説明

電子デバイスおよびその製造方法

【課題】本発明は、信頼性の高い小型の電子デバイス、およびその製造方法に関する。
【解決手段】圧電発振器1は、実装用基板4と、実装用基板4の一方の主面側に搭載され、圧電振動片2を収容したパッケージ3と、実装用基板4とパッケージ3の外底面との間に搭載され、圧電振動片2を駆動するための電子部品6と、を有する。実装用基板4は、電子部品6が搭載される略水平な第1領域面400aと、その第1領域面400aの両側に配置され、第1領域面400aよりもパッケージ3の外底面に近い位置で対面する第2領域面401bが形成されるように実装用基板4を曲げ加工してなる曲げ部401と、を有している。第2領域面401b上に設けられた複数の接続パターン48上には、パッケージ3の外底面に向けて突出した突出部60がそれぞれ設けられ、実装用基板4とパッケージ3とが、突出部60を介して接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスおよび電子デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1の電子部品としての圧電振動片などの圧電体素子をパッケージ内に接合して封止した圧電振動子と、圧電振動片を駆動する第2の電子部品としてのIC素子などを備えた電子デバイスとしての圧電デバイスが、各種電子機器の信号源として広く用いられている。このような圧電デバイスとしては、小型化を図る目的などから、圧電振動子とIC素子とを平面視で重なるように基板上に配置して実装した構成のものが知られている。
例えば、特許文献1に記載された圧電発振器では、圧電振動片をパッケージ内に収納した圧電振動子が実装用基板上に搭載されるとともに、IC素子が実装用基板と圧電振動子との間に納められるように搭載されている。
【0003】
特許文献1に記載の圧電デバイス(圧電発振器)は、実装用基板(基板)と、その実装用基板の一方の主面側に搭載され、圧電振動片を収容したパッケージ(圧電振動子)と、実装用基板とパッケージの外底面との間に搭載され、圧電振動片を駆動するためのICチップと、を有している。
前記実装用基板は、その実装用基板の略中央にあってICチップがフェースダウン接合により搭載される略水平な第1領域面と、第1領域面の両側に配置され、第1領域面よりもパッケージの外底面に近い位置で対面する第2領域面が形成されるように前記実装用基板を曲げ加工してなる曲げ部と、第2領域面を含む領域に設けられ、パッケージとの電気的な接続に供する接続パターンと、を有している。
そして、実装用基板の曲げ部の第2領域面の接続パターンと、パッケージの外底面に設けられた外部端子とが位置合わせされ、ろう材を介して接合されている。
また、実装用基板の曲げ部において、パッケージが搭載された一方の主面とは異なる他方の主面側には、圧電デバイスを搭載する電子機器などの外部実装基板(回路基板)との接合に供する実装端子が設けられている。
【0004】
圧電デバイスを外部実装基板上に実装する場合には、外部実装基板上において、圧電デバイスの実装端子と外部実装基板の接続用端子とを対向するように位置合わせして外部実装基板上に圧電デバイスを載置し、実装端子と接続用端子との間を例えば半田付けする。これにより、外部実装基板上に圧電デバイスが半田を介して固定される。
このように、特許文献1に記載の圧電発振器は、曲げ部を備えた実装用基板を用いることにより、スペーサーなどを用いることなくパッケージを実装用基板上に搭載することができるので、圧電デバイスの構造の簡素化が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−281597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の圧電デバイスでは、パッケージの外底面に設けられた外部端子と、実装用基板の第2領域面に設けられた接続パターンとを、ろう材を介して接合する構成となっている。
この構成において、実装用基板の第2領域面に、パッケージの外底面に向けて突出して、且つ、接続パターンと電気的に接続された突出部を設け、この突出部を介して実装用基板上にパッケージを接合する構成とすることにより、実装用基板上へのパッケージの搭載において、さらに安定した接合強度が得られることを発明者は見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
〔適用例1〕本適用例にかかる電子デバイスの製造方法は、実装用基板と、前記実装用基板の一方の主面側に搭載され、第1電子部品を収納したパッケージと、前記実装用基板と前記パッケージの外底面との間に搭載され、前記第1電子部品を駆動するための第2電子部品と、を有する電子デバイスの製造方法であって、前記実装用基板となる領域が複数個連結された実装用基板フィルムを用意し、前記実装用基板の略中央の略水平な第1領域面にそれぞれ前記第2電子部品を搭載する第2電子部品搭載工程と、前記第1領域面の両側に、前記第1領域面よりも前記パッケージの外底面に近い位置で対面する第2領域面が形成されるように前記実装用基板を曲げ加工してなる曲げ部を形成する曲げ工程と、前記第2領域面に設けられ、前記パッケージの外底面に向けて突出して、且つ、前記第2領域面を含む領域に設けられた接続パターンと電気的に接続された突出部を介して、前記実装用基板上に前記パッケージを接合するパッケージ搭載工程と、前記実装用基板フィルムの前記実装用基板となる領域同士の境界を切断し、複数の前記電子デバイスに個片化する切断工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、曲げ部の突出部を介して実装用基板上にパッケージを接合することにより、フラットな接続パターンや接合端子どうしを接合させる場合に比して、接合部に加わる圧力や温度などが集中することにより、接合強度の向上と安定化を図ることができる。したがって、信頼性の高い電子デバイスを、複数個同時に効率よく製造することができる。
【0010】
〔適用例2〕上記適用例にかかる電子デバイスの製造方法において、前記パッケージ搭載工程が、前記第2電子部品に前記パッケージを接着剤により接着する工程を含むことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第2電子部品およびパッケージを含む領域に、例えば、トランスファーモールド法により樹脂(モールド材)を充填する構成とした場合に、電子部品とパッケージとの間に発生するボイドを抑えることができる。
【0012】
〔適用例3〕上記適用例にかかる電子デバイスの製造方法において、前記実装用基板フィルムが、前記実装用基板となる領域と連結された拡張部分であって、前記第2電子部品搭載工程を経て前記第2電子部品と電気的に接続される調整端子を備える拡張部分を有し、前記パッケージ搭載工程の後で、前記調整端子を介して前記第2電子部品の情報を書き換えることにより前記第1電子部品の特性を所望の値に調整する調整工程と、前記調整工程の後で、前記実装用基板となる領域と前記拡張部分とを分離する分離工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、電子デバイスとしての回路が形成された状態で電子デバイスの電気的特性を確認することができるとともに、電子デバイスの電気的特性が規格値の許容範囲から外れていた場合に、調整端子を介して電子部品内の各種情報を書き換えることにより、所望の電気的特性に調整することができるので、電気的特性が精緻に調整された電子デバイスを高歩留まりにて製造することができる。
【0014】
〔適用例4〕本適用例にかかる電子デバイスは、実装用基板と、前記実装用基板の一方の主面側に搭載され、第1電子部品を収容したパッケージと、前記実装用基板と前記パッケージの外底面との間に搭載され、前記第1電子部品を駆動するための第2電子部品と、を有し、前記実装用基板が、該実装用基板の略中央にあって前記第2電子が搭載される略水平な第1領域面と、前記第1領域面の両側に配置され、前記第1領域面よりも前記パッケージの外底面に近い位置で対面する第2領域面が形成されるように前記実装用基板を曲げ加工してなる曲げ部と、前記第2領域面を含む領域に設けられ、前記パッケージとの電気的な接続に供する接続パターンと、前記第2領域面に設けられ、前記パッケージの外底面に向けて突出して、且つ、前記接続パターンと電気的に接続された突出部と、を有し、前記実装用基板と前記パッケージとが、前記突出部を介して接合されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、曲げ部の突出部を介して実装用基板上にパッケージを接合することにより、フラットな接続パターンや接続端子どうしを接合する場合に比して、接合部に印加される圧力や温度などが集中することにより、接合強度の向上と安定化を図ることができるので、信頼性の高い電子デバイスを提供できる。
【0016】
〔適用例5〕上記適用例にかかる電子デバイスにおいて、前記突出部が、前記第2領域面の前記接続パターン上に配置された金属体であることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、金属体からなる突出部により、実装用基板とパッケージとの安定した接合を実現できる。
【0018】
〔適用例6〕上記適用例にかかる電子デバイスにおいて、前記パッケージが前記外底面に前記第1電子部品と導通する外部端子を有し、前記突出部が、前記第2領域面の一部が前記パッケージの外底面に向けて突出するように曲げ加工された湾曲部分と、該湾曲部分の表面上に設けられた前記接続パターンとからなることを特徴とする。
【0019】
この構成では、実装用基板の第2領域面の一部を曲げ加工することによって形成される湾曲部分を突出部のコア部分として、その上に接続パターンを設けることによって突出部を形成しているので、突出部の突出形状を形成するための突出部材を特に用いることなく、実装用基板上に突出部を形成することができる。
【0020】
〔適用例7〕上記適用例にかかる電子デバイスにおいて、前記実装用基板が、前記曲げ部の前記一方の主面側とは異なる他方の主面側に実装端子を有していることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、電子デバイスを外部実装基板等に実装した際に、低背化を図りつつ、接続部の接合状態の視認を容易にすることができるので、信頼性の高い接続が可能な電子デバイスが得られる。
また、電子デバイスを外部実装基板に実装する際に、その実装に必要な面積をより小さくすることができる。これにより、外部実装基板上の領域を有効活用することが可能になり、例えば、外部実装基板が回路基板である場合には、回路配線の配線密度をより高めることができる。その結果、外部実装基板の小型化を図ることができる。
【0022】
〔適用例8〕上記適用例にかかる電子デバイスにおいて、前記実装用基板が、前記第1領域面と、該第1領域面の両側に有する1対の前記第2領域面との間に、前記第2領域面に対して傾斜した傾斜部を有していることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、傾斜部の傾斜角度が自在に変化することにより、実装用基板の面方向の応力が緩和され易くなる。これにより、電子デバイスを外部実装基板に実装した際に、応力集中に伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0024】
〔適用例9〕上記適用例にかかる電子デバイスにおいて、前記実装用基板の基材が、可撓性を有する材料で構成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、可撓性を有する実装用基板そのものが応力集中を緩和することができる。
【0026】
〔適用例10〕上記適用例にかかる電子デバイスにおいて、前記実装用基板の一方の主面と前記パッケージの外底面とが接着剤により接着されていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、第2電子部品およびパッケージを含む領域に、例えば、トランスファーモールド法によりモールド材を充填する構成とした場合に、電子部品とパッケージとの間に発生するボイドを抑えることができる。
【0028】
〔適用例11〕上記適用例にかかる電子デバイスにおいて、少なくとも前記実装用基板と前記第2電子部品との接合部分を含む領域が封止樹脂により樹脂封止されていることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、水分の浸入や温度の変化などの周辺の環境から保護されるとともに、落下した場合などの耐衝撃性が向上し、信頼性の高い電子デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】電子デバイスの実施形態を適用した圧電発振器を示す分解斜視図。
【図2】(a)は、圧電発振器を模式的に説明する上側からみた平面図、(b)は、下面側からみた平面図。
【図3】圧電発振器の図2のA−A線断面図。
【図4】圧電発振器が備える実装用基板を模式的に示す平面図。
【図5】圧電発振器を外部実装基板に実装する方法を模式的に説明する断面図。
【図6】(a)〜(c)は、圧電発振器と外部実装基板と接続部のほかの構成例を示す部分拡大図。
【図7】突出部の一実施形態を模式的に説明する部分断面図。
【図8】圧電発振器の製造方法の一実施形態を説明するフローチャート。
【図9】実装用基板の変形例を模式的に説明する平面図。
【図10】圧電発振器の製造方法の変形例を説明するフローチャート。
【図11】実装用基板の突出部の変形例を模式的に説明する部分断面図。
【図12】実装用基板の突出部の別の変形例を模式的に説明する部分断面図。
【図13】実装用基板の突出部の別の変形例を模式的に説明する部分断面図。
【図14】実装用基板の突出部の別の変形例を模式的に説明する部分断面図。
【図15】実装用基板の突出部の別の変形例を模式的に説明する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の電子デバイスとしての圧電発振器、およびその製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の電子デバイスの実施形態を適用した圧電発振器を示す分解斜視図である。また、図2は、圧電発振器を模式的に説明するものであり、(a)は上側からみた平面図、(b)は下面側からみた平面図である。また、図3は、図2のA−A線断面図である。また、図4は、圧電発振器が備える実装用基板を模式的に示す平面図である。
なお、以下の説明では、図2(a)中の紙面表側を「上」、紙面裏側を「下」という。また、図1では、圧電発振器を覆うモールド樹脂を省略している。
【0032】
(圧電発振器)
まず、本発明の電子デバイスの実施形態の一例として、圧電発振器について説明する。
図1に示す圧電発振器1は、内部に第1電子部品としての圧電振動片2(図2参照)が気密封止されたパッケージ3と、そのパッケージ3を実装(搭載・固定)する実装用基板4と、パッケージ3と実装用基板4との間に挟まれた配置にて実装用基板4上に搭載された第2電子部品としての電子部品6と、を有している。
【0033】
以下、圧電発振器1を構成する各部について、順次、詳細に説明する。
まず、圧電振動片2について説明する。
図2に示すように、本実施形態の圧電振動片2は、本実施形態では、長手形状でかつ音叉型をなす水晶振動片であって、音叉型をなす圧電体基板21と、その圧電体基板21の表面に形成された2つの励起電極(図示せず)とを有している。
【0034】
圧電体基板21は、圧電材料で構成されており、その圧電材料としては、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム。ホウ酸リチウム、チタン酸バリウムなどが挙げられる。
励起電極は、圧電体基板21に電場を印加するものである。この励起電極に電場を印加すると、圧電材料の逆圧電効果により、ある一定の周波数(共鳴周波数)で圧電体基板21を振動させることができる。また、圧電体基板21が振動すると、2つの励起電極間には、圧電材料の圧電効果により、ある一定の周波数の電圧が発生する。これらの性質を利用して、圧電振動片2は、共鳴周波数で振動する電気信号を発生させることができる。
【0035】
次に、圧電振動片2を収容・固定するパッケージ3について説明する。
図3に示すように、パッケージ3は、平面視で略矩形状を有し、その中央部に内部空間S1を形成する凹部を有するパッケージベース31と、その凹部に蓋をするようにパッケージベース31上に重ねて接合される蓋部材32とを有している。パッケージベース31および蓋部材32は、接着剤あるいはろう材などにより接合されている。そして、パッケージ3のパッケージベース31と蓋部材32とで画成された内部空間S1には圧電振動片2が収納されている。なお、図2(a)では、蓋部材32を透過して図示している。
【0036】
パッケージベース31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラスや、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックスなどの各種セラミックス類、あるいは、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
また、蓋部材32の構成材料としては、例えば、パッケージベース31と同様の構成材料や、アルミニウム、銅などのような各種金属材料、あるいは、各種ガラス材料などを用いることができる。特に、蓋部材32の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合、圧電体基板21に予め金属被覆部(図示せず)を形成しておくと、圧電振動片2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材32を介して前記金属被覆部にレーザーを照射し、金属被覆部の一部を除去して圧電体基板21の質量を減少させる質量削減方式により、圧電振動片2の周波数調整を行うことができる。
【0037】
図3に示すように、パッケージベース31の凹部(内部空間S1)の凹底部分(底面)には、一対のマウント電極34が形成されている。このマウント電極34の上には、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系などの導電性接着剤39が塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤39上に、前述した圧電振動片2が載置されている。そして、導電性接着剤39を硬化することにより、圧電振動片がマウント電極34(パッケージベース31)に片持ち支持された態様で接合される。
【0038】
なお、この接合により、一対のマウント電極34のうちの一方が、導電性接着剤39を介して、圧電振動片2に設けられた2つの励起電極のうちの一方と電気的に接続される。また、他方のマウント電極34も、導電性接着剤39を介して、他方の励起電極と電気的に接続される。
また、圧電振動片2の固定は、圧電振動片2の左側端部をパッケージベース31に接着することにより行なわれているので、圧電振動片2が振動する際には、図3の紙面上、圧電振動片2の左側端部が「固定端」となり、右側端部が「自由端」となる。
【0039】
また、図2(a)に示すように、パッケージベース31の外底面には、その四隅近傍に、外部端子35がそれぞれ設けられている。これら4つの外部端子35のうち2つは、上述した2つのマウント電極34と対応しており、それぞれ対応する外部端子35とマウント電極34とが、図示しない端子間配線や層内配線などにより電気的に接続されている。
このような各マウント電極34および各外部端子35は、ぞれぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことなどにより形成することができる。
【0040】
次に、上述したパッケージ3などを搭載する実装用基板4について説明する。
図1に示すように、実装用基板4は、パッケージ3および後述する電子部品6を搭載する基板であって、平面視で略矩形状をなしており、パッケージ3のパッケージベース31と平面視で略同等の大きさを有した基板である。
このような実装用基板4は、絶縁性基材40と、絶縁性基材40の一方の主面(パッケージ3が載置される側の面)に設けられた複数の電極端子部41と、2つの配線パターン42とを有している。
【0041】
このうち、絶縁性基材40は、リジッド基板、フレキシブル基板、あるいはリジッドフレキシブル基板のいずれに用いる材料であってもよいが、加工容易性などの観点から、可撓性を有するフレキシブル基板用の材料を用いることが好ましい。本実施形態では、後述するように、実装用基板4に曲げ加工をして曲げ部を形成する際の加工容易性や、実装用基板そのものが応力集中を緩和する効果があることなどから、ポリイミドなどのフレキシブル基板用の材料で構成された絶縁性基材40を用いる。
なお、この他の絶縁性基材40の構成材料、例えば、ポリイミド以外のフレキシブル基板用の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの各種樹脂材料などが挙げられる。また、リジッド基板用の構成材料としては、各種ガラス、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、炭化物系セラミックス等のセラミックスなどを用いることができる。
【0042】
また、複数の電極端子部41は、図3に示すように、電子部品6のパッド部6aに対応して離間配置されている。
これらの電極端子部41は、圧電振動片2を駆動するための端子の他、入出力端子、あるいはアース端子などである。
【0043】
また、実装用基板4の長手方向の両端部(対向する一対の縁部、もしくは対向する一対の辺)には、図1に示すように、絶縁性基材40の短手方向の全体が上方に突出するように曲げられてなる傾斜部401aおよび略水平な第2領域面401bを有する曲げ部401が形成されている。
詳述すると、実装用基板4の一方の主面側の略中央には、電子部品が搭載される略水平な第1領域面400aを有している。また、その第1領域面400aの実装用基板4の長手方向の両側には、仮想の曲げ線402aで斜め上方(パッケージ3が搭載される側)に曲げられて形成された傾斜部401aと、その傾斜部401aから実装用基板4の縁部側の仮想の曲げ線402bで略水平に曲げられて形成され、前記第1領域面よりも前記パッケージ3の外底面に近い位置でパッケージ3の外底面と対面する第2領域面401bとが形成されている。
【0044】
2つの配線パターン42は、図3および図4に示すように、それぞれの一方の端部が、複数の電極端子部41のうちの1つに接続され、それぞれの他方の端部が、実装用基板4の紙面上左側端部に向かって延伸するように形成されている。
そして、各配線パターン42の他方の端部は、実装用基板4の紙面上左側端部に形成された曲げ部401の傾斜部401aを経て第2領域面401bにいたるまで、互いに離間しつつ延伸している。
【0045】
一方、実装用基板4の第1領域面400aの両端側の各曲げ部401には、パッケージ3との電気的な接続に供する片側2つずつの接続パターン48が互いに離間して設けられている。
また、第2領域面の各接続パターン48上には、パッケージ3が配置される側に突出する突出部60がそれぞれ設けられている。各突出部60は、パッケージ3の外底面に設けられた外部端子35との電気的な接続を伴う接合に供するものであり、本実施形態では円柱形状を呈しているが、突出部60の形状は円柱形状に限らず、例えば、多角柱状のものであってもよい。
以上のように、実装用基板4では、2つの配線パターン42および2つの接続パターン48と、パッケージ3の対応する外部端子35とが、それぞれ電気的に接続されつつ接合・固定される。
【0046】
実装用基板4において、曲げ部401の曲げ位置となる各仮想の曲げ線402a,402bの曲げ角度や距離、およびそれらにより決定される第1領域面400aに対する第2領域面401bの高さは、第2領域面401b上に設けられる突出部60の高さを含めて、電子部品6の厚さなどに応じて設定される。少なくとも、実装用基板4上に接合された状態の電子部品6が、実装用基板4上に載置されるパッケージ3の外底面に強く接触しないような高さとなるように、曲げ部401の高さと突出部60との高さが設定される。このとき、圧電発振器1の低背化の観点から、曲げ部401および突出部60の高さは、なるべく小さく設定した方が好ましいことは言うまでもない。
【0047】
なお、ここで、実装用基板4において、曲げ部401を形成する曲げ線402a,402bそれぞれに、絶縁性基材40を曲げ易いように切り込みや折り込みを予め形成する構成としてもよい。このようにすれば、絶縁性基材40を曲げ線402a,402bで容易に曲げることができ、且つ、その曲げ加工の影響が実装用基板4の長手方向のほかの領域に及ぶのを防止することができる。
また、本実施形態では、図1、図3、図5などに示すように、絶縁性基材40が、曲げ部401の各仮想の曲げ線402a,402bで折り目をつけて折り曲げられている状態を図示しているが、これに限らず、折り目がつかない程度に曲げ加工する構成としてもよい。
【0048】
2つの配線パターン42は、図3および図4に示すように、それぞれの一方の端部が、複数の電極端子部41のうちの一つと接続し、それぞれの他方の端部が、実装用基板4の紙面上左側端部に向かって延伸するように形成されている。
そして、各配線パターン42の他方の端部は、実装用基板4の紙面上左側端部に形成された曲げ部401の傾斜部401aを経て第2領域面401bに至るまで、たがいに離間しつつ延伸している。また、各配線パターン42の他方の端部は、その線幅が広くなっている。これにより、各配線パターン42は、上述したパッケージ3の外部端子35との接続性が高められている。
【0049】
一方、実装用基板4の紙面上右側端部に形成された曲げ部401には、パッケージ3の外部端子35との接合に供される2つの接続パターン48がたがいに離間して設けられている。
また、2つの接続パターン48上には、電気的接続に供する接続部材を少なくとも表面に有する突出部60が設けられている。すなわち、実装用基板4では、2つの配線パターン42および二つの接続パターン48と、パッケージ3の対応する外部端子35との間を突出部60を介して接着または接合することにより、パッケージ3を固定する。
【0050】
また、実装用基板4のうち、各曲げ部401の下面側には、それぞれ実装端子43が形成されている。各実装端子43は、圧電発振器1を実装する外部実装基板と電気的および機械的に接続するための端子である。また、各実装端子43は、実装用基板4に形成されたビアホールに設けられた導体ポスト45および配線パターン46を介して各電極端子部41と電気的に接続されている。
【0051】
このような実装用基板4の上面側の中央部には、電子部品6が搭載されている。電子部品6は、例えば集積回路素子(IC)であり、圧電振動片2を駆動する機能を有する。
電子部品6は、図3に示すように、各電極端子部41上にそれぞれ形成されたバンプ(突起電極)44を介して、いわゆるフェースダウンボンディングにより実装されている。これにより、電子部品6の各パッド部6aと各電極端子部41とが電気的に接続されるとともに、実装用基板4に対して電子部品6が固定される。
なお、電子部品6は、フェースダウンボンディングに限らず、ボンディングワイヤーを用いた、いわゆるワイヤーボンディングにより、実装用基板4と電気的に接続する構成としてもよい。
【0052】
また、実装用基板4の各曲げ部401の第2領域面401bと、パッケージ3の外部端子35との間は、上述したように、第2領域面401b上の接続パターン48に設けられた突出部60を介して接続・固定されている。第2領域面401bは、パッケージ3の底面とほぼ平行な領域であるため、パッケージ3に対して十分な面積で確実に接合することができる。
なお、実装用基板4上にパッケージ3が搭載された結果、電子部品6は、その下面および側面を、実装用基板4で覆われた状態となる。これにより、実装用基板4は、衝撃や異物の侵入などから電子部品6を保護し、圧電発振器1の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0053】
また、圧電発振器1は、図3に示すように、電子部品6およびパッケージ3と実装用基板4との接合部分を少なくとも含む領域が封止樹脂としてのモールド樹脂7でモールドされている。本実施形態の圧電発振器1では、蓋部材32の外周部、電子部品6の接合部分および突出部60の周辺を含む実装用基板4とパッケージ3の底面との間にモールド樹脂7が充填され、さらに、パッケージ3の側壁を覆うようにモールド樹脂7が設けられている。
【0054】
(圧電発振器の実装方法)
次に、圧電発振器1を回路基板などの外部実装基板に実装する方法について説明する。
図5は、図1に示す圧電発振器1を外部実装基板に実装する方法を模式的に説明する断面図である。なお、以下の説明では、図5中の紙面上の上側を「上」、下側を「下」という。また、図5は、圧電発振器1を覆うモールド樹脂を省略している。
【0055】
圧電発振器1は、例えば、半田、異方性導電性ペーストなどを介して外部実装基板に実装される。
実装方法としては、リフロー方式、フロー方式等、特に限定されないが、ここではリフロー方式について説明する。
リフロー方式による実装方法は、具体的には、外部実装基板上の圧電発振器1を実装する箇所に半田ペーストを供給する工程と、外部実装基板上に圧電発振器1を載置する工程と、圧電発振器1を載置した外部実装基板を加熱し、半田を溶融したのちに固化することにより半田付け(リフロー)する工程とを有している。
【0056】
以下、各工程にについて説明する。
まず、外部実装基板8の回路配線81上に、半田ペーストを供給する。
半田ペーストは、半田の粉末やフラックスをバインダーに混合してペースト状にしたものである。
半田ペーストの供給は、例えば、スクリーン印刷等の各種印刷法の他、ディスペンサーなどを用いて行うことができる。
【0057】
次に、供給した半田ペースト上に圧電発振器1を位置合わせして載置する。載置された圧電発振器1は、半田ペーストの粘性により、その位置が保持される。
次に、圧電発振器1を載置した外部実装基板8を、リフロー炉により加熱する。加熱温度は、半田の種類に応じて適宜設定され、一例として、220〜260℃程度とされる。
このような加熱により、まず、半田ペースト中のバインダー成分が分解・除去される。その後、加熱温度が半田の融点を上回ると、半田が溶融し、外部実装基板8の回路配線81と圧電発振器1の各実装端子43との間に濡れ広がる。
【0058】
その後、外部実装基板8を放熱することにより、半田が固化して、圧電発振器1が外部実装基板8上に実装される。
ここで、実装端子43と回路配線81との間で溶融した半田は、図5に示すように、実装端子43と回路配線81との隙間を充填するように濡れ広がる。また、実装端子43は、圧電発振器1の実装用基板4のうち、曲げ部401の下面側に形成されるため、実装端子43と回路配線81との間には、曲げ加工に伴う隙間9が生じる。溶融した半田は、図5に示すように、隙間9の開口側に、いわゆる「フィレット」と呼ばれる緩やかな湾曲した形状(図5に示すフィレット92)を伴い、隙間9を充填するように形成された半田溜まりとなる。このような半田溜まりが固化し、図5に示す接続部91が形成される。
【0059】
従来の圧電発振器では、外部実装基板上に実装された状態において、圧電発振器と外部実装基板との隙間がほとんどなかったことから、接続部を視認しようとしても、視認可能な面積はごくわずかであった。このため、検査工程において、フィレットを直接目視して接続部に発生した亀裂等の不具合を発見することは極めて困難であった。
また、圧電発振器と外部実装基板との間には、一般に熱膨張率差が存在するが、実装後に、この熱膨張率差が接続部への応力集中を招く場合がある。従来の層状に溜まった半田では、このような応力集中を緩和し切れずに、接続部に亀裂などが発生することがあった。
【0060】
これに対し、本実施形態の圧電発振器1の実装では、図5に示すように、実装端子43と回路配線81との間に、曲げ部401の曲げ加工に伴い比較的広い隙間9が生じる。したがって、検査工程では、広い隙間9内に形成された、より厚い接続部91を容易に視認することができ、不具合の発見も容易になる。
また、接続部91は、半田がある程度の厚さに溜まったものであり、さらに半田は比較的柔軟性が高い材料であることから、接続部91における応力集中の緩和に寄与する。このため、接続部91は、圧電発振器1と外部実装基板8との熱膨張率差に伴う応力が発生した場合でも、それによる不具合の発生を抑制し、製品の信頼性の向上および歩留まりの向上を図ることができる。
【0061】
さらに、接続部91は、曲げ部401を外部実装基板8に固定しているため、特に横方向(外部実装基板8と平行な方向)の応力緩和に寄与する。これは、曲げ部401は、絶縁性基材40を曲げ加工して形成されたものであるため、曲げ角度(傾斜部401aの傾斜角度)が自在に変化することにより、特に横方向(面方向)の応力を緩和し易いからである。この傾向は、絶縁性基材40が可撓性を有するフレキシブル基板である場合に特に顕著である。このようなことから、接続部91は、応力集中に伴う不具合の発生を、より確実に抑制することができる。
【0062】
また、電子部品6は、実装用基板4の両端部に形成された曲げ部401同士の間に搭載されるため、接続部91の厚さが厚くなっても、電子部品6の搭載位置(搭載高さ)にはほとんど影響が及ばない。このため、接続部91の厚さが厚くなっても、外部実装基板8に実装された圧電発振器1の高さには影響が及び難くなり、実装された圧電発振器1の低背化、および、圧電発振器1を実装した外部実装基板8全体の薄型化を確実に図ることができる。
【0063】
なお、接続部91の形状は、実装端子43の形成領域に応じて種々の形状を取り得る。
図6は、実装端子43と回路配線との間の隙間に形成された接続部の他の構成例を示す部分拡大図である。
上述した図5に示す圧電発振器1では、実装端子43が曲げ部401のうち、傾斜部401aの下面と第2領域面401bの双方に設けられている。一方、図6に示す圧電発振器では、実装端子43の形状が異なること以外は、図5に示す圧電発振器1と同様である。
【0064】
すなわち、図6(a)に示す実装端子43aは、曲げ部401のうち、第2領域面401bの下面のみに設けられている。このような実装端子43aを備えた圧電発振器1を外部実装基板8上に載置すると、実装端子43aと回路配線81との間には、図6(a)に示すような半田溜まりが形成され、これが固化することにより接続部91aが形成されている。
【0065】
一方、図6(b)に示す実装端子43bは、前述した実装端子43aと同様、曲げ部401のうち、第2領域面401bの下面のみに設けられている。このような実装端子43bを備えた圧電発振器1は、外部実装基板8上に載置され、さらに実装端子43bと回路配線81との間は、図6(b)に示すような導電性の球形のスペーサー93を介して接続されている。そして、実装端子43bとスペーサー93との間、および、回路配線81とスペーサー93との間に、図6(b)に示すような半田溜まりが形成され、これが固化することにより接続部91bが形成されている。
このような接続部91bによれば、圧電発振器1をスペーサー93の直径分だけ外部実装基板8より持ち上げた状態で実装することができる。これにより、実装端子43bと回路配線81との間に、より広い隙間9が形成されることとなる。その結果、接続部91bおよびそのフィレット92をより確実に目視することができる。
なお、スペーサー93としては、例えば、銅で形成された粒子の表面に半田の層を成膜したものなどが挙げられる。
【0066】
また、図6(c)に示す実装端子43cは、曲げ部401のうち、傾斜部401aの下面のみに設けられている。このような実装端子43cを備えた圧電発振器1を外部実装基板8上に載置すると、実装端子43cと回路配線81との間には、図6(c)に示すような半田溜まりが形成され、これが固化することにより接続部91cが形成されている。
このような接続部91cによれば、圧電発振器1の実装に必要な面積をより小さくすることができる。すなわち、図6(c)の場合、圧電発振器1の長さL1より、外部実装基板8上における圧電発振器1の実装に必要な長さL2は短くなっている。このため、外部実装基板8上の領域を有効活用することができ、例えば、外部実装基板8は、図6(c)に示すように、隙間9に入り込むように設けられた回路配線82を有することができる。この回路配線82は、回路配線81とは異なる別の配線であるため、図6(c)に示す実施形態によれば、圧電発振器1のサイズを縮小することなく、外部実装基板8における配線密度をより高めることができる。その結果、外部実装基板8の小型化を図ることができる。
以上のように、図6(a)〜(c)に示す各接続部91a、91b、91cによっても、それぞれ、上述した図5に示す接続部91と同様の作用・効果が得られる。
【0067】
(圧電発振器の製造方法)
次に、圧電発振器の製造方法について図面を参照して説明する。
図8は、圧電発振器1の製造方法を説明するフローチャートである。
【0068】
〔圧電振動片製造〕
図8には、圧電振動片2の製造工程がステップS1−1からステップS1−5までに示され、パッケージ3の組立工程がステップS2−1からステップS2−3までに示され、圧電発振器1の組立工程がステップS3−1からステップS3−6までに示されている。以下、前工程から順に説明する。
【0069】
本実施形態の圧電発振器1の製造においては、まず、圧電材料からなるウェハーから複数の圧電振動片2を製造する工程について説明する。
圧電振動片2の製造では、まず、大判の圧電ウェハーに圧電振動片2を複数並べて形成した後に、ダイシング、あるいは折り取ることなどにより個片の圧電振動片2に切断して(個片化)、複数個の圧電振動片を同時に得る方法がとられる。
【0070】
まず、結晶軸に対して所定のカット角で切り出され、所望の厚さおよび表面状態になるように研磨加工された大判の圧電基板(圧電ウェハー)を準備する。そして、ステップS1−2に示すように、フォトリソグラフィーを用いたウェットエッチングにより、圧電ウェハーに複数の圧電振動片2の外形を形成する。
【0071】
詳述すると、まず、ステップS1−1に示すように、圧電ウェハーの両主面全体に、エッチングマスクとなり得る、例えばクロムおよび金からなる耐蝕膜をスパッタなどにより形成してからフォトレジストを塗布して、そのフォトレジスト上に圧電振動片2の外形パターニング用のマスクを配置して外形パターンを露光する。
そして、フォトレジストの露光により感光した部分を除去する現像を行ってからエッチング液に浸し、感光したフォトレジストを除去した部分の耐蝕膜をエッチングして、圧電ウェハー上に、耐蝕膜からなる圧電振動片2の外形形成用のエッチングマスクを形成する(ステップS1−1)。
【0072】
次に、圧電振動片2の外形形成用のエッチングマスクを形成した圧電ウェハーを、例えばフッ化水素溶液およびフッ化アンモニウム溶液からなるエッチング液に浸漬して、水晶基板の圧電振動片2の外形に対応した部分が貫通するまでエッチングする(ステップS1−2)。
なお、圧電振動片2の外形は、圧電ウェハーから完全に切り離されないようにミシン目状の折り取り部などにより圧電ウェハーにつなげ、以降の工程を水晶基板(ウェハー)状態にて効率的に流動するようにしている。
【0073】
次に、ステップS1−3に示すように、耐蝕膜からなる圧電振動片2形成用のエッチングマスクを剥離する。
【0074】
次に、ステップS1−4に示すように、スパッタリングや蒸着などにより、上記した励起電極などの電極形成を行う。
電極形成は、圧電振動片2の外形が形成された水晶基板の表面に、スパッタリングや蒸着により、例えば、クロム層を下地として形成し、その上に金層を積層させたり、フォトリソグラフィーにより積層させた金属を所望の電極パターン形状にパターニングしたりすることにより行うことができる。
【0075】
次に、ステップS1−5に示すように、ダイシング、あるいは折り取るなどの方法により、圧電ウェハーに形成された複数の圧電振動片2を個片化する。
【0076】
〔パッケージ組立〕
次に、パッケージ3組立工程について説明する。
パッケージ3組立工程では、まず、ステップS2−1に示すように、圧電振動片2を収容・固定するパッケージベース31や、パッケージベース31の開口部を閉鎖する蓋部材32を準備する。
【0077】
次に、ステップS2−2に示すように、パッケージベース31の凹部内に圧電振動片2を接合する。
具体的には、まず、パッケージベース31の凹部の凹底部分に設けられた一対のマウント電極34上に、ディスペンサーなどを用いて導電性接着剤39を適量塗布する。次に、各マウント電極34と、圧電振動片2の対応する外部接続端子とを位置合わせして、導電性接着剤39の粘着力により仮止めする。そして、導電性接着剤39を、加熱、あるいは紫外線照射することなどによって硬化させ、圧電振動片2をマウント電極34(パッケージベース31)に片持ち支持された態様で接合・固定する。
【0078】
圧電振動片2の周波数調整により周波数が目標周波数に調整された後で、次に、ステップS2−3に示すように、パッケージベース31上に蓋部材32を接合することにより、パッケージの内部空間S1内に圧電振動片2を封止する(封止工程)。パッケージベース31上への蓋部材32の接合は、圧電振動片2が接合されたパッケージベース31の開口側の枠部に、例えば、コバール(Fe−Ni−Co)合金などからなるろう材としてのシールリング(図示せず)を設け、そのシールリングを介して、蓋部材32をシーム溶接することにより行うことができる。
【0079】
なお、パッケージ組立工程において、圧電振動片2の周波数調整を行うことができる。
例えば、圧電振動片2接合工程の後で、圧電振動片2(圧電振動子)の周波数調整を行うことができる。この周波数調整では、まず、圧電振動片2の初期周波数を測定し、その初期周波数と目標周波数との差を許容範囲まで小さく調整することにより行う。
圧電振動片2の周波数調整は、例えば、圧電振動片2にレーザーやイオンビームを照射して、圧電振動片2の一部を所定量エッチングすることにより行うことができる。圧電振動片2は、その振動部の質量を軽くすることにより振動周波数が高くなることが知られており、例えば、圧電振動片2に形成された励起電極以外の電極パターンの一部をエッチングすることにより、励起電極の形状を変化させることなく圧電振動片2の周波数を高く調整することができる。この質量削減方式による周波数調整方法を用いる場合には、圧電振動片2の初期の周波数は目標周波数に対して低めの周波数となるようにつくり込みを行う。
【0080】
また、上記の質量削減方式とは逆に、圧電振動片2の振動部に質量を付加して周波数を低下させることにより周波数調整を行うこともできる(質量付加方式)。質量付加の方法としては、スパッタリング法や蒸着法などにより圧電振動片2の振動部に金属膜を堆積させる方法などを利用することができる。この質量付加方式により周波数調整を行う場合には、圧電振動片2の初期の周波数は目標周波数に対して高めの周波数となるようにつくり込みを行う。
【0081】
また、周波数調整は、上記のとおり、ガラスなどの光透過性を有する蓋部材32を用いた場合には封止工程の後で実施することもできる。
【0082】
〔圧電発振器組立〕
次に、圧電発振器1組立工程について説明する。
まず、実装用基板4を準備する。本実施形態の圧電発振器1製造では、実装用基板4は、実装用基板4となる領域が複数個連結されたフープ状あるいは大判シート状の実装用基板フィルムを用意し(ステップS3−1)、その実装用基板フィルムに複数の実装用基板4を同時に形成する方法をとる。
実装用基板フィルムは、上述したポリイミドなどの可撓性を有する材料(樹脂材料)で構成された絶縁性基材40からなる。また、実装用基板フィルムには、個々の実装用基板4に相当する部位に、上述した図4に示す各電極端子部41、各配線パターン42、各実装端子43、各導体ポスト45、各配線パターン46、および各接続パターン48などが形成される。
各電極端子部41、各配線パターン42、各実装端子43、各導体ポスト45、各配線パターン46、および各接続パターン48などは、それぞれ、銅などの導電性材料を使用して、エッチング、印刷、蒸着、めっきなどの技術を組み合わせることにより形成することができる。
また、実装用基板フィルムの主面全体に、必要に応じて、電気的接触を要しない領域に絶縁膜を形成する構成としてもよい。
【0083】
次に、ステップS3−2に示すように、上述した実装用基板フィルムの第1領域面としての一方の主面に、第2電子部品としての電子部品6を載置する第2電子部品搭載工程としてのフェースダウン実装を行う。
具体的には、図3において、まず、電子部品6のパッド部6aを有する面(能動面)を上向きにして、各パッド部6a上にそれぞれバンプ44を形成する。バンプ44は、めっきバンプや金属バンプなど、種々のものを用いることができるが、一例としては、ワイヤーボンディングに用いられる金などの金属ワイヤーの先端を、放電によりボール状にした後、そのボール状の先端をパッド部6aに押し付けて接合し、その後、ワイヤーを切断して先端部をパッド部6a上に残すことにより形成された、いわゆるスタッドバンプが挙げられる。
バンプ44形成後の電子部品6をフェースダウンボンディングする際には、まず、電子部品6のバンプ44形成面と異なる主面(裏面)を、ボンディング装置のボンディングヘッドで保持し、各バンプ44と、対応する各電極端子部41とを位置合わせして電子部品6を実装用基板フィルム上に載置する。そして、ボンディングヘッドから所定の温度および超音波を印加しながら電子部品6を実装用基板フィルムに圧着する。
【0084】
次に、ステップS3−3に示すように、電子部品6およびパッケージ3を固定した実装用基板フィルムを上下反転させ、実装用基板フィルムの各実装用基板4が形成される領域の曲げ線402aおよび曲げ線402bに相当する位置を曲げ加工することにより曲げ部401を形成する(曲げ工程)。
【0085】
次に、ステップS3−4に示すように、実装用基板フィルムに対して、電子部品6を、実装用基板フィルムの電子部品6載置面(第1領域面)とパッケージ3の下面(外底面)とによって挟むようにパッケージ3を重ねて搭載する(パッケージ搭載工程)。このとき、実装用基板フィルムに複数形成された各実装用基板4の各接続パターン48上に設けられた各突出部60と、パッケージ3の対応する各外部端子35とを位置合わせして接合する。これにより、配線パターン42と外部端子35およびパッケージ3内に収納された圧電振動片2とが電気的に接続される。
【0086】
パッケージ搭載工程において、電子部品6が搭載された実装用基板フィルムと、パッケージ3との接合に供する突出部60は、本実施形態では、突出形状を形成する金属コアと、その金属コアの表面に形成された接合用金属とにより構成されている。
なお、図8で説明した工程では、場合によっては曲げ工程時の曲げ加工の際に実装用基板フィルムに発生する応力によって第2電子部品と実装用基板フィルムとの接合部分へダメージの発生や、加工時に使用する用具が接触することによる第2電子部品の破損が起きる可能性がある。
そこで、このような不具合を回避する方法として、ステップS3−3の曲げ工程をステップS3−1とステップS3−2との間に入れてもよい。
ここで、本実施形態の突出部60について図面に沿って詳細に説明する。図7は、本実施形態の突出部60を模式的に説明する部分断面図である。
図7において、本実施形態の突出部60は、実装用基板フィルムの各実装用基板4の領域において曲げ部401の各接続パターン48上に設けられ、例えば銅などの金属からなり円柱状の突出形状を形成する例えば銅などの金属からなるコア部材61と、そのコア部材61の接続パターン48側の面とは異なる面に積層された接合用金属層63とからなる。本実施形態では、接合用金属層63には金を用いており、銅からなるコア部材61と金からなる接合用金属層63との間には、金の銅への拡散を防止するための例えばニッケルからなるバリア層62が積層されて設けられている。
なお、コア部材61に用いる金属材料は銅に限らず、他の金属を用いることもできる。
また、接合用金属層63も金には限らず、例えば、錫、銀などの他の金属を用いることができる。金以外の金属を接合用金属層として用いる場合には、バリア層62を間に設ける必要がなくなる場合がある。
【0087】
次に、ステップS3−5に示すように、実装用基板フィルムを再び上下反転し、パッケージ3と実装用基板フィルムとの間や、パッケージ3の蓋部材32の外側を、封止樹脂としてのモールド樹脂7でモールドする。モールド樹脂7は、例えば、モールドする部材を成形型内に入れ、その成形型内にモールド樹脂を供給する方法(インジェクションモールド)、スクリーン印刷などにより供給する方法、ディスペンサーなどを用いて隙間にモールド樹脂を充填する方法(ポッティングモールド)などにより供給される。
なお、モールド樹脂7は、本実施形態のように圧電発振器1の全体を覆う必要はなく、少なくとも、パッケージ3と実装用基板4との接合部分を覆っていればよく、例えば、パッケージ3と実装用基板4との間の隙間のみに充填された、いわゆるアンダーフィル材で代用することもできる。
また、圧電発振器1に要求される耐衝撃性や信頼性のレベルによっては、モールドやアンダーフィルを行わない構成とすることもできる。
【0088】
次に、ステップS3−6に示すように、実装用基板フィルムを圧電発振器1の外形領域同士の境界(切断線)に沿って切断する(切断工程)。これにより、実装用基板フィルムから複数の圧電発振器1が同時に切り出される。
以上説明した工程を経て、圧電発振器1の一連の製造工程が終了する。
【0089】
次に、上記実施形態の圧電発振器1、および、その製造方法の効果を述べる。
(1)上記実施形態の圧電発振器1およびその製造方法によれば、曲げ部401の第2領域面401bに設けられ接続パターン48と電気的に接続された突出部60を介して実装用基板4上にパッケージ3を接合することにより、フラットな接続パターンや接続端子どうしを接合する場合に比して、接合部に印加される圧力や温度などが集中することにより、接合強度の向上と安定化を図ることができるので、信頼性の高い圧電発振器1を提供することができる。
【0090】
(2)また、上記実施形態の圧電発振器1では、実装用基板4の曲げ部401の一方の主面側(パッケージ3が搭載される側)とは異なる他方の主面側に、外部実装基板等との接合に供する複数の実装端子43を有している。
これにより、圧電発振器1を外部実装基板等に実装した際に、低背化を図りつつ、接続部の接合状態の視認を容易にすることができるので、外部との信頼性の高い接続が可能な圧電発振器1が得られる。
また、圧電発振器1を外部実装基板に実装する際に、その実装に必要な面積をより小さくすることができる。これにより、外部実装基板上の領域を有効活用することが可能になり、例えば、外部実装基板が回路基板である場合には、回路配線の配線密度をより高めることができる。その結果、外部実装基板の小型化を図ることができる。
【0091】
(3)また、上記実施形態の圧電発振器1によれば、実装用基板4が、第1領域面400aと、その第1領域面400aの両側に有する1対の第2領域面401bとの間に、第2領域面401bに対して傾斜した傾斜部401aを有している。また、上記実施形態の実装用基板4の基材には、可撓性を有するフレキシブル基板用の絶縁性基材40を用いた。
これにより、傾斜部401aの傾斜角度が自在に変化することにより、実装用基板4の面方向の応力が緩和され易くなり、また、実装用基板4そのものが応力集中を緩和することができるので、圧電発振器1を外部実装基板などに実装した際に、応力集中に伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0092】
また、上記実施形態の圧電発振器1では、実装用基板4と電子部品6およびパッケージ3との接合部分を含む領域を封止樹脂としてのモールド樹脂により樹脂封止した。
これにより、水分の浸入や温度の変化などの周辺の環境から保護されるとともに、落下した場合などの耐衝撃性が向上し、信頼性の高い圧電発振器1を提供することができる。
さらに、実装用基板4の基材として適用したフレキシブル基板用の絶縁性基材40が弾力性を有する材質であることから、曲げ工程において第2領域面が高い水平度を持って形成されないことも考えられる。このような状況で、仮に突出部60がなければ、第2領域面401b上の接続パターン48とパッケージ3の底面の外部端子35との密着部分の位置や面積などの構成が個体間で異なる場合がある。そして、このようなバラツキは、個体間の耐衝撃性などの信頼性特性のバラツキとなって現れる可能性がある。
上記実施形態の圧電発振器1では、第2領域面の水平度に大きなバラツキがあったとしても突出部60と外部端子35との間の接続及び、突出部60を核としたフィレット形成が可能である。したがって、上記実施形態では、実装用基板4とパッケージ3との接合強度にバラツキが生じ難いという効果を奏する。
【0093】
上記実施形態で説明した圧電発振器、およびその製造方法は、以下の変形例として実施することも可能である。
【0094】
(変形例1)
上記実施形態で説明した実装用基板4は、実装用基板4となる領域が複数個連結された実装用基板フィルムにより、複数の実装用基板4を複数個同時に形成した。このとき、実装用基板フィルムにおいて、1つの実装用基板4毎に調整端子を設ける領域(拡張部分)を隣接させて設けることにより、圧電発振器のサイズを増大させることなく、電子部品6内の各種データーを書き換えて圧電発振器の発振特性の微調整を行うことが可能となる。
図9は、圧電発振器の発振特性を精緻に調整することが可能な実装用基板の変形例を模式的に説明する平面図である。また、図10は、本変形例の実装用基板を用いた圧電発振器の製造方法を説明するフローチャートである。
なお、本変形例の実装用基板、およびそれを用いた圧電発振器の製造方法の構成うち、上記実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
まず、本変形例の実装用基板の構成について説明する。
本変形例の実装用基板140は、図9に示すように、絶縁性基材40に、上記実施形態と同一構成の実装用基板4が形成された領域と、その実装用基板4が形成された領域の拡張領域である拡張部分4aが形成されている。拡張部分4aの上面には、2つの調整端子47が設けられており、それらがそれぞれ独立して、配線を介して実装用基板4が形成された領域に設けられた電極端子部41と電気的に接続されている。これにより、各調整端子47を介して、電子部品6内の各種情報を書き換えることができるようになっている。
【0096】
なお、実装用基板140は、上記実施形態の実装用基板4と同様に、フープ状あるいは大判シート状の絶縁性基材40からなる実装用基板フィルムに複数個連結して同時に形成され、その後、個片の実装用基板4が形成された領域および拡張部分4aからなる1スパンの実装用基板140に切り出される。さらに、実装用基板4が形成された領域および拡張部分4aからなる1スパンの実装用基板140は、最終的には切断線CLから拡張部分4aが切り取られて分離され、完成体の圧電発振器1においては、上記実施形態と同じ実装用基板4部分のみが使用される。
【0097】
次に、本変形例の実装用基板140を用いた圧電発振器の製造方法について、特に、電子部品内の各種情報を書き換えることによる調整工程を中心に説明する。
図10において、本変形例の実装用基板140を用いた圧電発振器の製造方法は、圧電発振器組立工程のうち、ステップS3−13の調整工程、および、ステップS3−14の分離工程以外は、上記実施形態の圧電発振器1の製造方法と同一であるため、説明を省略する。
本変形例の実装用基板140を用いた圧電発振器の製造工程のうち、圧電振動片2製造工程、およびパッケージ組立工程は、図10に示すように、上記実施形態の圧電発振器1の製造方法(図8を参照)と同一である。
また、圧電発振器組立工程においても、ステップS3−1に示す実装用基板フィルム準備からステップS3−4に示すパッケージ搭載工程、および、ステップS3−5に示すモールド工程から完成までの工程は、上記実施形態と同一である。
【0098】
本変形例の実装用基板140を用いた圧電発振器の製造方法では、ステップS3−4に示すパッケージ搭載工程の後で、ステップS3−13に示すように、実装用基板フィルムに形成された複数の圧電発振器1の各々の各種特性を検査し、必要に応じて、電子部品6内の各種情報の書き換えを行う(調整工程)。すなわち、各種特性の検査にて、圧電発振器1の初期的な発振特性値が規格値の許容範囲外であった場合に、電子部品6の各種情報の書き換えによる各種特性の調整をおこなう。ここで、電子部品6の各種情報の書き換えは、実装用基板140の拡張部分4aに設けられた2つの調整端子47に電圧印加用のプローブを接触させ、各調整端子47を介して電子部品6内の各種情報を書き換えることができる。
【0099】
また、必要に応じて、パッケージ3内の圧電振動片2にレーザー光を照射して、その圧電振動片の例えば電極膜の一部を除去する質量削減方式により、圧電振動片2の周波数を調整することもできる。これにより、周波数が精緻に調整された圧電発振器1を提供することができる。
これとは逆に、圧電振動片2に、例えば蒸着により蒸着膜を形成して質量を付加することによっても圧電振動片2の周波数調整は可能である。ただし、質量付加方式による周波数調整では、圧電振動片2に新たな膜(質量付加物質)が形成されることによるCI値の増大やスプリアスの増大や、電極と新たな膜との密着性が確保できないことによるエージング特性への悪影響が及ぶ虞があるので、質量削減方式による周波数調整が好ましい。
【0100】
上記調整工程の後で、次に、ステップS3−6に示すように、切断線CLに沿って拡張部分4aを切断する。これにより、実装用基板140が、実装用基板4が形成された領域と、拡張部分4aとにそれぞれ分離され、上記実施形態の圧電発振器1と同様の実装用基板4を得ることができる(図1を参照)。
【0101】
なお、拡張部分4aを分離することなく、切断線CLで折り返して、電子部品6とパッケージ3との隙間や、その他の隙間に差し込むようにして収容しておく構成としてもよい。これにより、調整端子47を内蔵した圧電発振器1が得られることとなる。このような圧電発振器1では、必要に応じて拡張部分4aを上記隙間から引っ張り出すことにより、随時、電子部品6の各種情報を書き換えることができる。したがって、圧電発振器1の製造後に、圧電発振器1の使用環境が著しく変化した場合でも、その使用環境に応じた各種情報を電子部品6内に書き換えることで、安定した発振が可能な圧電発振器1を得ることができる。
【0102】
上記変形例1の実装用基板140、および、それを用いた圧電発振器の製造方法によれば、上記実施形態の圧電発振器1と同様な効果を奏するとともに、電子部品6の各種情報を書き換えることにより、周波数が精緻に調整することができるとともに、調整端子47が形成された拡張部分4aは、調整工程後に圧電発振器から分離されるので、圧電発振器のサイズを増大させることなく、所望の発振特性を備えた圧電発振器1を得ることができる。
【0103】
(変形例2)
上記実施形態の圧電発振器1において、実装用基板4とパッケージ3との接続に供する突出部60として、曲げ部401の接続パターン48上に設けられ、銅などの金属からなるコア部材61の表面に接合用金属層63などが積層された構成の突出部60を説明したが、これに限らない。変形例2では、上記実施形態の突出部60とは異なる形態の突出部のバリエーションを説明する。
図11〜図15は、実装用基板の突出部の種々の変形例を模式的に説明する部分断面図である。
【0104】
図11に示す突出部71は、曲げ部401の接続パターン48上に設けられ、上記実施形態の突出部60が円柱あるいは角柱などの柱状であるのに対して、球状を呈している。突出部71に用いる材料としては、実装用基板4の接続パターン48やパッケージ3の外部端子35の材料よりも融点の低い金属、あるいは合金を用いることが望ましい。突出部71に用いることが可能な材料としては、例えば金、銀、錫、インジウムなどの金属またはそれらの合金、あるいは半田などを用いることができる。
この構成によれば、従来より用いられている微小な金属球の製造方法により、所望の直径の球状の突出部71を均一な形状で大量に製造することができるので、低コストにて、実装用基板4上へのパッケージ3の安定した接合が可能になる。
【0105】
また、図12に示す突出部72は、上記した図11の突出部71が単一の材料により形成されているのに対して、金属あるいは熱硬化性樹脂などの球状のコア部材73の表面に、接合用の金属層74が積層された構成を有している。
この構成によれば、例えば金、銀、インジウムなどの高価な接合用金属の使用量を最小限に抑えることができる。また、コア部材73の硬さや弾性などを調整することにより、実装用基板4上へのパッケージ3の接合信頼性を向上させることが可能になる。
【0106】
図13に示す突出部80は、ワイヤーボンディング法を応用して金などの金属ワイヤーから形成されるいわゆるスタッドバンプの製造方法により、実装用基板4の曲げ部401の接続パターン48上に形成されたものである。
この構成によれば、スタッドバンプ製造用のワイヤーボンディング装置を用意すれば、比較的容易に、安定した形状の突出部80を形成することができる。
【0107】
図14に示す突出部101は、実装用基板4の曲げ部401の絶縁性基材40上に設けられた突出部材95と、突出部材95上を含む領域に設けられた接続パターン148と、接続パターン148の少なくとも突出部材95上の領域に形成された例えば金や錫などの接合用金属層96と、を有している。
なお、突出部材95は、例えば絶縁性樹脂を用いて形成されるが、金属などの導体を用いて形成してもよい。
また、図14において、突出部101の形状を決定づける突出部材95の形状が断面半円形を呈している例を図示したが、これに限らず、例えば、断面方形状であってもよい。
この構成によれば、実装用基板4の製造工程内で効率よく突出部101を形成することが可能である。
【0108】
また、図15に示す突出部102は、実装用基板4の絶縁性基材40自体を曲げ加工することにより突出形状を形成したものである。すなわち、実装用基板4の曲げ部401において、さらに絶縁性基材40の曲げ部401を上側(パッケージ3が接合される側)に突出する湾曲部分97を形成するように曲げ加工することにより、突出部102の突出形状が形成されている。そして、その絶縁性基材40の湾曲部分97を含む領域に接続パターン248を設け、さらに、接続パターン248の少なくとも湾曲部分97と重なる領域に接合用金属膜98がもうけられている。
この構成によれば、突出部の突出形状を形成するための突出部材が不要になる。
【0109】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0110】
例えば、上記実施形態および変形例の圧電発振器1の製造方法では、電子部品6を搭載した複数の実装用基板4を有する実装用基板フィルムに曲げ部401を形成する曲げ工程(ステップS3−3)の後で、各実装用基板4にパッケージ3を接合するパッケージ搭載工程(ステップS3−4)を行う構成とした。
これに限らず、例えば、上記実施形態よりも厚みの厚い電子部品6を実装用基板4に接合し、その電子部品6の実装用基板4と接合された主面(能動面)とは異なる主面側に、接着剤などによってパッケージ3を位置決め・固定し、その後、曲げ部401を形成する曲げ加工を施してから、突出部60を介して各実装用基板4とパッケージ3とを接合する構成としてもよい。
この構成では、実装用基板4上にパッケージ3を載置した際に、パッケージ3の外底面と電子部品6の上面(能動面とはことなる面)とパッケージ3の外底面とがちょうど接触するように電子部品の厚みを設定する。
この構成によれば、電子部品6とパッケージ3が接着剤により接着されていることにより、電子部品6およびパッケージ3を含む領域に、例えば、トランスファーモールド法によりモールド樹脂を充填する構成とした場合に、電子部品6とパッケージ3との間に発生するボイドを抑えることができる。
【0111】
また、上記実施形態では、圧電発振器1の用途について特に説明していないが、信号の基準周波数を発振する発振器と時刻の基準信号を発振する発振器の両方に併用できるのは勿論であり、あるいは、基準周波数を発振する発振器として単独に用い、また、時刻の基準信号を発振する発振器として単独に用いることも自在にできる。
【0112】
また、上記実施形態および変形例では、電子デバイスおよびその製造方法として、第1電子部品として圧電振動片2を用いた圧電発振器1およびその製造方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の電子デバイスは、発振器の他に、ジャイロセンサー、弾性表面波(SAWフィルター)などに適用される。
【符号の説明】
【0113】
1…電子デバイスとしての圧電発振器、2…第1電子部品としての圧電振動片、3…パッケージ、4…実装用基板、4a…拡張部分、6…第2電子部品としての電子部品、6a…パッド部、7…封止樹脂としてのモールド樹脂、8…外部実装基板、9…隙間、21…圧電体基板、31…パッケージベース、32…蓋部材、34…マウント電極、35…外部端子、39…導電性接着剤、40…絶縁性基材、41…電極端子部、42…配線パターン、43,43a〜43c…実装端子、44…バンプ、45…導体ポスト、46…配線パターン、47…調整端子、48,148,248…接続パターン、60,71,72,80,101,102…突出部、61,73…コア部材、62…バリア層、63…接合用金属層、74…金属層、81,82…回路配線、91,91a〜91c…接続部、92…フィレット、93…スペーサー、95…突出部材、96…接合用金属層、97…湾曲部分、98…接合用金属膜、140…実装用基板、400a…第1領域面、401a…傾斜部、401b…第2領域面、402a,402b…仮想の曲げ線、S1…内部空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装用基板と、前記実装用基板の一方の主面側に搭載され、第1電子部品を収納したパッケージと、前記実装用基板と前記パッケージの外底面との間に搭載され、前記第1電子部品を駆動するための第2電子部品と、を有する電子デバイスの製造方法であって、
前記実装用基板となる領域が複数個連結された実装用基板フィルムを用意し、前記実装用基板の略中央の略水平な第1領域面にそれぞれ前記第2電子部品を搭載する第2電子部品搭載工程と、
前記第1領域面の両側に、前記第1領域面よりも前記パッケージの外底面に近い位置で対面する第2領域面が形成されるように前記実装用基板を曲げ加工してなる曲げ部を形成する曲げ工程と、
前記第2領域面に設けられ、前記パッケージの外底面に向けて突出して、且つ、前記第2領域面を含む領域に設けられた接続パターンと電気的に接続された突出部を介して、前記実装用基板上に前記パッケージを接合するパッケージ搭載工程と、
前記実装用基板フィルムの前記実装用基板となる領域同士の境界を切断し、複数の前記電子デバイスに個片化する切断工程と、を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子デバイスの製造方法において、
前記パッケージ搭載工程が、前記第2電子部品に前記パッケージを接着剤により接着する工程を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子デバイスの製造方法において、
前記実装用基板フィルムが、前記実装用基板となる領域と連結された拡張部分であって、前記第2電子部品搭載工程を経て前記第2電子部品と電気的に接続される調整端子を備える拡張部分を有し、
前記パッケージ搭載工程の後で、前記調整端子を介して前記第2電子部品の情報を書き換えることにより前記第1電子部品の特性を所望の値に調整する調整工程と、
前記調整工程の後で、前記実装用基板となる領域と前記拡張部分とを分離する分離工程と、を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
実装用基板と、
前記実装用基板の一方の主面側に搭載され、第1電子部品を収容したパッケージと、
前記実装用基板と前記パッケージの外底面との間に搭載され、前記第1電子部品を駆動するための第2電子部品と、を有し、
前記実装用基板が、
該実装用基板の略中央にあって前記第2電子部品が搭載される略水平な第1領域面と、
前記第1領域面の両側に配置され、前記第1領域面よりも前記パッケージの外底面に近い位置で対面する第2領域面が形成されるように前記実装用基板を曲げ加工してなる曲げ部と、
前記第2領域面を含む領域に設けられ、前記パッケージとの電気的な接続に供する接続パターンと、
前記第2領域面に設けられ、前記パッケージの外底面に向けて突出して、且つ、前記接続パターンと電気的に接続された突出部と、を有し、
前記実装用基板と前記パッケージとが、前記突出部を介して接合されていることを特徴とする電子デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の電子デバイスにおいて、
前記突出部が、前記第2領域面の前記接続パターン上に配置された金属体であることを特徴とする電子デバイス。
【請求項6】
請求項4に記載の電子デバイスにおいて、
前記パッケージが前記外底面に前記第1電子部品と導通する外部端子を有し、
前記突出部が、前記第2領域面の一部が前記パッケージの外底面に向けて突出するように曲げ加工された湾曲部分と、該湾曲部分の表面上に設けられた前記接続パターンとからなることを特徴とする電子デバイス。
【請求項7】
請求項4に記載の電子デバイスにおいて、
前記実装用基板が、前記曲げ部の前記一方の主面側とは異なる他方の主面側に実装端子を有していることを特徴とする電子デバイス。
【請求項8】
請求項4または7に記載の電子デバイスにおいて、
前記実装用基板が、前記第1領域面と、該第1領域面の両側に有する1対の前記第2領域面との間に、前記第2領域面に対して傾斜した傾斜部を有していることを特徴とする電子デバイス。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか一項に記載の電子デバイスにおいて、
前記実装用基板の基材が、可撓性を有する材料で構成されていることを特徴とする電子デバイス。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれか一項に記載の電子デバイスにおいて、
前記実装用基板の一方の主面と前記パッケージの外底面とが接着剤により接着されていることを特徴とする電子デバイス。
【請求項11】
請求項4〜10のいずれか一項に記載の電子デバイスにおいて、
少なくとも前記実装用基板と前記第2電子部品との接合部分を含む領域が封止樹脂により樹脂封止されていることを特徴とする電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−61756(P2011−61756A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2673(P2010−2673)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2009−210161(P2009−210161)の分割
【原出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】