説明

障害物検知システム

【課題】複数のレーダ装置を備えた車両において電波干渉が生じた場合、送信周波数等を変更して電波干渉を回避しなくてはならない。本発明は、各レーダ装置の送信周波数等の情報を共有化することにより、送信周波数等の変更後に、再び他レーダ装置との電波干渉を引き起こさないようなレーダ装置を提供する。
【解決手段】近接した複数のレーダ装置が、通信を介してお互いの変調態様情報を共有することにより、外界からの電波干渉時でも共有相手に対する電波干渉が発生しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波レーダを用いて車両周辺の障害物を検知するシステムに関する。ものであり、特に外界からの電波干渉を検出した場合の回避動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電波レーダは、送信電波がターゲットによって反射された電波を受信し、当該送信電波と受信電波に基づいてターゲットを検知する。従って電波レーダでは、他の電波レーダが自己と同一の周波数を使用している場合に、当該他のレーダの送信電波を受信してしまうと誤検知を引き起こす場合がある。この現象は電波干渉と呼ばれる。この電波干渉に対する対策方法として、電波干渉が発生したら送信電波の送信周波数を変更する方法がある
(特開平6‐160512号)がある。
【0003】
【特許文献1】特開平6−160512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、更に複数のレーダ装置が近接して存在する場合を想定していないので、電波干渉が発生して送信周波数を変更した結果、変更後の周波数がその他のレーダ装置と重複してしまい、再び電波干渉が発生する可能性が存在する。そしてこの可能性は、今後、レーダ装置を複数備えた車両が普及するに従って増加すると考えられる。
【0005】
本発明の目的は、外界からの電波干渉時に、その他の第三のレーダと電波干渉を生じることなく送信周波数の変更をすることができる障害物検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電波を送受信してターゲットを検出する電波レーダを複数備えた車両の障害物検知システムにおいて、当該複数のレーダ装置が、通信を介してお互いの変調態様情報を共有し、干渉を検出した場合は、共有している変調態様情報に基づいて、既知の他の電波レーダが使用している変調態様に干渉しないように変調態様を選択する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外界からの電波干渉時に、既知の他のレーダと電波干渉を生じることなく送信周波数の変更をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を、図面を参照しながら以下説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の実施例にかかる障害物検知システムのブロック図である。図1(a)は車両全体の電波レーダの配置例を示す図であり、図1(b)は各電波レーダの機能ブロックの構成例を示す図である。
【0010】
図1(a)に示すように、車両201には、車両周囲の各方向(前方、後方、側方、斜方等)に存在する障害物を検知するための電波レーダ8a〜8jが設けられている。これらの電波レーダの個数及び配置は障害物検知後に行う車両制御の内容によって適宜選択することができる。すなわち車間距離制御やブレーキ制御であれば前方、側方衝突時のエアバッグ展開制御であれば側方、追い越し車両警報や車線変更禁止制御などでは後方、後側方などに向けて電波レーダを設置する必要があり、車両に搭載する制御の組合せに応じて電波レーダの個数と配置、取り付け角度が決定される。
【0011】
このように複数の電波レーダを搭載した場合、各レーダの検知エリア9a〜9jが部分的に重複することが予想される。後述するように電波レーダは電波を送信して、その電波が障害物で反射された反射波を受信することにより障害物を検知する仕組みである。従って、同一周波数を用いる複数の電波レーダの検知エリアが重複していると、相互に相手が送信した電波を受信してしまい、検知結果が不正確になる場合がある。そこで、本実施例の電波レーダ8a〜8jは、少なくとも隣接する二つのレーダでは使用する周波数が異なる構成とする。このように構成することで複数の電波レーダを車両に搭載して、車両周囲の障害物を目的に応じて検知することが可能となる。
【0012】
一方、従来技術にも示したように、自車以外にも電波レーダを搭載した他の車両が存在する場合は、当該他車の送信電波を受信して電波干渉が生じる場合がある。このような場合に、従来技術では、自己の送信信号の周波数を変更して電波干渉を解消する構成としている。しかしながら、本実施例のように複数の電波レーダを搭載している場合には、変更後の周波数が自車に搭載されている別の電波レーダが使用中の周波数と干渉する場合がある。そこで、本実施例では、各電波レーダ8a〜8jを通信回線10に接続し、各電波レーダが使用中の周波数情報を相互に送信する。これにより、各レーダの使用周波数の情報を共有し、他の電波レーダが使用中の周波数を避けて送信周波数の変更をすることが可能となる。なお各レーダの使用周波数は、図1(a)に示すように周波数管理部8xを設けて管理する方式でも良いが、各レーダが使用周波数を送受信し、記憶して、自律的に自車両内での干渉を回避する構成としても良い。障害物検知システムの簡略化及び異なる車種への展開を考慮すると、レーダの配置や追加に柔軟に対応できる後者の方が望ましい。
【0013】
図1(b)は電波レーダ8a〜8jの機能ブロック図である。発振器22は変調態様制御部1が決定した送信周波数に従って電波を発振させ、この送信電波は送信アンテナ2から放射される。送信された電波は検出対象となるターゲット50に反射され、受信アンテナ3により受信される。受信された受信電波はミキサ23に入力され、送信電波との差である中間周波数信号が算出される。受信信号にはターゲット50の位置やレーダ装置8に対する相対速度などに起因するドップラーシフトが発生しているため、中間周波数信号を求めることにより、ターゲットの位置や相対速度を表す信号を抽出できる。算出された中間周波数信号はゲイン調整等を行うアナログ信号処理部24を経由して、アナログ/デジタル変換器(A/D変換器)25に入力される。A/D変換器25でデジタル信号に変換された中間周波数信号には、FFT処理部26において高速フーリエ変換(FFT:FastFourier Transform)が施され、ターゲット50をあらわすピーク(周波数)が抽出される。このようにして電波式レーダ装置ではターゲットの検出を行う。なおレーダ装置8では、検知対象によってFMCWや2周波CWなど各種の変調方式を用いることができ、変調態様制御部1は予め定めた変調方式に従って、送信電波の周波数を時間変化させる。具体的には、送信電波の周波数を三角波状に上下させたり、わずかに異なる二つの周波数を時分割で切り換えたりする。いずれの変調方式を取るかによって、ドップラー周波数があらわす物理的意義がターゲットとの距離になったり、相対速度になったりするので、レーダ装置8の使用用途に応じて適宜変調方式を選択する。
【0014】
なお、車両用の電波レーダが使用できる周波数帯は各国の法制度により指定されており、干渉を回避する際には、その定められた範囲で周波数を変更する必要がある。この範囲は76GHz、60GHz、24GHzなど比較的狭い範囲となっている。また電波レーダでは先述のようにFMCW(三角波)や2周波CW(二周波時分割)などの変調を行うため、使用周波数とは単一の周波数ではなく、指定した中心周波数の上下に幅を持つ必要がある。このため、多数の車両が複数のレーダを搭載した場合に干渉を防止するのに十分な使用周波数を用意することはできず、限られた使用周波数を融通して使用する必要がある。そこで、本実施例は以下の構成をとる。
【0015】
変調態様記録手段7には、レーダ装置が利用することのできる送信周波数の設定値が複数個記録されており、その中から一つの送信周波数が、変調態様選択手段5によって乱数的に選択される。そして、変調態様制御手段1では、選択された送信周波数になるように変調信号が生成される、この変調信号に応じて送信アンテナ2から電波が送信される。ターゲットからの反射波は受信アンテナ3によって受信され、干渉検出手段4によって電波干渉が発生しているかどうかを判断する。電波干渉を検出する方法としては、図8に示すように受信信号のFFT解析を行い、正常時に対する波形の上昇量をチェックすることにより判断する。
【0016】
一方、変調態様情報通信手段6では、選択している送信周波数値を他レーダ装置に出力したり、他レーダ装置が選択した送信周波数値を受信する。図7は一般に利用されている通信手段を示したものであるが、同一車内のレーダ装置間の通信はCAN通信、車を超えた通信は車々間通信や路車間通信を適用することが可能である。
【0017】
よって、図2のように近接した領域内に複数のレーダ装置が存在する場合を考えると、前記変調態様情報通信手段6によって、各レーダ装置の変調態様情報に関して情報共有を行うことができる。ここで近接した領域とは、各レーダ装置の送信電波がお互いに届く範囲を指し示し、車載用レーダでは0〜200mくらいの距離になる。
【0018】
ここでもし、干渉レーダ9からの電波がレーダ装置8に電波干渉を引き起こしたとする。この時、干渉検出手段4にて電波干渉を検出するので、再び、変調態様選択手段5によって新しい送信周波数が選択される。この選択方法としては、変調態様記録手段7に記録された送信周波数の設定値の中から他レーダ装置が使用していない送信周波数を除いて、その中から乱数的に選択することを行う。そしてこの新しく選択された送信周波数に従って変調態様制御手段1が制御される。
【0019】
次に、この電波干渉が発生した場合の動作内容を、スペクトル図を用いて説明する。図3は6つのレーダ装置における干渉発生前の周波数利用状態を表しており、6つのピークは使用中の周波数を表している。また、2つの◎で囲まれた領域は、どのレーダ装置でも使用されていない周波数帯域を表している。ここで、図4のように左端のピークで電波干渉が発生した場合を考える。干渉を回避するために、干渉したピークの送信周波数を変更するが、変更先の新しい送信周波数として、他のレーダ装置が使用していない周波数を選択するようにする。このような処理のために、周波数変更後に、再び、他のレーダ装置に対して電波干渉が発生することを予防している。
【0020】
以上、説明した本発明の処理をフローチャートにまとめると図9になる。まず、変調記録手段7から送信周波数の設定値を複数取得(S101)し、その中からただ1つの送信周波数を選択する。そして、その送信周波数で電波を送信開始する(S102)。次に、近接した領域に存在するレーダ装置の変調態様情報を取得する(S103)。また、信号処理解析により電波干渉が発生しているかを判断する(S104)。もし、電波干渉が発生していなければS107へ、発生していればS105の処理を行う。S105では、S101で取得した送信周波数の設定値の中から、S103で取得した近接したレーダ装置の送信周波数を除いて、乱数的にただ1つの送信周波数を選択する。そして、選択された送信周波数に従って、実際の送信周波数が変更され(S106)、その送信周波数の設定値はS107によってレーダ装置外部へ出力される。ただし、このS103〜107の処理は、レーダ装置の動作中は繰り返し行われている。
【0021】
また、本実施例は、変調態様として送信周波数を用いたが、他には、送信電波の変調形状や電波の偏波面向き、送信周期、符号コードの1つ以上を代わりに用いても良い。この場合でも、同様の効果を得ることができる。例えば、偏波面向きを用いる場合、変調態様情報としては偏波面の角度を使用する。そして、偏波面の角度を各レーダ装置で異ならせることによって電波干渉を防止することができる。ただし、この角度を制御する方法としては、特開平11−248837に示されたように偏波面を回転する手段を用いることができる。また、送信周期を用いる場合、変調情報としてはパルス変調における送信周期時間を使用する。図15のように、2台のパルス変調レーダ装置(1)、(2)の送信周期が異なると、お互いのレーダ装置で受信される相手の送信電波のタイミングが時間的に毎回変化するため、時間フィルタによって電波干渉を対策することができる。また、符号コードの場合は、変調態様情報としてスペクトル拡散方式における変復調用コードがあり、このコードのパターンを変化させることによって電波干渉を回避することができる(請求項3)。
【0022】
更に、図2において、レーダ装置の取り付け方向が90°以上異なるレーダ装置の変調態様は、同時に同一の値を使用しても良い。その場合、限られた周波数資源を効率よく活用することができる。
【0023】
また、電波干渉を検出する手段は、通信によって取得した他レーダ装置の変調態様情報と照合することによって、電波干渉の発生を予測しても良い。つまり、図11に示したフロー図のように、まず近接レーダ装置の変調態様情報を取得(S103)し、その変調態様情報が自レーダ装置の変調態様と一致しているかどうか判定する(S201)。そして一致していれば電波干渉が発生(S202)、そうでなければ電波干渉は発生していない(S203)と判断する。この方法によって、実際に電波干渉が発生する前に、あらかじめ電波干渉を検出することができる。
【0024】
更に、変調態様情報に各レーダ装置の優先順位を識別するためのコードを各々追加しておき、電波干渉が発生したら、その優先順位によって、変調態様の変更をON/OFF制御しても良い。つまり、電波干渉が発生した2つのレーダ装置のうち、優先順位の低いレーダ装置のみ変調態様を変更し、優先順位の高いレーダ装置の変調態様はそのまま変更しないようにできる。
【0025】
更に、レーダ装置の数が増加して利用できる周波数資源が足りなくなった場合、優先順位の低いレーダ装置の機能を停止させても良い。この停止判断は、図12に示すように電波送信判定手段11を備えることにより実現でき、その動作内容を図13を用いて説明する。まず、自レーダ装置の電波送信状態がONの場合を考える。この時、外部通信によって近接レーダ装置から変調態様が不足したメッセージを受信したら、電波送信を行っている各レーダ装置を優先順位でソートする。その結果、優先順位が最低のレーダ装置が自レーダ装置の場合は、自レーダ装置の電波送信状態をOFFに遷移させて、変調態様選択手段5にその旨が伝えられる。変調態様選択手段5では、その結果に従って、電波送信の停止を選択する。一方、電波送信がOFFの状態では、外部通信によって取得した近接レーダ装置の変調態様情報を用いて、変調態様に空きがあるかどうかを判断し、空きがあれば、電波送信を停止している各レーダ装置を優先順位でソートする。その結果、優先順位が最高のレーダ装置が自レーダ装置の場合は、電波送信状態をONに遷移させて、変調態様選択手段5によって電波送信の再開を選択する。これらの処理をフローに表したものが図14である。まず、S301にて近接レーダ装置の変調態様情報、優先順位、変調態様不足フラグを取得する。そして、自レーダ装置が電波送信ON中(S302)の場合、外部通信によって受信した近接レーダ装置の変調態様不足フラグがONかどうか判断(S303)し、ONであれば現在、電波送信を行っている各レーダ装置を優先順位でソートする(S304)。その結果、最低優先順位のレーダ装置が自レーダ装置かどうかを判断(S305)し、そうであれば電波送信をOFFにする(S306)。一方、S307では、外部通信にて受信した近接レーダ装置の変調態様情報を用いて、変調態様に空きが出来たかどうかを判断する。そして空きがあれば、現在、電波送信を停止している各レーダ装置を優先順位でソートする(S308)。その結果、最高優先順位のレーダ装置が自レーダ装置かどうかを判断(S309)し、そうであれば電波送信をON(S310)にして電波送信を再開する。これらの方法によって、より重要度の高いレーダ装置を最後まで動作させることができる。
【0026】
また、前記電波干渉を検出する手段、変調態様通信手段、変調態様を選択する手段の1つ以上を、レーダ装置外部で行わせても良い。その場合、それらの機能を複数のレーダ装置で共有して動作させることができる。
【0027】
更に、路車間通信やナビなどにより、地域に応じた変調態様を選択しても良い。その場合、走行区域毎に変調態様を切り替えられるので、例えば、走行車線毎に変調態様を切り分けることもできる。
【実施例2】
【0028】
図10は本発明の別の実施例を実現するためのレーダ装置のブロック図である。なお、特に説明しない構成については図1と同様であり、同様の機能を有するものとする。
【0029】
まず、変調態様記録手段7には、レーダ装置が利用することのできる送信周波数の設定範囲が記録されており、その範囲中からただ一つの送信周波数が、変調態様選択手段5によって乱数的に選択される。ただし、この設定範囲は、各レーダ装置毎に範囲が異なるように設定される。そして、変調態様制御手段1では、選択された送信周波数になるように変調信号が生成され、この変調信号に応じて送信アンテナ2から電波が送信される。ターゲットからの反射波は受信アンテナ3によって受信され、干渉検出手段4によって電波干渉が発生しているかどうかを判断する。電波干渉を検出する方法としては、図8に示すように受信信号のFFT解析を行い、正常時に対する波形の上昇量をチェックすることにより判断する。
【0030】
ここでもし、干渉検出手段4にて電波干渉を検出した場合、再び、変調態様選択手段5によって新しい送信周波数が選択される。この選択方法としては、前述と同じように、変調態様記録手段7に記録された送信周波数の設定範囲の中から乱数的に選択される。そしてこの新しく選択された送信周波数に従って変調態様制御手段1が制御される。
【0031】
この電波干渉が発生した場合の回避動作を、スペクトル図を用いて説明する。図5は、各レーダ装置(1)〜(4)に割り当てられた送信周波数の設定範囲を表している。ここで、レーダ装置(1)に電波干渉が発生した場合、レーダ装置(1)に割り当てられた送信周波数の設定範囲内の中で送信周波数を移動させる。この場合、あらかじめ異なった送信周波数範囲を各レーダ装置に割り当てているので、送信周波数を変更しても他のレーダ装置に対して電波干渉を引き起こすことがなくなる。
【0032】
また、図6のように、送信周波数領域の割当を櫛状に配置しても良い。この場合、次のような計算式によって周波数は計算される。ただし、Aは自車に設置されるレーダの数、Bは各レーダ装置に割り当てられたパラメータ(0〜A−1)、nは可変数(0〜N、上限N)。
【0033】
送信周波数領域[Hz]=A×n+B
また、本実施例は、変調態様として送信周波数を用いたが、他には、送信電波の変調形状や電波の偏波面向き、送信周期、符号コードの1つ以上を代わりに用いても良い。この場合でも、前述したように同様の効果を得ることができる。
【0034】
更に、前記送信周波数の設定範囲は、重要度の高いレーダ装置に対して幅広い設定を割り当てても良い。
【0035】
更に、路車間通信やナビなどにより、地域に応じた変調態様を選択しても良い。その場合、走行区域毎に変調態様を切り替えられるので、例えば、走行車線毎に変調態様を切り分けることもできる。
【0036】
以下、本発明の好適な実施例について列挙する。
【0037】
本発明のレーダ装置は、電波を送受信してターゲットの有無を検出する手段と、外部からの電波干渉を検出する手段と、送信電波の変調態様を制御する手段を備えたレーダ装置において、他レーダ装置が使用している変調態様情報をそれぞれ把握するための通信手段と、干渉を検出した場合、前記変調態様情報に干渉しないような変調態様を選択する手段を備える。これにより、他レーダ装置の変調態様情報を共有し、電波干渉を受けて送信周波数等を変更する場合に、再び他レーダ装置に対する電波干渉を生じることを防止できる。
【0038】
さらに、電波を送受信してターゲットの有無を検出する手段と、外部からの電波干渉を検出する手段と、送信電波の変調態様を制御する手段を備えたレーダ装置を、複数取り付けた車両において、異なった変調態様の範囲を前記各レーダ装置にそれぞれ割り当てる手段と、電波干渉を検出した場合、干渉を回避するために前記変調態様の範囲内から送信電波の変調態様を選択する手段を備える。これにより、各レーダ装置の変調態様情報を共有することなく電波干渉を防止することを目的としている。
【0039】
上記において、取り付け方向が90°以上異なるレーダ装置同士では同じ変調態様を使用する構成とすれば、周波数資源を有効活用することができる。
【0040】
上記において、変調態様を選択する手段に乱数因子を含ませる構成とすれば、電波干渉が発生した2つのレーダ装置がそれぞれ変調態様を変化させる際、再び同じ変調態様が選択される確率を減らすことができる。
【0041】
さらに、電波干渉を検出する手段が他レーダ装置の変調態様情報を利用して電波干渉を判断する構成とすれば、あらかじめ電波干渉が発生する前から変調態様を変更することができる。
【0042】
レーダ装置の優先順位を識別するための識別手段を備え、その優先順位に応じて変調態様の変更を判断する構成とすれば、利用できる変調態様が不足した場合、優先順位の低いレーダ装置から機能を停止させることが可能となる。すなわち特に車両正面方向など、安全面で重要度の高いなレーダ装置の検知動作を最後まで機能させることができる。
【0043】
ここで、重要度の高い特定の電波レーダ(例えば車両正面のレーダ等)に対して、他の電波レーダより多くの変調態様を割り当てることで、当該電波レーダが機能停止させられる可能性を他の電波レーダが機能停止させられる可能性よりも低くすることが出来る。特に車両正面方向など、安全面で重要度の高いレーダ装置が利用できる変調態様が不足する頻度を減少させることができる。
【0044】
なお、前記電波干渉を検出する手段、前記通信手段、前記変調態様を選択する手段の1つ以上を、レーダ装置外部で行う構成としてもよい。これにより、複数のレーダ装置における変調態様制御を統括して行うことができる。
【0045】
さらに、変調態様の利用可能範囲を取得する手段を備え、前記範囲に応じて前記変調態様を選択する手段に制限を設けてもよい。このように構成すれば、外部指令に応じて利用可能な変調態様を制限することが出来るので、例えば走行車線毎に異なった変調態様を割り振ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図。
【図2】複数のレーダ装置の関連図。
【図3】干渉発生前の周波数利用状態。
【図4】干渉発生後の周波数利用状態。
【図5】周波数割当の設定例1。
【図6】周波数割当の設定例2。
【図7】通信例。
【図8】電波干渉の検出手段例1。
【図9】本発明のメインフロー。
【図10】本発明の他の実施例を説明するブロック図。
【図11】電波干渉の検出手段例2。
【図12】電波送信のON/OFF制御を行うレーダ装置のブロック図。
【図13】電波送信判定手段の状態遷移図。
【図14】電波送信判定手段のフロー。
【図15】パルス変調レーダ装置の電波送受信周期を説明するタイミング図。
【図16】電波レーダの優先順位の設定例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
1…変調態様制御手段、2…送信アンテナ、3…受信アンテナ、4…干渉検出手段、5…変調態様選択手段、6…変調態様情報通信手段、7…変調態様記録手段、8…レーダ装置、9…干渉レーダ、10…近接レーダ、11…電波送信判定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を送受信してターゲットを検出する手段と、外部からの電波干渉を検出する手段と、送信電波の変調態様を制御する手段を備えたレーダ装置において、他レーダ装置が使用している変調態様情報をそれぞれ把握するための通信手段と、干渉を検出した場合、前記変調態様情報に干渉しないような変調態様を選択する手段を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
電波を送受信してターゲットの有無を検出する手段と、外部からの電波干渉を検出する手段と、送信電波の変調態様を制御する手段を備えたレーダ装置を、複数取り付けた車両において、異なった変調態様の範囲を前記各レーダ装置にそれぞれ割り当てる手段と、電波干渉を検出した場合、干渉を回避するために前記変調態様の範囲内から送信電波の変調態様を選択する手段を備えたことを特徴とするレーダシステム。
【請求項3】
前記変調態様は、送信周波数,変調形状,電波の偏波面向き,送信周期,符号コードの1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置または請求項2記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記電波干渉を検出する手段は、電波の受信信号を信号処理して判断することを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置または請求項2記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記変調態様を選択する手段は、取付方向が90°以上異なるレーダ装置同士では同じ変調態様を使用することを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置または請求項2記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記変調態様を選択する手段に、乱数因子を含ませることを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置または請求項2記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記電波干渉を検出する手段は、他レーダ装置の変調態様情報を利用して判断することを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置。
【請求項8】
レーダ装置の優先順位を識別するための識別手段と、前記識別結果に応じて変調態様の変更を判断する手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置。
【請求項9】
請求項8記載のレーダ装置を複数備えた車両において、利用できる変調態様が不足した場合、優先順位の低いレーダ装置から機能を停止させることを特徴とするレーダシステム。
【請求項10】
前記変調態様を割り当てる手段は、特定のレーダ装置に対して、より多くの変調態様を割り当てることを特徴とする、請求項2記載のレーダシステム。
【請求項11】
前記電波干渉を検出する手段,前記通信手段,前記変調態様を選択する手段の1つ以上を、レーダ装置外部で行うことを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置。
【請求項12】
変調態様の利用可能範囲を取得する手段を備え、前記範囲に応じて前記変調態様を選択する手段に制限を設けることを特徴とする、請求項1記載のレーダ装置または請求項2記載のレーダシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−232498(P2007−232498A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53040(P2006−53040)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】