説明

ANTIに対するSYN比率が高いスタチンの製造方法

【課題】フルバスタチンのジオールエステルのsyn:anti比を増大するための新規な方法。
【解決手段】フルバスタチンのジオールエステルのsyn:anti比を増大する方法において、a)フルバスタチンジオールを約30℃において溶剤の溶解し、b)溶液を冷却し、そしてc)結晶化したジオールエステルを回収する、工程を含んである方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、スタチンの還元化、およびsyn対anti比の増大に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
スタチンと称し分類される薬品は、心臓血管障害の危険にさらされた患者の血流中の低密度脂質タンパク質(LDL)粒子の濃度を減少させるために使用でき、治療として近年最も有効な薬品であり、従ってスタチン類は、高コレステロール血症、高リポタンパク質血症、およびアテローム性硬化症の治療に使用される。Goodman and Gilmanによる、The Pharmacological basis of Therapeutics,page 879( 9th Ed.1996)を参照。
【0003】
スタチンが、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル補酵素A(「HMG-CoA」)還元酵素を競合的に阻害することにより、ヒトのコレステロール生合成を阻害する。HMG-CoA還元酵素が、HMGメバロン酸塩の変換を触媒し、コレスレロール生合成工程の決定率工程となる。コレステロール生成が減少すると、LDL受容体数が増大し、および血流中のLDL粒子濃度が相当して減少することになる。血流中のLDLレベルが減少すると、冠状動脈疾患の危険性が減少する。J.A.M.A.1984,251,351-74を参照。
【0004】
近年利用可能なスタチンとしては、ロバスタチン(lovastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)およびアトルバスタチン(atorvastatin)があげられる。ロバスタチン(米国特許第4,231,938に開示)、およびシンバスタチン( ZOCOR;米国特許第4,444,784およびWO 00/53566に開示)が、ラクトン形状にて投与される。吸収後ラクトン環が、肝臓内で化学的に又は酵素により加水分解にて開環され、さらに活性なヒドロキシ酸が生成される。
【0005】
プラバスタチン(PRAVACHOL ; 米国特許第4,346,227に開示)が、ナトリウム塩として投与される。さらにナトリウム塩として投与されるフルバスタチン( LESCOL ; 米国特許第4,739,073に開示)、およびセリバスタチン( 米国特許第5,006,530、および米国特許第5,177,080に開示)が、ヘキサヒドロナフタレン環を含む、この種(class)のカビ誘導体から一部構造的に相違する完全な合成化合物である。アトルバスタチン(atorvastatin)、および2の新たな「スーパスタチン」(superstatin)としてのロスバスタチン(rosuvastatin)およびピタバスタチン(pitavastatin)が、カルシウム塩として投与される。
【0006】
これらスタチンの構造式を以下に示す。
【化1】

【0007】
[R*,S*-(E)]-(±)-7-[3-(4-フルオロフェニル)-1-(1-メチルエチル)-1H-インドール-2-イル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプテン酸が、フルバスタチンであり、そして上にその構造を示す。スタチンの合成工程としては、ケトエステルを還元しスタチンを生成する。たとえば米国特許第5,354,772におけるフルバスタチンの場合、フルバスタチンのケトエステルがEtB3/ NaBH4 にて還元され、ジオールエステルが得られる。別の特許米国特許第5,189,164(EP 0 363 934)において、フルバスタチンのケトエステルを、ジエチルメチルオキシボランにて還元しフルバスタチンを提供する。
【0008】
これら両方の米国特許が、クロマトグラフィのみによりFLV-ジオールエステルを精製する方法に関する。ロスバスタチンに関する米国特許第5,260,440、およびピタバスタチンに関する米国特許第5,856,336においては、さらにスタチン-ジオールエステルが、クロマトグラフィにより単離される。WO 03/004455 の例8において6-ジベンジルカルバモイル-5-ヒドロキシ-3-オキソ-ヘキサン酸-tert-ブチルエステルを、圧力25bar下で水素付加により還元し、その後酢酸エチルを乾燥し、残留物がsyn対antiの比率が7.6対1である残留物が得られる。
【0009】
さらにケトエステルの還元が、Tetrahedron 49,1997-2010(1993)に開示されている。その記載において、特定スタチンではないケトエステルの還元が、EtB3/NaBH4又はRU-binapにて行われ、ジオールエステルが提供される。別の記載においてさらにいずれか特定のスタチンでないケトエステルが、所望によりRh(PPh3)Clの存在下にて、カテコールボランにより還元される。JOC55,5190-5192(1990)を参照。
【0010】
還元剤の選択が、得られるantiに対しsynの比率に影響を及ぼすことから、その還元剤の選択が、スタチンの対応するケトエステルから当該スタチンを得る重要な要素である。
アメリカ薬局方(USP)が、スタチンの形成に使用されるantiに対しsyn比率に関する基準を提供している。USPの要件としては、antiに対し高いsyn比率を得ることのできる還元剤の使用を指示する。
コスト的に有効な基盤で工業的規模で使用でき、そしてantiに対する高いsyn比率及び高い全体収率をもたらす還元剤の選択が当業界において求められている。
【0011】
通常、還元後に得られるジオールエステルが単離されることはなく、加水分解されて塩が得られる。たとえば米国特許第5,003,080においては、中間エステルが全く単離されない。しかしながら1例としてJournal of Labeled Compounds & Radiopharmaceuticals vol. XLI, pages 1-7(1988) において、フルバスタチン・ジオールエステルが、3容量%のイソプロパノールを含むヘキサンから得られる(さらに、TETRAHEDRON, VOL.53(31), 10659 -10670,1997を参照)。本発明の発明者は、ジオールエステルの単離を介しスタチンのantiに対するsynの比率を増大するための更なる方法を見出した。
【発明の開示】
【0012】
本発明の要約
一つの観点において本発明は、下記一般式:
【化2】

【0013】
[式中、Rは、還元作用に不活性な有機遊離基であり、且つ3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-補酵素Aを阻害することができ、R1は、直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基であり、Yは水素であるか又はR基と共に2重結合を形成する]
を有するスタチン・ジオールエステルの製造方法において、
a)下記一般式:
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、少なくとも1のXは2重結合を形成しケトンを与え、そして1個以下のXは水素である]
を有するスタチンのケトエステルと溶媒とを一緒にして溶液を形成する工程;
b)約−50℃〜約−80℃の温度に溶液を冷却する工程;
c)前記溶液とB-メトキシ-9-BBNとを一緒にして反応混合物を得、そしてこの反応混合物を少なくとも約30分間保持する工程;
d)水素化イオン源と前記反応混合物とを一緒にし、そして少なくともさらに2時間反応混合物を保持する工程;
e)前記反応混合物を反応停止(quenching )する工程;及び
f)スタチン・ジオールエステルを回収する工程;
を含む方法を提供する。
【0016】
別の観点において、本発明は、下記一般式:
【化4】

【0017】
[式中、Rは、還元作用に不活性な有機遊離基であり、且つ3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-補酵素Aを阻害することができ、R1は、直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基であり、Yは水素であるか又はR基と共に2重結合を形成する]
を有するスタチン・ジオールエステルからスタチンかたはその医薬として許容される塩を製造する方法において、
a)下記一般式:
【0018】
【化5】

【0019】
[式中、少なくとも1のXは2重結合を形成しケトンを与え、そして1個以下のXは水素である]
を有するスタチンのケトエステルと溶媒とを一緒にして溶液を形成する工程;
b)約−50℃〜約−80℃の温度に溶液を冷却する工程;
c)前記溶液とB-メトキシ-9-BBNとを一緒にして反応混合物を得、そしてこの反応混合物を少なくとも約30分間保持する工程;
d)水素化イオン源と前記反応混合物とを一緒にし、そして少なくともさらに2時間反応混合物を保持する工程;
e)前記反応混合物を反応停止(quenching )する工程;及び
f)スタチン・ジオールエステルを回収する工程;
を含む方法を提供する。
【0020】
別の観点において、本発明は、下記一般式:
【化6】

【0021】
[式中、Rは、還元作用に不活性な有機遊離基であり、且つ3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-補酵素Aを阻害することができ、R1は、直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基であり、Yは水素であるか又はR基と共に2重結合を形成し、そして少なくとも1のXは2重結合を形成してケトンを与え、そして1個以下のXは水素である]
を有するスタチン・ケトエステルから、スタチンを製造する方法において、
a)前記スタチンのケトエステルと溶媒とを一緒にして溶液を生成する工程;
b)約−50℃〜約−80℃の温度に溶液を冷却する工程;
c)前記溶液とB-メトキシ-9-BBNとを一緒にして反応混合物を得て、そしてその反応混合物を少なくとも約30分間保持する工程;
d)水素イオン源を前記反応混合物と一緒にし、そして当該反応混合物を少なくともさらに2時間保持してジオールエステルを得る工程;
e)前記反応混合物を反応停止(quenching )する工程;
f)前記ジオールエステルを、NaOH又はCa(OH)2、および溶媒又は溶媒と水との混合液と一緒にする工程;及び
g)スタチンの遊離酸、又はそのラクトン又は医薬として許容される塩を回収する工程;
を含んで成る方法を提供する。
【0022】
さらに別の観点において、本発明は、フルバスタチン・ジオールエステルのantiに対するsynの比率を増大するための方法において、
a)少なくとも約30℃の温度において、フルバスタチン・ジオールエステルを溶媒中に溶解する工程;
b)前記溶液を冷却する工程;及び
c)結晶化したジオールエステルを回収する工程;
を含んで成る方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、還元剤としての9-メトキシ-9-ボラ-ビシクロ[3.3.1]ノナン(B-メトキシ-9-BBN)の使用によるスタチン・ケトエステルの還元方法を提供する。B-メトキシ-9-BBN(BM-9-BBN)により還元することで理想的な選択性が提供される。フルバスタチン・ジオールエステルとしての要件は、anti生成物のHPLCによる面積%が約0.8%を超えないことである。本発明の還元方法は、HPLCの面積%として約0.5〜0.6%のantiを形成し、そして別の結晶化工程では、HPLCの面積%として約0.2%より低いantiを形成する。さらにB-メトキシ-9-BBNを、約1:1という低いモル比で使用することができる。
【0024】
フラバスタチンにて例示された本発明における還元ケトエステルは、以下の式:
【化7】

【0025】
[式中、R1は、C1〜C4のアルキル基(好ましくはt-ブチル)であり、Rは下記のような有機遊離基であり、Yは、水素であるか又はR基と一緒に2重結合を形成し、そして少なくとも1のXは、酸素に結合している炭素と一緒になって二重結合を形成してケトンを提供し、そして1個以下のXは水素である]
を有す。好ましい反応スキームを以下に明示する。式中エステルに最も近いXがケトンを形成し、そしてもう1つ別のXが水素である(αケトエステル)。
【0026】
【化8】

【0027】
同様に本明細書に使用されている、Rは、ジオール・ペンタン酸エステル基に結合した有機遊離基を指しており、そして還元剤による還元に不活性であり、且治療的活性を許容する。還元に対し不活性とは、用いられる還元剤が、当業者の一般的知識によればR基を還元しないことを意味する。
【0028】
スタチンに依存して、R遊離基としては:
プラバスタチン:1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-2-メチル-8-(2-メチル-1-オキソブトキシ)-1-ナフタレン・エチル基、
フルバスタチン:3-(4-フルオロフェニル)-1-(1-メチルエチル)-1H-インドール-2-イル]-エチレン基、
セリバスタチン:4-(4-フルオロフェニル)-5-(メトキシメチル)-2,6-bis(1-メチルエチル)-3-ピリジニル-エチレン基、
【0029】
アトルバスタチン:2-(4-フルオロフェニル)-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロル-エチル基、
ロスバスタチン:[4-(4-フルオロフェニル)-6-(1-メチルエチル)-2-[メチル(メチルスルフォニル)アミノ]-5-ピリミジニル]-エチレン基、
ピタバスタチン:[4'-(4”-フルオロフェニル)-2'-シクロプロピル-キノリン-3'-イル]-エチレン基、
が可能である。
【0030】
さらにR基としては、開いた環形状の基、すなわちシンバスタチン又はロバスタチンのジヒドロキシ酸にて可能である。さらにこれらの開環形状は、ジオール・ペンタン酸基を有する。本明細書に使用されているように、用語シンバスタチンおよびロバスタチンには、その他に化学式により明示されない限り、ラクトン形状と開環形状との両方があげられる。
【0031】
スタチンがシンバスタチン又はロバスタチンの場合、R基は:
シンバスタチン:1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2,6-ジメチル-8-(2,2-ジメチル-1-オキソブトキシ)-1-ナフタレン・エチル基、
ロバスタチン:1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2,6-ジメチル-1-8-(2-メチル-1-オキソブトキシ)-1-ナフタレン・エチル基、
である。
【0032】
B-メトキシ-9-BBNによりスタチン・ケトエステルを還元するには、スタチン・ケトエステルと溶媒とを一緒にする工程、約−50℃〜−80℃の温度まで溶液を冷却する工程、B-メトキシ-9-BBNを添加し、そして少なくとも約2時間のさらに反応混合物を維持する工程、反応停止剤(quenching agent)を添加する工程、及びスタチン・ジオールエステルを回収する工程が、あげられる。
【0033】
溶媒としては、C1〜C4のアルコール、例えばメタノール、極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、環状又は非環状のC2〜C8のエーテル、又はこれらの混合液を含むことができる。好ましくはその溶液を約−70℃〜−80℃まで冷却する。最適温度は約−70℃であり、それが極めて高い選択性を可能にする。
【0034】
水素化イオン源は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、および水素化ホウ素リチウムであることができ、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムである。反応停止剤(quenching agent)は、過酸化水素、NaCO3・1.5H2O又はNaBO3・H2Oのいずれかにて可能であり、好ましくは過酸化水素である。反応停止剤が反応を終了させるために使用され、残っている還元剤と当該反応停止剤とを反応させる。反応を停止(quenching)させた後、C4〜C7エステルおよび水を加え、そして形成された2相系から有機相を分離し、そして技術的に周知のいずれかの技術(蒸発乾燥など)により溶媒を取り除くことにより、ジオールエステルが反応混合物から回収される。
【0035】
UPS薬局方によれば、抗-異性体のレベルが、NMT(USPのHPLC法によるHPLCによる面積%)としてNMT 0.8%にすべきである。Antiに対するsynの異性体比を増大するために、フルバスタチン・ジオールエステルを結晶化できる。
1例において、本発明におけるフるバスタチン・ジオールエステルが以下の溶媒:アセトンなどのC3〜C7のケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールおよび2-ブタノールなどのC1〜C4のアルコール、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル又は酢酸メチルなどの酢酸エチル以外のC3〜C7のエステル、MTBE(メチル・t-ブチルエーテル)以外のC1〜C4エーテル類、およびこれらの混合物から結晶化できる。
【0036】
さらに結晶化の溶媒は、MTBEとC1〜C4アルコールとの混合物、好ましくはMTBEとIPAとの混合物であることができる。結晶化は、前記溶媒中高温度でスタチン・ジオールエステルを溶解する工程、この溶液を冷却する工程、結晶化したフルバスタチン・ジオールエステルを回収する工程を含む。好ましくは溶媒は、アセトン、IPA、酢酸イソプロピル、これらの混合物、およびIPA/MTBEの混合物から成る群から選択される。上昇した温度は、好ましくは約30℃以上、より好ましくは約40℃以上、そして最も好ましくはほぼ還流温度である。
【0037】
得られた沈殿物は、ろ過および濃縮などの従来の技術により回収することができる。好ましくは、フルバスタチンを還流温度で溶解する。さらに種晶付け(seeding)が結晶化のために使用される。
さらにフラバスタチン・ジオールエステルが、溶媒と抗-溶媒を使用することにより、結晶化される。これは高温度で、アセトン、メチルエチルケトン、およびメチルイソプロピルケトンなどのC3〜C7のケトン溶媒にスタチン・ジオールエステルを溶解する工程、環状および非環状ヘプタンおよびヘキサンなどのC5〜C12の飽和炭化水素を添加する工程、その溶液を冷却する工程、および結晶化されたジオールエステルを回収する工程を含む。
【0038】
好ましくは冷却温度は、約10℃〜約25℃の温度である。好ましくは高くした温度は還流温度である。1例において、C1〜C4のアルコールは、50容量%より少ない炭化水素と共に、より好ましくは炭化水素のない状態で使用される。
【0039】
用語「抗-溶媒」とは、溶媒中でフラバスタチン・ジオールエステル溶液に付加される時のフラバスタチン・ナトリウムの沈殿を誘発する液体を指している。さらに抗-溶媒は、その溶液が調製される時、溶媒と共に2成分混合系の状態となる。フルバスタチン・ジオールエステルの沈殿が、抗-溶媒の添加により誘発され、その抗-溶媒を添加すると、フルバスタチン・ジオールエステルが、抗-溶媒を添加しないこと以外同じ条件下で、同じ時間保持された時の同一溶媒中で、同一濃度のフルバスタチンを含む溶液からのフルバスタチン・ジオールエステルの沈殿よりも、より迅速に又はより多くの程度まで沈殿する。沈殿が溶液中の曇として、又は溶液中で又はその表面上で懸濁され、あるいは溶液を含む容器の壁部又は底部より収集され、フルバスタチン・ジオールエステルの明確な粒子の形成として、視覚的に検知することができる。上記結晶化により、antiに対するsynの比率が増大し、従ってanti異性体レベルが、HPLCによる約0.2%以下の面積(%)となる。好ましくは、anti異性体レベルが、HPLCによる約0.04%以下の面積(%)である。
【0040】
さらにジオールエステルを、スタチン又はラクトンの医薬として許容される塩に変換することができる。1例において、得られたジオールエステルを、水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウムと反応させて、ナトリウム塩又はカルシウム塩を得ることができる。さらに最初水酸化ナトリウムと反応させナトリウム塩を得ることができ、そしてその後塩化カルシウム又は酢酸カルシウムなどのカルシウム資源を用い、ナトリウム塩からカルシウム塩に変換することができる。
【0041】
スタチン・ジオールエステルの塩基性加水分解が、NaOH又はCa(OH)2などの1又は複数の等量のアルカリ金属塩基、又はアルカリ土類金属塩基、C1〜C8のエーテル(テトラヒドロフラン、IPE)、CNA、C1〜C4のアルコール(MeOH、EtOH、IPA、プロパノール、ブタノールなど)、C3〜C8のケトン又はエステル(アセトン、メチル・エチル・ケトン、メチル・イソプロピル・ケトン、酢酸エチル)にて行うことができる。さらに加水分解は、水、上記溶媒の混合液又は水と上記溶媒との混合液にて、好ましくは室温または加熱にて行うことができる。ラクトンを、HClなどの酸と共に酸性処理にて得ることができる。
【0042】
医薬組成物
本発明の医薬生成物は、antiに対し高いsynの比率によるスタチンの医薬的に受け入れ可能な塩、又はラクトン形状を含む。医薬的に受け入れ可能な塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、好ましくはカルシウム塩を含む。活性成分に加え本発明の医薬成分は、1又は複数の賦形剤、又はアジュバントを含むことができる。賦形剤の選択および使用量を、その分野における標準的な方法および引用試験による経験及び考察に基づいて、科学者の成形により容易に決定することができる。
【0043】
希釈剤により、塊状の固体医薬組成物を増大させ、そして患者に対してより容易で、そしてそして投与者の作業性に配慮した組成物を含む医薬的な投与形状とすることができる。固体組成物としての希釈剤としては、たとえば、微細結晶性セルローズ(たとえばAvicel(商標))、微細セルローズ、ラクトース、スターチ、プレゲリチナイズ・スターチ(pregelitinized starch)、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレイト、デキストリン、デキストローズ、2塩基性燐酸カルシウム2水和物、3塩基燐酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マニトール、ポリメタクリレイト(たとえばEudragit(商標))、塩化カリウム、粉末セルローズ、塩化ナトリウム、ソルビトール、およびタルクがあげられる。
【0044】
錠剤などの定量投与形状に押圧された固体医薬組成物が、賦形剤を含むことができ、その賦形剤の機能としては、圧縮した後の活性成分と他の賦形剤ちの相互の結合を支援することがあげられる。固体医薬組成物の結合剤としては、アカシア、アルギン酸、カルボマー (carbomer)(たとえばカルボポル(carbopol))、カルボキシ・ナトリウム・メチルセルローズ、デキストリン、エチルセルローズ、ゲラチン、グアルガム、水素化した植物油、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシ・プロピルセルローズ(たとえばKlucel(商標))、ヒドロキシプロピル・エチルセルローズ(たとえば、Methocel(商標))、液体グルコース、マグネシウム・アルミニウムシリケイト、マルトデキストリン、メチルセルローズ、ポリメタクリレイト、ポビドン(たとえば、Kollidon(商標)、Plasdon(商標))、ポリゲラチン化スターチ、アルギン酸ナトリウム、およびスターチがあげられる。
【0045】
患者の胃内の押圧された固体医薬組成物の溶解率を、組成物に分離剤を加えることにより増大させることができる。分離剤としては、アルギン酸、カルボキシ・メチルセルローズ・カルシウム、カルボキシメチルセルローズ・ナトリウム(たとえば、Ac-Di-Sol(商標)、Primellose(商標))、コロイド状2酸化ケイ素、クロスカメロス・ナトリウム(croscarmellose sodium)、クロスポビドン(crospovidone)(たとえば、Kollidon(商標)、Polyplasdone(商標))、グアルガム、マグネシウム・アルミニウムシリケイト、メチルセルローズ、マイクロ結晶性セルローズ、ポリアクリリン・カリウム、粉末性セルローズ、プレゲラチン化スターチ、アルギン酸ナトリウム、スターチグリコレイト・ナトリウム(たとえば、Explotab(商標))、およびデンプンがあげられる。
【0046】
滑動剤を加え非押圧固体組成物の流動性を改良し、そして正確な投与量の改良ができる。滑動剤として機能する賦形剤として、コロイド状シリコン、マグネシウムトリシリケイト、粉末状セルローズ、スターチ、タルク、および3塩基性燐酸カルシウムがあげられる。錠剤などの所定投与量の形状が、粉末組成物を押圧した状態にすることにより生成される時、その組成物がポンチやダイス(punch and dye)にかけられる。
【0047】
ある種の賦形剤および活性成分が、ポンチやダイス(punch and dye)の表面に付着し易いため、生成物に穴の開いたそして異常な表面を有する要因となり得る。潤滑剤を組成物に添加し付着性を減少させ、そして生成物をダイス(dye)から容易に離形することができる。潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノスステアリン酸グルセロール、水素化キャスター油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリル・フマール酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛があげられる。
【0048】
香味剤および香味強化剤が、患者に対しより口に合うような用量形状にする。本発明の組成物中に含むことができる医薬生成物として一般的な香味剤および香味強化剤としては、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマール酸、エチル・マルトール、および酒石酸があげられる。さらに固体組成物と液体組成物を、医薬的に受け入れ可能な何らかの着色剤を使用して着色し、これらの外観を改良し、そして/又は患者に対しその生成物および単位投与量レベルの識別を容易にすることができる。
【0049】
本発明の液体の医薬組成物において、ナテグリナイド(nateglinide)およびいずれか他の固体賦形剤が、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンなどの液状担体中で溶解されそして懸濁される。液体医薬組成物には、液状担体に溶解しない活性成分又は他の賦形剤を、組成物全体にわたり均一に分散させるために、乳化剤を含むことができる。
【0050】
本発明の液体組成物中有益な乳化剤としては、たとえば、ゼラチン、卵の黄み、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカンス(tragacanth)、コンドラス(chondrus)、ペクシン、メチルセルロース、カルボマー(carbomer)、セトステアリル(cetostearyl)アルコール、およびセチルアルコールがあげられる。
【0051】
さらに本発明の液体医薬組成物には、粘性強化剤が含まれ、生成物の口内感性、そして/又は胃腸管の内膜の被覆を改良する。こうした粘性強化剤としては、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー(carbomer)、カルボキシメチルセルローズ・カルシウム又はナトリウム、セトステアロル(cetostearyl)アルコール、メチルセルローズ、エチルセルローズ、ゲラチン・グーアガム、ヒドロキシ・エチルセルローズ、ヒドロキシ・プロピルセルローズ、ヒドロキ・プロピルメチルセルローズ、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカルボネイト、プロピレングリコール・アルギネイト、アルギン酸ナトリウム、スターチグリコレイト・ナトリウム、スターチトラガカンス(tragacanth)、およびキサンタン(xanthan)ガムがあげられる。
【0052】
ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクロース、アスパラタン、フルクトース、マニトール、および転化糖などの甘味料が加えられ、風味を改良する。アルコール、安息香酸、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびエチレンジアミン4酢酸などの保存剤およびキレート剤が、摂取のための安全性のレベルで添加され、保存の安定性を改良する。
本発明によりさらに液体組成物が、グルコン酸、ラクトン酸、クエン酸又は酢酸、グルコン酸ナトリウム、ラクトン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウムなどの緩衝剤を含むことができる。賦形剤の選択および使用される量が、その分野において標準的な方法、および基準となる研究の経験と考察に基づいて科学者の生成により容易に決定することができる。
【0053】
本発明の固体組成物として、粉末、粒状物、凝集および圧縮組成物を含む。この所定投与量は、経口、口腔、直腸、非経口、(皮下、筋肉中、および血管部を含む)、吸入剤および目からの投与として適切な所定用量を含む。何れか与えられた症例の最も適切な投与が、天然に、そして治療される症状の厳しさによるが、本発明の最も好ましい経路は、経口経路である。所定投与量が、単位投与用量の都合の良い形状に提示でき、そして医薬的技術の分野で周知のいずれかの方法にて調製することができる。
【0054】
所定投与の形状としては、錠剤、粉末、カプセル、座薬、サケット(sachets),およびトローチ、並びに液体シロップ、懸濁物、およびエレキレスなどの固体用量の形状があげられる。本発明の所定投与の形状としては、組成物を含むカプセル、好ましくは硬いか又は軟らかい核内で、本発明の粉末又は粒状化した固体組成物である。その核がゲラチンから形成され、そして所望によりグリセリンおよびソルビトールなどの可塑剤、および不透明剤又は着色剤を含む。活性成分およ賦形剤を、組成物中にそして技術的に周知な方法による所定投与量の形状に処方することができる。
【0055】
錠剤に成形するか又はカプセルに充填する組成物を、湿った顆粒化により調製することができる。湿った顆粒化において粉末状の幾つかの又は全ての活性成分および賦形剤を混合し、さらに液体の存在下典型的に水の存在下にて混合し粉末を固めて顆粒物にする。顆粒物を選別しそして/又は圧延(mill)し、乾燥し、さらに選別そして/又は圧延(mill)し所望の粒子サイズにする。さらに顆粒物を錠剤化し又は滑動剤および/又は潤滑剤など他の賦形剤を錠剤化する前に加える。
【0056】
錠剤化する組成物は、乾燥ブレンドにより従来のように調製できる。たとえば、活性剤と賦形剤とを混合した組成物を、押圧(compacted)して棒状(slug)又はシート状にし、そしてさらに細かく砕き押圧化した顆粒物にすることができる。さらに押圧化された顆粒物を、圧縮し錠剤にすることができる。顆粒化物を乾燥する選択肢として、混合組成物を直接の圧縮技術を用い直接に圧縮し押圧された所定量の形状にする。直接的な圧縮により、顆粒物でないより均一な錠剤が造りだされる。
【0057】
直接圧縮による錠剤化として極めて適切な賦形剤としては、微細結晶性セルローズ、噴霧式乾燥によるラクトース、ジカルシウム燐酸2水和物、およびコロイド状シリカがあげられる。直接圧縮により錠剤化する場合のこれらおよび他の賦形剤を適切に使用することが、直接圧縮錠剤化のうち特定成形の問題点が、経験および技術を伴う当業者に良く知られている。
【0058】
本発明のカプセルへの充填が、錠剤化することの引用として上記いずれかの混合体および顆粒体を含むことができるが、しかしこれらは、最終的な錠剤成形工程にかけられない。とくに好ましい実施の形態として引用し、例示として示し本発明として記載されているが、当業者が、明細書に開示されているように本発明の精神および範囲から逸脱することなく記載され、そして図示されたように、本発明に対する修飾が十分に理解されるであろう。たとえ実施例がフラバスタチンの還元を示したとしても、本明細書に開示された方法が、他のスタチンにたいして一般的に適用可能である。実施例が、本発明を理解する手助けとして説明されるが、いずれかの方法にてその範囲に限定する意図がなく、そして限定するよう解釈すべきでない。その例が、従来の方法の詳細な記載を含むものでない。そうした方法が、当業者に十分に知られ、そして多くの出版に記載されている。
【実施例】
【0059】
実施例1:FKE-tBuからFDE-tBuへの還元
アルミニウム箔にて被覆されたトリプル-ジャケット-反応器を、FKE-tBu(30g)、THF(CP,300ml)、およびメタノール(CP,60ml)にて付加する。溶液を(-70℃)まで冷却し、さらにBM-9-BBN(ヘキサン1Mの溶液 71ml)を加えた。その混合物を(-70℃)にて30分間攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム(2.4g)を加え、そしてその反応混合物を(-70℃)にて約2時間(FKE-tBuの消費に関してHPLCにより監視)攪拌した。
【0060】
30%の過酸化水素溶液(48ml)を加え、さらに反応混合物を室温にて19.5時間攪拌する。反応混合物を、EtOAc(150ml)、水(150ml)、およびブライン(105ml)にて希釈する。相を分離しそして有機層を、NaHCO3(1x120ml)の飽和溶液、Na2SO3(1x120ml)の飽和溶液、およびブライン(1x120ml)にて洗浄した。有機層を真空下にて蒸発乾燥にて乾燥した。
フラスコをアルミ箔にて被覆し、得られた固体残留物をアセトン(90ml)中で還流温度にて溶解した。次にn-ヘプタン(210ml)を還流温度にて加えた。その混合物を室温まで冷却し、そしてこの温度にて約18時間攪拌した。その生成物を、窒素雰囲気中でろ過により単離し、n-ヘプタン(100ml)にて洗浄し、真空オブン(vacuum oven)中で24時間40℃にて乾燥し、21.9g(73%)のFDE-tBuの粗生成物が得られた。最初の結晶化:Syn:anti-99.0/0.45である。
【0061】
実施例2:アセトンとn-ヘプタンから粗製FLV-ジオールエステルの結晶化
フラスコをアルミ箔にて被覆して、FDE-tBu粗製物(syn:anti 99.0:0.45)を、アセトン(116ml)中で還流温度にて溶解した。次にn-ヘプタン(252ml)を還流温度にて加えた。その混合物を37℃で1時間冷却し、さらにこの温度にて約1時間攪拌し、そして20℃1時間冷却した。得られたスラリーを20℃にて15時間攪拌した。その生成物を、窒素雰囲気中でろ過により単離し、n-ヘプタン(3x66ml)にて洗浄し、真空オブン(vacuum oven)中で24時間40℃にて乾燥し、18.9g(90%)のFDE-tBuの結晶(Syn:anti-99.8:0.17)が得られた。
【0062】
実施例3:FDE-tBuからFLV Na型XIVへの転化
水(56ml)、CNA(200ml)、およびFDE-tBu(40 gr)を、1Lの攪拌式反応器に加える。2.5deg.で、47%のNaOH溶液7.5grを加え、そしてその混合物を35℃に加熱する。ごの混合物が、加水分解中に清浄になる。反応の終了をHPLC(〜3-4時間)にて判定する。次に混合物を25℃に冷却する。ACN(600ml)をその混合物に加え、FLVのNa結晶体の沈殿物が生ずる。その混合物を〜5時間攪拌しその後真空下でろ過する。湿った生成物を120mlのACNにて洗浄する。湿った生成物を真空オブン(oven)で40℃にて乾燥し、FLV Na型XIVの結晶体が得られ、収率:87%である。
【0063】
実施例4:FDE-MeからFLV Naへの変換
フルバスタチン-ジオール・メチルエステル(3.0g)を、水(0.75ml)とエタノール(7.5ml)中NaOH(1 eq.)の溶液に加えた。その混合物を還流温度に加熱し、そして原料物質がHPLCにより観察されなくなるまで攪拌した。この期間の後、58mlのMTBEを1.5時間その溶液に滴下により添加した。その溶液中に濁度が現れそれをゆっくり室温まで冷却し、そして夜間にわたり攪拌した。生成物を窒素下でろ過により単離し、MTBE(50ml)にて洗浄し、真空オーブン(oven)で50℃にて24時間乾燥し、フルバスタチン・ナトリウム2.21g(72.3%)が得られた。
【0064】
実施例5:FDE-MEからFLV Naへの変換
フルバスタチン-ジオール・メチルエステル(FDE-ME)(4.0g)を、アセトン(40ml)中で溶解した。MeOH(4ml)中でNaOH(0.38gr)の溶液で攪拌し、そして混合物を室温にて20時間攪拌した。生成物を窒素下でろ過により単離しアセトン(20ml)にて洗浄し、真空オーブン(oven)で50℃にて26時間乾燥し、フルバスタチン・ナトリウム3.35gr(82.2%)が得られた。
【0065】
実施例6:IPAから粗製FLV-ジオールエステルの結晶化
粗製FLV-ジオール-tertブチルエステル(BM-9-BBMによる還元方法に言及されるように調製)(5.77gr,Syn:anti-98.6/0.88)を、還元温度に加熱することによりIPA(60ml)に溶解した。30分後清浄な溶液を室温に冷却しそして一昼夜攪拌した。次にその溶液を濃縮(約17mlのIPAを蒸発乾燥した)し室温にて一昼夜攪拌した。生成物を窒素気流下にて真空ろ過により単離し、IPA(30ml)にて洗浄し、さらに真空オブン(oven)で40℃にて乾燥し、FLV-ジオール-tertブチルエステルが得られた。最初の結晶化により、Syn:anti-98.9/0.61である。
【0066】
実施例7:アセトンからの粗製FLV-ジオールエステルの結晶化
粗製FLV-ジオール-tertブチルエステル(4.0g)を、アセトン(18.5ml)中で還流温度にて溶解する。45分後清浄な溶液を室温に冷却し、塊状の(massive)沈殿物が得られた。懸濁液をアセトン(10ml)にて希釈し、そしてその生成物を、窒素気流下にて真空ろ過により単離し、アセトン(4X10ml)にて洗浄し、そしてさらに真空オーブン(oven)で50℃にて24時間乾燥し、FLV-ジオール-tertブチルエステル(1.7g,42%)が得られた。最初の結晶化により、Syn : anti-98.8/0.27; 第二の結晶化:Syn:anti-99.6/0.04である。
【0067】
実施例8:酢酸イソブチルから粗製FLV-ジオールエステルの結晶化
FDE-tBu(3gr)(Syn:anti-98.6/0.88)を酢酸イソブチル(48ml)中、還流温度にて溶解する。その溶液を室温に冷却しそして1昼夜攪拌する。生成物を真空ろ過により単離し、酢酸イソブチルにて洗浄し、そして真空オーブン(oven)で50℃にて24時間乾燥し、FDE-tertブチル(1.92gr、64%収率)が得られた。最初の結晶化によりSyn:anti-99.6/0.2である。
【0068】
実施例9:IPAとMTBEから粗製FLV-ジオールエステルの結晶化
FDE-tBu(3gr)(Syn:anti-98.6/0.88)をIPA(15ml)中、還流温度にて溶解し、そしてMTBE (30ml)を加える。その溶液を室温に冷却し、そして1昼夜攪拌する。生成物を真空ろ過により単離し、MTBE:IPA1:1 v:v(20ml)にて洗浄し、そして真空オブン(oven)で40degにて24時間乾燥し、FDE-tertブチル(1.5gr、51%収率)が得られた。Syn:anti-99.6/0.2である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式:
【化1】

[式中、Rは、還元作用に不活性な有機遊離基であり、且つ3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-補酵素Aを阻害することができ、R1は、直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基であり、Yは水素であるか又はR基と共に2重結合を形成し、そして少なくとも1のXは2重結合を形成してケトンを与え、そして1個以下のXは水素である]
を有するスタチン・ケトエステルから、スタチンを製造する方法において、
a)前記スタチンのケトエステルと溶媒とを一緒にして溶液を生成する工程;
b)約−50℃〜約−80℃の温度に溶液を冷却する工程;
c)前記溶液とB-メトキシ-9-BBNとを一緒にして反応混合物を得て、そしてその反応混合物を少なくとも約30分間保持する工程;
d)水素イオン源を前記反応混合物と一緒にし、そして当該反応混合物を少なくともさらに2時間保持してジオールエステルを得る工程;
e)前記反応混合物を反応停止(quenching )する工程;
f)前記ジオールエステルを、NaOH又はCa(OH)2、および溶媒又は溶媒と水との混合液と一緒にする工程;及び
g)スタチンの遊離酸、又はそのラクトン又は医薬として許容される塩を回収する工程;
を含んで成る方法。
【請求項2】
フルバスタチン・ジオールエステルのantiに対するsynの比率を増大するための方法において、
a)少なくとも約30℃の温度において、溶媒中でフルバスタチン・ジオールエステルを溶解する工程;
b)前記溶液を冷却する工程;及び
c)結晶化したジオールエステルを回収する工程;
を含んで成る方法。
【請求項3】
前記溶媒が、C3〜C7のケトン、C1〜C4のアルコール、酢酸エチル以外のC1〜C7のエステル、MTBE以外のC1〜C8のエーテル、およびこれらの混合液から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、MTBEとC1〜C4のアルコールとの混合液である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が、MTBEとIPAとの混合液である請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、酢酸イソブチル、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒が、アセトン、イソプロピルアルコール、酢酸イソブチルおよびそれら混合物から成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
温度がほぼ還流温度である請求項2に記載の方法。
【請求項9】
請求項2の生成物をフルバスタチン遊離酸、そのラクトン又は医薬として許容される塩に変換することを含む、フルバスタチン・ジオールエステルの製造方法。
【請求項10】
前記anti異性体のレベルがHPLCにより約0.2以下の領域%である、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
フルバスタチンのantiに対するsynの比率を増大する方法において、
a)少なくとも約30℃の温度において、フルバスタチン・ジオールエステルをC3〜C7のケトンに溶解する工程;
b)C5〜C12の飽和炭化水素と前記溶液とを一緒にする工程;
c)前記ケトン/炭化水素の混合液を冷却する工程;及び
d)結晶化したジオールエステルを回収する工程;
含んで成る方法。
【請求項12】
前記C3〜C7のケトンが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、およびこれらの混合液から成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記C5〜C12の飽和炭化水素が、ヘプタン又はヘキサンである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記温度がほぼ還流温度である請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記冷却温度が約10℃〜約25℃である請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記結晶化したジオールエステルを、フルバスタチン遊離酸、そのラクトン又は医薬として許容される塩に変換することを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記anti異性体のレベルが、HPLCにより約0.2%以下の面性%である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記anti異性体のレベルが、HPLCにより約0.04%以下の面積%である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
下記一般式:
【化2】

[式中、Rは、還元作用に不活性な有機遊離基であり、且つ3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-補酵素Aを阻害することができ、R1は、直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基であり、Yは水素であるか又はR基と共に2重結合を形成する]
を有するスタチン・ジオールエステルの製造方法において、
a)下記一般式:
【化3】

[式中、少なくとも1のXは2重結合を形成しケトンを与え、そして1個以下のXは水素である]
を有するスタチンのケトエステルと溶媒とを一緒にして溶液を形成する工程;
b)約−50℃〜約−80℃の温度に溶液を冷却する工程;
c)前記溶液とB-メトキシ-9-BBNとを一緒にして反応混合物を得、そしてこの反応混合物を少なくとも約30分間保持する工程;
d)水素化イオン源と前記反応混合物とを一緒にし、そして少なくともさらに2時間反応混合物を保持する工程;
e)前記反応混合物を反応停止(quenching )する工程;及び
f)スタチン・ジオールエステルを回収する工程;
を含む方法。
【請求項20】
前記溶媒が、C1〜C4のアルコール、双極性非プロトン性溶媒、環状もしくは非環状のC2〜C8のエーテル、又はこれらの混合物から成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記溶媒がメタノールとテトラヒドロフランの混合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒を約−70℃〜約−80℃に冷却する請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記温度が約−70℃である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記水素化イオン源が、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、および水素化ホウ素リチウムから成る群から選択される請求項19記載方法。
【請求項25】
前記水素化イオン源が、水素化ホウ素ナトリウムである請求項24に記載方法。
【請求項26】
前記反応停止剤(quenching agent)が、過酸化水素、NaCO3・1.5H2OおよびNaBO3・H2Oから成る群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記反応停止剤が、過酸化水素である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
Rが、ロバスタチン(lovastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)およびピタバスタチン(pitavastatin)から成る群から選択されるスタチンを提供できる有機遊離基である請求項19に記載の方法。
【請求項29】
Rが、フルバスタチンを提供できる有機遊離基である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
上記ケトエステルが、α-ケトエステルである請求項19に記載の方法。
【請求項31】
下記一般式:
【化4】

[式中、Rは、還元作用に不活性な有機遊離基であり、且つ3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-補酵素Aを阻害することができ、R1は、直鎖又は分岐したC1〜C4のアルキル基であり、Yは水素であるか又はR基と共に2重結合を形成する]
を有するスタチン・ジオールエステルからスタチンかたはその医薬として許容される塩を製造する方法において、
a)下記一般式:
【化5】

[式中、少なくとも1のXは2重結合を形成しケトンを与え、そして1個以下のXは水素である]
を有するスタチンのケトエステルと溶媒とを一緒にして溶液を形成する工程;
b)約−50℃〜約−80℃の温度に溶液を冷却する工程;
c)前記溶液とB-メトキシ-9-BBNとを一緒にして反応混合物を得、そしてこの反応混合物を少なくとも約30分間保持する工程;
d)水素化イオン源と前記反応混合物とを一緒にし、そして少なくともさらに2時間反応混合物を保持する工程;
e)前記反応混合物を反応停止(quenching )する工程;及び
f)スタチン・ジオールエステルを回収する工程;
を含む方法。
【請求項32】
医薬として許容される塩が、カルシウム塩又はナトリウム塩である請求項31に記載の方法。

【公開番号】特開2008−31168(P2008−31168A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−191419(P2007−191419)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【分割の表示】特願2006−545612(P2006−545612)の分割
【原出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】