説明

電子機器

【課題】 簡易な操作で入力でき、かつ誤入力を防止できる電子機器を提供する。
【解決手段】 選択可能な情報入力手段を表示する表示画面と、前記表示画面から所定距離圏内に手指が接近するときに、当該手指の前記表示画面における接近位置を検出する手指検出部と、前記接近位置を検出したときに、当該接近位置における前記情報入力手段を前記表示画面に拡大表示させる表示制御部と、前記表示情報が拡大表示された状態で、前記表示画面に前記手指が接触したときにその接触位置における情報入力手段に対応する入力データを出力する情報出力部とを有する電子機器によれば、ユーザは簡易な操作で情報入力手段を拡大表示でき、拡大表示された情報入力手段を確認してから入力できるので誤入力を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力部に手指が接触したときにその接触位置に対応する入力データを出力する情報出力部を有する電子機器に関し、特に、情報入力部における情報入力手段の拡大表示を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーション、テレビジョン装置、オーディオ機器などの機能が一体化された車載用の電子機器が知られている。かかる電子機器は、主に車両内のインストルメントパネルに搭載して用いられるが、近年では、インストルメントパネルから取り外してユーザが携行でき、車外でも使用可能なPND(Personal Navigation Device)タイプの電子機器も普及しつつある。
【0003】
かかる電子機器は、車室内のインストルメントパネルの限られたスペースに搭載したり携行したりすることから、小型化(例えば幅200mm、高さ15mm、奥行き10mm程度)の傾向にある。一方、テレビ映像や地図画像を表示する表示画面は、映像や画像の見やすさのためにある程度の大きさ(例えば4〜5インチ)を必要とする。よって、上記のような小型サイズの電子機器における表示画面の占める割合が大きくなる。すると、多機能化に対応した種々の操作ボタンを配置するスペースが圧迫され、操作ボタンの配置が困難となる。
【0004】
よって、かかる電子機器では表示画面の面積と操作ボタンの配置スペースを同時に確保するために、タッチパネル式の入力インターフェースが用いられる。すなわち、表示画面上に透明の圧力検知デバイスにより構成されるタッチパネルを設け、表示画面に情報入力手段(例えば文字キーやアイコン画像など)を表示する。そして、ユーザが選択した情報入力手段の表示箇所に手指で接触すると、タッチパネルが接触位置に表示された入力データを出力し、この入力データは目的地までの経路探索や映像、楽曲の検索を実行する情報処理部に取り込まれる。
【0005】
ところで、かかるタッチパネル式の入力インターフェースを用いる場合であっても、限られた面積の表示画面に表示可能な情報入力手段の量には自ずと限界がある。すると、一度に大量の情報入力手段を表示しようとすると個々の情報入力手段の表示が小さくなり、ユーザが手指で接触するのに不都合が生じる。例えば、文字の選択入力を行うための文字キーや地図上の目的地を選択入力するためのアイコン画像を表示する場合に、個々キーやアイコン画像の表示面積が小さいと、ユーザが誤ったキーやアイコン画像に接触して、誤入力するおそれがある。
【0006】
よって、かかる問題に対処すべく、入力を支援する方法が種々提案されている。その1つとして、ユーザが情報入力手段を選択する際に、一旦これを拡大表示することでユーザが選択しようとする情報入力手段を確認でき、誤入力を防止する方法が提案されている。たとえば、特許文献1、2には、ユーザが接触した文字キーや文字列といった情報入力手段を拡大表示する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2000−284774号公報
【特許文献2】特開2004−355336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法では、ユーザが最初の接触位置を誤ると目的とする情報入力手段が拡大表示されない。すると、ユーザは再度、情報入力手段を拡大表示させるための操作が必要となる。よって、目的とする情報入力手段を拡大表示させてこれを確認し、選択するまでの操作が煩雑なものとなる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、より簡易な操作で情報入力手段を選択入力でき、かつ誤入力を防止できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によれば、電子機器は、情報入力部と、前記情報入力部から所定距離圏内に手指が接近するときに、当該手指の前記情報入力部への接近位置を検出する手指検出部と、前記接近位置を検出したときに、当該接近位置における前記情報入力部の情報入力手段を拡大表示させる表示制御部と、前記情報入力手段が拡大表示された状態で、前記情報入力部に前記手指が接触したときにその接触位置に対応する入力データを出力する情報出力部とを有する。
【0010】
上記側面の好ましい態様によれば、前記表示制御部は、手指と表示画面の距離に応じて前記情報入力手段の拡大比率を変化させることを特徴とする。
【0011】
上記側面の別の好ましい態様によれば、前記表示制御部は、前記手指の移動方向を検出したときに当該移動方向に表示された情報入力手段を拡大表示することを特徴とする。
【0012】
上記側面の別の好ましい態様によれば、前記表示制御部は、前記接近位置における情報入力手段に入力候補に対応する情報入力手段が含まれるときに、当該情報入力手段の表示状態を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子機器は、より簡易な操作で情報入力手段の選択入力ができ、かつ誤入力を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0015】
図1は、本実施形態における電子機器の外観を示す図である。この電子機器10は、一例としてカーナビゲーション、テレビジョン装置、オーディオ機器としての機能を有し、車室内のインストルメントパネルに搭載して使用したり、あるいはユーザが携行して車外で使用したりすることが可能なPNDタイプの電子機器である。
【0016】
電子機器10は、地図画像やテレビ映像を表示するとともに、ユーザが選択可能な情報入力手段を表示する表示画面12を有する。ここでは、文字キーが情報入力手段として示されるが、情報入力手段には、文字列や記号、あるいは操作ボタンやアイコンなどの画像などが含まれる。表示画面12は、たとえば液晶表示パネルまたは有機ELパネルで構成される。また、表示画面12上には、透明の圧力検知デバイスにより構成されユーザの手指の接触による圧力を検知するタッチパネル14が設けられる。そして、表示画面12とタッチパネル14とで情報入力部11を構成する。そして、電子機器10の本体内部には、電子機器10の各種機能を実現する電子回路が格納される。
【0017】
図2は、本実施形態における電子機器10の概略構成図である。電子機器10は、上述したように表示画面12とタッチパネル14とで構成される情報入力部11を有する。そして、電子機器10は、表示画面12の表示出力を制御する表示制御部18と、タッチパネル14における接触位置を検出する情報出力部16を有する。情報出力部16は、ユーザの手指が情報入力部11に接触したときに、その接触位置に表示された情報入力手段に対応する入力データを表示制御部18から取得して、後述する情報処理部に出力する。たとえば電子機器10をカーナビゲーションとして使用する際の目的地の選択入力、テレビジョン装置として使用する際のチャネルや映像データの選択入力、あるいはオーディオ機器として使用する際の楽曲データの選択入力は、情報入力部11と情報出力部16から行われる。
【0018】
また電子機器10は、情報出力部16からの入力データに基づき各種情報処理を実行する「情報処理部」を有する。ここでは、ナビゲーション制御部20、AV(オーディオ・ビジュアル)制御部22が情報処理部に対応する。
【0019】
ナビゲーション制御部20には、ユーザが選択入力した目的地データ、GPS(Global Positioning System)受信機28が取得した現在位置データ、及び記憶装置30に予め格納される地図データが入力される。ナビゲーション制御部20は、予めその内部または外部のメモリに格納される処理プログラムに従って、地図データに基づき現在地から目的地までの経路探索処理を実行する。そして、探索結果を、表示制御部18を介して表示画面12に表示出力させる。
【0020】
AV制御部22は、ユーザが選択入力したチャネルや映像名などの入力データが入力される。そして、入力されたチャネルの受信をテレビジョン受信機36に指示し、または記憶装置30に格納された映像データのリストを記憶装置30から取得して、リストからユーザが選択した映像データの所在を検索する。そして、検索した映像データを記憶装置30から読み出して、映像信号とその同期信号を表示制御部18に、音声信号を音声出力部34に出力する。そして表示制御部18は、映像信号と同期信号に基づき映像を表示画面12に出力する。また、音声出力部34は、音声信号に基づき音声出力を行う。
【0021】
あるいは、AV制御部22は、ユーザが選択入力した楽曲名などの入力データが入力される。そして、記憶装置30に格納された楽曲データのリストを記憶装置30から取得して、リストからユーザが選択した楽曲データの所在を検索する。そして、検索した楽曲データを記憶装置30から読み出して音声出力部34に出力し、音声出力部34が楽曲の音声を出力する。
【0022】
なお、記憶装置30は、ハードディスクやDVD、あるいは不揮発性メモリなどの記憶媒体で構成される。
【0023】
また電子機器10は、情報入力部11に接近する手指の情報入力部11における接近位置を検出する手指検出部26を有する。手指検出部26は、赤外線センサ、静電センサ、小型レーダなどで構成される手指検知センサ24の検知結果に基づき、手指の情報入力部11上における位置を検出する。さらに好ましくは、手指検出部26は、情報入力部11からの手指の距離を検出する。
【0024】
手指検知センサ24としてユーザの手指が発する赤外線を検出する赤外線センサを用いる場合には、複数の赤外線センサを表示画面12周囲(たとえば表示画面12の四隅)に配置する。赤外線センサの検知結果が手指検出部26に入力されると、手指検出部26は手指を検知した赤外線センサの位置に基づき、情報入力部11における手指の接近位置を検出する。またこの場合、情報入力部11から手指までの距離は、赤外線センサが手指を検知可能な距離圏内にあることが検出される。
【0025】
また、手指検知センサ24として、赤外線センサの代わりに接近する手指に静電結合したときに静電容量の変化を検知する静電センサを用いてもよい。この場合、手指検出部26は、手指を検知した静電センサの位置に基づき手指の接近位置を検出する。また、情報入力部11から手指までの距離は、静電センサが手指を検知可能な距離圏内にあることを検出する。
【0026】
さらに、手指検知センサ24として小型のレーダ装置を用いる場合には、表示画面12の周囲における同一直線上にない三点にレーダ送受信アンテナを配置する。そして、例えばレーダ送受信アンテナはパルス波を送信して手指による反射を受信する。そして、手指検出部26は、パルス波の往復時間から、三点から手指までの距離を求める。ここで、三点は同一直線上にないので、3つの計測距離により情報入力部11における手指の接近位置と情報入力部11からの距離とが検出される。
【0027】
なお、上記構成において、表示制御部18、タッチパネル制御部16、ナビゲーション制御部20、AV制御部22、手指検出部26は、たとえば特定目的用集積回路やDSP(Digital Signal Processor)などの演算処理装置、あるいはマイクロコンピュータで構成される。また、各部は電子機器10の内蔵バッテリから電源を取得可能に構成される。
【0028】
上記のように構成される電子機器10では、手指検出部26が検出した手指の接近位置やその移動、または情報入力部11からの距離は、表示制御部18に入力される。そして、情報入力部11からの手指の距離と情報入力部11上での接近位置とが検出されたときに、表示制御部18が接近位置における情報入力手段を情報入力部11に拡大表示させる。そうすることで、ユーザは手指を情報入力部11に接近させるだけの容易な操作によって情報入力手段を拡大表示させることができ、これを確認してから情報入力部11上に接触することで選択入力できる。よって、より容易な操作で情報入力手段の選択入力ができ、かつ誤入力を防止できる。
【0029】
次に、電子機器10の詳細な手順を説明する。
【0030】
[第1の実施例]
第1の実施例として、手指の距離が所定距離圏内のときに拡大表示する動作手順を説明する。ここで、所定距離圏内は、手指検知センサ24が手指を検知可能な距離を基準にして任意に設定される。ここでは、電子機器30がカーナビゲーションとして使用されるときの目的地入力を例として、情報入力部11が情報入力手段として文字キーを表示する場合を示す。
【0031】
図3は、第1の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図である。図4は、情報入力部11が表示する情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。図4を参照しつつ、図3に従って動作手順を説明する。
【0032】
図3の手順は、1つの文字が選択入力されるごとに実行される。まず、表示制御部18は、文字キーの初期表示を行う(S2)。図4(A)は、初期表示の例を示す。情報入力部11の下段に選択入力可能な表示情報としての文字キーが表示され、情報入力部11の上段には選択入力済みの文字が表示される。
【0033】
ここで、例えばユーザが「K」の文字キーを押す場合には、ユーザは手指を文字キー「K」に接近させる。すると、手指検出部26が手指の接近を検出する(S4)。手指が検出された時点で、情報入力部11と手指の距離は検知可能な所定の距離圏内にあるので(S6のYES )、情報入力部11上における手指の接近位置を検出する(S8)。ここで、手指が文字キー「K」付近にあることが検出される。
【0034】
そして、表示制御部18は、手指の接近位置付近を拡大表示する(S10)。図4(B)は、接近位置付近が拡大表示された状態を示す。ここにおいて、文字キー「K」を含む文字キー「K」付近の文字キーが拡大表示されるので、ユーザは文字キー「K」の位置を容易に確認でき、誤ることなくこれに接触することができる。
【0035】
情報出力部16は、手指の接触を検出すると(S12のYES)、情報入力部11における接触位置に対応する表示情報、つまり文字「K」を表示制御部18から取得して、これに対応する入力データを情報処理部に出力する(S14)。なお、このとき情報出力部16から表示制御部18に選択された入力データが送られ、選択済みの文字として表示される。そして、拡大表示を終了する(S16)。よって、図4(C)に示すように、初期表示に戻る。また、情報入力部11と手指の距離が検知可能な所定距離圏外となったときに初期表示に戻る手順を実行してもよい。
【0036】
なお、初期表示や拡大表示のための画像データは、表示制御部18の内部メモリに格納される。あるいは、ナビゲーション制御部20やAV制御部22の内部メモリに格納される画像データを表示制御部18が取得してもよい。
【0037】
[第2の実施例]
次に、表示制御部18が、手指と情報入力部11の距離に応じて前記情報入力手段の拡大比率を変化させる場合について説明する。小型のレーダを手指検知センサ24として用いた構成によれば、情報入力部11からの手指の距離を検出できる。
【0038】
図5は、第2の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図である。図5は、図3のフローチャート図の変形例に対応する。図6は、情報入力部11に表示される情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。図6を参照しつつ、図5に従って動作手順を説明する。
【0039】
まず、表示制御部18は、図6(A)に示すように文字キーの初期表示を行う(S2)。ここで、例えばユーザが「K」の文字キーを押す場合には、ユーザは手指を文字キー「K」に接近させる。すると、手指検出部26が手指の接近を検出する(S4)。手指が検出された時点で、情報入力部11と手指の距離は検知可能な所定の距離圏内にあるので(S6のYES )、手順S7に進む。
【0040】
第2の実施例では、手指検出部26は情報入力部11から手指までの距離を検出する(S7)。そして、情報入力部11上における手指の接近位置を検出する(S8)。ここで手指が文字キー「K」付近にあることが検出される。
【0041】
そして、表示制御部18は、手指の距離に対応した拡大率を算出する(S9)。ここで、距離が小さいほど大きい拡大率が算出される。拡大率の算出に際しては、予め定めた関係式に基づき演算処理を行ってもよいし、距離と拡大率が対応づけられたマップデータを予めメモリに格納しておき、これを用いて拡大率を導出してもよい。そして、表示制御部18は、導出した拡大率に基づいて接近位置付近を拡大表示する(S10)。図6(B)は、接近位置付近が拡大表示された状態を示す。ここにおいて、文字キー「K」を含む文字キー「K」付近の文字キーが拡大表示される。
【0042】
そして、情報出力部16が手指の接触を検出しないまま(S12のNO)所定時間(任意に設定可能な動作周期とする)が経過し、さらに手指が接近すると、手順S4〜S10が実行される。そして、手指の距離に応じた拡大率で文字キーが拡大表示される。図6(C)は、さらに大きい拡大率で接近位置付近が拡大表示された状態を示す。このように、文字キー「K」を含む文字キー「K」付近の文字キーがさらに大きく拡大表示されるので、ユーザは容易に文字キー「K」の位置を確認でき、これに接触することができる。
【0043】
そして、情報出力部16は、手指の接触を検出すると(S12のYES)、情報入力部11における接触位置に対応する表示情報、つまり文字「K」を表示制御部18から取得して、これに対応する入力データを情報処理部に出力する(S14)。なお、このとき情報出力部16から表示制御部18に選択された入力データが送られ、選択済みの文字として表示される。そして、拡大表示を終了する(S16)と、図6(D)に示すように初期表示に戻る。
【0044】
上記の説明では2段階の拡大率の場合を例としたが、さらに複数の段階に分けることができる。段階数が多いほどシームレスな拡大表示が可能となる。このように、手指が接近するほど大きい拡大率で段階的に拡大表示されるので、拡大表示されたときに目的のキーを一時的に見失うということがない。つまり、ユーザは戸惑いを感じることなく目的のキーを認識できるので、利便性を向上できる。そして、誤ることなく目的の文字キーに接触することができる。
【0045】
[第3の実施例]
次に、表示制御部18が、手指の移動方向に応じて拡大表示される情報入力手段を変化させる変形例について説明する。
【0046】
図7は、第3の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図である。図7は、図5のフローチャート図の変形例に対応する。図8は、情報入力部11に表示される情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。図8を参照しつつ、図7に従って動作手順を説明する。
【0047】
まず、表示制御部18は、図8(A)に示すように文字キーの初期表示を行う(S2)。例えばユーザが「M」の文字キーを押す場合には、ユーザは手指を文字キー「M」に接近させる。ここで、ユーザの手指が文字キー「M」ではなく「K」付近に接近すると、手指検出部26が手指の接近を検出する(S4)。そして手指が検出された時点で、情報入力部11と手指の距離は検知可能な距離圏内にあるので(S6のYES )、情報入力部11からの手指の距離を検出し(S7)、情報入力部11上における手指の接近位置を検出する(S8)。そして手指が文字キー「K」付近にあることが検出される。
【0048】
第3の実施例では、表示制御部18は、手指の接近位置が移動したことを確認する(S8a)。まず、移動が確認されない場合(S8aのNO)、手指の距離に対応した拡大率を算出し(S9)、導出した拡大率に基づいて、図8(B)に示すように接近位置付近を拡大表示する(S10)。よって、まず文字キー「K」付近が拡大表示される。
【0049】
そして、手指の接触が検出されない場合には(S12のNO)、手順S4からS8aが繰り返し実行される。ここで、図8(C)に示すように、手指が目的とする文字キー「M」に向けて右側に移動すると、接近位置の移動が確認される(S8aのYES)。すると、表示制御部18は、接近位置を再度検出する(S8b)。そして手指の距離に対応した拡大率を算出し(S9)、導出した拡大率に基づいて接近位置付近を拡大表示する(S10)。よって、表示画面が全体的に左側にスクロールし、文字キー「M」付近が拡大表示される。
【0050】
そして、情報出力部16が手指の接触を検出しないまま(S12のNO)所定時間が経過し、さらに手指が接近すると、手順S4〜S10が実行される。そして、手指の距離に応じた拡大率で文字キーが拡大表示される。図8(D)は、再度検出された接近位置付近が拡大表示された状態を示す。ここにおいて、文字キー「M」を含む文字キー「M」付近の文字キーがさらに大きく拡大表示されるので、ユーザは文字キー「M」の位置を容易に確認でき、誤ることなくこれに接触することができる。
【0051】
そして、情報出力部16は、手指の接触を検出すると(S12のYES)、情報入力部11における接触位置に対応する表示情報、つまり文字「M」を表示制御部18から取得して、これに対応する入力データを情報処理部に出力する(S14)。なお、このとき情報出力部16から表示制御部18に選択された入力データが送られ、選択済みの文字として表示される。そして、拡大表示を終了する(S16)と、初期表示に戻る。
【0052】
このように、手指が接近してある程度の拡大率で情報入力手段が拡大表示され、目的とする情報入力手段に向けて手指を移動させると、移動方向に表示された情報入力手段が情報入力部11中央に表示される。このような手順によれば、目的のキーが押しやすい位置に表示されるので、ユーザは目的のキーを確認しやすくなる。よって、目的のキーを容易に認識できるので、利便性を向上できる。
【0053】
[第4の実施例]
上記では、情報入力手段として文字キーを表示する場合を示した。次に、画像を情報入力手段として表示する場合について説明する。次に示す例は、カーナビゲーションを使用するときに、地図画像とその上に表示される目的地アイコンが情報入力手段に対応する。
【0054】
図9は、情報入力部11に表示される情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。なお、電子機器10の動作手順は、第1〜第3の実施例で示した動作手順と同じ手順が適用される。
【0055】
図9(A)は地図画像と目的地アイコンの初期表示状態を示す。図9(B)は手指が接近したときの表示状態、図9(C)は、さらに手指が接近したときの表示状態を示す。このように、初期表示状態では市街地などの目的地が密集した地域では特に目的地アイコンが接近して接触しにくいが、手指の接近に応じて接近位置における地図画像と目的地アイコンとが拡大表示されることで、拡大表示されたエリアでは目的地アイコンは適度な間隔に配置される。よって、ユーザは目的とするアイコンに容易に確認して接触することができる。そして、情報出力部16から、接触位置に対応する目的地データがナビゲーション制御部20に出力される。
【0056】
なお、初期表示や拡大表示のための画像データは、表示制御部18の内部メモリに格納される。あるいは、ナビゲーション制御部20の内部メモリや、記憶装置30に格納される画像データを表示制御部18が取得してもよい。
【0057】
[第5の実施例]
上記の第1〜第3の実施例の変形例として、拡大表示される情報入力手段のうち、入力可能な情報をさらに選択し易いように表示する場合について説明する。
【0058】
図10は、第5の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図である。図10は、図3、5、7のフローチャート図における手順S10のサブルーチンに対応する。図11は、情報入力部11の表示例(図11(A))と、入力候補データについて説明する図である。図11を参照しつつ、図10に従って動作手順を説明する。
【0059】
まず、表示制御部18は手指の接近位置付近の文字キーを拡大表示する(S101)。ここで、図11(A)に示すように、文字「A」「B」が入力済みの状態で、次の文字「C」を入力する場合について説明する。第5の実施例では、表示制御部18の内部メモリ、あるいは記憶装置30には、図11(B)に示すような入力候補データDBが予め格納される。ここでは、入力候補データDBは、入力候補として、「ABCビル」、「ACデパート」、「BAホテル」という目的地の入力候補を有する。
【0060】
まず、表示制御部18は、表示済みの文字「A」「B」からなる文字列「AB」と前方一致する入力候補を入力候補データDBから検索する(S102)。すると、一致する文字列「ABCビル」が検索される(S104のYES)。
【0061】
次に、表示制御部18は、文字列「AB」の次の文字として選択されたときに、入力候補「ABCビル」と前方一致する文字列「ABC」を構成する文字「C」が手指の接近位置に表示される文字キーに含まれることを確認する(S106のYES)。そして、ユーザが文字キー「C」を選択し易いように、表示状態を変更する(S108)。ここでは、他の文字キーより文字キー「C」をさらに大きく表示する例が示される。このようにして、ユーザの効率的な入力を支援できる。入力した文字列が無効の場合に、ユーザに再入力をさせる必要がなくなるので、利便性が向上する。
【0062】
なお、表示状態は上記のほか、選択可能でない文字キーを非表示にしたり、情報出力部が選択不可能に制御したりすることが可能である。さらに、前方一致する文字が複数ある場合には、その複数の文字を同じ大きさに表示することが可能である。あるいは、過去の入力履歴を表示制御部18のメモリに格納しておき、入力頻度に応じて文字の表示状態に差をつけてもよい。例えば、入力頻度が上位の文字を大きく表示し、下位の文字を小さく表示することなどが可能である。
【0063】
上述においては、カーナビゲーションを使用するときの目的地入力を例として説明したが、テレビジョン機能を使用するときのチャネルや映像名の選択入力や、オーディオ機能を使用するときの楽曲名の選択入力にも、上述の手順が適用できる。さらに、情報入力手段として上述した文字キーやアイコン画像の他に、文字列や種々の記号、あるいは操作ボタンなどの画像を用いた場合にも、上記の手順が適用できる。
【0064】
また、上述においては、カーナビゲーション、テレビ受像機、オーディオなどの機能が一体化された車載用の電子機器を例としたが、これら個々の機能を別々に有する携帯用のテレビやオーディオプレーヤー、あるいはPDA(Personal Digital Assistance)などの情報処理機能を備えた電子機器にも本実施形態は適用できる。
【0065】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、より簡易な操作で情報入力手段を選択入力でき、かつ誤入力を防止できる電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態における電子機器の外観を示す図である。
【図2】本実施形態における電子機器10の概略構成図である。
【図3】第1の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図である。
【図4】情報入力部11が表示する情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。
【図5】第2の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図
【図6】情報入力部11に表示される情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。
【図7】第3の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図である。
【図8】図8は、情報入力部11に表示される情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。
【図9】情報入力部11に表示される情報入力手段の遷移を示す画面遷移図である。
【図10】第5の実施例における電子機器10の動作手順を説明するフローチャート図である。
【図11】情報入力部11の表示例と、入力候補について説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
10:電子機器、11:情報入力部、12:表示画面、14:タッチパネル、16:情報出力部、18:表示制御部、20:ナビゲーション制御部、22:AV制御部、24:手指検知センサ、26:手指検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報入力部と、
前記情報入力部から所定距離圏内に手指が接近するときに、当該手指の前記情報入力部への接近位置を検出する手指検出部と、
前記接近位置を検出したときに、当該接近位置における前記情報入力部の情報入力手段を拡大表示させる表示制御部と、
前記情報入力手段が拡大表示された状態で、前記情報入力部に前記手指が接触したときにその接触位置に対応する入力データを出力する情報出力部とを有する電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示制御部は、手指と前記情報入力部との距離に応じて前記情報入力手段の拡大比率を変化させることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1において、
前記表示制御部は、前記手指の移動方向が検出されたときに当該移動方向における情報入力手段を拡大表示することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1において、
前記表示制御部は、前記接近位置における情報入力手段に入力候補に対応する情報入力手段が含まれるときに、当該情報入力手段の表示状態を変更することを特徴とする電子機器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−128685(P2010−128685A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301201(P2008−301201)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】