説明

露光装置及び洗浄装置

【課題】
原版の上に付着した微粒子を効果的に除去する露光装置を提供する。
【解決手段】
本発明の露光装置は、真空環境下で投影光学系を介して原版のパターンを基板に露光する露光装置であって、露光装置は、原版を洗浄する洗浄装置を有し、洗浄装置は、原版のレーザー照射領域にレーザー光を照射する照射手段と、原版を移動させるステージと、レーザー光を原版に正射影したときの方向をレーザー入射方向と定義した場合、照射手段又はステージの一方を用いて、レーザー照射領域をレーザー入射方向と直交する方向に移動させる第1の走査手段と、照射手段又はステージの他方を用いて、レーザー照射領域をレーザー入射方向と同一の方向に移動させる第2の走査手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び洗浄装置に係り、特に、真空環境下でレーザー光を照射することにより原版などの被洗浄物を洗浄する機能を持った露光装置及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAMやMPU等の半導体デバイス製造に関し、デザインルールで32nm以下の線幅を有するデバイスの実現に向けて、精力的に研究開発がなされている。この世代に用いられる露光装置として、極端紫外域(EUV:Extreme Ultraviolet)光を用いた露光装置が有力視されている。このような露光装置(EUV露光装置)では、ガスによるEUV光の吸収を防ぐため、EUV光の光路を真空環境下に置く。
【0003】
一般に、半導体露光装置では、レチクル(マスク)に描画された回路パターンの像を、投影光学系を用いてウエハに縮小転写している。したがって、例えば、レチクルの回路パターン面に微粒子が付着すると、各ショットの全く同じ位置に微粒子像が転写されることになる。このような微粒子の付着は、半導体デバイス製造の歩留まりの低下や、半導体デバイス自体の信頼性の低下の要因となる。
【0004】
この問題に対し、水銀ランプやエキシマレーザー等を用いた露光装置では、ペリクルと呼ばれる透明保護膜をレチクルから数mm間隔を隔てて配置している。これにより、回路パターン面への微粒子の直接の付着と、微粒子像の転写を抑制していた。
【0005】
しかし、EUV露光装置で要求される透過率を満たすためのペリクルの厚さは数10nm程度である。このように非常に薄いペリクルでは、機械的、熱的側面のいずれからも十分な強度が得られない。このため、EUV露光装置においてペリクルを用いて微粒子の付着を防ぐことは、現実的には困難である。
【0006】
ペリクルを用いずにレチクル等への微粒子の付着を防ぐ手段として、特開2003−224067号公報(特許文献1)には、パルスレーザーを利用して、微粒子を除去する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2003−224067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2003−224067号公報(特許文献1)の方法は、パルスレーザーの照射角度をブルースター角以下の角度でクリーニング表面に照射するものである。このため、パルスレーザーで表面を走査する際に、レーザーの照射角度が場所ごとに変わってしまう。
【0008】
後述するように、表面に付着した微粒子がパルスレーザー照射によって表面から離脱する場合、その離脱方向は、レーザーの入射する方向に依存する。したがって、レーザーの照射角度が場所ごとに変わると、クリーニング動作中に、既にクリーニングされた表面に、除去された微粒子が再付着する確率が高くなり、除去効率が低下するという問題がある。
【0009】
このように、レチクルをレーザークリーニングする際は、除去された微粒子の再付着を防ぐレーザースキャニング技術が要求される。
【0010】
本発明は、微粒子を効果的に除去できる露光装置及び洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面としての露光装置は、真空環境下で投影光学系を介して原版のパターンを基板に露光する露光装置であって、前記露光装置は、前記原版を洗浄する洗浄装置を有し、前記洗浄装置は、前記原版にレーザー光を照射する照射手段と、前記原版を移動させるステージと、前記レーザー光を前記原版に正射影したときの前記レーザー光の進行方向をレーザー入射方向と定義した場合、前記照射手段又は前記ステージの一方を用いて、前記レーザー光の前記原版上での照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させる第1の走査手段と、前記照射手段又は前記ステージの他方を用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させる第2の走査手段とを有する。
【0012】
また、本発明の一側面としての洗浄装置は、真空環境下でレーザー光を照射することにより対象物を洗浄する洗浄装置であって、前記対象物にレーザー光を照射する照射手段と、前記対象物を移動させるステージと、前記レーザー光を前記対象物に正射影したときの前記レーザー光の進行方向をレーザー入射方向と定義した場合、前記照射手段又は前記ステージの一方を用いて、前記レーザー光の前記対象物上での照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させる第1の走査手段と、前記照射手段又は前記ステージの他方を用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させる第2の走査手段とを有する。
【0013】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下の実施例によって明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の露光装置及び洗浄装置によれば、原版又は対象物の上に付着した微粒子を効果的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、露光装置100の概略図である。
【0017】
露光装置100は、EUV光を用いてステップ・アンド・スキャン方式でレチクル2のパターンをウエハ1に露光する投影露光装置である。露光装置100は、図示しない照明装置と、レチクルステージ3と、投影光学系5と、ウエハステージ27とを真空室内(4a−4c)に有する。露光装置100は、真空環境下で投影光学系を介して原版のパターンを基板に露光する露光装置である。また露光装置100は、後述するように、洗浄装置を更に有する。
【0018】
EUV光は、5nm乃至20nmの波長(例えば、波長13.4nm)を有する。EUV光は、大気に対する透過率が低く、残留する高分子有機ガスとの反応によりコンタミを生成してしまうため、少なくとも、EUV光が通る光路中(即ち、光学系全体)は真空環境(10−5〜10−7Pa程度)に維持される。
【0019】
照明装置は、EUV光源部と、照明光学系とを有し、円弧状のEUV光によりレチクル2を照明する。EUV光源部は、レーザープラズマ光源や放電プラズマ光源を用いる。照明光学系は、集光ミラー、オプティカルインテグレーター、アパーチャを有する。
【0020】
レチクル2は、反射型レチクルで、レチクルステージ3に支持及び走査方向(第1方向)に駆動される。レチクル2から発せられた回折光は、投影光学系5で反射されてウエハ1上に投影される。レチクル2とウエハ1とは光学的に共役の関係に配置される。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクル2とウエハ1を同期走査することによりレチクルパターンをウエハ1上に縮小投影する。
【0021】
レチクルステージ3は、レチクルチャック(原版チャック)7を介してレチクル2を支持して、後述する駆動部84に接続されている。レチクルステージ3は、駆動部84によりレチクル2を移動させるステージとして機能する。レチクルステージ3は少なくとも走査方向(Y方向)に移動可能に構成されている。但し、別の実施例ではその他の方向(X方向、Z軸周りの回転方向など)にも更に移動可能に構成されている。
【0022】
レチクルチャック7は、平面矯正するための静電チャックであり、静電吸着力によってレチクル2を吸着及び保持する。レチクルチャック7はレチクルステージ3に設置されている(一体的に設けられている、或いは支持されている)。レチクル2は、後述するクリーニング領域30に形成されたパターン面2aが図1において下側又は投影光学系5側となるようにレチクルチャック7に保持される。
【0023】
投影光学系5は、複数の多層膜ミラーを用いて、レチクルパターンの像を像面にあるウエハ1上に縮小投影する。複数のミラーの枚数は、4枚乃至6枚程度である。少ない枚数のミラーで広い露光領域を実現するには、光軸から一定の距離だけ離れた細い円弧状の領域(リングフィールド)だけを用いて、レチクル2とウエハ1を同時に走査して広い面積を転写する。
【0024】
ウエハ1は、別の実施形態では液晶基板その他の基板(被露光体)を広く含む。ウエハ1には、フォトレジストが塗布されている。ウエハステージ27は、ウエハチャック(基板チャック)6を介してウエハ1を支持して6軸方向に駆動する。ウエハチャック6は静電チャックであり、静電吸着力によってウエハ1を吸着及び保持する。
【0025】
レチクルステージ3とウエハステージ27のxy位置は不図示のレーザー干渉計によって監視されている。レチクルステージ3とウエハステージ27の走査速度の間には、Vr/Vw=βの関係が成立するように同期制御される。ここで、投影光学系5の縮小倍率を1/βとし、レチクルステージの走査速度をVr、ウエハステージ27の走査速度をVwとする。
【0026】
真空室(真空チャンバ)は、レチクルステージ空間4a、投影光学系空間4b及びウエハステージ空間4cを含む。なお、本出願では、真空室はこれらの空間の一又は複数を指す場合がある。
【0027】
レチクルステージ空間4aは、レチクル2、レチクルステージ3、レチクルチャック7を収納する。レチクルステージ空間4aには真空排気装置10aと測定装置70aが設けられる。真空排気装置10aは、独立してレチクルステージ空間4aを露光に必要な10-5〜10-7Paの真空度まで排気することができる。測定装置70aは、レチクルステージ空間4aの真空度を測定する。測定装置70aが測定する真空度の範囲は10-7〜100Paの範囲であり、真空計や圧力計を組み合わせて構成することができる。100Paの測定が必要なのは、後述するように、本実施例の洗浄装置で使用するからである。但し、別の実施例では、測定装置70aは少なくとも露光に必要な10-5〜10-7Paが測定できれば足りる。この範囲で洗浄しても微粒子の除去率は高いからである。
【0028】
投影光学系空間4bは投影光学系5を収納する。投影光学系空間4bには真空排気装置10bと測定装置70bが設けられる。真空排気装置10bは、独立して投影光学系空間4bを排気する。測定装置70bは、投影光学系空間4bの真空度を測定する。測定装置70bが測定する真空度の範囲は測定装置70aと同じ範囲であってもよいが、少なくとも露光に必要な10-5〜10-7Paが測定できれば足りる。
【0029】
ウエハステージ空間4cはウエハ1、ウエハチャック6、ウエハステージ27を収納する。ウエハステージ空間4cには真空排気装置10cと測定装置70cが設けられる。真空排気装置10cは、独立してウエハステージ空間4cを排気する。測定装置70cは、ウエハステージ空間4cの真空度を測定する。測定装置70cが測定する真空度の範囲は10-7〜100Paの範囲であり、真空計や圧力計を組み合わせて構成することができる。100Paの測定が必要なのは、後述するように、本実施例の洗浄装置で使用するからである。但し、別の実施例では、測定装置70cは少なくとも露光に必要な10-5〜10-7Paが測定できれば足りる。この範囲で洗浄しても微粒子の除去率は高いからである。
【0030】
レチクルステージ空間4aと投影光学系空間4bとの間はゲートバルブ16aによって仕切られ、投影光学系空間4bとウエハステージ空間4cの間はゲートバルブ16bによって仕切られている。
【0031】
15はウエハロードロック室であり、8はウエハロードロック室15とウエハステージ空間4cとの間でウエハ1を搬入及び搬出する搬送ハンドである。10eはウエハロードロック室15の真空排気装置である。11aはウエハロードロック室15に設けられた露光装置100側のゲートバルブ、11bはウエハロードロック室15に設けられたウエハ交換室14側のゲートバルブである。14はウエハ1を大気圧下で一時保管するウエハ交換室であり、13はウエハ交換室14とウエハロードロック室15との間でウエハ1を搬入及び搬出する搬送ハンドである。
【0032】
26はレチクルロードロック室であり、22はレチクルロードロック室26とレチクルステージ空間4aとの間でレチクル2を搬入及び搬出する搬送ハンドである。10dはレチクルロードロック室26の真空排気装置である。12aはレチクルロードロック室26に設けられた露光装置100側ゲートバルブ、12bはレチクルロードロック室26に設けられたレチクル交換室19側ゲートバルブである。19はレチクルを大気圧下で一時保管するレチクル交換室であり、18はレチクル交換室19とレチクルロードロック室26との間でレチクルを搬入及び搬出する搬送ハンドである。
【0033】
洗浄装置は、真空室(レチクルステージ空間4a)にガスを導入することなく真空室(レチクルステージ空間4a)内で洗浄の対象物であるレチクル2を洗浄する。洗浄装置は、照射手段と、走査手段と、減衰器42と、変更手段(照射手段の一部)と、測定装置70a乃至70cと、制御部60とを有する。但し、測定装置70a乃至70cと制御部60は露光装置100に備わっているものを転用することができる。
【0034】
次に、本実施例における照射手段の構成及び動作を説明する。図2は、図1に示す露光装置100の照射手段の部分を拡大した断面図である。照射手段は、パルスレーザー21と、図示しないビーム整形系と、レーザー入射窓20と、斜入射照明手段とを有する。
【0035】
照射手段は、レチクル2を洗浄するためのレーザー光Lをレチクル2に照射する。このとき、レーザー光Lとレチクル2とのなす角度は、0°より大きく90°より小さい範囲とする。なお、本実施例では、レーザー光Lを被洗浄面であるレチクル2に照射する際、レーザーの入射角度または照射角度は、レーザー光Lと被洗浄表面(レチクルのパターン面、パターンが形成された面)とのなす角度と定義する。このパターン面に対するレーザー光の入射角度は、0度より大きく90度より小さい範囲、好ましくは0度より大きく45度以下とする。
【0036】
パルスレーザー21はレチクル2にレーザー光Lを照射する。レーザーとしては、ArFレーザー(波長193nm)、KrFレーザー(波長248nm)、YAGレーザー(波長266nm、他)、フェムト秒レーザー(波長266nm、他)などを使用することができる。ただし、本実施例は露光光であるEUV光の使用を妨げるものではない。
【0037】
ビーム整形系は、レーザー光Lのビーム形状を整形する。
【0038】
レーザー入射窓20は、真空室(レチクルステージ空間4a)の隔壁に設けられ、レーザー光Lを透過するガラス又は石英などの、入射波長に対して吸収の少ない光透過材料から構成される。
【0039】
斜入射照明手段は、レーザー光Lを0度より大きく90度より小さい範囲の入射角度でレチクル2に導光する手段である。すなわち、レーザー光Lの、レチクル2のパターン面2aに対する入射角度θは0°<θ<90°を満足する。
【0040】
なお、斜入射照明手段は、パルスレーザー21の光軸をレチクル2のパターン面2aに対して上記範囲に設定することによって構成されてもよい。ただし、本実施例では、パルスレーザー21が射出するレーザー光Lの光軸は、レチクル2のパターン面2aと平行に設定されている。また、レーザー入射窓20を経たレーザー光Lを偏向する角度可変な折り曲げミラー23が設けられている。本実施例では、折り曲げミラー23が斜入射照明手段として機能する。
【0041】
折り曲げミラー23は、図2の紙面に直交するX方向に延び、レチクル2のX方向のサイズをカバーするのに十分な反射領域を有する。折り曲げミラー23は、レーザー光Lを図2の下方から右斜め上方に偏向する。折り曲げミラー23は駆動部82によって6軸方向に駆動され、そのX軸周りの傾斜角度は駆動部82を制御する制御部60によって制御可能である。
【0042】
走査手段は、レーザー光Lをレチクル2のパターン面2aの全面で走査する。走査手段は、パターン面2a上のレーザー光Lのスポットを、パターン面2a内で二次元的に走査する手段である。
【0043】
走査手段は、X方向走査手段とY方向走査手段を有する。X方向走査手段は、照射手段又はレチクルを移動させるステージの一方を用いて、レーザー照射領域をレーザー入射方向(Y方向)と直交する方向(±X方向)に移動させる第1の走査手段である。Y方向走査手段は、照射手段又はレチクルを移動させるステージの他方を用いて、レーザー照射領域をレーザー入射方向と同一の方向(Y方向)に移動させる第2の走査手段である。本実施例では、第1の走査手段としては、ポリゴンミラー40とfθレンズ41とで構成される走査光学系を含む照射手段が用いられ、第2の走査手段としては、レチクルステージ3が用いられている。
【0044】
ここで、レーザー入射方向とは、レーザー光をレチクル2の平面上に正射影したときのレーザーの進行方向であると定義する。すなわち、レーザー入射方向とは、レチクル2の表面を真上からみたときにレチクル2の表面上に示されるレーザー光の方向である。これは、レーザー光の照射方向のうち、レチクル2の表面と平行な成分の方向であるともいえる。
【0045】
また、レーザー照射領域とは、レーザー光のレチクル上(原版上)での照射領域(レーザースポット)である。
【0046】
本実施例のX方向走査手段は、ポリゴンミラー40とfθレンズ41とを有する。ポリゴンミラー40は、駆動部80によってXY平面において回転駆動される。ポリゴンミラー40は回転駆動することにより、パルスレーザー21から射出したレーザー光LをX方向に走査する。ポリゴンミラー40の回転軸はXY平面に垂直であるから、レーザー光のレチクル2の表面に対する入射角は一定に保持される。なお、ポリゴンミラー40とfθレンズ41の組み合わせの代わりに、ガルバノミラーとアークサインレンズなど、他の走査光学系を使用してもよい。
【0047】
fθレンズ41は、入射角θに比例した像高Yをもち、焦点距離をfとするとY=fθとなる。ポリゴンミラー40とfθレンズ41との組み合わせにより、レーザー照射領域50は等速度でX方向に移動することになる。特に、本実施例では、レーザー光のレチクル2に対する入射角を一定に保持する必要があるため、fθレンズ41から射出したレーザー光は入射角θが変化しても、平行光を維持するようなテレセントリックfθレンズが望ましい。
【0048】
Y方向走査手段は、−Y方向(露光時の走査方向)に移動するレチクルステージ3を有する。レチクルステージ3は、上述したように駆動部84によって6軸方向に駆動される。本実施例では、レチクルステージ3の移動方向は、−Y方向となる。これは、レチクル表面上のレーザー照射位置を、レーザー入射方向に対し、常に手前方向から奥方向に照射することになる。レチクルステージ3をレーザー入射方向(Y方向)とは反対の方向(−Y方向)に移動させることにより、常に、レーザー照射領域50をレーザー入射方向と同一の方向に移動させる。
【0049】
なお、本実施例とは異なり、パルスレーザー21が二次元的にレーザー光Lをレチクルのパターン面2aに対して走査する走査機構を設けてもよい。
【0050】
減衰器42は、レチクル2によって反射されたレーザー光Lを減衰させるレーザー光出力減衰器である。これにより、レチクル2で反射したレーザー光Lが、露光装置100の他の部材に照射されることを防止することができる。本実施例では、減衰器42のレーザー光Lの入射部は減衰器42内で発生した微粒子が飛散しないようにガラス窓で覆われている。また、本実施例の減衰器42は、真空室(レチクルステージ空間4a)内に設けられているが、減衰器42は真空室(レチクルステージ空間4a)の外部に設けられてもよい。この場合、レーザー光Lは、図示しない透過窓を介して真空室の外に導出してそこで減衰される。
【0051】
減衰器42の代わりに図示しない折り返しミラーを挿入してもよい。この場合、折り返しミラーは図示しない駆動部に接続されて駆動可能に構成され、駆動部は制御部60によって制御される。
【0052】
次に、本実施例のレチクル表面の洗浄方法について、図3を参照して説明する。図3は、図1に示す洗浄装置の部分拡大平面図である。また図3には、レーザー入射方向、レーザー走査方向、及び、レチクルステージ3の走査方向の関係が示されている。
【0053】
図3において、30はレチクル2のクリーニング領域である。また、50はレーザー照射領域であり、レーザー光がレチクル2の表面上に照射される領域を示している。それ以外の符合は図1のものと同様である。
【0054】
本実施例のX方向走査手段は、ポリゴンミラー40とテレセントリックfθレンズ41により、レーザー照射領域50をX方向に走査する。それと同時に、Y方向走査手段によりレチクルステージ3を−Y方向に移動させることにより、レーザー照射領域50をY方向に走査する。X方向走査手段とY方向走査手段を同期させることにより、クリーニング領域30の全面を走査することが可能となる。特に本実施例では、レチクル表面に入射させるレーザーLを、0度より大きく90°より小さい範囲の入射角度で入射させる。特に、レチクルステージ3を−Y方向に移動させ、クリーニング対象物であるレチクル2に対する照射手段の相対位置をレーザー入射方向に移動させることが好ましい。
【0055】
本発明者は、被洗浄面に付着した微粒子Pをレーザー光Lで除去する場合、レーザー光Lを被洗浄面に垂直入射させるよりも斜入射させるほうが効率的に微粒子Pを除去できることを実験的に発見した。図4(a)は被洗浄面であるレチクル2のパターン面2aにある微粒子Pにレーザー光Lが垂直入射する状態を示す概略断面図である。図4(b)はレチクル2のパターン面2aにある微粒子Pにレーザー光Lが斜め入射する状態を示す概略断面図である。
【0056】
レーザー光Lよる微粒子除去の機構は明確にはなっていないが、(1)パルス照射時の微粒子Pと被洗浄基板の瞬時の熱膨張、(2)光圧力作用、及び、(3)光化学的作用、の組み合わせであると予想される。特に無機微粒子Pでは、(1)と(2)の要因の影響が大きい。
【0057】
従って、垂直入射光の場合、熱膨張により、微粒子Pは被洗浄面から離脱する方向に力が作用するが、同時に光圧力作用により微粒子Pは被洗浄面に押し付けられる方向に力が作用する。そのため、微粒子Pの離脱力としては100%有効には作用していない。
【0058】
一方、斜入射光の場合は、微粒子Pに入射する直接光と、被洗浄面を反射する反射光が組み合わさって微粒子Pにレーザー光Lが照射される。従って、熱膨張による微粒子Pが被洗浄面から離脱する力も垂直入射の時よりも大きくなる。また、その場合の光圧力は、被洗浄面に微粒子Pを押し付けるような方向ではなく、その接線方向の力が大きく作用する。以上の機構により、斜入射光の方が微粒子Pの除去率が高くなる。
【0059】
本発明者らは、実験により、レーザー入射角度を45°未満にすると、微粒子Pの除去率が特に向上することを発見した。このため、本実施例では、レーザー光の入射角度θを0度より大きく45度より小さい範囲に設定した場合、特に効果的に微粒子が除去できる。
【0060】
また、斜入射光の被洗浄面に照射されるエネルギーEは、垂直入射光のエネルギーE0に対してE=E0×sinθの関係となる。θの値に依存して、被洗浄面に照射される単位面積あたりのエネルギーが異なる。このため、被洗浄面に照射されるエネルギーを被洗浄面において一定にすることにより、洗浄の信頼性を高めることができる。
【0061】
レーザー照射後の微粒子は、その離脱方向に方向性がある。微粒子Pがレーザー光の照射により一旦表面から離脱した場合には、レーザー入射方向と同じ方向に飛散すると予測される。離脱した微粒子Pの離脱力が充分ではなく、かつ、離脱後に静電気力などが発生する場合には、微粒子Pは被洗浄面であるレチクル2に再付着する可能性がある。微粒子Pを効果的に除去するため、レーザー入射方向と被洗浄面の走査方向との関係を考慮する必要がある。
【0062】
したがって、図3に示されるように、レーザー入射方向をY方向としてレーザー光を被洗浄面に照射する際には、レチクルステージを−Y方向に移動させる。被洗浄面に対するパルスレーザー21の相対位置をレーザー入射方向(Y方向)に移動させる(レチクル2は−Y方向に移動する)ことにより、レーザー照射位置を、常にレーザー入射方向の手前方向から奥方向に照射することになる。すなわち、レーザー入射方向と同一の方向に、パルスレーザー21をレチクル2に対して相対的に移動させることになる。
【0063】
図5は、Y方向走査手段が被洗浄面であるレチクル2を−Y方向に移動させている状態を示す概略図である。図5において、今、レチクル2の表面のAの位置に微粒子Pが存在すると仮定する。ここで、入射角θを有するレーザ光がAの位置にある微粒子Pを照射すると、微粒子Pは本図の右方向に飛散して、Bの位置に再付着する可能性がある。ところが、レチクル2はY方向走査手段により−Y方向に移動するため、Aの位置の微粒子Pを除去したレーザー光は、その後、Bの位置にある微粒子Pに照射される。このような動作を繰り返すことにより、レチクル2の表面に存在する微粒子Pは最終的にクリーニング領域30から除去される。
【0064】
このように、レチクル2は、レーザー入射方向と逆方向に移動する。換言すれば、パルスレーザー21は、レチクル2上を、レーザー入射方向と同一方向に走査する。このため、被洗浄面から離脱した微粒子Pが再付着した場合でも、再度レーザーにより照射される。このため、被洗浄面に存在する微粒子Pの除去率を向上させることができる。このとき、レーザー入射角は0度より大きく90度より小さいため、既に微粒子Pの除去が完了した表面エリアに再付着することもない。
【0065】
図6は、レーザーの照射により除去された微粒子Pが再付着する状況を示したレチクル2の平面図である。また、図7は、パルスレーザー21の主走査方向及び副走査方向の関係を示したレチクル2の平面図である。図7(a)はレーザー入射方向と主走査方向とが同一の場合、図7(b)はレーザー入射方向と主走査方向とが直交する場合を示している。
【0066】
図6に示されるように、レーザー入射方向はY方向であるため、レーザーの照射により離脱した微粒子Pの多くは、レチクル2のAの位置に再付着すると考えられる。しかし、中には、Bの位置やCの位置に再付着する微粒子Pも存在しうる。
【0067】
ここで、図7(a)に示されるように、レーザー入射方向と主走査方向とが同一の場合には、図6のB又はCのいずれか一方の位置は、既に洗浄が終了している。このため、微粒子PがB又はCの位置に再付着すると、図7(a)の走査方式では、微粒子Pを効果的に除去できない可能性がある。
【0068】
そこで、本実施例では、図7(b)に示されるように、レーザー入射方向と主走査方向とを直交させている。換言すれば、レーザー入射方向と副走査方向とを同一にしている。
【0069】
具体的には、洗浄装置は以下の動作を順に実行する。第1の動作として、図7(b)のAで示されるように、第1の走査手段がレーザー照射領域50を第1の主走査方向(X方向)に移動させる。第2の動作として、図7(b)のBで示されるように、第2の走査手段がレーザー照射領域50を副走査方向(Y方向)に移動させる。第3の動作として、図7(b)のCで示されるように、第1の走査手段がレーザー照射領域50を第1の主走査方向とは反対の第2の主走査方向(−X方向)に移動させる。最後に第4の動作として、図7(b)のDに示されるように、第2の走査手段がレーザー照射領域50を副走査方向(Y方向)に移動させる。以降の走査では、この4つの動作を繰り返す。
【0070】
レーザーの照射により離脱した微粒子Pは、レーザー入射方向にわずかでも移動して再付着する。このため、レーザー入射方向と主走査方向とを直交させることにより、再付着した微粒子Pを確実に除去することができる。
【0071】
したがって、本実施形態によれば、微粒子Pの除去率をさらに向上させることが可能になる。
【実施例2】
【0072】
次に、本発明の実施例2について、図8及び図9を参照しながら説明する。まず、本実施例の構成について、図8を用いて具体的に説明する。
【0073】
実施例1では、第1の走査手段であるX方向走査手段は、ポリゴンミラーとfθレンズを用いた光学素子スキャン方法であった。また、第2の走査手段であるY方向走査手段は、レチクルステージ3の露光時の走査移動を用いたものであった。
【0074】
本実施例は、レーザー光の走査手段にポリゴンミラー、fθレンズ等の光学部品を用いない点で、実施例1とは異なる。また、本実施例では、座標系が実施例1とは異なっており、紙面垂直方向が、露光時のレチクルステージ3の走査方向となっている。
【0075】
本実施例の走査手段は、X方向走査手段とY方向走査手段を有する。X方向走査手段は、照射手段又はレチクルを移動させるステージの一方を用いて、レーザー照射領域をレーザー入射方向(Y方向)と直交する方向(±X方向)に移動させる第1の走査手段である。Y方向走査手段は、照射手段又はレチクルを移動させるステージの他方を用いて、レーザー照射領域をレーザー入射方向と同一の方向(Y方向)に移動させる第2の走査手段である。本実施例では、第1の走査手段としては、レチクルステージ3が用いられ、第2の走査手段としては、折り曲げミラー23を含む照射手段が用いられている。
【0076】
Y方向走査手段としては、レーザー光Lをレチクル2に下方から斜めに入射させる折り曲げミラー23が用いられる。実施例1では、折り曲げミラー23を露光装置100に固定して用いた。しかし本実施例では、折り曲げミラー23は固定されず、Y方向に移動可能なミラーステージ51上に設置される。折り曲げミラー23は、駆動部82によりX軸周りを回転駆動される。これにより、レーザー光のレチクル2への入射角θを変更することができる。
【0077】
ミラーステージ51は、折り曲げミラー23のステージとして機能する。また、レチクル2の表面から反射したレーザー光を減衰するための減衰器42がミラーステージ51の上に設けられる。
【0078】
ミラーステージ51は駆動部86により駆動され、+Y方向に移動する。この結果、ミラーステージ51の上に設定されている折り曲げミラー23及び減衰器42も同時に+Y方向に移動する。このような構成により、レチクル2の表面上のレーザー照射位置を、レーザー入射方向に対し、常に手前方向から奥方向に照射することになる。よって、レーザー照射領域50をレーザー入射方向と同一の方向に移動させることにより、レチクル2の上に付着した微粒子を効果的に除去することができる。
【0079】
一方、X方向走査手段は、レチクルステージ3の露光時走査方向の往復運動を用いている。レチクルステージ3は駆動部84により駆動される。
【0080】
なお、パルスレーザー21、及び、駆動部82、84、86は、制御部60から出力される各々の制御信号に基づいて制御される。
【0081】
次に、本実施例のレチクル2の表面のレーザー走査方法について、図9を用いて説明する。
【0082】
30はレチクル2のクリーニング領域であり、50はレーザー照射領域を示す。それ以外の参照番号は図8と同様である。X方向走査手段であるレチクルステージ3を往復運動させることにより、レーザー照射領域50をX方向に移動させる。これと同時に、Y方向走査手段である折り曲げミラー23及び減衰器42を+Y方向に移動させることにより、レーザー照射領域50を+Y方向に走査する。このY方向走査手段とX方向走査手段を同期させることにより、レチクル2のクリーニング領域30を全面走査可能にする。
【0083】
本実施例では、折り曲げミラー23を搭載したミラーステージ51を+Y方向に移動させる。このような制御により、レーザー照射位置を、常に、レーザー入射方向の手前方向から奥方向に照射することになる。
【0084】
この結果、微粒子Pがレチクル2の表面を離脱した後に再付着しても、再度レーザー照射されることになるため、微粒子Pの除去率が向上する。また、レーザー入射方向と主走査方向とが直交するため、既にクリーニングが完了した領域に微粒子Pが再付着することもない。したがって、さらに除去率を向上させることができる。
【0085】
本実施例では、X方向走査手段及びY方向走査手段として、ポリゴンミラーやfθレンズなどを用いる必要がない。このため、複雑な機構や制御手法を用いなくてもよい。X方向走査手段としては、既存のレチクルステージ3の往復移動を用いることができる。また、Y方向走査手段としては、+Y方向の折り曲げミラー23のミラーステージ51を新規に設けるだけである。このように、本実施例によれば、簡便な構成で効果的に微粒子Pを除去することができる。
【0086】
上記実施例は、EUV露光装置内で、レチクル2をクリーニングすることを意図したものである。ただし、クリーニングが必要な対象物の表面であれば、原版以外でも、本発明を適用することができる。
【実施例3】
【0087】
次に、本発明の実施例3について、図10を参照しながら説明する。図10は、レチクルチャック7及びウエハチャック6に上記実施例にて説明した洗浄方法を適用したものである。
【0088】
レチクルチャック7及びウエハチャック6は、微粒子Pの挟み込みが問題となる。このため、レチクルチャック7及びウエハチャック6の表面は、接触面積を減らすため、通常、接触部がピン形状になっている。レチクルチャック7のピンの頂点部分に微粒子Pが付着していると、レチクル2との間で微粒子Pを挟み込むことになり、レチクル2の表面が傾いてしまう。また、ウエハチャック6に微粒子Pが付着していると、光学系の焦点深度に影響を及ぼすことになる。
【0089】
図10において、パルスレーザー21からのレーザー光は、レチクルチャック7及びウエハチャック6のそれぞれに対し、斜め方向の入射角度で照射される。
【0090】
20はレーザー入射窓、23は折り曲げミラーであり、それぞれはレチクルチャック7のクリーニングに用いられる。同様に、20aはレーザー入射窓、23aは折り曲げミラーであり、それぞれはウエハチャック6のクリーニングに用いられる。
【0091】
レチクルチャック7及びウエハチャック6をクリーニングする場合も、レーザー照射により離脱した微粒子Pは、特定の方向に飛来する。レーザーの走査方法は、レーザー入射方向と同一方向の走査軸は、レチクル2の表面上のレーザー照射位置を、常にレーザー入射方向に対し、手前方向から奥行き方向に照射する機構を設けている。
【0092】
レチクルチャック7のクリーニング時における各軸の走査手段は、上記実施例で説明したように、レチクル2をクリーニングする場合と同様である。一方、ウエハチャック6のクリーニング時は、ウエハチャック6は、X、Y方向移動可能なウエハステージ27の上に設置されている。このため、レーザーは光学素子で走査する必要はない。レーザーは固定したうえで、ウエハステージ27を移動させることにより、ウエハチャック6の全面のクリーニング動作が可能となる。
【0093】
以上、本発明の上記実施例によれば、レチクルのパターン面に対して、レーザー光を下方から斜めの角度で照射する場合、レチクルパターン上のレーザー照射位置を、常にレーザー入射方向の手前方向から、奥行き方向に照射する。これにより、微粒子が離脱し、レーザー入射方向の位置に再付着しても、再度レーザー照射されることになるため除去率が向上する。したがって、レチクル上の微粒子付着によるデバイス製造時の欠陥を減少させることが可能になる。
【0094】
また、上記実施例では、レチクルチャック表面、ウエハチャック表面に対しても、上記と同様のレーザー照射方法を行うことにより、レチクル、及び、ウエハは常にフラットに保持される。このため、投影光学系の焦点深度に余裕を持たせることが可能になる。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0096】
上記実施例では、EUV露光装置内での被洗浄面に対して、レーザー洗浄を行う場合を説明した。しかし、本発明は、EUV露光装置内の被洗浄面に限定されるものではなく、他の装置内で行うものであってもよい。例えば本発明は、EUV露光装置とは独立したユニットとして提供されるレチクルの洗浄装置に適用することができる。また、独立した洗浄装置として、レチクル以外の対象物上に付着した微粒子を洗浄する洗浄装置にも適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1の洗浄装置を備えた露光装置の概略図である。
【図2】図1に示す洗浄装置の部分拡大断面図である。
【図3】図1に示す洗浄装置の部分拡大平面図である。
【図4】(a)レーザー光を垂直に照射したときの微粒子除去効果を説明する概略断面図、(b)レーザー光を斜めに照射したときの微粒子除去効果を説明する概略断面図である。
【図5】微粒子が表面から離脱した後の再付着を説明する概略断面図である。
【図6】微粒子の再付着を説明する概略平面図である。
【図7】(a)レーザー入射方向と主走査方向が同一の場合、(b)レーザー入射方向と主走査方向とが直交する場合、を示した図である。
【図8】実施例2の洗浄装置の部分拡大断面図である。
【図9】実施例2の洗浄装置の部分拡大平面図である。
【図10】実施例3の洗浄装置を備えた露光装置の概略図である。
【符号の説明】
【0098】
1、ウエハ
2、レチクル
3、レチクルステージ
4a、レチクルステージ空間
4b、投影光学系空間
4c、ウエハステージ空間
5、投影光学系
6、ウエハチャック
7、レチクルチャック
8,13,18,22、搬送ハンド
10a,10b,10c、装置排気装置
10d,10e、ロードロック真空排気系
11a,11b,12a,12b、16a,16b、ゲートバルブ
14、ウエハ交換室
19、レチクル交換室
20,20a、レーザー入射窓
21、パルスレーザー
23、23a、折り曲げミラー
27、ウエハステージ
30、レチクルパターン領域
40、40a、走査光学素子
41、41b、光学系
42a、42b、ビームダンパ
50、レーザー照射領域
51、ミラーステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空環境下で投影光学系を介して原版のパターンを基板に露光する露光装置であって、
前記露光装置は、前記原版を洗浄する洗浄装置を有し、
前記洗浄装置は、
前記原版にレーザー光を照射する照射手段と、
前記原版を移動させるステージと、
前記レーザー光を前記原版に正射影したときの前記レーザー光の進行方向をレーザー入射方向と定義した場合、前記照射手段又は前記ステージの一方を用いて、前記レーザー光の前記原版上での照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させる第1の走査手段と、
前記照射手段又は前記ステージの他方を用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させる第2の走査手段と、を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記レーザー入射方向と直交する方向は主走査方向であり、
前記レーザー入射方向と同一の方向は副走査方向であり、
前記洗浄装置は、前記第1の走査手段が前記照射領域を第1の主走査方向に移動させる第1の動作、前記第2の走査手段が該照射領域を前記副走査方向に移動させる第2の動作、該第1の走査手段が該照射領域を該第1の主走査方向とは反対の第2の主走査方向に移動させる第3の動作、及び、該第2の走査手段が該照射領域を該副走査方向に移動させる第4の動作、を順に実行することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1の走査手段は、前記照射手段を用いて、前記照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させ、
前記第2の走査手段は、前記ステージを用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させ、
前記照射手段は、前記レーザー光を走査する走査光学系を有し、
該走査光学系により、前記原版に照射される前記レーザー光の入射角を一定に保ちながら、該原版を洗浄することを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記第1の走査手段は、前記ステージを用いて、前記照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させ、
前記第2の走査手段は、前記照射手段を用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させ、
前記照射手段は、前記レーザー光を前記原版に照射させる折り曲げミラーと、該折り曲げミラーを搭載するミラーステージと、を有し、
前記折り曲げミラーを搭載した前記ミラーステージが前記レーザー入射方向と同一の方向に移動することにより、前記原版に照射される前記レーザー光の入射角を一定に保ちながら、該原版を洗浄することを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項5】
真空環境下でレーザー光を照射することにより対象物を洗浄する洗浄装置であって、
前記対象物にレーザー光を照射する照射手段と、
前記対象物を移動させるステージと、
前記レーザー光を前記対象物に正射影したときの前記レーザー光の進行方向をレーザー入射方向と定義した場合、前記照射手段又は前記ステージの一方を用いて、前記レーザー光の前記対象物上での照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させる第1の走査手段と、
前記照射手段又は前記ステージの他方を用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させる第2の走査手段と、を有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
前記レーザー入射方向と直交する方向は主走査方向であり、
前記レーザー入射方向と同一の方向は副走査方向であり、
前記洗浄装置は、前記第1の走査手段が前記照射領域を第1の主走査方向に移動させる第1の動作、前記第2の走査手段が該照射領域を前記副走査方向に移動させる第2の動作、該第1の走査手段が該照射領域を該第1の主走査方向とは反対の第2の主走査方向に移動させる第3の動作、及び、該第2の走査手段が該照射領域を該副走査方向に移動させる第4の動作、を順に実行することを特徴とする請求項5記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記第1の走査手段は、前記照射手段を用いて、前記照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させ、
前記第2の走査手段は、前記ステージを用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させ、
前記照射手段は、前記レーザー光を走査する走査光学系を有し、
該走査光学系により、前記対象物に照射される前記レーザー光の入射角を一定に保ちながら、該対象物を洗浄することを特徴とする請求項5又は6記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記第1の走査手段は、前記ステージを用いて、前記照射領域を該レーザー入射方向と直交する方向に移動させ、
前記第2の走査手段は、前記照射手段を用いて、前記照射領域を前記レーザー入射方向と同一の方向に移動させ、
前記照射手段は、前記レーザー光を前記対象物に照射させる折り曲げミラーと、該折り曲げミラーを搭載するミラーステージと、を有し、
前記折り曲げミラーを搭載した前記ミラーステージが前記レーザー入射方向と同一の方向に移動することにより、前記対象物に照射される前記レーザー光の入射角を一定に保ちながら、該対象物を洗浄することを特徴とする請求項5又は6記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−146959(P2009−146959A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320291(P2007−320291)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】