説明

道路の一部の上にある屈曲部を予測検出するための方法およびそれに関連するシステム

【課題】自動車が走行する屈曲部の特性を予測検出する。
【解決手段】自動車が走行する道路の一部にある屈曲部を予測検出するための方法であって、地理的測位システムからのデータ、および地図データのための受信機を利用するナビゲーションシステムと称する第1システムにより、第1の信頼性インデックスに関連する、屈曲部に関する第1の組の情報を確立するステップと、カメラおよび画像処理アプリケーションを利用し、画像処理システムと称する第2システムにより、第2の信頼性インデックスに関連する、当該屈曲部に関する第2の組の情報を確立するステップと、前記第1の信頼性インデックス、および前記第2の信頼性インデックスを考慮することにより、前記第1の組の情報、および前記第2の組の情報から、当該屈曲部に関する第3の組の情報を確立するステップとを含む、屈曲部を予測検出するための方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車が通る道路の一部の上にある屈曲部を予測検出するための方法、およびこの方法を実行するためのシステムに関する。
【0002】
本発明の主な目的は、自動車がこれから通ろうとする屈曲部の特徴を決定するための方法を提案することにあり、このようにして決定された特徴は、当該車両に組み込まれた種々のアプリケーションで利用できる。特に、自動車により当該屈曲部の照明を最適にするようになっている特性を、制限することなく有利に活用できる。
【0003】
本明細書においては、この応用例についてより詳細に説明する。しかし、本発明に係わる方法における特徴は、後述する他の用途にも適用できる。
【背景技術】
【0004】
一般的には、本発明の分野は、自動車用ヘッドライトの分野である。この分野では、基本的には、次のようなものを含む、種々のタイプのヘッドライトが使用されている。
−パーキングライト、小パワーライトおよび短距離ライト。
−比較的強力であり、約70mの道路照明範囲を有するロービーム。すなわち、ディップライト。これらは、基本的には夜間に使用され、その光ビームは対抗車両のドライバーを眩惑しないように分散される。
−長距離用ハイビームライト、および長距離タイプの相補的ライト。これらのライトは、約200mの道路照明範囲を有し、対向車がある場合には、対向車のドライバーを眩惑しないようにスイッチを切らなければならない。
−バイモードとして知られる高機能ヘッドライト。これは、取り外し自在なスクリーンを組み込むことにより、ロービームライトとフルビームライトの2つの機能を組み合わせたものである。
−フォグライト、その他。
【0005】
上で説明したような従来のヘッドライト装置、すなわち、ロービームライトとして使用されるヘッドライトは、このヘッドライト装置を、特定の条件下で使用するときに好ましい光ビームを発生する。従って、例えば自動車が屈曲部に接近する際に、ヘッドライトは前方を真っすぐに照明し続けるが、一方、曲がるべき屈曲部の方向に光ビームを向けることができれば、より有利となる。従来のメインヘッドライト機能、特にディップ機能およびフルビーム機能以外に、種々の改良が徐々になされているからである。
【0006】
従って、可動ビームヘッドライトデバイスとしても知られる配向可能なヘッドライト装置を発生するDBL(ダイナミックベンディング光)としても知られる機能を有し、AFS(高機能フロント照明システム)機能として知られる高度機能が開発されている。このタイプのヘッドライト装置は、自動車が屈曲部に接近するとき、道路の幾何学的形状に従うことによって道路を最適に照明できるよう、光源から発せられる光ビームの向きを変更できる。(なおヘッドライト装置なる用語は、ヘッドライト自身、または固定されたヘッドライトに移動自在に取り付けられた他の光学的モジュールを意味する)。
【0007】
かかる機能を発揮させるために、公知のある技術では、例えば、ハンドルの角度センサにより、車両から生じる情報アイテムに応じて回転するモータにより、ヘッドライト装置の主ビームを移動できるようにしている。従って、このヘッドライト装置は、連結されていると称される。
【0008】
別の公知の技術は、例えば発光ダイオードタイプの複数の光源を含む固定された光ヘッドライト装置と、光を接近中の屈曲部の内側に向けてスイープする効果を発生するよう、自動車の行路に応じて、光源の連続的な照明を制御するための手段とから成るものである。
【0009】
このタイプの配向可能なヘッドランプデバイスにより、道路の照明は、ドライバーの行動によってしか定められない。例えば、ドライバーが自動車のハンドルを右に回転した場合、屈曲部が右に延びているということを考慮し、自動車のヘッドランプは、道路の右側に向けられる。更に、自動車が屈曲部のカーブに進入するまで、方向の変化に関する情報を検出しない。この情報は、通常、ハンドルの角度の変化を検出するハンドル角度センサによって得られる。
【0010】
従って、自動車が既に屈曲部に進入しており、ドライバーが自動車のハンドルを回転するときに限り、ヘッドライト装置をモニタする部材に情報が供給される。その結果、屈曲部に進入する際に、ドライバーにとって光ビームは遅れて到達し、屈曲部を離れる際に、自動車の軸線に光ビームが過度に長く戻ったままであるという意味で、装置は、屈曲部の照明をトリガーするのが遅れる。
【0011】
このようなヘッドライトの向きの変化の遅れは、ドライバーに対する不快さの原因となるだけでなく、安全性を損なうことにもなる。その理由は、ヘッドライトの向きが変わるごとに、道路の照明が不十分となる瞬間があるからである。従って、前方の屈曲部をあらかじめ検出することができず、当該屈曲部を最適に照明することができない。
【0012】
このような、予測ができないという問題に対応するため、従来技術として、2つのタイプの解決案を提案されている。
【0013】
第1のタイプの解決案は、ナビゲーションシステムから誘導される情報を利用することである。
【0014】
このタイプのナビゲーションシステムは、地図システムから提供される情報と、自動車のGPSによって与えられる表示を組み合わせたものである。このシステムによって、道路の幾何学的形状を予測することが可能となる。例えば、所定の距離内で道路上に生じる屈曲部をあらかじめ知ることが可能である。従って、ナビゲーションシステムから得られる情報を引き出すことにより、屈曲部と自動車とを分離する距離、更に自動車が接近中の屈曲部の曲率半径も決定し、これまで説明した従来の解決案よりも適当な早い時期に、自動車の光ビームを配向させ、よって屈曲部の照明を最適にすることが可能である。
【0015】
このタイプの装置は、欧州特許出願第EP780,823号、第EP887,229号および第EP1,415,856号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、システム固有の所定の数の結果によって、予測能力が制限される。すなわち
−現在の地図がまだ極めて不正確である。所定の場所のための情報がないことが頻繁にある。マップデータベースによって、世界の全エリアがカバーされているわけではない。
−ナビゲーションシステムによって得られる情報が無意味であることもあり得る。例えばドライバーが、自らナビゲーションシステムに記憶させた場所Aに行く計画を立てたが、結局ドライブ中にナビゲーションが示す表示に従わないで、場所Bに行くことになった場合、ナビゲーションシステムが提供する情報アイテムは、自動車が実際に進む行路に関して一貫性がなく、矛盾することさえもある。
−例えば長いトンネルを通過するとき、または大きな建物のある都市部を通過する際に、GPSでカバーされないこともあり得る。
【0017】
第2のタイプの解決案は、画像処理システムによって得られる情報を利用することである。このタイプのシステムは、少なくとも1つのカメラと、画像処理ソフトウェアアプリケーションとを使用するものである。このタイプのシステムの一例は、道路に引かれた白線を検出するための方法から成っている。しかしながら、道路に常に白線があるわけではなく、また、これら白線が存在していても、あるタイプの、または別のタイプの堆積物、例えば土によって白線が退色していたり、覆われている場合があり得る。この場合、白線を検出方法によって検出することはできなくなる。
【0018】
欧州特許出願第EP1,431,918号に記載されている、このタイプのシステムの一例は、道路の縁石を検出する方法である。しかし、このタイプの方法は、特に道路の交差点またはジャンクションがある場合、種々の点で不適当である。
【0019】
従って、自動車が走行する屈曲部の特性を予測検出するには、現在のいずれのシステムも、完全に満足できるものとは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上に記載した問題に対する解決案を提案するものである。大まかに言うと、本発明は、上記2つのシステムの組み合わせ、すなわち、予測情報のこれら2つのソースを融合することにより、ナビゲーションシステムとカメラ、および画像処理アプリケーションを組み合わせたシステムとを組み合わせることを提案するものである。
【0021】
従って、本発明によると、2つのシステムのうちの一方が故障していても、故障していない他方のシステムに基づいて有効なフェールセーフの作動モードを提供できるという利点を有する。従来技術では、このような予測作動モードともなっているこのタイプのフェールセーフモードは利用できない。
【0022】
従って、本発明は、2つの別個のシステムによって提供される情報を融合する結果得られる、自動車が進む屈曲部に関する情報の一組を提供するものである。これら2つのシステムの各々に、信頼性インデックスを割り当て、情報を融合する際にこれら信頼性インデックスが生じる。
【0023】
本発明は、種々の用途、すなわち配向可能なヘッドライト装置を改良して利用できること、推奨されるスピード、適応的クルージング制御の最適化をドライバーに示すことにより、屈曲部に接近する前にドライバーに対して発せられる警告などの種々の用途に直接関するものである。
【0024】
本発明は、自動車が走行する道路の一部にある屈曲部を予測検出するための方法であって、基本的には、
地理的測位システムからのデータ、および地図データのための受信機を利用するナビゲーションシステムと称する第1システムにより、第1の信頼性インデックスに関連する、当該屈曲部に関する第1の組の情報を確立するステップと、
カメラおよび画像処理アプリケーションを利用し、画像処理システムと称す第2システムにより、第2の信頼性インデックスに関連する、当該屈曲部に関する第2の組の情報を確立するステップと、
前記第1の信頼性インデックスおよび前記第2の信頼性インデックスを考慮することにより、前記第1の組の情報および前記第2の組の情報から当該屈曲部に関する第3の組の情報を確立するステップとを含むことを特徴とする、屈曲部を予測検出するための方法に関する。
【0025】
前述した主要な特徴事項の外に、本発明に係わる方法は、次の特徴事項のうちの1つ以上を有することがある。
【0026】
前記第1の組の情報は、第1の信頼性インデックスに関連し、前記第2の組の情報は、第2の信頼性インデックスに関連し、当該屈曲部に関する前記第3の組の情報を確立することを含む前記ステップは、前記第1の信頼性および第2の信頼性を考慮することによって実行される。
【0027】
前記第3の組の情報は、前記第1の信頼性インデックスおよび第2の信頼性インデックスから発生された最3の信頼性インデックスに関連している。
【0028】
前記第1の組の情報および第2の組の情報は、当該屈曲部の曲率半径、自動車の瞬間的位置と屈曲部の進入位置との間の距離、屈曲部のタイプ(左向きの屈曲部、右向きの屈曲部、S字形の屈曲部)のうちからのデータのうちの少なくとも1つのアイテムを含む。
【0029】
前記第3の組の情報は、屈曲部の曲率半径、自動車の瞬間的位置と屈曲部の進入位置との間の距離、屈曲部のタイプ(左向きの屈曲部、右向きの屈曲部、S字形の屈曲部)、適正な照明ポイントのうちの少なくとも1つのアイテムのデータを含む。
【0030】
第1の組の次のパラメータ、すなわち
GPS測位精度と、
地図のデジタル化の精度と、
地図を更新した日と、
道路のタイプと、
道路に関する情報のレベルと、
道路の機能的クラスと、
自動車の環境と、
ドライバによるガイドモード、および計画されたルートと車載センサーによって提供される情報との一致レベルの選択とを含む第1の組のパラメータのうちの少なくとも2つのパラメータ(これらパラメータは、このリストにない1つ以上の別のパラメータも使用できる)から、前記第1の信頼性インデックスを発生させる。
【0031】
学習フェーズの結果得られた重み係数に関連する、次のパラメータ、すなわち
GPS測位精度と、
地図のデジタル化の精度と、
地図を更新した日と、
道路のタイプと、
道路に関する情報のレベルと、
道路の機能的組と、
自動車の環境と、
ドライバによるガイドモードおよび計画されたルートと車載センサーによって提供される情報との一致レベルの選択に割り当てられた値の重み付けされた平均値を取ることにより、前記第1の信頼性インデックスを発生させる。
【0032】
カメラによって得られた画像に関する第2の組の次のパラメータ、すなわち
当該画像のテクスチャーの測定値と、
当該画像に関するシャドーファクターと、
光の減少量の垂直勾配と、
当該画像の対称性のインデックスのうちの少なくとも2つ(これらパラメータは、前記リストにない1つ以上の別のパラメータを含むことができる)から、前記第2の信頼性インデックスを発生させることを特徴とする前記方法。
【0033】
パラメータのうちの前記第2の組のパラメータのすべてに割り当てられた値の重み付けされた平均値をとることにより、前記第2の信頼性インデックスを発生させ、前記パラメータは、学習フェーズの結果得られた重み係数に関連している。
【0034】
本発明の方法は、前記第1の信頼性インデックスと第1スレッショルド値を比較すると共に、前記第2の信頼性インデックスと第2のスレッショルド値を比較するステップを含むことが好ましく、前記第1の信頼性インデックスと第1スレッショルド値とは、用途に応じて、同じでもよいし、異なっていてもよい。
前記第3の組の情報を確立する際に、前記第1の組の情報、および前記第2の組の情報のうちの比較する対象の前記スレッショルド値よりも信頼性インデックスが大きくなっている情報の組だけを、考慮するステップを含むことが好ましい。
【0035】
本発明の方法は、前記第1の信頼性インデックス、および前記第2の信頼性インデックスが、比較する対称のスレッショルド値よりも小さい場合に、屈曲部を瞬間的に検出するフェールセーフの作動モードを採用することから成る追加ステップを含んでいる。
【0036】
前記第3の組の情報は、データを含み、このデータの前記アイテムの各々の値は、前記第1の組の情報、および前記第2の組の情報からの対応するデータの重み付けされた平均をとることによって確立されており、前記第1の組の情報のアイテムのデータは、第1の重み係数によって重み付けされており、前記第2の組の情報の対応するデータは、第2の重み係数によって重み付けされており、前記第1の重み係数は、前記第1の信頼性インデックスが前記第2の信頼性インデックスよりも大である場合、およびこの場合に限り、前記第2の重み係数よりも大である。
【0037】
これとは異なり、この簡単な重み付け方法は、例えば、ベイズの理論、ファジー論理集合理論、確率のデンプスター・シェイファー理論を使用するデータ融合システムに置換してもよい。
【0038】
前記第2システムは、特に道路の一部の縁石を検出することから成る動作を実行し、かつこの第2システムは、道路の一部の上にある白線を検出する動作を実行する。
【0039】
また本発明は、主要な特徴事項、およびオプションとして、1つ以上の相補的特徴事項を有する本発明の方法を実行する、道路の一部の上の屈曲部を予測検出するためのシステムであって、
第1の信頼性インデックスに関連する、屈曲部に関する第1の組の情報を確立するために、地理的測位システムからのデータのための受信機、GPSアンテナおよび地図データを利用する、ナビゲーションシステムと称す第1システムと、
第2の信頼性インデックスに関連する、屈曲部に関する第1の組の情報を確立するために、カメラおよび画像処理アプリケーションを利用する、画像処理システムと称す第2システムと、
前記第1の信頼性インデックスおよび第2の信頼性インデックスを取り込み、前記第1の組の情報および第2の組の情報から、屈曲部に関する第3の組の情報を得るために情報を処理するための手段を備えることを特徴とする、屈曲部を予測検出するためのシステムにも関する。
【0040】
前のパラグラフで述べた主要な特徴事項の外に、本発明に係わるシステムは、次の特徴事項のうちの1つ以上の特徴事項を有することがある。
【0041】
前記第1の組の情報、第2の組の情報、および第3の組の情報は、屈曲部の曲率半径に関連するアイテムのデータを含み、このシステムは、可動ビームヘッドライト装置に接続されている。
【0042】
前記可動ビームヘッドライト装置は、配向自在なヘッドライト装置である。
【0043】
前記可動ビームヘッドライト装置は、複数の光源を含む固定されたヘッドライト装置であり、光源は、自動車の行路に応じて逐次点灯されるようになっている。
【0044】
前記第1の組の情報、第2の組の情報、および第3の組の情報は、屈曲部の曲率半径に関するアイテムのデータを含み、このシステムは、前記曲率半径に関するアイテムのデータを作動パラメータとして使用する適応型クルージング制御システムに接続されている。
【0045】
前記第1の組の情報、第2の組の情報、および第3の組の情報は、屈曲部の曲率半径に関するアイテムのデータを含み、このシステムは、屈曲部の曲率半径に応じた制限値に自動車の速度を制限するために、推奨速度を超えたときに警告を発するシステムに接続されている。
【0046】
最後に、本発明は、主要特徴事項、およびオプションとしての1つ以上の相補的特徴事項を有する、本発明に係わる道路の一部の上にある屈曲部を予測検出するためのシステムが設けられた自動車にも関する。
【0047】
この地理的測位システムは、例えば衛星が通信できる受信機、例えばGPSネットワークの測位を可能にする衛星のネットワークを備えたシステムとすることができる。
【0048】
次の説明を読み、添付図面を検討すれば、本発明およびその種々の応用例を、更に良好に理解できると思う。
【0049】
これらの図は、単に例として示すものであり、何ら本発明を限定するものではない。
【0050】
例を除き、各図面に示す種々の要素には、同一の符号を付してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図1は、自動車が接近しようとしている屈曲部に関する最終の組の情報153のを提供する、自動車内で実行される、本発明の方法の一実施例で使用される種々の要素を略示している。基本的には、自動車は、ナビゲーションシステムと称する屈曲部を予測しながら、検出するための第1システム101を含み、この第1システムは、地図データ111と、自動車に搭載されたGPSアンテナ112とを使用し、正確な位置情報を受信できるようになっている。
【0052】
この例では、第1システム101は、速度センサ、ジャイロスコープ、ハンドル角度センサタイプなどの、自動車に搭載されたセンサ113を利用している。これら種々のセンサは、自動車が実際に走行するルートが、ナビゲーションシステムの計画したルートに対応するかどうかをチェックするための種々のタイプの情報を発生する。ナビゲーションシステム101は、自動車が走行する次の屈曲部に関する第1の組の情報151を提供する。この第1の組の情報は、曲率半径、前記屈曲部と自動車の現在位置との間の距離、屈曲部のタイプ、すなわち左側への屈曲部か右側への屈曲部か、などに関するデータを含んでいる。
【0053】
自動車は、屈曲部を予測しながら、検出するための第2システム102も含み、この第2システムは、自動車が走行しようとしてる道路の画像を捕捉するカメラ121と、画像処理アプリケーションの一組122とを利用し、このアプリケーションのアルゴリズムは、例えば道路の白線を検出、または縁石を解析することにより、自動車が走行するその後の屈曲部に関する第2の組の情報152を発生できる。この第2の組の情報は、曲率半径、前記屈曲部と自動車の現在位置との間の距離、屈曲部のタイプ(左側への屈曲部または右側への屈曲部)などに関するデータを含んでいる。
【0054】
本発明によれば、最終の組の情報153は、第1の組の情報151と第2の組の情報152から発生される。この目的のために、データ融合システム154において、特にマイクロプロセッサと特定のソフトウェアアプリケーションと共に、データ処理手段を活用する。第1の基本例では、最終の組の情報153は、第1の組の情報151および第2の組の情報152に存在するデータの各アイテムに対し、第1の組の情報、および第2の組の情報におけるデータの2つの対応するアイテムの値の平均値を値として採用するアイテムのデータを含んでいる。車載センサからの情報113を考慮することにより、最終情報の組で得られた最終データから、適切な照明ポイントの位置を示すタイプの新しい情報が得られる。
【0055】
より高度で複雑な別の例では、第1の組の情報151と第1の信頼性インデックスIC1、および第2の組の情報152と第2の信頼性インデックスIC2とを関連付け、2つのカメラに基づくシステムと、ナビゲーションに基づくシステムとを融合することができる。この信頼性インデックスは、パラメータとも称するCiで示される複数の基準から計算する。2つのシステムを融合するために、モデル化と知識評価フェーズが定義した種々の基準に基づき、2つのシステムの信頼性インデックスを計算することができる。従って、第1の信頼性インデックスを計算するための例では、次の式を採用する。
【数1】

ここで、C1は、道路のタイプであり、
2は、(ADAS分類によって提供される)道路に関する情報のレベルであり、
3は、道路の機能クラス、すなわちFC1またはFC2であり、
4は、環境(街、自動車路の出口、交差点など)であり、
5は、GPSの位置測定の信頼性インデックスであり、
6は、ドライバーが選択するか、または選択しないガイドモードであり、
α1、α2、α3、α4、α5、α6は、情報の信頼性に応じて種々の基準に割り当てられる中間信頼性インデックスと称す重み係数である。これらの重みは、一般に、経験または学習によって定められる。
【表1】

【0056】
次の表は、これら中間信頼性インデックスに対する値の割り当ての一例を示している。これらの値は、非限定的例として単に示すものにすぎない。
【0057】
第1の信頼性インデックスを決定するための他の例では、別のパラメータ、特に地図のデジタル化の精度、地図を更新する日を考慮することもできる。
【0058】
第2の信頼性インデックスを計算する一例は、捕捉した画像に対し、次の式で示すことができる。
【数2】

ここで、使用する種々の基準は次の属性を有する。
eは、エントロピー(当該画像のテクスチャーの測定値)であり、
oは、当該画像のシャドーファクターであり、
gは、当該画像での光の減少量の垂直勾配であり、
sは、当該画像の対称性のインデックスであり、
αe、αo、αg、αsは、情報の信頼性および関連する基準の適性に応じて、種々の中間インデックスに割り当てられる重み係数である。これらの重み係数は、例えば基準の統計学的研究を行って定められるか、または学習によって定められる。
【0059】
第1の信頼性インデックス、および第2の信頼性インデックスをいったん決定すると、この実施例では、2つ組の情報を誘導し、それぞれの信頼性インデックスを考慮することにより、最終の組の情報153を決定できる。この融合を実行するために、種々の可能性を考えつくことができる。
【0060】
第1の可能性は、第1の組の情報からのアイテムのデータの値を得るために、当該アイテムのデータの値を対応する情報の組の信頼性インデックスで重み付けすることにより、第1の組の情報と第2の組の各データのタイプに対し、直接重み付け平均をとることである。
【0061】
より一般的には、重み係数は、信頼性インデックスの間に確立された大きさに制限される。第1の信頼性インデックスは、それぞれ第2の信頼性インデックスよりも大または小である場合、第1の組のデータを割り当てる重み係数は、重み係数を用いないで、第2の組のデータに割り当てられる重み係数よりも大または小となるので、それらの値として、信頼性インデックスの値を採用する。かかるケースでは、重み係数の値は、種々の基準を積分でき、特に時間経過すると、より信頼性があると証明される屈曲部の予測検出をするための2つの車載システムの一方を優先できる。
【0062】
別の実施例では、各信頼性インデックスIC1およびIC2を、スレッショルド値と比較する。このタイプの例では、信頼性インデックスの一方が、比較する対象のスレッショルド値よりも小さい場合、最終の組の情報を確立するために、当該信頼性インデックスに割り当てられた情報の組を考慮しない。従って、単一の予測検出システムに基づくフェールセーフモードが採用される。しかし、このフェールセーフモードは予測するに留まる。2つの信頼性インデックスが比較対象のスレッショルド値よりも小さい場合、例えばハンドル角度センサに基づくフェールセーフモードを採用する。従って、極めて使用しにくいこのタイプのフェールセーフモードでは、もはや予測できず、従ってその検出は瞬間的である。
【0063】
一般的に言って、2つのシステムから誘導される知識を融合する際の、信頼性インデックスの決定およびその発生は、使用する融合方式に応じて決まる。この融合方式は、ベイズの理論、ファジー論理集合理論、または他の確率タイプのデンプスター−シェーファー理論の種々のモデルに従うことができる。第2の信頼性インデックスIC3は、最終の組の情報153に関連する。この第2の信頼性インデックスは、最終の組の情報の信頼性レベルを提供できる。従って、この第3の信頼性インデックスは、実施例において、自由に使用される。
【0064】
例えば、この第3の信頼性インデックスが、スレッショルドの値よりも小さい場合、最終の組の情報のデータを使用しないフェールセーフ作動モードの使用を選択する工夫がなされる。一実施例では、最3の信頼性インデックスは、第1の信頼性インデックスと第2の信頼性インデックスの平均値と等しい。
【0065】
図2は、本発明に係わる方法の第2の実施例を示す。この例では、屈曲部201に進入する前に、前記屈曲部における適切な照明ポイント202、および屈曲部に進入してから屈曲部を離間するまでの間の適切な照明ポイントの移動を決定するのに、最終の組の情報153を使用する。この目的のために、第3の組の情報に存在する曲率半径R、更に車速のアイテムのデータを基本的に使用する。
【0066】
第1システムで計算される曲率半径データに基づき、第1システムのみが、第1角度A1にわたるヘッドライトの回転を命令する。第2システムだけが、このシステムが計算する曲率半径データに基づき、第2の角度A2にわたるヘッドライトの回転を命令する。2つのシステムからの情報を融合した後の曲率半径データを使用し、角度A3にわたる屈曲部内のヘッドライトを予測しながら配向させる。この場合の角度A3は、A1に近い値、A2に近い値または角度A1からA2までの値をとり得る。
【0067】
光源の回転または連続照明を結果として生じさせるヘッドライトのこのような配向は、車載センサからの情報に基づく自動車のそのときの状態(速度、加速度、コースなど)も考慮している。車速に応じた(適切な照明ポイントに対する)適正な距離を保つために、回転量を計算する際にこの情報を考慮する。
【0068】
本発明に係わる方法を適用できる用途は、この方法をダイナミックなカーブ警告システムとして使用することである。屈曲部を検出し、2つのシステムからの情報を融合することに従って得られた曲率半径から、オーバーステアリングまたはアンダーステアリングの危険を生じることなく、屈曲部に対応できる最大速度を計算する。この最大値を超えない速度で、屈曲部に到達するには、自動車が屈曲部に到達する充分前に車速をチェックし、警告、例えば音の警告を発することによってドライバーに警告し、屈曲部に対して適当な速度にすることをドライバーにアドバイスする。
【0069】
自動車と進入する屈曲部との間の最小警告距離dは、次の式で示すことができる。
【数3】

ここで、νは、車速であり、
νrecは、最終の組の情報における曲率半径データから計算される推奨速度であり、
γは、減速度(例えば2ms-2)であり、
τは、ドライバーの反応時間(例えば1.2秒)である。
【0070】
図3に示す別の可能な用途は、特定の自動車で見られる適応型クルージング制御システム(ACC)を最適にするための、本発明に係わる方法によって提供される情報を使用することである。このACCは、ドライバーがよりリラックスした状態で運転できるようにするドライバー支援システムのことである。その目的は、自動車200の速度を前方の自動車301の速度に自動的に適応させ、よってドライバーにかかる圧力を軽減することである。
【0071】
前方の自動車を、約0〜120mの間で捕捉し、記録する。この目的のために、車載レーダーまたは赤外線ビーム303が、自動車の前方のスペースを検討し、適当な場合に、前方の自動車までの距離およびその前方の自動車の速度も伝えるようになっている。
【0072】
しかし、図3に示すように、誤った自動車の検出304が生じ得る。ここで使用する「誤った検出」なる用語は、本明細書の説明において、ACCシステムを含む自動車の前方に位置するが、自動車の走行路内にはない、前方の自動車302、または第三者の自動車がない場合の、インフラストラクチャー自身の要素を検出することを意味する。
【0073】
その結果、この自動車またはインフラストラクチャーの検出された要素からの距離を考慮することにより、車速は減速される。検出するべき自動車は、同じレーン内にある自動車である。屈曲部の存在を予測する情報、およびその屈曲部の曲率半径(すなわち屈曲部の半径)の値も使用することにより、正しい自動車を検出するようにACCを最適化できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】自動車内の搭載システムの組み合わせを示す、本発明の原理の図である。
【図2】本発明に係わる方法の第1の応用例の略図である。
【図3】本発明に係わる方法の第2の応用例の略図である。
【符号の説明】
【0075】
101 第1システム
111 地図データ
112 GPSアンテナ
102 第2システム
121 カメラ
122 画像処理アプリケーション
151 第1の組の情報
152 第2の組の情報
153 最終の組の情報
154 データ融合システム
201 屈曲部
202 照明ポイント
302 自動車
304 誤った自動車の検出

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(200)が走行する道路の一部における屈曲部(201)を予測検出するための方法であって、
地理的測位システムからのデータ、および地図データ(111)のための受信機を利用するナビゲーションシステムと称する第1システム(101)により、第1の信頼性インデックス(IC1)に関連する、当該屈曲部に関する第1の組の情報(151)を確立するステップと、
カメラ(121)および画像処理アプリケーション(122)を利用し、画像処理システムと称す第2システム(102)により、第2の信頼性インデックス(IC2)に関連する、当該屈曲部に関する第2の組の情報(152)を確立するステップと、
前記第1の信頼性インデックスおよび前記第2の信頼性インデックスを考慮することにより、前記第1の組の情報および前記第2の組の情報から、当該屈曲部に関する第3の組の情報(153)を確立するステップとを含むことを特徴とする、屈曲部(201)を予測検出するための方法。
【請求項2】
前記第3の組の情報は、前記第1の信頼性インデックス、および前記第2の信頼性インデックスから発生された最3の信頼性インデックス(IC3)に関連していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の組の情報、および前記第2の組の情報は、当該屈曲部の曲率半径、前記自動車の瞬間的位置と当該屈曲部の進入位置との間の距離、屈曲部のタイプのうちからのデータのうちの少なくとも1つのアイテムを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の組の情報は、当該屈曲部の曲率半径(R)、前記自動車の瞬間的位置と当該屈曲部の進入位置との間の距離、屈曲部のタイプ、適正な照明ポイントのからの少なくとも1つのアイテムのデータを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
GPS測位精度と、
地図のデジタル化の精度と、
地図を更新した日と、
道路のタイプと、
道路に関する情報のレベルと、
道路の機能的クラスと、
自動車の環境と、
ドライバによるガイドモードおよび計画されたルートと車載センサーによって提供される情報との一致レベルの選択とを含む第1の組のパラメータのうちの少なくとも2つのパラメータから、第1の信頼性インデックスを発生することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
学習フェーズの結果得られた重み係数に関連する、次のパラメータ、すなわち
GPS測位精度と、
地図のデジタル化の精度と、
地図を更新した日と、
道路のタイプと、
道路に関する情報のレベルと、
道路の機能的クラスと、
自動車の環境と、
ドライバによるガイドモードおよび計画されたルートと車載センサーによって提供される情報との一致レベルの選択に割り当てられた値の重み付けされた平均値を取ることにより、前記第1の信頼性インデックスを発生することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
次のパラメータ、すなわち
当該画像のテクスチャーの測定値と、
当該画像に関するシャドーファクターと、
光の減少量の垂直勾配と、
当該画像の対称性のインデックスとのうちの少なくとも2つから、またカメラによって得られた画像に関する第2の組のパラメータのうちの1つ以上のパラメータから、前記第2の信頼性インデックスを発生させることを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータのうちの前記第2の組のパラメータのすべてに割り当てられた値の重み付けされた平均値をとることにより、前記第2の信頼性インデックスを得るようにし、かつ前記パラメータは、学習フェーズの結果得られた重み係数に関連していることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の信頼性インデックスと、第1スレッショルド値を比較すると共に、前記第2の信頼性インデックスと第2のスレッショルド値を比較するステップと、
前記第3の組の情報を確立する際に、前記第1の組の情報、および前記第2の組の情報のうちの比較する対象の前記スレッショルド値よりも信頼性インデックスが大きくなっている情報の組だけを考慮するステップからなる追加ステップを含むことを特徴とする、請求項2〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の信頼性インデックスおよび前記第2の信頼性インデックスが、比較する対称のスレッショルド値よりも小さい場合に、当該屈曲部を瞬間的に検出するフェールセーフの作動モードを採用することから成る追加ステップを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の組の情報は、データを含み、このデータの前記アイテムの各々の値は、前記第1の組の情報および前記第2の組の情報からの対応するデータの重み付けされた平均をとることによって確立されており、前記第1の組の情報のアイテムのデータは、第1の重み係数によって重み付けされており、前記第2の組の情報の対応するデータは、第2の重み係数によって重み付けされており、前記第1の重み係数は、前記第1の信頼性インデックスが前記第2の信頼性インデックスよりも大である場合に、前記第2の重み係数よりも大であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
データ融合により情報を処理するためのシステム内で、前記第1の組の情報と前記第2の組の情報を共に処理することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第2システムは、道路の一部の縁石を検出する動作を実行することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第2システムは、道路の一部の上にある白線を検出する動作を実行することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
地理的測位システムからのデータのための前記受信機は、GPSアンテナ(112)であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の方法を実行する、道路の一部の上の屈曲部(201)を予測検出するためのシステムであって、
第1の信頼性インデックス(IC1)に関連する、当該屈曲部に関する第1の組の情報(151)を確立するために、地理的測位システムからのデータのための受信機、特にGPSアンテナ(112)および地図データ(111)を利用する、ナビゲーションシステムと称する第1システム(101)と、
第2の信頼性インデックス(IC2)に関連する、当該屈曲部に関する第1の組の情報を確立するために、カメラ(121)および画像処理アプリケーション(122)を利用する、画像処理システムと称す第2システム(102)と、
前記第1の信頼性インデックスおよび前記第2の信頼性インデックスを取り込み、前記第1の組の情報および前記第2の組の情報から、当該屈曲部に関する第3の組の情報を確立するために情報を処理するための手段を備えることを特徴とする、屈曲部(201)を予測検出するためのシステム。
【請求項17】
前記第1の組の情報、第2の組の情報、および第3の組の情報は、屈曲部の曲率半径に関連するアイテムのデータを含み、かつこのシステムは、可動ビームヘッドライト装置に接続されていることを特徴とする、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記可動ビームヘッドライト装置は、配向自在なヘッドライト装置であることを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記可動ビームヘッドライト装置は、複数の光源を含む固定されたヘッドライト装置であり、前記光源は、自動車の行路に応じて逐次点灯されることを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の組の情報、第2の組の情報、および第3の組の情報は、当該屈曲部の曲率半径に関するアイテムのデータを含み、前記システムは、前記曲率半径に関するアイテムのデータを作動パラメータとして使用する適応型クルージング制御システムに接続されていることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の組の情報、第2の組の情報、および第3の組の情報は、屈曲部の曲率半径に関するアイテムのデータを含み、かつこのシステムは、当該屈曲部の曲率半径に応じた制限値に前記自動車の速度を制限するために、推奨速度を超えたときに警告を発するシステムに接続されていることを特徴とする、請求項16に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−137641(P2008−137641A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−248486(P2007−248486)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】