シード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体
【課題】オーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができるシード膜の成膜方法を提供することにある。
【解決手段】真空引き可能になされた処理容器24内でプラズマにより金属ターゲット70をイオン化させて金属イオンを発生させ、金属イオンを処理容器内の載置台34上に載置した表面に凹部4を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで凹部内を含む被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するようにしたシード膜の成膜方法において、バイアス電力を、被処理体の表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返す。
【解決手段】真空引き可能になされた処理容器24内でプラズマにより金属ターゲット70をイオン化させて金属イオンを発生させ、金属イオンを処理容器内の載置台34上に載置した表面に凹部4を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで凹部内を含む被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するようにしたシード膜の成膜方法において、バイアス電力を、被処理体の表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シード膜の成膜方法及びプラズマ成膜装置に係り、特に半導体ウエハ等の被処理体に形成されている凹部を埋め込む時に形成するシード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスを製造するには、半導体ウエハに成膜処理やパターンエッチング処理等の各種の処理を繰り返し行って所望のデバイスを製造するが、半導体デバイスの更なる高集積化及び高微細化の要請より、線幅やホール径が益々微細化されている。そして、配線材料や埋め込み材料としては、各種寸法の微細化により、より電気抵抗を小さくする必要から電気抵抗が非常に小さくて且つ安価である銅を用いる傾向にある(特許文献1、2、3)。そして、この配線材料や埋め込み材料として銅を用いる場合には、その下層との密着性等を考慮して、一般的にはタンタル金属(Ta)やタンタル窒化膜(TaN)等がバリヤ層として用いられる。
【0003】
そして、上記凹部内を埋め込むには、まずプラズマスパッタ装置内にて、この凹部内の壁面全体を含むウエハ表面全面に銅膜よりなる薄いシード膜を形成し、次にウエハ表面全体に銅メッキ処理を施すことにより、凹部内を完全に埋め込むようになっている。その後、ウエハ表面の余分な銅薄膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により研磨処理して取り除くようになっている。
【0004】
この点については図9及び図11を参照して説明する。図9は半導体ウエハの表面に形成された凹部の一例を示す断面斜視図、図10は図9中の一部の凹部を埋め込むための従来の成膜方法を示す工程図、図11はオーバハング部分が形成される状態を説明する説明図である。図9は半導体ウエハWの表面に形成した絶縁層3に断面矩形状の横に長い溝(トレンチ)よりなる凹部2と、この溝状の凹部2の底部にビアホールやスルーホールのようなホール状の凹部4が形成されている状態を示し、ここでは2段の段部構造になっている。図示例ではホール状の凹部4の下部には、下層としての配線層6が形成されており、この凹部4を導電部材で埋め込むことにより導通が取られることになる。このような2段構造をDual Damascene構造と称す。尚、溝状の凹部2、或いはホール状の凹部4が単独で形成されている場合もある。これらの凹部2、4は、設計ルールの微細化に伴って幅や穴径が非常に小さくなっており、これに伴って埋め込み凹部の縦横の寸法比を示すアスペクト比は逆に大きくなって、例えば3〜4程度になっている。
【0005】
ここで図9を参照して、主にホール状の凹部4内を埋め込む方法について説明する。この半導体ウエハWの表面には上記凹部4内の内面も含めて略均一に例えばTaN膜及びTa膜の積層構造よりなるバリヤ層8が下地膜としてプラズマスパッタ装置にて予め形成されている(図10(A)参照)。そして、プラズマスパッタ装置にて上記凹部4内の表面を含むウエハ表面全体に亘って金属膜として薄い銅膜よりなるシード膜10を形成する(図10(B)参照)。このシード膜10をプラズマスパッタ装置内で形成する際、半導体ウエハ側に高周波電圧のバイアス電力を印加して、銅の金属イオンの引き込みを効率良く行うようになっている。更に、上記ウエハ表面に3元素(3D)の銅メッキ処理を施すことにより上記凹部4内を例えば銅膜よりなる金属膜12で埋め込むようになっている。この時、上段の溝状の凹部2も銅メッキにより埋め込まれる。その後は、上記ウエハ表面の余分な金属膜12、シード膜10及びバリヤ層8を上記したCMP処理等を用いて研磨処理して取り除くことになる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−77365号公報
【特許文献2】特開平10−74760号公報
【特許文献3】特開平10−214836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的にプラズマスパッタ装置内で成膜を行う場合、上述のように半導体ウエハ側にバイアス電力を印加して金属イオンの引き込みを促進させることによって、成膜レートを大きくするようになっている。この場合、バイアス電圧を過度に大きくすると、プラズマを発生させるために装置内に導入されているプラズマ励起用ガスである不活性ガス、例えばアルゴンガスのイオンによりウエハ表面がスパッタされて折角堆積した金属膜が削り取られてしまうので、上記バイアス電力はそれ程大きくは設定されていない。
【0008】
しかしながら、上記のように銅膜よりなるシード膜10を形成する場合、図10(B)に示すように、凹部4の上端の開口部におけるシード膜10の部分に、この開口を挟めるような形で突出したオーバハング部分14が発生してしまう。このため、その後にこの凹部4をメッキ等により銅膜よりなる金属膜12で埋め込んでも内部に十分にメッキ液が浸入しない場合が生じ、この内部が十分に埋まらずにボイド16が発生する場合がある、という問題があった。
【0009】
上記オーバハング部分14が形成される理由について、図11を参照して説明する。プラズマスパッタ時に飛散してくる金属(Cu)粒子には、プラズマによりイオン化された金属イオンの外に、中性粒子も存在し、上記金属イオンはバイアス電力に吸引されてウエハ面に指向性をもって略垂直方向上方から飛来して堆積するのに対して、中性金属粒子はウエハ面に対してあるゆる方向から飛来し、特に斜め方向から飛来してくる中性金属粒子C1が凹部4の上端の開口部の角部に多く付着する傾向となる。
【0010】
また開口部の角部に堆積した金属膜を金属粒子や金属イオンC2がスパッタした時に別の金属粒子C3が叩き出され、この叩き出された金属粒子C3が対向する角部に再度付着する場合がある。
更には、このシード膜の形成時には、堆積膜の表面拡散を抑制するためにウエハは冷却されているが、それでもある程度の表面拡散が生ずるのは避けられず、従って、表面拡散によって堆積膜の表面の金属粒子が移動する結果、開口部の角部に堆積した金属膜は表面拡散の時にその表面積が少なくなろうと球状に集まるので、曲面状に張り出しが生ずるように移動する。このように上述した各理由によりオーバハング部分14が形成されてしまう。
【0011】
このようなオーバハング部分14が形成されるとボイド16が発生し易くなるので、上記ボイド16の発生を防止するために、上記銅メッキを行う際にメッキ液中に種々の添加剤を加えて、できるだけ凹部4の底部に銅膜が堆積するように成膜を促進させてボトムアップさせることも行われている。
このような添加剤は、銅の金属膜中に僅かに残留するが、メッキ処理後に一般的に行われる高温アニール処理時に、銅の金属膜中の添加剤は膜中から抜け出て純粋な銅の金属膜配線とすることができた。
【0012】
しかしながら、最近の線幅や穴径の更なる微細化傾向により、線幅や穴径が100nm以下の寸法が要求されると、上記高温アニール処理で今まで容易に抜けていた上記添加剤が銅の金属膜中から十分に抜け切ることができずに、金属膜中に残留してしまう、という問題が発生した。
このように銅の金属膜中に添加剤が残留すると、その配線の抵抗値が大きくなって設計通りの電気特性が得られなくなるばかりか、添加剤の存在がアニール処理時における銅のグレインの成長を抑制することになり、この金属膜の信頼性を低下させる原因にもなっていた。
【0013】
そこで、上記添加剤による問題をなくすために、メッキ処理を用いないで凹部4内の全てをプラズマスパッタによって埋め込むことも検討されているが、この場合にも、前述したように図10(B)で説明したオーバハング部分14が凹部4の開口端に形成されて内部まで金属イオンが到達し難くなってしまい、結果的にボイド16の発生を余儀なくされてしまう。
また、このオーバハング部分14の問題を解決するために、特許文献2、3にも開示されているように、堆積した金属膜を高温処理によりリフローさせて凹部4内を埋め込むことも考えられるが、特許文献2、3に示されるように金属膜が極めて容易に溶融するアルミニウムの場合はリフローが可能であるが、溶融し難い銅の場合にはリフローが非常に起こり難く、現実的な解決策にはなり得ないのが実情である。
【0014】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、オーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができるシード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器内でプラズマにより金属ターゲットをイオン化させて金属イオンを発生させ、前記金属イオンを前記処理容器内の載置台上に載置した表面に凹部を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するようにしたシード膜の成膜方法において、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すようにしたことを特徴とするシード膜の形成方法である。
【0016】
このように、バイアス電力を、被処理体の表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前記金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すことにより、被処理体の表面に一旦堆積した金属膜が再度スパッタされて飛散することはなく、しかも金属膜の形成を休止する期間を間欠的に入れるようにしたので、従来方法の連続スパッタと異なって堆積した金属膜の表面拡散による移動を抑制することができ、この結果、オーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができる。
またオーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができるので、後工程のメッキ工程においてボイドを生ぜしめることなく凹部内を埋め込むことができる。
【0017】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記成膜工程では、前記金属イオンのイオン化率を所定の値以上にするために前記処理容器内の圧力を所定の圧力値以上に設定するようにしてもよい。
このように、処理容器内の圧力を所定の圧力値以上にすることにより、金属イオンのイオン化率を所定の値以上にでき、この結果、オーバハング部分の形成要因の1つである中性金属粒子の存在を抑制することができるので、その分、オーバハング部分の発生を更に抑制することができる。
また例えば請求項3に規定するように、前記イオン化率の所定の値は80%である。
【0018】
また例えば請求項4に規定するように、前記所定の圧力値は50mTorrである。
また例えば請求項5に規定するように、前記休止工程では、少なくとも前記プラズマを発生させるプラズマ発生用電力と前記金属ターゲットへ供給する放電用電力とをそれぞれオフする。
また例えば請求項6に規定するように、前記休止工程では、前記バイアス電力をオフする。
また例えば請求項7に規定するように、前記被処理体は、前記成膜工程と前記休止工程とを通じて冷却されている。
また例えば請求項8に規定するように、前記1回の成膜工程で形成される前記金属膜の成膜時間は10sec以下である。
【0019】
また例えば請求項9に規定するように、前記シード膜の全体の厚さは100nm以下である。
また例えば請求項10に規定するように、前記バイアス電力は0.3ワット/cm2 以下である。
また例えば請求項11に規定するように、前記凹部の幅、或いは穴径は150nm以下である。
また例えば請求項12に規定するように、前記金属膜は、銅、ルテニウム(Ru)、銅合金、及びルテニウム合金の内のいずれかよりなる。
【0020】
請求項13に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置において、前記装置制御部は、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように制御することを特徴とするプラズマ成膜装置である。
【0021】
この場合、例えば請求項14に規定するように、前記載置台は、前記被処理体を冷却する冷却手段を有する。
また例えば請求項15に規定するように、前記載置台の表面には、熱伝導ガスを流すガス溝が形成されている。
【0022】
請求項16に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置を用いて成膜を行うに際して、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように前記プラズマ成膜装置を制御するプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るハート膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
シード膜を形成するに際して、バイアス電力を、被処理体の表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前記金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すことにより、被処理体の表面に一旦堆積した金属膜が再度スパッタされて飛散することはなく、しかも金属膜の形成を休止する期間を間欠的に入れるようにしたので、従来方法の連続スパッタと異なって堆積した金属膜の表面拡散による移動を抑制することができ、この結果、オーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができる。
またオーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができるので、後工程のメッキ工程においてボイドを生ぜしめることなく凹部内を埋め込むことができる。
【0024】
特に請求項2に係る発明のように、処理容器内の圧力を所定の圧力値以上にすることにより、金属イオンのイオン化率を所定の値以上にでき、この結果、オーバハング部分の形成要因の1つである中性金属粒子の存在を抑制することができるので、その分、オーバハング部分の発生を更に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明に係るシード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係るプラズマ成膜装置の一例を示す断面図である。ここではプラズマ成膜装置としてICP(Inductively Coupled Plasma)型プラズマスパッタ装置を例にとって説明する。図示するように、このプラズマ成膜装置22は、例えばアルミニウム等により筒体状に成形された処理容器24を有している。この処理容器24は接地され、この底部26には排気口28が設けられて、圧力調整を行うスロットルバルブ30を介して真空ポンプ32により真空引き可能になされている。
【0026】
この処理容器24内には、例えばアルミニウムよりなる円板状の載置台34が設けられる。この載置台34は、載置台本体34Aと、この上面に設置される静電チャック34Bとよりなり、この静電チャック34B上に被処理体である半導体ウエハWを吸着して保持できるようになっている。この静電チャック34Bの上面側には、熱伝導ガスを流すガス溝36が形成されており、必要に応じてArガス等の熱伝導ガスをこのガス溝36に供給してウエハWと載置台34側との熱伝導性を向上できるようになっている。尚、この静電チャック34Bには、図示しない吸着用の直流電圧が必要に応じて印加される。この載置台34は、この下面の中心部より下方へ延びる支柱38により支持されており、この支柱38の下部は、上記容器底部26を貫通している。そして、この支柱38は、図示しない昇降機構により上下移動可能になされており、上記載置台34自体を昇降できるようにしている。
【0027】
上記支柱38を囲むようにして伸縮可能になされた蛇腹状の金属ベローズ40が設けられており、この金属ベローズ40は、その上端が上記載置台34の下面に気密に接合され、また下端が上記底部26の上面に気密に接合されており、処理容器24内の気密性を維持しつつ上記載置台34の昇降移動を許容できるようになっている。この載置台34の載置台本体34Aには、ウエハWを冷却する冷媒を流す冷媒循環路42が冷却手段として形成されており、この冷媒は支柱38内の図示しない流路を介して給排されている。
【0028】
また容器底部26には、これより上方に向けて例えば3本(図示例では2本のみ記す)の支持ピン46が起立させて設けられており、また、この支持ピン46に対応させて上記載置台34にピン挿通孔48が形成されている。従って、上記載置台34を降下させた際に、上記ピン挿通孔48を貫通した支持ピン46の上端部でウエハWを受けて、このウエハWを外部より侵入する図示しない搬送アームとの間で移載ができるようになっている。このため、処理容器24の下部側壁には、上記搬送アームを侵入させるために開閉可能になされたゲートバルブ50が設けられている。
【0029】
またこの載置台本体34A上に設けた上記静電チャック34Bには、配線52を介して例えば13.56MHzの高周波を発生する高周波電源よりなるバイアス電源54が接続されており、上記載置台34に対して所定のバイアス電力を印加できるようになっている。またこのバイアス電源54はその出力されるバイアス電力を必要に応じて制御できるようになっている。
【0030】
一方、上記処理容器24の天井部には、例えば酸化アルミニウム等の誘電体よりなる高周波に対して透過性のある透過板56がOリング等のシール部材58を介して気密に設けられている。そして、この透過板56の処理容器24内の処理空間60に例えばプラズマ励起用ガスとしてのArガスをプラズマ化してプラズマを発生するためのプラズマ発生源62が設けられる。尚、このプラズマ励起用ガスとして、Arに代えて他の不活性ガス、例えばHe、Ne等を用いてもよい。具体的には、上記プラズマ発生源62は、上記透過板56に対応させて設けた誘導コイル部64を有しており、この誘導コイル部64には、プラズマ発生用の例えば13.56MHzの高周波電源66が接続されて、上記透過板56を介して処理空間60に高周波を導入できるようになっている。ここで、この高周波電源66より出力されるプラズマ電力も必要に応じて制御できるようになっている。
【0031】
また上記透過板56の直下には、導入される高周波を拡散させる例えばアルミニウムよりなるバッフルプレート68が設けられる。そして、このバッフルプレート68の下部には、上記処理空間60の上部側方を囲むようにして例えば断面が内側に向けて傾斜されて環状(截頭円錐殻状)になされた金属ターゲット70が設けられており、この金属ターゲット70には放電用電力を供給するターゲット用の可変になされた直流電源72が接続されている。従って、この可変直流電源72から出力される直流電力も必要に応じて制御できるようになっている。ここでは金属ターゲット70として例えばタンタル金属や銅等が用いられ、これら金属はプラズマ中のArイオンにより金属原子、或いは金属原子団としてスパッタされると共に、プラズマ中を通過する際に多くはイオン化される。尚、タンタル金属はバリヤ層を形成する時に用いられ、銅は本発明方法によりシード膜を形成する時に用いられる。
【0032】
またこの金属ターゲット70の下部には、上記処理空間60を囲むようにして例えばアルミニウムよりなる円筒状の保護カバー74が設けられており、この保護カバー74は接地されると共に、この下部は内側へ屈曲されて上記載置台34の側部近傍に位置されている。また処理容器24の底部には、この処理容器24内へ必要とされる所定のガスを導入するガス導入手段として例えばガス導入口76が設けられる。このガス導入口76からは、プラズマ励起用ガスとして例えばArガスや他の必要なガス例えばN2 ガス等が、ガス流量制御器、バルブ等よりなるガス制御部78を通して供給される。
【0033】
ここで成膜装置22の各構成部は、例えばコンピュータ等よりなる装置制御部80に接続されて制御される構成となっている。具体的には装置制御部80は、バイアス電源54、プラズマ発生用の高周波電源66、可変直流電源72、ガス制御部78、スロットルバルブ30、真空ポンプ32等の動作を制御し、本発明方法により金属膜を成膜する時に次のように動作する。
【0034】
まず装置制御部80の支配下で、真空ポンプ32を動作させることにより真空にされた処理容器24内に、ガス制御部78を動作させつつArガスを流し、スロットルバルブ30を制御して処理容器24内を所定の真空度に維持する。その後、可変直流電源72を介して直流電力を金属ターゲット70に印加し、更に高周波電源66を介して誘導コイル部64に高周波電力(プラズマ電力)を印加する。
【0035】
一方、装置制御部80はバイアス電源54にも指令を出し、載置台34に対して所定のバイアス電力を印加する。このように制御された処理容器24内においては、金属ターゲット70、誘導コイル部64に印加されたプラズマ電力によりアルゴンプラズマが形成されてアルゴンイオンが生成され、これらイオンは金属ターゲット70に衝突し、この金属ターゲット70がスパッタされて金属粒子が放出される。
また、スパッタされた金属ターゲット70からの金属粒子である金属原子、金属原子団はプラズマ中を通る際に多くはイオン化される。ここで金属粒子は、イオン化された金属イオンと電気的に中性な中性金属原子とが混在する状態となって下方向へ飛散して行く。そして、特に金属イオンは、載置台34に印加されたバイアス電力に引きつけられ、ウエハWに対し指向性の高い金属イオンとして載置台34上のウエハWに堆積する。
【0036】
後述するように、装置制御部80は、メッキ用のシード膜を形成する際に、例えばバイアス電源54の出力を制限して設定することにより、ウエハ表面に形成された金属膜(Cu膜)がスパッタされないような状態でCu成膜を行うことができる。ここで装置各構成部の制御は、装置制御部80により、所定の条件で金属膜の成膜が行われるように作成されたプログラムに基づいて制御されるようになっている。この際、例えばフロッピーディスク(登録商標)(FD)やコンパクトディスク(登録商標)(CD)、フラッシュメモリー等の記憶媒体82に、各構成部の制御を行うための命令を含むプログラムを格納しておき、このプログラムに基づいて所定の条件で処理を行うように各構成部を制御させる。
【0037】
次に、以上のように構成されたプラズマ成膜装置22を用いて行われる本発明のシード膜の成膜方法について説明する。
図2はスパッタエッチングの角度依存性を示すグラフ、図3はバイアス電力とウエハ上面の成膜量との関係を示すグラフ、図4は本発明方法の一例を説明するためのフローチャートを示す図、図5は本発明方法のタイミングチャートを示す図、図6は本発明方法により形成されたシード膜の状態を説明する断面図である。
【0038】
まず本発明方法の特徴は、バイアス電力を、半導体ウエハの表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すようにした点にある。
【0039】
成膜工程においては、プラズマによるスパッタ成膜により金属膜を形成する際に、バイアス電力、直流電力、プラズマ電力等を適切な大きさに制御することにより、上述したようにウエハ上面に堆積した金属膜がプラズマガス(Arイオン)によりスパッタされないように設定する。具体的には、この時のバイアス電力は、金属ターゲット70に対する対向面、すなわち図1においてはウエハの上面に関して、金属イオンに対する引き込みによる成膜レートで成膜し、プラズマガス(Ar+ )によるスパッタエッチングのエッチングレートが略ゼロになるような大きさに設定される。
【0040】
この点について更に詳しく説明する。
まず、成膜量を考慮しないでプラズマガスによるスパッタエッチングのエッチングレートについてその特性を検討すると、スパッタ面の角度とエッチングレートとの関係は図2に示すグラフのようになる。ここでスパッタ面の角度とは、スパッタ面(ウエハ上面)の法線がスパッタガス(Arイオン:Ar+ )の入射方向(図1中では下向き方向)となす角度を指し、例えばウエハ上面及び凹部4(図10参照)の底部は共に”0度”であり、凹部側壁は”90度”である。
【0041】
このグラフから明らかなように、ウエハ上面(スパッタ面の角度=0度)はある程度スパッタエッチングが行われ、凹部の側壁(スパッタ面の角度=90度)はほとんどスパッタエッチングが行われず、また凹部の開口の角部(スパッタ面の角度=40〜80度近傍)はかなり激しくスパッタエッチングされることが判る。
【0042】
さて、図1に示すようなICP型スパッタ装置よりなる成膜装置では、ウエハW側に印加するバイアス電力とウエハ上面(凹部の側壁ではない)に堆積する成膜量との関係は図3に示すような関係となる。ここで横軸のワット数はターゲットの種類、ウエハサイズ等により異なり、図3での数値は例えばターゲットが銅であって、ウエハサイズが200mmの場合である。すなわち、一定のプラズマ電力及び金属ターゲット70への一定の直流電力を加えている状況において、バイアス電力がそれ程大きくない場合には、金属イオンの引き込み及び中性金属原子によって高い成膜量が得られるが、バイアス電力が増加して或る程度の値、例えば50ワット(0.16ワット/cm2 )程度を越えると、ウエハ表面がバイアス電力により加速されたプラズマガスであるアルゴンイオンによりスパッタされ初め、このスパッタの傾向が次第に強くなり(図3参照)、この結果、折角、堆積した金属膜がエッチングされてしまう。このエッチングは当然のこととしてバイアス電力が大きくなる程、激しくなる。
【0043】
その後、バイアス電力が大きくなると、引き込まれる金属イオン及び中性金属原子による成膜レートとプラズマガスのイオンによるスパッタエッチングのエッチングレートとが同一になると、成膜とエッチングとが相殺されて、ウエハ上面の成膜量が”ゼロ”になり、この時の条件は図3中の点X1(バイアス電力:150W)に対応する。尚、図3中のバイアス電力や成膜量は単に一例を示したに過ぎず、プラズマ電力や直流電力を制御することによって、上記特性曲線は図3中の一点鎖線にて示すように変動する。
【0044】
従来、この種のスパッタ装置で一般的に動作される条件は、領域A1の部分であり、バイアス電力をあまり大きくせずに、高い成膜量(成膜レート)を稼ぐことができる領域であった。すなわち成膜量は、バイアスが零の時とほとんど変わらず(不活性ガスのプラズマによるエッチングは発生せず)に、且つ引き込まれる金属イオンが最大となる領域であり、凹部の底部においてもかなりの程度の成膜量が稼げる領域である。
【0045】
従来方法では、この領域A1の辺りにバイアス電力を設定して連続的に数10秒間に亘って金属膜を堆積させることによってシード膜を形成した。
これに対して、本発明方法では、短時間の成膜工程と休止工程とを交互に繰り返し行なうようにし、しかも、成膜工程ではウエハ上面やウエハの表面に形成した凹部内の表面には金属膜が堆積するが、一旦堆積した金属膜がガスイオンにより再度スパッタされてエッチングされないような小さなバイアス電力に設定している。また、この成膜工程を短時間行った後、休止工程を行うので、一旦堆積した金属膜が一時的に十分に冷却されることになり、金属膜の表面にオーバハング部分の形成の原因となる表面拡散が生ずることがない。
【0046】
さて、以上のような現象を理解した上で、図4乃至図6も参照して本発明に方法について説明する。
まず、図1において載置台34を下方へ降下させた状態で処理容器24のゲートバルブ50を介して真空引き可能になされた処理容器24内へウエハWを搬入し、これを支持ピン46上に支持させる。そして、この状態で載置台34を上昇させると、この上面にウエハWが受け渡され、このウエハWが静電チャック34Bにより載置台34の上面に吸着される。
【0047】
そして、載置台34上にウエハWを載置して吸着固定したならば、成膜処理を開始する。この時、ウエハWの上面には、図9及び図10において説明した構造と同じ構造の凹部2、4等が予め搬入前に前工程で形成されている。この上段の凹部2は、溝状のトレンチよりなり、この底部に下段の凹部4としてビアホールやスルホールのようなホールが配線層6に届くように形成されており、凹部全体として2段階の段部状になされている。図6では下段の凹部4のみを代表として示している。
【0048】
まず、バリヤ層を形成するために(図4のS1)、金属ターゲット70としてここではタンタルが用いられており、処理容器24内を所定の圧力に真空引きした後に、プラズマ発生源62の誘導コイル部64にプラズマ電力を印加し、且つバイアス電源54より所定のバイアス電力を載置台34の静電チャック34Bに印加する。更に金属ターゲット70には可変直流電源72より所定の直流電力を印加して成膜を行う。ここでは、TaN膜を形成するためにガス導入口78よりプラズマ励起用ガスである例えばArガスの他に、窒化ガスとしてN2 ガスを処理容器24内に供給する。これにより、ウエハWの上面のみならず、凹部4内の側壁や底面にも略均一にTaN膜を形成する。この時のバイアス電力は図3中の領域A1であって従来の一般的な成膜条件と同じであり、具体的には100W(ワット)程度である。
【0049】
上記のようにTaN膜の形成が完了したならば、次にTa膜を形成する。ここでは上記窒化ガスであるN2 ガスの供給を停止した状態でTaN膜の形成時と同じ条件で、Taよりなる金属ターゲット70をプラズマによりイオン化し、Ta膜を堆積させる。この場合にもバイアス電力は図3中の領域A1であって従来の一般的な成膜条件と同じである。これにより、下地膜としてTaN/Ta膜よりなるバリヤ層8が形成されることになる(図4のS1及び図10(A)参照)。尚、上記バリヤ層8としてTa膜の単層を用いる場合もある。
【0050】
次に、上記バリヤ層8の形成されたウエハWを図1に示す構成と同じ構成になされた別のプラズマ成膜装置へ大気に晒すことなく搬送する。ここでは金属ターゲット70としてTaではなくCu(銅)が用いられている。このような銅の金属ターゲットが装着されたプラズマ成膜装置は、先のタンタルの金属ターゲットが装着された成膜装置に真空引き可能になされたトランスファチャンバを介して連結すればよく、半導体ウエハWを大気に晒すことなく真空雰囲気中で両成膜装置間に亘って搬送することができる。
【0051】
上述したように、ここではCu膜よりなるシード膜を形成するために、金属ターゲット70としてここでは銅が用いられており、処理容器24内を所定の圧力に真空引きした後に、プラズマ発生源62の誘導コイル部64にプラズマ電力を印加し、且つバイアス電源54より所定のバイアス電力を載置台34の静電チャック34Bに印加する。更に金属ターゲット70には可変直流電源72より所定の直流電力を印加して成膜を行う。ここでは、Cu膜を形成するためにガス導入口78よりプラズマ励起用ガスである例えばArガスを処理容器24内に供給する。
【0052】
本発明方法でシード膜を形成するには、図4及び図5に示すように、実際にCu膜よりなる金属膜を堆積する成膜工程S2と、成膜を中止して堆積した金属膜を冷却する休止工程S3とを交互に所定の回数(サイクル数)だけ繰り返し行い(S4のNO)、所定の回数行った時点で処理を終了する(S4のYES)。
【0053】
図5に示す場合には、上記成膜工程と休止工程とを4サイクル行った場合を示しており、これにより、図6に示すようにCuの4層の金属膜90A、90B、90C、90Dが1サイクル毎に形成されて全体としてシード膜92を構成している。上記成膜工程では、上記プラズマ用の高周波電源66(図5(A))、金属ターゲット用の直流電源72(図5(B))及びバイアス電源54(図5(C))は共にオンされて、Cuの金属膜が堆積される。
【0054】
そして、上記休止工程では、上記プラズマ用の高周波電源66(図5(A))、金属ターゲット用の直流電源72(図5(B))及びバイアス電源54(図5(C))は共にオフされて、金属イオンを発生させずに金属膜を堆積しないようにしている。
尚、上記休止工程で金属イオンとプラズマを発生させないためには、少なくともプラズマ用高周波電源66と金属ターゲット用の直流電源72を共にオフするようにする。また、プラズマ励起用のArガスも、図5(D)に示すように、上記成膜工程の時に流し、休止工程の時に供給停止を行う。
【0055】
これに対して、図5(E)に示すように、冷却手段42に対しては、成膜工程と休止工程とを通じて、例えば−20〜−50℃程度の冷却媒体を流してウエハを冷却するようにし、成膜工程及び休止工程を通じて堆積した金属膜90A〜90Dに表面拡散が生じないようにしている。
ここで成膜工程のバイアス電力の設定について詳しく説明する。この成膜工程におけるバイアス電力は、図3中の領域A2で示されるような小さな値に設定し、前述したように、ウエハ上面やウエハの表面に形成した凹部内の表面には金属膜が堆積するが、一旦堆積した金属膜がガスイオンにより再度スパッタされてエッチングされないようにしている。
【0056】
上記領域A2におけるバイアス電圧の上限値は、例えば300mmサイズのウエハを枚葉処理するプラズマ処理装置の場合には200ワット(0.3ワット/cm2 )程度であり、これよりもバイアス電力が大きくなると、Arイオンに対する引き込み電力が大きくなるので一旦堆積した金属膜90A〜90Dの再スパッタが発生し、これがために凹部4の開口部の近傍にオーバハング部分が形成され始める恐れが生ずる。また、上記バイアス電力の下限値は、特になく、ゼロワットであってもよい。
【0057】
更に、この成膜工程では、上記Cu金属イオンのイオン化率を所定の値、例えば80%以上にするために、上記処理容器24内のプロセス圧力を所定の圧力値、例えば50mTorr(6.7Pa)以上に設定する。このように、イオン化率を80%以上に高くなるようにすることにより指向性のある金属イオンの占有率が高くなって、指向性のない中性金属粒子の占有率が少なくなる。この結果、成膜に寄与する粒子は金属イオンが支配的になるので、凹部4の開口の角部にあらゆる方向から飛来してくる中性金属原子の量が相対的に少なくなり、この部分にオーバハング部分が形成されることを抑制することができる。この点、上記イオン化率が80%よりも小さくなると、上述とは逆に、中性金属粒子が成膜に寄与する度合いが大きくなって、オーバハング部分の形成が促進されるので好ましくない。
【0058】
上述のように、イオン化率80%以上にするには、例えばプロセス条件にもよるが、プロセス圧力を少なくとも50mTorr以上、好ましくは90mTorr以上に設定すればよい。尚、過度にプロセス圧力を大きくすると、成膜速度が急激に低下するので、その上限値は100mTorr程度である。またここでは、成膜工程及び休止工程を通じて冷却手段42によってウエハWを連続的に冷却しているので、成膜工程ではウエハWが過加熱されて堆積した金属粒子が凝集することはなく、また、休止工程ではArガスイオンによる衝突エネルギーがなくなるので、ウエハを十分に冷却することができ、特に、堆積したCu金属膜が表面拡散することを防止することができるので、この点よりもオーバハング部分が形成されることを抑制することができる。
【0059】
以上の結果、上記各オーバハング部分の形成抑制作用が共同して作用し、この結果、凹部4の開口部近傍にシード膜92のオーバハング部分が形成されることを略確実に阻止することができる。
ここで具体的な数値例について説明すると、まず凹部4の開口の幅、または穴径は150nm以下、特に100nm以下に対して効果的である。また成膜工程における時間T1は2〜10secの範囲内、例えば5.5sec程度、休止期間の時間T2は5〜20secの範囲内、例えば10sec程度である。尚、従来の成膜方法では、シード膜を22secの連続成膜(連続スパッタ)で形成していた。
【0060】
また、図6において形成されるシード膜92の厚さH1は40〜100nmの範囲内、例えば60nm程度である。この時、凹部4内の側壁に堆積するシード膜92の厚さH2は上記厚さH1の15〜20%程度であり、凹部4内の底部に堆積するシード膜92の厚さH3は上記厚さH1の80〜90%程度である。
また1回の成膜工程における金属膜90の成膜時間は10sec以内であり、これよりも時間が長くなると、堆積した金属膜90の凝集が発生してオーバハング部分の形成要因となってしまう。
【0061】
<評価>
次に、本発明方法(間欠スパッタ)によるシード膜の形成と従来方法(連続スパッタ)によるシード膜の形成を実際に行って評価を行ったので、その評価結果について説明する。
図7はホール状の凹部に対して本発明方法(間欠スパッタ)と従来方法(連続スパッタ)によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真であり、共に右側に参考のために模式図を併記してある。
図7(A)は従来方法の場合を示し、図7(B)は本発明方法の場合を示し、共に平面図と断面図を示している。上記凹部(Via)のホール径は全て110nmであり、各部の寸法は写真中に表示されている。尚、写真中の”OH”はオーバハング部分の寸法を示している。
【0062】
プロセス条件に関しては従来方法、本発明方法とも同じであり、以下の通りである。
プロセス圧力は90mTorr、プラズマ用高周波電源66の電力は16kW、直流電力は16kW、バイアス電力は35W、成膜時間は、本発明方法では”5.5sec×4サイクル”、従来方法では22sec(連続スパッタ)である。
図7(A)に示す従来方法の場合には、Viaエリアの平均面積S1は3899nm2 、Via径D1は70.4nm、OH径D2は11.2nmであるのに対して、図7(B)に示す本発明の場合には、Viaエリアの平均面積S2は5330nm2 、Via径D3は82.4nm、OH径D4は5.2nmであった。
【0063】
このように、特にオーバハング部分の大きさを、11.2nmから5.2nmへ減少させることができ、従来方法と比較して本発明方法の場合には、オーバハング部分の形成を大幅に抑制できることが確認できた。
また幅が110nmの溝(トレンチ)についても、上述したと同様な方法及びプロセス条件でシード膜を形成した。その時の結果を図8に示す。図8は溝状(トレンチ)の凹部に対して本発明方法(間欠スパッタ)と従来方法(連続スパッタ)によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真であり、共に右側に参考のために模式図を併記してある。
【0064】
図8(A)は従来方法の場合を示し、図8(B)は本発明方法の場合を示し、共に平面図と断面図を示している。図8(A)に示すように、従来方法の場合にはオーバハング部分の内径は60nmであるのに対して、図8(B)に示す本発明方法の場合は74.5nmであり、本発明方法の場合には、オーバハング部分が形成されるのを、大幅に抑制できることが確認できた。
上記実施例では、金属膜90としてCu或いはCu合金を成膜する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、例えばタングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)等の金属、或いはこれらの各金属の合金を成膜する場合にも、本発明を適用することができる。
【0065】
更に、各高周波電源の周波数も13.56MHzに限定されるものではなく、他の周波数、例えば27.0MHz等を用いることもできる。またプラズマ用の不活性ガスとしてはArガスに限定されず、他の不活性ガス、例えばHeやNe等を用いてもよい。
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板、セラミックス基板等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るプラズマ成膜装置の一例を示す断面図である。
【図2】スパッタエッチングの角度依存性を示すグラフである。
【図3】バイアス電力とウエハ上面の成膜量との関係を示すグラフである。
【図4】本発明方法の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図5】本発明方法のタイミングチャートを示す図である。
【図6】本発明方法により形成されたシード膜の状態を説明する断面図である。
【図7】ホール状の凹部に対して本発明方法と従来方法によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図8】溝状(トレンチ)の凹部に対して本発明方法と従来方法によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図9】半導体ウエハの表面に形成された凹部の一例を示す断面斜視図である。
【図10】図9中の一部の凹部を埋め込むための従来の成膜方法を示す工程図である。
【図11】オーバハング部分が形成される状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0067】
2,4 凹部
22 プラズマ成膜装置
24 処理容器
34 載置台
36 ガス溝
42 冷媒循環路(冷却手段)
54 バイアス電源
62 プラズマ発生源
72 ターゲット用の直流電源
74 誘導コイル部
70 金属ターゲット
80 装置制御部
82 記憶媒体
W 半導体ウエハ(被処理体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、シード膜の成膜方法及びプラズマ成膜装置に係り、特に半導体ウエハ等の被処理体に形成されている凹部を埋め込む時に形成するシード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスを製造するには、半導体ウエハに成膜処理やパターンエッチング処理等の各種の処理を繰り返し行って所望のデバイスを製造するが、半導体デバイスの更なる高集積化及び高微細化の要請より、線幅やホール径が益々微細化されている。そして、配線材料や埋め込み材料としては、各種寸法の微細化により、より電気抵抗を小さくする必要から電気抵抗が非常に小さくて且つ安価である銅を用いる傾向にある(特許文献1、2、3)。そして、この配線材料や埋め込み材料として銅を用いる場合には、その下層との密着性等を考慮して、一般的にはタンタル金属(Ta)やタンタル窒化膜(TaN)等がバリヤ層として用いられる。
【0003】
そして、上記凹部内を埋め込むには、まずプラズマスパッタ装置内にて、この凹部内の壁面全体を含むウエハ表面全面に銅膜よりなる薄いシード膜を形成し、次にウエハ表面全体に銅メッキ処理を施すことにより、凹部内を完全に埋め込むようになっている。その後、ウエハ表面の余分な銅薄膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により研磨処理して取り除くようになっている。
【0004】
この点については図9及び図11を参照して説明する。図9は半導体ウエハの表面に形成された凹部の一例を示す断面斜視図、図10は図9中の一部の凹部を埋め込むための従来の成膜方法を示す工程図、図11はオーバハング部分が形成される状態を説明する説明図である。図9は半導体ウエハWの表面に形成した絶縁層3に断面矩形状の横に長い溝(トレンチ)よりなる凹部2と、この溝状の凹部2の底部にビアホールやスルーホールのようなホール状の凹部4が形成されている状態を示し、ここでは2段の段部構造になっている。図示例ではホール状の凹部4の下部には、下層としての配線層6が形成されており、この凹部4を導電部材で埋め込むことにより導通が取られることになる。このような2段構造をDual Damascene構造と称す。尚、溝状の凹部2、或いはホール状の凹部4が単独で形成されている場合もある。これらの凹部2、4は、設計ルールの微細化に伴って幅や穴径が非常に小さくなっており、これに伴って埋め込み凹部の縦横の寸法比を示すアスペクト比は逆に大きくなって、例えば3〜4程度になっている。
【0005】
ここで図9を参照して、主にホール状の凹部4内を埋め込む方法について説明する。この半導体ウエハWの表面には上記凹部4内の内面も含めて略均一に例えばTaN膜及びTa膜の積層構造よりなるバリヤ層8が下地膜としてプラズマスパッタ装置にて予め形成されている(図10(A)参照)。そして、プラズマスパッタ装置にて上記凹部4内の表面を含むウエハ表面全体に亘って金属膜として薄い銅膜よりなるシード膜10を形成する(図10(B)参照)。このシード膜10をプラズマスパッタ装置内で形成する際、半導体ウエハ側に高周波電圧のバイアス電力を印加して、銅の金属イオンの引き込みを効率良く行うようになっている。更に、上記ウエハ表面に3元素(3D)の銅メッキ処理を施すことにより上記凹部4内を例えば銅膜よりなる金属膜12で埋め込むようになっている。この時、上段の溝状の凹部2も銅メッキにより埋め込まれる。その後は、上記ウエハ表面の余分な金属膜12、シード膜10及びバリヤ層8を上記したCMP処理等を用いて研磨処理して取り除くことになる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−77365号公報
【特許文献2】特開平10−74760号公報
【特許文献3】特開平10−214836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的にプラズマスパッタ装置内で成膜を行う場合、上述のように半導体ウエハ側にバイアス電力を印加して金属イオンの引き込みを促進させることによって、成膜レートを大きくするようになっている。この場合、バイアス電圧を過度に大きくすると、プラズマを発生させるために装置内に導入されているプラズマ励起用ガスである不活性ガス、例えばアルゴンガスのイオンによりウエハ表面がスパッタされて折角堆積した金属膜が削り取られてしまうので、上記バイアス電力はそれ程大きくは設定されていない。
【0008】
しかしながら、上記のように銅膜よりなるシード膜10を形成する場合、図10(B)に示すように、凹部4の上端の開口部におけるシード膜10の部分に、この開口を挟めるような形で突出したオーバハング部分14が発生してしまう。このため、その後にこの凹部4をメッキ等により銅膜よりなる金属膜12で埋め込んでも内部に十分にメッキ液が浸入しない場合が生じ、この内部が十分に埋まらずにボイド16が発生する場合がある、という問題があった。
【0009】
上記オーバハング部分14が形成される理由について、図11を参照して説明する。プラズマスパッタ時に飛散してくる金属(Cu)粒子には、プラズマによりイオン化された金属イオンの外に、中性粒子も存在し、上記金属イオンはバイアス電力に吸引されてウエハ面に指向性をもって略垂直方向上方から飛来して堆積するのに対して、中性金属粒子はウエハ面に対してあるゆる方向から飛来し、特に斜め方向から飛来してくる中性金属粒子C1が凹部4の上端の開口部の角部に多く付着する傾向となる。
【0010】
また開口部の角部に堆積した金属膜を金属粒子や金属イオンC2がスパッタした時に別の金属粒子C3が叩き出され、この叩き出された金属粒子C3が対向する角部に再度付着する場合がある。
更には、このシード膜の形成時には、堆積膜の表面拡散を抑制するためにウエハは冷却されているが、それでもある程度の表面拡散が生ずるのは避けられず、従って、表面拡散によって堆積膜の表面の金属粒子が移動する結果、開口部の角部に堆積した金属膜は表面拡散の時にその表面積が少なくなろうと球状に集まるので、曲面状に張り出しが生ずるように移動する。このように上述した各理由によりオーバハング部分14が形成されてしまう。
【0011】
このようなオーバハング部分14が形成されるとボイド16が発生し易くなるので、上記ボイド16の発生を防止するために、上記銅メッキを行う際にメッキ液中に種々の添加剤を加えて、できるだけ凹部4の底部に銅膜が堆積するように成膜を促進させてボトムアップさせることも行われている。
このような添加剤は、銅の金属膜中に僅かに残留するが、メッキ処理後に一般的に行われる高温アニール処理時に、銅の金属膜中の添加剤は膜中から抜け出て純粋な銅の金属膜配線とすることができた。
【0012】
しかしながら、最近の線幅や穴径の更なる微細化傾向により、線幅や穴径が100nm以下の寸法が要求されると、上記高温アニール処理で今まで容易に抜けていた上記添加剤が銅の金属膜中から十分に抜け切ることができずに、金属膜中に残留してしまう、という問題が発生した。
このように銅の金属膜中に添加剤が残留すると、その配線の抵抗値が大きくなって設計通りの電気特性が得られなくなるばかりか、添加剤の存在がアニール処理時における銅のグレインの成長を抑制することになり、この金属膜の信頼性を低下させる原因にもなっていた。
【0013】
そこで、上記添加剤による問題をなくすために、メッキ処理を用いないで凹部4内の全てをプラズマスパッタによって埋め込むことも検討されているが、この場合にも、前述したように図10(B)で説明したオーバハング部分14が凹部4の開口端に形成されて内部まで金属イオンが到達し難くなってしまい、結果的にボイド16の発生を余儀なくされてしまう。
また、このオーバハング部分14の問題を解決するために、特許文献2、3にも開示されているように、堆積した金属膜を高温処理によりリフローさせて凹部4内を埋め込むことも考えられるが、特許文献2、3に示されるように金属膜が極めて容易に溶融するアルミニウムの場合はリフローが可能であるが、溶融し難い銅の場合にはリフローが非常に起こり難く、現実的な解決策にはなり得ないのが実情である。
【0014】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、オーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができるシード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器内でプラズマにより金属ターゲットをイオン化させて金属イオンを発生させ、前記金属イオンを前記処理容器内の載置台上に載置した表面に凹部を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するようにしたシード膜の成膜方法において、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すようにしたことを特徴とするシード膜の形成方法である。
【0016】
このように、バイアス電力を、被処理体の表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前記金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すことにより、被処理体の表面に一旦堆積した金属膜が再度スパッタされて飛散することはなく、しかも金属膜の形成を休止する期間を間欠的に入れるようにしたので、従来方法の連続スパッタと異なって堆積した金属膜の表面拡散による移動を抑制することができ、この結果、オーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができる。
またオーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができるので、後工程のメッキ工程においてボイドを生ぜしめることなく凹部内を埋め込むことができる。
【0017】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記成膜工程では、前記金属イオンのイオン化率を所定の値以上にするために前記処理容器内の圧力を所定の圧力値以上に設定するようにしてもよい。
このように、処理容器内の圧力を所定の圧力値以上にすることにより、金属イオンのイオン化率を所定の値以上にでき、この結果、オーバハング部分の形成要因の1つである中性金属粒子の存在を抑制することができるので、その分、オーバハング部分の発生を更に抑制することができる。
また例えば請求項3に規定するように、前記イオン化率の所定の値は80%である。
【0018】
また例えば請求項4に規定するように、前記所定の圧力値は50mTorrである。
また例えば請求項5に規定するように、前記休止工程では、少なくとも前記プラズマを発生させるプラズマ発生用電力と前記金属ターゲットへ供給する放電用電力とをそれぞれオフする。
また例えば請求項6に規定するように、前記休止工程では、前記バイアス電力をオフする。
また例えば請求項7に規定するように、前記被処理体は、前記成膜工程と前記休止工程とを通じて冷却されている。
また例えば請求項8に規定するように、前記1回の成膜工程で形成される前記金属膜の成膜時間は10sec以下である。
【0019】
また例えば請求項9に規定するように、前記シード膜の全体の厚さは100nm以下である。
また例えば請求項10に規定するように、前記バイアス電力は0.3ワット/cm2 以下である。
また例えば請求項11に規定するように、前記凹部の幅、或いは穴径は150nm以下である。
また例えば請求項12に規定するように、前記金属膜は、銅、ルテニウム(Ru)、銅合金、及びルテニウム合金の内のいずれかよりなる。
【0020】
請求項13に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置において、前記装置制御部は、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように制御することを特徴とするプラズマ成膜装置である。
【0021】
この場合、例えば請求項14に規定するように、前記載置台は、前記被処理体を冷却する冷却手段を有する。
また例えば請求項15に規定するように、前記載置台の表面には、熱伝導ガスを流すガス溝が形成されている。
【0022】
請求項16に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置を用いて成膜を行うに際して、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように前記プラズマ成膜装置を制御するプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るハート膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
シード膜を形成するに際して、バイアス電力を、被処理体の表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前記金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すことにより、被処理体の表面に一旦堆積した金属膜が再度スパッタされて飛散することはなく、しかも金属膜の形成を休止する期間を間欠的に入れるようにしたので、従来方法の連続スパッタと異なって堆積した金属膜の表面拡散による移動を抑制することができ、この結果、オーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができる。
またオーバハング部分を生ぜしめることなくシード膜を形成することができるので、後工程のメッキ工程においてボイドを生ぜしめることなく凹部内を埋め込むことができる。
【0024】
特に請求項2に係る発明のように、処理容器内の圧力を所定の圧力値以上にすることにより、金属イオンのイオン化率を所定の値以上にでき、この結果、オーバハング部分の形成要因の1つである中性金属粒子の存在を抑制することができるので、その分、オーバハング部分の発生を更に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明に係るシード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係るプラズマ成膜装置の一例を示す断面図である。ここではプラズマ成膜装置としてICP(Inductively Coupled Plasma)型プラズマスパッタ装置を例にとって説明する。図示するように、このプラズマ成膜装置22は、例えばアルミニウム等により筒体状に成形された処理容器24を有している。この処理容器24は接地され、この底部26には排気口28が設けられて、圧力調整を行うスロットルバルブ30を介して真空ポンプ32により真空引き可能になされている。
【0026】
この処理容器24内には、例えばアルミニウムよりなる円板状の載置台34が設けられる。この載置台34は、載置台本体34Aと、この上面に設置される静電チャック34Bとよりなり、この静電チャック34B上に被処理体である半導体ウエハWを吸着して保持できるようになっている。この静電チャック34Bの上面側には、熱伝導ガスを流すガス溝36が形成されており、必要に応じてArガス等の熱伝導ガスをこのガス溝36に供給してウエハWと載置台34側との熱伝導性を向上できるようになっている。尚、この静電チャック34Bには、図示しない吸着用の直流電圧が必要に応じて印加される。この載置台34は、この下面の中心部より下方へ延びる支柱38により支持されており、この支柱38の下部は、上記容器底部26を貫通している。そして、この支柱38は、図示しない昇降機構により上下移動可能になされており、上記載置台34自体を昇降できるようにしている。
【0027】
上記支柱38を囲むようにして伸縮可能になされた蛇腹状の金属ベローズ40が設けられており、この金属ベローズ40は、その上端が上記載置台34の下面に気密に接合され、また下端が上記底部26の上面に気密に接合されており、処理容器24内の気密性を維持しつつ上記載置台34の昇降移動を許容できるようになっている。この載置台34の載置台本体34Aには、ウエハWを冷却する冷媒を流す冷媒循環路42が冷却手段として形成されており、この冷媒は支柱38内の図示しない流路を介して給排されている。
【0028】
また容器底部26には、これより上方に向けて例えば3本(図示例では2本のみ記す)の支持ピン46が起立させて設けられており、また、この支持ピン46に対応させて上記載置台34にピン挿通孔48が形成されている。従って、上記載置台34を降下させた際に、上記ピン挿通孔48を貫通した支持ピン46の上端部でウエハWを受けて、このウエハWを外部より侵入する図示しない搬送アームとの間で移載ができるようになっている。このため、処理容器24の下部側壁には、上記搬送アームを侵入させるために開閉可能になされたゲートバルブ50が設けられている。
【0029】
またこの載置台本体34A上に設けた上記静電チャック34Bには、配線52を介して例えば13.56MHzの高周波を発生する高周波電源よりなるバイアス電源54が接続されており、上記載置台34に対して所定のバイアス電力を印加できるようになっている。またこのバイアス電源54はその出力されるバイアス電力を必要に応じて制御できるようになっている。
【0030】
一方、上記処理容器24の天井部には、例えば酸化アルミニウム等の誘電体よりなる高周波に対して透過性のある透過板56がOリング等のシール部材58を介して気密に設けられている。そして、この透過板56の処理容器24内の処理空間60に例えばプラズマ励起用ガスとしてのArガスをプラズマ化してプラズマを発生するためのプラズマ発生源62が設けられる。尚、このプラズマ励起用ガスとして、Arに代えて他の不活性ガス、例えばHe、Ne等を用いてもよい。具体的には、上記プラズマ発生源62は、上記透過板56に対応させて設けた誘導コイル部64を有しており、この誘導コイル部64には、プラズマ発生用の例えば13.56MHzの高周波電源66が接続されて、上記透過板56を介して処理空間60に高周波を導入できるようになっている。ここで、この高周波電源66より出力されるプラズマ電力も必要に応じて制御できるようになっている。
【0031】
また上記透過板56の直下には、導入される高周波を拡散させる例えばアルミニウムよりなるバッフルプレート68が設けられる。そして、このバッフルプレート68の下部には、上記処理空間60の上部側方を囲むようにして例えば断面が内側に向けて傾斜されて環状(截頭円錐殻状)になされた金属ターゲット70が設けられており、この金属ターゲット70には放電用電力を供給するターゲット用の可変になされた直流電源72が接続されている。従って、この可変直流電源72から出力される直流電力も必要に応じて制御できるようになっている。ここでは金属ターゲット70として例えばタンタル金属や銅等が用いられ、これら金属はプラズマ中のArイオンにより金属原子、或いは金属原子団としてスパッタされると共に、プラズマ中を通過する際に多くはイオン化される。尚、タンタル金属はバリヤ層を形成する時に用いられ、銅は本発明方法によりシード膜を形成する時に用いられる。
【0032】
またこの金属ターゲット70の下部には、上記処理空間60を囲むようにして例えばアルミニウムよりなる円筒状の保護カバー74が設けられており、この保護カバー74は接地されると共に、この下部は内側へ屈曲されて上記載置台34の側部近傍に位置されている。また処理容器24の底部には、この処理容器24内へ必要とされる所定のガスを導入するガス導入手段として例えばガス導入口76が設けられる。このガス導入口76からは、プラズマ励起用ガスとして例えばArガスや他の必要なガス例えばN2 ガス等が、ガス流量制御器、バルブ等よりなるガス制御部78を通して供給される。
【0033】
ここで成膜装置22の各構成部は、例えばコンピュータ等よりなる装置制御部80に接続されて制御される構成となっている。具体的には装置制御部80は、バイアス電源54、プラズマ発生用の高周波電源66、可変直流電源72、ガス制御部78、スロットルバルブ30、真空ポンプ32等の動作を制御し、本発明方法により金属膜を成膜する時に次のように動作する。
【0034】
まず装置制御部80の支配下で、真空ポンプ32を動作させることにより真空にされた処理容器24内に、ガス制御部78を動作させつつArガスを流し、スロットルバルブ30を制御して処理容器24内を所定の真空度に維持する。その後、可変直流電源72を介して直流電力を金属ターゲット70に印加し、更に高周波電源66を介して誘導コイル部64に高周波電力(プラズマ電力)を印加する。
【0035】
一方、装置制御部80はバイアス電源54にも指令を出し、載置台34に対して所定のバイアス電力を印加する。このように制御された処理容器24内においては、金属ターゲット70、誘導コイル部64に印加されたプラズマ電力によりアルゴンプラズマが形成されてアルゴンイオンが生成され、これらイオンは金属ターゲット70に衝突し、この金属ターゲット70がスパッタされて金属粒子が放出される。
また、スパッタされた金属ターゲット70からの金属粒子である金属原子、金属原子団はプラズマ中を通る際に多くはイオン化される。ここで金属粒子は、イオン化された金属イオンと電気的に中性な中性金属原子とが混在する状態となって下方向へ飛散して行く。そして、特に金属イオンは、載置台34に印加されたバイアス電力に引きつけられ、ウエハWに対し指向性の高い金属イオンとして載置台34上のウエハWに堆積する。
【0036】
後述するように、装置制御部80は、メッキ用のシード膜を形成する際に、例えばバイアス電源54の出力を制限して設定することにより、ウエハ表面に形成された金属膜(Cu膜)がスパッタされないような状態でCu成膜を行うことができる。ここで装置各構成部の制御は、装置制御部80により、所定の条件で金属膜の成膜が行われるように作成されたプログラムに基づいて制御されるようになっている。この際、例えばフロッピーディスク(登録商標)(FD)やコンパクトディスク(登録商標)(CD)、フラッシュメモリー等の記憶媒体82に、各構成部の制御を行うための命令を含むプログラムを格納しておき、このプログラムに基づいて所定の条件で処理を行うように各構成部を制御させる。
【0037】
次に、以上のように構成されたプラズマ成膜装置22を用いて行われる本発明のシード膜の成膜方法について説明する。
図2はスパッタエッチングの角度依存性を示すグラフ、図3はバイアス電力とウエハ上面の成膜量との関係を示すグラフ、図4は本発明方法の一例を説明するためのフローチャートを示す図、図5は本発明方法のタイミングチャートを示す図、図6は本発明方法により形成されたシード膜の状態を説明する断面図である。
【0038】
まず本発明方法の特徴は、バイアス電力を、半導体ウエハの表面に一旦形成された金属膜がスパッタされないような大きさに設定して金属膜を形成する成膜工程と、金属イオンを発生させないで金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すようにした点にある。
【0039】
成膜工程においては、プラズマによるスパッタ成膜により金属膜を形成する際に、バイアス電力、直流電力、プラズマ電力等を適切な大きさに制御することにより、上述したようにウエハ上面に堆積した金属膜がプラズマガス(Arイオン)によりスパッタされないように設定する。具体的には、この時のバイアス電力は、金属ターゲット70に対する対向面、すなわち図1においてはウエハの上面に関して、金属イオンに対する引き込みによる成膜レートで成膜し、プラズマガス(Ar+ )によるスパッタエッチングのエッチングレートが略ゼロになるような大きさに設定される。
【0040】
この点について更に詳しく説明する。
まず、成膜量を考慮しないでプラズマガスによるスパッタエッチングのエッチングレートについてその特性を検討すると、スパッタ面の角度とエッチングレートとの関係は図2に示すグラフのようになる。ここでスパッタ面の角度とは、スパッタ面(ウエハ上面)の法線がスパッタガス(Arイオン:Ar+ )の入射方向(図1中では下向き方向)となす角度を指し、例えばウエハ上面及び凹部4(図10参照)の底部は共に”0度”であり、凹部側壁は”90度”である。
【0041】
このグラフから明らかなように、ウエハ上面(スパッタ面の角度=0度)はある程度スパッタエッチングが行われ、凹部の側壁(スパッタ面の角度=90度)はほとんどスパッタエッチングが行われず、また凹部の開口の角部(スパッタ面の角度=40〜80度近傍)はかなり激しくスパッタエッチングされることが判る。
【0042】
さて、図1に示すようなICP型スパッタ装置よりなる成膜装置では、ウエハW側に印加するバイアス電力とウエハ上面(凹部の側壁ではない)に堆積する成膜量との関係は図3に示すような関係となる。ここで横軸のワット数はターゲットの種類、ウエハサイズ等により異なり、図3での数値は例えばターゲットが銅であって、ウエハサイズが200mmの場合である。すなわち、一定のプラズマ電力及び金属ターゲット70への一定の直流電力を加えている状況において、バイアス電力がそれ程大きくない場合には、金属イオンの引き込み及び中性金属原子によって高い成膜量が得られるが、バイアス電力が増加して或る程度の値、例えば50ワット(0.16ワット/cm2 )程度を越えると、ウエハ表面がバイアス電力により加速されたプラズマガスであるアルゴンイオンによりスパッタされ初め、このスパッタの傾向が次第に強くなり(図3参照)、この結果、折角、堆積した金属膜がエッチングされてしまう。このエッチングは当然のこととしてバイアス電力が大きくなる程、激しくなる。
【0043】
その後、バイアス電力が大きくなると、引き込まれる金属イオン及び中性金属原子による成膜レートとプラズマガスのイオンによるスパッタエッチングのエッチングレートとが同一になると、成膜とエッチングとが相殺されて、ウエハ上面の成膜量が”ゼロ”になり、この時の条件は図3中の点X1(バイアス電力:150W)に対応する。尚、図3中のバイアス電力や成膜量は単に一例を示したに過ぎず、プラズマ電力や直流電力を制御することによって、上記特性曲線は図3中の一点鎖線にて示すように変動する。
【0044】
従来、この種のスパッタ装置で一般的に動作される条件は、領域A1の部分であり、バイアス電力をあまり大きくせずに、高い成膜量(成膜レート)を稼ぐことができる領域であった。すなわち成膜量は、バイアスが零の時とほとんど変わらず(不活性ガスのプラズマによるエッチングは発生せず)に、且つ引き込まれる金属イオンが最大となる領域であり、凹部の底部においてもかなりの程度の成膜量が稼げる領域である。
【0045】
従来方法では、この領域A1の辺りにバイアス電力を設定して連続的に数10秒間に亘って金属膜を堆積させることによってシード膜を形成した。
これに対して、本発明方法では、短時間の成膜工程と休止工程とを交互に繰り返し行なうようにし、しかも、成膜工程ではウエハ上面やウエハの表面に形成した凹部内の表面には金属膜が堆積するが、一旦堆積した金属膜がガスイオンにより再度スパッタされてエッチングされないような小さなバイアス電力に設定している。また、この成膜工程を短時間行った後、休止工程を行うので、一旦堆積した金属膜が一時的に十分に冷却されることになり、金属膜の表面にオーバハング部分の形成の原因となる表面拡散が生ずることがない。
【0046】
さて、以上のような現象を理解した上で、図4乃至図6も参照して本発明に方法について説明する。
まず、図1において載置台34を下方へ降下させた状態で処理容器24のゲートバルブ50を介して真空引き可能になされた処理容器24内へウエハWを搬入し、これを支持ピン46上に支持させる。そして、この状態で載置台34を上昇させると、この上面にウエハWが受け渡され、このウエハWが静電チャック34Bにより載置台34の上面に吸着される。
【0047】
そして、載置台34上にウエハWを載置して吸着固定したならば、成膜処理を開始する。この時、ウエハWの上面には、図9及び図10において説明した構造と同じ構造の凹部2、4等が予め搬入前に前工程で形成されている。この上段の凹部2は、溝状のトレンチよりなり、この底部に下段の凹部4としてビアホールやスルホールのようなホールが配線層6に届くように形成されており、凹部全体として2段階の段部状になされている。図6では下段の凹部4のみを代表として示している。
【0048】
まず、バリヤ層を形成するために(図4のS1)、金属ターゲット70としてここではタンタルが用いられており、処理容器24内を所定の圧力に真空引きした後に、プラズマ発生源62の誘導コイル部64にプラズマ電力を印加し、且つバイアス電源54より所定のバイアス電力を載置台34の静電チャック34Bに印加する。更に金属ターゲット70には可変直流電源72より所定の直流電力を印加して成膜を行う。ここでは、TaN膜を形成するためにガス導入口78よりプラズマ励起用ガスである例えばArガスの他に、窒化ガスとしてN2 ガスを処理容器24内に供給する。これにより、ウエハWの上面のみならず、凹部4内の側壁や底面にも略均一にTaN膜を形成する。この時のバイアス電力は図3中の領域A1であって従来の一般的な成膜条件と同じであり、具体的には100W(ワット)程度である。
【0049】
上記のようにTaN膜の形成が完了したならば、次にTa膜を形成する。ここでは上記窒化ガスであるN2 ガスの供給を停止した状態でTaN膜の形成時と同じ条件で、Taよりなる金属ターゲット70をプラズマによりイオン化し、Ta膜を堆積させる。この場合にもバイアス電力は図3中の領域A1であって従来の一般的な成膜条件と同じである。これにより、下地膜としてTaN/Ta膜よりなるバリヤ層8が形成されることになる(図4のS1及び図10(A)参照)。尚、上記バリヤ層8としてTa膜の単層を用いる場合もある。
【0050】
次に、上記バリヤ層8の形成されたウエハWを図1に示す構成と同じ構成になされた別のプラズマ成膜装置へ大気に晒すことなく搬送する。ここでは金属ターゲット70としてTaではなくCu(銅)が用いられている。このような銅の金属ターゲットが装着されたプラズマ成膜装置は、先のタンタルの金属ターゲットが装着された成膜装置に真空引き可能になされたトランスファチャンバを介して連結すればよく、半導体ウエハWを大気に晒すことなく真空雰囲気中で両成膜装置間に亘って搬送することができる。
【0051】
上述したように、ここではCu膜よりなるシード膜を形成するために、金属ターゲット70としてここでは銅が用いられており、処理容器24内を所定の圧力に真空引きした後に、プラズマ発生源62の誘導コイル部64にプラズマ電力を印加し、且つバイアス電源54より所定のバイアス電力を載置台34の静電チャック34Bに印加する。更に金属ターゲット70には可変直流電源72より所定の直流電力を印加して成膜を行う。ここでは、Cu膜を形成するためにガス導入口78よりプラズマ励起用ガスである例えばArガスを処理容器24内に供給する。
【0052】
本発明方法でシード膜を形成するには、図4及び図5に示すように、実際にCu膜よりなる金属膜を堆積する成膜工程S2と、成膜を中止して堆積した金属膜を冷却する休止工程S3とを交互に所定の回数(サイクル数)だけ繰り返し行い(S4のNO)、所定の回数行った時点で処理を終了する(S4のYES)。
【0053】
図5に示す場合には、上記成膜工程と休止工程とを4サイクル行った場合を示しており、これにより、図6に示すようにCuの4層の金属膜90A、90B、90C、90Dが1サイクル毎に形成されて全体としてシード膜92を構成している。上記成膜工程では、上記プラズマ用の高周波電源66(図5(A))、金属ターゲット用の直流電源72(図5(B))及びバイアス電源54(図5(C))は共にオンされて、Cuの金属膜が堆積される。
【0054】
そして、上記休止工程では、上記プラズマ用の高周波電源66(図5(A))、金属ターゲット用の直流電源72(図5(B))及びバイアス電源54(図5(C))は共にオフされて、金属イオンを発生させずに金属膜を堆積しないようにしている。
尚、上記休止工程で金属イオンとプラズマを発生させないためには、少なくともプラズマ用高周波電源66と金属ターゲット用の直流電源72を共にオフするようにする。また、プラズマ励起用のArガスも、図5(D)に示すように、上記成膜工程の時に流し、休止工程の時に供給停止を行う。
【0055】
これに対して、図5(E)に示すように、冷却手段42に対しては、成膜工程と休止工程とを通じて、例えば−20〜−50℃程度の冷却媒体を流してウエハを冷却するようにし、成膜工程及び休止工程を通じて堆積した金属膜90A〜90Dに表面拡散が生じないようにしている。
ここで成膜工程のバイアス電力の設定について詳しく説明する。この成膜工程におけるバイアス電力は、図3中の領域A2で示されるような小さな値に設定し、前述したように、ウエハ上面やウエハの表面に形成した凹部内の表面には金属膜が堆積するが、一旦堆積した金属膜がガスイオンにより再度スパッタされてエッチングされないようにしている。
【0056】
上記領域A2におけるバイアス電圧の上限値は、例えば300mmサイズのウエハを枚葉処理するプラズマ処理装置の場合には200ワット(0.3ワット/cm2 )程度であり、これよりもバイアス電力が大きくなると、Arイオンに対する引き込み電力が大きくなるので一旦堆積した金属膜90A〜90Dの再スパッタが発生し、これがために凹部4の開口部の近傍にオーバハング部分が形成され始める恐れが生ずる。また、上記バイアス電力の下限値は、特になく、ゼロワットであってもよい。
【0057】
更に、この成膜工程では、上記Cu金属イオンのイオン化率を所定の値、例えば80%以上にするために、上記処理容器24内のプロセス圧力を所定の圧力値、例えば50mTorr(6.7Pa)以上に設定する。このように、イオン化率を80%以上に高くなるようにすることにより指向性のある金属イオンの占有率が高くなって、指向性のない中性金属粒子の占有率が少なくなる。この結果、成膜に寄与する粒子は金属イオンが支配的になるので、凹部4の開口の角部にあらゆる方向から飛来してくる中性金属原子の量が相対的に少なくなり、この部分にオーバハング部分が形成されることを抑制することができる。この点、上記イオン化率が80%よりも小さくなると、上述とは逆に、中性金属粒子が成膜に寄与する度合いが大きくなって、オーバハング部分の形成が促進されるので好ましくない。
【0058】
上述のように、イオン化率80%以上にするには、例えばプロセス条件にもよるが、プロセス圧力を少なくとも50mTorr以上、好ましくは90mTorr以上に設定すればよい。尚、過度にプロセス圧力を大きくすると、成膜速度が急激に低下するので、その上限値は100mTorr程度である。またここでは、成膜工程及び休止工程を通じて冷却手段42によってウエハWを連続的に冷却しているので、成膜工程ではウエハWが過加熱されて堆積した金属粒子が凝集することはなく、また、休止工程ではArガスイオンによる衝突エネルギーがなくなるので、ウエハを十分に冷却することができ、特に、堆積したCu金属膜が表面拡散することを防止することができるので、この点よりもオーバハング部分が形成されることを抑制することができる。
【0059】
以上の結果、上記各オーバハング部分の形成抑制作用が共同して作用し、この結果、凹部4の開口部近傍にシード膜92のオーバハング部分が形成されることを略確実に阻止することができる。
ここで具体的な数値例について説明すると、まず凹部4の開口の幅、または穴径は150nm以下、特に100nm以下に対して効果的である。また成膜工程における時間T1は2〜10secの範囲内、例えば5.5sec程度、休止期間の時間T2は5〜20secの範囲内、例えば10sec程度である。尚、従来の成膜方法では、シード膜を22secの連続成膜(連続スパッタ)で形成していた。
【0060】
また、図6において形成されるシード膜92の厚さH1は40〜100nmの範囲内、例えば60nm程度である。この時、凹部4内の側壁に堆積するシード膜92の厚さH2は上記厚さH1の15〜20%程度であり、凹部4内の底部に堆積するシード膜92の厚さH3は上記厚さH1の80〜90%程度である。
また1回の成膜工程における金属膜90の成膜時間は10sec以内であり、これよりも時間が長くなると、堆積した金属膜90の凝集が発生してオーバハング部分の形成要因となってしまう。
【0061】
<評価>
次に、本発明方法(間欠スパッタ)によるシード膜の形成と従来方法(連続スパッタ)によるシード膜の形成を実際に行って評価を行ったので、その評価結果について説明する。
図7はホール状の凹部に対して本発明方法(間欠スパッタ)と従来方法(連続スパッタ)によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真であり、共に右側に参考のために模式図を併記してある。
図7(A)は従来方法の場合を示し、図7(B)は本発明方法の場合を示し、共に平面図と断面図を示している。上記凹部(Via)のホール径は全て110nmであり、各部の寸法は写真中に表示されている。尚、写真中の”OH”はオーバハング部分の寸法を示している。
【0062】
プロセス条件に関しては従来方法、本発明方法とも同じであり、以下の通りである。
プロセス圧力は90mTorr、プラズマ用高周波電源66の電力は16kW、直流電力は16kW、バイアス電力は35W、成膜時間は、本発明方法では”5.5sec×4サイクル”、従来方法では22sec(連続スパッタ)である。
図7(A)に示す従来方法の場合には、Viaエリアの平均面積S1は3899nm2 、Via径D1は70.4nm、OH径D2は11.2nmであるのに対して、図7(B)に示す本発明の場合には、Viaエリアの平均面積S2は5330nm2 、Via径D3は82.4nm、OH径D4は5.2nmであった。
【0063】
このように、特にオーバハング部分の大きさを、11.2nmから5.2nmへ減少させることができ、従来方法と比較して本発明方法の場合には、オーバハング部分の形成を大幅に抑制できることが確認できた。
また幅が110nmの溝(トレンチ)についても、上述したと同様な方法及びプロセス条件でシード膜を形成した。その時の結果を図8に示す。図8は溝状(トレンチ)の凹部に対して本発明方法(間欠スパッタ)と従来方法(連続スパッタ)によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真であり、共に右側に参考のために模式図を併記してある。
【0064】
図8(A)は従来方法の場合を示し、図8(B)は本発明方法の場合を示し、共に平面図と断面図を示している。図8(A)に示すように、従来方法の場合にはオーバハング部分の内径は60nmであるのに対して、図8(B)に示す本発明方法の場合は74.5nmであり、本発明方法の場合には、オーバハング部分が形成されるのを、大幅に抑制できることが確認できた。
上記実施例では、金属膜90としてCu或いはCu合金を成膜する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、例えばタングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)等の金属、或いはこれらの各金属の合金を成膜する場合にも、本発明を適用することができる。
【0065】
更に、各高周波電源の周波数も13.56MHzに限定されるものではなく、他の周波数、例えば27.0MHz等を用いることもできる。またプラズマ用の不活性ガスとしてはArガスに限定されず、他の不活性ガス、例えばHeやNe等を用いてもよい。
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板、セラミックス基板等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るプラズマ成膜装置の一例を示す断面図である。
【図2】スパッタエッチングの角度依存性を示すグラフである。
【図3】バイアス電力とウエハ上面の成膜量との関係を示すグラフである。
【図4】本発明方法の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図5】本発明方法のタイミングチャートを示す図である。
【図6】本発明方法により形成されたシード膜の状態を説明する断面図である。
【図7】ホール状の凹部に対して本発明方法と従来方法によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図8】溝状(トレンチ)の凹部に対して本発明方法と従来方法によりシード膜を形成した時の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図9】半導体ウエハの表面に形成された凹部の一例を示す断面斜視図である。
【図10】図9中の一部の凹部を埋め込むための従来の成膜方法を示す工程図である。
【図11】オーバハング部分が形成される状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0067】
2,4 凹部
22 プラズマ成膜装置
24 処理容器
34 載置台
36 ガス溝
42 冷媒循環路(冷却手段)
54 バイアス電源
62 プラズマ発生源
72 ターゲット用の直流電源
74 誘導コイル部
70 金属ターゲット
80 装置制御部
82 記憶媒体
W 半導体ウエハ(被処理体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引き可能になされた処理容器内でプラズマにより金属ターゲットをイオン化させて金属イオンを発生させ、前記金属イオンを前記処理容器内の載置台上に載置した表面に凹部を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するようにしたシード膜の成膜方法において、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前記金属膜を形成する成膜工程と、
前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すようにしたことを特徴とするシード膜の形成方法。
【請求項2】
前記成膜工程では、前記金属イオンのイオン化率を所定の値以上にするために前記処理容器内の圧力を所定の圧力値以上に設定していることを特徴とする請求項1記載のシード膜の形成方法。
【請求項3】
前記イオン化率の所定の値は80%であることを特徴とする請求項2記載のシード膜の形成方法。
【請求項4】
前記所定の圧力値は50mTorrであることを特徴とする請求項2または3記載のシード膜の形成方法。
【請求項5】
前記休止工程では、少なくとも前記プラズマを発生させるプラズマ発生用電力と前記金属ターゲットへ供給する放電用電力とをそれぞれオフすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項6】
前記休止工程では、前記バイアス電力をオフすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項7】
前記被処理体は、前記成膜工程と前記休止工程とを通じて冷却されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項8】
前記1回の成膜工程で形成される前記金属膜の成膜時間は10sec以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項9】
前記シード膜の全体の厚さは100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項10】
前記バイアス電力は0.3ワット/cm2 以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項11】
前記凹部の幅、或いは穴径は150nm以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項12】
前記金属膜は、銅、ルテニウム(Ru)、銅合金、及びルテニウム合金の内のいずれかよりなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項13】
真空引き可能になされた処理容器と、
表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、
前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、
前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、
前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、
前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、
前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、
装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置において、
前記装置制御部は、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、
前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように制御することを特徴とするプラズマ成膜装置。
【請求項14】
前記載置台は、前記被処理体を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項13記載のプラズマ成膜装置。
【請求項15】
前記載置台の表面には、熱伝導ガスを流すガス溝が形成されていることを特徴とする請求項13または14に記載のプラズマ成膜装置。
【請求項16】
真空引き可能になされた処理容器と、
表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、
前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、
前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、
前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、
前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、
前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、
装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置を用いて成膜を行うに際して、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、
前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように前記プラズマ成膜装置を制御するプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
真空引き可能になされた処理容器内でプラズマにより金属ターゲットをイオン化させて金属イオンを発生させ、前記金属イオンを前記処理容器内の載置台上に載置した表面に凹部を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するようにしたシード膜の成膜方法において、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前記金属膜を形成する成膜工程と、
前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すようにしたことを特徴とするシード膜の形成方法。
【請求項2】
前記成膜工程では、前記金属イオンのイオン化率を所定の値以上にするために前記処理容器内の圧力を所定の圧力値以上に設定していることを特徴とする請求項1記載のシード膜の形成方法。
【請求項3】
前記イオン化率の所定の値は80%であることを特徴とする請求項2記載のシード膜の形成方法。
【請求項4】
前記所定の圧力値は50mTorrであることを特徴とする請求項2または3記載のシード膜の形成方法。
【請求項5】
前記休止工程では、少なくとも前記プラズマを発生させるプラズマ発生用電力と前記金属ターゲットへ供給する放電用電力とをそれぞれオフすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項6】
前記休止工程では、前記バイアス電力をオフすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項7】
前記被処理体は、前記成膜工程と前記休止工程とを通じて冷却されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項8】
前記1回の成膜工程で形成される前記金属膜の成膜時間は10sec以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項9】
前記シード膜の全体の厚さは100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項10】
前記バイアス電力は0.3ワット/cm2 以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項11】
前記凹部の幅、或いは穴径は150nm以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項12】
前記金属膜は、銅、ルテニウム(Ru)、銅合金、及びルテニウム合金の内のいずれかよりなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のシード膜の形成方法。
【請求項13】
真空引き可能になされた処理容器と、
表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、
前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、
前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、
前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、
前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、
前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、
装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置において、
前記装置制御部は、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、
前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように制御することを特徴とするプラズマ成膜装置。
【請求項14】
前記載置台は、前記被処理体を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項13記載のプラズマ成膜装置。
【請求項15】
前記載置台の表面には、熱伝導ガスを流すガス溝が形成されていることを特徴とする請求項13または14に記載のプラズマ成膜装置。
【請求項16】
真空引き可能になされた処理容器と、
表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、
前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、
前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、
前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、
前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の直流電源と、
前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、
装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に金属膜を形成することによりメッキ用のシード膜を形成するプラズマ成膜装置を用いて成膜を行うに際して、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面に一旦形成された前記金属膜がスパッタされないような大きさに設定して前金属膜を形成する成膜工程と、
前記金属イオンを発生させないで前記金属膜の形成を休止する休止工程とを、交互に複数回繰り返すように前記プラズマ成膜装置を制御するプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−207830(P2007−207830A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22239(P2006−22239)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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