説明

遠隔機器制御システム、その制御方法及びそのプログラム

【課題】インターネットを介した遠隔制御と無線信号による直接制御とを切替可能で、不正アクセスを防ぐことができる、携帯電話による機器の遠隔制御システムの提供。
【解決手段】携帯電話などの情報端末5に、ユーザの操作・入力に応じて、機器制御命令を無線信号で直接的に機器1に送信する直接機器制御部52と、インターネット経由で宅外制御サーバー6に接続し、インターネット経由で機器1を制御する遠隔機器制御部55を設ける。これにより、ユーザが、情報端末5から無線信号で直接的に機器制御する方法と、インターネットを介して機器制御をする方法のどちらを利用するかを選択することができる。また、情報端末5に電気錠制御装置4と認証通信を行う電気錠認証部53を設けることにより、認証結果を機器の制御方法の切替に利用でき、入室した場合は情報端末5からの直接制御、外出した場合はインターネット経由の制御と切り替えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの情報端末を利用して電気錠や機器の制御を行う遠隔機器制御システム、その制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遠隔機器制御システムは、例えば特許文献1のような構成が多い。図8は、この従来システムの概略構成を示すものである。
【0003】
図8では、ユーザの宅内に機器101、電気錠102、ホームゲートウェイ103が設置されている。機器101は照明やエアコンなどの一般の家庭用機器であり、ホームゲートウェイ103は、機器101および電気錠102を宅外から制御させるための装置である。宅外制御サーバー105は、携帯電話104でユーザから入力された機器制御指示を受信して、ホームゲートウェイ103へインターネット経由で送信するASPサーバーである。
【0004】
ユーザは、携帯電話104から宅外制御サーバー105にアクセスし、機器制御の指示を入力する。宅外制御サーバー105は、インターネット経由の通信によりホームゲートウェイ103に機器制御指示を転送し、ホームゲートウェイ103はその情報を宅内通信用に変換して機器101や電気錠102へ送信する。これにより携帯電話104からの制御指示が機器101、電気錠102に送信され、遠隔制御可能となる。
【0005】
特に、特許文献1では、電気錠102におけるユーザの外出操作や帰宅操作をホームゲートウェイ103へ通信し、その情報を宅外制御サーバー105経由で携帯電話104に表示させることが記載されている。
【0006】
また、特許文献2は、携帯電話から機器を直接制御する構成が記載されている。
【特許文献1】特開2006−203515号公報
【特許文献2】国際公開第2004/086328号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した従来の構成では、下記の課題があった。
【0008】
(1)ユーザが宅内に居る場合でも、携帯電話で機器制御をしようとすると通信回線を経由した制御が必要となり、通信費用がかかる。
【0009】
(2)携帯電話から無線信号を用いて機器を直接制御をする場合、従来例のようなインターネットを介した遠隔制御との切替が必要であり、さらに直接制御時における機器への不正アクセスを防ぐ必要がある。
【0010】
なお、上記した特許文献2では、直接制御時の不正アクセスを防ぐため、携帯電話と機器の間で認証通信を行っている。しかし、携帯電話と各機器それぞれが、認証通信を行うため効率が悪いという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決し、携帯電話などの情報端末を用いた遠隔機器制御をセキュアに行うため、情報端末に、ユーザの操作・入力に応じて、機器に制御命令を無線信号で直接
的に送信する直接機器制御部と、インターネットなどの通信回線を経由して宅外制御サーバーに接続し、ユーザの操作・入力から機器制御に関する指示を取得して、宅外制御サーバーへ送信する遠隔機器制御部を設ける。
【0012】
これにより、ユーザが、携帯電話から無線信号で直接的に機器制御する方法と、インターネットを介して機器制御をする方法のどちらを利用するかを選択することができる。
【0013】
また、携帯電話などの情報端末に電気錠と認証通信を行う電気錠認証部を設けることにより、電気錠での認証結果を機器の遠隔制御方法の切替に利用できる。これにより、入室した場合は、携帯電話からの直接制御、外出した場合はインターネット経由の制御と切り替えることができる。また、電気錠での認証結果が所定の条件を満たさないと、機器の遠隔制御ができないようにすることで、よりセキュアな遠隔制御が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明を用いることにより、下記の効果が生まれる。
【0015】
(1)ユーザが、携帯電話などの情報端末から無線信号で直接的に機器制御する方法と、インターネットを介して機器制御をする方法のどちらを利用するかを選択することができる。これにより、ユーザが宅内に居る場合は直接制御を用いるなど、さまざまな使い方が可能になる。
【0016】
(2)携帯電話などの情報端末と電気錠制御装置が認証通信を行うことにより、認証結果を遠隔機器制御方式の切替に利用できる。例えば、情報端末からの機器制御を、入室時は無線信号で直接的に機器制御を行う方式、退室時にはインターネットを介した機器制御による方式に自動的に切り替えることができ、利便性が高まる。また、認証通信は情報端末と電気錠制御装置の間だけで行うので、各機器と行う方式と比べて効率が良い。
【0017】
(3)また、電気錠制御装置との認証通信が失敗しているときに、情報端末からの直接制御を禁止することや、所定期間内に一度も電気錠制御装置との認証が成功していない情報端末からの機器制御を禁止するなどすることにより、情報端末からの機器制御をよりセキュアにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1の発明は、無線信号により外部から制御される機器とインターネットなどの通信回線と接続して機器制御に関する電文を受信し、電文に応じて機器と無線信号で通信し制御する宅外制御装置と、インターネットなどの通信回線で情報端末および宅外制御装置と接続して、ユーザが情報端末で入力した機器制御に関する指示を受信し、制御指示を電文として宅外制御装置へ送信する宅外制御サーバーを備えた遠隔機器制御システムにおいて、情報端末は、ユーザの操作・入力に応じて、機器制御に関する電文を機器に無線信号で送信する直接機器制御部と、インターネット経由で宅外制御サーバーに接続し、ユーザの操作・入力から機器制御に関する指示を取得して、宅外制御サーバーへ送信する遠隔機器制御部と、直接機器制御部と遠隔機器制御部のどちらを利用するかをユーザに選択させるユーザインタフェース部を備える。
【0019】
これにより、ユーザが、携帯電話などの情報端末から無線信号で直接的に機器制御する方法と、インターネットを介して機器制御をする方法のどちらを利用するかを選択することができる。これにより、ユーザが宅内に居る場合は直接制御を用いるなど、さまざまな使い方が可能になり、利便性が向上する。
【0020】
第2の発明は、第1に発明において、無線信号による通信を用いてユーザ認証を行い、
ユーザ認証が成功したときに解錠すると伴に、ユーザの入室/退室を検出・管理する電気錠制御装置を設け、情報端末に、電気錠制御装置と無線信号による通信を行い、ユーザ認証の実施およびユーザの入室/退室の検出結果取得を行う電気錠認証部を備え、電気錠認証部は、ユーザ認証が失敗した場合、もしくはユーザが退室状態にあるときは、直接機器制御部の動作を禁止する。
【0021】
これにより、ユーザ認証ができてない不正な情報端末からの直接制御や、宅外からの機器の直接制御を防ぐことができ、よりセキュアな遠隔制御が実現できる。
【0022】
第3の発明は、第1の発明において、無線信号による通信を用いてユーザ認証を行い、ユーザ認証が成功したときに解錠すると伴に、ユーザの入室/退室を検出・管理する電気錠制御装置を設け、情報端末に、電気錠制御装置と無線信号による通信を行い、ユーザ認証の実施およびユーザの入室/退室の検出結果取得を行う電気錠認証部と、ユーザ認証の結果を、認証した日時情報と伴に記憶する認証情報記憶部を備え、ユーザインタフェース部は、認証情報記憶部を検索し、所定の期間内に一度もユーザ認証が成功していなければ、遠隔機器制御部の動作を禁止する。
【0023】
これにより、インターネットなどの通信回線を用いた遠隔制御においても、電気錠におけるユーザ認証履歴を用いることで、遠隔機器制御をよりセキュアにすることができる。
【0024】
第4の発明は、第1の発明において、無線信号による通信を用いてユーザ認証を行い、ユーザ認証が成功したときに解錠すると伴に、ユーザの入室/退室を検出・管理する電気錠制御装置を設け、情報端末に、電気錠制御装置と無線信号による通信を行い、ユーザ認証の実施およびユーザの入室/退室の検出結果取得を行う電気錠認証部を備え、ユーザインタフェース部は、電気錠認証部においてユーザ認証の成功と入室の両方が確認されたときに機器制御を直接機器制御部による制御に切替え、ユーザ認証の失敗時や退室時は遠隔機器制御部による制御に切り替える。
【0025】
これにより、例えば、情報端末からの機器制御を、入室時は無線信号で直接的に機器制御を行う方式、退室時にはインターネットを介した遠隔機器制御による方式に自動的に切り替えることができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0026】
第5の発明は、無線信号により外部から制御される機器と、前記機器制御に関する電文を受信し、前記電文に応じて前記機器と無線信号で通信し制御する宅外制御装置と、ユーザが情報端末で入力した機器制御に関する指示を受信し、前記指示を電文として前記宅外制御装置へ送信する宅外制御サーバーとを、通信回線で接続する遠隔機器制御システムの制御方法において、前記情報端末は、ユーザの操作・入力に応じて、前記機器制御に関する電文を前記機器に無線信号で送信するステップと、前記通信回線を経由して前記宅外制御サーバーに接続し、前記ユーザの操作・入力から機器制御に関する指示を取得して、前記宅外制御サーバーへ送信するステップと、前記直接機器制御部と前記遠隔機器制御部のどちらを利用するかをユーザに選択させるステップ、とを備えた遠隔機器制御システムの制御方法である。
【0027】
これにより、ユーザが、携帯電話などの情報端末から無線信号で直接的に機器制御する方法と、インターネットを介して機器制御をする方法のどちらを利用するかを選択することができる。これにより、ユーザが宅内に居る場合は直接制御を用いるなど、さまざまな使い方が可能になり、利便性が向上する。
【0028】
第6の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明に記載の遠隔機器制御システムの少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムである。プログラムであるので
電気・情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させて用いて本発明の機能の一部あるいは全部を容易に実現することができる。また、記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布やインストール作業が簡単にできる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるシステム構成を示した図である。まず、各部の構成を順に説明する。
【0031】
機器1は家庭やオフィスなどに設置された機器であり、具体的には照明機器やエアコンなどの空調機器である。これらは、無線信号で他から遠隔制御可能なものとする。無線信号としては、特定小電力無線などの電波信号や、赤外線などの光信号がある。本実施の形態では、電波による無線信号により、これらの機器が遠隔制御されるものとする。遠隔制御の内容は、単純な機器のオン・オフの切替でも良いし、照明機器の光量設定やエアコンの温度設定などの設定値でも良い。なお、機器1は照明機器やエアコンとしたが、電子レンジ、洗濯機などの白物機器、テレビ・ビデオなどのAV機器、給湯器、床暖房機などの設備機器であってもよい。
【0032】
宅外制御装置2は、インターネットなどの通信回線を介して宅外制御サーバー6と接続しており、機器制御に関する電文を受信して、無線信号で対応する機器1に制御電文を送信し、機器1を制御する。一般に、インターネット上の通信はTCP/IPなどのプロトコルで行われることが多いが、宅内の無線通信はTCP/IPで行われないことも多い。この場合、宅外制御サーバー6はプロトコルを変換するゲートウェイとしても動作する。
【0033】
回線接続装置3は、モデム、ルータ、回線終端装置などで構成されている。これは、宅外制御装置2をインターネットへ接続させるための装置である。回線接続装置3は、回線の種類によって構成が異なる。たとえば、ADSL回線の場合、ADSLモデム+ルータのような構成になる。また、このようなモデム機能を宅外制御装置2が構成の一部として自分で持つ場合や、LAN回線が宅内に直接来ている場合など、回線接続装置3が必要で無い場合もある。
【0034】
電気錠制御装置4は、玄関などのドアなどに設置され、電気的にドアの施錠・解錠を行うものである。電気錠制御装置4も機器1と同様に無線信号で制御可能とする。具体的には、情報端末5と無線信号により通信を行ってユーザ認証を行い、認証が成功すれば解錠するなどの制御を行う(なお、ユーザ認証時に暗号通信を行う場合は、暗号・復号機能を持つ)。また、ユーザが宅外/宅内のどちらのノブがひねるか等を検出することにより、ユーザの入室/退室を検出し、その識別情報を情報端末5へ送信する。
【0035】
情報端末5は、携帯電話、PDA、ノートパソコンなどの端末であり、本実施の形態では、本来の通話機能や情報処理機能以外に、以下の6つの機能を有する。
【0036】
(1)機器1や電気錠制御装置4に対して無線信号を直接的に送受信する無線通信部51。具体的には、無線信号を送受信するための物理デバイスや、その制御回路から構成される。
【0037】
(2)ユーザから入力された機器制御に関する指示を無線の機器制御電文に変換し、無線通信部51を制御して機器1や電気錠制御装置4へ送信する直接機器制御部52。機器
1や電気錠制御装置4からの応答の受信や再送処理などもここで行う。
【0038】
(3)あらかじめ設定されたユーザID(ユーザ毎にユニークなID)を利用して、電気錠制御装置4と無線信号により認証通信を行う電気錠認証部53。ユーザの操作により、電気錠認証部53は、暗号化されたユーザIDを電気錠制御装置4へ送信する。また、電気錠制御装置4から返信される認証結果情報と、ユーザの入室/退室の識別情報(入退室情報)の受信を行う。
【0039】
(4)電気錠制御装置4から返信されるユーザ認証の成否情報、入室/退室の識別情報(入退室情報)を、日時情報とあわせて記憶する認証情報記憶部54。
【0040】
(5)インターネットなどの通信回線を用いて宅外制御サーバー6にアクセスし、
(A)機器制御用のコンテンツの取得とユーザインタフェース部56での表示、
(B)表示コンテンツに対して、ユーザが入力した機器制御に関する指示情報の取得、
(C)取得した機器制御に関する指示情報の宅外制御サーバー6に送信、を行う遠隔機器制御部55。
【0041】
遠隔機器制御部55は、具体的にはWEBブラウザで構成されている。宅外制御サーバー6上のコンテンツ(HTMLファイル、スクリプト、画像、音声、Java(登録商標)アプリなど)を取得して、ユーザに対して表示し、それに対するユーザの操作・入力を取得することで機器制御に関する指示を得る。
【0042】
(6)直接機器制御部52での機器制御画面の表示、電気錠認証部53での認証開始の指示および画面表示、遠隔機器制御部55でのコンテンツ表示と、それぞれに対するユーザの入力・操作の検出を行うユーザインタフェース部56。ユーザインタフェース部56は、液晶などの表示デバイス、押しボタンやタッチパネルなどの入力デバイス、メニュー画面の表示や各機能(直接機器制御部52、電気錠認証部53、遠隔機器制御部55)の起動や停止をつかさどる制御回路から構成される。
【0043】
宅外制御サーバー6は、情報端末5に対して機器制御用のコンテンツを提供し、それに対してユーザが入力した内容(機器制御指示)を受信して、対応する機器制御電文を対応する宅外制御装置2へ送信する機能をもつサーバーである。宅外制御サーバー6は、具体的には、WEBサーバーにより構成される。WEBサーバーには、上述した機器制御用のコンテンツ(HTMLファイル、スクリプト、画像、音声、Java(登録商標)アプリなど)と、ユーザから入力された機器制御指示を電文に変換して宅外制御装置2へ送信するためのサーバー側プログラム(CGI、サーブレットなど)が格納される。
【0044】
以上のように構成された本システムの動作例を、図2および図3のフローチャートにしたがって説明する。
【0045】
図2は、情報端末5による電気錠の解錠動作を示したフローチャートである。
【0046】
本発明では、情報端末5と電気錠制御装置4が無線信号により直接通信を行いユーザ認証を行う。情報端末5からの遠隔機器制御の前の手続きとして、まず、この解錠動作の説明を行う。
【0047】
(ステップA1)ユーザが情報端末5を持ち、無線信号が届く距離までドアに近づき、情報端末5中のユーザインタフェース部56を操作し、電気錠認証部53を起動させる。ユーザインタフェース部56の操作としては、単純な押しボタンでも良いし、電気錠制御用の画面を情報端末5に表示させ、それに対して入力させても良い。
【0048】
(ステップA2)起動した電気錠認証部53は、無線通信部51を制御して、ユーザID情報を電気錠制御装置4へ無線信号で送信する。ユーザIDは、ユーザ毎にユニークなID情報であり、あらかじめ電気錠認証部53に登録しておく必要がある。また、ここでのユーザIDは、暗号化して電気錠制御装置4へ送信する。
【0049】
(ステップA3)電気錠制御装置4は、ステップA2で情報端末5から送信されたユーザID情報を受信し、事前に登録してあるユーザIDと比較することにより認証処理を行う。なお、受信したユーザID情報が暗号化されているので、一旦復号してから、事前に登録したユーザIDと比較を行う。
【0050】
(ステップA4)受信したユーザIDが、事前に登録したユーザIDの中に存在すれば、ユーザ認証に成功したものとして、ステップA5に分岐する。また、受信したユーザIDが登録したユーザID中に存在しなければ、ユーザ認証に失敗したものとして、ステップA7へ分岐する。
【0051】
(ステップA5)ユーザ認証に成功した場合、電気錠制御装置4はドアの解錠を行う。
【0052】
(ステップA6)解錠後、ユーザは所定時間内にドアを開け、入室する。退室時にも認証通信を行うので、電気錠制御装置4は、ユーザが入室したか/退室したかの検出を行う。これは、ドアのノブが外側・内側のどちら側からひねられたかを検出することで識別可能である。
【0053】
(ステップA7)電気錠制御装置4は、入室/退室の検出後、ステップA3で行ったユーザ認証の成否と、入退室情報(ステップA6で実施した入室か退室かの検出結果)を、情報端末5へ送信する。なお、退室時に認証通信を行なわず、内から外へ出る場合は無条件で解錠する場合には、内側からノブがひねられ解錠した時点で、電気錠制御装置4から情報端末5へ退室したという情報を送信する。この場合、認証結果は入室時のものが、情報端末5中に保持される。
【0054】
(ステップA8)情報端末5中の無線通信部51は、この認証結果情報と入退室情報を受信して、認証情報記憶部54へ出力する。認証情報記憶部54は、受信時点の日時情報とこれらの情報をあわせて記憶する。
【0055】
以上の動作により、情報端末5からユーザIDを電気錠制御装置4に無線信号で直接送信することにより、電気錠制御装置4の制御が可能となり、電気錠での認証結果や入退室情報を情報端末に蓄えることができる。
【0056】
次に、図3のフローチャートを用いて、情報端末5からの機器制御動作を説明する。
【0057】
(ステップB1)ユーザが携帯電話などの情報端末5を操作することにより、ユーザインタフェース部56は、図4(A)のような画面を表示する。図4(A)はメニュー画面であり、そのメニュー項目の中に含まれる「4.宅内リモコン」が直接機器制御部52による制御、「5.宅外リモコン」が遠隔機器制御部55によるインターネットを介した制御に、それぞれ対応する。
【0058】
(ステップB2)ユーザは機器制御を行うときに、表示した画面から「4.宅内リモコン」もしくは「5.宅外リモコン」のどちらかを選択する。
【0059】
(ステップB3)ユーザの選択が「4.宅内リモコン」の場合はステップB4へ分岐し
、「5.宅外リモコン」の場合はステップB10へ分岐する。
【0060】
(ステップB4)ユーザが「4.宅内リモコン」を選んだ場合、ユーザインタフェース部56は、電気錠認証部53を起動させる。電気錠認証部53は、認証情報記憶部54に記憶されている情報(直近の認証情報の成否、入退室情報)を取得し、ユーザ認証が成功して、かつ、入室状態であるかどうかを確認する。
【0061】
(ステップB5)確認結果から処理を分岐させる。ユーザ認証が成功し入室状態であればステップB7へ進み、ユーザ認証が失敗しているか、もしくは、退室状態であれば、ステップB6へ進む。
【0062】
(ステップB6)ユーザ認証が失敗しているか、もしくは、退室状態であるため、セキュリティ上、情報端末5からの直接制御は許されない。したがって、電気錠認証部53は、直接機器制御部52の動作を禁止し、ユーザインタフェース部56はユーザに対して図4(B’−1)のようなエラー画面を表示する。
【0063】
(ステップB7)ユーザ認証が成功し、入室状態であるため、電気錠認証部53は、直接機器制御部52を起動させる。直接機器制御部52は、ユーザインタフェース部56を用いて、ユーザに対して図4(B−1)のような制御する機器を選択させる機器メニュー画面、そして、(B−2)のような機器動作指示の入力画面を表示させる。
【0064】
(ステップB8)ユーザの入力操作に応じて、無線通信部51を制御して、対象となる機器1に無線信号で機器制御電文を送信する。図4(B−2)の例では、ユーザが「冷房ON」という制御指示を選択しており、「送信」ボタンが押されたときに、直接機器制御部52は、無線通信部1を制御して、「冷房ON」に対応する機器制御電文を無線により機器1へ送信する。
【0065】
(ステップB9)機器1は、上記ステップB8で直接機器制御部52から送信された機器制御電文を受信して、その内容に応じて動作を変更する。以上のステップB4からステップB9までの動作が、直接制御の動作である。
【0066】
(ステップB10)ユーザがステップB3の選択で「5.宅外リモコン」を選んだ場合の動作である。ユーザインタフェース部56は、認証情報記憶部54にアクセスして、所定の期間内(例えば最近1ヶ月など)に、情報端末5が電気錠制御装置4と正しく認証できたかどうかを確認する。ステップA8で説明したように、認証情報記憶部54にはユーザ認証の結果が日時情報と伴に格納されているため、この情報から所定期間内に認証が成功したかどうかを判断できる。
【0067】
(ステップB11)ステップB9での確認結果に応じて処理を分岐させる。所定期間内に認証が成功している場合はステップB13へ進み、そうでなければステップB12へ分岐する。
【0068】
(ステップB12)所定期間内に一度も情報端末5と電気錠制御装置4の間で認証が成功していないので、不正なユーザがアクセスしている可能性が高い。この場合、ユーザインタフェース部56は遠隔機器制御部55の動作を禁止し、図4(C’−1)のような表示を行う。本発明を用いることで、電気錠の認証履歴情報を利用して、不正ユーザからの遠隔制御を回避することができる。
【0069】
(ステップB13)所定期間内に、情報端末5と電気錠制御装置4の間で認証が成功している場合であり、この場合、ユーザインタフェース部56は、遠隔機器制御部54を起
動する。遠隔機器制御部54はインターネットを経由して宅外制御サーバー6に接続する。
【0070】
(ステップB14)遠隔機器制御部54は、接続した宅外制御サーバー6から、機器制御用のコンテンツを取得し、ユーザインタフェース部56に表示させる。遠隔制御制御部54はWEBブラウザから構成されており、宅外制御サーバー6から取得したHTMLファイルや画像などを表示する。この画面での入力は、HTTPプロトコルにより宅外制御サーバー6中のサーバー側アプリケーション(CGIなど)に渡される。ここでの、表示例を図4(C−1)〜(C−3)に示す。ユーザは、(C−1)の画面ではID/パスワードによるユーザ認証を行い、(C−2)の画面では制御する機器の選択、そして(C−3)の画面で制御指示を入力する。
【0071】
(ステップB15)ステップB14での表示に対し入力されたユーザの機器制御指示は宅外制御サーバー8で機器制御用の電文に変換し、インターネット経由で宅外制御装置2へ送信する。
【0072】
(ステップB16)宅外制御装置2は、宅外制御サーバー6からの電文を受信し、電文の内容から、どの機器1へ送信するかを判断して、機器制御電文を送信する。
【0073】
(ステップB17)ステップB9と同様に、機器制御電文を受信して、その内容に応じて動作を変更する。なお、情報端末5からの機器制御電文と宅外制御装置2からの機器制御電文は、同じ電文フォーマット、同じ電文種別を用いる。したがって、機器1は、情報端末5からも、宅外制御装置2からも制御可能である。
【0074】
以上のステップB10〜ステップB17までの動作により、インターネットを介した遠隔機器制御が可能となる。
【0075】
以上のようなステップB1〜B17の動作により、携帯電話などの情報端末5から無線信号で直接的に機器制御する方法と、インターネットを介して遠隔機器制御をする方法のどちらを利用するかを、ユーザが選択することができる。
【0076】
これにより、ユーザが宅内に居る場合は直接制御を用いるなど、さまざまな使い方が可能になる。
【0077】
また、電気錠制御装置4との認証通信が失敗しているときに情報端末5からの直接制御を禁止することや、所定期間内に一度も電気錠制御装置4との認証が成功していない情報端末5からの機器制御を禁止するなどすることにより、情報端末からの機器制御をよりセキュアにすることができる。
【0078】
なお、上記した図3のステップB1〜B17の動作では、無線信号による直接制御と、インターネットを介した遠隔制御をユーザが選択したが、これを電気錠制御装置4との認証結果により自動的に切り替えるようにしても良い。この場合の動作を図5のフローチャートで示す。図5のステップC1〜C3が図3と異なるところであり、他のステップは共通である。順に説明する。
【0079】
(ステップC1)ステップB1と同様にユーザインタフェース部56が、ユーザに対してメニュー画面を表示する。このメニュー画面の例を図6(A’)に示す。図4(A)と異なり、自動的に無線信号による直接制御と、インターネットを介した遠隔制御を切り替えるため、機器制御に対応するメニューは「5.リモコン」のひとつになっている、機器制御を開始するため、ユーザは「5.リモコン」を選択する。
【0080】
(ステップC2)ユーザの選択後、ステップB4と同様に、ユーザインタフェース部56は、電気錠認証部53を起動させる。電気錠認証部53は、認証情報記憶部54に記憶されている情報(直近の認証情報の成否、入退室情報)を取得し、ユーザ認証が成功して、かつ、入室状態であるかどうかを確認する。
【0081】
(ステップC3)確認結果に応じて、ユーザ認証が成功していて入室した場合は、ステップB7に進み、図3で説明したように、直接機器制御部52を用いて、無線信号で機器1へ直接、機器制御電文を送信する。ユーザ認証が失敗した場合や、退室している場合は、ステップB10に進み、遠隔機器制御部55を用いてインターネットを経由の遠隔制御を行う。
【0082】
このステップC3での切替動作により、情報端末1での画面遷移は図6のようになる。「5.リモコン」を選択した後は、電気錠制御装置4との通信結果に応じて、(B−1)(C−1)あるいは(C’−1)へ状況に応じて遷移する。
【0083】
この方式は、図3の例と比較して、ユーザが遠隔機器制御方式を選択する必要が無いため、操作が簡単になり利便性が向上するというメリットがある。なお、図5のフローチャートのステップB7〜B17は、図3と同一の動作であるため、説明を省略する。
【0084】
なお、上記実施の形態で説明した機器1の構成は、図7のような構成でもかまわない。本実施の形態では、機器1は情報端末5や宅外制御装置2と無線通信を行うとしている。しかし、無線通信ができる機器(照明、エアコンなど)は、一般には少ないため、図7のように、無線通信を行う機器側無線通信部11を機器1の外付けのアダプタとして接続しても良い。この場合、機器側無線通信部11は、情報端末1や宅外制御装置2と無線信号の通信をするとともに、機器1に対して有線通信を行う。無線通信部分と有線通信部分は通信プロトコルが異なるので、機器側無線通信部11はプロトコル変換を行うゲートウェイとしても動作する。
【0085】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明は、携帯電話などの情報端末を用いて、セキュアに宅内機器を遠隔制御できる。これは、実施の形態で説明したエアコンや照明などの家電機器だけでなく、給湯器、床暖房機などの設備機器やOA機器、AV機器などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態1のシステム構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における解錠時の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1における機器制御時の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1における情報端末での表示例を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における別の機器制御時の動作を示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1における別の情報端末での表示例を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における機器1の構成例を示す図
【図8】従来例の構成を示す図
【符号の説明】
【0088】
1 機器
2 宅外制御装置
3 回線接続装置
4 電気錠制御装置
5 情報端末
6 宅外制御サーバー
11 機器側無線通信部
51 無線通信部
52 直接機器制御部
53 電気錠認証部
54 認証情報記憶部
55 遠隔機器制御部
56 ユーザインタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号により外部から制御される機器と、
インターネットなどの通信回線と接続して機器制御に関する電文を受信し、前記電文に応じて前記機器と無線信号で通信し制御する宅外制御装置と、
インターネットなどの通信回線で情報端末および前記宅外制御装置と接続して、ユーザが情報端末で入力した機器制御に関する指示を受信し、前記指示を電文として前記宅外制御装置へ送信する宅外制御サーバーと、
を備えた遠隔機器制御システムにおいて、
前記情報端末は、
ユーザの操作・入力に応じて、前記機器制御に関する電文を前記機器に無線信号で送信する直接機器制御部と、
前記通信回線を経由して前記宅外制御サーバーに接続し、前記ユーザの操作・入力から機器制御に関する指示を取得して、前記宅外制御サーバーへ送信する遠隔機器制御部と、
前記直接機器制御部と前記遠隔機器制御部のどちらを利用するかをユーザに選択させるユーザインタフェース部、
とを備えた遠隔機器制御システム。
【請求項2】
前記遠隔機器制御システムは、無線信号による通信を用いてユーザ認証を行い、前記ユーザ認証が成功したときに電気錠を解錠すると伴に、ユーザの入室/退室を検出・管理する電気錠制御装置を備え、
前記情報端末に、前記電気錠制御装置と無線信号による通信を行い、前記ユーザ認証の実施およびユーザの入室/退室の検出結果取得を行う電気錠認証部を備え、
前記電気錠認証部は、前記ユーザ認証が失敗した場合、もしくはユーザが退室状態にあるときは、前記直接機器制御部の動作を禁止する、
請求項1記載の遠隔機器制御システム。
【請求項3】
前記遠隔機器制御システムは、無線信号による通信を用いてユーザ認証を行い、前記ユーザ認証が成功したときに解錠すると伴に、ユーザの入室/退室を検出・管理する電気錠制御装置を備え、
前記情報端末に、前記電気錠制御装置と無線信号による通信を行い、前記ユーザ認証の実施およびユーザの入室/退室の検出結果取得を行う電気錠認証部と、
前記ユーザ認証の結果を、認証した日時情報と伴に記憶する認証情報記憶部を備え、
前記ユーザインタフェース部は、前記認証情報記憶部を検索し、所定の期間内に一度も前記ユーザ認証が成功していなければ、前記遠隔機器制御部の動作を禁止する、
請求項1に記載の遠隔機器制御システム。
【請求項4】
前記遠隔機器制御システムは、無線信号による通信を用いてユーザ認証を行い、前記ユーザ認証が成功したときに解錠すると伴に、ユーザの入室/退室を検出・管理する電気錠制御装置を備え、
前記情報端末に、前記電気錠制御装置と無線信号による通信を行い、前記ユーザ認証の実施およびユーザの入室/退室の検出結果取得を行う電気錠認証部を備え、
前記ユーザインタフェース部は、前記電気錠認証部において前記ユーザ認証の成功とユーザの入室の両方が確認されたときに前記機器制御を前記直接機器制御部による制御に切替え、前記ユーザ認証の失敗時や退室時は前記遠隔機器制御部による制御に切り替える、
請求項1記載の遠隔機器制御システム。
【請求項5】
無線信号により外部から制御される機器と、インターネットなどの通信回線と接続して機器制御に関する電文を受信し、前記電文に応じて前記機器と無線信号で通信し制御する宅外制御装置と、ユーザが情報端末で入力した機器制御に関する指示を受信し、前記指示を
電文として前記宅外制御装置へ送信する宅外制御サーバーとを、通信回線で接続する遠隔機器制御システムの制御方法において、
前記情報端末は、
ユーザの操作・入力に応じて、前記機器制御に関する電文を前記機器に無線信号で送信するステップと、
前記通信回線を経由して前記宅外制御サーバーに接続し、前記ユーザの操作・入力から機器制御に関する指示を取得して、前記宅外制御サーバーへ送信するステップと、
前記直接機器制御部と前記遠隔機器制御部のどちらを利用するかをユーザに選択させるステップ、
とを備えた遠隔機器制御システムの制御方法。
【請求項6】
請求項1〜4に記載の遠隔機器制御システムの少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−124960(P2008−124960A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308759(P2006−308759)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】