説明

カーナビゲーション装置

【課題】運転者が運転する車輌の進行路に関する交通規制情報を表示するカーナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明によるカーナビゲーション装置1は、方向指示器208及び操舵角センサ209を備える車輌に搭載され、交通規制情報を表示及び/又は音声で案内するカーナビゲーション装置1であって、方向指示器208から方向指示情報及び操舵角センサ209から操舵角度情報を取得する進行方向情報取得手段と、進行方向情報取得手段により取得された方向指示情報及び/又は前記操舵角度情報に基づいて、車輌の進行路を判定する進行路判定手段201と、交通規制情報の表示及び音声出力を制御する表示出力制御手段204とを有し、表示出力制御手段204は、進行路判定手段201により判定された進行路に関する交通規制情報のみ、表示及び音声出力の両方を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通情報通信システム(Vehicle Information & Communication System:以下、VICSという)は、日本道路交通情報センターが、渋滞、事故、工事、駐車場の満席状況等の収集された交通情報を処理・編集し、編集された交通情報を電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送を通じて車輌に送信するシステムである。この交通情報には、上述した渋滞、事故、工事、駐車場の満席状況等のほか、事故や工事などによる通行止、一方通行といった(交通)規制情報も含まれている。
【0003】
VICSから送信された交通情報は、例えば、車輌が搭載するカーナビゲーション装置などに表示される。カーナビゲーション装置は、乗車者の入力部への操作/POI(Point of Interest)情報等から設定された目的地を特定し、GPS(Global Positioning System)衛星からの受信情報と地図データベース内の詳細な地図情報に基づいて、目的地までのルート、距離、推定時間等をナビゲーションする。また、地図データベースに記憶された主要施設についてジャンル別(駅、施設、観光地、温泉、飲食店等)に検索して情報を提供する装置である。交通情報は、画面上では、地図上で文字やマークなどに反映されて運転者に表示される。
【0004】
しかしながら、このような従来のカーナビゲーション装置では、ポイントごとに受信した交通情報をすべて表示されていた。カーナビゲーション装置の画面上では、道路情報、標識、周辺施設情報(ガソリンスタンド、レストラン等)といった様々な情報も表示されており、すべての交通情報を表示しては画面が煩雑になってしまう。時に、進行路でない道路の交通情報が表示されてしまうがこれは必要でない場合も多い。画面表示は運転者が容易に必要な情報を認識できるよう簡潔で見易いものであることが好ましい。
【0005】
ところで、従来のカーナビゲーション装置では、交通情報を画面表示でしかナビゲートせざるを得なかった。例えば、複数の交通情報がある場合、音声案内するためには、その全てを読み上げる必要があるため、読み上げ時間に時間がかかり実用的でないからである。さらに連続して交通規制情報がある交差点では、GPSの誤差を考慮すると、住宅地などの狭く入り組んだ道では音声で伝えることが難しく、時には全く機能をなさない可能性が高いからである。
【0006】
特許文献1に記載される発明は、道路地図データ記憶手段と、現在位置の検出手段と、該現在位置検出手段が検出した位置の近傍の地図データを上記道路地図データ記憶手段より読出させて表示データを作成させる制御手段と、該制御手段が作成した表示データを表示させる道路地図表示手段とを備えたナビゲーション装置において、交通規制情報の記憶手段を設け、該交通規制情報の記憶手段の情報に基づいて、上記検出手段が検出した現在位置の近傍に、自車の走行方向とほぼ一致する方向への通行が規制される道路があることを上記制御手段が検出したとき、この規制される道路の表示態様を変化させる表示データを作成するようにしたカーナビゲーション装置について記載されている。
【0007】
特許文献1に記載される発明によれば、自車の走行方向とほぼ一致する方向への通行が規制される道路があるとき、この規制される道路の表示態様を変化させる表示データを作成し、自車が進行している道路先の交通規制情報を表示するので、ナビゲーション装置の画面表示に関して、運転者の認識容易性向上に貢献するものである。
【特許文献1】特許第2910515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、カーナビゲーション装置において目的地設定がなされている場合であれば、進行路や走行経路が分かっているので、当該進行路や走行経路上の交通情報のみに絞って画面表示を行えば、画面の煩雑さを回避できる。しかしながら、ナビゲーション装置において、目的地設定が設定なされず現在地と地図が表示されている状態である場合、又は目的地設定が設定なされていても案内経路から外れた場合には、進行路や走行経路を特定できないので、上述したようにすべての交通情報が表示されることで画面表示が煩雑になってしまう。特に都心部では道路も複雑で交通規制は頻繁に行われているため、よりこれが顕著である。
【0009】
特許文献1に記載される発明は、自車の走行方向上の交通規制情報を表示するが、自車の走行する進行路変更先まで対応することは難しい。
【0010】
本発明では上記のような問題に鑑みて、運転者が運転する車輌の進行路に関する交通規制情報を表示するカーナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、第1の発明に係るカーナビゲーション装置は、方向指示器及び操舵角センサを備える車輌に搭載され、交通規制情報を表示及び/又は音声で案内するカーナビゲーション装置であって、
前記方向指示器から方向指示情報及び前記操舵角センサから操舵角度情報を取得する進行方向情報取得手段と、
前記進行方向情報取得手段により取得された方向指示情報及び/又は前記操舵角度情報に基づいて、前記車輌の進行路を判定する進行路判定手段と、
前記交通規制情報の表示及び音声出力を制御する表示出力制御手段とを有し、
前記表示出力制御手段は、前記進行路判定手段により判定された前記進行路に関する前記交通規制情報のみ、表示及び音声出力の両方を行うことを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に係るカーナビゲーション装置において、
前記方向指示器は、タッチセンサを有し、
前記進行方向情報取得手段は、前記タッチセンサから方向指示情報を取得し、
前記進行路判定手段は、前記タッチセンサから取得した方向指示情報に基づいて、前記車輌の進行路を判定することを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1又は2の発明に係るカーナビゲーション装置において、
前記方向指示器は、荷重センサを有し、
前記進行方向情報取得手段は、前記荷重センサから方向指示情報を取得し、
前記進行路判定手段は、前記荷重センサから取得した方向指示情報に基づいて、前記車輌の進行路を判定することを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第1、2又は3の発明に係るカーナビゲーション装置において、
前記方向指示器は、振動装置を有し、
前記表示出力制御手段は、前記交通規制情報の表示及び音声出力を行うとき、前記振動装置を駆動させることを特徴とする。
【0015】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、運転者が運転する車輌の進行路に関する交通規制情報を表示するカーナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0018】
[実施例1]
(システム構成)
図1は、本発明によるカーナビゲーション装置1の一実施形態の主要構成を示すシステム構成図である。カーナビゲーション装置1は、主要な構成として、CPU(Central Processing Unit)2、ROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、補助記憶装置5、通信装置6、インターフェース装置7、GPS8、ジャイロセンサ9、入力装置10、表示装置11、音声出力装置12を含む構成である。また、本発明によるカーナビゲーション装置1は、車速センサ15、ターンシグナルレバースイッチ16、及び操舵角センサ17から各信号を受ける構成である。
【0019】
本発明によるカーナビゲーション装置1は、車輌の現在地(以下、「自車位置」と言う)を検出して、自車位置周辺の道路地図を表示する機能や、出発地から目的地までの推奨経路を演算する機能、演算された推奨経路に基づいて経路誘導を行う機能など備えている。カーナビゲーション装置1は、いわゆるナビゲーションあるいは道路案内などを行う装置である。カーナビゲーション装置1は、GPS(全地球測位システム)衛星からの受信情報と地図データベース内の詳細な地図情報に基づいて、ディスプレイ画面などに、現在地、目的地までの走行経路、距離、推定時間等をナビゲーションする。また、VICSにより受信した交通情報に基づいて、ディスプレイ画面などに交通規制情報を含む交通情報を表示する。また、本発明によるカーナビゲーション装置1は、方向指示入力装置(方向指示器)やステアリングの操舵角センサからの情報に基づいて、自車輌の進行路を判定し、進行路に関する交通規制情報を表示する。以下、詳しく説明を行う。
【0020】
CPU2は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM3は、CPU2で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリであり、RAM4は、CPU2がROM3に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。よって、CPU2が、所定の記憶領域に格納された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うことで、その処理結果が推奨経路として表示される。
【0021】
補助記憶装置5は、ナビゲーション処理に使用する道路地図データ(地図データベース)やPOI情報(Point of Interest、観光地や各種施設の情報)など各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)が用いられる。なお、上記各種情報は、補助記憶装置5以外にも、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体に記憶されてもよく、これらの記憶媒体に格納された各種情報は、ドライブ装置(非図示)を介して読み取ることが可能である。よって、必要に応じて記録媒体をドライブ装置にセットすることで、各種情報が得られる。
【0022】
また、上記道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)などから構成される。地図表示用データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者などに推奨経路を誘導する際に用いられる。
【0023】
通信装置6は、VICSからの渋滞情報などの交通情報を電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送を通じて受信する装置である。通信装置6で受信する交通情報には、渋滞、事故、工事、駐車場の満席状況等のほか、事故や工事などによる通行止といった交通規制情報も含まれている。
【0024】
インターフェース装置7は、車輌に搭載された他の装置(外部装置)から構成される外部システムとカーナビゲーション装置1との間で、データ伝送路(非図示)を介して双方向のデータ通信を行う装置である。よって、外部システムから所定の情報を取得することで、カーナビゲーション装置1において新たな情報提供が実現される(機能拡張が行える)。本発明によるカーナビゲーション装置1は、インターフェース装置7を介して車速センサ15、ターンシグナルレバースイッチ16、操舵角センサ17から各信号を受ける。これについて詳しくは後述する。
【0025】
GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ8、車輌の進行方向を検出するジャイロセンサ9は、車輌の現在地を検出する装置(自車位置特定装置)である。これら現在地検出装置により検出された車輌の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地が表示される。
【0026】
入力装置10は、操作者が上記操作画面を介して各種入力操作を行うための装置である。入力装置10は、表示装置11の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチや、カーソルの移動や表示画面のスクロールを指示するジョイスティックなどを含む。更に、入力装置10は、リモコンスイッチであってもよく、表示画面周辺に設けられたハードウェアキーであってもよい。
【0027】
表示装置11は、CPU2から画像メモリ(非図示)に一時的に格納された画像データなどの各種データを表示画面に表示する装置である。例えば、表示装置11の表示画面には、自車位置を表す自車位置マークや経路情報及び誘導情報などが道路地図とともに表示される。また、表示装置11には、カーナビゲーション装置1が有する機能に対して操作者が動作要求や設定を行うための操作画面も表示される。また、表示装置11は、VICSにより受信した交通情報、方向指示入力装置(方向指示器)及びステアリングの操舵角センサからの情報に基づいて、自車輌の進行路を判定し、進行路に関する交通規制情報を表示する。
【0028】
音声出力装置12は、例えば、スピーカであって、音、音声を出力する。経路案内や交通情報などの情報を音声が出力される。
【0029】
次に、車速センサ15は、各輪に配設され車輌の速度を検出するセンサである。車速センサからの自車速情報が、所定周期毎に供給されており、カーナビゲーション装置1は、常時、最新の車輌位置及び車速を算出・把握している。ターンシグナルレバースイッチ16は、方向指示入力装置(方向指示器)が備えるスイッチで、スイッチ信号(右折信号又は左折信号)が、カーナビゲーション装置1のインターフェース装置7から入力される。操舵角センサ17は、ステアリング部に備えられるセンサで、操舵角度を検出する。操舵角度信号は、カーナビゲーション装置1のインターフェース装置7から入力される。
【0030】
(機能構成)
図2は、本発明によるカーナビゲーション装置1の一実施形態の主要機能構成を示す機能ブロック図である。本発明によるカーナビゲーション装置1は、進行路判定部201、自車位置特定部202、通信部203、表示出力制御部204、描画部205、表示部206、及び音声出力部207を含む機能を有する。
【0031】
進行路判定部201は、車輌が進行する進行路を判定する。進行路判定部201は、例えば、ターンシグナルレバースイッチ16などに対応する方向指示信号出力部208及び操舵角センサ17に対応するステアリング操舵角度取得部209からの方向指示情報及び操舵角度情報を取得する(進行方向情報取得手段に相当する)。進行路判定部201は、取得した方向指示情報及び操舵角度情報に基づいて、車輌が進行する進行路を判定する。判定された進行路情報は、表示出力制御部204に渡される。
【0032】
自車位置特定部202は、既知のカーナビゲーション装置の有する機能でよく、GPS8、ジャイロセンサ9、車速センサ15からの情報、及び道路地図データ(地図データベース)に基づいて、自車位置を特定する。自車位置情報は、表示出力制御部204に渡される。
【0033】
通信部203は、例えば、通信装置6に対応し、交通規制情報を取得する。取得された交通規制情報は、表示出力制御部204に渡される。
【0034】
表示出力制御部204は、進行路判定部201からの進行路情報、自車位置特定部202からの自車位置情報、及び通信部203からの交通規制情報を取得し、描画部205により表示(出力)される交通規制情報を制御する。即ち、進行路と判定された経路上の交通規制情報だけを表示し、それ以外の経路(進行路でないと判定された経路)上の交通規制情報は表示しないよう制御する。
【0035】
描画部205は、既知のカーナビゲーション装置の有する機能でよく、自車位置特定部202、通信部203、道路地図データ(地図データベース)から取得した自車位置情報、交通情報、地図情報に基づいて表示(描画)画像に関する画像処理などを行う。
【0036】
表示部は、例えば、表示装置11に対応し、地図、経路案内、交通情報などに関する画像、文字を表示する。
【0037】
音声出力部207は、例えば、音声出力装置12に対応し、音声を出力する。
【0038】
なお、実際にはこれら各機能部はCPU2が実行するカーナビゲーションプログラムによって実現される。
【0039】
方向指示信号出力部208は、例えば、ターンシグナルレバースイッチ16に対応し、方向指示信号(情報)を出力する。ステアリング操舵角度取得部209は、例えば、操舵角センサ17に対応し、操舵角度信号(情報)を出力する。
【0040】
(動作)
図3は、本実施例のカーナビゲーション装置1により実現される主要処理の流れの一例である実施例を示すフローチャートである。以下、図3を参照しつつ説明を行う。
【0041】
ステップS301で、自車位置特定部202は、自車位置、進行方向を特定する。なお、ここでいう進行方向とは、(例えば、地図上に対応させて)車輌がどちらの方角、向きに進行しているかというもので、次の交差点を左折、右折する、その道路を直進するといった具体的な進行路ではない。
【0042】
ステップS302に進み、通信部203は、交通規制情報を取得する。
【0043】
ステップS303に進み、次のポイントで交通規制情報があるか否か判定する。交通規制情報がある場合には、次のステップに進む。
【0044】
ステップS304に進み、進行路判定部201は、方向指示信号出力部208から方向指示信号(情報)が入力されたかを確認する。入力された場合にはステップS305に進み、入力されない場合にはステップS307に進む。
【0045】
ステップS305に進み、進行路判定部201は、方向指示情報に基づいて、車輌の進行路の判定を行う。ここでいう進行路とは、(例えば、地図上に対応させて)車輌がどの道路に進行するかというもので、次の交差点を左折、右折する、その道路を直進するといった具体的な進行路である。例えば(図4参照)、車輌が進行する方向の次の十字交差点手前地点において、方向指示情報が右折信号である場合には、右折経路(右折道路)が進行路であると判定される。一方、例えば(図5参照)、次の十字交差点手前地点において、方向指示情報が右折信号である場合で、右折可能な経路が複数ある場合には、進行路は判定NGとされる。判定OKの場合にはステップS306に進み、判定NGの場合にはステップS307に進む。
【0046】
ステップS306に進み、表示出力制御部204は、自車位置及び交通規制情報に基づいて、ステップS305で進行路と判定された進行路上(進行路先)に交通規制があるか否かを確認する。交通規制がある場合にはステップS310に進み、交通規制が無い場合には処理を終了する。
【0047】
ステップS310に進み、交通規制がある場合には、表示出力制御部204は、表示部206及び音声出力部207にて進行路上(進行路先)の交通規制情報を画面表示及び音声出力する。例えば、表示装置(ディスプレイ画面)に、進行路先に工事があり、車線が縮小しているといった情報を画像と共に表示する。また、音声出力装置(スピーカ)で、工事中により車線縮小の旨を音声で出力する。即ち、運転者の進行路上に交通規制情報が
ある場合に、表示・音声でその経路上の交通規制情報のみ案内し、注意や経路変更を促す。
【0048】
次に、ステップS307に進む。ステアリング操舵角度取得部209は、例えば、操舵角センサ17から操舵角度信号(情報)を取得する。例えば、運転者のステアリング操作が直進操作である場合は0角度、右折操作である場合には右折道路に応じて30、45、90角度といった操舵角度が取得される。
【0049】
ステップS308に進み、進行路判定部201は、操舵角度情報に基づいて、車輌の進行路の判定を行う。ここでいう進行路とは、(例えば、地図上に対応させて)車輌がどの道路に進行するかというもので、次の交差点を左折、右折する、その道路を直進するといった具体的な進行路である。例えば(図5参照)、車輌が進行する次の十字交差点手前地点において、方向指示信号(情報)が右折信号である場合で、右折可能な経路が複数ある場合に、操舵角度情報に基づいて進行路が判定される。判定OKの場合にはステップS309に進み、判定NGの場合には処理を終了する。なお、ステップS304の方向指示情報が取得されている場合にはこの情報も加味されて判定されてもよい。
【0050】
ステップS309に進み、表示出力制御部204は、自車位置及び交通規制情報に基づいて、ステップS308で進行路と判定された進行路上(進行路先)に交通規制があるか否かを確認する。交通規制がある場合にはステップS310に進み、交通規制が無い場合には処理を終了する。なお、ステップS310については上述しているので再度の説明は省略する。
【0051】
以上、本実施例のカーナビゲーション装置1によれば、運転者の操作、即ち方向指示又はステアリング操作に基づいて進行路が判定され、表示・音声で進行路上の交通規制情報のみ案内し、注意や経路変更を促すことが可能となる。また、運転中は安全面から表示画面での案内より音声による案内が望まれるが、本実施例のカーナビゲーション装置1によれば、案内すべき交通規制情報も必要な情報のみとなるため、従来難しかった音声での交通規制情報案内も可能となる。運転者は容易に交通規制情報を画面、音声により認識できる。
【0052】
[実施例2]
本実施例では、実施例1と比べ、方向指示信号出力部208の点で特徴を有する。以下、説明を行う。
【0053】
(方向指示信号出力部)
図6、7は、本実施例における方向指示信号出力部208を説明する図である。図6、7で説明するタッチセンサ及び荷重センサは、方向指示信号を出力し、図2の方向指示信号出力部208に対応する。
【0054】
図6は、方向指示器の一例を示し、方向指示レバー部はタッチセンサ601(右折認識)及びタッチセンサ602(左折認識)を備える。運転者が該タッチセンサに触れるとセンサはこれを検出しタッチセンサ制御部(非図示)に検出信号が出力される。タッチセンサ制御部は、方向指示信号を進行路判定部201に入力する。なお、例えば、タッチセンサ601からは右折信号が検出され、タッチセンサ602からは左折信号が検出される。
【0055】
また、図7は、方向指示器の一例を示し、方向指示器は荷重センサ701を備える。運転者が方向指示レバー部に触れると荷重センサ701はその荷重から方向指示を検出し荷重センサ制御部(非図示)に検出信号が出力される。荷重センサ制御部は、方向指示信号を進行路判定部201に入力する。なお、例えば、荷重センサ701では、荷重方向に基づいて右折信号又は左折信号が検出される。
【0056】
タッチセンサ601、602及び荷重センサ701からの方向指示情報は進行路判定部201に入力される。なお、それ以後の処理フローについては図3を用いて説明したとおりであるため説明は省略する(特に、図3のステップS304参照)。
【0057】
以上、本実施例のカーナビゲーション装置1によれば、運転者が方向指示操作、即ち方向指示レバー操作(ストローク)を行う前段階で方向指示情報を検出し、その方向指示情報に基づいて進行路が判定され、迅速に、表示・音声で進行路上の交通規制情報のみ案内し、注意や経路変更を促すことが可能となる。
【0058】
(交通規制情報の案内の一例)
ここで、図10、11を参照して、本発明(本実施例1及び実施例2)のカーナビゲーション装置1による交通規制情報の案内の一例を説明する。図10は、従来のカーナビゲーション装置で交通規制情報が表示される様子である。前方へ進行する車輌は、次のポイント(交差点)において、「車線縮小」1001、「工事中」1002、「通行止」1003といった交通規制情報が表示されている。またその他周辺施設情報等も表示されている。車輌の進行路として可能性のある経路すべてについての交通規制情報が表示される。
【0059】
図11は、図10の画面に対応して、本発明によるカーナビゲーション装置で交通規制情報が表示される様子である。前方へ進行する車輌は、次のポイント(交差点)において、「通行止」1003のみの交通規制情報が表示されている。本発明によるカーナビゲーション装置によれば、車輌の進行路についての交通規制情報のみが表示され、音声による案内が行われるので、運転者は容易に交通規制情報を画面、音声により認識できる。また、画面上に余分な情報が表示されないことで煩わしさも緩和される。
【0060】
[実施例3]
図8は、本発明によるカーナビゲーション装置1の一実施形態の主要機能構成を示す機能ブロック図である。図2の機能ブロック図と異なる点について説明する。本実施例では、振動制御部210/振動装置の点で特徴を有する。以下、図8、9を用いて説明を行う。
【0061】
(振動装置)
図9は、本実施例における振動装置901が設置される様子を示す図である。図9で説明する振動装置901は、図8の振動装置901に対応する。図9は、方向指示器の一例を示し、方向指示レバー部は、振動モータなどの振動装置901を備える。
【0062】
図3のステップS310において、交通規制がある場合には、表示出力制御部204は、表示部206及び音声出力部207にて進行路上(進行路先)の交通規制情報を表示及び出力することを説明した。振動装置901は、交通規制情報の表示及び出力時にあわせて動作する。表示出力制御部204は、交通規制情報の表示部206及び音声出力部207へ表示、音声出力を行うと共に、振動制御部210に対して振動装置901が(振動)動作を行うよう命令を行う。これを受けて、振動装置901は(振動)動作を行う。なお、振動装置901の動作までの処理フローについては図3を用いて説明したとおりであるため説明は省略するが、この場合、図3のステップS310においては、「進行路の交通規制情報を画面表示、音声出力、及び振動を出力」となる。
【0063】
以上、本実施例のカーナビゲーション装置1によれば、進行路上の交通規制情報がある場合には、表示・音声での認識に加えて、振動による触覚的認識が可能となる。運転者はより容易に交通規制情報を認識できる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるカーナビゲーション装置1の一実施形態の主要構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明によるカーナビゲーション装置1の一実施形態の主要機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施例のカーナビゲーション装置1により実現される主要処理の流れの一例である実施例を示すフローチャートである。
【図4】進行路の判定について説明する図である。
【図5】進行路の判定について説明する図である。
【図6】方向指示器のタッチセンサの一例を示す図である。
【図7】方向指示器の荷重センサの一例を示す図である。
【図8】本発明によるカーナビゲーション装置1の一実施形態の主要機能構成を示す機能ブロック図である。
【図9】方向指示器の振動装置の一例を示す図である。
【図10】従来のカーナビゲーション装置1による交通規制情報の案内の一例を説明する図である。
【図11】本発明のカーナビゲーション装置1による交通規制情報の案内の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ナビゲーション装置
2 CPU
3 ROM
4 RAM
5 補助記憶装置
6 通信装置
7 インターフェース装置
8 GPS
9 ジャイロセンサ
10 入力装置
11 表示装置
12 音声出力装置
15 車速センサ
16 ターンシグナルレバースイッチ
17 操舵角センサ
201 進行路判定部
202 自車位置特定部
203 通信部
204 表示(出力)情報制御部
205 描画部
206 表示部
207 音声出力部
208 方向指示信号出力部
209 ステアリング操舵角度取得部
210 振動制御部
601 タッチセンサ
602 タッチセンサ
701 荷重センサ
901 振動装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向指示器及び操舵角センサを備える車輌に搭載され、交通規制情報を表示及び/又は音声で案内するカーナビゲーション装置であって、
前記方向指示器から方向指示情報及び前記操舵角センサから操舵角度情報を取得する進行方向情報取得手段と、
前記進行方向情報取得手段により取得された方向指示情報及び/又は前記操舵角度情報に基づいて、前記車輌の進行路を判定する進行路判定手段と、
前記交通規制情報の表示及び音声出力を制御する表示出力制御手段とを有し、
前記表示出力制御手段は、前記進行路判定手段により判定された前記進行路に関する前記交通規制情報のみ、表示及び音声出力の両方を行うこと、
を特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記方向指示器は、タッチセンサを有し、
前記進行方向情報取得手段は、前記タッチセンサから方向指示情報を取得し、
前記進行路判定手段は、前記タッチセンサから取得した方向指示情報に基づいて、前記車輌の進行路を判定すること、
を特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記方向指示器は、荷重センサを有し、
前記進行方向情報取得手段は、前記荷重センサから方向指示情報を取得し、
前記進行路判定手段は、前記荷重センサから取得した方向指示情報に基づいて、前記車輌の進行路を判定すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記方向指示器は、振動装置を有し、
前記表示出力制御手段は、前記交通規制情報の表示及び音声出力を行うとき、前記振動装置を駆動させること、
を特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載のカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−250692(P2009−250692A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96515(P2008−96515)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】