説明

金属膜形成装置

【課題】処理雰囲気を適切に制御しつつ、金属混合液を用いて基板上に金属膜を適切に形成する。
【解決手段】金属膜形成装置1の処理容器10の内部は、不活性ガスの大気圧雰囲気又は減圧雰囲気に切り換え可能になっている。処理容器10の内部には、ウェハWを保持するスピンチャック20と、ウェハWの側方を囲むように設けられたカップ体31と、ウェハW上に金属混合液を吐出する塗布ノズル60と、ノズル駆動部65の動力を塗布ノズル60に伝達するノズル伝達部64と、塗布ノズル60を待機させるノズルバス66とが設けられている。処理容器10の外部には、水平方向より所定の角度で傾斜した方向に沿って、スピンチャック20とノズルバス66との間で塗布ノズル60を移動させるためのノズル駆動部65が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に金属錯体と溶媒を混合した金属混合液を塗布して、当該基板上に金属膜を形成する金属膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスなどの電子デバイスに使用されている配線や電極の材料として、例えばアルミニウムが使用されている。従来、アルミニウムの配線や電極を形成するには、例えば基板上に所定のパターンを形成して配線又は電極となるべき部位にトレンチを形成し、当該トレンチ内を含む基板上にアルミニウム膜を形成した後、余剰の部分を化学機械研磨等により除去する方法が一般的に採用されていた。また、このアルミニウム膜を形成する方法として、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法(Chemical Vapor Deposiotion、化学気相成長法)などの真空プロセスでアルミニウム膜を形成する方法が用いられていた。
【0003】
ところで、近年、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、配線や電極の構造の微細化、複雑化が進んでおり、これらの形状に関する精度の向上が要求されている。かかる場合、基板上のトレンチの開口幅が小さくなり、またトレンチのアスペクト比(トレンチの深さをトレンチの表面開口部の最小距離で除した値)が大きくなる。このため、基板上にアルミニウム膜を形成する際に、従来のスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法などを採用すると、トレンチの開口に近い領域に堆積したアルミニウムがトレンチの開口を閉塞し、その結果としてトレンチの内部にアルミニウムが充填されない欠陥部分が生じるおそれがある。
【0004】
そこで、アルミニウム膜を形成する方法として、例えばアミン化合物と水酸化アルミニウムの錯体を溶媒に溶解した金属混合液を基板上に塗布して、当該基板上にアルミニウム膜を形成する方法が提案されている。(特許文献1)。かかる場合、金属混合液が流動性を有するため、基板上のトレンチが微小の場合でも、当該トレンチ内に金属混合液が流入し、アルミニウム膜の欠陥の発生を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方法を用いて基板上にアルミニウム膜を形成する場合、処理雰囲気中に微量の酸素や水分が存在すると、金属混合液はこれら酸素や水分と反応して劣化するおそれがある。このため、低酸素濃度且つ低水分濃度の処理雰囲気、例えば窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で、金属混合液の塗布処理を行う必要がある。また、処理雰囲気を効率よく不活性ガス雰囲気にするため、すなわち効率よく低酸素濃度且つ低水分濃度の処理雰囲気にするため、一旦減圧雰囲気にすることが好ましい。
【0007】
このように金属混合液を用いた方法では、基板処理の処理雰囲気を厳格に制御する必要がある。しかしながら、現状は、かかる金属混合液を用いた方法が試験的に行われている段階であり、処理雰囲気を適切に制御しつつアルミニウム膜を形成する装置も未だ開発段階である。したがって、複数の基板に対してアルミニウム膜を連続的に形成することは現実的に困難であり、半導体デバイスの量産化に対応できていない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、処理雰囲気を適切に制御しつつ、金属混合液を用いて基板上に金属膜を適切に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板上に金属錯体と溶媒を混合した金属混合液を塗布して、当該基板上に金属膜を形成する金属膜形成装置であって、基板を収容し、内部を不活性ガスの大気圧雰囲気又は減圧雰囲気に切り換え可能な処理容器と、前記処理容器の内部に設けられ、基板を保持する保持部と、前記処理容器の内部に設けられ、前記保持部に保持された基板の側方を囲むように設けられたカップ体と、前記処理容器の内部に設けられ、前記保持部に保持された基板上に前記金属混合液を吐出する塗布ノズルと、前記処理容器の内部であって前記カップ体の外側に設けられ、前記保持部上方から退避した前記塗布ノズルを待機させる待機部と、前記処理容器の外部に設けられ、水平方向より所定の角度で傾斜した方向に沿って、前記保持部と前記待機部との間で前記塗布ノズルを移動させるためのノズル駆動部と、前記処理容器の内部に設けられ、前記塗布ノズルを支持し、前記ノズル駆動部の動力を前記塗布ノズルに伝達するノズル伝達部と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、塗布ノズルを移動させるためのノズル駆動部が処理容器の外部に設けられているので、動力発生源であるノズル駆動部から発生するパーティクル等が処理容器の内部に流入しない。このように処理容器の内部にパーティクル等の不純物が発生しないので、基板を処理する際に処理容器の内部を減圧しても、適切な減圧雰囲気にでき、さらにその後適切な不活性ガスの大気圧雰囲気にできる。そして、塗布ノズルから基板上に金属混合液を吐出して、当該基板上に金属膜が適切に形成される。しかも、水平方向より所定の角度で傾斜した方向に沿って、塗布ノズルは保持部と待機部との間で移動するので、この移動中に塗布ノズルがカップ体と干渉することがない。したがって、本発明によれば、処理雰囲気を適切に制御しつつ、金属混合液を用いて基板上に金属膜を適切に形成することができる。
【0011】
前記ノズル伝達部は、水平方向より前記所定の角度で傾斜した方向に延伸するボールネジを有し、前記金属膜形成装置は、前記塗布ノズルを支持し、且つボールネジに沿って移動自在の支持部材を有していてもよい。
【0012】
また、前記ノズル伝達部は、マニピュレータであってもよい。
【0013】
前記処理容器の外部に設けられ、前記待機部を昇降させるための待機部用駆動部と、前記処理容器の内部に設けられ、前記待機部を支持し、前記待機部用駆動部の動力を前記待機部に伝達する待機部用伝達部と、を有していてもよい。
【0014】
前記処理容器の外部に設けられ、前記保持部を回転させるための保持部用駆動部を有していてもよい。
【0015】
前記金属錯体はアルミニウム原子を有していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理雰囲気を適切に制御しつつ、金属混合液を用いて基板上に金属膜を適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態にかかる金属膜形成装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図2】本実施の形態にかかる金属膜形成装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図3】本実施の形態にかかる金属膜形成装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図4】液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
【図5】リンス液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
【図6】塗布ノズルをノズルバスで待機させた様子を示す説明図である。
【図7】ノズルバスを下降させた様子を示す説明図である。
【図8】塗布ノズルをウェハ上方まで移動させた様子を示す説明図である。
【図9】他の実施の形態にかかる金属膜形成装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2は、本実施の形態にかかる金属膜形成装置1の構成の概略を示す縦断面図である。図3は、金属膜形成装置1の構成の概略を示す横断面図である。なお、基板としてのウェハW上には、所定のパターン(図示せず)が予め形成されている。さらに、所定のパターン上には、例えばウェハWと金属膜との定着性を向上させるため、例えば有機金属化合物を有する下地膜(図示せず)が予め形成されている。また、本実施の形態の金属膜形成装置1では、金属膜として、アルミニウム膜をウェハW上に形成する。
【0019】
金属膜形成装置1は、図1に示すように内部を密閉可能な処理容器10を有している。処理容器10の側面にはウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口にはゲートバルブ(図示せず)が設けられている。
【0020】
処理容器10の天井面には、当該処理容器10の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口11が形成されている。ガス供給口11には、ガス供給源12に連通するガス供給管13が接続されている。ガス供給管13には、不活性ガスの流通を制御する制御弁14が設けられている。
【0021】
処理容器10の内部には、ウェハWを吸着保持する保持部としてのスピンチャック20が設けられている。スピンチャック20は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック20上に吸着保持できる。
【0022】
スピンチャック20には、シャフト21を介して、処理容器10の外部に設けられた保持部用駆動部としてのチャック駆動部22が取り付けられている。チャック駆動部22は例えばモータなどを備え、このチャック駆動部22によりスピンチャック20は所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部22にはシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック20は昇降自在になっている。なお、シャフト21が処理容器10を挿通する部分には、処理容器10の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。また、シャフト21自体がシリンダ構造を有していてもよい。
【0023】
スピンチャック20の下方側には断面形状が山形のガイドリング30が設けられており、このガイドリング30の外周縁は下方側に屈曲して延びている。前記スピンチャック20、スピンチャック20に保持されたウェハW及びガイドリング30を囲むようにカップ体31が設けられている。カップ体31は、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収することができる。
【0024】
このカップ体31は上面にスピンチャック20が昇降できるようにウェハWよりも大きい開口部が形成されていると共に、側周面とガイドリング30の外周縁との間に排出路をなす隙間32が形成されている。前記カップ体31の下方側は、ガイドリング30の外周縁部分と共に屈曲路を形成して気液分離部を構成している。
【0025】
カップ体31の底部の内側領域には、カップ体31内の雰囲気及び処理容器10内の雰囲気を吸引するための吸気口33が形成されている。吸気口33には吸気管34が接続され、この吸気管34は2本の吸気管34a、34bに分岐している。一の吸気管34aは、例えば真空ポンプ35に連通し、例えば処理容器10の内部を減圧雰囲気にする際に、当該処理容器10の内部雰囲気を吸引するために用いられる。また、一の吸気管34aには、ガスの流れを制御する制御弁36が設けられている。一方、他の吸気管34bは、例えば真空ポンプ37に連通し、例えば処理容器10の内部を不活性ガスの大気圧雰囲気にする際に、当該処理容器10の内部雰囲気を吸引するために用いられる。また、他の吸気管34bには、ガスの流通を制御する制御弁38が設けられている。かかる構成により、金属膜形成装置1は、その処理容器10の内部を不活性ガスの大気圧雰囲気又は減圧雰囲気に切り替え可能に構成されている。
【0026】
カップ体31の底部の外側領域には、回収した液体を排出する排液口39が形成されており、この排液口39には排液管40が接続されている。
【0027】
スピンチャック20の下方であってガイドリング30上には、ウェハWの裏面に向けてリンス液を噴射するバックリンスノズル50、50が例えば2箇所に設けられている。バックリンスノズル50には、当該バックリンスノズル50にリンス液を供給するリンス液供給装置51が接続されている。
【0028】
処理容器10の内部には、スピンチャック20に保持されたウェハWの中心部上に、金属錯体と溶媒を混合した金属混合液を吐出する塗布ノズル60が設けられている。塗布ノズル60には、当該塗布ノズル60に金属錯体と溶媒を供給する液供給装置61が接続されている。そして、塗布ノズル60は、その内部において液供給装置61から供給された金属媒体と溶媒を混合して金属混合液を形成するように構成されている。なお、金属錯体には、アルミニウム原子を有する錯体が用いられる。本実施の形態においては、例えばアミン化合物と水酸化アルミニウムの錯体が用いられる。また、金属錯体を溶解させる溶媒としては、金属錯体を溶解させるものであれば限定されないが、例えばエーテル類や炭化水素類が用いられる。
【0029】
塗布ノズル60には、図2及び図3に示すように支持部材62、移動部63及びノズル伝達部64を介して、ノズル駆動部65が取り付けられている。これら支持部材62、移動部63及びノズル伝達部64はそれぞれ処理容器10の内部に設けられ、ノズル駆動部65は処理容器10の外部に設けられている。また、処理容器10の内部であってカップ体31のY方向正方向(図2及び図3の右方向)側の外側には、スピンチャック20上方から退避した塗布ノズル60を待機させる待機部としてのノズルバス66が設けられている。ノズルバス66では、塗布ノズル60の先端部を収容して、当該塗布ノズル60を洗浄することができる。また、ノズルバス66では、塗布ノズル60からの金属混合液のダミーディスペンスも行うことができる。
【0030】
支持部材62は、水平方向に延伸する水平支持部62aと鉛直方向に延伸する鉛直支持部62bとを有している。水平支持部62aの先端部には、塗布ノズル60が支持されている。また、鉛直支持部62bの基端部には、移動部63が取り付けられている。
【0031】
ノズル伝達部64は、図3に示すようにカップ体31のX方向負方向(図3の下方向)側に設けられている。また、ノズル伝達部64は、そのY方向負方向(図3の左方向)側の端部がカップ体31中心部Cより僅かにY方向負方向側に位置し、Y方向正方向(図3の右方向)側の端部が処理容器10の側壁に位置するように設けられている。なお、ノズル伝達部64が処理容器10を挿通する部分には、処理容器10の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。さらに、ノズル伝達部64は、図2に示すようにY方向(図2の(左右方向))より所定の角度で傾斜した方向に延伸している。なお、所定の角度は、後述するように塗布ノズル60がスピンチャック20とノズルバス66との間で移動する際、当該塗布ノズル60がカップ体31と干渉しない角度に決定される。
【0032】
ノズル伝達部64には、例えばボールネジが用いられる。移動部63は、このノズル伝達部64の外周面を囲うように設けられている。また、移動部63の内周面には、ノズル伝達部64の外周面に形成された雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている。さらに、ノズル駆動部65は、例えばモータなどを備えており、ノズル伝達部64を回転させることができる。このようにノズル伝達部64を回転させることにより、ノズル駆動部65の動力がノズル伝達部64を介して塗布ノズル60、支持部材62及び移動部63に伝達される。そして、これら塗布ノズル60、支持部材62及び移動部63は、ノズル伝達部64に沿って、スピンチャック20の中心部とノズルバス66との間を移動自在に構成されている。なお、ノズル伝達部63の雄ネジ部と移動部63の雌ネジ部との間には、摺動によるパーティクル等の発生を抑制するために例えば真空用グリスが設けられている。
【0033】
上述したノズルバス66には、図1に示すように待機部用伝達部としてのバス伝達部67を介して、待機部用駆動部としてのバス駆動部68が取り付けられている。
【0034】
バス伝達部67は、処理容器10の内部に設けられている。また、バス伝達部67は、ノズルバス66を支持し、鉛直方向に延伸して設けられている。バス伝達部67は、例えばシリンダ構造を有し、バス駆動部68の動力をノズルバス66に伝達できる。すなわち、バス伝達部67の内部には、例えばピストン(図示せず)が設けられ、ノズルバス66を昇降させることができる。なお、バス伝達部67とノズルバス66との接続部分には、バス伝達部67の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。また、バス伝達部67が処理容器10を挿通する部分には、処理容器10の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。
【0035】
バス駆動部68は、処理容器10の外部に設けられている。また、バス駆動部68は、例えばモータなどを備え、上述したようにノズルバス66を昇降させることができる。
【0036】
また、処理容器10の内部には、スピンチャック20に保持されたウェハWの外周部上にリンス液を吐出するエッジリンスノズル70が設けられている。エッジリンスノズル70には、当該エッジリンスノズル70にリンス液を供給するリンス液供給装置71が接続されている。エッジリンスノズル70も、上述した塗布ノズル60と同様に水平方向より所定の角度で傾斜した方向に構成されている。
【0037】
すなわち、エッジリンスノズル70には、図2及び図3に示すように支持部材72、移動部73及びノズル伝達部74を介して、ノズル駆動部75が取り付けられている。これら支持部材72、移動部73及びノズル伝達部74はそれぞれ処理容器10の内部に設けられ、ノズル駆動部75は処理容器10の外部に設けられている。また、処理容器10の内部であってカップ体31のY方向負方向(図2及び図3の左方向)側の外側には、スピンチャック20上方から退避したエッジリンスノズル70を待機させるノズルバス76が設けられている。ノズルバス76では、エッジリンスノズル70の先端部を収容して、当該エッジリンスノズル70を洗浄することができる。また、ノズルバス76では、エッジリンスノズル70からのリンス液のダミーディスペンスも行うことができる。
【0038】
支持部材72は、水平方向に延伸する水平支持部72aと鉛直方向に延伸する鉛直支持部72bとを有している。水平支持部72aの先端部には、エッジリンスノズル70が支持されている。また、鉛直支持部72bの基端部には、移動部73が取り付けられている。
【0039】
ノズル伝達部74は、図3に示すようにカップ体31のX方向負方向(図3の下方向)側に設けられている。また、ノズル伝達部74は、そのY方向正方向(図3の右方向)側の端部がカップ体31中心部Cより僅かにY方向負方向側に位置し、上述したノズル伝達部64と干渉しないように位置している。また、ノズル伝達部74のY方向正方向(図3の右方向)側の端部は、処理容器10の側壁に位置している。なお、ノズル伝達部74が処理容器10を挿通する部分には、処理容器10の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。さらに、ノズル伝達部74は、図2に示すようにY方向(図2の(左右方向))より所定の角度で傾斜した方向に延伸している。なお、所定の角度は、後述するようにエッジリンスノズル70がスピンチャック20とノズルバス76との間で移動する際、当該エッジリンスノズル70がカップ体31と干渉しない角度に決定される。
【0040】
ノズル伝達部74には、例えばボールネジが用いられる。移動部73は、このノズル伝達部74の外周面を囲うように設けられている。また、移動部73の内周面には、ノズル伝達部74の外周面に形成された雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている。さらに、ノズル駆動部75は、例えばモータなどを備えており、ノズル伝達部74を回転させることができる。このようにノズル伝達部74を回転させることにより、ノズル駆動部75の動力がノズル伝達部74を介してエッジリンスノズル70、支持部材72及び移動部73に伝達される。そして、これらエッジリンスノズル70、支持部材72及び移動部73は、ノズル伝達部74に沿って、スピンチャック20の外周部とノズルバス76との間を移動自在に構成されている。なお、ノズル伝達部73の雄ネジ部と移動部73の雌ネジ部との間には、摺動によるパーティクル等の発生を抑制するために例えば真空用グリスが設けられている。
【0041】
上述したノズルバス76には、図1に示すようにバス伝達部77を介してバス駆動部78が取り付けられている。
【0042】
バス伝達部77は、処理容器10の内部に設けられている。また、バス伝達部77は、ノズルバス76を支持し、鉛直方向に延伸して設けられている。バス伝達部77は、例えばシリンダ構造を有し、バス駆動部78の動力をノズルバス76に伝達できる。すなわち、バス伝達部77の内部には、例えばピストン(図示せず)が設けられ、ノズルバス76を昇降させることができる。なお、バス伝達部77とノズルバス76との接続部分には、バス伝達部77の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。また、バス伝達部77が処理容器10を挿通する部分には、処理容器10の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。
【0043】
バス駆動部78は、処理容器10の外部に設けられている。また、バス駆動部78は、例えばモータなどを備え、上述したようにノズルバス76を昇降させることができる。
【0044】
次に、上述した液供給装置61の構成について説明する。液供給装置61は、図4に示すように内部に金属錯体を貯留する金属供給源100を有している。金属供給源100の上部には、当該金属供給源100内に空気、例えば不活性ガスを供給するための空気供給管101が接続されている。空気供給管101は、内部に空気を貯留する空気供給源102に連通している。また、空気供給管101には、空気の流通を制御する制御弁103が設けられている。そして、空気供給源102から金属供給源100内に空気が供給され、金属供給源100内の圧力が所定の圧力に維持されると共に、金属供給源100内の金属錯体が後述する金属供給管104に供給されるようになっている。
【0045】
また、金属供給源100の上部には、塗布ノズル60に金属錯体を供給するための金属供給管104が接続されている。すなわち、金属供給管104は、金属供給源100と塗布ノズル60とを接続して設けられている。
【0046】
金属供給管104には、後述するように不活性ガスを供給する第1のガス供給管121が接続されている。第1のガス供給管121より下流側の金属供給管104には、金属錯体又は不活性ガスの流通を制御する第1の主制御弁105が設けられている。また、第1のガス供給管121より上流側の金属供給管104には、金属錯体の流通を制御する金属制御弁106が設けられている。
【0047】
また、液供給装置61は、内部に溶媒を貯留する溶媒供給源110を有している。溶媒供給源110の上部には、当該溶媒供給源110内に空気、例えば不活性ガスを供給するための空気供給管111が接続されている。空気供給管111は、内部に空気を貯留する空気供給源112に連通している。また、空気供給管111には、空気の流通を制御する制御弁113が設けられている。そして、空気供給源112から溶媒供給源110内に空気が供給され、溶媒供給源110内の圧力が所定の圧力に維持されると共に、溶媒供給源110内の溶媒が後述する溶媒供給管114に供給されるようになっている。
【0048】
また、溶媒供給源110の上部には、塗布ノズル60に溶媒を供給するための溶媒供給管114が接続されている。すなわち、溶媒供給管114は、溶媒供給源110と塗布ノズル60とを接続して設けられている。
【0049】
溶媒供給管114には、後述するように不活性ガスを供給する第2のガス供給管123が接続されている。第2のガス供給管123より下流側の溶媒供給管114には、溶媒又は不活性ガスの流通を制御する第2の主制御弁115が設けられている。また、第2のガス供給管123より上流側の溶媒供給管114には、溶媒の流通を制御する溶媒制御弁116が設けられている。
【0050】
さらに、液供給装置61は、内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを貯留するガス供給源120を有している。ガス供給源120と金属供給管104との間には、上述した第1のガス供給管121が接続されている。第1のガス供給管121には、不活性ガスの流通を制御する第1のガス制御弁122が設けられている。また、ガス供給源120と溶媒供給管114との間には、上述した第2のガス供給管123が接続されている。第2のガス供給管123には、不活性ガスの流通を制御する第2のガス制御弁124が設けられている。
【0051】
なお、以上の第1の主制御弁105の開閉、金属制御弁106の開閉、第1のガス制御弁122の開閉、第2の主制御弁115の開閉、溶媒制御弁116の開閉、第2のガス制御弁124の開閉は、後述する制御部150により制御される。
【0052】
以上のように液供給装置61から塗布ノズル60に金属錯体と溶媒が供給される。そして、塗布ノズル60内では、攪拌機構(図示せず)によって金属錯体と溶媒が混合されて金属混合液が生成され、塗布ノズル60から金属混合液が吐出される。
【0053】
次に、上述したリンス液供給装置71の構成について説明する。リンス液供給装置71は、図5に示すように内部にリンス液を貯留するリンス液供給源130を有している。リンス液供給源130の上部には、当該リンス液供給源130内に空気、例えば不活性ガスを供給するための空気供給管131が接続されている。空気供給管131は、内部に空気を貯留する空気供給源132に連通している。また、空気供給管131には、空気の流通を制御する制御弁133が設けられている。そして、空気供給源132からリンス液供給源130内に空気が供給され、リンス液供給源130内の圧力が所定の圧力に維持されると共に、リンス液供給源130内のリンス液が後述するリンス液供給管134に供給されるようになっている。
【0054】
また、リンス液供給源130の上部には、エッジリンスノズル70にリンス液を供給するためのリンス液供給管134が接続されている。すなわち、リンス液供給管134は、リンス液供給源130とエッジリンスノズル70とを接続して設けられている。
【0055】
リンス液供給管134には、後述するように不活性ガスを供給するガス供給管141が接続されている。ガス供給管141より下流側のリンス液供給管134には、リンス液又は不活性ガスの流通を制御する主制御弁135が設けられている。また、ガス供給管141より上流側のリンス液供給管134には、リンス液の流通を制御するリンス液制御弁136が設けられている。
【0056】
また、リンス液供給装置71は、内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを貯留するガス供給源140を有している。ガス供給源140とリンス液供給管134との間には、上述したガス供給管141が接続されている。ガス供給管141には、不活性ガスの流通を制御するガス制御弁142が設けられている。
【0057】
なお、以上の主制御弁135の開閉、リンス液制御弁136の開閉、ガス制御弁142の開閉は、後述する制御部150により制御される。
【0058】
また、バックリンスノズル50に接続されるリンス液供給装置51の構成は、上述したリンス液供給装置71の構成と同様であるので説明を省略する。
【0059】
以上の金属膜形成装置1には、図1に示すように制御部150が設けられている。制御部150は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、金属膜形成装置1におけるウェハWの金属膜形成処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部150にインストールされたものであってもよい。
【0060】
本実施にかかる金属膜形成装置1は以上のように構成されている。次に、その金属膜形成装置1で行われる金属膜を形成する処理について説明する。なお、図6〜図8は、金属膜形成装置1においてウェハW上に金属混合液を塗布する際の様子を示す。
【0061】
金属膜形成装置1に搬入されたウェハWは、先ず、図6に示すようにスピンチャック20に吸着保持される。このとき、塗布ノズル60はノズルバス66に待機している。そして、液供給装置61において、金属制御弁106を閉塞し、且つ第1の主制御弁105と第1のガス制御弁122をそれぞれ開放し、ガス供給源120から第1のガス供給管121と金属供給管104を介して塗布ノズル60に不活性ガスを供給する。同様に、溶媒制御弁116を閉塞し、且つ第2の主制御弁115と第2のガス制御弁124をそれぞれ開放し、ガス供給源120から第2のガス供給管123と溶媒供給管114を介して塗布ノズル60に不活性ガスを供給する。
【0062】
このように塗布ノズル60に供給された不活性ガスによって、当該塗布ノズル60内に残留する金属混合液がノズルバス66に追い出される。そうすると、その後、後述するように処理容器10の内部を減圧しても、塗布ノズル60から不要な金属混合液が流出することがない。また、金属混合液は、金属であるアルミニウムが析出し易い。例えば金属媒体と溶媒が混合されて金属混合液が形成されてから、所定の時間、例えば90秒間経過すると、金属が析出する。したがって、待機中の塗布ノズル60内には、前のウェハWを処理する際に用いた金属混合液が残留し、金属が析出している。かかる場合でも、上述のように塗布ノズル60に不活性ガスを供給することによって、塗布ノズル60内に残留する金属混合液が除去され、その後の塗布処理を適切に行うことができる。
【0063】
また、塗布ノズル60に供給された不活性ガスによって、金属供給管104の内部と溶媒供給管114の内部も洗浄される。
【0064】
一方、リンス液供給装置71においても、リンス液制御弁136を閉塞し、且つ主制御弁135とガス制御弁142をそれぞれ開放し、ガス供給源140からガス供給管141とリンス液供給管134を介してエッジリンスノズル70に不活性ガスを供給する。この不活性ガスによって、エッジリンスノズル70内に残留するリンス液がノズルバス76に追い出される。
【0065】
その後、真空ポンプ35を作動させて、処理容器10の内部雰囲気を吸引し、処理容器10の内部を所定の真空度、例えば13.3Paに減圧する。その後、ガス供給源12から処理容器10の内部に不活性ガスを供給すると共に、真空ポンプ37を作動させる。そして、処理容器10の内部を大気圧の不活性ガス雰囲気に均圧する。なお、処理容器10の内部の雰囲気を減圧するのは、当該処理容器10の内部から酸素や水分を迅速に排出し、内部の雰囲気を迅速に不活性ガス雰囲気にするためである。このため、内部雰囲気の減圧は厳格に真空雰囲気にすることまでは要求されず、上述の通り例えば13.3Paの真空度まで減圧すればよい。したがって、極めて短時間で処理容器10の内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧することができる。
【0066】
このように処理容器10の内部を減圧し、不活性ガスの大気圧雰囲気にする間、バス伝達部67とバス駆動部68によって、図7に示すようにノズルバス66を下降させる。続いて、図8に示すようにノズル駆動部65によって、塗布ノズル60をノズル伝達部64に沿って移動させ、ウェハWの中心部上方の所定の位置に配置する。このとき、塗布ノズル60は水平方向より所定の角度で傾斜した方向に沿って移動するので、当該塗布ノズル60がカップ体31と干渉することはない。また、このように塗布ノズル60を移動させても、塗布ノズル60内は不活性ガスによって洗浄されているため、塗布ノズル60から不要な金属混合液が流出することがない。このため、塗布ノズル60をウェハWの中心部上方の所定の位置に配置した後、処理容器10の内部を減圧してもよい。
【0067】
その後、すなわち処理容器10の内部を不活性ガスの大気圧雰囲気にして、塗布ノズル60をウェハW上方の所定の位置に配置した後、スピンチャック20に吸着保持されたウェハWを所定の回転数で回転させる。
【0068】
また、液供給装置61では、第1のガス制御弁122を閉塞し、且つ第1の主制御弁105と金属制御弁106をそれぞれ開放し、金属供給源100から金属供給管104を介して塗布ノズル60に金属媒体を供給する。同様に、第2のガス制御弁124を閉塞し、且つ第2の主制御弁115と溶媒制御弁116をそれぞれ開放し、溶媒供給源110から溶媒供給管114を介して塗布ノズル60に溶媒を供給する。供給された金属媒体と溶媒は塗布ノズル60の内部で混合され、金属混合液が生成される。そして、回転中のウェハWに対して塗布ノズル60から金属混合液が吐出される。このとき、ウェハWに吐出される直前に金属混合液が生成されるので、金属が析出することなく、適切な金属混合液をウェハW上に吐出することができる。吐出された金属混合液は遠心力によってウェハW上を拡散し、ウェハWの表面全面に金属混合液が塗布される。
【0069】
こうしてウェハW上に金属混合液が塗布されると、液供給装置61から塗布ノズル60への金属媒体と溶媒の供給を停止し、塗布ノズル60からウェハWへの金属混合液の吐出を停止する。その後、ノズル駆動部65によって塗布ノズル60をノズルバス66に移動させると共に、ノズル駆動部75によってエッジリンスノズル70をノズル伝達部74に沿って移動させ、ウェハWの外周部上方の所定の位置に配置する。
【0070】
その後、回転中のウェハWに対してエッジリンスノズル70からリンス液が吐出され、ウェハWの外周部が洗浄される。また、バックリンスノズル50からもリンス液が噴射され、ウェハWの裏面が洗浄される。このとき、リンス液供給装置71、61では、ガス制御弁142を閉塞し、且つ主制御弁135とリンス液制御弁136をそれぞれ開放し、リンス液供給源130からリンス液供給管134を介してエッジリンスノズル70とバックリンス60にそれぞれリンス液が供給される。そして、かかる洗浄後、エッジリンスノズル70とバックリンスノズル50からのリンス液の供給を停止し、さらにウェハWを回転させることでウェハWを乾燥させる。
【0071】
こうして、ウェハW上に金属膜が形成され、金属膜形成システム1における一連の金属膜形成処理が終了する。なお、ウェハW上に金属膜を形成する場合、本実施の形態では省略しているが、実際には金属膜形成システム1での塗布処理の後、加熱処理が行われる。かかる加熱処理を行うことにより、ウェハW上の金属混合液中の有機成分が揮発し、アルミニウムが金属化して、ウェハW上にアルミニウム膜の金属膜が形成される。
【0072】
以上の実施の形態によれば、塗布ノズル60を移動させるためのノズル駆動部65が処理容器10の外部に設けられているので、動力発生源であるノズル駆動部65から発生するパーティクル等が処理容器10の内部に流入しない。同様に、エッジリンスノズル70を移動させるためのノズル駆動部75、ノズルバス66を昇降させるためのバス駆動部68、ノズルバス76を昇降させるためのバス駆動部78、及びスピンチャック20を昇降且つ回転させるためのチャック駆動部22もそれぞれ処理容器10の外部に設けられているので、これら動力発生源から発生するパーティクル等が処理容器10の内部に流入しない。このように処理容器10の内部にパーティクル等の不純物が発生しないので、ウェハWを処理する際に処理容器10の内部を減圧しても、適切な減圧雰囲気にでき、さらにその後適切な不活性ガスの大気圧雰囲気にできる。そして、塗布ノズル60からウェハW上に金属混合液を吐出して、当該ウェハW上に金属膜が適切に形成される。しかも、水平方向より所定の角度で傾斜した方向に沿って、塗布ノズル60はスピンチャック20とノズルバス66との間で移動するので、この移動中に塗布ノズル60がカップ体31と干渉することがない。したがって、本実施の形態によれば、処理雰囲気を適切に制御しつつ、金属混合液を用いてウェハW上に金属膜を適切に形成することができる。
【0073】
また、ノズル伝達部64、74にはそれぞれボールネジが用いられ、ノズル伝達部64、74と移動部63、73との間にはそれぞれ真空用グリスが設けられている。したがって、処理容器10の内部において、これらノズル伝達部64、74と移動部63、73と間の摺動によるパーティクルが発生しない。
【0074】
また、制御部150によって、処理容器10の内部を減圧する前に、塗布ノズル60をノズルバス66で待機させた状態で、第1のガス供給管121と金属供給管104を介して塗布ノズル60へ不活性ガスが供給されると共に、第2のガス供給管123と溶媒供給管114を介して塗布ノズル60へ不活性ガスが供給される。この不活性ガスによって、塗布ノズル60内に残留する金属混合液が追い出される。そうすると、その後新たなウェハWを処理する際に処理容器10の内部を減圧しても、塗布ノズル60から不要な金属混合液が流出することがない。また、塗布ノズル60内に残留する金属混合液に金属であるアルミニウムが析出しても、かかる金属混合液は上記不活性ガスによって除去される。
【0075】
続いて、処理容器10の内部を不活性ガスの大気圧雰囲気にして、塗布ノズル60をスピンチャック20上方の所定位置に配置した状態で、金属供給管104を介して塗布ノズル60へ金属錯体が供給されると共に、溶媒供給管114を介して塗布ノズル60へ溶媒が供給される。そして、塗布ノズル60内において、ウェハWに吐出される直前に金属混合液が生成されるので、金属が析出していない適切な金属混合液をウェハWに吐出することができ、ウェハWの塗布処理を適切に行うことができる。したがって、本実施の形態によれば、処理容器10内の処理雰囲気を適切に制御しつつ、金属混合液を用いてウェハW上に金属膜を適切に形成することができる。
【0076】
以上の実施の形態の塗布ノズル60のノズル伝達部64はボールネジであったが、ノズル伝達部64の構造はこれに限定されず種々の構造を取り得る。例えばノズル伝達部64は、シリンダ構造を有し、内部にボールネジが設けられていてもよい。そして、ノズル伝達部64の内部を密閉すれば、当該ノズル伝達部64の内部で発生するパーティクルが処理容器10の内部に流出することはない。なお、エッジリンスノズル70のノズル伝達部74も、ノズル伝達部64と同様にボールネジを有するシリンダ構造等の種々の構造を取り得る。
【0077】
また、以上の実施の形態では、ノズルバス66のバス伝達部67はシリンダ構造を有していたが、バス伝達部67の構造はこれに限定されず種々の構造を取り得る。例えばバス伝達部67に金属ベローズを用いてもよい。なお、ノズルバス76のバス伝達部77も、バス伝達部67と同様に金属ベローズ等の種々の構造を取り得る。
【0078】
また、以上の実施の形態では、支持部材62、移動部63及びノズル伝達部64を介してノズル駆動部65によって塗布ノズル60を移動させていたが、この塗布ノズル60を移動させる構成はこれに限定されず、種々の構成を取り得る。例えば金属膜形成装置1には、上記支持部材62、移動部63、ノズル伝達部64及びノズル駆動部65に代えて、図9に示すようにマニピュレータからなるノズル伝達部160と当該ノズル伝達部160を伸縮させるノズル駆動部161が設けられる。
【0079】
ノズル伝達部160は、処理容器10の内部に設けられている。また、ノズル伝達部160は、水平方向より所定の角度で傾斜した方向に伸縮自在に構成されている。この所定の角度は、上記実施の形態と同様に、塗布ノズル60がスピンチャック20とノズルバス66との間で移動する際、当該塗布ノズル60がカップ体31と干渉しない角度に決定される。なお、ノズル伝達部160が処理容器10を挿通する部分には、処理容器10の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。
【0080】
ノズル駆動部161は、処理容器10の外部に設けられている。また、ノズル駆動部161は、例えばモータなどを備え、上述したようにノズル伝達部160を伸縮させることができる。
【0081】
また、エッジリンスノズル70を移動させる構成についても、上記支持部材72、移動部73、ノズル伝達部74及びノズル駆動部75に代えて、マニピュレータからなるノズル伝達部170と当該ノズル伝達部170を伸縮させるノズル駆動部171を設けてもよい。
【0082】
ノズル伝達部170は、処理容器10の内部に設けられている。また、ノズル伝達部170は、水平方向より所定の角度で傾斜した方向に伸縮自在に構成されている。この所定の角度は、上記実施の形態と同様に、エッジリンスノズル70がスピンチャック20とノズルバス76との間で移動する際、当該エッジリンスノズル70がカップ体31と干渉しない角度に決定される。なお、ノズル伝達部170が処理容器10を挿通する部分には、処理容器10の内部を密閉するために例えばOリングや真空用グリスが設けられている。
【0083】
ノズル駆動部171は、処理容器10の外部に設けられている。また、ノズル駆動部171は、例えばモータなどを備え、上述したようにノズル伝達部170を伸縮させることができる。
【0084】
なお、本実施の形態において、金属膜形成装置1のその他の構成については上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。かかる場合でも、動力発生源であるノズル駆動部161、171が処理容器10の外部に設けられているので、処理容器10内にパーティクル等の発生を防止することができ、処理雰囲気を適切に制御しつつ、金属混合液を用いてウェハW上に金属膜を適切に形成することができる。
【0085】
以上の実施の形態では、塗布ノズル60の内部で金属混合液を生成して、当該塗布ノズル60から金属混合液をウェハWに吐出していたが、金属混合液の吐出方法はこれに限定されず種々の方法を取り得る。例えば液処理装置61内で金属混合液を生成した後、当該金属混合液を塗布ノズル60に供給してもよい。そして、塗布ノズル60からウェハWに金属混合液が吐出される。
【0086】
また、例えば塗布ノズル60に代えて、金属錯体を吐出する金属錯体ノズルと溶媒を吐出する溶媒ノズルとを用いてもよい。かかる場合、金属錯体ノズルから吐出された金属錯体と溶媒ノズルから吐出された溶媒をウェハWに到達する前に混合して金属混合液を生成してもよい。あるいは、これら金属錯体と溶媒をウェハW上で混合して金属混合液を生成してもよい。さらに、ウェハW上を溶媒でプリウェットした後、金属錯体と溶媒をウェハW上で混合して金属混合液を生成してもよい。
【0087】
また、以上の実施の形態では、金属錯体はアルミニウム原子を有していたが、他の金属原子、例えば銅原子や金原子、銀原子などを有していてもよい。また、以上の実施の形態の金属膜形成装置1は、カップ体31を洗浄するカップリンスノズルを備えていてもよい。
【0088】
また、以上の実施の形態では、基板としてウェハWを用いた場合について説明したが、本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。さらに、本発明は、例えば有機太陽電池の製造プロセスや低酸素雰囲気下での成膜プロセスにも適用することができる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0090】
1 金属膜形成装置
10 処理容器
12 ガス供給源
20 スピンチャック
22 チャック駆動部
31 カップ体
35、37 真空ポンプ
50 バックリンスノズル
51 リンス液供給装置
60 塗布ノズル
61 液供給装置
62 支持部材
64 ノズル伝達部
65 ノズル駆動部
66 ノズルバス
67 バス伝達部
68 バス駆動部
70 エッジリンスノズル
71 リンス液供給装置
72 支持部材
74 ノズル伝達部
75 ノズル駆動部
76 ノズルバス
77 バス伝達部
78 バス駆動部
100 金属供給源
104 金属供給管
105 第1の主制御弁
106 金属制御弁
110 溶媒供給源
114 溶媒供給管
115 第2の主制御弁
116 溶媒制御弁
120 ガス供給源
121 第1のガス供給管
122 第1のガス制御弁
123 第2のガス供給管
124 第2のガス制御弁
150 制御部
160 ノズル伝達部
160 ノズル駆動部
170 ノズル伝達部
170 ノズル駆動部
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属錯体と溶媒を混合した金属混合液を塗布して、当該基板上に金属膜を形成する金属膜形成装置であって、
基板を収容し、内部を不活性ガスの大気圧雰囲気又は減圧雰囲気に切り換え可能な処理容器と、
前記処理容器の内部に設けられ、基板を保持する保持部と、
前記処理容器の内部に設けられ、前記保持部に保持された基板の側方を囲むように設けられたカップ体と、
前記処理容器の内部に設けられ、前記保持部に保持された基板上に前記金属混合液を吐出する塗布ノズルと、
前記処理容器の内部であって前記カップ体の外側に設けられ、前記保持部上方から退避した前記塗布ノズルを待機させる待機部と、
前記処理容器の外部に設けられ、水平方向より所定の角度で傾斜した方向に沿って、前記保持部と前記待機部との間で前記塗布ノズルを移動させるためのノズル駆動部と、
前記処理容器の内部に設けられ、前記塗布ノズルを支持し、前記ノズル駆動部の動力を前記塗布ノズルに伝達するノズル伝達部と、を有することを特徴とする、金属膜形成装置。
【請求項2】
前記ノズル伝達部は、水平方向より前記所定の角度で傾斜した方向に延伸するボールネジを有し、
前記金属膜形成装置は、前記塗布ノズルを支持し、且つボールネジに沿って移動自在の支持部材を有することを特徴とする、請求項1に記載の金属膜形成装置。
【請求項3】
前記ノズル伝達部は、マニピュレータであることを特徴とする、請求項1に記載の金属膜形成装置。
【請求項4】
前記処理容器の外部に設けられ、前記待機部を昇降させるための待機部用駆動部と、
前記処理容器の内部に設けられ、前記待機部を支持し、前記待機部用駆動部の動力を前記待機部に伝達する待機部用伝達部と、を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属膜形成装置。
【請求項5】
前記処理容器の外部に設けられ、前記保持部を回転させるための保持部用駆動部を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の金属膜形成装置。
【請求項6】
前記金属錯体はアルミニウム原子を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−12647(P2012−12647A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148743(P2010−148743)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】