ZnO系薄膜
【課題】基板上にZnO系薄膜を形成する場合に、平坦な膜を成長させるためのZnO系薄膜を提供する。
【解決手段】 図1(a)では、ZnO系基板1上にZnO系薄膜2が形成されている。また、図1(b)では、ZnO系基板1上に、ZnO系薄膜の積層体であるZnO系積層体10が形成されている。ZnO系積層体10は、ZnO系半導体層3やZnO系半導体層4等の複数のZnO系半導体層が積層された積層体である。ZnO系薄膜2やZnO系積層体10を形成する場合には、成長温度750℃以上で成長させるか、又は、膜表面の粗さが所定の範囲になるように、膜表面のステップ構造が所定の構造となるように形成する。
【解決手段】 図1(a)では、ZnO系基板1上にZnO系薄膜2が形成されている。また、図1(b)では、ZnO系基板1上に、ZnO系薄膜の積層体であるZnO系積層体10が形成されている。ZnO系積層体10は、ZnO系半導体層3やZnO系半導体層4等の複数のZnO系半導体層が積層された積層体である。ZnO系薄膜2やZnO系積層体10を形成する場合には、成長温度750℃以上で成長させるか、又は、膜表面の粗さが所定の範囲になるように、膜表面のステップ構造が所定の構造となるように形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にエピタキシャル成長を行うZnO系薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ZnO系半導体は、照明やバックライト等用の光源として使用される紫外LED、高速電子デバイス、表面弾性波デバイス等への応用が期待されている。ZnO系半導体はその多機能性、発光ポテンシャルの大きさなどが注目されていながら、なかなか半導体デバイス材料として成長しなかった。その最大の難点は、アクセプタードーピングが困難で、P型ZnOを得ることができなかったことにある。
【0003】
しかし、近年、非特許文献1や非特許文献2に見られるように、技術の進歩により、P型ZnOを得ることができるようになり、発光も確認されるようになってきた。半導体デバイスでは、ドーピングが異なる薄膜や組成の異なる薄膜などを堆積することによって特有の機能を持たせることが多い。その際、その薄膜の平坦性が問題になる。
【0004】
薄膜の平坦性が良くないとキャリアが薄膜中を移動するときの抵抗になったり、積層構造の上層になるほど、表面荒れが大きくなり、その表面荒れのためにエッチング深さの均一性が取れなかったり、表面荒れによる異方的な結晶面の成長が起こったり、といった問題が発生しやすく、半導体デバイスとしての所望の機能を発揮させるのが困難になりやすい。そのため、通常は薄膜表面はできるだけ平坦なことが望まれる。
【0005】
一方、GaN系半導体素子の製造方法のように、ZnOがサファイア基板上に成長されることが多かったが、ZnO結晶基板が市販されるようになり、ZnO系基板上のZnO系薄膜の成長という方法が試みられている。
【非特許文献1】A.Tsukazaki et al.,JJAP44(2005)L643
【非特許文献2】A.Tsukazaki et al NtureMaterial4(2005)42
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、ZnO系基板等の成長用基板上にZnO系薄膜を成長させることは、非常に簡単なように思えるが、実は広い範囲での表面平坦を得ることは難しく、どのようなZnO系薄膜を用いれば良いか等、その表面平坦性を得るための条件等は、従来明確にわかっていなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、基板上にZnO系薄膜を形成する場合に、平坦な膜を成長させるためのZnO系薄膜を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1.5nm以下で、かつ二乗平均粗さ2nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1nm以下で、かつ二乗平均粗さ1.5nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のZnO系薄膜である。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のZnO系薄膜である。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、前記ステップラインが有する凹凸の変動幅は、略全てのステップラインに対して前記ステップ構造が有するテラス面の理想的な幅以下に形成されていることを特徴とする請求項4、6のいずれか1項に記載のZnO系薄膜である。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、ZnO系材料層上に、成長温度750℃以上で結晶成長させることを特徴とするZnO系薄膜である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板上にZnO系薄膜を結晶成長させる場合、成長温度(基板温度)を750℃以上にしているので平坦な膜が得られる。また、成長温度750℃以上にする場合と等価な条件、すなわち結晶成長表面の粗さや結晶成長表面のステップ構造の条件を規定しており、平坦なZnO系薄膜が得られるだけでなく、これらの諸条件を維持しながら、ZnO系薄膜の上にさらにZnO系薄膜を繰り返して積層したとしても、積層された上層のZnO系薄膜の膜の平坦性を維持することができる。また、ステップフロー成長において、ステップが安定しやすくなり、平坦面が得られやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明のZnO系薄膜の構造を示す。
【0018】
ここで、ZnO系薄膜におけるZnO系とは、ZnOをベースとした混晶材料であり、Znの一部をIIA族もしくはIIB族で置き換えたもの、Oの一部をVIB族で置き換えたもの、またはその両方の組み合わせを含むものである。
【0019】
図1(a)では、ZnO系材料層であるZnO系基板1上にZnO系材料層であるZnO系薄膜2が形成されている。また、図1(b)では、ZnO系材料層であるZnO系基板1上に、ZnO系材料層であるZnO系薄膜の積層体であるZnO系積層体10が形成されている。ZnO系積層体10は、ZnO系半導体層3やZnO系半導体層4等の複数のZnO系半導体層が積層された積層体である。
【0020】
このように、ZnO系薄膜をZnO系材料層上にエピタキシャル成長させる場合には、エピタキシャル成長したZnO系薄膜が基板となってさらにその上にZnO系薄膜が繰り返して積層させる場合の積層された上層の膜の平坦性が得られるかも重要な点となる。以下に図1(a)、(b)のいずれにおいても平坦なZnO系薄膜が得られる条件について説明する。
【0021】
図2は、図1(a)のように、ZnO系基板1上にZnO系薄膜2をMBE(Molecular Beam Epitaxy)法によってエピタキシャル成長させた場合の表面像を表す。具体的には、ZnO系基板1にMgZnOを用い、ZnO系薄膜2はZnOとした。また、図2の下段が成長させたZnOの表面像を表しており、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、20μmの分解能でスキャンした。
【0022】
ZnOを結晶成長させる場合の基板温度は変化させて測定しており、図2に示すように、図2(a)が810℃、(b)が760℃、(c)が735℃、(d)が720℃、(e)が685℃である。図2(c)(d)(e)の場合は、図の表面像からわかるように表面の凹凸の散在が目立っている。一方、図2(a)(b)の場合は表面は綺麗な状態になっており、膜の平坦性が良い状態であることがわかる。
【0023】
次に、基板温度を図2に示された温度だけでなく、もう少し細かく基板温度を変化させてそのときのZnOの表面の平坦性を数値として表し、それらをグラフにしたものが図4である。図4の縦軸Ra(単位はnm)は、膜表面の算術平均粗さを表す。算術平均粗さRaとは、図6に示すような測定された粗さ曲線から求められる。
【0024】
粗さ曲線は、例えば、図2で観察された膜表面の凹凸を、所定のサンプリングポイントで測定し、凹凸の大きさをこれらの凹凸の平均値とともに示したものである。そして、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して、平均した値のことである。算術平均粗さRa=(1/l)×∫|f(x)|dx(積分区間は0〜lまで)と表される。このようにすることで、1つの傷が測定値に及ぼす影響が非常に小さくなり、安定した結果が得られる。なお、算術平均粗さRa等の表面粗さのパラメータは、JIS規格で規定されているものであり、これらを用いている。
【0025】
以上のように算出された算術平均粗さRaを縦軸にし、基板温度を横軸にして表示したのが図4である。図4の黒三角(▲)は、基板温度が750℃未満のデータを示し、黒丸(●)は基板温度が750℃以上のデータを示す。図4からもわかるように、基板温度が750℃を境にして基板温度が高くなれば、急激に表面の平坦性が向上していることがわかる。またこのときの算術平均粗さRaの境界値は、Raを緩めに取ると1.5nm、厳しく取ると1.0nm程度になることがわかる。
【0026】
図5は、図4と同じ測定データから、膜表面の二乗平均粗さRMSを求めたものである。二乗平均粗さRMSは、図6のような測定された粗さ曲線の平均線から測定曲線までの偏差の二乗を合計し、平均した値の平方根を表す。算術平均粗さRaを算出する際の基準長さlを用いて、
RMS={(1/l)×∫(f(x))2dx}1/2(積分区間は0〜lまで)となる。
【0027】
図5は縦軸に二乗平均粗さRMSを、横軸に基板温度を示したものである。ここで、黒三角(▲)は、基板温度が750℃未満のデータを示し、黒丸(●)は基板温度が750℃以上のデータを示す。基板温度については、図4と同様、750℃を境にして基板温度が高くなれば、急激に表面の平坦性が向上していることがわかる。一方、二乗平均粗さRMSについては、境界値を緩く取ると2.0nm、厳しく取ると1.5nm程度となっていることがわかる。
【0028】
したがって、ZnO系材料層上にZnO系薄膜を成長させる場合は、基板温度を750℃以上にしてエピタキシャル成長させれば、平坦性の良い膜が得られる。一方、表面粗さの観点から言えば、膜表面の算術平均粗さRaが1.5nm以下、かつ二乗平均粗さRMSが2nm以下となるように成長表面(主面)を結晶成長させれば、その後の積層されるZnO系薄膜も平坦性が維持できることなる。より望ましいのは、Raが1nm以下、かつRMSが1.5nm以下となるように結晶成長させることである。
【0029】
例えば、以上の条件で、ZnO系薄膜を図1(b)のように積層した場合の表面像を図3に示す。これは、図2と同様、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、20μmの分解能でスキャンした像である。具体的には、ZnO系基板1にMg0.2ZnOを用い、その上にZnO系積層体10としてMg0.1ZnOとZnOを交互に10周期積層させたものを形成した。基板温度は770℃とした。ZnO薄膜上のZnO薄膜だけではなく、図3のように混晶組成薄膜を積層させた場合でも、正しい基板温度設定又は膜の表面粗さを一定に保つことで、積層構造の最上層において平坦膜が得られることがわかる。
【0030】
次に、ZnO系化合物の結晶構造から膜の平坦性を形成するための条件を考える。ZnO系化合物はGaNと同様、ウルツァイトと呼ばれる六方晶構造を有する。C面やa軸という表現は、いわゆるミラー指数により表すことができ、例えば、C面は(0001)面と表される。ZnO系材料層上にZnO系薄膜を成長させる場合には、通常C面(0001)面が行われるが、C面ジャスト基板を用いた場合、図8(a)のようにウエハ主面の法線方向がc軸方向と一致する。しかし、C面ジャストZnO系基板上にZnO系薄膜を成長させても膜の平坦性が良くならないことが知られている。
【0031】
そこで、ZnO系基板1は、図7に示されるように、+C面を有する基板主面の法線がc軸から傾斜しており、少なくともc軸からm軸方向に傾斜させた法線を持つ基板主面となるように研磨されている。図7は、基板主面の法線Zが、基板結晶軸のc軸から角度Φ傾斜し、かつ法線Zを基板結晶軸のc軸m軸a軸の直交座標系におけるc軸m軸平面に射影(投影)した射影(投影)軸がm軸の方へ角度Φm、c軸a軸平面に射影した射影軸がa軸の方へ角度Φa傾斜している場合を示す。
【0032】
すなわち、ZnO系基板1(ウエハ)の主面の法線方向をc軸方向と一致させずに、基板主面の法線Zが、基板結晶軸のc軸から傾き、オフ角を有するようにする。例えば、図8(b)に示されるように、主面の法線Zがc軸m軸平面内に存在し、かつ法線Zがc軸からm軸方向にのみθ度傾斜しているとすると、基板1の表面部分(例えばT1領域)の拡大図である図8(c)に表されるように、平坦な面であるテラス面1aと、法線Zが傾斜したことにより生じる段差部分に等間隔で規則性のあるステップ面1bとが生じる。
【0033】
ここで、テラス面1aがC面(0001)となり、ステップ面1bはM面(10−10)に相当する。図のように、形成された各ステップ面1bは、m軸方向にテラス面1aの幅を保ちながら、規則的に並ぶことになる。すなわち、テラス面1aと垂直なc軸と基板主面の法線Zとはθ度のオフ角を形成する。また、ステップ面1bのステップエッジとなるステップライン1eは、m軸方向と垂直の関係を保ちながら、テラス面1aの幅を取りながら並行に並ぶようになる。
【0034】
このように、ステップ面をM面相当面となるようにすれば、主面上に結晶成長させたZnO系半導体層においては平坦な膜とすることができる。主面上にはステップ面1bによって段差部分が発生するが、この段差部分に飛来した原子は、テラス面1aとステップ面1bの2面との結合になるので、テラス面1aに飛来した場合よりも原子は強く結合ができ、飛来原子を安定的にトラップすることができる。
【0035】
表面拡散過程で飛来原子がテラス内を拡散するが、結合力の強い段差部分や、この段差部分で形成されるキンク位置にトラップされて結晶に組み込まれることによって結晶成長が進む沿面成長により安定的な成長が行われる。このように、基板主面法線が少なくともm軸方向に傾斜した基板上に、ZnO系半導体層を積層させると、ZnO系半導体層はこのステップ面1bを中心に結晶成長が起こり、平坦な膜を形成することができる。
【0036】
ところで、図8(b)で傾斜角度(オフ角)θを大きくしすぎると、ステップ面1bのステップ高さtが大きくなりすぎて、平坦に結晶成長しなくなるので、下記の製造例では、m軸方向のオフ角θを0.5度とした。また、この傾斜角度を、望ましいステップ高さtの大きさに言い換えると、ZnO系結晶の1分子の厚さに相当する。
【0037】
上述したように、m軸方向にステップライン1eが規則的に並んでおり、m軸方向とステップライン1eが垂直の関係になっていることが、平坦な膜を作製する上で必要なことであり、ステップライン1eの間隔やラインが乱れると、前述した沿面成長が行われなくなるので、平坦な膜が作製できなくなる。
【0038】
m軸に対してステップライン1eが垂直になっているとは、例えば図9に示すように、ステップ面1dが平坦ではなく、やや凹凸(うねり)がある場合も含むことを意味する。ステップライン1fに存在する凹凸(うねり)のピークからピークまでの変動幅は、図のようにL1、L2等、複数の異なる変動幅が発生する場合があるが、これらの変動幅を含めてLと表し、テラス面1cの理想的な幅をWとすると、略全てのステップでL≦Wとなることが平坦な膜を作製するためには必要となる。ここで、テラス面1cの理想的な幅Wは、上記オフ角θ(ラジアン)とステップ高さtを用いて、W=t/tanθで表される。
【0039】
変動幅Lは、上述したようにL1、L2等の複数の変動幅を含むものであるが、前記の不等式は、複数の変動幅が略全てL≦Wとなるステップ構造であることが望ましい。変動幅LがL≦Wを満足していない場合は、図9のAの部分のように、ステップラインが束ねられステップの段差が大きくなるので、沿面成長速度のバラツキを発生させ、表面荒れを生る要因となる。例えば、ステップ高さtをZnO系結晶の1分子層分に相当する0.26nmとし、オフ角θを0.5度とすると、W=t/tanθは、約30nmとなる。なお、凹凸を有するステップライン1fがm軸と垂直になっているかどうかについては、凹凸の中心線をステップラインとして判断すれば良い。
【0040】
以上のように、ZnO系結晶成長表面のステップ構造が維持できるように形成することで、平坦な表面のZnO系薄膜が形成できるとともに、この平坦な膜の上に積層されるZnO系薄膜についても、平坦な膜を形成することができる。例えば、図3の表面画像に示されるように、混晶組成薄膜を積層させた場合でも、膜の表面のステップ構造を上記条件を保ちながら成長させることで、積層構造の最上層において平坦膜が得られる。
【0041】
また、ZnO系薄膜を成長させるための成長用基板として、実施例ではZnO系基板を用いているが、ZnO系基板の代わりに六方晶構造を有するGaN基板やサファイア基板を用いても良く、この場合でも、上記同様、平坦なZnO系薄膜を形成することができる。
【0042】
以下に、図1に示すようなZnO系薄膜の製造方法を説明する。ZnO系基板1として基板主面法線がm軸方向に0.5度OFFしているZnO基板を使用する。このZnO基板をロードロック室に入れ、水分除去のために1×10−5〜1×10−6Torr程度の真空環境で200℃、30分程度加熱する。1×10−9Torr程度の真空を持つ搬送チャンバーを経由して、液体窒素で冷やされた壁面を持つ成長室に基板を導入し、MBE法を用いてZnO系薄膜2を成長させる。
【0043】
Znは7Nの高純度ZnをpBN製の坩堝に入れたクヌーセンセルを用い、260〜280℃程度に加熱して昇華させることにより、Zn分子線として供給する。IIA族元素の一例としてMgがあるが、Mgも6Nの高純度Mgを用い、同様の構造のセルから300℃〜400℃に加熱して昇華させ、Mg分子線として供給する。酸素は6NのO2ガスを用い、電解研磨内面を持つSUS管を通じて円筒の一部に小さいオリフィスを開けた放電管を備えたRFラジカルセルに0.1sccm〜5sccm程度で供給、100〜300W程度のRF高周波を印加してプラズマを発生させ、反応活性を上げたOラジカルの状態にして酸素源として供給する。プラズマは重要で、O2生ガスを入れてもZnO系薄膜は形成されない。
【0044】
基板は一般的な抵抗加熱であればSiCコートしたカーボンヒータを使う。Wなどでできた金属系のヒータは酸化してしまい使えない。他にもランプ加熱、レーザー加熱などで温める方法もあるが、酸化に強ければどの方法でもかまわない。
【0045】
750℃以上に加熱し、約30分、1×10−9Torr程度の真空中で加熱した後、ラジカルセルとZnセルのシャッターを開けてZnO薄膜成長を開始する。この時、どういった種類の膜を形成するかに関わらず、上述したように平坦膜を得るためには、基板温度の観点からは750℃以上が必要である。
【0046】
ところで、ZnO系材料層上に、平坦なZnO系薄膜を結晶成長させるためには、基板温度(成長温度)750℃以上が必要であるが、この基板温度を正確に検出しなければばらない。基板温度の測定は、図10又は図11のような構成で行われる。12はZnO系基板であり、ZnO系基板12の結晶成長表面側とは反対側に多層膜13が形成されている。多層膜13は、ZnO系基板12側から誘電体膜/Au(金)膜の順に積層された積層体を含むものである。誘電体膜にはNiO、SiO2等が用いられる。なお、多層膜13は、上記Au膜の代わりにPt(白金)膜を用いて、ZnO系基板12側から誘電体膜/Pt(白金)膜の順に積層された積層体を含むようにしても良い。前記誘電体膜は、Au又はPtの拡散を防止する役割を果たしている。
【0047】
そして、図10の構成では、多層膜13が形成されたZnO系基板12を基板ホルダー14に取り付け、ヒータ等の熱源15により熱を加えて所定の成長温度にし、このときの基板温度を赤外線温度計(パイロメーター)16により測定する。
【0048】
仮に多層膜13がないZnO系基板12のみを基板ホルダー14に取り付けて、基板温度を計測した場合には、以下のような問題が発生する。ZnO系材料は、可視光領域から波長8μm程度にわたってほぼ透明であるので、結晶成長させる際に用いられる基板ホルダー14からの赤外線がZnO系基板12又はZnO系基板12上に既に積層されたZnO系薄膜を透過してしまうので、これら余計な赤外線が赤外線温度計16に入射するためにZnO系基板の正確な基板温度を計測することができない。
【0049】
一方、図11の構成で、仮に多層膜13がないZnO系基板12のみを基板ホルダー17に取り付けて、基板温度を計測した場合には、ZnO系基板12の背面に基板ホルダーが存在しないので、赤外線温度計16は図10のように基板ホルダー14からの赤外線を受光することはないものの、今度は熱源15からの赤外線がZnO系基板12又はZnO系基板12上に既に積層されたZnO系薄膜を透過し、赤外線温度計16に入射するので、やはり正確な基板温度測定ができない。
【0050】
また、デバイスを作製する際に行われる電極の形成後に行う熱処理(アニール処理)やドーピングされた不純物を活性化するためのアニール処理を行うことがあるが、このような場合でも上記と同様の理由で正確な温度を測定することができない。
【0051】
しかしながら、ZnO系基板12には、多層膜13がZnO系薄膜積層方向とは反対の方向に設けられているので、図10では多層膜13が基板ホルダー14と、図11では多層膜13が熱源15と相対する構成となり、多層膜13中のAu膜又はPt膜が熱源15や基板ホルダー14から放射される赤外線を反射して、ZnO系基板12やその上に積層されたZnO系薄膜への透過を阻止するので、赤外線温度計16には基板自身の温度を示すAu膜又はPt膜というバックメタルからの赤外放射しか入射せず、正確な温度測定を行うことができる。このようにして、赤外線温度計16によって基板温度を計測して、基板温度が750℃以上になるように制御する。
【0052】
ところで、赤外線を反射するバックメタルとしては、ZnO系薄膜を形成する場合、酸化雰囲気で製膜されるため、酸化されやすい材料は使えず、酸素に強く、750℃を超える温度で耐えられる金属となると上記のようにPtやAuが適切である。なお、多層膜13にAu膜を用いた場合、Au膜の赤外線放射率を0.5とするのが望ましい。また、多層膜13にPt膜を用いた場合、Pt膜の赤外線放射率を0.3〜0.15とするのが望ましい。
【0053】
他方、図10、11の基板温度測定の構成で、パイロメーター16に替えてサーモグラフィを使用しても良い。InGaAsを検出器に使う上記パイロメーター16では数μm程度を検出波長に使うので、前述したように、ZnO系基板やZnO系薄膜のように赤外領域で透明性が高いと基板温度が正確に測定できない。そのために、上記のように、多層膜13を設けている。
【0054】
ところが、サーモグラフィは、約8μm〜14μm程度の範囲を波長感度に持つため、室温からの測定が可能であり、ZnO系基板やZnO系薄膜等の温度測定に適している。サーモグラフィは、周知のように物体から放射される赤外線を分析し、熱分布を図として表した可視化が可能な装置である。サーモグラフィを採用した場合、ZnO系基板12から放射される赤外線を分析して、熱源15により加熱されたZnO系基板12の熱分布を計測する。
【0055】
例えば、波長が8μmの赤外線がZnO系基板12を透過する透過率は数%であるが、多層膜13を形成せず、ZnO系基板12単体とし、この基板をサーモグラフィによって観測すると、黒くみえる。つまり、サーモグラフィからみてZnO系基板12の背後にある物体から放射される赤外線はZnO系基板12によりカットされ、ZnO系基板12から放射される赤外線に基づき、基板温度を高精度にサーモグラフィにより計測できる。
【0056】
なお、サーモグラフィを採用する場合は、ボロメータ型の赤外線検出器を備えるサーモグラフィであることが好ましい。冷却が必要な量子型の赤外線検出器を使用した赤外線アレイセンサを備える場合に比べて、ボロメータ型若しくは焦電型などの熱型の赤外線検出器を使用した非冷却型赤外線サーモグラフィは、小型・軽量化および低価格化が可能なためである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のZnO系薄膜の積層構造を示す図である。
【図2】本発明のZnO系薄膜の成長温度毎の表面状態を示す図である。
【図3】本発明のZnO系薄膜を多層積層した場合の表面状態を示す図である。
【図4】ZnO系薄膜表面の算術平均粗さと基板温度との関係を示す図である。
【図5】ZnO系薄膜表面の二乗平均粗さと基板温度との関係を示す図である。
【図6】算術平均粗さ及び二乗平均粗さを説明する図である。
【図7】基板主面法線と基板結晶軸であるc軸、m軸、a軸との関係を示す図である。
【図8】基板主面法線がm軸方向にのみオフ角を有する場合の基板表面を示す図である。
【図9】m軸方向に少し凹凸のあるステップラインが並んだ状態を示す図である。
【図10】ZnO系薄膜を成長させる場合の基板温度を計測する構成を示す図である。
【図11】ZnO系薄膜を成長させる場合の基板温度を計測する他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ZnO系基板
2 ZnO系薄膜
3 ZnO系半導体層
4 ZnO系半導体層
10 ZnO系積層体
12 ZnO系基板
13 多層膜
14 基板ホルダー
15 熱源
16 赤外線温度計
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にエピタキシャル成長を行うZnO系薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ZnO系半導体は、照明やバックライト等用の光源として使用される紫外LED、高速電子デバイス、表面弾性波デバイス等への応用が期待されている。ZnO系半導体はその多機能性、発光ポテンシャルの大きさなどが注目されていながら、なかなか半導体デバイス材料として成長しなかった。その最大の難点は、アクセプタードーピングが困難で、P型ZnOを得ることができなかったことにある。
【0003】
しかし、近年、非特許文献1や非特許文献2に見られるように、技術の進歩により、P型ZnOを得ることができるようになり、発光も確認されるようになってきた。半導体デバイスでは、ドーピングが異なる薄膜や組成の異なる薄膜などを堆積することによって特有の機能を持たせることが多い。その際、その薄膜の平坦性が問題になる。
【0004】
薄膜の平坦性が良くないとキャリアが薄膜中を移動するときの抵抗になったり、積層構造の上層になるほど、表面荒れが大きくなり、その表面荒れのためにエッチング深さの均一性が取れなかったり、表面荒れによる異方的な結晶面の成長が起こったり、といった問題が発生しやすく、半導体デバイスとしての所望の機能を発揮させるのが困難になりやすい。そのため、通常は薄膜表面はできるだけ平坦なことが望まれる。
【0005】
一方、GaN系半導体素子の製造方法のように、ZnOがサファイア基板上に成長されることが多かったが、ZnO結晶基板が市販されるようになり、ZnO系基板上のZnO系薄膜の成長という方法が試みられている。
【非特許文献1】A.Tsukazaki et al.,JJAP44(2005)L643
【非特許文献2】A.Tsukazaki et al NtureMaterial4(2005)42
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、ZnO系基板等の成長用基板上にZnO系薄膜を成長させることは、非常に簡単なように思えるが、実は広い範囲での表面平坦を得ることは難しく、どのようなZnO系薄膜を用いれば良いか等、その表面平坦性を得るための条件等は、従来明確にわかっていなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、基板上にZnO系薄膜を形成する場合に、平坦な膜を成長させるためのZnO系薄膜を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1.5nm以下で、かつ二乗平均粗さ2nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1nm以下で、かつ二乗平均粗さ1.5nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とするZnO系薄膜である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のZnO系薄膜である。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のZnO系薄膜である。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、前記ステップラインが有する凹凸の変動幅は、略全てのステップラインに対して前記ステップ構造が有するテラス面の理想的な幅以下に形成されていることを特徴とする請求項4、6のいずれか1項に記載のZnO系薄膜である。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、ZnO系材料層上に、成長温度750℃以上で結晶成長させることを特徴とするZnO系薄膜である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板上にZnO系薄膜を結晶成長させる場合、成長温度(基板温度)を750℃以上にしているので平坦な膜が得られる。また、成長温度750℃以上にする場合と等価な条件、すなわち結晶成長表面の粗さや結晶成長表面のステップ構造の条件を規定しており、平坦なZnO系薄膜が得られるだけでなく、これらの諸条件を維持しながら、ZnO系薄膜の上にさらにZnO系薄膜を繰り返して積層したとしても、積層された上層のZnO系薄膜の膜の平坦性を維持することができる。また、ステップフロー成長において、ステップが安定しやすくなり、平坦面が得られやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明のZnO系薄膜の構造を示す。
【0018】
ここで、ZnO系薄膜におけるZnO系とは、ZnOをベースとした混晶材料であり、Znの一部をIIA族もしくはIIB族で置き換えたもの、Oの一部をVIB族で置き換えたもの、またはその両方の組み合わせを含むものである。
【0019】
図1(a)では、ZnO系材料層であるZnO系基板1上にZnO系材料層であるZnO系薄膜2が形成されている。また、図1(b)では、ZnO系材料層であるZnO系基板1上に、ZnO系材料層であるZnO系薄膜の積層体であるZnO系積層体10が形成されている。ZnO系積層体10は、ZnO系半導体層3やZnO系半導体層4等の複数のZnO系半導体層が積層された積層体である。
【0020】
このように、ZnO系薄膜をZnO系材料層上にエピタキシャル成長させる場合には、エピタキシャル成長したZnO系薄膜が基板となってさらにその上にZnO系薄膜が繰り返して積層させる場合の積層された上層の膜の平坦性が得られるかも重要な点となる。以下に図1(a)、(b)のいずれにおいても平坦なZnO系薄膜が得られる条件について説明する。
【0021】
図2は、図1(a)のように、ZnO系基板1上にZnO系薄膜2をMBE(Molecular Beam Epitaxy)法によってエピタキシャル成長させた場合の表面像を表す。具体的には、ZnO系基板1にMgZnOを用い、ZnO系薄膜2はZnOとした。また、図2の下段が成長させたZnOの表面像を表しており、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、20μmの分解能でスキャンした。
【0022】
ZnOを結晶成長させる場合の基板温度は変化させて測定しており、図2に示すように、図2(a)が810℃、(b)が760℃、(c)が735℃、(d)が720℃、(e)が685℃である。図2(c)(d)(e)の場合は、図の表面像からわかるように表面の凹凸の散在が目立っている。一方、図2(a)(b)の場合は表面は綺麗な状態になっており、膜の平坦性が良い状態であることがわかる。
【0023】
次に、基板温度を図2に示された温度だけでなく、もう少し細かく基板温度を変化させてそのときのZnOの表面の平坦性を数値として表し、それらをグラフにしたものが図4である。図4の縦軸Ra(単位はnm)は、膜表面の算術平均粗さを表す。算術平均粗さRaとは、図6に示すような測定された粗さ曲線から求められる。
【0024】
粗さ曲線は、例えば、図2で観察された膜表面の凹凸を、所定のサンプリングポイントで測定し、凹凸の大きさをこれらの凹凸の平均値とともに示したものである。そして、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して、平均した値のことである。算術平均粗さRa=(1/l)×∫|f(x)|dx(積分区間は0〜lまで)と表される。このようにすることで、1つの傷が測定値に及ぼす影響が非常に小さくなり、安定した結果が得られる。なお、算術平均粗さRa等の表面粗さのパラメータは、JIS規格で規定されているものであり、これらを用いている。
【0025】
以上のように算出された算術平均粗さRaを縦軸にし、基板温度を横軸にして表示したのが図4である。図4の黒三角(▲)は、基板温度が750℃未満のデータを示し、黒丸(●)は基板温度が750℃以上のデータを示す。図4からもわかるように、基板温度が750℃を境にして基板温度が高くなれば、急激に表面の平坦性が向上していることがわかる。またこのときの算術平均粗さRaの境界値は、Raを緩めに取ると1.5nm、厳しく取ると1.0nm程度になることがわかる。
【0026】
図5は、図4と同じ測定データから、膜表面の二乗平均粗さRMSを求めたものである。二乗平均粗さRMSは、図6のような測定された粗さ曲線の平均線から測定曲線までの偏差の二乗を合計し、平均した値の平方根を表す。算術平均粗さRaを算出する際の基準長さlを用いて、
RMS={(1/l)×∫(f(x))2dx}1/2(積分区間は0〜lまで)となる。
【0027】
図5は縦軸に二乗平均粗さRMSを、横軸に基板温度を示したものである。ここで、黒三角(▲)は、基板温度が750℃未満のデータを示し、黒丸(●)は基板温度が750℃以上のデータを示す。基板温度については、図4と同様、750℃を境にして基板温度が高くなれば、急激に表面の平坦性が向上していることがわかる。一方、二乗平均粗さRMSについては、境界値を緩く取ると2.0nm、厳しく取ると1.5nm程度となっていることがわかる。
【0028】
したがって、ZnO系材料層上にZnO系薄膜を成長させる場合は、基板温度を750℃以上にしてエピタキシャル成長させれば、平坦性の良い膜が得られる。一方、表面粗さの観点から言えば、膜表面の算術平均粗さRaが1.5nm以下、かつ二乗平均粗さRMSが2nm以下となるように成長表面(主面)を結晶成長させれば、その後の積層されるZnO系薄膜も平坦性が維持できることなる。より望ましいのは、Raが1nm以下、かつRMSが1.5nm以下となるように結晶成長させることである。
【0029】
例えば、以上の条件で、ZnO系薄膜を図1(b)のように積層した場合の表面像を図3に示す。これは、図2と同様、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、20μmの分解能でスキャンした像である。具体的には、ZnO系基板1にMg0.2ZnOを用い、その上にZnO系積層体10としてMg0.1ZnOとZnOを交互に10周期積層させたものを形成した。基板温度は770℃とした。ZnO薄膜上のZnO薄膜だけではなく、図3のように混晶組成薄膜を積層させた場合でも、正しい基板温度設定又は膜の表面粗さを一定に保つことで、積層構造の最上層において平坦膜が得られることがわかる。
【0030】
次に、ZnO系化合物の結晶構造から膜の平坦性を形成するための条件を考える。ZnO系化合物はGaNと同様、ウルツァイトと呼ばれる六方晶構造を有する。C面やa軸という表現は、いわゆるミラー指数により表すことができ、例えば、C面は(0001)面と表される。ZnO系材料層上にZnO系薄膜を成長させる場合には、通常C面(0001)面が行われるが、C面ジャスト基板を用いた場合、図8(a)のようにウエハ主面の法線方向がc軸方向と一致する。しかし、C面ジャストZnO系基板上にZnO系薄膜を成長させても膜の平坦性が良くならないことが知られている。
【0031】
そこで、ZnO系基板1は、図7に示されるように、+C面を有する基板主面の法線がc軸から傾斜しており、少なくともc軸からm軸方向に傾斜させた法線を持つ基板主面となるように研磨されている。図7は、基板主面の法線Zが、基板結晶軸のc軸から角度Φ傾斜し、かつ法線Zを基板結晶軸のc軸m軸a軸の直交座標系におけるc軸m軸平面に射影(投影)した射影(投影)軸がm軸の方へ角度Φm、c軸a軸平面に射影した射影軸がa軸の方へ角度Φa傾斜している場合を示す。
【0032】
すなわち、ZnO系基板1(ウエハ)の主面の法線方向をc軸方向と一致させずに、基板主面の法線Zが、基板結晶軸のc軸から傾き、オフ角を有するようにする。例えば、図8(b)に示されるように、主面の法線Zがc軸m軸平面内に存在し、かつ法線Zがc軸からm軸方向にのみθ度傾斜しているとすると、基板1の表面部分(例えばT1領域)の拡大図である図8(c)に表されるように、平坦な面であるテラス面1aと、法線Zが傾斜したことにより生じる段差部分に等間隔で規則性のあるステップ面1bとが生じる。
【0033】
ここで、テラス面1aがC面(0001)となり、ステップ面1bはM面(10−10)に相当する。図のように、形成された各ステップ面1bは、m軸方向にテラス面1aの幅を保ちながら、規則的に並ぶことになる。すなわち、テラス面1aと垂直なc軸と基板主面の法線Zとはθ度のオフ角を形成する。また、ステップ面1bのステップエッジとなるステップライン1eは、m軸方向と垂直の関係を保ちながら、テラス面1aの幅を取りながら並行に並ぶようになる。
【0034】
このように、ステップ面をM面相当面となるようにすれば、主面上に結晶成長させたZnO系半導体層においては平坦な膜とすることができる。主面上にはステップ面1bによって段差部分が発生するが、この段差部分に飛来した原子は、テラス面1aとステップ面1bの2面との結合になるので、テラス面1aに飛来した場合よりも原子は強く結合ができ、飛来原子を安定的にトラップすることができる。
【0035】
表面拡散過程で飛来原子がテラス内を拡散するが、結合力の強い段差部分や、この段差部分で形成されるキンク位置にトラップされて結晶に組み込まれることによって結晶成長が進む沿面成長により安定的な成長が行われる。このように、基板主面法線が少なくともm軸方向に傾斜した基板上に、ZnO系半導体層を積層させると、ZnO系半導体層はこのステップ面1bを中心に結晶成長が起こり、平坦な膜を形成することができる。
【0036】
ところで、図8(b)で傾斜角度(オフ角)θを大きくしすぎると、ステップ面1bのステップ高さtが大きくなりすぎて、平坦に結晶成長しなくなるので、下記の製造例では、m軸方向のオフ角θを0.5度とした。また、この傾斜角度を、望ましいステップ高さtの大きさに言い換えると、ZnO系結晶の1分子の厚さに相当する。
【0037】
上述したように、m軸方向にステップライン1eが規則的に並んでおり、m軸方向とステップライン1eが垂直の関係になっていることが、平坦な膜を作製する上で必要なことであり、ステップライン1eの間隔やラインが乱れると、前述した沿面成長が行われなくなるので、平坦な膜が作製できなくなる。
【0038】
m軸に対してステップライン1eが垂直になっているとは、例えば図9に示すように、ステップ面1dが平坦ではなく、やや凹凸(うねり)がある場合も含むことを意味する。ステップライン1fに存在する凹凸(うねり)のピークからピークまでの変動幅は、図のようにL1、L2等、複数の異なる変動幅が発生する場合があるが、これらの変動幅を含めてLと表し、テラス面1cの理想的な幅をWとすると、略全てのステップでL≦Wとなることが平坦な膜を作製するためには必要となる。ここで、テラス面1cの理想的な幅Wは、上記オフ角θ(ラジアン)とステップ高さtを用いて、W=t/tanθで表される。
【0039】
変動幅Lは、上述したようにL1、L2等の複数の変動幅を含むものであるが、前記の不等式は、複数の変動幅が略全てL≦Wとなるステップ構造であることが望ましい。変動幅LがL≦Wを満足していない場合は、図9のAの部分のように、ステップラインが束ねられステップの段差が大きくなるので、沿面成長速度のバラツキを発生させ、表面荒れを生る要因となる。例えば、ステップ高さtをZnO系結晶の1分子層分に相当する0.26nmとし、オフ角θを0.5度とすると、W=t/tanθは、約30nmとなる。なお、凹凸を有するステップライン1fがm軸と垂直になっているかどうかについては、凹凸の中心線をステップラインとして判断すれば良い。
【0040】
以上のように、ZnO系結晶成長表面のステップ構造が維持できるように形成することで、平坦な表面のZnO系薄膜が形成できるとともに、この平坦な膜の上に積層されるZnO系薄膜についても、平坦な膜を形成することができる。例えば、図3の表面画像に示されるように、混晶組成薄膜を積層させた場合でも、膜の表面のステップ構造を上記条件を保ちながら成長させることで、積層構造の最上層において平坦膜が得られる。
【0041】
また、ZnO系薄膜を成長させるための成長用基板として、実施例ではZnO系基板を用いているが、ZnO系基板の代わりに六方晶構造を有するGaN基板やサファイア基板を用いても良く、この場合でも、上記同様、平坦なZnO系薄膜を形成することができる。
【0042】
以下に、図1に示すようなZnO系薄膜の製造方法を説明する。ZnO系基板1として基板主面法線がm軸方向に0.5度OFFしているZnO基板を使用する。このZnO基板をロードロック室に入れ、水分除去のために1×10−5〜1×10−6Torr程度の真空環境で200℃、30分程度加熱する。1×10−9Torr程度の真空を持つ搬送チャンバーを経由して、液体窒素で冷やされた壁面を持つ成長室に基板を導入し、MBE法を用いてZnO系薄膜2を成長させる。
【0043】
Znは7Nの高純度ZnをpBN製の坩堝に入れたクヌーセンセルを用い、260〜280℃程度に加熱して昇華させることにより、Zn分子線として供給する。IIA族元素の一例としてMgがあるが、Mgも6Nの高純度Mgを用い、同様の構造のセルから300℃〜400℃に加熱して昇華させ、Mg分子線として供給する。酸素は6NのO2ガスを用い、電解研磨内面を持つSUS管を通じて円筒の一部に小さいオリフィスを開けた放電管を備えたRFラジカルセルに0.1sccm〜5sccm程度で供給、100〜300W程度のRF高周波を印加してプラズマを発生させ、反応活性を上げたOラジカルの状態にして酸素源として供給する。プラズマは重要で、O2生ガスを入れてもZnO系薄膜は形成されない。
【0044】
基板は一般的な抵抗加熱であればSiCコートしたカーボンヒータを使う。Wなどでできた金属系のヒータは酸化してしまい使えない。他にもランプ加熱、レーザー加熱などで温める方法もあるが、酸化に強ければどの方法でもかまわない。
【0045】
750℃以上に加熱し、約30分、1×10−9Torr程度の真空中で加熱した後、ラジカルセルとZnセルのシャッターを開けてZnO薄膜成長を開始する。この時、どういった種類の膜を形成するかに関わらず、上述したように平坦膜を得るためには、基板温度の観点からは750℃以上が必要である。
【0046】
ところで、ZnO系材料層上に、平坦なZnO系薄膜を結晶成長させるためには、基板温度(成長温度)750℃以上が必要であるが、この基板温度を正確に検出しなければばらない。基板温度の測定は、図10又は図11のような構成で行われる。12はZnO系基板であり、ZnO系基板12の結晶成長表面側とは反対側に多層膜13が形成されている。多層膜13は、ZnO系基板12側から誘電体膜/Au(金)膜の順に積層された積層体を含むものである。誘電体膜にはNiO、SiO2等が用いられる。なお、多層膜13は、上記Au膜の代わりにPt(白金)膜を用いて、ZnO系基板12側から誘電体膜/Pt(白金)膜の順に積層された積層体を含むようにしても良い。前記誘電体膜は、Au又はPtの拡散を防止する役割を果たしている。
【0047】
そして、図10の構成では、多層膜13が形成されたZnO系基板12を基板ホルダー14に取り付け、ヒータ等の熱源15により熱を加えて所定の成長温度にし、このときの基板温度を赤外線温度計(パイロメーター)16により測定する。
【0048】
仮に多層膜13がないZnO系基板12のみを基板ホルダー14に取り付けて、基板温度を計測した場合には、以下のような問題が発生する。ZnO系材料は、可視光領域から波長8μm程度にわたってほぼ透明であるので、結晶成長させる際に用いられる基板ホルダー14からの赤外線がZnO系基板12又はZnO系基板12上に既に積層されたZnO系薄膜を透過してしまうので、これら余計な赤外線が赤外線温度計16に入射するためにZnO系基板の正確な基板温度を計測することができない。
【0049】
一方、図11の構成で、仮に多層膜13がないZnO系基板12のみを基板ホルダー17に取り付けて、基板温度を計測した場合には、ZnO系基板12の背面に基板ホルダーが存在しないので、赤外線温度計16は図10のように基板ホルダー14からの赤外線を受光することはないものの、今度は熱源15からの赤外線がZnO系基板12又はZnO系基板12上に既に積層されたZnO系薄膜を透過し、赤外線温度計16に入射するので、やはり正確な基板温度測定ができない。
【0050】
また、デバイスを作製する際に行われる電極の形成後に行う熱処理(アニール処理)やドーピングされた不純物を活性化するためのアニール処理を行うことがあるが、このような場合でも上記と同様の理由で正確な温度を測定することができない。
【0051】
しかしながら、ZnO系基板12には、多層膜13がZnO系薄膜積層方向とは反対の方向に設けられているので、図10では多層膜13が基板ホルダー14と、図11では多層膜13が熱源15と相対する構成となり、多層膜13中のAu膜又はPt膜が熱源15や基板ホルダー14から放射される赤外線を反射して、ZnO系基板12やその上に積層されたZnO系薄膜への透過を阻止するので、赤外線温度計16には基板自身の温度を示すAu膜又はPt膜というバックメタルからの赤外放射しか入射せず、正確な温度測定を行うことができる。このようにして、赤外線温度計16によって基板温度を計測して、基板温度が750℃以上になるように制御する。
【0052】
ところで、赤外線を反射するバックメタルとしては、ZnO系薄膜を形成する場合、酸化雰囲気で製膜されるため、酸化されやすい材料は使えず、酸素に強く、750℃を超える温度で耐えられる金属となると上記のようにPtやAuが適切である。なお、多層膜13にAu膜を用いた場合、Au膜の赤外線放射率を0.5とするのが望ましい。また、多層膜13にPt膜を用いた場合、Pt膜の赤外線放射率を0.3〜0.15とするのが望ましい。
【0053】
他方、図10、11の基板温度測定の構成で、パイロメーター16に替えてサーモグラフィを使用しても良い。InGaAsを検出器に使う上記パイロメーター16では数μm程度を検出波長に使うので、前述したように、ZnO系基板やZnO系薄膜のように赤外領域で透明性が高いと基板温度が正確に測定できない。そのために、上記のように、多層膜13を設けている。
【0054】
ところが、サーモグラフィは、約8μm〜14μm程度の範囲を波長感度に持つため、室温からの測定が可能であり、ZnO系基板やZnO系薄膜等の温度測定に適している。サーモグラフィは、周知のように物体から放射される赤外線を分析し、熱分布を図として表した可視化が可能な装置である。サーモグラフィを採用した場合、ZnO系基板12から放射される赤外線を分析して、熱源15により加熱されたZnO系基板12の熱分布を計測する。
【0055】
例えば、波長が8μmの赤外線がZnO系基板12を透過する透過率は数%であるが、多層膜13を形成せず、ZnO系基板12単体とし、この基板をサーモグラフィによって観測すると、黒くみえる。つまり、サーモグラフィからみてZnO系基板12の背後にある物体から放射される赤外線はZnO系基板12によりカットされ、ZnO系基板12から放射される赤外線に基づき、基板温度を高精度にサーモグラフィにより計測できる。
【0056】
なお、サーモグラフィを採用する場合は、ボロメータ型の赤外線検出器を備えるサーモグラフィであることが好ましい。冷却が必要な量子型の赤外線検出器を使用した赤外線アレイセンサを備える場合に比べて、ボロメータ型若しくは焦電型などの熱型の赤外線検出器を使用した非冷却型赤外線サーモグラフィは、小型・軽量化および低価格化が可能なためである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のZnO系薄膜の積層構造を示す図である。
【図2】本発明のZnO系薄膜の成長温度毎の表面状態を示す図である。
【図3】本発明のZnO系薄膜を多層積層した場合の表面状態を示す図である。
【図4】ZnO系薄膜表面の算術平均粗さと基板温度との関係を示す図である。
【図5】ZnO系薄膜表面の二乗平均粗さと基板温度との関係を示す図である。
【図6】算術平均粗さ及び二乗平均粗さを説明する図である。
【図7】基板主面法線と基板結晶軸であるc軸、m軸、a軸との関係を示す図である。
【図8】基板主面法線がm軸方向にのみオフ角を有する場合の基板表面を示す図である。
【図9】m軸方向に少し凹凸のあるステップラインが並んだ状態を示す図である。
【図10】ZnO系薄膜を成長させる場合の基板温度を計測する構成を示す図である。
【図11】ZnO系薄膜を成長させる場合の基板温度を計測する他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ZnO系基板
2 ZnO系薄膜
3 ZnO系半導体層
4 ZnO系半導体層
10 ZnO系積層体
12 ZnO系基板
13 多層膜
14 基板ホルダー
15 熱源
16 赤外線温度計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1.5nm以下で、かつ二乗平均粗さ2nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項2】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1nm以下で、かつ二乗平均粗さ1.5nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項3】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項4】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項5】
前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
【請求項6】
前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
【請求項7】
前記ステップラインが有する凹凸の変動幅は、略全てのステップラインに対して前記ステップ構造が有するテラス面の理想的な幅以下に形成されていることを特徴とする請求項4、6のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
【請求項8】
基板上に、成長温度750℃以上で結晶成長させることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項1】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1.5nm以下で、かつ二乗平均粗さ2nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項2】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が、算術平均粗さ1nm以下で、かつ二乗平均粗さ1.5nm以下になるように形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項3】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項4】
基板上に結晶成長されるZnO系薄膜であって、
前記ZnO系薄膜の結晶成長方向の主面が有するステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とするZnO系薄膜。
【請求項5】
前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップ高さがZnO系結晶の1分子の厚さに形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
【請求項6】
前記結晶成長方向の主面はステップ構造を有しており、前記ステップ構造のステップラインがm軸に対して略垂直に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
【請求項7】
前記ステップラインが有する凹凸の変動幅は、略全てのステップラインに対して前記ステップ構造が有するテラス面の理想的な幅以下に形成されていることを特徴とする請求項4、6のいずれか1項に記載のZnO系薄膜。
【請求項8】
基板上に、成長温度750℃以上で結晶成長させることを特徴とするZnO系薄膜。
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2008−218981(P2008−218981A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5987(P2008−5987)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
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