説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】事前の設定や外部のデータベースを必要とせずに、ユーザの利用度の高い店舗などの目的地設定を大幅に容易化することができる車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】購入した物品あるいは役務に付随し、その物品あるいは役務の購入先をその所在地とともに特定する購入先情報を記憶したICタグから購入先情報を無線取得する無線情報取得手段と、取得された購入先情報に基づき、購入先についての利用統計情報を作成する利用統計情報作成手段と、作成された利用統計情報に基づいて、その購入先の所在地を目的地候補として登録する目的地候補登録手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
近年、ICタグ、電子タグ等の名称で呼ばれるように、物品情報を記憶したタグを物品(商品)に取り付けて管理する方法が実用化され始めている。例えば、タグには、物品の種別や生産者、生産時期、販売者等が記憶されるとともに簡易な通信機能も装備されていて、この物品情報を遠隔操作(無線通信)によって読み取ることができるようにしたシステムが実用化され、車載用ナビゲーション装置にも用いられるようになり始めている。
【0004】
例えば、タグに対して配達すべき目的地つまり配達先の施設の位置情報をあらかじめ記憶させておき、配達用車両に搭載した読み取り装置によってタグに記憶されている目的地を読み込ませることにより、次に配達すべき物品の目的地が自動的に設定される車両用ナビゲーションシステムが考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、過去に設定した目的地や検索した施設の情報を利用して目的地設定を容易に行うことができるナビゲーション装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、ユーザが指定した商品等の固有情報(商品種別、価格、店舗等供給元所在地等、)を外部のデータベースからダウンロードし、予めユーザが設定した商品選択条件に最適な固有情報を検索し、検索された固有情報に基づいて商品等の供給元所在地を自動的に目的地に設定し経路案内するナビゲーション装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−151075号公報
【特許文献2】特開2005−156290号公報
【特許文献3】特開2001−343247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の構成では、購入した物品に付属しているタグより無差別に情報を読み込むと、多量の目的地情報から実際にユーザ(車の運転者・同乗者が)が設定したい目的地を選択・設定するのが困難であるという問題がある。
【0009】
特許文献2の構成では、情報を蓄積するには、ユーザの操作の繰り返しが必要であり時間がかかるという問題がある。また、車の運転者・同乗者が実際に買い物(利用)した目的地・施設であるかどうかを目的地設定に加味できずピンポイントの目的地選択ができないという問題がある。
【0010】
特許文献3の構成では、事前に煩雑な商品選択条件の設定が必要である。また、外部に商品等の固有情報を保持するための大規模なシステムを必要とするという問題がある。
【0011】
上記問題を背景として、本発明の課題は、事前の設定や外部のデータベースを必要とせずに、ユーザの利用度の高い店舗などの目的地設定を大幅に容易化することができる車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、購入した物品あるいは役務に付随し、その物品あるいは役務の購入先をその所在地とともに特定する購入先情報を記憶したICタグから購入先情報を無線取得する無線情報取得手段と、取得された購入先情報に基づき、購入先についての利用統計情報を作成する利用統計情報作成手段と、作成された利用統計情報に基づいて、その購入先の所在地を目的地候補として登録する目的地候補登録手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明は、購入した物品あるいは役務(レシート等)に付属のICタグを用いることで、商品・レシートを車内に持ち込む際にICタグの内容(購入先情報)を読み取り、その購入先情報から購入先についての利用統計情報を作成し、作成された利用統計情報に基づいて、その購入先の所在地を目的地候補として登録する目的地候補として登録するものである。上記構成によって、ユーザが目的地候補を登録する手間を省くことができる。また、目的地設定時には、目的地候補をリストアップし、そこから容易に目的地を設定することができる。さらに、外部に商品等の固有情報を保持するための大規模なシステムを必要としないという利点もある。
【0014】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置におけるICタグは物品あるいは役務の分類情報を記憶したものであり、無線情報取得手段は購入した物品あるいは役務の分類情報をICタグから取得し、利用統計情報作成手段は、物品あるいは役務の分類情報毎に取得回数をカウントする分類別カウンタと、物品あるいは役務の購入先の利用回数をカウントする購入先別カウンタと、同一購入先における分類別カウンタのカウンタ値が予め設定される取得回数閾値に達した場合、購入先別カウンタのカウンタ値を更新するカウンタ制御手段と、を含み、目的地候補登録手段は、購入先別カウンタのカウンタ値が予め設定される利用回数閾値に達した場合には、その購入先を目的地候補として登録するように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、一定期間に一定品目以上の買い物をした場合、あるいは一定期間に一定回数以上利用した場合は、買い物をした店舗が自動的に目的地候補情報として登録されるので、ユーザが目的地候補を登録する手間を省くことができる。また、買い物や利用の回数が少ない場合は、目的地候補に登録されないので、目的地候補を登録するための記憶媒体を有効利用することができる。さらに、目的地候補表示時には、買い物や利用の回数が一定値以上のもののみ表示されるので、目的地を設定するための時間を短縮することができる。さらに、ICタグから読み取られた多量の目的地情報から実際にユーザが設定したい目的地を選択・設定することが可能となる。また、ユーザが実際に買い物(利用)した目的地・施設であるかどうかを目的地設定に加味することができ、ピンポイントの目的地選択が可能となる。
【0016】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における分類別カウンタにおける取得回数閾値は、購入した物品あるいは役務の分類情報に応じて異なる値に設定されるように構成することもできる。
【0017】
購入した物品の種別が、毎日のように購入する食料品と、贈答品あるいは記念品として購入する貴金属とでは、一律の取得回数閾値では食料品の購入先は目的地候補に登録されるが、ユーザが望んだとしても貴金属の購入先は目的地候補に登録されにくい。しかし、上記構成によって、例えば貴金属の購入先の取得回数閾値を食料品の購入先よりも低くすれば、貴金属の購入先の利用回数が少ない場合でも購入先別カウンタのカウンタ値が更新されるので、目的地候補に登録されやすくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0018】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における分類別カウンタにおける取得回数閾値は、購入した物品あるいは役務の単価に応じて異なる値に設定されるように構成することもできる。
【0019】
1個100円の物品を100個購入した場合の分類別カウンタ値は100である。あまり購入する機会がない1個1万円の物品を1個購入した場合の分類別カウンタ値は1である。一律の取得回数閾値では購入個数の多い物品の購入先から目的地候補に登録されてしまう。しかし、上記構成によって、購入単価が高く購入個数の少ない物品でも取得回数閾値が低ければ、購入単価が低く購入個数が多い物品と同等に購入先別カウンタのカウンタ値が更新されるので、目的地候補に登録されやすくなり、ユーザの利便性が向上する。つまり、1個100円の物品の取得回数閾値を10000、1個1万円の物品の取得回数閾値を10とすれば、1個1万円の物品の購入先別カウンタのカウンタ値が、1個100円の物品よりも先に更新されやすくなる。
【0020】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における分類別カウンタのカウント単位は、購入した物品あるいは役務の分類情報に応じて異なる値に設定されるように構成することもできる。
【0021】
上記構成によって、毎日のように購入する食料品のカウント単位を1、贈答品あるいは記念品として購入する貴金属のカウント単位を100とすれば、購入回数が少ない物品でも、分類別カウンタのカウンタ値の更新ペース、ひいては購入先別カウンタのカウンタ値の更新ペースが速くなることで、一律の取得回数閾値でも目的地候補に登録されやすくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0022】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における分類別カウンタのカウント単位は、購入した物品あるいは役務の単価に応じて異なる値に設定されるように構成することもできる。
【0023】
上記構成によって、1個100円の物品のカウント単位を1、1個1万円の物品の物品のカウント単位を100とすれば、単価の高い物品でも、分類別カウンタのカウンタ値の更新ペース、ひいては購入先別カウンタのカウンタ値の更新ペースが速くなることで、一律の取得回数閾値でも目的地候補に登録されやすくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0024】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置におけるカウンタ制御手段は、同時に購入した同一の物品あるいは役務が複数ある場合、それら複数の物品あるいは役務に対する分類別カウンタのカウントを制限するように構成することもできる。
【0025】
購入回数は少なくても、いわゆる「まとめ買い」で一度に多量に同一の物品あるいは役務を購入した場合、分類別カウンタを購入個数毎にカウントアップする方法では、その購入先は目的地候補に登録されやすくなってしまい、利用統計情報の精度も低下してしまう。しかし、上記構成によって、購入回数は少なくても「まとめ買い」をする購入先よりも、「まとめ買い」をしない購入先が、目的地候補に登録されやすくなる。
【0026】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における購入先別カウンタのカウント単位は、購入した物品あるいは役務の分類情報に応じて異なる値に設定されるように構成することもできる。
【0027】
例えば、スーパーマーケットでは、食料品,日用品,衣料品など様々な物品を購入するが、購入回数および購入個数は物品(あるいは役務)の分類情報に応じて様々である。上記構成によって、購入回数あるいは購入個数が少ない物品を購入した場合でも、購入先別カウンタのカウンタ値の更新ペースが速くなることで、目的地候補に登録されやすくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0028】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における購入先別カウンタのカウント単位は、購入した物品あるいは役務の単価に応じて異なる値に設定されるように構成することもできる。
【0029】
上記構成によって、1個100円の物品のカウント単位を1、1個1万円の物品の物品のカウント単位を100とすれば、単価の高い物品も購入先別カウンタのカウンタ値の更新ペースが速くなることで、一律の利用回数閾値でも目的地候補に登録されやすくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0030】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における役務が娯楽施設または飲食店におけるサービスを含むように構成することもできる。
【0031】
上記構成によって、購入の対象が物品でない娯楽施設または飲食店も上述のカウントの対象となり、目的地候補に登録されるようになる。
【0032】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、ドアの開閉状態を検出するドア状態検出手段を備え、取得手段は、ドアが開状態と閉状態の間で遷移した場合に、ICタグから購入先情報を取得するように構成することもできる。
【0033】
ICタグからの購入先情報を取得するためには、無線情報取得手段からポーリング信号を発信する必要があるが、常時発信しているとバッテリの負荷が増大してしまう。車内に購入物品を積み込む際には、トランクやバックドアを含むドアを開閉するので、その開閉の際のみにポーリング信号を発信すれば、購入先情報を確実に取得でき、バッテリの負荷も抑えることができる。上記構成によって、ユーザの操作を必要とせずに、確実に購入先情報を取得することが可能となる。また、同じ物品または役務の購入先情報を重複して取得することも抑止できる。
【0034】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、イグニッションスイッチの状態を検出するイグニッションスイッチ状態検出手段を備え、取得手段は、イグニッションスイッチがオン状態に変化した場合に、ICタグから購入先情報を取得するように構成することもできる。
【0035】
買い物を終えて車内に購入物品を積み込んだ後に、車両を発進させるためにイグニッションスイッチをオン状態としたときも、ICタグからの購入先情報を取得する好適なタイミングである。上記構成によって、ユーザの操作を必要とせずに、バッテリの負荷を抑え、確実に購入先情報を取得することが可能となる。また、同じ物品または役務の購入先情報を重複して取得することも抑止できる。
【0036】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における利用統計情報は、購入先についての利用頻度に関する情報を含み、目的地候補登録手段は、既に目的地候補として登録されている購入先の利用頻度が予め設定される閾値を超える場合は、その登録を抹消するように構成することもできる。
【0037】
ユーザは、頻繁に行く購入先への走行経路は覚えているので、目的地候補に登録する必要はなく、ユーザにとって必要な目的地候補の登録の妨げになったり、目的地検索時の手間を増大させ、かえってユーザの利便性を低下するだけである。上記構成によって、ユーザにとって真に必要な購入先のみが目的地候補として登録された状態となり、ユーザの利便性が向上する。
【0038】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車載用ナビゲーション装置が搭載される車両のユーザを複数登録するユーザ登録手段を備え、利用統計情報作成手段は、ユーザ毎に利用統計情報を作成するように構成することもできる。
【0039】
上記構成によって、その車両を使用する全てのユーザに対し、ユーザ毎に利用統計情報に基づいて目的地候補が登録されるので、ユーザの利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の車載用ナビゲーション装置を、図面を参照しながら説明する。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0041】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両101(図2参照)の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両101の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両101の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0042】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0043】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0044】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0045】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0046】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の利用統計情報作成手段,目的地候補登録手段,カウンタ制御手段に相当する。
【0047】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0048】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0049】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。取得された日時情報は、例えば走行履歴管理に用いられる。
【0050】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0051】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。また、本発明の利用統計情報もデータベース21dに記憶される。
【0052】
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0053】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0054】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0055】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0056】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両101の速度に換算して、車両101の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両101の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0057】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0058】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0059】
すなわち、まず、ユーザは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、図11のように、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてHDD21あるいはメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両101の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0060】
ドアセンサ33a〜33eは、図3のように、それぞれ車両101の運転席ドア32a,右後席ドア32b,左後席ドア32c,助手席ドア32d,トランクハッチ(あるいはバックドア)32eの開閉状態を検出するもので、例えばメカニカルスイッチとして構成され、このスイッチの状態からドアあるいはトランクハッチの開閉状態を検出する。なお、34は操舵ハンドルである。なお、ドアセンサ33a〜33eが本発明のドア状態検出手段に相当する。
【0061】
通信ユニット25は、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification:電波方式認識)方式により物品あるいはレシート等の購入品に付随するICタグ55のデータを読み取り可能なもので、図4Aのように送受信部25aおよび読取処理部25bを含んで構成される。通信ユニット25の設置位置は、図2のように、車両101のトランクルーム(あるいは荷物室)102の内奥部に取り付けられる。また、車室内の天井中央部251に設置してもよい。なお、通信ユニット25が本発明の無線情報取得手段に相当する。
【0062】
また、通信ユニット(35a,36a,36b,37a)は、図3のように各座席(運転席35,後部座席36,助手席37)に設置され、乗員の所持するICタグの情報を受信するものである(詳細は後述)。これらの通信ユニットの構成は通信ユニット25と同様である。これらの通信ユニット(35a,36a,36b,37a)から発信される電磁波は、設置された各座席の外側には到達しないように、各通信ユニットにおいて出力が調整されているので、運転席35の乗員の所持するICタグの情報は、後部座席36にある通信ユニット36a,36bおよび助手席37にある通信ユニット37aでは受信されない。また、各通信ユニットには、そのユニットを特定するIDが設定されているので、どの通信ユニットが誰のICタグを読み取ったかを判別できる。なお、通信ユニット35a,36a,36b,37aが本発明のユーザ登録手段に相当する。
【0063】
ICタグ55は周知の非接触型ICカードで、図4Bのように、非接触ICチップを使った記憶媒体とアンテナを含む記録部57がICタグ55に装着または埋め込まれた構成となっている。このICタグ55として、記録部57が樹脂でラミネートされたの樹脂製カードを例示できるが、これ以外に、例えば、レシート,入場券等の各種チケットの紙面の一部がICタグ55とされてもよい。その場合は、レシート,入場券等の紙面の一部等に、例えばRFIDチップのような記録部57が貼付あるいは埋め込まれることとなる。
【0064】
図4Aを用いて、ICタグ55の記録部57と通信ユニット25との情報の遣り取りの詳細について説明する。記録部57の回路構成は、概念的には、ICであるチップ57aとアンテナ57bを主要な構成部とし、チップ57aは受信回路57c,発電回路57d,発信回路57e,およびメモリ57fを備え、これらが電気的に接続されている。メモリ57fは例えばROMで構成され(書き換え可能なフラッシュメモリでもよい)、そこに物品あるいは役務の種別・品番,購入先およびその所在地(すなわち、購入先情報)が書き込まれて記憶されている。
【0065】
具体的には、データキャリア方式に従い、通信ユニット25の送受信部25aから特定の周波数の電磁波が、ICタグ55に埋め込まれた記録部57に向けて発信されると、そのアンテナ57bを介してチップ57a(受信回路57c)でその電磁波が受信され、その電磁波による誘導起電力に基づき発電回路57dが起動して所定の発電がなされ、これを電源として受信回路57cおよび発信回路57eが作動する。送受信部25aで受信されたナビゲーション装置100からの指令に基づき、発信回路57eはメモリ57fに記憶されているそのチップ57a(ICタグ55)から購入先情報を読み出し、これをアンテナ57bから通信ユニット25側へ出力(発信)する。通信ユニット25がその電波による購入先情報を受け取り、これを読取処理部25bで認識する。その認識した購入先情報はナビゲーション装置100に送られる。読取処理部25bをナビゲーション装置100に含む構成としてもよい。
【0066】
図5を用いて目的地候補登録処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、ICタグ55からデータを受信するデータ受信処理を行う(S1)。
【0067】
図14を用いて、上記データ受信処理の詳細について説明する。まず、ICタグ55からの購入先情報の受信タイミングであるかを調べる。例えば、
(1)ドアセンサ33a〜33eがドア(32a〜32d)あるいはトランク32eの開閉状態の変化(開→閉あるいは閉→開)を検出したとき(S71:Yes)。
(2)イグニッションスイッチ29がOFF状態からON状態に変化したとき、つまりエンジンスタートを検出したとき(S72:Yes)。
のうちのいずれか一方あるいは両方が成立した場合に、受信タイミングであると判定する。(図14は、両方の成立で判定する場合の例である。)
【0068】
ドアセンサ33a〜33eあるいはイグニッションスイッチ29の状態は、直接取得しても車内LAN27を介して取得してもよい。なお、イグニッションスイッチ29が本発明のイグニッションスイッチ状態検出手段に相当する。また、イグニッションスイッチ29のOFF状態からON状態への変化を検出する代わりに、エンジンのスタータモータを駆動状態とするスタータスイッチ38(図1参照)がOFF状態からON状態に変化したときを購入先情報の受信タイミングとしてもよい。
【0069】
次に、RAM83あるいはメモリ9に領域が確保される受信データバッファを初期化する(S73)。初期化は、例えば受信データバッファの内容をゼロクリアする。
【0070】
次に、通信ユニット25の送受信部25aから電磁波を発信し、ICタグ55からの応答を待つ。通信ユニット25の送受信部25aから電磁波を発信後、例えば3分間のように所定の時間内にICタグ55からの応答がない場合は、ICタグ55が存在しないとして電磁波の発信を停止してもよい。
【0071】
ICタグ55からの応答があった場合(S74:Yes)は、ICタグ55を識別するためのIDを読み出す。そして、受信データバッファを参照し、同一のIDタグのデータが受信済であるかを調べ、受信済である場合(S75:Yes)は、ステップS74へ戻り、他のICタグ55からの応答があるかを調べる。
【0072】
一方、受信済でない、すなわち新しいIDタグである場合(S75:No)、ICタグ55からの受信データすなわち購入先情報を受信データバッファに追加するとともに(S76)、そのICタグ55に対応するIDを購入先情報に対応付けて記憶する(S77)。
【0073】
図15に、ICタグ55からの受信データの一例を示す。受信データは、ICタグ55毎に一意に付与されるIDと購入先情報とを含んで構成される。購入先情報は、商品の品番および種別(本発明の分類情報),住所および案内情報等の販売店(本発明の購入先、以下同じ)に関する情報を含む。このデータフォーマットにしたがって、受信データバッファに追加してもよい。
【0074】
図14に戻り、上記ステップS74〜S77までの処理を応答のあったICタグの全てについて実施する(S78)。
【0075】
全てのICタグについてIDと購入先情報とを受信して受信データバッファに追加した後(S78:Yes)、受信データバッファの内容をメモリ9あるいはHDD21の所定のバッファ領域に転送して記憶しておくようにしてもよい。このバッファ領域の記憶内容は、自宅等の目的地に到着した際、あるいは日付が変わった際等の所定のタイミングでクリアされる。こうすることで、複数の店を回って買い物をしたときに、2番目の店で買い物をしてIDタグを読み取る際に、図14のステップS75において、受信したIDがこのバッファ領域に記憶されているかを調べることで、先に読み取った1番目の店で買った商品のIDタグの内容を重複して読み取ることを防ぐことができる。
【0076】
図5に戻り、受信データバッファから、商品の品番および種別,住所および案内情報等の販売店に関する情報を抽出する受信データ解析を行う(S2)。抽出された内容はRAM83あるいはメモリ9に一時的に保存される。
【0077】
次に、運転者・同乗者情報を取得する(S3)。これは、運転者・同乗者が所持するICタグの情報を、通信ユニット(35a,36a,36b,37a)により受信する。
【0078】
図6にデータベース22dに記憶される運転者・同乗者テーブルの例を示す。運転者・同乗者テーブルは、運転者・同乗者番号の組とそれらに割り当てられた運転者・同乗者識別IDを保持するテーブルで、運転者・同乗者番号の組を示す運転者・同乗者識別ID,運転者を示す運転者番号,同乗者を示す同乗者番号(1〜4)を含んで構成される。
【0079】
例えば、運転席35でIDが1100001のICタグが検出され、助手席37あるいは後部座席36でIDが2100001のICタグが検出された場合は、運転者・同乗者テーブルから運転者・同乗者識別ID(運転者・同乗者情報、以下同じ)が002と取得される。また、運転席35でIDが2100001のICタグが検出され、他の席からはICタグが検出されなかった場合は、運転者・同乗者テーブルから運転者・同乗者識別IDが004と取得される。また、検出されたIDの組み合わせが運転者・同乗者テーブルに含まれていない場合は、その組み合わせに新たな運転者・同乗者識別IDを付与するとともに、運転者・同乗者テーブルに追加する。
【0080】
図5に戻り、以下のようにして、品番カウンタ(本発明の分類別カウンタ)および販売店利用度カウンタ(本発明の購入先別カウンタ)を更新する。まず、商品種別が物品ではなく料理店や映画館(すなわち役務,サービス)の場合、つまり、料理店や映画館などのレシートやチケットに付加されたICタグより受信した場合(S4:Yes)、運転者・同乗者情報に対応する販売店利用度カウンタ値に10を加算し(S9)、ステップS11に移行する。このようにして、通常のカウント値よりも大きな値を加算する、つまり本発明の購入先別カウンタのカウント単位を異なる値とすることで、少ない利用回数でも目的地候補に登録されやすくなる。
【0081】
図7にデータベース22dに記憶される品番カウンタテーブルの一例を示す。品番カウントテーブルは、商品種別ごとの利用品番カウントとそれに対応する販売店利用度カウントレコードの情報を保持するテーブルで、ICタグ受信データより取得する対象物品の個別の品番,利用・購入した物品の品番の数を示す品番カウンタ,および対応する対象商品種別の販売店利用度カウンタテーブル(図8参照)内のレコード番号を示す利用度カウントレコード番号を含んで構成される。なお、品番カウンタテーブルは、本発明の利用統計情報に含まれる。
【0082】
一方、商品種別が物品である場合(S4:No)、同一の商品種別の情報を受信していない場合(S5:No)は、運転者・同乗者情報に対応する販売店利用度カウンタ値に1を加算し、該当する品番カウンタ値をクリアして(S10)、次のステップ(S11)に移行する。
【0083】
既に同一の商品種別の情報を受信している場合(S5:Yes)、品番が同じである場合(S6:Yes)は、本処理を終了する。つまり、同一品番の物品については、複数個購入しても品番カウンタ値は1しか増えない。
【0084】
一方、品番が異なる場合(S6:No)は、その品番カウンタ値に1を加算する(S7)。そして、品番カウンタ値が例えば9のような所定の閾値(本発明の取得回数閾値)を超えた場合(S8:Yes)、運転者・同乗者情報あるいは利用度カウントレコード番号に対応する販売店利用度カウンタ値に1を加算し、該当する品番カウンタ値をクリアして(S10)、次のステップ(S11)に移行する。
【0085】
商品種別により分類別カウンタのカウント単位(上記で加算する値)を異なる値としてもよい。例えば、図7の品番カウントテーブルで品番10000200の物品のカウント単位を2とすると、取得回数閾値が9であれば、この物品を5回購入すれば販売店利用度カウンタ値が更新される。よって、購入個数の少ない物品の購入先でも目的地候補に登録されやすくなる。また、品番カウンタ値の閾値は、品番毎に異なる値としてもよい。例えば、購入個数の少ない物品の品番カウンタ値の閾値を5とすれば、購入個数の少ない物品の購入先でも目的地候補に登録されやすくなる。
【0086】
図8にデータベース22dに記憶される販売店利用度カウンタテーブルの一例を示す。販売店利用度カウンタテーブルは、販売店利用度カウンタとそれに付随する販売店・商品種別情報を保持するテーブルで、販売店カウンタテーブル内の商品・役務の種別ごとのレコードに対応するレコード番号,取得した店・施設の名称である販売店名称,ICタグ受信データより取得する販売店・施設の住所である販売点住所,ICタグ受信データより取得する対象商品の商品種別,運転者・同乗者識別ID,および対象商品・役務の購入・利用度合いを示す販売店利用度カウンタを含んで構成される。なお、販売店利用度カウンタテーブルは、本発明の利用統計情報に含まれる。
【0087】
図5に戻り、ステップS9あるいはステップS10で販売店利用度カウンタ値が更新された後、販売店利用度カウンタ値が登録閾値テーブル(図9参照)に定義される所定の登録閾値(本発明の利用回数閾値)を超えた場合(S11:Yes)、目的地候補情報にその販売店に対応する販売店情報とそれに付随する物品情報を登録する(S12)。その際、販売店利用度カウンタをクリアする。上記の閾値は、商品種別あるいは販売店と商品種別の組み合わせに対応して、個別に設定可能としてもよい。また、時計IC88から現在日時を取得して、目的地候補情報テーブル(図10参照)の、販売店に相当する利用度カウンタレコード番号に対応する目的地 登録・利用日時に取得した現在日時を登録日時として記憶する。
【0088】
図9にデータベース22dに記憶される登録閾値テーブルの一例を示す。登録閾値テーブルは目的地候補情報に販売店に対応する販売店情報と物品情報を登録する時に利用する閾値を登録するテーブルで、閾値登録対象の販売店・施設の名称である販売店名称,閾値登録対象の対象商品・サービスの種別である商品種別,および目的地候補情報への登録を行う場合の販売店利用度カウンタの閾値である登録閾値を含んで構成される。なお、登録閾値テーブルは、本発明の利用統計情報,購入先についての利用頻度に関する情報に含まれる。
【0089】
図9の例では、登録閾値は販売店あるいは商品種別毎に異なる値となっている。また、”−”は「全ての値」を意味し、例えば、商品種別が婦人衣料で販売店名称が”−”の場合は、「販売店によらず婦人衣料の登録閾値は5」という意味である。また、BB商店の場合は、「購入した商品種別によらず登録閾値は9999」という意味である。”*”は個別に登録閾値が設定されていない販売店あるいは商品種別を表し、いわゆる登録閾値のデフォルト値である。
【0090】
販売店あるいは商品種別毎に一律の登録閾値を用いてもよい。
【0091】
図10にデータベース22dに記憶される目的地候補情報テーブルの一例を示す。目的地候補情報テーブルは販売店利用度カウントが閾値を超えた販売店の情報を目的地候補として保持するテーブルで、目的候補情報に登録された日時、またはその後、目的地設定に利用された日時(後述)である目的地 登録・利用日時,および目的地候補となった販売店情報を保持する販売店利用度カウンタテーブル(図8参照)内のレコード番号である利用度カウントレコード番号を含んで構成される。日時は時計IC88から取得する。
【0092】
図12を用いて、目的地候補情報テーブルを用いた目的地探索処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれる。まず、図5のステップS3と同様の方法で、運転者・同乗者情報を取得する(S31)。次に、ユーザによる操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10の表示画面上に図11のような目的地探索画面を表示させる(S32)。
【0093】
ここで、「目的地候補」ボタンを押下すると、運転者・同乗者情報が取得されている場合(S33:Yes)は、図8の販売店利用度カウンタテーブルが参照され、図10の目的地候補情報テーブルに記憶されている、利用度カウンタレコード番号に対応する販売店(役務も含む)のうち、運転者・同乗者情報(運転者・同乗者識別ID)に対応するものが目的地候補として表示器10の表示画面に表示される(S34)。こうすれば、目的地候補が絞り込まれて表示されるので、目的地探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0094】
一方、運転者・同乗者情報が取得されなかった場合(S33:No)は、図8の販売店利用度カウンタテーブルが参照され、図10の目的地候補情報テーブルに記憶されている、利用度カウンタレコード番号に対応する全ての販売店あるいは役務が目的地候補として表示器10の表示画面に表示される(S37)。
【0095】
表示されている目的地候補の店舗・施設のうちから目的地が設定されると(S35:Yes)、時計IC88から現在日時を取得して、図10の目的地候補情報テーブルの目的地に設定された販売店に相当する利用度カウンタレコード番号に対応する目的地 登録・利用日時を、取得した現在日時で更新する(S36)。
【0096】
また、図13のように、目的地候補情報テーブル内の情報は、店舗・施設の登録日時、または店舗・施設が最後に目的地に設定された日時より一定の日時が経過した時点で(S51)、目的地候補情報テーブルから消去される(S52)。これにより、常に直近の期間での利用度の高い情報のみが目的地候補情報テーブルに登録されている状態を保つことを可能とする。
【0097】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】通信ユニットの取り付け例を示す図。
【図3】ドアセンサ,通信ユニットの取り付け例を示す図。
【図4A】ICタグからの購入先情報読み取りの構成例を示す図。
【図4B】ICタグの構成例を示す図。
【図5】目的地候補登録処理を説明するフロー図。
【図6】運転者・同乗者テーブルの例を示す図。
【図7】品番カウンタテーブルの例を示す図。
【図8】販売店利用度カウンタテーブルの例を示す図。
【図9】登録閾値テーブルの例を示す図。
【図10】目的地候補情報テーブルの例を示す図。
【図11】目的地探索時の表示画面例を示す図。
【図12】目的地候補情報テーブルを用いた目的地探索処理を説明するフロー図。
【図13】目的地候補の消去処理を説明するフロー図。
【図14】データ受信処理を説明するフロー図。
【図15】受信データの一例を示す図。
【符号の説明】
【0099】
1 位置検出器
7 操作スイッチ群
8 制御回路(利用統計情報作成手段,目的地候補登録手段,カウンタ制御手段)
10 表示器
12 リモコン端末
15 スピーカ
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(利用統計情報)
21m 地図データ
22 タッチパネル
25 通信ユニット(無線情報取得手段)
29 イグニッションスイッチ(イグニッションスイッチ状態検出手段)
31 マイク
33a〜33e ドアセンサ(ドア状態検出手段)
35a,36a,36b,37a 通信ユニット(ユーザ登録手段)
38 スタータスイッチ
55 ICタグ
100 車載用ナビゲーション装置
101 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入した物品あるいは役務に付随し、その物品あるいは役務の購入先をその所在地とともに特定する購入先情報を記憶したICタグから購入先情報を無線取得する無線情報取得手段と、
前記取得された購入先情報に基づき、前記購入先についての利用統計情報を作成する利用統計情報作成手段と、
前記作成された利用統計情報に基づいて、その購入先の所在地を目的地候補として登録する目的地候補登録手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ICタグは前記物品あるいは役務の分類情報を記憶したものであり、
前記無線情報取得手段は前記購入した物品あるいは役務の分類情報を前記ICタグから取得し、
前記利用統計情報作成手段は、前記物品あるいは役務の分類情報毎に取得回数をカウントする分類別カウンタと、
前記物品あるいは役務の購入先の利用回数をカウントする購入先別カウンタと、
同一購入先における前記分類別カウンタのカウンタ値が予め設定される取得回数閾値に達した場合、前記購入先別カウンタのカウンタ値を更新するカウンタ制御手段と、を含み、
前記目的地候補登録手段は、前記購入先別カウンタのカウンタ値が予め設定される利用回数閾値に達した場合には、その購入先を目的地候補として登録する請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記分類別カウンタにおける取得回数閾値は、前記購入した物品あるいは役務の分類情報に応じて異なる値に設定される請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記分類別カウンタにおける取得回数閾値は、前記購入した物品あるいは役務の単価に応じて異なる値に設定される請求項2または請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記分類別カウンタのカウント単位は、前記購入した物品あるいは役務の分類情報に応じて異なる値に設定される請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記分類別カウンタのカウント単位は、前記購入した物品あるいは役務の単価に応じて異なる値に設定される請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記カウンタ制御手段は、同時に購入した同一の物品あるいは役務が複数ある場合、それら複数の物品あるいは役務に対する前記分類別カウンタのカウントを制限する請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記購入先別カウンタのカウント単位は、前記購入した物品あるいは役務の分類情報に応じて異なる値に設定される請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記購入先別カウンタのカウント単位は、前記購入した物品あるいは役務の単価に応じて異なる値に設定される請求項2ないし請求項8のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記役務が娯楽施設または飲食店におけるサービスを含む請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項11】
ドアの開閉状態を検出するドア状態検出手段を備え、
前記取得手段は、前記ドアが開状態と閉状態の間で遷移した場合に、前記ICタグから購入先情報を取得する請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項12】
イグニッションスイッチの状態を検出するイグニッションスイッチ状態検出手段を備え、
前記取得手段は、前記イグニッションスイッチがオン状態に変化した場合に、前記ICタグから購入先情報を取得する請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項13】
前記利用統計情報は、前記購入先についての利用頻度に関する情報を含み、
前記目的地候補登録手段は、既に目的地候補として登録されている前記購入先の利用頻度が予め設定される閾値を超える場合は、その登録を抹消する請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項14】
前記車載用ナビゲーション装置が搭載される車両のユーザを複数登録するユーザ登録手段を備え、
前記利用統計情報作成手段は、前記ユーザ毎に前記利用統計情報を作成する請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−70337(P2008−70337A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251660(P2006−251660)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】