説明

GaN結晶またはAlGaN結晶の製造法

本発明は、窒化ガリウム単結晶または窒化ガリウムアルミニウム単結晶の製造法および製造装置に関する。本発明による方法処理において本質的なことは、ガリウムのまたはガリウムおよびアルミニウムの蒸発を成長する結晶の温度を上回る温度で、しかし少なくとも1000℃で実施し、かつ金属融液表面上で窒素前駆体と金属融液との接触を防止するように、窒素ガス、水素ガス、不活性ガスまたはこれらのガスの組み合わせからなるガスフローを金属融液表面に導通することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ガリウム結晶または窒化アルミニウムガリウム結晶を製造するための方法および反応器装置に関する。
【0002】
III族窒化物化合物の単結晶は、良質、低転位の基板としてIII族窒化物半導体エピタキシー、殊に青色レーザーまたはUVレーザーのために使用することができる。しかしながら、現在そのような基板は限られてしか入手可能でなくかつ極めて高価である:製造は小さい面積に制限されるか、またはハイドライド気相エピタキシーにより異種基板上で製造される擬似基板の場合、処理条件に基づき数ミリメートルの厚さに制限される。このことから、低転位の基板は大変な出費をともなってのみ製造されえ、それに従って高価である。例えばGaAsでの液体封止引き上げ法(Liquid Encapsulated Czochralski:LEC)に類似する融液からの育成はこれまで成功しておらず、かつ融液上で発生する非常に高い窒素蒸気圧に基づき近い将来も可能ではないと考えられる。
【0003】
一方でAlNからなる単結晶は、現在のところ主として昇華法により非常に高い圧力で製造される。そのためAlN粉末は加熱、昇華および拡散されて成長室の比較的冷たい端部に向かい、そこでAlN結晶がその後に成長する。ここで欠点なのは、困難なスケーラビリティ(Skalierbarkeit)、単結晶の高い汚染および依然として非常に小さい結晶であり、該結晶はエピタキシーのために限られてしか使用可能でない。アルミニウム蒸気およびNHからの直接成長は、例えばすでにWitzke, H.-D.: Ueber das Wachstum von AlN Einkristallen, Phys. Stat. sol. 2, 1109 (1962)、およびPasternak J. und Roskovcova L.: Wachstum von AlN Einkristallen, Phys. Stat. sol. 7, 331 (1964)により記載されている。ここでは、材料科学の基礎研究には適しているが、しかしながら電子デバイス(electronic devices)のエピタキシーには適していない多数の小さい単結晶が成長した。とりわけGaN基板が半導体レーザーのIII族窒化物エピタキシーのために必要であるが、該基板の場合、類似する方法は容易には可能でない。それというのも、ガリウム融液上にGaNが形成され妨げとなるからである(例えばBalkas, C. M.等: Growth and Characterization of GaN Single Crystals, Journal of Crystal Growth 208, 100 (2000), Elwell, D等: Crystal Growth of GaN by the reaction between Gallium and Ammonia, Journal of Crystal Growth 66, 45 (1984)、またはEjder, E.: Growth and Morphology of GaN, Journal of Crystal Growth 22, 44 (1974)により記載されている)。Elwell等においては、殊に金属ガリウムとアンモニアとの間で常に観察される表面反応が問題になっており、該表面反応によりガリウム融液上およびまたガリウムで覆われた反応器部分に小さい結晶が成長する。
【0004】
現在のところGaN上での半導体レーザーの成長のために、いわゆる擬似基板は、例えばそのような基板の大手製造元の一つの日本国の住友(JP002004111865AAを参照のこと)におけるハイドライド気相エピタキシー技術を用いて製造される。この場合、ガリウム金属は、窒素前駆体のアンモニアと分離された領域中で塩素の導入により反応し塩化ガリウムとなり、該塩化ガリウムは次いで再び基板上でアンモニアと反応しGaNおよび塩化アンモニウムとなる。該塩化アンモニウムの化合物は、結晶成長の際に非常に問題になる。それというのも、前記化合物は大量に発生しかつ固体として反応室および廃ガス系統を覆うかもしくは詰まらせることがあり、ならびにしばしば結晶成長を激しい粒子形成により妨げるからである。
【0005】
代替的に、GaNの小さいウェーハは高い圧力および温度でガリウム融液から製造される(US6273948B1およびGrzegory, l.等: Mechanisms of Crystallization of Bulk GaN from the Solution under high N2 Pressure, Journal of Crystal Growth 246, 177 (2002)を参照のこと)。この場合、しかしながら商業的な利用のための十分な大きさはこれまで達成されておらず、かつ結晶は部分的に高い酸素濃度を有しそのため前記結晶はたしかに高い導電性のものとなるが、しかしまた高純度のエピタキシャルGaNに比べて格子不整合を生じる。金属融液からのもしくは該金属融液中での直接的なGaN単結晶の製造(US6592663B1)(部分的に比較的大きいが、その一方で比較的薄い単結晶を結果としてともなう)も公知であるが、しかし報告された高い炭素含有物(Soukhoveev, V.等: Characterization of 2.5-Inch Diameter Bulk GaN Grown from Melt-Solution, phys. stat. sol. (a) 188, 411 (2001))とわずかな層厚とに基づきこれまでどうも成功にいたっていない。
【0006】
その点で意想外なのは、40年以上にわたるGaN単結晶の製造の研究におけるわずかな進歩である。その際、既に述べたように、たいていの処理は塩化ガリウムおよびアンモニアの反応による融液からのまたは気相からの結晶の製造に向けられている。溶解されたガリウムおよび例えばアンモニアのような反応性窒素前駆体の反応に向けられている処理はほとんどなく、そのうえ常に融液への物質の直接接触を含む(例えばShin, H.等: High temperature nucleation and growth of GaN crystals from the vapor phase, Journal of Crystal Growth 241, 404 (2002); Balkas, C. M.等: Growth and Characterization of GaN Single Crystals, Journal of Crystal Growth 208, 100 (2000); Elwell, D.等: Crystal Growth of GaN by the Reaction between Gallium and Ammonia, Journal of Crystal Growth 66, 45 (1984);またはEjder, E.: Growth and Morphology of GaN, Journal of Crystal Growth 22, 44 (1974)による処理において見られる)。Shinのところで記載されているのは、ガリウム融液上にクラスト(Kruste)が形成され、該クラストが結晶成長をそれにより引き起こされる周囲の壁でのガリウムの液滴形成により妨げることである。殊にこれらの方法の場合、常に多数の小さい結晶が反応室で生成されかつ結晶成長は大部分が非制御のままであるため、それゆえ大きい単結晶にはほとんど適していないが、しかしながら研究適用のための小さい非常に良質な結晶には適している。
【0007】
JP11−209199Aから、いわゆるホットウォール法によりGaN単結晶を製造するための反応器装置が公知である。大規模工業的な適用のためのそこで記載される方法の欠点は、単結晶の達成可能な成長率が極めて低いことである。
【0008】
本発明の基礎をなしている技術的な課題は、窒化ガリウム結晶または窒化アルミニウムガリウム結晶を製造するための方法および反応器装置を提供することであり、該方法により結晶成長の際のガリウム融液上のクラスト形成およびそれと結び付いた問題が発生することなく、また改善された成長率をともなって、溶解されたガリウムと反応性窒素前駆体との反応による結晶成長が可能になる。
【0009】
本発明の第一の態様は、窒化ガリウム結晶または窒化アルミニウムガリウム結晶の製造法に関する。該発明は以下の工程
−純粋なガリウムからなるかまたはアルミニウムおよびガリウムの混合物からなる金属融液を融液るつぼ中に準備する工程;
−前記金属融液からガリウムをまたはガリウムおよびアルミニウムを蒸発させる工程;
−熱作用によるかまたはプラズマを用いて窒素前駆体を分解する工程;
−10bar未満の圧力下で、種結晶においてGaN結晶またはAlGaN結晶の単結晶の結晶成長を引き起こす工程
を含む。
【0010】
ガリウムのまたはガリウムおよびアルミニウムの蒸発は、成長する結晶の温度を上回る温度で、しかし少なくとも1000℃で実施する。
【0011】
本発明による方法の場合、窒素ガス、水素ガス、不活性ガスまたはこれらのガスの組み合わせからなるガスフローは、該ガスフローが金属融液表面上で窒素前駆体と金属融液との接触を防止するように金属融液表面上に導通される。
【0012】
本発明による方法は、液相−ハイドライドエピタキシー法またはガリウム蒸気およびアンモニアの単純反応による窒化ガリウムまたは窒化アルミニウムガリウムの成長の代替案を形成する。本発明による方法の場合、純粋な金属が蒸発させられかつガスフロー中で反応領域中に輸送され、該反応領域中でGaN結晶またはAlGaN結晶の単結晶の結晶成長が種結晶において引き起こされる。ガリウムの蒸気圧が低いという問題は、本発明による方法の場合、結晶の適切な成長率に適した少なくとも1000℃の温度をガリウムのまたはガリウムおよびアルミニウムの蒸発のために設定することで解消される。
【0013】
さらに本発明による方法は、窒素ガス、水素ガス、不活性ガスまたはこれらのガスの組み合わせからなるガスフローを金属融液表面上に導通することにより、つまり該ガスフローが金属融液表面上で窒素前駆体と金属融液との接触を防止する形で、頻繁に観察されるガリウムと窒素前駆体との直接反応の課題を解決する。その際、使用されるガスに従って種々の作用機構(Wirkungsmechanismen)を使用してよい。不活性ガス、例えばヘリウム、アルゴンまたは窒素(N)は、ガスフローが適切に導かれかつ適切な流速を有する場合に融液と窒素前駆体との間の接触を防止する。他方で、反応器圧力および用いられる流速に従って水素ガスが使用される場合、融液上で形成される結晶GaN層またはAlGaN層は、融液の温度が高い場合に生じる水素の高い反応性に基づき分解してよく、それにより金属のさらなる蒸発が保証される。
【0014】
ここでは窒素ガスは、それ自体が不活性ガスの特性を有し、すなわち融液の金属と(または窒素前駆体と)化学的に反応しないにも関わらず、不活性ガスとは切り離して挙げられる。しかしながら、これは窒素が分子の形(N)で存在する比較的低い温度の場合にしか適用されない。例えば1400℃の、本発明による方法から同様に包囲された金属融液の温度の場合、窒素は原子の形で存在しかつ原則的にガリウムと反応してよく、それゆえ不活性ガスとならない。しかしながらそれにも関わらず、GaNはこの温度領域中で安定していないので、そのように高い温度でもクラスト形成を受け入れる必要なく原子の窒素を金属融液上に導通してよい。
【0015】
水素ガスのみならずまた不活性ガスも含有するガスフローが金属融液表面上に導通されるか、または複数のガスフローが金属融液表面上に導通されることで、両方の記載された作用機構の組み合わせも可能であり、その際、一方のガスフローは不活性ガスにより形成されかつ他方のガスフローは水素を含有するガスまたは水素からなるガスにより形成される。
【0016】
本発明による方法の場合、単結晶の均一な成長は該成長が種結晶上で始まる形において大きい面積上で促進される。このように、本発明による方法は窒化ガリウム基板または窒化アルミニウムガリウム基板の製造を可能にする。
【0017】
しかし、種結晶は代替的にまた小さい面積上に設けられていてもよい。次いでまず先にGaNロッドが成長する。これは最初に避けられない高い転位密度を低減するために役立つ。次いで、ガス組成、殊にV/III比、および圧力の適切な選択により、横方向成長が、所望される直径上で促進されえかつ最終的に基板製造のためにも十分な直径を有する長いGaNロッドが成長しうる。
【0018】
公知のハイドライドエピタキシー法に対して本発明による方法は、妨げとなる堆積物を生成しないという利点を有する。ハイドライドエピタキシーの場合、例えば塩化ガリウムおよびアンモニアの使用により、大きい結晶の成長を妨げる塩化アンモニウムの堆積物が発生することになる。
【0019】
それゆえ結果的に、記載された方法は大きい単結晶の大量生産のために理想的であり、該方法から後に切断および研磨によりIII族窒化物のエピタキシーのための基板を製造することができる。それ以外に本発明による方法は、達成可能な結晶サイズに基づき、石英ガラス反応器中でのハイドライド気相エピタキシーにおいて通常起こる反応器の摩耗を最小限に抑える。それというのもハイドライド気相エピタキシーにおいて、成長する層は遅くとも冷却の際に、使用される石英ガラスをはぎ取るからである。それゆえハイドライド気相エピタキシーにより製造された擬似基板は、製造するにおいて非常に費用がかかる。それに対して、ここで記載された方法を用いて、たとえ反応器の内側の覆われた部分が細かく砕けても結晶から多数の基板を切断することができる。このように基板1つ当たりの値段を明らかに下げることができる。
【0020】
本発明による方法は、結晶サイズについて結晶成長の場の温度均一性および溶解されたガリウムの量だけで限定される。しかしながら、ガリウムは27℃から液状なので作動中、つまり結晶製造時の供給により補充してよい。
【0021】
以下に本発明による方法の実施例が記載される。
【0022】
本発明による方法の一実態態様は、金属融液を、少なくとも1つのキャリアーガス供給部および少なくとも1つのキャリアーガス排出口を除いて全ての面が閉じられている融液るつぼ中に準備することを予定する。この実施態様の場合、ガスフローは金属融液の上方のキャリアーガス供給部により融液るつぼに導入されかつ金属融液の金属蒸気とともにキャリアーガス排出口により融液るつぼから外部へ輸送される。
【0023】
この実施態様は、融液るつぼ容器が記載されたガス供給部およびガス排出部を除いて全ての面が閉じられていることにより、ガスフローに補足的に金属融液の表面上でクラストが形成されることへの保護を高める。このように前記るつぼの構造形態により、溶解された金属の反応が金属融液表面上ではなく、種結晶または成長する単結晶近くのこのために準備された反応領域中でのみ起こることが保証される。さらに加えて融液るつぼの閉じられた構造形態により、成長する結晶に向かって金属融液から蒸発する金属原子を輸送するための有利な流動条件がつくり出される。
【0024】
代替的な一実施態様の場合、金属融液の準備は反応器室中での融液るつぼの配置を含んでおり、その際、この場合少なくとも1つのキャリアーガス供給部が反応器室中に備え付けられている。この実施例の場合、ガスフローは金属融液のほんのわずか上方のキャリアーガス供給部により反応器室に導入される。窒素前駆体は、反応領域中の前駆体供給口により反応器室に導入される。この実施例は先のものと比較して、融液るつぼの構造形態により広範囲にわたって金属融液の表面の覆いを必要とせず、ならびに融液るつぼの中へ通じるキャリアーガス供給部も必要としない。それゆえ該融液るつぼは、とりわけより簡単でより費用のかからない方法で製造されうる。
【0025】
両者の代替的な方法処理の場合、ガスフローを金属融液の表面に平行な方向においてかまたは金属融液の表面に垂直な方向において、融液るつぼ容器または反応器室へと導入してよい。
【0026】
前記方法のさらに他の有利な一実施態様の場合、ガリウムのまたはガリウムおよびアルミニウムの蒸発は少なくとも1100℃の温度で実施される。それにより高められた金属蒸気圧は結晶成長を加速させるために使用してよい。
【0027】
成長する単結晶を適切にドーピングするために、種々の物質を反応器室に導入してよい。これは第一の代替案においてガス状の前駆体を導入することにより行ってよい。n型ドーピングのために水素化ケイ素化合物または水素化ゲルマニウム化合物、例えばシラン、ゲルマン、ジシランまたはジゲルマンを使用してよい。ドーピングするために適しているのはまた有機金属化合物、例えば第三級ブチルシランである。相応してp型ドーピングも有効である。この場合、特にマグネシウムが適しており、該マグネシウムは非常に簡単に、例えば有機金属のシクロペンタジエニルマグネシウムとしてキャリアーガスとともに反応器室に導通してよい。高抵抗の結晶の製造のために、発生する半導体結晶のバンドギャップの出来るだけ真ん中で深い不純物準位を生じさせる、例えばフェロセンとしても公知であるシクロペンタジエニル鉄の形における鉄、または他の遷移金属が適している。
【0028】
ドーピングするための第二の代替的な方法処理は、ドーピング剤、例えばケイ素、ゲルマニウム、マグネシウムまたは鉄を純粋な融液として蒸発させるか、またはそのつどの固体を昇華させることを予定する。このために、反応器中ではさらに他の温度帯域または切り離して加熱されたるつぼが必要である。大抵の場合このるつぼも、ガリウム含有融液と同じように窒化から同様に保護されなければならないが、これはIII族金属の融液るつぼにおける方法処理と全く同じようにガスフローにより引き起こすことができる。
【0029】
有利には、ガスフローが水素を含有するかまたは水素からなる一実施態様の場合、融液るつぼ中への金属融液の準備は、窒化ホウ素BN、炭化タンタルTaC、炭化ケイ素SiC、石英ガラスまたは炭素またはこれらの材料の2種またはそれ以上の組み合わせからなる融液るつぼの使用を予定している。本発明により、炭素のみで製造されたるつぼは、数時間の作動後に水素供給下で分解する。それゆえ炭素るつぼはこの場合、他の記載された材料の1つにより被覆されているべきである。
【0030】
本発明の第二の態様は、窒化ガリウム結晶または窒化ガリウムアルミニウム結晶の製造のための反応器装置を形成する。本発明による反応器装置は、
−反応器室の反応領域中に窒素前駆体を供給する装置、
−熱作用によるかまたはプラズマを用いて反応領域中で窒素前駆体を分解するための装置、
−純粋なガリウムからなるかまたはアルミニウムおよびガリウムの混合物からなる金属融液を収容するための融液るつぼ、
−融液るつぼ中の金属融液の温度を、成長する結晶の温度を上回る値に、しかしながら少なくとも1000℃に設定するために形成されている第一の加熱装置、
−窒素ガス、水素ガス、不活性ガスまたはこれらのガスの組み合わせを送り出すために形成されているキャリアーガス供給源、および
−ガスフローが金属融液表面上を導通し、前記ガスフローが窒素前駆体と金属融液との接触を防止するように配置されかつ形成されている、キャリアーガス供給源と接続された少なくとも1つのキャリアーガス供給部
を含有する。
【0031】
本発明による反応器装置の利点は、本発明による方法の上で記載された利点から直接もたらされる。
【0032】
以下に反応器装置の有利な実施例が記載される。実施例が、第一の態様に従う前記方法の上で既に詳細に記載された実施態様の装置の態様を直接示す限りにおいて、詳細な記載は省かれる。
【0033】
本発明による反応器装置の一実施態様の場合、融液るつぼは、キャリアーガス供給部および少なくとも1つのキャリアーガス排出口を除いて全ての面が閉じられている融液るつぼ容器として形成されている。キャリアーガス供給部は金属融液表面の上方に配置されている。
【0034】
この実施例の一変法において、第一の加熱装置は金属融液の上方の融液るつぼ容器の内壁を金属融液の領域中よりも高い温度に加熱するために形成されている。このように、上昇する金属蒸気中で滴が形成されるが、該滴はさらに融液るつぼの中または融液るつぼの外側の反応器室の内壁に堆積してよい。
【0035】
違った温度領域を発生させる1つの加熱装置の代わりに2つの加熱装置が備え付けられていてもよい。この実施態様において、キャリアーガス排出口は管状の出口の端部を形成してよい。次いで第二の加熱装置は、第一の加熱装置が金属融液の領域中の融液るつぼ容器の内壁を加熱するより高い温度で管状の出口の内壁を加熱するために形成されている。
【0036】
違った実施態様において、キャリアーガス供給部は、ガスフローを金属融液の表面に平行な方向においてかまたは金属融液の表面に垂直な方向において融液るつぼ容器または反応器室に導入するために形成されている。また、一方が融液表面に垂直に導入部を準備しかつ他方が融液表面に平行に導入部を準備する複数の供給部を備え付けることも可能である。
【0037】
キャリアーガス供給部の種々の変法は、図を基にして詳細に説明される。
【0038】
有利には、殊に水素ガスの使用のために、窒化ホウ素BN、炭化タンタルTaC、炭化ケイ素SiC、石英ガラスまたは炭素からなるか、またはこれらの材料の2種またはそれ以上の組み合わせからなる融液るつぼが製造される。
【0039】
GaAl結晶の成長のために、記載したように融液るつぼが相応する金属混合物のために備え付けられていてよい。代替的にまた、一方がガリウム融液をかつ他方がアルミニウム融液を含有する2つの分離された融液るつぼも反応器室中に配置されていてよい。この実施態様の場合、成長する結晶中の両方の金属の比は、区別される両方の融液るつぼ温度の設定によりかつ両方のるつぼのそのつどのキャリアーガスフローにより設定されうる。
【0040】
本発明による方法および本発明による反応器装置のさらに他の実施例は、添付している図に基づき以下で説明される。それぞれ、
図1は、図における反応器装置の第一の実施例
図2〜8は、本発明による反応器装置において使用するための融液るつぼの種々の変法、および
図9は、GaN結晶またはAlGaN結晶の製造のための反応器装置の第二の実施例
を示す。
【0041】
図1は、簡略化された図において反応器装置100の第一の実施例を示す。反応器装置100は垂直反応器である。反応器容器102は下方部分で、ガリウム融液(図示されていない)を含有する融液るつぼAを含有する。高周波加熱器104は、高周波の電気交番磁界(ein hochfrequentes elektrisches Wechselfeld)によりガリウム融液を加熱する。この種の高周波加熱器は、2000℃以上にも及ぶ高い温度を達成させるのに理想的である。なぜなら前記高周波加熱器は、さほど手がかからずかつ非接触で作動されるからである。融液るつぼのちょうど上にはキャリアーガス供給部106がガス管106.1および106.2の形で存在し、該ガス管は同じ高さでかつ向き合いながら、つまりそれらの開口部が互いに割り当てられて配置されている。排出口108.1および108.2は、融液るつぼAから側面の間隔を少し空けて配置されている。融液るつぼAは上に向かって開いているので、キャリアーガス供給部106のこの配置により直接的に金属融液の表面上に導かれるガスフローを生み出すことができる。
【0042】
窒素前駆体は、前駆体供給部110.1および110.2により、元々存在する種結晶をベースにして成長する窒化ガリウム結晶112のちょうど下に存在する反応領域112に導入される。窒化ガリウム結晶はホルダー114に固定されており、該ホルダーは適切な調整装置(図示されていない)を用いて垂直方向において(二重矢印116により示される)制御して位置変更することができる。これは、一方では種結晶を反応器室に導入するためにかつ他方では同じ垂直位置上で発生する結晶の最新の成長表面を保持するために行われる。
【0043】
図1の配置の場合、キャリアーガス供給部106.1および106.2によりもたらされるガスフローにより、融液るつぼA中の金属融液の領域から、成長する結晶112の方向にガリウム富化の蒸気の輸送が引き起こされる。これは特に高い圧力下での作動の際に必要である。それというのも、さもないとガリウム蒸気は拡散によってしか広がらないからである。反応器壁が比較的冷たい場合、ガリウム蒸気はそこで非常に強く堆積するので、融液Aと結晶112との間の間隔に応じてガリウム蒸気は減少した量のみしか結晶に到達しないかあるいは全く結晶に到達しない。
【0044】
図1で示されるガス入口106.1および106.2以外に、キャリアーガス供給部106はさらに他のガス入口を含有し、該ガス入口により反応器室102の下方部分において、ガス混合物を変化させてよいさらに他のガスフローが生み出される。供給部106.1および106.2によるガスの導入により、融液るつぼAの領域中のガス雰囲気の組成が決定的に制御される。最適なのは高純度で使用可能なHおよびNガスである。前記の例では、さらに他のガス入口により例えばHおよびNの比を変更してよく、さらに加えて反応器室102の壁の堆積物も減少させることができる。
【0045】
その際、ここで問題になっている垂直反応器の実施態様において、排出口が互いに向き合って配置されていることが有利である。この方法で、上方に向かうガリウム蒸気の輸送が改善される。
【0046】
図示される前駆体供給部110.1および110.2の配置の代替案として、該前駆体供給部は、発生する結晶112の成長表面118の上方にも配置されていてよい。この場合、窒素前駆体は次いで、反応器室の上方の端部における出口120にいたるガスフローに対して拡散し下方の結晶端部における成長フロント118に向かう。窒素供給部110.1および110.2の垂直位置により、横方向および垂直の結晶成長はあまり制御されえない。
【0047】
成長する単結晶の適切なドーピングのために、様々な物質を反応器室に導入してよい。これはガス状の前駆体の導入により行ってよい。n型ドーピングのために水素化ケイ素化合物または水素化ゲルマニウム化合物、例えばシラン、ゲルマン、ジシランまたはジゲルマンを使用してよい。ドーピングに適しているのはまた有機金属化合物、例えば第三級ブチルシランであり、nドーピングのために反応室に導通してよい。相応してpドーピングが適している。この場合、特にマグネシウムが適しており、それは非常に容易に、例えば有機金属シクロペンタジエニルマグネシウムとしてキャリアーガスとともに反応器室に導通してよい。高抵抗の層のために、例えばフェロセンとしても公知であるシクロペンタジエニル鉄の形における鉄、または他の遷移金属が適しており、これらはバンドギャップの出来るだけ真ん中において深い不純物準位を生じさせる。他の可能性は、ドーピング剤、例えばケイ素、ゲルマニウム、マグネシウムまたは鉄を純粋な融液として蒸発させるか、またはそのつどの固体を昇華させることにある。このために、反応器中ではさらに他の温度帯域もしくは分離して加熱されたるつぼが必要である。大抵の場合、このるつぼもガリウム含有融液と同じように窒化から同様に保護されなければならない。
【0048】
成長する結晶112もしくは反応器室はその上部において、約1000℃の温度Tに加熱されかつそれは例えば外側に設置された抵抗加熱器(図示されていない)またはランプ加熱器(同様に図示されていない)を用いた反応器内壁の加熱により行われる。反応器室102の下方領域中では、反応器内壁でのガリウムの強い堆積を防止するために、反応器内壁を融液るつぼの温度(T1)と似た温度またはそれよりほんの少し高い温度に加熱することが推奨される。
【0049】
ガス組成、つまり例えばH、N、ならびに窒素前駆体の比、ならびに成長温度および反応器圧力により、成長速度は種々の結晶方向において必要に応じて高めるかまたは妨げてよく、そうして適切な結晶方向および結晶形態を得ることができる。
【0050】
種結晶として、例えば異種基板上の薄いGaN層が役立つ。転位は比較的厚い結晶の成長の過程で次第に減少する。成長する結晶は、成長の均一性を高めるために回転させてよく(二重矢印122により示される)かつ下方の結晶端部の成長フロント118での成長条件を常に等しく保つために厚みが増すとともに上に引き上げられるべきである。
【0051】
非常に長い結晶が引き上げられる場合、転位および亀裂をもたらすストレスを回避するために、該結晶を上方への結晶の引き上げの際に上方の端部で強く冷却しないことが推奨される。これは反応器もしくはガス出口120の相応する長めの設計により、かつ該当する領域の加熱により実行してよい。
【0052】
ここで図1において示される結晶ホルダー114の吊り下げ構造の利点は、結晶112上での寄生的堆積物(parasitaeren Depositionen)が回避されることである。他の幾何学的形状の場合、反応器壁で発生する落下堆積物がこの種の寄生的堆積物を引き起こす。
【0053】
例えば反応器室の材料は石英ガラスであってよい。しかしながら石英ガラスの場合、反応器内壁で成長する層はガラスを一緒にはぎ取り、これにより反応器が完全に機能しなくなる。しかしながら、前記堆積物は不活性ガスまたは水素の導入により反応器壁に沿って減少させることができる。しかしながら、石英ガラスに対して窒化ホウ素(BN)の使用が有利である。それというのも、この材料は窒化ホウ素の破壊なしに堆積物の除去を可能にするからである。
【0054】
同様に融液るつぼAの材料としても、特に窒化ホウ素が理想的である。なぜならそれは高純度で製造されえ、窒素前駆体により安定化されかつ発生するGaN単結晶またはAlGaN単結晶中の微量の不純物として妨害することがほとんどないからである。しかしながら代替的に、使用される温度およびガス雰囲気で分解しない他の各高耐熱材料も使用してよい。これは石英ガラス以外に材料の炭化タンタルTaC、炭化ケイ素SiCおよび炭素Cである。水素雰囲気においてグラファイトが使用される場合、炭化ケイ素SiCによる被覆が推奨される。
【0055】
図1の実施例において、残留ガスは反応器の上方の端部で排出し、そこには負圧を発生させるためにポンプ(図示されていない)または超過圧を発生させるために調整可能なスロットルバルブ(同様に図示されていない)が設置されていてよい。
【0056】
図2は、融液るつぼAの代わりに図1の反応器装置中で使用するための融液るつぼ200の第一の変法を示す。融液るつぼ200は、キャリアーガス供給部206.1および206.2およびキャリアーガス排出口222を除いて全ての面が閉じられて構成されている。この場合、図1の実施例とは異なって、つまりキャリアーガス供給部206.1および206.2は直接的に融液るつぼ200の中に導通される。金属融液の表面224上には、融液るつぼ200の長めの構造により、矢印226および228で示される垂直ガスフローを形成するための体積が生じる。広範囲にわたって閉じられた融液るつぼ200の構造は、窒素前駆体(例えばアンモニア)と金属融液との前反応の回避を促進する。融液るつぼ200の直径上で生じるガスフローの制限によりキャリアーガスフローの高い流速が生じ、該流速は図1で示される例よりもさらに効果的に窒素前駆体の拡散を阻止する。同時に、高められた流速によりガリウム蒸気が反応器室中に効果的に輸送されることになる。
【0057】
また原則的には、融液るつぼの長めの形成のみを備え、そして上向きの方向への別個の被覆(separate cover)は備えないことも考えられる。それでもこの変法は図2で示されるように、排出口の直径を縮めた時のものほど有効ではないと考えられる。
【0058】
図2の実施例において、キャリアーガス供給部206.1および206.2ならびに高周波加熱器204の導管を有する融液るつぼ200が示される。そのようなるつぼ構造の場合、内壁の上方部分を同じ温度または融液の温度より高い温度に保つことが有利である。これは、例えばコイルひいては高周波磁界の相応する構造による誘導加熱の使用によるかまたは付加的な抵抗加熱により実行してよい。
【0059】
図3は、これらの考えを具体的に示す融液るつぼ300の一変法を示す。融液るつぼ300は、以下に記載される相違点を除いて融液るつぼ200と同じである。開口部222の代わりに細い排出管322が融液るつぼの上方の端部に備え付けられており、該排出管によりガリウム蒸気は洗浄ガスとともに出てくる。加熱器326は排出管を包含する。堆積物を回避するためにかつガスフローにおけるガリウムの滴形成の危険を低減するために、排出管322の内壁は温度T>Tに加熱されるべきである。
【0060】
図4は、融液るつぼ400の形におけるさらに他の一変法を示し、その際、キャリアーガスの供給部406は融液るつぼの上側に備え付けられた開口部422により与えられる。その他の点においては、融液るつぼは図2の融液るつぼ200と同じである。図4に示されるキャリアーガス供給の場合もガスフローは発生し、該ガスフローは直接的に金属融液の表面424に導通され、次いで出てくるガリウム蒸気と一緒に上に導かれかつ排出口422から反応領域の方向に導通される。従って金属融液の表面424と窒素前駆体とが接触するのを防止するために、キャリアーガスまたは洗浄ガスを該表面に平行に導入する必要はない。表面に垂直な導入も同じ作用をもたらす。
【0061】
図5は、さらに他の一変法として、融液るつぼ300および400(図3および4を比較のこと)の特徴を互いに結び付ける融液るつぼ500を示す。この実施態様の場合、キャリアーガスは融液るつぼ500の上側528のキャリアーガス供給部506を介して導入される。それに応じてガスフローは図4の例のようにまず下方を指し示し、次いで金属表面524に当たり、該金属表面から出てくる金属蒸気と一緒に上昇しかつ排出管522により反応器室へ導通される。
【0062】
図6は、キャリアーガス供給部606も収容するために排出管622が拡張されている、融液るつぼ600のさらに他の一変法を示す。
【0063】
図7は、高周波加熱器の代わりに管加熱器730が使用される、融液るつぼ700のさらに他の一変法を示す。その他の点では、融液るつぼの構造は図2のそれと同じである。
【0064】
図8は、図4の実施態様の場合と同じようにキャリアーガス供給部806が融液るつぼの上側の排出口822を導通する、融液るつぼ800の形におけるさらに他の一変法を示す。図7の実施態様の場合と同じように管加熱器830が使用される。
【0065】
代替的な実施態様において図4、5、6および8の融液るつぼの場合、キャリアーガス供給部は金属融液の中に導かれ、そうしてキャリアーガスは金属融液中で気泡を形成して上昇しかつ金属融液から外に出る。この実施態様はまた上に記載されたものと組み合わせ可能であり、その結果キャリアーガスフローは金属融液の表面上に導通されるのみならずまた該融液中にも導通される。
【0066】
図9は、反応器室900の代替的な構造を示す。図1の反応器室100とは異なって、これは水平配置である。それに応じて融液るつぼAおよびキャリアーガス供給部906が配置されている。この場合、また1つのキャリアーガス導管だけでも十分である。それというのも、水平なガスフローはそれが融液るつぼA中の金属融液の表面上に導かれた後さらに、発生する結晶912の方向において該結晶の成長表面918に導かれるからである。この実施例の場合、垂直方向における前駆体ガスの供給部は前駆体供給部910.1および910.2により与えられる。その他の点では、反応器装置900の作動方法は図1に基づいて記載される作動方法に類似している。
【0067】
本発明による方法は多結晶の結晶の製造のためにも使用できると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】反応器装置の第一の実施例を示す図
【図2】反応器装置において使用するための融液るつぼの一変法を示す図
【図3】反応器装置において使用するための融液るつぼの一変法を示す図
【図4】反応器装置において使用するための融液るつぼの一変法を示す図
【図5】反応器装置において使用するための融液るつぼの一変法を示す図
【図6】反応器装置において使用するための融液るつぼの一変法を示す図
【図7】反応器装置において使用するための融液るつぼの一変法を示す図
【図8】反応器装置において使用するための融液るつぼの一変法を示す図
【図9】反応器装置の第二の実施例を示す図
【符号の説明】
【0069】
100 反応器装置、 102 反応器容器、 104 高周波加熱器、 106 キャリアーガス供給部、 106.1 ガス管、 106.2 ガス管、 108.1 排出口、 108.2 排出口、 110.1 前駆体供給部、 110.2 前駆体供給部、 112 結晶、 112 反応領域、 114 ホルダー、 116 二重矢印、 118 成長フロント、 120 出口、 122 二重矢印、 200 融液るつぼ、 204 高周波加熱器、 206.1 キャリアーガス供給部、 206.2 キャリアーガス供給部、 222 キャリアーガス排出口、 224 表面、 226 矢印、 228 矢印、 300 融液るつぼ、 322 排出管、 326 加熱器、 406 供給部、 422 排出口、 424 表面、 500 融液るつぼ、 506 キャリアーガス供給部、 522 排出管、 524 金属表面、 528 上側、 600 融液るつぼ、 606 キャリアーガス供給部、 622 排出管、 700 融液るつぼ、 730 管加熱器、 800 融液るつぼ、 806 キャリアーガス供給部、 822 排出口、 830 管加熱器、 900 反応器室、 906 キャリアーガス供給部、 910.1 前駆体供給部、 910.2 前駆体供給部、 912 結晶、 918 成長表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
−純粋なガリウムからなるかまたはアルミニウムおよびガリウムの混合物からなる金属融液を融液るつぼ中に準備する工程;
−前記金属融液からガリウムをまたはガリウムおよびアルミニウムを蒸発させる工程;
−熱作用によるかまたはプラズマを用いて窒素前駆体を分解する工程;
−10bar未満の圧力下で、種結晶においてGaN結晶またはAlGaN結晶の単結晶の結晶成長を引き起こす工程;
を有する、窒化ガリウム結晶または窒化アルミニウムガリウム結晶の製造法であって、その際、ガリウムのまたはガリウムおよびアルミニウムの蒸発を、成長する結晶の温度を上回る温度で、しかし少なくとも1000℃で実施し、かつその際、窒素ガス、水素ガス、不活性ガスまたはこれのガスの組み合わせからなるガスフローを、該ガスフローが金属融液表面上で窒素前駆体と金属融液との接触を防止するように金属融液表面上に導通する、窒化ガリウム結晶または窒化アルミニウムガリウム結晶の製造法。
【請求項2】
金属融液を、少なくとも1つのキャリアーガス供給部および少なくとも1つのキャリアーガス排出口を除いて全ての面が閉じられている反応器室の融液るつぼ容器中に準備し、かつその際、ガスフローを金属融液の上方のキャリアーガス供給部により融液るつぼ容器に導入しかつ金属融液の金属蒸気とともにキャリアーガス排出口により融液るつぼ容器から外部へ輸送しかつ窒素前駆体を反応器室の反応領域に導入する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属融液の準備が反応器室での融液るつぼの配置を含み、ガスフローを金属融液のほんのわずか上方にあるキャリアーガス供給部により反応器室に導入しかつ窒素前駆体を反応器室の反応領域に導入する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ガスフローを金属融液の表面に平行な方向において融液るつぼ容器または反応器室に導入する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ガスフローを金属融液の表面に垂直な方向において融液るつぼ容器または反応器室に導入する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ガリウムのまたはガリウムおよびアルミニウムの蒸発を少なくとも1100℃の温度で実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ガス状のドーピング物質前駆体を反応領域中に導入する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ドーピング物質を融液または固体の形において反応器室中に準備しかつ蒸発もしくは昇華させる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
種結晶もしくは成長する結晶を単結晶の結晶成長を引き起こしている間に回転させる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ガスフローが水素を含有するかまたは水素からなり、かつ融液るつぼ中への金属融液の準備が、窒化ホウ素BN、炭化タンタルTaC、炭化ケイ素SiC、石英ガラスまたは炭素またはこれらの材料の2種またはそれ以上の組み合わせからなる融液るつぼの使用を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
以下の装置
反応器室の反応領域中に窒素前駆体を供給するための装置、
熱作用によるかまたはプラズマを用いて反応領域中で窒素前駆体を分解するための装置、
純粋なガリウムからなるかまたはアルミニウムおよびガリウムの混合物からなる金属融液を収容するための融液るつぼ、
融液るつぼ中の金属融液の温度を、成長する結晶の温度を上回る値に、しかしながら少なくとも1000℃に設定するために形成されている第一の加熱装置、
窒素ガス、水素ガス、不活性ガスまたはこれらのガスの組み合わせを送り出すために形成されているキャリアーガス供給源、
およびガスフローが窒素前駆体と金属融液との接触を防止するように、該ガスフローを金属融液表面上に導通するために配置されかつ形成されている、キャリアーガス供給源と接続された少なくとも1つのキャリアーガス供給部
を有する、窒化ガリウム結晶または窒化ガリウムアルミニウム結晶を製造するための反応器装置。
【請求項12】
融液るつぼが、キャリアーガス供給部および少なくとも1つのキャリアーガス排出口を除いて全ての面が閉じられている融液るつぼ容器として形成されており、かつその際、金属融液表面の上方にキャリアーガス供給部が配置されている、請求項11記載の反応器装置。
【請求項13】
第一の加熱装置が、金属融液の上方の融液るつぼ容器の内壁を金属融液の領域中より高い温度に加熱するために形成されている、請求項12記載の反応器装置。
【請求項14】
キャリアーガス排出口が管状の出口の端部を形成し、かつその際、第一の加熱装置が金属融液の領域中の融液るつぼ容器の内壁を加熱するより高い温度に、該出口の内壁を加熱するために形成されている第二の加熱装置が備え付けられている、請求項13記載の反応器装置。
【請求項15】
キャリアーガス供給部が、ガスフローを金属融液の表面に平行な方向において融液るつぼ容器または反応器室へと導入するために形成されている、請求項11から14までのいずれか1項記載の反応器装置。
【請求項16】
反応器室が、種結晶を反応領域中に導入するための導入口を有する、請求項11から15までのいずれか1項記載の反応器装置。
【請求項17】
融液るつぼが、窒化ホウ素BN、炭化タンタルTaC、炭化ケイ素SiC、石英ガラスまたは炭素からか、またはこれらの材料の2種またはそれ以上の組み合わせから製造されている、請求項11から16までのいずれか1項記載の反応器装置。
【請求項18】
種結晶を結晶成長の間回転させるために形成されている種結晶のためのホルダー装置を有する、請求項11から17までのいずれか1項記載の反応器装置。
【請求項19】
アルミニウム融液を収容するために形成されている第二の融液るつぼを有する、請求項11から18までのいずれか1項記載の反応器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−516877(P2008−516877A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536198(P2007−536198)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055320
【国際公開番号】WO2006/040359
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(507125284)アズッロ セミコンダクターズ アクチエンゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】AZZURRO SEMICONDUCTORS AG
【住所又は居所原語表記】Universitaetsplatz 2, D−39106 Magdeburg, Germany
【Fターム(参考)】