説明

アクチュエータ、液滴噴射ヘッド及びその製造方法、並びに液滴噴射装置

【課題】高い信頼性を有するアクチュエータ、液滴噴射ヘッド、並びにそれらの製造方法と液滴噴射装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータ200は、第1の面を有する基板と、第1の方向に延びる複数の第1の導電層40と、第1の導電層40の少なくとも一部を、それぞれ覆うように形成された第1の部分51と、第1の部分51以外の第2の部分52aと、を有する、圧電体層50と、第1の面と直交する方向から見て、第1の導電層40の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、第1の部分51の少なくとも一部を覆う第2の導電層60と、第2の導電層60の上に形成され、第1の方向に延びる第1リード配線71と、第1リード配線71の一部を覆うように形成された保護膜80と、を含み、圧電体層50は複数の第1の開口部56を有し、圧電体層50の第1の部分51は、第1の開口部56に挟まれた部分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、液滴噴射ヘッド及びその製造方法、並びに液滴噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、画像記録装置およびディスプレー製造装置等に用いることができるインクジェットプリンター等の液滴噴射装置において、インク等の液滴を噴射するための液滴噴射ヘッドに圧電素子を有するアクチュエータを用いること知られている。このようなアクチュエータは、例えば、駆動信号等の電圧を印加することによって圧電素子の圧電体を変形させることにより、圧電素子の下方に形成される振動板等の基板を変形させて圧力室内の容積を変化させることができる。これによって、液滴噴射ヘッドは、ノズル孔から圧力室内に供給されたインクなどの液滴を噴射させることができる。
【0003】
このようなアクチュエータにおいて、圧電素子の圧電体が複数形成され、圧電体を覆う電極(以下、「上部電極」とも言う)が、複数の圧電体を連続して覆うように形成される、共通上部電極構造が、知られている(特許文献1)。共通上部電極構造のアクチュエータにおいて、圧電体に覆われる電極(以下、「下部電極」とも言う)に比べて上部電極は、複数の圧電素子の共通の電極として機能する必要があり、そのリード配線は、下部電極のリード配線よりも大きな電流を流す必要がある。そのため、上部電極のリード配線は、高い信頼性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−172878
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様態の1つは、高い信頼性を有するアクチュエータを提供することにある。
【0006】
本発明の様態の1つは、上記アクチュエータを有する液滴噴射ヘッドを提供することにある。
【0007】
本発明の様態の1つは、上記液滴噴射ヘッドを有する液滴噴射装置を提供することにある。
【0008】
本発明の様態の1つは、高い信頼性を有するアクチュエータの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の様態の1つは、上記アクチュエータを有する液滴噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の様態の1つであるアクチュエータは、
第1の面を有する基板と、
前記第1の面において、第1の方向に延び、前記第1の方向と交差する第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の導電層と、
複数の前記第1の導電層の少なくとも一部を、それぞれ覆うように形成された第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分と、を有する、圧電体層と、
前記第1の面と直交する方向から見て、前記第1の導電層の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、複数の前記第1の部分を連続して覆うように、前記第2の方向に沿って延びる第3の部分と、前記第3の部分と電気的に接続し、前記圧電体層の前記第2の部分の上に形成され、前記第1の方向において延びる第4の部分と、を有する第2の導電層と、
前記第2の導電層の前記第4の部分の上に形成され、前記第1の方向に延びる第5の部分を有する、第1リード配線と、
前記第1リード配線の少なくとも一部を覆うように形成された保護膜と、
を含み、
前記圧電体層は、前記第1の方向に延び、前記第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の開口部を有し、
前記圧電体層の前記第1の部分は、前記第1の開口部に挟まれた部分である。
【0011】
なお、本実施形態に係る記載では、「〜の上」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「〜の上」という文言を用いている。同様に、「〜の下」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
【0012】
本発明によれば、第1リード配線が保護膜によって覆われるため、第1リード配線の剥離が防止される。これによって、信頼性の高いアクチュエータを提供することができる。
【0013】
(2)本発明の様態の1つにおいて、
前記第2の導電層の前記第3の部分は、前記圧電体層の前記第2の部分の一部を更に覆い、
前記第1リード配線は、前記第5の部分と電気的に接続し、前記第2の部分の上の前記第3の部分の上に形成され、前記第2の方向に延びる第6の部分をさらに有し、
前記第6の部分も、前記保護膜によって覆われていてもよい。
【0014】
(3)本発明の様態の1つにおいて、
前記圧電体層の前記第2の部分は、前記第1の導電層の一部を露出させる第2の開口部を有し、
前記第2の開口部内において前記第1の導電層と電気的に接続する第2リード配線が形成され、
前記保護膜は、前記第2リード配線の一部を、さらに覆っていてもよい。
【0015】
(4)本発明の様態の1つにおいて、
前記保護膜は、前記第3の部分の一部を開口させる第3の開口部を有し、
前記第1の導電層と前記第2の導電層とによって挟まれた前記圧電体層の前記第1の部分を、駆動領域とし、
前記第3の開口部によって、前記保護膜から露出する前記第3の部分の一部を、第7の部分とするとき、
前記第7の部分の前記第1の方向における両端部は、前記第2の方向へ延び、前記第1の面と直交する方向から見て、複数の前記駆動領域と連続してオーバーラップしていてもよい。
【0016】
(5)本発明の様態の1つにおいて、
前記基板の前記第1の面と、前記圧電体層の前記第2の部分との間に、導電材料からなる下地層が形成されていてもよい。
【0017】
(6)本発明の様態の1つにおいて、
前記保護膜の材質は、酸化物材料、窒化物材料、感光性樹脂材料および有機−無機ハイブリット材料の少なくとも1つからなっていてもよい。
【0018】
(7)本発明の様態の1つである液滴噴射ヘッドは、上記いずれかのアクチュエータを含む。
【0019】
(8)本発明の様態の1つである液滴噴射装置は、上記の液滴噴射ヘッドを含む。
【0020】
(9)本発明の様態の1つであるアクチュエータの製造方法は、
第1の面を有する基板を準備する工程と、
前記第1の面において、第1の方向に延び、前記第1の方向と交差する第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の導電層を形成する工程と、
複数の前記第1の導電層の少なくとも一部を、それぞれ覆うように形成された第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分と、を有する、圧電体層を形成する工程と、
前記第1の面と直交する方向から見て、前記第1の導電層の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、複数の前記第1の部分を連続して覆うように、前記第2の方向に沿って延びる第3の部分と、前記第3の部分と電気的に接続し、前記圧電体層の前記第2の部分の上に形成され、前記第1の方向において延びる第4の部分と、を有する第2の導電層を形成する工程と、
前記第2の導電層の前記第4の部分の上に形成され、前記第1の方向に延びる第5の部分を有する、第1リード配線を形成する工程と、
前記第1リード配線の少なくとも一部を覆うように形成された保護膜を形成する工程と、
を含み、
前記圧電体層は、前記第1の方向に延び、前記第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の開口部を有し、
前記圧電体層の前記第1の部分は、前記第1の開口部に挟まれた部分である。
【0021】
本発明によれば、第1リード配線が保護膜によって覆われるため、第1リード配線の剥離が防止される。さらには、製造中の第1リード配線に対するプロセスダメージも防ぐことができる。これによって、信頼性の高いアクチュエータの製造方法を提供することができる。
【0022】
(10)本発明の様態の1つである液滴噴射ヘッドの製造方法は、
上記のアクチュエータの製造方法によってアクチュエータを形成する工程と、
前記基板の前記第2の面において、複数の前記第1の導電層とそれぞれオーバーラップする圧力室を有する流路形成板を形成する工程と、
をさらに含む。
【0023】
本発明によれば、第1リード配線が保護膜によって覆われるため、第1リード配線の剥離が防止され。さらには、製造中の第1リード配線に対するプロセスダメージも防ぐことができる。これによって、信頼性の高いアクチュエータを有する液滴噴射ヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
【図2(A)】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。
【図2(B)】図2(A)のIIB−IIB線における要部を模式的に示す断面図。
【図2(C)】図2(A)のIIC−IIC線における要部を模式的に示す断面図。
【図2(D)】本実施形態に係る圧電体層を模式的に示す平面図。
【図3】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図11】本実施形態に係る液体噴射装置を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を適用した実施形態の一例について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施形態およびその変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0026】
1. アクチュエータおよび液滴噴射ヘッド
以下、図面を参照して、本実施形態に係るアクチュエータおよび液滴噴射ヘッドについて説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド300の分解斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド300は、圧力室21を有する流路形成板20と、流路形成板20の上方に形成された振動板10と、振動板10の上方に形成された圧電素子100と、流路形成板20の下方に形成されたノズル板30と、圧電素子100を封止する封止板90と、を含む。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド300は、本実施形態に係るアクチュエータ200を含む。本実施形態に係るアクチュエータ200は、圧電素子100を含む圧電アクチュエータであって、振動板10を含む。
【0030】
振動板10は、プレート状の部材であって、圧電素子100が面の上方に形成される第1の面11と、第1の面11と反対の面である第2の面12とを有する。アクチュエータ200において、振動板10は、変形部を構成する。言い換えれば、後述される圧電素子100が変形することによって変形することができる。これにより、下方に形成された圧力室21の体積を変化させることができる。振動板10の構造及び材料は、弾性を有し、変形することができる限り、特に限定されない。例えば、振動板10は、図1に示すように、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。このとき、振動板10は、例えば、酸化ジルコニウムや酸化シリコンなどの絶縁膜、ニッケルなどの金属膜、ポリイミドなどの高分子材料膜、からなる複数の膜の積層体であってもよい。
【0031】
また、図1に示すように、振動板10には、後述されるリザーバ25と連通する貫通孔13が形成される。貫通孔13の形状は、リザーバ25に液体を供給でき得る限り特に限定されない。図示はされないが、貫通孔13の開口部周辺には、金属層が形成されていてもよい。
【0032】
流路形成板20は、図1に示すように、振動板10の第2の面12において形成される。言い換えれば、流路形成板20は、図1に示すように、振動板10の下方であって、第2の面12と対向するように配置される。流路形成板20は、図1に示すように、圧力室21を有する。圧力室21の上面および底面は、振動板10の第2の面12と、後述されるノズル板30と、によってそれぞれ形成される。図1に示すように、流路形成板20は、圧力室21の側壁を構成する壁部22を有する。また、流路形成板20は、圧力室21と供給路23および連通路24を介して連通したリザーバ25を有していてもよい。リザーバ25は、貫通孔13と連通し、貫通孔13を通って外部からリザーバ25内に液体が供給されてもよい。リザーバ25に液体を供給することによって、供給路23および連通路24を介して圧力室21に液体を供給することができる。圧力室21の形状は、特に限定されない。圧力室21の形状は、例えば、第1の面11の法線方向から見た平面視(以下、「平面視」とも言う)における形状が、平行四辺形であってもよく、矩形であってもよい。圧力室21の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数設けられていてもよい。流路形成板20の材質は、特に限定されない。流路形成板20は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。
【0033】
ノズル板30は、図1に示すように、流路形成板20の下方(振動板10が形成される側の反対側)に形成される。ノズル板30は、プレート状の部材であって、ノズル孔31を有する。ノズル孔31は、圧力室21に連通するように形成される。ノズル孔31の形状は、液体を吐出することができる限り、特に限定されない。ノズル孔31を介することで、圧力室21内の液体を、例えば、ノズル板30の下方(圧力室21内から、ノズル孔31の外への方向)に向けて吐出することができる。ノズル孔31の数は特に限定されず、1つであってもよい。また、ノズル孔31は、図1に示すように、複数の圧力室21にそれぞれ対応するように、複数設けられていてもよい。ノズル板30の材質は、特に限定されない。ノズル板30は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。
【0034】
本実施形態に係る液滴噴射ヘッド300の圧電素子100は、図1に示すように、振動板10の第1の面11の上に形成される。本実施形態に係るアクチュエータ200は、圧電素子100と振動板10によって構成される。以下、図2(A)〜図2(C)を参照して、本実施形態に係るアクチュエータ200の詳細について説明する。
【0035】
図2(A)は、液滴噴射ヘッド300の要部である振動板10、流路形成板20、および圧電素子100のみを便宜的に示した平面図である。なお、図2(A)の平面図は、第1の面と直交する方向から見た平面図である。図2(B)は、図2(A)に示す要部のIIB−IIB線断面図である。図2(C)は、図2(A)に示す要部のIIC−IIC線断面図である。図2(D)は、圧電体層50の要部を模式的に示した平面図である。
【0036】
以下に圧電素子100の構造についての詳細を説明する。
【0037】
図2(A)〜図2(C)に示すように、圧電素子100は、第1の面11において、第1の方向110に延びるように形成された第1の導電層40と、第1の導電層40の少なくとも一部を覆うように形成された第1の部分51と、第1の部分51以外の第2の部分52と、を有する圧電体層50と、第1の面11と直交する方向から見て、第1の導電層40の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、圧電体層50の第1の部分51の少なくとも一部を覆うように形成された第2の導電層60とを含む。
【0038】
図2(A)に示すように、振動板10は、第2の面12(図2(B)参照)において可動領域15を有する。可動領域15は、第2の面12に形成された流路形成板20の圧力室21とオーバーラップする領域である。図2(A)に示すように、可動領域15は圧力室21毎に形成されていてもよい。可動領域15は、圧力室21の平面視の形状と同じ形状を有する。
【0039】
ここで、図2(A)に示すように、第1の面11における1方向であって、可動領域15(圧力室21)の長手方向を第1の方向110とする。また、図2(A)に示すように、第1の方向110と交差する方向であって、可動領域15(圧力室21)が隣り合う方向を、第2の方向120とする。可動領域15が、第1の方向110に対して直交する方向で隣り合うように配置される場合、第2の方向120は、第1の方向110に直交する方向であってもよい。
【0040】
図2(B)に示すように、複数の可動領域15が、第2の方向120において隣り合うように形成されている場合、可動領域15の間の領域を不動領域16とする。不動領域16の下方には、流路形成板20の壁部22が形成されている。
【0041】
第1の導電層40は、図2(A)に示すように、少なくとも可動領域15において、第1の方向110に延びるように形成される。図2(A)に示すように、第1の導電層40は、第1の方向110における一方の端部が可動領域15内に形成され、他方の端部が可動領域15の外に形成されてもよい。しかしながら、第1の導電層40の第1の方向110における両端部の配置は、後述される第2導電部60と第1導電部40とによって挟まれる圧電体層50が、可動領域15内に形成される限り限定されるものではない。また、第1の面11において複数の可動領域15が形成される場合、第1の導電層40は、複数形成されてもよく、第2の方向120に沿って隣り合うように形成されてもよい。
【0042】
第1の導電層40は、導電性を有した層からなり、圧電素子100において下部電極を構成する。第1の導電層40の構造及び材料は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、第1の導電層40は、単層で形成されていてもよい。あるいは、第1の導電層40は、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。第1の導電層40は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、ニッケル(Ni)などのいずれかを含む金属層であってもよい。
【0043】
また、図2(A)においては、便宜的に省略したが、図2(B)および図2(C)に示すように、第1の面11の後述される圧電体層50の第2の部分52が形成される領域において、第1の導電層40と同じ材質からなる下地層41が形成されていてもよい。下地層41は、第1の導電層40を形成する際、第1の面11において導電膜を形成した後に第1の導電層40をパターニングしたときに、同時に形成される導電膜であってもよい。下地層41は、電圧が印加されない導電層であって、上方に圧電体層を形成する際に、圧電体の結晶成長を制御するために形成される導電層である。これによれば、後述される圧電体層50の結晶方向が均一となり、アクチュエータ200の信頼性が向上する。
【0044】
圧電体層50は、図2(A)および図2(D)に示すように、振動板10の第1の面11の上方に形成されたプレート状の部材であって、例えば、振動板10の一部を露出させ、第1の部分51と第2の部分52とを区画する開口部56を有する。第1の部分51は、図2(A)、図2(B)および図2(D)に示すように、可動領域15において、第1の導電層40の一部を覆うように形成された部分である。第2の部分52は、図2(A)、図2(B)および図2(D)に示すように、第1の部分51以外の圧電体層50を構成する部分である。
【0045】
図2(A)、図2(B)および図2(D)に示すように、圧電体層50は複数の開口部56を有する。複数の開口部56は、第2の方向120に沿って隣り合うように、複数設けられていてもよい。開口部56は、第1の方向110において延び、不動領域16にオーバーラップし、かつ、第2の方向120における両端部が、隣り合う可動領域15にそれぞれオーバーラップしていてもよい。開口部56の第1の面11の法線方向における平面視の形状は、第1の方向110に延びる長辺を有した長方形(矩形)であってもよい。前述のように、隣り合う複数の開口部56に挟まれた圧電素子50を第1の部分51とすることができる。つまりは、開口部56の形状は、後述される第1の部分51の形状に応じて適宜決定されることができる。
【0046】
図2(A)に示すように、第1の部分51は、可動領域15において第1の方向110に延びるように形成され、第1の導電層40の一部を覆っていてもよい。第1の部分51は、複数の第1の導電層40をそれぞれ覆うように、複数形成されてもよい。第1の部分51は、第2の方向120に沿って隣り合うように複数形成されていてもよい。
【0047】
圧電体層50の第1の部分51は、図2(B)に示すように、可動領域15内において、第2の方向120における両端を有していてもよい。つまりは、第1の部分51は、第2の方向120において、第1の導電層40の幅より大きく、かつ、可動領域15の幅より狭い幅を有していてもよい。第1の部分51は、図2(A)に示すように、可動領域15外においても、第1の方向110に沿うように連続して延び、第1の導電層40を覆うように形成されてもよいが、少なくとも可動領域15において、第1の導電層40を覆っていればよく、特に限定されない。第1の部分51の形状は特に限定されないが、図2(B)に示すように、第1の導電層40の上方に面53を有し、面53と連続したテーパー状の側面54を有していてもよい。つまりは、開口部56を形成する際に、第1の部分51の側面54が形成されていてもよい。
【0048】
図2(A)および図2(D)に示すように、第2の部分52は、第1の部分51以外の圧電体層50である。図2(D)に示すように、第2の部分52は、複数の第1の部分51および開口部56と、第2の方向120において隣り合うように設けられた第2の部分52aを有していてもよい。また、図2(A)および図2(D)に示すように、第2の部分52は、第1の部分51の第1の方向110における一方の端部と、リザーバ25および貫通孔13との間に設けられる第2の部分52bを有していてもよい。また、図2(D)に示すように、第2の部分52は、第1の部分51の第1の方向110における他方の端部と、第1の方向110において隣り合うように設けられ、第1の導電層40の上にて開口する開口部57が形成される第2の部分52cを有していてもよい。つまりは、第2の部分bと第2の部分52cは、複数の第1の部分51および開口部56を第1の方向110において挟むように設けられることができる。
【0049】
第2の部分52aおよび第2の部分52bは、後述される第2の導電層60および第1リード配線70が形成される領域であってもよい。また、第2の部分52cは、後述される第2リード配線76が形成される領域であってもよい。また、第2の部分52aは、第2の部分52bよりも大きい面積を有する部分であってもよい。
【0050】
また、図示はされないが、開口部57が、第2の部分52bに形成されていてもよい。この場合、第2の部分52cにおいて、第2の導電層60および第1リード配線が形成され、第2の部分52bにおいて、第2リード配線76が形成されていてもよい。
【0051】
図2(A)および図2(C)に示すように、第2の部分52cは、第1の導電層40の上で開口する開口部57を有していてもよい。開口部57は、第1の導電層40との電気的接続部分を形成するための開口部であって、いわゆるコンタクトホールであってもよい。開口部57の形状は、第1の導電層40との電気的接続が取れる限り、特に限定されない。また、図示はされないが、開口部57は、第1の部分51に形成されてもよいし、第1の部分51と第2の部分52との間に形成されていてもよい。
【0052】
また、図示はしないが、複数の第1の部分51の間の不動領域16において第1の部分51の面53より第1の面11からの高さが低い面からなる圧電体層が形成され、第1の部分51が第2の方向120において連続して形成されていてもよい。
【0053】
圧電体層50は、圧電特性を有した多結晶体からなり、圧電素子100において印加されることにより変形することができる。圧電体層50の構造及び材料は、圧電特性を有していればよく、特に限定されない。圧電体層50は、公知の圧電材料から形成されればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi、Na)TiO3)などを用いてもよい。
【0054】
第2の導電層60は、図2(A)に示すように、第1の面11と直交する方向から見て、可動領域15で、第1の導電層40の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、圧電体層50の第1の部分51の少なくとも一部を覆うように形成される。また、図2(B)に示すように、第2の導電層60は、第2の方向120において、複数の圧電体層50の第1の部分51を連続して覆うように形成される。したがって、図2(B)に示すように、第2の導電層60は、隣り合う第1の部分51の間に設けられた開口部56(不動領域16)においても形成されてもよい。ここで、図2(A)〜図2(C)に示すように、第1の面11と直交する方向から見て、第1の導電層の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、複数の前記第1の部分を連続して覆うように、前記第2の方向に沿って延びる部分を第3の部分61とする。図2(A)および図2(C)に示すように、第3の部分61は、第2の部分52bの上において、第2の方向120に延びるように設けられていてもよい。
【0055】
また、第2の導電層60は、図2(A)および図2(B)に示すように、圧電体層50の第2の部分52aの上に連続して形成されていてもよい。第2の部分52aの上では、例えば第1の方向110に延びるように設けられていてもよい。ここで、第3の部分61と電気的に接続し、圧電体層50の第2の部分52aの上に形成され、第1の方向110に延びる部分を第4の部分62とする。
【0056】
以上より、第2の導電層60は、第2の方向120に延びる第3の部分61と、第1の方向110に延びる第4の部分62とからなるL字形状を有していてもよい。また、図示しないが、第4の部分62は、第2の方向120に延びていてもよい。また、図示されないが、第2の導電層60は、第2の部分52aにおいて、第1の方向110に延びず、後述される第1リード配線70と電気的に接続していてもよい。
【0057】
図2(A)および図2(C)に示すように、第1の導電層40と第2の導電層60とによって挟まれる第1の部分51を駆動領域55とする(図2(A)における斜線部)。このとき、第2の導電層60の形状は、複数の可動領域15において駆動領域55をそれぞれ形成することができる限り、特に限定されない。図2(C)に示すように、第3の部分61は、第1の方向110における両端部が、圧電体層50の第1の部分51の上と第2の部分52bの上にそれぞれ位置していてもよい。図2(C)に示すように、第3の部分61の第1の方向110における一方の端部が、駆動領域55の第1の方向110における一方の端部を規定していてもよい。ここで、駆動領域55の第1の方向110における他方の端部は、第1の導電層40の端部によって規定されていてもよい。
【0058】
第2の導電層60の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、第2の導電層60は、単層で形成されていてもよい。あるいは、第2の導電層60は、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。第2の導電層60は、導電性を有した層からなり、圧電素子100において上部電極を構成する。第2の導電層60は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)などを含む金属層であってもよい。
【0059】
第1リード配線70は、図2(A)〜図2(C)に示すように、圧電体層50の第2の部分52aおよび52baにおいて、第2の導電層60と電気的に接続される。第1リード配線70は、第2の導電層60の上に形成された配線層であってもよい。また、図2(A)に示すように、第1リード配線70は、第2の部分52aの上で、第1の方向110に延びる第5の部分71を有していてもよい。また、第1リード配線70は、第5の部分71と電気的に接続し、第2の部分52bの上の第3の部分61の上に形成され、第2の方向120に延びる第6の部分72を有していてもよい。第6の部分72は、複数の駆動領域55と第1の方向110において隣り合うように形成されていてもよい。ここで、第5の部分71は、第6の部分72よりも配線幅が大きい配線層であってもよい。また、図2(A)に示すように、第5の部分71は、第2の部分52aにおいて、第2の導電層60の第4の部分62よりも配線幅が小さくてもよいし、図示はされないが、第4の部分62よりも配線幅が大きくてもよい。
【0060】
ここで、第1リード配線70(第5の部分71)は、後述される第2リード配線に比べて、より大きな電流を流すことを目的とし、第2リード配線76よりも大きな面積を有するように形成される。つまりは、第1リード配線70の表面積(形状)は、より大きいほど、大容量電流を流すリード配線として好適である。したがって、図2(A)に示すように、圧電体層50の第2の部分52aをできるだけ広く覆うように、第5の部分71を形成してもよい。
【0061】
また、第5の部分71は、図1に示す駆動回路210と、例えばワイヤボンディングによって電気的に接続され部分である。したがって、第5の部分71をより大きな面積で形成することによって、第1リード配線70に、より多くの端子を、より簡便に接続させることができる。また、これによって、第1リード配線70に、より多くの電流を流すことができる。
【0062】
第1リード配線70の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、第1リード配線70は、単層の導電層で形成されていてもよいし、複数の導電層の積層体から形成されてもよい。第2の導電層60と同じ材料から形成されてもよいし、第2の導電層60よりも、抵抗値が低く、導電性の良い導電材料から形成されてもよい。第1リード配線70は、例えば、ニッケル/クロム合金(NiCr)と金(Au)などを含む積層体であってもよい。
【0063】
以上のように、第2の導電層60よりも導電性の高い材料で形成された第6の部分72を設けることによって、複数の駆動領域55に対して、電圧降下を発生させずに電力を供給することができる。つまりは、第5の部分71から遠い位置にある駆動領域55の第2の導電層60に対して、第5の部分71からの電気エネルギーを第6の部分72でもって供給することにより、配線におけるエネルギー損失に起因した電圧降下を低減することができる。
【0064】
第2リード配線76は、図2(A)および図2(C)に示すように、少なくとも開口部57内の第1の導電層40と電気的に接続されるように形成される。第2リード配線76の形状は、第1の導電層40と電気的に接続する限り、特に限定はされず、所望の方向に延びていてもよい。例えば、図2(A)に示すように、第1の方向110に延びるように形成されていてもよい。
【0065】
また、図2(C)に示すように、第2の導電層60を形成する際、開口部57内に形成された導電膜である下地層76aと、下地層76aに電気的に接続するように形成された配線層76bから、第2リード配線76を形成してもよい。第2リード配線76を形成する場合、下地層76aを設けることにより、製造工程において下地層76aが第1の導電層40に対する保護膜となり、第1の導電層40に対するプロセスダメージを低減することができ、信頼性の高いアクチュエータ200を形成することができる。
【0066】
第2リード配線76の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、第2リード配線76は、単層の導電層で形成されていてもよいし、複数の導電層の積層体から形成されてもよい。第1リード配線70と同じ材料から形成されてもよい。また、第1の導電層40と同じ材料から形成されてもよいし、第1の導電層40よりも、抵抗値が低く、導電性の良い導電材料から形成されてもよい。
【0067】
以上のように、第1リード配線70および第2リード配線76によって、圧電素子100は、図1に示す駆動回路210(IC)と電気的に接続される。
【0068】
保護膜80は、図2(A)〜図2(C)に示すように、第1リード配線70の一部を覆うように形成される。第2の導電層60の上に形成された第1リード配線70の端部を覆うように形成されていてもよい。また、保護膜80は、第2の導電層60の端部を覆うように形成されていてもよい。また、図2(A)および図2(C)に示すように、保護膜80は、第2リード配線76の一部を覆っていてもよい。また、図2(A)および図2(C)に示すように、保護膜80は、駆動領域55の第1の方向110における両端部とオーバーラップするように形成されていてもよい。保護膜80が形成される領域は、保護膜80が、駆動回路210との第1リード配線70と第2リード配線76とのコンタクト領域(図示せず)および、圧電素子100の駆動領域55の全領域を覆わない限り、特に限定されない。
【0069】
例えば、図2(A)に示すように、保護膜80は、第1リード配線70(第5の部分71および第6の部分72)および第2リード配線76の駆動回路210とのコンタクト領域(図示せず)以外をすべて覆う一枚の膜であってもよい。このとき、保護膜80の第1の方向110における一方の端部は、図2(C)に示すように、下地層41の上であってもよいし、図示はされないが、振動板10の第1の面11の上であってもよいし、第2の部分52bの上であってもよい。
【0070】
また、例えば、図2(A)に示すように、保護膜80は、第2の導電層60の第3の部分61の一部を開口させる開口部81を有していてもよい。開口部81は、複数の駆動領域55の第1の方向110における両端部が、保護膜80と連続してオーバーラップするように設けられていてもよい。つまりは、開口部81によって、保護膜80から露出する第3の部分61の一部を、第7の部分65とするとき、図2(A)に示すように、第7の部分65の第1の方向110における両端部は、第2の方向120へ延び、第1の面11と直交する方向から見て、複数の駆動領域55と連続してオーバーラップしていてもよい。また、開口部81の第2の方向120における一方の端部は、図2(B)に示すように、第2の部分52aの上に形成された第2の導電層60(第4の部分62)の上に位置していてもよいし、図示はされないが、第1の部分51と、第2の部分52aとの間の開口部56内に形成された第2の導電層60の上であってもよい。また、図示はされないが、不動領域16の上方においても保護膜80が形成され、開口部81が複数形成されていてもよい。つまりは、複数の開口部81が形成されていてもよい。
【0071】
保護膜80は、第2の部分52(52a、52b、52c)の上に形成された第2の導電層60、第1リード配線70および第2リード配線76が、剥離することを防止するために設けられる膜である。したがって、保護膜80の材質は、絶縁性を有し、第1リード配線70の剥離を防止することができる限り、特に限定されない。
【0072】
保護膜80は、酸化物材料、窒化物材料、感光性樹脂材料および有機−無機ハイブリット材料の少なくとも1つから形成されてもよい。例えば、保護膜80は、酸化アルミニウム(Al)または酸化シリコン(SiO)などの酸化物材料から形成されてもよい。これによれば、樹脂膜等と比べて剛性の高い保護膜を形成することができるため、より確実に第1リード配線70の剥離を防止することができる。また、例えば、保護膜80は、窒化シリコン(Si)または窒化ホウ素(BN)などの窒化物材料から形成されてもよい。これによれば、樹脂膜等と比べて剛性の高い剛性の高い保護膜を形成することができるため、確実に第1リード配線70の剥離を防止することができる。また、例えば、保護膜80は、感光性ポリイミドなどの感光性樹脂材料から形成されてもよい。これによれば、フォトリソグラフィー技術によって、保護膜を形成することができるため、より簡便に保護膜80を形成することができる。また、例えば、保護膜80は、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの有機−無機ハイブリット材料から形成されてもよい。保護膜80の材質に有機−無機ハイブリッド材料を用いることで、柔軟性や成形性を有し、かつ、高い強度を有する保護膜80を形成することができる。
【0073】
以上のいずれかの構成により、圧電素子100を有したアクチュエータ200の構成とすることができる。
【0074】
本実施形態に係る液滴噴射ヘッド300は、図1に示すように、圧電素子100を封止することができる封止板90を有していてもよい。封止板90は、圧電素子100を所定の空間領域に封止することができる封止領域91を有している。封止領域91は、圧電素子100の変形運動を阻害しない程度の空間領域であればよい。また、封止板90は、開口部92を有していてもよい。開口部92は、貫通孔13と、リザーバ25と連通することができるため、開口部92を通じてインクなどの液体を、リザーバ25および圧力室21へ供給することができる。封止板90の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、封止板90は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。また、液体噴射ヘッド300は、例えば図1に示すように、封止板90の上方に、駆動回路210を有していてもよい。また、液滴噴射ヘッド300は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料からなり、上述された構成を収納することができる筐体を有していてもよい(図示せず)。
【0075】
以上のいずれかの構成により、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド300の構成とすることができる。
【0076】
本実施形態に係るアクチュエータ200は、例えば、以下の特徴を有する。
【0077】
本実施形態に係るアクチュエータ200によれば、圧電体層50の第2の部分52の上方に形成された第1リード配線70の一部を覆うように保護膜80が形成される。これによって、信頼性の向上したアクチュエータ200を提供することができる。
【0078】
第1リード配線70は、上述のように、複数の駆動領域55の共通の上部電極である第2の導電層60と接続されるリード配線であるため、第2リード配線76と比べて大きな電流を流す必要があり、第2リード配線76よりも、より大きな面積を有するように形成される。しかしながら、第1リード配線70の下方に形成された第2の導電層60は、圧電体層50を構成する圧電体物質との密着性が、樹脂等の他の物質と比べて良くない。したがって、第1リード配線70の第5の部分71および第6の部分72は、圧電体層50の第2の部分52a、52bから剥離する可能性がある。このような第1リード配線70の駆動回路210とのコンタクト領域以外を、保護膜80で覆うことにより、第1リード配線の剥離の可能性を低減することができる。
【0079】
また、第1リード配線70の一部を覆うように、保護膜80を形成することにより、保護膜80を形成した後の製造工程における第1リード配線70に対するプロセスダメージを防ぐことができ、アクチュエータ200または、液滴噴射ヘッド300の信頼性を向上させることができる。製造工程において詳細は後述される。
【0080】
また、保護膜80は、第2リード配線76を保護することができ、第1リード配線70と同様に、第2リード配線76の剥離の可能性を低減することができるため、アクチュエータ200の信頼性をより向上させることができる。
【0081】
また、保護膜80は、駆動領域55の第1の方向110における両端部とオーバーラップすることができる。これによれば、これによれば、圧電体層50の駆動領域55が変位することによる応力が集中しやすい両端部の変位を抑制することができ、駆動領域55の両端部周辺におけるクラック等の発生を防止することができる。したがって、アクチュエータ200の信頼性をより向上させることができる。
【0082】
以上により、本実施形態に係るアクチュエータ200よれば、高い信頼性を持つアクチュエータ200を有した液滴噴射ヘッド300を提供することができる。
【0083】
2. アクチュエータおよび液滴噴射ヘッドの製造方法
以下、図面を参照して、本実施形態に係るアクチュエータ200および液滴噴射ヘッド300の製造方法について説明する。
【0084】
図3〜図10は、本実施形態に係るアクチュエータ200および液滴噴射ヘッド300の製造方法を模式的に示す断面図である。
【0085】
本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法は、図3〜図10に示すように、第1の面11を有する基板1を準備する工程と、第1の面11において、第1の方向110に延び、第1の方向110と交差する第2の方向120において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の導電層40を形成する工程と、複数の第1の導電層40の少なくとも一部を、それぞれ覆うように形成された第1の部分51と、第1の部分51以外の第2の部分52と、を有する、圧電体層50を形成する工程と、第1の面11と直交する方向から見て、第1の導電層40の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、複数の第1の部分51を連続して覆うように、第2の方向120に沿って延びる第3の部分61と、第3の部分61と電気的に接続し、圧電体層50の第2の部分52の上に形成され、第1の方向110において延びる第4の部分62と、を有する第2の導電層60を形成する工程と、第2の導電層60の第4の部分62の上に形成され、第1の方向110に延びる第5の部分71を有する、第1リード配線70を形成する工程と、第1リード配線70の少なくとも一部を覆うように形成された保護膜80を形成する工程と、を含む。
【0086】
本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法は、流路形成板20、ノズル板30を形成するために用いられる材質が単結晶シリコン等を用いる場合と、ステンレス等を用いる場合とによって異なる。以下において、単結晶シリコンを用いた場合の液滴噴射ヘッドの製造方法を一例として記載する。本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの製造方法は、特に以下の製造方法に限定されず、ニッケルやステンレス鋼、ステンレス等を材料として用いる場合は、公知の電鋳法等の工程を含んでいてもよい。
【0087】
また、各工程の先後は、以下に記載の製造方法に限定されるものではない。例えば、圧力室21などを流路形成板20に形成した後に、圧電素子100を形成してもよいし、圧電素子100を形成し、封止板90によって圧電素子100を封止した後に、流路形成板20に圧力室21などを形成してもよい。
【0088】
まず、図3(A)に示すように、準備された単結晶シリコンからなる基板1の上に、振動板10を準備する。図3(A)に示すように、後述される製造工程において、基板1のうち、圧力室21が形成される領域を領域21a、供給路23が形成される領域を領域23a、連通路24が形成される領域を領域24a、リザーバ25が形成される領域を領域25aとする。また、図3(C)に示すように、壁部22が形成される領域を22aとする。
【0089】
振動板10は、公知の成膜技術によって形成されてもよい。図3(A)に示すように、例えば、振動板10は、弾性板を構成する弾性層10aをスパッタ法等によって形成した後、絶縁層10bを弾性層10aの上にスパッタ法等によって形成してもよい。例えば、弾性層10aは酸化ジルコニウムを用い、絶縁層10bは酸化シリコンを用いてもよい。ここで、第1の面11において、領域21aとオーバーラップした領域を可動領域15とする。なお、振動板10の詳細な説明は、上述された説明を適用することができるため、省略する。
【0090】
次に、図3(B)に示すように、振動板10の第2の面12上に第1の導電層40を形成する。ここで、第1の導電層40は、可動領域15において、第1の方向110に延びるように所望の形状にパターニングされる。第1の導電層40は、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、白金、イリジウム等をスパッタリング法等によって積層することによって導電層(図示せず)を形成し、導電層を所定の形状にエッチングすることによって第1の導電層40を形成してもよい。なお、第1の導電層40の詳細な説明は、上述された説明を適用することができるため、省略する。
【0091】
ここで、図3(C)に示すように、第1の面11の全面に導電層を成膜した後、第1の導電層40をパターニングする際、第1の面11において、少なくとも可動領域15を避けて、導電層からなる下地層41を形成してもよい。下地層41は、第1の導電層40とは電気的に絶縁された導電層である。これによれば、後述される圧電体層50の成長界面を導電層からなる界面にすることができるため、結晶成長が制御された圧電体層50を形成することができる。
【0092】
また、図4(A)に示すように、第1の導電層40を形成するための導電層がエッチングによってパターニングされる前に、該導電層の上にエッチング保護膜50aを形成し、第1の導電層40のエッチングを行ってもよい。エッチング保護膜50aは、後述される圧電体層50と同じ圧電材料から形成された圧電体層であってもよい。エッチング保護膜50aは、少なくとも、所望の形状にパターニングされる第1の導電層40が形成される領域に形成されてもよい。これによれば、第1の導電層40をパターニングするエッチング工程において、使用されるエッチャントによるダメージから第1の導電層40の表面を保護することができる。
【0093】
次に、図4(B)に示すように、第1の導電層40を覆うように圧電体層50bを形成する。圧電体層50bをパターニングすることによって、圧電体層50が形成される。詳細は後述される。圧電体層50bは、公知の成膜技術によって形成されてもよい。圧電体層50bは、例えば、公知の圧電材料である前駆体を第1の面11の上に塗布して加熱処理されて形成されてもよい。用いられる前駆体としては、加熱処理によって焼成した後、分極処理され、圧電特性を発生させるものであれば特に限定されず、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の前駆体を用いてもよい。なお、エッチング保護膜50aが形成されている場合、エッチング保護膜50aは圧電体層50b(圧電体層50)と同じ圧電材料から形成されているため、焼成後、エッチング保護膜50aは圧電体層50bと一体化することができる。
【0094】
ここで、例えば圧電対層50b(圧電体層50)をチタン酸ジルコン酸鉛によって形成する場合、図4(C)に示すように、チタンからなる中間チタン層50cを第2の面12の上の全面に形成した後に、圧電材料である前駆体を塗布してもよい。これによれば、前駆体を加熱処理によって、圧電体層50bを結晶成長させる際、該前駆体を結晶成長させる界面を中間チタン層50cで統一することができる。言い換えれば、振動板10上で結晶成長する圧電体層50bを無くすことができる。これによって、圧電体層50bの結晶成長の制御性を高めることができ、圧電体層50bが、より配向性の高い圧電体結晶となることができる。なお、中間チタン層50cは加熱処理時に圧電体層50bの結晶内に取り込まれることができる。
【0095】
次に、図5(A)に示すように、圧電体層50bがエッチングによって所望の形状にパターニングされる前に、圧電体層50bを覆うように導電性を有するマスク層60aを形成してもよい。マスク層60aは、後述される第2の導電層60と同じ材料から形成された金属層である。
【0096】
図5(B)に示すように、マスク層60aを形成後、圧電体層50bがエッチングによりパターニングされ、圧電体層50が所望の形成にパターニングされる。ここで、マスク層60aを形成することによって、マスク層60aがエッチング工程においてハードマスクとして作用するため、図5(B)に示すように圧電体層50にテーパー状の側面54を容易に形成することができる。図5(B)に示すように、圧電体層50をパターニングする際、開口部56を形成することにより、圧電体層50に第1の部分51および第2の部分52を形成することができる。図示はされないが、開口部56を形成せずに、第1の方向110に延びて、それぞれの第1の部分51を分断する溝部を形成してもよい。
【0097】
図5(C)に示すように、圧電体層50をエッチングする際、第1の導電層40上において、第1の導電層40を露出させる開口部57が同時に形成される。開口部57は、例えば、可動領域15の外に延びる第1の導電層40の上に形成されてもよい。
【0098】
なお、圧電体層50の第1の部分51および第2の部分52の詳細な説明は、上述された説明を適用することができるため、省略する。
【0099】
図6(A)に示すように、圧電体層50および開口部57を覆うように導電層60bが形成される。ここで、図6(B)に示すように、第1の部分51、第2の部分52および開口部56を連続して覆うように形成してもよい。導電層60bは、第2の導電層60と同じ材料によって形成される。導電層60bは、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、白金、イリジウム等をスパッタリング法等によって積層することによって導電層60bを形成してもよい。マスク層60aが形成されていた場合、マスク層60aは、第2の導電層60と同じ材料を用いているため、マスク層60aは導電層60bと一体化することができる。
【0100】
次に、図7(A)および図7(B)に示すように、導電層60bをエッチングによって所望の形状にパターニングし、第2の導電層60(第3の部分61および第4の部分62)を形成する。ここで、図7(A)に示すように、圧電体層50の第1の部分51において、第1の導電層40と、第2の導電層60とに挟まれた駆動領域55を規定することができる。なお、第2の導電層60の詳細な説明は、上述された説明を適用することができるため、省略する。
【0101】
また、第2の導電層60をパターニングする工程において、図7(A)に示すように、導電層60bが少なくとも開口部57を覆うようにパターニングされてもよい。つまりは、開口部57の上方に形成された導電層60bを除去しなくてもよい。例えばレジストを塗布した後、露光処理と現像処理を行ってレジスト膜を形成し、レジスト膜をマスクとしてエッチングを行う場合、有機アルカリ現像液、有機剥離液、洗浄液等が用いられる。したがって、開口部57の上方に形成された導電層60bを除去しないことで、開口部57内の第1の導電層40の表面が、オーバーエッチングされる可能性を無くすことができる。また、エッチングの後に、開口部57内の第1の導電層40の露出部分が、有機剥離液、洗浄液等に晒されて化学的ダメージを受けることを防ぐことができる。
【0102】
次に、図8(A)および図8(B)に示すように、第1および第2リード配線70、76を形成する。第1および第2リード配線70、76は、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、金、ニッケル・クロム合金等の第2の導電層60よりも導電性の良い材料をスパッタリング法等によって導電層(図示せず)を形成し、該導電層を所定の形状にエッチングすることによって第1および第2リード配線70、76を形成してもよい。なお、第1および第2リード配線70、76の詳細な説明は、上述された説明を適用することができるため、省略する。
【0103】
図9に示すように、第1リード配線70の少なくとも一部を覆うように、保護膜80を形成する。保護膜80の成膜方法は特に限定されず、公知の成膜技術によって形成される。保護膜80の材質が感光性樹脂である場合、例えば、ポリイミドなどの感光性樹脂膜を塗布法等により成膜して、フォトリソグラフィー技術によって所望の形状にパターニングして形成されてもよい。また、保護膜80の材質が酸化物材料である場合、例えば、金属膜を、公知のCVD法、蒸着法等によって成膜して、所望の形状にパターニングした後に、例えば熱酸化処理を行って酸化物材料からなる保護膜80を形成することができる。なお、保護膜80の詳細な説明は、上述された説明を適用することができるため、省略する。
【0104】
次に、図10(A)に示すように、基板1を所定の厚みに薄くし、圧力室21などを区画する。例えば、所定の厚みを有した基板1に対し、所望の形状にパターニングされるようにマスク(図示せず)を振動板10が形成された面と反対の面に形成し、エッチング処理することによって、圧力室21、壁部22、供給路23、連通路24およびリザーバ25を区画する(図示せず)。以上によって、振動板10の下方に圧力室21を有した流路形成板20を形成することができる。流路形成板11を形成した後、図10(B)に示すように、ノズル孔31を有したノズル板30を、例えば接着剤等により所定の位置に接合する。これによって、ノズル孔31は、圧力室21と連通する。
【0105】
このように、保護膜80を形成することによって、保護膜80によって覆われた第1リード配線70を、製造工程におけるプロセスダメージから保護することができる。
【0106】
次に、図10(B)に示すように、封止領域91が形成された封止板90を圧電素子100の上方より搭載する。ここで、圧電素子100は、封止領域91内に封止されることができる。封止板90は、例えば、接着剤93によって圧電素子100を封止してもよい。ここで、開口部92は、貫通孔13と連通することができる。
【0107】
以上のいずれかの方法により、アクチュエータ200および液滴噴射ヘッド300を製造することができる。なお、前述の通り、アクチュエータ200および液滴噴射ヘッド300の製造方法は、上述の製造方法に限定されずに、流路形成板20およびノズル板30を、電鋳法等を用いて一体形成してもよい。
【0108】
本実施形態に係るアクチュエータおよび液滴噴射ヘッドの製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0109】
本実施形態に係るアクチュエータ200および液滴噴射ヘッド300の製造方法によれば、第1リード配線70の一部を覆うように保護膜80を形成する工程を有するため、第1リード配線70の剥離が防止された、信頼性の高いアクチュエータ200および、アクチュエータ200を有する液滴噴射ヘッド300を提供することができる。
【0110】
また、第1リード配線70の一部を覆うように、保護膜80を形成することにより、保護膜80を形成した後の製造工程における第1リード配線70に対するプロセスダメージを防ぐことができ、アクチュエータ200または、液滴噴射ヘッド300の信頼性を向上させることができる。
【0111】
以上により、本実施形態に係るアクチュエータ200および液滴噴射ヘッドの製造方法によれば、高い信頼性を持つアクチュエータ200と、アクチュエータ200を有する液滴噴射ヘッド300を提供することができる。
【0112】
3. 液体噴射装置
次に、本実施形態に係る液体噴射装置について説明する。本実施形態に係る液体噴射装置は、本発明に係る液滴噴射ヘッド300を有する。ここでは、本実施形態に係る液体噴射装置1000がインクジェットプリンターである場合について説明する。図11は、本実施形態に係る液体噴射装置1000を模式的に示す斜視図である。
【0113】
液体噴射装置1000は、ヘッドユニット1030と、駆動部1010と、制御部1060と、を含む。また、液体噴射装置1000は、装置本体1020と、給紙部1050と、記録用紙Pを設置するトレイ1021と、記録用紙Pを排出する排出口1022と、装置本体1020の上面に配置された操作パネル1070と、を含むことができる。
【0114】
ヘッドユニット1030は、例えば、上述した液滴噴射ヘッド300から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット1030は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ1031と、ヘッドおよびインクカートリッジ1031を搭載した運搬部(キャリッジ)1032と、を備える。
【0115】
駆動部1010は、ヘッドユニット1030を往復動させることができる。駆動部1010は、ヘッドユニット1030の駆動源となるキャリッジモータ1041と、キャリッジモータ1041の回転を受けて、ヘッドユニット1030を往復動させる往復動機構1042と、を有する。
【0116】
往復動機構1042は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸1044と、キャリッジガイド軸1044と平行に延在するタイミングベルト1043と、を備える。キャリッジガイド軸1044は、キャリッジ1032が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ1032を支持している。さらに、キャリッジ1032は、タイミングベルト1043の一部に固定されている。キャリッジモータ1041の作動により、タイミングベルト1043を走行させると、キャリッジガイド軸1044に導かれて、ヘッドユニット1030が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0117】
制御部1060は、ヘッドユニット1030、駆動部1010および給紙部1050を制御することができる。
【0118】
給紙部1050は、記録用紙Pをトレイ1021からヘッドユニット1030側へ送り込むことができる。給紙部1050は、その駆動源となる給紙モータ1051と、給紙モータ1051の作動により回転する給紙ローラ1052と、を備える。給紙ローラ1052は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラ1052aおよび駆動ローラ1052bを備える。駆動ローラ1052bは、給紙モータ1051に連結されている。制御部1060によって供紙部1050が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット1030の下方を通過するように送られる。
【0119】
ヘッドユニット1030、駆動部1010、制御部1060および給紙部1050は、装置本体1020の内部に設けられている。
【0120】
液体噴射装置1000では、本発明に係る液滴噴射ヘッド300を有することができる。本発明に係る液滴噴射ヘッド300は、上述のように、高い信頼性を持つ圧電アクチュエータを有することができる。そのため、高い信頼性を有する液体噴射装置1000を得ることができる。
【0121】
なお、上述した例では、液体噴射装置1000がインクジェットプリンターである場合について説明したが、本発明のプリンタは、工業的な液体噴射装置として用いられることもできる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したもの、または、メタルフレーク等を含むものなどを用いることができる。
【0122】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0123】
1 基板、10 振動板、11 第1の面、12 第2の面、13 貫通孔、
15 可動領域、16 不動領域、20 流路形成板、21 圧力室、21a 領域、
22 壁部、22a 領域、23 供給路、23a 領域、24 連通路、
24a 領域、25 リザーバ、25a 領域、30 ノズル板、
31 ノズル孔、40 第1の導電層、41 下地層、50 圧電体層、
50a 保護層、50b 圧電体層、50c 中間チタン層、51 第1の部分、
52 第2の部分、52a 第2の部分、52b 第2の部分、52c 第2の部分、
53 面、54 側面、55 駆動領域、56 開口部、57 開口部、
60 第2の導電層、60a 導電層、60b 導電層、61 第3の部分、
62 第4の部分、65 第7の部分、70 第1リード配線、71 第5の部分、
72 第6の部分、80 保護膜、81 開口部、90 封止板、91 封止領域、
92 開口部、100 圧電素子、110 第1の方向、120 第2の方向、
200 アクチュエータ、300 液滴噴射ヘッド、1000 液体噴射装置、
1010 駆動部、1020 装置本体、1021 トレイ、1022 排出口、
1030 ヘッドユニット、1031 インクカートリッジ、1032 キャリッジ、
1041 キャリッジモータ、1042 往復動機構、1043 タイミングベルト、1044 キャリッジガイド軸、1050 給紙部、1051 給紙モータ、
1052 給紙ローラ、1060 制御部、1070 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する基板と、
前記第1の面において、第1の方向に延び、前記第1の方向と交差する第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の導電層と、
複数の前記第1の導電層の少なくとも一部を、それぞれ覆うように形成された第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分と、を有する、圧電体層と、
前記第1の面と直交する方向から見て、前記第1の導電層の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、複数の前記第1の部分を連続して覆うように、前記第2の方向に沿って延びる第3の部分と、前記第3の部分と電気的に接続し、前記圧電体層の前記第2の部分の上に形成され、前記第1の方向において延びる第4の部分と、を有する第2の導電層と、
前記第2の導電層の前記第4の部分の上に形成され、前記第1の方向に延びる第5の部分を有する、第1リード配線と、
前記第1リード配線の少なくとも一部を覆うように形成された保護膜と、
を含み、
前記圧電体層は、前記第1の方向に延び、前記第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の開口部を有し、
前記圧電体層の前記第1の部分は、前記第1の開口部に挟まれた部分である、アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の導電層の前記第3の部分は、前記圧電体層の前記第2の部分の一部を更に覆い、
前記第1リード配線は、前記第5の部分と電気的に接続し、前記第2の部分の上の前記第3の部分の上に形成され、前記第2の方向に延びる第6の部分をさらに有し、
前記第6の部分も、前記保護膜によって覆われる、アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記圧電体層の前記第2の部分は、前記第1の導電層の一部を露出させる第2の開口部を有し、
前記第2の開口部内において前記第1の導電層と電気的に接続する第2リード配線が形成され、
前記保護膜は、前記第2リード配線の一部を、さらに覆う、アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記保護膜は、前記第3の部分の一部を開口させる第3の開口部を有し、
前記第1の導電層と前記第2の導電層とによって挟まれた前記圧電体層の前記第1の部分を、駆動領域とし、
前記第3の開口部によって、前記保護膜から露出する前記第3の部分の一部を、第7の部分とするとき、
前記第7の部分の前記第1の方向における両端部は、前記第2の方向へ延び、前記第1の面と直交する方向から見て、複数の前記駆動領域と連続してオーバーラップする、アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
前記基板の前記第1の面と、前記圧電体層の前記第2の部分との間に、導電材料からなる下地層が形成された、アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、
前記保護膜の材質は、酸化物材料、窒化物材料、感光性樹脂材料および有機−無機ハイブリット材料の少なくとも1つからなる、アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のアクチュエータを含む、液滴噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の液滴噴射ヘッドを含む、液滴噴射装置。
【請求項9】
第1の面を有する基板を準備する工程と、
前記第1の面において、第1の方向に延び、前記第1の方向と交差する第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の導電層を形成する工程と、
複数の前記第1の導電層の少なくとも一部を、それぞれ覆うように形成された第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分と、を有する、圧電体層を形成する工程と、
前記第1の面と直交する方向から見て、前記第1の導電層の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、複数の前記第1の部分を連続して覆うように、前記第2の方向に沿って延びる第3の部分と、前記第3の部分と電気的に接続し、前記圧電体層の前記第2の部分の上に形成され、前記第1の方向において延びる第4の部分と、を有する第2の導電層を形成する工程と、
前記第2の導電層の前記第4の部分の上に形成され、前記第1の方向に延びる第5の部分を有する、第1リード配線を形成する工程と、
前記第1リード配線の少なくとも一部を覆うように形成された保護膜を形成する工程と、
を含み、
前記圧電体層は、前記第1の方向に延び、前記第2の方向において互いに隣り合うように設けられた複数の第1の開口部を有し、
前記圧電体層の前記第1の部分は、前記第1の開口部に挟まれた部分である、アクチュエータの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載されたアクチュエータの製造方法によってアクチュエータを形成する工程と、
前記基板の前記第1の面と反対側の第2の面において、複数の前記第1の導電層とそれぞれオーバーラップする圧力室を有する流路形成板を形成する工程と、
をさらに含む、液滴噴射ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図2(C)】
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【図2(D)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−165916(P2011−165916A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27318(P2010−27318)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】