ウェブの位置を表示するためのシステム及び方法
可撓性ウェブの変位を表示するための方法及びシステムについて記載する。細長い可撓性ウェブは、目盛り構造を有する一体的な目盛りを含み、その目盛り構造は、ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成される。移送構造は、ウェブと変換器との相対運動をもたらす。変換器は、目盛り構造によって変調されたエネルギーを検知し、変調されたエネルギーに基づいて連続的なウェブの変位を表示する信号を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2007年6月19日に出願された「ウェブの位置を表示するためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR INDICATING THE POSITION OF A WEB)」という名称の米国特許仮出願第60/944,882号の優先権を主張するものであり、この仮出願の開示内容はこの参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、可撓性の細長いウェブの位置を表示するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性の電子部品及び光学部品を含む多数の物品の製作は、細長い基材又はウェブ上に堆積された又は形成された材料の層同士の位置合わせを伴う。ウェブ上の材料層の形成は、連続的なプロセス又は複数の工程を含んだステップアンドリピートプロセスで行われることができる。例えば、材料のパターンが、複数の堆積工程を通じて細長いウェブ上の層に堆積されて、積層型の電子デバイス又は光学デバイスを形成することができる。一部の積層型物品は、ウェブの片面又は両面に施される構造の正確な位置合わせを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
層同士の位置合わせを達成するためには、ウェブが多数の製造工程を進むときに、横方向のクロスウェブの位置調整及び長手方向のダウンウェブの位置調整が維持されなければならない。ウェブ上に形成された層同士の位置合わせを維持することは、ウェブが可撓性である又は伸張性であるとき、より複雑なものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、可撓性の細長いウェブの位置を表示するための方法及びシステムに関する。一実施形態は、ウェブの位置を表示するための方法に関する。移動する可撓性ウェブは、ウェブ上に配置された複数の別個の目盛り構造を含む。磁場、電場又は電磁場などのエネルギー場は、目盛り構造を使用して変調される。変調されたエネルギーは、ウェブの変位を連続的に測定する信号に変換される。例えば、この信号は、ウェブの連続的な長手方向の変位、連続的な横方向の変位及び/又は角度回転を含めて、1以上の並進自由度及び/又は回転自由度のウェブを連続的に測定するために使用することができる。この信号は、ウェブの位置を決定するために、ウェブの移動を制御するために並びに/又は、ウェブの温度、弾性係数及び/若しくはウェブのひずみなどウェブ若しくは周囲環境の他のパラメータを測定するために使用することができる。
【0006】
本開示のいくつかの態様によれば、目盛り構造は、ウェブに向けられた光を変調するために使用される光学的な目盛り構造を備えてもよい。ウェブは透明であっても透明でなくてもよい。透明なウェブに対し、一実現形態は、透明なウェブを通じて透過させた光を検出することを含む。ウェブの変位は、透過させた光に基づいて表示される。
【0007】
あるいは、ウェブの変位は、反射された光に基づいて表示されてもよい。光学的な目盛り構造によってもたらされる変調に加えて、光の変調をもたらすために、1つ以上の走査レチクルが使用されることができる。
【0008】
本開示の別の実施形態は、ウェブの位置を表示するためのシステムに関する。このシステムは、一体的な目盛りがウェブ上に配置された細長い可撓性ウェブを含む。目盛りは、ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成された目盛り構造を備える。移送機構は、ウェブと変換器とが相対移動するように構成される。変換器は、目盛り構造によって変調されたエネルギーを検出し、変調されたエネルギーに基づいて連続的なウェブの変位を表示する信号を生成する。このシステムはまた、変換器によって生成された信号に基づいてウェブの変位及び/又はウェブの位置を決定するプロセッサを含んでもよい。このシステムはまた、表示された位置に基づいてウェブの移動を制御するウェブ運動コントローラを含んでもよい。
【0009】
特定の実施形態において、目盛り構造は、ウェブに向けられた光を変調するように構成された光学的な構造を備えてもよい。光を更に変調する1つ以上の走査レチクルが含まれてもよい。
【0010】
透過モードで動作すると、目盛りは、透明なウェブに向けられた光の一部分を、ウェブを透過させることによって、光を変調する。変換器は、透過させた光を検出し、透過させた光に基づいてウェブの変位を表示する信号を生成する。反射モードで動作すると、目盛りは、光の一部分を変換器に反射することによって光を変調する。変換器は、反射された光を検出し、反射された光に基づいてウェブの変位を表示する信号を生成する。
【0011】
本開示の別の実施形態は、一体的な目盛りを有する可撓性の細長いウェブを備える装置に関する。この目盛りは、ウェブ上に配置された目盛り構造のパターンを備え、これらの目盛り構造は、ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成される。この目盛り構造は、全反射によって光を反射するように構成された光学プリズムであってもよい。変調されたエネルギーは、ウェブの長手方向及び/若しくは横方向の変位並びに/又はウェブの角度回転の連続的な表示を与える。特定の実施形態において、この変調されたエネルギーは、ウェブの移動を制御するため並びに/又は、ウェブの温度、弾性係数及び/若しくはウェブのひずみなど、ウェブ若しくは周囲環境の他のパラメータを測定するために使用されてもよい。
【0012】
ウェブ上に配置された目盛り構造に加えて、ウェブは、ウェブ構造のパターンも含んでよい。可撓性ウェブの曲げ半径は、例えば、約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満又は約5mm未満とさえなり得る。
【0013】
上記の本開示の概要は、本開示の各実施形態又はすべての実現形態を記載することを意図したものではない。本開示の利点及び成果は、本発明のより完全な解釈と共に、添付の図面に関連してなされた以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって明らかになり、また理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の実施形態による、ウェブの変位を決定するための及びウェブの位置合わせのための方法を示すフローチャート。
【図2A】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステム。
【図2B】本開示の実施形態による、透過モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステム。
【図2C】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステム。
【図2D】本開示の実施形態による、透過モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステム。
【図2E】本開示の実施形態による、ウェブ上に長手方向に配置された目盛り構造。
【図2F】本開示の実施形態による、ウェブ上に長手方向に配置された目盛り構造。
【図2G】本開示の実施形態による、ウェブ上に横方向に配置された目盛り構造。
【図2H】本開示の実施形態による、ウェブ上に横方向に配置された目盛り構造。
【図2I】本開示の実施形態による、長手方向の変位測定と横方向の変位測定のためのチェッカー盤パターンで配置された目盛り構造。
【図3A】光検出器の表面における光強度のグラフ。この光強度は、本開示の実施形態による目盛り構造によって変調されている。
【図3B】複式光検出器の表面における光強度のグラフ。この光強度は、本開示の実施形態による、90°の位相差を持つ正弦波状の光強度を達成する目盛り構造及び走査レチクルによって変調されている。
【図4A】本開示の実施形態による、一体的な目盛り構造を有するウェブを備えたロール品の図。
【図4B】本開示の実施形態による、一体的な目盛りを有し、更にウェブ上に堆積されたパターン構造も有するウェブを備えたロール品の図。
【図4C】本開示の実施形態による、ウェブから分離された目盛りの図。
【図5A】本開示の実施形態による、ウェブの変位を表示するための全反射の利用。
【図5B】本開示の実施形態による、光の全反射をもたらしてウェブの変位を表示するように構成された直角(right regular)プリズムを備える目盛り構造。
【図6A】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステムの一部分。
【図6B】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステムの一部分。
【図7A】本開示の実施形態による、ウェブの一方の表面上に長手方向に配置された目盛り構造及びウェブの裏側上の第2のパターン。
【図7B】本開示の実施形態による、ウェブの一方の表面上に長手方向に配置された目盛り構造、及びウェブの裏側上の第2のパターン。
【0015】
本開示は様々な修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部が、一例として図面に示されており、また詳しく説明される。しかしながら、その意図は、説明する特定の実施形態に本開示を限定することではないことが理解されよう。逆に、その意図は、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲に含まれるすべての修正物、等価物及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
製造プロセスで基材として使用されるウェブの位置を表示するための改良された方法及びシステムが必要とされている。本開示は、これら及び他の必要性に応えると共に、先行技術を上回る他の利点を提供する。
【0017】
例示される実施形態の以下の説明において、添付の図面が参照されるが、その図面は本願の一部をなすものであり、また、本開示が実施され得る様々な実施形態を実例として示すものである。本開示の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態が利用されることができ、また、構造的な変更がなされ得ることが理解されよう。
【0018】
本開示の実施形態は、一体に形成された又はウェブ上に配置された目盛りを使用して、ウェブ変位を表示するために、ウェブの位置を決定するために及び/又は可撓性ウェブの移動を制御するために使用され得る方法及びシステムを例示するものである。目盛りは、エネルギーを変調させてウェブの変位を表示する複数の目盛り構造を含む。例えば、目盛り構造は、電場、磁場又は電磁場のエネルギーを変調させてもよい。様々な実施形態において、目盛り構造は、電磁場(すなわち光)のエネルギーを変調させてもよく、変調されたエネルギーは光センサーによって検知される。別の実施形態において、目盛り構造は、電場のエネルギー、例えば容量センサーによって検知された電場エネルギーを変調させてもよく及び/又は、磁場のエネルギー、例えば誘導センサーによって検知された磁場エネルギーを変調させてもよい。
【0019】
一体的な目盛りを使用する連続的なウェブの並進及び/又は回転の変位の表示は、1つ又は複数の連続的な製造工程においてウェブ上にパターン構造を堆積する間、ウェブの位置を決定するために、また可撓性ウェブの移動を制御するために用いられることができる。例えば、本明細書で示される本開示の実施形態と共に説明される目盛りは、連続的なウェブの変位を表示するために使用されてもよい。ウェブの変位の表示により、ロールツーロール製造プロセスの間、ウェブ上に堆積されるか、ないしは別の方法で形成されるパターン構造の複数の層同士の位置合わせが容易となる。本明細書で説明される目盛りは、可撓性ウェブ上にパターン構造の連続的な層を形成するために複数の堆積工程を必要とする可撓性の多層電子デバイス又は光学デバイスの製造に特に有用である。
【0020】
本明細書で説明される手法は、ウェブ処理の用途で一般に生じるウェブのひずみの変化を自動的に補正するために使用されてもよい。特定の製造プロセスでは、ウェブの伸張又は収縮によって発生する変形など、ウェブが永久的に変形されるような、ウェブの一時的な又は永久的な変化が発生することがある。本開示の実施形態は有利にも、ウェブの一時的な又は永久的な変化に対する補正をもたらす。例えば、いくつかの実施形態において、目盛り構造は、多層の電子デバイス又は光電子デバイスを形成するために使用されるウェブパターン構造の第1の層などのウェブパターン構造の層と実質的に同時にウェブ上に堆積される。目盛り構造とウェブパターン構造が堆積されるとき、ウェブ上に堆積されるパターン構造と目盛り構造は、同じ量のウェブのひずみを受ける。目盛り構造は、後に続くプロセスにおけるウェブのひずみの量にかかわらず、第1の層のウェブパターン構造の横方向位置、長手方向位置及び/又は角度回転を正確に追跡するために使用されることができる。ウェブのひずみが増加する(すなわちウェブが更に伸張される)と、目盛り構造は、ウェブ上に形成された対応するウェブパターン構造と共に伸張される。この現象により、目盛り構造で生成された信号を使用して、ウェブ上に堆積されたウェブ構造の位置をより正確に追跡することが可能となる。
【0021】
本明細書における様々な実施形態に従って説明される目盛りを使用すると、ウェブが伸張される場合でも、同時に堆積されるウェブパターン構造との正確な位置合わせが達成されることができる。ウェブ上に形成された層同士の位置合わせを維持することは、ウェブが可撓性である又は伸縮性であるとき、より複雑なものとなる。とりわけ、本開示の手法は、ガラスなどの硬質な基材とは対照的に、プラスチックウェブ又は他の可撓性ウェブ上に目盛り構造を複製することが可能になるという点で特に有用である。例えば、本開示の実施形態による目盛りが上に配置された可撓性ウェブは、例えば、約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満又は約5mm未満の曲げ半径を有することができる。
【0022】
ウェブの並進変位及び/若しくは角度回転を表示することに加えて又はそれに代わって、目盛りはまた、ウェブの様々なパラメータ又はウェブを囲む周囲環境を測定するために使用されてもよい。例えば、以下により詳細に議論されるように、目盛りは、ウェブの温度及び/若しくは弾性係数を測定するために使用されてもよく、並びに/又は、ウェブのひずみを測定するために使用されてもよい。
【0023】
図1は、本開示の実施形態による、可撓性ウェブ上の一体的な目盛りを使用してウェブパターン構造を位置合わせするためのプロセスを示すフローチャートである。これらの実施形態によれば、可撓性ウェブ上に形成された又は配置された目盛り構造は、ウェブに向けられた光エネルギーなどのエネルギー場を変調させる(110)。例えば、一実現形態において、目盛り構造は、ウェブ上に長手方向に配置された一連の別個の目盛り構造を備えてもよい。長手方向に配置された目盛り構造は、長手方向変位を決定するために測定されることができるエネルギー変調用に構成されている。別の実現形態において、目盛り構造は、長手方向に配置された別個の目盛り構造の第1の組と、横方向に配置された目盛り構造のもう1つの組と、を備えてもよい。長手方向及び横方向の目盛り構造は、ウェブの長手方向及び横方向の変位を決定するためにエネルギーを変調するように構成され、またウェブの角度回転を決定するために使用されてもよい。変換器は、変調されたエネルギーをウェブの連続的な並進変位及び/又は角変位を表示する出力信号へと変換する(120)。例えば、出力信号は、離散的な増分で与えられるウェブの変位又は位置の情報と比べて、ウェブの変位又は位置の連続的な情報で与えられるアナログ出力信号を含んでもよい。この手法により、1自由度以上のウェブが測定されることができる。アナログ出力信号は、ウェブの長手方向の変位、横方向の変位及び/又は角度回転を連続的に示すことができる。ウェブの位置及び/又は角度回転は、変換器信号から決定することができる(130)。ウェブの位置の情報を使用して、ウェブは、ウェブパターン構造の堆積のために位置合わせされる(140)。
【0024】
連続的なウェブの変位を表示するために、様々なタイプの目盛り構造が、適合するセンサーと共に使用されてもよい。目盛り構造は、例えば電場エネルギーを変調してもよく、磁場エネルギーを変調してもよく、あるいは光を変調してもよい。本開示の実施形態は、光学的な目盛り構造及び適合する光センサーに関して説明されているが、連続的なウェブの変位を表示する信号を生成するようにエネルギー場を変調する任意のタイプの目盛り構造/センサーの構成が使用されてもよい。
【0025】
図2A〜2Dは、ウェブの並進変位若しくは角変位を表示するために及び/又は変位測定から導出されるウェブのパラメータを決定するために、可撓性ウェブ上の目盛り構造によるエネルギーの変調を使用するシステムの図である。本開示の原理は、適合する光センサーと共に使用される光学的な目盛り構造に関連して説明されるが、エネルギーを変調し検知する他の任意のタイプの目盛り構造とセンサーの構成が、代わりに使用され得ることが理解されよう。図2A〜2Bは、ウェブの変位を表示するために使用される光学的システムを示している。このシステムは、移動する可撓性ウェブ205に光211を向ける光源210を含む。ウェブパターン構造の堆積を容易にするようにウェブの張力及び位置を維持しながらウェブ205を移動させるために、ローラー230を含む移送システムが使用されている。ウェブ205は、光源210及び光センサー220の固定位置に対して運動している。
【0026】
図2Aのシステムは、反射モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステムを示している。反射モードにおいて、複数光源の配列であってもよい光源210及び1つ以上の光センサー220は、ウェブの同じ表面206の近くに配置される。光源210は、光211をウェブ205の表面206に向ける。光の一部分は、光学的な目盛り構造215によって光センサー220に向かって反射される。光センサー220は、反射された光を検知し、連続的なウェブの変位を表示するアナログ出力信号を生成する。この実施形態において、ウェブ205は、透明であっても透明でなくてもよい。ウェブ205が透明である構成において、光221の一部分は、ウェブ205を透過させることができる。ウェブ205が透明である場合、目盛り構造215がウェブ205のいずれかの表面206、207上又は双方の表面上に配置されてよいことが理解されよう。
【0027】
図2Bは、透過モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステムを示している。この構成において、光源210及び光センサー220は、ウェブ205の反対側の表面206、207上に配置される。光源210は、光211をウェブ205の表面206に向ける。光の一部分212は、目盛り要素215によって反射される。光の別の部分221は、透明なウェブ205を通過して光センサー220へと進む。光センサー220は、透過させた光221を検知し、ウェブの変位を表示するアナログ出力信号を生成する。
【0028】
図2A及び2Bのシステムに対する光センサー220の活性表面222における光強度が、図3Aの光強度のグラフ310により示されている。光強度のグラフ310は、実質的に正弦波状であり、最高強度の点にある頂部及び低強度の点にある谷部を有している。光センサー220は、活性表面222において光を検知し、光センサー220の活性表面222における光強度を追跡する正弦波状のアナログ出力信号を生成する。
【0029】
図2C及び2Dは、反射モード(図2C)及び透過モード(図2D)によって表示されるウェブの変位を使用してウェブの位置を制御するためのシステムを示している。図2C及び2Dにおけるウェブの位置を表示するために使用されている構成要素は、図2C〜2Dのシステムがそれぞれ1つ以上の走査レチクル240及び複数の光センサー250、255を更に含むことを除き、図2A及び2Bの構成要素にそれぞれ類似している。ウェブ205は、光源210、走査レチクル240及び光センサー250、255の固定位置に対して運動している。
【0030】
走査レチクル240は、ウェブ205から短い距離に置かれており、そのため、レチクル窓241により、ウェブ205に向けられた光の一部分が、レチクル240を通過することが可能となっている。窓241同士の間のレチクル240の領域242は、光の一部分を遮断する。
【0031】
図6Aに示される別の実施形態において、1つ以上の光センサー220が「ロールの上に(on the roll)」置かれている。本明細書において使用される「ロールの上に」という語句は、システム内のロールのうちの1つに近接し、かつ、ウェブ上の光学的な目盛り要素のうちの1つ以上から反射された光を、それらの目盛り要素が上にあるウェブの一部分がロールと接触しているときに受容するように構成された光センサーの場所を指す。そのような実施形態は、光センサーにより検知される信号に付随し得る雑音を最小にすることによって、利点をもたらすことができる。センサーが「ロールから離れた(off the roll)」実施形態(例えば図2A〜2D)においては、ウェブ自体の振動が、反射された光の雑音を増加させることがある。図6Bに示されるように、この例示的な実施形態における光源は、ウェブの上方に置かれることができる。本明細書では示されていないが、別の例示的な実施形態が、光源をロール自体の中に有する透明なロールを使用することを含み得る。そのような実施形態は、(上で説明されたような)透過モードで機能する。
【0032】
センサーがロールから離れて置かれる実施形態(図2A〜2Dに例示したような実施形態など)は、光源とウェブとの間に空隙があるという利点をもたらす。センサーがロールの上にある実施形態において、空隙は必ずしも存在しない。そのような実施形態においては、空隙が存在しないことに対して補正する目的で、ウェブ又はロールに対して、必要ではないが変更を行うことができる。
【0033】
空隙が存在しないことに対して補正するためのそのような一方法には、ロールの表面を変更することが挙げられる。必ずしもそうではないが多くの場合、ロールは、実際には反射性である(例えばステンレス鋼)。したがって、ロールは、艶のない表面を有するように作製されることができる。例えば、ロールの表面を反射性のものから艶のないものに変更することにより、光学的な目盛り要素(反射性である)と相互作用している光線は、ロールと相互作用している光線と、より容易に区別されることができる。ロールの表面を変更するもう1つの方法は、異なる色でロールを作製することであろう。ある実施形態において、ロールは暗色を有するように作製されることができ、それによって(例えば)反射性のロールよりも多くの光が吸収される。これらの例示的な方法のどちらでも、2つの光線(一方は光学的な目盛り要素と相互作用し、もう一方はロールと相互作用する)の間のコントラストを増加させることができる。
【0034】
空隙がなくなることに対して補正する別の方法は、ウェブとロールとの間に空隙を生じさせることである。この空隙は、生じさせた場合、ウェブを通り抜けロールから反射する光を屈折させるように働く。(ウェブを構成する材料に対する)空気の屈折率により、ウェブを通され、次いで空隙を貫いて進み、次いでロールから反射され、次いで再び空隙を貫いて進み、次いで再びウェブを貫いて進んだ光は、光学的な目盛り要素から反射された光とは異なる角度及び(関係する構成要素のすべての透過率に応じて)異なる強度を有することになる。
【0035】
ロールとウェブとの間に間隙を生じさせ維持するために、ロールとウェブの裏側との間の空隙は、例えば、ウェブの裏面上に構造体を提供することによって生じさせることができる。図7Aは、そのような間隙を生じさせる例示的な一方法を示している。図7Aにおいて、ウェブ205は、他の例示的なウェブが有していたように、光学的な目盛り要素215を含むが、ロールとウェブ205との間に空隙を生じさせるように働く間隙構造体715を更に含む。
【0036】
図7Bは、ウェブとロールとの間に空隙を生じさせる別の方法を例示している。この方法は、ウェブの代わりにロールを改良するものである。図7Bに示されるように、このロールは、くぼんだ部分720を含み、このくぼんだ部分720は、光学的な目盛り要素215の場所においてウェブとロールとの間に間隙をもたらすように働く。図2A〜2Dに示されるように、光センサー250、255は、センサー250、255の表面に存在する光を検知し、独立した出力信号を生成する。走査レチクル240を使用することで、光センサーにおける光強度は、図3Bに示される、90°位相シフトした2つの対称的な正弦波状の信号320、330に対応する。光センサー250、255の表面における光強度を追跡する出力信号が、ウェブの位置を表示するために、光センサー250、255によって発生される。
【0037】
光センサー250、255によって生成された出力信号320、330は、ウェブの位置を決定するために、ウェブ位置プロセッサ260によって解析される。位相シフトした信号320、330を使用して、ウェブ位置プロセッサ260は、光センサーに対するウェブの位置と運動の方向との双方を決定することができる。この情報は、ウェブの移動を制御するために、ウェブ動作コントローラ270によって使用される。
【0038】
いくつかの実施形態において、ウェブの並進変位及び/若しくは角変位を検知するために、並びに/又はウェブのパラメータを決定するために、複数の光源及び/又は複数の光センサーが使用されてもよい。複数のセンサーの組み合わせを使用するシステムは、信号の冗長性をもたらして、システムをより頑健にする。いくつかの実施形態において、1よりも覆いの目盛り構造、例えば約3個〜20個の構造によって変調されたエネルギーが使用されて、センサー出力信号が発生される。出力信号は、複数の構造によって変調されたエネルギーを平均するか、ないしは別の方法で組み合わせてもよい。この構成において、1つの構造若しくは複数の構造が損傷した又は埃で不明瞭となった場合、平均された出力信号は、受ける影響が最小となる。
【0039】
目盛り構造は、長手方向に配置された構造、横方向に配置された構造又は長手方向に配置された構造及び横方向に配置された構造との双方の組み合わせを含んでもよい。図2E及び2Fに示されるように、一実施形態において、1組の目盛り構造230が、長手方向の変位の測定のために、ウェブ205の頂部207、底部206又は両表面206、207上に配置されてもよい。図2A〜2Dに示されるように、1組の光源及びセンサー構成要素が、長手方向の目盛り構造230によって変調されたエネルギーを検出し、ウェブ205の長手方向の変位を表示する信号を生成するように構成され並びに/又は、他のウェブパラメータを測定するために使用されてもよい。図2G及び2Hに示される一実施形態において、1組の目盛り構造240が、横方向の変位の測定のために、ウェブ205の頂部207、底部206又は両表面206、207上に配置されてもよい。1組の光源とセンサー構成要素が、横方向の目盛り構造によって変調されたエネルギーを検出し、ウェブの横方向の変位を表示する信号を生成するように構成されており、並びに/又は、他のウェブのパラメータを測定するために使用されてもよい。
【0040】
図2E〜2Hに示される目盛り構造は、直線的な三角プリズムであり、この三角プリズムは、約数マイクロメートルに及ぶ、プリズムピッチ及びプリズム間距離を有していてもよい。このタイプのプリズムに対する好都合な寸法には、約40μmのプリズムピッチ及び約20μmのプリズム間距離が挙げられる。
【0041】
長手方向の目盛り構造及び横方向の目盛り構造の双方並びに適合する光源/センサーの組み合わせを使用することで、長手方向及び横方向のウェブの変位及び角変位の表示が可能となる。図2Iは、ウェブ205の上表面207上に配置された長手方向の目盛り構造230及び横方向の目盛り構造240の双方を持つウェブを示している。長手方向及び横方向の目盛り構造230、240は、ウェブ205の両側に又はウェブの同じ側に配置されてよい。長手方向及び横方向の構造230、240は、ウェブ205の同じ側上に配置される場合、図2Iに示されるようなチェッカー盤パターンを形成してもよい。長手方向及び横方向の構造は、図2Iに示されるように連結されてもよく、又は別個の分離したプリズムが交互に並ぶパターンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、チェッカー盤パターンは、複数の横方向の構造の領域と交互に並ぶ複数の長手方向の構造の領域を含んでもよい。
【0042】
先に議論されたように、一体的な目盛りを有する可撓性の細長いウェブは、ロールツーロール製造プロセスにおける使用に特に有利である。例えば、一体的な目盛りは、積層型の電子デバイスの形成など、連続的な製造工程の間に位置合わせを必要とする製造プロセスのために、ウェブを位置決めする際に使用されてもよい。図4Aは、ロール品400として販売され得るウェブ上に形成された一体的な目盛り410を有するウェブ405を示している。ウェブ/目盛りのロール製品400は、製造プロセスにおいて使用され得るものであり、目盛り410は位置の情報を与えて、ウェブ405上のパターン構造の形成を容易にする。
【0043】
あるいは、図4Bに示されるように、ロール品401は、ウェブパターン構造420の第1の層と同時に形成された一体的な目盛り411を有する可撓性ウェブ406を備えてもよい。この構成は、連続的な層の堆積の間にウェブ406の寸法変化を補正するのに特に役立つ。例えば、ポリマーウェブは、熱処理による収縮若しくは伸張及び/又は水若しくは他の溶剤の吸収又は離脱をしやすく、層と層との位置合わせを困難にすることがある。目盛り構造411及びウェブパターン構造の第1の層が同時に形成される場合、後続の堆積物を、一体的な目盛り411を使用して位置合わせすることで、ウェブ処理の用途において一般に生じるウェブのひずみの変化が自動的に補正される。ウェブのひずみが増加する(すなわちウェブが更に伸張される)と、目盛りは、ウェブ上に形成されたウェブパターン構造の第1の層と共に伸張される。パターン構造420及び目盛り構造412が、形成の間に同じ寸法変化を受ける場合、目盛り構造412は、ウェブ406上に堆積されたパターン構造420の位置をより正確に追跡することが可能となる。
【0044】
図4Cに示されるいくつかの実施形態において、製造プロセスが完了した後、目盛り部分430は、ウェブ406から分離され、ロール品として販売されることができる。目盛り部分430は、異なるウェブに取り付けられ、本明細書で説明されるようなウェブの位置調整に使用されてもよい。所望に応じて、ウェブ、基材又は他の加工品に目盛りを取り付けるのを容易にするために、接着剤が目盛り部分430の表面上に与えられてもよい。
【0045】
可撓性材料上に形成された目盛りは、それらが基礎基材に取り付けられるとき特に有用である。目盛りを機械又は他の基材に取り付けるときに直面する1つの問題が、基材と目盛りとの熱膨張係数(CTE)の差異である。例えば、非常に硬質な目盛りが使用される場合、その目盛りは、基材とは異なる率で膨張し、そのため、目盛りは、(CTE目盛り−CTE基材)×ΔT×目盛りの長さだけ異なる量で変化する。目盛りの膨張が基材よりも小さい場合、目盛りは張力を受け、常に直線をたどるので、管理が比較的容易となる。しかしながら、目盛りの膨張が基材を超える場合、目盛りは圧縮され、目盛りを座屈させがちな付加的な力が生成される(すなわち、目盛りは平面から波打ちがちとなる)。生成される圧縮力は、λ(弾性率)×A(面積)×ひずみである。
【0046】
本開示の様々な実施形態に従って形成される可撓性目盛りは、一般的に使用される鋼製の目盛りの約5倍のCTEを有するが、鋼製の目盛りの約300分の1の弾性係数を有する。正味の力は約60分の1である。したがって、本明細書で説明される可撓性目盛りは、著しい座屈を伴うことなく基材に接合されることができ、目盛りは、基材の位置をより厳密に追跡することが可能となる。
【0047】
x/yの読み出しを可能にする角錐の矩形配列を有するプラスチック又はポリマーの目盛りなど、可撓性の目盛りを使用することにより、可撓性の目盛りを、現在利用可能な目盛りよりも、はるかに大きく作製することが可能である。例えば、151cm(60インチ)以上の幅を持つ数キロ(数マイル)の長さの目盛りを作製することが可能である。
【0048】
各種の実施形態によれば、目盛り構造は、全反射によって光を反射するように構成されたプリズムを備えてもよい。全反射(TIR)は、光の入射角が臨界角θc以上であるときに生じる。θcを超える入射角では、すべての入射エネルギーが反射される。
【0049】
図5Aは、ウェブ505上のTIR構造515を備える目盛りを示しており、各種の実施形態に従って使用されたときの全反射の原理を表している。光源で生成された光は、TIR目盛り構造515を備える一体的な目盛りを有するウェブ505に向けられる。TIR目盛り構造515に向けられた光511の角度θiが臨界角θc以上である場合、その光は角度θrで反射される。
【0050】
TIR目盛り構造は、TIRによって反射をもたらす任意の形状又は外形で形成されてよい。いくつかの実施形態において、TIR目盛り構造は、図5Bに示されるような直角(right regular)プリズムを備えてもよい。この実施形態において、TIR目盛り構造516の左側の面517に入射する光の角度θi1がθcを超える場合、その光は、入射角θi2で直角プリズムの面518に全反射される。直角プリズムの面518において、光は角度θr2で再び全反射され、入射光に平行にプリズム516を出る。TIRによる反射では、好都合にも、反射性の目盛りに典型的に使用される金属化表面で生じ得る劣化を伴うことなく、TIR目盛り構造の面に入射した光のほぼすべてを反射する。
【0051】
TIR目盛り構造の使用は、例えばウェブが不透明であるとき、すべての用途に対しては実用的でない場合もある。一実施形態において、目盛り構造は、ウェブ上に複製される隆起した構造を備える。隆起した構造は、反射性材料でコーティングされてもよい。他の実施形態において、目盛り構造の堆積は、先に述べられた方式で、ウェブ上にインクジェットなどによって構造を印刷することを含んでもよい。
【0052】
先に議論されたように、ウェブ上の目盛り構造は、エネルギーを変調してウェブの並進変位及び/又は角変位を表示するために使用されてもよい。それに加えて又はそれに代わって、目盛り構造は、様々なウェブのパラメータの測定に用いられてもよい。様々な実施形態において、温度、ひずみ及び/又は弾性係数など、ウェブの寸法変化に依存するパラメータが、目盛り構造を使用して測定されてもよい。
【0053】
一応用例において、目盛り構造は、ウェブ温度の変化を測定するために使用されてもよい。δTのウェブ温度の変化が、δLTの対応する寸法変化を生じる。目盛り構造及びセンサー回路は、寸法変化δLTを測定するために使用されることができる。ウェブの温度の変化δTは、測定された寸法変化から導出されることができる。
【0054】
目盛り構造は、ウェブのひずみ、つまりウェブを伸張させる力によって生じた変形の量を測定するために使用されてもよい。例えば、長手方向のひずみのみを考慮すれば、Lの初期長さを有するウェブがその長手方向(x)の軸線に沿って伸張されると、ウェブ長さは、最初の長さL1から第2の長さL2に、δLだけ変化する。長手方向に伸張されたウェブの線形ひずみεxは、
【数1】
によって表される。ウェブの任意の点におけるx軸に沿ったひずみは、軸に沿った任意の点におけるx方向の変位を微分したもの、つまり
【数2】
として表されることができる。角ひずみ又は剪断ひずみは、長手方向(x)の軸線及び横方向(y)の軸線の双方に沿った変形を考慮したものである。ウェブの任意の点における角ひずみ又は剪断ひずみは、
【数3】
である。
【0055】
長手方向(x)及び横方向(y)の双方に配置された目盛り構造は、適合するエネルギー源/センサーの組み合わせと共に使用して、ウェブの長手方向及び横方向の変形を測定することができる。これらの変形は、x軸及びy軸に沿った線形ひずみ、並びに角ひずみ又は剪断ひずみを算出するために使用されることができる。
【0056】
一応用例において、ウェブの測定された変形は、弾性係数を算出するために使用されることができる。弾性係数は、
【数4】
として算出されることができる。このようにして、上述のように既知の力を使用しウェブひずみを測定することで、ウェブの弾性係数を決定することができる。
【0057】
本明細書で記載される実施形態は、ウェブの並進変位及び/若しくは角変位の連続的な追跡を可能にし、かつ/又は、様々なウェブパラメータの測定を可能にする一体的な目盛り構造を有するウェブに関する。目盛り構造は、様々な技法によってウェブ内に又はウェブ上に形成されることができる。例えば、目盛り構造は、注型及び硬化プロセスなどによって、ウェブ上に堆積されるかないしは別の方法で形成される。あるいは、構造は、スクライビング、アブレーション、印刷又は他の技法などによって、ウェブ内に作製されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、目盛り構造は、消去され、再書き込みされてもよい。例えば、一応用例において、目盛り構造は、磁気媒体の一部分を磁場に選択的に暴露することによって、磁気媒体において消去されるか、又は書き込まれてもよい。別の応用例において、目盛り構造は、レーザーを使用して目盛りの一部分を加熱して有機染料を活性化することなどによって、光学式媒体において消去され、かつ/又は書き込まれてもよい。更に別の実施形態において、目盛り構造は、目盛り構造の光学特性を変更することによって、消去され、かつ/又は書き込まれてもよい。例えば、基材上で目盛り構造を消去する又は書き込むために、光学材料の屈折率が、化学処理を通じて変更されてもよい。
【0059】
紙、繊維、織布又は不織布材料で作られたウェブなどのウェブに目盛り構造を施すために、様々な技法が使用され得る。ウェブは、ポリエステル、ポリカーボネート、PET又は他の高分子ウェブを含んでもよい。TIR目盛り構造の形成のための技法が、代理人整理番号63013US002で識別される同一所有者の米国特許出願に記載されており、この出願は、本願と同時に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0060】
本開示の様々な実施形態の上述の記述は、例示及び説明を目的として提示されたものである。包括的なものにすること又は本開示を、開示された厳密な形態に限定することは意図されていない。上記の教示を考慮すれば、多数の修正及び変形が可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されことが意図されている。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2007年6月19日に出願された「ウェブの位置を表示するためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR INDICATING THE POSITION OF A WEB)」という名称の米国特許仮出願第60/944,882号の優先権を主張するものであり、この仮出願の開示内容はこの参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、可撓性の細長いウェブの位置を表示するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性の電子部品及び光学部品を含む多数の物品の製作は、細長い基材又はウェブ上に堆積された又は形成された材料の層同士の位置合わせを伴う。ウェブ上の材料層の形成は、連続的なプロセス又は複数の工程を含んだステップアンドリピートプロセスで行われることができる。例えば、材料のパターンが、複数の堆積工程を通じて細長いウェブ上の層に堆積されて、積層型の電子デバイス又は光学デバイスを形成することができる。一部の積層型物品は、ウェブの片面又は両面に施される構造の正確な位置合わせを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
層同士の位置合わせを達成するためには、ウェブが多数の製造工程を進むときに、横方向のクロスウェブの位置調整及び長手方向のダウンウェブの位置調整が維持されなければならない。ウェブ上に形成された層同士の位置合わせを維持することは、ウェブが可撓性である又は伸張性であるとき、より複雑なものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、可撓性の細長いウェブの位置を表示するための方法及びシステムに関する。一実施形態は、ウェブの位置を表示するための方法に関する。移動する可撓性ウェブは、ウェブ上に配置された複数の別個の目盛り構造を含む。磁場、電場又は電磁場などのエネルギー場は、目盛り構造を使用して変調される。変調されたエネルギーは、ウェブの変位を連続的に測定する信号に変換される。例えば、この信号は、ウェブの連続的な長手方向の変位、連続的な横方向の変位及び/又は角度回転を含めて、1以上の並進自由度及び/又は回転自由度のウェブを連続的に測定するために使用することができる。この信号は、ウェブの位置を決定するために、ウェブの移動を制御するために並びに/又は、ウェブの温度、弾性係数及び/若しくはウェブのひずみなどウェブ若しくは周囲環境の他のパラメータを測定するために使用することができる。
【0006】
本開示のいくつかの態様によれば、目盛り構造は、ウェブに向けられた光を変調するために使用される光学的な目盛り構造を備えてもよい。ウェブは透明であっても透明でなくてもよい。透明なウェブに対し、一実現形態は、透明なウェブを通じて透過させた光を検出することを含む。ウェブの変位は、透過させた光に基づいて表示される。
【0007】
あるいは、ウェブの変位は、反射された光に基づいて表示されてもよい。光学的な目盛り構造によってもたらされる変調に加えて、光の変調をもたらすために、1つ以上の走査レチクルが使用されることができる。
【0008】
本開示の別の実施形態は、ウェブの位置を表示するためのシステムに関する。このシステムは、一体的な目盛りがウェブ上に配置された細長い可撓性ウェブを含む。目盛りは、ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成された目盛り構造を備える。移送機構は、ウェブと変換器とが相対移動するように構成される。変換器は、目盛り構造によって変調されたエネルギーを検出し、変調されたエネルギーに基づいて連続的なウェブの変位を表示する信号を生成する。このシステムはまた、変換器によって生成された信号に基づいてウェブの変位及び/又はウェブの位置を決定するプロセッサを含んでもよい。このシステムはまた、表示された位置に基づいてウェブの移動を制御するウェブ運動コントローラを含んでもよい。
【0009】
特定の実施形態において、目盛り構造は、ウェブに向けられた光を変調するように構成された光学的な構造を備えてもよい。光を更に変調する1つ以上の走査レチクルが含まれてもよい。
【0010】
透過モードで動作すると、目盛りは、透明なウェブに向けられた光の一部分を、ウェブを透過させることによって、光を変調する。変換器は、透過させた光を検出し、透過させた光に基づいてウェブの変位を表示する信号を生成する。反射モードで動作すると、目盛りは、光の一部分を変換器に反射することによって光を変調する。変換器は、反射された光を検出し、反射された光に基づいてウェブの変位を表示する信号を生成する。
【0011】
本開示の別の実施形態は、一体的な目盛りを有する可撓性の細長いウェブを備える装置に関する。この目盛りは、ウェブ上に配置された目盛り構造のパターンを備え、これらの目盛り構造は、ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成される。この目盛り構造は、全反射によって光を反射するように構成された光学プリズムであってもよい。変調されたエネルギーは、ウェブの長手方向及び/若しくは横方向の変位並びに/又はウェブの角度回転の連続的な表示を与える。特定の実施形態において、この変調されたエネルギーは、ウェブの移動を制御するため並びに/又は、ウェブの温度、弾性係数及び/若しくはウェブのひずみなど、ウェブ若しくは周囲環境の他のパラメータを測定するために使用されてもよい。
【0012】
ウェブ上に配置された目盛り構造に加えて、ウェブは、ウェブ構造のパターンも含んでよい。可撓性ウェブの曲げ半径は、例えば、約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満又は約5mm未満とさえなり得る。
【0013】
上記の本開示の概要は、本開示の各実施形態又はすべての実現形態を記載することを意図したものではない。本開示の利点及び成果は、本発明のより完全な解釈と共に、添付の図面に関連してなされた以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって明らかになり、また理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の実施形態による、ウェブの変位を決定するための及びウェブの位置合わせのための方法を示すフローチャート。
【図2A】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステム。
【図2B】本開示の実施形態による、透過モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステム。
【図2C】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステム。
【図2D】本開示の実施形態による、透過モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステム。
【図2E】本開示の実施形態による、ウェブ上に長手方向に配置された目盛り構造。
【図2F】本開示の実施形態による、ウェブ上に長手方向に配置された目盛り構造。
【図2G】本開示の実施形態による、ウェブ上に横方向に配置された目盛り構造。
【図2H】本開示の実施形態による、ウェブ上に横方向に配置された目盛り構造。
【図2I】本開示の実施形態による、長手方向の変位測定と横方向の変位測定のためのチェッカー盤パターンで配置された目盛り構造。
【図3A】光検出器の表面における光強度のグラフ。この光強度は、本開示の実施形態による目盛り構造によって変調されている。
【図3B】複式光検出器の表面における光強度のグラフ。この光強度は、本開示の実施形態による、90°の位相差を持つ正弦波状の光強度を達成する目盛り構造及び走査レチクルによって変調されている。
【図4A】本開示の実施形態による、一体的な目盛り構造を有するウェブを備えたロール品の図。
【図4B】本開示の実施形態による、一体的な目盛りを有し、更にウェブ上に堆積されたパターン構造も有するウェブを備えたロール品の図。
【図4C】本開示の実施形態による、ウェブから分離された目盛りの図。
【図5A】本開示の実施形態による、ウェブの変位を表示するための全反射の利用。
【図5B】本開示の実施形態による、光の全反射をもたらしてウェブの変位を表示するように構成された直角(right regular)プリズムを備える目盛り構造。
【図6A】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステムの一部分。
【図6B】本開示の実施形態による、反射モードで動作するウェブの移動を制御するためのシステムの一部分。
【図7A】本開示の実施形態による、ウェブの一方の表面上に長手方向に配置された目盛り構造及びウェブの裏側上の第2のパターン。
【図7B】本開示の実施形態による、ウェブの一方の表面上に長手方向に配置された目盛り構造、及びウェブの裏側上の第2のパターン。
【0015】
本開示は様々な修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部が、一例として図面に示されており、また詳しく説明される。しかしながら、その意図は、説明する特定の実施形態に本開示を限定することではないことが理解されよう。逆に、その意図は、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲に含まれるすべての修正物、等価物及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
製造プロセスで基材として使用されるウェブの位置を表示するための改良された方法及びシステムが必要とされている。本開示は、これら及び他の必要性に応えると共に、先行技術を上回る他の利点を提供する。
【0017】
例示される実施形態の以下の説明において、添付の図面が参照されるが、その図面は本願の一部をなすものであり、また、本開示が実施され得る様々な実施形態を実例として示すものである。本開示の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態が利用されることができ、また、構造的な変更がなされ得ることが理解されよう。
【0018】
本開示の実施形態は、一体に形成された又はウェブ上に配置された目盛りを使用して、ウェブ変位を表示するために、ウェブの位置を決定するために及び/又は可撓性ウェブの移動を制御するために使用され得る方法及びシステムを例示するものである。目盛りは、エネルギーを変調させてウェブの変位を表示する複数の目盛り構造を含む。例えば、目盛り構造は、電場、磁場又は電磁場のエネルギーを変調させてもよい。様々な実施形態において、目盛り構造は、電磁場(すなわち光)のエネルギーを変調させてもよく、変調されたエネルギーは光センサーによって検知される。別の実施形態において、目盛り構造は、電場のエネルギー、例えば容量センサーによって検知された電場エネルギーを変調させてもよく及び/又は、磁場のエネルギー、例えば誘導センサーによって検知された磁場エネルギーを変調させてもよい。
【0019】
一体的な目盛りを使用する連続的なウェブの並進及び/又は回転の変位の表示は、1つ又は複数の連続的な製造工程においてウェブ上にパターン構造を堆積する間、ウェブの位置を決定するために、また可撓性ウェブの移動を制御するために用いられることができる。例えば、本明細書で示される本開示の実施形態と共に説明される目盛りは、連続的なウェブの変位を表示するために使用されてもよい。ウェブの変位の表示により、ロールツーロール製造プロセスの間、ウェブ上に堆積されるか、ないしは別の方法で形成されるパターン構造の複数の層同士の位置合わせが容易となる。本明細書で説明される目盛りは、可撓性ウェブ上にパターン構造の連続的な層を形成するために複数の堆積工程を必要とする可撓性の多層電子デバイス又は光学デバイスの製造に特に有用である。
【0020】
本明細書で説明される手法は、ウェブ処理の用途で一般に生じるウェブのひずみの変化を自動的に補正するために使用されてもよい。特定の製造プロセスでは、ウェブの伸張又は収縮によって発生する変形など、ウェブが永久的に変形されるような、ウェブの一時的な又は永久的な変化が発生することがある。本開示の実施形態は有利にも、ウェブの一時的な又は永久的な変化に対する補正をもたらす。例えば、いくつかの実施形態において、目盛り構造は、多層の電子デバイス又は光電子デバイスを形成するために使用されるウェブパターン構造の第1の層などのウェブパターン構造の層と実質的に同時にウェブ上に堆積される。目盛り構造とウェブパターン構造が堆積されるとき、ウェブ上に堆積されるパターン構造と目盛り構造は、同じ量のウェブのひずみを受ける。目盛り構造は、後に続くプロセスにおけるウェブのひずみの量にかかわらず、第1の層のウェブパターン構造の横方向位置、長手方向位置及び/又は角度回転を正確に追跡するために使用されることができる。ウェブのひずみが増加する(すなわちウェブが更に伸張される)と、目盛り構造は、ウェブ上に形成された対応するウェブパターン構造と共に伸張される。この現象により、目盛り構造で生成された信号を使用して、ウェブ上に堆積されたウェブ構造の位置をより正確に追跡することが可能となる。
【0021】
本明細書における様々な実施形態に従って説明される目盛りを使用すると、ウェブが伸張される場合でも、同時に堆積されるウェブパターン構造との正確な位置合わせが達成されることができる。ウェブ上に形成された層同士の位置合わせを維持することは、ウェブが可撓性である又は伸縮性であるとき、より複雑なものとなる。とりわけ、本開示の手法は、ガラスなどの硬質な基材とは対照的に、プラスチックウェブ又は他の可撓性ウェブ上に目盛り構造を複製することが可能になるという点で特に有用である。例えば、本開示の実施形態による目盛りが上に配置された可撓性ウェブは、例えば、約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満又は約5mm未満の曲げ半径を有することができる。
【0022】
ウェブの並進変位及び/若しくは角度回転を表示することに加えて又はそれに代わって、目盛りはまた、ウェブの様々なパラメータ又はウェブを囲む周囲環境を測定するために使用されてもよい。例えば、以下により詳細に議論されるように、目盛りは、ウェブの温度及び/若しくは弾性係数を測定するために使用されてもよく、並びに/又は、ウェブのひずみを測定するために使用されてもよい。
【0023】
図1は、本開示の実施形態による、可撓性ウェブ上の一体的な目盛りを使用してウェブパターン構造を位置合わせするためのプロセスを示すフローチャートである。これらの実施形態によれば、可撓性ウェブ上に形成された又は配置された目盛り構造は、ウェブに向けられた光エネルギーなどのエネルギー場を変調させる(110)。例えば、一実現形態において、目盛り構造は、ウェブ上に長手方向に配置された一連の別個の目盛り構造を備えてもよい。長手方向に配置された目盛り構造は、長手方向変位を決定するために測定されることができるエネルギー変調用に構成されている。別の実現形態において、目盛り構造は、長手方向に配置された別個の目盛り構造の第1の組と、横方向に配置された目盛り構造のもう1つの組と、を備えてもよい。長手方向及び横方向の目盛り構造は、ウェブの長手方向及び横方向の変位を決定するためにエネルギーを変調するように構成され、またウェブの角度回転を決定するために使用されてもよい。変換器は、変調されたエネルギーをウェブの連続的な並進変位及び/又は角変位を表示する出力信号へと変換する(120)。例えば、出力信号は、離散的な増分で与えられるウェブの変位又は位置の情報と比べて、ウェブの変位又は位置の連続的な情報で与えられるアナログ出力信号を含んでもよい。この手法により、1自由度以上のウェブが測定されることができる。アナログ出力信号は、ウェブの長手方向の変位、横方向の変位及び/又は角度回転を連続的に示すことができる。ウェブの位置及び/又は角度回転は、変換器信号から決定することができる(130)。ウェブの位置の情報を使用して、ウェブは、ウェブパターン構造の堆積のために位置合わせされる(140)。
【0024】
連続的なウェブの変位を表示するために、様々なタイプの目盛り構造が、適合するセンサーと共に使用されてもよい。目盛り構造は、例えば電場エネルギーを変調してもよく、磁場エネルギーを変調してもよく、あるいは光を変調してもよい。本開示の実施形態は、光学的な目盛り構造及び適合する光センサーに関して説明されているが、連続的なウェブの変位を表示する信号を生成するようにエネルギー場を変調する任意のタイプの目盛り構造/センサーの構成が使用されてもよい。
【0025】
図2A〜2Dは、ウェブの並進変位若しくは角変位を表示するために及び/又は変位測定から導出されるウェブのパラメータを決定するために、可撓性ウェブ上の目盛り構造によるエネルギーの変調を使用するシステムの図である。本開示の原理は、適合する光センサーと共に使用される光学的な目盛り構造に関連して説明されるが、エネルギーを変調し検知する他の任意のタイプの目盛り構造とセンサーの構成が、代わりに使用され得ることが理解されよう。図2A〜2Bは、ウェブの変位を表示するために使用される光学的システムを示している。このシステムは、移動する可撓性ウェブ205に光211を向ける光源210を含む。ウェブパターン構造の堆積を容易にするようにウェブの張力及び位置を維持しながらウェブ205を移動させるために、ローラー230を含む移送システムが使用されている。ウェブ205は、光源210及び光センサー220の固定位置に対して運動している。
【0026】
図2Aのシステムは、反射モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステムを示している。反射モードにおいて、複数光源の配列であってもよい光源210及び1つ以上の光センサー220は、ウェブの同じ表面206の近くに配置される。光源210は、光211をウェブ205の表面206に向ける。光の一部分は、光学的な目盛り構造215によって光センサー220に向かって反射される。光センサー220は、反射された光を検知し、連続的なウェブの変位を表示するアナログ出力信号を生成する。この実施形態において、ウェブ205は、透明であっても透明でなくてもよい。ウェブ205が透明である構成において、光221の一部分は、ウェブ205を透過させることができる。ウェブ205が透明である場合、目盛り構造215がウェブ205のいずれかの表面206、207上又は双方の表面上に配置されてよいことが理解されよう。
【0027】
図2Bは、透過モードで動作するウェブの変位を表示するためのシステムを示している。この構成において、光源210及び光センサー220は、ウェブ205の反対側の表面206、207上に配置される。光源210は、光211をウェブ205の表面206に向ける。光の一部分212は、目盛り要素215によって反射される。光の別の部分221は、透明なウェブ205を通過して光センサー220へと進む。光センサー220は、透過させた光221を検知し、ウェブの変位を表示するアナログ出力信号を生成する。
【0028】
図2A及び2Bのシステムに対する光センサー220の活性表面222における光強度が、図3Aの光強度のグラフ310により示されている。光強度のグラフ310は、実質的に正弦波状であり、最高強度の点にある頂部及び低強度の点にある谷部を有している。光センサー220は、活性表面222において光を検知し、光センサー220の活性表面222における光強度を追跡する正弦波状のアナログ出力信号を生成する。
【0029】
図2C及び2Dは、反射モード(図2C)及び透過モード(図2D)によって表示されるウェブの変位を使用してウェブの位置を制御するためのシステムを示している。図2C及び2Dにおけるウェブの位置を表示するために使用されている構成要素は、図2C〜2Dのシステムがそれぞれ1つ以上の走査レチクル240及び複数の光センサー250、255を更に含むことを除き、図2A及び2Bの構成要素にそれぞれ類似している。ウェブ205は、光源210、走査レチクル240及び光センサー250、255の固定位置に対して運動している。
【0030】
走査レチクル240は、ウェブ205から短い距離に置かれており、そのため、レチクル窓241により、ウェブ205に向けられた光の一部分が、レチクル240を通過することが可能となっている。窓241同士の間のレチクル240の領域242は、光の一部分を遮断する。
【0031】
図6Aに示される別の実施形態において、1つ以上の光センサー220が「ロールの上に(on the roll)」置かれている。本明細書において使用される「ロールの上に」という語句は、システム内のロールのうちの1つに近接し、かつ、ウェブ上の光学的な目盛り要素のうちの1つ以上から反射された光を、それらの目盛り要素が上にあるウェブの一部分がロールと接触しているときに受容するように構成された光センサーの場所を指す。そのような実施形態は、光センサーにより検知される信号に付随し得る雑音を最小にすることによって、利点をもたらすことができる。センサーが「ロールから離れた(off the roll)」実施形態(例えば図2A〜2D)においては、ウェブ自体の振動が、反射された光の雑音を増加させることがある。図6Bに示されるように、この例示的な実施形態における光源は、ウェブの上方に置かれることができる。本明細書では示されていないが、別の例示的な実施形態が、光源をロール自体の中に有する透明なロールを使用することを含み得る。そのような実施形態は、(上で説明されたような)透過モードで機能する。
【0032】
センサーがロールから離れて置かれる実施形態(図2A〜2Dに例示したような実施形態など)は、光源とウェブとの間に空隙があるという利点をもたらす。センサーがロールの上にある実施形態において、空隙は必ずしも存在しない。そのような実施形態においては、空隙が存在しないことに対して補正する目的で、ウェブ又はロールに対して、必要ではないが変更を行うことができる。
【0033】
空隙が存在しないことに対して補正するためのそのような一方法には、ロールの表面を変更することが挙げられる。必ずしもそうではないが多くの場合、ロールは、実際には反射性である(例えばステンレス鋼)。したがって、ロールは、艶のない表面を有するように作製されることができる。例えば、ロールの表面を反射性のものから艶のないものに変更することにより、光学的な目盛り要素(反射性である)と相互作用している光線は、ロールと相互作用している光線と、より容易に区別されることができる。ロールの表面を変更するもう1つの方法は、異なる色でロールを作製することであろう。ある実施形態において、ロールは暗色を有するように作製されることができ、それによって(例えば)反射性のロールよりも多くの光が吸収される。これらの例示的な方法のどちらでも、2つの光線(一方は光学的な目盛り要素と相互作用し、もう一方はロールと相互作用する)の間のコントラストを増加させることができる。
【0034】
空隙がなくなることに対して補正する別の方法は、ウェブとロールとの間に空隙を生じさせることである。この空隙は、生じさせた場合、ウェブを通り抜けロールから反射する光を屈折させるように働く。(ウェブを構成する材料に対する)空気の屈折率により、ウェブを通され、次いで空隙を貫いて進み、次いでロールから反射され、次いで再び空隙を貫いて進み、次いで再びウェブを貫いて進んだ光は、光学的な目盛り要素から反射された光とは異なる角度及び(関係する構成要素のすべての透過率に応じて)異なる強度を有することになる。
【0035】
ロールとウェブとの間に間隙を生じさせ維持するために、ロールとウェブの裏側との間の空隙は、例えば、ウェブの裏面上に構造体を提供することによって生じさせることができる。図7Aは、そのような間隙を生じさせる例示的な一方法を示している。図7Aにおいて、ウェブ205は、他の例示的なウェブが有していたように、光学的な目盛り要素215を含むが、ロールとウェブ205との間に空隙を生じさせるように働く間隙構造体715を更に含む。
【0036】
図7Bは、ウェブとロールとの間に空隙を生じさせる別の方法を例示している。この方法は、ウェブの代わりにロールを改良するものである。図7Bに示されるように、このロールは、くぼんだ部分720を含み、このくぼんだ部分720は、光学的な目盛り要素215の場所においてウェブとロールとの間に間隙をもたらすように働く。図2A〜2Dに示されるように、光センサー250、255は、センサー250、255の表面に存在する光を検知し、独立した出力信号を生成する。走査レチクル240を使用することで、光センサーにおける光強度は、図3Bに示される、90°位相シフトした2つの対称的な正弦波状の信号320、330に対応する。光センサー250、255の表面における光強度を追跡する出力信号が、ウェブの位置を表示するために、光センサー250、255によって発生される。
【0037】
光センサー250、255によって生成された出力信号320、330は、ウェブの位置を決定するために、ウェブ位置プロセッサ260によって解析される。位相シフトした信号320、330を使用して、ウェブ位置プロセッサ260は、光センサーに対するウェブの位置と運動の方向との双方を決定することができる。この情報は、ウェブの移動を制御するために、ウェブ動作コントローラ270によって使用される。
【0038】
いくつかの実施形態において、ウェブの並進変位及び/若しくは角変位を検知するために、並びに/又はウェブのパラメータを決定するために、複数の光源及び/又は複数の光センサーが使用されてもよい。複数のセンサーの組み合わせを使用するシステムは、信号の冗長性をもたらして、システムをより頑健にする。いくつかの実施形態において、1よりも覆いの目盛り構造、例えば約3個〜20個の構造によって変調されたエネルギーが使用されて、センサー出力信号が発生される。出力信号は、複数の構造によって変調されたエネルギーを平均するか、ないしは別の方法で組み合わせてもよい。この構成において、1つの構造若しくは複数の構造が損傷した又は埃で不明瞭となった場合、平均された出力信号は、受ける影響が最小となる。
【0039】
目盛り構造は、長手方向に配置された構造、横方向に配置された構造又は長手方向に配置された構造及び横方向に配置された構造との双方の組み合わせを含んでもよい。図2E及び2Fに示されるように、一実施形態において、1組の目盛り構造230が、長手方向の変位の測定のために、ウェブ205の頂部207、底部206又は両表面206、207上に配置されてもよい。図2A〜2Dに示されるように、1組の光源及びセンサー構成要素が、長手方向の目盛り構造230によって変調されたエネルギーを検出し、ウェブ205の長手方向の変位を表示する信号を生成するように構成され並びに/又は、他のウェブパラメータを測定するために使用されてもよい。図2G及び2Hに示される一実施形態において、1組の目盛り構造240が、横方向の変位の測定のために、ウェブ205の頂部207、底部206又は両表面206、207上に配置されてもよい。1組の光源とセンサー構成要素が、横方向の目盛り構造によって変調されたエネルギーを検出し、ウェブの横方向の変位を表示する信号を生成するように構成されており、並びに/又は、他のウェブのパラメータを測定するために使用されてもよい。
【0040】
図2E〜2Hに示される目盛り構造は、直線的な三角プリズムであり、この三角プリズムは、約数マイクロメートルに及ぶ、プリズムピッチ及びプリズム間距離を有していてもよい。このタイプのプリズムに対する好都合な寸法には、約40μmのプリズムピッチ及び約20μmのプリズム間距離が挙げられる。
【0041】
長手方向の目盛り構造及び横方向の目盛り構造の双方並びに適合する光源/センサーの組み合わせを使用することで、長手方向及び横方向のウェブの変位及び角変位の表示が可能となる。図2Iは、ウェブ205の上表面207上に配置された長手方向の目盛り構造230及び横方向の目盛り構造240の双方を持つウェブを示している。長手方向及び横方向の目盛り構造230、240は、ウェブ205の両側に又はウェブの同じ側に配置されてよい。長手方向及び横方向の構造230、240は、ウェブ205の同じ側上に配置される場合、図2Iに示されるようなチェッカー盤パターンを形成してもよい。長手方向及び横方向の構造は、図2Iに示されるように連結されてもよく、又は別個の分離したプリズムが交互に並ぶパターンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、チェッカー盤パターンは、複数の横方向の構造の領域と交互に並ぶ複数の長手方向の構造の領域を含んでもよい。
【0042】
先に議論されたように、一体的な目盛りを有する可撓性の細長いウェブは、ロールツーロール製造プロセスにおける使用に特に有利である。例えば、一体的な目盛りは、積層型の電子デバイスの形成など、連続的な製造工程の間に位置合わせを必要とする製造プロセスのために、ウェブを位置決めする際に使用されてもよい。図4Aは、ロール品400として販売され得るウェブ上に形成された一体的な目盛り410を有するウェブ405を示している。ウェブ/目盛りのロール製品400は、製造プロセスにおいて使用され得るものであり、目盛り410は位置の情報を与えて、ウェブ405上のパターン構造の形成を容易にする。
【0043】
あるいは、図4Bに示されるように、ロール品401は、ウェブパターン構造420の第1の層と同時に形成された一体的な目盛り411を有する可撓性ウェブ406を備えてもよい。この構成は、連続的な層の堆積の間にウェブ406の寸法変化を補正するのに特に役立つ。例えば、ポリマーウェブは、熱処理による収縮若しくは伸張及び/又は水若しくは他の溶剤の吸収又は離脱をしやすく、層と層との位置合わせを困難にすることがある。目盛り構造411及びウェブパターン構造の第1の層が同時に形成される場合、後続の堆積物を、一体的な目盛り411を使用して位置合わせすることで、ウェブ処理の用途において一般に生じるウェブのひずみの変化が自動的に補正される。ウェブのひずみが増加する(すなわちウェブが更に伸張される)と、目盛りは、ウェブ上に形成されたウェブパターン構造の第1の層と共に伸張される。パターン構造420及び目盛り構造412が、形成の間に同じ寸法変化を受ける場合、目盛り構造412は、ウェブ406上に堆積されたパターン構造420の位置をより正確に追跡することが可能となる。
【0044】
図4Cに示されるいくつかの実施形態において、製造プロセスが完了した後、目盛り部分430は、ウェブ406から分離され、ロール品として販売されることができる。目盛り部分430は、異なるウェブに取り付けられ、本明細書で説明されるようなウェブの位置調整に使用されてもよい。所望に応じて、ウェブ、基材又は他の加工品に目盛りを取り付けるのを容易にするために、接着剤が目盛り部分430の表面上に与えられてもよい。
【0045】
可撓性材料上に形成された目盛りは、それらが基礎基材に取り付けられるとき特に有用である。目盛りを機械又は他の基材に取り付けるときに直面する1つの問題が、基材と目盛りとの熱膨張係数(CTE)の差異である。例えば、非常に硬質な目盛りが使用される場合、その目盛りは、基材とは異なる率で膨張し、そのため、目盛りは、(CTE目盛り−CTE基材)×ΔT×目盛りの長さだけ異なる量で変化する。目盛りの膨張が基材よりも小さい場合、目盛りは張力を受け、常に直線をたどるので、管理が比較的容易となる。しかしながら、目盛りの膨張が基材を超える場合、目盛りは圧縮され、目盛りを座屈させがちな付加的な力が生成される(すなわち、目盛りは平面から波打ちがちとなる)。生成される圧縮力は、λ(弾性率)×A(面積)×ひずみである。
【0046】
本開示の様々な実施形態に従って形成される可撓性目盛りは、一般的に使用される鋼製の目盛りの約5倍のCTEを有するが、鋼製の目盛りの約300分の1の弾性係数を有する。正味の力は約60分の1である。したがって、本明細書で説明される可撓性目盛りは、著しい座屈を伴うことなく基材に接合されることができ、目盛りは、基材の位置をより厳密に追跡することが可能となる。
【0047】
x/yの読み出しを可能にする角錐の矩形配列を有するプラスチック又はポリマーの目盛りなど、可撓性の目盛りを使用することにより、可撓性の目盛りを、現在利用可能な目盛りよりも、はるかに大きく作製することが可能である。例えば、151cm(60インチ)以上の幅を持つ数キロ(数マイル)の長さの目盛りを作製することが可能である。
【0048】
各種の実施形態によれば、目盛り構造は、全反射によって光を反射するように構成されたプリズムを備えてもよい。全反射(TIR)は、光の入射角が臨界角θc以上であるときに生じる。θcを超える入射角では、すべての入射エネルギーが反射される。
【0049】
図5Aは、ウェブ505上のTIR構造515を備える目盛りを示しており、各種の実施形態に従って使用されたときの全反射の原理を表している。光源で生成された光は、TIR目盛り構造515を備える一体的な目盛りを有するウェブ505に向けられる。TIR目盛り構造515に向けられた光511の角度θiが臨界角θc以上である場合、その光は角度θrで反射される。
【0050】
TIR目盛り構造は、TIRによって反射をもたらす任意の形状又は外形で形成されてよい。いくつかの実施形態において、TIR目盛り構造は、図5Bに示されるような直角(right regular)プリズムを備えてもよい。この実施形態において、TIR目盛り構造516の左側の面517に入射する光の角度θi1がθcを超える場合、その光は、入射角θi2で直角プリズムの面518に全反射される。直角プリズムの面518において、光は角度θr2で再び全反射され、入射光に平行にプリズム516を出る。TIRによる反射では、好都合にも、反射性の目盛りに典型的に使用される金属化表面で生じ得る劣化を伴うことなく、TIR目盛り構造の面に入射した光のほぼすべてを反射する。
【0051】
TIR目盛り構造の使用は、例えばウェブが不透明であるとき、すべての用途に対しては実用的でない場合もある。一実施形態において、目盛り構造は、ウェブ上に複製される隆起した構造を備える。隆起した構造は、反射性材料でコーティングされてもよい。他の実施形態において、目盛り構造の堆積は、先に述べられた方式で、ウェブ上にインクジェットなどによって構造を印刷することを含んでもよい。
【0052】
先に議論されたように、ウェブ上の目盛り構造は、エネルギーを変調してウェブの並進変位及び/又は角変位を表示するために使用されてもよい。それに加えて又はそれに代わって、目盛り構造は、様々なウェブのパラメータの測定に用いられてもよい。様々な実施形態において、温度、ひずみ及び/又は弾性係数など、ウェブの寸法変化に依存するパラメータが、目盛り構造を使用して測定されてもよい。
【0053】
一応用例において、目盛り構造は、ウェブ温度の変化を測定するために使用されてもよい。δTのウェブ温度の変化が、δLTの対応する寸法変化を生じる。目盛り構造及びセンサー回路は、寸法変化δLTを測定するために使用されることができる。ウェブの温度の変化δTは、測定された寸法変化から導出されることができる。
【0054】
目盛り構造は、ウェブのひずみ、つまりウェブを伸張させる力によって生じた変形の量を測定するために使用されてもよい。例えば、長手方向のひずみのみを考慮すれば、Lの初期長さを有するウェブがその長手方向(x)の軸線に沿って伸張されると、ウェブ長さは、最初の長さL1から第2の長さL2に、δLだけ変化する。長手方向に伸張されたウェブの線形ひずみεxは、
【数1】
によって表される。ウェブの任意の点におけるx軸に沿ったひずみは、軸に沿った任意の点におけるx方向の変位を微分したもの、つまり
【数2】
として表されることができる。角ひずみ又は剪断ひずみは、長手方向(x)の軸線及び横方向(y)の軸線の双方に沿った変形を考慮したものである。ウェブの任意の点における角ひずみ又は剪断ひずみは、
【数3】
である。
【0055】
長手方向(x)及び横方向(y)の双方に配置された目盛り構造は、適合するエネルギー源/センサーの組み合わせと共に使用して、ウェブの長手方向及び横方向の変形を測定することができる。これらの変形は、x軸及びy軸に沿った線形ひずみ、並びに角ひずみ又は剪断ひずみを算出するために使用されることができる。
【0056】
一応用例において、ウェブの測定された変形は、弾性係数を算出するために使用されることができる。弾性係数は、
【数4】
として算出されることができる。このようにして、上述のように既知の力を使用しウェブひずみを測定することで、ウェブの弾性係数を決定することができる。
【0057】
本明細書で記載される実施形態は、ウェブの並進変位及び/若しくは角変位の連続的な追跡を可能にし、かつ/又は、様々なウェブパラメータの測定を可能にする一体的な目盛り構造を有するウェブに関する。目盛り構造は、様々な技法によってウェブ内に又はウェブ上に形成されることができる。例えば、目盛り構造は、注型及び硬化プロセスなどによって、ウェブ上に堆積されるかないしは別の方法で形成される。あるいは、構造は、スクライビング、アブレーション、印刷又は他の技法などによって、ウェブ内に作製されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、目盛り構造は、消去され、再書き込みされてもよい。例えば、一応用例において、目盛り構造は、磁気媒体の一部分を磁場に選択的に暴露することによって、磁気媒体において消去されるか、又は書き込まれてもよい。別の応用例において、目盛り構造は、レーザーを使用して目盛りの一部分を加熱して有機染料を活性化することなどによって、光学式媒体において消去され、かつ/又は書き込まれてもよい。更に別の実施形態において、目盛り構造は、目盛り構造の光学特性を変更することによって、消去され、かつ/又は書き込まれてもよい。例えば、基材上で目盛り構造を消去する又は書き込むために、光学材料の屈折率が、化学処理を通じて変更されてもよい。
【0059】
紙、繊維、織布又は不織布材料で作られたウェブなどのウェブに目盛り構造を施すために、様々な技法が使用され得る。ウェブは、ポリエステル、ポリカーボネート、PET又は他の高分子ウェブを含んでもよい。TIR目盛り構造の形成のための技法が、代理人整理番号63013US002で識別される同一所有者の米国特許出願に記載されており、この出願は、本願と同時に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0060】
本開示の様々な実施形態の上述の記述は、例示及び説明を目的として提示されたものである。包括的なものにすること又は本開示を、開示された厳密な形態に限定することは意図されていない。上記の教示を考慮すれば、多数の修正及び変形が可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されことが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブの変位を表示するための方法であって、
複数の別個の目盛り構造が上に配置された細長い可撓性ウェブを移動させる工程と、
前記目盛り構造を使用してエネルギーを変調する工程と、
変調されたエネルギーを、連続的なウェブの変位を示す信号に変換する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記信号に基づいて前記ウェブの位置を決定する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目盛り構造が、光学的な目盛り構造を備え、
前記エネルギーを変調する工程が、前記光学的な目盛り構造を使用して光を変調する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェブが、透明なウェブを含み、
前記光を変調する工程が、前記光の一部分を、前記透明なウェブを透過させることを含み、
透過させた光に基づいて前記ウェブの変位を決定する工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光を変調する工程が、前記光の一部分を反射することを含み、
前記反射された光に基づいて前記ウェブの前記変位を決定する工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェブが、透明なウェブを含み、
前記光を変調する工程が、
前記光学的な目盛り構造を使用して前記光の一部分を反射することと、
前記光の一部分を、前記ウェブを透過させることとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記光を変調する工程が、1つ以上のレチクルを使用して前記光を変調することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェブが、透明なポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記目盛り構造が、磁気的な目盛り構造であり、
前記エネルギーを変調する工程が、磁気エネルギーを変調することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記目盛り構造が、電気的な目盛り構造であり、
前記エネルギーを変調する工程が、電気エネルギーを変調することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェブの曲げ半径が、約100mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、長手方向の変位を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、横方向の変位を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、角度回転を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、ウェブの変形を測定することを含み、
前記ウェブの変形に基づいて温度を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、ウェブの変形を測定することを含み、
前記ウェブの変形に基づいてウェブのひずみを決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、ウェブの変形を測定することを含み、
前記ウェブの変形に基づいて前記ウェブの弾性係数を決定する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ウェブの変位を表示するためのシステムであって、
一体的な目盛りが上に配置された細長い可撓性ウェブであって、前記目盛りが、前記ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成された複数の別個の目盛り構造を備える、ウェブと、
前記目盛り構造によって変調されたエネルギーを検知するように、かつ前記変調されたエネルギーに基づいて連続的なウェブの変位を示す信号を生成するように構成された変換器と、
前記ウェブと前記変換器とが相対移動するように構成された移送機構と、を備えるシステム。
【請求項19】
前記信号に基づいて前記ウェブの位置を決定するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記細長い可撓性ウェブが、透明なウェブを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記細長い可撓性ウェブが、ポリマー、紙、織布材料又は不織布材料を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記エネルギーが光を含み、
前記目盛り構造が、光学的な構造を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記ウェブが、移動するウェブを含み、
前記光を更に変調するように構成された1つ以上のレチクルを更に備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記目盛りが、前記光の一部分を透過させることによって前記光を変調するように構成され、
前記変換器が、透過させた光を検出するように、かつ前記透過させた光に基づいて前記信号を生成するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記目盛りが、前記光の一部分を反射することによって前記光を変調するように構成され、
前記変換器が、前記反射された光を検出するように、かつ前記反射された光に基づいて前記信号を生成するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記ウェブが、該ウェブ上に配置されたウェブパターン構造を有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項27】
前記ウェブの曲げ半径が、約100mm未満である、請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記変位が、前記ウェブの長手方向の変位を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
前記変位が、横方向の変位を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項30】
前記変位が、前記ウェブの角度回転を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項31】
一体的な目盛りを有する可撓性の細長いウェブを備える装置であって、前記目盛りが、前記ウェブ上に配置され、かつ前記ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成された目盛り構造のパターンを備え、変調されたエネルギーが、前記ウェブの連続的な変位を示す、装置。
【請求項32】
前記ウェブ上に配置されたウェブ機構のパターンを更に備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記目盛り構造が、プリズムを備え、
前記エネルギーが、光を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記目盛り構造が、全反射によって光を反射するように構成される、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記ウェブの前記曲げ半径が、約100mm未満である、請求項31に記載の装置。
【請求項1】
ウェブの変位を表示するための方法であって、
複数の別個の目盛り構造が上に配置された細長い可撓性ウェブを移動させる工程と、
前記目盛り構造を使用してエネルギーを変調する工程と、
変調されたエネルギーを、連続的なウェブの変位を示す信号に変換する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記信号に基づいて前記ウェブの位置を決定する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目盛り構造が、光学的な目盛り構造を備え、
前記エネルギーを変調する工程が、前記光学的な目盛り構造を使用して光を変調する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェブが、透明なウェブを含み、
前記光を変調する工程が、前記光の一部分を、前記透明なウェブを透過させることを含み、
透過させた光に基づいて前記ウェブの変位を決定する工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光を変調する工程が、前記光の一部分を反射することを含み、
前記反射された光に基づいて前記ウェブの前記変位を決定する工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェブが、透明なウェブを含み、
前記光を変調する工程が、
前記光学的な目盛り構造を使用して前記光の一部分を反射することと、
前記光の一部分を、前記ウェブを透過させることとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記光を変調する工程が、1つ以上のレチクルを使用して前記光を変調することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェブが、透明なポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記目盛り構造が、磁気的な目盛り構造であり、
前記エネルギーを変調する工程が、磁気エネルギーを変調することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記目盛り構造が、電気的な目盛り構造であり、
前記エネルギーを変調する工程が、電気エネルギーを変調することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェブの曲げ半径が、約100mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、長手方向の変位を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、横方向の変位を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、角度回転を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、ウェブの変形を測定することを含み、
前記ウェブの変形に基づいて温度を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、ウェブの変形を測定することを含み、
前記ウェブの変形に基づいてウェブのひずみを決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ウェブの前記変位を決定する工程が、ウェブの変形を測定することを含み、
前記ウェブの変形に基づいて前記ウェブの弾性係数を決定する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ウェブの変位を表示するためのシステムであって、
一体的な目盛りが上に配置された細長い可撓性ウェブであって、前記目盛りが、前記ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成された複数の別個の目盛り構造を備える、ウェブと、
前記目盛り構造によって変調されたエネルギーを検知するように、かつ前記変調されたエネルギーに基づいて連続的なウェブの変位を示す信号を生成するように構成された変換器と、
前記ウェブと前記変換器とが相対移動するように構成された移送機構と、を備えるシステム。
【請求項19】
前記信号に基づいて前記ウェブの位置を決定するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記細長い可撓性ウェブが、透明なウェブを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記細長い可撓性ウェブが、ポリマー、紙、織布材料又は不織布材料を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記エネルギーが光を含み、
前記目盛り構造が、光学的な構造を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記ウェブが、移動するウェブを含み、
前記光を更に変調するように構成された1つ以上のレチクルを更に備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記目盛りが、前記光の一部分を透過させることによって前記光を変調するように構成され、
前記変換器が、透過させた光を検出するように、かつ前記透過させた光に基づいて前記信号を生成するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記目盛りが、前記光の一部分を反射することによって前記光を変調するように構成され、
前記変換器が、前記反射された光を検出するように、かつ前記反射された光に基づいて前記信号を生成するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記ウェブが、該ウェブ上に配置されたウェブパターン構造を有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項27】
前記ウェブの曲げ半径が、約100mm未満である、請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記変位が、前記ウェブの長手方向の変位を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
前記変位が、横方向の変位を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項30】
前記変位が、前記ウェブの角度回転を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項31】
一体的な目盛りを有する可撓性の細長いウェブを備える装置であって、前記目盛りが、前記ウェブ上に配置され、かつ前記ウェブに向けられたエネルギーを変調するように構成された目盛り構造のパターンを備え、変調されたエネルギーが、前記ウェブの連続的な変位を示す、装置。
【請求項32】
前記ウェブ上に配置されたウェブ機構のパターンを更に備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記目盛り構造が、プリズムを備え、
前記エネルギーが、光を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記目盛り構造が、全反射によって光を反射するように構成される、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記ウェブの前記曲げ半径が、約100mm未満である、請求項31に記載の装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2010−532466(P2010−532466A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513383(P2010−513383)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/067375
【国際公開番号】WO2008/157623
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/067375
【国際公開番号】WO2008/157623
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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