説明

車両環境サービスシステム

【課題】発展性に優れた車両環境サービスシステム。
【解決手段】車載情報端末と、センターに配設されるセンターサーバーと、ユーザに対して各種サービスを提供する提携サービス事業者によって管理される事業者端末とを有する車両環境サービスシステムであって、前記車載情報端末と事業者端末とは、直接又はセンターサーバーを介して通信可能に構成されており、前記車載情報端末又はセンターサーバーは、ユーザ毎に、所定基準に基づいて、安全運転及び/又は環境運転を行っているか否かを判定し、判定結果に応じて、付与するポイント数を算出するポイント算出手段を有し、前記センターサーバーは、ユーザ毎に、付与されたポイント数を累計して総ポイント数を管理するデータベースを有し、前記事業者端末は、前記データベース内の所定のポイント数と引き換えに所定のサービスを提供するサービス提供手段と、提携サービス事業者に関する広告配信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載情報端末と、センターに配設されるセンターサーバーと、ユーザに対して各種サービスを提供する提携サービス事業者によって管理される事業者端末とを有する車両環境サービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の走行履歴に関する車両走行情報を車載情報端末装置よりサーバに受信し、サーバによって受信した車両走行情報を用いて車両の走行状況を判断し、判断結果に応じて付与すべき賞罰を演算し、演算した賞罰に関する賞罰ポイントを記録保持することを特徴とする車両走行情報管理方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。演算した賞罰ポイントは、保険契約料や電子商取引決済等にてユーザに還元されている。
【0003】
また、エコドライブ評価装置と、前記エコドライブ評価装置によるエコドライブ評価の結果に応じて当該エコドライブ評価の対象となった車両を利用するユーザに特典を付与する特典付与サーバを備えたエコドライブ評価システムであって、前記エコドライブ評価装置は、モニタ装置によって計測される車両に係る物理量から当該車両がアイドリング・ストップ状態であるか否かを検出する検出手段と、一定期間における前記検出手段による検出結果に基づいてエコドライブ評価を行う評価手段と、前記エコドライブ評価の結果を示すエコドライブ評価情報に前記車両を利用するユーザの識別情報を付加して前記特典付与サーバへ送信する送信手段とを具備し、前記特典付与サーバは、前記エコドライブ評価装置から通信ネットワークを介して前記エコドライブ評価情報を受信する受信手段と、車両を利用するユーザの識別情報と累積ポイント数とを対応づけて記憶する記憶手段と、前記エコドライブ評価情報に基づいて特典ポイント数を求め、求めた特典ポイント数に応じて前記エコドライブ評価情報に付加されたユーザの識別情報に対応する前記累積ポイント数を更新する制御手段とを具備することを特徴とするエコドライブ評価システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。累積ポイント数は、燃料や景品等にてユーザに還元されている。
【0004】
その他、同様の関連技術が知られている(特許文献3〜5参照)。
【特許文献1】特開2002−230696号公報
【特許文献2】特開2005−16443号公報
【特許文献3】特開2003−178343号公報
【特許文献4】特開2004−234260号公報
【特許文献5】特開2002−189792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の各特許文献に記載の構成では、発展性に乏しくユーザに対する総合サービスとして不満が残る。また、提携サービス事業者にとってもサービスを供給することにより得られる利益が乏しく、新たなサービス事業者の提携が促進されず、提携サービス事業者とユーザの双方にとってメリットのあるシステムになっていない。
【0006】
そこで、本発明は、発展性に優れ、提携サービス事業者とユーザの双方にとってメリットのある車両環境サービスシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明は、車両に搭載される車載情報端末と、センターに配設されるセンターサーバーと、ユーザに対して各種サービスを提供する提携サービス事業者によって管理される事業者端末とを有する車両環境サービスシステムであって、
前記車載情報端末又はセンターサーバーは、ユーザ毎に、所定基準に基づいて、安全運転及び/又は環境にやさしい環境運転を行っているか否かを判定し、判定結果に応じて、付与するポイント数を算出するポイント算出手段を有し、
前記センターサーバーは、ユーザ毎に、付与されたポイント数を累計して総ポイント数を管理するデータベースを有し、
前記事業者端末は、前記データベース内の所定のポイント数と引き換えに所定のサービスを提供するサービス提供手段と、提携サービス事業者に関する広告情報を生成する広告生成手段とを有し、
前記車載情報端末は、前記事業者端末から直接又はセンターサーバーを介して前記広告情報を受信する手段を備えることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
運転の熟練度ないし運転技術に関する指標となる運転習熟度をユーザ毎にデータベース化し、運転習熟度に応じて前記ポイント算出手段におけるポイント算出方法を変化させることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1又は2の発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
ユーザが所有する車両に装備された安全運転機能又は環境運転機能をユーザ毎にデータベース化し、安全運転機能又は環境運転機能の装備状況に応じて前記ポイント算出手段におけるポイント算出方法を変化させることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
車両の外部環境に応じて前記ポイント算出手段におけるポイント算出方法を変化させることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
ポイント獲得のための運転アドバイスを提示する運転アドバイス提示手段を車両側に有することを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
ポイント獲得のための運転アドバイスは、ポイントが獲得可能な状況下で前記所定基準を満たさずにポイントが獲得されなかったポイント獲得機会逸失時に、提示されることを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、第1〜5のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
ポイント獲得のための運転アドバイスは、ポイントが獲得可能な状況下で前記所定基準を満たさずにポイントが獲得されなかったポイント獲得機会逸失時の回数又は頻度が所定基準値を超えた場合に、提示されることを特徴とする。
【0014】
第8の発明は、第1〜7のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
環境運転に起因したポイントが付与されているにも拘らず、車両の燃費が改善していないと判断した場合に、車両の診断を行うように案内を提示する案内手段を車両側に有することを特徴とする。
【0015】
第9の発明は、第1〜8のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
過去の運転履歴からポイントが付与されやすい経路を優先的に選定して経路案内を行う経路案内手段を車両側に有することを特徴とする。
【0016】
第10の発明は、第1〜9のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
サービスの利用可能な提携サービス事業者の施設に車両が接近した場合、又は、車両の案内経路上に該施設が存在する場合に、該施設で利用可能なサービスの案内を行うサービス案内手段を車両側に有することを特徴とする。
【0017】
第11の発明は、第10の発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
前記サービス案内手段は、ユーザの嗜好に適合したサービスを他のサービスよりも優先して案内することを特徴とする。
【0018】
第12の発明は、第1〜11のいずれかの発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
POI(Point Of Interest)情報を提示する際に、提携サービス事業者に関する情報を優先するPOI情報提示手段を車両側に有することを特徴とする。
【0019】
第13の発明は、第12の発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
POI情報提示手段は、ユーザへのサービス提供実績のある提携サービス事業者に関する情報を優先して提示することを特徴とする。
【0020】
第14の発明は、第1の発明に係る車両環境サービスシステムにおいて、
前記センターサーバーは、前記車載情報端末の各ユーザに関する情報を収集して蓄積する個人情報データベースを備え、
前記広告生成手段は、前記センターサーバーとの通信を介して、個人情報データベース内の情報を参照して、前記広告情報を生成することを特徴とする。これにより、提携サービス事業者は、個人情報データベース内の個人情報を利用して、顧客(ユーザ)の趣味等に適合した効率的な広告活動を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発展性に優れ、提携サービス事業者とユーザの双方にとってメリットのある車両環境サービスシステムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を幾つかの実施例に分けて行う。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明による車両環境サービスシステムの実施例1を示すシステム構成図である。本実施例の車両環境サービスシステム10は、車両に搭載される車載情報端末201と、センターに配設されるセンターサーバー301と、ユーザに対して各種サービスを提供する提携サービス事業者によって管理される事業者端末401とを有する。事業者端末401は、提携サービス事業者毎に設けられ、複数存在してよい。センターサーバー301は、複数のサーバーにより構成されてもよいが、この場合も、機能的に協働して1つのセンターサーバー30として機能する。
【0024】
提携サービス事業者は、図1に示すように、店舗501を備える。店舗501は、対応する提携サービス事業者の提供するサービスに依存して、多様な形態をとりうる。例えば、提携サービス事業者が飲食物を提供する事業者の場合、ユーザが直接出入りする形態の店舗501を備える。一方、提携サービス事業者が動画や音楽などをインターネット等の電気通信回線を介して配信する事業者の場合、ユーザが直接出入りする形態で無い店舗501を備える。この場合、店舗501は、事業者端末401と機能的に一体化されたものであってもよい。
【0025】
車載情報端末201と事業者端末401とは、直接又はセンターサーバー301を介して通信可能に構成されている。図1に示す例では、車載情報端末201と事業者端末401とは、センターサーバー301を介して通信可能に構成されている。また、ユーザ(運転者)は、自己が所有する携帯電話601を介して、センターサーバー301又は事業者端末401との間で、以下で説明する各種情報のやりとりに必要な通信を行うこともできる。
【0026】
車載情報端末201は、ナビゲーション装置として具現化されてよい。車載情報端末201は、ハードウェア構成としては、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータと、通信モジュールとから構成されている。
【0027】
車載情報端末201は、図1に示すように、自車位置検出部202、ポイント計算部203、通信部204、環境運転判定部205、地図データベース206、安全運転判定部207、及び、情報管理部208を有する。
【0028】
センターサーバー301は、図1に示すように、ネットワークゲートウェイ302、情報管理部305、ポイントデータベース303及び個人情報データベース304を有する。
【0029】
事業者端末401は、サービス利用処理部402、ポイント設定部403及びレコメンド処理部404を有する。
【0030】
以下では、先ず、車両側に構成について詳細に説明する。
【0031】
地図データベース206には、地図データが格納されている。地図データには、通常的なものと同様、道路分岐点(交差点)に対応するノードの座標情報、高速道路の合流点/分岐点に各々対応する各ノードの座標情報、隣接するノードを接続するリンク情報、各リンクに対応する道路の幅員情報、各リンクに対応する国道・県道・高速道路等の道路種別、各リンクの通行規制情報等の各種道路情報が含まれている。また、道路情報としては、各リンクの制限速度、一時停止線、駐車禁止区域、信号機の有無、踏み切りの有無、追い越し禁止区間、一方通行、スクールゾーン、Uターン禁止、事故多発時点情報等を含んでよい。地図データベース206内の地図データは、図1に示すように、主に安全運転判定部207で利用される。また、地図データベース206には、観光地や各種施設に関する情報を含むPOI(Point Of Interest)情報が格納されている。
【0032】
自車位置検出部202には、GPSアンテナが接続されている。自車位置は、GPS受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号に基づいて測位・演算される。測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよい。この際、自車位置は、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機及びFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてよい。例えば、相対測位の1つであるD-GPS(Differential GPS)では、自車位置は、4個以上のGPS衛星からの距離を算出することで単独測位され、次いで、既知点に設置された受信機(基準局)から供給されるGPS補正データに基づいて補正される(いわゆるディファレンシャル補正:2つの点で受信されるGPS信号には同一の誤差が含まれるという仮定の下で、誤差を差し引いて測位精度を上げるもの。)。尚、GPS補正データは、例えば全国に複数設置される基準局から周期的(例えば5秒周期)にFM多重により放送され、車両のFM多重受信機で受信される。自車位置は、また、公知のマップマッチング技術により、不定期的に、地図データベース206内の地図データを用いて適宜補正されよい。例えば、自車位置の軌跡(走行軌跡)と地図データの道路形状の比較が行われ、その際に応じて自車位置が道路上の点に来るように補正される。このようにして導出される自車位置は、演算周期毎に、主に安全運転判定部207及び情報管理部208に供給される。
【0033】
情報管理部208は、例えば車内カメラによる個人識別結果やID照合または生体情報の照合等に基づいて、現在の運転者を識別し、運転者(ユーザ)毎に、運転者情報を管理する。運転者情報は、運転者に関する基本情報(年齢、住所、所有車の車種、排気量や各種装備等に関する情報、嗜好情報)を含む。また、情報管理部208は、運転者がナビゲーション装置で設定した目的地や登録時点を把握して、運転者情報として管理する。また、情報管理部208は、運転者が頻繁に出かける地域・場所・施設を把握し、運転者情報として管理する。情報管理部208は、通信部204を介して、運転者情報をセンター(正確には、センターサーバー301)に送信する。また、情報管理部208は、通信部204を介して、自車位置検出部202により検出された自車位置情報や、後述のポイント計算部203で計算されたポイント数に関するポイント情報を、通信部204を介してセンターサーバー301に送信する。尚、自車位置情報は、定期的に送信されてよく、ポイント情報については、ポイントが付与される毎にセンターサーバー301に送信されてもよいし、1トリップ(1Trip;イグニッションオンからオフまでの区間)毎にセンターサーバー301に送信されてもよい。
【0034】
環境運転判定部205及び安全運転判定部207には、車両情報収集手段101が接続されている。車両情報収集手段101には、CAN(controller area network)などの適切なバスを介して、車両内の各種の電子部品(センサやECU)が接続される。車両情報収集手段101は、これら各種の電子部品との通信を介して、各種車両情報を取得する。
【0035】
安全運転判定部207には、車両情報収集手段101から安全運転に関わる車両情報が供給される。安全運転に関わる車両情報は、例えば図1に示すように、車輪速センサから得られる車速情報、ウインカーの操作に関する情報、車間距離情報、ソナー、レーダー又はカメラにより取得可能な周辺情報(他車接近、障害物検知)、或いは、車内カメラ等により取得可能なわき見等の情報を含んでよい。
【0036】
安全運転判定部207は、随時供給される自車位置情報や安全運転に関わる車両情報に基づいて、運転者が安全運転を行っているか否かを判定し、判定結果をポイント計算部203に対して出力する。ポイント計算部203は、安全運転度合いに応じてポイント換算を行う。ポイント計算部203は、好ましくは、例えば車内カメラによる個人識別結果やID照合または生体情報の照合等に基づいて、現在の運転者を識別し、運転者(ユーザ)毎にポイントを付与する。ポイント計算部203により付与されたポイント数(ポイント情報)は、センターサーバー301に送信され、センターサーバー301のポイントデータベース303にて管理される。
【0037】
図2は、安全運転判定部207及びポイント計算部203によって実現される安全運転に起因したポイントの付与方法の一例を示す表図である。
【0038】
ポイントの付与方法は、図2に示すように、判定項目毎に、現在の車両の使用態様等に応じた付与ポイント数がマップ化されてよい。現在の車両の使用態様は、図2に示す例では、通勤(往復)、休日の買い物(往復)、日用品の買い物(往復)、日帰りレジャー(往復)及び一泊旅行(往復)からなる。
【0039】
安全運転に係る判定項目は、図2に示すように、車間距離、スピード遵守、シートベルト、安全装備、運転疲労等を含んでよい。例えば車間距離に関して、速度に応じた適正な車間距離が一定時間保たれた場合には、適正な車間距離が保たれた時間に応じて、3分毎に所定のポイント数が付与される。例えば、通勤時に、3分間適正な車間距離を保った安全な運転が実行された場合、ポイント計算部203は、図2に示すように、1ポイントを付与する。同様に、例えば、日帰りレジャー時に、適正な法定速度範囲内の車速が5分間保たれた場合、ポイント計算部203は、図2に示すように、2ポイントを付与する。同様に、例えば、渋滞中等に低速で適正な車間距離を自動的に維持する渋滞追従機能、走行レーンからの逸脱を防止するレーンキープアシスト機能、赤外線カメラを用いたナイトビュー機能、ヘッドライト等の光軸を可変制御するAFS機能を装備する車両において、一泊旅行時に、これらの安全機能を作動させた場合には、ポイント計算部203は、8ポイントを付与する。以下、このようにして安全運転に係る判定条件を満たすことで付与されるポイントを「安全ポイント」ともいう。
【0040】
環境運転判定部205には、車両情報収集手段101から、環境にやさしい運転(環境運転)に関わる車両情報が供給される。環境運転に関わる車両情報は、例えば図1に示すように、アクセル開度情報(又はスロットル開度情報)、ブレーキ操作に関する情報、燃費情報等を含んでよい。
【0041】
環境運転判定部205は、環境運転に関わる車両情報に基づいて、運転者が環境運転を行っているか否かを判定し、判定結果をポイント計算部203に対して出力する。ポイント計算部203は、環境運転度合いに応じてポイント換算を行う。ポイント計算部203は、好ましくは、例えばカメラやIDまたは生体情報の照合等に基づいて、現在の運転者を識別し、運転者(ユーザ)毎に、ポイント付与する。ポイント計算部203により付与されたポイント数(ポイント情報)は、センターサーバー301に送信され、管理される。
【0042】
図3は、環境運転判定部205及びポイント計算部203によって実現される環境運転に起因したポイントの付与方法の一例を示す表図である。
【0043】
環境運転に起因したポイントの付与方法についても、同様に、図3に示すように、判定項目毎に、現在の車両の使用態様等に応じた付与ポイント数がマップ化されてよい。
【0044】
環境運転に係る判定項目は、図2に示すように、アイドリング時間、Bレンジの使用、積載量、エアコン設定温度、自車位置通知を含んでよい。例えばアイドリング時間に関して、アイドリング時間が5分以内であった場合には、ポイント計算部203は、図3に示すように、2ポイントを付与する。また、例えば、Bレンジなるレンジが設定されたハイブリッド車の場合、休日の買い物時に、減速時にBレンジが使用された場合には、ポイント計算部203は、図3に示すように、2ポイントを付与する。尚、Bレンジは、燃費特性と運転性能を最大限に発揮できるような変速制御が行われる通常的なDレンジ(ドライブレンジ)に対して、変速領域がより減速側に設定されたレンジをいう。Bレンジにおいてアクセルオフの状態ではモータジェネレータによる回生制動力が得られる。このとき、モータジェネレータがジェネレータとして機能して、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換されてHVバッテリーに貯えられる。また、日用品の買い物時に、自車位置検出部202により生成された自車位置情報が所定の周期毎にセンターサーバー301に送信されている場合には、ポイント計算部203は、図3に示すように、1ポイントを付与する。これは、当該車両がプローブカーとして機能し、渋滞等を未然に防止して環境運転に寄与できるからである。尚、自車位置情報はプライバシーに関わるので、運転者は、例えば操作スイッチにより選択的に送信許可又は送信不可にすることができる。尚、適性の空気圧で走行したか否かの判定条件については、空気圧センサを搭載する車両に対してのみ適用されてよい。また、基準燃費については、車種毎に予め設定されていてもよいし、同一車種の多数の車両から得られる車両情報に基づいて随時学習されるものであってもよい。
【0045】
同様に、図3には示されていないが、VVT(連続可変バルブタイミング機構)を有する車両の場合、加速時に、VVTに対する進角要求(インテークバルブの閉じタイミングが通常時に比して早められる)が出されない場合、所定のポイントが付与されてもよい。また、同様に、図3には示されていないが、ハイブリッド車の場合、ブレーキ作動時に、規定車速以上で油圧ブレーキ(ブレーキアクチュエータ)が作動しなかった場合、所定のポイントが付与されてもよい。この場合、回生エネルギとして回収すべき車両の運動エネルギが熱エネルギ(摩擦熱)に変換されてしまうことが防止されるためである。以下、このようにして環境運転に係る判定条件を満たすことで付与されるポイントを「環境ポイント」ともいう。
【0046】
次に、センター側に構成について詳細に説明する。
【0047】
情報管理部305は、上述の如く車両側の車載情報端末201からネットワークゲートウェイ302を介して取得する各種情報(運転者情報やポイント情報等)を管理し、当該各種情報に基づいて、ポイントデータベース303及び個人情報データベース304を構築及び更新する。また、情報管理部305は、後述の如く事業者端末401からネットワークゲートウェイ302を介して取得する各種情報(後述の広告情報やポイント利用情報等)を管理し、事業者端末401からの情報を基に、必要に応じて、ポイントデータベース303内のデータを更新したり、事業者端末401からの広告情報等を車載情報端末201に、ネットワークゲートウェイ302を介して発信したりする。尚、各提携サービス事業者から供給される各種情報は、提携サービス事業者毎に、データベース化されてよい。
【0048】
図4は、ポイントデータベース303に格納されるデータの一例を示す図である。ポイントデータベース303には、ユーザ毎に、現在のポイント状況を示すデータが格納されている。尚、図4に示す例では、4人のユーザのみについて代表的に示しているが、実際には多数のユーザのデータが格納されている。図4に示す例では、ポイントデータベース303のデータは、現在の総ポイント数を含む。ポイントデータベース303内の総ポイント数は、各ユーザに対して、定期的に送信されてもよいし、運転者からのリクエスト(例えば携帯電話601からのリクエスト)に応じて供給されてもよい。これより、各運転者は、定期的又は所望のときに、現在の自己の総ポイント数を知ることができる。
【0049】
図5は、個人情報データベース304に格納されるデータの一例を示す図である。個人情報データベース304には、ユーザ毎に、個人情報が格納されている。尚、図5に示す例では、4人のユーザのみについて代表的に示しているが、実際には多数のユーザのデータが格納されている。また、図5では、説明上、データの内容は、文字で表されているが、実際には、デジタルデータ(ビット列)で表される。
【0050】
図5に示す例では、個人情報データベース304のデータは、運転者の運転レベル(スキルレベル)を示す情報、所有する車両の型や装備等を示す基本情報、運転者の趣味、運転者の良く行くレストラン、運転者の主たる行動場所、運転者の良く行く場所及び広告の要否が含まれている。広告の要否は、各提携サービス事業者からの広告の配信について必要か否かの運転者の意思を示す情報である。車両の基本情報及び運転者の趣味、及び広告の要否に関するデータについては、運転者の入力情報に基づいて生成されてよく、それら以外の事項については、車載情報端末201から随時取得される運転者情報に基づいて、学習により生成されてよい。
【0051】
次に、提携サービス事業者側に構成について詳細に説明する。以下、一の提携サービス事業者Aに関する構成について説明するが、他の提携サービス事業者に関する構成についても同様であってよい。ここでは、提携サービス事業者Aは、サービスA1とサービスA2を提供する事業者であるとする。サービスとは、サービス自体を通常時よりも安く提供すること、或いは、サービスに通常時よりも高い付加価値を付けることを含む。例えば、提携サービス事業者Aがレンタカーサービスを行う事業者である場合、サービスA1は使用する車種のグレードアップであってよく、サービスA2は利用時間の延長サービスであってよい。
【0052】
ポイント設定部403は、サービスA1、A2を利用するのに必要なポイント数を決定・設定する。サービスA1、A2を利用するのに必要なポイント数は、サービスA1、A2の特性ないし素性にも依存するが、為替のように日々変動するものであってもよいし、一定期間変動しない固定値であってもよい。サービスA1、A2を利用するのに必要なポイント数に関する情報は、定期的にユーザに送付される情報紙やインターネットのWebページで閲覧可能にされてもよいし、後述の広告情報と共に車載情報端末201に送信されて運転者に提示されてもよい。
【0053】
サービス利用処理部402は、ユーザ(運転者)から例えばサービスA1を利用したい旨の申出を受けると、センターサーバー301の情報管理部305に対して、現在の当該ユーザの総ポイント数を問い合わせする。これを受けて、センターサーバー301の情報管理部305は、ポイントデータベース303に格納されるデータから、当該ユーザの総ポイント数を取り出し、サービス利用処理部402に供給する。サービス利用処理部402は、サービスA1を利用するのに必要なポイント数が、当該ユーザの総ポイント数の範囲内であれば、承諾のメッセージを、センターサーバー301を介して若しくは直接的に車載情報端末201に発信する。これと同時に、サービス利用処理部402は、必要に応じて、その支配下にある店舗501に対して、当該ユーザにサービスA1を利用してもらうように通達する。尚、例えば、提携サービス事業者Aが音楽配信サービスを行う事業者であり、サービスA1がある楽曲の無料配信である場合、サービス利用処理部402は、承諾のメッセージに代えて若しくはそれと共に、当該楽曲のデータを、センターサーバー301を介して若しくは直接的に車載情報端末201に送信してもよい。
【0054】
サービス利用処理部402は、サービスの契約が成立した(承諾のメッセージが発信された)場合、当該サービスの提供によって減算されるべきポイント数を、センターサーバー301に対して送信する。これを受けて、センターサーバー301の情報管理部305は、ポイントデータベース303内における当該運転者の総ポイント数から、サービスの利用によって消費したポイント数を、減算する。尚、実際の総ポイント数の減算は、サービスの利用が実際に行われた際に実現されてもよい。
【0055】
レコメンド処理部404は、サービスA1、A2をより多くの運転者に利用してもらえるように、必要な広告情報を生成・配信する。広告情報は、例えば期間限定のポイント交換率割引のお知らせや、新たなサービスの追加のお知らせの類であってよい。レコメンド処理部404は、広告の配信を許可してくれた運転者(ユーザ)の車載情報端末201又は携帯電話601に、直接的に広告情報を配信してもよいし、センターサーバー301を介して運転者側に配信してもよい。後者の場合、センターサーバー301の情報管理部305は、個人情報データベース304を参照して、当該広告情報の配信を許可している運転者(例えば図5に示した例では、ユーザIDが000001の運転者)に対してのみ、当該広告情報を配信する。また、レコメンド処理部404は、個人情報の利用を許可してくれたユーザに限り、センターサーバー301の個人情報データベース304を参照して、当該ユーザの嗜好ないし好みに適合した広告情報を生成し、当該ユーザに向けて送信してもよい。この場合、個人情報の利用を許可したユーザにとっては、自己の個人情報を提携サービス事業者に提供することに対する対価として、自己の嗜好ないし好みに合致した有用な広告情報を効率的に得ることができる。一方、提携サービス事業者にとっても、ポイント還元のために一サービス当たりの利幅が通常よりも小さくなる対価として、本システムを介して自己のサービスの各種広告を行うことができ、また、個人情報データベース304を参照して、所望するユーザに関する情報を享受することができ、独自の広告展開を行うことができる。例えば個人情報データベース304を参照して、自己のサービスに興味のあるユーザに対してのみ広告を配信することで、広告の費用対効果を上げることができる。また、個人情報データベース304を参照して、ユーザの嗜好や好みの傾向や変化等をいち早くつかみ、それに応じてサービス内容等を変更することもできる。
【0056】
次に、上述の車両環境サービスシステム10において適用されてよいポイント計算部203によるポイント算出方法について説明する。
【0057】
ポイント計算部203は、運転者のスキルレベルに応じて、ポイント算出方法を変化させてよい。例えば、ポイント計算部203は、運転者のスキルレベルが高い場合、運転者のスキルレベルが低い場合よりも、安全運転に関する判定基準の一部の基準を緩やかに適用する。ポイント計算部203は、センターサーバー301との通信を介して、センターサーバー301の個人情報データベース304のデータ(スキルレベル)を参照することで、運転者のスキルレベルを判断してよい。例えば、運転者のスキルレベルが低い場合には、車間距離に関する判定条件が、車速100km/hで適正な車間距離が100m以上とされるに対して、運転者のスキルレベルが高い場合には、車速100km/hで適正な車間距離が80m以上とされる。但し、シートベルト等のスキルレベルに関係のない判定条件については、変化されない。
【0058】
或いは、ポイント計算部203は、スキルレベルが低い運転者に対しては、所定の安全ポイント数を獲得した際、ボーナスポイントを付与してもよい。このように、運転者のスキルレベルに応じてポイント付与方法を変化させることで、スキルレベルの個人差を適切に補償することができる。
【0059】
また、ポイント計算部203は、車両に装備されている機能に応じて、ポイント算出方法を変化させてもよい。ポイント計算部203は、センターサーバー301との通信を介して、センターサーバー301の個人情報データベース304内のデータ(車両の基本情報)を参照することで、車両に装備されている各種機能を判断してよい。ポイント計算部203は、例えばハイブリッド車両の回生機能やオートクルーズ機能等のように環境運転や安全運転に有利な機能が車両に装備されていない車両の運転者に対しては、かかる機能が装備されている車両の運転者に対してよりも、環境運転又は安全運転に関する判定基準の一部の基準を緩やかに適用する。これは、かかる環境運転又は安全運転に有利な機能が車両に装備されていない車両の場合、その分だけ高いスキルないし労力が環境運転又は安全運転の判定基準を満たすのに必要とされるので、それに見合ったポイントを付与するのが合理的であるからである。例えば、アイドルストップ機能が装備されていない車両の運転者が、一時停車時に自主的にエンジンを停止させている場合には、例えば環境ポイントして、1トリップに付き1ポイントのボーナスポイントを付与してもよい。同様に、例えば自動追従制御機能が装備されていない車両の運転者が、適正な車間距離を一定時間維持した場合には、1トリップに付き1ポイントのボーナスポイントを付与してもよい。このように、車両に装備されている機能に応じてポイント付与方法を変化させることで、車両間の機能差を適切に補償することができる。
【0060】
また、ポイント計算部203は、車両の外部環境に応じて、ポイント算出方法を変化させてもよい。ポイント計算部203は、センターサーバー301との通信を介して、センターサーバー301の個人情報データベース304内のデータ(主たる行動場所)を参照することで、車両の外部環境を判断してよい。或いは、ポイント計算部203は、車両情報収集手段101から得られる情報に基づいて、車両の外部環境を判断してよい。例えば、レインセンサや日射センサにより気象状況を判断してもよいし、車車間通信又は路車間通信(センターとの通信を含む)を介して得られる渋滞情報や前方カメラによる外部認識結果に基づいて、車両の流れ(渋滞度合い)を判断してもよいし、地図データベース206内の地図データや加速度センサ等に基づいて、勾配を判断してもよいし、各輪の車輪速センサに基づいて、路面摩擦係数(路面凍結状態)を判断してもよい。ポイント計算部203は、環境運転や安全運転に有利な外部環境においては、環境運転や安全運転に不利な外部環境においてよりも、環境運転又は安全運転に関する判定基準の一部の基準を緩やかに適用する。これは、かかる環境運転又は安全運転に不利な環境下では、その分だけ高いスキルないし労力が環境運転又は安全運転の判定基準を満たすのに必要とされるので、それに見合ったポイントを付与するのが合理的であるからである。例えば急な上り勾配の多い外部環境においては、平坦な道路が多い外部環境においてよりも、燃費評価に用いる基準燃費を低く補正してもよい。同様に、路面が凍結している外部環境において安全ポイント獲得があった場合に、1トリップに付き1ポイントのボーナスポイントを付与してもよい。このように、車両周辺の外部環境に応じてポイント付与方法を変化させることで、各運転者の行動範囲等の相違に起因した外部環境の相違を適切に補償することができる。
【0061】
また、本実施例において、ポイント計算部203で用いられるポイント計算方法(計算ロジック)は、例えばセンターサーバー301から配信されることで、各車両において共通のものが用いられる。ポイント計算部203で用いられるポイント計算方法は、書き換え可能なメモリに保持され、センターサーバー301は、ポイント計算方法の変更等が生じた場合には、各車両側に最新のポイント計算方法を配信する。
【実施例2】
【0062】
実施例2は、主に、ポイントの効率的な獲得等のために運転者に対して適切なアドバイス等を適切なタイミングで出力する構成に関する。以下、上述の実施例1と同様の構成については、同様の参照符号を付して、説明を省略する。
【0063】
図6は、本発明による車両環境サービスシステム10’の実施例2を示すシステム構成図である。図6は、車載情報端末201’の主要構成を示す機能ブロック図である。図6に示す構成では、車載情報端末201’は、図1に示した車載情報端末201の構成に加えて、情報出力制御部210を更に有する。情報出力制御部210は、情報出力装置212を介して各種情報をユーザ(運転者)に提示する。情報出力装置212は、映像により各種情報を出力するためのディスプレイであってもよいし、音声により各種情報を出力するためのスピーカーであってもよいし、その双方であってもよい。
【0064】
安全運転判定部207’は、随時供給される自車位置情報や安全運転に関わる車両情報に基づいて、運転者が安全運転を行っているか否かを判定し、判定結果をポイント計算部203に対して出力する。ポイント計算部203は、安全運転度合いに応じてポイント換算を行う。ポイント計算部203は、好ましくは、例えば車内カメラによる個人識別結果やID照合または生体情報の照合等に基づいて、現在の運転者を識別し、運転者(ユーザ)毎に、ポイントを付与する。ポイント計算部203により付与されたポイント数(ポイント情報)は、センターサーバー301’に送信され、センターサーバー301’のポイントデータベース303’にて管理される。ポイント計算部203による安全ポイントの計算方法は上述の実施例1と同様であってよい。
【0065】
また、安全運転判定部207’は、随時供給される自車位置情報や安全運転に関わる車両情報に基づいて、安全運転に係る判定条件が満たすことが可能であった場面において、当該判定条件が満たされなかった時(ポイント獲得機会逸失時)を判定する。尚、このポイント獲得機会逸失時の判定は、判定項目の特性に応じて、適切な段階で実行されてよい。例えば、シートベルトに関する判定条件は、1トリップ毎に1回、例えば走行開始の場面で判定され、一時停止に関する判定条件は、信号機の無い一時停止位置が検出される場面毎に判定されてよい。安全運転判定部207’は、1トリップ毎に1回、送信部204を介して、ポイント獲得機会逸失時の回数を、ポイント情報と共にセンターサーバー301’に送信してよい。
【0066】
環境運転判定部205’は、環境運転に関わる車両情報に基づいて、運転者が環境運転を行っているか否かを判定し、判定結果をポイント計算部203に対して出力する。ポイント計算部203は、環境運転度合いに応じてポイント換算を行う。ポイント計算部203は、好ましくは、例えばカメラやIDまたは生体情報の照合等に基づいて、現在の運転者を識別し、運転者(ユーザ)毎に、ポイント付与する。ポイント計算部203により付与されたポイント数(ポイント情報)は、センターサーバー301’に送信され、センターサーバー301’のポイントデータベース303’にて管理される。ポイント計算部203による環境ポイントの計算方法は上述の実施例1と同様であってよい。
【0067】
また、環境運転判定部205’は、環境運転に関わる車両情報に基づいて、環境運転に係る判定条件が満たすことが可能であった場面において、当該判定条件が満たされなかった時(ポイント獲得機会逸失時)を判定する。尚、このポイント獲得機会逸失時の判定は、判定項目の特性に応じて、適切な段階で実行されてよい。例えば、適性の空気圧で走行したか否かについては、1トリップ毎に1回、例えば走行開始の場面で判定され、減速時のBレンジの使用に関する判定条件については、Bレンジの使用に適した減速場面毎に判定されてよい。
【0068】
図7は、センターサーバー301’のポイントデータベース303’に格納されるデータの一例を示す図である。ポイントデータベース303’には、ユーザ毎に、現在のポイント状況を示すデータが格納されている。尚、図7に示す例では、4人のユーザのみについて代表的に示しているが、実際には多数のユーザのデータが格納されている。図7に示す例では、ポイントデータベース303’のデータは、現在の総ポイント数、環境ポイントの獲得状況を示す指標(環境ポイント獲得率)、及び、安全運転の獲得状況を示す指標(安全ポイント獲得率)を含む。
【0069】
環境ポイント獲得率は、環境運転に係る判定条件が満たれた場面の数を、環境運転に係る判定条件が満たすことが可能であった場面の総数で除した値である。従って、環境運転を心がけているユーザほど、環境ポイント獲得率が高くなりやすい。同様に、安全ポイント獲得率は、安全運転に係る判定条件が満たれた場面の数を、安全運転に係る判定条件が満たすことが可能であった場面の総数で除した値である。従って、安全運転を心がけているユーザほど、安全ポイント獲得率が高くなりやすい。環境ポイント獲得率及び安全ポイント獲得率は、それぞれ、車両側の車載情報端末201における環境運転判定部205及び安全運転判定部207にて評価・算出され、センターサーバー301に供給されてもよい。
【0070】
次に、以上の基本的な構成を前提として、本実施例による情報出力制御部210により実現される情報出力制御について、各種説明していく。
【0071】
図8は、情報出力制御部210により実現される情報出力制御の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理ルーチンは、例えばイグニッションスイッチがオンにされた際に起動されて、イグニッションスイッチがオフにされるまで繰り返しに実行されてよい。
【0072】
ステップ100では、情報出力制御部210は、安全運転判定部207’及び環境運転判定部205’による判定結果に基づいて、ポイント獲得機会逸失時が検出されたか否かを判定する。ポイント獲得機会逸失時が検出された場合には、ステップ110に進む。
【0073】
ステップ110では、情報出力制御部210は、ポイント獲得機会逸失に係る判定条件に応じた適切なアドバイスを出力する。例えば、Bレンジの使用に適した減速場面で、Bレンジを用いずに減速が実行された場合には、ポイント獲得機会逸失時が検出される。この場合、情報出力制御部210は、Bレンジの使用が燃費低減に効果的であることを知らせるアドバイスを、情報出力装置212を介して出力する。
【0074】
ステップ120では、情報出力制御部210は、必要に応じて、センターサーバー301’に、ポイント獲得機会逸失が検出されたことを通知する。この通知を受けたセンターサーバー301’の情報管理部305は、ポイントデータベース303’に格納されているデータ(環境ポイント獲得率又は安全ポイント獲得率)を更新する。
【0075】
図9は、情報出力制御部210により実現される情報出力制御のその他の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理ルーチンは、例えばイグニッションスイッチがオンにされた際に起動されて、イグニッションスイッチがオフにされるまで繰り返しに実行されてよい。尚、イグニッションスイッチがオンにされた際に、カウンタの値はゼロに初期化される。
【0076】
ステップ200では、情報出力制御部210は、安全運転判定部207’及び環境運転判定部205’による判定結果に基づいて、ポイント獲得機会逸失時が検出されたか否かを判定する。ポイント獲得機会逸失時が検出された場合には、ステップ210に進む。
【0077】
ステップ210では、情報出力制御部210は、カウンタの値を1だけインクリメントする。
【0078】
ステップ220では、情報出力制御部210は、カウンタの値が所定値を超えたか否かを判定する。カウンタの値が所定値を超えた場合には、ステップ230に進む。カウンタの値が所定値を超えない場合には、必要に応じて、センターサーバー301’に、ポイント獲得機会逸失が検出されたことを通知する(ステップ240)。
【0079】
ステップ230では、情報出力制御部210は、ポイント獲得機会逸失に係る判定条件を判断して、適切なアドバイスを出力する。この際に出力されるアドバイスは、今回の処理ルーチンで検出されたポイント獲得機会逸失に係る判定項目に応じたものであってよい。
【0080】
尚、本実施例において、カウンタは、安全ポイントの獲得機会逸失時の回数をカウントするためのカウンタと、環境ポイントの獲得機会逸失時の回数をカウントするためのカウンタと2つ用意されてもよい。この場合、何れかのカウンタの値が所定値を超えた場合には、そのカウンタに応じたアドバイスを出力することとしてもよい。例えば、環境ポイントの獲得機会逸失時をカウントするカウンタがオーバーフローした場合には、「環境運転を心がけるとポイントが効率的に貯まります」といった趣旨の一般的なアドバイスを出力することとしてもよい。
【0081】
また、本実施例において、カウンタは、一定時間或いは一定走行距離毎に、初期化されるものであってよい。これにより、例えば1泊旅行のように、1トリップの渡航時間が長い場合であっても、ポイント獲得機会逸失時の回数に代えて、ポイント獲得機会逸失時の頻度が評価されるので、渡航時間の長短を補償した適切なアドバイスの出力態様を実現することができる。
【0082】
また、本実施例において、同様の観点から、カウンタは、判定項目毎に多数用意されてもよい。この場合、カウンタは、イグニッションスイッチがオンにされた際に初期化されずに、複数のトリップに亘って値を保持してよい。この場合、情報出力制御部210は、オーバーフローしたカウンタに対応する判定項目を判断し、当該判定項目に適合したアドバイスを出力すればよい。尚、アドバイスの内容と判定項目との関係は予めマップ等の形式で保持されていてよい。
【0083】
図10は、情報出力制御部210により実現される情報出力制御のその他の一例を示すフローチャートである。
【0084】
ステップ300では、情報出力制御部210は、安全運転判定部207’及び環境運転判定部205’による判定結果に基づいて、ポイント獲得機会逸失時が検出されたか否かを判定する。ポイント獲得機会逸失時が検出された場合には、ステップ310に進む。
【0085】
ステップ310では、情報出力制御部210は、センターサーバー301’に、ポイント獲得機会逸失が検出されたことを通知する。この通知を受けたセンターサーバー301’の情報管理部305は、ポイントデータベース303’に格納されているデータ(環境ポイント獲得率又は安全ポイント獲得率)を更新する。
【0086】
本ステップ310では、情報出力制御部210は、前記通知と共に、通信部204を介して、センターサーバー301’の情報管理部305に対して、ポイントデータベース303’における更新後の環境ポイント獲得率又は安全ポイント獲得率(現在の運転者に係るデータ)を要求する。これを受けて、情報管理部305は、要求された環境ポイント獲得率又は安全ポイント獲得率を、要求元の車載情報端末201’に対して送る。
【0087】
ステップ320では、情報出力制御部210は、センターサーバー301’から供給される更新後の環境ポイント獲得率又は安全ポイント獲得率に基づいて、何れかのポイント獲得率が所定基準値以下となったか否かを判定する。ポイント獲得率が所定基準値以下となった場合には、ステップ330に進み、それ以外の場合には、今回の処理ルーチンはそのまま終了する。所定基準値は、例えば、各運転者のデータに基づく環境ポイント獲得率又は安全ポイント獲得率の平均値であり、ポイントデータベース303’に格納されているデータに基づいて算出されてよい。
【0088】
ステップ330では、情報出力制御部210は、所定基準値以下となったポイント獲得率に応じた適切なアドバイスを出力する。例えば、今回、安全運転に係るポイント獲得機会逸失時が検出され、安全ポイント獲得率が所定基準値以下となった場合には、情報出力制御部210は、「安全運転を心がけるとポイントが効率的に貯まります」といった趣旨の一般的なアドバイスを出力することとしてもよい。尚、本ステップ330の処理が一旦実行された場合には、繰り返し同様のアドバイスが出力されるのを防止するため、今回のトリップ中において同様のアドバイスの出力は禁止されることとしてよい。
【0089】
図11は、情報出力制御部210により実現される情報出力制御のその他の一例を示すフローチャートである。図11に示す処理ルーチンは、環境運転判定部205’により燃費に関する判定条件(図3の上から5番目の判定項目)が判定される際に実行されてよい。
【0090】
ステップ400では、情報出力制御部210は、環境運転判定部205’による判定結果に基づいて、今回の走行時の燃費が基準燃費以下であったか否かを判定する。即ち、情報出力制御部210は、今回のトリップで燃費に関するポイントが付与されたか否かを判断する。今回の走行時の燃費が基準燃費以下であった場合、即ちポイントが付与されなかった場合、ステップ410に進み、それ以外の場合には、そのまま終了する。
【0091】
ステップ410では、情報出力制御部210は、通信部204を介して、センターサーバー301’の情報管理部305に対して、ポイントデータベース303’における現在の運転者に係る環境ポイント獲得率(現在の運転者に係るデータ)を要求する。これを受けて、情報管理部305は、要求された環境ポイント獲得率を、要求元の車載情報端末201’に対して送る。
【0092】
ステップ420では、情報出力制御部210は、センターサーバー301’から供給された環境ポイント獲得率が所定基準値以上であるか否かを判定する。環境ポイント獲得率が所定基準値以上である場合には、ステップ430に進み、それ以外の場合には、今回の処理ルーチンはそのまま終了する。所定基準値は、各運転者のデータに基づく環境ポイント獲得率の平均値であってよいし、或いは、それよりも高い模範的な獲得率であってもよい。
【0093】
ステップ430では、情報出力制御部210は、環境ポイントを適切に獲得しているにも拘らず、車両の燃費が改善していないと判断して、「車両の自己診断又は近くのサービス施設で車両を診断してみてください」のように、車両の自己を促すアドバイスを出力する。これにより、運転者は、車両の整備不良や故障を早期に見つけて安全運転や環境運転を促進することができる。即ち、環境運転を心がけているにも拘らず燃費が向上しない事態を防止することができる。
【0094】
尚、本実施例において、環境運転判定部205’が、イグニションスイッチがオフにされた際に1度だけ、燃費に関する判定条件を判定する構成の場合、イグニションスイッチがオフにされた際に、バックアップ電源等を用いて、上記ステップ400から430の処理を実行してもよいし、或いは、今回の走行時の燃費が基準燃費以下であった場合にはフラグを設定しておき、次回のイグニションスイッチがオンになった際に、上記ステップ420から430の処理を実行することとしてもよい。
【実施例3】
【0095】
実施例3は、主に、提携サービス事業者の供するサービスの利用を促進するための構成に関する。以下、上述の実施例1、2と同様の構成については、同様の参照符号を付して、説明を省略する。
【0096】
図12は、本発明による車両環境サービスシステム10”の実施例3を示すシステム構成図である。図12は、車載情報端末201”の主要構成を示す機能ブロック図である。図12に示す構成では、車載情報端末201”は、図2に示した車載情報端末201の構成に加えて、案内ルート検索部214を更に有する。
【0097】
案内ルート検索部214は、例えばリモコンや音声認識用マイクのような入力装置216(ユーザインターフェース)を介して入力される運転者の所望の目的地に対して、適切な案内ルートを検索する。
【0098】
図13は、センターサーバー301”の個人情報データベース304”に格納されるデータの一例を示す図である。個人情報データベース304”には、ユーザ毎に、個人情報が格納されている。尚、図13に示す例では、4人のユーザのみについて代表的に示しているが、実際には多数のユーザのデータが格納されている。
【0099】
図13に示す例では、個人情報データベース304”のデータは、運転者のスキルレベルを示す情報、所有する車両の型や装備等を示す基本情報、運転者の趣味、運転者の良く行くレストラン、運転者の主たる行動場所、運転者の良く行く場所、環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点、並びに過去の利用サービス及び広告の要否が含まれている。環境ポイント獲得地点は、過去の実績として環境ポイントを獲得した場所を示す情報であり、例えば図13に示すように、道路リンク番号で管理されてよい。同様に、安全ポイント獲得地点は、過去の実績として安全ポイントを獲得した場所を示す情報であり、例えば図13に示すように、道路リンク番号で管理されてよい。過去の利用サービスとは、運転者が過去に獲得したポイントを利用してどのようなサービスを受けたかを示す情報である。尚、車両の基本情報及び運転者の趣味に関するデータについては、運転者の入力情報に基づいて生成されてよく、それら以外の事項については、車載情報端末201”から随時取得される運転者情報に基づいて、学習により生成されてよい。
【0100】
図14は、案内ルート検索部214により実現されるルート検索処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
ステップ500では、案内ルート検索部214は、ルート検索の結果、2以上の案内可能な案内ルートの候補が存在するか否かを判定する。2以上の案内ルートの候補が存在する場合には、ステップ510に進み、それ以外の場合は、当該唯一の案内ルートを出力(提示)し(ステップ530)、終了する。
【0102】
ステップ510では、案内ルート検索部214は、通信部204を介して、センターサーバー301”の情報管理部305に対して、個人情報データベース304”における現在の運転者に係る環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点(現在の運転者に係るデータ)を要求する。これを受けて、情報管理部305は、要求された環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点を、要求元の車載情報端末201”に対して送る。
【0103】
ステップ520では、案内ルート検索部214は、センターサーバー301”から得た情報(環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点)に基づいて、最もポイント付与されやすい案内ルートを、第1候補として選定する。例えば、2つの案内ルートA,Bが候補として検索された場合において、案内ルートAに含まれる環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点の数が、案内ルートBに含まれる環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点の数よりも大きい場合には、案内ルートAを第1候補として選定する。
【0104】
ステップ530では、案内ルート検索部214は、選定した案内ルートを、情報出力装置212を介して出力する。情報出力装置212がディスプレイである場合には、選定された案内ルートは、ディスプレイで表示されている地図表示上に重畳して表示される。これにより、運転者にポイントが付与されやすい案内ルートを優先的に提示することができ、運転者はポイントを効率的に獲得することができる。
【0105】
尚、本実施例において、案内ルート検索部214は、上記の環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点の数の比較結果と共に、利用する道路種別、渋滞情報、最短距離ないし最短時間等の他の要素を加味して、提示する案内ルートを決定してもよい。例えば、複数の案内ルートの候補間で、環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点の数に有意差が無い場合には、時間の短い方の案内ルートを優先してもよいし、過去の走行頻度が高い方の案内ルートを優先してもよい。逆に、複数の案内ルートの候補間で、距離ないし時間に有意差が無い場合に、環境ポイント獲得地点及び安全ポイント獲得地点の数の多い方の案内ルートを優先してもよい。
【0106】
図15は、情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例を示すフローチャートである。図15に示す処理ルーチンは、情報出力装置212(ディスプレイ)上に表示される地図画面の更新周期に対応して実行されてよい。
【0107】
ステップ600では、情報出力制御部210”は、車両の現在位置周辺の地図データを、地図データベース206から読み出す。
【0108】
ステップ610では、情報出力制御部210”は、情報出力装置212上に表示される地図内に、提携サービス事業者の店舗501が新たに出現するか否かを判定する。尚、提携サービス事業者の店舗501の位置情報は、センターサーバー301”から定期的に予め取得・更新しておき、地図データベース206内の地図データと対応関係が把握可能な態様で、所定のメモリに保持しておけばよい。或いは、情報出力制御部210”は、その都度、通信部204を介して、センターサーバー301”に問い合わせすることも可能である。
【0109】
尚、本ステップ610において、情報出力制御部210”は、現在、ルート案内中である場合には、案内ルート上に、提携サービス事業者の店舗501が新たに出現するか否かを判定してもよい。いずれにせよ、提携サービス事業者の店舗501が新たに出現する場合には、ステップ620に進み、その他の場合は、今回の処理ルーチンはそのまま終了する。
【0110】
ステップ620では、情報出力制御部210”は、現在情報出力装置212上に表示している地図表示上に、提携サービス事業者の店舗501の位置を示す表示を重畳表示する。この際、情報出力制御部210”は、当該店舗501が提携サービス事業者に係るものであることが運転者に分かるような形態で、提携サービス事業者の店舗501の位置を提示する。例えば、提携サービス事業者の店舗501の表示は、他の非提携サービス事業者の店舗の表示に対してコントラストや輝度、図形や色等を異ならしめてもよい。これにより、運転者は、提携サービス事業者の店舗501の位置を容易に把握することができるので、提携サービス事業者が供するサービスの当該運転者による利用が促進される。また、提携サービス事業者にとっては、広告効果を享受することができ、提携サービス事業者の数の増加が促進される。
【0111】
尚、本実施例において、情報出力制御部210”は、提携サービス事業者の店舗501の表示を出力すると共に、当該店舗501に関する店舗情報(広告情報の類)を出力してもよい。店舗情報は、例えば当該店舗501で提供されるサービスの内容、そのサービスを利用するのに必要なポイント数を含んでよく、現在の運転者の総ポイント数に関する情報と共に表示されてよい。この場合、運転者が要求した場合にのみ、店舗情報を出力することとしてもよい。尚、かかる店舗情報は、提携サービス事業者の店舗501の位置情報と同様に、センターサーバー301”から予め一括で取得しておき、車載情報端末201”側のメモリに記憶しておいてよく、定期的にセンターサーバー301”にアクセスすることで更新されてよい。
【0112】
図16は、情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例を示すフローチャートである。図16に示す処理ルーチンは、情報出力装置212(ディスプレイ)上に表示される地図画面の更新周期に対応して実行されてよい。ステップ700〜720までの処理は、図15に示したステップ600〜620までの処理と同じであってよいので説明を省略する。
【0113】
ステップ730では、情報出力制御部210”は、通信部204を介して、センターサーバー301”の情報管理部305に対して、今回の処理ルーチンで検出された店舗501に関する広告情報が存在するか否か、存在する場合には当該広告情報を当該運転者に対して出力することが有効か否かを問い合わせる。尚、広告情報とは、上述の如く、例えば期間限定のポイント交換率割引のお知らせや、新たなサービスの追加のお知らせの類であってよい。
【0114】
この問い合わせを受けて、センターサーバー301”の情報管理部305は、図示しないサービス事業車データベースを参照して、当該店舗501に関する広告情報が存在するか否かを判定すると共に、存在する場合には、個人情報データベース304”を参照して、当該店舗501に関する広告情報を、当該運転者に対して出力することが有効か否かを判断する。例えば、情報管理部305は、当該店舗が「ファーストフード店」であり、運転者の良く行くレストランが「ファーストフード全般」である場合には、当該店舗501の広告情報を出力することが有効であると判断して、当該店舗501の広告情報を、問い合わせ元の車載情報端末201”に送信する。尚、この際、情報管理部305は、当該店舗501の営業時間や現在の時間帯を考慮してもよい。一方、例えば、情報管理部305は、当該店舗が「スポーツジム」であり、運転者の趣味が「読書」のようなスポーツに無縁な趣味であり、運転者の良く行く場所が「スポーツジム」以外の場所である場合には、当該店舗501の広告情報を出力することが有効でないと判断して、その旨を、問い合わせ元の車載情報端末201”に送信する。
【0115】
情報出力制御部210”は、センターサーバー301”から広告情報が送信されてこない場合、或いは、有効でない旨の通知が送られてきた場合、当該広告情報が有効でないと判断し(ステップ740のNO判定)、今回の処理ルーチンを終了する。一方、情報出力制御部210”は、センターサーバー301”から広告情報が送信されてきた場合には、当該広告情報が有効であると判断し(ステップ740のYES判定)、当該広告情報を、情報出力装置212を介して出力する。これにより、膨大な量になりうる広告情報の中から運転者の嗜好に適合した広告情報のみを出力することができ、効果的な広告効果を実現することができる。
【0116】
尚、本実施例において、センターサーバー301”側で車両の位置や現在の案内ルートが把握できる場合には、センターサーバー301”側で当該運転者に有効な広告情報のみを抽出して、情報出力制御部210”に送信することも可能である。例えば、センターサーバー301”の情報管理部305は、車両の位置周辺(又は案内ルート上の自車位置周辺)に店舗501が接近した際に、個人情報データベース304”を参照して、当該店舗501で提供されるサービスに関して運転者が興味があるか否かを推定・判断し、興味があると判断した場合にのみ、当該店舗501の広告情報を車載情報端末201”に送信することとしてもよい。
【0117】
また、本実施例において、あるサービスに関する広告情報が、ある運転者に対して有効か否かは、当該サービスを利用するのに必要なポイント数と、当該運転者の現在の総ポイント数との関係を考慮して判断してもよい。これは、当該サービスを利用するのに必要なポイント数に対して、運転者の現在の総ポイント数が大きく乖離している場合には、当該サービスを宣伝しても効果が薄いからである。
【0118】
図17は、情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例を示すフローチャートである。図17に示す処理ルーチンは、例えば運転者(又は同乗者)が入力装置216を介して目的地周辺のPOI情報を要求した場合に実行される。
【0119】
ステップ800では、情報出力制御部210”は、要求された地点周辺のPOI情報を、地図データベース206から読み出す。
【0120】
ステップ810では、情報出力制御部210”は、読み出したPOI情報の中に、提携サービス事業者の店舗501に関する情報が存在するか否かを判定する。提携サービス事業者の店舗501に関する情報が存在する場合には、ステップ820に進み、それ以外の場合には、通常的な態様で、読み出したPOI情報を出力する(ステップ830)。
【0121】
ステップ820では、情報出力制御部210”は、提携サービス事業者の店舗501に関する情報を、他のサービス事業者の情報よりも優先して、表示する。例えばPOI情報を表形式で列挙して表示する態様では、情報出力制御部210”は、提携サービス事業者の店舗501に関する情報が先頭に表示されるように列挙順を変化させてもよいし、提携サービス事業者の店舗501に関する情報をハイライト表示する等して、他のサービス事業者の情報よりも目立つ態様で表示してもよい。これにより、運転者は、目的地周辺における提携サービス事業者の店舗501の情報を容易に把握することができるので、提携サービス事業者が供するサービスの当該運転者による利用が促進される。また、提携サービス事業者にとっては、広告効果を享受することができ、提携サービス事業者の数の増加が促進される。
【0122】
図18は、情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例を示すフローチャートである。図18に示す処理ルーチンは、例えば運転者(又は同乗者)が入力装置216を介して目的地周辺のPOI情報を要求した場合に実行される。
【0123】
ステップ900では、情報出力制御部210”は、要求された地点周辺のPOI情報を、地図データベース206から読み出す。
【0124】
ステップ910では、情報出力制御部210”は、通信部204を介して、センターサーバー301”の情報管理部305に対して、目的地周辺の提携サービス事業者の店舗501の中に、当該運転者が過去に利用した提携サービス事業者の店舗501が存在するか否かを問い合わせる。この問い合わせを受けて、センターサーバー301”の情報管理部305は、個人情報データベース304”を参照して、目的地周辺に、当該運転者が過去に利用した提携サービス事業者の店舗501が存在するか否かを判断する。例えば、運転者のユーザIDが000001である場合であって、目的地周辺に、提携サービス事業者Aの店舗501が存在する場合、図13に示した例では、当該運転者は、提携サービス事業者Aの利用実績があることになる。この場合、情報管理部305は、提携サービス事業者Aの利用実績がある旨を、問い合わせ元の車載情報端末201”に通知する。一方、例えば、運転者のユーザIDが000003である場合のように、目的地周辺に、提携サービス事業者Aの店舗501が存在しない場合、情報管理部305は、その旨を、問い合わせ元の車載情報端末201”に通知する。
【0125】
情報出力制御部210”は、センターサーバー301”から、利用実績のある提携サービス事業者に関する情報が送信されてこない場合、或いは、存在しない旨の通知が送られてきた場合、利用実績のある提携サービス事業者の店舗501が存在しないと判断し(ステップ920のNO判定)、通常的な態様で、読み出したPOI情報を出力する(ステップ940)。この場合、提携サービス事業者の店舗501(利用実績の無いもの)に関する情報を、他の非提携サービス事業者に関する情報よりも強調表示してよい。
【0126】
一方、情報出力制御部210”は、センターサーバー301”から、利用実績のある提携サービス事業者に関する情報が送信されてきた場合には、利用実績のある提携サービス事業者の店舗501が存在すると判断し(ステップ930のYES判定)、利用実績のある提携サービス事業者の店舗501に関する情報を、他のサービス事業者に関する情報よりも優先して、表示する。例えばPOI情報を表形式で列挙して表示する態様では、情報出力制御部210”は、利用実績のある提携サービス事業者の店舗501に関する情報が先頭に表示されるように列挙順を変化させてもよいし、利用実績のある提携サービス事業者の店舗501に関する情報だけをハイライト表示する等して、他のサービス事業者の情報よりも目立つ態様で表示してもよい。これにより、運転者は、目的地周辺において過去に利用したことのある提携サービス事業者の店舗501の情報を容易に把握することができるので、同提携サービス事業者が供するサービスの当該運転者による利用が促進される。また、提携サービス事業者にとっては、広告効果を享受することができ、提携サービス事業者の数の増加が促進される。
【0127】
また、本実施例において、情報出力制御部210”は、POI情報を出力する際に、運転者による提携サービス事業者のサービスの利用回数をも考慮してもよい。この場合、情報出力制御部210”は、利用回数が多い順に優先して提携サービス事業者の情報を出力する。
【0128】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0129】
例えば、上述した実施例において、車両間(運転者間)でポイントの授受を許容してもよい。例えば、道を譲ってもらった車両の運転者に対して、道を譲った方の車両の運転者に所定のポイント数が移動されることとしてもよい。
【0130】
また、上述の実施例では、個人情報データベース304,304’、304”は、センターサーバー側に設けられていたが、各車両に分散して設けられてもよい。この場合、各車両側では、当該車両を利用する運転者に関する個人情報がデータベース化されることになる。スキルレベルの評価方法(評価ロジック)については、ポイント計算方法と同様に、センターサーバー側から配信されてよい。
【0131】
また、上述の実施例では、ポイントデータベース303,303’は、センターサーバー側に設けられていたが、各車両側に設けられてもよい。この場合、各車両側では、当該車両を利用する運転者に関するポイント情報がデータベース化されることになる。
【0132】
また、上述の実施例では、ポイント計算部203が、車載情報端末201,201’、201”
側に設けられていたが、センターサーバー301,301’、301”側に設けられてもよい。
【0133】
また、上述した実施例では、罰則的なポイントの減算による運転者に与えるマイナス方向の心理的影響を考慮して、罰則的なポイントの減算を行っていない。しかしながら、環境汚染運転時や危険運転時にポイントの減算を行うことも可能である。この場合、図8乃至図10に示した処理と同様に、ポイントの減算時、又は、ポイントの減算回数や頻度に応じてアドバイスを出力することも可能である。
【0134】
また、上述した実施例では、センターサーバー301,301’、301”自身は、運転者に対してポイント還元に関連するサービスを何ら行っていないが、センターサーバー301,301’、301”自身が各種サービスを提供し、それらのサービスがポイントにより利用できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明による車両環境サービスシステム10の実施例1を示すシステム構成図である。
【図2】安全運転判定部207及びポイント計算部203によって実現される安全運転に起因したポイントの付与方法の一例を示す表図である。
【図3】環境運転判定部205及びポイント計算部203によって実現される環境運転に起因したポイントの付与方法の一例を示す表図である。
【図4】ポイントデータベース303に格納されるデータの一例を示す図である。
【図5】個人情報データベース304に格納されるデータの一例を示す図である。
【図6】本発明による車両環境サービスシステム10’の実施例2を示すシステム構成図である。
【図7】センターサーバー301’のポイントデータベース303’に格納されるデータの一例を示す図である。
【図8】情報出力制御部210により実現される情報出力制御の一例(その1)を示すフローチャートである。
【図9】情報出力制御部210により実現される情報出力制御のその他の一例(その2)を示すフローチャートである。
【図10】情報出力制御部210により実現される情報出力制御のその他の一例(その3)を示すフローチャートである。
【図11】情報出力制御部210により実現される情報出力制御のその他の一例(その4)を示すフローチャートである。
【図12】本発明による車両環境サービスシステム10”の実施例3を示すシステム構成図である。
【図13】センターサーバー301”の個人情報データベース304”に格納されるデータの一例を示す図である。
【図14】案内ルート検索部214により実現されるルート検索処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例(その1)を示すフローチャートである。
【図16】情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例(その2)を示すフローチャートである。
【図17】情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例(その3)を示すフローチャートである。
【図18】情報出力制御部210”により実現される情報出力制御の一例(その4)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0136】
10,10’,10” 車両環境サービスシステム
201,201’,201” 車載情報端末
202 自車位置検出部
203 ポイント計算部
204 通信部
205 環境運転判定部
206 地図データベース
207 安全運転判定部
208 情報管理部
301,301’,301” センターサーバー
302 ネットワークゲートウェイ
305 情報管理部
303,303’ ポイントデータベース
304,304” 個人情報データベース
401 事業者端末
402 サービス利用処理部
403 ポイント設定部
404 レコメンド処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載情報端末と、センターに配設されるセンターサーバーと、ユーザに対して各種サービスを提供する提携サービス事業者によって管理される事業者端末とを有する車両環境サービスシステムであって、
前記車載情報端末又はセンターサーバーは、ユーザ毎に、所定基準に基づいて、安全運転及び/又は環境にやさしい環境運転を行っているか否かを判定し、判定結果に応じて、付与するポイント数を算出するポイント算出手段を有し、
前記センターサーバーは、ユーザ毎に、付与されたポイント数を累計して総ポイント数を管理するデータベースを有し、
前記事業者端末は、前記データベース内の所定のポイント数と引き換えに所定のサービスを提供するサービス提供手段と、提携サービス事業者に関する広告情報を生成する広告生成手段とを有し、
前記車載情報端末は、前記事業者端末から直接又はセンターサーバーを介して前記広告情報を受信する手段を備えることを特徴とする、車両環境サービスシステム。
【請求項2】
運転の熟練度ないし運転技術に関する指標となる運転習熟度をユーザ毎にデータベース化し、運転習熟度に応じて前記ポイント算出手段におけるポイント算出方法を変化させる、請求項1に記載の車両環境サービスシステム。
【請求項3】
ユーザが所有する車両に装備された安全運転機能又は環境運転機能をユーザ毎にデータベース化し、安全運転機能又は環境運転機能の装備状況に応じて前記ポイント算出手段におけるポイント算出方法を変化させる、請求項1又は2に記載の車両環境サービスシステム。
【請求項4】
車両の外部環境に応じて前記ポイント算出手段におけるポイント算出方法を変化させる、請求項1〜3のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項5】
ポイント獲得のための運転アドバイスを提示する運転アドバイス提示手段を車両側に有する、請求項1〜4のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項6】
ポイント獲得のための運転アドバイスは、ポイントが獲得可能な状況下で前記所定基準を満たさずにポイントが獲得されなかったポイント獲得機会逸失時に、提示される、請求項1〜5のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項7】
ポイント獲得のための運転アドバイスは、ポイントが獲得可能な状況下で前記所定基準を満たさずにポイントが獲得されなかったポイント獲得機会逸失時の回数又は頻度が所定基準値を超えた場合に、提示される、請求項1〜5のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項8】
環境運転に起因したポイントが付与されているにも拘らず、車両の燃費が改善していないと判断した場合に、車両の診断を行うように案内を提示する案内手段を車両側に有する、請求項1〜7のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項9】
過去の運転履歴からポイントが付与されやすい経路を優先的に選定して経路案内を行う経路案内手段を車両側に有する、請求項1〜8のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項10】
サービスの利用可能な提携サービス事業者の施設に車両が接近した場合、又は、車両の案内経路上に該施設が存在する場合に、該施設で利用可能なサービスの案内を行うサービス案内手段を車両側に有する、請求項1〜9のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項11】
前記サービス案内手段は、ユーザの嗜好に適合したサービスを他のサービスよりも優先して案内する、請求項10に記載の車両環境サービスシステム。
【請求項12】
POI(Point Of Interest)情報を提示する際に、提携サービス事業者に関する情報を優先するPOI情報提示手段を車両側に有する、請求項1〜11のいずれかに記載の車両環境サービスシステム。
【請求項13】
POI情報提示手段は、ユーザへのサービス提供実績のある提携サービス事業者に関する情報を優先して提示する、請求項12に記載の車両環境サービスシステム。
【請求項14】
前記センターサーバーは、前記車載情報端末の各ユーザに関する情報を収集して蓄積する個人情報データベースを備え、
前記広告生成手段は、前記センターサーバーとの通信を介して、個人情報データベース内の情報を参照して、前記広告情報を生成する、請求項1に記載の車両環境サービスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−293626(P2007−293626A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121163(P2006−121163)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】