説明

トランスファーモールド用タブレット、その製造方法、発光装置及びその製造方法

【課題】従来の成形機で発光素子被覆を行うことができるシリコーン樹脂系タブレットの提供。
【解決手段】(A)R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3a4bSiO(4-a-b)/2単位からなり(R1〜R3はメチル基、フェニル基等を示し、R4はビニル基等を示し、aは0〜2で、bは1又は2で、a+bは2又は3)、R22SiO単位の繰り返し数が5〜300であるレジン構造のオルガノポリシロキサン、(B)R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3cdSiO(4-c-d)/2単位からなり(cは0〜2で、dは1又は2で、c+dは2又は3)、R22SiO単位の繰り返し数が5〜300であるレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(C)白金族系触媒を含む硬化性シリコーン樹脂組成物からなるトランスファーモールド用タブレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話のバックライト、動画照明補助光源、その他の一般的民生用光源などに用いられる発光装置及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を用いた発光装置は、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光をする。また、この発光素子は半導体素子であるため球切れなどの心配がない。さらに初期駆動特性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強いという特徴を有する。このような優れた特性を有するため、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いる発光装置は、各種の光源として利用されている。
【0003】
従来、YAG蛍光体を分散した樹脂レンズで覆ってなる白色の発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この発光装置は青色LEDチップを、黄色に発光する(Y,Gd)Al12:Ce組成からなるYAG蛍光体をエポキシ樹脂に分散させたレンズで被覆している。このレンズはトランスファーモールドで形成している。
【0004】
また、トランスファーモールドを使用した発光装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照)。これらはいずれも発光素子チップを被覆するモールド部材にエポキシ樹脂を使用している。
【0005】
従来の発光装置にあっては、トランスファーモールドによりモールド部材を形成した後、モールド部材を切断して、個々の発光装置にする。エポキシ樹脂は容易に切断を行うことができる利点がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−50798号公報
【特許文献2】特開2002−76444号公報
【特許文献3】特開2005−145049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年の技術開発により、発光素子チップの高出力化が図られており、従来のエポキシ樹脂では耐光性、耐熱性に乏しいという問題点がある。
【0008】
また、トランスファーモールドに用いられる樹脂として、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂とを同列に記載されている文献もあるが、エポキシ樹脂に比べてシリコーン樹脂は軟らかく、トランスファーモールド後にモールド部材を切断することができないという問題が顕在化しており、製品化されていない。
【0009】
以上のことから、本発明は、耐光性、耐熱性に優れた発光装置を提供することを目的とする。また、量産性に優れた発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題点を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
<タブレット>
【0011】
本発明は、発光装置に用いるトランスファーモールド用のタブレットであって、(A)R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3a4bSiO(4-a-b)/2単位からなり(但し、R1、R2及びR3は独立にメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基を示し、R4はビニル基又はアリル基を示し、aは0,1又は2で、bは1又は2で、a+bは2又は3である)、上記R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個であるレジン構造のオルガノポリシロキサン、
(B)R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3cdSiO(4-c-d)/2単位からなり(但し、R1、R2及びR3は上記の通りであり、cは0、1又は2で、dは1又は2で、c+dは2又は3である)、上記R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個であるレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のビニル基又はアリル基に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、及び
(C)白金族金属系触媒:硬化有効量、
を含有してなる硬化性シリコーン樹脂組成物からなる、発光素子の被覆に用いるトランスファーモールド用のタブレットを提供する。このタブレットはトランスファーモールディングに適し、かつ耐光性に優れた発光装置の量産に有用である。
【0012】
上記タブレットにおいては、前記硬化性シリコーン樹脂組成物がさらに蛍光物質及びフィラーの少なくとも一方を含有することが好ましい。該組成物が蛍光物質を含有することにより発光波長を調整することができる。また、該組成物がフィラーを含有することにより成形体の切削が容易になり、切削後の寸法安定性が良好となる。
<発光装置>
【0013】
本発明は、また、上記の硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させてなり、ショアD硬度が30以上のシリコーン硬化物を有することを特徴とする発光装置を提供する。シリコーン硬化物がこのような硬度を有すると、切断による個片化が可能となる。
【0014】
前記硬化物は、少なくとも1面のダイシング面を有することが好ましい。これにより発光装置の小型化が可能となる。つまり、前記硬化物からの基板の張り出しをなくすることができるためである。
【0015】
前記硬化性シリコーン樹脂組成物は蛍光物質を含有することが好ましい。これにより所望の色調を実現できる。
【0016】
前記硬化性シリコーン樹脂組成物の(A)成分及び/又は(B)成分がシラノール基を含有することが好ましい。それにより、得られる硬化物の他の構成部材との密着性が向上する。
【0017】
<タブレットの製造方法(乾式法)>
本発明は、また、発光素子の被覆に用いるトランスファーモールド用のタブレットの製造方法であって、
蛍光物質及びフィラーの少なくとも一方を含有するシリコーン組成物を調製する工程と、
こうして調製したシリコーン組成物を加圧下で成形してタブレットを作製する工程と、
を有することを特徴とするタブレットの製造方法を提供する。このようなタブレットは量産性に優れた発光装置の製造方法を可能にする利点がある。
【0018】
<発光装置(乾式法)>
そこで、本発明は、また、基板上に実装された発光素子がシリコーン硬化物により被覆されている発光装置の製造方法であって、
蛍光物質及びフィラーの少なくとも一方を含有するシリコーン組成物を調製する工程と、
こうして調製したシリコーン組成物を加圧下で成形してタブレットを作製する工程と、
前記基板上に実装された前記発光素子の周囲に前記タブレットをトランスファーモールディングする工程と、
前記トランスファーモールディングされた前記組成物を硬化させてショアD硬度が30以上のシリコーン硬化物に転換する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法を提供する。これにより量産性に優れた発光装置の製造方法を提供することができる。また、耐光性、耐熱性に優れた発光装置を提供することができる。
【0019】
上記発光装置の製造方法において、前記シリコーン組成物が、前述した(A)成分、(B)及び(C)成分を含有してなる硬化性シリコーン樹脂組成物であることが好ましい。これにより、特に耐光性、耐熱性に優れた発光装置を提供することができる。また、該組成物は常温で固体または半固体であるので、従来から固形エポキシ樹脂に用いられてきた既存のトランスファーモールディング装置を変更することなく使用して、トランスファーモールドを容易に行うことができる。
【0020】
前記シリコーン組成物が蛍光物質を含有する場合には、該蛍光物質の量は該シリコーン組成物において、色調の調整上、例えば白色LEDを作製するなどにおいて、好ましくは1乃至50重量%、より好ましくは3乃至20重量%の範囲である。
【0021】
前記シリコーン組成物がフィラーを含有する場合には、得られるモールド部材の切削容易性及び切削後の寸法安定性の面から、該フィラーの量は該シリコーン組成物において、好ましくは80重量%以下、より好ましくは10乃至60重量%である。
【0022】
前記のタブレットを作製する工程においては、前記のシリコーン組成物を、得られるタブレットの寸法安定性及び樹脂成形性の安定性から、好ましくは4.9MPa乃至29.4MPaの、より好ましくは6MPa乃至20MPaの圧力下で成形してタブレットを作製することが好ましい。
【0023】
上記の製造方法は、さらに、得られた前記シリコーン硬化物をダイシングにより切断する工程を有することが好ましい。これにより短時間に複数個の発光装置を製造することができる。
【0024】
前記発光素子の少なくとも一部は蛍光物質含有の樹脂、蛍光物質含有のガラス、蛍光物質不含有の樹脂及び蛍光物質不含有のガラスの少なくとも1種により被覆されていることが好ましい。蛍光物質を有することにより、更に色調を変えることができる。また、内側よりも硬質のもので被覆することができる。
【0025】
<タブレットの製造方法(湿式法)>
本発明は、また、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物からなり、発光装置に用いるトランスファーモールド用のタブレットの製造方法であって、
(a1) 前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(a2) 該溶融物を固体化する工程と、
(a3) 得られた固体化物をタブレットに成形する工程と、
を有し、
さらに、
(α1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(a1)工程で得られた溶融物に該溶融物の固体化前にその残部を添加する工程と、
(α2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(a1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは、(a1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(a3)工程において、前記固体化物に、該固体化物をタブレットに成形する前に、添加する工程と、
を有する上記のタブレットの製造方法を提供する。
【0026】
上記の製造方法においては、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部が(a1)工程において溶融される。両化合物の一方でも両方でもよく、かつ溶融される化合物の一部でも全部でもよい。一部が溶融された場合には残部は(α1)工程において得られた溶融物に後添加される。
前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とは(α2)に規定されるように、下記1)〜3)の3つの段階の内の1つの段階ですべて添加してもよいし、2もしく3の段階に分けて導入してもよい。
【0027】
1)(a1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加し、一緒に溶融に付する。
2)(a1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加する。
3)(a3)工程において、前記固体化物に、該固体化物をタブレットに成形する前に、添加し、一緒に成形に付す。
【0028】
前記蛍光物質及びフィラーの一方又は両方を添加する好ましい一実施形態では、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンを全量溶融させ、得られた溶融物に前記白金族金属系触媒、蛍光物質及びフィラーをそれぞれの全量を添加し、よく撹拌して混合した後に固体化し、その後タブレット化する。こうすると、シリコーン組成物中に蛍光物質及びフィラーがより均一に分散され、結果として金型成形、個片化した後、発光の色度のバラツキが少ない白色LEDが得られる。
【0029】
また、蛍光物質及びフィラーの一方又は両方を添加する好ましい別の実施形態では、これらを二以上の段階に分けて添加する。即ち、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンを全量溶融させ、得られた溶融物に前記白金族金属系触媒、蛍光物質及び/又はフィラーの一部を添加し、よく撹拌して混合した後に固体化し、タブレット成形前迄に前記白金族金属系触媒、蛍光物質及び/又はフィラーの残部を添加し、その後にタブレットを成形する。この実施形態は、蛍光物質に関しては、得られるタブレット中の蛍光物質の含有量をタブレット化の直前に容易に調整することができ、LEDの色度調整が容易にできる利点がある。
【0030】
また、上記の添加のルールは蛍光物質及びフィラーの両成分を添加する場合には、それらに独立に適用され、別々の段階で添加してもよいし一緒に添加してもよい。
【0031】
本発明は、さらに、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物からなり、発光装置に用いるトランスファーモールド用のタブレットの製造方法であって、
(b1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(b2)得られた溶融物を固体化後、粉砕して粉砕物を得る工程と、
(b3)得られた粉砕物をタブレットに成形する工程と、
を有し、
さらに、
(β1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(b2)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物にその残部を添加する工程と、
(β2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(b1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは(b1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(b3)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物に添加する工程と、
を有する上記のタブレットの製造方法を提供する。
【0032】
上記の製造方法においては、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部が(b1)工程において溶融される。両化合物の一方でも両方でもよく、かつ溶融される化合物の一部でも全部でもよい。一部が溶融された場合には残部は(β1)工程において前記粉砕物に添加される。
【0033】
前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分は、(β2)に規定されるように、次の3つの段階の内の1つの段階ですべて添加してもよいし、2もしく3の段階に分けて導入してもよい。即ち、
1)(b1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加し、一緒に溶融に付する。
2)(b1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加する。
3)(b3)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物に添加する。
【0034】
前記蛍光物質及びフィラーの一方又は両方を添加する好ましい一実施形態では、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンを全量溶融させ、得られた溶融物に前記白金族金属系触媒、蛍光物質及びフィラーをそれぞれの全量を添加し、よく撹拌して混合した後固体化し、その後にタブレット化する。こうすると、シリコーン組成物中の蛍光物質及びフィラーがより均一に分散され、結果として金型成形、個片化した後、色度のバラツキが少ない白色LEDが出来る。
【0035】
また、蛍光物質及びフィラーの一方又は両方を添加する好ましい別の実施形態では、これらを二以上の段階に分けて添加する。即ち、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンを全量溶融させ、得られた溶融物に前記白金族金属系触媒、蛍光物質及び/又はフィラーの一部を添加し、よく撹拌して混合した後に固体化後粉砕して粉砕物とし、これに前記白金族金属系触媒、蛍光物質及び/又はフィラーの残部を添加し、その後にタブレットを成形する。この実施形態は、蛍光物質に関しては、得られるタブレット中の蛍光物質の含有量をタブレット化の直前に容易に調整することができ、LEDの色度調整が容易にできる利点がある。
【0036】
また、この添加のルールは蛍光物質及びフィラーの両成分を添加する場合には、それらに独立に適用され、別々の段階で添加してもよいし一緒に添加してもよい。
【0037】
これらのタブレットの製造方法によれば、シリコーン組成物を構成する主剤、架橋剤、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一つを複数の段階に分けて配合することができ、特に、一旦固体化した後においても配合することもできるので配合量の調整を行うことができる。このことは、蛍光物質を例にとると、更なる調整を容易に行うことができる。
前記溶融する工程と、前記シリコーン組成物を調整する工程と、をほぼ同時に行うこともできる。これにより簡易に製造することができる。
これらの製造方法により得られるタブレットは量産性に優れた発光装置の製造方法を可能にする利点がある。
【0038】
<発光装置の製造方法(湿式法)>
そこで、本発明は上記のタブレットの製造方法を利用する次の発光装置の製造方法をも提供する。
【0039】
即ち、本発明は、基板上に実装された発光素子がシリコーン硬化物により被覆されている発光装置の製造方法であって、
該シリコーン硬化物が、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物の硬化物であり、
(a1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(a2)該溶融物を固体化する工程と、
(a3)得られた固体化物をタブレットに成形する工程と、
(a4)前記基板に該タブレットをトランスファーモールドしてシリコーン硬化物に転換する工程と、
(a5)前記発光素子を前記トランスファーモールド前、若しくはトランスファーモールド後に前記基板に実装する工程と、
を有し、
さらに、
(α1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(a1)工程で得られた溶融物に該溶融物の固体化前にその残部を添加する工程と、
(α2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(a1)工程における溶融の前に溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは、(a1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(a3)工程において、前記固体化物に該固体化物をタブレットに成形する前に、添加する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法を提供する。この方法によれば、発光素子が蛍光物質やフィラーが均一に分散されたシリコーン硬化物により被覆された発光装置を高い量産性で製造することができる。
【0040】
さらにまた、本発明は、基板上に実装された発光素子がシリコーン硬化物により被覆されている発光装置の製造方法であって、
該シリコーン硬化物が、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物の硬化物であり、
(b1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(b2)得られた溶融物を固体化後、粉砕して粉砕物を得る工程と、
(b3)得られた粉砕物をタブレットに成形する工程と、
(b4)前記基板に該タブレットをトランスファーモールドしてシリコーン硬化物に転換する工程と、
(b5)前記発光素子を前記トランスファーモールド前、若しくはトランスファーモールド後に前記基板に実装する工程と、
を有し、
さらに、
(β1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(b2)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物にその残部を添加する工程と、
(β2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(b1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは(b1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(b3)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物に添加する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法をも提供する。この方法によれば、発光素子が蛍光物質やフィラーが均一に分散されたシリコーン硬化物により被覆された発光装置を高い量産性で製造することができる。
【0041】
上記のタブレットの製造方法及び発光装置の製造方法において使用されるシリコーン組成物を構成する前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは前述した(A)成分であるレジン構造のオルガノポリシロキサンであり、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは(B)成分であるレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。このとき、シリコーン組成物は上述したようにトランスファーモールディングに適し、耐光性、耐熱性に優れた発光装置を高い量産性で製造するのに有用である。
【0042】
この製造方法の場合でも、前記シリコーン組成物が蛍光物質を含有する場合には該蛍光物質の量が該シリコーン組成物において1乃至50重量%、より好ましくは3乃至20重量%の範囲であることが好ましい。また、フィラーを含有する場合には、該フィラーの量が該シリコーン組成物に対して80重量%以下、より好ましくは10乃至60重量%であることが好ましい。理由は前述したとおりである。
【0043】
上記の製造方法は、さらに、得られたシリコーン硬化物をダイシングにより切断する工程を有することが好ましい。これにより一度に多数個の発光装置を得ることができる。
また、上記の製造方法において、前記発光素子の少なくとも一部は蛍光物質含有の樹脂、蛍光物質含有のガラス、蛍光物質不含有の樹脂及び蛍光物質不含有のガラスの少なくとも1種により被覆されていることが好ましい。蛍光物質を有することにより、更に色調を変えることができる。また、内側よりも硬質のもので被覆することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明のトランスファーモールディング用タブレットにより従来よりエポキシ樹脂用に使用されているトランスファーモールディング用成形装置をそのまま発光装置の製造方法に使用することができる。そのため、耐光性、耐熱性に優れた発光装置を量産でき高い生産性を実現することができる。また、量産性に優れた発光装置を提供することができる。本発明の様々な実施の形態の効果は上述しまた以下に説明するところから明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明に係る発光装置及びその製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0046】
−シリコーン組成物−
本発明に用いられる代表的なシリコーン組成物としては、前記の(A)、(B)及び(C)成分を必須とする硬化性シリコーン樹脂組成物が挙げられる。これらの各成分について説明する。
【0047】
・(A)レジン構造のオルガノポリシロキサン
本発明組成物の重要な構成成分であるレジン構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノポリシロキサンは、(A)R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3a4bSiO(4-a-b)/2単位からなり(但し、R1、R2及びR3は独立にメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基を示し、R4はビニル基又はアリル基を示し、aは0,1又は2で、bは1又は2で、a+bは2又は3である)、上記R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個であるオルガノポリシロキサンである。該R22SiO単位の繰り返し数は5〜300個であり、好ましくは10〜300個、より好ましくは15〜200個、更に好ましくは20〜100個である。
上記において、R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個であるとは、R22SiO単位が5〜300個連続して繰り返される構造が存在することを意味する。即ち(A)成分の分子中に式(1):
【0048】
【化1】

(1)
(但し、mは5〜300の整数)
で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造が存在していることを意味する。
【0049】
22SiO単位は(A)成分中において式(1)で表される構造を構成しないで(例えば、単独で又は4個以下の連鎖構造で)存在してもよい。しかし、(A)成分中に存在するR22SiO単位全体の50モル%以上(50〜100モル%)、好ましくは80モル%以上(80〜100モル%)が、式(1)で表される構造を構成して存在することが望ましい。
【0050】
ここで、R22SiO単位は鎖状のポリマーを形成し、これにR1SiO1.5単位を導入することによって、鎖状のポリマーを分岐化或いは三次元網状化させることができる。R3a4bSiO(4-a-b)/2単位の中のR4(ビニル基又はアリル基)は、後述する(B)成分のR3cdSiO(4-c-d)/2単位のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)とヒドロシリル化付加反応することにより硬化物を形成する。
【0051】
(A)成分を構成する各単位の割合は、得られる硬化物の特性(特に、物理的強度)の点から、好ましくは、
1SiO1.5単位が、90〜24モル%、より好ましくは、70〜28モル%、
22SiO単位が、75〜9モル%、より好ましくは、70〜20モル%
3a4bSiO(4-a-b)/2単位が、50〜1モル%、より好ましくは10〜2モル%
(但し、これら3種の単位の合計が100モル%)
である。
【0052】
なお、本明細書において、オルガノポリシロキサンが「レジン構造を有する」とか「レジン状である」とは、オルガノポリシロキサンを構成する全シロキサン単位に対する三官能性シロキサン単位R1SiO1.5単位の比率が20モル%以上であって、三次元網状のシロキサン構造を形成していることを意味する。
【0053】
また、この(A)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、通常、3,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000の範囲にあることが、常温で該(A)成分が固体もしくは半固体状であるので作業性、硬化性などから好適である。
【0054】
このような(A)成分のレジン構造のオルガノポリシロキサンは、当業者には周知である方法により、各単位の原料となる化合物を、上記の各単位が得られる生成物中で上記の割合となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
【0055】
ここで、R1SiO1.5単位の原料としては、MeSiCl3、EtSiCl3、PhSiCl3(Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す。以下同様。)、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシランや、それぞれのクロロシランに対応するメトキシシランなどのアルコキシシラン等が例示できる。
【0056】
22SiO単位の原料としては、
ClMe2SiO(Me2SiO)nSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)m(PhMeSiO)nSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)m(Ph2SiO)nSiMe2Cl、
HOMe2SiO(Me2SiO)nSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)m(PhMeSiO)nSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)m(Ph2SiO)nSiMe2OH、
MeOMe2SiO(Me2SiO)nSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)m(PhMeSiO)nSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)m(Ph2SiO)nSiMe2OMe
(但し、m=5〜150の整数、n=5〜300の整数)
等を例示することができる。
【0057】
また、R3a4bSiO(4-a-b)/2単位は、R34SiO単位、R324SiO0.5単位、R42SiO単位、R342SiO0.5単位から選ばれる1種又は2種以上のシロキサン単位の任意の組み合わせであることを示し、その原料としては、Me2ViSiCl、MeViSiCl2、Ph2ViSiCl(Viはビニル基を示す。以下同様。)、PhViSiCl2や、それぞれのクロロシランに対応するメトキシシランなどのアルコキシシラン等を例示することができる。
【0058】
なお、(A)成分において、R1SiO1.5単位、R22SiO単位及び/又はR3a4bSiO(4-a-b)/2単位中に共加水分解並びに縮合反応の途中で副生するシラノール基含有シロキサン単位を、通常、(A)成分中の全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)、好ましくは5モル%以下(0〜5モル%)程度含有するものであってもよい。上記各シロキサン単位に対応するシラノール基含有シロキサン単位としては、R1(HO)SiO単位、R1(HO)2SiO0.5単位、R22(HO)SiO0.5単位、R3a4b(HO)SiO(3-a-b)/2単位、R3a4b(HO)2SiO(2-a-b)/2単位(ここでaは0又は1、bは1又は2、a+bは1又は2である。)が挙げられる。
【0059】
・(B)レジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン
本発明組成物の重要な構成成分であるレジン構造(即ち、三次元網状構造)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3cdSiO(4-c-d)/2単位からなり(但し、R1、R2及びR3は上記の通りであり、cは0,1又は2で、dは1又は2で、c+dは2又は3である)、上記R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個である、該R22SiO単位の繰り返し数は、好ましくは10〜300個、より好ましくは15〜200個、更に好ましくは20〜100個である。
上記において、R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個であるとは、R22SiO単位が5〜300個連続して繰り返される構造が存在することを意味する。即ち、(A)成分の場合と同様に、(B)成分の分子中に式(1):
【0060】
【化2】

【0061】
(1)
で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造が存在していることを意味する。
【0062】
22SiO単位は(B)成分中において式(1)で表される構造を構成しないで(例えば、それぞれ単独で又は4個以下の連鎖構造で)存在してもよい。しかし、(B)成分中に存在するR22SiO単位全体の50モル%以上(50〜100モル%)、好ましくは80モル%以上(80〜100モル%)が、式(1)で表される構造を構成して存在することが望ましい。
【0063】
この場合、R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3cdSiO(4-c-d)/2単位のそれぞれの機能は(A)成分に関して説明した通りである。
【0064】
(B)成分を構成する各単位の割合は、得られる硬化物の特性(特に、物理的強度)の点から、好ましくは、
1SiO1.5単位が、90〜24モル%、より好ましくは、70〜28モル%、
22SiO単位が、75〜9モル%、より好ましくは、70〜20モル%
3cdSiO(4-c-d)/2単位が、50〜1モル%、より好ましくは10〜2モル%
(但し、これら3種の単位の合計が100モル%)
である。
【0065】
また、この(B)成分のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は、通常、3,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000の範囲にあるものが作業性、硬化物特性などの点から好適である。
【0066】
このようなレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、当業者には周知である方法により、各単位の原料となる化合物を、上記の各単位が得られる生成物中で上記の割合となるように組み合わせ、共加水分解を行うことによって合成することができる。
【0067】
ここで、R1SiO1.5単位の原料としては、MeSiCl3、EtSiCl3、PhSiCl3、プロピルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシランや、それぞれのクロロシランに対応するメトキシシランなどのアルコキシシラン等が例示できる。
【0068】
22SiO単位の原料としては、
ClMe2SiO(Me2SiO)nSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)m(PhMeSiO)nSiMe2Cl、
ClMe2SiO(Me2SiO)m(Ph2SiO)nSiMe2Cl、
HOMe2SiO(Me2SiO)nSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)m(PhMeSiO)nSiMe2OH、
HOMe2SiO(Me2SiO)m(Ph2SiO)nSiMe2OH、
MeOMe2SiO(Me2SiO)nSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)m(PhMeSiO)nSiMe2OMe、
MeOMe2SiO(Me2SiO)m(Ph2SiO)nSiMe2OMe
(但し、m=5〜150の整数、n=5〜300の整数)
等を例示することができる。
【0069】
また、R3cdSiO(4-c-d)/2単位は、R35SiO単位、R325SiO0.5単位、R52SiO単位、R352SiO0.5単位から選ばれる1種又は2種以上のシロキサン単位の任意の組み合わせであることを示し、その原料としては、Me2HSiCl、MeHSiCl2、Ph2HSiCl、PhHSiCl2や、それぞれのクロロシランに対応するメトキシシランなどのアルコキシシラン等を例示することができる。上記各シロキサン単位に対応するシラノール基含有シロキサン単位としては、R1(HO)SiO単位、R1(HO)2SiO0.5単位、R22(HO)SiO0.5単位、R3cd(HO)SiO(3-c-d)/2単位、R3cd(HO)2SiO(2-c-d)/2単位(ここで、cは0又は1、dは1又は2、c+dは1又は2である。)が挙げられる。
【0070】
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分中のビニル基及びアリル基の合計量に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)がモル比で0.1〜4.0となる量、特に好ましくは0.5〜3.0、更に好ましくは0.8〜2.0となる量であることが好ましい。0.1未満では硬化反応が進行せず、シリコーン硬化物を得ることが困難であり、4.0を超えると未反応のSiH基が硬化物中に多量に残存するため、硬化物の物性が経時的に変化する原因となる。
【0071】
なお、(B)成分において、R1SiO1.5単位、R22SiO単位及び/又はR3cdSiO(4-c-d)/2単位中に、共加水分解並びに縮合反応の途中で副生するシラノール基含有シロキサン単位が、通常、(B)成分中の全シロキサン単位に対して10モル%以下(0〜10モル%)、好ましくは5モル%以下(0〜5モル%)程度存在してもよい。
【0072】
・(C)白金族金属系触媒
この触媒成分は、本発明の組成物の付加硬化反応を生じさせるために配合されるものであり、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものがある。コスト等の見地から白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、H2PtCl6・mH2O,K2PtCl6,KHPtCl6・mH2O,K2PtCl4,K2PtCl4・mH2O,PtO2・mH2O(mは、正の整数)等の白金化合物;これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を挙げることができる。これらは一種単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。これらの触媒成分の配合量は、有効量、即ち、所謂触媒量でよく、具体的には、通常、前記(A)成分と(B)成分の合計量に対して白金族金属の質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲で使用される。
【0073】
なお、上記の組成物は、特にLED素子等の発光装置の封止、被覆などの使用する場合には、(A)〜(C)成分からなる状態(即ち、蛍光物質、フィラーなどを含まない状態)で組成物を硬化させて得られる硬化物が、400nmから可視光領域で90%以上(即ち、90〜100%)であることが好ましく、92%以上(92〜100%)の光透過率を有することがより好ましい。
【0074】
・その他の配合剤
上記の組成物には、上述した(A)〜(C)成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。以下、そのような任意的成分について説明する。
【0075】
・・蛍光物質
蛍光物質は、例えば、窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類硫化物蛍光体、アルカリ土類チオガレート蛍光体、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体蛍光体、Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
【0076】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体は、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などがある。また、MSi:EuのほかMSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、M0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などもある。
【0077】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などがある。
【0078】
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体には、M(POX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などがある。
【0079】
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体には、MX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0080】
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体には、SrAl:R、SrAl1425:R、CaAl:R、BaMgAl1627:R、BaMgAl1612:R、BaMgAl1017:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などがある。
【0081】
アルカリ土類硫化物蛍光体には、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどがある。
【0082】
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体には、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなどもある。
【0083】
その他の蛍光体には、ZnS:Eu、ZnGeO:Mn、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。)などがある。
【0084】
上述の蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
【0085】
Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体とは、モル%表示で、CaCO をCaOに換算して20〜50モル%、Alを0〜30モル%、SiOを25〜60モル%、AlNを5〜50モル%、希土類酸化物または遷移金属酸化物を0.1〜20モル%とし、5成分の合計が100モル%となるオキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体である。尚、オキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体では、窒素含有量が15wt%以下であることが好ましく、希土類酸化物イオンの他に増感剤となる他の希土類元素イオンを希土類酸化物として蛍光ガラス中に0.1〜10モル%の範囲の含有量で共賦活剤として含むことが好ましい。
【0086】
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0087】
・・フィラー
フィラーとしては、例えば、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機充填剤、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛等の非補強性無機充填剤を、(A)及び(B)成分の合計量100質量部当り600質量部以下(0〜600質量部)の範囲で適宜配合することができる。
【0088】
・・接着助剤
また、上記組成物には、接着性を付与するため、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH2基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマーや、下記一般式(2)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物及び/又はその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)などの接着助剤を任意成分として必要に応じて配合することができる。
【0089】
【化3】

【0090】
(式中、R6は、下記式(3):
【0091】
【化4】

【0092】
で表される有機基又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であるが、少なくとも1個は式(3)の有機基であり、R7は水素原子又は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基、sは1〜6、特に1〜4の整数である。)
【0093】
この場合、R6で表される脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素原子数2〜8、特に2〜6のアルケニル基、シクロヘキセニル基等の炭素原子数6〜8のシクロアルケニル基などが挙げられる。また、R7で表される一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、上記R6として例示したアルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基等のアリール基などの炭素原子数1〜8、特に1〜6の一価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。
【0094】
接着助剤として下記式に示される化合物が例示される。
【0095】
【化5】

【0096】

(式中、g及びhは各々1〜49の整数であって、但しg+hは2〜50、好ましくは4〜20である。)
【0097】
【化6】

【0098】
【化7】

【0099】
このような有機ケイ素化合物の内、得られる硬化物の接着性が特に優れている化合物としては、一分子中にケイ素原子結合アルコキシ基とアルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子(SiH基)を有する有機ケイ素化合物である。
【0100】
上記組成物において接着助剤(任意成分)の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、通常10質量部以下(即ち、0〜10質量部)、好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.2〜5質量部程度配合することができる。配合量が少なすぎると接着性の向上が得られない場合があり、多すぎると硬化物の硬度や表面タック性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0101】
上記のシリコーン組成物は、上述した各成分を均一に混合することによって調製されるが、通常は、硬化が進行しないように2液に分けて保存され、使用時に2液を混合して硬化を行う。勿論、アセチレンアルコール等の硬化抑制剤を少量添加して1液として用いることもできる。この組成物は、必要により加熱することにより直ちに硬化して、高い硬度と表面タックのない可撓性硬化物を形成する。
【0102】
なお、成型時の硬化条件は、通常50〜200℃、特に70〜180℃で1〜30分、特に2〜10分である。また、50〜200℃、特に70〜180℃で0.1〜10時間、特に1〜4時間のポストキュアを行うことができる。
【0103】
−代表的な実施の形態−
次に、添付の図1を例として、本発明の代表的な実施形態について説明する。しかし、本発明の範囲は何ら図1の例に制限されるものではない。図1は典型的な周知のパッケージ構造の発光装置の断面図であり、1は絶縁基板、2及び3は電極及び回路配線、4は発光ダイオード、5はボンディングワイヤ、6は蛍光体が分散されたシリコーン樹脂硬化物からなる封止体である。以下の実施の形態の説明において(A)、(B)及び(C)の各成分は上述した硬化性シリコーン樹脂組成物の成分を意味する。
【0104】
○実施の形態1
(タブレット化→成形→個片化)
1.(A)、(B)及び(C)の各成分があらかじめ配合された、粉末状の硬化性シリコーン樹脂組成物を大量生産作業に便利なよう、かつ、最終製品に気泡が生ずる等の問題点を除去するために、所定の形態金型に入れ、適切な圧力、例えば、4.9〜29.4MPaの圧力で加圧しタブレット状に加工する。
2.次に図1に示すような構造に類似したパッケージ構造にトランスファーモールド工程を用い、タブレット状に加工したシリコーン樹脂組成物で、通常50〜200℃、特に70〜180℃で1〜30分、特に2〜10分で硬化させ、封止体6を成形することができる。金型から封止体6を取り出した後、必要に応じて50〜200℃、特に70〜180℃で0.1〜10時間、特に1〜4時間で硬化させることが出来る。
3.硬化完了後、製品パターンに応じて個々のチップLED製品に切断する為ダイシング工程を実施し、所望のチップLEDを得ることが出来る。ダイシング工程で生じる水分を取り除き、製品を安定化させる為に60〜180℃の条件下で1〜24時間程度ベーキングすることもある。
【0105】
○実施の形態2
(蛍光体DRYブレンド→タブレット化→成形→個片化)
1.(A)、(B)及び(C)成分があらかじめ配合され、蛍光体未添加の粉末状の硬化性シリコーン樹脂組成物にパウダー形態の蛍光体を欲しようとする色度水準に応じて一定の割合、好ましくは配合後1乃至50重量%、より好ましくは3乃至20重量%の割合でミキサー等で十分に撹拌混合させる。
2.撹拌混合した後、所定の形態金型に入れ、適切な圧力、例えば、4.9MPa〜29.4MPaの圧力で加圧しタブレット状に加工する。
3.次に図1に示すような構造に類似したパッケージ構造にトランスファーモールド工程を用いて、タブレット状に加工した蛍光体が含まれた硬化性シリコーン樹脂組成物で、通常50〜200℃、特に70〜180℃で1〜30分、特に2〜10分で硬化させ、封止体6を成形することができる。金型から封止体を取り出した後、必要に応じて50〜200℃、特に70〜180℃で0.1〜10時間、特に1〜4時間で硬化させることが出来る。
4.硬化完了後所定の寸法に切削し、個片化することで所望の色度水準のLEDを得ることが出来る。
【0106】
○実施の形態3
(溶融樹脂と蛍光体撹拌混合→固体化→粉砕→タブレット化→成形→個片化)
1.固体状のシリコーン樹脂(A)成分(主剤)、および固体状のシリコーン樹脂(B)(架橋剤)成分を樹脂成分の融点以上に加温し溶融させる。
2.溶融させたシリコーン樹脂成分に所定量の蛍光体をミキサーを用いて実質均一になるように撹拌分散させ、白金族金属系触媒(C)を適量加え、ミキサーで均一分散する。
3.蛍光体を分散させたシリコーン樹脂成分を室温以下まで冷却し固体化させる。
4.固体化させた、蛍光体が含有されたシリコーン樹脂組成物を粉砕した後、所定の形態金型に入れ、適切な圧力、例えば、4.9MPa〜29.4MPaの圧力で加圧しタブレット状に加工する。
5.次に図1に示すような構造に類似したパッケージ構造にトランスファーモールド工程を用いて、タブレット状に加工した蛍光体が含まれた硬化性シリコーン樹脂組成物で、通常50〜200℃、特に70〜180℃で1〜30分、特に2〜10分で硬化させ、封止体6を成形することができる。金型から封止体6を取出した後、必要に応じて50〜200℃、特に70〜180℃で0.1〜10時間、特に1〜4時間で硬化させることが出来る。
6.硬化完了後所定の寸法に切削し、個片化することで所望の色度水準のLEDを得ることが出来る。
【0107】
○実施の形態4
((A)成分、(B)成分のどちらか一方を溶融して蛍光体を撹拌分散させる)
シリコーン樹脂成分(A)、および(B)成分、白金族金属系触媒(C)による硬化反応が著しく速い場合、つまり溶融混合中に硬化が完了してしまう様な場合には、(A)成分、(B)成分のどちらか一方のみを溶融させ、蛍光体を撹拌分散させた後、固体化、粉砕後、固体状態で、(A)成分と(B)成分をドライブレンドすることも出来る。この時、白金族金属系触媒(C)は、(A)成分と(B)成分の内溶融させた方の樹脂に混合させることになる。ドライブレンドされた、蛍光体入りシリコーン樹脂組成物は、実施の形態1〜3について記載の方法と同様にタブレット化した後、トランスファーモールド工程を用いて波長変換用封止体6を成形することが出来る。
【0108】
○実施の形態5
(二層以上の樹脂層から構成されたLED)
本発明は、上述の(A)〜(C)を含んでなる硬化性シリコーン樹脂組成物単独での封止だけでなく必要に応じて、エポキシ樹脂、他のシリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂と組み合わせて、LEDを作製することが出来る。さらに、樹脂以外にガラスを用いることができる。複数の樹脂との組み合わせの場合、必要に応じて、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂に蛍光体を混合させてもよい。
【0109】
図1に例示の発光装置を構成する各要素について説明する。
(絶縁基板1/電極2,3)
絶縁基板は、適当な機械的強度と絶縁性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、ガラスエポキシ、セラミックス基板、金属基板等を用いることができる。また、エポキシ系樹脂シートを多層張り合わせたものでもよい。また、絶縁基板に形成する負及び正電極は、Cuを主成分とする金属層とすることが好ましい。例えば、負及び正電極は、Cu/Ni/Agによって構成することができる。
【0110】
(発光ダイオード4/蛍光体)
発光ダイオードと蛍光体は、発光ダイオードの一部又は全部の発光を蛍光体が波長変換できるような組み合わせであれば特に限定されない。例として、現在最も需要の多い白色の発光装置を構成するために適した発光ダイオードと蛍光体の組み合わせについて説明する。
【0111】
・発光ダイオード4
白色の発光装置を構成するために適した発光ダイオードとして、窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いたものを用いることができる。この発光ダイオードは、InGa1-xN(0<x<1)を発光層として有しており、その混晶度によって発光波長を約365nmから650nmで任意に変えることができる。
【0112】
白色系の光を発光させる場合は、蛍光体から出射される光との補色関係を考慮すると、発光ダイオード8の発光波長は400nm以上530nm以下に設定することが好ましく、420nm以上490nm以下に設定することがより好ましい。なお、蛍光体の種類を選択することにより、400nmより短い紫外域の波長の光を発光するLEDチップを適用することもできる。
【0113】
以上の実施の形態1〜5の発光装置では、発光ダイオード4として電極側から光を出射するものを用い、発光ダイオード4の電極と絶縁基板1上の電極2,3とをワイヤーボンディングした例について示す。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、発光ダイオード4を絶縁基板1上にフリップチップボンディングするようにしてもよい。具体的には、発光ダイオード4のp側の電極とn側の電極とがそれぞれ、絶縁基板1上に形成された正負の電極に対向するように発光ダイオードを載置して、対向する電極間をそれぞれ半田等の導電性接着部材で接合することにより実装する。
【0114】
尚、フリップチップボンディング用の発光ダイオードは、基本的にはワイヤーボンディング用の発光ダイオードと同様に構成される。例えば、窒化物半導体発光素子の場合では、光透光性の基板の一方の主面上にn型およびp型窒化物半導体層を含む複数の窒化物半導体層を積層して、最上層のp型窒化物半導体層(p型コンタクト層)の上にp側の電極を形成し、p型窒化物半導体層の一部を除去することにより露出させたn型窒化物半導体層上にn側の電極を形成することにより構成し、光透光性基板の他方の主面を主光取り出し面とすればよい。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、下記例で粘度は25℃の値である。また、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。Phはフェニル基、Meはメチル基、Viはビニル基を示す。
【0116】
[合成例1]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサンレジン(A1)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)33SiMe2Cl:1mol、MeViSiCl2:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有レジン(A1)を合成した。このレジンの重量平均分子量は62,000、融点は60℃であった。
【0117】
[合成例2]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンレジン(B1)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)33SiMe2Cl:1mol、MeHSiCl2:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジン(B1)を合成した。このレジンの重量平均分子量は58,000、融点は58℃であった。
【0118】
[合成例3]
−ビニル基含有オルガノポリシロキサンレジン(A2)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)33SiMe2Cl:1mol、Me2ViSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ビニル基含有レジン(A2)を合成した。このレジンの重量平均分子量は63,000、融点は63℃であった。
【0119】
[合成例4]
−ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンレジン(B2)−
PhSiCl3で示されるオルガノシラン:27mol、ClMe2SiO(Me2SiO)33SiMe2Cl:1mol、Me2HSiCl:3molをトルエン溶媒に溶解後、水中に滴下し、共加水分解し、更に水洗、アルカリ洗浄にて中和、脱水後、溶剤をストリップし、ヒドロシリル基含有レジン(B2)を合成した。このレジンの重量平均分子量は57,000、融点は56℃であった。
【0120】
[実施例1]
合成例1のビニル基含有レジン(A1):189g、合成例2のヒドロシリル基含有レジン(B1):189g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール:0.2g、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液:0.1gを加えた組成物を、60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく撹拌し、シリコーン樹脂組成物を調製した。この組成物は、25℃において可塑性の固体であった。
[実施例2]
合成例1のビニル基含有レジン(A1):189g、合成例2のヒドロシリル基含有レジン(B1):189g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール:0.2g、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液:0.1gを加えた組成物90質量部に対して、さらに粒径5μm(平均粒径)の蛍光体(YAG)を10質量部加え60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく撹拌し、シリコーン樹脂組成物を調製した。この組成物は、25℃において可塑性の固体であった。
【0121】
この組成物を下記の評価試験に供した。
1)機械的特性
コンプレッション成型機にて圧縮成型し、150℃,5分で加熱成型して硬化物を得た。更にこれを150℃,4時間で2次硬化させたものについて、JIS K 6251及びJIS K 6253に準拠し、引張強度(0.2mm厚)、硬度(タイプD型スプリング試験機を用いて測定)及び伸び率(0.2mm厚)を測定した。
2)表面のタック性
上記のように2次硬化させた硬化物表面のタック性を指触にて確認した。更に、市販の銀紛(平均粒径5μm)中に硬化物を置き、取り出し後、エアーを吹き付けて表面に埃のように付着した銀粉が取れるか試験した。
3)蛍光体の分散安定性
アルミナ基盤上に形成された直径6mm、中央部深さ2mmで底が凹曲面である凹部に上記の調製直後の樹脂組成物を入れ、上記と同様の条件で加熱硬化して図2に示す形状のレンズ成型物21を成型した。このレンズ成型物21の上部22と下部23のそれぞれから一部切り取り、各々を800℃にて加熱して灰化し、得られた灰中の蛍光体の含有量(質量%)を測定し、上部22と下部23における含有量を比較した。さらに、該組成物を−20℃の冷凍庫内に3月間保管した後に、組成物を上記と同様にレンズ成型物に成型し、同様にして上部と下部における蛍光体の含有量を比較した。こうして蛍光体の分散安定性を測定した。
これらの各測定結果を表1に示す。
【0122】
[実施例3]
合成例3のビニル基含有レジン(A−2):189g、合成例4のヒドロシリル基含有レジン(B−2):189g、反応抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール:0.2g、塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液:0.1gを加えた組成物70質量部に対して、さらに粒径5μm(平均粒径)の蛍光体(YAG)を30質量部加えた後、これらを60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく撹拌し、シリコーン樹脂組成物を調製した。この組成物は、25℃において可塑性の固体であった。該組成物を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0123】
[比較例1]
実施例1で調製したシリコーン樹脂組成物に代えて、繰り返し単位数5〜300個の直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造を含有せず常温で液体のビニル基含有オルガノポリシロキサンレジンを主剤とする市販の付加反応硬化型シリコーンワニスであるKJR−632(商品名、信越化学工業(株)製)90質量部に対して、実施例1と同じ粒径5μm(平均粒径)の蛍光体(YAG)10質量部を加えた後、60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌した組成物について、実施例1と同様にして各特性を評価した。結果を表1に示す。
【0124】
[比較例2]
実施例1で調製したシリコーン樹脂組成物に代えて、繰り返し単位数5〜300個の直鎖状ジオルガノポリシロキサン連鎖構造を含有せず常温で液体のビニル基含有オルガノポリシロキサンレジンを主剤とする市販の付加反応硬化型シリコーンワニスであるKJR−632L−1(商品名、信越化学工業(株)製)70質量部に対して、実施例1と同じ粒径5μm(平均粒径)の蛍光体(YAG)30質量部を加えた後、60℃に加温したプラネタリーミキサーでよく攪拌した組成物について、実施例1と同様にして各特性を評価した。結果を表1に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
(注)
*1:ビニル基含有レジン中のケイ素原子結合ビニル基に対するヒドロシリル基含有レジン中のケイ素原子結合水素原子のモル比
【0127】
[実施例4]
回路形成されたプリント基板に、青色発光ダイオードチップを接着固定させて搭載し、導電性ワイヤーで電気的に接続した後、実施例1で調製した、シリコーン樹脂組成物をタブレット状に打錠しトランスファーモールド工程を用いて、150℃15分金型内で硬化させた。金型から取り出した後、オーブン内で追硬化として150℃4時間硬化させた。追硬化後、ダイシング工程を用いて所定の大きさに切削し、LEDの個片を得た。
【0128】
[実施例5]
実施例1で調製したシリコーン樹脂組成物とYAG蛍光体15質量部をドライブレンドした後タブレット状に打錠した。蛍光体入り樹脂タブレットを、トランスファーモールド工程を用いて、150℃15分金型内で硬化させた。金型から取り出した後、オーブン内で追硬化として150℃4時間硬化させた。追硬化後、ダイシング工程を用いて所定の大きさに切削し、白色LEDの個片を得た。
【0129】
[実施例6]
回路形成されたプリント基板に、青色発光ダイオードチップを接着固定させて搭載し、導電性ワイヤーで電気的に接続した後、YAG蛍光体を25質量部添加した液状のシリコーン樹脂を用いて、チップ周辺のみをコートした。その後実施例1で調製した、固体シリコーン樹脂組成物をタブレット状に打錠し、トランスファーモールド工程を用いて、150℃15分金型内で硬化させた。金型から取り出した後、オーブン内で追硬化として150℃4時間硬化させた。追硬化後、ダイシング工程を用いて所定の大きさに切削し、白色LEDの個片を得た。
[実施例7]
基板に、複数の青色発光ダイオードチップを列状に(本実施例では一列にであるが、平行な二列以上でもよい。)接着固定させて搭載し、導電性ワイヤーで電気的に接続した後、YAG蛍光体を添加した液状のシリコーン樹脂組成物を用いて、一列に並ぶ個々の青色発光ダイオードチップを覆うようにコートした。その後、このようにコートしたチップを縦断面が略半円弧状のドーム型の金型内に置き、実施例1で調製した固体シリコーン樹脂組成物をタブレット状に打錠しトランスファーモールド法により被覆成形し、硬化させた。シリコーン樹脂硬化物で被覆したチップを金型から取り出した後、被覆樹脂をオーブン内で追硬化した。追硬化後、ダイシング工程を用いて所定の大きさに切削し、白色LEDの個片を得ることができた。この個片化された白色LEDの形状は、チップ周囲に略半球状の蛍光体含有シリコーン樹脂層が形成され、その外周に透光性の略半球状のシリコーン樹脂層が形成されていた。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】典型的なパッケージ構造を有する発光装置の断面図。
【図2】組成物中の蛍光体の分散安定性評価試験のために作製されたレンズ型成型体を示す正面図。
【符号の説明】
【0131】
1.絶縁基板
2.電極及び配線
3.電極及び配線
4.発光ダイオード
6.封止体
21.レンズ成型物
22.上部
23.下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3a4bSiO(4-a-b)/2単位からなり(但し、R1、R2及びR3は独立にメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基を示し、R4はビニル基又はアリル基を示し、aは0,1又は2で、bは1又は2で、a+bは2又は3である)、上記R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個であるレジン構造のオルガノポリシロキサン、
(B)R1SiO1.5単位、R22SiO単位、及びR3cdSiO(4-c-d)/2単位からなり(但し、R1、R2及びR3は上記の通りであり、cは0、1又は2で、dは1又は2で、c+dは2又は3である)、上記R22SiO単位の繰り返し数が5〜300個であるレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のビニル基又はアリル基に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子がモル比で0.1〜4.0となる量、及び
(C)白金族金属系触媒:硬化有効量、
を含有してなる硬化性シリコーン樹脂組成物からなる、発光素子の被覆に用いるトランスファーモールド用のタブレット。
【請求項2】
前記硬化性シリコーン樹脂組成物がさらに蛍光物質及びフィラーの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1に記載のダブレット
【請求項3】
請求項1に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させてなり、ショアD硬度が30以上のシリコーン硬化物を有することを特徴とする発光装置。
【請求項4】
前記硬化物は、少なくとも1面のダイシング面を有することを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記シリコーン組成物が蛍光物質を含有することを特徴とする請求項3又は4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記シリコーン組成物がフィラーを含有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記(A)成分及び/又は(B)成分がシラノール基を含有することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
発光素子の被覆に用いるトランスファーモールド用のタブレットの製造方法であって、
蛍光物質及びフィラーの少なくとも一方を含有するシリコーン組成物を調製する工程と、
こうして調製したシリコーン組成物を加圧下で成形してタブレットを作製する工程と、
を有することを特徴とするタブレットの製造方法。
【請求項9】
基板上に実装された発光素子がシリコーン硬化物により被覆されている発光装置の製造方法であって、
蛍光物質及びフィラーの少なくとも一方を含有するシリコーン組成物を調製する工程と、
こうして調製したシリコーン組成物を加圧下で成形してタブレットを作製する工程と、
前記基板上に実装された前記発光素子の周囲に前記タブレットをトランスファーモールディングする工程と、
前記トランスファーモールディングされた前記組成物を硬化させてショアD硬度が30以上のシリコーン硬化物に転換する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記シリコーン組成物が、請求項1に記載の(A)成分、(B)及び(C)成分を含有していることを特徴とする請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記シリコーン組成物が蛍光物質を含有するものであり、該蛍光物質の量が該シリコーン組成物において1乃至50重量%の範囲であることを特徴とする請求項9又は10に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記シリコーン組成物がフィラーを含有するものであり、該フィラーの量が該シリコーン組成物において80重量%未満であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記のタブレットを作製する工程において、
前記のシリコーン組成物を4.9MPa乃至29.4MPaの圧力下で成形して前記タブレットを作製することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
さらに、得られた前記シリコーン硬化物をダイシングにより切断する工程を有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記発光素子の少なくとも一部は蛍光物質含有の樹脂、蛍光物質含有のガラス、蛍光物質不含有の樹脂及び蛍光物質不含有のガラスの少なくとも1種により被覆されていることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物からなり、発光装置に用いるトランスファーモールド用のタブレットの製造方法であって、
(a1) 前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(a2) 該溶融物を固体化する工程と、
(a3) 得られた固体化物をタブレットに成形する工程と、
を有し、
さらに、
(α1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(a1)工程で得られた溶融物に該溶融物の固体化前にその残部を添加する工程と、
(α2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(a1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは、(a1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(a3)工程において、前記固体化物に、該固体化物をタブレットに成形する前に、添加する工程と、
を有する上記のタブレットの製造方法。
【請求項17】
主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物からなり、発光装置に用いるトランスファーモールド用のタブレットの製造方法であって、
(b1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(b2)得られた溶融物を固体化後、粉砕して粉砕物を得る工程と、
(b3)得られた粉砕物をタブレットに成形する工程と、
を有し、
さらに、
(β1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(b2)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物にその残部を添加する工程と、
(β2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(b1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは(b1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(b3)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物に添加する工程と、
を有する上記のタブレットの製造方法。
【請求項18】
前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンが請求項1に記載の(A)成分であるレジン構造のオルガノポリシロキサンであり、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンが請求項1に記載の(B)成分であるレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである請求項16又は17に記載のタブレットの製造方法。
【請求項19】
基板上に実装された発光素子がシリコーン硬化物により被覆されている発光装置の製造方法であって、
該シリコーン硬化物が、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物の硬化物であり、
(a1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(a2)該溶融物を固体化する工程と、
(a3)得られた固体化物をタブレットに成形する工程と、
を有し、
さらに、
(α1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(a1)工程で得られた溶融物に該溶融物の固体化前にその残部を添加する工程と、
(α2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(a1)工程における溶融の前に溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは、(a1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(a3)工程において、前記固体化物に該固体化物をタブレットに成形する前に、添加する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項20】
基板上に実装された発光素子がシリコーン硬化物により被覆されている発光装置の製造方法であって、
該シリコーン硬化物が、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒、並びに、蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分を含有するシリコーン組成物の硬化物であり、
(b1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの少なくとも一方の少なくとも一部を溶融して溶融物を得る工程と、
(b2)得られた溶融物を固体化後、粉砕して粉砕物を得る工程と、
(b3)得られた粉砕物をタブレットに成形する工程と、
を有し、
さらに、
(β1)前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの残部が存在する場合には、(b2)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物にその残部を添加する工程と、
(β2)前記白金族金属系触媒と、前記の蛍光物質及びフィラーの少なくとも一成分とを、(b1)工程における溶融の前に、溶融に供される前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンに添加するか、並びに/あるいは(b1)工程における溶融の後に溶融により得られた前記溶融物に添加するか、並びに/あるいは、(b3)工程において前記粉砕物をタブレットに成形する前に該粉砕物に添加する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項21】
前記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンが請求項1に記載の(A)成分であるレジン構造のオルガノポリシロキサンであり、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンが請求項1に記載の(B)成分であるレジン構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである請求項19又は20に記載の発光装置の製造方法。
【請求項22】
前記シリコーン組成物が前記蛍光物質を含有し、該蛍光物質の量が該シリコーン組成物に対して1〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項23】
前記シリコーン組成物が前記フィラーを含有し、該フィラーの量が該シリコーン組成物に対して80重量%未満であることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項24】
さらに、得られたシリコーン硬化物をダイシングにより切断する工程を有することを特徴とする請求項19乃至23のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項25】
前記発光素子の少なくとも一部は蛍光物質含有の樹脂、蛍光物質含有のガラス、蛍光物質不含有の樹脂及び蛍光物質不含有のガラスの少なくとも1種により被覆されていることを特徴とする請求項19乃至24のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−332259(P2007−332259A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165302(P2006−165302)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】