説明

酸化膜の形成方法

基板上に酸化膜を形成する方法。当該方法は、H2、酸素含有ガス、ハロゲンを含有した酸化を促進するガスを含むプロセスガスを大気圧より低い圧力に維持して基板に曝露する工程、並びに、前記プロセスガスによる基板の熱酸化を介して酸化膜を形成する工程を有する。本発明の一の実施例によると、基板は約150℃から約900℃に維持されて良い。酸化膜を含む微細構造について記載されている。前記酸化膜は、高誘電率誘電体層と共に集積されたゲート誘電体酸化膜又は界面酸化膜であって良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体プロセスに関する。より詳細には本発明は、ハロゲンを含有する酸化を促進するガスを利用して基板の熱酸化を介した酸化膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄い酸化膜は、集積回路表面の誘電体膜として一般的に用いられている。この理由の1つには、高い電子移動度及び低い電子トラップ密度を含む酸化膜の良好な電気的特性がある。
【0003】
基板の低圧ラジカル酸化(LPRO)は、優れた電気的特性を有する酸化膜を高い信頼性で形成する方法として知られている。さらにLPROは、平坦基板表面であっても凹凸を有する基板表面であっても酸化膜を良好な状態で成長させることができる。しかしLPROは、素子製造にとって実用的な酸化速度を供するため、高いプロセス温度を必要とする。回路構造がさらに小さな部位のサイズにまで縮小し、かつ新たな材料が半導体素子に導入されることで、多くの製造プロセスの熱収支は減少する。よってその利点にもかかわらず、LPROプロセスは、部位のサイズが小さい素子の製造、又は熱収支を小さくすることが求められる他のプロセスでは利用されてこなかった。
【特許文献1】米国特許出願第11/711721号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、熱酸化膜の成長に関連する上述の及び/又は他の問題を解決することである。
【0005】
本発明の他の目的は、素子製造にとって実用的な酸化速度で、良好な電気的特性を有する酸化膜を形成する低温酸化プロセスを供することである。
【0006】
これらの及び/又は他の目的は、本発明による基板の熱酸化を介した酸化膜の形成方法によって供されて良い。酸化膜はたとえば、高誘電率誘電体層と共に集積されたゲート誘電体酸化膜又は界面酸化膜であって良い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の実施例では、当該方法は、H2、酸素含有ガス、ハロゲンを含有した酸化を促進するガスを、大気圧より低い圧力に維持して基板に曝露する工程を有する。続いて前記酸化膜は基板の熱酸化を介して形成される。
【0008】
本発明の他の実施例では、当該方法は、プロセスチャンバ内にSi基板を供する工程、並びに、H2、O2、及びCl2を含有した酸化を促進するガスを基板に曝露する工程を有する。曝露中、基板は約150℃から約900℃の温度に維持され、かつプロセスガス圧力は約100mTorrから約650Torrに維持される。SiO2又はSiOx層は、プロセスガスによるSi基板の熱酸化を介して形成される。
【0009】
本発明の一の実施例によると、微細構造が供される。微細構造は、基板、該基板上に設けられたゲート電極を含むゲート積層体、及び、ゲート誘電体酸化膜を有する。前記ゲート誘電体酸化膜は、H2、酸素含有ガス、ハロゲンを含有した酸化を促進するガスを大気圧より低い圧力に維持して基板に曝露することでその基板が熱酸化されることにより形成される。本発明の他の実施例によると、前記ゲート誘電体酸化膜は、高誘電率誘電体層と共に集積された界面酸化膜であって良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記の通り、LPROで成長した酸化物の利点は、たとえば小さな部位を有する素子の製造のような、小さな熱収支が要求される基板処理ではほとんど実現されなかった。具体的には、H2及びO2を含むプロセスガスを利用する大気圧未満(たとえば約10Torr未満)で実行される従来のLPROでは、約900℃以上の基板温度が必要であると思われる。たとえばその場蒸気発生(ISSG)酸化法では、H2及びO2が、予備燃焼なしで直接プロセスチャンバに導入される。H2とO2との間で燃焼のような反応が900℃より高温の基板表面で起こることで、基板とすぐに反応してその基板を酸化させることのできる気相ラジカルを生成する。可能な活性酸化剤はOHラジカル、Oラジカル、及び原子のOである。しかし界面酸化膜又はゲート誘電体酸化物の成長中にそのような温度となることで、たとえば成長以前に形成された不純物領域での意図しない拡散を引き起こす恐れがある。
【0011】
上記問題に基づいて、本発明者らは、大気圧未満での熱酸化プロセス中の酸素含有ガスと水素含有ガスとの化学的相互作用について研究した。具体的には、本発明者らは、酸化プロセス中での第3反応物としてハロゲン含有ガスを導入する効果について研究した。ハロゲンはこれまでにも酸化成長に用いられてきたが、これらは一般的に大気圧で用いられてきたか、又は2反応物プロセスにおける酸素若しくは水素含有ガスの一部として用いられてきた。
【0012】
上記研究に基づいて、本発明者らは、ハロゲン含有ガスは、加熱基板と相互作用するときに、H2及び/又は酸素含有ガスから酸化剤を生成する際の触媒となりうるハロゲン含有ラジカルを生成することができることを発見した。H2及び/又は酸素含有ガスよりも低い、ハロゲン含有の酸化を促進するガスからラジカルを生成する際の活性化エネルギーは、さらにH及びOラジカルを生成するハロゲン含有ラジカルとH2及び/又は酸素含有ガスとの後続反応で活性化エネルギーが低くなるので、酸化過程全体の活性化エネルギーを下げるものと考えられている。よってH2及び酸素含有ガスとハロゲン含有ガスを併用することで酸化過程が加速され、低基板温度での基板の酸化が可能となる。
【0013】
一例では、プロセスガスは、H2、O2、及びCl2酸化促進ガスを含んでよい。Cl2は加熱基板上で反応することでClラジカルを生成して良い。Clラジカルは、さらにH2と反応することで、HCl及びHラジカルを生成して良い。HCl及びHラジカルは、さらにO2と反応することで、たとえばプロセスガス中のOラジカルのような他の酸化剤を生成して良い。この効果により、約150℃から約900℃の基板温度で、かつ大気圧未満の圧力にて、十分な酸化成長を起こすことができる。さらに、HCl及びClラジカルは、酸化過程にとって有害な基板表面上の汚染物である金属イオンを捕獲して不活性にするのを促進することが期待される。それに加えて、Clラジカル及びH2からHClをその場で生成するのは、SiNに対するSiの酸化選択性を改善させるのに利用できる。
【0014】
よって本発明の実施例は、半導体素子製造のための効率的な基板酸化方法を供する。当該方法は、大きなハードウエアの修正をせずに現状の半導体素子製造に組み込むことができる。本発明の実施例によると、ハロゲンを含有した酸化促進ガスが、H2及び酸素含有ガスに加えられることで、受容可能な基板の酸化速度を実現するのに必要な基板温度を減少させる。プロセスガス中にハロゲンを含有した酸化促進ガスが存在することで、基板の酸化速度が増大して、比較的低基板温度でも良好な電気的特性を有する高品質の酸化膜を形成することが可能となる。
【0015】
本発明の実施例によると、1以上の基板がプロセスチャンバ内に供され、H2、酸素含有ガス、及びハロゲンを含有した酸化促進ガスを含む大気圧未満の圧力に維持されたプロセスガスに基板が曝露され、かつ酸化膜がプロセスガスによる基板の熱酸化を介して形成される。本発明の一実施例によると、基板は曝露中、約150℃から約900℃の温度に維持される。あるいはその代わりに基板は、約400℃から約800℃の温度に維持されて良い。あるいはその代わりに基板は、約600℃から約800℃の温度に維持されて良い。あるいはその代わりに基板は、約400℃から約600℃の温度に維持されて良い。しかしたとえば通常のLPROプロセスよりも高速の酸化速度が必要な場合には、900℃より高温の基板温度が用いられても良い。
【0016】
これらの方法は、基板の熱酸化を介した酸化膜形成方法を供する。酸化膜は、半導体微細構造中の誘電膜、たとえばゲート積層体中のゲート誘電体酸化膜として、又は高誘電率誘電体材料と共に積層された状態で設けられる界面酸化膜、として利用されて良い。酸化膜は、たとえば数Å(1Å=10-10m)オーダーの超薄膜であって良い。
【0017】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の実施例による酸化膜の形成方法の処理フローダイヤグラムである。図3A-3Bは、本発明の実施例による酸化膜の形成方法を概略的に示す断面図である。図1において、プロセス100の工程102では、基板300が、プロセスシステムのプロセスチャンバ内に供される。基板300はたとえば、Si、Ge、SiGe、又はGaAsを含んで良く、かつ少なくとも1つの活性領域をも有して良い。一例では、Si基板はn型又はp型であって良く、その型は作製される素子の種類に依存する。基板(ウエハ)は如何なるサイズであっても良く、たとえば200mm基板、300mm基板、又はそれ以上の大きさの基板であっても良い。
【0018】
図3Aに図示されていないとはいえ、基板300上に酸化膜を成長する前に、その基板300の自然酸化膜が除去されて良い。基板300からの酸化膜の除去は、たとえば希釈フッ化水素(HF)を含む液槽に基板を入れることにより、あるいはその代わりに基板300を気相HFに曝露するエッチングにより行われて良い。希釈HF溶液は、H2O:HF(たとえば50:1)混合物であって良い。HFによる除去プロセスに続き、基板300は、酸化プロセス前に蒸留(D.I.)水で洗浄されて良い。
【0019】
工程104では、H2、酸素含有ガス、及びハロゲンを含有した酸化を促進するガスを含むプロセスガスは大気圧未満の圧力に維持された状態で基板300に曝露される。プロセスガスは不活性ガスを含んで良い。不活性ガスには、Ar、He、Ne、Kr、Xe、若しくはN2、又はこれら2種類以上の混合ガスが含まれて良い。しかしこのことは、本発明の実施例にとって必須ではない。本発明の実施例によると、酸素含有ガスは、O2、O3、NO、NO2、若しくはN2O、又はこれら2種類以上の混合ガスを含んで良い。さらにハロゲンを含有した酸化を促進するガスは、X2、CxXy、若しくはCxXyHz、又はこれらの混合ガスを含んで良い。X2はたとえば、F2、Cl2、Br2、若しくはI2、又はこれら2種類以上の混合ガスを含んで良い。CxXyはたとえば、C5F8、C4F6、C4F8、若しくはCF4、又はこれら2種類以上の混合ガスを含んで良い。CxXyHzはたとえば、CHF3、CH2F2、若しくはCHCl3、又はこれら2種類以上の混合ガスを含んで良い。一般的にはハロゲンを含有した酸化を促進するガスは、分解に係る活性化エネルギーがH2及び/又は酸素含有ガスのよりも低いガスから選ばれて良い。
【0020】
本発明の一の実施例によると、工程104におけるハロゲンを含有した酸化を促進するガスはHXを含み、かつ曝露中プロセスガスは、1Torr未満である大気圧よりも低い圧力に維持される。HXはたとえば、HF、HCl、HBr、若しくはHI、又はこれら2種類以上の混合ガスを含んで良い。
【0021】
本発明の実施例によると、受容可能な基板の酸化速度を実現させながら、H2、酸素含有ガス、及びハロゲン含有ガスのうちの1種類以上の体積比率を広範囲にわたって変化させることが可能である。所望の酸化速度、厚さ、厚さ均一性、及び電気特性を有する酸化膜の成長を可能にするのに適切な、H2、酸素含有ガス、及びハロゲン含有ガスの相対濃度は、直接実験して、及び/又は実験計画法(DOE)によって決定されて良い。
【0022】
本発明の一の実施例によると、プロセスガス中でのH2とハロゲンを含有した酸化を促進するガスとを合わせた体積割合は約1%から約66%で、かつ酸素含有ガス単独の又は不活性ガスを合わせた状態の体積割合は約99%から約34%であって良い。本発明の他の実施例によると、プロセスガス中でのH2とハロゲンを含有した酸化を促進するガスとを合わせた体積割合は約5%から約30%で、かつ酸素含有ガス単独の又は不活性ガスを合わせた状態の体積割合は約95%から約70%であって良い。本発明のさらに他の実施例によると、プロセスガス中でのH2とハロゲンを含有した酸化を促進するガスとを合わせた体積割合は約10%から約20%で、かつ酸素含有ガス単独の又は不活性ガスを合わせた状態の体積割合は約90%から約80%であって良い。これら及び他の体積比が実施されることで、様々な酸化物成長速度が実現されても良い。たとえばH2の体積割合が増大することで、一般的には窒化物基板表面の酸化速度は減少し、かつ酸化しにくくなる。
【0023】
本発明の一の実施例によると、プロセスガス中でのハロゲンを含有した酸化を促進するガスの体積割合は、約0.01%から約65%であって良い。本発明の他の実施例によると、プロセスガス中でのハロゲンを含有した酸化を促進するガスの体積割合は、約0.1%から約10%であって良い。本発明の一の実施例によると、プロセスガス中でのハロゲンを含有した酸化を促進するガスの体積割合は、約0.5%から約5%であって良い。当業者は、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、反応ガスを他の割合にして実施することができる。
【0024】
工程106では、酸化膜302は、プロセスガスによる基板300の熱酸化を介して形成される。本発明の一の実施例によると、基板300はSiを有し、かつ酸化膜302はSiO2又はSiOxを有して良い。ただしx<2である。本発明の他の実施例によると、基板300はSiyGe1-yを有し、かつ酸化膜302はSiyGe1-yOxを有して良い。ただし0<y<1及びx≦2である。本発明のさらに他の実施例によると、基板300はGeを有し、かつ酸化膜302はGe O2又はGe Oxを有して良い。ただしx<2である。本発明のさらに他の実施例によると、基板300はGaAsを有し、かつ酸化膜302は酸化GaAsを有して良い。
【0025】
所望の厚さ、及び厚さ均一性を有する酸化膜の成長を可能にするのに適切なプロセス条件は、直接実験して、及び/又は実験計画法(DOE)によって決定されて良い。約5Åから約500Åの厚さを有する酸化膜が形成可能であることが期待される。たとえば約30Å未満の厚さを有する薄い酸化膜は、ゲート誘電体酸化膜として用いられて良い。他の例では、約100Åから約500Åの厚さを有する薄い酸化膜が、ゲート酸化膜スペーサ及びパッド酸化物として用いられて良い。よって本発明の実施例によると、酸化膜302の厚さは約5Åから約30Åであって良い。あるいはその代わりに、酸化膜302の厚さは約100Åから約500Åであって良い。
【0026】
たとえば調節可能なプロセスパラメータには、曝露時間、基板温度、プロセスチャンバ圧力、及びプロセスガスの組成が含まれて良い。たとえば工程104では、基板300は、約150℃から約900℃の温度に維持されて良い。工程104における他のプロセスパラメータには、曝露中プロセスチャンバを大気圧未満の圧力に維持することも含まれて良い。一例では、プロセスチャンバは、曝露中、約100mTorrから約650Torrの圧力に維持されて良い。あるいはその代わりに、プロセスチャンバは、曝露中、約200mTorrから約20mTorrの圧力に維持されて良い。またあるいはその代わりに、プロセスチャンバは、曝露中、約400mTorrから約10mTorrの圧力に維持されて良い。プロセス圧力は、用いられる反応物及び/又はプロセスパラメータに依存して良いことに留意して欲しい。
【実施例1】
【0027】
図2は、本発明の他の実施例による酸化膜の形成方法の処理フローダイヤグラムである。プロセス200の工程202では、Si基板が、プロセスシステムのプロセスチャンバ内に供される。工程204では、プロセスチャンバが大気圧未満の圧力に維持された状態で、H2、O2、及びCl2を含有した酸化を促進するガスを含むプロセスガスは基板に曝露される。工程206では、SiO2又はSiOx層が、プロセスガスによるSi基板の熱酸化を介して形成される。たとえば工程204では、基板は約150℃から約900℃に維持されて良い。
【0028】
図4A及び図4Bは、本発明の実施例による微細構造の断面概略図である。その微細構造は、本発明の実施例によって形成可能な酸化膜を有する。酸化膜は、ゲート積層体中の誘電体層として利用されて良い。そのような誘電体層はたとえば、図4Aに図示されたゲート誘電体酸化膜418、又は図4Bに図示された高誘電率誘電体と共に集積された酸化物界面層428である。SiO2の誘電率(k〜3.9)よりも大きな誘電率を有することを特徴とする誘電材料は一般的にhigh-k材料と呼ばれる。High-k層はたとえば、金属酸化物、金属酸窒化物、金属シリケート、又はニトロ化金属シリケートを有して良い。そのような材料には、Ta2O5、TaSiOx、TaSiOxNy、TiO2、ZrO2、Al2O3、Y2O3、HfO2、HfSiOx、HfSiOxNy、HfOxNy、ZrSiOx、ZrSiOxNy、ZrOxNy、SrOx、SrSiOx、SrSiOxNy、LaOx、LaSiOx、LaSiOxNy、YOx、YSiOx、若しくはYSiOxNy、又はこれら2種類以上の混合ガスが含まれる。
【0029】
現状の半導体素子では、ゲート積層体中での誘電体層の機能の1つは、トランジスタを流れる電流を制御することによって電子を“ゲート制御”することである。High-k材料が導入されることで、チャネル電極及び/又はゲート電極では、界面状態の特性を保持するためにこれらの酸化膜が依然として必要となるだろう。これには、良好な電気特性を有する界面酸化膜を形成する工程、制御されていないSi表面の酸化を防止する工程、異なる層同士の反応を減少させる工程、及び原子が異なる層へ拡散(たとえばゲート電極層から基板へドーパントが侵入)するのを防止するバリヤ層として機能する工程が含まれて良い。実際には、良好な素子特性は、酸化膜の厚さを薄くするようにする制御に依存する。それにより、ゲート構造の等価酸化膜厚(EOT)の増大を避けることができる。
【0030】
図4Aでは、微細構造400は、ゲート積層体410、並びに、ソース領域413、ドレイン領域414、及びチャネル領域415を有する基板412を含む。ゲート積層体410は、基板412上に形成されたゲート誘電体酸化膜418、及びゲート誘電体酸化膜418上に形成されたゲート電極層417を有する。図1-3において説明したように、ゲート誘電体酸化膜418は、H2、酸素含有ガス、ハロゲンを含有した酸化を促進するガスを含むプロセスガスによる基板412の熱酸化を介して形成されて良い。基板412はたとえばSi、Ge、SiGe、又はGaAsを有して良い。本発明の一の実施例によると、基板412はSiを有し、かつゲート誘電体酸化膜418はSiO2又はSiOxを有して良い。ただしx<2である。本発明の他の実施例によると、基板412はSiyGe1-yを有し、かつゲート誘電体酸化膜418はSiyGe1-yOxを有して良い。ただし0<y<1、かつx≦2である。本発明のさらに他の実施例によると、基板412はGeを有し、かつゲート誘電体酸化膜418はGeO2又はGeOxを有して良い。ただしx<2である。ゲート誘電体酸化膜418の厚さは約5Åから約30Åであって良い。しかしこれは本発明の実施例にとって必須ではない。酸化膜418は他の厚さを有しても良い。あるいはその代わりに、ゲート誘電体酸化膜418の厚さは約7Åから約15Åであって良い。ゲート電極層417はたとえば、約1000Åの厚さであって良い。ゲート電極層417は、シリコン(たとえばドープされた多結晶シリコン)、又は金属若しくは金属含有材料を有して良い。そのような材料には、W、WN、Al、Mo、Ta、TaN、TaSiN、HfN、HfSiN、Ti、TiN、TiSiN、MoN、Re、又はRuが含まれる。
【0031】
図4Bでは、微細構造401は、ゲート積層体420、並びに、ソース領域423、ドレイン領域424、及びチャネル領域425を有する基板422を含む。ゲート積層体420は、基板422上に形成された酸化物界面層428、及び酸化物界面層428上に形成されたゲート電極層427を有する。酸化物界面層428は、H2、酸素含有ガス、ハロゲンを含有した酸化を促進するガスを含むプロセスガスによる基板422の熱酸化を介して形成されて良い。図4Aの基板412について説明したように、図4Bの基板422はたとえば、Si、Ge、SiGe、又はGaAsを有して良い。酸化物界面層428の厚さは約5Åから約30Åであって良い。しかしこれは本発明の実施例にとって必須ではない。酸化膜428は他の厚さを有しても良い。あるいはその代わりに、酸化物界面層428の厚さは約7Åから約15Åであって良い。ゲート積層体420において必要なキャパシタンスを得ながら、酸化物界面層428は酸化物界面層418よりも薄くて良く、かつHigh-k層426は、酸化物誘電体層418よりも物理的に厚くて良い。High-k層426はたとえば、約10Åから約200Åの厚さであって良い。あるいはその代わりに、High-k層426の厚さは約20Åから約50Åの厚さであって良い。
【0032】
図5は、本発明の実施例による酸化膜の形成を行うためのバッチ処理システムの単純化したブロック線図を示している。バッチ処理システム1は、プロセスチャンバ10及びプロセス管25を有する。プロセス管25は上側端部23及び下側端部24を有する。上側端部23は排気パイプと接続し、下側端部24は円筒形マニホールド2の蓋27と密閉するように結合している。排気パイプ80は、プロセス管25から真空排気システム88へガスを放出することで、処理システム1内を所定の大気圧未満の圧力に維持する。複数の基板(ウエハ)40を層状に(各水平面には垂直方向に間隔が設けられている)保持する基板ホルダ35が、プロセス管25内に設けられている。基板ホルダ35は、回転台26上に存在する。回転台26は、蓋27を貫通する回転シャフト21上に設けられ、かつモーター28によって駆動する。回転台26はプロセス中に回転することで膜全体の均一性を改善させることができる。あるいはその代わりに、回転台は、プロセス中に静止していても良い。蓋27は、基板ホルダ35をプロセス管25に搬入及び搬出する昇降装置22上に設けられる。蓋27がその最上位置にあるとき、蓋27はマニホールド2の開口端部を閉じるように備えられている。
【0033】
ガス供給システム97は、ガスをプロセスチャンバ10に導入するように備えられている。複数のガス供給ラインがマニホールド2の周囲に備えられることで、ガス供給ラインを介して複数のガスをプロセス管25に供給して良い。図5では、複数のガス供給ラインのうちの1のガス供給ライン45のみが図示されている。図示されているガス供給ライン45は第1ガス源94と接続する。一般的には、第1ガス源94は基板40を処理するためのガスを供給して良い。そのようなガスには、基板40上に酸化膜を形成する、H2、酸素含有ガス、及びハロゲンを含有した酸化を促進するガスが含まれる。さらに第1ガス源94は不活性ガスを供給して良い。さらに、又はその代わりに、1以上のガスは(リモート)プラズマ源95から供給されて良い。(リモート)プラズマ源95は、ガス供給ライン45を介して、第2ガス源96及びプロセスチャンバ10と動作可能なように結合する。プラズマ励起ガスは、ガス供給ライン45によってプロセス管25へ導入されて良い。プラズマ源95はたとえばマイクロ波プラズマ源、高周波(RF)プラズマ源、又は光によって起動するプラズマ源であって良い。マイクロ波プラズマ源の場合では、マイクロ波出力はたとえば2.45GHz又は8.3GHzであって良い。一例としては、リモートプラズマ源は、ダウンストリーム・プラズマ源・AX7610型(Downstream Plasma Source Type AX7610)であって良い。このプラズマ源は、MKSインスツルメンツ社(MKS Instruments, Inc.)から販売されている。
【0034】
円筒形遮熱材30が、反応管25を覆うように設けられている。遮熱材30は典型的には、ミラーで終端した内側面を有する。その内側面は、主ヒーター20、底部ヒーター65、上部ヒーター15、及び排気パイプヒーター70によって放射される放射熱の損失を抑制する。螺旋状の冷却水路(図示されていない)が、冷却媒質の流路としてプロセスチャンバ10の壁内に形成されて良い。ヒーター20、65及び15はたとえば、基板40の温度を約20℃から約900℃以上の間に維持して良い。
【0035】
上述の例では、真空排気システム88は、真空ポンプ86、トラップ84、及び自動圧力制御装置(APC)82を有する。真空ポンプ86はたとえば、毎秒20000リットル(以上)の排気速度を有するドライ真空ポンプを有して良い。プロセス中、ガスは、ガス供給システム97のガス供給ライン45を介してプロセスチャンバ10へ導入されて良く、プロセス圧力はAPC82によって調節されて良い。トラップ84は、プロセスチャンバ10から未反応先駆体材料及び副生成物を回収して良い。
【0036】
プロセス監視システム92は、リアルタイムでのプロセス監視を行うように備えられたセンサ75を有する。またプロセス監視システム92はたとえば、質量分析計(MS)、FTIR分光計、又は粒子計測装置を有して良い。制御装置90は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。デジタルI/Oポートは、プロセスシステム100からの出力を監視するのみならず、処理システム1の入力をやり取りし、かつ活性化させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。しかも、制御装置90は、ガス供給システム97、プロセス監視システム92、ヒーター20、ヒーター15、ヒーター65、ヒーター70、及び真空排気システム88と結合し、かつこれらと情報の交換を行ってよい。制御装置90は、デル株式会社(Dell Corporation)から販売されている、デルプレシジョンワークステーション(DELL PRECISION WORKSTATION)610(商標)として実装されて良い。制御装置90はまた、汎用コンピュータ、デジタル信号処理装置等で実装されても良い。制御装置90は、基板処理装置に、コンピュータによる読み取りが可能な媒体に含まれる1以上の命令からなる1以上のシーケンスを実行する制御装置90に応答して、本発明に係る処理工程の一部又は全部を実行させる。命令を保持するコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリは、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持し、かつデータ構造、表、レコード、又は本明細書に記載された他のデータを有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM又は他の磁気媒体、又は他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、又は穴のパターンを有する他の物理媒体、搬送波(後述)又はコンピュータが読み取ることのできる他の媒体がある。
【0037】
制御装置90は、処理システム1の近くに設けられて良いし、又はインターネット若しくはイントラネットを介することで、堆積システム100から離れた場所に設けられても良い。よって、制御装置90は、直接接続、イントラネット又はインターネットのうちの少なくとも1つを用いることで、処理システム1とのデータ交換が可能となる。制御装置90は、カスタマー側(つまりデバイスメーカーなど)でイントラネットと接続し、ベンダー側(つまり装置メーカーなど)でイントラネットと接続して良い。さらに、別なコンピュータ(つまりコントローラ、サーバなど)が、制御装置90とアクセスすることで、直接接続、イントラネット又はインターネットのうちの少なくとも1つを介したデータ交換を行って良い。
【0038】
本発明の実施例を実施するのに用いられる特定のハードウエアには多くのバリエーションがあり、かつこれらのバリエーションは当業者にはすぐに想到しうるものなので、図5に図示されたバッチ処理システム1は、典型的な目的についてのみ示されていることに留意して欲しい。図5に図示されたバッチ処理システム1はたとえば、200mm基板、300mm基板又はそれよりも大きな基板のように如何なる大きさの基板を処理することができる。さらに典型的なバッチ処理システム1は、最大約200以上の基板を同時に処理することができる。あるいはその代わりに処理システム1は、最大約25の基板を同時に処理しても良い。
【0039】
図5に図示されたバッチ処理システム1はたとえば、200mm基板、300mm基板又はそれよりも大きな基板のように如何なる大きさの基板を処理することができる。さらに典型的なバッチ処理システム1は、最大約200以上の基板を同時に処理することができる。あるいはその代わりに処理システム1は、最大約25の基板を同時に処理しても良い。
【0040】
あるいはその代わりに、単一ウエハ堆積システムが、本発明の実施例による酸化膜の形成に用いられて良い。単一ウエハ堆積システムの一例は特許文献1に図示されている。
【0041】
たとえ本発明の特定実施例のみが上で詳細に記載されていないとしても、当業者は、本発明の新規な教示及び利点からほとんど逸脱することなく多くの修正型が可能であることを理解する。従って全ての係る修正型は、本発明の技術的範囲内に含まれるものと解される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例による酸化膜の形成方法の処理フローダイヤグラムである。
【図2】本発明の他の実施例による酸化膜の形成方法の処理フローダイヤグラムである。
【図3】A-Bは、本発明の実施例による酸化膜の形成方法を概略的に示す断面図である。
【図4A】本発明の実施例による微細構造の断面概略図である。
【図4B】本発明の他の実施例による微細構造の断面概略図である。
【図5】本発明の実施例による酸化膜の形成を行うためのバッチ処理システムの断面図を概略的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理方法であって:
プロセスチャンバ内に前記基板を供する工程;
H2、酸素含有ガス、及びハロゲンを含有した酸化を促進するガスを、大気圧より低い圧力に維持して基板に曝露する工程;及び
前記プロセスガスによる前記基板の熱酸化を介して前記酸化膜を形成する工程;
を有する方法。
【請求項2】
前記ハロゲンを含有した酸化を促進するガスは、X2、CxXy、若しくはCxXyHz、又はこれら2種類以上の混合ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板が、前記曝露中約150℃から約900℃の温度に維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板が、前記曝露中約400℃から約800℃の温度に維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセスチャンバが、前記曝露中約100mTorrから約650Torrの圧力に維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスチャンバが、前記曝露中約200mTorrから約20Torrの圧力に維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセスチャンバが、前記曝露中約400mTorrから約10Torrの圧力に維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記酸素含有ガスが、O2、O3、NO、NO2、若しくはN2O、又はこれら2種類以上の混合ガスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記X2が、F2、Cl2、Br2、若しくはI2、又はこれら2種類以上の混合ガスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記CxXyは、C5F8、C4F6、C4F8、若しくはCF4、又はこれら2種類以上の混合ガスを含み、かつ
前記CxXyHzは、CHF3、CH2F2、若しくはCHCl3、又はこれら2種類以上の混合ガスを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、若しくはN2、又はこれら2種類以上の混合ガスをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記基板がSiを有し、かつ
前記酸化膜がSiO2又はSiOx層を有し、かつ
x<2である、
請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記基板がGeを有し、かつ
前記酸化膜がGeO2又はGeOx層を有し、かつ
x<2である、
請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記基板がSiyGe1-yを有し、かつ
前記酸化膜がSiyGe1-yOx層を有し、かつ
0<y<1及びx≦2である、
請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記基板がGaAsを有し、かつ
前記酸化膜302は酸化GaAsを有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記酸化膜の厚さが約5Åから約500Åである、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化膜の厚さが約5Åから約30Åである、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記酸化膜の厚さが約100Åから約300Åである、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記プロセスガス中での前記H2とハロゲンを含有した酸化を促進するガスとを合わせた体積割合は約1%から約66%で、かつ
前記酸素含有ガス単独の又は不活性ガスを合わせた状態の体積割合は約99%から約34%である、
請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記プロセスガス中でのハロゲンを含有した酸化を促進するガスの体積割合は、約0.01%から約65%である、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
Si基板の処理方法であって:
プロセスチャンバ内に前記Si基板を供する工程;
H2、O2、及びCl2を含有した酸化を促進するガスを約100mTorrから約650Torrに維持した状態で、約150℃から約900℃の温度に維持された前記Si基板に曝露する工程;並びに
前記プロセスガスによる前記Si基板の熱酸化を介してSiO2又はSiOx層を形成する工程;
を有する方法。
【請求項22】
基板処理方法であって:
プロセスチャンバ内に前記基板を供する工程;
H2、酸素含有ガス、及びHF、HCl、HBr又はHIを有するハロゲンを含有した酸化を促進するガスを含むプロセスガスを、前記プロセスチャンバが1Torrよりも大きい大気圧未満の圧力に維持された状態で、前記基板に曝露する工程;並びに
前記プロセスガスによる前記基板の熱酸化を介して酸化膜を形成する工程;
を有する方法。
【請求項23】
少なくとも1つの活性領域を含む基板;並びに
ゲート電極層;及び
請求項1に記載のプロセスを介して作製されたゲート誘電体酸化膜;
を有するゲート積層体;
を有する微細構造。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−510769(P2009−510769A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533351(P2008−533351)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/032239
【国際公開番号】WO2007/040845
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】