説明

電子装置

【課題】オン駆動用スイッチング素子がオン故障等してスイッチング素子をオフできない異常状態になっても、スイッチング素子の熱破壊を防止することができる電子装置を提供する。
【解決手段】制御回路128は、オン駆動用抵抗121bの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET121aに流れる電流を検出する。そして、駆動信号がIGBT110dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET121aに電流が流れているとき、駆動用電源回路120の動作を停止させ、駆動用電源回路120からの電圧の供給を遮断する。その結果、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。従って、オン駆動用スイッチング素子がオン故障等した場合であっても、スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子と、駆動回路とを備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子と、駆動回路とを備えた電子装置として、例えば特許文献1に開示されている電力変換器がある。
【0003】
この電力変換器は、IGBTと、3つのMOSFETと、制御回路とを備えている。第1のMOSFETのソースは駆動回路電源に、ドレインはIGBTのゲートに、ゲートは制御回路にそれぞれ接続されている。第2及び第3のMOSFETのソースはIGBTのエミッタに、ドレインはIGBTのゲートに、ゲートは制御回路にそれぞれ接続されている。
【0004】
制御回路は、外部から入力される駆動信号に基づいて3つのMOSFETを制御してIGBTを駆動する。駆動信号がIGBTのオンを指示すると、制御回路は、第1のMOSFETをオンするとともに、第2のMOSFETをオフする。これにより、駆動回路電源からIGBTのゲートに電荷が充電される。その結果、ゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より高くなり、IGBTがオンする。
【0005】
一方、駆動信号がIGBTのオフを指示すると、制御回路は、第1のMOSFETをオフするとともに、第2のMOSFETをオンする。これにより、IGBTのゲートから電荷が放電される。その結果、ゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より低くなり、IGBTがオフする。そして、ゲート電圧が所定値以下になると、制御回路は、第3のMOSFETをオンする。これにより、IGBTのゲートから電荷がさらに放電され、IGBTのオフ状態が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3430878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した電力変換器において、第1のMOSFETがオン故障したときや誤動作によってオンしたときに第2のMOSFETがオンすると、IGBTのゲート電圧が低下せず、IGBTをオフできない異常状態が発生する。このとき、IGBTのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧であると、コレクタ−エミッタ間電圧、つまりオン電圧が増加し、IGBTの発熱が増大する。このような異常状態が継続すると、IGBTが発熱し熱破壊する可能性がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、第1のMOSFETに相当するオン駆動用スイッチング素子がオン故障等してスイッチング素子をオフできない異常状態になっても、スイッチング素子の熱破壊を防止することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、駆動信号とオン駆動用スイッチング素子に流れる電流に基づいてオフ駆動スイッチング素子以外でスイッチング素子をオフすることで、オン駆動用スイッチング素子がオン故障等してスイッチング素子をオフできない異常状態になっても、スイッチング素子の熱破壊を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の電子装置は、制御端子の電圧を制御することで駆動される第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子を駆動するための電圧を供給する駆動用電源回路と、一端が駆動用電源回路の出力端子に接続されるとともに、他端が第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電するオン駆動用スイッチング素子と、第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電するオフ駆動用スイッチング素子と、入力される駆動信号に基づいてオン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子を制御することで、第1スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して第1スイッチング素子を駆動する制御回路と、を備えた電子装置において、制御回路は、駆動信号が第1スイッチング素子のオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているとき、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断し、オフ駆動用スイッチング素子以外で第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、駆動信号が第1スイッチング素子のオフを指示すると、制御回路は、オン駆動用スイッチング素子をオフするとともに、オフ駆動用スイッチング素子をオンする。これにより、第1スイッチング素子がオフする。しかし、オン駆動用スイッチング素子がオン故障したり誤動作によってオンしたりすると、正常状態においては流れない電流がオン駆動用スイッチング素子に流れる。そして、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が充分に低下せず、第1スイッチング素子をオフできない異常状態が発生する。このとき、制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧であると、オン電圧が増加し、第1スイッチング素子の発熱が増大する。このような異常状態が継続すると、第1スイッチング素子が発熱し熱破壊する可能性がある。しかし、制御回路は、駆動信号が第1スイッチング素子のオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているとき、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断する。そして、オフ駆動用スイッチング素子以外で第1スイッチング素子をオフする。そのため、オン駆動用スイッチング素子がオン故障等して第1スイッチング素子をオフできない異常状態になっても、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の電子装置は、オン駆動用スイッチング素子は、他端がオン駆動用抵抗を介して第1スイッチング素子の制御端子に接続をされ、制御回路は、オン駆動用抵抗の電圧に基づいてオン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする。この構成によれば、電流検出用の抵抗を新たに設けることなくオン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを確実に判断することができる。
【0013】
請求項3に記載の電子装置は、オン駆動用スイッチング素子は、一端が電流検出用抵抗を介して駆動用電源回路の出力端子に接続され、制御回路は、電流検出用抵抗の電圧に基づいてオン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする。この構成によれば、駆動用電源回路とオン駆動用スイッチング素子の間に設けられた電流検出用抵抗によって、オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを確実に判断することができる。
【0014】
請求項4に記載の電子装置は、駆動用電源回路は、入力端子が電流検出用抵抗を介して電源回路に接続され、電源回路の電圧を変換し、第1スイッチング素子を駆動するための電圧を供給し、制御回路は、電流検出用抵抗の電圧に基づいてオン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする。この構成によれば、駆動用電源回路からオン駆動用スイッチング素子に電流が流れることで、電源回路から駆動用電源回路にも電流が流れる。そのため、電源回路と駆動用電源回路の間に設けられた電流検出用抵抗によって、オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを確実に判断することができる。
【0015】
請求項5に記載の電子装置は、制御回路は、駆動用電源回路の電圧に基づいてオン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする。この構成によれば、駆動用電源回路からオン駆動用スイッチング素子に電流が流れると、駆動用電源回路の電圧が低下する。そのため、駆動用電源回路の電圧に基づいてオン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを確実に判断することができる。
【0016】
請求項6に記載の電子装置は、オン駆動用抵抗の抵抗値は、第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されていることを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子の制御端子の充電に必要な電流を確保しつつ、抵抗値を押さえて設定することができる。そのため、オン駆動用抵抗の損失を抑えることができる。
【0017】
請求項7に記載の電子装置は、第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時における第1スイッチング素子の周囲温度を考慮したものであることを特徴とする。この構成によれば、動作時における周囲温度によって第1スイッチング素子の制御端子の充電に必要な電流は変化する。しかし、そのような場合であっても、第1スイッチング素子の制御端子の充電に必要な電流を確保しつつ、抵抗値を抑えて設定することができる。そのため、オン駆動用抵抗の損失を抑えることができる。
【0018】
請求項8に記載の電子装置は、電流検出用抵抗の抵抗値は、第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されていることを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子の制御端子の充電に必要な電流を確保しつつ、抵抗値を抑えて設定することができる。そのため、電流検出用抵抗による損失を抑えることができる。
【0019】
請求項9に記載の電子装置は、第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時における第1スイッチング素子の周囲温度を考慮したものであることを特徴とする。この構成によれば、動作時における周囲温度によって第1スイッチング素子の制御端子の充電に必要な電流は変化する。しかし、そのような場合であっても、第1スイッチング素子の制御端子の充電に必要な電流を確保しつつ、抵抗値を抑えて設定することができる。そのため、電流検出用抵抗の損失を抑えることができる。
【0020】
請求項10に記載の電子装置は、制御回路は、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、駆動用電源回路からの電圧の供給を遮断して第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子が異常状態にあるとき、第1スイッチング素子を駆動するための制御端子への電圧を遮断することで、第1スイッチング素子をオフする。そのため、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0021】
請求項11に記載の電子装置は、第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電するオフ保持用スイッチング素子を有し、制御回路は、第1スイッチング素子の制御端子の電圧がオン、オフの閾値電圧より低いオフ保持閾値以下になると、オフ保持用スイッチング素子を制御して第1スイッチング素子のオフ状態を保持し、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、オフ保持用スイッチング素子を制御して第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子が異常状態にあるとき、オフ保持用スイッチング素子を制御して第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電させことで、第1スイッチング素子をオフする。そのため、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0022】
請求項12に記載の電子装置は、第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電するオフ保持用スイッチング素子と、第1スイッチング素子の制御端子の電圧をオン、オフの閾値電圧より低いオフ保持閾値以下にクランプする電圧クランプ回路と、を有し、制御回路は、第1スイッチング素子の制御端子の電圧がオフ保持閾値以下になると、オフ保持用スイッチング素子を制御して第1スイッチング素子のオフ状態を保持し、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、電圧クランプ回路を作動させて第1スイッチング素子の制御端子の電圧をオフ保持閾値以下にクランプすることを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子が異常状態にあるとき、電圧クランプ回路を作動させて第1スイッチング素子の制御端子の電圧をオフ保持閾値以下にする。そのため、オフ保持用スイッチング素子によって第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電し、第1スイッチング素子をオフすることができる。従って、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0023】
請求項13に記載の電子装置は、制御端子の電圧を制御することで駆動され、第1スイッチング素子に直列接続される第2スイッチング素子と、入力される駆動信号に基づいて第2スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して第2スイッチング素子を駆動するとともに、第2スイッチング素子に異常電流が流れているとき、第2スイッチング素子をオフする駆動回路と、を有し、制御回路は、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、第1スイッチング素子をオンすることを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子が異常状態にあり、オンしている場合、第2スイッチング素子がオンすると、第1及び第2スイッチング素子がともにオン状態となり、第1及び第2スイッチング素子に異常電流が流れる。第2スイッチング素子に異常電流が流れると、駆動回路が、第2スイッチング素子をオフする。そのため、第1スイッチング素子に流れる異常電流を遮断することができる。従って、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0024】
請求項14に記載の電子装置は、制御回路は、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、第1スイッチング素子の制御端子を、オン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子から遮断することを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子が異常状態にあるとき、第1スイッチング素子を駆動するための制御端子への電圧の供給を遮断することで、第1スイッチング素子をオフする。そのため、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0025】
請求項15に記載の電子装置は、制御回路は、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、異常信号を外部に出力することを特徴とする。この構成によれば、第1スイッチング素子の異常状態を外部に知らせることができる。
【0026】
請求項16に記載の電子装置は、制御回路は、駆動信号が第1スイッチング素子のオンを指示し、第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電するための所定時間経過したにもかかわらず、オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているとき、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断し、オフ駆動用スイッチング素子以外で第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、駆動信号が第1スイッチング素子のオンを指示すると、制御回路は、オフ駆動用スイッチング素子をオフするとともに、オン駆動用スイッチング素子をオンする。これにより、第1スイッチング素子がオンする。しかし、オフ駆動用スイッチング素子がオン故障したり誤動作によってオンしたりすると、第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電するための所定時間経過したにもかかわらず、正常状態においては流れない電流がオン駆動用スイッチング素子に流れる。そして、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が充分に上昇せず、第1スイッチング素子をオンできない異常状態が発生する。このとき、制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧であると、オン電圧が増加し、第1スイッチング素子の発熱が増大する。このような異常状態が継続すると、第1スイッチング素子が発熱し熱破壊する可能性がある。しかし、制御回路は、駆動信号が第1スイッチング素子のオンを指示し、第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電するための所定時間経過したにもかかわらず、オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているとき、第1スイッチング素子が異常状態にあると判断する。そして、オフ駆動用スイッチング素子以外で第1スイッチング素子をオフする。そのため、オフ駆動用スイッチング素子がオン故障等して第1スイッチング素子をオンできない異常状態になっても、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0028】
なお、第1及び第2スイッチング素子、スイッチング素子をそれぞれ区別するために便宜的に導入したものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態におけるモータ制御装置の回路図である。
【図2】図1における制御装置の回路図である。
【図3】正常状態における駆動信号、オン駆動用FET及びオフ駆動用FETのタイミングチャートと、各FETに流れる電流及びIGBTのゲート電圧波形である。
【図4】オン駆動用FETがオン故障等した場合における駆動信号、オン駆動用FET及びオフ駆動用FETのタイミングチャートと、各FETに流れる電流及びIGBTのゲート電圧波形である。
【図5】オフ駆動用FETがオン故障等した場合における駆動信号、オン駆動用FET及びオフ駆動用FETのタイミングチャートと、各FETに流れる電流及びIGBTのゲート電圧波形である。
【図6】第2実施形態における制御装置の回路図である。
【図7】第2実施形態に対して電流検出用抵抗の接続位置を変更した別形態における制御装置の回路図である。
【図8】第2実施形態に対して電流検出用抵抗を廃止した別形態における制御装置の回路図である。
【図9】第3実施形態における制御装置の回路図である。
【図10】第4実施形態における制御装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る電子装置を、車両に搭載され、車両駆動用モータを制御するモータ制御装置に適用した例を示す。
【0031】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して第1実施形態のモータ制御装置の構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態におけるモータ制御装置の回路図である。
【0032】
図1に示すモータ制御装置1(電子装置)は、車体から絶縁された高電圧バッテリB1の出力する直流高電圧(例えば288V)を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給し、車両駆動用モータM1を制御する装置である。モータ制御装置1は、平滑コンデンサ10と、インバータ装置11と、制御装置12とを備えている。
【0033】
平滑コンデンサ10は、高電圧バッテリB1の直流高電圧を平滑化するための素子である。平滑コンデンサ10の一端は、高電圧バッテリB1の正極端子に接続されている。また、他端は、高電圧バッテリB1の負極端子に接続されている。さらに、高電圧バッテリB1の負極端子は、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続されている。
【0034】
インバータ装置11は、平滑コンデンサ10によって平滑化された直流電圧を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給する装置である。インバータ装置11は、IGBT110a〜110fと、電流センス抵抗111a〜111fとを備えている。
【0035】
IGBT110a〜110fは、ゲート(制御端子)の電圧を制御することで駆動され、オン、オフすることで平滑コンデンサ10に平滑化された直流電圧を3相交流電圧に変換するためのスイッチング素子である。IGBT110a〜110fは、コレクタ電流に比例し、コレクタ電流より小さい電流が流れる電流センス端子を備えている。IGBT110a(第2スイッチング素子)、110d(第1スイッチング素子)、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fはそれぞれ直列接続されている。具体的には、IGBT110a〜110cのエミッタが、IGBT110d〜110fのコレクタにそれぞれ接続されている。直列接続された3組のIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fは並列接続されている。IGBT110a〜110cのコレクタは平滑コンデンサ10の一端に、IGBT110d〜110fのエミッタは平滑コンデンサ10の他端にそれぞれ接続されている。また、IGBT110a〜110fのゲートとエミッタは制御装置12にそれぞれ接続されている。さらに、直列接続されたIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fの直列接続点は、車両駆動用モータM1にそれぞれ接続されている。
【0036】
電流センス抵抗111a〜111fは、IGBT110a〜110fに流れる電流を電圧に変換するための素子である。具体的には、電流センス端子に流れる電流を電圧に変換する素子である。電流センス抵抗111a〜111fの一端はIGBT110a〜110fの電流センス端子に、他端はIGBT110a〜110fのエミッタにそれぞれ接続されている。また、電流センス抵抗111a〜111fの両端は、制御装置12にそれぞれ接続されている。
【0037】
制御装置12は、IGBT110a〜110fを制御する装置である。制御装置12は、IGBT110a〜110fのゲートとエミッタにそれぞれ接続されている。また、IGBT110a〜110fに流れる電流を検出するため、電流センス抵抗111a〜111fの両端にそれぞれ接続されている。
【0038】
次に、図2を参照して制御装置について詳細に説明する。ここで、図2は、図1における制御装置の回路図である。具体的には、1つのIGBTに対する回路部分を示す回路図である。
【0039】
図2に示すように、制御装置12は、IGBT110dに対して、駆動用電源回路120と、オン駆動用回路121と、オフ駆動用回路122と、オフ保持用回路123と、遮断用回路124と、過電流検出回路126と、短絡検出回路127と、制御回路128とを備えている。制御装置12は、他のIGBT110a〜110c、110e、110fに対しても、それぞれ同様に、駆動用電源回路と、オン駆動用回路と、オフ駆動用回路と、オフ保持用回路と、遮断用回路と、過電流検出回路と、短絡検出回路と、制御回路とを備えている。
【0040】
駆動用電源回路120は、IGBT110dを駆動するための電圧を供給する回路である。駆動用電源回路120は、電源回路(図略)から供給される電圧を安定化した電圧に変換して出力する。また、制御回路128からの指示に基づいて動作を停止する。駆動用電源回路120の入力端子は、電源回路に接続されている。また、正極端子はオン駆動用回路121に接続されている。さらに、負極端子は車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介してIGBT110dのエミッタに接続されている。加えて、制御端子は、制御回路128に接続されている。
【0041】
オン駆動用回路121は、IGBT110dをオンするための回路である。具体的には、IGBT110dのゲートに電荷を充電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より高くし、IGBT110dをオンする回路である。オン駆動回路121は、オン駆動用FET121a(オン駆動用スイッチング素子)と、オン駆動用抵抗121bとを備えている。
【0042】
オン駆動用FET121aは、オンすることでIGBTのゲートに電荷を充電するスイッチング素子である。具体的には、PチャネルMOSFETである。オン駆動用FET121aのソースは、駆動用電源回路120の正極端子に接続されている。また、ドレインは、オン駆動用抵抗121bを介してIGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路128に接続されている。
【0043】
オフ駆動用回路122は、IGBT110dをオフするための回路である。具体的には、IGBT110dのゲートから電荷を放電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より低くし、IGBT110dをオフする回路である。オフ駆動用回路122は、オフ駆動用FET122a(オフ駆動用スイッチング素子)と、オフ駆動用抵抗122bとを備えている。
【0044】
オフ駆動用FET122aは、オンすることでIGBT110dのゲートから電荷を放電するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。オフ駆動用FET122aのソースは、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。また、ドレインは、オフ駆動用抵抗122bを介してIGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路128に接続されている。
【0045】
オフ保持用回路123は、IGBT110dのオフ状態を保持する回路である。具体的には、IGBT110dのゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より低いオフ保持閾値以下になると、オフ駆動用回路122に比べ速やかにIGBT110dのゲートから電荷を放電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より低くし、IGBT110dのオフ状態を保持する回路である。オフ保持用回路123は、オフ保持用FET123a(オフ保持用スイッチング素子)と、ゲート抵抗123bとを備えている。
【0046】
オフ保持用FET123aは、オンすることでIGBT110dのゲートから電荷を放電するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。オフ保持用FET123aのソースは、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。また、ドレインは、IGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、ゲート抵抗123bを介して制御回路128に接続されている。
【0047】
ここで、オン駆動用抵抗121bの抵抗値は、IGBT110dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されている。なお、IGBT110dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時におけるIGBT110dの周囲温度を考慮した値を用いている。また、オフ駆動用抵抗122bの抵抗値は、IGBT110dのゲートから電荷を放電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されている。なお、IGBT110dのゲートから電荷を放電する際に必要とされる電流は、動作時におけるIGBT110dの周囲温度を考慮した値を用いている。つまり、抵抗値は、動作時におけるIGBT110dの周囲温度を考慮して、IGBT110dの電流容量に応じて設定されている。
【0048】
遮断用回路124は、IGBT110dに異常電流が流れたとき、オフ駆動用回路122に代わってIGBT110dをオフする回路である。具体的には、IGBT110dに過電流又は短絡電流が流れたとき、オフ駆動用回路122に代わって、オフ駆動用回路122に比べ緩やかにIGBT110dのゲートから電荷を放電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より低くし、IGBT110dのオフする回路である。遮断用回路124は、遮断用FET124aと、遮断用抵抗124bとを備えている。
【0049】
遮断用FET124aは、オンすることでIGBT110dのゲートから電荷を放電するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。遮断用FET124aのソースは、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。また、ドレインは、遮断用抵抗124bを介してIGBTのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路128に接続されている。
【0050】
過電流検出回路126は、IGBT110dに過電流が流れているか否かを検出する回路である。具体的には、IGBT110dに流れる電流が、過電流閾値より大きくなると、IGBT110dに過電流が流れていると判断する回路である。過電流検出回路126の入力端子は、電流センス抵抗111dの一端に接続されている。また、出力端子は、制御回路128に接続されている。
【0051】
短絡検出回路127は、IGBT110dが短絡状態にあるか否かを検出する回路である。具体的には、IGBT110dに流れる電流が、過電流閾値より大きい短絡電流閾値より大きくなると、IGBT110a、110dがともにオンした短絡状態となり、IGBT110dに短絡電流が流れていると判断する回路である。短絡検出回路127の入力端子は、電流センス抵抗111dの一端に接続されている。また、出力端子は、制御回路128に接続されている。
【0052】
制御回路128は、外部から入力される駆動信号に基づいてオン駆動用回路121とオフ駆動用回路122を制御して、IGBT110dを駆動するとともに、IGBT110dのゲート電圧に基づいてオフ保持用回路123を制御して、IGBT110dのオフ状態を保持する回路である。また、オン駆動用FET121aやオフ駆動用FET122aがオン故障したり誤動作によってオンしたりしてIGBT110dが異常状態になった場合に、駆動用電源回路120の動作を停止して、IGBT110dをオフするとともに、外部に異常信号を出力する回路でもある。さらに、IGBT110dに過電流が流れたり、IGBT110dが短絡状態になったりした場合に、遮断用回路124を制御して、オフ駆動用回路122に代わってIGBT110dをオフする回路でもある。
【0053】
制御回路128は、オン駆動用FET121a及びオフ駆動用FET122aのゲートにそれぞれ接続されている。また、IGBT110dのゲート電圧を検出するため、IGBT110dのゲートに接続されるとともに、ゲート抵抗123bを介してオフ保持用FET123aのゲートに接続されている。さらに、駆動用電源回路120の制御端子に接続されている。加えて、過電流検出回路126及び短絡検出回路127の出力端子、並びに、遮断用FET124aのゲートにそれぞれ接続されている。
【0054】
ここで、駆動用電源回路120、オン駆動用FET120a、オフ駆動用FET122a、遮断用FET124a、過電流検出回路126、短絡検出回路127及び制御回路128は、ICとして一体的に構成されている。
【0055】
次に、図1を参照してモータ制御装置の動作について説明する。車両のイグニッションスイッチ(図略)がオンすると、図1に示すモータ制御装置1が動作を開始する。高電圧バッテリB1の直流高電圧は、平滑コンデンサ10によって平滑化される。制御装置12は、外部から入力される駆動信号に基づいて、インバータ装置11を構成するIGBT110a〜110fを制御する。インバータ装置11は、平滑コンデンサ10によって平滑化された直流高電圧を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給する。このようにして、モータ制御装置1が車両駆動用モータM1を制御する。
【0056】
次に、図2〜図5を参照して正常状態におけるIGBTの駆動動作と、オン駆動用FETやオフ駆動用FETがオン故障等してIGBTが異常状態にあると判断した場合の動作について説明する。ここで、図3は、正常状態における駆動信号、オン駆動用FET及びオフ駆動用FETのタイミングチャートと、各FETに流れる電流及びIGBTのゲート電圧波形である。図4は、オン駆動用FETがオン故障等した場合における駆動信号、オン駆動用FET及びオフ駆動用FETのタイミングチャートと、各FETに流れる電流及びIGBTのゲート電圧波形である。図5は、オフ駆動用FETがオン故障等した場合における駆動信号、オン駆動用FET及びオフ駆動用FETのタイミングチャートと、各FETに流れる電流及びIGBTのゲート電圧波形である。図3〜図5において、オン駆動用FETに流れ電流、及び、オフ駆動用FETに流れる電流は、IGBTのゲートに流れ込む方向を正、IGBTのゲートから流れ出す方向を負として示している。図4及び図5において破線で描かれた波形は、正常状態における波形である。また、図4におけるt1〜t4は図3におけるt1〜t4と、図5におけるt1、t2は図3におけるt1、t2とそれぞれ同一のタイミングである。
【0057】
図2において、制御回路128は、外部から入力される駆動信号に基づいてオン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122aを制御してIGBT110dを駆動する。
【0058】
図3に示すように、駆動信号がIGBT110dのオンを指示する(t1)と、制御回路128は、オフ駆動用FET122aをオフするとともに、オン駆動用FET121aをオンする。これにより、駆動用電源回路120からオン駆動用FET121aとオン駆動用抵抗121bを介して、時間Tonの間、IGBT110dのゲートに電流が流れ込み、電荷が充電される(t2)。その結果、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より高くなり、IGBT110dがオンする。
【0059】
一方、駆動信号がIGBT110dのオフを指示すると(t3)、制御回路128は、オン駆動用FET121aをオフするとともに、オフ駆動用FET122aをオンする。これにより、IGBT110dのゲートからオフ駆動用抵抗122bとオフ駆動用FET122aを介して、時間Toffの間、電流が流れ出し、電荷が放電される(t4)。その結果、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。そして、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より低いオフ保持閾値以下になると、図2において、制御回路128は、オフ保持用FET123aをオンする。これにより、IGBT110dのゲートからオフ保持用FET123aを介して電流が流れ出し、電荷がさらに放電され、IGBT110dのオフ状態が保持される。
【0060】
ところで、IGBT110dに流れる電流が過電流閾値より大きくなると、過電流検出回路126は、IGBT110dに過電流が流れていると判断する。過電流検出回路126が過電流と判断すると、制御回路128は、オフ駆動用FET122aに代わって遮断用FET124aをオンする。これにより、IGBT110dのゲートから遮断抵抗124bと遮断用FET124aを介して電流が流れ出し、電荷が放電される。その結果、ゲート電圧が、オフ駆動回路122に比べ緩やかにオン、オフする閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。
【0061】
また、IGBT110dに流れる電流が短絡電流閾値より大きくなると、短絡検出回路127は、IGBT、110a、110dがともにオンした短絡状態にあると判断する。短絡検出回路127が短絡状態と判断すると、制御回路128は、過電流と判断した場合と同様に、遮断用FET124aをオンし、IGBT110dをオフする。
【0062】
ところで、オン駆動用FET121aがオン故障したり誤動作によってオンしたりすると、図4に示すように、駆動信号がIGBT110dのオフを指示し(t3)、制御回路128がオン駆動用FET121aをオフしようとしても、オン駆動用FET121aをオフできない。そのため、駆動用電源回路120からオン駆動用FET121aとオン駆動用抵抗121bを介してIGBT110dのゲートに、正常状態においては流れることのない電流が流れ込む。また、時間Toff経過後も、IGBT110dのゲートからオフ駆動用抵抗122bとオフ駆動用FET122aを介して、正常状態においては流れることのない電流が流れ出す。その結果、IGBT110dのゲート電圧が充分に低下せず、IGBT110dをオフできない異常状態が発生する。
【0063】
しかし、制御回路128は、オン駆動用抵抗121bの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET121aに流れる電流を検出する。そして、駆動信号がIGBT110dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET121aに電流が流れているとき、駆動用電源回路120の動作を停止させ、駆動用電源回路120からの電圧の供給を遮断する。その結果、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。つまり、オフ駆動用FET122a以外(オフ駆動用スイッチング素子以外)でIGBT110dをオフする。
【0064】
また、オフ駆動用FET122aがオン故障したり誤動作によってオンしたりすると、図5に示すように、駆動信号がIGBT110dのオンを指示し(t1)、制御回路128がオフ駆動用FET122aをオフしようとしても、オフ駆動用FET122aをオフできない。そのため、時間Ton経過後も、駆動用電源回路120からオン駆動用FET121aとオン駆動用抵抗121bを介してIGBT110dのゲートに、正常状態においては流れることのない電流が流れ込む。また、IGBT110dのゲートからオフ駆動用抵抗122bとオフ駆動用FET122aを介して、正常状態においては流れることない電流が流れ出す。その結果、IGBT110dのゲート電圧が充分に上昇せず、IGBT110dをオンできない異常状態が発生する。
【0065】
しかし、制御回路128は、オン駆動用抵抗221bの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET221aに流れる電流を検出する。そして、駆動信号がIGBT110dのオンを指示し、時間Ton経過(所定時間経過)したにもかかわらず、オン駆動用FET121aに電流が流れているとき、駆動用電源回路120の動作を停止させ、駆動用電源回路120からの電圧の供給を遮断する。その結果、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。つまり、オフ駆動用FET122a以外でIGBT110dをオフする。
【0066】
次に、効果について説明する。第1実施形態によれば、駆動信号がIGBT110dのオフを指示すると、制御回路128は、オン駆動用FET121aをオフするとともに、オフ駆動用FET122aをオンする。これにより、IGBT110dがオフする。しかし、オン駆動用FET121aがオン故障したり誤動作によってオンしたりすると、図4に示すように、正常状態においては流れない電流がオン駆動用FET121aに流れる。そして、IGBT110dのゲートの電圧が充分に低下せず、IGBT110dをオフできない異常状態が発生する。ゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧であると、コレクタ−エミッタ間電圧、つまりオン電圧が増加し、IGBT110dの発熱が増大する。このような異常状態が継続すると、IGBT110dが発熱し熱破壊する可能性がある。しかし、制御回路128は、駆動信号がIGBT110dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET121aに電流が流れているとき、IGBT110dが異常状態にあると判断する。そして、オフ駆動用FET121a以外でIGBT110dをオフする。そのため、オン駆動用FET121aがオン故障等してIGBT110dをオフできない異常状態になっても、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。
【0067】
第1実施形態によれば、制御回路128は、オン駆動用抵抗121bの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET121aに流れる電流を検出する。そのため、電流検出用の抵抗を新たに設けることなくオン駆動用FET121aに電流が流れているか否かを確実に判断することができる。
【0068】
第1実施形態によれば、オン駆動用抵抗121bの抵抗値は、IGBT110dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されている。IGBT110dのゲートの充電に必要な電流は、動作時における周囲温度によって変化する。しかし、IGBT110dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時におけるIGBT110dの周囲温度を考慮した値を用いている。そのため、動作時において周囲温度が上昇した場合であっても、IGBT110dのゲートの充電に必要な電流を確保しつつ、抵抗値を抑えて設定することができる。従って、オン駆動用抵抗121bの損失を抑えることができる。
【0069】
第1実施形態によれば、IGBT110dが異常状態にあるとき、IGBT110dを駆動するためのゲートへの電圧を遮断することで、IGBT110dをオフする。そのため、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。
【0070】
第1実施形態によれば、IGBT110dの異常状態を外部に知らせることができる。
【0071】
第1実施形態によれば、駆動信号がIGBT110dのオンを指示すると、制御回路128は、オフ駆動用FET122aをオフするとともに、オン駆動用FET121aをオンする。これにより、IGBT110dがオンする。しかし、オフ駆動用FET122aがオン故障したり誤動作によってオンしたりすると、図5に示すように、IGBT110dのゲートに電荷を充電するための時間Tonが経過したにもかかわらず、正常状態においては流れない電流がオン駆動用FET121aに流れる。そして、IGBT110dのゲートの電圧が充分に上昇せず、IGBT110dをオンできない異常状態が発生する。ゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧であると、コレクタ−エミッタ間電圧、つまりオン電圧が増加し、IGBT110dの発熱が増大する。このような異常状態が継続すると、IGBT110dが発熱し熱破壊する可能性がある。しかし、制御回路128は、駆動信号がIGBT110dのオンを指示し、IGBT110dのゲートに電荷を充電するための時間Tonが経過したにもかかわらず、オン駆動用FET121aに電流が流れているとき、IGBT110dが異常状態にあると判断する。そして、オフ駆動用FET122a以外でIGBT110dをオフする。そのため、オフ駆動用FET122aがオン故障等してIGBT110dをオンできない異常状態になっても、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。
【0072】
なお、第1実施形態では、制御回路128が、IGBT110dが異常状態にあると判断したとき、駆動用電源回路120の動作を停止させ、駆動用電源回路120からの電圧の供給を遮断することでIGBT110dをオフする例を挙げているが、これに限られるものではない。オフ保持用FET123aを制御してIGBT110dをオフしてもよい。この場合、オフ保持用FET123aをオンしてIGBT110dのゲートから電荷を放電させことで、IGBT110dをオフすることができる。そのため、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。
【0073】
また、IGBT110dをオンしてもよい。図2に示すIGBT110aがオンすると、直列接続されたIGBT110a、110dがともにオン状態となり、IGBT110a、110dに短絡電流が流れる。IGBT110aに短絡電流が流れると、IGBT110aを制御する制御回路等(駆動回路)が、IGBT110dの場合と同様に、IGBT110aをオフする。そのため、IGBT110dに流れる短絡電流を遮断することができる。従って、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のモータ制御装置について説明する。第2実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態のモータ制御装置が、オン駆動用抵抗の電圧に基づいてオン駆動用FETに流れる電流を検出するのに対して、駆動用電源回路とオン駆動用FETの間に設けられた電流検出用抵抗の電圧に基づいてオン駆動用FETに流れる検出するようにしたにものである。第2実施形態のモータ制御装置は、オン駆動用回路を除いて第1実施形態のモータ制御装置と同一構成である。
【0075】
まず、図6を参照して制御装置の構成と、IGBTが異常状態にあると判断した場合の動作について説明する。ここで、図6は、第2実施形態における制御装置の回路図である。ここでは、第1実施形態との相違部分について説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0076】
図6に示すように、制御装置22は、IGBT210dに対して、駆動用電源回路220と、オン駆動用回路221と、オフ駆動用回路222と、オフ保持用回路223と、遮断用回路224と、過電流検出回路226と、短絡検出回路227と、制御回路228とを備えている。IGBT210d及び電流センス抵抗211dは、第1実施形態のIGBT110d及び電流センス抵抗111dに相当する。駆動用電源回路220、オフ駆動用回路222、オフ保持用回路223、遮断用回路224、過電流検出回路226及び短絡検出回路227は、第1実施形態の駆動用電源回路120、オフ駆動用回路122、オフ保持用回路123、遮断用回路124、過電流検出回路126及び短絡検出回路127と同一構成である。
【0077】
オン駆動用回路221は、オン駆動用FE221aと、オン駆動用抵抗221bと、電流検出用抵抗221cとを備えている。オン駆動用FE221a及びオン駆動用抵抗221bは、第1実施形態のオン駆動用FE121a及びオン駆動用抵抗121bと同一構成である。
【0078】
電流検出用抵抗221cは、オン駆動用FET221aに流れる電流を検出する抵抗である。電流検出用抵抗221cの一端は駆動用電源回路の正極端子に、他端はオン駆動用FET221aのソースに接続されている。また、電流検出用抵抗221cの両端は制御回路228に接続されている。
【0079】
ここで、電流検出用抵抗221cの抵抗値は、IGBT210dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されている。なお、IGBT210dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時におけるIGBT210dの周囲温度を考慮した値を用いている。つまり、抵抗値は、動作時におけるIGBTの周囲温度を考慮して、IGBTの電流容量に応じて設定されている。
【0080】
制御回路228は、電流検出用抵抗221cの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET221aに電流が流れているか否かを判断する。そして、駆動信号がIGBT210dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET221aに電流が流れているとき、駆動用電源回路220の動作を停止させ、駆動用電源回路220からの電圧の供給を遮断する。また、駆動信号がIGBT210dのオンを指示し、時間Ton経過したにもかかわらず、オン駆動用FET221aに電流が流れているときも同様にして、駆動用電源回路220からの電圧の供給を遮断する。
【0081】
次に、効果について説明する。第2実施形態によれば、駆動用電源回路220とオン駆動用FET221aの間に設けられた電流検出用抵抗221cによって、オン駆動用FET221aに電流が流れているか否かを確実に判断することができる。
【0082】
第2実施形態によれば、電流検出用抵抗221cの抵抗値は、IGBT210dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されている。IGBT210dのゲートの充電に必要な電流は、動作時における周囲温度によって変化する。しかし、IGBT210dのゲートに電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時におけるIGBT210dの周囲温度を考慮した値を用いている。そのため、動作時において周囲温度が上昇した場合であっても、IGBT210dのゲートの充電に必要な電流を確保しつつ、抵抗値を抑えて設定することができる。従って、電流検出用抵抗221cの損失を抑えることができる。
【0083】
なお、第2実施形態では、電流検出用抵抗221cが、駆動用電源回路220とオン駆動用FET221aの間に設けられる例を挙げているが、これに限られるものではない。図7に示すように、電源回路と駆動用電源回路220の間に設けてもよい。駆動用電源回路220からオン駆動用FET221aに電流が流れることで、電源回路から駆動用電源回路220にも電流が流れる。そのため、このような構成であっても、オン駆動用FET221aに電流が流れているか否かを判断することができる。
【0084】
また、第2実施形態では、電流検出用抵抗221cの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET221aに電流が流れているか否かを判断する例を挙げているが、これに限られるものではない。図8に示すように、制御回路228を駆動用電源回路220の正極端子に接続し、駆動用電源回路220の電圧に基づいてオン駆動用FET221aに電流が流れているか否かを判断するようにしてもよい。駆動用電源回路220からオン駆動用FET221aに電流が流れると、駆動用電源回路220の電圧が低下する。そのため、このような構成であっても、駆動用電源回路220の電圧に基づいてオン駆動用FET221aに電流が流れているか否かを判断することができる。
【0085】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のモータ制御装置について説明する。第3実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態のモータ制御装置が、IGBTの異常時に駆動電源回路からの電圧供給を遮断してIGBTをオフするのに対して、IGBTのゲート電圧をオフ保持閾値以下にクランプし、オフ保持回路によってIGBTをオフするようにしたものである。第3実施形態のモータ制御装置は、制御装置を除いて第1実施形態のモータ制御装置と同一構成である。
【0086】
まず、図9を参照して制御装置の構成について説明する。ここで、図9は、第3実施形態における制御装置の回路図である。ここでは、第1実施形態の制御装置との相違部分について説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0087】
図5に示すように、制御装置32は、IGBT310dに対して、駆動用電源回路320と、オン駆動用回路321と、オフ駆動用回路322と、オフ保持用回路323と、遮断用回路324と、過電流検出回路326と、短絡検出回路327と、制御回路328とを備えている。さらに、電圧クランプ回路329を備えている。IGBT310d及び電流センス抵抗311dは、第1実施形態のIGBT110d及び電流センス抵抗111dに相当する。駆動用電源回路320、オン駆動用回路321、オフ駆動用回路322、オフ保持用回路323、遮断用回路324、過電流検出回路326及び短絡検出回路327は、第1実施形態の駆動用電源回路120、オン駆動用回路121、オフ駆動用回路122、オフ保持用回路123、遮断用回路124、過電流検出回路126及び短絡検出回路127と同一構成である。
【0088】
電圧クランプ回路329は、IGBT310dのゲート電圧をオフ保持閾値以下にクランプする回路である。電圧クランプ回路329は、電圧クランプ用FET329aと、定電圧ダイオード329bとを備えている。定電圧ダイオード329bの電圧は、オフ保持閾値以下の一定電圧となるように設定されている。電圧クランプ用FET329aは、オンすることでIGBT320dのゲートに定電圧ダイオード329bを接続するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。電圧クランプ用FET329aのソースは、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路320の負極端子とIGBT310dのエミッタに接続されている。また、ドレインは、定電圧ダイオード329bを介してIGBT320dのゲートに接続されている。具体的には、定電圧ダイオード329bのアノードに接続され、定電圧ダイオード329bのカソードがIGBT320dのゲートに接続されている。さらに、電圧クランプ用FET329aのゲートは、制御回路328に接続されている。
【0089】
次に、図9を参照してIGBTが異常状態にあると判断した場合の動作について説明する。制御回路328は、オン駆動用抵抗321bの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET321aに流れる電流を検出する。そして、駆動信号がIGBT310dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET321aに電流が流れているとき、電圧クランプ回路329を作動させてIGBT310dのゲート電圧をオフ保持閾値以下にする。具体的には、電圧クランプ用FET329aをオンして、IGBT310dのゲート電圧を定電圧ダイオード329bによって設定されたオフ保持閾値以下にする。その結果、オフ保持用FET323aがオンしてIGBT310dのゲートから電荷が放電され、IGBT310dがオフする。また、駆動信号がIGBT310dのオンを指示し、時間Ton経過したにもかかわらず、オン駆動用FET321aに電流が流れているときも同様にして、IGBT310dがオフする。
【0090】
次に、効果について説明する。第3実施形態によれば、制御回路328は、駆動信号がIGBT310dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET321aに電流が流れているとき、駆動信号がIGBT310dのオンを指示し、時間Ton経過したにもかかわらず、オン駆動用FET321aに電流が流れているとき、電圧クランプ回路329を作動させてIGBT310dのゲート電圧をオフ保持閾値以下にする。そのため、オフ保持用FET323aによってIGBT310dのゲートから電荷を放電し、IGBT310dをオフすることができる。従って、IGBT310dの熱破壊を防止することができる。
【0091】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態のモータ制御装置について説明する。第4実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態のモータ制御装置が、IGBTの異常時に駆動電源回路からの電圧供給を遮断してIGBTをオフするのに対して、IGBTのゲートをオン駆動用FETとオフ駆動用FETから遮断してIGBTを遮断するようにしたものである。第4実施形態のモータ制御装置は、制御装置を除いて第1実施形態のモータ制御装置と同一構成である。
【0092】
まず、図10を参照して制御装置の構成について説明する。ここで、図10は、第4実施形態における制御装置の回路図である。ここでは、第1実施形態の制御装置との相違部分について説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0093】
図10に示すように、制御装置42は、IGBT410dに対して、駆動用電源回路420と、オン駆動用回路421と、オフ駆動用回路422と、オフ保持用回路423と、遮断用回路424と、過電流検出回路426と、短絡検出回路427と、制御回路428とを備えている。さらに、ゲート遮断用FET429を備えている。IGBT410d及び電流センス抵抗411dは、第1実施形態のIGBT110d及び電流センス抵抗111dに相当する。駆動用電源回路420、オン駆動用回路421、オフ駆動用回路422、オフ保持用回路423、遮断用回路424、過電流検出回路426及び短絡検出回路427は、第1実施形態の駆動用電源回路120、オン駆動用回路121、オフ駆動用回路122、オフ保持用回路123、遮断用回路124、過電流検出回路126及び短絡検出回路127と同一構成である。
【0094】
ゲート遮断用FET429は、IGBT410dのゲートをオン駆動用FET421aとオフ駆動用FET422aから遮断するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。ゲート遮断用FET429のソースは、IGBT410dのゲートに接続されている。また、ドレインは、オン駆動用抵抗421bを介してオン駆動用FET421aに接続されるとともに、オフ駆動用抵抗422bを介してオフ駆動用FET422aに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路428に接続されている。
【0095】
次に、図10を参照してIGBTが異常状態にあると判断した場合の動作について説明する。制御回路428は、オン駆動用抵抗421bの端子間電圧に基づいてオン駆動用FET421aに流れる電流を検出する。そして、駆動信号がIGBT310dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET321aに電流が流れているとき、IGBT410dのゲートを、オン駆動用FET421aとオフ駆動用FET422aから遮断する。その結果、IGBT410dを駆動するためのゲートへの電圧の供給が遮断され、IGBT410dがオフする。また、駆動信号がIGBT410dのオンを指示し、時間Ton経過したにもかかわらず、オン駆動用FET421aに電流が流れているときも同様にして、IGBT410dがオフする。
【0096】
次に、効果について説明する。第4実施形態によれば、制御回路428は、駆動信号がIGBT410dのオフを指示しているにもかかわらず、オン駆動用FET421aに電流が流れているとき、駆動信号がIGBT410dのオンを指示し、時間Ton経過したにもかかわらず、オン駆動用FET421aに電流が流れているとき、IGBT410dのゲートをオン駆動用FET421aとオフ駆動用FET422aから遮断する。そのため、IGBT410dを駆動するためのゲートへの電圧の供給が遮断され、IGBT410dがオフする。従って、IGBT410dの熱破壊を防止することができる。
【符号の説明】
【0097】
1・・・モータ制御装置(電子装置)、10・・・平滑コンデンサ、11・・・インバータ装置、110a・・・IGBT(第2スイッチング素子)、110b、110c、110e、110f・・・IGBT、110d、210d、310d、410d・・・IGBT(第1スイッチング素子)、111a〜111f、211d、311d、411d・・・電流センス抵抗、12、22、32、42・・・制御装置、120、220、320、420・・・駆動用電源回路、121、221、321、421・・・オン駆動用回路、121a、221a、321a、421a・・・オン駆動用FET(オン駆動用スイッチング素子)、121b、221b、321b、421b・・・オン駆動用抵抗、221c・・・電流検出用抵抗、122、222、322、422・・・オフ駆動用回路、122a、222a、322a、422a・・・オフ駆動用FET(オフ駆動用スイッチング素子)、122b、222b、322b、422b・・・オフ駆動用抵抗、123、223、323、423・・・オフ保持用回路、123a、223a、323a、423a・・・オフ保持用FET(オフ保持用スイッチング素子)、123b、223b、323b、423b・・・ゲート抵抗、124、224、324、424・・・遮断用回路、124a、224a、324a、424a・・・遮断用FET、124b、224b、324b、424b・・・遮断用抵抗、126、226、326、426・・・過電流検出回路、127、227、327、427・・・短絡検出回路、128、228、328、428・・・制御回路、329・・・電圧クランプ回路、329a・・・電圧クランプ用FET、329b・・・定電圧ダイオード、429・・・ゲート遮断用FET、B1・・・高電圧バッテリ、M1・・・車両駆動用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御端子の電圧を制御することで駆動される第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子を駆動するための電圧を供給する駆動用電源回路と、
一端が前記駆動用電源回路の出力端子に接続されるとともに、他端が前記第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで前記第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電するオン駆動用スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで前記第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電するオフ駆動用スイッチング素子と、
入力される駆動信号に基づいて前記オン駆動用スイッチング素子と前記オフ駆動用スイッチング素子を制御することで、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して前記第1スイッチング素子を駆動する制御回路と、
を備えた電子装置において、
前記制御回路は、駆動信号が前記第1スイッチング素子のオフを指示しているにもかかわらず、前記オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているとき、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断し、前記オフ駆動用スイッチング素子以外で前記第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記オン駆動用スイッチング素子は、他端がオン駆動用抵抗を介して前記第1スイッチング素子の制御端子に接続をされ、
前記制御回路は、前記オン駆動用抵抗の電圧に基づいて前記オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記オン駆動用スイッチング素子は、一端が電流検出用抵抗を介して前記駆動用電源回路の出力端子に接続され、
前記制御回路は、前記電流検出用抵抗の電圧に基づいて前記オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記駆動用電源回路は、入力端子が電流検出用抵抗を介して電源回路に接続され、前記電源回路の電圧を変換し、前記第1スイッチング素子を駆動するための電圧を供給し、
前記制御回路は、前記電流検出用抵抗の電圧に基づいて前記オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記駆動用電源回路の電圧に基づいて前記オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記オン駆動用抵抗の抵抗値は、前記第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時における前記第1スイッチング素子の周囲温度を考慮したものであることを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記電流検出用抵抗の抵抗値は、前記第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流の大きさを考慮して設定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電する際に必要とされる電流は、動作時における前記第1スイッチング素子の周囲温度を考慮したものであることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、前記駆動用電源回路からの電圧の供給を遮断して前記第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで前記第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電するオフ保持用スイッチング素子を有し、
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧がオン、オフの閾値電圧より低いオフ保持閾値以下になると、前記オフ保持用スイッチング素子を制御して前記第1スイッチング素子のオフ状態を保持し、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、前記オフ保持用スイッチング素子を制御して前記第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで前記第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電するオフ保持用スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧をオン、オフの閾値電圧より低いオフ保持閾値以下にクランプする電圧クランプ回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧がオフ保持閾値以下になると、前記オフ保持用スイッチング素子を制御して前記第1スイッチング素子のオフ状態を保持し、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、前記電圧クランプ回路を作動させて前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧をオフ保持閾値以下にクランプすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
制御端子の電圧を制御することで駆動され、前記第1スイッチング素子に直列接続される第2スイッチング素子と、
入力される駆動信号に基づいて前記第2スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して前記第2スイッチング素子を駆動するとともに、前記第2スイッチング素子に異常電流が流れているとき、前記第2スイッチング素子をオフする駆動回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、前記第1スイッチング素子をオンすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項14】
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、前記第1スイッチング素子の制御端子を、前記オン駆動用スイッチング素子と前記オフ駆動用スイッチング素子から遮断することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項15】
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断したとき、異常信号を外部に出力することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項16】
前記制御回路は、駆動信号が前記第1スイッチング素子のオンを指示し、前記第1スイッチング素子の制御端子に電荷を充電するための所定時間経過したにもかかわらず、前記オン駆動用スイッチング素子に電流が流れているとき、前記第1スイッチング素子が異常状態にあると判断し、前記オフ駆動用スイッチング素子以外で前記第1スイッチング素子をオフすることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−95046(P2012−95046A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239915(P2010−239915)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】