説明

アキシャルギャップ型回転電機及びそれを用いた圧縮機

【課題】本発明の課題は、下から吹き上げられた潤滑油がモータ上部の空間に行き難くいアキシャルギャップ型回転電機及びそれを用いた圧縮機を提供することにある。
【解決手段】本発明のアキシャルギャップ型回転電機は、回転軸を中心として回転自在に配設され、前記回転軸の周りに磁極面31を呈する回転子30と、前記回転軸方向における前記回転子30の一方側にギャップを隔てて配設された第1固定子10と、他方側にギャップを隔てて配設された第2固定子20とを備えている。前記第1固定子10は、略円盤状の第1磁心11と、複数の巻芯磁心12と、第1コイル13と、第1コアカット部14とを有し、前記第2固定子20は、第2磁心21と、第2コアカット部24とを有する。前記第1コアカット部14は、前記第2コアカット部24とは前記回転軸方向において重ならない位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシャルギャップ型回転電機及びそれを用いた圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機としては、密閉容器内に上下方向に配置された、アキシャルギャップ型のモータと、このモータで駆動される圧縮部とを備えたものがある。例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
このアキシャルギャップ型のモータは、ステータと、このステータの軸方向両側にエアギャップを介して配置されたロータと、このロータに固定されると共にこのロータの回転力を上記圧縮部に伝達するシャフトとを有している。そして、冷媒ガスは、主に、モータの外周側の通路、及びエアギャップを流れる。
【0004】
また、冷媒ガスに含まれる潤滑油は、オイルセパレータによって、モータの外周側に飛ばされるが、このモータの外周側は、冷媒通路であるので、潤滑油は、モータの外周側から、冷媒ガスの流れによって、モータの下流側へ導かれる。このため、潤滑油を冷媒ガスから分離し難くなる。
【0005】
また、特許文献2に記載の圧縮機では、密閉容器と、密閉容器内に配置された圧縮部と、密閉容器内に配置され、圧縮部を、シャフトを介して駆動するアキシャルギャップ型のモータとを備え、このモータは、互いにエアギャップを介して軸方向に対向するステータ及びロータを少なくとも一対有し、ステータまたはロータの少なくとも一方に、軸方向一端の開口から軸方向他端の開口に向かって略クランク状に油を流して油を分離する油分離機構を設けている。
【0006】
そのため、特許文献2に記載の圧縮機では、エアギャップの空間や、モータの外周側の通路に加えて、油分離機構を設けているので、モータの冷媒ガス流れの上流側と下流側との差圧を小さくできて、圧縮機の圧力損失を低減できる。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の圧縮機では、下から吹き上げられた潤滑油が上下ステータを通過して、モータ上部の空間に行きやすい。
【0008】
【特許文献1】特開昭61−185040号公報
【特許文献2】特開2007−64019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明の課題は、下から吹き上げられた潤滑油がモータ上部の空間にとどまらず、落下しやすいアキシャルギャップ型回転電機及びそれを用いた圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明のアキシャルギャップ型回転電機は、回転軸を中心として回転自在に配設され、前記回転軸に平行な方向である回転軸方向における両面に前記回転軸の周りに磁極面を呈する回転子と、前記回転軸方向における前記回転子の一方側にギャップを隔てて配設され、略円盤状の第1磁心と、前記第1磁心の前記回転子側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の巻芯磁心と、前記回転子に対向する前記第1巻芯磁心の面に回転磁界を発生させるべく、前記巻芯磁心に巻回された第1コイルと、前記第1磁心に設けられた第1コアカット部とを有し、前記第1磁心がバックヨークとして機能する第1固定子と、前記回転軸方向における前記回転子の他方側にギャップを隔てて配設され、略円盤状の第2磁心と、前記第2磁心に設けられた第2コアカット部とを有する第2固定子とを備え、前記第1コアカット部は、前記第2コアカット部とは前記回転軸方向において重ならない位置に設けられている。
【0011】
また、前記第2固定子は、前記回転子側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の第3磁心をさらに有し、前記巻芯磁心は、前記第3磁心の位置に対向して配置されてもよい。
【0012】
また、第1コアカット部及び前記第2コアカット部は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心のそれぞれに対して所定の位置に設けられ、且つ前記第1コアカット部及び前記第2コアカット部のそれぞれの数は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心のそれぞれの数のn分の1(n≧2)であってもよい。
【0013】
また、前記第2固定子は、前記回転子側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の第3磁心をさらに有し、前記巻芯磁心は、前記第3磁心に対向する位置に対して周方向にずれた位置に配置されてもよい。
【0014】
また、第1コアカット部及び前記第2コアカット部は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心のそれぞれに対して所定の位置に設けられ、且つ前記第1コアカット部及び前記第2コアカット部のそれぞれは、前記巻芯磁心及び前記第3磁心のそれぞれの数の半分以上から同数までの数を備えてもよい。
【0015】
また、前記第1固定子と、前記第2固定子とは、電気角が180度ずれて配置されてもよい。
【0016】
また、前記第2固定子は、前記回転子に対向する前記第3磁心の面に回転磁界を発生させるべく、前記第3磁心に巻回された第2コイルをさらに備えてもよい。
【0017】
また、前記第1コアカット部の周方向の位置は、前記巻芯磁心の周方向の位置と、前記第2コアカット部の周方向の位置は、隣り合う前記第2巻磁心の間の周方向の位置とに、それぞれ対応してもよい。
【0018】
また、前記第1コアカット部は、隣り合う前記巻芯磁心同士の外周に沿う位置に設けられ、且つ前記第2コアカット部は、隣り合う前記第3磁心同士の外周に沿う位置に設けられてもよい。
【0019】
また、前記第1磁心は、外周に向かって開口して径方向に延びる複数の溝を備え、前記溝のそれぞれに前記巻芯磁心が挿入され、前記巻芯磁心の外周面及びこれよりも外周側の前記溝で形成される開口部を前記第1コアカット部としてもよい。
【0020】
また、前記第2磁心は、外周に向かって開口して径方向に延びる複数の溝を備え、前記溝のそれぞれに前記第3磁心が挿入され、前記第3磁心の外周面及びこれよりも外周側の前記溝で形成される開口部を前記第2コアカット部としてもよい。
【0021】
また、前記第1固定子及び前記第2固定子のうち、前記回転軸方向に対して上方に位置する固定子に設けられたコアカット部は、前記回転子の外径よりも外側に配置してもよい。
【0022】
また、前記第1固定子及び前記第2固定子は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心よりも内側に第1冷媒通路を有してもよい。
【0023】
また、前記回転子は第2冷媒通路を有し、前記第2冷媒通路は、前記第1固定子及び前記第2固定子のうち、前記回転軸方向に対して上方に位置する固定子に設けられた前記第1冷媒通路より外側で、且つ重ならない位置に配置されてもよい。
【0024】
さらに、上記課題を解決するため、この圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部の上に配置され、前記圧縮機構部を駆動する請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機と、前記アキシャルギャップ型回転電機上に設けられ、前記圧縮機構部で圧縮された前記冷媒を吐出する吐出管とを高圧ドーム内に備える。
【発明の効果】
【0025】
このアキシャルギャップ型回転電機によると、前記第1コアカット部は、前記第2コアカット部とは前記回転軸方向において重ならない位置に設けられているので、下から吹き上げられた潤滑油がモータ上部の空間に行き難くい。
【0026】
また、前記第2固定子は、前記回転子側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の第3磁心をさらに有し、前記巻芯磁心は、前記第3磁心の位置に対向して配置されると、より簡単な磁気回路構成となる。前記第1固定子と前記第2固定子とで同じ構成を採用することが可能となる。
【0027】
また、第1コアカット部及び前記第2コアカット部は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心のそれぞれに対して所定の位置に設けられ、且つ前記第1コアカット部及び前記第2コアカット部のそれぞれの数は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心のそれぞれの数のn分の1(n≧2)とすると、前記第1固定子と前記第2固定子とが同じ構成であっても前記第1コアカット部と前記第2コアカット部とが前記回転軸方向において重ならない位置を選択できる。
【0028】
また、前記第2固定子は、前記回転子側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の第3磁心をさらに有し、前記巻芯磁心は、前記第3磁心に対して周方向にずれた位置に配置されると、より多くの磁気回路構成を採用することができる。
【0029】
また、第1コアカット部及び前記第2コアカット部は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心のそれぞれの数の半分以上から同数までの数を備えると、冷媒を通過する部分をより多く設けることができる。
【0030】
また、前記第1固定子と、前記第2固定子とは、電気角が180度ずれて配置させると、コギングトルクやトルクリプルを低減できる。
【0031】
また、前記第2固定子は、前記回転子に対向する前記第3磁心の面に回転磁界を発生させるべく、前記第3磁心に巻回された第2コイルをさらに備えると、前記第1固定子及び前記第2固定子に回転磁界を発生させて駆動するアキシャルギャップ型回転電機を実現できる。
【0032】
また、前記第1コアカット部は、前記巻芯磁心と対応する位置に、前記第2コアカット部は、隣り合う前記第2巻磁心の間の位置にそれぞれ配置すると、第1コアカット部及び前記第2コアカット部の数にかかわらず、前記第1コアカット部と前記第2コアカット部とが前記回転軸方向において重ならない構成が可能となる。
【0033】
また、前記第1コアカット部は、隣り合う前記巻芯磁心同士の外周に沿う位置に設けられ、且つ前記第2コアカット部は、隣り合う前記第3磁心同士の外周に沿う位置に設けられると、前記第1磁心及び前記第2磁心の強度を確保しつつ、前記第1コアカット部及び前記第2コアカット部の大きさを確保できる。
【0034】
また、前記第1磁心は、外周に向かって開口して径方向に延びる複数の溝を備え、前記溝のそれぞれに前記巻芯磁心が挿入され、前記巻芯磁心の外周面及びこれよりも外周側の前記溝で形成される開口部を前記第1コアカット部とすることで、前記第1磁心を加工することなく前記第1コアカット部を形成することが可能となる。
【0035】
また、前記第2磁心は、外周に向かって開口して径方向に延びる複数の溝を備え、前記溝のそれぞれに前記第3磁心が挿入され、前記第3磁心の外周面及びこれよりも外周側の前記溝で形成される開口部を前記第2コアカット部とすることで、前記第2磁心を加工することなく前記第2コアカット部を形成することが可能となる。
【0036】
また、前記第1固定子及び前記第2固定子のうち、前記回転軸方向に対して上方に位置する固定子に設けられたコアカット部は、前記回転子の外径よりも外側に配置すると、前記コアカット部を通った潤滑油が前記回転子に当たって吹き上げられず下に落ちやすくなる利点及び回転子の風損を減らせる利点がある。
【0037】
また、前記第1固定子及び前記第2固定子は、前記巻芯磁心及び前記第3磁心よりも内側に第1冷媒通路を有すると、前記巻芯磁心及び前記第3磁心を邪魔せずに冷媒の通路を確保できる。
【0038】
また、前記回転子は第2冷媒通路を有し、前記第2冷媒通路は、前記第1固定子及び前記第2固定子のうち、前記回転軸方向に対して上方に位置する固定子に設けられた前記第1冷媒通路より外側で、且つ重ならない位置に配置されると前記回転子及び前記回転軸方向に対して上方に位置する固定子で効率よく潤滑油を冷媒から分離できる。
【0039】
さらに、上記課題を解決するため、この圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部の上に配置され、前記圧縮機構部を駆動する請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機と、前記アキシャルギャップ型回転電機上に設けられ、前記圧縮機構部で圧縮された前記冷媒を吐出する吐出管とを高圧ドーム内に備えると、下から吹き上げられた潤滑油がモータ上部の空間に行き難くい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータの第1,第2ステータを展開してそれぞれロータ側から見た平面図である。また、図2はアキシャルギャップ型モータのロータ30の分解斜視図を示している。ロータ30は、界磁部31と連結部35とを備え、回転軸(図示せず)を中心として回転可能である。なお、図2では、界磁部31と連結部35とが回転軸に沿ってずれて示されている。
【0041】
第1の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータは、回転軸(図示せず)に固定されたロータ30(図2に示す)と、ロータ30の軸方向両側にエアギャップを介して夫々対向する第1ステータ10及び第2ステータ20(図1に示す)とを備えている。つまり当該アキシャルギャップ型モータにおいては、実際には、ロータ30は、軸方向両側から図1に示す第1ステータ10と第2ステータ20により挟まれた状態で配置される。
【0042】
図1に示すように、第1ステータ10は、円板形状のバックヨーク11と、そのバックヨーク11のロータ側に立設されたティース12と、ティース12に巻回された三相のコイル13とを有している。さらに、バックヨーク11の外周には、コアカット部14が、設けられている。
【0043】
また、第2ステータ20は、円板形状のバックヨーク21と、そのバックヨーク21のロータ側に立設されたティース22と、ティース22に巻回された三相のコイル23とを有している。さらに、バックヨーク21の外周には、コアカット部24が、設けられている。
【0044】
なお、図1は、ロータ30を間に挟んで対向する第1ステータ10と第2ステータ20とを、展開した図である。一点鎖線よりも図上で上方に第1ステータ10のロータ30と対向する面を、一点鎖線よりも図上で下方に第2ステータ20のロータ30と対向する面とを、それぞれ示した。また、図1において、第1ステータ10のU相のコイルUが第2ステータ20のコイルUと対向し、第1ステータ10のV相のコイルVが第2ステータ20のコイルVと対向し、第1ステータ10のW相のコイルWが第2ステータ20のコイルWと対向している。つまり、図1に示す構成は、第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とが対向する構成である。
【0045】
第1ステータ10のコイル13と第2ステータ20のコイル23のそれぞれは、周方向に順に各相が巻回された集中巻であって、第1,第2ステータ10,20に軸方向両側から挟まれるロータ30(図2に示す)側から見て同一方向に巻回されている。第1ステータ10のコイル13の巻き始め(または巻き終わり)を中性点側(図1の15に示す)とし、第2ステータ20のコイル23の巻き始め(または巻き終わり)も中性点側(図1の25に示す)として、第1,第2ステータ10,20の巻線仕様を同一としている。
【0046】
また、図1に示すコアカット部14,24のそれぞれの数は、ティース12,22のそれぞれの数のn分の1以下(nは2以上の整数)であるので、コアカット部14は、必ず第2コアカット部24とは回転軸方向において重ならない位置に設けることができる。つまり、第1ステータ10と第2ステータ20とを同じ部品から形成することができ、コストを低減することができる。図1に示す例では、コアカット部14,24のそれぞれの数が、ティース12,22のそれぞれの数の2分の1(n=2)で等間隔に設けてあり、ティース12,22が12個設けられていることに対してコアカット部14,24が8個設けられる。等間隔に設けることで、全周にわたって均等に油を戻すことが可能である。
【0047】
図2を参照して、界磁部31は、磁石32と、磁石32を軸方向両側から挟む磁性体鉄心の一例としての磁性体板33,34とを有する。磁石32は、軸方向両側に互いに異なる極性を呈する第1磁極面及び第2磁極面を有する。例えば、第1磁極面はN極を呈し、第2磁極面はS極を呈する。
【0048】
磁石32には、磁束密度を大きくするため、焼結された希土類磁石を採用することが望ましい。この場合、希土類磁石、特に焼結した磁石は導電率が高く、渦電流損が生じやすいが、磁性体板33,34に、希土類磁石に比べて導電率の小さい磁性材を用いることで、渦電流損の発生を抑制することができる。特に、PWM制御のキャリア成分の磁束の変化による渦電流損を低減できる。
【0049】
磁性体板33,34はそれぞれ、磁石32の第1磁極面及び第2磁極面に設けられる。このとき、磁性体板33,34は、例えば、接着剤等を用いて磁石32に固定する。接着剤には、磁性材から成るものを採用することが望ましい。磁性材からなる接着剤を用いることにより、磁性体板33,34と、磁石32との間の接着剤層の厚みを低減したことによる磁気特性の低下を補うことができる。
【0050】
磁性体板33,34には、磁気的に等方性を有する圧粉磁心を採用すること、特に圧粉鉄心を採用することにより、磁性体板33,34で渦電流損が生じにくくできる。
【0051】
界磁部31は、回転軸の周りで周方向に沿って環状に配置され、周方向に沿って互いに離間している。このとき、磁石32についてみれば、磁石32も回転軸の周りで周方向に沿って環状に配置される。
【0052】
周方向において互いに隣接する磁石32は、軸方向両側において互いに異なる極性を呈する。つまり、隣接する一方の磁石32が軸方向の一方の側に第1磁極面を向けている場合、隣接する他方の磁石32は同じ軸方向の一方の側には第2磁極面を向けている。軸方向の他方側においても同様である。ただし、この発明はこれに限定されるものではなく、たとえば隣接する一対の磁石が一組をなして、当該組において同極性の磁極面を呈してもよい。この場合、隣接する組同士では、それぞれが呈する磁極面同士の極性は異なる。なお、軸方向両側に、異なる磁石を設けて、それぞれの磁石がそれぞれの側に磁極を発生するようにしても良い。その場合。両側の磁極の関係は不問である。
【0053】
また、連結部35は、非磁性体から成り、界磁部31同士を連結する。連結部35の非磁性体は、樹脂などの非金属であっても良いし、アルミやステンレスなどの金属であっても良い。連結部35に非金属を採用すれば、連結部35で渦電流損が生じない。他方、上記連結部35に金属を採用すれば、連結部35の強度が高まる。
【0054】
なお、ロータは、軸方向両側に現れる磁極が逆になればよい。そのために、ロータの最小の構成は、軸方向における磁石の層数が1である。
【0055】
図1に示す第1ステータ10及び第2ステータ20と、図2に示すロータ30を備えるアキシャルギャップ型モータでは、第1ステータ10に設けたコアカット部14と第2ステータ20に設けたコアカット部24とが軸方向に重なることがないため、当該アキシャルギャップ型モータを圧縮機に用いた場合、モータ下部から吹き上げられる潤滑油がコアカット部14,24を通ってモータ上部の空間に行きにくい構造となっている。
【0056】
図1に示す第1ステータ10及び第2ステータ20では、バックヨーク11,21上で同じ位置(隣接するティース12,22の周方向の位置の間)にコアカット部14,24を設けていたが、本発明はこれに限られず、バックヨーク11上のコアカット部14の位置と、第2ステータ20のコアカット部24の位置とが異なる構成でも良い。具体的に、図3にバックヨーク11上のティース12に対するコアカット部14の位置と、第2ステータ20のティース22に対するコアカット部24の位置とが異なる第1ステータ10及び第2ステータ20を示す、なお、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図3に示す第1ステータ10では、図1の第1ステータ10の構成と異なり、ティース12と対応する外周位置にコアカット部14が設けられている。一方、図3に示す第2ステータ20では、図1の第2ステータ20の構成と同様、隣接するティース22間の外周位置にコアカット部24が設けられている。そのため、第1ステータ10と第2ステータ20との間の折り曲げ線(一点鎖線)を基準にして、第1ステータ10と第2ステータ20とを重ねた場合、コアカット部14とコアカット部24とが必ず軸方向で重ならない構成となる。さらに、バックヨーク11上のコアカット部14の位置と、第2ステータ20のコアカット部24とが異なっているので、どの位置で第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とを対向させても、コアカット部14とコアカット部24とは必ず軸方向で重ならない。そのため、図1に示した第1ステータ10及び第2ステータ20のようにコアカット部14,24のそれぞれの数が、ティース12,22のそれぞれの数のn分の1以下という制限を、図3に示す第1ステータ10及び第2ステータ20は受けない。
【0058】
なお、本実施形態では、コイル13,23の巻線は集中巻を前提に説明したが、本発明はれに限られず、分布巻等の他の巻き方でも良い。但し、集中巻であれば冷媒や潤滑油の通過の妨げにならない点で望ましい。また、コイル13,23の結線は図1等に示すようにティース12,22の内側にあることが望ましい。これにより結線がコアカット部14,24を邪魔しない構成となる。
【0059】
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータでは、図1に示すように、第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とが対向する構成を示した。一方、本実施形態に係るアキシャルギャップ型モータでは、図4に示すように、第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とが対向しない構成について説明する。
【0060】
図4に示す第1ステータ10は、円板形状のバックヨーク11と、そのバックヨーク11のロータ側に立設されたティース12と、ティース12に巻回された三相のコイル13とを有している。また、図4に示す第2ステータ20は、円板形状のバックヨーク21と、そのバックヨーク21のロータ側に立設されたティース22と、ティース22に巻回された三相のコイル23とを有している。なお、図4も、ロータ30を間に挟んで対向する第1ステータ10と第2ステータ20とを、展開した図である。一点鎖線よりも図上で上方に第1ステータ10のロータ30と対向する面を、一点鎖線よりも図上で下方に第2ステータ20のロータ30と対向する面とを、それぞれ示した。また、図4では、図1と異なり、第1ステータ10のU相のコイルUとV相のコイルVとの間の部分が第2ステータ20のW相のコイルWとが対向している。
【0061】
さらに、図4に示す第1ステータ10には、隣接するティース12間の全ての外周位置にコアカット部14が設けられている。また、図4に示す第2ステータ20には、隣接するティース22間の全ての外周位置にコアカット部24が設けられている。つまり、図4に示すコアカット部14,24の数は、ティース12,22の数と同数設けられている。そのため、図1に示すように第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とが対向する構成であれば、コアカット部14とコアカット部24とは軸方向に重なることになるが、図4に示すように第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とがずれて配置されていれば、コアカット部14とコアカット部24とは軸方向に重なることはない。
【0062】
本実施形態に係る第1ステータ10及び第2ステータ20のようにコアカット部14,24の数が、ティース12,22の数の半数より多い場合、図1に示すように第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とが対向する構成であれば、いずれかのコアカット部14がコアカット部24と軸方向に重なることになる。よって、コアカット部14,24の数が、ティース12,22の数の半数より多い構成を採用し、かつティース12に対するコアカット部14の位置関係がティース22に対するコアカット部24の位置関係と同じ場合、図4に示すように第1ステータ10のティース12と第2ステータ20のティース22とをずらせて配置する必要がある。
【0063】
また、図4に示すように、第1ステータ10のU相のコイルU1とV相のコイルV1が巻回されるティース12の間に対応する位置において、第2ステータ20では、W相のコイルW4が巻回されるティース22を有する。例えば、第1ステータ10のU相のコイル13とV相のコイル13の合成磁界は、3相平衡である限り、U+V+W=0であるため、U+V=−Wとなる。つまり、第1ステータ10のU相のコイル13とV相のコイル13の間は、−Wと等価となる。
【0064】
一方、これに対向する第2ステータ20は、W相のコイル23の巻回されたティース22があり、−W相のからW相に、対向するロータ30の磁極との関係において、2つの第1,第2ステータ10,20は、ロータ30に対して、同一の回転磁界を発生するとみることができる。
【0065】
このとき、ティース12,22に対する巻回方向、すなわち、現にどこから巻き始めてどちらの方向に巻回したかは重要ではなく、例えば、電源から中性点15,25に向けて通電したとき、通電方向が同一になる場合をさす。すなわち、結線との関係で、どちら向きに電流が流れるような状態かをいう。ただし、製造の面からは、コイル13,23を単体で同一方向に巻回したものを、それぞれの第1,第2ステータ10,20に設けることを考えると、実際の巻回方向も同一であることが望ましい。
【0066】
これにより、第1,第2ステータ10,20の突極性を除けば、第1,第2ステータ10,20のコイル13,23に通電される電流により発生する磁界は、2つの第1,第2ステータ10,20で180°位相がずれることなり、対向するロータ30の位相が180°ずれるので、同一トルク、同一スラスト力を発生することは明らかである。また、ティース12,22は、2つの第1,第2ステータ10,20で、15°ずれて設けられているため、コギングトルクやトルクリプルにとっては、低減される方向となる。したがって、同時に最大トルク制御を行うことができるために特性の低下がなく、コギングトルクやトルクリプルを低減することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
図1や図4等で示したコアカット部14,24は、バックヨーク11,21の外周に矩形の切り欠きを設けた構成である。しかし、本発明に係るコアカット部14,24の形状はこれに限られず、孔や他の形状による切り欠きであっても良い。本実施形態に係るコアカット部14は、図5に示す第1ステータ10のように、隣接するティース12間のバックヨーク11の外周にコイル外形形状に沿った切り欠きとして設けられている。
【0068】
なお、図5に示すバックヨーク11は、ティース12を固定するヨーク11bと、ティース12を囲む位置に設けられるヨーク11aとで構成されている。ティース12は巻き線が巻回される三角柱12aと、凸部17を備えた角柱12bとを有している。角柱12bは三角柱12aよりもロータ(図示せず)から遠くに位置している。凸部17は角柱12bよりも周方向の寸法が小さく、三角柱12aと反対側へと角柱12bから突出している。
【0069】
図6aにヨーク11aの平面図、図6bにヨーク11bの平面図がそれぞれ図示されている。図6aのヨーク11aは回転軸方向に積層された鋼板で構成され、ヨーク11aにはティース12の角柱12bと勘合する枠16と、隣接するティース12の間の周方向の位置に設けられるコアカット部14とを備えている。コアカット部14は、その周方向において両側に位置する三角柱12aに対してそれぞれ凹部を呈している。
【0070】
一方、図6bのヨーク11bは磁性体(たとえば鉄)の塊で構成され、ヨーク11bには、ティース12の底面に設けられた凸部17と勘合する溝18が設けられ、当該溝18にティース12の凸部17とを勘合させることでティース12をバックヨーク11に固定する。また、図6bのヨーク11bには、ヨーク11aに設けたコアカット部14と重なる位置に同じ形状のコアカット部14を備えている。
【0071】
一方、第2ステータ20についても、図5に示す第1ステータ10と同様の構成であり、コアカット部24はコアカット部14と同形状の切り欠きである。
【0072】
以上のように、コアカット部14,24の形状を、その周方向において両側に位置する三角柱12aに対してそれぞれ凹部を呈する形状にすることで、隣接するティース12,22間のスペースを有効に利用することができる。つまり、ビキニ形状のコアカット部14,24は、ティース12,22に巻回されるコイルが占める位置を避けつつ、大きい開口を得ることができる。なお、コアカット部14,24の形状は、ヨークの強度が保持できる形状であれば凹部を呈さないくさび形状等でも良い。また、外径側に開口せず、貫通した孔であってもよいが、孔とヨーク外径との間は十分薄い方が望ましい。油は圧縮機容器のうち壁を沿って滴下する傾向があるため、孔とヨークの外径との間が厚いと、そこに油がたまって滴下しにくくなるからである。
【0073】
(第4の実施形態)
図7a,bに、本実施形態に係る第1ステータ10及び第2ステータ20の平面図を図示する。図7aに示す第1ステータ10は、バックヨーク110が、外周に向かって開口して径方向に延びる複数の溝111を備えている。さらに、当該溝111のそれぞれにティース112が挿入される。なお、このティース112には、巻回された三相のコイルが備えられている。
【0074】
さらに、図7aに示す第1ステータ10では、ティース112の外周面及びこれよりも外周側の溝111で形成される開口部をコアカット部114としている。このコアカット部114が、図1に示す第1ステータ10のコアカット部14に相当する。また、図7cには、図7aのI−I面で切った溝111の断面図が図示されており、この断面図から分かるようにバックヨーク110には、ティース112を挿入した際に、バックヨーク110から外れないようにガイド溝が設けられている。
【0075】
このように、バックヨーク110にティース22を外周側から挿入する第1ステータ10を採用すれば、別途バックヨーク110に切り欠きや孔を設けることなく、外周にコアカット部114を設けることができ、第1ステータ10の構成を簡略化できる。
【0076】
一方、図7bに示す第2ステータ20は、コイルを有しないステータである。図7bに示す第2ステータ20は、回転軸(図示せず)近傍の壁121と、外周部の壁122と、両壁121,122を繋ぐ底部123とを備える形状である枠と、枠に保持されたコア125からなる。コアは、圧粉磁心、巻鉄心等から構成され、枠の材質は任意である。枠を圧縮機容器に固定するため、枠は、強度を有する必要がある。例えば、磁性体である金属(鉄)、または、非磁性体である金属(アルミ、SUS等)であるのが好適である。図7dに、図7bのII−II面で第2ステータ20を切った断面図を示す。図7b、dから分かるように、外周部の壁122の一部は取り除かれ、当該部分がコアカット124として機能している。なお、枠がなく、コアのみで構成してもよく、この場合、コアにコアカットを直接設けることになる。
【0077】
なお、図7a,bは、ロータ30を間に挟んで対向する第1ステータ10と第2ステータ20とを、展開した図である。一点鎖線よりも図上で上方に第1ステータ10のロータ30と対向する面を、一点鎖線よりも図上で下方に第2ステータ20のロータ30と対向する面とを、それぞれ示した。そのため、コアカット124とバックヨーク110とが対応し、外周部の壁122とコアカット部114とが対応する位置に設けられるので、第1ステータ10のコアカット部114と第2ステータ20のコアカット部124とが軸方向に重ならない構成である。
【0078】
また、図7a,bに示す第1ステータ10及び第2ステータ20では、第2ステータ20を軸方向の下側に配置することで、第1ステータ10に設けられたリード線や端子が潤滑油に浸かりにくい構造にすることができる。さらに、コイルを設けない第2ステータ20は、コアカットを設ける位置やサイズに制約がないため、コアカット部114よりコアカット部124の方をより大きくすることが可能となる。また、ロータ30で潤滑油を分離できるため軸方向上側に位置する第1ステータ10のコアカット部114は、第2ステータ20のコアカット部124ほど大きくする必要がなく、且つ潤滑油の吹き上がり防止の観点からは、コアカット部114よりコアカット部124の方が大きい方が望ましい。
【0079】
本実施形態に係るアキシャルギャップ型モータでは、図7a,bに示すように、上下ステータで異なる構成を採用しているが、本発明はこれに限られず、図7aに示す第1ステータ10の構成を下ステータ(軸方向下側の第2ステータ20)にも採用しても良い。また、図7bに示す構成では、下ステータである第2ステータ20はコイルを有さない構成であったが、本発明は図7bに示す第2ステータ20の形状に限定されない。例えば、コイルを有しない第2ステータ20としては、図7aに示す第1ステータ10のティース112にコイルを巻かない構成や、図5に示す第1ステータ10のティース12にコイルを巻かない構成が考えられる。つまり、上下ステータで同じ構成を採用し、ティースにコイルを巻くか、巻かないかで、ステータのコイルの有無を決める構成であっても良い。このような構成であれば、上下ステータで同じ部品を使用することが可能となり、部品点数を減らすことができ、作業効率の向上が可能となる。
【0080】
(第5の実施形態)
図8に、本実施形態に係る圧縮機の縦断面図を示す。この図8に示す圧縮機は、高圧ドーム型である。なお、第1の実施形態から第4の実施形態に係るモータも、基本的に図8に示す圧縮機に採用されるモータであり、第1ステータ及び第2ステータの構成が異なる以外は、基本的に同じ構成である。
【0081】
この圧縮機は、図8に示すように、密閉容器401と、密閉容器401内に配置された圧縮機構部402と、密閉容器401内かつ圧縮機構部402の上側に配置され、圧縮機構部402を、回転軸404を介して駆動するアキシャルギャップ型モータ403とを備えている。密閉容器401の下側側方に、吸入管441を接続する一方、密閉容器401の上側に吐出管442を接続している。吸入管441から供給される冷媒ガスは、圧縮機構部402の吸込側に導かれる。
【0082】
アキシャルギャップ型モータ403は、密閉容器401内側に外周側の一部が固定され、中央部を回転軸404が貫通する2つのステータ(上側の第1ステータ410,下側の第2ステータ420)と、第1ステータ410, 第2ステータ420の軸方向の間に配置され、回転軸404に外嵌して固定されたロータ430を有する。ロータ430が固定された回転軸404の下端側を圧縮機構部2に連結している。
【0083】
また、圧縮機構部402は、シリンダ状の本体部440と、この本体部440の上下の開口端のそれぞれに取り付けられた上端板408及び下端板409とを備える。回転軸404は、上端板408及び下端板409を貫通して、本体部440の内部に挿入されている。回転軸404は、圧縮機構部402の上端板408に設けられた軸受451と、圧縮機構部402の下端板409に設けられた軸受452により回転自在に支持されている。本体部440内の回転軸404にクランクピン405が設けられ、そのクランクピン405に嵌合され駆動されるピストン406とそれに対応するシリンダとの間に形成された圧縮室407により圧縮を行う。ピストン406は偏芯した状態で回転し、または、公転運動を行い、圧縮室407の容積を変化させる。
【0084】
上記構成の圧縮機において、アキシャルギャップ型モータ403を回転させることにより圧縮機構部402を駆動すると、吸入管441から圧縮機構部402に冷媒ガスが供給され、圧縮機構部402で冷媒ガスを圧縮する。そうして圧縮機構部402で圧縮された高圧冷媒ガスは、圧縮機構部402の吐出ポート453より密閉容器401内に吐出され、回転軸404の周りに設けられた冷媒通路415,425,第2ステータ420のコアカット部424、ロータ430の内部を軸方向に貫通する孔(図示せず),第1ステータ410のコアカット部414を通ってアキシャルギャップ型モータ403の上部空間に運ばれた後、吐出管442を介して密閉容器401の外部に吐出される。なお、図8に示す第1ステータ410は、バックヨーク411と、ティース412と、コイル413とを備えている。図8に示す第2ステータ420は、バックヨーク421と、ティース422と、コイル423とを備えている。但し、第2ステータ420にコイルを設けない構成では、ティース422及びコイル423が不要な場合が考えられる。
【0085】
図8に示した第1ステータ410のコアカット部414は、ロータ430の外径より外側にある。図8に示すコアカット部414の構成を採用することで、コアカット部414を通って下側に落ちる潤滑油がロータ430に当たって吹き上げられることもなく、且つ第1ステータのコアカットから第2ステータのコアカットを結ぶ経路にロータが存在しないため、第1ステータのコアカットから第2ステータのコアカットにむけて滴下する油がロータに接触することを避けることで、ロータ430の風損も減らすことができる。
【0086】
また、図8に示す第1ステータ410には、回転軸404との間隙に冷媒通路415を、図8に示す第2ステータ420には、回転軸404との間隙に冷媒通路425をそれぞれ設けている。つまり、冷媒通路415は、第1ステータ410のティース412よりも内側(回転軸404側)に設けられ、冷媒通路425は、第2ステータ420のティース422よりも内側(回転軸404側)に設けられている。
【0087】
さらに、図9aに、図8に示したロータ430の平面図を示す。図9aに示すロータ430は、連結部435にd軸コアを埋め込む領域431とq軸コアを埋め込む領域432とを有している。さらに、図9aに示すロータ430の内周部には軸方向に貫通する孔である冷媒通路436が設けられている。この冷媒通路36は、第1ステータ410や第2ステータ420の貫通孔の半径φDsよりも外側で、且つ冷媒通路415,425と重ならない位置設けられている。なお、図9における冷媒通路415,425の位置は、連結部435に設けられて回転軸(図示せず)用の孔と貫通孔の半径φDsとの間の部分である。また、冷媒通路436を設ける連結部435の部分の半径φDrは、貫通孔の半径φDsより大きい関係(φDr>φDs)を有している。なお、図9bに、図9aのIII−III面でロータ430を切った断面図を示す。
【0088】
このように、第1ステータ410及び第2ステータ420冷媒通路415,425とロータ430の冷媒通路436とが重ならないため、潤滑油を含んだ冷媒は第2ステータ420から第1ステータ410へと直線的に通過することができず、ロータ430及び第1ステータ410により効率的に潤滑油を冷媒から分離することができる。
【0089】
なお、図8に示すアキシャルギャップ型モータ403では、回転軸404が第1ステータ410を貫通する構成を開示しているが、本願発明はこれに限られず、回転軸404が第1ステータ410を貫通しない構成でも良い。また、図8に示す回転軸404は軸内に冷媒を通す通路は設けていないが、本発明はこれに限られず軸内に冷媒を通す通路を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータの第1ステータ及び第2ステータの平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータのロータの分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータの別の第1ステータ及び第2ステータの平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータの第1ステータ及び第2ステータの平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータの第1ステータの分解斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータの第1ステータの平面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータの第1ステータ及び第2ステータの平面図及び断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る圧縮機の縦断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータのロータの平面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0091】
10,410 第1ステータ
11,21,110,411,421 バックヨーク
12,22,112,412,422 ティース
13,23,413,423 コイル
14,24,114,414,424 コアカット部
15,25 中性点
20,420 第2ステータ
30,430 ロータ
31 界磁部
32 磁石
33,34 磁性体板
35,435 連結部
111 溝
121,122 壁
123 底部
401 密閉容器
402 圧縮機構部
403 アキシャルギャップ型モータ
404 回転軸
405 クランクピン
406 ピストン
407 圧縮室
408 上端板
409 下端板
415,425 冷媒通路
441 吸入管
442 吐出管
451,452 軸受
453 吐出ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心として回転自在に配設され、前記回転軸に平行な方向である回転軸方向における両面に前記回転軸の周りに磁極面(31)を呈する回転子(30)と、
前記回転軸方向における前記回転子(30)の一方側にギャップを隔てて配設され、略円盤状の第1磁心(11)と、前記第1磁心(11)の前記回転子(30)側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の巻芯磁心(12)と、前記回転子(30)に対向する前記第1巻芯磁心(12)の面に回転磁界を発生させるべく、前記巻芯磁心(12)に巻回された第1コイル(13)と、前記第1磁心(11)に設けられた第1コアカット部(14)とを有し、前記第1磁心がバックヨークとして機能する第1固定子(10)と、
前記回転軸方向における前記回転子(30)の他方側にギャップを隔てて配設され、略円盤状の第2磁心(21)と、前記第2磁心(21)に設けられた第2コアカット部(24)とを有する第2固定子(20)と、
を備え、
前記第1コアカット部(14)は、前記第2コアカット部(24)とは前記回転軸方向において重ならない位置に設けられているアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項2】
請求項1記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第2固定子(20)は、前記回転子(30)側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の第3磁心(22)をさらに有し、
前記巻芯磁心(12)は、前記第3磁心(22)の位置に対向して配置されているアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項3】
請求項2記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1コアカット部(14)及び前記第2コアカット部(24)のそれぞれの数は、前記巻芯磁心(12)及び前記第3磁心(22)のそれぞれの数のn分の1(n≧2)であるアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項4】
請求項1記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第2固定子(20)は、前記回転子(30)側の面に前記回転軸の周りに沿って配設された複数の第3磁心(22)をさらに有し、
前記巻芯磁心(12)は、前記第3磁心(22)に対向する位置に対して周方向にずれた位置に配置されているアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項5】
請求項4記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1コアカット部(14)及び前記第2コアカット部(24)のそれぞれは、前記巻芯磁心(12)及び前記第3磁心(22)のそれぞれの数の半分以上から同数までの数を備えているアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1固定子(10)と、前記第2固定子(20)とは、電気角が180度ずれて配置されているアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第2固定子(20)は、
前記回転子(30)に対向する前記第3磁心(22)の面に回転磁界を発生させるべく、前記第3磁心(22)に巻回された第2コイル(23)をさらに備えるアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1コアカット部(14)の周方向の位置は、前記巻芯磁心(12)の周方向の位置と、前記第2コアカット部(24)の周方向の位置は、隣り合う前記第2巻磁心(22)の間の周方向の位置と、それぞれ対応するアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1コアカット部(14)は、隣り合う前記巻芯磁心(12)同士の外周に沿う位置に設けられ、且つ前記第2コアカット部(24)は、隣り合う前記第3磁心(22)同士の外周に沿う位置に設けられているアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項10】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1磁心(110)は、外周に向かって開口して径方向に延びる複数の溝(111)を備え、
前記溝のそれぞれに前記巻芯磁心(112)が挿入され、前記巻芯磁心(112)の外周面及びこれよりも外周側の前記溝(111)で形成される開口部を前記第1コアカット部(114)とするアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項11】
請求項10記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第2磁心(21)は、外周に向かって開口して径方向に延びる複数の溝を備え、
前記溝のそれぞれに前記第3磁心(22)が挿入され、前記第3磁心(22)の外周面及びこれよりも外周側の前記溝で形成される開口部を前記第2コアカット部(24)とするアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1固定子(410)及び前記第2固定子(420)のうち、前記回転軸方向に対して上方に位置する固定子に設けられたコアカット部(414)は、前記回転子(430)の外径よりも外側に配置されるアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1固定子(410)及び前記第2固定子(420)は、前記巻芯磁心(412)及び前記第3磁心(422)よりも内側に第1冷媒通路(415,425)を有するアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項14】
請求項13記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記回転子(30)は第2冷媒通路(436)を有し、
前記第2冷媒通路(436)は、前記第1固定子(410)及び前記第2固定子(420)のうち、前記回転軸方向に対して上方に位置する固定子に設けられた前記第1冷媒通路(415,425)より外側で、且つ重ならない位置に配置されるアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項15】
冷媒を圧縮する圧縮機構部(402)と、
前記圧縮機構部(402)の上に配置され、前記圧縮機構部(402)を駆動する請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載のアキシャルギャップ型回転電機(403)と、
前記アキシャルギャップ型回転電機(403)上に設けられ、前記圧縮機構部(402)で圧縮された前記冷媒を吐出する吐出管(442)とを高圧ドーム(401)内に備える圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−51075(P2010−51075A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211696(P2008−211696)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】