説明

車載ナビゲーション装置

【課題】ユーザが、複数の情報提供源からの渋滞情報を確認することができること。
【解決手段】コンピュータ30は、表示部40において、複数の情報提供源からの渋滞情報が受信されたとき、情報提供源が識別できる態様で、複数の渋滞情報をともに道路地図上に表示することができる。具体的には、例えば、光ビーコン及びFM多重放送からの渋滞情報が受信されたとき、光ビーコンとFM多重放送とが識別できる態様で、光ビーコンの渋滞情報及びFM多重放送の渋滞情報をともに道路地図上に表示することができる。これにより、ユーザが、複数の情報提供源からの渋滞情報を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の情報提供源からの交通情報の取捨選択を効果的に行なう交通情報提供装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)この特許文献1に開示されている交通情報提供装置によれば、例えば、FM多重放送からの交通情報が表示部に表示されており、かつ路上ビーコンからの交通情報を受信した場合には、表示されているFM多重放送からの交通情報に対して、受信した路上ビーコンからの交通情報がn分以上古い交通情報でないならば、FM多重放送からの交通情報に換えて路上ビーコンからの交通情報が表示部に表示される。また、路上ビーコンからの交通情報が表示部に表示されており、かつFM多重放送からの交通情報を受信した場合には、表示されている路上ビーコンからの交通情報に対して、受信したFM多重放送からの交通情報がn分以上新しい交通情報であるならば、路上ビーコンからの交通情報に換えてFM多重放送からの交通情報が表示部に表示される。
【特許文献1】特開平9−128684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の装置では、例えば、FM多重放送からの交通情報として「道路A」に該当する渋滞情報を受信し、かつ路上ビーコンからの交通情報として「道路A」に該当する渋滞情報を受信した場合には、「道路A」に該当するFM多重放送からの渋滞情報または路上ビーコンからの渋滞情報のいずれか一方のみが表示部に表示されていた。このため、例えば、ユーザが「道路A」に該当するFM多重放送からの渋滞情報の確認を所望した場合に、表示部に表示されている「道路A」に該当する渋滞情報が路上ビーコンからのものであったときには、ユーザは「道路A」に該当するFM多重放送からの渋滞情報を確認することができなかった。
【0004】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、ユーザが、複数の情報提供源からの渋滞情報を確認することが可能な車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車載ナビゲーション装置は、
表示部と、
道路地図を表示するための地図データを記憶するデータ記憶手段と、
複数の情報提供源からの渋滞情報を受信する受信手段と、
地図データに基づいて、表示部に道路地図を表示するとともに、複数の情報提供源からの渋滞情報が受信されたとき、情報提供源が識別できる態様で、複数の渋滞情報をともに道路地図上に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
上述したように、請求項1に記載の車載ナビゲーション装置は、複数の情報提供源からの渋滞情報が受信されたとき、情報提供源が識別できる態様で、複数の渋滞情報をともに道路地図上に表示することができる。具体的には、例えば、光ビーコン及びFM多重放送からの渋滞情報が受信されたとき、光ビーコンとFM多重放送とが識別できる態様で、光ビーコンの渋滞情報及びFM多重放送の渋滞情報をともに道路地図上に表示することができる。これにより、ユーザが、複数の情報提供源からの渋滞情報を確認することができる。
【0007】
請求項2に記載したように、表示制御手段は、複数の渋滞情報に該当する道路に沿って、情報提供源に応じた異なる位置に複数の渋滞情報を表示することが好ましい。このようにすることにより、ユーザは、複数の渋滞情報の表示位置から情報提供源を識別することができる。
【0008】
請求項3に記載したように、表示制御手段は、複数の渋滞情報として、渋滞の程度に応じて変化する複数の線分を道路に沿って表示することが好ましい。これにより、複数の渋滞情報として、情報提供源が識別できる態様で、複数の線分を表示することができる。
【0009】
請求項4に記載したように、表示制御手段は、情報提供源毎に、渋滞情報を表示するための線分の形状を異ならせることが好ましい。このように、複数の線分の形状を異ならせることによって、ユーザは情報提供源を識別できる。
【0010】
請求項5に記載したように、表示制御手段は、複数の線分の形状として、複数の線分の線幅、線種、及び線形の少なくともいずれか1つを異ならせることが好ましい。このように、複数の線分の線幅、線種、及び線形の少なくともいずれか1つを異ならせることによって、複数の線分の形状を異ならせることができる。
【0011】
請求項6に記載したように、表示制御手段は、各情報提供源及び各渋滞の程度に応じて、複数の線分の表示色を異ならせることが好ましい。このように、各情報提供源及び各渋滞の程度に応じて、複数の線分の表示色を異ならせることによって、ユーザは情報提供源を識別できる。
【0012】
請求項7に記載したように、自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、表示制御手段は、検出された現在位置を起点とする所定範囲に含まれる道路に関して、複数の渋滞情報を表示することもできる。現在位置を起点とする所定範囲に含まれる道路に関して、複数の渋滞情報が道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0013】
請求項8に記載したように、自車両の位置及び進行方向を検出する位置及び進行方向検出手段と、道路地図及び自車両の位置及び進行方向に基づいて、自車両が走行している車両走行道路における進行方向車線を特定する特定手段とを備え、表示制御手段は、特定された車両走行道路における進行方向車線に関して、複数の渋滞情報を表示することもできる。自車両が走行している車両走行道路における進行方向車線に関して、複数の渋滞情報が道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0014】
請求項9に記載したように、地図データを用いて自車両を目的地に案内するための案内経路を探索する案内経路探索手段を備え、表示制御手段は、案内経路における進行方向車線に関して、複数の渋滞情報を表示することもできる。案内経路における進行方向車線に関して、複数の渋滞情報が道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0015】
請求項10に記載したように、表示制御手段は、同一の道路に関して、複数の渋滞情報の渋滞の程度が異なる場合、複数の渋滞情報をともに表示することもできる。同一の道路に関して、複数の渋滞情報の渋滞の程度が異なる場合に限り、複数の渋滞情報がともに道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0016】
請求項11に記載したように、道路地図の縮尺を変更する変更手段と、変更された道路地図の縮尺率が所定縮尺率より小さい場合、表示制御手段に対して、複数の渋滞情報を表示することを中止させる中止手段とを備えることもできる。道路地図の縮尺率が小さくなれば、道路地図上に表示されている複数の渋滞情報が重なる可能性が高くなるため、道路地図の縮尺率が所定縮尺率より小さい場合、複数の渋滞情報を道路地図上に表示することを中止させる。
【0017】
請求項12に記載したように、表示制御手段に、複数の渋滞情報を表示させるか否かを、ユーザによって選択させる選択手段を備えても良い。これにより、ユーザは、複数の渋滞情報を表示させるか否かを選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。以下、本実施形態による車載ナビゲーション装置について詳細に説明する。
【0019】
ナビゲーション装置100は、位置検出器10、デジタル道路地図データベース20、コンピュータ30、表示部40、操作スイッチ群50、音声出力部60、音声入力部70、VICS受信機80、第1の記憶装置90、及び第2の記憶装置91を備えている。
【0020】
コンピュータ30は、内部には周知のCPU、ROM、RAM、第1乃至第3のEEPROM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインを備えている。ROMには、コンピュータ30が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0021】
位置検出器10は、衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機11、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ12、車両の相対方位を検出するためのステアリングセンサ13を有している。さらに、位置検出器10は、車両の走行速度から走行距離を検出するために車速センサ14を備えている。
【0022】
このように、位置検出器10は、電波航法による車両位置測定のためにGPS受信機11を有するとともに、自立航法による車両位置推定のために地磁気センサ12、ステアリングセンサ13及び車速センサ14を有している。また、電波航法としては、GPSに限らず、例えばVICSの光ビーコンを利用しても良い。また、自立航法における車両の相対方位を検出するために、ステアリングセンサ13に代えて、ジャイロセンサや車両の左右輪に設けられた車輪速センサを用いても良い。
【0023】
デジタル道路地図データベース20は、道路データ、背景データ、文字データ及び施設データなどを含むデジタル地図データをコンピュータ30に入力するための装置である。デジタル道路地図データベース20は、デジタル地図データを記憶する情報記憶媒体21を有し、情報記憶媒体21としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等を用いてもよい。
【0024】
ここで、道路データの構成について説明する。道路データは、道路毎に固有の番号を付したリンクID、リンク座標データ、ノード座標データ、高速道路や国道等の道路種別を示す道路種別データ、道路幅員データ等の各データから構成されている。道路データにおけるリンクとは、地図上の各道路を、交差点、分岐点などを示すノードにより複数に分割し、そして2つのノード間をリンクとして規定したものである。そして、リンク座標データには、このリンクの始端と終端の座標が記述される。なお、リンクの途中にノードが含まれる場合には、ノード座標データにノード座標が記述される。この道路データは、地図を表示する以外に、マップマッチング処理を行なう際の道路の形状を与えるために用いられたり、目的地までの案内経路を検索する際に用いられる。
【0025】
背景データは、道路地図を表示部40に表示する際に、道路以外の表示対象となる施設形状、自然地形等を表示するためのデータである。文字データは、地名、施設名、道路名等を道路地図上に表示するためのものであり、表示位置に対応する地図上の座標を関連付けたデータとして構成している。
【0026】
表示部40は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、表示部40の画面には車両の現在位置に対応する自車位置マーク、及び、デジタル道路地図データベース20より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。また、目的地が設定された場合、道路地図上には、現在位置から目的地までの案内経路が重ねて表示される。
【0027】
操作スイッチ群50は、例えば、表示部40と一体になったタッチパネルスイッチもしくは表示部40の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなり、各種入力に使用される。
【0028】
音声出力部60はスピーカ等からなり、経路案内が行なわれている場合に、案内音声を出力したり、音声認識時に、入力音声に関するガイダンスを出力したりするものである。また、音声入力部70は、マイク等からなり、ユーザによって発せられた音声を取り込んで、コンピュータ30に入力する。コンピュータ30は、入力された音声の認識処理を行い、その認識結果に基づいて、各種の制御を実行する。
【0029】
VICS受信機80は、各地のFM放送局を介して、VICSセンタから配信される渋滞情報等の道路交通情報を受信するFM多重受信機81、主に一般道路に敷設された光ビーコンを介して、VICSセンタから配信される渋滞情報等の道路交通情報を受信する光ビーコン受信機82、主に高速道路に敷設された電波ビーコンを介して、VICSセンタから配信される渋滞情報等の道路交通情報を受信する電波ビーコン受信機83を備えている。また、VICS受信機80は、受信した道路交通情報をコンピュータ30に出力する。
【0030】
なお、本実施形態では、FM多重受信機81、光ビーコン受信機82、及び電波ビーコン受信機83によって受信された渋滞情報を、以後、第1の渋滞情報、第2の渋滞情報、及び第3の渋滞情報と呼ぶ。
【0031】
渋滞情報には、インフラリンク、車線識別情報、及び渋滞の程度などが含まれる。インフラリンクとは、インフラ側から提供される道路に関する情報を効率的に処理するための位置表現用のリンクである。このインフラリンクとリンクIDとの対応関係を定義するテーブルは、後述する第1の記憶装置90に記憶されている。
【0032】
車線識別情報とは、上述したインフラリンクに該当する道路における、上り車線に関する渋滞情報または下り車線に関する渋滞情報であるかを識別するための情報である。具体的には、例えば、上り車線に関する渋滞情報である場合、車線識別情報は「1」であり、下り車線に関する渋滞情報である場合、車線識別情報は「0」である。また、渋滞の程度については、「渋滞」、「混雑」、「渋滞なし」、及び「不明」の4つに区分されている。
【0033】
第1の記憶装置90には、インフラリンク、及び当該インフラリンクに対応するリンクIDが記憶されている。例えば、第1の記憶装置90は、図4の例に示すように、インフラリンク毎に、当該インフラリンクに対応するリンクIDを示すテーブルを記憶している。
【0034】
第2の記憶装置91には、VICS受信機80によって受信された第1乃至第3の渋滞情報を道路地図上に表示するためのものであり、第1乃至第3の渋滞情報の情報提供源を識別できる態様で、第1乃至第3の渋滞情報を示す第1乃至第3の線分として、第1乃至第3の矢印画像が記憶されている。これにより、第1乃至第3の渋滞情報として、情報提供源が識別できる態様で、第1乃至第3の矢印画像を表示することができる。
【0035】
具体的には、情報提供源が識別できる態様として、第1乃至第3の矢印画像の形状を異ならせる。このように、第1乃至第3の矢印画像の形状を異ならせることによって、ユーザは情報提供源を識別できる。具体的な例として、図5に示すように、第1乃至第3の矢印画像の形状として、第1乃至第3の矢印画像の線幅、線種、及び線形の少なくともいずれか1つを異ならせる。このように、第1乃至第3の矢印画像の線幅、線種、及び線形の少なくともいずれか1つを異ならせることによって、第1乃至第3の矢印画像の形状を異ならせることができる。
【0036】
また、情報提供源が識別できる態様として、再度、図5の例に示すように、各情報提供源及び各渋滞の程度に応じて第1乃至第3の矢印画像の表示色を異ならせる。このように、各情報提供源及び各渋滞の程度に応じて、第1乃至第3の矢印画像の表示色を異ならせることによって、ユーザは情報提供源を識別できる。
【0037】
このように、第2の記憶装置91には、情報提供源に応じて形状が異なり、かつ各情報提供源及び各渋滞の程度に応じて表示色が異なる第1乃至第3の矢印画像が記憶されている。
【0038】
また、本実施形態の車載ナビゲーション装置100は、操作スイッチ群50もしくは音声認識によって目的地の位置が入力されると、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能も備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、周知のダイクストラ法等の手法が知られている。また、ユーザによって入力された、例えば、住所、施設名称、電話番号等から施設等の位置を検索する検索機能も備えている。
【0039】
これらの機能は、主にコンピュータ30によって各種の演算処理がなされることによって実行される。すなわち、コンピュータ30は目的地が入力されるとデジタル道路地図データベース20の地図データを用いて経路を計算し、その経路を表示する。この他、コンピュータ30は、車両の位置を示す自車位置マークとその周辺の道路地図を表示部40に表示させたり、道路地図の縮尺を変更したりする。
【0040】
次に、本実施形態における表示制御処理について、図2のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、図2は、表示制御処理を示すフローチャートである。なお、具体的な例として、自車両が一般道路を走行しており、VICS受信機80が第1の渋滞情報及び第2の渋滞情報を受信可能な場合を想定して説明を進める。
【0041】
まず、図2のステップS10では、自車両の現在位置を検出する。このとき、GPS受信機11による位置データは、上述の道路データの座標データ(緯度と経度)と同じ形態で取得される。また、地磁気センサ12、ステアリングセンサ13、車速センサ14によって自車両の進行方向及び走行距離に関するデータが取得され、過去に算出、もしくは確定された車両位置を基準として、現在位置の座標データの算出を行なう(自立航法による座標データの算出)。なお、現在位置は、基本的には、自立航法により算出された座標データに基づいて求められる。ただし、GPS受信機11による位置データが取得されている場合には、両者を比較し、その差が所定距離以上である場合には、現在位置として、GPS受信機11による位置データを採用する。
【0042】
ステップS20では、車両の現在位置を含む、周辺地図の地図データがデジタル道路地図データベース20から読み込まれ、表示部40に表示される。そして、表示部40に表示された道路地図上の全ての道路に対応するリンクIDが、コンピュータ30のRAMに記憶される。なお、ステップS10にて検出された現在位置の変化、及び道路地図の縮尺の変更などによって、道路地図が更新された場合、コンピュータ30は、RAMに記憶されている全てのリンクIDを消去し、更新された道路地図上の全ての道路に対応するリンクIDをRAMに記憶する。
【0043】
ステップS30では、第1の渋滞情報を受信したか否かを判定する。具体的には、例えば、FM多重受信機81から、第1の渋滞情報がコンピュータ30に入力されたか否かを判定する。第1の渋滞情報がコンピュータ30に入力されたと判定された場合、ステップS40に進む。
【0044】
ステップS40では、コンピュータ30は、第1の渋滞情報を、コンピュータ30の第1のEEPROMに記憶する。具体的には、例えば、コンピュータ30は、第1の記憶装置90から、第1の渋滞情報に含まれているインフラリンクに対応するリンクIDを抽出する。そして、コンピュータ30は、図6の例に示すように、抽出されたリンクIDと、このリンクIDと車線識別情報及び渋滞の程度とがそれぞれ一対一に対応するように第1のEEPROMに記憶する。
【0045】
ステップS30において、第1の渋滞情報がコンピュータ30に入力されていないと判定された場合、ステップS50に進む。
【0046】
ステップS50では、表示部40に表示されている道路地図上の道路に該当する第1の渋滞情報があるか否かを判定する。具体的には、例えば、コンピュータ30は、RAMに記憶されているリンクIDと、第1のEEPROMに記憶されているリンクIDとを照合し、RAM及び第1のEEPROMにおいて、同一のリンクIDが記憶されているか否かを判定する。同一のリンクIDが記憶されていると判定された場合、ステップS60に進む。
【0047】
ステップS60では、コンピュータ30は、第2の記憶装置91から、道路地図上に第1の渋滞情報を表示するための第1の矢印画像を抽出する。具体的には、例えば、まず、コンピュータ30は、第1のEEPROMから、ステップS50にて同一であると判定されたリンクIDに対応する渋滞の程度を抽出する。次に、コンピュータ30は、第2の記憶装置91から、抽出された渋滞の程度に該当する表示色の第1の矢印画像を抽出する。
【0048】
ステップS70では、第1の矢印画像が道路地図上に表示される。具体的には、例えば、コンピュータ30は、ステップS50にて同一であると判定されたリンクID及び車線識別情報に該当する道路における車線に沿って、ステップS60にて抽出された第1の矢印画像を道路地図上に表示する。
【0049】
ステップS50において、同一のリンクIDが記憶されていないと判定された場合、ステップS80に進む。
【0050】
ステップS80では、第2の渋滞情報を受信したか否かを判定する。具体的には、例えば、光ビーコン受信機82から、第2の渋滞情報がコンピュータ30に入力されたか否かを判定する。第2の渋滞情報がコンピュータ30に入力されたと判定された場合、ステップS90に進む。
【0051】
ステップS90では、ステップS40と同様にして、コンピュータ30は、第2の渋滞情報を、コンピュータ30の第2のEEPROMに記憶する。ステップS80において、第2の渋滞情報がコンピュータ30に入力されていないと判定された場合、ステップS100に進む。
【0052】
ステップS100では、表示部40に表示されている道路地図上の道路に該当する第2の渋滞情報があるか否かを判定する。具体的には、ステップS50と同様にして、コンピュータ30は、RAMに記憶されているリンクIDと、第2のEEPROMに記憶されているリンクIDとを照合し、RAM及び第2のEEPROMにおいて、同一のリンクIDが記憶されているか否かを判定する。同一のリンクIDが記憶されていると判定された場合、ステップS110に進む。
【0053】
ステップS110では、ステップS60と同様にして、コンピュータ30は、第2の記憶装置91から、道路地図上に第2の渋滞情報を表示するための第2の矢印画像を抽出する。
【0054】
ステップS120では、第2の矢印画像が道路地図上に表示される。具体的には、コンピュータ30は、図3の例に示すように、ステップS100にて同一であると判定されたリンクID及び車線識別情報に該当する道路における車線において、当該車線に該当する第1の矢印画像に沿って、第2の矢印画像を道路地図上に表示する。このように、第1及び第2の矢印画像に該当する道路における車線に沿って、情報提供源に応じた異なる位置に第1及び第2の矢印画像を表示することによって、ユーザは、第1及び第2の矢印画像の表示位置から情報提供源を識別することができる。
【0055】
ステップS100において、同一のリンクIDが記憶されていないと判定された場合、ステップS10に戻る。
【0056】
なお、n(n>0)個の情報提供源からの渋滞情報をVICS受信機80が受信可能な場合であっても、本実施形態における表示制御処理を実行することができる。具体的には、まず、第2の記憶装置91には、情報提供源が識別できる態様で、第1乃至第nの渋滞情報を示す第1乃至第nの矢印画像が記憶される。そして、VICS受信機80によって第1乃至第nの渋滞情報が受信された場合、コンピュータ30は、第2の記憶装置91から、当該第1乃至第nの渋滞情報に含まれている渋滞の程度に該当する表示色の第1乃至第nの矢印画像を抽出する。そして、コンピュータ30は、当該第1乃至第nの渋滞情報に該当する道路における車線において、当該車線に該当する第(n−1)の矢印画像に沿って、第nの矢印画像を道路地図上に表示する。このようにすることにより、情報提供源の数が増えても、ユーザは、第1乃至第nの矢印画像の表示位置から情報提供源を識別することができる。
【0057】
以上、説明したように本実施形態によれば、複数の情報提供源からの第1及び第2の渋滞情報が受信されたとき、情報提供源が識別できる態様で、第1及び第2の渋滞情報を示す第1及び第2の矢印画像をともに道路地図上に表示することができるようにした。これにより、ユーザが、複数の情報提供源からの渋滞情報を確認することができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0059】
例えば、上述した実施形態において、道路地図上の全ての道路に関して、第1及び第2の矢印画像をともに道路地図上に表示する例について説明した。しかしながら、(ステップS10にて)検出された現在位置を起点とする所定範囲(例えば、半径100m内)に含まれる道路に関して、第1及び第2の矢印画像が道路地図上に表示されても良い。現在位置を起点とする所定範囲に含まれる道路に関して、第1及び第2の矢印画像が道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0060】
また、例えば、位置検出器10によって検出された現在位置を含む所定期間における走行軌跡に基づいて、デジタル道路地図データベース20のデジタル地図データから、自車両が走行している車両走行道路における進行方向車線が特定され、この特定された進行方向車線に関して、第1及び第2の矢印画像が道路地図上に表示されても良い。自車両が走行している車両走行道路における進行方向車線に関して、第1及び第2の矢印画像が道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0061】
さらに、例えば、案内経路が探索された場合、探索された案内経路における進行方向車線に関して、第1及び第2の矢印画像が道路地図上に表示されても良い。案内経路における進行方向車線に関して、第1及び第2の矢印画像が道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0062】
また、例えば、同一の道路に関して、第1及び第2の渋滞情報の渋滞の程度が異なる場合に限り、第1及び第2の矢印画像がともに道路地図上に表示されても良い。同一の道路に関して、第1及び第2の渋滞情報の渋滞の程度が異なる場合に限り、第1及び第2の矢印画像がともに道路地図上に表示されれば十分であるためである。
【0063】
また、上述した実施形態では、常時、第1及び第2の矢印画像がともに表示される例について説明した。しかしながら、道路地図の縮尺が変更された場合、変更された道路地図の縮尺率が所定縮尺率より小さい場合、第1及び第2の矢印画像を道路地図上に表示することを中止しても良い。道路地図の縮尺率が小さくなれば、道路地図上に表示されている第1及び第2の矢印画像が重なる可能性が高くなるため、道路地図の縮尺率が所定縮尺率より小さい場合、第1及び第2の矢印画像をともに道路地図上に表示することを中止させる。なお、第1及び第2の矢印画像を道路地図上に表示することが中止された場合、第1及び第2の矢印画像のいずれかが道路地図上に表示される。
【0064】
また、例えば、第1及び第2の矢印画像を表示させるか否かを、ユーザによって選択させても良い。これにより、ユーザは、第1及び第2の矢印画像を道路地図上に表示させるか否かを選択することができる。なお、ユーザによって、第1及び第2の矢印画像を表示させないと選択された場合、第1及び第2の矢印画像のいずれかが道路地図上に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における、表示制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態における、第1及び第2の矢印画像の表示例を示すイメージ図である。
【図4】本実施形態における、第1の記憶装置90の構成を、具体例を用いて説明するための説明図である
【図5】本実施形態における、第1乃至第3の矢印画像の形状及び表示色を、具体例を用いて説明するための説明図である。
【図6】本実施形態における、第1のEEPROMの構成を、具体例を用いて説明するための説明図である
【符号の説明】
【0066】
10…位置検出器
11…GPS受信機
12…地磁気センサ
13…ステアリングセンサ
14…車速センサ
20…デジタル道路地図データベース
21…情報記録媒体
30…コンピュータ
40…表示部
50…操作スイッチ群
60…音声出力部
70…音声入力部
80…VICS受信機
81…FM多重受信機
82…光ビーコン受信機
83…電波ビーコン受信機
90…第1の記憶装置
91…第2の記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
道路地図を表示するための地図データを記憶するデータ記憶手段と、
複数の情報提供源からの渋滞情報を受信する受信手段と、
前記地図データに基づいて、前記表示部に道路地図を表示するとともに、前記複数の情報提供源からの渋滞情報が受信されたとき、情報提供源が識別できる態様で、複数の渋滞情報をともに前記道路地図上に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記複数の渋滞情報に該当する道路に沿って、情報提供源に応じた異なる位置に複数の渋滞情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記複数の渋滞情報として、渋滞の程度に応じて変化する複数の線分を前記道路に沿って表示することを特徴とする請求項2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記情報提供源毎に、渋滞情報を表示するための線分の形状を異ならせることを特徴とする請求項3に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記複数の線分の形状として、当該複数の線分の線幅、線種、及び線形の少なくともいずれか1つを異ならせることを特徴とする請求項4に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、各情報提供源及び各渋滞の程度に応じて、前記複数の線分の表示色を異ならせることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記検出された現在位置を起点とする所定範囲に含まれる道路に関して、前記複数の渋滞情報を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
自車両の位置及び進行方向を検出する位置及び進行方向検出手段と、
前記道路地図及び前記自車両の位置及び進行方向に基づいて、自車両が走行している車両走行道路における進行方向車線を特定する特定手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記特定された車両走行道路における進行方向車線に関して、前記複数の渋滞情報を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記地図データを用いて自車両を目的地に案内するための案内経路を探索する案内経路探索手段を備え、
前記表示制御手段は、前記案内経路における進行方向車線に関して、前記複数の渋滞情報を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、同一の道路に関して、複数の渋滞情報の渋滞の程度が異なる場合、前記複数の渋滞情報をともに表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記道路地図の縮尺を変更する変更手段と、
前記変更された道路地図の縮尺率が所定縮尺率より小さい場合、前記表示制御手段に対して、前記複数の渋滞情報を表示することを中止させる中止手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項12】
前記表示制御手段に、前記複数の渋滞情報を表示させるか否かを、ユーザによって選択させる選択手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−292691(P2006−292691A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117564(P2005−117564)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】