説明

車載用電子装置及び車載用電子システム

【課題】携帯機器を安定して把持することができ、携帯装置を簡単に取り外すことを可能とすること。
【解決手段】本発明は、本体部110と、本体部110を遮断及び露出するように、本体部110によって移動自在に支持された前面部120と、を備えた車載用電子装置100において、前面部120の前面には携帯装置10を着脱可能とした凹部170が形成されており、凹部170の上面は、開放されていることを特徴とする車載用電子装置及び車載用電子システムである。本発明によれば、携帯装置を取り出す際、本体部を露出することにより、携帯装置を把持できる。よって、携帯装置を簡単に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子装置及び車載用電子システムに関し、特に表示携帯装置を凹部である着脱部に装着可能な車載用電子装置及び車載用電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開放)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、車載機器からCDユニットを着脱可能とする構成が開示されている。特許文献3及び特許文献4には、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。また、特許文献5は、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【0005】
特許文献6には、車載機器の前面に上面が開放された凹部からなる着脱部を有し、ナビゲーション部であるポータブル部を開放された上面からスライドさせ着脱する車載機器が開示されている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特開2002−328026号公報
【特許文献3】特表2005−524570号公報
【特許文献4】特開2001−239895号公報
【特許文献5】特開2003−166848号公報
【特許文献6】特開2005−173653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献6の車載機器を車両に取り付けた場合、図1(A)のように、着脱部170aを車両のコンソール210の前面212から突出し、ポータブル機器10aを着脱部170aの上部から上下にスライドさせて装着または脱離することとなる。このため、ポータブル機器10aの着脱の際に、ポータブル機器10aが車載機器100aの上部のエアコン出口等に当たってしまうことがある。このように、ポータブル機器100aの着脱に支障が生じる場合がある。また、ポータブル機器100aの前面200がコンソール210の前面212から突出しているため、ユーザが車両の操作中に車載機器100aに誤って触れてしまうことがある。このように、車両内の空間を狭めてしまう。
【0007】
そこで、図1(B)のように、車載機器100bの前面212とコンソール210の前面200とを面一にすることが考えられる。この場合、特許文献6のように、着脱部170bから上方向にスライドしポータブル機器10bを取り出すことが難しい。そこで、図1(C)のように、凹部である着脱部170bを車載機器100bの前面200に設ける。図1(B)のように、ポータブル機器10bを着脱部170bから前面方向に排出することにより取り出す。この場合、ユーザがポータブル機器10bを把持することが難しく。簡単にポータブル機器10bを取り出すことができない。
【0008】
そこで、図2(A)のように、ポータブル機器10bの上部を着脱部170bから排出することにより、ポータブル機器10bを取り出すことが考えられる。しかしながら、ポータブル機器10bの上部や下部を排出する場合、ポータブル機器10bの上部または下部が誤って排出されることにより、ポータブル機器10bが落下するおそれがある。
【0009】
そこで、図2(B)のように、ポータブル機器10bの右または左を着脱部bから排出することにより、ポータブル機器10bを取り出すことが考えられる。この場合、ユーザはポータブル機器10bの側部を把持することとなる。しかしながら、ポータブル機器10bが横長の場合、ユーザがポータブル機器10bの側部を中心に持つと、重量バランスが悪く、持ち難い。特に、ポータブル機器10bの重量が重く、大きくなるほど、重量バランスが悪化する。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、携帯機器を安定して把持することができ、携帯装置を簡単に取り外すことを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、本体部と、前記本体部を遮断及び露出するように、前記本体部によって移動自在に支持された前面部と、を備えた車載用電子装置において、前記前面部の前面には携帯装置を着脱可能とした凹部が形成されており、前記凹部の上面は、開放されていることを特徴とする車載用電子装置である。本発明によれば、携帯装置を取り出す際、本体部を露出することにより、携帯装置を安定に把持できる。よって、携帯装置を簡単に取り出すことができる。
【0012】
上記構成において、前記凹部の底面の上部に切り欠き部を有する構成とすることができる。この構成によれば、携帯装置をより簡単に取り出すことができる。
【0013】
上記構成において、前記前面部の前面からみて、前記携帯装置の左または右を前記前面に排出させるための係合部を具備する構成とすることができる。この構成によれば、携帯装置の左または右を排出することにより、前面部と携帯装置との間に空間ができるため、ユーザはこの空間に手を入れてより安定して携帯装置を把持することができ、携帯装置をより簡単に取り出すことができる。
【0014】
上記構成において、前記携帯装置は横長である構成とすることができる。この構成によれば、重量バランスが悪い横長の携帯装置においても、携帯装置を簡単に取り出すことができる。
【0015】
上記構成において、前記携帯装置は携帯ナビゲージョン装置である構成とすることができる。
【0016】
本発明は、携帯装置と、本体部と、前記本体部を遮断及び露出するように、前記本体部によって移動自在に支持された前面部と、を備えた車載用電子装置と、を具備し、前記前面部の前面には前記携帯装置を着脱可能とした凹部が形成されており、前記凹部の上面は、開放されていることを特徴とする車載用電子システムである。本発明によれば、携帯装置を簡単に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、また、携帯装置を取り出す際、本体部を露出することにより、携帯装置の中央部を安定に把持できる。よって、携帯装置を簡単に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を用い実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
図3(A)、(B)に電子装置の一例である車載システム1(車載用電子システム)の外観を示す。図3(A)、(B)に示すように車載システム1は、車両に搭載される車載機器100(車載用電子装置)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(携帯装置)とから構成される。ポータブル機器10は、図3(A)に示すように車載機器100の前面部120に取り付けて使用したり、図3(B)に示すように車載機器100から取り外して使用することができる。このように、ポータブル機器10は車載機器100から着脱自在であり、車載機器100にはポータブル機器10を装着可能である。
【0020】
車載機器100は、ラジオ放送の再生機能や、CD(Compact Disc)等の記録媒体に書き込まれた音楽データを再生可能な機器であり、CD再生部やCD挿排口を有する車載機器本体部110(本体部)と、表示部131や操作部132を有する前面部120とを備えている。ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0021】
図4は、ポータブル機器10を車載機器100(前面部120)から取り外した状態を示す。車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された着脱部170が設けられている。着脱部170の上面は開放されている。この着脱部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック機構(不図示)が設けられている。前面部120に設けた取り外しボタン160を操作すると、不図示のロック機構が解除され、車載機器100からポータブル機器10が取り外し可能となる。
【0022】
図5には、前面部120を車載機器本体部110に対して傾斜させ、CD挿排口180を露出させた状態を示す。不図示の駆動機構によって図5に示すスライダー181を駆動させることで、前面部120を車載機器本体部110に対してチルト(変位)させることができる。チルト動作によって、車載機器本体部110に設けられたCD挿排口180を露出させ、CDの挿排を行うことができる。車載機器の前面部120には、操作ボタン(図8に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0023】
図6は、車載システム1の車両への搭載例を示す。車載システム1は、例えば図6に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。なお、図示していないが、後述するGPS情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置、またはフロントガラスの車室内側に貼り付けられている。
【0024】
図7は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30が設けられている。これらのコネクタ150、30を接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信されて車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0025】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140、コネクタ150を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はONの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力を供給されて動作する。
【0026】
以下、各部の機能の詳細について説明する。表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、13セグメント表示によって受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示する。操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替えるための操作や、切り替えた各種モードでの操作を行うためのものである。操作部132には、図8に示すようにチルト/イジェクトボタン132a、ファンクション(以下、FUNCと表記する)/AFボタン132b、TEXTボタン132c、SCREENボタン132d、SOURCE/PWRボタン132e、MODEボタン132f、MUTEボタン132g、BAND切換ボタン132h、ロータリーボタン132i、十字キー/エンターキーボタン132jとからなるボタン群を備える。
【0027】
ここで、ボタン群の操作による制御について説明する。まず、SOURCE/PWRボタン132eの操作によるポータブル機器10と車載機器100の表示の切り替えについて説明する。車載機器100のSOURCE/PWRボタン132eを押下することで、車載機器100がオンされる。また車載機器100がオンしているときに、SOURCE/PWRボタン132eを短押しすることでCD再生やラジオ等のソースの移行が行われる。このとき、車載機器100の表示部131には、選択されたソースにおける情報が表示され、ポータブル機器10の表示部11には、ソースに関係なくナビゲーション画像が表示される。次に、SCREENボタン132dを押下すると、ポータブル機器10の表示部11の表示をナビゲーション画像から車載機器100で選択されたソースに対応する画像に切替えることができる。
【0028】
図9(A)は車載機器100でCDを再生中にポータブル機器10を装着し、ポータブル機器10でナビゲーション画像を表示している状態を示している。図9(A)の状態から、SOURCE/PWRボタン132eを押下して、CD再生からラジオのソースに切換操作を行うと、図9(B)に示すように、表示部131にラジオソースにおける情報が表示される。また、ポータブル機器10の表示部11には、ナビゲーション画像が表示されたままである。次に、ユーザがSCREENボタン132dを押下すると、図9(C)に示すようにポータブル機器10の表示部11に、車載機器100で処理中のソースに対応する画面が表示される(図9(C)ではラジオ画像)。ポータブル機器10の表示部11には、後述するタッチパネルが設けられており、ユーザはタッチパネルを介して表示部11に表示される操作ボタンを選択することで、現在処理中のソースに対する操作をすることができる。
【0029】
また、表示部11にラジオ画像が表示された状態で、SCREENボタン132dを押下すると、図9(D)に示すようにラジオ画像からナビゲーション画像に戻ることができる。ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態では、SCREENボタン132dの操作は無効となる。また、ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態で、外部音声/映像入力部139にUSB(Universal Serial Bus)等が接続された場合には、SOURCE/PWRボタン132eを押下しても、USBのソースには切り替わらないようにすることもできる。
【0030】
次に、チルト/イジェクトボタン132aの操作による前面部120のチルト動作について説明する。チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様(例えば、短押し)で操作されると、前面部120は、CD挿排口180が露出する角度(例えば、60°)まで、前面部120がチルトされ、第2の態様(例えば、長押し)で操作されると、所定角度(例えば、5°)ずつ前面部120がチルトする。
【0031】
図7に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。なお、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を制御部140を介さずに、制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部に出力するようにしてもよい。また、GPS情報受信部133をGPSアンテナのみで構成し、GPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部140、制御部20を介さず、後述するGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。さらに、制御部20は介するが、制御部140を介さずGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。このように、適宜変更可能である。
【0032】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。CD再生部135は、CDに記録されたデータを再生し、再生信号を制御部140に出力する。なお、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0033】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声信号や、CD再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ145に出力する。メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報を一時的に記憶しておく。マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。外部音声/映像入力部139は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0034】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136などを制御する。また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。なお、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。また、制御部140は、ポータブル機器10と接続された携帯電話からの通話音声をコネクタ150を介して入力し、音声調整部136を介してスピーカ145に出力する。さらに、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134やCD再生部135の制御を行う。
【0035】
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。なお、車速パルスが入力されない構成でもよい。
【0036】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、コネクタ30を備えている。
【0037】
以下、各部の機能の詳細について説明する。表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、また車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示することができる。表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0038】
操作部12は、タッチパネルや、ポータブル機器10の電源をオン、オフするための電源ボタン55(図10(A)参照)を含む。タッチパネルは、例えば、表示部11の表示画面の上に配置されるものであり、指や専用のペンによりタッチパネルが接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。電源ボタン55については後述する。
【0039】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自機位置が割り出される。なお、車載機器100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号(及び車速パルス)を用いてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自機位置を特定する。
【0040】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
【0041】
蓄電池15は、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット(図10(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0042】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
【0043】
メモリ18は、例えば読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0044】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶した後述するSDカードやUSBメモリから取得し、記憶する地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーション動作のための画像を作成する。作成した地図は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、ポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置検出の精度を高めることができる。なお、地図情報はポータブル機器10内に保持してもよい。
【0045】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号、及び車速パルスを車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器側に出力し、車載機器100のスピーカ145から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0046】
図10(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図を示し、図10(B)にポータブル機器10の背面図を示す。ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、下面には、SD(Secure Digital)メモリカードスロット56、USBスロット57が設けられている。地図情報が記憶されたSDカードやUSBメモリをこれらのスロットに差し込むことで、制御部20はSDカードやUSBメモリから地図情報を読み出し、ナビゲーション部19に地図情報を出力する。
【0047】
ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン、オフされる。また、車載機器100から取り外してポータブル機器10を単体で使用する場合には、電源ボタン55のオン、オフ操作に基づいて電源が操作される。
【0048】
さらに、ポータブル機器10の背面側には、車載機器100との電気的な接続をとるためのコネクタ30と、車載機器100側に設けたロック機構(不図示)と係合する係合部58とが設けられている。
【0049】
図11(A)から図11(C)を用い実施例1の効果について説明する。図11(A)を参照に、車載機器100は本体部110と本体部110の前面に配置された前面部120とからなる。前面部120は、本体部110に対して下部が前後することにより斜動可能である。つまり、前面部120は、図11(C)のように本体部110の前面に相対して自立した状態で、本体部110を遮断する。また、図11(A)のように、前面部120の下部が前面にスライドした状態で、本体部110の前面を露出する。このように、前面部120は移動自在である。さらに、図5のように、前面部120がこのように移動自在となるように、スライダー181を用い本体部110によって支持されている。着脱部170は、前面部120の前面に設けられ、横長のポータブル機器10を脱着可能とし、上面が開放された凹部である。このように、ポータブル機器10を取り出す際、本体部110が露出する。例えば、前面部120の下部を前にスライドさせ、前面部120を斜動させる。これにより、ユーザはポータブル機器10の上部(図11(B)の領域206)を容易に持つことができる。また、図2(B)で説明したように横長のポータブル機器10の側部を持つことによる重力バランスの悪化を抑制することができる。これにより、ポータブル機器10を簡単に取り外すことができる。
【0050】
また、図11(C)を参照に、ポータブル機器10の上面202が車載機器100に覆われていないため、ポータブル機器10の放熱性を高めることができる。さらに、着脱部170の前面から見た面積を大きくできるため、ポータブル機器10を大きくすることができる。これによりポータブル機器10の表示部11を大きくすることができる。さらに、着脱部170を上方に配置できるため、着脱部170の下の領域208を有効に利用することができる。
【0051】
図12(A)から図12(C)は、ポータブル機器10と車載機器100との着脱方法の説明をするため図であり開放された面に水平方向の切欠断面図である。図12(A)を参照に、着脱部170の側部に形成された係合凸部171と、ポータブル機器10の側部に形成された係合凹部59とが係合するように、ポータブル機器10を着脱部170に対して傾斜した状態で、係合凹部59が形成された側を先に着脱部170へと挿入する。
【0052】
図12(B)を参照に、係合凸部171と係合凹部59とが係合した状態で、係合凹部59が形成された側と反対側(係止部58が形成された側)を押し込むと、アーム部231が、切欠部60を通過し、係止部58と押出し部材230とが当接する。この状態でユーザがポータブル機器10から手を離すと、ポータブル機器10の自重により、若干、下方(図面の奥行方向)に移動し、押出し部材230の係止ピン232が係止部58の内面に係合する。押出し部材230は、バネ(不図示)により、図12(B)において軸172を中心に反時計方向に付勢されている。
【0053】
図12(C)を参照に、さらにポータブル機器10を押し込むと、係止部58により押出し部材230が軸172を中心に時計方向に回転させられ、係止部58とロック機構190の係合爪部191とが係合する。以上により、ポータブル機器10が着脱部170に装着される。
【0054】
次に、着脱部170からのポータブル機器10の取り外しについて説明する。取り外しボタン160を押し込むことにより、ロック機構190が軸172を中心に反時計方向に回転して、係止部58とロック機構190との係合状態が解除される。押出し部材230は、ポータブル機器10の背面から前面に向けて付勢しているので、ポータブル機器10の係止部58が形成された側が着脱部170から排出される。このように、押出し部材230は、着脱部170に装着されたポータブル機器10を着脱部170から排出する機能を有する。図11(C)の矢印のように、開放された上面202の側面側のポータブル機器10が排出される。
【0055】
このように、係合凸部171及びロック機構190(係合部)は、前面部120の前面からみて、ポータブル機器10の左または右を前面に排出させることにより、ポータブル機器10を脱離する機能を有する。このように、ポータブル機器10の左または右を排出することにより、前面部120とポータブル機器110との間に空間ができる。これにより、ユーザはこの空間に手を入れてより安定してポータブル機器10を把持することができ、ポータブル機器10をより簡単に取り出すことができる
【0056】
なお、実施例1では凹部の上面を開放した構成を例に示したが、開放される面は上面に限定されるものではなく、凹部の側面の少なくとも一面が開放されている構成であればよい。
【実施例2】
【0057】
図13は、実施例2に係る車載機器の模式図である。着脱部170の後面214の上部の中央部に切り欠き部205が設けられている。これにより、ポータブル機器10を着脱部170から脱離する際に、ポータブル機器10と着脱部170の底面との隙間が大きくなり、ポータブル機器10をより把持しやすくなる。よって、ポータブル機器10をより簡単に取り外すことができる。
【実施例3】
【0058】
図14(A)から図14(C)は実施例3に係る車載機器100の前面部120の正面図、上面図及び側面図である。前面部120は実施例1と同じように本体部に対し下部が前面側に斜動可能である。前面部120には凹部である着脱部170が設けられており、凹部の上面が開放されている。図14(B)のように、ポータブル機器10を着脱部170に装着した状態で、ポータブル機器10の上面が視認できる。このような構成により、実施例1と同様にポータブル機器10を取り外す際に、ポータブル機器10の把持が容易となる。また、ポータブル機器10の画面を大きくすることができる。さらに、着脱部170を車載機器100の前面の上方に設けたため、表示部11の画面サイズがより横長になったとしても着脱部170の下に表示部131を設ける領域を確保することができる。表示部131はラジオの周波数や再生されているCDの名やアーティスト名を表示するため横長に構成することが好ましく、表示部131は着脱部170の下方に設けることができる。通常CDやチューナ等の表示は横長で行われるため、このような横長の表示部131を着脱部170の下方に設ける方がレイアウト上都合が良く、また表示部131の表示内容が見やすいという効果もある。
【0059】
実施例1から実施例3は、携帯装置としてポータブルナビ(携帯ナビゲーション装置)である例に説明した。携帯装置は着脱部170に装着可能な装置であればよい。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1(A)から図1(C)は、従来の課題を説明するための図であり、図1(A)及び図1(B)は車載機器を車両のコンソールに設けた側面模式図、図1(C)は車載機器の正面斜視模式図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、従来の課題を説明するための図であり、車載機器の正面斜視模式図である。
【図3】図3(A)、(B)は実施例1に用いる車載システムの外観を示す模式図である。
【図4】図4はポータブル機器を車載機器から取り外した状態を示す模式図である。
【図5】図5は前面部を車載機器本体に対して傾斜させ、CD挿排口を露出させた状態を示す模式図である。
【図6】図6は、車載システムの車両への搭載例を示す模式図である。
【図7】図7は、車載システムを示す概略図である。
【図8】図8は本体部の正面模式図である。
【図9】図9(A)から(D)は本体部に装着されたポータブル機器の表示を示す模式図である。
【図10】図10(A)は、ポータブル機器の正面模式図、上面模式図、下面模式図、左側面模式図、右側面模式図であり、図10(B)はポータブル機器の背面模式図である。
【図11】図11(A)から図11(C)は実施例1の効果を説明するための図であり、図11(A)は車載機器を車両のコンソールに設けた模式図、図11(B)はポータブル機器の模式図、図11(C)はポータブル機器を着装した車載機器の模式図である。
【図12】図12(A)から図12(C)は、ポータブル機器を着脱部に装着する方法を示した切欠断面図である。
【図13】図13は実施例2に係る車載システムの模式図である。
【図14】図14(A)から図14(C)は、実施例3の前面部を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 ポータブル機器
100 車載機器
110 本体部
120 前面部
170 着脱部
200 前面
202 上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部を遮断及び露出するように、前記本体部によって移動自在に支持された前面部と、を備えた車載用電子装置において、
前記前面部の前面には携帯装置を着脱可能とした凹部が形成されており、
前記凹部の上面は、開放されていることを特徴とする車載用電子装置。
【請求項2】
前記凹部の底面の上部に切り欠き部を有することを特徴とする請求項1記載の車載用電子装置。
【請求項3】
前記前面部の前面からみて、前記携帯装置の左または右を前記前面に排出させるための係合部を具備することを特徴とする請求項1または2記載の車載用電子装置。
【請求項4】
前記携帯装置は横長であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の車載用電子装置。
【請求項5】
前記携帯装置は携帯ナビゲージョン装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の車載用電子装置。
【請求項6】
携帯装置と、
本体部と、前記本体部を遮断及び露出するように、前記本体部によって移動自在に支持された前面部と、を備えた車載用電子装置と、を具備し、
前記前面部の前面には前記携帯装置を着脱可能とした凹部が形成されており、
前記凹部の上面は、開放されていることを特徴とする車載用電子システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−265624(P2008−265624A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113532(P2007−113532)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】