説明

CCR3受容体リガンドとしてのアミノ−アルキル−アミド誘導体

本発明は、一般式(I)


のCCR3受容体リガンドに関し、これらの内好ましくは拮抗薬及びこれらの塩、溶媒和物及び異性体に関し、これらを含む医薬組成物に関し、一般式(I)の化合物及びこれらの塩、溶媒和物及び異性体の使用に関し、一般式(I)の化合物及びこれらの塩、溶媒和物及び異性体の調製に関し、及び一般式(IIa)の新規の中間体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)のCCR3受容体リガンド、これらの中の好ましくは拮抗薬及びこれらの塩、溶媒和物及び異性体に関し;これらを含む医薬組成物に関し;一般式(I)の化合物及びこれらの塩、溶媒和物及び異性体の使用に関し;並びに、一般式(I)の化合物及びこれらの塩、溶媒和物及び異性体の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
ケモカインは、それらの白血球誘引(化学走化性)効果により、免疫過程において重要な調整的役割を果たす低分子量(8から12kDa)の分泌型ポリぺプチドである。ケモカインは、その効果をGタンパク質共役型受容体の系統群に属するケモカイン受容体により発揮する。
【0003】
CCケモカイン受容体3(CCR3受容体)は、好塩基球、マスト細胞、Tリンパ球、上皮細胞、樹状細胞などの多数の炎症細胞により発現され、これらは好酸球の表面上にその最大量で見出され得る。
【0004】
CCR3受容体リガンドは、C−Cケモカインの系統群に属する。これらは多数の選択的及び非選択的リガンドを有する。選択的リガンドは、エオタキシン、エオタキシン−2、及び遅れて発見されたエオタキシン−3である。非選択的リガンドは、RANTES、単球走化性タンパク質(MCP−2、MCP−3、MCP−4)及びマクロファージ阻害性タンパク質(MIP−1)である。昔から知られている最も特長的なCCR3リガンドはエオタキシンである。
【0005】
CCR3受容体の活性化によるエオタキシンは、好酸球を選択的に誘引する。アレルゲン誘発に先立ち、喘息患者の気管支肺胞洗浄液中のエオタキシン濃度を測定したところ、67パーセントより高かった。誘発の効果により、気道の上皮細胞及び内皮細胞の2.4倍の増加が見出された。
【0006】
肺においてはエオタキシンは多数の細胞中で産生される。アレルゲン応答に続き最も重要なエオタキシン源は上皮細胞であるが、多量のエオタキシンが、肺の線維芽細胞、気道の平滑筋細胞及び内皮細胞、肺胞マクロファージ及びリンパ球、並びに好酸球自身により産生される。
【0007】
最初、データはCCR3受容体が好酸球細胞中だけに見出されることを示していた(Bertrand CP,Ponath PD.,Expert Opin Investig Drugs.2000 Jan;9(1):43−52.)。しかしながら、発現特性に基づき、他の炎症細胞も又、(少量ではあるが)CCR3受容体を含むことが明らかとなった(Elsner J,Escher SE,Forssmann U.,Allergy.2004 Dec;59(12):1243−58.)。従って、CCR3拮抗薬は、はるかに広範囲な作用を有し、それらの活性は好酸球に限られず、従ってそれらは、喘息性の、アレルギー性の及び炎症性の疾患の治療において、はるかに価値ある効果的な標的と考えられ得る。
【0008】
上記の知見に基づくと、CCR3拮抗薬は、CCR3受容体が疾患の発生に関与する場合の症状の治療において、重要な予防的及び治療的効果を有し得る。これらの疾患は、白血球機能(活性化、化学走化性)の障害をその特徴とし、これらの中には、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アレルギー性結膜炎、関節炎、多発性硬化症、クローン病、HIV感染症及びエイズ関連疾患などの多数の慢性炎症性疾患がある。
【0009】
文献中の日付に公表されたCCR3拮抗薬は、カルバミド誘導体、チオカルバミド誘導体(WO01/09088、WO02/059081)及び/又は飽和環状アミノ基を含む化合物(WO00/35451、US6,605,623、WO01/98270、WO03/004487、WO03/018556、WO/2004/028530、WO00/53600、WO00/35876、WO01/64216、WO02/50064、WO02/102775、GB2373186、WO03/082291、WO2004/004731、WO2004/058702、WO2004/085423)である。本発明は、それらの化合物の代表的なものが効果的CCR3受容体拮抗薬である、化合物の新規の構造型に関し、開鎖状アミノ−アルキル−アミド誘導体に関する。
【0010】
治療的使用の面から、これらの分子は、CCR受容体サブタイプ以外とは結合しないか、又は非常に高濃度の場合だけ結合することが必須である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
我々の目的は、高い拮抗活性を有し、同時にCCR3受容体に対して選択的である、即ち他のCCR受容体と比べてはるかに低い濃度でCCR3受容体を阻害する化合物を調製することであった。更なる目的は、新規化合物がその薬らしさ(drugability)を保証するような安定性、生物学的利用能、治療係数及び毒性値を有することであった。追加の目的は、化合物が、その腸管吸収が良好であることにより経口投与され得ることであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
我々は、一般式(I)
【0013】
【化8】

(Arは、ハロゲン原子により場合により置換されているフェニル基を表し、
X及びYは独立して、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている直鎖C1−4アルキレン基を意味し、
Zは、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている原子価結合又は直鎖C2−4アルキレン基又は直鎖C2−4アルケニレン基を意味し、
及びRは独立して、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基を意味し、
Arは、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、1つ又は2つの同一の若しくは異なる直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基により置換されているアミノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、C1−2アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されているフェニル基、チエニル基又はフリル基;
直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、フェニル基(この基は、1つ以上の直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、ハロゲン原子又はベンジルオキシ基により場合により置換されている。)、オキソ基、−NR1011基、−CONR1011基、−SONR1011基、(R10及びR11は独立して水素原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、C3−6シクロアルキル基、ベンジル基を意味し、又はR10及びR11は窒素原子と一緒になって一般式(a)
【0014】
【化9】

(R12及びR13は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基を表し、
Aは、メチレン基、酸素原子、硫黄原子、−NR14基(式中、R14は、水素原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、C3−6シクロアルキル基又はベンジル基を表す。)を表し、
qは、0、1、2、3を表し、
rは、1、2を表し、
oは、0、1を表し、
sは、0、1を表す。)
の基を形成する。)からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されている、1つ、2つ若しくは3つの窒素原子又は2つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員又は6員の複素環;
ベンゼン環が、ハロゲン原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、C1−2アルキレンジオキシ基、ヒドロキシル基、スルホニル基、−NR1011基、−CONR1011基、−SONR1011基からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により更に置換され得る、上記の5員の又は6員の複素環のベンゼン類似体;又は
直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、−NR1011基、−CONR1011基、−SONR1011基からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されており、1つ又は2つの窒素原子を含む6員の複素芳香族環と縮合される、1つ、2つ若しくは3つの窒素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員又は6員の複素環;
を表す。)
の化合物並びにこれらの塩、溶媒和物及び異性体及びこれらの塩及び溶媒和物が、上記基準を満たすことを見出した。
【0015】
上記の置換基の詳細な意味は以下のとおりである。
【0016】
1−4アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、二級ブチル、三級ブチル基などの炭素数1から4の飽和直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を意味する。
【0017】
1−4アルキレン基は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基などの、nの値が1、2、3又は4である−(CH−基を意味する。
【0018】
2−4アルケニレン基は、1つの二重結合を含むアルケニレン基(例えば、−CH=CH−基又は−CH−CH=CH−基)を意味する。
【0019】
1−4アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、二級ブトキシ、三級ブトキシ基などの、−O−アルキル基(アルキルの意味は上記で定義したとおりである。)を意味する。
【0020】
1−2アルキレンジオキシ基は、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基などの、−O−アルキレン−O−基(アルキレンの意味は上記で定義したとおりである。)を意味する。
【0021】
ハロゲン原子は、塩素、フッ素、ヨウ素又は臭素原子を意味する。
【0022】
1つ、2つ又は3つの窒素原子を含む5員又は6員の複素環は、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアジン、ピロリジン、イミダゾリジン、[1,2,4]トリアゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、2−イミダゾリン環などの、不飽和、飽和又は部分飽和の複素環を意味する。
【0023】
1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は硫黄原子を含む5員又は6員の複素環は、例えばオキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、2−チアゾリン、2−オキサゾリン環などの、不飽和、飽和又は部分飽和の複素環を意味する。
【0024】
2つの窒素原子及び1つの酸素原子を含む複素環は、例えばオキサジアゾール環であり得る。
【0025】
ベンゼン類似体は、例えばインドール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、キナゾリン、キノキサリンなどの、ベンゼン環と縮合させた誘導体を意味する。
【0026】
1つ又は2つの窒素原子を含む6員の複素環と縮合される、1つ、2つ若しくは3つの窒素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員又は6員の複素環の誘導体は、例えばチアゾロピリジン、トリアゾロピリジン、チアゾロピリミジン、オキサゾロピリジン、9H−プリン、3H−イミダゾピリジンであり得る。
【0027】
一般式(a)の基は、好ましくはピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、4−メチルピペラジノ又はモルホリノ基を表す。
【0028】
一般式(I)の化合物の塩は、無機及び有機の酸と無機及び有機の塩基とにより生成する塩を意味する。好ましくは、薬学的に許容できる酸(例えば、塩酸、硫酸、エタンスルホン酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸など)と薬学的に許容できる塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エタノールアミンなど)とにより生成する塩である。好ましくは四フッ化ホウ酸及び過塩素酸を用いて精製過程及び単離過程の間に生成する塩も又、本発明の主題である。
【0029】
溶媒和物は、種々の溶媒を用いて(例えば、水又はエタノールを用いて)生成する溶媒和物を意味する。
【0030】
異性体は、構造異性体及び光学異性体を意味する。構造異性体は、平衡状態の互変異性体又は単離された互変異性体であり得、これらも又、本発明の主題である。一般式(I)の化合物は、1つ以上の不斉炭素を含み得、従ってこれらは光学異性体、鏡像異性体又はジアステレオ異性体であり得る。ラセミ体を含むこれらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体及びこれらの混合物もまた、本発明の主題である。
【0031】
一般式(I)の化合物の1つの好ましい群は、
Arが、1つ以上のハロゲン原子により場合により置換されているフェニル基を表し、
X及びYが独立して、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている直鎖C1−4アルキレン基を意味し、
Zが、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている直鎖C2−4アルキレン基又はC2−4アルケニレン基を意味し、
及びRが独立して、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基を意味し、
Arが、フェニル基;
1つ以上の直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている、1つ、2つ、若しくは3つの窒素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員又は6員の複素環;
ベンゼン環が、ハロゲン原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、アミノ基、1つ以上の同一の若しくは異なる直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基により置換されているアミノ基からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により更に置換され得る、上記の5員又は6員の複素環のベンゼン類似体;又は
直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ハロゲン原子、−CONR1011基、−NR1011基(R10及びR11の意味は上記で定義したとおりである。)からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されており、1つ又は2つの窒素原子を含む6員の複素芳香族環と縮合される、2つ若しくは3つの窒素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員の複素環;
を表す、
一般式(I)の化合物並びにこれらの塩、溶媒和物及び異性体及びそれらの塩及び溶媒和物により形成される。
【0032】
特に好ましいのは以下の化合物:
3−(ベンゾチアゾール−2−イル)1−N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(6−メチルベンゾチアゾール−2−イル)−プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(6−メチルベンゾキサゾール−2−イル)プロパンアミド;
3−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−フェニルプロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ジメチルアミノチアゾロ[5,4−d]ピリミジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ジメチルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(イソプロピル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(tert−ブチル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
並びにこれらの塩、溶媒和物及び異性体及びこれらの塩及び溶媒和物である。
【0033】
本発明は更に、やはり本発明の主題を形成する、好ましくは経口用製剤であり、吸入可能な、非経口用の、及び経皮用の製剤である、一般式(I)の化合物又はこれらの異性体、塩若しくは溶媒和物を含む医薬製剤に関する。上記の医薬製剤は、例えば錠剤、ペレット剤、カプセル剤、パッチ剤、溶液剤、懸濁剤、又は乳剤などの固体又は液体の剤形であり得る。固体剤形は、まず第1に錠剤及びカプセル剤が好ましい。
【0034】
上記医薬製剤は、通常の賦形剤及び技術的操作を適用して調製する。
【0035】
本発明による一般式(I)の化合物は、CCR3受容体が疾患の発症に関与する症状の治療に用いられ得る。
【0036】
本発明による化合物は、好ましくは喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アレルギー性結膜炎、多発性硬化症、クローン病、HIV感染症及びエイズ関連疾患などの疾患の治療に用いられ得る。
【0037】
本発明の1つの更なる主題は、一般式(I)の化合物の上記症状の治療のための使用である。指示される毎日の用量は、疾患の性質及び重症度、並びに患者の性別及び体重により、有効成分の1から100mgである。
【0038】
本発明の1つの更なる主題は、Ar、X、Y、Z、R、R及びArは上記で定義したとおりの意味を有する一般式(I)の化合物並びにこれらの塩、溶媒和物及び異性体の調製である。
【0039】
図1は、一般式(I)の化合物を調製するための方法の1つ(バージョンa.)を示す。
【0040】
【化10】

【0041】
本発明による方法バージョンa.)において、一般式(III)
【0042】
【化11】

(Ar、X、Y、R及びRの意味は上記で定義したとおりである。)のジアミノ化合物を、一般式(II)
【0043】
【化12】

(Ar及びZの意味は上記で定義したとおりであり、Wはハロゲン元素、ヒドロキシル基、−O(C1−4アルキル)−基又は−OCO−Z−Ar−基(Z及びArは上記で定義したとおりの意味を有する。)を表す。)のカルボン酸誘導体と反応させ、及び望むならばその結果得られた一般式(I)の化合物の置換基を公知の方法を用いて互いに変換する及び/又は得られた一般式(I)の化合物をその塩若しくは溶媒和物に変換する又はその塩若しくは溶媒和物から遊離させる及び/又はその光学活性異性体に変換する、又は光学活性異性体をラセミ体化合物に変換する及び望むならば構造異性体をその各々から分離する。
【0044】
本発明による方法バージョンa.)の1つの好ましい実施形態において、一般式(II)(Wはヒドロキシル基を表す。)の化合物を酸塩化物形成試薬を用いて、好ましくは塩化チオニルを用いて酸塩化物に変換し、それを次に、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、又は酢酸エチルなどのハロゲン化炭水化物)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下又はピリジン中、室温で又は反応混合物の還流温度で一般式(III)のアミンと反応させる。
【0045】
1つの好ましい方法は、一般式(II)の酸を、活性化剤の存在下、一般式(III)のアミンと反応させる方法である。カルボン酸の活性化は、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなど)中、酸結合薬剤、例えば三級アミン(トリエチルアミン、N−メチルモルホリン)の存在下、−10℃から25℃の間の温度で、例えば塩化ピバリル(M.T.Leplawy:Tetrahedron 1960,11,39)、エチルクロロホルメート(T.Wieland:J.Liebigs Ann.Chem.1951,572,190)、イソブチルクロロホルメート(J.R.Vaughan:JACS.1951,73,3547)又はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(R.Arshady:J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,1981,529又はD.Hudson:J.Org.Chem.1988,53,617)を用いて混合酸無水物中間体を調製することによりおこり得る。
【0046】
活性化は、不活性溶媒中で、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はそれらの混合物中でカルボニルジイミダゾールを用いることにより(H.A.Staab:Lieb.Ann.Chem:1957,609,75)達成し得る。活性化は又、不活性溶媒中でベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)を用いても実施され得る(J.Corte:Tetrahedron Lett.31,1990,205)。
【0047】
一般式(II)(Wは−O(C1−4アルキル)−基を表す。)の化合物がカルボン酸エステルである場合、反応は好ましくは150℃において、溶媒を用いずに溶融状態で実施される。
【0048】
本発明による一般式(I)の化合物は、図2に示す方法(方法バージョンb.)により調製され得る。
【0049】
【化13】

【0050】
方法バージョンb.によれば、一般式(VI)
【0051】
【化14】

(Ar、X及びRは上記で定義したとおりの意味を有する。)のアミノ化合物を一般式(XVII)
【0052】
【化15】

(Y、R、Ar及びZの意味は上記で定義したとおりであり、Halはハロゲン原子を意味する。)のハロゲン化合物と反応させ、及び望むならばその結果得られた一般式(I)の化合物の置換基を公知の方法を用いて互いに変換する及び/又は得られた一般式(I)の化合物をその塩若しくは溶媒和物に変換する又はその塩若しくは溶媒和物から遊離させる及び/又はその光学活性異性体に変換する、又は光学活性異性体をラセミ体化合物に変換する及び望むならば構造異性体をその各々から分離する。
【0053】
本発明による方法バージョンb.)の1つの好ましい方法において、一般式(VI)のアミンと一般式(XVII)のハロゲン化合物との反応は、不活性溶媒中、好ましくはジクロロメタン中で、酸バインダーとしての有機塩基の存在下で実施される。
【0054】
一般式(I)のラセミ体化合物のそれらの鏡像異性体への変換は、キラル分取カラムクロマトグラフィーにより、又は塩基性化合物の変換に関して公知の他の方法により実施され得る。
【0055】
一般式(III)の出発物質ジアミンは、置換基R、R及びYの性質により種々の方法で調製され得る。
【0056】
図3は、一般式(III)(Rは水素原子であり、Yは1,3−プロピレン、1−メチル−プロピレン、2−メチル−プロピレン又は1,4−ブチレン(R及びRは各々独立して水素原子又はメチル基を表し、pは0又は1である。)であり、及びAr及びXの意味は上記で定義したとおりである。)のアミンの調製を表す。
【0057】
【化16】

【0058】
一般式(VI)の化合物は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下、アルコール媒体中で一般式(VII)のアミンを用いる還元的アミノ化による(Holzgrabe U.:Arch.Pharm.1987,320,7,647から654)、又は触媒水素化による(Elslager E.F.:J.Med.Chem.1981,24,2,140から145)、又は水性アルコール媒体中で水素化ホウ素ナトリウムを用いる(Simig Gy.:J.Chem.Soc Perkin Trans.l.1992,13,1613から16)一般式(VIII)のオキソ化合物(アルデヒド又はケトン)を出発物質とする文献により公知の方法により調製され得る。一般式(VII)の化合物は市販のものである。一般式(VIII)のアルデヒドは市販のものである又は文献に公知の方法により調製され得る。一般式(IV)の化合物は文献(King M.ら:JACS.1946,68,1468、又はSurreyら:JACS.1956,78,2573)からの類推により、一般式(VI)のアミンから一般式(V)のシアン化アルケンを用いて調製され得る。一般式(V)のシアン化物は市販のものである。一般式(III)のジアミンは、文献(Shapiroら:JACS.1959,81,3083から84、及びRoufos I.:J.Med.Chem.1996,39,7,1514)からの類推により、アルコール又はヘキサン溶液中でのアンモニア及びラネーニッケル又はロジウム触媒の存在下における、文献中では加圧下における、一般式(IV)のシアン化物の触媒水素化により得られ得る。
【0059】
一般式(III)(Yの意味はエチレン基であり、Rは水素原子を表し、Ar及びXの意味は上記で定義したとおりである。)のアミンは、文献(Arz.Forsch.1975,25,1853から58)からの類推により、熱水溶液中で一般式(VI)のアミンから2−ブロモエチルアミンを用いて図4に示すようにして調製され得る。
【0060】
【化17】

【0061】
図5は、一般式(III)(Rは水素原子を表し、Yは3−メチルプロピレン基を表し、Ar及びXの意味は上記で定義したとおりである。)のアミンの調製を示す。
【0062】
【化18】

【0063】
一般式(XI)の化合物は、一般式(VI)のアミンからパラホルムアルデヒド及びアセトンを用いてMannich縮合により得られる。文献(JACS.1959,81,2214から18)からの類推により、反応はイソプロパノール中、還流条件下で実施され得る。一般式(X)のオキシムは、文献(JACS.1959,81,2214から18)からの類推により、イソプロパノール水溶液中で一般式(IX)の化合物からヒドロキシルアミンを用いて調製される。一般式(III)のアミンは、文献からの類推により、アンモニアのエタノール溶液中でのラネーニッケル触媒の存在下における触媒水素化により一般式(X)のオキシムから調製される。
【0064】
図6は、一般式(III)(R及びRはメチル基を表し、Ar、X及びYの意味は上記で定義したとおりである。)のアミンの調製を示す。
【0065】
【化19】

【0066】
一般式(III)の化合物は、不活性溶媒中で、好ましくはアセトニトリル中で、酸結合有機アミンの存在下、一般式(XI)の市販のハロゲン化物を一般式(XII)のN,N’−ジメチルアミノアルキル化合物と反応させることにより得られ得る。
【0067】
一般式(VIII)のオキソ化合物は、X基の性質により種々の方法から調製され得る。
【0068】
一般式(VIII)(Xは1,3−プロピレン基を表し、Arの意味は上記で定義したとおりである。)の中間体は、文献(J.Org.Chem.2002,67,25,8758から8763)からの類推により、不活性溶媒中で、好ましくはジクロロメタン中で一般式(XIII)の適切なアルコールからピリジニウムクロロクロメートを用いる酸化により図7に示すようにして得られ得る。
【0069】
【化20】

一般式(VIII)(Xは−CH−CH−CH(CH)−であり、及びArの意味は上記で定義したとおりである。)の中間体は、文献(Powelら:JACS.2004,126,25,7788から89)からの類推により、アルコール溶液中で還流条件下、炭酸カリウムの存在下で市販の一般式(XI)の塩化ベンジルをペンタン−2,4−ジオンと共に加熱することにより、図8に示す方法により調製され得る。
【0070】
【化21】

【0071】
一般式(II)のカルボン酸及びそれらのエステルは、市販のものであるか又は文献に公知の方法により調製され得る。
【0072】
ベンゾチアゾール−2−イルプロピオン酸は、適切に置換されている2−メルカプトアニリンから無水コハク酸を用いて、トルエン中還流条件下で加熱することにより合成され得る(Babitschewら:Ukr.Khim.Zh.22,1956,211,CA 1957,37399)。ベンゾキサゾール−2−イル−プロピオン酸は、適切に置換されている2−ヒドロキシアニリンから、ベンゾチアゾール−2−イルプロピオン酸の調製と同様の方法により調製される。ベンズイミダゾール−2−イル−プロピオン酸は、適切に置換されている1,2−ジアミノベンゼンから無水コハク酸を用いて得られ得る(Anderliniら:Gazz.Chim.Ital,24,I.,1894,141又はLettreら:Chem.Ber.84,1951,719)。チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−2−イル−プロピオン酸は、適切に置換された5−アミノピリミジン−4−チオールから、文献(M.Ishidate:Chem.Pharm.Bull.8,1960,131)からの類推により、高温(100℃から210℃)においてコハク酸と溶融することにより調製され得る。しばしば、反応は2段階で起こり、第1段階においてはN−(4−メルカプト−5−イル)コハク酸だけが生成し、これを希塩酸中で沸騰させることにより閉環生成物が得られる。チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルプロピオン酸は、チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−2−イルプロピオン酸の調製と同様の方法により、適切に置換された3−アミノピリジン−2−チオールから、高温(100℃から210℃)においてコハク酸と溶融することにより調製され得る。3−ベンゾキサゾール−2−イル−アクリル酸は、文献に記載されたようにして、適切に置換されている2−アミノフェノールから、100℃から210℃においてマレイン酸と加熱することにより調製される(Riedら:Chem.Ber.89,1956,2578)。
【0073】
3−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルプロピオン酸エステルは、図9に示すようにして得られ得る。
【0074】
【化22】

【0075】
一般式(XVI)(Rはハロゲン原子又はC1−4アルキル基を表す。)の2−アミノピリジン誘導体は、2−クロロピリジンから塩基性塩化ピリジンの存在下でプロピルアミンを用いて調製され得る。この化合物とo−トシルヒドロキシルアミンとから一般式(XV)の1−アミノ−2−イミノ−2H−ピリジントシレートが得られ、これとコハク酸エチルとから一般式(XIV)の3−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルプロピオン酸エステルが得られる。
【0076】
一般式(II)の化合物のより狭い群を形成する一般式(IIa)
【0077】
【化23】

(Ar2’は、1つ以上の直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ヒドロキシル基、−NR1011基、−CONR1011基、−SONR1011基(これらの式中、R10及びR11の意味は上記で定義したとおりである。)により場合により置換される1,2,4−トリアゾロ[1,5−a]ピリジン基又はチアゾロ[5,4−b]ピリジン基を表し;Zは1,3−プロピレン基を表し;及びWは上記で定義したとおりを意味する。)の化合物は新規であり、やはり本発明の主題である。
【0078】
一般式(XVII)の中間体は、図10に示す方法により得られ得る。
【0079】
【化24】

【0080】
本発明の更なる詳細を以下の実施例によって示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0082】
a.)3−(5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
【0083】
a/1.)N−(6−イソプロピルアミノ−2−メルカプトピリジン−3−イル)コハク酸アミド
0.5g(2.73mmol)の3−アミノ−6−イソプロピルアミノピリジン−2−チオールをトルエンの10ml中に溶解し、その溶液に、攪拌しながら0.28g(2.8mmol)の無水コハク酸を添加し、混合物を還流下で約1時間加熱する。トルエンを留去して残渣をエーテル処理により結晶化し、結晶をろ別してエーテルで洗浄する。0.5gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=284(C1217S 283.35)
【0084】
a/2.)3−(5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
0.5g(1.7mmol)のN−(6−イソプロピルアミノ−2−メルカプトピリジン−3−イル)コハク酸アミドを10mlの10%塩酸に溶解し、溶液を10分間沸騰させる。蒸発後、0.47gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=266(C1215S 265.34)
【0085】
b.)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−(メチル)プロパン−1,3−ジアミン
20g(82.3mmol)の3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピオニトリルを、室温で、アンモニア−エタノール(100ml)溶液中、ラネーニッケル触媒の存在下で水素化する。溶媒の除去後、20gの表題化合物を油状形態で得る。LC/MS[MH]=247(C1116Cl 247.17)
【0086】
c.)N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
0.28g(0.93mmol)の3−(5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩を8mlの乾燥ジメチルホルムアミドに溶解し、それに0.18g(1.12mmol)のN,N−カルボニル−ジイミダゾールを添加し、混合物を室温で1時間攪拌した後、1mlジメチルホルムアミド中の0.23g(0.96mmol)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−(メチル)プロパン−1,3−ジアミンを滴下により添加し、攪拌を2時間継続する。反応混合物を氷水上に注ぎ、1N水酸化ナトリウム溶液でアルカリにして、10mlエーテルで3回抽出する。エーテル相を合わせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空中で蒸発させ、クロロホルム−メタノールの100:1、100:2及び100:5混合物を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。100mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=494(C2329ClOS 494.49)
【0087】
(実施例2から21)
表1の化合物を実施例1に記載の方法により調製する。
【0088】
【表1】



【0089】
(実施例22)
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−フェニルプロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arがフェニル基を表す。
【0090】
a.)N−(3−ブロモプロピル)−3−フェニルプロパンアミド
0.44g(2mmol)の3−ブロモプロピルアミン臭酸塩を0.16g(4mmol)水酸化ナトリウムの水(4ml)溶液に溶解し、氷水で冷却しながら、0.34g(2mmol)の塩化フェニルプロピオニルを添加する。混合物を冷却しながら1時間、室温で5時間攪拌する。得られる結晶をろ別し、水で洗浄して、表題化合物を得る。LC−MS[MH]=271(C1216BrNO 270.17)
【0091】
b.)N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−フェニルプロパンアミド
0.28g(1.5mmol)(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミンのジクロロメタン(3ml)溶液に、0.2ml(1.5mmol)のトリエチルアミンを添加し、それに0.4g(1.5mmol)N−(3−ブロモプロピル)−3−フェニルプロピオンアミドのジクロロメタン(3ml)溶液を滴下により添加する。混合物を室温で4時間攪拌する。溶媒を除去し、残渣に水及び酢酸エチルを加えて混合物を15mlの酢酸エチルで3回抽出する。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて表題化合物を得る。LC−MS[MH]=379(C2024ClO 379.33)
【0092】
(実施例23)
3−ベンゾチアゾール−2−イル−N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arがベンゾチアゾール−2−イル基を表す。
【0093】
0.2g(1mmol)の3−ベンゾチアゾール−2−イル−プロピオン酸を5mlのクロロホルムに溶解し、それに0.11ml(1mmol)のN−メチルモルホリンを添加する。混合物を−10℃に冷却し、混合物に0.095ml(1mmol)のエチルクロロホルメート及び15分攪拌後に3mlクロロホルム中の0.3g(1.2mM)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−(メチル)プロパン−1,3−ジアミンを添加する。攪拌を冷却しながら0.5時間、室温で0.5時間継続する。溶液を水に続き5%の硫酸水素カリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させ、カラムクロマトグラフィーにより精製して、70mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=436(C2123ClOS 436.41)
【0094】
(実施例24から26)
表2の化合物を実施例23に記載の方法により調製する。
【0095】
【表2】

【0096】
(実施例27)
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(7−エチルアミノ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xがメチレン基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが3−(7−エチルアミノ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)基を表す。
【0097】
a.)(2−クロロピリジン−4−イル)(エチル)−アミン
5.7g(36mmol)2−クロロ−4−ニトロピリジンのエタノール(100ml)溶液に11.8ml(180mmol)のエチルアミンを添加する。反応混合物を室温で24時間攪拌し、蒸発させ、残渣に10mlの2N水酸化ナトリウム溶液及び水10mlを添加し、混合物を15mlのジクロロメタンで2回抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて5.5gの表題化合物を結晶として得る。Mp:55から57℃
【0098】
b.)(2−アミノピリジン−4−イル)(エチル)アミン
5.3g(34mmol)(2−クロロピリジン−4−イル)(エチル)アミンのピリジン(75ml)溶液に、28mlの25%塩酸エーテル溶液を滴下で添加する。溶液を還流下で80時間加熱後、22.4mlのプロピルアミンを添加し、加熱を2.5時間継続する。溶媒を除去し、残渣に25mlの40%水酸化ナトリウム溶液及び25mlのエタノールを添加し、沈殿した結晶性物質をろ別し、エタノールで洗浄する。母液を蒸発させ、残渣油を溶離液として酢酸エチル:メタノール:水酸化アンモニウム=250:20:5の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。3.8gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=138(C11 137.185)。
【0099】
c.)N−エチル−2−イミノピリジンー1,4(2H)−ジアミントシレート
5.8g(31.2mmol)O−トシル−ヒドロキルアミンのジクロロメタン(100ml)溶液を氷水で冷却しながら3.6g(26mmol)(2−アミノピリジン−4−イル)(エチル)アミンのジクロロメタン(25ml)溶液に滴下により添加する。反応混合物を冷却しながら30分間、室温で2時間攪拌する。沈殿物をろ別し、ジクロロメタンで洗浄する。4.9gの表題化合物を得る。Mp.:220から222℃
【0100】
d.)エチル−3−(7−エチルアミノ−[1,2,4]トリアゾロ)[1,5−a]ピリジン−2−イル]プロピオネート
4.2g(13mmol)N−エチル−2−イミノピリジン−1,4(2H)−ジアミントシレートのエタノール(65mmol)懸濁液に、9g(65mmol)の水分不含炭酸カリウム及び10.8ml(65mmol)のコハク酸エチルを添加する。反応混合物を還流下で8時間加熱した後、130mlの水を加え、混合物を40mlジクロロメタンで3回抽出する。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させる。残渣油に100mlの石油エーテルを加え、沈殿する結晶をろ別してカラムクロマトグラフィーにより精製する。得られる油状物質を石油エーテル:エーテル=9:1の混合物中で結晶化し、結晶をろ別する。1.17gの表題化合物を得る。Mp.:147から149℃
【0101】
e.)N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(7−エチルアミノ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
0.52g(2mmol)のエチル−3−(7−エチルアミノ[1,2,4]トリアゾロ)[1,5−a]ピリジン−2−イル]プロピオネートと0.5g(2mmol)のN−(3,4−ジクロロベンジル)−N−(メチル)プロパン−1,3−ジアミンとの混合物を100℃で42時間加熱する。冷却後、得られる油を溶離液としてクロロホルム−メタノール混合物を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。95mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=463(C2228ClO 463.410)。
【0102】
(実施例28から35)
表3の化合物を実施例27に記載の方法により調製する。
【0103】
【表3】

【0104】
(実施例36)
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rが水素原子を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0105】
a.)3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
実施例1.a.)に記載の手順により、3.76g(24.22mmol)の3−アミノ−6−メチルアミノピリジン−2−チオールを出発物質として、4.9gの表題化合物を得る。Mp:202から204℃。
【0106】
b.)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−プロパン−1,3−ジアミン
【0107】
b/1.)[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミン
5g(26.45mmol)3,4−ジクロロ−アセトフェノンのメタノール(66ml)溶液に、25.4g(0.33mol)の酢酸アンモニウム及び1.2g(19.1mmol)シアノ水素化ホウ素ナトリウムを室温で攪拌しながら添加し、攪拌を24時間継続する。反応混合物を氷水冷却下で15mlの5N塩酸溶液に注いだ後、15mlのエーテルで2回抽出する。酸溶液をpH9までアルカリにし、水溶液を20mlのジクロロメタンで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ別し、真空中で蒸発させる。こうして、2.7gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=190(CClN 190.072)。
【0108】
b/2.)3’−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピオニトリル
1.1g(5.8mmol)[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミンの無水メタノール(11ml)溶液に0.4ml(6mmol)のアクリロニトリルを氷水冷却下で添加した後、攪拌を室温で24時間継続する。溶液を真空中で蒸発させて1.2gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=243(C1112Cl 243.136)。
【0109】
b.)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−プロパン−1,3−ジアミン
1.2g(4.94mmol)3’−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピオニトリルのメタノール(20ml)溶液に10mlの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、ラネーニッケル触媒の存在下30バールの圧力下で室温の後35℃で水素化する。溶液を真空中で蒸発させて1.1gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=247(C1116Cl 247.167)。
【0110】
c.)N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
0.5g(2.02mmol)の3−[5−(メチルアミノ)[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩を15mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解し、その溶液に0.35g(2.16mmol)のN,N−カルボニルジイミダゾール及び0.3ml(2.15mmol)のトリエチルアミンを添加し、室温で1時間攪拌する。次に、0.55g(2.01mmol)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−プロパン−1,3−ジアミンのジメチルホルムアミド(5ml)溶液を滴下により加え、更に2時間攪拌する。反応混合物を氷水上に注ぎ1Nの水酸化ナトリウム溶液でアルカリにした後、10mlのエーテルで3回抽出する。エーテル溶液を合わせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて、溶離液としてクロロホルム:メタノール=100:1、100:2、100:5の混合物(この順に極性を増加させながら)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。こうして、100mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=466(C2125ClOS 466.435)。
【0111】
(実施例37)
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0112】
a.)3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
実施例1.a.)に記載の手順により、3.76g(24.22mmol)の3−アミノ−6−メチルアミノピリジン−2−チオールを出発物質として、4.9gの表題化合物を得る。Mp:202から204℃。
【0113】
b.)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−N−メチルプロパン−1,3−ジアミン
【0114】
b/1.)[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]メチルアミン
40mlのエタノール及び6.4mlの25%塩酸エタノール溶液を16mlの33%メチルアミンエタノール溶液に添加した後、4g(21.16mmol)の3,4−ジクロロアセトフェノンを室温で攪拌しながら添加する。2.64g(42mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを冷却しながら添加し、24時間攪拌する。沈殿する結晶をろ別し、エタノール性母液を真空中で蒸発させ、水を加えた後、反応混合物を2N塩酸溶液でpH3まで酸性にし、次に15mlのエーテルで2回抽出する。酸性溶液をpH9までアルカリ性にし、水溶液を20mlのジクロロメタンで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ別し、真空中で蒸発させて、3.3gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=204(C11ClN 204.099)。
【0115】
b/2.)3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル](メチル)アミノ]プロピオニトリル
3.3g(16.2mmol)[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]メチルアミンの無水メタノール(33ml)溶液に1.1ml(16.7mmol)のアクリロニトリルを氷水冷却下で添加した後、攪拌を室温で24時間継続する。溶液を真空中で蒸発させて3.9gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=257(C1214Cl 257.163)。
【0116】
b.)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−N−メチルプロパン−1,3−ジアミン
1.9g(7.4mmol)3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル](メチル)アミノ]プロピオニトリルのメタノール(20ml)溶液に20mlの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、ラネーニッケル触媒の存在下30バールの圧力下で45℃で水素化する。溶液を真空中で蒸発させて1.9gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=261(C1218Cl 261.2)。
【0117】
c.)N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
0.5g(1.91mmol)の3−(5−メチルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩を10mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解し、0.34g(2.1mmol)のN,N−カルボニルジイミダゾールを添加し、室温で1時間攪拌する。次に、0.52g(1.9mmol)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−N−メチルプロパン−1,3−ジアミンのジメチルホルムアミド(15ml)溶液及び0.3ml(2.15mmol)のトリエチルアミンを添加し、攪拌を2時間続ける。反応混合物を氷水上に注ぎ1Nの水酸化ナトリウム溶液でアルカリにした後、10mlのエーテルで3回抽出する。エーテル溶液を合わせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて、溶離液としてクロロホルム:メタノール=100:1、100:2、100:5の混合物(この順に極性を増加させながら)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。こうして、100mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=480(C2227ClOS 480.461)。
【0118】
(実施例38)
N−{3−[(3,4−ジクロロフェニル)エチル](メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−シクロプロピルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−シクロプロピルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0119】
a.)3−(5−シクロプロピルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
実施例1.a.)に記載の手順により、0.2g(1.1mmol)の3−アミノ−6−シクロプロピルアミノピリジン−2−チオールを出発物質として、0.2gの表題化合物を得る。Mp:198から200℃。
【0120】
b.)N−{3−[(3,4−ジクロロフェニル)エチル](メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−シクロプロピルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
実施例37.に記載の手順により、0.22g(0.67mmol)の3−(5−シクロプロピルアミノ[1,3]チアゾロ−[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩を出発物質として、それを0.18g(0.69mmol)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−N−メチルプロパン−1,3−ジアミンと反応させて、50mgの表題化合物を白色結晶として得る。Mp:150から152℃。
【0121】
(実施例39)
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0122】
a.)3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
【0123】
a/1.)N−(4−ピペリジン−1−イル−2−メルカプトピリジン−3−イル)スクシンアミド
0.5g(2.39mmol)の3−アミノ−6−ピペリジン−1−イルピリジン−2−チオールを15mlのトルエンに溶解し、0.24g(2.4mmol)の無水コハク酸を攪拌しながら添加し、1時間沸騰させる。トルエンを留去し、残渣をエーテルで結晶化し、ろ別してエーテルで洗浄する。こうして、0.7gの表題化合物を得、これを乾燥させずに次の反応に用いる。
LC−MS[MH]=292(C1417S 291.35)。
【0124】
a.)3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
0.7gのN−(4−ピペリジン−1−イル−2−メルカプトピリジン−3−イル)スクシンアミドを17mlの10%塩酸に溶解し、溶液を45分間沸騰させる。沈殿した結晶生成物をろ別し、水で洗浄して0.62gの表題化合物を得る。Mp:214から216℃。
【0125】
b.)N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
0.4g(1.22mmol)の3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩を10mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解し、0.24g(1.48mmol)のN,N−カルボニルジイミダゾールを添加して、室温で1時間攪拌する。次に、0.34g(1.3mmol)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−N−メチルプロパン−1,3−ジアミン(実施例37により調製)のジメチルホルムアミド(6ml)溶液(0.42ml(3mmol)のトリエチルアミンを含む)を滴下により添加し、攪拌を24時間継続する。反応混合物を氷水上に注ぎ1Nの水酸化ナトリウム溶液でアルカリにした後、10mlのエーテルで3回抽出する。エーテル溶液を合わせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて、溶離液としてクロロホルム:メタノール=98:2の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。こうして、0.21mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=534(C2633ClOS 534.553)。
【0126】
(実施例40)
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0127】
a.)3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩
実施例39に記載の方法により、1.6g(7.36mmol)の3−アミノ−6−ピロリジン−1−イルピリジン−2−チオールを出発物質として、2gの表題化合物を結晶として得る。Mp:258から259℃。
【0128】
b.)N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
実施例39.に記載の方法により、0.4g(1.27mmol)の3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩及び0.3g(1.15mmol)のN−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−N−メチルプロパン−1,3−ジアミンを出発物質として、0.2gの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=520(C2531ClOS 520.526)。
【0129】
(実施例41)
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rが水素原子を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0130】
0.44g(1.22mmol)の3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩を10mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解し、0.24g(1.48mmol)のN,N−カルボニルジイミダゾールを添加して、室温で1時間攪拌する。次に、0.3g(1.23mmol)N−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−プロパン−1,3−ジアミン(実施例36により調製)のジメチルホルムアミド(6ml)溶液(0.4ml(2.87mmol)のトリエチルアミンを含む)を滴下により添加し、攪拌を24時間継続する。反応混合物を氷水上に注ぎ1Nの水酸化ナトリウム溶液でアルカリにした後、10mlのエーテルで3回抽出する。エーテル溶液を合わせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて、カラムクロマトグラフィーにより精製する。こうして、0.13gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=520(C2531ClOS 520.526)。
【0131】
(実施例42)
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rが水素原子を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0132】
実施例41.に記載の手順により、0.4g(1.27mmol)の3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩及び0.3g(1.21mmol)のN−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−プロパン−1,3−ジアミンを出発物質として、0.13gの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=506(C2429ClOS 506.449)。
【0133】
(実施例43)
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xが−CH(CH)−基を表し、Rが水素原子を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0134】
実施例41.に記載の手順により、0.36g(1mmol)の3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ−[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩及び0.24g(1mmol)のN−[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−プロパン−1,3−ジアミンを出発物質として、45mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=522(C2429ClS 522.498)。
【0135】
(実施例44)
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(イソプロピル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xがメチレン基を表し、Rがイソプロピル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0136】
a)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−イソプロピルプロパン−1,3−ジアミン
【0137】
a/1.)(3,4−ジクロロベンジル)イソプロピルアミン
2g(11.43mmol)の3,4−ジクロロベンズアルデヒドを7mlのメタノールに溶解し、1.3g(22.86mmol)のイソプロピルアミンを室温で攪拌しながら添加する。反応混合物を0℃に加熱し、それに温度を0℃に保ちながら0.22g(5.8mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを少しずつ添加する。添加後、攪拌を室温で2時間継続する。メタノールを蒸発させ、残渣に8mlの水を加えて、20mlのジクロロメタンで3回抽出する。有機相を10mlの水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ別して、真空中で蒸発させる。カラムクロマトグラフィーにより精製した後、0.96gの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=218(C1013ClN 218.126)。
【0138】
a/2.)3−[1−(3,4−ジクロロベンジル)](イソプロピル)アミノ]プロピオニトリル
0.2g(0.92mmol)(3,4−ジクロロベンジル)イソプロピルアミンの無水メタノール(1ml)溶液に0.09ml(1.38mmol)のアクリロニトリルを氷水冷却下で添加した後、攪拌を室温で48時間継続する。真空中での蒸発後、0.28gの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=271(C1316Cl 271.189)。
【0139】
a)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−イソプロピルプロパン−1,3−ジアミン
0.25g(0.91mmol)3−[1−(3,4−ジクロロベンジル)](イソプロピル)アミノ]プロピオニトリルのメタノール(144ml)溶液に36mlの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、H−CUBETHALES装置中、ラネーニッケル触媒の存在下30バールの圧力下で45℃で水素化する。溶液を真空中で蒸発させ、それにより0.28gの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=275(C1320Cl 275.221)。
【0140】
b.)N−{3−[1−(3,4−ジクロロベンジル)(イソプロピル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
0.3g(0.91mmol)の3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩を7mlの無水ジメチルホルムアミドに溶解し、0.24g(1.37mmol)のN,N−カルボニルジイミダゾールを添加し、室温で1時間攪拌する。次に、0.25g(0.91mmol)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−イソプロピルプロパン−1,3−ジアミンのジメチルホルムアミド(3ml)/トリエチルアミン(0.25ml(1.82mmol))溶液を滴下により添加し、攪拌を更に2時間続ける。反応混合物を氷水上に注ぎ1Nの水酸化ナトリウム溶液でアルカリにした後、10mlのエーテルで3回抽出する。エーテル溶液を合わせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて、クロロホルムを用いるカラムクロマトグラフィーにより精製する。こうして、140mgの表題化合物を油状形態として得る。LC−MS[MH]=550(C2633ClS 550.552)。
【0141】
(実施例45)
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(tert−ブチル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
一般式(I)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基を表し、Xがメチレン基を表し、Rがtert−ブチル基を表し、Rが水素原子を表し、Yが1,3−プロピレン基を表し、Zがエチレン基を表し、Arが5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル基を表す。
【0142】
a)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−(tert−ブチル)プロパン−1,3−ジアミン
【0143】
a/1.)N−(3,4−ジクロロベンジル)−2−メチルプロパン−2−アミン
実施例44に記載の方法により、2g(11.43mmol)の3,4−ジクロロベンズアルデヒドを出発物質とし、それを2.4ml(22.86mmol)のtert−ブチルアミンと反応させて、1.63gの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=232(C1115ClN 232.152)。
【0144】
a/2.)3−[1−(3,4−ジクロロベンジル)](tert−ブチル)アミノ]プロピオニトリル
実施例44に記載の方法により、1.63g(7.02mmol)のN−(3,4−ジクロロベンジル)−2−メチルプロパン−2−アミンと0.92ml(14mmol)のアクリロニトリルとを反応させて、1.5gの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=285(C1418Cl 285.216)。
【0145】
a)N−(3,4−ジクロロベンジル)−N−(tert−ブチル)プロパン−1,3−ジアミン
0.92g(3.23mmol)の3−[1−(3,4−ジクロロベンジル)](tert−ブチル)アミノ]プロピオニトリルを実施例44に記載の方法により水素化し、0.8gの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=289(C1422Cl 289.248)
【0146】
b.)N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(tert−ブチル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド
実施例44.に記載の手順により、0.3g(0.91mmol)の3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロピオン酸塩酸塩及び0.26g(0.91mmol)のN−(3,4−ジクロロベンジル)−N−(tert−ブチル)プロパン−1,3−ジアミンを出発物質として、440mgの表題化合物を油状形態として得る。
LC−MS[MH]=564(C2735ClS 564.578)。
【0147】
(実施例46)
公知の方法により、以下の組成の錠剤を調製する。
有効成分 40mg
ラクトース 35mg
Avicel 21mg
クロスポビドン 3mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0148】
(実施例47)
A.)ヒト組み換え型CCR3受容体(hr−CCR3)結合アッセイ
一般式(I)の化合物のCCR3受容体拮抗薬効果を、エオタキシン結合試験で、hCCR3受容体発現組み換え型K562及びRBL2H3細胞について試験した。試験には、放射性ヨウ素125I−(2200Ci/mmol)で標識したエオタキシンを用いた。
【0149】
アッセイにおいては、200000の細胞を0.11nM125I−エオタキシンの存在下、温置:37℃で60分、で温置する。アッセイ緩衝液の組成:RPMI−l640媒体(GIBCO社製、pH7.6;80mgのCHAPS、500BSA(プロテアーゼ不含)、100mgゼラチン、3mlの25mM−HEPES−RPMI(100ml)溶液を含む)。試験化合物をDMSOに溶解し、原液をアッセイ緩衝液で希釈する。最終DMSO濃度は1%以下である。アッセイを、深ウェルプレート中で実施する。細胞を試験化合物と共に15分間温置し、次に標識したエオタキシンを加える。非特異的結合を200nM非ラベルエオタキシンの存在下で測定する。1時間の温置後、0.5M−NaCl溶液を含む500μlの氷冷アッセイ緩衝液を加える。反応をプレート遠心分離機(JUAN社製)中の3600gでの6分間の遠心分離により停止する。上澄み液をプレートを上下逆転位置に向けることにより注ぎだす。残留する小滴をティシュペーパーで拭き取った。可溶化のために、200μlの0.5M−NaOH溶液をペレットに添加する。室温での1時間の可溶化の後、150μlの可溶化された液の放射能をガンマカウンター(1470Wizard、Wallac社製)で計数する。
【0150】
溶液の放射能は、細胞受容体の数との、結合125I−エオタキシンの量との、及び試験した拮抗薬の活性との直接比関係にある。
【0151】
特異的結合は、全結合数と非特異的結合数との差異として計算する。化合物の活性は、特異的結合と拮抗薬分子の存在下で測定した結合とから計算する。
【0152】
化合物の活性はIC50値で特徴付けられる。
【0153】
B.)hCCR3−RBL細胞中及びhCCR3 K562細胞中のCa2+動員の調査
40000細胞数/ウェル密度(ミクロプレートの1つのウェル中の細胞数)のHCCR3−K562細胞及びhCCE3−RBL2H3細胞を24時間培養する。細胞を洗浄し、カルシウム指示薬染料(カルシウムプラスアッセイキット、Molecular Devices社製)を負荷する。負荷を行いながら、細胞を染料の存在下で60分間温置する。染料は蛍光カルシウム指示薬であり、細胞内カルシウム濃度を敏感に指示する。細胞内カルシウム濃度はサンプルの蛍光信号と直接比関係にある。実験を、BMG NOVOSTAR装置内で励起波長及び発光波長で行う。
【0154】
実験に用いる選択的作用薬は、
エオタキシン
エオタキシン−2
エオタキシン−3
RANTES
である。
【0155】
選択的作用薬を添加した後は細胞内カルシウム濃度が著しく増加し、それは蛍光信号の助けによりモニターされ得る。実験においては、最大獲得可能信号に対して75%のカルシウム信号を発生する作用薬濃度を用いる。
【0156】
拮抗薬を、作用薬処理の15分前に加える。
【0157】
蛍光信号の変化を30秒間モニターし、この間に過程が生じる。
【0158】
作用薬添加後の最大信号の強度を、同じ作用薬添加後に得られるカルシウム信号と、しかしながら阻害薬の存在下で比較する。
【0159】
化合物の活性はIC50値で特徴付けられる。
【0160】
試験A及びBに基づき、一般式(I)の化合物は生物学的活性であることが判明した。最も強力な化合物は請求項2に記載の一般式(I)の化合物であり、これらは請求項1に記載の一般式(I)の化合物のより狭い範囲の群を形成する。それらのIC50値は0.5nMから500nMの範囲内である。これらの化合物の内、特に好ましい分子は0.5nMと15nMとの間のIC50値を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(Arは、ハロゲン原子により場合により置換されているフェニル基を表し、
X及びYは独立して、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている直鎖C1−4アルキレン基を意味し、
Zは、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている原子価結合又は直鎖のC2−4アルキレン基又は直鎖のC2−4アルケニレン基を意味し、
及びRは独立して、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基を意味し、
Arは、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、1つ又は2つの同一の若しくは異なる直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基により置換されているアミノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、C1−2アルキレンジオキシ基、ハロゲン原子からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されている、フェニル基、チエニル基又はフリル基;
直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、フェニル基(この基は、1つ以上の直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、ハロゲン原子又はベンジルオキシ基により場合により置換されている。)、オキソ基、−NR1011基、−CONR1011基、−SONR1011基(これらの式中、R10及びR11は独立して水素原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、C3−6シクロアルキル基、ベンジル基を意味し、又はR10及びR11は窒素原子と一緒になって一般式(a)
【化2】

(R12及びR13は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基を表し、
Aは、メチレン基、酸素原子、硫黄原子、−NR14基(式中、R14は、水素原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、C3−6シクロアルキル基又はベンジル基を表す。)を表し、
qは0、1、2、3を表し、
rは1、2を表し、
oは0、1を表し、
sは0、1を表す。)
の基を形成する。)からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されている、1つ、2つ若しくは3つの窒素原子又は2つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員又は6員の複素環;
ベンゼン環が、ハロゲン原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、C1−2アルキレンジオキシ基、ヒドロキシル基、スルホニル基、−NR1011基、−CONR1011基、−SO1011基からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により更に置換され得る、上記の5員の又は6員の複素環のベンゼン類似体;又は
直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、−NR1011基、−CONR1011基、−SONR1011基からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されており、1つ又は2つの窒素原子を含む6員の複素芳香族環と縮合されている、1つ、2つ若しくは3つの窒素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員又は6員の複素環;
を表す。)
の化合物並びにこれらの塩、溶媒和物及び異性体及びこれらの塩及び溶媒和物。
【請求項2】
Arが、1つ以上のハロゲン原子により場合により置換されているフェニル基を表し、
X及びYが独立して、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている直鎖のC1−4アルキレン基を意味し、
Zが、1つ以上の同一の又は異なる直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている直鎖のC2−4アルキレン基又はC2−4アルケニレン基を意味し、
及びRが独立して、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基を意味し、
Arが、フェニル基;
1つ以上の直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基により場合により置換されている、1つ、2つ若しくは3つの窒素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員又は6員の複素環;
ベンゼン環が、ハロゲン原子、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、アミノ基、1つ以上の同一の若しくは異なる直鎖若しくは分岐鎖のC1−4アルキル基により置換されているアミノ基からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により更に置換され得る、上記の5員又は6員の複素環のベンゼン類似体;又は
直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ハロゲン原子、−CONR1011基、−NR1011基(これらの式中、R10及びR11の意味は、請求項1で定義したとおりである。)からなる群より選択される1つ以上の同一の又は異なる置換基により場合により置換されており、1つ又は2つの窒素原子を含む6員の複素芳香族環と縮合されている、2つ若しくは3つの窒素原子又は1つの窒素原子及び1つの酸素原子又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子を含む5員の複素環;
を表す、
一般式(I)の請求項1に記載の化合物並びにこれらの塩、溶媒和物及び異性体及びこれらの塩及び溶媒和物。
【請求項3】
3−(ベンゾチアゾール−2−イル)1−N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(6−メチルベンゾチアゾール−2−イル)−プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(6−メチルベンゾキサゾール−2−イル)プロパンアミド;
3−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−フェニルプロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(7−メチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ジメチルアミノチアゾロ[5,4−d]ピリミジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ジメチルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−イソプロピルアミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−メチルアミノ[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル])(メチル)アミノ]プロピル}−3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−ピペリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−(3−{[1−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(イソプロピル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
N−{3−[(3,4−ジクロロベンジル)(tert−ブチル)]アミノ]プロピル}−3−(5−モルホリン−4−イル[1,3]チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)プロパンアミド;
並びにこれらの塩、溶媒和物及び異性体及びこれらの塩及び溶媒和物である請求項1から2に記載の化合物。
【請求項4】
a.)一般式(III)
【化3】

(Ar、X、Y、R及びRの意味は、請求項1で定義したとおりである。)のジアミノ化合物を、一般式(II)
【化4】

(Ar及びZの意味は、請求項1で定義したとおりであり、Wはハロゲン原子、ヒドロキシル基、−O(C1−4アルキル)−基又は−OCO−Z−Ar−基(Ar及びZの意味は請求項1で定義したとおりである。)を表す。)のカルボン酸誘導体と反応させること、又は
b.)一般式(VI)
【化5】

(Ar、X及びRの意味は請求項1で定義したとおりである。)のアミノ化合物を一般式(XVII)
【化6】

(Y、R、Ar及びZの意味は請求項1で定義したとおりである。)のハロゲン化合物と反応させること、及び
望むならばその結果得られた一般式(I)の化合物の置換基を公知の方法を用いて互いに変換する及び/又は得られた一般式(I)の化合物をその塩若しくは溶媒和物に変換する又はその塩若しくは溶媒和物から遊離させる及び/又はその光学活性異性体に変換する、又は光学活性異性体をラセミ体化合物に変換する及び望むならば構造異性体をその各々から分離すること、
を特徴とする、一般式(I)(Ar、X、Y、Z、R、R及びArは、請求項1にて定義したとおりの意味を有する。)の化合物の調製方法。
【請求項5】
一般式(II)の化合物として適切なカルボン酸塩化物を用いることを特徴とする、請求項4のa.)に記載の方法。
【請求項6】
反応が、有機塩基の存在下で実施されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
一般式(II)の化合物としての適切なカルボン酸を一般式(III)のアミンと、活性化剤の存在下で反応させることを特徴とする、請求項4のa.)に記載の方法。
【請求項8】
活性化剤として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、塩化ピバリル、エチルクロロホルメート、イソブチルクロロホルメート、カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを用いることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
一般式(I)(Ar、X、Y、Z、R、R及びArは請求項1で定義したとおりの意味を有する。)の化合物の1つ以上及び/又はこれらの塩、溶媒和物又は異性体及びこれらの塩又は溶媒和物、及び医薬品工業界で用いられる1つ以上の賦形剤を含むことを特徴とする、医薬製剤。
【請求項10】
有効成分として請求項3に記載の化合物の1つ以上を含むことを特徴とする、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
CCR3受容体が疾患の発症に関与するような症状を治療するための医薬の調製のための、一般式(I)(Ar、X、Y、Z、R、R及びArは請求項1で定義したとおりの意味を有する。)の化合物、これらの塩、溶媒和物及び異性体及びこれらの塩及び溶媒和物の使用。
【請求項12】
喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アレルギー性結膜炎、多発性硬化症、クローン病、HIV感染症及びエイズ関連疾患から選択される症状を治療するための医薬を調製するための、一般式(I)(式中、Ar、X、Y、Z、R、R及びArは請求項1で定義したとおりの意味を有する。)の化合物、これらの塩、溶媒和物及び異性体及びこれらの塩及び溶媒和物の、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
受容体CCR3が関与するような疾患が発症している患者における治療又は予防の方法であり、前記患者に請求項1に記載の化合物の薬学的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
疾患が、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アレルギー性結膜炎、多発性硬化症、クローン病、HIV感染症及びエイズ関連疾患である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
一般式(II)の化合物のより狭い群を形成する一般式(IIa)
【化7】

(Ar2’は、1つ以上の直鎖又は分岐鎖のC1−4アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC1−4アルコキシ基、ヒドロキシル基、−NR1011基、−CONR1011基、−SONR1011基(R10及びR11の意味は請求項1で定義したとおりである。)により場合により置換されている1,2,4−トリアゾロ[1,5−a]ピリジン基又はチアゾロ[5,4−b]ピリジン基を表し;
Zは、1,3−プロピレン基を表し;及び
Wは、請求項4で定義したとおりを意味する。)
の化合物。

【公表番号】特表2009−508929(P2009−508929A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531798(P2008−531798)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/HU2006/000078
【国際公開番号】WO2007/034252
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】