銅の光子誘起除去
【課題】基板から銅含有層の少なくとも一部を除去する方法を提供する。
【解決手段】第1反応チャンバ中で、銅含有表面層4の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層5に変える工程と、第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気6に晒して、ハロゲン化銅表面層5の少なくとも一部を除去して、揮発性のハロゲン化銅生成物8の形成を始める工程とを含む。光子含有雰囲気6に晒す間に、この方法は、更に、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物8を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物8の飽和を避ける工程を含む。本発明の具体例にかかる方法は、銅含有層のパターニングに用いられる。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイス中に銅含有相互接続構造を形成するのに使用される。
【解決手段】第1反応チャンバ中で、銅含有表面層4の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層5に変える工程と、第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気6に晒して、ハロゲン化銅表面層5の少なくとも一部を除去して、揮発性のハロゲン化銅生成物8の形成を始める工程とを含む。光子含有雰囲気6に晒す間に、この方法は、更に、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物8を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物8の飽和を避ける工程を含む。本発明の具体例にかかる方法は、銅含有層のパターニングに用いられる。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイス中に銅含有相互接続構造を形成するのに使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板からの銅の除去またはエッチングに関する。特に、本発明は、光子含有雰囲気を用いて、少なくとも銅含有表面層を含む基板からの銅の除去またはエッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理の分野で、一般に、ダマシンプロセスが、銅ベースの相互接続の形成に使用される。ダマシンプロセスでは、低誘電率材料中にトレンチが形成され、それらのトレインは、続いて埋められ、銅の相互接続が形成される。しかしながら、今日、特徴的なサイズは更に小さくなり、これによりこの方法は更に困難になってくる。
【0003】
第1に、low−k(低誘電率)材料のエッチングに関する問題がある。エッチング中に、そのような材料はダメージを受け、材料のk値が増加する。これは、low−kダメージとも呼ばれる。これはエッチングプロセス後のフォトレジストの除去にも適用されるが、low−kダメージが生じることが知られている。ダマシンプロセスによれば、エッチングプロセスに続いて、トレンチがバリア層に覆われ銅で充填される。この充填手続は、トレンチの完全な充填にはボトムアップ充填が必要とされる点、および低抵抗や最適な電気マイグレーション特性を得るには大きな粒が必要となる点で困難を有する。更なる問題は、銅の化学機械研磨(CMP)は、当業者に知られた本質的な問題を有することである。
【0004】
ダマシンプロセスの代わりは、アルミニウムを相互接続材料に使用するための、以前に使用された古典的な経路である。このプロセスを銅の相互接続の形成に使用した場合、銅の膜をパターニングする必要がある。この場合、low−k材料はエッチングする必要が無く、銅は平坦化する必要が無いため、銅のドライエッチングはそれらの問題を回避できるかもしれない。更に、エッチングされた銅の線は、ダマシンプロセスを用いて開発されたものに比較して、低い抵抗を有し改良された電気マイグレーション抵抗を有する。これは主に銅の結晶粒成長が、平坦な表面上に堆積された場合に、ダマシンアプローチの狭いトレンチ中のように妨害されないためである。結果のより大きな粒径は、粒界における電子の散乱を減らすことができる。
【0005】
上述のように、銅層のドライエッチングの可能性を探る必要がある。これまで、塩化銅(CuxCly)や臭化銅(CuxBry)の揮発物を形成するために200℃までの高温が必要であったため、銅のドライエッチングは非常の困難であった。そのような高温で、ナノメータの寸法のナノ構造の異方性エッチングを実現することは不可能である。高温エッチングを避けるために、従来技術において試みられているが、最初に、低温(60℃)でCl2やHBrプラズマに晒してハロゲン化銅(CuxClyおよび/またはCuxBry)と呼ばれるハロゲン化された銅に変えられる[Kuo et al., Applied Physics Letters, Vol. 78, NO.7, 2001]。
【0006】
次の工程では、ハロゲン化銅がウェット除去工程(例えば5%HCl溶液)を用いて除去される。しかしながら、この低温法は、ナノメータの寸法を有するパターン構造には適さず、十分に正確ではなかった。銅をCuxClyおよび/またはCuxBryの変えることは、非常に速く起こり、CuxClyおよび/またはCuxBryの薄層が形成される。更に、銅は、CuxClyおよび/またはCuxBryを通って非常に速く拡散し、異方性エッチングが不可能となる。文献(米国特許5,221,426)に記載された他のアプローチでは、パワーレーザービームを用いた銅のエッチングにより、銅種が部分的に蒸発する。しかしながら、この方法でも、望まない熱が発生する。
【特許文献1】米国特許5,221,426
【非特許文献1】Applied Physics Letters, Vol. 78, No.7, 2001
【発明の開示】
【0007】
本発明の具体例の目的は、少なくとも銅含有表面層を含む基板から、銅含有層の少なくとも一部を除去する方法を提供することである。
【0008】
上記目的は、本発明の具体例にかかる方法で達成される。
【0009】
第1の形態では、本発明は、少なくとも銅含有表面層を含む基板から、銅含有層の少なくとも一部を除去する方法を提供する。この方法は、
第1反応チャンバ中で、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層に変える工程と、
第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気に晒して、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去して、揮発性のハロゲン化銅生成物の形成を始める工程と、
光子含有雰囲気に晒す間、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避ける工程とを含む。
【0010】
本発明の具体例では、第1および第2の反応チャンバは同じでも良い。本発明の他の具体例では、第1および第2の反応チャンバは異なっても良い。
【0011】
本発明の具体例にかかる方法は、銅含有層のパターニングに使用される。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイス中に、銅含有相互接続構造を形成するために使用される。
【0012】
本発明の具体例では、銅含有層は、10原子%と100原子%の間の銅を含む層を言う。本発明の具体例では、銅含有層は、少なくとも10原子%と50原子%の間の銅を含む層を言う。
【0013】
反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去するのは、反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避けるためである。換言すれば、本発明の具体例のハロゲン化生成物の分圧は、飽和に達しないということである。表面からハロゲン化銅生成物の蒸発を開始するための、プラズマ強度は、mW/cm2のレンジである。プラズマ強度は、供給される電力と圧力により調整できる。ハロゲン化銅の蒸発は、300ワットと1000ワットの間の電力と、5mTorr(0.67Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力を有するHe、Ar、又はH含有プラズマを用いて、既に行うことが可能である。
【0014】
本発明の具体例にかかる方法の利点は、光誘起反応を用いること、それが低温で行われることである。本発明の具体例にかかる方法の利点は、銅層の少なくとも一部を除去するために、例えば150℃より高いような高温を必要としないことである。本発明の具体例にかかる方法は、20℃と80℃の間の温度で行うことができる。
【0015】
本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層に変える工程が、銅含有表面層の少なくとも一部を、例えばBCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスのようなハロゲン含有ガスに晒して行われる。
【0016】
本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層に変える工程が、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン含有プラズマに晒して行われる。ハロゲン含有プラズマは、例えばBr、I、および/またはCl含有プラズマでも良い。ハロゲン含有プラズマは、例えばBCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスを用いた反応性イオンエッチングチャンバ中で形成されても良い。
【0017】
銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン含有プラズマに晒す工程は、200ワットと1000ワットの間の電力、4mTorr(0.53Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力、および50sccmと500sccmの間の流速のハロゲン含有プラズマを用いて行われても良く、例えば600ワットの電力で、10mTorr(1.33Pa)の圧力のプラズマが用いられる。
【0018】
本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、ハロゲン化銅表面層をHe、Ar、またはH含有プラズマに晒して行われても良い。
【0019】
本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層がCuxClyを含み、光子含有プラズマがHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、1000ワットの電力、30mTorr(4Pa)の圧力で、基板バイアスの使用有りまたは無しで行われても良い。晒す時間は、除去される銅の量(またはパターニングされる構造の寸法)に依存する。
【0020】
本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層がCuxBryを含み、光子含有プラズマがHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、好ましくは基板バイアス無しで行われても良い。晒す時間は、除去される銅の量(またはパターニングされる構造の寸法)に依存する。
【0021】
本発明の更なる具体例では、
ハロゲン化銅表面層がCuxIyを含み、光子含有プラズマがHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、好ましくは基板バイアス無しで行われても良い。晒す時間は、除去される銅の量(またはパターニングされる構造の寸法)に依存する。
【0022】
本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層に変える、ハロゲン化とも呼ばれる工程と、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程とが、同じ反応チャンバ内で同時に行われても良い。例えば、同時の反応は、少なくともハロゲン化合物と、He、Ar、またはHプラズマから形成される光子誘起化合物とを含むプラズマがその中に存在する反応性イオンエッチングチャンバ内で行われても良い。この具体例では、プラズマは、主な化合物として、He、Ar、および/またはH(90%以上)を含み、更にハロゲン化合物を含んでも良い。プラズマ中のハロゲン化合物(例えばCl、Br、および/またはIラジカルおよびイオン)の量は、全プラズマ成分の数パーセントの範囲でも良い。プラズマは、更に、基板からの銅の除去に対するパッシベーション(例えば側壁パッシベーション)を得るために、不活性化合物、および/または過弗化炭化水素ベースの化合物(例えばCF4から形成される)を含んでも良い。
【0023】
この方法は、少なくとも銅含有表面層を含む基板を提供する工程を含んでも良い。そのような基板を提供する工程は、
基板を提供する工程と、
基板の上に銅含有表面層を形成する工程と、により行われても良い。
【0024】
本発明の具体例では、基板の上に銅含有表面層を形成する工程は、例えば、電気化学メッキ(ECP)または物理気相成長(PVD)により行われても良い。銅を再結晶させて大きな結晶粒を得るために、追加のアニール工程が形成された銅層に対して行われても良い。
【0025】
最初に銅含有層を形成し、次に銅含有層に相互接続構造をエッチングする利点は、ダマシン技術を用いて得られた銅の相互接続構造に比較して、銅の相互接続構造がずっと大きな粒を有し、それゆえに少ない結晶粒界を有することである。
【0026】
本発明の具体例では、この方法は、銅含有表面層を形成する前に、更に、保護層、および/またはバリア層を基板上に形成する工程を含んでも良い。バリア層は、銅が基板中に拡散するのを防止するために使用される。
【0027】
本発明の具体例では、この方法は、保護層またはバリア層の一つを形成する工程を含む。本発明の他の具体例では、この方法は、保護層とバリア層の双方を形成する工程を含む。
【0028】
この方法は、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える前に、更に、銅含有表面層の上にリソグラフィックパターンを形成する工程を含んでも良い。
【0029】
銅含有表面層の上にパターンを形成する工程は、
銅含有表面層の上に、例えば感光性リソグラフィック層(例えばレジスト)のような材料の層を形成する工程と、
リソグラフィックパターニングにより感光性材料の層をパターニングし、層の中に少なくとも1つの孔を形成する工程とで行われても良い。
【0030】
本発明の具体例では、この方法は、銅含有表面層の上にパターンを形成し、銅含有表面層の少なくとも一部を除去した後に、更に、感光性の層を除去する工程を含んでも良い。
【0031】
この方法は、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える前に、更に、基板を洗浄する工程を含んでも良い。洗浄工程は、例えばH2またはN2プラズマを用いて行われることが好ましい。
【0032】
他の形態では、本発明は、銅含有層をパターニングするための本発明の具体例にかかる方法の使用を提供する。本発明の具体例では、銅層のパターニング工程は、銅層中に相互接続構造を形成するために使用され、相互作用構造は、トレンチまたはビアのいずれかでも良い。相互接続構造をパターニングした後、誘電体層が、相互接続構造の上に形成されても良い。
【0033】
本発明の特別の、好適な形態は、添付の独立請求項および従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、必要に応じて、独立請求項の特徴と組み合わせても、他の従属請求項の特徴と組み合わせても良く、単に請求項に表されたままでは無い。
【0034】
この分野において、デバイスの一定の改良、変化および進歩があっても、本発明のコンセプトは本質的に新しく、新規な改良を表すものであり、従来の実施から出発を含み、より効果的で、安定した、信頼性のある、この性質のデバイスを提供できる。
【0035】
本発明の、上述のおよび他の特徴、性質、および長所は、本発明の原理を、例として表した添付の図面とともに、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は例示のみを目的とし、発明の範囲を限定するものではない。以下で引用される参照符号は、添付図面についてのものである。
【具体例の記載】
【0036】
本発明は、特定の具体例について、添付図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定されるものである。記載された図面は、単に概略であり、限定するものではない。図面において、図示目的で、いくつかの要素の大きさは拡張され、縮尺通りに記載されていない。寸法と相対寸法は、本発明の実施の実際の縮小には対応していない。
【0037】
更に、記載や請求の範囲中の、「上」の用語等は、記載目的のために使用され、相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明の具体例は、ここに記載や図示されたものと異なる位置でも操作できることを理解すべきである。
【0038】
請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に示される要素に限定して解釈されること排除するものであり、他の要素や工程を排除しない。このように、言及された特徴、数字、工程、または成分は、その通りに解釈され、1またはそれ以上の他の特徴、数字、工程、または成分、またはこれらの組み合わせの存在または追加を排除してはならない。このように、「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。本発明では、単にデバイスに関連した構成要素がAとBであることを意味する。
【0039】
この明細書を通じて参照される「一の具体例(one embodiment)」または「ある具体例(an embodiment)」は、この具体例に関係して記載された特定の長所、構造、または特徴は、本発明の少なくとも1つの具体例に含まれることを意味する。このように、この明細書を通して多くの場所の「一の具体例(one embodiment)」または「ある具体例(an embodiment)」の語句の表現は、同じ具体例を表す必要はなく、表しても構わない。更に、特定の長所、構造、または特徴は、この記載から当業者に明らかなように、1またはそれ以上の具体例中で適当な方法で組み合わせることができる。
【0040】
同様に、本発明の例示の記載中において、能率的に開示し、多くの発明の形態の1またはそれ以上の理解を助ける目的で、本発明の多くの長所は、時には1つの具体例、図面、またはその記載中にまとめられることを認識すべきである。しかしながら、この開示の方法は、請求される発明がそれぞれの請求項に記載されたものより多くの特徴を必要とすることを意図して表されていると解釈すべきではない。むしろ、以下の請求項が表すように、発明の態様は、1つの記載された具体例の全ての長所より少なくなる。このように詳細な説明に続く請求の範囲は、これにより詳細な説明中に明確に含まれ、それぞれの請求項は、この発明の別々の具体例としてそれ自身で成立する。
【0041】
更に、ここで記載された幾つかの具体例は幾つかの特徴で、他の具体例に含まれる以外の特徴を含み、異なった具体例の長所の組み合わせは、本発明の範囲に入ることを意味し、当業者に理解されるように異なった具体例を形成する。例えば、以下の請求の範囲では、請求された具体例のいくつかは、他の組み合わせにおいても使用することができる。
【0042】
ここで与えられる記載において、多くの特別な細部が示される。しかしながら、本発明の具体例はそれらの特別な細部無しに実施できることを理解すべきである。他の例では、公知の方法、構造、および技術は、この記載の理解をわかりにくくしないために、詳細には示されていない。
【0043】
以下の用語は本発明の理解を助けるためにのみ提供される。
【0044】
請求項や説明で使用される「パターン」の用語は、ウエハ基板のような基板の上に形成された層の中の構造(例えば、ビア、トレンチ)を規定するために使用される。リソグラフィ技術(フォトリソグラフィおよび電子ビームリソグラフィ)およびエッチング技術(例えば反応性イオンエッチング(RIE))の組み合わせとして当業者に知られたパターニングツールを用いて、パターンは、ウエハ基板の上に形成される。
【0045】
本発明は、本発明の多くの具体例の詳細な説明により記載される。添付の請求項により規定された本発明の真実の精神または技術的な示唆から離れることなく、当業者の知識に従って、本発明の具体例が形成できることは明らかである。
【0046】
本発明は、基板から銅含有層の少なくとも一部を除去する方法を提供するものであり、この基板は少なくとも銅含有表面層を含む。この方法は、
第1反応チャンバ中で、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層に変える工程と、
第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気に晒すことにより、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去して、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層の少なくとも一部を除去し、これにより揮発性のハロゲン化銅生成物の形成を始める工程と、
光子含有雰囲気に晒す間、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避け、これにより基板上への揮発性のハロゲン化銅生成物の再付着を防止する工程とを含む。
【0047】
本発明の具体例では、第1および第2の反応チャンバは同じでも良い。換言すれば、本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去する工程が、同じ反応チャンバで行われても良い。これらの具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去する工程が、同じ工程または一連の工程で行われても良い。本発明の他の具体例では、第1と第2の反応チャンバが異なっても良い。換言すれば、これらの具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去する工程が、異なった反応チャンバ中で行われても良い。
【0048】
本発明の具体例では、銅含有層は、10原子%と100原子%の間の銅を含む層をいう。本発明の具体例では、銅含有層は、少なくとも10原子%と50原子%の間の銅を含む層でも良い。
【0049】
反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去する工程は、反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避けるためである。換言すれば、本発明の具体例では、ハロゲン化された生成物の分圧が、飽和に達しない。表面からハロゲン化銅の蒸発を始めるためのプラズマ強度は、mW/cm2のレンジである。プラズマ強度は、供給される電力と圧力により調整できる。ハロゲン化銅の蒸発は、300ワットと1000ワットの間の電力と、5mTorr(0.67Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力を有するHe、Ar、又はH含有プラズマを用いて、既に行うことが可能である(後述)。
【0050】
本発明の具体例にかかる方法の利点は、ハロゲン化銅表面層のハロゲン化銅化合物を除去するために、換言すれば揮発性のハロゲン化銅生成物を形成するために、例えば150℃より高いような高温が必要とされないことである。
【0051】
本発明の具体例にかかる方法は、銅含有層のパターニングに使用しても良い。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイス中の、銅含有相互接続構造を形成するために使用することができる。
【0052】
本発明の具体例では、上述のように、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒して揮発性のハロゲン化銅生成物の形成を始める工程とは、例えば反応性イオンエッチングチャンバ中のような、同じ反応チャンバ中で同時に行われても良い。同時の反応は、反応性イオンエッチングチャンバで行われ、このチャンバ中では、プラズマは、少なくとも、銅をハロゲン化銅化合物に変えるためのハロゲン化合物と、例えばHe、Ar又はH2プラズマから形成されハロゲン化銅化合物を蒸発させる光子含有化合物とを含む。プラズマは、更に、エッチング中のパッシベーション(例えば側壁のパッシベーション)を得るために、不活性化合物および/または弗化炭素ベースの化合物(例えばCF4)を含んでも良い。
【0053】
以下の説明では、基板からの銅の除去は、銅含有表面層のエッチングとして述べられる。
【0054】
図1は、少なくとも銅含有表面層4を含む基板である基板1の上の銅含有層から銅を除去する方法を示す。本発明の具体例では、基板1はいずれの適当な基板でも良い。本発明の具体例では、「基板」の用語は、下層の材料、または使用され、またはデバイス、回路、またはエピタキシャル層がその上に形成される材料を含んでも良い。他の代わりの具体例では、この「基板」はドープされたシリコン、ガリウムアーセナイド(GaAs)、ガリウムアーセナイドフォスファイド(GaAsP)、インジウムフォスファイド(InP)、ゲルマニウム(Ge)、またはシリコンゲルマニウム(SiGe)基板を含む。「基板」は、半導体基板部分に加えて、例えばSiO2またはSi3N4層のような絶縁層を含んでも良い。「基板」の用語は、またシリコン・オン・ガラス基板、シリコン・オン・サファイア基板を含む。「基板」の用語は、一般には、関心のある層や部分の下にある層の要素を規定するのに使用される。また、「基板」は、例えばガラスや銅層のような、その上に層が形成されるベースであっても良い。本発明の具体例で使用される適当な基板1の例は、Siウエハである。基板1は、例えば、電気化学成長で、銅含有表面層4がその上に形成される200mmSiウエハである。成長中、ウエハの温度は約60℃である。本発明の更なる具体例では、基板1は、バルク銅基板であっても良い。
【0055】
本発明の具体例では、基板と銅含有層4との間に、任意的に保護層2および/またはバリア層3が存在しても良い。保護層2は、例えば、SiO2層であり、例えば500nmの膜厚を有する。バリア層3は、例えば、TaN、TiN、TaN/TiN、またはSiC層であり、膜厚は、例えば10nmと20nmの間の範囲であることが好ましい。バリア層3は、基板1中に銅が拡散するのを防止するために使用される。本発明の具体例では、図1に示すように、保護層2とバリア層3の双方が形成される。本発明の他の具体例では、保護層2またはバリア層3のいずれか一方のみが形成される。更に他の具体例では、それらの層2、3のいずれも形成されない。
【0056】
本発明の具体例にかかる方法は、第1工程として、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程、即ち例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層に変える工程を含む。そのようなハロゲン化銅化合物は、CuxClyやCuxBryでも良い。本発明の具体例では、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程は、銅含有表面層4の少なくとも一部を、例えばBCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスのようなガスを含むハロゲン含有ガスに晒して行っても良い。本発明の他の具体例では、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程は、銅含有表面層4の少なくとも一部を、ハロゲン含有プラズマに晒して行っても良い。ハロゲン含有プラズマは、反応性イオンエッチングチャンバ中で、BCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスを用いて形成される。銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン含有プラズマに晒す工程は、200ワットと1000ワットの間の電力で4mTorr(0.53Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力を有し、流速が50sccmと500sccmの間のハロゲン含有プラズマ、例えば600ワット、10mTorr(1.33Pa)のプラズマを用いて行われる。
【0057】
次の工程では、ハロゲン化銅表面層5の少なくとも一部、即ち例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のような、ハロゲン化銅化合物を含む表面層が、光子含有雰囲気6にハロゲン化銅表面層5を晒すことにより除去され、これにより、揮発性のハロゲン化銅生成物8の形成が始まる。本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程が、ハロゲン化銅表面層5をHe、Ar、またはH含有プラズマに晒して行っても良い。本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層5は、CuxClyを含み、光子含有プラズマ6は、Heプラズマでも良い。
【0058】
それらの具体例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程が、1000ワットの電力、30mTorr(4Pa)の圧力で、基板バイアス有りまたは基板バイアス無しで行われる。晒す時間は、除去される銅の量および/またはパターニングされる構造の寸法に依存する。本発明の他の具体例では、ハロゲン化銅表面層5がCuxBryを含み、光子含有プラズマ6が、Heプラズマを含んでも良い。この例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程は、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、基板バイアス無しで行われるのが好ましい。ここでも、晒す時間は、除去される銅の量および/またはパターニングされる構造の寸法に依存する。
【0059】
本発明の更なる具体例では、ハロゲン化銅表面層5は、CuxIyを含み、光子含有プラズマ6は、Heプラズマでも良い。この具体例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程は、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、基板バイアス無しで行われるのが好ましい。晒す時間は、除去される銅の量および/またはパターニングされる構造の寸法に依存する。
【0060】
ハロゲン化されたCu表面の光子誘起脱着のメカニズムは、表面分子で電子励起が形成されるように、プラズマからの光子が、ハロゲン化された銅の表面と相互作用することで起きていると思われる。これは、表面ボンドの破壊および/または励起した分子の表面からの反発を引き起こす。そのようなプロセスで、可能性のあるポテンシャルエネルギーのダイヤグラムを図2に示す。図2は、本発明の具体例にかかる光子誘起銅脱着を得るための、電子移動(DIET)メカニズムにより誘起された脱着を模式的に示す。
【0061】
図1の例では、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程と、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程が、同時に行われても良い。銅含有表面層4の少なくとも一部は、ハロゲン含有プラズマ(図1中に参照番号7の矢印で表示)に晒すことにより、ハロゲン化銅表面層5に変えても良い。ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に同時に晒すことにより、揮発性のハロゲン化銅生成物8の形成が始まる(参照番号9の矢印で表示)。ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す間に、揮発性のハロゲン化銅生成物8を反応チャンバから連続的に除去し(図1中に参照番号10の矢印で表示)、揮発性のハロゲン化銅生成物8が反応チャンバ中で飽和するのを防止し、それらのハロゲン化銅生成物8が基板1の上に再付着するのを防止する。
【0062】
本発明の具体例では、揮発性のハロゲン化銅生成物8の除去が、飽和レベルに到達しない。なぜならば、この場合、揮発性のハロゲン化銅生成物8は銅表面上で再堆積することができ、これは好ましくは避けなければならないからである。この反応チャンバ中で、揮発性のハロゲン化銅生成物の最大の許容できる濃度は、以下の式から求められる。
【0063】
S=Pa/Pe (1)
【0064】
ここで、Sは反応チャンバ中の気相の飽和度であり、Paは反応チャンバ中の揮発性のハロゲン化銅生成物8の分圧であり、Peは所定の圧力と温度における揮発性のハロゲン化銅生成物8の熱平衡分圧である。
【0065】
反応チャンバ中の揮発性のハロゲン化銅生成物8の分圧は、反応チャンバ中に導入されるガス流(例えばHeガス流)に影響される。以下の式(2)は、所定の圧力と温度における、反応チャンバ中における、導入ガス流の、ガスの実際の濃度に対する影響を示す。
【0066】
D=D0・(T/T0)・(P0/P) (2)
【0067】
ここで、D0、T0、P0は、それぞれ導入ガス(He)のガス流量、温度(25℃)、圧力(1気圧)であり、D、T、Pは、チャンバ中の実際の流量、温度、圧力である。基板1が低温に保持される場合、反応チャンバからの揮発性ハロゲン化銅生成物8の離脱に配慮しなければならない。これは、一般に、導入ガス流速が、排気流速と相対関係にあることを要求する。例えば、Heのための導入ガス流は、例えば標準の操作圧力(5mTorr(0.67Pa)から80mTorr(10.67Pa))において250sccmより高い。好適には、揮発性のハロゲン化銅生成物8は、排出口を経て反応チャンバから除去される。
【0068】
図3は、光子含有雰囲気6にハロゲン化銅表面層5を晒すより詳細な状態を、概略的に示す。このCuClの例では、晒すことにより揮発性のハロゲン化銅生成物8が形成され、これは、揮発性のハロゲン化銅生成物8の飽和より上の場合、基板1の上に再付着する(図3中に参照番号11の矢印で表示)。それゆえに、上述のように、本発明の具体例では、揮発性のハロゲン化銅生成物8が、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す間に反応チャンバから除去され、反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物8が飽和するのを防止する。
【0069】
本発明の具体例にかかる方法は、例えば、銅含有層のパターニングに使用できる。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイスの銅含有層中に、相互接続構造をパターニングするのに使用できる。
【0070】
図4A〜図4Fは、銅含有層の一部を除去(エッチング)するための、本発明の具体例にかかる方法を用いた銅含有層のパターニングする方法の異なった処理工程を示す。この例は説明のみを目的とし、本発明の限定を意図しないことを理解すべきである。他の具体例では、この方法は、更に、他の工程を含みまたは異なった一連の工程を含んでも良い。
【0071】
第1の工程では、基板1は、保護層2およびバリア層3を有しても良い。先の述べたように、基板1は適当な基板1である。保護層2は、例えばSiO2層でも良く、例えば500nmの膜厚を有する。バリア層3は、例えばTaN、TiN、TaN/TiN、又はSiC層でも良く、例えば10nmから20nmの範囲の膜厚を有する。保護層2やバリア層3の形成は任意的であることを注意すべきである。本発明の他の具体例では、保護層2およびバリア層3の一方のみが存在する。しかしながら、他の具体例では、保護層2およびバリア層3のいずれも存在しない。
【0072】
バリア層3の上に、銅含有表面層4が形成される(図4A参照)。銅含有表面層4は、例えばプラズマ気相成長(PVD)や電気化学成長(ECD)または無電解メッキのような公知の成長技術により形成される。銅含有表面層4は、例えば200nmと1000nmの間の膜厚を有することが好ましい。しかしながら、本発明の具体例では、銅含有表面層4は、また1000nmより大きな膜厚を有しても良い。銅含有表面層4の最初の膜厚、即ちパターニング前の銅含有表面層4の膜厚は、適用に依存する。例えば、銅含有層が、半導体デバイス中で、トレンチやビアのような相互接続構造を形成するためにパターニングされた場合、銅含有表面層4の膜厚は1nmと10000nmの間で良い。
【0073】
銅含有表面層4をパターニングするために、犠牲パターンが、銅含有表面層4の上に最初に形成されても良い。犠牲パターンは、銅含有表面層4を含む銅含有層の上に形成され、銅含有表面層4のある部分は露出し、銅含有表面層4の他の部分は犠牲パターンにより覆われても良い。それゆえに、犠牲層12は、例えば銅含有表面層4の上に形成され(図4B参照)、この犠牲層12中に孔または開口部13が形成され、寄生層パターン14を形成する(図4C参照)。
【0074】
これは、例えば、当業者に知られた例えばリソグラフィパターニングとエッチングの組み合わせのような、いずれかの適当な方法により行われる。犠牲層12は、例えば1またはそれ以上の感光性層(レジスト)、または感光性層(レジスト)とSiOxのような一般に使用されるハードマスクの組み合わせでも良い。本発明の具体例では、犠牲層14はダミーパターンでも良く、換言すれば銅のエッチング後に除去される犠牲パターンでも良い。代わりに、犠牲パターン14は後に除去されない永久パターンでも良い。永久パターンは、例えば次にバリア材料として使用される。
【0075】
図4Dに示される次の工程では、銅含有表面層4の被覆されていない部分がハロゲン化銅表面層5に、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のような、ハロゲン化銅化合物を含む表面層に変えられる(図5参照)。これらの変えられた部分は、次に光子含有雰囲気6に晒され、室温で揮発する、ハロゲン化銅化合物を形成する。この具体例では、これらの2つの工程が、同じ反応チャンバ中で同時に行われても良い。しかしながら、これは単に例であって、本発明のいかなる制限も意図しない。上述のように、これらの2つの工程は、連続して、および/または異なった反応チャンバ中で行われても良い。
【0076】
この具体例では、銅含有表面層4をハロゲン化銅表面層5に変える工程と、この変えられた部分を光子含有雰囲気6に晒す工程(図5参照)が、例えばHe、Ar、またはH2プラズマから形成される、光子誘起化合物がその中に存在する、例えば塩素または臭素含有雰囲気のようなハロゲン含有雰囲気(図5および図4D中に参照符号15で表示)にそれらの部分を晒して行われても良い。雰囲気15は、更に、不活性化合物および/または過弗化炭化水素ベースの化合物(例えばCF4)のような化合物を含み、図5に示すように、エッチング中に(例えば側壁および/または底部のパッシベーションのような)パッシベーション16を形成しても良い。
【0077】
本発明の具体例では、任意的に、ハロゲン含有雰囲気(プラズマ)に晒される前に、銅含有表面層4は最初に洗浄されて、ありそうな汚染物が除去されても良い。例えば、汚染物がCuOxの場合、H2またはN2プラズマを用いても良い。
【0078】
ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す間のガス圧は重要なパラメータである。図6は、ハロゲン化銅表面層を晒す間の、Heガスのガス圧を示す。固定された、500sccmのHeの流れに対してHeガス圧を調整することにより、除去(エッチング)速度が増加する。より低いHeガス圧(80mTorr(10.67Pa)Heから20mTorr(2.66Pa)の範囲(図6の左側の3つの棒グラフ参照))では、より効果的な、ハロゲン化銅生成物8の除去(エッチング)が可能であり、図6では銅の重量減として示されている。しかしながら、例えば5mTorr(0.67Pa)以下のような低すぎるガス圧では、ハロゲン化銅生成物8の効果的な除去が得られなくなる。この低いガス圧により、多分、遷移流レジームから分子流レジームに変化し、およびHeプラズマの強度が低くなるためであると考えられる。同じ目的で使用するために、He含有ガスとAr含有ガスとを比較した場合、Ar含有ガスの方がHe含有ガスに比較して、同じ圧力では効果が低いことが分かる(図6の右側の棒グラフ参照)。
【0079】
このように、本発明の具体例では、ハロゲン化銅生成物の分圧の良好な制御とともに、(または換言すれば、これと組み合わせて)プラズマの種類、強度、および/または電力、特にプラズマ中の光子の強度を制御することにより、銅含有表面層からの銅の効果的な除去(エッチング)を得ることができる。プラズマの状態は、更にエッチングされる銅含有表面層の表面領域に依存する。
【0080】
図4Eは、本発明の具体例にかかる方法を用いて銅含有表面層4をエッチングした後に得られる銅含有構造17を示す。それらの銅含有構造17は、例えば、半導体デバイスのバックエンドオブライン(BEOL)処理で、相互接続構造を形成するために使用される。
【0081】
最後の工程で、犠牲パターン14が除去される(図14参照)。犠牲パターン14の除去は、当業者に知られた適当な技術により行うことができる。上述のように、本発明の他の具体例では、犠牲パターン14は除去されない。これらの具体例では、パターン14は、例えばバリア層を形成する。
【0082】
銅含有層をエッチングまたはパターニングするための上述の方法は、例えばLam Versys 2300ジェネレーションエッチチャンバ(ICPプラズマエッチャー)で行われる。本発明の具体例では、本発明の方法を用いて銅を除去するためには、プラズマチャンバ中の圧力は、5mTorr(0.67Pa)と80mTorr(10.67Pa)の範囲であることが好ましい。
【0083】
本発明のデバイスについて、材料と同様に、好適な具体例、特定の構造や配置について、ここで議論したが、形状や細部の多くの変化や変形は、添付された請求の範囲により規定されるこの発明の範囲から離れることなく行えることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
全ての図面は、本発明のいくつかの形態および具体例を示すことを意図する。図面は明確化のために単純な方法で記載される。全ての代替えや選択肢が示されるものではなく、それゆえに本発明はこれらの図面に内容に限定されるものではない。異なった図面において、同一の数字は、同一の部分を表すのに用いられる。
【0085】
【図1】本発明の具体例にかかる方法の原理を示す。
【図2】本発明の具体例にかかる光子誘起銅成長を達成するための、電子移動(DIET)メカニズムにより誘起された脱着を模式的に示す。
【図3】揮発性のハロゲン化銅生成物の形成と、そのようなハロゲン化銅生成物の基板上への再付着の可能性を示す。
【図4A】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4B】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4C】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4D】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4E】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4F】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図5】本発明の具体例にかかる方法の使用中の、トレンチのパッシベーションを示す。
【図6】プラズマチャンバ中のHe分圧を関数と場合の、ハロゲン含有プラズマにCuxCly層を晒す間のウエハの損失(CuxClyの蒸発によるCuxClyの損失)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板からの銅の除去またはエッチングに関する。特に、本発明は、光子含有雰囲気を用いて、少なくとも銅含有表面層を含む基板からの銅の除去またはエッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理の分野で、一般に、ダマシンプロセスが、銅ベースの相互接続の形成に使用される。ダマシンプロセスでは、低誘電率材料中にトレンチが形成され、それらのトレインは、続いて埋められ、銅の相互接続が形成される。しかしながら、今日、特徴的なサイズは更に小さくなり、これによりこの方法は更に困難になってくる。
【0003】
第1に、low−k(低誘電率)材料のエッチングに関する問題がある。エッチング中に、そのような材料はダメージを受け、材料のk値が増加する。これは、low−kダメージとも呼ばれる。これはエッチングプロセス後のフォトレジストの除去にも適用されるが、low−kダメージが生じることが知られている。ダマシンプロセスによれば、エッチングプロセスに続いて、トレンチがバリア層に覆われ銅で充填される。この充填手続は、トレンチの完全な充填にはボトムアップ充填が必要とされる点、および低抵抗や最適な電気マイグレーション特性を得るには大きな粒が必要となる点で困難を有する。更なる問題は、銅の化学機械研磨(CMP)は、当業者に知られた本質的な問題を有することである。
【0004】
ダマシンプロセスの代わりは、アルミニウムを相互接続材料に使用するための、以前に使用された古典的な経路である。このプロセスを銅の相互接続の形成に使用した場合、銅の膜をパターニングする必要がある。この場合、low−k材料はエッチングする必要が無く、銅は平坦化する必要が無いため、銅のドライエッチングはそれらの問題を回避できるかもしれない。更に、エッチングされた銅の線は、ダマシンプロセスを用いて開発されたものに比較して、低い抵抗を有し改良された電気マイグレーション抵抗を有する。これは主に銅の結晶粒成長が、平坦な表面上に堆積された場合に、ダマシンアプローチの狭いトレンチ中のように妨害されないためである。結果のより大きな粒径は、粒界における電子の散乱を減らすことができる。
【0005】
上述のように、銅層のドライエッチングの可能性を探る必要がある。これまで、塩化銅(CuxCly)や臭化銅(CuxBry)の揮発物を形成するために200℃までの高温が必要であったため、銅のドライエッチングは非常の困難であった。そのような高温で、ナノメータの寸法のナノ構造の異方性エッチングを実現することは不可能である。高温エッチングを避けるために、従来技術において試みられているが、最初に、低温(60℃)でCl2やHBrプラズマに晒してハロゲン化銅(CuxClyおよび/またはCuxBry)と呼ばれるハロゲン化された銅に変えられる[Kuo et al., Applied Physics Letters, Vol. 78, NO.7, 2001]。
【0006】
次の工程では、ハロゲン化銅がウェット除去工程(例えば5%HCl溶液)を用いて除去される。しかしながら、この低温法は、ナノメータの寸法を有するパターン構造には適さず、十分に正確ではなかった。銅をCuxClyおよび/またはCuxBryの変えることは、非常に速く起こり、CuxClyおよび/またはCuxBryの薄層が形成される。更に、銅は、CuxClyおよび/またはCuxBryを通って非常に速く拡散し、異方性エッチングが不可能となる。文献(米国特許5,221,426)に記載された他のアプローチでは、パワーレーザービームを用いた銅のエッチングにより、銅種が部分的に蒸発する。しかしながら、この方法でも、望まない熱が発生する。
【特許文献1】米国特許5,221,426
【非特許文献1】Applied Physics Letters, Vol. 78, No.7, 2001
【発明の開示】
【0007】
本発明の具体例の目的は、少なくとも銅含有表面層を含む基板から、銅含有層の少なくとも一部を除去する方法を提供することである。
【0008】
上記目的は、本発明の具体例にかかる方法で達成される。
【0009】
第1の形態では、本発明は、少なくとも銅含有表面層を含む基板から、銅含有層の少なくとも一部を除去する方法を提供する。この方法は、
第1反応チャンバ中で、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層に変える工程と、
第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気に晒して、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去して、揮発性のハロゲン化銅生成物の形成を始める工程と、
光子含有雰囲気に晒す間、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避ける工程とを含む。
【0010】
本発明の具体例では、第1および第2の反応チャンバは同じでも良い。本発明の他の具体例では、第1および第2の反応チャンバは異なっても良い。
【0011】
本発明の具体例にかかる方法は、銅含有層のパターニングに使用される。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイス中に、銅含有相互接続構造を形成するために使用される。
【0012】
本発明の具体例では、銅含有層は、10原子%と100原子%の間の銅を含む層を言う。本発明の具体例では、銅含有層は、少なくとも10原子%と50原子%の間の銅を含む層を言う。
【0013】
反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去するのは、反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避けるためである。換言すれば、本発明の具体例のハロゲン化生成物の分圧は、飽和に達しないということである。表面からハロゲン化銅生成物の蒸発を開始するための、プラズマ強度は、mW/cm2のレンジである。プラズマ強度は、供給される電力と圧力により調整できる。ハロゲン化銅の蒸発は、300ワットと1000ワットの間の電力と、5mTorr(0.67Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力を有するHe、Ar、又はH含有プラズマを用いて、既に行うことが可能である。
【0014】
本発明の具体例にかかる方法の利点は、光誘起反応を用いること、それが低温で行われることである。本発明の具体例にかかる方法の利点は、銅層の少なくとも一部を除去するために、例えば150℃より高いような高温を必要としないことである。本発明の具体例にかかる方法は、20℃と80℃の間の温度で行うことができる。
【0015】
本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層に変える工程が、銅含有表面層の少なくとも一部を、例えばBCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスのようなハロゲン含有ガスに晒して行われる。
【0016】
本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層に変える工程が、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン含有プラズマに晒して行われる。ハロゲン含有プラズマは、例えばBr、I、および/またはCl含有プラズマでも良い。ハロゲン含有プラズマは、例えばBCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスを用いた反応性イオンエッチングチャンバ中で形成されても良い。
【0017】
銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン含有プラズマに晒す工程は、200ワットと1000ワットの間の電力、4mTorr(0.53Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力、および50sccmと500sccmの間の流速のハロゲン含有プラズマを用いて行われても良く、例えば600ワットの電力で、10mTorr(1.33Pa)の圧力のプラズマが用いられる。
【0018】
本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、ハロゲン化銅表面層をHe、Ar、またはH含有プラズマに晒して行われても良い。
【0019】
本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層がCuxClyを含み、光子含有プラズマがHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、1000ワットの電力、30mTorr(4Pa)の圧力で、基板バイアスの使用有りまたは無しで行われても良い。晒す時間は、除去される銅の量(またはパターニングされる構造の寸法)に依存する。
【0020】
本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層がCuxBryを含み、光子含有プラズマがHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、好ましくは基板バイアス無しで行われても良い。晒す時間は、除去される銅の量(またはパターニングされる構造の寸法)に依存する。
【0021】
本発明の更なる具体例では、
ハロゲン化銅表面層がCuxIyを含み、光子含有プラズマがHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程が、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、好ましくは基板バイアス無しで行われても良い。晒す時間は、除去される銅の量(またはパターニングされる構造の寸法)に依存する。
【0022】
本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層に変える、ハロゲン化とも呼ばれる工程と、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒す工程とが、同じ反応チャンバ内で同時に行われても良い。例えば、同時の反応は、少なくともハロゲン化合物と、He、Ar、またはHプラズマから形成される光子誘起化合物とを含むプラズマがその中に存在する反応性イオンエッチングチャンバ内で行われても良い。この具体例では、プラズマは、主な化合物として、He、Ar、および/またはH(90%以上)を含み、更にハロゲン化合物を含んでも良い。プラズマ中のハロゲン化合物(例えばCl、Br、および/またはIラジカルおよびイオン)の量は、全プラズマ成分の数パーセントの範囲でも良い。プラズマは、更に、基板からの銅の除去に対するパッシベーション(例えば側壁パッシベーション)を得るために、不活性化合物、および/または過弗化炭化水素ベースの化合物(例えばCF4から形成される)を含んでも良い。
【0023】
この方法は、少なくとも銅含有表面層を含む基板を提供する工程を含んでも良い。そのような基板を提供する工程は、
基板を提供する工程と、
基板の上に銅含有表面層を形成する工程と、により行われても良い。
【0024】
本発明の具体例では、基板の上に銅含有表面層を形成する工程は、例えば、電気化学メッキ(ECP)または物理気相成長(PVD)により行われても良い。銅を再結晶させて大きな結晶粒を得るために、追加のアニール工程が形成された銅層に対して行われても良い。
【0025】
最初に銅含有層を形成し、次に銅含有層に相互接続構造をエッチングする利点は、ダマシン技術を用いて得られた銅の相互接続構造に比較して、銅の相互接続構造がずっと大きな粒を有し、それゆえに少ない結晶粒界を有することである。
【0026】
本発明の具体例では、この方法は、銅含有表面層を形成する前に、更に、保護層、および/またはバリア層を基板上に形成する工程を含んでも良い。バリア層は、銅が基板中に拡散するのを防止するために使用される。
【0027】
本発明の具体例では、この方法は、保護層またはバリア層の一つを形成する工程を含む。本発明の他の具体例では、この方法は、保護層とバリア層の双方を形成する工程を含む。
【0028】
この方法は、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える前に、更に、銅含有表面層の上にリソグラフィックパターンを形成する工程を含んでも良い。
【0029】
銅含有表面層の上にパターンを形成する工程は、
銅含有表面層の上に、例えば感光性リソグラフィック層(例えばレジスト)のような材料の層を形成する工程と、
リソグラフィックパターニングにより感光性材料の層をパターニングし、層の中に少なくとも1つの孔を形成する工程とで行われても良い。
【0030】
本発明の具体例では、この方法は、銅含有表面層の上にパターンを形成し、銅含有表面層の少なくとも一部を除去した後に、更に、感光性の層を除去する工程を含んでも良い。
【0031】
この方法は、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える前に、更に、基板を洗浄する工程を含んでも良い。洗浄工程は、例えばH2またはN2プラズマを用いて行われることが好ましい。
【0032】
他の形態では、本発明は、銅含有層をパターニングするための本発明の具体例にかかる方法の使用を提供する。本発明の具体例では、銅層のパターニング工程は、銅層中に相互接続構造を形成するために使用され、相互作用構造は、トレンチまたはビアのいずれかでも良い。相互接続構造をパターニングした後、誘電体層が、相互接続構造の上に形成されても良い。
【0033】
本発明の特別の、好適な形態は、添付の独立請求項および従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、必要に応じて、独立請求項の特徴と組み合わせても、他の従属請求項の特徴と組み合わせても良く、単に請求項に表されたままでは無い。
【0034】
この分野において、デバイスの一定の改良、変化および進歩があっても、本発明のコンセプトは本質的に新しく、新規な改良を表すものであり、従来の実施から出発を含み、より効果的で、安定した、信頼性のある、この性質のデバイスを提供できる。
【0035】
本発明の、上述のおよび他の特徴、性質、および長所は、本発明の原理を、例として表した添付の図面とともに、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は例示のみを目的とし、発明の範囲を限定するものではない。以下で引用される参照符号は、添付図面についてのものである。
【具体例の記載】
【0036】
本発明は、特定の具体例について、添付図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定されるものである。記載された図面は、単に概略であり、限定するものではない。図面において、図示目的で、いくつかの要素の大きさは拡張され、縮尺通りに記載されていない。寸法と相対寸法は、本発明の実施の実際の縮小には対応していない。
【0037】
更に、記載や請求の範囲中の、「上」の用語等は、記載目的のために使用され、相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明の具体例は、ここに記載や図示されたものと異なる位置でも操作できることを理解すべきである。
【0038】
請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に示される要素に限定して解釈されること排除するものであり、他の要素や工程を排除しない。このように、言及された特徴、数字、工程、または成分は、その通りに解釈され、1またはそれ以上の他の特徴、数字、工程、または成分、またはこれらの組み合わせの存在または追加を排除してはならない。このように、「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。本発明では、単にデバイスに関連した構成要素がAとBであることを意味する。
【0039】
この明細書を通じて参照される「一の具体例(one embodiment)」または「ある具体例(an embodiment)」は、この具体例に関係して記載された特定の長所、構造、または特徴は、本発明の少なくとも1つの具体例に含まれることを意味する。このように、この明細書を通して多くの場所の「一の具体例(one embodiment)」または「ある具体例(an embodiment)」の語句の表現は、同じ具体例を表す必要はなく、表しても構わない。更に、特定の長所、構造、または特徴は、この記載から当業者に明らかなように、1またはそれ以上の具体例中で適当な方法で組み合わせることができる。
【0040】
同様に、本発明の例示の記載中において、能率的に開示し、多くの発明の形態の1またはそれ以上の理解を助ける目的で、本発明の多くの長所は、時には1つの具体例、図面、またはその記載中にまとめられることを認識すべきである。しかしながら、この開示の方法は、請求される発明がそれぞれの請求項に記載されたものより多くの特徴を必要とすることを意図して表されていると解釈すべきではない。むしろ、以下の請求項が表すように、発明の態様は、1つの記載された具体例の全ての長所より少なくなる。このように詳細な説明に続く請求の範囲は、これにより詳細な説明中に明確に含まれ、それぞれの請求項は、この発明の別々の具体例としてそれ自身で成立する。
【0041】
更に、ここで記載された幾つかの具体例は幾つかの特徴で、他の具体例に含まれる以外の特徴を含み、異なった具体例の長所の組み合わせは、本発明の範囲に入ることを意味し、当業者に理解されるように異なった具体例を形成する。例えば、以下の請求の範囲では、請求された具体例のいくつかは、他の組み合わせにおいても使用することができる。
【0042】
ここで与えられる記載において、多くの特別な細部が示される。しかしながら、本発明の具体例はそれらの特別な細部無しに実施できることを理解すべきである。他の例では、公知の方法、構造、および技術は、この記載の理解をわかりにくくしないために、詳細には示されていない。
【0043】
以下の用語は本発明の理解を助けるためにのみ提供される。
【0044】
請求項や説明で使用される「パターン」の用語は、ウエハ基板のような基板の上に形成された層の中の構造(例えば、ビア、トレンチ)を規定するために使用される。リソグラフィ技術(フォトリソグラフィおよび電子ビームリソグラフィ)およびエッチング技術(例えば反応性イオンエッチング(RIE))の組み合わせとして当業者に知られたパターニングツールを用いて、パターンは、ウエハ基板の上に形成される。
【0045】
本発明は、本発明の多くの具体例の詳細な説明により記載される。添付の請求項により規定された本発明の真実の精神または技術的な示唆から離れることなく、当業者の知識に従って、本発明の具体例が形成できることは明らかである。
【0046】
本発明は、基板から銅含有層の少なくとも一部を除去する方法を提供するものであり、この基板は少なくとも銅含有表面層を含む。この方法は、
第1反応チャンバ中で、銅含有表面層の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層に変える工程と、
第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気に晒すことにより、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去して、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層の少なくとも一部を除去し、これにより揮発性のハロゲン化銅生成物の形成を始める工程と、
光子含有雰囲気に晒す間、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避け、これにより基板上への揮発性のハロゲン化銅生成物の再付着を防止する工程とを含む。
【0047】
本発明の具体例では、第1および第2の反応チャンバは同じでも良い。換言すれば、本発明の具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去する工程が、同じ反応チャンバで行われても良い。これらの具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去する工程が、同じ工程または一連の工程で行われても良い。本発明の他の具体例では、第1と第2の反応チャンバが異なっても良い。換言すれば、これらの具体例では、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層の少なくとも一部を除去する工程が、異なった反応チャンバ中で行われても良い。
【0048】
本発明の具体例では、銅含有層は、10原子%と100原子%の間の銅を含む層をいう。本発明の具体例では、銅含有層は、少なくとも10原子%と50原子%の間の銅を含む層でも良い。
【0049】
反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物を除去する工程は、反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物の飽和を避けるためである。換言すれば、本発明の具体例では、ハロゲン化された生成物の分圧が、飽和に達しない。表面からハロゲン化銅の蒸発を始めるためのプラズマ強度は、mW/cm2のレンジである。プラズマ強度は、供給される電力と圧力により調整できる。ハロゲン化銅の蒸発は、300ワットと1000ワットの間の電力と、5mTorr(0.67Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力を有するHe、Ar、又はH含有プラズマを用いて、既に行うことが可能である(後述)。
【0050】
本発明の具体例にかかる方法の利点は、ハロゲン化銅表面層のハロゲン化銅化合物を除去するために、換言すれば揮発性のハロゲン化銅生成物を形成するために、例えば150℃より高いような高温が必要とされないことである。
【0051】
本発明の具体例にかかる方法は、銅含有層のパターニングに使用しても良い。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイス中の、銅含有相互接続構造を形成するために使用することができる。
【0052】
本発明の具体例では、上述のように、銅含有表面層の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層に変える工程と、ハロゲン化銅表面層を光子含有雰囲気に晒して揮発性のハロゲン化銅生成物の形成を始める工程とは、例えば反応性イオンエッチングチャンバ中のような、同じ反応チャンバ中で同時に行われても良い。同時の反応は、反応性イオンエッチングチャンバで行われ、このチャンバ中では、プラズマは、少なくとも、銅をハロゲン化銅化合物に変えるためのハロゲン化合物と、例えばHe、Ar又はH2プラズマから形成されハロゲン化銅化合物を蒸発させる光子含有化合物とを含む。プラズマは、更に、エッチング中のパッシベーション(例えば側壁のパッシベーション)を得るために、不活性化合物および/または弗化炭素ベースの化合物(例えばCF4)を含んでも良い。
【0053】
以下の説明では、基板からの銅の除去は、銅含有表面層のエッチングとして述べられる。
【0054】
図1は、少なくとも銅含有表面層4を含む基板である基板1の上の銅含有層から銅を除去する方法を示す。本発明の具体例では、基板1はいずれの適当な基板でも良い。本発明の具体例では、「基板」の用語は、下層の材料、または使用され、またはデバイス、回路、またはエピタキシャル層がその上に形成される材料を含んでも良い。他の代わりの具体例では、この「基板」はドープされたシリコン、ガリウムアーセナイド(GaAs)、ガリウムアーセナイドフォスファイド(GaAsP)、インジウムフォスファイド(InP)、ゲルマニウム(Ge)、またはシリコンゲルマニウム(SiGe)基板を含む。「基板」は、半導体基板部分に加えて、例えばSiO2またはSi3N4層のような絶縁層を含んでも良い。「基板」の用語は、またシリコン・オン・ガラス基板、シリコン・オン・サファイア基板を含む。「基板」の用語は、一般には、関心のある層や部分の下にある層の要素を規定するのに使用される。また、「基板」は、例えばガラスや銅層のような、その上に層が形成されるベースであっても良い。本発明の具体例で使用される適当な基板1の例は、Siウエハである。基板1は、例えば、電気化学成長で、銅含有表面層4がその上に形成される200mmSiウエハである。成長中、ウエハの温度は約60℃である。本発明の更なる具体例では、基板1は、バルク銅基板であっても良い。
【0055】
本発明の具体例では、基板と銅含有層4との間に、任意的に保護層2および/またはバリア層3が存在しても良い。保護層2は、例えば、SiO2層であり、例えば500nmの膜厚を有する。バリア層3は、例えば、TaN、TiN、TaN/TiN、またはSiC層であり、膜厚は、例えば10nmと20nmの間の範囲であることが好ましい。バリア層3は、基板1中に銅が拡散するのを防止するために使用される。本発明の具体例では、図1に示すように、保護層2とバリア層3の双方が形成される。本発明の他の具体例では、保護層2またはバリア層3のいずれか一方のみが形成される。更に他の具体例では、それらの層2、3のいずれも形成されない。
【0056】
本発明の具体例にかかる方法は、第1工程として、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程、即ち例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のようなハロゲン化銅化合物を含む表面層に変える工程を含む。そのようなハロゲン化銅化合物は、CuxClyやCuxBryでも良い。本発明の具体例では、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程は、銅含有表面層4の少なくとも一部を、例えばBCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスのようなガスを含むハロゲン含有ガスに晒して行っても良い。本発明の他の具体例では、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程は、銅含有表面層4の少なくとも一部を、ハロゲン含有プラズマに晒して行っても良い。ハロゲン含有プラズマは、反応性イオンエッチングチャンバ中で、BCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスを用いて形成される。銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン含有プラズマに晒す工程は、200ワットと1000ワットの間の電力で4mTorr(0.53Pa)と80mTorr(10.67Pa)の間の圧力を有し、流速が50sccmと500sccmの間のハロゲン含有プラズマ、例えば600ワット、10mTorr(1.33Pa)のプラズマを用いて行われる。
【0057】
次の工程では、ハロゲン化銅表面層5の少なくとも一部、即ち例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のような、ハロゲン化銅化合物を含む表面層が、光子含有雰囲気6にハロゲン化銅表面層5を晒すことにより除去され、これにより、揮発性のハロゲン化銅生成物8の形成が始まる。本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程が、ハロゲン化銅表面層5をHe、Ar、またはH含有プラズマに晒して行っても良い。本発明の具体例では、ハロゲン化銅表面層5は、CuxClyを含み、光子含有プラズマ6は、Heプラズマでも良い。
【0058】
それらの具体例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程が、1000ワットの電力、30mTorr(4Pa)の圧力で、基板バイアス有りまたは基板バイアス無しで行われる。晒す時間は、除去される銅の量および/またはパターニングされる構造の寸法に依存する。本発明の他の具体例では、ハロゲン化銅表面層5がCuxBryを含み、光子含有プラズマ6が、Heプラズマを含んでも良い。この例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程は、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、基板バイアス無しで行われるのが好ましい。ここでも、晒す時間は、除去される銅の量および/またはパターニングされる構造の寸法に依存する。
【0059】
本発明の更なる具体例では、ハロゲン化銅表面層5は、CuxIyを含み、光子含有プラズマ6は、Heプラズマでも良い。この具体例では、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程は、1000ワットの電力、80mTorr(10.67Pa)の圧力で、基板バイアス無しで行われるのが好ましい。晒す時間は、除去される銅の量および/またはパターニングされる構造の寸法に依存する。
【0060】
ハロゲン化されたCu表面の光子誘起脱着のメカニズムは、表面分子で電子励起が形成されるように、プラズマからの光子が、ハロゲン化された銅の表面と相互作用することで起きていると思われる。これは、表面ボンドの破壊および/または励起した分子の表面からの反発を引き起こす。そのようなプロセスで、可能性のあるポテンシャルエネルギーのダイヤグラムを図2に示す。図2は、本発明の具体例にかかる光子誘起銅脱着を得るための、電子移動(DIET)メカニズムにより誘起された脱着を模式的に示す。
【0061】
図1の例では、銅含有表面層4の少なくとも一部をハロゲン化銅表面層5に変える工程と、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す工程が、同時に行われても良い。銅含有表面層4の少なくとも一部は、ハロゲン含有プラズマ(図1中に参照番号7の矢印で表示)に晒すことにより、ハロゲン化銅表面層5に変えても良い。ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に同時に晒すことにより、揮発性のハロゲン化銅生成物8の形成が始まる(参照番号9の矢印で表示)。ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す間に、揮発性のハロゲン化銅生成物8を反応チャンバから連続的に除去し(図1中に参照番号10の矢印で表示)、揮発性のハロゲン化銅生成物8が反応チャンバ中で飽和するのを防止し、それらのハロゲン化銅生成物8が基板1の上に再付着するのを防止する。
【0062】
本発明の具体例では、揮発性のハロゲン化銅生成物8の除去が、飽和レベルに到達しない。なぜならば、この場合、揮発性のハロゲン化銅生成物8は銅表面上で再堆積することができ、これは好ましくは避けなければならないからである。この反応チャンバ中で、揮発性のハロゲン化銅生成物の最大の許容できる濃度は、以下の式から求められる。
【0063】
S=Pa/Pe (1)
【0064】
ここで、Sは反応チャンバ中の気相の飽和度であり、Paは反応チャンバ中の揮発性のハロゲン化銅生成物8の分圧であり、Peは所定の圧力と温度における揮発性のハロゲン化銅生成物8の熱平衡分圧である。
【0065】
反応チャンバ中の揮発性のハロゲン化銅生成物8の分圧は、反応チャンバ中に導入されるガス流(例えばHeガス流)に影響される。以下の式(2)は、所定の圧力と温度における、反応チャンバ中における、導入ガス流の、ガスの実際の濃度に対する影響を示す。
【0066】
D=D0・(T/T0)・(P0/P) (2)
【0067】
ここで、D0、T0、P0は、それぞれ導入ガス(He)のガス流量、温度(25℃)、圧力(1気圧)であり、D、T、Pは、チャンバ中の実際の流量、温度、圧力である。基板1が低温に保持される場合、反応チャンバからの揮発性ハロゲン化銅生成物8の離脱に配慮しなければならない。これは、一般に、導入ガス流速が、排気流速と相対関係にあることを要求する。例えば、Heのための導入ガス流は、例えば標準の操作圧力(5mTorr(0.67Pa)から80mTorr(10.67Pa))において250sccmより高い。好適には、揮発性のハロゲン化銅生成物8は、排出口を経て反応チャンバから除去される。
【0068】
図3は、光子含有雰囲気6にハロゲン化銅表面層5を晒すより詳細な状態を、概略的に示す。このCuClの例では、晒すことにより揮発性のハロゲン化銅生成物8が形成され、これは、揮発性のハロゲン化銅生成物8の飽和より上の場合、基板1の上に再付着する(図3中に参照番号11の矢印で表示)。それゆえに、上述のように、本発明の具体例では、揮発性のハロゲン化銅生成物8が、ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す間に反応チャンバから除去され、反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物8が飽和するのを防止する。
【0069】
本発明の具体例にかかる方法は、例えば、銅含有層のパターニングに使用できる。例えば、本発明の具体例にかかる方法は、半導体デバイスの銅含有層中に、相互接続構造をパターニングするのに使用できる。
【0070】
図4A〜図4Fは、銅含有層の一部を除去(エッチング)するための、本発明の具体例にかかる方法を用いた銅含有層のパターニングする方法の異なった処理工程を示す。この例は説明のみを目的とし、本発明の限定を意図しないことを理解すべきである。他の具体例では、この方法は、更に、他の工程を含みまたは異なった一連の工程を含んでも良い。
【0071】
第1の工程では、基板1は、保護層2およびバリア層3を有しても良い。先の述べたように、基板1は適当な基板1である。保護層2は、例えばSiO2層でも良く、例えば500nmの膜厚を有する。バリア層3は、例えばTaN、TiN、TaN/TiN、又はSiC層でも良く、例えば10nmから20nmの範囲の膜厚を有する。保護層2やバリア層3の形成は任意的であることを注意すべきである。本発明の他の具体例では、保護層2およびバリア層3の一方のみが存在する。しかしながら、他の具体例では、保護層2およびバリア層3のいずれも存在しない。
【0072】
バリア層3の上に、銅含有表面層4が形成される(図4A参照)。銅含有表面層4は、例えばプラズマ気相成長(PVD)や電気化学成長(ECD)または無電解メッキのような公知の成長技術により形成される。銅含有表面層4は、例えば200nmと1000nmの間の膜厚を有することが好ましい。しかしながら、本発明の具体例では、銅含有表面層4は、また1000nmより大きな膜厚を有しても良い。銅含有表面層4の最初の膜厚、即ちパターニング前の銅含有表面層4の膜厚は、適用に依存する。例えば、銅含有層が、半導体デバイス中で、トレンチやビアのような相互接続構造を形成するためにパターニングされた場合、銅含有表面層4の膜厚は1nmと10000nmの間で良い。
【0073】
銅含有表面層4をパターニングするために、犠牲パターンが、銅含有表面層4の上に最初に形成されても良い。犠牲パターンは、銅含有表面層4を含む銅含有層の上に形成され、銅含有表面層4のある部分は露出し、銅含有表面層4の他の部分は犠牲パターンにより覆われても良い。それゆえに、犠牲層12は、例えば銅含有表面層4の上に形成され(図4B参照)、この犠牲層12中に孔または開口部13が形成され、寄生層パターン14を形成する(図4C参照)。
【0074】
これは、例えば、当業者に知られた例えばリソグラフィパターニングとエッチングの組み合わせのような、いずれかの適当な方法により行われる。犠牲層12は、例えば1またはそれ以上の感光性層(レジスト)、または感光性層(レジスト)とSiOxのような一般に使用されるハードマスクの組み合わせでも良い。本発明の具体例では、犠牲層14はダミーパターンでも良く、換言すれば銅のエッチング後に除去される犠牲パターンでも良い。代わりに、犠牲パターン14は後に除去されない永久パターンでも良い。永久パターンは、例えば次にバリア材料として使用される。
【0075】
図4Dに示される次の工程では、銅含有表面層4の被覆されていない部分がハロゲン化銅表面層5に、即ち、例えば弗化銅化合物とは異なるハロゲン化銅化合物のような、ハロゲン化銅化合物を含む表面層に変えられる(図5参照)。これらの変えられた部分は、次に光子含有雰囲気6に晒され、室温で揮発する、ハロゲン化銅化合物を形成する。この具体例では、これらの2つの工程が、同じ反応チャンバ中で同時に行われても良い。しかしながら、これは単に例であって、本発明のいかなる制限も意図しない。上述のように、これらの2つの工程は、連続して、および/または異なった反応チャンバ中で行われても良い。
【0076】
この具体例では、銅含有表面層4をハロゲン化銅表面層5に変える工程と、この変えられた部分を光子含有雰囲気6に晒す工程(図5参照)が、例えばHe、Ar、またはH2プラズマから形成される、光子誘起化合物がその中に存在する、例えば塩素または臭素含有雰囲気のようなハロゲン含有雰囲気(図5および図4D中に参照符号15で表示)にそれらの部分を晒して行われても良い。雰囲気15は、更に、不活性化合物および/または過弗化炭化水素ベースの化合物(例えばCF4)のような化合物を含み、図5に示すように、エッチング中に(例えば側壁および/または底部のパッシベーションのような)パッシベーション16を形成しても良い。
【0077】
本発明の具体例では、任意的に、ハロゲン含有雰囲気(プラズマ)に晒される前に、銅含有表面層4は最初に洗浄されて、ありそうな汚染物が除去されても良い。例えば、汚染物がCuOxの場合、H2またはN2プラズマを用いても良い。
【0078】
ハロゲン化銅表面層5を光子含有雰囲気6に晒す間のガス圧は重要なパラメータである。図6は、ハロゲン化銅表面層を晒す間の、Heガスのガス圧を示す。固定された、500sccmのHeの流れに対してHeガス圧を調整することにより、除去(エッチング)速度が増加する。より低いHeガス圧(80mTorr(10.67Pa)Heから20mTorr(2.66Pa)の範囲(図6の左側の3つの棒グラフ参照))では、より効果的な、ハロゲン化銅生成物8の除去(エッチング)が可能であり、図6では銅の重量減として示されている。しかしながら、例えば5mTorr(0.67Pa)以下のような低すぎるガス圧では、ハロゲン化銅生成物8の効果的な除去が得られなくなる。この低いガス圧により、多分、遷移流レジームから分子流レジームに変化し、およびHeプラズマの強度が低くなるためであると考えられる。同じ目的で使用するために、He含有ガスとAr含有ガスとを比較した場合、Ar含有ガスの方がHe含有ガスに比較して、同じ圧力では効果が低いことが分かる(図6の右側の棒グラフ参照)。
【0079】
このように、本発明の具体例では、ハロゲン化銅生成物の分圧の良好な制御とともに、(または換言すれば、これと組み合わせて)プラズマの種類、強度、および/または電力、特にプラズマ中の光子の強度を制御することにより、銅含有表面層からの銅の効果的な除去(エッチング)を得ることができる。プラズマの状態は、更にエッチングされる銅含有表面層の表面領域に依存する。
【0080】
図4Eは、本発明の具体例にかかる方法を用いて銅含有表面層4をエッチングした後に得られる銅含有構造17を示す。それらの銅含有構造17は、例えば、半導体デバイスのバックエンドオブライン(BEOL)処理で、相互接続構造を形成するために使用される。
【0081】
最後の工程で、犠牲パターン14が除去される(図14参照)。犠牲パターン14の除去は、当業者に知られた適当な技術により行うことができる。上述のように、本発明の他の具体例では、犠牲パターン14は除去されない。これらの具体例では、パターン14は、例えばバリア層を形成する。
【0082】
銅含有層をエッチングまたはパターニングするための上述の方法は、例えばLam Versys 2300ジェネレーションエッチチャンバ(ICPプラズマエッチャー)で行われる。本発明の具体例では、本発明の方法を用いて銅を除去するためには、プラズマチャンバ中の圧力は、5mTorr(0.67Pa)と80mTorr(10.67Pa)の範囲であることが好ましい。
【0083】
本発明のデバイスについて、材料と同様に、好適な具体例、特定の構造や配置について、ここで議論したが、形状や細部の多くの変化や変形は、添付された請求の範囲により規定されるこの発明の範囲から離れることなく行えることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
全ての図面は、本発明のいくつかの形態および具体例を示すことを意図する。図面は明確化のために単純な方法で記載される。全ての代替えや選択肢が示されるものではなく、それゆえに本発明はこれらの図面に内容に限定されるものではない。異なった図面において、同一の数字は、同一の部分を表すのに用いられる。
【0085】
【図1】本発明の具体例にかかる方法の原理を示す。
【図2】本発明の具体例にかかる光子誘起銅成長を達成するための、電子移動(DIET)メカニズムにより誘起された脱着を模式的に示す。
【図3】揮発性のハロゲン化銅生成物の形成と、そのようなハロゲン化銅生成物の基板上への再付着の可能性を示す。
【図4A】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4B】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4C】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4D】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4E】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図4F】本発明の具体例にかかる方法の使用例を示す。
【図5】本発明の具体例にかかる方法の使用中の、トレンチのパッシベーションを示す。
【図6】プラズマチャンバ中のHe分圧を関数と場合の、ハロゲン含有プラズマにCuxCly層を晒す間のウエハの損失(CuxClyの蒸発によるCuxClyの損失)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも銅含有表面層(4)を含む基板(1)から銅含有層(4)の少なくとも一部を除去する方法であって、
第1反応チャンバ中で、銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程と、
第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気(6)に晒して、ハロゲン化銅表面層(5)の少なくとも一部を除去して、揮発性のハロゲン化銅生成物(8)の形成を始める工程と、
光子含有雰囲気(6)に晒す間、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物(8)を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物(8)の飽和を避ける工程とを含む製造方法。
【請求項2】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程が、銅含有表面層(4)の少なくとも一部をハロゲン含有ガスに晒して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程が、銅含有表面層(4)の少なくとも一部をハロゲン含有プラズマに晒して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン含有プラズマに晒す工程が、200ワットと1000ワットの間の電力、0.53Paと10.67Paの間の圧力、および50sccmと500sccmの間の流速で行われる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ハロゲン含有プラズマが、BCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスを含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、ハロゲン化銅表面層(5)をHe、Ar、またはH含有プラズマに晒して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ハロゲン化銅表面層(5)がCuxClyを含み、光子含有プラズマ(6)がHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、1000ワットの電力、30mTorrの圧力で行われる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ハロゲン化銅表面層(5)がCuxBryを含み、光子含有プラズマ(6)がHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、1000ワットの電力、80mTorrの圧力で行われる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程と、ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、同じ反応チャンバ内で同時に行われる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える前に、更に、銅含有表面層(4)の上にパターン(14)を形成する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
銅含有表面層(4)の上にパターン(14)を形成する工程が、
銅含有表面層(4)の上に感光性材料の層(12)を形成する工程と、
リソグラフィックパターニングにより感光性材料の層(12)をパターニングし、層(12)中に少なくとも1つの孔(13)を形成する工程とで行われる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
銅含有表面層(4)の上にパターン(14)を形成し、銅含有表面層(4)の少なくとも一部を除去した後に、更に、感光性材料を除去する工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える前に、更に、基板(1)を洗浄する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
銅含有層をパターニングするための請求項1に記載の方法の使用。
【請求項15】
半導体デバイスの銅含有層中に相互接続構造をパターニングするための請求項1に記載の方法の使用。
【請求項1】
少なくとも銅含有表面層(4)を含む基板(1)から銅含有層(4)の少なくとも一部を除去する方法であって、
第1反応チャンバ中で、銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程と、
第2反応チャンバ中で、光子含有雰囲気(6)に晒して、ハロゲン化銅表面層(5)の少なくとも一部を除去して、揮発性のハロゲン化銅生成物(8)の形成を始める工程と、
光子含有雰囲気(6)に晒す間、第2反応チャンバから揮発性のハロゲン化銅生成物(8)を除去し、第2反応チャンバ中で揮発性のハロゲン化銅生成物(8)の飽和を避ける工程とを含む製造方法。
【請求項2】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程が、銅含有表面層(4)の少なくとも一部をハロゲン含有ガスに晒して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程が、銅含有表面層(4)の少なくとも一部をハロゲン含有プラズマに晒して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン含有プラズマに晒す工程が、200ワットと1000ワットの間の電力、0.53Paと10.67Paの間の圧力、および50sccmと500sccmの間の流速で行われる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ハロゲン含有プラズマが、BCl3、HBr、Br2、Cl2、I2、HClおよび/またはHIガスを含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、ハロゲン化銅表面層(5)をHe、Ar、またはH含有プラズマに晒して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ハロゲン化銅表面層(5)がCuxClyを含み、光子含有プラズマ(6)がHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、1000ワットの電力、30mTorrの圧力で行われる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ハロゲン化銅表面層(5)がCuxBryを含み、光子含有プラズマ(6)がHeプラズマであり、ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、1000ワットの電力、80mTorrの圧力で行われる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える工程と、ハロゲン化銅表面層(5)を光子含有雰囲気(6)に晒す工程が、同じ反応チャンバ内で同時に行われる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える前に、更に、銅含有表面層(4)の上にパターン(14)を形成する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
銅含有表面層(4)の上にパターン(14)を形成する工程が、
銅含有表面層(4)の上に感光性材料の層(12)を形成する工程と、
リソグラフィックパターニングにより感光性材料の層(12)をパターニングし、層(12)中に少なくとも1つの孔(13)を形成する工程とで行われる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
銅含有表面層(4)の上にパターン(14)を形成し、銅含有表面層(4)の少なくとも一部を除去した後に、更に、感光性材料を除去する工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
銅含有表面層(4)の少なくとも一部を、ハロゲン化銅表面層(5)に変える前に、更に、基板(1)を洗浄する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
銅含有層をパターニングするための請求項1に記載の方法の使用。
【請求項15】
半導体デバイスの銅含有層中に相互接続構造をパターニングするための請求項1に記載の方法の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−169657(P2012−169657A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−103382(P2012−103382)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2008−175755(P2008−175755)の分割
【原出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【出願人】(599098493)カトリーケ・ウニフェルジテイト・ルーベン・カー・イュー・ルーベン・アール・アンド・ディ (83)
【氏名又は名称原語表記】Katholieke Universiteit Leuven,K.U.Leuven R&D
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103382(P2012−103382)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2008−175755(P2008−175755)の分割
【原出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【出願人】(599098493)カトリーケ・ウニフェルジテイト・ルーベン・カー・イュー・ルーベン・アール・アンド・ディ (83)
【氏名又は名称原語表記】Katholieke Universiteit Leuven,K.U.Leuven R&D
【Fターム(参考)】
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