説明

スルホンアミド誘導体

本発明は、式(I):
{式中、RCは、ジアルキルアミノ、NO2,CN、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルカノイル、オキサゾール−2−イル、オキサゾールイルアミノカルボニル、アリール、アロイル、アリール−CH(OH)−、アリールアミノカルボニル、フラニル、ここで当該アリール、アロイル、及びフラニル成分は置換されうる、グアニジニル−(CH2z−N(R’)−,Het−(CH2z−N(R’)−,Het−CO−N(R’)−,Het−CH(OH)−、及びHet−CO−、ここで当該HetはN,S、及びOから選ばれる1以上の複素原子を含む場合により置換された4〜6員複素環であり、R’は水素又はアルキルであり、そしてZは1〜5の整数である、から成る群から選ばれ;RAは、請求の範囲に記載する式(A),(B),(C)又は(D)の基であり;そしてRBは、水素、アルキル、アルカノイル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノアルキル、モノ−又はジアミノアルキル又はHet−アルキルであり、ここで当該Hetは先に定義したものと同じである。}で表されるスルホンアミド誘導体に関する。本発明は、コラーゲン受容体インテグリンの阻害剤としての式(I)の誘導体の使用、及び式(I)のスルホンアミドの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、以下の式(I):
【化1】

{式中、RCは、ジアルキルアミノ、NO2,CN、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルカノイル、オキサゾール−2−イル、オキサゾールイルアミノカルボニル、アリール、アロイル、アリール−CH(OH)−、アリールアミノカルボニル、フラニル、ここで当該アリール、アロイル、及びフラニル成分は置換されうる、グアニジニル−(CH2z−N(R’)−,Het−(CH2z−N(R’)−,Het−CO−N(R’)−,Het−CH(OH)−、及びHet−CO−、ここで当該HetはN,S、及びOから選ばれる1以上の複素原子を含む場合により置換された4〜6員複素環であり、R’は水素又はアルキルであり、そしてZは1〜5の整数である、から成る群から選ばれ;
Aは、以下の式:
【化2】

〔式中、R3とR4は、各々独立して、水素、ハロゲン、アリール、アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アルカノイル、アルカノイルアミノ、トリフルオロメトキシ、場合により置換されたアリール基を表す。〕
を有する基であり;そして
Bは、水素、アルキル、アルカノイル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノアルキル、モノ−又はジアミノアルキル又はHet−アルキルであり、ここで当該Hetは先に定義したものと同じである。但し、以下の:
(i)RCがジアルキルアミドであるとき、RBは水素又はアルキルではない;
(ii)RAが式(C)の基であり、ここでR3が水素であり、かつ、R4がメトキシであるとき、RCはHet−CO−N(R’)−ではない;そして
(iii)RAが式(C)の基であり、ここでR3とR4が水素又はハロゲンであるとき、Rcはニトロではない。}で表されるスルホンアミド誘導体又は生理学的に許容されるその塩に関する。
【0002】
本発明は、例えば、コラーゲン受容体を発現する細胞及び血小板の作用を含む疾患及び医学的症状に関連する、コラーゲン受容体インテグリンの阻害剤、特にα2β1インテグリン阻害剤、及びより正確にはα2β1インテグリンI−ドメイン阻害剤としての式(I)の誘導体の使用、例えば血栓症、炎症、癌、及び血管疾患の治療のための医薬としてのそれらの使用、それらを含む医薬組成物、並びにそれらの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
インテグリンは、全てのヒト細胞をそれを取り巻く細胞外マトリックスにつなぎ留めることを仲介する、細胞接着受容体の大きなファミリーである。さらに、インテグリンは、細胞分裂、分化、転移、及び生存を含む、さまざまな他の細胞機能に参加する。ヒト・インテグリン遺伝子ファミリーは、18個のアルファ・インテグリン遺伝子と8個のベータ・インテグリン遺伝子を含み、これらは対応のアルファ・サブユニットとベータ・サブユニットをコードする。1つのアルファと1つのベータ・サブユニットが、各機能的細胞表面受容体のために必要である。したがって、24個の異なるアルファ−ベータの組合せがヒト細胞に対して存在する。アルファ・サブユニットの内の9個は、特異的な「挿入された(inserted)」αI−ドメインを含み、これは、リガンド認識と結合に責任を負う。インテグリン・サブユニットを含むαI−ドメインの内の4つ、すなわち、α1,α2,α10、及びα11は、コラーゲンの主要な細胞受容体である。これらの4つのアルファ・サブユニットの内の1はそれぞれ、ベータ1サブユニットとヘテロダイマーを形成する。したがって、コラーゲン受容体インテグリンは、α1β1,α2β1,α10β1、及びα11β1である(White et al.,Int J Biochem Cell Biol,2004,36:1405-1410中にレビューされる)。コラーゲンは、少なくとも27個の異なるコラーゲン・サブユニット(コラーゲンI−XXVII)から構成される、細胞外マトリックス・タンパク質の最大のファミリーである。
【0004】
インテグリンα2β1は、上皮細胞、血小板、炎症細胞、及び多くの間葉性細胞であって内皮細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、及び軟骨細胞を含むものの上に発現される(White et al.,前掲中にレビューされる)。疫学的証拠は、血小板上のα2β1の高い発現レベルを心筋梗塞及び脳血管卒中(Santoso et al.,Blood,1999,Carlsson et al.,Blood.2000,95:1560-1564)、及び腎臓静脈閉塞(Dodson et al.,Eye.2003,17:772-777)の高められたリスクに結びつける。動物モデルからの証拠は、血栓症におけるα2β1の提案された役割を裏付ける。インテグリンα2β1も、癌、例えば侵襲性前立腺癌、メラノーマ、胃癌、及び卵巣癌、において過剰発現される。これらの観察は、α2β1インテグリンを癌侵襲及び転移に結びつける。そのうえ、癌関連血管新生は、抗α2機能ブロッキング抗体により部分的に阻害されうる(Senger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1997,94:13612-13617)。最後に、白血球は、炎症プロセスの間α2β1機能に部分的に依存する(de Fougerolles et al.,J.Clin.Invest.,2000,105:721-729)。組織分布及び実験証拠に基づき、α1β1インテグリンは、炎症、繊維症、骨折治癒、及び癌血管新生において重要であることができ(White et al.,前掲)、一方、4つのコラーゲン受容体インテグリンの全てが、骨及び軟骨代識の調節に参加しうる。
【0005】
さまざまな病理学的プロセスにおけるコラーゲン受容体の関りを示す強い証拠が、それらを、医薬開発の可能性のある標的としてきた。α1又はα2サブユニットに対する機能ブロッキング抗体は、炎症疾患及び癌血管新生のためのモデルを含むいくつかの動物モデルにおいて有効であった。α1β1及びα2β1の機能をブロックする合成ペプチド阻害剤及びヘビ毒ペプチドは記載されている(Eble,Curr Pharm Design 2005,11:867-880)。国際特許公開WO99/02551は、α2β1の発現を調節するがインテグリンに実際には結合しない1つの小分子医薬候補を開示する。
【0006】
公開EP 1 258 252 A1は、インテグリン発現阻害剤であると言及される特定のN−インドールイル−、N−キノリニル−、N−イソキノリニル−及びN−クマリニル−アリールスルホンアミドを記載する。上記公開は、本発明に係る化合物を特に開示しない。さらにかかる知られた化合物は、それらの特性及び作用メカニズムに関して今般記載する化合物と相違する。本発明に係る化合物は、インテグリン発現抑制物質ではない。
【0007】
公開EP 0 472 053 B1は、抗腫瘍活性をもつスルホンアミドを開示する。上記公開中に特に記載される化合物は、本発明の化合物群の定義内にはない。
【0008】
刊行物、Izvestiya Aakademii Nauk SSSR,Seriya Khimichekaya(1981),(6),Kravtsov,D.N.et al.,pp.1259-1264は、スルホンアミドを開示し、これは、今般記載する化合物に構造的に酷似するが、本発明の化合物群の定義内にはない。かかる知られた化合物の使用の分野は、本発明の分野とは全く異なる。
【0009】
公開WO2004/005278は、ビスアリールスルホンアミド及び特定の治療におけるそれらの使用を開示する。上記公開は、本発明の化合物群の定義内にある化合物を特に記載しない。
【0010】
今般予想外に、本発明に係る式(I)の化合物が、コラーゲン受容体インテグリン、特にα2β1インテグリンの強力な阻害剤であり、そしてヒトの疾患、例えば、血栓症、癌、繊維症、炎症、及び血管疾患の治療に使用されうることが発見された。式(I)の化合物は、インビトロ及びインビボの両者における診断方法にも使用されうる。
【発明の開示】
【0011】
本発明の概要
本発明は、以下の式(I):
【化3】

{式中、RCは、ジアルキルアミノ、NO2,CN、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルカノイル、オキサゾール−2−イル、オキサゾールイルアミノカルボニル、アリール、アロイル、アリール−CH(OH)−、アリールアミノカルボニル、フラニル、ここで当該アリール、アロイル、及びフラニル成分は置換されうる、グアニジニル−(CH2z−N(R’)−,Het−(CH2z−N(R’)−,Het−CO−N(R’)−,Het−CH(OH)−、及びHet−CO−、ここで当該HetはN,S、及びOから選ばれる1以上の複素原子を含む場合により置換された4〜6員複素環であり、R’は水素又はアルキルであり、そしてZは1〜5の整数である、から成る群から選ばれ;
Aは、以下の式:
【化4】

〔式中、R3とR4は、各々独立して、水素、ハロゲン、アリール、アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アルカノイル、アルカノイルアミノ、トリフルオロメトキシ、場合により置換されたアリール基を表す。〕
を有する基であり;そして
Bは、水素、アルキル、アルカノイル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノアルキル、モノ−又はジアミノアルキル又はHet−アルキルであり、ここで当該Hetは先に定義したものと同じである。但し、以下の:
(i)RCがジアルキルアミドであるとき、RBは水素又はアルキルではない;
(ii)RAが式(C)の基であり、ここでR3が水素であり、かつ、R4がメトキシであるとき、RCはHet−CO−N(R’)−ではない;そして
(iii)RAが式(C)の基であり、ここでR3とR4が水素又はハロゲンであるとき、Rcはニトロではない。}で表されるスルホンアミド誘導体又は生理学的に許容されるその塩に関する。
【0012】
さらに本発明は、コラーゲン受容体インテグリンの阻害剤、特に、α2β1インテグリンの阻害剤、さらに特に、α2β1インテグリンIドメイン阻害剤として使用される、式(I)の誘導体に関する。
【0013】
本発明は、医薬として使用される式(I)の誘導体又は生理学的に許容されるその塩にも関する。
【0014】
さらに、本発明は、血栓症、炎症、癌、及び血管疾患の治療用医薬として使用される式(I)の誘導体に関する。
【0015】
本発明は、医薬として許容される担体と混合されて、式(I)の誘導体又は生理学的に許容されるその塩の有効量を含む医薬組成物にも関する。
【0016】
さらに、本発明は、以下の式(II):
【化5】

{式中、RBとRCは、先に定義したものと同じである。}で表される化合物を、以下の式:
【化6】

{式中、RAは先に定義したものと同じであり、かつ、helはハロゲンである。}で表される化合物を、反応させることを含む、式(I)のベンゼンスルホンアミドの製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の詳細な説明
式(I)の化合物群の定義において、RCに関して、記号Hetの典型的な意味、すなわち「N,S、及びOから選択される1以上の複素原子を含む場合により置換された4〜6員複素環」は、オキサゾール−2−イル、ピロールイル、ピラゾールイル、ピリジル、ピリミジニル、及びモルフォリニルの如き基である。
【0018】
本明細書中に使用される用語「アルキル」とは、好適には1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子をもつ分枝又は直鎖アルキル基をいう。
【0019】
用語「アルカノイル」とは、好適には合計1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子をもつ分枝又は直鎖アルキルカルボニル基をいう。
【0020】
用語「アルコキシ」とは、アルキル成分中、好適には1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子をもつ分枝又は直鎖アルキルオキシをいう。
【0021】
Cの定義に関して「アリール」基の例は、フェニル及びナフチル、特にフェニルである。
「アロイル」の例は、ベンゾイル及びナフトイル、特にベンゾイルである。
C,RA、及びRBの定義における典型的な任意的置換基は、ハロゲン、1〜6個の炭素原子をもつアルキル、1〜6個の炭素原子をもつアルコキシ、及びオキソである。
【0022】
式(A),(B),(C)、及び(D)中、R3とR4は好適にはハロゲン、ハロアリール、又はアルコキシアリールである。用語アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、及びアルカノイルをもつR3とR4の例は、そのアルコキシ成分内に、1〜6個の炭素原子を、そしてそのアルキル成分内に1〜6個の炭素原子をもつものである。場合により置換されるアリール基の例は、以下の:
【化7】

である。
【0023】
式(I)の好ましい化合物は、式中、RCがアロイル又はアリール−CH(OH)−、特にベンゾイルであり;RBが水素又はアルキルであり;そしてRAが式(C)の基であり、ここでR3とR4がハロゲン、特にクロロであり、又はR3が水素であり、かつ、R4がハロゲン、特にフルオロで置換されたフェニルであるものである。
【0024】
本発明の典型的な化合物を以下の表1に示す:
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
【表5】

【0030】
好ましい化合物の特別な例は:
4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ベンゾイル−フェニル)−アミド;
4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(3−ベンゾイル−フェニル)−アミド;
4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(α−ヒドロキシベンジル−フェニル)−アミド;
2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸{4−〔(4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホニル)−メチル−アミノ〕−フェニル}−アミドである。
【0031】
典型的な生理学的に許容される塩は、例えば、製薬分野で慣用される酸付加塩(例えば、HCl,HBr、メシレート、等)、及びアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩(Na,K,Ca,Mg、等)である。他の好適な塩は、例えば、アンモニウム、グルカミン、アミノ酸等の塩である。
【0032】
式(I)の化合物は、以下の式(II):
【化8】

{式中、RBとRCは先に定義したものと同じである。}で表される化合物を、以下の式(III):
【化9】

{式中、RAは先に定義したものと同じであり、かつ、helはハロゲンである。}で表される化合物と、反応させることにより調製されうる。
【0033】
反応は、当業者に周知の方法を用いて慣用のやり方で実施されうる。
医薬組成物は、本発明のスルホンアミドの内の1以上を含みうる。投与は、非経口、皮下、静脈内、動脈内、髄膜下内、筋肉中、腹膜内、又は皮膚内注射、又は静脈内輸注、又は経皮、直腸、バシカル、口粘膜、鼻内、眼経路又は吸入又は移植を介したものであることができる。あるいは又は同時に、投与は経口経路によることもできる。要求される投与量は、例えば、患者の重篤度、そして患者の体重、性別、年齢、及び病歴の如き基準に依存するであろう。投与量は、それが動物への獣医学的環境で又はヒト患者に投与されるどうかに依存しても変化しうる。
【0034】
非経口投与のためには、本発明のスルホンアミドを含有すル組成物は、好ましくは、注射用の滅菌水中に溶解され、そしてそのpHは好ましくは約6〜8に調整され、そしてその溶液は好ましくは等張性であるように調整される。スルホンアミドが凍結乾燥された形態で提供されるべき場合には、ラクトース又はマンニトールがバルキング剤として添加されることができ、そして必要な場合、バッファー、塩、冷温保護剤、及び安定剤も当該組成物に添加されて、凍結乾燥プロセスが促進されうる。次いで溶液は濾過され、バイアル内に導入され、そして凍結乾燥される。
【0035】
非経口投与のための本発明の組成物のための有用な賦形剤は、滅菌水性及び非水性溶媒をも含む。本発明の化合物は、医薬形態として懸濁液及びエマルジョンを用いることにより非経口的に投与されることもできる。有用な非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油、及び注射用有機エステルを含む。水性担体の例は、水、水−アルコール溶液、エマルジョン又は懸濁液、例えば生理食塩水及び緩衛液化医薬非経口媒質、例えば塩化ナトリウム溶液、リンゲル・デキストロース溶液、デキストロース・プラス・塩化ナトリウム溶液、ラクトースを含むリンゲル溶液、又は固定油を含む。非経口医薬投与形態を形成するための水性溶液を形成するための活性化合物の水性特性を改良するための可溶化剤及び補助溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びシクロデキストリンである。静脈内輸注媒質の例は、液体及び栄養補給剤、電解質補給剤、例えばリンゲルデキストロースに基づくもの等を含む。
【0036】
注射用調製品、例えば、溶液、懸濁液又はエマルジョンは、必要により、好適な小分け又は保湿剤及び懸濁剤を用いて、知られた技術に従って配合されうる。活性化合物が、水溶性形態に、例えば、水溶性の塩の形態にあるとき、滅菌注射用調製品は、例えば、注射用の水として非毒性の非経口に許容される希釈剤又は溶媒を使用しうる(USP)。使用されうる他の許容される媒質及び溶媒の中には、5%デキストロース溶液、リンゲル溶液、及び等張性塩化ナトリウム溶液(the Ph.Eur./USP中に記載されるようなもの)がある。活性化合物が非水溶性形態にあるとき、滅菌の適当な親油性の溶媒又は媒質、例えば脂肪油、例えばゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル、又はトリグリロリドが使用される。あるいは、水性注射用懸濁液は、粘度を増加させる物質例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/又はデキストランを含み、そして場合により安定剤も使用しうる。
【0037】
経口(しかしながら全身)投与のための医薬調製品は、活性化合物を固体賦形剤と混合し、場合により得られた、混合物を顆粒化し、そして所望により好適な補助剤を添加した後に、顆粒化せずに混合物又は顆粒又は固体混合物を加工して、ハード・カプセル内に充填した後に錠剤又はカプセルを得ることにより得られる。
【0038】
好適な賦形剤は、特に、増量剤、例えば糖、例えば、ラクトース又はスクロース、マンニトール又はソルビトール、セルロース及び/又はデンプン調製品及び/又はリン酸カルシウム、例えばリン酸3カルシウム又はリン酸水素カルシウム、並びにバインダー、例えばデンプン、及びそれらの誘導体、ペーストであって、トウモロコシ・デンプン、小麦デンプン、米デンプン、又はポテト・デンプンを使用したもの、ゼラチン、トラガカンス、メチル・セルロース、ヒドロキシプロピルメチル・セルロース、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、及び/又はポリビニル・ピロリドン、誘導体、及び/又は、所望により、崩填剤、例えば上述のデンプン、そしてまたカルボキシメチル・デンプン、架橋ポリビニル・ピロリドン、寒天又はアルギン酸又はその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムである。補助剤は、とりわけ、流動性調節剤、及び潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸又はその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムであって好適なコーティングをもつものであり、これは所望により、胃液に耐性であり、そしてこのために、とりわけ濃縮糖溶液であり、これは場合により、アラビア・ゴム、タルク、ポリビニル・ピロリドン、ポリエチレン・グリコール、及び/又は2酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物であるが、例えば、セルロース誘導体、ポリエチン・グリコール、及び/又はPVP誘導体を用いたフィルム・コーティングも使用されうる。胃液に耐性なコーティングを作るためには、好適なセルロース調製品、例えば、アセチル・セルロース・フタレート又はヒドロキシプロピルメチル・セルロース・フタレートが、コーティングのために使用される。染料又は顔料は、例えば、識別のために、又は活性化合物投与量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤又は糖衣コーティングに又はコーティングに添加されうる。
【0039】
経口投与のために固体投与形態は、カプセル、錠剤、ピル、トローチ、ロゼンジ、粉末、及び顆粒を含む。このような個体投与形態においては、活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース又はデンプンと混合されうる。このような投与形態は、通常の実務として、医薬アジュバント物質、例えば、ステアレート潤滑剤又は香味剤をも含みうる。固体経口調製品は、活性成分の放出を調節する腸溶又はその他のコーティングを用いて調製されることもできる。
【0040】
経口投与のための液体投与形態は、本分野において一般に使用される不活性、非毒性の希釈剤、例えば、水、及びアルコールを含む、医薬として許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルを含む。このような組成物は、アジュバント、例えば、保湿剤、バッファー、乳化剤、懸濁剤、甘味料、及び香味剤をも含みうる。
【0041】
本発明の組成物は、ポンプにより、又は特続性放出状態で投与されることもできる。本発明の化合物は、好適に挿入されたカテーテルにより、又は特定の臓器を標的とするように設計されたキメラ分子(又は複合体)の一部として当該分子を提供することにより、高濃度で特定の臓器にデリバリーされることもできる。
【0042】
特続性放出状態における投与は、患者の快適さを最大化するように長い期間の繰り返しの注射が処方されるとき、患者のために、より都合が良い。制御された放出調製品は、本発明の化合物を複合体化し又は吸着するためのポリマーの使用により達成されうる。制御されたデリバリーは、適当な巨大分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル・ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロタミン亜鉛、及び硫酸プロタミン)、及び放出を制御するための取り込み方法を選択することにより、達成されうる。制御放出調製品により作用接続時間を制御するための他の可能性のある方法は、所望の化合物を、ポリマー材料、例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)又はエチレン・ビニルアセテート・コポリマーの粒子内に取り込むことである。あるいは、スルホンアミドをこれらのポリマー粒子内に取り込む代わりに、スルホンアミドを、例えば、コアセルベーション技術により、又は界面重合により調製されたミクロ粒子、例えば、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン・マイクロカプセル、及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に、それぞれ、又はコロイド状ドラッグ・デリバリー・システム、例えば、リポソーム、アルブミン・ミクロ球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル内に、又はマクロエマルジョン内に捕獲されることができる。上述の技術は、医薬配合品の非経口投与と経口投与の両者に適用されうる。
【0043】
本発明の医薬組成物は、それ自体知られているやり方で、例えば、慣用の混合、顆粒化(造粒)、糖衣剤製造、溶解、凍結乾燥又は同様の方法により製造されうる。
【0044】
本発明の化合物は、強力なコラーゲン受容体阻害剤であり、インビボ又はインビトロにおける、コラーゲン上への細胞の接着又はコラーゲンを介しての細胞の転移及び侵襲を阻害し又は防止するために有用である。今般記載する化合物は、悪性細胞の転移を阻害し、そしてそれゆえ、特にα2β1インテグリン依存性細胞接着/侵襲/転移が悪性メカニズムに寄与しうる場合に、前立腺、及びメラノーマを含む癌の如き疾患を治療するためのものである。
【0045】
本発明の化合物は、コラーゲンへの血小板の接着、及びコラーゲン誘導血小板凝集をも阻害する。したがって、本発明の化合物は、血栓症状、すなわち、コラーゲンへの血小板の接着、及びコラーゲン誘導血小板凝集を防止する必要を特徴とする疾患の予防的又は改善的処置、例えば、卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、糖尿病、性網膜症又は腎臓静脈閉塞の治療及び予防の必要な患者を治療するために有用である。
【実施例】
【0046】
薬理学的試験
細胞侵襲アッセイを、インビトロにおける阻害剤の抗癌効力を証明するために使用した
細胞外マトリックス基底膜と相互作用する能力は、悪性癌細胞の表現型及び癌の広がりに本質的なものである。α2β1レベルは、腫瘍原性細胞内でアップレギュレートされることが知られている。この過剰発現は、細胞接着を調節し、そして細胞外マトリックスへの転移、及びこれを介しての侵襲を調節する。細胞外マトリックス成分、例えばコラーゲンとのα2β1の間の相互作用をブロックすることにより、インビトロにおいて癌細胞の転移と侵襲をブロックすることができる。内因的にα2β1を発現する前立腺癌細胞(PC−3)を、本発明の阻害剤のインビトロでの抗癌効力を試験するために、使用した。
【0047】
実験手順
Matrigelを通してのPC−3細胞(CRL−1435,ATCC)の侵襲を、BD Biocoat侵襲挿入物(BD Biosciences)を用いて試験した。挿入物を−20℃で保存した。この実験の前に、挿入物を放置して室温に調整した。500μlの無血清培地(Ham’s F12K培地、2mM L−グルタミン、1.5g/l重炭酸ナトリウム)を上記挿入物に添加し、そして2時間、細胞培養器内で37℃で再水和させた。残りの培地を吸引した。PC−3細胞を、引き離し、ペレット化し、そして無血清培地(50000細胞/500μl)中に懸濁させた。300μlの細胞懸濁液を、本発明に係る阻害剤の不存在下(対照)又は存在下で、上記挿入物に添加した。挿入物を24ウェル・プレート上に置き;各ウェルは、化学誘引薬として3%胎児ウシ血清を含む細胞培養基700μlを含んでいた。細胞を、細胞培養器内で37℃で72時間、設置して侵襲させた。挿入物を700μlのPBSで洗浄し、そして10分間4%パラホルムアルデヒドで固定した。パラホルムアルデヒドを吸引し、そして細胞を700μlのPBSで洗浄し、そして挿入物を、1分間ヘマトキシリンとともにインキュベートすることにより染色した。この染料を、700μlのPBSで上記挿入物を洗浄することにより除去した。挿入物を乾燥させた。固定された侵襲された細胞を、顕微鏡下で計算した。侵襲%を、対照に対して比較して計算した。
【0048】
細胞侵襲アッセイは、インビトロ癌転移モデルとして使用される。スルホンアミド分子は、インビトロにおいて腫瘍細胞侵襲を阻害することが示された(表2)。いくつかの構造は、サブミクロン濃度をもってさえ侵襲を阻害する。
【0049】
血小板機能分析装置PFA−100を、α2β1阻害剤の抗血栓効力を証明するために使用した
血小板機能分析装置PFA−100を、α2β1モジュレーターの可能性のある抗血栓効果を証明するために使用した。PFA−100は、小さな血管の損傷後に一次的止血を刺激する高剪断誘導装置である。このシステムは、コラーゲン・プラス・エピネフリンでコートされた生物学的に活性な膜を含む試験カートリッジを含む。抗凝固全血サンプルが、一定真空下、キャピラリーを通してランされる。膜上の血小板アゴニスト(エピネフリン)と高剪断率が、血小板凝集の活性化をもたらして、安定性の血小板の栓で孔を閉塞させる。この孔の安全な閉塞を得るために必要な時間を、「閉塞時間」という。各化合物を全血サンプルに添加し、そして閉塞時間を、PFA−100を用いて計測した。対照サンプルに比較して閉塞時間が増加したとき、化合物は、抗血栓活性をもっと示唆される。
【0050】
実験手順
血液を、抗凝固剤として、3.2%緩衛液化クエン酸ナトリウムを含む真空血液採取管内に静脈穿刺を介してドナーから集めた。血清を、15mL管にアリコートし、そして阻害性化合物又は対照(DMSO)のいずれかで処理した。サンプルを、10分間回転しながら室温に維持し、そしてその後、血液の閉塞時間を計測した。
【0051】
上記装置の計測のレンジを超える(>300秒)閉塞時間をもたらす取得物は、300秒の値とした。平均及び標準偏差を各処置について計算した。スチューデント t−テストを得られたデータに適用した。
化合物434は、血液の閉塞時間を増加させたことを示された(図1)。
【0052】
【表6】

【0053】
試験結果は、本発明に係る化合物が、インビトロにおいて抗癌及び抗血栓活性を有することを示した。
【0054】
接着アッセイ法
野生型α2インテグリンを発現するチャイニーズ・ハムスター・オバリー(CHD)細胞フローンを、細胞接着アッセイにおいて使用した。細胞を、0.1mg/mlシクロヘキシミド(Sigma)を含有すル無血清培地中に懸濁させ、そして化合物を、ウェルに移す前に細胞とともにプレインキュベートした。細胞(150000/ウェル)を、+37℃で2時間(阻害性化合物の存在下及び不存在下で)コラーゲンI型がコートされたウェル上に付着させ、そしてその後、非接着細胞を除去した。新鮮無血清培地を添加し、そして生きた細胞を、製造者のプロトコールに従って細胞生存活性キット(Roche)を用いて検出した。
【0055】
表3.I型コラーゲン上へのCHO−α2β1接着に対するインテグリン阻害剤の効果
【0056】
【表7】

【0057】
以下の実施例は、本発明を説明するが、本発明の範囲を限定することを意図されない。
【0058】
一般手順
塩化スルホニル・カップリング手順I:アセトニトリル中でのアミンへの塩化スルホニルのカップリング
0℃の無水アセトニトリル(1ml)中のアミン(0.75mmol)及びトリエチルアミン(0.75mmol)の撹拌溶液に、アセトニトリル(1ml)中の2,4−ジクロロ−ベンゼンスルホニル・クロライド(0.50mmol)を添加した。この混合物を、2〜3時間この温度で撹拌し、そして/又は周囲温度まで温め、そしてTLCにより反応が完了するまで撹拌した。
【0059】
溶媒を真空下で除去し、そして残渣を、酢酸エチル(25ml)と飽和水性重炭酸ナトリウム溶液(25ml)の間で分配した。有機層を分離し、そしてさらに、重炭酸ナトリウム(2×25ml)、ブライン(2×25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮した。生成物を、フラッシュ・クロマトブラフィー(シリカ上のシクロヘキサン/酢酸エチル溶出液)、調製用HPLC(C18シリカ・カラム上のアセトニトリル/水)のいずれかにより、シリカ・カートリッジ(シリカ上のシクロヘキサン/酢酸エチル溶出液)、調製用HPLC(逆相C18又は正常シリカのいずれか)又はメタノールからの再結晶化により、精製した。
【0060】
塩化スルホニル・カップリング手順2:ピリジン中のアミンへの塩化スルホニルのカップリング
0℃で撹拌されるピリジン(5ml)中のアニリン(0.6mmol)に、ピリジン(5ml)中の塩化スルホニル(1当量)を添加し、そして反応液を、一夜放置して室温に温めた。溶媒を蒸発させ、そして得られた残渣をEtOAcに溶かし、そして塩基の水溶液で洗浄した。調製の残余は、塩化スルホニル手順1と同様であった。
【0061】
塩化スルホニル・カップリング手順3:テトラヒドロフラン中のアミンへの塩化スルホニルのカップリング
THF(無水、3ml)中の4−(ジメチルアミノ)ベンジルアミン・ジヒドロクロリドと炭酸カリウムの溶液に、冷却及び撹拌しながら、THF(2ml)中の3−ブロモベンゼン−1−スルホニル・クロリドを滴下した。いくつかの材料が意図された濃度において不溶性であり、さらにTHF(15ml)とCH3CN(5ml)を添加したことに留意のこと。反応液を、撹拌しながら一夜放置して室温まで温めた。溶媒を蒸発させ、そして得られた残渣を、CH2Cl2とH2Oの間で分配した。水層をさらにCH2Cl2で洗浄し、有機部分を併合し、そしてフラッシュ・シリカ・カラム・クロマトグラフィー〔シクロへキサン/EtOAc(8:2−7:3)〕により精製した。
【0062】
鈴木カップリング手順1
トルエン(4ml)と2M水性Na2CO3(2ml)の脱気混合物に、ブロモスルホンアミド(0.26mmol)、フェニル・ホウ酸(0.28mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3〜5mol%)を添加した。混合物を、48時間、還流した。反応液を冷却し、セライトを通して濾過し、そしてセライト・ケーキをAcOEt(3×50ml)で洗浄した。有機層を乾燥させ、そして残渣を精製した。
【0063】
鈴木カップリング手順2
トルエン(2.5ml)中の3−ブロモ−N−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−ベンゼンスルホンアミド(100mg,0.28mmol)の脱気溶液に、エタノール(1ml)中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg,3mol%)、ピリジル・ホウ酸(38mg,0.28mmol)、及び水(1ml)中炭酸ナトリウム(150mg,1.41mmol)を添加した。反応液を、48時間還流した。調製手順は、鈴木カップリング手順1のものと同じであった。
【0064】
メチル化手順1
N,N−ジメチルホルムアミド溶媒中のインドール(1当量)の溶液(0.7ml/mmol)に、無水炭酸カリウム(0.20当量)と炭酸ジメチル(2.1当量)を添加した。この混合物を、2〜3時間還流下で撹拌し、その後一夜室温で撹拌した。混合物を冷却し(5℃)、そして氷冷水(1.5ml/mmol)をゆっくりと添加した。沈殿した生成物を、吸引して濾過し、水で洗浄し、そして真空下で乾燥して対応のN−メチル化インドールを得、これをその後精製した。
【0065】
メチル化手順2
スルホンアミド(0.14mmol)を、30分間、水素化ナトリウム(1当量)を含むDMF(無水、10ml)中0℃で撹拌した。ヨウ化メチル(1当量)を添加し、そして反応液を撹拌しながら室温まで上昇させた。反応をTLCによりモニターし、そして必要な場合、さらにヨウ化メチルを添加した。次いで、反応溶液を、蒸留水に入れて希釈し、酢酸エチルで抽出し、そして酢酸エチルを蒸留水で繰り返し洗浄し、そしてその後ブラインで洗浄し、その後乾燥させ(硫酸ナトリウム)、そして精製前に蒸発乾固させた。
【0066】
メチル化手順3
スルホンアミド(1当量)と1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(0.2当量)を、1〜3日間95℃でDMF/炭酸ジメチル(1/10混合物、10ml)中で加熱した。混合物を室温に冷却し、そして酢酸エチル(15ml)と水(15ml)の間で分配した。有機層を分離し、そして水(10ml),10%クエン酸(2×10ml)、及び再び水(2×10ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。
【0067】
実施例1
化合物384 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ベンゾイル−フェニル)−アミド
反応を、塩化スルホニル・カップリングのための手順2に従って実施した。
黄色固体を回収した:13mg(17%)。
【化10】

【0068】
実施例2
化合物434 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ベンゾイル−フェニル)−アミド・ナトリウム塩
室温MeOH中化合物384の溶液(139mg,0.32mmol)に、メタノール中0.5Mナトリウム・メトキシド(0.68ml,0.34mmol)を添加した。反応混合液は、ゆっくりと黄色になり、そしてさらに48時間撹拌された。その後、溶媒を減圧下で除去して黄色のガムを得た。これをt−ブチルメチル−エーテルとともに粉砕し、そしてエーテル層をデカンテーションし、そして得られた残渣を蒸発乾固させて、クリーム色の固体(97mg,67%)を得た。
【化11】

【0069】
実施例3
化合物430 2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸{4−〔(4’−フルオロ−ビ−フェニル−3−スルホニル)−メチル−アミノ〕−フェニル}−アミド
4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−アミノ−フェニル)−アミドを、2時間室温で、ピリジン(2当量)と2−オキソ−1−イミダゾリジンカルボニル・クロリド(1当量)を含むアセトニトリル(無水、10ml)中で撹拌した。加熱(90℃)が必要であり、その後、さらに数部のピリジンと酸フロリドを添加し、そして4時間加熱した。(95℃)。
【0070】
反応液を冷却し、そして溶媒を蒸発させた。残渣を酢酸エチル/水(1:1)中に溶解し、酢酸エチルを集め、そして水を酢酸エチルで洗浄した。有機洗浄溶液を併合し、そして水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして蒸発させた。
【化12】

【0071】
実施例4
化合物432 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(3−ベンゾイル−フェニル)−アミド
4−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(3−ベンゾイル−フェニル)−アミドを、塩化スルホニル手順3を用いて、対応のアミンと炭化スルホニルから合成した。水性調製後の精製を調製用HPLCにより達成した。
【化13】

実施例1〜4に記載したものと同じ方法であるが適当な出発化合物を使用して、本発明に係る以下の化合物を合成した(化合物番号は、表1で使用したものと同じである)。
【0072】
化合物353 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ジメチルアミノ−フェニル)−(2−メトキシ−エチル)−アミド
【化14】

【0073】
化合物354 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(2−ジメチルアミノ−エチル)−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−アミド
【化15】

【0074】
化合物355 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ジメチルアミノ−フェニル)−(2−モルフォリン−4−イル−エチル)−アミド
【化16】

【0075】
化合物358 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ジメチルアミノ−フェニル)−(2−イミダゾール−1−イル−エチル)−アミド
【化17】

【0076】
化合物359 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ジメチルアミノ−フェニル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド
【化18】

【0077】
化合物378 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−(1,3−オキサゾール−5−イル)−フェニル)−アミド
【化19】

【0078】
化合物383 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−アセチル−フェニル)−アミド
【化20】

【0079】
化合物386 2,4−ジクロロ−N−(1,2−ジメチル−1H−インドール−5−イル)−N−(3−メチル−イソキサゾール−5−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド
【化21】

【0080】
化合物389 2,4−ジクロロ−N−メチル−N−{4−〔(5−メチル−イソキサゾール−3−イルメチル−イル)−アミノ〕−フェニル}−ベンゼルスルホンアミド
【化22】

【0081】
化合物398 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−クロロフェニル)−アミド
【化23】

【0082】
化合物403 2,4−ジクロロフェニルスルホン酸(3−(4−フルオロフェニル)フェニル)−アミド
【化24】

【0083】
化合物416 2,4−ジクロロフェニル−スルホン酸(4−ベンゾイル−フェニル)−アミド
【化25】

【0084】
化合物428中間体:4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ニトロ−フェニル)−アミド
【化26】

【0085】
化合物428 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸メチル−(4−ニトロ−フェニル)−アミド
【化27】

【0086】
化合物431 2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸{4−〔(2,4−ジクロロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ〕−フェニル}−アミド
【化28】

【0087】
化合物433 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−(N−モルフォリノカルボニル−フェニル)−アミン
【化29】

【0088】
化合物436 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ジクロロフェニル)−N−メチルアミド
【化30】

【0089】
化合物440 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ニトロ−フェニル)−アミド
【化31】

【0090】
化合物441 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸tert−ブチル・カーバメート−(4−ニトロ−フェニル)−アミド
【化32】

【0091】
化合物442 1−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸〔4−(4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホニルアミノ)−フェニル〕−アミド
【化33】

【0092】
化合物443 5−メチル−イソキサゾール−3−カルボン酸〔4−(4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホニルアミノ)−フェニル〕−アミド
【化34】

【0093】
化合物445 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸アセチル−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−アミド
【化35】

【0094】
化合物447 2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸〔4−(4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホニルアミノ)−フェニル〕−アミド
【化36】

【0095】
化合物448 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−シアノ−フェニル)−アミド
【化37】

【0096】
化合物451 〔(4’−フルオロ−ビフェニル)−3−スルホニルアミノ〕−N,N−ジメチル−ベンズアミド
【化38】

【0097】
化合物452 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ベンゾイル−フェニル)−アミド
【化39】

【0098】
化合物454 〔(4’−ジメチルアミノ−フェニル)−(4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホニル)−アミノ〕−酢酸メチル・エステル
【化40】

【0099】
化合物456 4−(4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホニルアミノ)−N−(5−メチル−イソキサゾール−3−イル)−ベンズアミド
【化41】

【0100】
化合物457 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸〔4−(ピリジン−4−カルボニル)フェニル〕−アミド
【化42】

【0101】
化合物458 4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸〔4−((4−フルオロフェニル)−4−カルボニル)−フェニル〕−アミド
【化43】

【図面の簡単な説明】
【0102】
原文に記載なし。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

{式中、RCは、ジアルキルアミノ、NO2,CN、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルカノイル、オキサゾール−2−イル、オキサゾールイルアミノカルボニル、アリール、アロイル、アリール−CH(OH)−、アリールアミノカルボニル、フラニル、ここで当該アリール、アロイル、及びフラニル成分は置換されうる、グアニジニル−(CH2z−N(R’)−,Het−(CH2z−N(R’)−,Het−CO−N(R’)−,Het−CH(OH)−、及びHet−CO−、ここで当該HetはN,S、及びOから選ばれる1以上の複素原子を含む場合により置換された4〜6員複素環であり、R’は水素又はアルキルであり、そしてZは1〜5の整数である、から成る群から選ばれ;
Aは、以下の式:
【化2】

〔式中、R3とR4は、各々独立して、水素、ハロゲン、アリール、アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アルカノイル、アルカノイルアミノ、トリフルオロメトキシ、場合により置換されたアリール又は複素環式基を表す。〕
を有する基であり;そして
Bは、水素、アルキル、アルカノイル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノアルキル、モノ−又はジアミノアルキル又はHet−アルキルであり、ここで当該Hetは先に定義したものと同じである。但し、以下の:
(i)RCがジアルキルアミドであるとき、RBは水素又はアルキルではない;
(ii)RAが式(C)の基であり、ここでR3が水素であり、かつ、R4がメトキシであるとき、RCはHet−CO−N(R’)−ではない;そして
(iii)RAが式(C)の基であり、ここでR3とR4が水素又はハロゲンであるとき、Rcはニトロではない。}で表されるスルホンアミド誘導体又は生理学的に許容されるその塩。
【請求項2】
式中、RCがベンゾイルである、請求項1に起債の誘導体。
【請求項3】
式中、RCがα−ヒドロキシベンジルである、請求項1に記載の誘導体。
【請求項4】
式中、RCが2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボニル−メチル−アミノである、請求項1に記載の誘導体。
【請求項5】
式中、RAが式(C)の基であり、ここでR3がクロロであり、かつ、R4がクロロである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導体。
【請求項6】
式中、RAが式(C)の基であり、ここでR3が水素であり、かつ、R4が4−フルオロフェニルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導体。
【請求項7】
式中、RBがアルキルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導体。
【請求項8】
4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(4−ベンゾイル−フェニル)−アミドである、請求項1に記載の誘導体。
【請求項9】
4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(3−ベンゾイル−フェニル)−アミドである、請求項1に記載の誘導体。
【請求項10】
4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホン酸(α−ヒドロキシベンジル−フェニル)−アミドである、請求項1に記載の誘導体。
【請求項11】
2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボン酸{4−〔(4’−フルオロ−ビフェニル−3−スルホニル)−メチル−アミノ〕−フェニル}−アミドである、請求項1に記載の誘導体。
【請求項12】
コラーゲン受容体インテグリンの阻害剤として使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導体。
【請求項13】
α2β1インテグリンの阻害剤として使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導体。
【請求項14】
α2β1インテグリンIドメイン阻害剤として使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導体。
【請求項15】
医薬として使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導体又は生理学的に許容されるその塩。
【請求項16】
血栓症、炎症、癌、及び血管疾患の治療用医薬として使用される、請求項15に記載の誘導体。
【請求項17】
血栓症、炎症、癌、及び血管疾患に関する障害の治療用医薬組成物を製造するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導体又は生理学的に許容されるその塩の使用。
【請求項18】
医薬として許容される担体と混合されて、請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導体又は生理学的に許容されるその塩の有効量を含む医薬組成物。
【請求項19】
以下の式(II):
【化3】

{式中、RBとRCは、請求項1において定義したものと同じである。}で表される化合物を、以下の式:
【化4】

{式中、RAは請求項1において定義したものと同じであり、かつ、helはハロゲンである。}で表される化合物を、反応させることを含む、請求項1に記載のスルホンアミドの製造方法。

【公表番号】特表2009−507904(P2009−507904A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530557(P2008−530557)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/FI2006/050395
【国際公開番号】WO2007/034035
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(500021583)バイオティ セラピーズ コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】