説明

トレンチ型PIPキャパシタとそれを用いたパワー集積回路装置およびパワー集積回路装置の製造方法

【課題】製造コストの増加を抑制し、キャパシタの端部の段差を小さくできるトレンチ型PIPキャパシタとそれを用いたパワー集積回路装置およびパワー集積回路装置の製造方法を提供することにある。
【解決手段】トレンチ52内壁に分離絶縁層53を配置し、この分離絶縁層53を介して下部電極となる第1ポリシリコン54を埋め込んだトレンチ型PIPキャパシタ50を半導体基板に形成することで、キャパシタの端部に形成される段差を低減できる。その結果、配線となるメタル層59を過度に厚くする必要がなく、メタル層59を微細化することができる。その結果、パワーICを微細化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレンチ構造のポリシリコン(P)−絶縁層(I)−ポリシリコン(P)型容量素子(以下、トレンチ型PIPキャパシタと称す)とこのトレンチ型PIPキャパシタを有するパワー集積回路装置(以下、パワーICと称することもある)およびパワー集積回路装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の低オン抵抗化を小面積で実現するために、トレンチにゲート領域を形成したトレンチゲート型半導体素子が提案されている。また、このトレンチゲート型半導体素子の信頼性向上や破壊耐量向上を低コストで実現するために、それを制御、保護するための半導体素子を同一半導体基板上に形成したトレンチゲート型パワーICと呼ばれるパワー半導体装置が開発されている。このトレンチゲート型パワーICとは、トレンチゲート構造の縦型パワーMOSFETを有するパワーICのことである。縦型パワーMOSFETは縦型IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の場合もある。
【0003】
図9は、MOSキャパシタ22bを同一半導体基板に形成したトレンチゲート型パワーICの要部断面図である。
出力段半導体素子をトレンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21とし、制御用半導体素子に低耐圧のプレーナゲートゲート構造の横型MOSFET22aおよびMOS型容量素子であるMOSキャパシタ22bを備えた場合の例である。
【0004】
同一半導体基板(n+型半導体層2とその上に配置されるn-型エピタキシャル層3を合せたもの)上にトレンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21とプレーナゲート構造の横型MOSFET22aおよびMOSキャパシタ22bが形成されている。一般的なパワーICにおいて、出力段半導体素子を制御するための電気回路にはディレイ回路、フィルタ回路および発振回路が含まれている。これらの電気回路を構成するためにMOSキャパシタ22bが多数使われている。なお、符号12d、12eはMOSキャパシタ22bの電極となるメタル層である。
【0005】
図10は、プレーナ型PIPキャパシタ22cを同一半導体基板に形成したトレンチゲート型パワーMOSFET素子を有するパワーICの要部断面図である。このパワーICは特許文献3に記載されている。また、プレーナ型PIPキャパシタを半導体装置に適用した例は特許文献6に記載されている。
【0006】
このプレーナ型PIPキャパシタ22cは前記のMOSキャパシタ22bと比較して、電極間電圧に対する容量値の変動が小さいことが特徴である。これはプレーナ型PIPキャパシタ22cの場合、電圧が印加される電極が高ドープされたポリシリコン14、6cであり、電圧が印加された時にポリシリコン14,6cに挟まれたキャパシタの容量となる容量絶縁層15で電圧を保持する。そのため、空間電荷領域が容量絶縁層15内に形成され、電極であるポリシリコン14,6cに殆ど形成されない。そのため空間電荷層幅は容量絶縁層15の厚さに依存するが、印加電圧には殆ど依存しない。そのため、プレーナ型PIPキャパシタ22cの容量値は印加電圧に対して変動が少ない。
【0007】
一方、図9に示すMOSキャパシタ22bの場合は、電極は金属(ここでは高ドープされたポリシリコン6c)と半導体層16であり、電圧が印加された時に容量となる容量絶縁層7c(酸化膜)と半導体層16で電圧を保持する。そのため、印加電圧によって、半導体層16(n型半導体層の場合)内に形成される空乏層幅が変化するため、容量絶縁層7cと半導体層16に形成される空間電荷層の幅は変化する。そのため、MOSキャパシタ22bの容量値は印加電圧に対して変動が大きくなる。
【0008】
下部電極である半導体層16がn型である場合には、上部電極に印加される電圧がn型の半導体層16に対して低い時には、空乏層の幅が広がり容量値が低下する。そのため、この低下する容量分も考慮した回路設計(例えば、MOSキャパシタ22bの容量値の設計など)が必要となる。
【0009】
大きな容量値が要求される回路や、容量変動が少ない高精度な容量が要求される回路には電圧依存性の小さなプレーナ型PIPキャパシタ22cが適用される。
また、プレーナ型PIPキャパシタ22cは厚い酸化膜11a(LOCOS)で半導体基板から電気的に絶縁されているので、上部電極および下部電極に印加される電圧に対しての制約がMOSキャパシタ22bに比べて小さく使い易い。
【0010】
図11は、出力段をハイサイド素子として用いるハイサイド型パワーICの回路構成図と負荷であり、同図(a)は回路構成図、同図(b)は出力端子に接続する負荷を示す図である。
【0011】
このハイサイド型パワーIC101は、制御回路107と出力段半導体素子102で構成され、出力段半導体素子102としてパワーMOSFETの例を示した。また、制御回路107は、論理回路111、ドライブ回路112および保護回路113で構成されている。ドライブ回路112は出力段半導体素子102であるパワーMOSFETのゲート信号を出力する。また、パワーIC101の出力端子105は負荷であるインダクタLに接続する。尚、図中の符号で103は制御回路の電源端子、104は制御回路107の入力端子、106はグランド端子である。
【0012】
ハイサイド型パワーIC101の場合、通電能力を十分に確保するために、出力段半導体素子102のゲート電圧をドレイン電圧(電源端子103の電圧)より高くする。そのため、ゲート電圧を発生させるドライブ回路112の電源の電圧は制御回路107の電源端子103の電圧以上に昇圧させる必要がある。そこで、このドライブ回路112には、チャージポンプ回路が用いられることが多い。
【0013】
図12は、チャージポンプ回路の回路図である。チャージポンプ回路120は、2個の大きな容量のキャパシタCと5個のスイッチSW1〜SW5で構成される。
つぎにチャージポンプ回路120の動作について説明する。まず、SW1〜SW4を閉じることでINに入力された電圧が並列接続された2つのキャパシタCの電圧となる。つぎに、スイッチSW1〜SW4を開き、スイッチSW5を閉じることで2つのキャパシタCを直列接続し、OUTから2倍の電圧を出力する。このチャージポンプ回路120を用いることで、出力段半導体素子102であるパワーMOSFETのゲートをドレイン電圧より高い電圧で駆動することができる。このチャージポンプ回路120のキャパシタCはドライブ回路112の電源となるため、大きな容量と、電圧依存性が少なく高精度を要求され、プレーナ型PIPキャパシタ22cが多用される。
【0014】
また、パワーIC101には、従来よりも大規模な制御回路を搭載し、出力段半導体素子をより高度に制御することが望まれている。その要求に応えるために、パワーIC101の制御回路107の微細化・高精度化が進められており、回路全体を小型化する機運が高まっている。また、近年は低コスト化、小型化の要求も高まっている。
【0015】
つぎに、パワー集積回路装置(パワーIC)について記載した特許文献について説明する。
特許文献1では、n+型基体上にn-型エピタキシャル層を有し、さらにその上にp型エピタキシャル層を有して半導体基板を構成させ、半導体基板の第1の主面側から第2の主面側に電流を流す電力用のMOSFETと半導体基板の第1の主面側に形成された制御素子とを分離する素子分離に第1のトレンチを用いる。
【0016】
また、MOSFETのチャンネル領域をp型エピタキシャル層内において第2のトレンチの側壁に形成する。これにより、半導体基板の第1の主面側から第2の主面側に電流を流す電力用のMOSFETと半導体基板の第1の主面側に形成された制御素子とを分離するためにトレンチ分離法を容易に適用できることが記載されている。
【0017】
また、特許文献2では、半導体装置に搭載された横型パワーMOSFETは、活性基板で形成されるドレイン領域とこのドレイン領域に接続される電位引出領域との間の動作電流経路を横切らない位置にトレンチを配設する。このトレンチ内部にはゲート電極が埋設される。
【0018】
ソース領域を中心としてその両側にトレンチ及びゲート電極を配置し、他の両側に電位引出領域が配置される。横型パワーMOSFETのトレンチと素子分離領域のトレンチとは同一構造でかつ同一製造工程で形成される。これにより、トレンチを利用した素子分離領域並びにトレンチを利用したトランジスタを有する半導体装置を少ない製造工程数で製造できることが記載されている。
【0019】
また、特許文献3では、半導体基板上の半導体層の主面に形成された複数の溝の内外には、ゲート電極に接続される多結晶シリコンゲート層がゲート絶縁膜を介して形成される。半導体層の主面には絶縁膜を介して多結晶シリコンダイオードが形成される。多結晶シリコンダイオードの多結晶シリコン層の膜厚が、多結晶シリコンゲート層の多結晶シリコン層の膜厚よりも薄くする。そうすることで、トレンチ型絶縁ゲート半導体素子と多結晶シリコンダイオードを同一チップ上に形成しても性能を高めることができることが記載されている。
【0020】
また、特許文献4では、同じチップにパワーMOSFETと制御回路とを含むパワー集積回路のチップにnpnトランジスタを付加している。npnトランジスタは前記集積回路の構成部品を含むpウエルとチップのn型のサブストレートとの間に結合されて、上記パワーMOSFETのボデイダイオードの順方向バイアスに応答してターンオンする。
【0021】
デプレッションモード制御MOSFETトランジスタがフォールトラッチ回路を通して、前記のパワーMOSFETゲートに結合されるとともに、キャパシタと直列に接続されている。前記のパワーMOSFETゲートとキャパシタとの間のノードは、上記npnトランジスタがターンオンして前記のパワーMOSFETがターンオフしたときにn型サブストレートと分離される。これにより、過電流および過温度に対する信頼性が高いパワーMOSFETを提供できることが記載されている。
【0022】
また、特許文献5では、半導体装置において、MOSFET領域にトレンチを形成し、その内部にトレンチゲート電極を埋設する。また、キャパシタ領域にトレンチを形成し、その内部にトレンチソース電極を埋設する。トレンチソース電極の形状はストライプ状であり、その長手方向の一部分を介して、ソース電極に接続されている。このようにすることで、ターンオフ時のソースドレイン電圧の跳ね上がりを抑えることができる半導体装置及びこの半導体装置を用いたDC−DCコンバータを提供できることが記載されている。
【0023】
また、特許文献6では、キャパシタは第1導電層と、第1導電層の上方に形成された第2導電層と、第1導電層と第2導電層との間に形成された容量絶縁層とを含む構成をしている。第1および第2導電層は、金属層を含む層からなる。第1導電層には第1接続部が設けられ、第1接続部の上方には第1コンタクトが形成されている。第2導電層には第2接続部が設けられ、第2接続部の上方には第2コンタクトが形成されている。第2コンタクトは、第1導電層の上方を除く領域に形成されている。前記の第1、第2導電層をそれぞれポリシリコンとすることで、プレーナ型PIPキャパシタが形成され、前記の構成とすることで、容量絶縁層の膜質を安定化できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平6−151728号公報
【特許文献2】特開2000−22140号公報
【特許文献3】特開2003−264289号公報
【特許文献4】特開平8−102539号公報
【特許文献5】特開2009−260271号公報
【特許文献6】特開2003−282720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
前記の図10のようなプレーナ型PIPキャパシタ22cが多数搭載されたパワーICにおいて、低コスト化、小型化を実現するために、前記したように、回路部の微細化を進める必要がある。
【0026】
しかし、微細化を進めた場合、プレーナ型PIPキャパシタ22cではポリシリコン6c、14の電極が容量絶縁層15を挟んだ階層構造となっているため、図10で示すように、プレーナ型PIPキャパシタ22cの端部31と周辺部との間に段差31aが生じる。
【0027】
この段差31aが大きいと、段差31aを跨いで素子同士を接続するメタル層12e(メタル配線)が破断する惧れがある。これを防ぐためにメタル層12eの厚さを厚くすると、メタル層12eの微細加工が困難になる。
【0028】
このように、プレーナ型PIPキャパシタ22cでは段差31aは下部電極のポリシリコン6cと容量絶縁層15と上部電極のポリシリコン14を合せた厚さで生じるため大きくなり、微細加工する上で障害となる。
【0029】
プレーナ型PIPキャパシタ22cの端部31に生じる段差31aを低減するために、プレーナ型PIPキャパシタ22c上に積層される層間絶縁膜13bを厚膜化して段差31aを緩やかにしたり、厚膜化した層間絶縁膜13bをCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて平坦化したりする方法がある。
【0030】
しかし、これらの方法は、いずれも製造リードタイムが大きくなり、製造コストが増大する。
この発明の目的は、前記の課題を解決して、製造コストの増加を抑制し、キャパシタの端部の段差を小さくできるPIPキャパシタとそれを用いたパワー集積回路装置およびパワー集積回路装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
前記の目的を達成するために、半導体層の表面から内部へ向かって配置されるトレンチと、該トレンチ内壁に配置される前記半導体層と第1ポリシリコンを電気的に分離する分離絶縁層と、該分離絶縁層を介して前記トレンチを充填する下部電極となる第1ポリシリコンと、該第1ポリシリコン上に配置されるキャパシタの容量となる容量絶縁層と、該容量絶縁層上に配置される上部電極となる第2ポリシリコンとを具備する構成のトレンチ型PIPキャパシタとする。
【0032】
また、前記第1ポリシリコンの表面高さと前記半導体層の表面高さが同じであることよい。
また、前記トレンチ型PIPキャパシタが、主たる電流を通電もしくは遮断する出力段素子および該出力段素子を制御する制御回路とともに同一の前記半導体層に配設されてなるパワー集積回路装置とする。
【0033】
また、前記半導体層とは導電型が異なるウェル領域が前記半導体層の表面に選択的に配置され、前記トレンチ型PIPキャパシタが前記ウェル領域内に配設されるとよい。
また、前記トレンチ型PIPキャパシタのトレンチが前記ウェル領域を貫通して前記半導体層に達するとよい。
【0034】
また、前記ウェル領域が拡散層であるとよい。
また、前記半導体層が、該半導体層よりも高濃度の半導体基材上に形成されたエピタキシャル層であるとよい。
【0035】
また、前記パワー集積回路装置が、前記制御回路の一部にチャージポンプ回路を備え、前記トレンチ型PIPキャパシタが前記チャージポンプ回路内のキャパシタとして用いられるとよい。
【0036】
また、前記出力段素子がトレンチゲート構造もしくはプレーナゲート構造の縦型パワーMOS半導体素子であるとよい。
また、特許請求の範囲の請求項12に記載の発明によれば、前記の請求項1に記載の発明において、前記第2ポリシリコンの表面高さと前記半導体層の表面高さが同じであるとよい。
【0037】
また、前記パワー集積回路装置の製造方法であって、前記第1ポリシリコンが埋め込まれるトレンチと、前記トレンチゲート構造の縦型パワーMOS半導体素子のゲートを配置するトレンチとを同時に形成するパワー集積回路装置の製造方法とする。
【0038】
また、前記パワー集積回路装置の製造方法であって、
前記容量絶縁層が、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成したシリコン酸化膜であるパワー集積回路装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0039】
この発明により、トレンチ内壁に絶縁層を配置し、この絶縁層を介して下部電極となるポリシリコンを埋め込んだトレンチ型PIPキャパシタを半導体基板に形成することで、キャパシタの端部に形成される段差を低減できる。その結果、配線となるメタル層を過度に厚くする必要がなく、メタル層を微細化することができる。
【0040】
また、下部電極となるポリシリコンの表面高さを半導体基板の表面高さと同じにすることで、上部電極であるポリシリコン上に配置される層間絶縁膜の厚膜化やCMP法での平坦化処理を行うことなくキャパシタの端部の段差を小さくできる。そのため、製造コストの増加は抑制される。
【0041】
このトレンチ型PIPキャパシタを用いることで、パワー集積回路装置、つまりパワーICの微細化を、製造コストの増加を伴わずにできる。
また、容量となる絶縁層をCVD法によるシリコン酸化膜で形成すると、一般的なICプロセスとの融合が容易になる。さらに、制御回路などを構成する半導体素子の特性を変動させる熱履歴を増やすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の第1実施例のトレンチ型PIPキャパシタとその周辺の構成図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した要部断面図である。
【図2】この発明の第2実施例のトレンチ型PIPキャパシタ65とその周辺の要部断面図である。
【図3】この発明の第3実施例のトレンチ型PIPキャパシタとその周辺の要部断面図である。
【図4】この発明の第4実施例のトレンチ型PIPキャパシタとその周辺の要部断面図である。
【図5】この発明の第5実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。
【図6】この発明の第6実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。
【図7】この発明の第7実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。
【図8】この発明の第8実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。
【図9】従来のMOSキャパシタを同一半導体基板に形成したトレンチゲート型パワーICの要部断面図である。
【図10】従来のプレーナ型PIPキャパシタを同一半導体基板に形成したトレンチゲート型パワーMOSFET素子を有するパワーICの要部断面図である。
【図11】出力段をハイサイド素子として用いるハイサイド型パワーICの回路構成図と負荷であり、(a)は回路構成図、(b)は出力端子に接続する負荷を示す図である。
【図12】チャージポンプ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
実施の形態を以下の実施例で説明する。以下の説明では第1導電型をn型、第2導電型をp型としたが、逆の場合もある。また、本発明のトレンチ型PIPキャパシタで用いるトレンチは、キャパシタの端部の段差を小さくするために形成するものである。つまり、周知のトレンチ型MOSゲートのトレンチのように、トレンチ内壁の絶縁層を容量として用いてキャパシタの容量を大きくするために形成したトレンチではない。本明細書では、下部電極であるポリシリコンをトレンチに埋め込み(充填し)、この下部電極の上面に絶縁層を形成し、さらにこの絶縁層の上面にポリシリコン等の導電膜からなる上部電極を形成して絶縁層を挟んだ構成のPIPキャパシタを、トレンチ型PIPキャパシタと称する。従来と同一部位には同一の符号を付した。
<実施例1>
図1は、この発明の第1実施例のトレンチ型PIPキャパシタ50とその周辺の構成図であり、同図(a)は要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した要部断面図である。図1のトレンチ型PIPキャパシタ50は、例えば、図示しない縦型パワーMOSFETなど同一半導体基板に形成されパワーICの一部を構成する。
【0044】
このトレンチ型PIPキャパシタ50は、以下に説明する構造を特徴とする。半導体基板51にトレンチ52を配置する。このトレンチ52の内壁に、半導体基板51と第1ポリシリコン54を電気的に分離する分離絶縁層53を形成する。この分離絶縁層53を介して、下部電極となる第1ポリシリコン54を埋め込む。このように、第1ポリシリコン54上に配置された容量となる容量絶縁層55と、容量絶縁層55上に配置された上部電極となる第2ポリシリコン56によって、トレンチ型PIPキャパシタ50を構成する。この第1ポリシリコン54,および第2ポリシリコン56は多結晶シリコン層である。
【0045】
下部電極の第1ポリシリコン54は、奥行き方向に伸びたトレンチ52の端部側壁に沿って表面に引き出され、図示しないメタル層と接続され、さらにそのメタル層は他の半導体素子と電気的に綾続されている。このメタル層は微量のシリコンが添加されたアルミニウム(Al−Si)や銅などの金属層である。
【0046】
前記の第1ポリシリコン54の表面高さH2と半導体基板51の表面高さH1が同一になるようにする。その結果、トレンチ型PIPキャパシタ50の端部の段差60は、容量絶縁層の厚さT3と第2ポリシリコン56の厚さT2を合わせた厚さT4となる。表面高さH1,H2とは任意の基準線からの高さのことである。例えば、半導体基板51の底面を基準線としてそこからの表面の高さなどである。
【0047】
この段差は、図10に示す従来のプレーナ型PIPキャパシタ22cの端部32の段差32aに比べると、下部電極である第1ポリシリコン54の厚さT1の分だけ小さくなる。そのため、層間絶縁膜57上に形成されコンタクトホール58を介して第2ポリシリコン56と接続するメタル層59の厚さT5を薄くでき、メタル層59の幅Wを細くできる。つまりメタル層59を微細化することができる。メタル層59の微細化によりパワーICを構成する電気回路の微細化ができる。
【0048】
また、層間絶縁膜57を厚膜化したり、層間絶縁膜57をCMP法で平坦化したりすることなく、段差60を小さくできるので製造コストを抑制できる。
また、このトレンチ型PIPキャパシタ50をパワーICに適用した場合、このトレンチ型PIPキャパシタ50のトレンチ52は、図示しないパワーICを構成するトレンチゲート構造の縦型パワーMOSFETのトレンチと同時に形成することができる。
<実施例2>
図2は、この発明の第2実施例のトレンチ型PIPキャパシタ65とその周辺の要部断面図である。この図は図1(b)に相当する断面図である。平面図は図示しないが図1(a)と同じである。
【0049】
図1との違いは、トレンチ型PIPキャパシタ65の上部電極である第2ポリシリコン56までトレンチ52内に形成し、第2ポリシリコン56の表面高さH3と半導体基板51の表面高さH1を同一にして段差を解消した点である。
【0050】
トレンチ52内壁に分離絶縁層53を配置し、この分離絶縁層53を介して下部電極となる第1ポリシリコン54を埋め込み、第1ポリシリコン54上に容量絶縁層55を配置し、容量絶縁層55上に上部電極となる第2ポリシリコン56を配置する。この第2ポリシリコン56の表面高さH3と半導体基板の表面高さH1を同一にする。
【0051】
トレンチ型PIPキャパシタ65の端部66の段差は解消され、配線となるメタル層59の厚さT6を図1の場合のメタル層59の厚さT5より薄くできる。その結果、メタル層59を図1の場合より微細化できて、パワーICをさらに微細化することができる。
<実施例3>
図3は、この発明の第3実施例のトレンチ型PIPキャパシタ50とその周辺の要部断面図である。図1との違いは、半導体基板51の表面層に形成された半導体基板51と逆の導電型の拡散層61の表面層にトレンチ52を形成した点である。半導体基板51と第1ポリシリコン54の間に高い電圧が印加された場合、半導体基板51と拡散層の61で形成されるpn接合62でも電圧を分担するため、分離絶縁層53に印加される電圧を低減できて、分離絶縁層53の絶縁破壊を防止することができる。
【0052】
尚、図示しないが、実施例2のトレンチ型PIPキャパシタ65に対してもこの拡散層61を形成することで、分離絶縁層53に印加される電圧を低減できる。
<実施例4>
図4は、この発明の第4実施例のトレンチ型PIPキャパシタ50とその周辺の要部断面図である。図3との違いは、トレンチ52が拡散層63を貫通して形成されている点である。半導体基板51と第1ポリシリコン54の間に高い電圧が印加された場合、半導体基板51と拡散層63のpn接合64でも電圧を分担するため、分離絶縁層53に印加される電圧を軽減できて、分離絶縁層53の絶縁破壊を防止することができる。しかし、実施例3に比べて、半導体基板51と拡散層63で形成されるpn接合64で分担する電圧は小さくなるため、分離絶縁層53の絶縁破壊を防止する働きは実施例1に比べると低くなる。
【0053】
尚、図示しないが、実施例2のトレンチ型PIPキャパシタ65に対してもこの拡散層63を形成することで、分離絶縁層53に印加される電圧を低減できる。
<実施例5>
図5は、この発明の第5実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。このパワー半導体装置は、トレンチ型PIPキャパシタ22dを同一半導体基板に形成した卜レンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21を有するパワーICである。この卜レンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21は縦型IGBTのような縦型パワーMOS素子の場合もある。トレンチ型PIPキャパシタの構成は前記の実施例1と同じである。尚、ここでは説明を省くが、実施例2のトレンチ型PIPキャパシタを適用する場合もある。また、図5において、上図の右側と下図の左側は矢印で示すように連続して繋がっている。これは図6〜図10においても同じである。
【0054】
+型半導体層2とこのn+型半導体層2上のn-型エピタキシャル層3からなる半導体基板に、トレンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21と制御回路を構成するプレーナゲート構造の横型MOSFET22aおよびトレンチ型PIPキャパシタ22d(このキャパシタは図1のトレンチ型PIPキャパシタ50と同じ)が形成されている。卜レンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21の端部には耐圧終端構造23が形成されている。このトレンチ型PIPキャパシタ22dのトレンチ35bと横型MOSFET22aのゲートを構成するトレンチ35aは同時に形成することで製造コストを低減することができる。
【0055】
卜レンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21は、トレンチ35aの内壁にゲート酸化膜7aが配置され、このゲート酸化膜7aを介してゲート電極配線となるポリシリコン6aが埋め込まれたトレンチゲート構造を有している。また、p型チャネル領域5とその表面層に配置されたn+型ソース領域9a、p型チャネル領域5に接続する高濃度でn+型ソース領域9aより深いp+型コンタクト領域10を備えている。
【0056】
+型ソース領域9aとp+型コンタクト領域10は配線となるメタル層12fに接続されて、このメタル層12fは卜レンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21のソース端子ともなる。また、半導体基板の裏面にはメタル層1が形成され、このメタル層1はドレイン端子となる。
【0057】
ポリシリコン6aとメタル層12fの間には層間絶縁膜13aが配置され互いを電気的に絶縁されている。耐圧終端構造23は、酸化膜11d上のポリシリコン6aと接続するメタル層12gが配置されたフィールドプレート構造となっている。このフィールドプレート構造は耐圧を向上させる働きをする。
【0058】
制御回路を構成する横型MOSFET22aは、p-型ウエル領域4aと、n+型ドレイン領域とn+型ソース領域9b(ドレイン領域とソース領域は共に9bを付す)、p+型コンタクト領域8aにより構成される。また、メタル層12a、12bがそれぞれドレイン端子およびソース端子となる。メタル層12cはバックゲート端子としてp+型コンタクト領域8aに接続され、ポリシリコン6bがゲート端子となる。
【0059】
トレンチ型PIPキャパシタ22d(図1のトレンチ型PIPキャパシタ50と同じ)は、以下の構造となっている。トレンチ35bに埋め込まれたポリシリコン6c(図1の第1ポリシリコン54と同じ)を下部電極とする。そして、この下部電極の上に容量絶縁層15(図1の容量絶縁層55と同じ)が配置される。さらにこの容量絶縁層15の上に上部電極となるポリシリコン14(図1の第2ポリシリコン56と同じ)を備える。
【0060】
下部電極のポリシリコン6cとn-型エピタキシャル層3の間には酸化膜6d(図1の第1絶縁層に相当し分離絶縁層53ともいう)が配置され、n-型エピタキシャル層3からトレンチ型PIPキャパシタ22dを電気的に絶縁している。メタル層12eは、層間絶縁膜13b上に配置され、トレンチ型PIPキャパシタ22dの上部電極であるポリシリコン14と制御回路を構成する他の半導体素子とを電気的に接続する。
【0061】
また、ポリシリコン6cの表面高さとn-型エピタキシャル層3の表面高さを同じにする。これは、全面に着いたポリシリコン6cをn-型エピタキシャル層3をストッパとして用いてエッチングすることで行なわれる。
【0062】
また、ここでは図示しないが、下部電極のポリシリコン6cは、図1で説明したように、奥行き方向に伸びたトレンチ35bの端部側壁に沿って表面に引き出され、例えば、メタル層12gと接続され、さらにそのメタル層12gは他の半導体素子と電気的に綾続されている。
【0063】
横型MOSFET22aとトレンチ型PIPキャパシタ22dの間には酸化膜11a(LOCOS)が形成され素子分離領域としての働きをする。
また、ここでは図示しないが、制御回路などを構成する他の横型MOSFETとの間に酸化膜11b,11c(LOCOS)が形成され、回路素子間の素子分離領域としての働きをする。
【0064】
本発明におけるトレンチ型PIPキャパシタ22dの端部32にできる段差32a(図1の段差60と同じ)は、トレンチ35b内に下部電極であるポリシリコン6aが埋め込まれているため、図3に示す従来のプレーナ型PIPキャパシタ22cの端部31にできる段差31aよりもポリシリコン6cの厚さ分だけ小さくなる。
【0065】
例えば、トレンチ型PIPキャパシタ22dとプレーナ型PIPキャパシタ22cの下側のポリシリコン6cを0.5μm、容量絶縁層15を0.025μm、上側のポリシリコン14を0.25μmとした場合について説明する。これらの数値は一例であり、これに限るものではない。
【0066】
図5のトレンチ型PIPキャパシタ22dにおいて、下側のポリシリコン6cの表面高さ(上端面の高さ)は周囲のn-型エピタキシャル層3の表面高さと同じであるため、段差32aとしては、容量絶縁層15の厚さと上側のポリシリコン14の厚さの合計の厚さ(図1の合計の厚さT4と同じ)であり、0.025μm+0.25μm=0.275μmとなる。
【0067】
一方、図10のプレーナ型PIPキャパシタ22cの段差31aは、下側のポリシリコン6cの厚さと容量絶縁層15の厚さと上側のポリシリコン14の厚さの合計の厚さであり、0.5μm+0.025μm+0.25μm=0.775μmとなる。つまり、トレンチ型PIPキャパシタ22dの段差32aは、プレーナ型PIPキャパシタ22cの段差31aに対して0.5μm(=下側のポリシリコン6cの厚さ)低減できる。
【0068】
これにより、配線となるメタル層12eを過度に厚くする必要がなくなり、またCMP法のような特別の平坦化処理も不要となる。その結果、製造コストの増加を抑制して、回路部の微細化に対する障害を取り除くことができる。
【0069】
本発明のトレンチ型PIPキャパシタ22dを形成するにあたっては、上部電極である上側のポリシリコン14と下部電極である下側のポリシリコン6cの間に挟まれる容量絶縁層15をシリコン酸化膜とすることで一般的なICプロセスとの融合が容易になる。
【0070】
また、このシリコン酸化膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成することで、他の半導体素子の特性を変動させるような熱履歴を増やすことなく形成が可能となる。
【0071】
さらに、トレンチを形成するにあたっては、出力段半導体素子であるトレンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21の卜レンチ35aとトレンチ型PIPキャパシタ22dのトレンチ35bを同じ工程で同時に作成することによって、工程の短縮化が可能となり製造コストを低減できる。
【0072】
一般的にパワーICでは出力段半導体素子に高電圧を印加して使用されることが多い。この場合、トレンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21のドレイン端子と同電位であるn-型エピタキシャル層3は高電位となる。この条件下で下部電極であるポリシリコン6cを低電位で使用する場合、n-型エピタキシャル層3と下側のポリシリコン6cの間に高電圧が印加される。そのため、酸化膜6dは絶縁破壊しないように厚く形成する必要がある。
【0073】
しかしながら、酸化膜6dを厚くする場合は、卜レンチ幅(トレンチの開口部の大きさ)を酸化膜6dが厚くなった分だけ広げる必要があり、パワーICの微細化を進める上での障害となる。
【0074】
一方、酸化膜6dを厚くしない場合は、n-型エピタキシャル層3と下部電極であるポリシリコン6c間に高電圧が印加されないようにする必要がある。そうするためには、下部電極であるポリシリコン6cの電位が低電位にならないように、回路設計をする必要があり、回路設計上の制約となる。
【0075】
つぎに、n-型エピタキシャル層3とポリシリコン6c間に印加される電圧を低減する方策について実施例6にて説明する。
<実施例6>
図6は、この発明の第6実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。図5との違いは、n-型エピタキシャル層3の表面層にp型拡散層18(図3の拡散層61に相当する)を形成し、このp型拡散層18の表面層にトレンチ35bを配置し、このトレンチ35bを酸化膜6dを介して下部電極であるポリシリコン6cを埋め込んだ点である。つまり、トレンチ35bをp型拡散層18で包むような形になる。
【0076】
-型エピタキシャル層3と下部電極用のポリシリコン6cの間に高電圧が印加されたとき、p型拡散層18とn-エピタキシャル層3のpn接合18aが逆バイアスされ、pn接合18aから空乏層が伸びる。これにより、印加される電圧がpn接合18aでも分担され、酸化膜6dに印加される電界が緩和される。このため、p型拡散層18を設けることで、酸化膜6dを過度に厚くすることなく絶縁破壊を防止できる。その結果、トレンチ35bの幅を広くする必要が無くなり、パワーICの微細化を阻害する要因を排除することができる。
【0077】
また、p型拡散層18を設けることで、n-型エピタキシャル3の電位によらず、下部電であるポリシリコン6cの電位を自由に設定できて、回路設計の自由度が増すという効果がある。
【0078】
尚、実施例2のトレンチ型PIPキャパシタ65を適用することで、段差32aがさらに小さくなり、パワーICをさらに微細化することができる。
<実施例7>
図7は、この発明の第7実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。図6との違いは、p型拡散層17をトレンチ35bが貫通してn-型エピタキシャル層3に達している点である。この場合は、卜レンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21のトレンチ35aとトレンチ型PIPキャパシタ22dのトレンチ35bを同時に形成でき、またp型チャネル領域5およびp型拡散層17を同時に形成することができるので製造コストを低減できる。このようにp型拡散層17がトレンチ35b全体を完全に覆うように配置されていなくても電界緩和の働きをする。
【0079】
尚、実施例2のトレンチ型PIPキャパシタ65を適用することで、段差32aがさらに小さくなり、パワーICをさらに微細化することができる。
<実施例8>
図8は、この発明の第8実施例のパワー集積回路装置の要部断面図である。図5との違いは、トレンチゲート構造の縦型パワーMOSFET21をプレーナゲート構造の縦型パワーMOSFET21aに代えた点である。このようにプレーナゲート構造の縦型パワーMOSFETを有するパワーICに前記したトレンチ型PIPキャパシタを適用した場合も、製造コストの増大を抑制して、パワーICの微細化を行なうことができる。尚、実施例8では実施例1のトレンチ型PIPキャパシタ50を適用した場合について説明したが、実施例2のトレンチ型PIPキャパシタ65や実施例3、4のように拡散層61,63を有する構造を適用することもある。この場合も前記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
1,12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,59 メタル層
2 n+型半導体層
3 n-型エピタキシャル層
4a p-型ウエル領域
5 p型チャネル領域
6a,6b,6c ポリシリコン
6d 酸化膜
7a ゲート酸化膜
7c,15 容量絶縁層
8a,10 p+型コンタクト領域
9a n+型ソース領域
9b n+型ドレイン領域/n+型ソース領域
11a,11b,11c,11d 酸化膜(LOCOS)
13a,13b,57 層間絶縁膜
14 ポリシリコン
16 半導体層
17,18 p型拡散層
21 卜レンチゲート構造の縦型パワーMOSFET
21a 縦型パワーMOSFET(プレーナゲート)
22a 横型MOSFET
22b MOSキャパシタ
22c プレーナ型PIPキャパシタ
22d,50,65 トレンチ型PIPキャパシタ
23 耐圧終端構造
31,32,66 端部
31a,32a,60 段差
35a,35b,52 トレンチ
51 半導体基板
53 分離絶縁層
54 第1ポリシリコン
55 容量絶縁層
56 第2ポリシリコン
58 コンタクトホール
61,63 拡散層
18a,62,64 pn接合
101 ハイサイド型パワーIC
102 出力段半導体素子
103 電源端子
104 入力端子
106 グランド端子
105 出力端子
107 制御回路
111 論理回路
112 ドライブ回路
113 保護回路
120 チャージポンプ回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層の表面から内部へ向かって配置されるトレンチと、該トレンチ内壁に配置される前記半導体層と第1ポリシリコンを電気的に分離する分離絶縁層と、該分離絶縁層を介して前記トレンチを充填する下部電極となる第1ポリシリコンと、該第1ポリシリコン上に配置されるキャパシタの容量となる容量絶縁層と、該容量絶縁層上に配置される上部電極となる第2ポリシリコンとを具備することを特徴とするトレンチ型PIPキャパシタ。
【請求項2】
前記第1ポリシリコンの表面高さと前記半導体層の表面高さが同じであることを特徴とする請求項1に記載のトレンチ型PIPキャパシタ。
【請求項3】
請求項1もしくは2に記載のトレンチ型PIPキャパシタが、主たる電流を通電もしくは遮断する出力段素子および該出力段素子を制御する制御回路とともに同一の前記半導体層に配設されることを特徴とするパワー集積回路装置。
【請求項4】
前記半導体層とは導電型が異なるウェル領域が前記半導体層の表面に選択的に配置され、前記トレンチ型PIPキャパシタが前記ウェル領域内に配設されることを特徴とする請求項3に記載のパワー集積回路装置。
【請求項5】
前記トレンチ型PIPキャパシタのトレンチが前記ウェル領域を貫通して前記半導体層に達することを特徴とする請求項4に記載のパワー集積回路装置。
【請求項6】
前記ウェル領域が拡散層であることを特徴とする請求項4または5に記載のパワー集積回路装置。
【請求項7】
前記半導体層が、該半導体層よりも高濃度の半導体基材上に形成されたエピタキシャル層であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置。
【請求項8】
前記制御回路の一部にチャージポンプ回路を備え、前記トレンチ型PIPキャパシタが前記チャージポンプ回路内のキャパシタとして用いられることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置。
【請求項9】
前記出力段素子がトレンチゲート構造もしくはプレーナゲート構造の縦型パワーMOS半導体素子であることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置。
【請求項10】
前記半導体層とは導電型が異なるウェル領域が前記半導体層の表面に選択的に配置され、前記トレンチが前記ウェル領域内に配設されることを特徴とする請求項1または2に記載のトレンチ型PIPキャパシタ。
【請求項11】
前記トレンチが前記ウェル領域を貫通して前記半導体層に達することを特徴とする請求項10に記載のトレンチ型PIPキャパシタ。
【請求項12】
前記第2ポリシリコンの表面高さと前記半導体層の表面高さが同じであることを特徴とする請求項1に記載のトレンチ型PIPキャパシタ。
【請求項13】
請求項12に記載のトレンチ型PIPキャパシタが、主たる電流を通電もしくは遮断する出力段素子および該出力段素子を制御する制御回路とともに同一の前記半導体層に配設されることを特徴とするパワー集積回路装置。
【請求項14】
前記半導体層とは導電型が異なるウェル領域が該半導体層の表面に選択的に配置され、前記トレンチ型PIPキャパシタが前記ウェル領域内に配設されることを特徴とする請求項13に記載のパワー集積回路装置。
【請求項15】
前記トレンチ型PIPキャパシタのトレンチが前記ウェル領域を貫通して前記半導体層に達することを特徴とする請求項14に記載のパワー集積回路装置。
【請求項16】
前記ウェル領域が拡散層であることを特徴とする請求項14または15に記載のパワー集積回路装置。
【請求項17】
前記半導体層が、該半導体層よりも高濃度の半導体基材上に形成されたエピタキシャル層であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置。
【請求項18】
前記制御回路の一部にチャージポンプ回路を備え、前記トレンチ型PIPキャパシタが前記チャージポンプ回路内のキャパシタとして用いられることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置。
【請求項19】
前記出力段素子がトレンチゲート構造もしくはプレーナゲート構造の縦型パワーMOS半導体素子であることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置。
【請求項20】
前記の請求項3乃至9もしくは13乃至19のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置の製造方法であって、
前記第1ポリシリコンが埋め込まれるトレンチと、前記トレンチゲート構造の縦型パワーMOS半導体素子のゲートを配置するトレンチとを同時に形成することを特徴とするパワー集積回路装置の製造方法。
【請求項21】
前記の請求項3乃至9もしくは13乃至19のいずれか一項に記載のパワー集積回路装置の製造方法であって、
前記容量絶縁層が、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成したシリコン酸化膜であることを特徴とするパワー集積回路装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−89764(P2013−89764A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228961(P2011−228961)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】