説明

チャンバに対してガスを出し入れする装置

【課題】処理チャンバから排出される種についての交差反応を著しく低減できるような装置を提供する。
【解決手段】装置が、チャンバ入口とチャンバ出口とを有するチャンバと、第1のガス流を受け入れるための第1の入口と、第2のガス流を受け入れるための第2の入口と、第1のガス流を第1の真空ポンプへと出力する第1の出口と、第2のガス流を第2の真空ポンプへと出力する第2の出口と、導管ネットワークであって、第1の入口を第1の出口に結合し、第2の入口を第2の出口に結合し、それぞれのガス流について、第1の流路と第2の流路とをそれぞれの入口と出口との間に形成し、第1の流路はチャンバ入口とチャンバ出口とを通り抜け、第2の流路はチャンバを迂回するような上記導管ネットワークと、ネットワークを通り抜けるガス流の経路を割り当てて、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流を第2の流路に沿って流れさせる経路割当手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子層蒸着法(ALD:"atomic layer deposition")や化学蒸着法(CVD)の技術において一般的に用いられている、例えば、通気運転型のガス切換装置などの処理チャンバにガスを出し入れする装置に関する。より詳しくは、本発明は、そうした装置内において、ガスの交差反応が生じる機会を低減できるように改良した、そうした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通気運転型のガス切換装置は、多重層薄膜の成長において、一般的に用いられている。2つの一般的な用途の例としては、Al2O3膜とTiN膜の製造がある。そうした用途においては、蒸着すべき2以上のガス種の源が提供される。また、パージガス源も提供される。ガス源と処理チャンバとの間において、切換装置を介し、ガスは、順次、処理チャンバに送り届けられる。あらゆる残留種、パージガス、及び副産物は、ポンプによって処理チャンバから排出される。
代表的に、蒸着すべき種の供給源の間において、パージガスは反応チャンバを通り抜ける。パージガスの目的は、あらゆる(蒸着されなかった)残留種を処理チャンバから除去して、チャンバに供給される次の種と反応することを防ぐことである。種の交差反応が生じると、多重層薄膜には不純物や欠陥が生じてしまう。
【0003】
既存の通気運転型のガス切換装置においては、処理チャンバから排出されるガスは、真空ポンプにつながる共通の前置配管へと流れる。前置配管の内部においては、あらゆる残留種の交差反応が起こることがあり、この結果、前置配管の中には微粒子が蓄積して、ポンプの性能を害することになる。そのようにポンプ性能が低下すると、処理チャンバで製造される製品の品質も劣化する。さらに、影響を受けたポンプの修理及び保守に伴う処理のダウン時間は、製造コストを高騰させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、処理チャンバから排出される種についての交差反応を著しく低減できるような装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点によって提供される装置は、
チャンバ入口とチャンバ出口とを有するチャンバと、
第1のガス流を受け入れるための第1の入口と、
第2のガス流を受け入れるための第2の入口と、
第1のガス流を第1の真空ポンプへと出力する第1の出口と、
第2のガス流を第2の真空ポンプへと出力する第2の出口と、
導管ネットワークであって、第1の入口を第1の出口に結合し、第2の入口を第2の出口に結合し、それぞれのガス流について、第1の流路と第2の流路とをそれぞれの入口と出口との間に形成し、第1の流路はチャンバ入口とチャンバ出口とを通り抜け、第2の流路はチャンバを迂回するような上記導管ネットワークと、
ネットワークを通り抜けるガス流の経路を割り当てて、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流を第2の流路に沿って流れさせる経路割当手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0006】
第1のガス流を流すための第2の流路の一部分は、第2のガス流のための第2の流路と共通している。任意のガスについて、第1の流路は、第2の流路の当該ガスから隔離されている。
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第1のバルブ系統を備え、第1の入口からの第1のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てるべく、第1のバルブ系統を制御する制御手段と併用される。このコントローラは、第2の入口からの第2のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てるように構成されている。経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第2のバルブ系統を備え、選択された流路からの第1のガス流を第1の出口に割り当てるべく、第2のバルブ系統を制御する制御手段と併用される。このコントローラは、選択された流路からの第2のガス流を第2の出口に割り当てるように構成されている。提案された実施形態においては、単一のコントローラを設けて、第1のバルブ系統と第2のバルブ系統とを制御する。別の実施形態においては、それぞれのバルブ系統を制御するために別々のコントローラを設けても良い。
【0007】
コントローラは、バルブ系統における各バルブ開度を制御すべく構成され、及び/又はバルブ系統におけるバルブが開かれている持続時間を制御すべく構成される。さらに、コントローラは、バルブ系統におけるバルブの開きに所定の遅れ時間を設けて、新たなガスが導入される前に、共通する導管部分のすべてのガスが確実に排気され終えるように構成される。
第3のガス流を受け入れるための第3の入口を備え、第3の入口は導管ネットワークによって第1の出口に接続されていて、第3のガス流について、第3の入口と第1の出口との間に、チャンバ入口とチャンバ出口とを通り抜けるような第1の流路が形成しても良い。経路割当手段は、第3のガス流が第1の流路に沿って流れるとき、第1及び第2のガス流は第2の流路を流れるようにガス流を割り当てるべく構成される。
さらに、導管ネットワークは、第3の入口を第1の出口に結合し、第3のガス流について、第3の入口と第1の出口との間にチャンバを迂回させて第2の流路を形成し、経路割当手段は、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流は第2の流路に沿って流れるように、ネットワークを通るガス流を迂回させるべく構成される。
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第3のバルブ系統と、第3の入口からの第3のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てるべく、第3のバルブ系統を制御する制御手段とを備える。
チャンバ入口とチャンバ出口とは、チャンバ内における加工位置にわたって均一な流れの分布を提供すべく構成される。
【0008】
本発明の第2の観点によって提供される装置は、チャンバに対してガスを出し入れする装置であって、この装置は、
第1のガス流を受け入れるための第1の入口と、
第2のガス流を受け入れるための第2の入口と、
第1のガス流を出力する第1の出口と、
第2のガス流を出力する第2の出口と、
チャンバ入口に接続可能である第1のチャンバポートと、
チャンバ出口に接続可能である第2のチャンバポートと、
導管ネットワークであって、第1の入口を第1の出口に結合し、第2の入口を第2の出口に結合し、それぞれのガス流について、第1の流路と第2の流路とをそれぞれの入口と出口との間に形成し、第1の流路はチャンバポートを通り抜け、第2の流路はチャンバポートを迂回するような上記導管ネットワークと、
ネットワークを通り抜けるガス流の経路を割り当てて、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流を第2の流路に沿って流れさせる経路割当手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明の第3の観点によって提供される方法は、チャンバに対してガスを出し入れする方法であって、この方法は、
チャンバに導管ネットワークを接続する段階であって、この導管ネットワークが、
第1のガス流を受け入れるための第1の入口と、
第2のガス流を受け入れるための第2の入口と、
第1のガス流を出力する第1の出口と、
第2のガス流を出力する第2の出口と、
チャンバ入口に接続可能である第1のチャンバポートと、
チャンバ出口に接続可能である第2のチャンバポートと、
導管ネットワークであって、第1の入口を第1の出口に結合し、第2の入口を第2の出口に結合し、それぞれのガス流について、第1の流路と第2の流路とをそれぞれの入口と出口との間に形成し、第1の流路はチャンバポートを通り抜け、第2の流路はチャンバポートを迂回するような上記導管ネットワークと、を備え、
ネットワークを通り抜けるガス流の経路を割り当てて、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流を第2の流路に沿って流れさせる経路割当段階、
を備えていることを特徴としている。
【0010】
以下、例示の目的において、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示すように、従来技術による通気運転型のガス切換装置は、AとBとの2つのガス供給源を備えていて、これらはそれぞれ、一連のバルブ付き導管13〜18によって、処理チャンバ11とポンプ12とに接続されている。導管13〜16は、バルブ13’〜16’を具備していて、ポンプ12へと流れるガスA及びBの流れを制御すべく動作して、処理チャンバ11を経由させるか、あるいは、導管17を経由させて処理チャンバ11を迂回させる。従って、いかなる時も、ガスA及びBのうちの一方だけがチャンバに供給される。
第1のガスAをチャンバ11へと供給するには、バルブ14’を開けば、第1のガスAは導管14を直接通って、チャンバ11に流入し、導管18を経由してポンプ12へと排出される。第1のガスAを送出している間、バルブ15’及びバルブ16’は閉じられたままに維持され、他方、バルブ13’は開かれる。従って、第2のガスBは、導管13、導管17、及び導管18を通ってポンプ12へと流れ、この流れはチャンバ11を迂回して通る。第2のガスBをチャンバ11へと供給するには、バルブ15’とバルブ16’を開くと共に、バルブ13’とバルブ14’を閉じる。この構成においては、第2のガスBは、導管15を通ってチャンバ11へ供給されてから、導管18を経由してポンプ12へと排出される。他方において、第1のガスAは、導管16、導管17、及び導管18を通ってポンプ12へと流れ、この流れはチャンバ11を完全に迂回して通る。
【0012】
両方のガスA及びBが共に、ポンプに隣接した導管18を通り抜けてから、単一のポンプ12で排出されることから、ガスの供給を切り換えた後、残留ガス同士に交差反応が生じる範囲が存在していることを認識されたい。
図2は、処理チャンバへガスを供給するための、改良された装置を示している。
図2に示すように、この装置は、3つの異なるガス1,2,3を処理チャンバ4へと供給するものである。代表的には、ひとつのガス3はパージガスであり、その他の2つのガス1及び2は、例えば、多重薄膜半導体製品や、多重層絶縁体などを形成させるべく、処理チャンバ4の内部で反応すべき処理ガスである。それぞれのガス供給源は、処理チャンバ4、及び、ポンプ7及び8のうちのひとつに、これらの間に設けられた導管ネットワーク6によって、接続される。導管ネットワーク6において、その上流側端部は、ガス1,2,3をネットワーク6に送り届けるものである、それぞれの入口導管21,22,23によって、必要なガス1,2,3の各供給源に接続されている。ネットワーク6の下流側端部は、導管26及び27を介して、真空ポンプ7及び8に接続されて、ガスを排気できるようになっている。
【0013】
この実施形態においては、入口21,22,23と出口26,27との間には、ネットワーク6によって、3本の主たる流路が設けられている。第1の経路は、処理チャンバ4を通り抜けるように構成されている。チャンバ4の上流側には1本の導管24が設けられ、この導管24の端部には、チャンバの入口4aに接続されるべきポート24’を形成されている。チャンバ4の下流側には第2の導管25が設けられ、この導管25の端部には、チャンバの出口4bに接続されるべきポート25’が形成されている。この実施形態においては、第2の経路と第3の経路とは、2つのバイパス導管28及び29として設けられる。これらの導管は、いかなる時も、チャンバの内部で実行されている処理には必要とされないガスのために、代替的な経路を提供する。代表的には、ネットワーク6に設けられる別々の流路の数は、ネットワークに供給されるガスの数と一致する(本実施形態においては3種類)。
【0014】
ネットワーク6は、上述したネットワーク6の3本の別々の流路に沿って各ガス1,2,3の経路を割当てるために、2つのバンクをなした切換バルブ5a及び5bを備えている。これらのバルブは好ましくは、ソレノイドバルブなどの高速動作型のバルブであって、ひとつの流路から別の流路へと、異なるガス1,2,3を迅速に切り換える。コントローラ9は、これらのバンク5a及び5bのそれぞれに連通していて、処理チャンバ4において実行されている特定の処理に応じて、個別のバルブを自動的に切り換える。コントローラ9は、あらゆる特定の順序において、異なるバルブの動作を開始させることが出来るけれども、かかる動作タイミングを制御するだけでなく、特定のバルブが開かれている持続時間や、特定のバルブのバルブ開度をも制御する。タイミングの設定においては、片方のバンク5aを他方のバンク5bよりも前に動作させるようにして、流路内に残されたガスが確実に排出された後に、続くガスがネットワークにおける当該部分に導入されるようにする。
【0015】
図3には、ネットワーク6を構築するためのひとつの特定の構成によるバルブ及び導管を示しており、以下、同図を参照してその動作について説明する。
図2に示していたように、各入口導管21,22,23は、ネットワークへの入口ポート21’,22’,23’を形成し、同様に、各出口導管26,27は、ネットワークからの出口ポート26’,27’を形成している。図面を分かりやすくするために、図3においては導管だけを示している。
それぞれのガス1,2,3は、最初に、それぞれの入口導管21,22,23へと供給される。
第1の処理ガス1をチャンバ4へと供給するときには(図2参照)、バルブ31,32,33,41,42を開き、残りのバルブを閉じる。こうすれば、第1のガス1は、入口21からバルブ32を通り、導管24を通り、チャンバ入口4aを経由して処理チャンバ4へと流入する。処理段階において消費されなかったあらゆる残留ガス1は、チャンバ出口4bを経由して処理チャンバ4から送り出され、導管25に入ってからバルブ41と出口導管26とを通ってポンプ7へと至る。
【0016】
他方において、第2の処理ガス2は、直接、入口22からバルブ33を通り、導管28及びバルブ42を経て出口27に達し、そこから真空ポンプ8で排気される。従って、このガスは、処理チャンバ4を完全に迂回することになり、第1の処理ガス1と混じり合うことはない。第3のガスは、ここではパージガス3であるが、その入口23からバルブ31及び導管29を経て出口26に達し、この出口は第1の処理ガス1の出口と共用されて、ここから真空ポンプ7で排気される。このような共用は、かかる共用によって、ガス同士が相互に反応して、上述したような堆積物や副産物であって、特に腐食特性をもち真空ポンプ7及び8の性能を劣化させたり運転を妨げるものが形成されないならば、任意のガスについて行われる。
【0017】
代表的には、チャンバ4に次に導入されるガスはパージガス3であるから、第1の切換バンク5aについてはコントローラ9により、バルブ31及び32を閉じ、また、これと同時に、切換バンク5aにおいてバルブ34及び35を開く。これにより、第2の処理ガス2は影響を受けないままに残され、従前と同じく、入口22から出口27へと直接通過するが、第1の処理ガス1とパージガス3とについては流路が入れ替えられている。すなわち、第1の処理ガス1はいまや、入口21からバルブ35を通り、導管29を迂回して出口26へと達し、そこから真空ポンプ7で排気される。他方において、パージガス3は、入口23からバルブ34と導管24とを介して、チャンバ入口4aを経由して、処理チャンバ4へと流入する。そして、パージガス3は、チャンバ出口4bを経由して処理チャンバ4から導管25へ入り、バルブ41を通って出口26に達し、そこから真空ポンプ7で排気される。
【0018】
これに続く処理段階においては、第2の処理ガス2を処理チャンバへと送り届ける。その場合には、各ガス1,2,3を新たな流路に割り当てる必要があり、両方の切換バンク5a及び5bにおけるほとんどすべてのバルブを同時に動作させる必要がある。コントローラ9によって、バルブ34,35,33,41,42は閉じられる一方、バルブ31,36,37,43,44は開かれて、新たな設定による3本の流路が形成される。主たる流路が、第2の処理ガス2を処理チャンバ4へ供給する。第2のガス2は、入口22からバルブ37と導管24とを介して、チャンバ入口4aを経由して処理チャンバ4へと流入し、処理チャンバ内で製作中のウエハに対して、ガスの作用を施す。次に、すべての残留ガス2は、処理チャンバ4からチャンバ出口4bを経て、導管25とバルブ43とを通って出口27へと達し、そこから真空ポンプ8によって排出される。この状態においては、第1の迂回ルートは、第1の処理ガス1を、入口21からバルブ36を介して、導管28とバルブ44を通して、出口26へと導く。第2の迂回ルートは、ここではパージガス3である、第3のガスを、入口23からバルブ31を介して、導管29を通して出口26へと導き、ここで第1のガス1と混入してから真空ポンプ7で排出される。
【0019】
従って、コントローラ9が、バルブ31〜37及び41〜44を適切に切換動作させることで、それぞれの3種のガス1,2,3に対し、2つの流路が、つまりチャンバ4を通り抜ける第1の流路と、チャンバ4を迂回する第2の流路とが、それぞれ設けられることになる。これにより、処理チャンバ4に、順番にかつ別々にガスを供給できると共に、それぞれの反応性の処理ガス1及び2をそれぞれに対応するポンプ7及び8によって輸送できる。これらの処理ガス1及び2は、ポンプの前置配管(出口26及び出口27の下流側に配置される)にガスが到達する前に、それぞれ固有のポンプ7及び8に割り当てられるので、交差反応を生じる機会はなく、従ってポンプ7及び8が粒子状物質で汚染されることもない。
【0020】
上述した実施形態は容易に拡張でき、3以上の反応性ガスを扱えるように、迂回導管と関連するバルブとを切換バンク5a及び5bに追加できることは認識されるだろう。また、ポンプの数を増やせば、混じり合うと腐食性の副産物や粒子状堆積物を生成して、ポンプの運転や性能を害するようなガス同士を分離することができる。さらに、個別のポンプが必要になるのは、与えられた2以上のガスが互いに交差反応する場合だけである。交差反応することが無いのであれば、上述したタイプの構成を用いて、任意の2以上のガスに対して単一のポンプを用いても安全である。
ひとつの流路から別の流路へとガスの経路を変更すれば、それぞれのガスの流れを一定した安定状態におくことができ、絶えず律動的に送る必要はなくなる。これは、流体流れの過渡的特性を抑制するように働く。さらに、処理チャンバ4に単一の入口4aと出口4bとを設けることで、チャンバの加工位置にわたって流れるガスの過渡的挙動が最小になるように、装置自体を構成できる。
【0021】
ガス流れの過渡的特性をさらに抑制するためには、バランス流路を設ければ良く、つまり、異なる流路について、それらの長さと断面積を互いに匹敵させる。
そうした過渡的特性を可能な限り抑制できるならば、処理ガスにウエハを暴露させる時間を最短にすることができ、ツールのスループットを高めると共に資材の消費が最小になるので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、通気運転型のガス切換装置を示している。
【図2】図2は、処理ガスとパージガスとをチャンバへ供給するための装置を示している。
【図3】図3は、図2に示した装置における経路割当機構を詳しく示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置が、
チャンバ入口とチャンバ出口とを有するチャンバと、
第1のガス流を受け入れるための第1の入口と、
第2のガス流を受け入れるための第2の入口と、
第1のガス流を第1の真空ポンプへと出力する第1の出口と、
第2のガス流を第2の真空ポンプへと出力する第2の出口と、
導管ネットワークであって、第1の入口を第1の出口に結合し、第2の入口を第2の出口に結合し、それぞれのガス流について、第1の流路と第2の流路とをそれぞれの入口と出口との間に形成し、第1の流路はチャンバ入口とチャンバ出口とを通り抜け、第2の流路はチャンバを迂回するような上記導管ネットワークと、
ネットワークを通り抜けるガス流の経路を割り当てて、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流を第2の流路に沿って流れさせる経路割当手段と、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
第1のガス流を流すための第2の流路の一部分は、第2のガス流のための第2の流路と共通していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各ガス流について、第1の流路は第2の流路から隔離されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第1のバルブ系統と、第1の入口からの第1のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てると共に、第2の入口からの第2のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てるべく、第1のバルブ系統を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第2のバルブ系統と、選択された流路からの第1のガス流を第1の出口に割り当てると共に、選択された流路からの第2のガス流を第2の出口に割り当てるべく、第2のバルブ系統を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
制御手段は、バルブ系統におけるバルブ開度を制御すべく構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
制御手段は、バルブ系統におけるバルブが開かれている持続時間を制御すべく構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
制御手段は、バルブ系統におけるバルブの開きに所定の遅れ時間を設けて、新たなガスが導入される前に、共通する導管部分のすべてのガスが確実に排気され終えるように構成されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
第3のガス流を受け入れるための第3の入口を備え、第3の入口は導管ネットワークによって第1の出口に接続されていて、第3のガス流について、第3の入口と第1の出口との間に、チャンバ入口とチャンバ出口とを通り抜けるような第1の流路が形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
経路割当手段は、第3のガス流が第1の流路に沿って流れるとき、第1及び第2のガス流は第2の流路を流れるようにガス流を割り当てるべく構成されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
導管ネットワークは、第3の入口を第1の出口に結合し、第3のガス流について、第3の入口と第1の出口との間にチャンバを迂回させて第2の流路を形成し、経路割当手段は、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流は第2の流路に沿って流れるように、ネットワークを通るガス流を迂回させるべく構成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第3のバルブ系統と、第3の入口からの第3のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てるべく、第3のバルブ系統を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
チャンバ入口とチャンバ出口とは、チャンバ内における加工位置にわたって均一な流れの分布を提供すべく構成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の記載の装置。
【請求項14】
チャンバに対してガスを出し入れする装置であって、この装置が、
第1のガス流を受け入れるための第1の入口と、
第2のガス流を受け入れるための第2の入口と、
第1のガス流を出力する第1の出口と、
第2のガス流を出力する第2の出口と、
チャンバ入口に接続可能である第1のチャンバポートと、
チャンバ出口に接続可能である第2のチャンバポートと、
導管ネットワークであって、第1の入口を第1の出口に結合し、第2の入口を第2の出口に結合し、それぞれのガス流について、第1の流路と第2の流路とをそれぞれの入口と出口との間に形成し、第1の流路はチャンバポートを通り抜け、第2の流路はチャンバポートを迂回するような上記導管ネットワークと、
ネットワークを通り抜けるガス流の経路を割り当てて、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流を第2の流路に沿って流れさせる経路割当手段と、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項15】
第1のガス流を流すための第2の流路の一部分は、第2のガス流のための第2の流路と共通していることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
各ガス流について、第1の流路は第2の流路から隔離されていることを特徴とする請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第1のバルブ系統と、第1の入口からの第1のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てると共に、第2の入口からの第2のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てるべく、第1のバルブ系統を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第2のバルブ系統と、選択された流路からの第1のガス流を第1の出口に割り当てると共に、選択された流路からの第2のガス流を第2の出口に割り当てるべく、第2のバルブ系統を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
制御手段は、バルブ系統におけるバルブ開度を制御すべく構成されていることを特徴とする請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
制御手段は、バルブ系統におけるバルブが開かれている持続時間を制御すべく構成されていることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
制御手段は、バルブ系統におけるバルブの開きに所定の遅れ時間を設けて、新たなガスが導入される前に、共通する導管部分のすべてのガスが確実に排気され終えるように構成されていることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
第3のガス流を受け入れるための第3の入口を備え、第3の入口は導管ネットワークによって第1の出口に接続されていて、第3のガス流について、第3の入口と第1の出口との間に、第1のチャンバポートと第2のチャンバポートとを通り抜けるような第1の流路が形成されることを特徴とする請求項14乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
経路割当手段は、第3のガス流が第1の流路に沿って流れるとき、第1及び第2のガス流は第2の流路を流れるようにガス流を割り当てるべく構成されていることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
導管ネットワークは、第3の入口を第1の出口に結合し、第3のガス流について、第3の入口と第1の出口との間にチャンバポートを迂回させて第2の流路を形成し、経路割当手段は、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流は第2の流路に沿って流れるように、ネットワークを通るガス流を迂回させるべく構成されていることを特徴とする請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
経路割当手段は、導管ネットワークの内部に配置された第3のバルブ系統と、第3の入口からの第3のガス流を第1の流路及び第2の流路のうちのひとつに割り当てるべく、第3のバルブ系統を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
チャンバに対してガスを出し入れする方法であって、この方法が、
チャンバに導管ネットワークを接続する段階であって、この導管ネットワークが、
第1のガス流を受け入れるための第1の入口と、
第2のガス流を受け入れるための第2の入口と、
第1のガス流を出力する第1の出口と、
第2のガス流を出力する第2の出口と、
チャンバ入口に接続可能である第1のチャンバポートと、
チャンバ出口に接続可能である第2のチャンバポートと、
導管ネットワークであって、第1の入口を第1の出口に結合し、第2の入口を第2の出口に結合し、それぞれのガス流について、第1の流路と第2の流路とをそれぞれの入口と出口との間に形成し、第1の流路はチャンバポートを通り抜け、第2の流路はチャンバポートを迂回するような上記導管ネットワークと、を備え、
ネットワークを通り抜けるガス流の経路を割り当てて、あるガス流が第1の流路に沿って流れるとき、他方のガス流を第2の流路に沿って流れさせる経路割当段階、
を備えていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−507099(P2007−507099A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527489(P2006−527489)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004121
【国際公開番号】WO2005/031032
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(591004445)ザ ビーオーシー グループ ピーエルシー (59)
【Fターム(参考)】