説明

サセプタカバー、該サセプタカバーを備えた気相成長装置

【課題】熱応力によって割れの危険がなく、かつ自動搬送に適したサセプタカバー、及び該サセプタカバーを備えた気相成長装置を得る。
【解決手段】本発明に係るサセプタカバーは、チャンバー23内に公転可能に設置されると共に、薄膜を堆積させる基板25が自転可能に載置される複数の基板載置部47を有するサセプタ27を備えた気相成長装置17におけるサセプタ27に設置されるサセプタカバー1であって、サセプタカバー1は、外形が円形であって、基板載置部47に対応する部位に開口部5が周方向に連続して設けられてなり、隣接する開口部5の間の部位において内周側1aと外周側1bに2分割されてなり、内周側1aと外周側1bとが、内周部1a側又は外周部1b側のいずれか一方を持ち上げると、他方も持ち上げられるような係合部7によって係合されてなることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を加熱しながら気相原料を供給して基板上に薄膜を堆積させる気相成長装置に関し、特に該気相成長装置に使用するサセプタカバー及び該サセプタカバーを備えた気相成長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サセプタに保持された基板を所定温度に加熱した状態で反応室内に原料ガスを供給し、前記基板面に薄膜を堆積(成長)させる気相成長装置として、複数枚の基板に均一に薄膜を形成するため、サセプタを回転させるとともに、該サセプタの回転に伴って基板を載置する基板載置部材(基板トレイ)を回転させ、成膜中の基板を自公転させる機構を備えた気相成長装置が知られている。
【0003】
図12は特許文献1に開示された気相成長装置70の断面図である。特許文献1に開示された気相成長装置70は、上部中央にガス導入管71を配設した偏平円筒状のチャンバー72内に、円盤状のカーボンからなるサセプタ73と、該サセプタ73の外周部分の同心円上に等間隔で配置された複数の基板ホルダー74と、サセプタ73の上方に対向配置されてチャンバー72内を上下に区画し、サセプタ73側に反応室75を形成する仕切板76とを備えている。
【0004】
チャンバー72は、反サセプタ側の上方が開口したチャンバー本体77と、該チャンバー本体77の周壁上部にOリングを介して気密に装着されるチャンバー蓋78とに分割形成されている。チャンバー本体77の底部中央部には、サセプタ73を回転させるための回転駆動軸79が設けられ、該回転駆動軸79でサセプタ73を回転させることにより、基板80を保持した基板ホルダー74がサセプタ73の中心に対して公転するとともに、サセプタ73の外周に設けられた自転歯車機構によって自転する仕組みになっている。
また、基板ホルダー74の下方には、基板80を加熱するためのヒーター81がリング状に配設され、サセプタ73の外周側にはリング状の排気通路82が設けられている。
【0005】
また、前記サセプタ73及び基板ホルダー74の上面には、周方向に複数に分割形成されたサセプタカバー85が載置されている。
サセプタカバー85は、サセプタ73が反応物で汚染されるのを防ぐ目的で設置されている。汚れたサセプタカバー85を反応炉から取り出して新たなサセプタカバー85を設置することで、パーティクル汚染の防止、かつ安定した成膜が可能である。
このような機能のサセプタカバー85は、図13に示すように、中央部に大開口部89を有するドーナツ状をしており、基板ホルダー74が配置される部分に開口部91が連続して円周方向に形成されている。
サセプタカバー85は、隣接する開口部91の間にある最も細くなった部位に切断部93を有し、該切断部93によって、内周側85aと外周側85bとが分離できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008―262967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サセプタカバー85は、大口径・多数枚炉用のサセプタに対応したものである。このようなサセプタカバー85は、図13に示されるように、開口部91が多数設けられているため、隣接する開口部91が最も近づく部位が細くなる。そのため、当該部位が熱的に弱く、熱応力によるカバーの割れが発生する。そこでカバーの割れを防止するため、サセプタカバー85を2分割にしている。
【0008】
前述したようにサセプタカバー85は反応炉から取り出して洗浄する必要がある。この場合、サセプタカバー85のみを反応炉から取り出すことは難しいため、サセプタカバー85を反応炉から取り出す際は、サセプタカバー85が設置されているサセプタ73ごと反応炉から取り出だし、その後でサセプタカバー85のみをパスボックスに搬送するのが望ましい。
しかしながら、分割されたサセプタカバー85は自動搬送に適しておらず、サセプタカバー85をサセプタ73から取り外してパスボックスに自動搬送するのが難しい。
そのため、従来においては、サセプタカバー85を反応炉から取り出す際は、サセプタカバー85が設置されているサセプタ73ごとパスボックスへ搬送し、パスボックスを大気開放してサセプタ上のカバーを回収しなければならなかった。
しかしながら、この方法だと一度パスボックスを大気開放するので、サセプタ73を大気にさらしてしまうことになり好ましくない。
【0009】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、熱応力によって割れ等の危険がなく、かつ自動搬送に適したサセプタカバー、及び該サセプタカバーを備えた気相成長装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係るサセプタカバーは、チャンバー内に公転可能に設置されると共に、薄膜を堆積させる基板が自転可能に載置される複数の基板載置部を有するサセプタを備えた気相成長装置における前記サセプタに設置されるサセプタカバーであって、
該サセプタカバーは、外形が円形であって、前記基板載置部に対応する部位に開口部が周方向に連続して設けられてなり、隣接する前記開口部の間の部位において内周側と外周側に2分割されてなり、
前記内周側と外周側とが、内周部側又は外周部側のいずれか一方を持ち上げると、他方も持ち上げられるような係合部によって係合されてなることを特徴とするものである。
【0011】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記係合部は、一方が他方に載置可能な段部によって形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記係合部は、前記内周側又は外周側に設けられて外周側又は内周側に向かって突出する凸部と、前記外周側又は前記内周側に設けられて前記凸部が嵌合可能な凹部とを備えてなることを特徴とするものである。
係合部に凸部と凹部を設けたことにより、サセプタカバーの搬送中に内周側と外周側がずれるのを防止することができる。
【0013】
(4)本発明に係る気相成長装置は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のサセプタカバーを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、サセプタカバーを内周側と外周側とで分割された形状であると共に、外周側を持ち上げると内周側も持ち上げられるような係合部によって係合されているので、外周側を保持することでサセプタカバー全体を保持でき、その結果、サセプタカバーのみの自動搬送が可能になり、サセプタを大気にさらすことなくサセプタカバーのみの自動搬送による取出しが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係るサセプタカバー説明図である。
【図2】図1の丸で囲んだA部を拡大すると共に斜め方向から見た状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るサセプタカバーを設置した気相成長装置の説明図であり、従来例を示した図12のA部に相当する部分を示すものである。
【図4】図1の一部を拡大して示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る気相成長装置の全体を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る気相成長装置の動作説明図であり、チャンバーを開放した状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る気相成長装置の動作説明図であり、サセプタカバー12の交換手順の説明図(その1)である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る気相成長装置の動作説明図であり、サセプタカバー12の交換手順の説明図(その2)である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る気相成長装置の動作説明図であり、サセプタカバー12の交換手順の説明図である(その3)。
【図10】本実施の形態に係るサセプタカバーの他の態様の説明図である。
【図11】図10の丸で囲んだB部を拡大すると共に斜め方向から見た状態を示す斜視図である。
【図12】従来の気相成長装置の説明図である。
【図13】従来のサセプタカバーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施の形態のサセプタカバー1は、図1に示すように、中央部に大開口部3を有すると共に外形が円形に形成され、全体形状がドーナツ状をしている。
大開口部3の外径側には複数の開口部5が周方向に連続して形成されており、隣接する開口部5の境界部に係合部7を有し、該係合部7で内周側1aと外周側1bに分離可能に連結されている。
内周側1aと外周側1bを分割しているのは、熱応力の発生によってサセプタカバー1が変形したり、破断したりするのを防止するためである。
【0017】
係合部7は、図2に示すように、外周側係合部7bと内周側係合部7aによって構成されている。外周側係合部7bは、厚み方向下半分が内周側1a方向に突出する下突出部9を有することによって段形状になっている。他方、内周側係合部7aは、厚み方向上半分が外周側1b方向に突出する上突出部11を有することによって逆段形状になっている。そして、外周側係合部7bの下突出部9に内周側係合部7aの上突出部11が載置できるようになっており、それ故、外周側1bを持ち上げると内周側1aも同時に持ち上がるようになっている。このため、外周側1bを支持して持ち上げることで、サセプタカバー1全体を持ち上げることができる。
【0018】
また、内周側係合部7aにおける上突出部11の先端には、外周側1bに向かって突出する凸部13が形成され、外周側係合部7bには凸部13が嵌合可能な凹部15が形成されている。凸部13と凹部15が嵌合することで、係合部7において内周側1aと外周側1bが周方向へずれるのが防止される。したがって、サセプタカバー1を搬送する途中で外周側1bと内周側1aが周方向にずれることがなく、安定して搬送することができる。このように安定して搬送できることで、自動搬送の実現を容易ならしめている。
【0019】
次に、上記のように構成されたサセプタカバー1を搭載した本実施の形態の気相成長装置を図3〜図5に基づいて説明する。
本実施の形態に係る気相成長装置17は、図3〜図9に示すように、チャンバー本体19と、該チャンバー本体19に設けられて前記チャンバー本体19を開閉するチャンバー蓋21とを有するチャンバー23と、該チャンバー23内に設置されて基板25が載置されるサセプタ27と、サセプタ27の上面を覆うサセプタカバー1と、該サセプタ27に対向配置される対向面部材29と、対向面部材29を保持して昇降可能に構成された対向面部材昇降機構31と、サセプタカバー1を保持して昇降可能に構成されたサセプタカバー保持装置33(図7〜図9参照)と、対向面部材29またはサセプタカバー1を載置する搬送板35を有すると共に搬送板35を保持して搬送する搬送装置37とを備えている。
本実施の形態の気相成長装置17においては、原料ガスを供給する原料ガス導入ノズル39は、チャンバー本体19側に設けられ、下方から上方に向かって原料ガスが流れるという構造になっている。
なお、図3において、搬送板35の一部が空中に浮いたように示されているが、これは搬送板35が後述する搬送ロボット41(図5参照)によって保持されて待機している状態を示したものである。
以下、気相成長装置17の主な構造を詳細に説明する。
【0020】
<チャンバー>
チャンバー23は、全体形状が偏平円筒状をしており、下部側のチャンバー本体19と、チャンバー本体19を開閉するチャンバー蓋21とを備えている。
チャンバー本体19の中心部には、原料ガス導入ノズル39が設置され、サセプタ27に載置された基板25に原料ガスを供給できるようになっている。
チャンバー本体19の外周縁部は本体部フランジ43となっており、チャンバー蓋21の蓋部フランジ45と当接してチャンバー23を気密に閉止できるようになっている(図3参照)。
チャンバー本体19には、サセプタ27が公転(回転)可能に設置されており、サセプタ27における基板載置部47の下方には、基板25を加熱するためのヒーター49が設置されている。
【0021】
チャンバー蓋21は、図示しない昇降機構によってチャンバー本体19に対して昇降するようになっている。また、チャンバー蓋21の外周縁部には、蓋部フランジ45が形成され、この蓋部フランジ45が本体部フランジ43に対向配置されている。
【0022】
<サセプタ>
サセプタ27は全体形状が円板状をしており、上述したように、チャンバー23内に公転可能に設置されている。サセプタ27には自転可能な複数の基板載置部47が設けられ、この基板載置部47に薄膜が形成される基板25が載置されている。
サセプタ27は、図示しない駆動機構によって全体が公転(回転)し、この公転に連動して基板載置部47が自転する機構になっている。
<サセプタカバー>
サセプタ27の上面には、図1、図2に示したサセプタカバー1が着脱可能に設置されている。図2(a)はサセプタカバー1を設置した状態であり、サセプタカバー1は図2(b)に示すように、上方に持ち上げることによって取り外すことができるようになっている。
【0023】
<対向面部材>
対向面部材29は、ドーナツ板状をしており、その周縁部に段部51が形成されている。この段部51が対向面支持部材52に支持されることにより、対向面部材29は、サセプタ27との間に原料ガス流路53を形成するように設置される。
また、対向面部材29の中心部には、径方向中心に向かって突出する円弧状の係止片55が形成されている。
【0024】
<対向面部材昇降機構>
対向面部材昇降機構31は、対向面部材29に形成された係止片55に係合片56を係止することで対向面部材29を保持して図示しない駆動部によって昇降可能かつ回動可能に構成されている。
【0025】
<サセプタカバー保持装置>
サセプタカバー保持装置33は、サセプタカバー1を保持できると共に保持した状態で昇降可能で、かつ保持の解除ができるように構成されている。サセプタカバー保持装置33の構成は種々のものが考えられるが、例えば真空チャックにより対象物を保持する真空吸着装置により構成することができる。
サセプタカバー保持装置33は、図5に示すように、グローブボックス57内に設置されている。なお、サセプタカバー保持装置33の設置位置は、比較的高い位置にあり、サセプタカバー保持装置33の下方にはチャンバー23から取り外されたサセプタ27を載置するスペースが確保されている。
【0026】
<搬送装置>
搬送装置37は、図5に示すように、グローブボックス43内に設置された搬送ロボット41と、同じくグローブボックス43内に載置された搬送板35によって構成される。
搬送板35は円板からなり、搬送ロボット41によってその一部を保持されてグローブボックス57内を移動する。
また、搬送板35は、サセプタ27の上方に配置したときに、平面視でサセプタ27を覆い、対向面部材29あるいはサセプタカバー1から落下するゴミ(気相生成物の滓など)などを受け止めることができると共に対向面部材29あるいはサセプタカバー1を載置して搬送することができる。
【0027】
なお、チャンバー23や搬送装置37が設置されているグローブボックス57には、対向面部材29やサセプタカバー1の受渡しをするためのパスボックス59が設けられている。パスボックス59には、真空ポンプ61や窒素ガス供給管63が接続され、パスボックス59内の雰囲気を窒素雰囲気に置換できるようになっている。
【0028】
上記のように構成された本実施の形態の気相成長装置17の動作を、「薄膜成長と基板の取出し及び再セット」、「サセプタカバー交換」に分けて説明する。
【0029】
<薄膜成長、基板の取出し及び再セット>
気相成長装置17を使用して基板25に薄膜を成長させる場合、図3に示すように、基板載置部47に基板25を載置し、対向面部材29をサセプタ27に対向配置し、チャンバー蓋21を閉める。そして、サセプタ27を公転させると共に基板載置部47を自転させ、ヒーター49によって基板25を加熱し、この状態で原料ガスを流すことで基板25の表面に薄膜が成長する。
【0030】
基板25に所定の薄膜が形成されると、対向面部材昇降機構31の係合片56を対向面部材29の係止片55に係合させた状態でチャンバー蓋21を上昇させる。チャンバー蓋21を上昇させることにより、図6に示すように、対向面部材29がチャンバー蓋21と共に持ち上げられ、基板25が露出する。
薄膜が形成された基板25が取り出されると、新しい基板25を基板載置部47にセットして、チャンバー蓋21を下降させて蓋を閉じて、上記と同様の動作を行う。
【0031】
<サセプタカバー交換>
次にサセプタカバー1の交換方法を、図5〜図9に基づいて説明する。なお、図7〜図9は、チャンバー蓋21を上昇させ(図6参照)、サセプタ27を搬送ロボット41によってチャンバー23の外に取り出してサセプタカバー保持装置33の下方に載置した状態を図示している。
図7に示されるように、サセプタ27が所定の位置に載置されると、サセプタカバー保持装置33を下降させて、サセプタカバー1における外周側1bを吸着保持し、保持した状態で上昇させる(図8参照)。サセプタカバー1は、外周側1bと内周側1aが係合しているので、外周側1bを吸着保持して上昇させることで、全体を上昇させることができる。
【0032】
次に、搬送板35を搬送ロボット41によって搬送して、サセプタカバー保持装置33によって保持されているサセプタカバー1の下方に配置する。このとき、サセプタ27の表面は平面視で搬送板35に覆われる。
サセプタカバー保持装置33を下降させ、サセプタカバー1を搬送板35に載置させた状態でサセプタカバー保持装置33の保持を解除してサセプタカバー1を搬送板35に載置する(図9参照)。このとき、サセプタ27の上方には搬送板35が配置されているので、サセプタカバー1の取外しの際にサセプタカバー1に付着しているゴミなどがサセプタ27に落下することがない。
その後、サセプタカバー1が載置された搬送板35を搬送ロボット41によってパスボックス59に搬送し、搬送されたサセプタカバー1を作業者によって取り出すと共に洗浄済みのサセプタカバー1を搬送板35に載置する。
【0033】
そして、搬送ロボット41を駆動して搬送板35をサセプタ27の上方まで搬送し(図9参照)、前述したサセプタカバー取外しの動作と逆の動作を行うことによってサセプタカバー1をサセプタ上面に設置する。つまり、図9に示す状態から、サセプタカバー保持装置33を下降させ、搬送板35に載置されているサセプタカバー1を吸着保持し、搬送板35を抜き取る(図8参照)。
次に、サセプタカバー保持装置33を下降させ、所定の位置において吸着保持を解除してサセプタカバー1をサセプタ27の上面に設置する(図7参照)。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、サセプタカバーを内周側1aと外周側1bとで分割された形状にしたので、薄膜成長工程における高温状態になっても熱応力によって変形したり破断したりすることがない。
また、サセプタカバー1は、外周部側を持ち上げると、内周側1aも持ち上げられるような係合部7によって係合されているので、外周側1bを保持することでサセプタカバー全体を保持できる。そのため、上記のようにサセプタカバー1のみの自動搬送が可能になり、サセプタを大気にさらすことなく自動搬送化が実現される。
さらに、サセプタカバー1における係合部7に凸部13と凹部15を設けたことにより、サセプタカバー1の搬送中に内周側1aと外周側1bがずれることがなくなる。
【0035】
なお、上記の実施の形態においては、サセプタカバー1における係合部7は、外周側係合部7bに形成した下突出部9に内周側係合部7aに形成した上突出部11を載置するようにして、外周側1bを保持することで全体を保持できるようにした。
しかしながら、本発明のサセプタカバーはこれに限られるものではなく、図10、図11に示すように、内周側係合部7aに形成した下突出部9に外周側係合部7bに形成した上突出部11を載置するようにして、内周側1aを保持することでサセプタカバー1全体を保持できるようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態の気相成長装置におけるサセプタカバー保持装置33の例として、真空チャックにより対象物を保持する真空吸着装置を示したが、その他の例として、サセプタカバー1の外周縁部の下面を保持できるフックを両側に備え、かつ昇降できるアームを備えた装置によって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、特に化合物半導体を成膜する半導体製造装置に関し、該装置によって製造される半導体の品質向上に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 サセプタカバー
1a 内周側
1b 外周側
3 大開口部
5 開口部
7 係合部
7a 内周側係合部
7b 外周側係合部
9 下突出部
11 上突出部
13 凸部
15 凹部
17 気相成長装置
19 チャンバー本体
21 チャンバー蓋
23 チャンバー
25 基板
27 サセプタ
29 対向面部材
31 対向面部材昇降機構
33 サセプタカバー保持装置
35 搬送板
37 搬送装置
39 原料ガス導入ノズル
41 搬送ロボット
43 本体部フランジ
45 蓋部フランジ
47 基板載置部
49 ヒーター
51 段部
53 原料ガス流路
55 係止片
56 係合片
57 グローブボックス
59 パスボックス
61 真空ポンプ
63 窒素ガス供給管
70 気相成長装置
71 ガス導入管
72 チャンバー
73 サセプタ
74 基板ホルダー
75 反応室
77 チャンバー本体
78 チャンバー蓋
79 回転駆動軸
80 基板
81 ヒーター
82 排気通路
85 サセプタカバー
85a 内周側
85b 外周側
89 大開口部
91 開口部
93 切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に公転可能に設置されると共に、薄膜を堆積させる基板が自転可能に載置される複数の基板載置部を有するサセプタを備えた気相成長装置における前記サセプタに設置されるサセプタカバーであって、
該サセプタカバーは、外形が円形であって、前記基板載置部に対応する部位に開口部が周方向に連続して設けられてなり、隣接する前記開口部の間の部位において内周側と外周側に2分割されてなり、
前記内周側と外周側とが、内周部側又は外周部側のいずれか一方を持ち上げると、他方も持ち上げられるような係合部によって係合されてなることを特徴とするサセプタカバー。
【請求項2】
前記係合部は、一方が他方に載置可能な段部によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のサセプタカバー。
【請求項3】
前記係合部は、前記内周側又は外周側に設けられて外周側又は内周側に向かって突出する凸部と、前記外周側又は前記内周側に設けられて前記凸部が嵌合可能な凹部とを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のサセプタカバー。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のサセプタカバーを備えたことを特徴とする気相成長装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−178488(P2012−178488A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41193(P2011−41193)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【出願人】(509054005)大陽日酸イー・エム・シー株式会社 (13)
【Fターム(参考)】