説明

駐車支援装置

【課題】本発明は、短時間で車両を駐車目標位置に駐車させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による駐車支援装置は、現在の車両位置に対して所定の位置関係にある位置を駐車目標位置として、現在の車両位置から前記駐車目標位置までの車両経路を車両移動中に算出する。更に駐車支援装置は、該車両経路が算出できたとき、駐車可能であることを知らせる通知手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を駐車目標位置又は駐車開始位置まで導く駐車支援制御を行う駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のシフトレバーがバック位置に操作された場合に、現在の車両位置と駐車目標位置との位置関係に基づいて、車両の目標経路を演算しモニタに表示する駐車支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−240661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の技術においては目標経路の演算は、シフトレバーがバック位置に操作された場合に行われる。その結果、シフトレバーがバック位置に操作された際に駐車目標位置に車両を駐車できないことが判明した場合、駐車目標位置の変更、更には車両移動を余儀なくされる。それにより、駐車完了まで時間が余計にかかり、ユーザの負担が大きくなる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、短時間で駐車目標位置に車両を駐車させることができ、ユーザの利便性を向上させた駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、車両の速度を検出する車速検出手段と、車両の舵角を検出する舵角検出手段と、駐車目標位置の候補を認識する認識手段と、車速検出手段と舵角検出手段とからの情報に基づいて、前記認識手段により前記駐車目標位置が認識された地点からの車両移動中における、前記駐車目標位置を原点とした二次元座標系としての現在の車両位置を算出し、算出された現在の車両位置と前記原点との間の後退による車両経路を前記車両移動中に最大操舵角を含む拘束条件を満たすように算出する算出手段と、前記算出手段が該車両経路を適正に算出できたとき、前記駐車目標位置への後退による駐車が可能である旨を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする駐車支援装置により達成される。
【0007】
請求項1記載の駐車支援装置において、通知手段は、車両経路が適正に算出できたとき、駐車目標位置への駐車が可能であることをユーザに知らせる。それにより駐車開始位置において、駐車目標位置の変更及び車両移動する必要がなく、短時間で車両を駐車させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。なお、前記算出手段は車両停止中に前記現在の車両位置から前記認識手段により認識された駐車目標位置までの前記車両経路を算出してもよい。
【0008】
請求項2に記載する如く、前記算出手段は、前記認識手段により駐車目標位置の候補が認識された地点から、所定の距離毎に前記車両経路を算出するのが好ましい。
【0009】
上記の目的は、請求項3に記載する如く、駐車目標位置の候補を認識する認識手段と、前記認識手段により認識された駐車目標位置への駐車が可能な駐車開始位置を算出する駐車開始位置算出手段と、前記駐車開始位置へ車両を導くための支援を行う支援手段と、を備えることを特徴とする駐車支援装置により達成される。尚、駐車開始位置とは1点である必要は無く、ある程度の範囲を持つ領域であってもよい。
【0010】
請求項3記載の駐車支援装置において、駐車開始位置へ車両を導くための支援手段により、ユーザは駐車目標位置へ駐車が可能な駐車開始位置に車両を確実に移動させることができる。それにより駐車開始位置において、駐車目標位置の変更及び車両移動する必要がなく、短時間で車両を駐車させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0011】
請求項4に記載する如く、前記支援手段は、現在の車両位置が前記駐車開始位置に一致した際に報知を行うのが好ましい。この場合、ユーザは、当該報知により駐車目標位置へ駐車が可能な駐車開始位置を知ることができる。
【0012】
請求項5に記載する如く、前記支援手段は、前記駐車開始位置までの車両操作態様をユーザに指示するのが好ましい。この場合、ユーザは、指示された車両操作態様に従うことにより、駐車目標位置へ駐車が可能な駐車開始位置へ車両を移動させることができる。
【0013】
請求項6に記載する如く、前記支援手段は、前記駐車開始位置までの車両を自動的に導くのが好ましい。この場合、ユーザは、確実に駐車目標位置へ駐車が可能な駐車開始位置に車両を移動させることがでる。またユーザの運転負荷を軽減することができる。
【0014】
請求項7に記載する如く、前記支援手段は、前記駐車開始位置をユーザに対して音声若しくは映像で出力するのが好ましい。この場合、ユーザは、駐車目標位置へ駐車が可能な駐車開始位置を明確に認識することができる。
【0015】
請求項8に記載する如く、前記認識手段は、前記車速検出手段により車両の停止状態が検出された際、その際の車両位置に対して所定の相対関係にある位置を前記駐車目標位置の候補として認識するのが好ましい。
【0016】
請求項9に記載する如く、前記通知手段による前記通知の可否を判断する通知可否判断手段を更に備え、前記通知可否判断手段は、車両が駐車過程にあると判断した場合、前記通知手段による前記通知を許可するのが好ましい。この場合、車両が駐車過程にないときに、通知手段が通知するのを防止することができる。
【0017】
請求項10に記載する如く、前記通知可否判断手段は、前記認識手段により駐車目標位置の候補が認識された後の車両走行状態に基づいて前記判断を行うのが好ましい。
【0018】
請求項11に記載する如く、前記通知可否判断手段は、ナビゲーション装置の地図データに基づいて前記判断を行うのが好ましい。
【0019】
請求項12に記載する如く、前記通知可否判断手段は、ユーザ操作可能な通知可否を設定するスイッチからの信号に基づいて前記判断を行うのが好ましい。
【0020】
尚、このスイッチには、前記通知手段の通知機能のON/OFF状態をユーザの好みに応じて選択可能とするスイッチであってもよく、若しくは、前記認識手段に駐車目標位置の候補を認識させるために車両の停止状態で操作されるスイッチであってよい。
【0021】
請求項13に記載する如く、車両周辺の撮影画像を表示する表示手段を更に備え、前記認識手段により認識された駐車目標位置が前記撮影画像上に重畳表示されるのが好ましい。これにより、ユーザは駐車支援装置側が認識している駐車目標位置と、ユーザ自身が意図している駐車目標位置との整合性を前もって確認できる。
【0022】
請求項14に記載する如く、前記認識手段により認識された駐車目標位置は、前記算出手段が前記車両経路を適正に算出できた場合に、前記撮影画像上に重畳表示されるのが好ましい。
【0023】
請求項15に記載する如く、前記認識手段により認識された駐車目標位置は、前記撮影画像上でユーザの操作により変更可能であるのが好ましい。
【0024】
請求項16に記載する如く、前記通知可否判断手段は、更に、車両が駐車過程にあると判断した場合、前記支援手段による前記支援を許可するのが好ましい。
【0025】
請求項17に記載する如く、前記駐車支援装置は、前記車両経路上の各車両位置において、車輪を自動的に目標転舵角だけ転舵させる自動操舵手段を備えることが好ましい。
【0026】
あるいは、上記の目的は、請求項18に記載する如く、現在の車両位置から駐車目標位置への経路である車両経路上の各車両位置において自動的に目標転舵角だけ転舵させて車両を駐車目標位置まで導く駐車支援制御を行う自動操舵手段を備える駐車支援装置において、車両の速度を検出する車速検出手段と、車両の舵角を検出する舵角検出手段と、駐車目標位置の候補を認識する認識手段と、車速検出手段と舵角検出手段とからの情報に基づいて、前記認識手段により前記駐車目標位置が認識された地点からの車両移動中における現在の車両位置を算出し、算出された現在の車両位置と前記駐車目標位置の候補との間の後退による車両経路を前記車両移動中に最大操舵角を含む拘束条件を満たすように算出する算出手段と、前記算出手段が該車両経路を適正に算出できたとき、前記自動操舵手段による前記駐車目標位置への後退による駐車支援制御が可能である旨を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする駐車支援装置により達成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、短時間で駐車目標位置に車両を駐車させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による駐車支援装置の第1乃至第3の実施の形態を示す図である。
【図2】第1の実施の形態である駐車支援装置の駐車支援ECUが実行する具体的な処理のフローチャートである。
【図3】本実施例における車庫入れ駐車及び縦列駐車を示す図である。
【図4】第2の実施の形態である駐車支援装置の駐車支援ECUが実行する具体的な処理のフローチャートである。
【図5】第3の実施の形態である駐車支援装置の駐車支援ECUが実行する具体的な処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は、本発明による駐車支援装置の第1乃至第3の実施の形態を示す図である。図1において、本実施例の駐車支援装置2は、電子制御ユニット(以下、「駐車支援ECU」と称す)4を中心に構成されている。駐車支援ECU4は、バスを介して相互に接続されたCPU、ROM、RAM、及びインターフェイス回路等からなるマイクロコンピュータである。ROMには、CPUを実行する制御プログラム等が格納されている。駐車支援ECU4には、バスを介してステアリングホイールの操舵角を検出する舵角センサ6、及び車両の速度を検出する車速センサ8が接続されている。車速センサ8として、例えば、車輪の回転軸に設けられた磁気式又は光学式のエンコーダが用いられている。車速センサ8は、車輪の回転速度に応じた周期でパルス信号を発生する。駐車支援ECU4には、リバースシフトスイッチ20及び駐車支援スイッチ14が接続されている。リバースシフトスイッチ20は、駐車支援ECU4に対して、変速機レバーが後退位置に操作された場合にオン信号を出力する。駐車支援ECU4は、リバースシフトスイッチ20の出力信号に基づいて車両が後退する状態にあるか否かを判別する。駐車支援スイッチ14は車室内に設けられており、ユーザのスイッチ操作によりオン信号を駐車支援ECU4に出力する。ここで駐車支援スイッチ14は、後述する表示モニタ10のタッチスイッチに設けられていても良い。
【0031】
駐車支援ECU4には、駐車目標位置へ駐車が可能かを知らせるスピーカ18及びライト16等の通知手段が接続されている。駐車支援ECU4は、駐車目標位置へ駐車が可能であると判断すると、これらスピーカ18及びライト16に電力を供給する。スピーカ18及びライト16に電力が供給されると、スピーカ18は音を発生し(音声案内を行う)、ライト16は点灯する。それによりユーザは、駐車目標位置へ駐車が可能かを判断できる。ここでライト16は、後述する表示モニタ10上に設けられていても良い。
【0032】
駐車支援ECU4には、車両後部に配設されたモニタカメラ12及び車室内に設けられた表示モニタ10が接続されている。ここでモニタカメラ12は、車両後部に配設されているが、車両のどの位置に配設されていても良い。
【0033】
モニタカメラ12は、車両後方及び側方の所定角度領域における風景を撮影するCCDカメラである。モニタカメラ12は、その撮影した撮影画像を駐車支援ECU4に送信し、駐車支援ECU4はモニタカメラ12から送信された撮影画像を表示モニタ10に送信する。表示モニタ10には、駐車目標位置設定用タッチスイッチを表示させることができ、ユーザはこの駐車目標位置設定用タッチスイッチを介して駐車目標位置を設定、調整することが可能である。具体的には、表示モニタ10上のタッチスイッチの操作により、駐車支援ECU4は、モニタカメラ12からの撮影画像、駐車目標枠、及び駐車目標位置設定用のタッチスイッチを重畳表示するように表示モニタ4に対し信号を送る。
【0034】
駐車目標枠は、その位置及び向きがユーザにより視認可能である形態を有し、車庫入れ駐車用の表示と縦列駐車用の表示の二種類が用意されている。車両が駐車開始位置に到達した際又は駐車支援ECU4が駐車目標位置の候補を認識した後、表示モニタ10上に駐車目標枠が初期表示され、ユーザが当該駐車目標枠を必要に応じて移動調整することで、駐車目標位置の候補が移動調整される。
【0035】
駐車支援ECU4には、駐車支援ECU4からの信号に基づいて、車両を操舵する自動操舵手段22と、駐車支援ECU4からの信号に基づいて、車両を制動する自動制動手段24とがバスを介して接続されている。更に、駐車支援ECU4には、駐車支援ECU4からの信号に基づいて、車両を駆動する自動駆動手段26がバスを介して接続されている。
【0036】
次に駐車支援ECU4が実行する具体的な処理について説明する。
【0037】
図2は、第1の実施の形態である駐車支援装置の駐車支援ECUが実行する具体的な処理のフローチャートである。図3(a)は、本実施例における車庫入れ駐車を示す図であり、図3(b)は、本実施例における縦列駐車を示す図である。
【0038】
図2に示すが如く、ステップ100では、駐車支援ECU4は車速センサ8からの車速に基づき車両が停止状態であると判断すると、その際の車両位置に対して所定の相対関係にある位置を駐車目標位置の候補として認識する。
【0039】
具体的には車庫入れ駐車の場合、駐車支援ECU4は車両が停止状態にあると判断すると、当該車両位置を車両の中心点を中心として時計方向に90度回転させ、距離Aだけ後方に移動させた位置を駐車目標位置の候補として認識する(図3(a))。また縦列駐車の場合、駐車支援ECU4は車両が停止状態にあると判断すると、当該車両位置を車両の中心点から距離Bだけ横方向に移動させた位置を駐車目標位置の候補として認識する(図3(b))。ここで上述の距離Aの値及び距離Bの値は、予め駐車支援ECU4のROMに設定されている。
【0040】
更に駐車支援ECU4は、駐車目標位置を原点とした二次元座標系として、駐車目標位置の候補を認識したときの車両位置(以下、「目標認識位置」と称す)を認識する。駐車支援ECU4は、駐車目標位置の候補を認識するとステップ110の処理に移行する。
【0041】
ステップ110では、駐車支援ECU4は表示モニタ10上にモニタカメラ12からの撮影画像を表示させる。更に駐車支援ECU4は、認識された駐車目標位置の候補をこの撮影画像上に重畳表示させ、ステップ120の処理に移行する。これにより、ユーザは駐車支援ECU4側が認識している駐車目標位置と、ユーザ自身が意図している駐車目標位置との整合性を前もって確認できる。
【0042】
ステップ120では、駐車支援ECU4は、表示モニタ10の駐車目標位置設定用のタッチスイッチより駐車目標位置に関する情報が入力されているか否かを判断し、ユーザにより駐車目標位置の調整が行われたか否かを判断する。駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力され、ユーザにより駐車目標位置の調整が行われたと判断した場合、入力された駐車目標位置を駐車目標位置の候補として改めて認識する(ステップ130)。一方駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力されていない場合、ユーザにより駐車目標位置の調整が行われなかったと判断し、ステップ140の処理に移行する。
【0043】
ステップ140では、駐車支援ECU4は目標認識位置を基準として、車速センサ8からの車両の速度及び、舵角センサ6からの操舵角に基づいて、現在の車両位置を算出する。次に駐車支援ECU4は、算出された現在の車両位置と、上述の駐車目標位置の候補との間の車両経路を車両移動中に算出する。尚、駐車支援ECU4は、駐車目標位置が認識された地点(目標認識位置)から、所定の微小移動距離毎に車両経路を算出する。また駐車支援ECU4は、拘束条件等(例えば、最大操舵角、車速等)を満たすように、車両経路を算出する。駐車支援ECU4は、拘束条件等に基づき車両経路を算出できた場合(車両経路を適正に算出できた場合)は、ステップ150の処理に移行し、車両経路が算出できない場合は、処理を終了する。
【0044】
ステップ150では、駐車支援ECU4は、車両が駐車過程にあるか否かを判断する。具体的には、駐車支援ECU4は上述の駐車目標位置の候補が認識された後の車両走行状態に基づいて、車両が駐車過程にあるか否かを判断する。例えば、舵角センサ6からの舵角が所定の値以上であり、車速センサ8からの車速が所定の値以下であり、現在の車両位置が目標認識位置から所定の距離内である場合、駐車支援ECU4は車両が駐車過程にあると判断する。また駐車支援ECU4は、ナビゲーション装置28からの地図データ、及びユーザ操作が可能な駐車支援スイッチ14からのオン信号に基づいて、車両が駐車過程にあるか否かを判断する。駐車支援ECU4は、駐車支援スイッチ14からオン信号を受けている場合、車両が駐車する過程にあると判断し、オン信号を受けていない場合、車両が駐車する過程にないと判断する。上述の車速に関する所定の値、舵角に関する所定の値及び目標認識位置からの所定の距離の値は、予め駐車支援ECU4のROMに設定されている。
【0045】
駐車支援ECU4は、車両が駐車過程にあると判断した場合、ステップ160の処理に移行し、車両が駐車過程にないと判断した場合、処理を終了する。
【0046】
ステップ160では、駐車支援ECU4は、スピーカ18及びライト16に電力を供給し、その後ステップ170の処理に移行する。スピーカ18及びライト16に電力が供給されると、スピーカ18は音を発生し(駐車目標位置へ駐車が可能である旨を音声案内する。)、ライト16は点灯する。これにより駐車支援ECU4は、駐車する為の車両経路を算出することができ、駐車目標位置に駐車が可能であることをユーザは知ることができる。
【0047】
ステップ170では、駐車支援ECU4は、リバースシフトスイッチ20からオン信号を受信しているか否かを判断する。駐車支援ECU4は、リバースシフトスイッチ20からオン信号を受信していると判断した場合、モニタカメラ12が撮影した撮影画像を表示モニタ10に表示させる。更に駐車支援ECU4は表示モニタ10に対し、当該撮影画像上に駐車目標枠が重畳表示されると共に、駐車目標位置設定用のタッチスイッチが表示されように信号を送り、その後ステップ180の処理に移行する。一方、駐車支援ECU4は、リバースシフトスイッチ20からオン信号を受信していないと判断した場合、処理を終了する。
【0048】
ステップ180では、駐車支援ECU4は、表示モニタ10の駐車目標位置設定用のタッチスイッチより駐車目標位置に関する情報が入力されているか否かを判断し、ユーザにより駐車目標位置の調整が行われたか否かを判断する。駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力されたと判断した場合、ステップ130の処理に戻り、駐車目標位置と現在の車両位置とに基づいて、再度車両経路の算出を行う。一方駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力されていないと判断した場合、ステップ190の処理に移行する。
【0049】
ステップ190では、駐車支援ECU4は、算出された車両経路を車両が走行するように、駐車支援ECU4は自動操舵手段22、自動制動手段24及び自動駆動手段26を制御する。具体的には、ユーザがブレーキペダルの踏み込み量を緩めることでクリープ力が発生し、車両の後退が開始される。車両の後退が開始されると、駐車支援ECU4は目標経路上の各車両位置において自動操舵手段22により車輪を自動的に目標転舵角だけ転舵させる。そして、最終的に車両が駐車目標位置に到達した際に、ユーザに車両の停止を要求し(若しくは、自動制動手段24により車両を自動的に停止させ)、駐車支援制御が完了する。
【0050】
(第2の実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0051】
図4は第2の実施の形態である駐車支援装置の駐車支援ECUが実行する具体的な処理のフローチャートである。
【0052】
ステップ200では、駐車支援ECU4は車速センサ8からの車速に基づき車両が停止状態であると判断すると、その際の車両位置に対して所定の相対関係にある位置を駐車目標位置の候補として認識する。例えば駐車支援ECU4は、車両が駐車目標位置の候補の中央に一時停止したと判断した場合、駐車支援ECU4は当該車両の停止位置と所定の相対関係にある位置を駐車目標位置の候補として認識する。
【0053】
駐車支援ECU4は、駐車目標位置の候補を認識するとステップ210の処理に移行する。
【0054】
ステップ210では、駐車支援ECU4は表示モニタ10にモニタカメラ12からの撮影画像を表示させる。更に駐車支援ECU4は、認識された駐車目標位置の候補をこの撮影画像上に重畳表示させ、ステップ220の処理に移行する。
【0055】
ステップ220では、駐車支援ECU4は、表示モニタ10の駐車目標位置設定用のタッチスイッチより駐車目標位置に関する情報が入力されているか否かを判断し、ユーザにより駐車目標位置の調整が行われたか否かを判断する。駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力されたと判断した場合、入力された駐車目標位置を駐車目標位置の候補として改めて認識する(ステップ230)。一方駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力されていないと判断した場合、ステップ240の処理に移行する。
【0056】
ステップ240では、駐車支援ECU4は、認識した駐車目標位置の候補と駐車目標位置を認識した車両位置とから、駐車目標位置へ駐車が可能な駐車開始位置を算出し、ステップ250の処理に移行する。ここで駐車開始位置とは、車両が駐車目標位置に向けて後進を開始する位置である。
【0057】
ステップ250では、駐車支援ECU4は、現在の車両位置が算出された駐車開始位置に一致しているか否かを判断する。駐車支援ECU4は、現在の車両位置が算出された駐車開始位置に一致していると判断した場合、ステップ260の処理に移行し、現在の車両位置が算出された駐車開始位置に一致しないと判断した場合、処理を終了する。
【0058】
ステップ260では、駐車支援ECU4は、車両が駐車過程にあるか否かを判断する。具体的には、駐車支援ECU4は上述の駐車目標位置の候補が認識された後の車両走行状態に基づいて、車両が駐車過程にあるか否かを判断する。駐車支援ECU4は、車両が駐車過程にあると判断した場合、ステップ270の処理に移行し、車両が駐車過程にないと判断した場合、処理を終了する。
【0059】
ステップ270では、駐車支援ECU4は、スピーカ18及びライト16に電力を供給し、スピーカ18は音を発生し(駐車目標位置へ駐車が可能な駐車開始位置である旨を音声案内する)、ライトは点灯する。
【0060】
(第3の実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0061】
図5は第3の実施の形態である駐車支援装置の駐車支援ECUが実行する具体的な処理のフローチャートである。
【0062】
ステップ300では、駐車支援ECU4は車速センサ8からの車速に基づき車両が停止状態であると判断すると、その際の車両位置に対して所定の相対関係にある位置を駐車目標位置の候補として認識する。例えば駐車支援ECU4は、車両が駐車目標位置の候補の中央に一時停止したと判断した場合、駐車支援ECU4は当該車両の停止位置と所定の相対関係にある位置を駐車目標位置の候補として認識する。駐車支援ECU4は、駐車目標位置の候補を認識するとステップ310の処理に移行する。
【0063】
ステップ310では、駐車支援ECU4は表示モニタ10にモニタカメラ12からの撮影画像を表示させる。更に駐車支援ECU4は、認識された駐車目標位置の候補をこの撮影画像上に重畳表示させ、ステップ320の処理に移行する。
【0064】
ステップ320では、駐車支援ECU4は、表示モニタ10の駐車目標位置設定用のタッチスイッチより駐車目標位置に関する情報が入力されているか否かを判断し、ユーザにより駐車目標位置の調整が行われたか否かを判断する。駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力されたと判断した場合、入力された駐車目標位置を駐車目標位置の候補として改めて認識する(ステップ330)。一方駐車支援ECU4は、駐車目標位置に関する情報が入力されていないと判断した場合、ステップ340の処理に移行する。
【0065】
ステップ340では、駐車支援ECU4は、認識した駐車目標位置の候補と駐車目標位置を認識した車両位置から、駐車目標位置へ駐車可能な駐車開始位置を算出し、ステップ350の処理に移行する。
【0066】
ステップ350では、駐車支援ECU4は、車両が駐車過程にあるか否かを判断する。具体的には、駐車支援ECU4は上述の駐車目標位置の候補が認識された後の車両走行状態に基づいて、車両が駐車過程にあるか否かを判断する。駐車支援ECU4は、車両が駐車過程にあると判断した場合、ステップ360の処理に移行し、車両が駐車過程にないと判断した場合、処理を終了する。
【0067】
ステップ360では、駐車支援ECU4は、駐車開始位置までの車両操作態様をユーザに指示する。具体的には駐車支援ECU4は、駐車開始位置へ車両を移動させる為に最適な舵角及び車速を算出し、算出された最適の舵角及び車速を表示モニタ10に表示させる。また、駐車支援ECU4は、モニタカメラ12からの撮影画像、算出された駐車開始位置、及び車両が移動すべき軌道を表示モニタ10上に重畳表示してもよい。駐車支援ECU4は、スピーカ18により音声で、最適な舵角、車速及び方向等をユーザに指示してもよい。更に、駐車支援ECU4は、自動操舵手段22、自動制動手段24及び自動駆動手段26を制御して、自動的に駐車開始位置に車両を移動させてもよい。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0069】
尚、上記実施例においては、駐車支援ECU4が特許請求の範囲記載の算出手段、認識手段、駐車開始位置算出手段、支援手段及び通知可否判断手段に相当している。
【符号の説明】
【0070】
2 駐車支援装置
4 駐車支援ECU
6 舵角センサ
8 車速センサ
14 駐車支援スイッチ
16 ライト
18 スピーカ
28 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度を検出する車速検出手段と、
車両の舵角を検出する舵角検出手段と、
駐車目標位置の候補を認識する認識手段と、
車速検出手段と舵角検出手段とからの情報に基づいて、前記認識手段により前記駐車目標位置が認識された地点からの車両移動中における、前記駐車目標位置を原点とした二次元座標系としての現在の車両位置を算出し、算出された現在の車両位置と前記原点との間の後退による車両経路を前記車両移動中に最大操舵角を含む拘束条件を満たすように算出する算出手段と、
前記算出手段が該車両経路を適正に算出できたとき、前記駐車目標位置への後退による駐車が可能である旨を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記認識手段により駐車目標位置の候補が認識された地点から、所定の距離毎に前記車両経路を算出することを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記認識手段により認識された駐車目標位置への駐車が可能な駐車開始位置を算出する駐車開始位置算出手段と、
前記駐車開始位置へ車両を導くための支援を行う支援手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記支援手段は、現在の車両位置が前記駐車開始位置に一致した際に報知を行うことを特徴とする請求項3記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記支援手段は、前記駐車開始位置までの車両操作態様をユーザに指示することを特徴とする請求項3記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記支援手段は、前記駐車開始位置まで車両を自動的に導くことを特徴とする請求項3記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記支援手段は、前記駐車開始位置をユーザに対して音声若しくは映像で出力することを特徴とする請求項3記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記認識手段は、前記車速検出手段により車両の停止状態が検出された際、その際の車両位置に対して所定の相対関係にある位置を前記駐車目標位置の候補として認識することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記通知手段による前記通知の可否を判断する通知可否判断手段を更に備え、
前記通知可否判断手段は、車両が駐車過程にあると判断した場合、前記通知手段による
前記通知を許可することを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記通知可否判断手段は、前記認識手段により駐車目標位置の候補が認識された後の車両走行状態に基づいて前記判断を行うことを特徴とする請求項9記載の駐車支援装置。
【請求項11】
前記通知可否判断手段は、ナビゲーション装置の地図データに基づいて前記判断を行うことを特徴とする請求項9記載の駐車支援装置。
【請求項12】
前記通知可否判断手段は、ユーザ操作可能な通知可否を設定するスイッチからの信号に基づいて前記判断を行うことを特徴とする請求項9記載の駐車支援装置。
【請求項13】
車両周辺の撮影画像を表示する表示手段を更に備え、
前記認識手段により認識された駐車目標位置が前記撮影画像上に重畳表示されることを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項14】
前記認識手段により認識された駐車目標位置は、前記算出手段が前記車両経路を適正に算出できた場合に、前記撮影画像上に重畳表示されることを特徴とする請求項13記載の駐車支援装置。
【請求項15】
前記認識手段により認識された駐車目標位置は、前記撮影画像上でユーザの操作により変更可能であることを特徴とする請求項13記載の駐車支援装置。
【請求項16】
前記通知可否判断手段は、更に、車両が駐車過程にあると判断した場合、前記支援手段による前記支援を許可することを特徴とする請求項9乃至12のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項17】
前記車両経路上の各車両位置において、車輪を自動的に目標転舵角だけ転舵させる自動操舵手段を備えることを特徴とする請求項1乃至16のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項18】
現在の車両位置から駐車目標位置への経路である車両経路上の各車両位置において自動的に目標転舵角だけ転舵させて車両を駐車目標位置まで導く駐車支援制御を行う自動操舵手段を備える駐車支援装置において、
車両の速度を検出する車速検出手段と、
車両の舵角を検出する舵角検出手段と、
駐車目標位置の候補を認識する認識手段と、
車速検出手段と舵角検出手段とからの情報に基づいて、前記認識手段により前記駐車目標位置が認識された地点からの車両移動中における現在の車両位置を算出し、算出された現在の車両位置と前記駐車目標位置の候補との間の後退による車両経路を前記車両移動中に最大操舵角を含む拘束条件を満たすように算出する算出手段と、
前記算出手段が該車両経路を適正に算出できたとき、前記自動操舵手段による前記駐車目標位置への後退による駐車支援制御が可能である旨を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−146448(P2009−146448A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70210(P2009−70210)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【分割の表示】特願2004−131919(P2004−131919)の分割
【原出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】