104】
仮に、タイロッドと上部サスペンションアームとが車両正面視で、重なるように配置されていない場合には、車両平面視における車輪前端部と車輪後端部の左右の前輪間距離の差(トーイン)が大きくなる場合がある。
この点、本発明では、タイロッド137L、137Rと上部サスペンションアーム138L、138Rとが、車両正面視で、重なるように配置されているので、前輪12のトーインの変化を抑えることが可能になる。
【0105】
尚、本発明は、実施の形態では低床型車両に適用したが、一般の車両に適用することは差し支えない。
請求項1では、車体側面視で、フロントバンパー支持パイプ、フロントサブパイプおよびセンターフレームは、一直線上に延びていなくても差し支えない。
請求項2では、フロントサブパイプの剛性は、センターフレームの剛性と同等またはそれ以上の剛性にすることは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、四輪車に好適である。
【符号の説明】
【0107】
10…車両、11…車体フレーム、12…前輪、13…フロントフレーム部、15…センターフレーム部、16…エンジン、17…後輪、18…リヤフレーム部、21、21L、21R…フロントロアフレーム、23、23L、23R…中央ロアフレーム、25、25L、25R…リヤロアフレーム、26、26L、26R…フロントロアフレームの前端、28、28L、28R…フロントアッパーフレーム、34、34L、34R…フロントサブパイプ、35、35L、35R…前輪サスペンションアーム取付部、41…フロントバンパー、43…第1ロアクロスフレーム、44…第2ロアクロスフレーム、45…第1フロントクロスパイプ、46…第2フロントクロスパイプ、47…センターフレームの前端部、48…センターフレーム、49…センターフレームの後端部、50L、50R…フロントサブ起立パイプ、51、51L、51R…サイドフレーム、57…運転席、58…助手席、71…フロント最終減速機、73…プロペラシャフト、91L、91R…補強部材、105、105L、105R…フロントバンパー支持パイプ、109…ねじ、111…フロントバンパー下部取付部、121…第1アッパークロスフレーム、122…センターコンソール、131…ステアリング軸、132…ステアリングボックス、134…凹部、137L、137R…タイロッド、138L、138R…上部サスペンションアーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに、車体の下部で車両長手方向に延びる左右一対のフロントロアフレームと、これらのフロントロアフレームの前端に連結され上方に一旦延びた後湾曲し車両長手方向に延びる左右一対のフロントアッパーフレームと、これらのフロントアッパーフレームに連結され車両長手方向に延び前輪サスペンションアーム取付部を有する左右一対のフロントサブパイプと、これらのフロントサブパイプ前部間を連結する第1フロントクロスパイプと、前記フロントサブパイプ後部間を連結する第2フロントクロスパイプと、が備えられている車両のフレーム構造において、
前記車体フレームの略中心に、車両長手方向に延び、前端部が前記第2フロントクロスパイプに連結され、後端部が前記第2フロントクロスパイプより後方に設けられている前記車体フレームに連結されるセンターフレームが備えられ、
このセンターフレームは、車両側面視で、前記左右一対のフロントサブパイプと略一直線上に延びており、車両平面視で、前記センターフレームの前端部は、前記左右一対のフロントサブパイプと前記第2フロントクロスパイプとの連結部よりも内側位置で前記第2フロントクロスパイプに連結されていることを特徴とする車両のフレーム構造。
【請求項2】
前記車体の前端部に、フロントバンパーが取り付けられ、このフロントバンパーから車両後方に左右一対のフロントバンパー支持パイプが延びており、これらの左右一対のフロントバンパー支持パイプは、前記左右一対のフロントアッパーフレームに連結され、
前記左右一対のフロントバンパー支持パイプの後端部は、前記左右一対のフロントサブパイプと前記左右一対のフロントアッパーフレームとの連結部に接続され、
車両側面視で、前記フロントバンパー支持パイプ、前記フロントサブパイプおよび前記センターフレームは、一直線上に延びていることを特徴とする請求項1記載の車両のフレーム構造。
【請求項3】
前記フロントバンパー支持パイプの剛性は、円形断面を呈する前記フロントサブパイプの剛性よりも低く、このフロントサブパイプの剛性は、角形断面を呈する前記センターフレームの剛性よりも低くしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のフレーム構造。
【請求項4】
前記車体フレームは、前輪の駆動系を支持するフロントフレーム部と、このフロントフレーム部の後方に設けられ乗員の居住空間をなすセンターフレーム部と、このセンターフレーム部の後方に設けられエンジンが取り付けられるとともに後輪の駆動系を支持するリヤフレーム部と、からなり、
前記センターフレーム部に、乗員が着座する運転席と助手席とが、車両の幅方向に並列に取り付けられ、
前記フロントフレーム部に、前記前輪を駆動するフロント最終減速機が取り付けられ、
車体幅方向略中央部に、前記フロント最終減速機へエンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトが配置され、
前記センターフレームは、前記プロペラシャフトから左右いずれか一方にオフセット配置され、車両側面視で、前記センターフレームと前記プロペラシャフトとが重なっていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両のフレーム構造。
【請求項5】
前記運転席と前記助手席の間に、前記センターフレームと前記プロペラシャフトを収納するセンターコンソールが配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項6】
前記センターフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対の中央ロアフレームが設けられ、
前記リヤフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対のリヤロアフレームが設けられ、
前記フロントロアフレームと前記中央ロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第1ロアクロスフレームが設けられ、車両平面視で、前記フロントロアフレームと前記中央ロアフレームとは一直線上に延びており、
前記中央ロアフレームと前記リヤロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレームが設けられ、前記リヤロアフレームは、前記中央ロアフレームより車両幅方向外側に設けられ、
前記車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲しているサイドフレームが設けられ、このサイドフレームは、前端部が前記フロントロアフレームに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、前記前記第1ロアクロスフレームの端部および前記第2ロアクロスフレームの端部にこの順で連結され、後端部が前記リヤロアフレームに連結され、
前記センターフレームの後端部は、前記左右一対の中央ロアフレームよりも内側位置で前記第2ロアクロスフレームに連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項7】
円形断面を呈する前記フロントロアフレームの剛性は、角形断面を呈する前記中央ロアフレームの剛性よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項8】
前記フロントバンパーの下方に、前記左右一対のフロントロアフレームによって支持され、前記フロントバンパーと前記フロントバンパー支持パイプをともに支持するフロントバンパー下部取付部が設けられ、
前記フロントバンパー下部取付部の剛性は、前記フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項9】
前記フロントバンパ支持パイプは、車両の長手方向でねじを介して前記車体に締結されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項10】
前記フロントアッパーフレームの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレームが連結され、この第1アッパークロスフレームの剛性は、前記フロントアッパーフレームの剛性よりも大きいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項11】
前記中央ロアフレームと前記第2ロアクロスフレームの間に補強部材が掛け渡されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項12】
前記フロントロアフレームと前記フロントサブパイプの間に、フロントサブ起立パイプが設けられ、
車両側面視で、前記フロント最終減速機とステアリング軸の回転を車両幅方向の往復運動に変換するステアリングボックスとを囲うように、前記フロントロアフレーム、前記フロントアッパーフレーム、前記フロントサブパイプおよび前記フロントサブ起立パイプが配置され、
車両側面視で、前記フロント最終減速機の下方に前記フロントロアフレームが配置され、前記フロント最終減速機の入力部の上部に設けられている凹部に接近して配置されている前記ステアリングボックスの上方に、前記フロントサブパイプが配置されていることを特徴とする請求項4〜11のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項13】
前記ステアリングボックスから前記前輪へ延ばされているタイロッドと、前記フロントサブパイプから前記前輪に延ばされている上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置され、
前記フロントサブパイプから下方へ前輪サスペンションアーム取付部の構成部材としてのアームブラケットを延ばし、このアームブラケットに、前記上部サスペンションアーム、上部サスペンションアームの基部を連結するようにしたことを特徴とする請求項4〜12のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項1】
車体フレームに、車体の下部で車両長手方向に延びる左右一対のフロントロアフレームと、これらのフロントロアフレームの前端に連結され上方に一旦延びた後湾曲し車両長手方向に延びる左右一対のフロントアッパーフレームと、これらのフロントアッパーフレームに連結され車両長手方向に延び前輪サスペンションアーム取付部を有する左右一対のフロントサブパイプと、これらのフロントサブパイプ前部間を連結する第1フロントクロスパイプと、前記フロントサブパイプ後部間を連結する第2フロントクロスパイプと、が備えられている車両のフレーム構造において、
前記車体フレームの略中心に、車両長手方向に延び、前端部が前記第2フロントクロスパイプに連結され、後端部が前記第2フロントクロスパイプより後方に設けられている前記車体フレームに連結されるセンターフレームが備えられ、
このセンターフレームは、車両側面視で、前記左右一対のフロントサブパイプと略一直線上に延びており、車両平面視で、前記センターフレームの前端部は、前記左右一対のフロントサブパイプと前記第2フロントクロスパイプとの連結部よりも内側位置で前記第2フロントクロスパイプに連結されていることを特徴とする車両のフレーム構造。
【請求項2】
前記車体の前端部に、フロントバンパーが取り付けられ、このフロントバンパーから車両後方に左右一対のフロントバンパー支持パイプが延びており、これらの左右一対のフロントバンパー支持パイプは、前記左右一対のフロントアッパーフレームに連結され、
前記左右一対のフロントバンパー支持パイプの後端部は、前記左右一対のフロントサブパイプと前記左右一対のフロントアッパーフレームとの連結部に接続され、
車両側面視で、前記フロントバンパー支持パイプ、前記フロントサブパイプおよび前記センターフレームは、一直線上に延びていることを特徴とする請求項1記載の車両のフレーム構造。
【請求項3】
前記フロントバンパー支持パイプの剛性は、円形断面を呈する前記フロントサブパイプの剛性よりも低く、このフロントサブパイプの剛性は、角形断面を呈する前記センターフレームの剛性よりも低くしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のフレーム構造。
【請求項4】
前記車体フレームは、前輪の駆動系を支持するフロントフレーム部と、このフロントフレーム部の後方に設けられ乗員の居住空間をなすセンターフレーム部と、このセンターフレーム部の後方に設けられエンジンが取り付けられるとともに後輪の駆動系を支持するリヤフレーム部と、からなり、
前記センターフレーム部に、乗員が着座する運転席と助手席とが、車両の幅方向に並列に取り付けられ、
前記フロントフレーム部に、前記前輪を駆動するフロント最終減速機が取り付けられ、
車体幅方向略中央部に、前記フロント最終減速機へエンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトが配置され、
前記センターフレームは、前記プロペラシャフトから左右いずれか一方にオフセット配置され、車両側面視で、前記センターフレームと前記プロペラシャフトとが重なっていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両のフレーム構造。
【請求項5】
前記運転席と前記助手席の間に、前記センターフレームと前記プロペラシャフトを収納するセンターコンソールが配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項6】
前記センターフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対の中央ロアフレームが設けられ、
前記リヤフレーム部の下部に、車両長手方向に延びている左右一対のリヤロアフレームが設けられ、
前記フロントロアフレームと前記中央ロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第1ロアクロスフレームが設けられ、車両平面視で、前記フロントロアフレームと前記中央ロアフレームとは一直線上に延びており、
前記中央ロアフレームと前記リヤロアフレームの間に、車両幅方向に延びている第2ロアクロスフレームが設けられ、前記リヤロアフレームは、前記中央ロアフレームより車両幅方向外側に設けられ、
前記車体の前から後へ、一旦、上方に湾曲した後、下方に湾曲しているサイドフレームが設けられ、このサイドフレームは、前端部が前記フロントロアフレームに連結され、車両外方で、長手方向後方に延び、途中、前記前記第1ロアクロスフレームの端部および前記第2ロアクロスフレームの端部にこの順で連結され、後端部が前記リヤロアフレームに連結され、
前記センターフレームの後端部は、前記左右一対の中央ロアフレームよりも内側位置で前記第2ロアクロスフレームに連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項7】
円形断面を呈する前記フロントロアフレームの剛性は、角形断面を呈する前記中央ロアフレームの剛性よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項8】
前記フロントバンパーの下方に、前記左右一対のフロントロアフレームによって支持され、前記フロントバンパーと前記フロントバンパー支持パイプをともに支持するフロントバンパー下部取付部が設けられ、
前記フロントバンパー下部取付部の剛性は、前記フロントバンパー支持パイプの剛性よりも小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項9】
前記フロントバンパ支持パイプは、車両の長手方向でねじを介して前記車体に締結されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項10】
前記フロントアッパーフレームの後端部に、車両幅方向に延びており角形断面を呈する第1アッパークロスフレームが連結され、この第1アッパークロスフレームの剛性は、前記フロントアッパーフレームの剛性よりも大きいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項11】
前記中央ロアフレームと前記第2ロアクロスフレームの間に補強部材が掛け渡されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項12】
前記フロントロアフレームと前記フロントサブパイプの間に、フロントサブ起立パイプが設けられ、
車両側面視で、前記フロント最終減速機とステアリング軸の回転を車両幅方向の往復運動に変換するステアリングボックスとを囲うように、前記フロントロアフレーム、前記フロントアッパーフレーム、前記フロントサブパイプおよび前記フロントサブ起立パイプが配置され、
車両側面視で、前記フロント最終減速機の下方に前記フロントロアフレームが配置され、前記フロント最終減速機の入力部の上部に設けられている凹部に接近して配置されている前記ステアリングボックスの上方に、前記フロントサブパイプが配置されていることを特徴とする請求項4〜11のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【請求項13】
前記ステアリングボックスから前記前輪へ延ばされているタイロッドと、前記フロントサブパイプから前記前輪に延ばされている上部サスペンションアームとが、車両正面視で、重なるように配置され、
前記フロントサブパイプから下方へ前輪サスペンションアーム取付部の構成部材としてのアームブラケットを延ばし、このアームブラケットに、前記上部サスペンションアーム、上部サスペンションアームの基部を連結するようにしたことを特徴とする請求項4〜12のいずれか1項記載の車両のフレーム構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−46242(P2011−46242A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194854(P2009−194854)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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