車体傾斜装置
【課題】車体の姿勢の安定性を向上させる。
【解決手段】車両の停止状態において、人の降車動作の開始が検出された場合(S3)には、降車中リーン角制御が行われ、車体が安定な姿勢に制御される。降車中リーン角制御は、人の降車動作中、継続して行われる。そして、人の降車動作の終了が検出された場合(S5)に、降車中リーン角制御が終了させられる。このように、乗り物から人が降車する間、車体が安定な姿勢に制御されるため、車体の安定性を向上させることができる。
【解決手段】車両の停止状態において、人の降車動作の開始が検出された場合(S3)には、降車中リーン角制御が行われ、車体が安定な姿勢に制御される。降車中リーン角制御は、人の降車動作中、継続して行われる。そして、人の降車動作の終了が検出された場合(S5)に、降車中リーン角制御が終了させられる。このように、乗り物から人が降車する間、車体が安定な姿勢に制御されるため、車体の安定性を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも車体を左右方向に傾斜させる車体傾斜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットの本体を、車輪保持部に対して前後方向に傾斜させるロボット傾斜装置が記載されている。このロボット傾斜装置においては、ロボットを停止させる場合において、本体の姿勢が不安定である場合には、安定な姿勢に修正された後にその姿勢でリーンアクチュエータがロックされる。それにより、ロボットの停止状態において、本体を安定した姿勢で保持することが可能となる。
特許文献2には、乗り物の停止状態において車体の傾斜角度が安定な大きさに自動で修正される車体傾斜装置が記載されている。また、この車体傾斜装置においては、車両が停止状態にある場合、低速走行状態にある場合、旋回状態にある場合に、リーンアクチュエータが自動でロックされる。
特許文献3には、左右2輪を備えた乗り物において、乗り物の走行中に車体を安定な姿勢に制御し、停止した場合にその姿勢をロックする車体傾斜装置が記載されている。また、この車体傾斜装置においては、傾斜角度が角度許容範囲を超えた場合、傾斜角度の変化速度が角速度許容範囲を超えた場合、並進速度が速度許容範囲を超えた場合等の異常の場合に、リーンアクチュエータが自動でロックされる。
特許文献4には、運転者の操作により、リーンアクチュエータをロックできる車体傾斜装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−241169号公報
【特許文献2】特表2008−505797号公報
【特許文献3】特開2009−214670号公報
【特許文献4】特開2007−191128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、車体傾斜装置の改良であり、例えば、人の乗車中と降車中との少なくとも一方の場合に、車体の安定性を向上させることである。
【課題を解決するための手段および効果】
【0005】
本願発明に係る車体傾斜装置は、車両の停止状態において人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、車体を安定な姿勢に制御するリーン制御装置を含むものとされる。
このように、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、車体が安定な姿勢に制御されるため、車体の安定性を向上させることができる。
【特許請求可能な発明】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素を、以下の各項に記載されたもの、各項を任意に組み合わせたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
(1)車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記車両に、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記車体を安定な姿勢に制御する乗降中リーン制御装置と
を含む車体傾斜装置。
リーンアクチュエータは、車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるものであるが、車体の左右方向の傾斜に伴って車輪も左右方向に傾斜させるものであっても傾斜させないものであってもよい。車輪が左右方向に傾斜させられる場合において、その傾斜角度は車体の傾斜角度と同じであっても異なっていてもよい。
車体を安定な姿勢に制御するとは、車体の姿勢が、(a)目標姿勢で決まる設定範囲内の姿勢となるように制御すること、(b)目標姿勢となるように制御すること、(c)車体の路面の法線に対する傾斜角度が設定角度以下にあるように制御すること、(d)車体の鉛直線に対する傾斜角度が設定角度以下にあるように制御すること、(e)車両全体(人も含める)の重心を通る重力の作用線が、車両の車輪の路面に対する接地点を結んで決まる閉領域の内部の予め定められた領域と交差する姿勢であるように制御すること等が該当する。また、車体の姿勢の変化が設定範囲内にあるように制御すること等も該当する。
車体の左右方向の傾斜角度は、車体を規定する上下方向線{車両の標準積載状態(例えば、空車の状態)において、車両が水平な路面に停止している場合の車両上の点(例えば、車両の重心、車体の左右方向の中点)を通る鉛直線}の、路面の法線との間の角度をいう。また、車体の路面の法線に対する傾斜角度と、車両が存在する路面の勾配(左右方向の傾斜角度)とに基づけば、車体の鉛直線に対する傾斜角度を取得することができる。
さらに、車輪の傾斜角度とは、車輪の回転面を規定する上下方向線(上述の状態において、車輪の回転面内の路面との接点を通り、かつ、直径方向に延びる線)と路面の法線との間の角度をいう。
なお、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合には、車両が停止状態にあっても走行状態にあってもよい。例えば、車両の走行中に人が乗車、降車した場合であっても、車体が安定な姿勢に制御されるようにすることができる。
また、リーンアクチュエータの構造については問わない。
(2)前記リーン制御装置が、(a)人が降車する可能性が高いこと、人が降車する意図があると考えられること、人の降車動作が開始されたこととのうちの少なくとも1つを検出する降車動作開始検出装置と、(b)人が降車した可能性が高いこと、人の降車動作が終了したことのうちの少なくとも一方を検出する降車動作終了検出装置との少なくとも一方を含む。
例えば、車両のメインスイッチがONからOFFに切り換えられたこと、ドアに設けられたドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切り換えられたこと、ドアが閉状態から開状態に切り換えられたこと等の場合に、人が降車する可能性が高いこと、人が降車する意図があると考えられること、人の降車動作が開始されることとの少なくとも1つであると考えることができる。
また、上述の降車動作の開始等が検出された後に、ドアが開状態から閉状態に切り換えられたこと、ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられたこと、着座している状態から着座していない状態に切り換えられたこと、センサ携帯キーからの信号が受信されなくなったこと、メインスイッチがONからOFFに切り換えられてから設定時間が経過したこと等の場合には、人が降車した可能性が高いこと、人の降車動作が終了したこととのうちの少なくとも一方であると考えることができる。
さらに、(a)携帯キーに降車終了スイッチが設けられた場合において、その降車終了スイッチがON操作されたこと、(b)車両に盗難防止機構が設けられた場合において、その盗難防止機構のロック作動を指示したり、ロック解除を指示したりするスイッチ(車体の外側や携帯キーに設けられる)のロック作動指示操作が行われたこと等が検出された場合にも降車動作が終了したと考えることができる。
なお、降車開始スイッチが車両の車室内に設けられた場合において、その降車開始スイッチの操作により降車動作の開始が検出されるようにすることもできる。
これらは、ドアロック装置を備えていない車両に適用することが有効であるが、ドアロック装置を備えた車両に適用することも可能であり、降車動作の開始、終了が複数の情報に基づいて検出されるようにすれば、より正確に、降車動作の開始、終了を検出することができる。
また、人の降車には、1人乗りの車両において1人が降車した場合、複数人乗りの車両においてそのうちの1人が降車した場合、複数人乗りの車両においてすべての人が降車した場合のうちの1つ以上が含まれる。乗車についても同様とする。
(3)前記リーン制御装置が、(a)人が乗車する可能性が高いこと、人が乗車する意図があると考えられること、人の乗車動作が開始されたことのうちの少なくとも1つを検出する乗車動作開始検出装置と、(b)人が乗車した可能性が高いこと、人の乗車動作が終了したことのうちの少なくとも一方を検出する乗車動作終了検出装置との少なくとも一方を含む。
例えば、メインスイッチがOFFからONに切り換えられる前に、ドアが閉状態から開状態に切り換えられたこと、ドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切り換えられたこと、携帯キーとの間の通信が開始された(通信がない状態から有る状態に切りかわった)こと、リーン角の変化、あるいは、車高の変化が急激に大きくなったこと等の場合には人が乗車する可能性が高いこと(乗車動作が開始される可能性が高いこと)、乗車する意図があると考えられること、乗車動作が開始されたことのうちの少なくとも1つであると考えることができる。
また、上述のように乗車開始等が検出された後に、人が着座したこと、ドアが開状態から閉状態に切り換えられたこと等が検出された場合には人が乗車した可能性が高いこと、乗車動作が終了したこととの少なくとも一方であると考えることができる。
さらに、携帯キーに乗車開始スイッチが設けられた場合において、その乗車開始スイッチがON操作されたこと、盗難防止機構のスイッチが解除指示操作された場合にも乗車動作が開始されると考えることができる。
(4)前記乗降中リーン制御装置が、車両のメインスイッチのOFF状態において、前記車体の傾斜角度を制御するOFF中制御部を含む。
降車動作、乗車動作はメインスイッチのOFF状態において行われることが多い。
(5)前記乗降中リーン制御装置が、前記車両から人が降車する間、前記リーンアクチュエータを制御する降車中リーン制御部を含むものとすることができる。
人が降車する間とは、降車動作が開始されてから降車動作が終了するまでの期間をいう。
(6)前記降車中リーン制御部は、前記リーンアクチュエータの制御を、前記車両のメインスイッチがONからOFFに切り換えられた時に開始し、前記車両に設けられたドアをロックするドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられた時に終了するものとすることができる。
(7)当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記降車中リーン制御部による制御が終了した後に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータをロックする降車後リーンロック制御部とを含むものとすることができる。
人の降車中に、車両の姿勢が安定な姿勢に制御されるため、降車中制御が終了した後に、車体は安定した姿勢にあると推測することができる。そのため、車体が、その姿勢で保持されれば、人が降車した後に車体を安定な姿勢に保持することができる。
また、降車中リーン制御が終了した後に、車体の姿勢が安定な姿勢であるか否かを確認し、その後に、ロックすることもできる。
なお、リーンロックアクチュエータの構造は問わない。
(8)当該車体傾斜装置が、前記降車中リーン制御部による制御が終了した時に、前記車両の姿勢が目標姿勢範囲内にない場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記目標姿勢範囲内の姿勢とする降車後リーンアクチュエータ制御部を含み、前記降車後リーンロック制御部が、前記降車後リーンアクチュエータ制御部による制御後に、前記リーンアクチュエータをロックする姿勢制御後ロック制御部を含むものとすることができる。
車体の安定な姿勢は、人の降車中と、人が降車した後(例えば、空車の状態)とで異なる姿勢とすることができる。例えば、降車中においては、車両の重心に作用する重力の作用線が予め定められた領域内において交差する場合に安定な姿勢であるとされる場合に、降車後においては、その領域を狭くすることができる。その場合には、降車中リーン制御部による制御が終了した後に、姿勢制御が行われ、その後にロックされる。例えば、車両の近傍に人がいない場合であっても、車体を安定な姿勢で保持することができる。
(9)前記リーンロックアクチュエータが、電力が供給されなくても、リーンアクチュエータをロック状態に保持するものである。
リーンロックアクチュエータにおいては、電力を消費することなく、車体の姿勢を保持することができる。
なお、リーンロックアクチュエータを、ロック作動時に電力が消費されるが、その後に電力を供給しなくてもロック作用状態に保持し得るものとすることができる。また、リーンロックアクチュエータは、解除作動時に電力が消費されるが、その後、電力が消費されることなくロック解除状態に保持し得るものとすることもできる。
(10)当該車体傾斜装置が、前記リーンロックアクチュエータを作動させて前記リーンアクチュエータをロックした後に、前記リーンアクチュエータに電力を供給して、前記車体の傾斜角度が変化しないことを確認するロック確認装置を含む。
例えば、リーンアクチュエータを、車体の傾斜角度が変化させるような電力を供給したにもかかわらず、傾斜角度検出装置による検出値の変化量が0近傍の設定値以下である場合に、リーンアクチュエータはロックされたと確認することができる。また、リーンアクチュエータのロックを確認した後に、リーンアクチュエータ、リーンロックアクチュエータをOFFにすることが望ましい。
なお、実施例において詳述するように、リーンロックアクチュエータがロック作動させられた後に、車体の傾斜角度が変化する場合には、リーンアクチュエータの修正作動を行うことが望ましい。例えば、リーンアクチュエータの出力軸を微小角度回転させて、ロック部材が出力軸に確実に係合するように修正することができる。
(11)当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記車両に人が乗車したことが検出された場合に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータのロックを解除する乗車検出後リーンロック解除部とを含み、前記乗降中リーン制御装置が、前記乗車検出後リーンロック解除部によって前記リーンアクチュエータのロックが解除された後、前記車両に人が乗車する間、前記リーンアクチュエータを制御する乗車中リーン制御部を含むものとすることができる。
乗車中(乗車動作中)にも、車体を安定な姿勢に制御することができる。なお、メインスイッチがONからOFFに切り換えられた後に、リーンアクチュエータはロックされるため、乗車前には、リーンアクチュエータはロック状態にある。そのため、乗車動作の開始が検出されて、ロックが解除された後に、リーンアクチュエータが制御される。
(12)前記リーンロックアクチュエータが、前記リーンアクチュエータの複数の予め定められた位置のうちの任意の位置でロックするものである。
複数の位置は、リーンアクチュエータの出力軸の回転範囲内を等間隔で区切った各々の位置とすることができる。
(13)当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンロックアクチュエータと、(b)前記リーンロックアクチュエータにより退避位置と作用位置とに移動させられる少なくとも1つのロック部材と、(c)前記少なくとも1つのロック部材を前記作用位置に付勢する付勢部材とを備えたリーンロック装置を含む。
ロック部材の作用位置において、リーンアクチュエータの出力軸と係合し、出力軸の回転が阻止される。また、ロック部材は、付勢部材により作用位置に保持されるのであり、出力軸のロック状態が保持される。
(14)前記リーンアクチュエータの出力軸が、外周面に形成された複数の凹部を含み、前記少なくとも1つのロック部材の各々が、前記作用位置において、前記複数の凹部のうちの少なくとも1つに、それぞれ、係合可能に保持される。
ロック部材は1つであっても2つ以上であってもよい。
(15)前記リーンロックアクチュエータが、(a)電動モータと、(b)電動モータの駆動力をロック部材に伝達する駆動伝達部材と、(c)電動モータの回転軸の回転を前記駆動伝達部材の直線移動に変換するとともに、前記電動モータの駆動力を前記駆動伝達部材に伝達する運動変換機能付き駆動伝達装置とを含み、前記付勢部材が、前記駆動伝達部材と前記ロック部材との間に配設されたコイルスプリングである。
電動モータの駆動力は、駆動伝達装置を介して駆動伝達部材に伝達され、ロック部材に加えられる。
駆動伝達部材が退避位置に向かって移動させられると、コイルスプリングが伸ばされ、それにより、ロック部材が退避位置へ移動させられ、保持される。ロック部材の退避位置において、コイルスプリングは自然長にあると考えられる。
また、駆動伝達部材が作用位置に向かって移動させられると、コイルスプリングが圧縮させられ、ロック部材が作用位置へ移動させられ、保持される。ロック部材には、コイルスプリングにより作用位置に向かう付勢力が加えられる。
(16)車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記リーンアクチュエータの作動を阻止する作動阻止状態と、作動を許容する作動許容状態とに切り換え可能なリーンロックアクチュエータと、
前記車両のドアに設けられたドアロック装置と、
前記車両のメインスイッチがOFF状態にあり、かつ、前記ドアロック装置がロック状態にある場合に、前記リーンアクチュエータの作動が阻止され、前記メインスイッチがON状態にある場合と前記ドアロック装置がアンロック状態にある場合との少なくとも一方の場合に、前記リーンアクチュエータの作動が許容されるように、前記リーンロックアクチュエータを制御するリーンロック制御装置と
を含むことを特徴とする車体傾斜装置。
本項に記載の車体傾斜装置には、(1)項から(15)項のうちのいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
なお、メインスイッチがOFF状態にあり、前記ドアロック装置がロック状態にあり、かつ、空車状態(人が乗車していない状態)にある場合に、リーンアクチュエータが作動阻止状態とされるように、リーンロックアクチュエータが制御されるようにすることもできる。
(17)車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、
前記車両のメインスイッチがON状態からOFF状態に切り換えられた後、前記車体が安定した姿勢にある場合に、前記リーンロックアクチュエータを作動させて、前記リーンアクチュエータをロックするOFF後ロック制御部と
を含むことを特徴とする車体傾斜装置。
本項に記載の車体傾斜装置には、(1)項から(16)項のうちのいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
リーンロックアクチュエータが電力が供給されなくても、リーンアクチュエータをロック状態に保持し得るものである場合には、メインスイッチがOFFにされた後に、電力が消費されることなく、リーンアクチュエータをロック状態に保持することができる。
(18)当該車体傾斜装置が、長手形状を成し、車両の幅方向に離間して設けられた左側車輪および右側車輪を、それぞれ、上下方向の相対移動を許容する状態で保持する左右輪保持部材を含み、前記リーンアクチュエータが、前記左右輪保持部材と前記車両の車体との間に設けられ、それら前記左右輪保持部材と前記車体とを相対回動させることにより、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させる回動型アクチュエータである。
リーンアクチュエータは、電力の供給により作動させられるが、電力が供給されない場合に、(a)車体を傾斜させようとする外力が作用した場合に、その外力によって、車体の傾斜を許容するものであっても、(b)外力による車体の傾斜を許容しないものであってもよい。いずれにしても、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合には、リーンアクチュエータが制御される。(b)の場合には、リーンロックアクチュエータは不可欠ではない。
(19)前記リーンアクチュエータの出力軸が前記左右輪保持部材に固定され、かつ、前記リーンアクチュエータの本体に前記車体が固定された。
左右輪保持部材は、左側車輪と右側車輪とを連結するものであり、左右輪保持部材に加えられる荷重が、左側車輪と右側車輪とに分配される。その意味において、左右輪保持部材を、左右輪連結部材、シーソー部材と称することができる。
(20)前記左右輪保持部材は、前記車両の幅方向に直線状に延びた左右輪保持バーとすることができる。
(21)前記左右輪保持部材は、前記車両の正面から見た場合に湾曲した形状を成したものとすることができる。
左右輪保持部材は、車両の幅方向に延びた長手形状を成したものであるが、直線形状を成したものであっても、湾曲形状を成したものであってもよい。湾曲形状を成したものとしては、例えば、V字形状、U字形状を成したものが該当する。左右輪保持部材は、一体的に製造された部材であり、剛体とするのが普通である。
(22)前記リーンアクチュエータが、電動モータと減速器とを含むものとすることができる。
減速器を設けることは不可欠ではないが、減速器を設けた方が、電動モータの設計の自由度を向上させることができる。電動モータはリーンモータと称することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1に係る車体傾斜装置全体を示す概略図である。
【図2】上記実施例に係る車体傾斜装置を含む乗り物の正面図(一部断面図)である。
【図3】上記乗り物のサスペンションを示す概略図である。
【図4】上記車体傾斜装置に含まれるリーンアクチュエータを概略的に示す図である。
【図5】上記車体傾斜装置に含まれるリーンロック装置のI−I断面図(図1のI−I断面図)である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】(a)上記車体傾斜装置が搭載された車両の車体が傾斜した姿勢をを示す図である。(b)重力の作用線が交差する領域を概念的に示す図である。
【図8】上記リーン角制御ECUの記憶部に記憶された降車中リーン角制御プログラムを表すフローチャートである。
【図9】上記記憶部に記憶された乗車中リーン角制御プログラムを表すフローチャートである。
【図10】上記記憶部に記憶されたメインスイッチOFF後リーン等制御プログラムを表すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2に係る車体傾斜装置のリーン角制御ECUの記憶部に記憶された別のメインスイッチOFF後リーンロック制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【発明の実施の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態としての車体傾斜装置について説明する。
車体傾斜装置は、図2に示す車両としての乗り物に搭載される。乗り物は、左右前輪10,12と1つの後輪14とを含み、左右前輪10,12と車体16との間に車体傾斜装置が設けられる。
なお、車体傾斜装置は、左右前輪と左右後輪とを含む4輪の乗り物に搭載したり、1つの前輪と左右後輪とを含む3輪の乗り物に搭載したりすることができる。車体傾斜装置は、左右後輪と車体との間に設けることもできる。
【実施例1】
【0010】
<シーソーバー>
車体傾斜装置は、図1に示すように、左右輪保持部材としてのシーソーバー20を含む。シーソーバー20は、長手形状を成した一体的な部材であり、剛体とされることが多い。シーソーバー20は、乗り物の左右方向(幅方向)に伸びたものであり、それの中間部(本実施例において、長手方向の中点)20Cにおいて、車体16に相対回動可能に保持され、左側端部20L,右側端部20Rにおいて、それぞれ、左前輪10,右前輪12を伸縮可能に保持する。
左前輪10,右前輪12は、それぞれ、サスペンション22を介して車体16に保持される。サスペンション22は、それぞれ、ロアアームとしてのリーディングアーム30と、ストラット32とを含む。リーディングアーム30は、左右前輪10,12を相対回転可能に保持する車輪保持部34の下部に連結され、ストラット32は、車輪保持部34の上部に連結されるのであり、これらリーディングアーム30とストラット32とは、車輪保持部34の互いに離間した位置に連結される。
リーディングアーム30は、一端部において、車輪保持部34にボールジョイントを介して相対回動可能に連結されるとともに、他端部において、車体16に左右方向に延びる軸線回りに揺動可能に保持される。ストラット32は、互いに並列に配設されたショックアブソーバ36とスプリング38とを含み、一端部において車輪保持部34に固定されるとともに、他端部がシーソーバー20の左側端部20L,右側端部20Rにおいて、それぞれ、ピン40L,Rによって前後方向に延びる軸線回りに相対回動可能に保持される。このように、ストラット32は、シーソーバー20を介して車体16に保持されるのであり、ストラット32とシーソーバー20のアーム(中点20Cと左側、右側端部20L,Rとの間の各々の部分)とによってアッパアームが構成されると考えることができる。
本実施例においては、ロアアームがリーディングアーム30とされているため、左右前輪10,12の間にスペースを確保することができ、例えば、乗り物のペダル操作装置等の設置が容易となる。
【0011】
<リーンアクチュエータ>
車体傾斜装置は、シーソーバー20と車体16との間に設けられたリーンアクチュエータ50を含む。
リーンアクチュエータ50は、図4に示すように、電動モータであるリーンモータ52,減速器54を含む。また、リーンアクチュエータ50の出力軸58としての回転軸は、ハウジング60(図1参照)の内側に相対回転可能に保持される。リーンアクチュエータ50において、電動モータ52の出力軸の回転速度が減速器54によって減速されて、出力されるのであるが、その出力軸58がシーソーバー20に固定される(相対回転不能に嵌合される)。リーンアクチュエータ50の出力軸58は、乗り物の前後方向に伸びた軸線Aと平行に伸びたものであり、ハウジング60も同様に、軸線Aと平行に伸びたものである。ハウジング60は、図1に示すように車体16に固定される(相対回動不能に設けられる)。
そのため、リーンアクチュエータ50の出力軸58の回転により、シーソーバー20と車体16とが相対回動させられるのであり、シーソーバー20は、前後方向に延びた軸線A回りに車体16に対して相対回動させられる。
【0012】
<リーンロック装置>
車体傾斜装置は、リーンアクチュエータ50の出力軸58に設けられたリーンロック装置62を含む。
リーンロック装置62は、図5に示すように、(a)ハウジング70と、(b)1つのロック部材72と、(c)リーンロックアクチュエータ74とを含む。一方、出力軸58の外周部には概して円環状のフランジ80が相対回転不能に嵌合され、フランジ80の外周部には、複数の凹部82が等位相で形成される。凹部82はロック部材72と係合可能とされている。
【0013】
ハウジング70は、複数の部材から構成されるものであり、ハウジング60を把持する状態で設けられる。ハウジング70とハウジング60とは互いに相対回動不能に設けられるのであり、これらは一体的に設けられたとみなすことができる。
ハウジング70には、ハウジング60の内周側に設けられた貫通穴90に連通し、かつ、半径方向に延びたガイド穴92が形成され、ロック部材72が摺動可能に嵌合される。ロック部材72は出力軸58の回転方向と交差する姿勢で、出力軸58の凹部82と係合する作用位置と、出力軸58の凹部82から離間する退避位置との間を、軸線B方向に相対移動可能に保持される。ロック部材72は、先端部94において、凹部82に係合可能とされている。
【0014】
リーンロックアクチュエータ74は、図6に示すように、電動モータであるリーンロックモータ100と、前記ロック部材72に駆動力を付与する駆動伝達ロッド102と、リーンロックモータ100の回転を直線移動に変換して駆動伝達ロッド102に伝達する駆動伝達装置104とを含む。駆動伝達装置104は、一対のウォーム110およびウォームホイール112と、ねじ機構114とを含み、ウォーム110にはリーンロックモータ100の出力軸が相対回転不能に嵌合される(固定される)。ウォームホイール112の内周側には駆動伝達ロッド102が配設されるが、駆動伝達ロッド102とウォームホイール112との間にはねじ機構114が設けられ、ウォームホイール112の回転に伴って駆動伝達ロッド102が直線的に移動可能とされている。ウォームホイール112は、ハウジング70に軸線B方向に相対移動不能、かつ、相対回転可能に保持され、駆動伝達ロッド102は、ハウジング70に、相対回転不能、かつ、軸線B方向に相対移動可能に保持される。
駆動伝達ロッド102には駆動力伝達プレート120が軸線B方向に相対移動不能に設けられ(固定され)、駆動力伝達プレート120とロック部材72との間にスプリング122が設けられる。スプリング122は、圧縮状態において、ロック部材72を作用位置に向かう方向に付勢力を付与するが、伸長状態において(自然長より伸長することにより)ロック部材72を退避位置に引き込む付勢力を付与する。スプリング122の内周側にはロッド124が配設されるが、ロッド124により、スプリング122の径方向の変形および座屈等が防止される。
【0015】
図示する作用位置から、リーンロックモータ100が回転させられると、駆動伝達ロッド102(駆動力伝達プレート120)が、スプリング122の付勢力に抗して後退させられる。ロッド部材72と駆動力伝達プレート120との間の距離が大きくなることにより、スプリング122が伸長させられ、ロック部材72が退避位置へ引き込まれる。スプリング122は自然長にあり、リーンロックモータ100に電流を供給しなくても、ロック部材72は退避位置で保持される。符号126は、ロック部材72の後退端位置を規定するストッパを示す。
リーンロックモータ100が上述の場合と逆方向に回転させられると、駆動伝達ロッド102(駆動力伝達プレート120)が前進させられ、スプリング122が圧縮させられ、ロック部材72が作用位置に移動させられる。リーンロックモータ100に電流を供給しなくても、ロック部材72はスプリング122の付勢力により作用位置に保持される。
【0016】
<ECU>
車体傾斜装置には、図4に示すように、リーン角制御ECU200が設けられる。リーン角等制御ECU200は、コンピュータを主体とするものであり、入出力部、記憶部、実行部等が含まれる。また、入出力部には、乗り物の走行速度Vを検出する車速センサ206、乗り物のメインスイッチ208、乗降検出装置210、図示しないパーキングブレーキが作用状態にあるか否かを検出するパーキングスイッチ212、左右輪10,12に対応してそれぞれ設けられ、車輪10,12とシーソーバー20との間の上下方向の距離である車高を検出する車高センサ214、リーンアクチュエータ50の出力軸58の中立位置からの回転角度を検出する回転角度センサ216、乗り物の横方向の加速度を検出する横加速度センサ218等が接続されるとともに、リーンモータ52、リーンロック装置62のリーンロックモータ100等が、それぞれ、駆動回路を介して接続される。
【0017】
乗降検出装置210は、乗り物に設けられたドアが開状態にあるか否かを検出するドア開センサ、ドアに設けられたドアロック装置がロック状態にあるかアンロック状態にあるかを検出するドアロックセンサ、メインスイッチ208等を含む。乗り物にドアが複数設けられる場合には、複数のドアの各々に、ドア開センサ、ドアロックセンサが設けられる。
ドアロックセンサによりロック状態からアンロック状態に切り換えられたことが検出された場合に、乗車動作が開始されたとされる。このことから、ドアロックセンサ等により乗車動作開始検出部220が構成されると考えることができる。
乗車動作の開始が検出された後、ドア開センサによりドアが開状態から閉状態に切り換えられたことが検出された場合に乗車動作が終了したとされる。このことから、ドア開センサ等により乗車動作終了検出部221が構成されると考えることができる。
メインスイッチ208がONからOFFに切り換えられた場合とドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切り換えられた場合との少なくとも一方の場合に、降車動作が開始されたとされる。このことから、メインスイッチ208、ドアロックセンサ等により降車動作開始検出部222が構成されると考えることができる。
ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられた場合には降車動作が終了したと考えられる。このことから、ドアロックセンサ等により降車動作終了検出部223が構成されると考えることができる。
【0018】
なお、本実施例においては、バッテリ230が設けられ、メインスイッチ208のON・OFFと関係なく、駆動回路を介して、リーンモータ52,リーンロックモータ100,リーン角制御ECU200,各センサ等に電力が供給可能とされている。
【0019】
また、本実施例においては、図7(a)に示すように、車高センサ214の各々によって検出された左右輪10,12の車高hL、hRの差に基づいてシーソーバー20の回動角度が検出され、回転角度センサ216によってリーンアクチュエータ50の出力軸58の中立位置からの回転角度θactが検出され、これらから車体16の傾斜角度であるリーン角θが検出される。この意味において、車高センサ214,回転角度センサ216等によりリーン角検出装置が構成されると考えることができる。
さらに、乗り物が停止状態にある場合の、横加速度センサ214の検出値に基づけば、乗り物の横方向の路面の傾斜角度が分かる。そして、乗り物が左右に傾斜した坂道に停止している場合には、横方向の路面の傾斜角度と、車体16のの路面の法線に対する傾斜角度とに基づけば、車体16の鉛直線に対する傾斜角度がわかる。
なお、乗り物がほぼ水平な路面に停止している場合には、車体16の鉛直線に対する傾斜角度と路面の法線に対する傾斜角度とは同じであると考えることができる。
【0020】
<車体傾斜装置の作動>
本実施例においては、車体16が、常時、安定な状態にあるように制御される。
図7(a)、(b)に示すように、乗り物の重心に作用する重力の作用線Fが、車輪10,12,14の路面に対する接地点を結んで定められる閉領域Rの内部で交差する場合に、乗り物は安定な状態にあるが、本実施例においては、作用線Fが交差する閉領域を、閉領域Rより狭い範囲で設定している。また、人の乗降時における閉領域(乗降時安定領域)Roと、人が離れた後の閉領域(空車時安定領域)Rfとが設定され、乗降時安定領域Roの方が空車時安定領域Rfより広くされている。さらに、閉領域Roも閉領域Rfも、閉領域Rの内部の、乗り物の標準積載状態(例えば、空車の状態)において、乗り物が水平な路面に停止している場合の乗り物の重心を通る鉛直線(重力の作用線)との交点Gt(平面視における重心)を含み、かつ、交点Gtがほぼ中心に位置する領域とされる。
一方、今回メインスイッチ208がOFFからONに切り換えられた時から現時点までの間の乗降検出装置210の検出結果に基づけば、乗り物の現時点の乗員の人数がわかり、乗り物全体(人を含む)の重心の高さ(位置)が分かる。重心は、人が乗車している状態においては空車状態における場合より高い。また、乗車している人数が多い場合は少ない場合より高くなる。さらに、本実施例においては、車体傾斜装置による車体の回動中心(20C)は、空車時の重心より低い位置に設定されている。
以上の情報に基づいて、本実施例においては、車体16の重心に作用する重力の作用線が、乗降時安定領域Ro、あるいは、空車時安定領域Rf内において交差するように、リーンモータ52が制御されるのであり、車体16の路面の法線に対する傾斜角度であるリーン角が制御される。
【0021】
乗り物が停止状態にある場合において人が降車する場合に、車体16が安定な姿勢に制御される。
その場合の一例を図8のフローチャートで表す。図8のフローチャートで表される降車中リーン角制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
ステップ1(S1と略称する。他のステップについても同様である)において、乗り物が停止中であるか否かが判定される。車速センサ206の検出値が停止状態にあるとみなし得る設定速度以下である場合には停止中であると判定される。また、S1が実行される場合には、メインスイッチ208のON・OFFは問わない。ONである場合もOFFである場合もある。乗り物が停止状態にある場合には、降車中リーン角制御中であるか否かが判定される。最初に、S2が実行された場合には、判定はNOとなるため、S3において、降車動作等の開始が検出されたか否かが判定される。降車動作開始検出部222によって降車動作の開始が検出された場合には、降車動作が開始されたと判定される。その場合には、S4において、降車中リーン角制御が行われる。上述のように、乗り物の重心に作用する重力の作用線が乗降中安定領域Roの内部で交差するように、リーン角が制御される。また、S5において、降車動作終了検出部223によって降車動作が終了したか否かが判定される。降車動作が終了する前においては、S1,2,5が繰り返し実行され、降車中リーン角制御が継続して行われるが、降車動作が終了した場合には、S6において、降車中リーン角制御が終了させられる。
S6のステップは不可欠ではなく、発明の理解を容易にするために設けたものである。
そして、メインスイッチ208がONからOFFに切り換えられたことによって、降車中リーン角制御が行われた場合において、S5の降車動作の終了時に、空車状態にある場合には、S6の実行後に、後述するように、リーンロックアクチュエータ100の制御により、リーンアクチュエータ50がロックされる。
また、S5の降車動作の終了時に、空車状態にない場合には、リーン角制御に用いられる重心位置の情報が修正され、その後、乗り物の状態に基づいてリーン角の制御が継続して行われる。さらに、ドアロックがアンロック状態に切り換えられたことに起因して降車中リーン角制御が開始された場合においても同様である。例えば、乗り物に複数の人が乗車している場合において、それらのうちの1人が降車した場合が該当する。重心の位置が修正された後に、リーン角の制御が継続して行われる。この場合のリーン角の制御については、本発明とは関係が無いため、説明を省略する。
【0022】
また、乗り物の停止状態において人が乗車する場合にも、車体16が安定な姿勢に制御されるようにすることができる。その場合の一例を図9のフローチャートで表す。
乗り物が停止状態にあり、乗車中リーン角制御が行われていない場合には、S11の判定がYESとなり、S12の判定がNOとなる。S13において、乗車動作開始検出部220によって乗車動作が開始されたか否かが判定される。乗車動作の開始が検出された場合には、S13の判定がYESとなり、S13aにおいて、リーンロックモータ100の作動により、リーンロックが解除され、S14において、リーンモータ52の制御により乗車中リーン角制御が行われる。この場合には、重心位置が空車時より高くされる。次に、S15において、乗車動作終了検出部221によって乗車動作の終了の有無が検出される。乗車動作が終了する前においては、S11,12,15が繰り返し実行され、乗車中リーン角制御が継続して行われる。乗車動作が終了した場合には、S16において、乗車中リーン角制御が終了させられる。その後、リーン角の制御が行われる。
なお、図9のフローチャートは、(i)空車状態において人が乗車する場合、(ii)乗員が存在する場合において、さらに、別の人が乗車する場合等に実行されるのであり、(i)の場合には、メインスイッチ208はOFFであると考えられるが、(ii)の場合には、メインスイッチ208がONである場合もある。
【0023】
次に、降車中リーン角制御後にリーンアクチュエータ50がロックされる場合について説明する。例えば、乗員が1人である乗り物において、メインスイッチ208のOFF状態にされたことに起因して降車中リーン角制御が行われた場合には、降車後、乗り物に人が乗車していない状態(空車状態)にあると考えられる。この場合には、車体16の姿勢を安定な姿勢に制御した後に、リーンアクチュエータ50をロックして、姿勢をロックすることが望ましい。その場合の一例を図10のフローチャートに基づいて説明する。
S21において、メインスイッチ208がON状態からOFF状態に切り換わったか否かが判定される。メインスイッチ208がONからOFFに切り換わった場合には、S22において、降車中リーン角制御が行われ、S23において、ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられたか否か(降車動作が終了したか否か)が判定される。降車動作の終了が検出されない場合には、S22、23が繰り返し実行され、降車中リーン角制御が継続して行われる。その後、ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換わった場合には、S24において、車体の姿勢が「空車状態における安定な姿勢」にあるか否かが判定される。乗り物の重力の作用線が閉領域Rfの内部において交差するか否かが判定されるのである。「空車状態における安定な姿勢」である場合には、S26においてリーンロックモータ100が作動させられ、リーンアクチュエータ50がその位置でロックされる。
それに対して、「空車状態における安定な姿勢」にない場合には、S25において、リーン角の制御が行われ、車体の姿勢が「空車状態における安定な姿勢」に制御され、S26において、リーンアクチュエータ50がロックされる。
その後、S27において、リーンモータ52が作動させられ、S28において、リーン角の変化量が設定量(0近傍の値)以下であるか否かが判定される。リーン角が殆ど変化しない場合には、S29において、リーンロックモータ100、リーンモータ52がOFFとされ、電源がOFFとされる。
それに対して、リーン角が設定量以上変化する場合には、リーン角の変化が非常に小さくなるまで、S27,28が繰り返し実行され、リーンモータ52の制御が継続して行われるようにすることができる。例えば、ロック部材72が凹部82に良好に係合していなかったことに起因して、リーン角が設定量以上変化する場合には、リーンモータ52を僅かに回転(両方向に回転)させることにより、ロック部材72を凹部82に良好に係合させることが可能となり、リーン角の変化を非常に小さくすることができる。
【0024】
このように、本実施例においては、メインスイッチ208がOFFとされた後に人の降車動作の終了が検出された場合には、乗り物が空車状態にあるとされて、車体16の姿勢が「空車状態における安定な姿勢」に制御され、その姿勢でリーンアクチュエータ50がロックされる。その結果、人が乗り物から離れても、空車状態において、車体16の姿勢を安定な状態で保持することができる。また、リーンアクチュエータ50のロック状態は、リーンロックモータ100に電流が供給されなくても維持されるため、消費電力の低減を図ることができる。
【0025】
なお、S24の実行前に空車状態にあるか否かが検出され、空車状態にある場合にS24以降が実行されるようにすることができる。乗り物が1人乗りである場合、あるいは、乗員が1人である場合には、空車状態にあると考えることができる。それに対して、乗員が複数である場合には空車状態にあるとは限らない。その場合には、アンロック状態からロック状態に切り換えられたドアロック装置の位置等に基づけば、空車状態にあるか否かがわかる。また、着座センサ等を設ければ、着座センサの検出値に基づいて乗員の人数を取得することができ、空車状態にあるか否かを検出することができる。
【0026】
また、乗降検出装置219は、上記実施例における態様に限定されない。
例えば、携帯キーとの間の通信が「無し」の状態から「有り」の状態に切り換わった場合、リーン角、車高の変化が大きくなった場合に、乗車動作が開始されたと検出されるようにすることができる。
また、携帯キーとの間の通信が「有り」の状態から「無し」の状態に切り換わった場合、メインスイッチ208がONからOFFに切り換わってから設定時間が経過した後に、降車動作が終了したと検出されるようにすることもできる。
さらに、携帯キーに乗車終了スイッチ、乗車開始スイッチ、降車開始スイッチ、降車終了スイッチを設け、これらスイッチの操作状態に基づいて、乗車の開始、終了、降車の開始、終了等が検出されるようにすることもできる。
さらに、乗り物に盗難防止装置が設けられ、乗り物あるいは携帯キーに、盗難防止装置のロック作動、解除作動を指示するためのスイッチが設けられた場合において、スイッチのロック作動指示操作が行われた場合に降車動作の開始、あるいは、終了が検出され、解除作動指示操作が行われた場合に乗車動作の開始、あるいは、終了が検出されるようにすることもできる。
【0027】
本実施例においては、リーン角制御ECU200の図8のフローチャートで表される降車中リーン角制御プログラム、図9のフローチャートで表される乗車中リーン角制御プログラム、図10のメインスイッチOFF後リーン角等制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により乗降中リーン角制御装置が構成される。そのうちの、降車中リーン角制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により降車中リーン角制御部が構成され、乗車中リーン角制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により乗車中リーン角制御部が構成され、S24,25を記憶する部分、実行する部分等により降車後リーンアクチュエータ制御部が構成され、S26を記憶する部分、実行する部分等により降車後リーンロック制御部、姿勢制御後リーンロック部が構成される。また、S13aを記憶する部分、実行する部分等により乗車検出後リーンロック解除部が構成される。
【実施例2】
【0028】
本実施例においては、メインスイッチ208がONからOFFにされた場合に、リーンアクチュエータ50がロックされる。メインスイッチ208のOFF時には、車体の姿勢が安定な姿勢に制御されており、その姿勢が、降車動作中にも安定な姿勢であることが予めわかっている場合には、リーンアクチュエータ50がメインスイッチ208がOFFにされた後に、ロックされても差し支えないのである。
S61において、メインスイッチ208がONからOFFに切り換わったか否かが判定され、切り換わった場合には、S62以降が実行される。
S62、63において、車速センサ206の検出値に基づき、車速が停止状態にあるとみなし得る設定速度以下であるか否か(ほぼ0であるか否か)が判定され、パーキングブレーキがONであるか否かがパーキングスイッチ212の状態に基づいて判定される。乗り物が停止状態にあり、かつ、パーキングブレーキが作用状態にある場合には、S64においてリーンロックモータ100が作動させられて、リーンアクチュエータ50がロックされる。それに対して、車速が設定速度より大きい場合にはS65において、そのことが報知され、パーキングブレーキが作用状態にない場合には、S66において、そのことが報知される。
【0029】
また、リーンロックされた後に、S67において、リーンモータ52が作動させられ、S68において、実際に、リーン角が変化するか否かが判定される。リーンロックされたにもかかわらずリーン角が変化する場合には、ロック部材72が凹部82に良好に係合していないと考えられるため、S67,68が繰り返し実行される。リーン角が殆ど変化しなくなった場合には、S69において、降車可能な状態になったこと、すなわち、車体16が安定な姿勢で確実にロックされたことが報知される。人は降車すると考えられる。その後、S70において、リーンモータ52、リーンロックモータ100がOFFとされる。
このように、本実施例において、メインスイッチ208がOFFにされた後に、車体の姿勢が安定な姿勢にあることが予めわかっている場合には、降車中リーン角制御が行われることなく、リーンアクチュエータ50がロックされるのであり、その分、消費電力の低減の大きな効果が得られる。
【0030】
なお、S62,63,65,66のステップは不可欠ではない。
また、リーンモータ52に電流が供給された場合において、リーン角が変化させられた場合には、S67,68が繰り返し実行されるが、設定時間が経過しても、リーン角の変化が小さくならなかった場合には、そのことが報知されるようにすることができる。
さらに、降車可能な状態になったことが報知され、ドアがアンロック状態からロック状態に切り換えられたことが検出された後に、リーンモータ52等がOFFにされるようにしてもよい。
また、車体傾斜装置において、シーソーバー20の形状は問わず、V字型、U字型を成したものとすることができる。
さらに、リーンアクチュエータ50は上記実施例におけるそれに限定されず、他の構造を成したものに適用することもできる。
その他、本発明は、上述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
10,12:車輪 16:車体 20:シーソーバー 50;リーンアクチュエータ 52;リーンモータ 58:出力軸 60;本体 62:リーンロック装置 72:ロック部材 76:リーンロックアクチュエータ 82:凹部 100:リーンロックモータ 102:駆動伝達ロッド 104:運動変換機構 122:スプリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも車体を左右方向に傾斜させる車体傾斜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットの本体を、車輪保持部に対して前後方向に傾斜させるロボット傾斜装置が記載されている。このロボット傾斜装置においては、ロボットを停止させる場合において、本体の姿勢が不安定である場合には、安定な姿勢に修正された後にその姿勢でリーンアクチュエータがロックされる。それにより、ロボットの停止状態において、本体を安定した姿勢で保持することが可能となる。
特許文献2には、乗り物の停止状態において車体の傾斜角度が安定な大きさに自動で修正される車体傾斜装置が記載されている。また、この車体傾斜装置においては、車両が停止状態にある場合、低速走行状態にある場合、旋回状態にある場合に、リーンアクチュエータが自動でロックされる。
特許文献3には、左右2輪を備えた乗り物において、乗り物の走行中に車体を安定な姿勢に制御し、停止した場合にその姿勢をロックする車体傾斜装置が記載されている。また、この車体傾斜装置においては、傾斜角度が角度許容範囲を超えた場合、傾斜角度の変化速度が角速度許容範囲を超えた場合、並進速度が速度許容範囲を超えた場合等の異常の場合に、リーンアクチュエータが自動でロックされる。
特許文献4には、運転者の操作により、リーンアクチュエータをロックできる車体傾斜装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−241169号公報
【特許文献2】特表2008−505797号公報
【特許文献3】特開2009−214670号公報
【特許文献4】特開2007−191128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、車体傾斜装置の改良であり、例えば、人の乗車中と降車中との少なくとも一方の場合に、車体の安定性を向上させることである。
【課題を解決するための手段および効果】
【0005】
本願発明に係る車体傾斜装置は、車両の停止状態において人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、車体を安定な姿勢に制御するリーン制御装置を含むものとされる。
このように、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、車体が安定な姿勢に制御されるため、車体の安定性を向上させることができる。
【特許請求可能な発明】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素を、以下の各項に記載されたもの、各項を任意に組み合わせたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
(1)車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記車両に、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記車体を安定な姿勢に制御する乗降中リーン制御装置と
を含む車体傾斜装置。
リーンアクチュエータは、車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるものであるが、車体の左右方向の傾斜に伴って車輪も左右方向に傾斜させるものであっても傾斜させないものであってもよい。車輪が左右方向に傾斜させられる場合において、その傾斜角度は車体の傾斜角度と同じであっても異なっていてもよい。
車体を安定な姿勢に制御するとは、車体の姿勢が、(a)目標姿勢で決まる設定範囲内の姿勢となるように制御すること、(b)目標姿勢となるように制御すること、(c)車体の路面の法線に対する傾斜角度が設定角度以下にあるように制御すること、(d)車体の鉛直線に対する傾斜角度が設定角度以下にあるように制御すること、(e)車両全体(人も含める)の重心を通る重力の作用線が、車両の車輪の路面に対する接地点を結んで決まる閉領域の内部の予め定められた領域と交差する姿勢であるように制御すること等が該当する。また、車体の姿勢の変化が設定範囲内にあるように制御すること等も該当する。
車体の左右方向の傾斜角度は、車体を規定する上下方向線{車両の標準積載状態(例えば、空車の状態)において、車両が水平な路面に停止している場合の車両上の点(例えば、車両の重心、車体の左右方向の中点)を通る鉛直線}の、路面の法線との間の角度をいう。また、車体の路面の法線に対する傾斜角度と、車両が存在する路面の勾配(左右方向の傾斜角度)とに基づけば、車体の鉛直線に対する傾斜角度を取得することができる。
さらに、車輪の傾斜角度とは、車輪の回転面を規定する上下方向線(上述の状態において、車輪の回転面内の路面との接点を通り、かつ、直径方向に延びる線)と路面の法線との間の角度をいう。
なお、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合には、車両が停止状態にあっても走行状態にあってもよい。例えば、車両の走行中に人が乗車、降車した場合であっても、車体が安定な姿勢に制御されるようにすることができる。
また、リーンアクチュエータの構造については問わない。
(2)前記リーン制御装置が、(a)人が降車する可能性が高いこと、人が降車する意図があると考えられること、人の降車動作が開始されたこととのうちの少なくとも1つを検出する降車動作開始検出装置と、(b)人が降車した可能性が高いこと、人の降車動作が終了したことのうちの少なくとも一方を検出する降車動作終了検出装置との少なくとも一方を含む。
例えば、車両のメインスイッチがONからOFFに切り換えられたこと、ドアに設けられたドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切り換えられたこと、ドアが閉状態から開状態に切り換えられたこと等の場合に、人が降車する可能性が高いこと、人が降車する意図があると考えられること、人の降車動作が開始されることとの少なくとも1つであると考えることができる。
また、上述の降車動作の開始等が検出された後に、ドアが開状態から閉状態に切り換えられたこと、ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられたこと、着座している状態から着座していない状態に切り換えられたこと、センサ携帯キーからの信号が受信されなくなったこと、メインスイッチがONからOFFに切り換えられてから設定時間が経過したこと等の場合には、人が降車した可能性が高いこと、人の降車動作が終了したこととのうちの少なくとも一方であると考えることができる。
さらに、(a)携帯キーに降車終了スイッチが設けられた場合において、その降車終了スイッチがON操作されたこと、(b)車両に盗難防止機構が設けられた場合において、その盗難防止機構のロック作動を指示したり、ロック解除を指示したりするスイッチ(車体の外側や携帯キーに設けられる)のロック作動指示操作が行われたこと等が検出された場合にも降車動作が終了したと考えることができる。
なお、降車開始スイッチが車両の車室内に設けられた場合において、その降車開始スイッチの操作により降車動作の開始が検出されるようにすることもできる。
これらは、ドアロック装置を備えていない車両に適用することが有効であるが、ドアロック装置を備えた車両に適用することも可能であり、降車動作の開始、終了が複数の情報に基づいて検出されるようにすれば、より正確に、降車動作の開始、終了を検出することができる。
また、人の降車には、1人乗りの車両において1人が降車した場合、複数人乗りの車両においてそのうちの1人が降車した場合、複数人乗りの車両においてすべての人が降車した場合のうちの1つ以上が含まれる。乗車についても同様とする。
(3)前記リーン制御装置が、(a)人が乗車する可能性が高いこと、人が乗車する意図があると考えられること、人の乗車動作が開始されたことのうちの少なくとも1つを検出する乗車動作開始検出装置と、(b)人が乗車した可能性が高いこと、人の乗車動作が終了したことのうちの少なくとも一方を検出する乗車動作終了検出装置との少なくとも一方を含む。
例えば、メインスイッチがOFFからONに切り換えられる前に、ドアが閉状態から開状態に切り換えられたこと、ドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切り換えられたこと、携帯キーとの間の通信が開始された(通信がない状態から有る状態に切りかわった)こと、リーン角の変化、あるいは、車高の変化が急激に大きくなったこと等の場合には人が乗車する可能性が高いこと(乗車動作が開始される可能性が高いこと)、乗車する意図があると考えられること、乗車動作が開始されたことのうちの少なくとも1つであると考えることができる。
また、上述のように乗車開始等が検出された後に、人が着座したこと、ドアが開状態から閉状態に切り換えられたこと等が検出された場合には人が乗車した可能性が高いこと、乗車動作が終了したこととの少なくとも一方であると考えることができる。
さらに、携帯キーに乗車開始スイッチが設けられた場合において、その乗車開始スイッチがON操作されたこと、盗難防止機構のスイッチが解除指示操作された場合にも乗車動作が開始されると考えることができる。
(4)前記乗降中リーン制御装置が、車両のメインスイッチのOFF状態において、前記車体の傾斜角度を制御するOFF中制御部を含む。
降車動作、乗車動作はメインスイッチのOFF状態において行われることが多い。
(5)前記乗降中リーン制御装置が、前記車両から人が降車する間、前記リーンアクチュエータを制御する降車中リーン制御部を含むものとすることができる。
人が降車する間とは、降車動作が開始されてから降車動作が終了するまでの期間をいう。
(6)前記降車中リーン制御部は、前記リーンアクチュエータの制御を、前記車両のメインスイッチがONからOFFに切り換えられた時に開始し、前記車両に設けられたドアをロックするドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられた時に終了するものとすることができる。
(7)当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記降車中リーン制御部による制御が終了した後に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータをロックする降車後リーンロック制御部とを含むものとすることができる。
人の降車中に、車両の姿勢が安定な姿勢に制御されるため、降車中制御が終了した後に、車体は安定した姿勢にあると推測することができる。そのため、車体が、その姿勢で保持されれば、人が降車した後に車体を安定な姿勢に保持することができる。
また、降車中リーン制御が終了した後に、車体の姿勢が安定な姿勢であるか否かを確認し、その後に、ロックすることもできる。
なお、リーンロックアクチュエータの構造は問わない。
(8)当該車体傾斜装置が、前記降車中リーン制御部による制御が終了した時に、前記車両の姿勢が目標姿勢範囲内にない場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記目標姿勢範囲内の姿勢とする降車後リーンアクチュエータ制御部を含み、前記降車後リーンロック制御部が、前記降車後リーンアクチュエータ制御部による制御後に、前記リーンアクチュエータをロックする姿勢制御後ロック制御部を含むものとすることができる。
車体の安定な姿勢は、人の降車中と、人が降車した後(例えば、空車の状態)とで異なる姿勢とすることができる。例えば、降車中においては、車両の重心に作用する重力の作用線が予め定められた領域内において交差する場合に安定な姿勢であるとされる場合に、降車後においては、その領域を狭くすることができる。その場合には、降車中リーン制御部による制御が終了した後に、姿勢制御が行われ、その後にロックされる。例えば、車両の近傍に人がいない場合であっても、車体を安定な姿勢で保持することができる。
(9)前記リーンロックアクチュエータが、電力が供給されなくても、リーンアクチュエータをロック状態に保持するものである。
リーンロックアクチュエータにおいては、電力を消費することなく、車体の姿勢を保持することができる。
なお、リーンロックアクチュエータを、ロック作動時に電力が消費されるが、その後に電力を供給しなくてもロック作用状態に保持し得るものとすることができる。また、リーンロックアクチュエータは、解除作動時に電力が消費されるが、その後、電力が消費されることなくロック解除状態に保持し得るものとすることもできる。
(10)当該車体傾斜装置が、前記リーンロックアクチュエータを作動させて前記リーンアクチュエータをロックした後に、前記リーンアクチュエータに電力を供給して、前記車体の傾斜角度が変化しないことを確認するロック確認装置を含む。
例えば、リーンアクチュエータを、車体の傾斜角度が変化させるような電力を供給したにもかかわらず、傾斜角度検出装置による検出値の変化量が0近傍の設定値以下である場合に、リーンアクチュエータはロックされたと確認することができる。また、リーンアクチュエータのロックを確認した後に、リーンアクチュエータ、リーンロックアクチュエータをOFFにすることが望ましい。
なお、実施例において詳述するように、リーンロックアクチュエータがロック作動させられた後に、車体の傾斜角度が変化する場合には、リーンアクチュエータの修正作動を行うことが望ましい。例えば、リーンアクチュエータの出力軸を微小角度回転させて、ロック部材が出力軸に確実に係合するように修正することができる。
(11)当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記車両に人が乗車したことが検出された場合に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータのロックを解除する乗車検出後リーンロック解除部とを含み、前記乗降中リーン制御装置が、前記乗車検出後リーンロック解除部によって前記リーンアクチュエータのロックが解除された後、前記車両に人が乗車する間、前記リーンアクチュエータを制御する乗車中リーン制御部を含むものとすることができる。
乗車中(乗車動作中)にも、車体を安定な姿勢に制御することができる。なお、メインスイッチがONからOFFに切り換えられた後に、リーンアクチュエータはロックされるため、乗車前には、リーンアクチュエータはロック状態にある。そのため、乗車動作の開始が検出されて、ロックが解除された後に、リーンアクチュエータが制御される。
(12)前記リーンロックアクチュエータが、前記リーンアクチュエータの複数の予め定められた位置のうちの任意の位置でロックするものである。
複数の位置は、リーンアクチュエータの出力軸の回転範囲内を等間隔で区切った各々の位置とすることができる。
(13)当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンロックアクチュエータと、(b)前記リーンロックアクチュエータにより退避位置と作用位置とに移動させられる少なくとも1つのロック部材と、(c)前記少なくとも1つのロック部材を前記作用位置に付勢する付勢部材とを備えたリーンロック装置を含む。
ロック部材の作用位置において、リーンアクチュエータの出力軸と係合し、出力軸の回転が阻止される。また、ロック部材は、付勢部材により作用位置に保持されるのであり、出力軸のロック状態が保持される。
(14)前記リーンアクチュエータの出力軸が、外周面に形成された複数の凹部を含み、前記少なくとも1つのロック部材の各々が、前記作用位置において、前記複数の凹部のうちの少なくとも1つに、それぞれ、係合可能に保持される。
ロック部材は1つであっても2つ以上であってもよい。
(15)前記リーンロックアクチュエータが、(a)電動モータと、(b)電動モータの駆動力をロック部材に伝達する駆動伝達部材と、(c)電動モータの回転軸の回転を前記駆動伝達部材の直線移動に変換するとともに、前記電動モータの駆動力を前記駆動伝達部材に伝達する運動変換機能付き駆動伝達装置とを含み、前記付勢部材が、前記駆動伝達部材と前記ロック部材との間に配設されたコイルスプリングである。
電動モータの駆動力は、駆動伝達装置を介して駆動伝達部材に伝達され、ロック部材に加えられる。
駆動伝達部材が退避位置に向かって移動させられると、コイルスプリングが伸ばされ、それにより、ロック部材が退避位置へ移動させられ、保持される。ロック部材の退避位置において、コイルスプリングは自然長にあると考えられる。
また、駆動伝達部材が作用位置に向かって移動させられると、コイルスプリングが圧縮させられ、ロック部材が作用位置へ移動させられ、保持される。ロック部材には、コイルスプリングにより作用位置に向かう付勢力が加えられる。
(16)車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記リーンアクチュエータの作動を阻止する作動阻止状態と、作動を許容する作動許容状態とに切り換え可能なリーンロックアクチュエータと、
前記車両のドアに設けられたドアロック装置と、
前記車両のメインスイッチがOFF状態にあり、かつ、前記ドアロック装置がロック状態にある場合に、前記リーンアクチュエータの作動が阻止され、前記メインスイッチがON状態にある場合と前記ドアロック装置がアンロック状態にある場合との少なくとも一方の場合に、前記リーンアクチュエータの作動が許容されるように、前記リーンロックアクチュエータを制御するリーンロック制御装置と
を含むことを特徴とする車体傾斜装置。
本項に記載の車体傾斜装置には、(1)項から(15)項のうちのいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
なお、メインスイッチがOFF状態にあり、前記ドアロック装置がロック状態にあり、かつ、空車状態(人が乗車していない状態)にある場合に、リーンアクチュエータが作動阻止状態とされるように、リーンロックアクチュエータが制御されるようにすることもできる。
(17)車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、
前記車両のメインスイッチがON状態からOFF状態に切り換えられた後、前記車体が安定した姿勢にある場合に、前記リーンロックアクチュエータを作動させて、前記リーンアクチュエータをロックするOFF後ロック制御部と
を含むことを特徴とする車体傾斜装置。
本項に記載の車体傾斜装置には、(1)項から(16)項のうちのいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
リーンロックアクチュエータが電力が供給されなくても、リーンアクチュエータをロック状態に保持し得るものである場合には、メインスイッチがOFFにされた後に、電力が消費されることなく、リーンアクチュエータをロック状態に保持することができる。
(18)当該車体傾斜装置が、長手形状を成し、車両の幅方向に離間して設けられた左側車輪および右側車輪を、それぞれ、上下方向の相対移動を許容する状態で保持する左右輪保持部材を含み、前記リーンアクチュエータが、前記左右輪保持部材と前記車両の車体との間に設けられ、それら前記左右輪保持部材と前記車体とを相対回動させることにより、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させる回動型アクチュエータである。
リーンアクチュエータは、電力の供給により作動させられるが、電力が供給されない場合に、(a)車体を傾斜させようとする外力が作用した場合に、その外力によって、車体の傾斜を許容するものであっても、(b)外力による車体の傾斜を許容しないものであってもよい。いずれにしても、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合には、リーンアクチュエータが制御される。(b)の場合には、リーンロックアクチュエータは不可欠ではない。
(19)前記リーンアクチュエータの出力軸が前記左右輪保持部材に固定され、かつ、前記リーンアクチュエータの本体に前記車体が固定された。
左右輪保持部材は、左側車輪と右側車輪とを連結するものであり、左右輪保持部材に加えられる荷重が、左側車輪と右側車輪とに分配される。その意味において、左右輪保持部材を、左右輪連結部材、シーソー部材と称することができる。
(20)前記左右輪保持部材は、前記車両の幅方向に直線状に延びた左右輪保持バーとすることができる。
(21)前記左右輪保持部材は、前記車両の正面から見た場合に湾曲した形状を成したものとすることができる。
左右輪保持部材は、車両の幅方向に延びた長手形状を成したものであるが、直線形状を成したものであっても、湾曲形状を成したものであってもよい。湾曲形状を成したものとしては、例えば、V字形状、U字形状を成したものが該当する。左右輪保持部材は、一体的に製造された部材であり、剛体とするのが普通である。
(22)前記リーンアクチュエータが、電動モータと減速器とを含むものとすることができる。
減速器を設けることは不可欠ではないが、減速器を設けた方が、電動モータの設計の自由度を向上させることができる。電動モータはリーンモータと称することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1に係る車体傾斜装置全体を示す概略図である。
【図2】上記実施例に係る車体傾斜装置を含む乗り物の正面図(一部断面図)である。
【図3】上記乗り物のサスペンションを示す概略図である。
【図4】上記車体傾斜装置に含まれるリーンアクチュエータを概略的に示す図である。
【図5】上記車体傾斜装置に含まれるリーンロック装置のI−I断面図(図1のI−I断面図)である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】(a)上記車体傾斜装置が搭載された車両の車体が傾斜した姿勢をを示す図である。(b)重力の作用線が交差する領域を概念的に示す図である。
【図8】上記リーン角制御ECUの記憶部に記憶された降車中リーン角制御プログラムを表すフローチャートである。
【図9】上記記憶部に記憶された乗車中リーン角制御プログラムを表すフローチャートである。
【図10】上記記憶部に記憶されたメインスイッチOFF後リーン等制御プログラムを表すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2に係る車体傾斜装置のリーン角制御ECUの記憶部に記憶された別のメインスイッチOFF後リーンロック制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【発明の実施の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態としての車体傾斜装置について説明する。
車体傾斜装置は、図2に示す車両としての乗り物に搭載される。乗り物は、左右前輪10,12と1つの後輪14とを含み、左右前輪10,12と車体16との間に車体傾斜装置が設けられる。
なお、車体傾斜装置は、左右前輪と左右後輪とを含む4輪の乗り物に搭載したり、1つの前輪と左右後輪とを含む3輪の乗り物に搭載したりすることができる。車体傾斜装置は、左右後輪と車体との間に設けることもできる。
【実施例1】
【0010】
<シーソーバー>
車体傾斜装置は、図1に示すように、左右輪保持部材としてのシーソーバー20を含む。シーソーバー20は、長手形状を成した一体的な部材であり、剛体とされることが多い。シーソーバー20は、乗り物の左右方向(幅方向)に伸びたものであり、それの中間部(本実施例において、長手方向の中点)20Cにおいて、車体16に相対回動可能に保持され、左側端部20L,右側端部20Rにおいて、それぞれ、左前輪10,右前輪12を伸縮可能に保持する。
左前輪10,右前輪12は、それぞれ、サスペンション22を介して車体16に保持される。サスペンション22は、それぞれ、ロアアームとしてのリーディングアーム30と、ストラット32とを含む。リーディングアーム30は、左右前輪10,12を相対回転可能に保持する車輪保持部34の下部に連結され、ストラット32は、車輪保持部34の上部に連結されるのであり、これらリーディングアーム30とストラット32とは、車輪保持部34の互いに離間した位置に連結される。
リーディングアーム30は、一端部において、車輪保持部34にボールジョイントを介して相対回動可能に連結されるとともに、他端部において、車体16に左右方向に延びる軸線回りに揺動可能に保持される。ストラット32は、互いに並列に配設されたショックアブソーバ36とスプリング38とを含み、一端部において車輪保持部34に固定されるとともに、他端部がシーソーバー20の左側端部20L,右側端部20Rにおいて、それぞれ、ピン40L,Rによって前後方向に延びる軸線回りに相対回動可能に保持される。このように、ストラット32は、シーソーバー20を介して車体16に保持されるのであり、ストラット32とシーソーバー20のアーム(中点20Cと左側、右側端部20L,Rとの間の各々の部分)とによってアッパアームが構成されると考えることができる。
本実施例においては、ロアアームがリーディングアーム30とされているため、左右前輪10,12の間にスペースを確保することができ、例えば、乗り物のペダル操作装置等の設置が容易となる。
【0011】
<リーンアクチュエータ>
車体傾斜装置は、シーソーバー20と車体16との間に設けられたリーンアクチュエータ50を含む。
リーンアクチュエータ50は、図4に示すように、電動モータであるリーンモータ52,減速器54を含む。また、リーンアクチュエータ50の出力軸58としての回転軸は、ハウジング60(図1参照)の内側に相対回転可能に保持される。リーンアクチュエータ50において、電動モータ52の出力軸の回転速度が減速器54によって減速されて、出力されるのであるが、その出力軸58がシーソーバー20に固定される(相対回転不能に嵌合される)。リーンアクチュエータ50の出力軸58は、乗り物の前後方向に伸びた軸線Aと平行に伸びたものであり、ハウジング60も同様に、軸線Aと平行に伸びたものである。ハウジング60は、図1に示すように車体16に固定される(相対回動不能に設けられる)。
そのため、リーンアクチュエータ50の出力軸58の回転により、シーソーバー20と車体16とが相対回動させられるのであり、シーソーバー20は、前後方向に延びた軸線A回りに車体16に対して相対回動させられる。
【0012】
<リーンロック装置>
車体傾斜装置は、リーンアクチュエータ50の出力軸58に設けられたリーンロック装置62を含む。
リーンロック装置62は、図5に示すように、(a)ハウジング70と、(b)1つのロック部材72と、(c)リーンロックアクチュエータ74とを含む。一方、出力軸58の外周部には概して円環状のフランジ80が相対回転不能に嵌合され、フランジ80の外周部には、複数の凹部82が等位相で形成される。凹部82はロック部材72と係合可能とされている。
【0013】
ハウジング70は、複数の部材から構成されるものであり、ハウジング60を把持する状態で設けられる。ハウジング70とハウジング60とは互いに相対回動不能に設けられるのであり、これらは一体的に設けられたとみなすことができる。
ハウジング70には、ハウジング60の内周側に設けられた貫通穴90に連通し、かつ、半径方向に延びたガイド穴92が形成され、ロック部材72が摺動可能に嵌合される。ロック部材72は出力軸58の回転方向と交差する姿勢で、出力軸58の凹部82と係合する作用位置と、出力軸58の凹部82から離間する退避位置との間を、軸線B方向に相対移動可能に保持される。ロック部材72は、先端部94において、凹部82に係合可能とされている。
【0014】
リーンロックアクチュエータ74は、図6に示すように、電動モータであるリーンロックモータ100と、前記ロック部材72に駆動力を付与する駆動伝達ロッド102と、リーンロックモータ100の回転を直線移動に変換して駆動伝達ロッド102に伝達する駆動伝達装置104とを含む。駆動伝達装置104は、一対のウォーム110およびウォームホイール112と、ねじ機構114とを含み、ウォーム110にはリーンロックモータ100の出力軸が相対回転不能に嵌合される(固定される)。ウォームホイール112の内周側には駆動伝達ロッド102が配設されるが、駆動伝達ロッド102とウォームホイール112との間にはねじ機構114が設けられ、ウォームホイール112の回転に伴って駆動伝達ロッド102が直線的に移動可能とされている。ウォームホイール112は、ハウジング70に軸線B方向に相対移動不能、かつ、相対回転可能に保持され、駆動伝達ロッド102は、ハウジング70に、相対回転不能、かつ、軸線B方向に相対移動可能に保持される。
駆動伝達ロッド102には駆動力伝達プレート120が軸線B方向に相対移動不能に設けられ(固定され)、駆動力伝達プレート120とロック部材72との間にスプリング122が設けられる。スプリング122は、圧縮状態において、ロック部材72を作用位置に向かう方向に付勢力を付与するが、伸長状態において(自然長より伸長することにより)ロック部材72を退避位置に引き込む付勢力を付与する。スプリング122の内周側にはロッド124が配設されるが、ロッド124により、スプリング122の径方向の変形および座屈等が防止される。
【0015】
図示する作用位置から、リーンロックモータ100が回転させられると、駆動伝達ロッド102(駆動力伝達プレート120)が、スプリング122の付勢力に抗して後退させられる。ロッド部材72と駆動力伝達プレート120との間の距離が大きくなることにより、スプリング122が伸長させられ、ロック部材72が退避位置へ引き込まれる。スプリング122は自然長にあり、リーンロックモータ100に電流を供給しなくても、ロック部材72は退避位置で保持される。符号126は、ロック部材72の後退端位置を規定するストッパを示す。
リーンロックモータ100が上述の場合と逆方向に回転させられると、駆動伝達ロッド102(駆動力伝達プレート120)が前進させられ、スプリング122が圧縮させられ、ロック部材72が作用位置に移動させられる。リーンロックモータ100に電流を供給しなくても、ロック部材72はスプリング122の付勢力により作用位置に保持される。
【0016】
<ECU>
車体傾斜装置には、図4に示すように、リーン角制御ECU200が設けられる。リーン角等制御ECU200は、コンピュータを主体とするものであり、入出力部、記憶部、実行部等が含まれる。また、入出力部には、乗り物の走行速度Vを検出する車速センサ206、乗り物のメインスイッチ208、乗降検出装置210、図示しないパーキングブレーキが作用状態にあるか否かを検出するパーキングスイッチ212、左右輪10,12に対応してそれぞれ設けられ、車輪10,12とシーソーバー20との間の上下方向の距離である車高を検出する車高センサ214、リーンアクチュエータ50の出力軸58の中立位置からの回転角度を検出する回転角度センサ216、乗り物の横方向の加速度を検出する横加速度センサ218等が接続されるとともに、リーンモータ52、リーンロック装置62のリーンロックモータ100等が、それぞれ、駆動回路を介して接続される。
【0017】
乗降検出装置210は、乗り物に設けられたドアが開状態にあるか否かを検出するドア開センサ、ドアに設けられたドアロック装置がロック状態にあるかアンロック状態にあるかを検出するドアロックセンサ、メインスイッチ208等を含む。乗り物にドアが複数設けられる場合には、複数のドアの各々に、ドア開センサ、ドアロックセンサが設けられる。
ドアロックセンサによりロック状態からアンロック状態に切り換えられたことが検出された場合に、乗車動作が開始されたとされる。このことから、ドアロックセンサ等により乗車動作開始検出部220が構成されると考えることができる。
乗車動作の開始が検出された後、ドア開センサによりドアが開状態から閉状態に切り換えられたことが検出された場合に乗車動作が終了したとされる。このことから、ドア開センサ等により乗車動作終了検出部221が構成されると考えることができる。
メインスイッチ208がONからOFFに切り換えられた場合とドアロック装置がロック状態からアンロック状態に切り換えられた場合との少なくとも一方の場合に、降車動作が開始されたとされる。このことから、メインスイッチ208、ドアロックセンサ等により降車動作開始検出部222が構成されると考えることができる。
ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられた場合には降車動作が終了したと考えられる。このことから、ドアロックセンサ等により降車動作終了検出部223が構成されると考えることができる。
【0018】
なお、本実施例においては、バッテリ230が設けられ、メインスイッチ208のON・OFFと関係なく、駆動回路を介して、リーンモータ52,リーンロックモータ100,リーン角制御ECU200,各センサ等に電力が供給可能とされている。
【0019】
また、本実施例においては、図7(a)に示すように、車高センサ214の各々によって検出された左右輪10,12の車高hL、hRの差に基づいてシーソーバー20の回動角度が検出され、回転角度センサ216によってリーンアクチュエータ50の出力軸58の中立位置からの回転角度θactが検出され、これらから車体16の傾斜角度であるリーン角θが検出される。この意味において、車高センサ214,回転角度センサ216等によりリーン角検出装置が構成されると考えることができる。
さらに、乗り物が停止状態にある場合の、横加速度センサ214の検出値に基づけば、乗り物の横方向の路面の傾斜角度が分かる。そして、乗り物が左右に傾斜した坂道に停止している場合には、横方向の路面の傾斜角度と、車体16のの路面の法線に対する傾斜角度とに基づけば、車体16の鉛直線に対する傾斜角度がわかる。
なお、乗り物がほぼ水平な路面に停止している場合には、車体16の鉛直線に対する傾斜角度と路面の法線に対する傾斜角度とは同じであると考えることができる。
【0020】
<車体傾斜装置の作動>
本実施例においては、車体16が、常時、安定な状態にあるように制御される。
図7(a)、(b)に示すように、乗り物の重心に作用する重力の作用線Fが、車輪10,12,14の路面に対する接地点を結んで定められる閉領域Rの内部で交差する場合に、乗り物は安定な状態にあるが、本実施例においては、作用線Fが交差する閉領域を、閉領域Rより狭い範囲で設定している。また、人の乗降時における閉領域(乗降時安定領域)Roと、人が離れた後の閉領域(空車時安定領域)Rfとが設定され、乗降時安定領域Roの方が空車時安定領域Rfより広くされている。さらに、閉領域Roも閉領域Rfも、閉領域Rの内部の、乗り物の標準積載状態(例えば、空車の状態)において、乗り物が水平な路面に停止している場合の乗り物の重心を通る鉛直線(重力の作用線)との交点Gt(平面視における重心)を含み、かつ、交点Gtがほぼ中心に位置する領域とされる。
一方、今回メインスイッチ208がOFFからONに切り換えられた時から現時点までの間の乗降検出装置210の検出結果に基づけば、乗り物の現時点の乗員の人数がわかり、乗り物全体(人を含む)の重心の高さ(位置)が分かる。重心は、人が乗車している状態においては空車状態における場合より高い。また、乗車している人数が多い場合は少ない場合より高くなる。さらに、本実施例においては、車体傾斜装置による車体の回動中心(20C)は、空車時の重心より低い位置に設定されている。
以上の情報に基づいて、本実施例においては、車体16の重心に作用する重力の作用線が、乗降時安定領域Ro、あるいは、空車時安定領域Rf内において交差するように、リーンモータ52が制御されるのであり、車体16の路面の法線に対する傾斜角度であるリーン角が制御される。
【0021】
乗り物が停止状態にある場合において人が降車する場合に、車体16が安定な姿勢に制御される。
その場合の一例を図8のフローチャートで表す。図8のフローチャートで表される降車中リーン角制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
ステップ1(S1と略称する。他のステップについても同様である)において、乗り物が停止中であるか否かが判定される。車速センサ206の検出値が停止状態にあるとみなし得る設定速度以下である場合には停止中であると判定される。また、S1が実行される場合には、メインスイッチ208のON・OFFは問わない。ONである場合もOFFである場合もある。乗り物が停止状態にある場合には、降車中リーン角制御中であるか否かが判定される。最初に、S2が実行された場合には、判定はNOとなるため、S3において、降車動作等の開始が検出されたか否かが判定される。降車動作開始検出部222によって降車動作の開始が検出された場合には、降車動作が開始されたと判定される。その場合には、S4において、降車中リーン角制御が行われる。上述のように、乗り物の重心に作用する重力の作用線が乗降中安定領域Roの内部で交差するように、リーン角が制御される。また、S5において、降車動作終了検出部223によって降車動作が終了したか否かが判定される。降車動作が終了する前においては、S1,2,5が繰り返し実行され、降車中リーン角制御が継続して行われるが、降車動作が終了した場合には、S6において、降車中リーン角制御が終了させられる。
S6のステップは不可欠ではなく、発明の理解を容易にするために設けたものである。
そして、メインスイッチ208がONからOFFに切り換えられたことによって、降車中リーン角制御が行われた場合において、S5の降車動作の終了時に、空車状態にある場合には、S6の実行後に、後述するように、リーンロックアクチュエータ100の制御により、リーンアクチュエータ50がロックされる。
また、S5の降車動作の終了時に、空車状態にない場合には、リーン角制御に用いられる重心位置の情報が修正され、その後、乗り物の状態に基づいてリーン角の制御が継続して行われる。さらに、ドアロックがアンロック状態に切り換えられたことに起因して降車中リーン角制御が開始された場合においても同様である。例えば、乗り物に複数の人が乗車している場合において、それらのうちの1人が降車した場合が該当する。重心の位置が修正された後に、リーン角の制御が継続して行われる。この場合のリーン角の制御については、本発明とは関係が無いため、説明を省略する。
【0022】
また、乗り物の停止状態において人が乗車する場合にも、車体16が安定な姿勢に制御されるようにすることができる。その場合の一例を図9のフローチャートで表す。
乗り物が停止状態にあり、乗車中リーン角制御が行われていない場合には、S11の判定がYESとなり、S12の判定がNOとなる。S13において、乗車動作開始検出部220によって乗車動作が開始されたか否かが判定される。乗車動作の開始が検出された場合には、S13の判定がYESとなり、S13aにおいて、リーンロックモータ100の作動により、リーンロックが解除され、S14において、リーンモータ52の制御により乗車中リーン角制御が行われる。この場合には、重心位置が空車時より高くされる。次に、S15において、乗車動作終了検出部221によって乗車動作の終了の有無が検出される。乗車動作が終了する前においては、S11,12,15が繰り返し実行され、乗車中リーン角制御が継続して行われる。乗車動作が終了した場合には、S16において、乗車中リーン角制御が終了させられる。その後、リーン角の制御が行われる。
なお、図9のフローチャートは、(i)空車状態において人が乗車する場合、(ii)乗員が存在する場合において、さらに、別の人が乗車する場合等に実行されるのであり、(i)の場合には、メインスイッチ208はOFFであると考えられるが、(ii)の場合には、メインスイッチ208がONである場合もある。
【0023】
次に、降車中リーン角制御後にリーンアクチュエータ50がロックされる場合について説明する。例えば、乗員が1人である乗り物において、メインスイッチ208のOFF状態にされたことに起因して降車中リーン角制御が行われた場合には、降車後、乗り物に人が乗車していない状態(空車状態)にあると考えられる。この場合には、車体16の姿勢を安定な姿勢に制御した後に、リーンアクチュエータ50をロックして、姿勢をロックすることが望ましい。その場合の一例を図10のフローチャートに基づいて説明する。
S21において、メインスイッチ208がON状態からOFF状態に切り換わったか否かが判定される。メインスイッチ208がONからOFFに切り換わった場合には、S22において、降車中リーン角制御が行われ、S23において、ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられたか否か(降車動作が終了したか否か)が判定される。降車動作の終了が検出されない場合には、S22、23が繰り返し実行され、降車中リーン角制御が継続して行われる。その後、ドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換わった場合には、S24において、車体の姿勢が「空車状態における安定な姿勢」にあるか否かが判定される。乗り物の重力の作用線が閉領域Rfの内部において交差するか否かが判定されるのである。「空車状態における安定な姿勢」である場合には、S26においてリーンロックモータ100が作動させられ、リーンアクチュエータ50がその位置でロックされる。
それに対して、「空車状態における安定な姿勢」にない場合には、S25において、リーン角の制御が行われ、車体の姿勢が「空車状態における安定な姿勢」に制御され、S26において、リーンアクチュエータ50がロックされる。
その後、S27において、リーンモータ52が作動させられ、S28において、リーン角の変化量が設定量(0近傍の値)以下であるか否かが判定される。リーン角が殆ど変化しない場合には、S29において、リーンロックモータ100、リーンモータ52がOFFとされ、電源がOFFとされる。
それに対して、リーン角が設定量以上変化する場合には、リーン角の変化が非常に小さくなるまで、S27,28が繰り返し実行され、リーンモータ52の制御が継続して行われるようにすることができる。例えば、ロック部材72が凹部82に良好に係合していなかったことに起因して、リーン角が設定量以上変化する場合には、リーンモータ52を僅かに回転(両方向に回転)させることにより、ロック部材72を凹部82に良好に係合させることが可能となり、リーン角の変化を非常に小さくすることができる。
【0024】
このように、本実施例においては、メインスイッチ208がOFFとされた後に人の降車動作の終了が検出された場合には、乗り物が空車状態にあるとされて、車体16の姿勢が「空車状態における安定な姿勢」に制御され、その姿勢でリーンアクチュエータ50がロックされる。その結果、人が乗り物から離れても、空車状態において、車体16の姿勢を安定な状態で保持することができる。また、リーンアクチュエータ50のロック状態は、リーンロックモータ100に電流が供給されなくても維持されるため、消費電力の低減を図ることができる。
【0025】
なお、S24の実行前に空車状態にあるか否かが検出され、空車状態にある場合にS24以降が実行されるようにすることができる。乗り物が1人乗りである場合、あるいは、乗員が1人である場合には、空車状態にあると考えることができる。それに対して、乗員が複数である場合には空車状態にあるとは限らない。その場合には、アンロック状態からロック状態に切り換えられたドアロック装置の位置等に基づけば、空車状態にあるか否かがわかる。また、着座センサ等を設ければ、着座センサの検出値に基づいて乗員の人数を取得することができ、空車状態にあるか否かを検出することができる。
【0026】
また、乗降検出装置219は、上記実施例における態様に限定されない。
例えば、携帯キーとの間の通信が「無し」の状態から「有り」の状態に切り換わった場合、リーン角、車高の変化が大きくなった場合に、乗車動作が開始されたと検出されるようにすることができる。
また、携帯キーとの間の通信が「有り」の状態から「無し」の状態に切り換わった場合、メインスイッチ208がONからOFFに切り換わってから設定時間が経過した後に、降車動作が終了したと検出されるようにすることもできる。
さらに、携帯キーに乗車終了スイッチ、乗車開始スイッチ、降車開始スイッチ、降車終了スイッチを設け、これらスイッチの操作状態に基づいて、乗車の開始、終了、降車の開始、終了等が検出されるようにすることもできる。
さらに、乗り物に盗難防止装置が設けられ、乗り物あるいは携帯キーに、盗難防止装置のロック作動、解除作動を指示するためのスイッチが設けられた場合において、スイッチのロック作動指示操作が行われた場合に降車動作の開始、あるいは、終了が検出され、解除作動指示操作が行われた場合に乗車動作の開始、あるいは、終了が検出されるようにすることもできる。
【0027】
本実施例においては、リーン角制御ECU200の図8のフローチャートで表される降車中リーン角制御プログラム、図9のフローチャートで表される乗車中リーン角制御プログラム、図10のメインスイッチOFF後リーン角等制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により乗降中リーン角制御装置が構成される。そのうちの、降車中リーン角制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により降車中リーン角制御部が構成され、乗車中リーン角制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により乗車中リーン角制御部が構成され、S24,25を記憶する部分、実行する部分等により降車後リーンアクチュエータ制御部が構成され、S26を記憶する部分、実行する部分等により降車後リーンロック制御部、姿勢制御後リーンロック部が構成される。また、S13aを記憶する部分、実行する部分等により乗車検出後リーンロック解除部が構成される。
【実施例2】
【0028】
本実施例においては、メインスイッチ208がONからOFFにされた場合に、リーンアクチュエータ50がロックされる。メインスイッチ208のOFF時には、車体の姿勢が安定な姿勢に制御されており、その姿勢が、降車動作中にも安定な姿勢であることが予めわかっている場合には、リーンアクチュエータ50がメインスイッチ208がOFFにされた後に、ロックされても差し支えないのである。
S61において、メインスイッチ208がONからOFFに切り換わったか否かが判定され、切り換わった場合には、S62以降が実行される。
S62、63において、車速センサ206の検出値に基づき、車速が停止状態にあるとみなし得る設定速度以下であるか否か(ほぼ0であるか否か)が判定され、パーキングブレーキがONであるか否かがパーキングスイッチ212の状態に基づいて判定される。乗り物が停止状態にあり、かつ、パーキングブレーキが作用状態にある場合には、S64においてリーンロックモータ100が作動させられて、リーンアクチュエータ50がロックされる。それに対して、車速が設定速度より大きい場合にはS65において、そのことが報知され、パーキングブレーキが作用状態にない場合には、S66において、そのことが報知される。
【0029】
また、リーンロックされた後に、S67において、リーンモータ52が作動させられ、S68において、実際に、リーン角が変化するか否かが判定される。リーンロックされたにもかかわらずリーン角が変化する場合には、ロック部材72が凹部82に良好に係合していないと考えられるため、S67,68が繰り返し実行される。リーン角が殆ど変化しなくなった場合には、S69において、降車可能な状態になったこと、すなわち、車体16が安定な姿勢で確実にロックされたことが報知される。人は降車すると考えられる。その後、S70において、リーンモータ52、リーンロックモータ100がOFFとされる。
このように、本実施例において、メインスイッチ208がOFFにされた後に、車体の姿勢が安定な姿勢にあることが予めわかっている場合には、降車中リーン角制御が行われることなく、リーンアクチュエータ50がロックされるのであり、その分、消費電力の低減の大きな効果が得られる。
【0030】
なお、S62,63,65,66のステップは不可欠ではない。
また、リーンモータ52に電流が供給された場合において、リーン角が変化させられた場合には、S67,68が繰り返し実行されるが、設定時間が経過しても、リーン角の変化が小さくならなかった場合には、そのことが報知されるようにすることができる。
さらに、降車可能な状態になったことが報知され、ドアがアンロック状態からロック状態に切り換えられたことが検出された後に、リーンモータ52等がOFFにされるようにしてもよい。
また、車体傾斜装置において、シーソーバー20の形状は問わず、V字型、U字型を成したものとすることができる。
さらに、リーンアクチュエータ50は上記実施例におけるそれに限定されず、他の構造を成したものに適用することもできる。
その他、本発明は、上述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
10,12:車輪 16:車体 20:シーソーバー 50;リーンアクチュエータ 52;リーンモータ 58:出力軸 60;本体 62:リーンロック装置 72:ロック部材 76:リーンロックアクチュエータ 82:凹部 100:リーンロックモータ 102:駆動伝達ロッド 104:運動変換機構 122:スプリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記車両の停止状態において、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記車体を安定な姿勢に制御する乗降中リーン制御装置と
を含む車体傾斜装置。
【請求項2】
前記乗降中リーン制御装置が、前記車両から人が降車する間、前記リーンアクチュエータを制御する降車中リーン制御部を含み、その降車中リーン制御部が、前記リーンアクチュエータの制御を、前記車両のメインスイッチがONからOFFに切り換えられた時に開始し、前記車両に設けられたドアをロックするドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられた時に終了するものである請求項1に記載の車体傾斜装置。
【請求項3】
当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記降車中リーン制御部による制御が終了した後に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータをロックする降車後リーンロック制御部とを含む請求項2に記載の車体傾斜装置。
【請求項4】
当該車体傾斜装置が、前記降車中リーン制御部による制御が終了した時に、前記車両の姿勢が目標姿勢範囲内にない場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記目標姿勢範囲内とする降車後リーンアクチュエータ制御部を含み、前記降車後リーンロック制御部が、前記降車後リーンアクチュエータ制御部による制御後に、前記リーンアクチュエータをロックする姿勢制御後ロック制御部を含む請求項3に記載の車体傾斜装置。
【請求項5】
当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記車両に人が乗車したことが検出された場合に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータのロックを解除する乗車検出後リーンロック解除部とを含み、前記乗降中リーン制御装置が、前記乗車検出後リーンロック解除部によって前記リーンアクチュエータのロックが解除された後、前記車両に人が乗車する間、前記リーンアクチュエータを制御する乗車中リーン制御部を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車体傾斜装置。
【請求項6】
当該車体傾斜装置が、長手形状を成し、車両の幅方向に離間して設けられた左側車輪および右側車輪を、それぞれ、上下方向の相対移動を許容する状態で保持する左右輪保持部材を含み、前記リーンアクチュエータが、前記左右輪保持部材と前記車両の車体との間に設けられ、それら前記左右輪保持部材と前記車体とを相対回動させることにより、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させる回動型アクチュエータである請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車体傾斜装置。
【請求項1】
車両の幅方向に隔たって設けられた左側車輪および右側車輪の各々と、前記車両の車体との間に設けられ、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させるリーンアクチュエータと、
前記車両の停止状態において、人が乗車する場合と降車する場合との少なくとも一方の場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記車体を安定な姿勢に制御する乗降中リーン制御装置と
を含む車体傾斜装置。
【請求項2】
前記乗降中リーン制御装置が、前記車両から人が降車する間、前記リーンアクチュエータを制御する降車中リーン制御部を含み、その降車中リーン制御部が、前記リーンアクチュエータの制御を、前記車両のメインスイッチがONからOFFに切り換えられた時に開始し、前記車両に設けられたドアをロックするドアロック装置がアンロック状態からロック状態に切り換えられた時に終了するものである請求項1に記載の車体傾斜装置。
【請求項3】
当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記降車中リーン制御部による制御が終了した後に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータをロックする降車後リーンロック制御部とを含む請求項2に記載の車体傾斜装置。
【請求項4】
当該車体傾斜装置が、前記降車中リーン制御部による制御が終了した時に、前記車両の姿勢が目標姿勢範囲内にない場合に、前記リーンアクチュエータを制御して、前記目標姿勢範囲内とする降車後リーンアクチュエータ制御部を含み、前記降車後リーンロック制御部が、前記降車後リーンアクチュエータ制御部による制御後に、前記リーンアクチュエータをロックする姿勢制御後ロック制御部を含む請求項3に記載の車体傾斜装置。
【請求項5】
当該車体傾斜装置が、(a)前記リーンアクチュエータをロックするリーンロックアクチュエータと、(b)前記車両に人が乗車したことが検出された場合に、前記リーンロックアクチュエータを制御することにより、前記リーンアクチュエータのロックを解除する乗車検出後リーンロック解除部とを含み、前記乗降中リーン制御装置が、前記乗車検出後リーンロック解除部によって前記リーンアクチュエータのロックが解除された後、前記車両に人が乗車する間、前記リーンアクチュエータを制御する乗車中リーン制御部を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車体傾斜装置。
【請求項6】
当該車体傾斜装置が、長手形状を成し、車両の幅方向に離間して設けられた左側車輪および右側車輪を、それぞれ、上下方向の相対移動を許容する状態で保持する左右輪保持部材を含み、前記リーンアクチュエータが、前記左右輪保持部材と前記車両の車体との間に設けられ、それら前記左右輪保持部材と前記車体とを相対回動させることにより、少なくとも前記車体を路面の法線に対して左右方向に傾斜させる回動型アクチュエータである請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車体傾斜装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−81784(P2012−81784A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227179(P2010−227179)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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