ナビゲーションシステムおよび地図管理サーバ
【課題】 経路探索において、ノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図や時間的に変化するコストを有するネットワーク地図を有効に利用する。
【解決手段】 ナビゲーションシステム1は、ナビ付き自転車100、GPS衛星103および地図管理センタ203を含む。地図管理センタ203は、地図サーバ204および地図データベース205を含む。地図サーバ204は、ナビ付き自転車100から経路探索の要求メッセージを受信する。そして、地図データベース205に格納されたネットワーク地図を使用して経路探索計算を実施し、その経路探索の結果情報を端末102に送信する。この場合、時間的に変化するコストを考慮して経路探索計算を行う。また、検索条件に係る複数のネットワーク地図間においてノードの個数や数が異なるときには、対応するノードのないネットワーク地図にダミーノードを設定することで、コストの加算を可能とする。
【解決手段】 ナビゲーションシステム1は、ナビ付き自転車100、GPS衛星103および地図管理センタ203を含む。地図管理センタ203は、地図サーバ204および地図データベース205を含む。地図サーバ204は、ナビ付き自転車100から経路探索の要求メッセージを受信する。そして、地図データベース205に格納されたネットワーク地図を使用して経路探索計算を実施し、その経路探索の結果情報を端末102に送信する。この場合、時間的に変化するコストを考慮して経路探索計算を行う。また、検索条件に係る複数のネットワーク地図間においてノードの個数や数が異なるときには、対応するノードのないネットワーク地図にダミーノードを設定することで、コストの加算を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対して、その利用者が設定した条件に従って目的地までの最適経路を選択して提示するようにしたナビゲーションシステムおよび地図管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体が通過する経路を検索する装置としては、車載用の経路案内装置(以下、ナビゲーション装置という)がよく知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両が通行する道路について、ダイクストラ法などを用いて、予め定められている条件を満たす最適な経路を探索し、その探索した経路に沿って車両が走行する際に誘導の案内や支援などを行うようになっている。
【0003】
近年、コンピュータで利用可能に電子化された地図データ(以下、電子地図データという)を利用して、地図の表示や経路の探索などを行うナビゲーション装置が普及している。ナビゲーション装置は、車載用だけでなく携帯用などもあり、幅広く使用されている。電子地図データは、経路探索を行うための経路探索用データを備えている。経路探索用データは、道路(通路)を表すリンク、交差点や行き止まりなどの道路の端点を表すノード、ランドマーク情報などを備えている。2つのノード間の接続経路を示すリンクには、各道路を識別するためのリンクIDや、平均通行所要時間などの道路の評価値を表すリンクコストなどが含まれる。リンクコストは、道路の種別、通行料金の有無、時間帯、渋滞発生率など種々の要因に基づき、道路の管理者が決定しており、ナビゲーション装置は、一般的に、このようなリンクコストに基づき、経路探索を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−98547号公報(段落0039〜0050、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術(特許文献1に記載の技術)では、目的地に至るまでの経路ごとに希望道路条件で特定される環境情報に対応する重み付け値の総和から最適経路を検索できるが、同じエリア(地理的範囲)の異なるノード数を有する複数のネットワーク地図を利用する場合にリンクの重み付けの加算ができないという問題がある。ここで、ネットワーク地図とは、ノードおよびリンクからなり、所定の要因についてリンクごとにリンクコストが決められたものである。従って、複数のネットワーク地図は、それぞれ異なる要因についてリンクコストが決められている。
【0005】
具体的には、複数のネットワーク地図を利用したリンクコストの加減算を行うには、各ネットワーク地図のノードの位置や数が同じである必要があった。つまり、ネットワーク地図によってノードの密度が異なる場合、リンクコストを計算することができない。また、それに対応するために、ノードの位置や数が異なった場合であっても、検索条件を考慮しながら適切に経路探索する方法を提案する必要があった。さらに、時間の経過に伴って変化するリンクコストを最適経路探索手法に取り入れた場合に、検索開始時のリンクコストだけを適用しており、必ずしも有効な経路探索ができていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題に鑑み、経路探索において、ノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図や時間的に変化するコストを有するネットワーク地図を有効に利用する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、移動体に設置されまたは人に所持され、少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを送信し、その経路探索の結果情報を受信し、表示する端末と、要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を前記端末に送信する地図管理サーバとがネットワークを介して接続されて構成されるナビゲーションシステムであって、要求メッセージが、出発予定時刻を含み、地図管理サーバが、検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データであって、コストを時間帯に対応付けたものを有し、検索条件情報に含まれる検索条件を満たす経路を探索するために、所定のネットワーク地図データ内のノードをリンクに従って出発地点から目的地点に辿る場合に、所定のノードから次のノードに進むのに通過するリンクを選択するときに、出発予定時刻に出発地点からの経過時間を加算した時刻を含む時間帯のコストを参照することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ナビゲーションシステムであって、地図管理サーバが、検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データを有するとともに、検索条件情報に含まれる複数の検索条件を満たす経路を探索するために、その検索条件に係る複数のネットワーク地図データ内のコストを加算する場合に、ネットワーク地図データ間のノードの位置または数が異なるときに、対応するノードのないネットワーク地図データにダミーノードを設定し、そのダミーノードのコスト、または、そのダミーノードと他のノードとの間のリンクのコストを生成することを特徴とする。なお、本発明は、地図管理サーバを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、経路探索において、ノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図や時間的に変化するコストを有するネットワーク地図を有効に利用することができる。これによれば、時間的に変化する複数の検索条件を用いて経路探索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
≪第1の実施の形態≫
(システムの構成と概要)
まず、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム1は、ナビゲーション機能付き自転車(以下、ナビ付き自転車)100および地図管理センタ203を含んで構成される。ナビ付き自転車100は、通常の自転車101に自転車用のナビゲーション機能を有する端末102が搭載された構成になっている。端末102は、GPS(Global Positioning Systems)衛星103との通信を行うことによって自らの測位を可能とする。
【0012】
また、端末102は、ネットワーク206を介して地図管理センタ203と接続され、地図管理センタ203に経路探索を要求し、その経路探索の結果を受け取る。ネットワーク206は、無線を含む専用回線または公衆回線により実現される。
【0013】
地図管理センタ203は、地図サーバ204および地図データベース205を含んで構成される。地図サーバ204は、ナビ付き自転車100からネットワーク206を介して経路探索の要求メッセージを受信する。そして、地図データベース205を使用して経路探索計算を実施し、その経路探索の結果情報をネットワーク206経由でナビ付き自転車100の端末102に送信する。地図データベース205は、全国の地図データを格納するデータベースである。なお、地図サーバ204は、サーバ用コンピュータによって実現される。また、地図データベース205は、ハードディスク装置などの不揮発性記憶装置に構築される。
【0014】
図2は、第1の実施の形態に係る端末の内部構成を示す図である。端末102は、表示部110、入力装置111、内部時計112、電子コンパス113、GPS受信機114、GPSアンテナ115、制御部116、通信部117、通信アンテナ118、バッテリ119、地図データ記憶部120、RAM(Random Access Memory)121、ROM(Read Only Memory)122、ICタグ123および電子鍵124を含んで構成される。
【0015】
表示部110は、地図データや探索された経路などを表示する画面であり、液晶ディスプレイなどによって実現される。入力装置111は、経路探索表示の検索条件入力などを行う装置であり、キーボードやタッチパネルなどによって実現される。内部時計112は、現在の時刻を保持、更新しており、その時刻は、制御部116によって表示部110に表示される。電子コンパス113は、現在の端末102、ひいてはナビ付き自転車100が向く方向を保持、更新しており、その方向は、制御部116によって表示部110に表示される。GPS受信機114は、GPSアンテナ115と接続され、GPSアンテナ115を介してGPS衛星115からの電波信号を受信し、その電波信号に従って測位演算を行って、ナビ付き自転車100の位置を特定する。
【0016】
制御部116は、端末102内の各部と接続され、端末102全体を制御する。制御部116は、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリにロードされたプログラムを実行することによって実現される。通信部117は、ネットワーク206(図1参照)に接続するための信号処理を行い、通信アンテナ118を介して地図サーバ204と通信することにより、経路探索の要求メッセージの送受信や地図データのダウンロードを行うことが可能になる。地図サーバ204から受信した経路探索の結果情報は、表示部110に地図データと重畳して表示される。
【0017】
バッテリ119は、端末102の電源であり、ナビ付き自転車100(図1参照)の車輪が回転することにより充電される。地図データ記憶部120は、経路探索の処理に利用される地図データを格納するものであり、具体的には、フラッシュメモリやハードディスク装置などの不揮発性記憶装置である。地図データ記憶部120は、地図サーバ204を介して地図データベース205からダウンロードした地図データを格納する。RAM121は、制御部116のプログラムのワークエリアなどに使用される一時的な記憶領域である。ROM122は、端末102の電源投入時にロードが必要なプログラムが格納される、書き換え不可の固定的な記憶領域である。ICタグ123は、ナビ付き自転車100の固有IDを持つ。さらに、ナビ付き自転車100ごとにそれぞれ電子鍵124が付属する。電子鍵124を端末102に挿入することによって、端末102の電子錠が解除され、端末102の機能が使用可能となる。なお、端末102は、自転車101本体から取り外しが可能で、歩行する場合でも使用することができる。
【0018】
図3は、第1の実施の形態に係る液晶ディスプレイを説明する図である。ナビ付き自転車100の端末102は、利用者がナビ付き自転車100に乗ったときに端末102の液晶ディスプレイ301が見やすい位置に設置される。液晶ディスプレイ301は、表示部110(図2参照)の一例である。液晶ディスプレイ301に表示される地図画面310には、現在地311、建物312、道路313、方角314、縮尺315などが表示される。なお、地図画面310の地図データは、端末102の地図データ記憶部120に記憶されているものであり、必要に応じてさらに地図データベース205からダウンロードされるものとする。
【0019】
現在地311は、ナビ付き自転車100の現在の位置を示し、地図画面310の中心に表示される。換言すれば、現在地311が地図画面310の中心に位置付くように、周辺の地図の表示範囲が調整される。建物312は、ランドマーク情報(位置を知る目印)であり、必ずしも建物でなくてもよく、例えば公園や運動場などの施設であってもよい。建物312は、後記する検索条件入力画面401に出発地点や目的地点を入力する際に利用することができる。すなわち、建物312を選択することによって、出発地点や目的地点を特定することができる。道路313は、ナビ付き自転車100が通行可能な道路である。方角314は、端末102の電子コンパス113から取得されたナビ付き自転車100の向く方角である。縮尺315は、現在表示されている地図の縮尺である。この縮尺315は、その比率の切り替えが可能である。
【0020】
図4は、第1の実施の形態に係る検索条件入力画面を示す図である。検索条件入力画面401は、端末102が所望の経路を検索する条件を入力するために液晶ディスプレイ301(図3参照)に表示する画面である。検索条件入力画面401には、出発地点入力欄402、目的地点入力欄403、検索条件入力欄404、検索設定値入力欄405、検索設定値単位表示欄406および出発予定時刻入力欄407がある。
【0021】
出発地点入力欄402は、検索したい経路の出発地点の緯度、経度および高度を入力する欄である。目的地点入力欄403は、検索したい経路の目的地点の緯度、経度および高度を入力する欄である。出発地点や目的地点を入力する場合、例えば、検索条件入力画面401の「出発地点」のアイコンを選択すると、ランドマークの一覧や地図画面310(図3参照)が表示されて、その表示されたものを選択することによって、選択した地点の緯度、経度および高度が入力されるものとする。また、出発地点については、制御部116によって、GPS受信機114が受信した測位信号から現在の位置を求め、その位置である緯度、経度および高度が入力されるようにしてもよい。なお、地点の位置として高度を含めることによって、地点間の勾配を算出することができるので、例えば、勾配の少ない経路を検索することができるようになる。
【0022】
検索条件入力欄404は、経路の検索条件を選択する欄である。選択可能な検索条件には、最短距離、最短時間だけでなく、走行距離、走行時間、消費カロリ、交通量(履歴)、事故発生(履歴)、犯罪発生(履歴)、見通しのよいルート(カーブ、曲がるルートが少ない、電灯の設置状況など)、道路の幅、段差除外ルート情報などがある。走行距離、走行時間または消費カロリを選択した場合には、その単位を含めて指定する。なお、端末102には、移動体が自転車、歩行者、自動車のいずれかであるかが予め設定されており、その設定された移動体に合わせて選択可能な検索条件が検索条件入力欄404に表示される。例えば、移動体が自転車や歩行者である場合には、自動車ではほとんど問題にならない「消費カロリが少ない」や「上り坂がない」などの検索条件が表示される。また、検索条件入力欄404に検索条件が選択されない場合には、デフォルトとして最短距離または最短時間を検索条件とする。
【0023】
検索設定値入力欄405は、検索条件入力欄404で選択した条件によって必要な設定値を入力する欄である。例えば、検索条件入力欄404で走行距離、走行時間または消費カロリを選択した場合には、検索設定値入力欄405に希望する値を設定する。検索設定値入力欄405に設定値が入力された場合には、検索結果の最小値ではなく、設定された値に最も近い条件のルートを検索する。検索設定値単位表示欄406は、検索設定値入力欄405に設定された値の単位を表示する欄である。この検索設定値単位表示欄406には、検索条件入力欄404で指定した単位が表示される。出発予定時刻入力欄407は、出発地点入力欄402に入力した地点から実際に出発する予定になっている時刻を入力する欄である。「出発予定時刻」は、後記するように、時間的に変化するリンクコストを有するネットワーク地図を有効に利用するために必要な情報である。逆に言えば、リンクコストが固定であるネットワーク地図だけを利用する場合には、不要な情報である。
【0024】
これによれば、出発地点入力欄402からの目的地点入力欄403までの経路探索を、最短距離、最短時間を基本として行うとともに、最短距離、最短時間以外の検索条件を選択することによって多機能な検索を行うことができる。
【0025】
(システムの処理)
次に、第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムについて説明する(適宜図1ないし図4参照)。図5は、ナビゲーションシステムの経路探索処理を示すフローチャートである。地図サーバ204は、ダイクストラ法に代表される最適経路探索手法を実装する。利用者は、ナビ付き自転車100の端末102を利用することで複数の条件を考慮した最適経路探索の結果を得ることができる。
【0026】
経路探索を実行する場合、最初に、端末102は目的地点を設定する(ステップS510)。具体的には、端末102の制御部116が、まず、利用者の操作により入力装置111から経路探索を行いたい旨を入力し、その入力に対応して検索条件入力画面401を表示部110(液晶ディスプレイ301)に表示する。そして、利用者が検索条件入力画面401の目的地点入力欄403に入力した目的地点を、後で地図サーバ204に送信する目的地情報に設定する。
【0027】
次に、端末102は検索条件を設定する(ステップS511)。具体的には、端末102の制御部116が、利用者が検索条件入力画面401の検索条件入力欄404に入力した検索条件および検索設定値入力欄405に設定した値を、後で地図サーバ204に送信する検索条件情報に設定する。
【0028】
続いて、端末102は現在地点を設定する(ステップS512)。具体的には、まず、端末102のGPS受信機114が、GPS衛星103からGPSアンテナ115を介して測位信号を受信し、その測位信号を制御部116に送信する。そして、制御部116が、GPS受信機114から受信した測位信号に基づいて端末102の現在地点(緯度、経度および高度)を算出し、その現在地点を、後で地図サーバ204に送信する出発地情報に設定する。なお、出発地情報は、必ずしも現在地点でなくてもよく、利用者が検索条件入力画面401の出発地点入力欄402に入力したものを設定してもよい。これは、現在地点ではない、任意の出発地点からの目的地点までの経路を検索したい場合に有効である。なお、出発予定時刻入力欄407に入力された出発予定時刻を出発地情報に含めることもできる。
【0029】
端末102は、ステップS510ないしステップS512で設定した情報、すなわち、出発地情報、目的地情報および検索条件情報(以下、検索情報という)を含む経路探索の要求メッセージを地図サーバ204に送信する(ステップS513)。具体的には、端末102の制御部116が、要求メッセージを通信部117に送信する。そして、通信部117が、制御部116から受信した要求メッセージを通信アンテナ118から送信する。通信アンテナ118から送信された要求メッセージは、ネットワーク206を通じて地図サーバ204に到達する。
【0030】
地図サーバ204は、端末102からネットワーク206経由で検索情報、すなわち、出発地情報、目的地情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを受信する(ステップS521)。次に、その検索情報を元に最適経路探索を実施する(ステップS522)。続いて、その検索結果の経路情報に合う地図情報を検索する(ステップS523)。そして、経路情報および地図情報を端末102に送信する(ステップS524)。
【0031】
端末102は、経路情報および地図情報を受信し(ステップS514)、それらを表示する(ステップS515)。具体的には、まず、端末102の通信部117が、地図サーバ204からネットワーク206および通信アンテナ118経由で経路情報および地図情報を受信し、それらの情報を制御部116に送信する。そして、制御部116が、通信部117から経路情報および地図情報を受信し、それらの情報を表示部110に表示する。また、受信した地図情報を地図データ記憶部120に記憶する。これによって、利用者は、先に端末102の検索条件入力画面401に入力した条件に合う経路を、その周辺の地図とともに参照することができる。
【0032】
図6は、第1の実施の形態に係るネットワーク地図を説明する図である。地図管理センタ203の地図データベース205に格納される地図データには、ネットワーク地図が含まれている。ネットワーク地図は、ノード600およびリンク601を有する。ノード600のAないしIは、位置情報(緯度、経度および高度)というコスト(重み付け)を持つ。地図上では交差点や道路の行き止まりなどを表す。なお、ノード600は、位置情報だけでなく、例えば、その地点における犯罪発生率や事故発生率などのコストを持つようにしてもよい。リンク601は、2つのノード600の間を結ぶ線であり、地図上の道路を表す。リンクコスト602は、リンク601に関連付けられる数値であり、リンク601に対するコストを意味する。なお、ノード600のコストおよびリンクコスト602は、最適経路探索を実施するときに利用され、各検索条件に対応するものである。
【0033】
ネットワーク地図のリンクコスト602は、次に示す要素ごとに値を持つ。すなわち、距離、傾斜、移動体(歩行者、自転車、自動車など)、消費カロリ、明るい道路、犯罪発生率、道幅、渋滞状況、事故発生率、環境(川沿い、海岸、桜通りなど)などの要素である。また、複数のリンクやノードのコストから新たなコストが計算可能となる。例えば、2つのノードの緯度、経度および高度(ノードのコスト)から、そのノード間の距離、方角および傾斜(リンクコスト)を計算することができる。
【0034】
図7は、第1の実施の形態に係るネットワーク地図のレイヤ構造を示す図である。ネットワーク地図は、レイヤ701、レイヤ702、・・・、レイヤ70nのように複数のレイヤを持つ階層構造になっている。複数の条件を考慮した最適経路探索を実施する際は、複数のレイヤを持つネットワーク地図を利用して行う。図7に示すように、例えば、レイヤ701は渋滞状況を示す渋滞マップであり、レイヤ702は犯罪発生率を示す犯罪マップであり、レイヤ70nは事故発生率を示す事故マップである。
【0035】
図8は、第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図を示す図である。図8に示すように、ネットワーク地図800および801において、リンクコストが時間の経過に伴って変化する。すなわち、時刻t0におけるネットワーク地図800と時刻t1におけるネットワーク地図801とでリンクコストの値が異なる箇所(ネットワーク地図801で下線のある数値)がある。このように、所定のネットワーク地図において、一部のコストが変化してもよいし、全部のコストが変化してもよい。また、図8では、リンクコストが時間的に変化する例を示したが、ノードのコスト、または、リンクおよびノードのコストが時間的に変化するようなネットワーク地図であってもよい。
【0036】
このようなネットワーク地図の例を以下に示す。例えば、渋滞マップでは、午前9時ないし11時の時間帯(午前中)はリンクコストが10であるのに対して、午前1時ないし4時の時間帯(夜半ないし明け方)はリンクコストが2であることが考えられる。また、犯罪マップでは、午前10時ないし午後3時の時間帯(昼間)はリンクコストが2であるのに対して、午後9時ないし午後12時の時間帯(夜間)はリンクコストが9であることが考えられる。
【0037】
図9は、第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図に対して経路探索を行う処理を示すフローチャートである。すなわち、最適経路探索手法において、時間の経過に伴ってリンクコストが変化するネットワーク地図を適用可能な検索手法について示すものである。なお、図9のフローチャートは、図5のステップS522の処理を詳細化したものである。
【0038】
地図サーバ204は、まず、ネットワーク地図中の出発点のノードに隣接するノードのうち、出発点ノードと隣接ノードとの間のリンクコストが最小の値を持つ隣接ノードにマークをつけて確定する(ステップS901)。このとき、最初は出発点ノードを基準として処理するが、2回目以降はステップS902でマークを付けたノードを基準とし、隣接ノードのうちマークの付いていないノードを選択する。また、参照するリンクコストは、最初は出発予定時刻に対応する値であるが、2回目以降はステップS903で更新された値である。
【0039】
次に、マークの付いたノードからの隣接するノードまでのリンクコストを参照し、マークの付いていないノードのリンクコストが最小の値を持つノードをマークして確定する(ステップS902)。続いて、先のリンクコストに対応する時刻に経過時間を加算し、その加算した結果の時刻に対応した各リンクのリンクコストを更新する(ステップS903)。そして、目的点ノードにマークが付いているか否かを判断する(ステップS904)。付いていなければ(ステップS904のNo)、ステップS901に戻ってステップS901ないしステップS903の処理を繰り返し実行する。付いていれば(ステップS904のYes)、経路探索の処理を終了する。
【0040】
次に、図9のフローチャートの処理を、図8のネットワーク地図に適用した場合について説明する。ネットワーク地図800および801において、出発点ノードをノードAとし、目的点ノードをノードIとする。まず、地図サーバ204は、ネットワーク地図800を参照して、ノードAからの隣接するノードB、DおよびEまでのリンクのリンクコストを比較して、最小値である1のリンクコストを持つノードBにマークを付ける(ステップS901)。次に、マークの付いたノードBからの、マークの付いていない隣接するノードC、EおよびFまでのリンクのリンクコストを比較して、最小値である3のリンクコストを持つノードEおよびFにマークを付ける(ステップS902)。そして、ネットワーク地図800の時刻t0に、ノードAからノードBを経由してノードEまたはFに達したときの経過時間を加算して時刻t1を求め、その求めた時刻t1に対するネットワーク地図801を参照することとする。これが、リンクコストの更新(ステップS903)に相当する。続いて、目的点ノードであるノードIにマークが付いているか否かをチェックする(ステップS904)。
【0041】
ノードIにはマークが付いていないので(ステップS904のNo)、ステップS901に戻ってノードEおよびFについて経路探索を行う。ネットワーク地図801によれば、ノードEについてはリンクコストが1であるノードHをマークし、ノードFについてはリンクコストが3であるノードIをマークする(ステップS901)。この時点で、目的地Iに到達したことになる。さらに、ノードHについてリンクコストが3であるノードIをマークする(ステップS902)。ここでも、目的地Iに到達したことになる。続いて、リンクコストの更新を行い(ステップS903)、目的点ノードであるノードIにマークが付いているか否かをチェックする(ステップS904)。マークが付いているので(ステップS904のYes)、経路探索処理を終了する。
【0042】
図9のフローチャートでは、ステップS901およびステップS902の2回の経路探索処理で所定の時刻における1組のリンクコストを参照したが、1回の経路探索処理ごとに1組のリンクコストを参照した後、すぐにリンクコストを経過時間に合わせて更新するようにしてもよい。また、所定のノードから次のノードを確定するために、所定のノードと隣接するノードとの間のリンクコストだけを参照したが、少なくとも出発点ノードからの目的点ノードまでの最小リンク数を有する複数の経路についてリンクコストの合計値を算出し、比較するとともに、その合計値の算出に時間的に変化するリンクコストを反映するようにしてもよい。これによれば、時間的に変化するリンクコストを、より精度よく経路探索に反映させることができるので、より精確な最適経路探索を実現することが可能になる。
【0043】
続いて、図10を参照して、ノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図間でコストの加算を行う処理について説明する。なお、この処理は、地図サーバ204において、端末102から受信した経路探索の要求メッセージに複数の検索条件が含まれる場合に行われる。
【0044】
図10(a)は、渋滞マップのノードが事故マップのノードに比べて少ない場合の処理を示す図である。渋滞マップM1は、車両の渋滞の程度をリンクのコストとするネットワーク地図である。一方、事故マップM2は、事故発生率(例えば、月あたりの事故発生回数)をノードのコストとするネットワーク地図である。渋滞マップM1と事故マップM2とを比較すると、事故マップM2にはノードQがあるが、渋滞マップM1にはない。そこで、渋滞マップM1にダミーノードQを設定する。この場合、ノードPおよびダミーノードQ、ならびに、ダミーノードQおよびノードRの間のリンクコストを特定する必要があるが、各ノードの位置情報は分かっているので、それぞれの距離を算出し、ノードPとノードRとの間のリンクコスト4を距離の比率に応じて分けることにする。渋滞マップM3では、ダミーノードQは、ノードPおよびノードRの中間地点にあるものとして、リンクのコスト4を2分の1に分けている。そして、事故マップM2および渋滞マップM3のコストを加算(重畳)することによって、渋滞・事故マップM4が生成される。
【0045】
図10(b)は、事故マップのノードが渋滞マップのノードに比べて少ない場合の処理を示す図である。事故マップM5と渋滞マップM6とを比較すると、渋滞マップM6にはノードTがあるが、事故マップM5にはない。そこで、事故マップM5にダミーノードTを設定する。この場合、ダミーノードTのコストを特定する必要があるが、各ノードの位置情報は分かっているので、ダミーノードTから所定の距離範囲内にある最寄りのノードのコストと同じ値を設定することにする。事故マップM7では、ノードUがダミーノードTに近く、所定の距離範囲内にあるものとして、ダミーノードTのコストをノードUのコスト4にしている。そして、渋滞マップM6および事故マップM7のコストを加算(重畳)することによって、渋滞・事故マップM8が生成される。
【0046】
図10(a)では渋滞マップM1のリンクコストを分けるのに距離の比率を用いたり、図10(b)では事故マップM5のダミーノードのコストを特定するのに最寄りのノードのコストを設定したりしたが、その他のコストの特定方法であってもよい。例えば、ダミーノードのコストを特定するのに、ダミーノードからの所定の距離範囲内にあるすべてのノードのコストの平均値を設定するようにしてもよい。これは、例えば、位置情報をノードのコストとし、ノード間の距離や勾配をリンクのコストとする基本マップ(基本的なネットワーク地図)において、所定のノードの緯度、経度は測定できたが、高度は測定できなかった場合(位置情報が不完全な場合)に、他のマップとコストの加算を行うときに、他のマップにあって基本マップにないノードの高度を推定するのに有効であると考えられる。
【0047】
≪第2の実施の形態≫
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0048】
(システムの構成と概要)
図11は、第2の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム2は、ナビ付き自転車100、GPS機能付き携帯端末(以下、GPS端末という)1104および管理センタ1105を含んで構成される。ナビ付き自転車100と管理センタ1105とは、ネットワーク1108を介して接続される。GPS端末1104と管理センタ1105とは、ネットワーク1111を介して接続される。なお、ネットワーク1108およびネットワーク1111は、それぞれ無線を含む専用回線および公衆回線によって実現される。
【0049】
ナビ付き自転車100およびGPS衛星103の構成は、第1の実施の形態と同様である。端末102は、ネットワーク1108を介して管理センタ1105と通信を行う。ここでは、特に、GPS衛星103から受信した測位信号に基づいて、自らの位置を測定し、その測定した位置情報を定期的に管理センタ1105に通知する。GPS端末1104は、ナビ付き自転車1101の場所をリモート検索可能とする端末である。また、GPS衛星103から受信した測位信号に基づいて、自らの位置を測定することができる。GPS端末1104は、ネットワーク1111を介して管理センタ1105と通信を行う。ここでは、特に、管理センタ1105に要求して、ナビ付き自転車100(の端末102)の位置情報を受信する。なお、GPS端末1104は、端末102と同様の構成(図2参照)を持つものとする。
【0050】
管理センタ1105は、管理サーバ1106および利用者情報データベース1107からなる。管理サーバ1106は、ナビ付き自転車100の端末102からその位置情報を定期的に受信し、利用者情報データベース1107に格納する。また、その格納された位置情報をGPS端末1104からの要求に応じて送信する。なお、管理サーバ1106は、サーバ用コンピュータによって実現される。また、利用者情報データベース1107は、ハードディスク装置などの不揮発性記憶装置に構築される。
【0051】
この構成によれば、GPS端末1104は、ネットワーク1111を介して管理センタ1105の管理サーバ1106にアクセスして、利用者情報データベース1107に格納されるナビ付き自転車100の位置情報を入手できる。そして、GPS端末1104は、ナビ付き自転車100の端末102と同様の処理(図5に示す端末102の処理)をすることによって、自らの位置からのナビ付き自転車100までの経路探索を行うことができる。
【0052】
(システムの処理)
図12は、第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の登録処理を示すフローチャートである。この処理は、ナビ付き自転車100を購入した場所において、端末102から管理センタ1105の管理サーバ1106に対して利用者情報の登録を行うものである。まず、利用者の操作により端末102の電源が投入され、端末102がメニュー画面(図示せず)を表示部110に表示し、さらに利用者の操作によりメニュー画面から「利用者情報の登録」が選択される(ステップS1201)。次に、端末102は、管理サーバ1106に登録する利用者情報(所有者の氏名、連絡先などの所有者情報、車種、購入日時、登録番号などの自転車情報)の入力を促す画面を表示部110に表示する(ステップS1202)。なお、ナビ付き自転車100の登録番号は、予め端末102のICタグ123(図2参照)に記録されているものとする。
【0053】
利用者情報の入力が終了すると、端末102は、表示部110に「送信登録」ボタンを表示し、それが利用者の操作により選択されると、管理サーバ1106にアクセスして、入力した利用者情報の登録が行われる(ステップS1203)。このとき、管理センタ1105では、管理サーバ1106が、端末102からネットワーク1108を介して利用者情報を受信し、その受信した利用者情報を利用者情報データベース1107に格納する。利用者情報の登録が終了すると、端末102は、ナビ付き自転車100の登録番号を表示部110に表示する(ステップS1204)。これによれば、利用者は、管理サーバ1106にナビ付き自転車100を登録するとともに、登録番号を記憶することによって、ナビ付き自転車100の盗難に備えることができる。
【0054】
図13は、第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の盗難時における車両発見処理を示すフローチャートである。まず、要求者の操作により、GPS端末1104は、盗難されたナビ付き自転車100の登録番号、氏名などの情報を、管理サーバ1106に連絡し、ナビ付き自転車100の位置検索を要求する(ステップS1301)。管理サーバ1106は、これらの情報から、要求者が所有者であるか否かを確認する(ステップS1302)。この確認は、登録番号や氏名などの組合せが、利用者情報データベース1107に格納されている利用者情報の中にあるか否かを検索することによって行われる。要求者が所有者であることが確認できたら、管理サーバ1106は、ナビ付き自転車100の端末102から最後に受信した位置情報をGPS端末1104に送信する(ステップS1303)。
【0055】
図14は、第2の実施の形態に係るナビ付き自転車が放置車両となった場合の所有者特定処理を示すフローチャートである。まず、ナビ付き自転車100の端末102に内蔵または付設されたICタグ123に読み取り機(図示せず)をかざすことで、その読み取り機がICタグに記録された登録番号を読み取る(ステップS1401)。なお、読み取り機は警察などが所有していることを想定する。そして、その読み取り機から管理サーバ1106に、読み取った登録番号で登録されている所有者を問い合わせる(ステップS1402)。これにより、ナビ付き自転車100の所有者を特定することができる。このような問い合わせは、主に警察などによって行われることを想定する。
【0056】
以上本発明の実施の形態について説明したが、図1に示す端末102および地図管理サーバ204、図11に示す端末102、GPS端末1104および管理サーバ1106のそれぞれで実行されるプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムが実現されるものとする。なお、プログラムをインターネットなどのネットワーク経由でコンピュータシステムに提供するようにしてもよい。
【0057】
≪その他の実施の形態≫
以上本発明について好適な実施の形態について一例を示したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
(1)前記実施の形態では、自転車を対象としたナビゲーションシステムについて説明したが、その他の移動体であっても適用可能である。例えば、自動車などの車両であってもよいし、歩行者であってもよい。
(2)端末102の表示部110に、地図データの位置に対応するユーザレイヤを持つようにしてもよい。ユーザレイヤには、利用者がタッチパネルなどによって自由にアイコンや文字などを描画することができる。これによれば、地図の表示範囲が変わると同時に、表示されるユーザレイヤも変わるので、あたかも地図上に描画したように利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る端末の内部構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る液晶ディスプレイを説明する図である。
【図4】第1の実施の形態に係る検索条件入力画面を示す図である。
【図5】第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの経路探索処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係るネットワーク地図を説明する図である。
【図7】第1の実施の形態に係るネットワーク地図のレイヤ構造を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図に対して経路探索を行う処理を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態に係るノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図間でコストの加算を行う処理を示す図であり、(a)は渋滞マップのノードが事故マップのノードに比べて少ない場合の処理を示し、(b)は事故マップのノードが渋滞マップのノードに比べて少ない場合の処理を示す。
【図11】第2の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の登録処理を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の盗難時における車両発見処理を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係るナビ付き自転車が放置車両となった場合の所有者特定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 ナビゲーションシステム
101 自転車(移動体)
102 端末
204 地図サーバ(地図管理サーバ)
206 ネットワーク
600 ノード
601 リンク
602 リンクコスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対して、その利用者が設定した条件に従って目的地までの最適経路を選択して提示するようにしたナビゲーションシステムおよび地図管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体が通過する経路を検索する装置としては、車載用の経路案内装置(以下、ナビゲーション装置という)がよく知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両が通行する道路について、ダイクストラ法などを用いて、予め定められている条件を満たす最適な経路を探索し、その探索した経路に沿って車両が走行する際に誘導の案内や支援などを行うようになっている。
【0003】
近年、コンピュータで利用可能に電子化された地図データ(以下、電子地図データという)を利用して、地図の表示や経路の探索などを行うナビゲーション装置が普及している。ナビゲーション装置は、車載用だけでなく携帯用などもあり、幅広く使用されている。電子地図データは、経路探索を行うための経路探索用データを備えている。経路探索用データは、道路(通路)を表すリンク、交差点や行き止まりなどの道路の端点を表すノード、ランドマーク情報などを備えている。2つのノード間の接続経路を示すリンクには、各道路を識別するためのリンクIDや、平均通行所要時間などの道路の評価値を表すリンクコストなどが含まれる。リンクコストは、道路の種別、通行料金の有無、時間帯、渋滞発生率など種々の要因に基づき、道路の管理者が決定しており、ナビゲーション装置は、一般的に、このようなリンクコストに基づき、経路探索を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−98547号公報(段落0039〜0050、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術(特許文献1に記載の技術)では、目的地に至るまでの経路ごとに希望道路条件で特定される環境情報に対応する重み付け値の総和から最適経路を検索できるが、同じエリア(地理的範囲)の異なるノード数を有する複数のネットワーク地図を利用する場合にリンクの重み付けの加算ができないという問題がある。ここで、ネットワーク地図とは、ノードおよびリンクからなり、所定の要因についてリンクごとにリンクコストが決められたものである。従って、複数のネットワーク地図は、それぞれ異なる要因についてリンクコストが決められている。
【0005】
具体的には、複数のネットワーク地図を利用したリンクコストの加減算を行うには、各ネットワーク地図のノードの位置や数が同じである必要があった。つまり、ネットワーク地図によってノードの密度が異なる場合、リンクコストを計算することができない。また、それに対応するために、ノードの位置や数が異なった場合であっても、検索条件を考慮しながら適切に経路探索する方法を提案する必要があった。さらに、時間の経過に伴って変化するリンクコストを最適経路探索手法に取り入れた場合に、検索開始時のリンクコストだけを適用しており、必ずしも有効な経路探索ができていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題に鑑み、経路探索において、ノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図や時間的に変化するコストを有するネットワーク地図を有効に利用する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、移動体に設置されまたは人に所持され、少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを送信し、その経路探索の結果情報を受信し、表示する端末と、要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を前記端末に送信する地図管理サーバとがネットワークを介して接続されて構成されるナビゲーションシステムであって、要求メッセージが、出発予定時刻を含み、地図管理サーバが、検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データであって、コストを時間帯に対応付けたものを有し、検索条件情報に含まれる検索条件を満たす経路を探索するために、所定のネットワーク地図データ内のノードをリンクに従って出発地点から目的地点に辿る場合に、所定のノードから次のノードに進むのに通過するリンクを選択するときに、出発予定時刻に出発地点からの経過時間を加算した時刻を含む時間帯のコストを参照することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ナビゲーションシステムであって、地図管理サーバが、検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データを有するとともに、検索条件情報に含まれる複数の検索条件を満たす経路を探索するために、その検索条件に係る複数のネットワーク地図データ内のコストを加算する場合に、ネットワーク地図データ間のノードの位置または数が異なるときに、対応するノードのないネットワーク地図データにダミーノードを設定し、そのダミーノードのコスト、または、そのダミーノードと他のノードとの間のリンクのコストを生成することを特徴とする。なお、本発明は、地図管理サーバを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、経路探索において、ノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図や時間的に変化するコストを有するネットワーク地図を有効に利用することができる。これによれば、時間的に変化する複数の検索条件を用いて経路探索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
≪第1の実施の形態≫
(システムの構成と概要)
まず、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム1は、ナビゲーション機能付き自転車(以下、ナビ付き自転車)100および地図管理センタ203を含んで構成される。ナビ付き自転車100は、通常の自転車101に自転車用のナビゲーション機能を有する端末102が搭載された構成になっている。端末102は、GPS(Global Positioning Systems)衛星103との通信を行うことによって自らの測位を可能とする。
【0012】
また、端末102は、ネットワーク206を介して地図管理センタ203と接続され、地図管理センタ203に経路探索を要求し、その経路探索の結果を受け取る。ネットワーク206は、無線を含む専用回線または公衆回線により実現される。
【0013】
地図管理センタ203は、地図サーバ204および地図データベース205を含んで構成される。地図サーバ204は、ナビ付き自転車100からネットワーク206を介して経路探索の要求メッセージを受信する。そして、地図データベース205を使用して経路探索計算を実施し、その経路探索の結果情報をネットワーク206経由でナビ付き自転車100の端末102に送信する。地図データベース205は、全国の地図データを格納するデータベースである。なお、地図サーバ204は、サーバ用コンピュータによって実現される。また、地図データベース205は、ハードディスク装置などの不揮発性記憶装置に構築される。
【0014】
図2は、第1の実施の形態に係る端末の内部構成を示す図である。端末102は、表示部110、入力装置111、内部時計112、電子コンパス113、GPS受信機114、GPSアンテナ115、制御部116、通信部117、通信アンテナ118、バッテリ119、地図データ記憶部120、RAM(Random Access Memory)121、ROM(Read Only Memory)122、ICタグ123および電子鍵124を含んで構成される。
【0015】
表示部110は、地図データや探索された経路などを表示する画面であり、液晶ディスプレイなどによって実現される。入力装置111は、経路探索表示の検索条件入力などを行う装置であり、キーボードやタッチパネルなどによって実現される。内部時計112は、現在の時刻を保持、更新しており、その時刻は、制御部116によって表示部110に表示される。電子コンパス113は、現在の端末102、ひいてはナビ付き自転車100が向く方向を保持、更新しており、その方向は、制御部116によって表示部110に表示される。GPS受信機114は、GPSアンテナ115と接続され、GPSアンテナ115を介してGPS衛星115からの電波信号を受信し、その電波信号に従って測位演算を行って、ナビ付き自転車100の位置を特定する。
【0016】
制御部116は、端末102内の各部と接続され、端末102全体を制御する。制御部116は、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリにロードされたプログラムを実行することによって実現される。通信部117は、ネットワーク206(図1参照)に接続するための信号処理を行い、通信アンテナ118を介して地図サーバ204と通信することにより、経路探索の要求メッセージの送受信や地図データのダウンロードを行うことが可能になる。地図サーバ204から受信した経路探索の結果情報は、表示部110に地図データと重畳して表示される。
【0017】
バッテリ119は、端末102の電源であり、ナビ付き自転車100(図1参照)の車輪が回転することにより充電される。地図データ記憶部120は、経路探索の処理に利用される地図データを格納するものであり、具体的には、フラッシュメモリやハードディスク装置などの不揮発性記憶装置である。地図データ記憶部120は、地図サーバ204を介して地図データベース205からダウンロードした地図データを格納する。RAM121は、制御部116のプログラムのワークエリアなどに使用される一時的な記憶領域である。ROM122は、端末102の電源投入時にロードが必要なプログラムが格納される、書き換え不可の固定的な記憶領域である。ICタグ123は、ナビ付き自転車100の固有IDを持つ。さらに、ナビ付き自転車100ごとにそれぞれ電子鍵124が付属する。電子鍵124を端末102に挿入することによって、端末102の電子錠が解除され、端末102の機能が使用可能となる。なお、端末102は、自転車101本体から取り外しが可能で、歩行する場合でも使用することができる。
【0018】
図3は、第1の実施の形態に係る液晶ディスプレイを説明する図である。ナビ付き自転車100の端末102は、利用者がナビ付き自転車100に乗ったときに端末102の液晶ディスプレイ301が見やすい位置に設置される。液晶ディスプレイ301は、表示部110(図2参照)の一例である。液晶ディスプレイ301に表示される地図画面310には、現在地311、建物312、道路313、方角314、縮尺315などが表示される。なお、地図画面310の地図データは、端末102の地図データ記憶部120に記憶されているものであり、必要に応じてさらに地図データベース205からダウンロードされるものとする。
【0019】
現在地311は、ナビ付き自転車100の現在の位置を示し、地図画面310の中心に表示される。換言すれば、現在地311が地図画面310の中心に位置付くように、周辺の地図の表示範囲が調整される。建物312は、ランドマーク情報(位置を知る目印)であり、必ずしも建物でなくてもよく、例えば公園や運動場などの施設であってもよい。建物312は、後記する検索条件入力画面401に出発地点や目的地点を入力する際に利用することができる。すなわち、建物312を選択することによって、出発地点や目的地点を特定することができる。道路313は、ナビ付き自転車100が通行可能な道路である。方角314は、端末102の電子コンパス113から取得されたナビ付き自転車100の向く方角である。縮尺315は、現在表示されている地図の縮尺である。この縮尺315は、その比率の切り替えが可能である。
【0020】
図4は、第1の実施の形態に係る検索条件入力画面を示す図である。検索条件入力画面401は、端末102が所望の経路を検索する条件を入力するために液晶ディスプレイ301(図3参照)に表示する画面である。検索条件入力画面401には、出発地点入力欄402、目的地点入力欄403、検索条件入力欄404、検索設定値入力欄405、検索設定値単位表示欄406および出発予定時刻入力欄407がある。
【0021】
出発地点入力欄402は、検索したい経路の出発地点の緯度、経度および高度を入力する欄である。目的地点入力欄403は、検索したい経路の目的地点の緯度、経度および高度を入力する欄である。出発地点や目的地点を入力する場合、例えば、検索条件入力画面401の「出発地点」のアイコンを選択すると、ランドマークの一覧や地図画面310(図3参照)が表示されて、その表示されたものを選択することによって、選択した地点の緯度、経度および高度が入力されるものとする。また、出発地点については、制御部116によって、GPS受信機114が受信した測位信号から現在の位置を求め、その位置である緯度、経度および高度が入力されるようにしてもよい。なお、地点の位置として高度を含めることによって、地点間の勾配を算出することができるので、例えば、勾配の少ない経路を検索することができるようになる。
【0022】
検索条件入力欄404は、経路の検索条件を選択する欄である。選択可能な検索条件には、最短距離、最短時間だけでなく、走行距離、走行時間、消費カロリ、交通量(履歴)、事故発生(履歴)、犯罪発生(履歴)、見通しのよいルート(カーブ、曲がるルートが少ない、電灯の設置状況など)、道路の幅、段差除外ルート情報などがある。走行距離、走行時間または消費カロリを選択した場合には、その単位を含めて指定する。なお、端末102には、移動体が自転車、歩行者、自動車のいずれかであるかが予め設定されており、その設定された移動体に合わせて選択可能な検索条件が検索条件入力欄404に表示される。例えば、移動体が自転車や歩行者である場合には、自動車ではほとんど問題にならない「消費カロリが少ない」や「上り坂がない」などの検索条件が表示される。また、検索条件入力欄404に検索条件が選択されない場合には、デフォルトとして最短距離または最短時間を検索条件とする。
【0023】
検索設定値入力欄405は、検索条件入力欄404で選択した条件によって必要な設定値を入力する欄である。例えば、検索条件入力欄404で走行距離、走行時間または消費カロリを選択した場合には、検索設定値入力欄405に希望する値を設定する。検索設定値入力欄405に設定値が入力された場合には、検索結果の最小値ではなく、設定された値に最も近い条件のルートを検索する。検索設定値単位表示欄406は、検索設定値入力欄405に設定された値の単位を表示する欄である。この検索設定値単位表示欄406には、検索条件入力欄404で指定した単位が表示される。出発予定時刻入力欄407は、出発地点入力欄402に入力した地点から実際に出発する予定になっている時刻を入力する欄である。「出発予定時刻」は、後記するように、時間的に変化するリンクコストを有するネットワーク地図を有効に利用するために必要な情報である。逆に言えば、リンクコストが固定であるネットワーク地図だけを利用する場合には、不要な情報である。
【0024】
これによれば、出発地点入力欄402からの目的地点入力欄403までの経路探索を、最短距離、最短時間を基本として行うとともに、最短距離、最短時間以外の検索条件を選択することによって多機能な検索を行うことができる。
【0025】
(システムの処理)
次に、第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムについて説明する(適宜図1ないし図4参照)。図5は、ナビゲーションシステムの経路探索処理を示すフローチャートである。地図サーバ204は、ダイクストラ法に代表される最適経路探索手法を実装する。利用者は、ナビ付き自転車100の端末102を利用することで複数の条件を考慮した最適経路探索の結果を得ることができる。
【0026】
経路探索を実行する場合、最初に、端末102は目的地点を設定する(ステップS510)。具体的には、端末102の制御部116が、まず、利用者の操作により入力装置111から経路探索を行いたい旨を入力し、その入力に対応して検索条件入力画面401を表示部110(液晶ディスプレイ301)に表示する。そして、利用者が検索条件入力画面401の目的地点入力欄403に入力した目的地点を、後で地図サーバ204に送信する目的地情報に設定する。
【0027】
次に、端末102は検索条件を設定する(ステップS511)。具体的には、端末102の制御部116が、利用者が検索条件入力画面401の検索条件入力欄404に入力した検索条件および検索設定値入力欄405に設定した値を、後で地図サーバ204に送信する検索条件情報に設定する。
【0028】
続いて、端末102は現在地点を設定する(ステップS512)。具体的には、まず、端末102のGPS受信機114が、GPS衛星103からGPSアンテナ115を介して測位信号を受信し、その測位信号を制御部116に送信する。そして、制御部116が、GPS受信機114から受信した測位信号に基づいて端末102の現在地点(緯度、経度および高度)を算出し、その現在地点を、後で地図サーバ204に送信する出発地情報に設定する。なお、出発地情報は、必ずしも現在地点でなくてもよく、利用者が検索条件入力画面401の出発地点入力欄402に入力したものを設定してもよい。これは、現在地点ではない、任意の出発地点からの目的地点までの経路を検索したい場合に有効である。なお、出発予定時刻入力欄407に入力された出発予定時刻を出発地情報に含めることもできる。
【0029】
端末102は、ステップS510ないしステップS512で設定した情報、すなわち、出発地情報、目的地情報および検索条件情報(以下、検索情報という)を含む経路探索の要求メッセージを地図サーバ204に送信する(ステップS513)。具体的には、端末102の制御部116が、要求メッセージを通信部117に送信する。そして、通信部117が、制御部116から受信した要求メッセージを通信アンテナ118から送信する。通信アンテナ118から送信された要求メッセージは、ネットワーク206を通じて地図サーバ204に到達する。
【0030】
地図サーバ204は、端末102からネットワーク206経由で検索情報、すなわち、出発地情報、目的地情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを受信する(ステップS521)。次に、その検索情報を元に最適経路探索を実施する(ステップS522)。続いて、その検索結果の経路情報に合う地図情報を検索する(ステップS523)。そして、経路情報および地図情報を端末102に送信する(ステップS524)。
【0031】
端末102は、経路情報および地図情報を受信し(ステップS514)、それらを表示する(ステップS515)。具体的には、まず、端末102の通信部117が、地図サーバ204からネットワーク206および通信アンテナ118経由で経路情報および地図情報を受信し、それらの情報を制御部116に送信する。そして、制御部116が、通信部117から経路情報および地図情報を受信し、それらの情報を表示部110に表示する。また、受信した地図情報を地図データ記憶部120に記憶する。これによって、利用者は、先に端末102の検索条件入力画面401に入力した条件に合う経路を、その周辺の地図とともに参照することができる。
【0032】
図6は、第1の実施の形態に係るネットワーク地図を説明する図である。地図管理センタ203の地図データベース205に格納される地図データには、ネットワーク地図が含まれている。ネットワーク地図は、ノード600およびリンク601を有する。ノード600のAないしIは、位置情報(緯度、経度および高度)というコスト(重み付け)を持つ。地図上では交差点や道路の行き止まりなどを表す。なお、ノード600は、位置情報だけでなく、例えば、その地点における犯罪発生率や事故発生率などのコストを持つようにしてもよい。リンク601は、2つのノード600の間を結ぶ線であり、地図上の道路を表す。リンクコスト602は、リンク601に関連付けられる数値であり、リンク601に対するコストを意味する。なお、ノード600のコストおよびリンクコスト602は、最適経路探索を実施するときに利用され、各検索条件に対応するものである。
【0033】
ネットワーク地図のリンクコスト602は、次に示す要素ごとに値を持つ。すなわち、距離、傾斜、移動体(歩行者、自転車、自動車など)、消費カロリ、明るい道路、犯罪発生率、道幅、渋滞状況、事故発生率、環境(川沿い、海岸、桜通りなど)などの要素である。また、複数のリンクやノードのコストから新たなコストが計算可能となる。例えば、2つのノードの緯度、経度および高度(ノードのコスト)から、そのノード間の距離、方角および傾斜(リンクコスト)を計算することができる。
【0034】
図7は、第1の実施の形態に係るネットワーク地図のレイヤ構造を示す図である。ネットワーク地図は、レイヤ701、レイヤ702、・・・、レイヤ70nのように複数のレイヤを持つ階層構造になっている。複数の条件を考慮した最適経路探索を実施する際は、複数のレイヤを持つネットワーク地図を利用して行う。図7に示すように、例えば、レイヤ701は渋滞状況を示す渋滞マップであり、レイヤ702は犯罪発生率を示す犯罪マップであり、レイヤ70nは事故発生率を示す事故マップである。
【0035】
図8は、第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図を示す図である。図8に示すように、ネットワーク地図800および801において、リンクコストが時間の経過に伴って変化する。すなわち、時刻t0におけるネットワーク地図800と時刻t1におけるネットワーク地図801とでリンクコストの値が異なる箇所(ネットワーク地図801で下線のある数値)がある。このように、所定のネットワーク地図において、一部のコストが変化してもよいし、全部のコストが変化してもよい。また、図8では、リンクコストが時間的に変化する例を示したが、ノードのコスト、または、リンクおよびノードのコストが時間的に変化するようなネットワーク地図であってもよい。
【0036】
このようなネットワーク地図の例を以下に示す。例えば、渋滞マップでは、午前9時ないし11時の時間帯(午前中)はリンクコストが10であるのに対して、午前1時ないし4時の時間帯(夜半ないし明け方)はリンクコストが2であることが考えられる。また、犯罪マップでは、午前10時ないし午後3時の時間帯(昼間)はリンクコストが2であるのに対して、午後9時ないし午後12時の時間帯(夜間)はリンクコストが9であることが考えられる。
【0037】
図9は、第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図に対して経路探索を行う処理を示すフローチャートである。すなわち、最適経路探索手法において、時間の経過に伴ってリンクコストが変化するネットワーク地図を適用可能な検索手法について示すものである。なお、図9のフローチャートは、図5のステップS522の処理を詳細化したものである。
【0038】
地図サーバ204は、まず、ネットワーク地図中の出発点のノードに隣接するノードのうち、出発点ノードと隣接ノードとの間のリンクコストが最小の値を持つ隣接ノードにマークをつけて確定する(ステップS901)。このとき、最初は出発点ノードを基準として処理するが、2回目以降はステップS902でマークを付けたノードを基準とし、隣接ノードのうちマークの付いていないノードを選択する。また、参照するリンクコストは、最初は出発予定時刻に対応する値であるが、2回目以降はステップS903で更新された値である。
【0039】
次に、マークの付いたノードからの隣接するノードまでのリンクコストを参照し、マークの付いていないノードのリンクコストが最小の値を持つノードをマークして確定する(ステップS902)。続いて、先のリンクコストに対応する時刻に経過時間を加算し、その加算した結果の時刻に対応した各リンクのリンクコストを更新する(ステップS903)。そして、目的点ノードにマークが付いているか否かを判断する(ステップS904)。付いていなければ(ステップS904のNo)、ステップS901に戻ってステップS901ないしステップS903の処理を繰り返し実行する。付いていれば(ステップS904のYes)、経路探索の処理を終了する。
【0040】
次に、図9のフローチャートの処理を、図8のネットワーク地図に適用した場合について説明する。ネットワーク地図800および801において、出発点ノードをノードAとし、目的点ノードをノードIとする。まず、地図サーバ204は、ネットワーク地図800を参照して、ノードAからの隣接するノードB、DおよびEまでのリンクのリンクコストを比較して、最小値である1のリンクコストを持つノードBにマークを付ける(ステップS901)。次に、マークの付いたノードBからの、マークの付いていない隣接するノードC、EおよびFまでのリンクのリンクコストを比較して、最小値である3のリンクコストを持つノードEおよびFにマークを付ける(ステップS902)。そして、ネットワーク地図800の時刻t0に、ノードAからノードBを経由してノードEまたはFに達したときの経過時間を加算して時刻t1を求め、その求めた時刻t1に対するネットワーク地図801を参照することとする。これが、リンクコストの更新(ステップS903)に相当する。続いて、目的点ノードであるノードIにマークが付いているか否かをチェックする(ステップS904)。
【0041】
ノードIにはマークが付いていないので(ステップS904のNo)、ステップS901に戻ってノードEおよびFについて経路探索を行う。ネットワーク地図801によれば、ノードEについてはリンクコストが1であるノードHをマークし、ノードFについてはリンクコストが3であるノードIをマークする(ステップS901)。この時点で、目的地Iに到達したことになる。さらに、ノードHについてリンクコストが3であるノードIをマークする(ステップS902)。ここでも、目的地Iに到達したことになる。続いて、リンクコストの更新を行い(ステップS903)、目的点ノードであるノードIにマークが付いているか否かをチェックする(ステップS904)。マークが付いているので(ステップS904のYes)、経路探索処理を終了する。
【0042】
図9のフローチャートでは、ステップS901およびステップS902の2回の経路探索処理で所定の時刻における1組のリンクコストを参照したが、1回の経路探索処理ごとに1組のリンクコストを参照した後、すぐにリンクコストを経過時間に合わせて更新するようにしてもよい。また、所定のノードから次のノードを確定するために、所定のノードと隣接するノードとの間のリンクコストだけを参照したが、少なくとも出発点ノードからの目的点ノードまでの最小リンク数を有する複数の経路についてリンクコストの合計値を算出し、比較するとともに、その合計値の算出に時間的に変化するリンクコストを反映するようにしてもよい。これによれば、時間的に変化するリンクコストを、より精度よく経路探索に反映させることができるので、より精確な最適経路探索を実現することが可能になる。
【0043】
続いて、図10を参照して、ノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図間でコストの加算を行う処理について説明する。なお、この処理は、地図サーバ204において、端末102から受信した経路探索の要求メッセージに複数の検索条件が含まれる場合に行われる。
【0044】
図10(a)は、渋滞マップのノードが事故マップのノードに比べて少ない場合の処理を示す図である。渋滞マップM1は、車両の渋滞の程度をリンクのコストとするネットワーク地図である。一方、事故マップM2は、事故発生率(例えば、月あたりの事故発生回数)をノードのコストとするネットワーク地図である。渋滞マップM1と事故マップM2とを比較すると、事故マップM2にはノードQがあるが、渋滞マップM1にはない。そこで、渋滞マップM1にダミーノードQを設定する。この場合、ノードPおよびダミーノードQ、ならびに、ダミーノードQおよびノードRの間のリンクコストを特定する必要があるが、各ノードの位置情報は分かっているので、それぞれの距離を算出し、ノードPとノードRとの間のリンクコスト4を距離の比率に応じて分けることにする。渋滞マップM3では、ダミーノードQは、ノードPおよびノードRの中間地点にあるものとして、リンクのコスト4を2分の1に分けている。そして、事故マップM2および渋滞マップM3のコストを加算(重畳)することによって、渋滞・事故マップM4が生成される。
【0045】
図10(b)は、事故マップのノードが渋滞マップのノードに比べて少ない場合の処理を示す図である。事故マップM5と渋滞マップM6とを比較すると、渋滞マップM6にはノードTがあるが、事故マップM5にはない。そこで、事故マップM5にダミーノードTを設定する。この場合、ダミーノードTのコストを特定する必要があるが、各ノードの位置情報は分かっているので、ダミーノードTから所定の距離範囲内にある最寄りのノードのコストと同じ値を設定することにする。事故マップM7では、ノードUがダミーノードTに近く、所定の距離範囲内にあるものとして、ダミーノードTのコストをノードUのコスト4にしている。そして、渋滞マップM6および事故マップM7のコストを加算(重畳)することによって、渋滞・事故マップM8が生成される。
【0046】
図10(a)では渋滞マップM1のリンクコストを分けるのに距離の比率を用いたり、図10(b)では事故マップM5のダミーノードのコストを特定するのに最寄りのノードのコストを設定したりしたが、その他のコストの特定方法であってもよい。例えば、ダミーノードのコストを特定するのに、ダミーノードからの所定の距離範囲内にあるすべてのノードのコストの平均値を設定するようにしてもよい。これは、例えば、位置情報をノードのコストとし、ノード間の距離や勾配をリンクのコストとする基本マップ(基本的なネットワーク地図)において、所定のノードの緯度、経度は測定できたが、高度は測定できなかった場合(位置情報が不完全な場合)に、他のマップとコストの加算を行うときに、他のマップにあって基本マップにないノードの高度を推定するのに有効であると考えられる。
【0047】
≪第2の実施の形態≫
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0048】
(システムの構成と概要)
図11は、第2の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム2は、ナビ付き自転車100、GPS機能付き携帯端末(以下、GPS端末という)1104および管理センタ1105を含んで構成される。ナビ付き自転車100と管理センタ1105とは、ネットワーク1108を介して接続される。GPS端末1104と管理センタ1105とは、ネットワーク1111を介して接続される。なお、ネットワーク1108およびネットワーク1111は、それぞれ無線を含む専用回線および公衆回線によって実現される。
【0049】
ナビ付き自転車100およびGPS衛星103の構成は、第1の実施の形態と同様である。端末102は、ネットワーク1108を介して管理センタ1105と通信を行う。ここでは、特に、GPS衛星103から受信した測位信号に基づいて、自らの位置を測定し、その測定した位置情報を定期的に管理センタ1105に通知する。GPS端末1104は、ナビ付き自転車1101の場所をリモート検索可能とする端末である。また、GPS衛星103から受信した測位信号に基づいて、自らの位置を測定することができる。GPS端末1104は、ネットワーク1111を介して管理センタ1105と通信を行う。ここでは、特に、管理センタ1105に要求して、ナビ付き自転車100(の端末102)の位置情報を受信する。なお、GPS端末1104は、端末102と同様の構成(図2参照)を持つものとする。
【0050】
管理センタ1105は、管理サーバ1106および利用者情報データベース1107からなる。管理サーバ1106は、ナビ付き自転車100の端末102からその位置情報を定期的に受信し、利用者情報データベース1107に格納する。また、その格納された位置情報をGPS端末1104からの要求に応じて送信する。なお、管理サーバ1106は、サーバ用コンピュータによって実現される。また、利用者情報データベース1107は、ハードディスク装置などの不揮発性記憶装置に構築される。
【0051】
この構成によれば、GPS端末1104は、ネットワーク1111を介して管理センタ1105の管理サーバ1106にアクセスして、利用者情報データベース1107に格納されるナビ付き自転車100の位置情報を入手できる。そして、GPS端末1104は、ナビ付き自転車100の端末102と同様の処理(図5に示す端末102の処理)をすることによって、自らの位置からのナビ付き自転車100までの経路探索を行うことができる。
【0052】
(システムの処理)
図12は、第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の登録処理を示すフローチャートである。この処理は、ナビ付き自転車100を購入した場所において、端末102から管理センタ1105の管理サーバ1106に対して利用者情報の登録を行うものである。まず、利用者の操作により端末102の電源が投入され、端末102がメニュー画面(図示せず)を表示部110に表示し、さらに利用者の操作によりメニュー画面から「利用者情報の登録」が選択される(ステップS1201)。次に、端末102は、管理サーバ1106に登録する利用者情報(所有者の氏名、連絡先などの所有者情報、車種、購入日時、登録番号などの自転車情報)の入力を促す画面を表示部110に表示する(ステップS1202)。なお、ナビ付き自転車100の登録番号は、予め端末102のICタグ123(図2参照)に記録されているものとする。
【0053】
利用者情報の入力が終了すると、端末102は、表示部110に「送信登録」ボタンを表示し、それが利用者の操作により選択されると、管理サーバ1106にアクセスして、入力した利用者情報の登録が行われる(ステップS1203)。このとき、管理センタ1105では、管理サーバ1106が、端末102からネットワーク1108を介して利用者情報を受信し、その受信した利用者情報を利用者情報データベース1107に格納する。利用者情報の登録が終了すると、端末102は、ナビ付き自転車100の登録番号を表示部110に表示する(ステップS1204)。これによれば、利用者は、管理サーバ1106にナビ付き自転車100を登録するとともに、登録番号を記憶することによって、ナビ付き自転車100の盗難に備えることができる。
【0054】
図13は、第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の盗難時における車両発見処理を示すフローチャートである。まず、要求者の操作により、GPS端末1104は、盗難されたナビ付き自転車100の登録番号、氏名などの情報を、管理サーバ1106に連絡し、ナビ付き自転車100の位置検索を要求する(ステップS1301)。管理サーバ1106は、これらの情報から、要求者が所有者であるか否かを確認する(ステップS1302)。この確認は、登録番号や氏名などの組合せが、利用者情報データベース1107に格納されている利用者情報の中にあるか否かを検索することによって行われる。要求者が所有者であることが確認できたら、管理サーバ1106は、ナビ付き自転車100の端末102から最後に受信した位置情報をGPS端末1104に送信する(ステップS1303)。
【0055】
図14は、第2の実施の形態に係るナビ付き自転車が放置車両となった場合の所有者特定処理を示すフローチャートである。まず、ナビ付き自転車100の端末102に内蔵または付設されたICタグ123に読み取り機(図示せず)をかざすことで、その読み取り機がICタグに記録された登録番号を読み取る(ステップS1401)。なお、読み取り機は警察などが所有していることを想定する。そして、その読み取り機から管理サーバ1106に、読み取った登録番号で登録されている所有者を問い合わせる(ステップS1402)。これにより、ナビ付き自転車100の所有者を特定することができる。このような問い合わせは、主に警察などによって行われることを想定する。
【0056】
以上本発明の実施の形態について説明したが、図1に示す端末102および地図管理サーバ204、図11に示す端末102、GPS端末1104および管理サーバ1106のそれぞれで実行されるプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムが実現されるものとする。なお、プログラムをインターネットなどのネットワーク経由でコンピュータシステムに提供するようにしてもよい。
【0057】
≪その他の実施の形態≫
以上本発明について好適な実施の形態について一例を示したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
(1)前記実施の形態では、自転車を対象としたナビゲーションシステムについて説明したが、その他の移動体であっても適用可能である。例えば、自動車などの車両であってもよいし、歩行者であってもよい。
(2)端末102の表示部110に、地図データの位置に対応するユーザレイヤを持つようにしてもよい。ユーザレイヤには、利用者がタッチパネルなどによって自由にアイコンや文字などを描画することができる。これによれば、地図の表示範囲が変わると同時に、表示されるユーザレイヤも変わるので、あたかも地図上に描画したように利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る端末の内部構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る液晶ディスプレイを説明する図である。
【図4】第1の実施の形態に係る検索条件入力画面を示す図である。
【図5】第1の実施の形態に係るナビゲーションシステムの経路探索処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係るネットワーク地図を説明する図である。
【図7】第1の実施の形態に係るネットワーク地図のレイヤ構造を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係るリンクコストが変化するネットワーク地図に対して経路探索を行う処理を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態に係るノードの位置や数が異なる複数のネットワーク地図間でコストの加算を行う処理を示す図であり、(a)は渋滞マップのノードが事故マップのノードに比べて少ない場合の処理を示し、(b)は事故マップのノードが渋滞マップのノードに比べて少ない場合の処理を示す。
【図11】第2の実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の登録処理を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態に係るナビ付き自転車の盗難時における車両発見処理を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係るナビ付き自転車が放置車両となった場合の所有者特定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 ナビゲーションシステム
101 自転車(移動体)
102 端末
204 地図サーバ(地図管理サーバ)
206 ネットワーク
600 ノード
601 リンク
602 リンクコスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設置されまたは人に所持され、少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを送信し、その経路探索の結果情報を受信し、表示する端末と、
前記要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を前記端末に送信する地図管理サーバと、
がネットワークを介して接続されて構成されるナビゲーションシステムであって、
前記要求メッセージは、出発予定時刻を含み、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データであって、前記コストを時間帯に対応付けたものを有し、
前記検索条件情報に含まれる検索条件を満たす経路を探索するために、所定のネットワーク地図データ内のノードをリンクに従って出発地点から目的地点に辿る場合に、所定のノードから次のノードに進むのに通過するリンクを選択するときに、前記出発予定時刻に出発地点からの経過時間を加算した時刻を含む時間帯のコストを参照する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
移動体に設置されまたは人に所持され、少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを送信し、その経路探索の結果情報を受信し、表示する端末と、
前記要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を前記端末に送信する地図管理サーバと、
がネットワークを介して接続されて構成されるナビゲーションシステムであって、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データを有するとともに、
前記検索条件情報に含まれる複数の検索条件を満たす経路を探索するために、その検索条件に係る複数のネットワーク地図データ内のコストを加算する場合に、ネットワーク地図データ間のノードの位置または数が異なるときに、対応するノードのないネットワーク地図データにダミーノードを設定し、そのダミーノードのコスト、または、そのダミーノードと他のノードとの間のリンクのコストを生成する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる各情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を送信する地図管理サーバであって、
前記要求メッセージは、出発予定時刻を含み、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データであって、前記コストを時間帯に対応付けたものを有し、
前記検索条件情報に含まれる検索条件を満たす経路を探索するために、所定のネットワーク地図データ内のノードをリンクに従って出発地点から目的地点に辿る場合に、所定のノードから次のノードに進むのに通過するリンクを選択するときに、前記出発予定時刻に出発地点からの経過時間を加算した時刻を含む時間帯のコストを参照する
ことを特徴とする地図管理サーバ。
【請求項4】
少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる各情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を送信する地図管理サーバであって、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データを有するとともに、
前記検索条件情報に含まれる複数の検索条件を満たす経路を探索するために、その検索条件に係る複数のネットワーク地図データ内のコストを加算する場合に、ネットワーク地図データ間のノードの位置または数が異なるときに、対応するノードのないネットワーク地図データにダミーノードを設定し、そのダミーノードのコスト、または、そのダミーノードと他のノードとの間のリンクのコストを生成する
ことを特徴とする地図管理サーバ。
【請求項1】
移動体に設置されまたは人に所持され、少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを送信し、その経路探索の結果情報を受信し、表示する端末と、
前記要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を前記端末に送信する地図管理サーバと、
がネットワークを介して接続されて構成されるナビゲーションシステムであって、
前記要求メッセージは、出発予定時刻を含み、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データであって、前記コストを時間帯に対応付けたものを有し、
前記検索条件情報に含まれる検索条件を満たす経路を探索するために、所定のネットワーク地図データ内のノードをリンクに従って出発地点から目的地点に辿る場合に、所定のノードから次のノードに進むのに通過するリンクを選択するときに、前記出発予定時刻に出発地点からの経過時間を加算した時刻を含む時間帯のコストを参照する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
移動体に設置されまたは人に所持され、少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを送信し、その経路探索の結果情報を受信し、表示する端末と、
前記要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を前記端末に送信する地図管理サーバと、
がネットワークを介して接続されて構成されるナビゲーションシステムであって、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データを有するとともに、
前記検索条件情報に含まれる複数の検索条件を満たす経路を探索するために、その検索条件に係る複数のネットワーク地図データ内のコストを加算する場合に、ネットワーク地図データ間のノードの位置または数が異なるときに、対応するノードのないネットワーク地図データにダミーノードを設定し、そのダミーノードのコスト、または、そのダミーノードと他のノードとの間のリンクのコストを生成する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる各情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を送信する地図管理サーバであって、
前記要求メッセージは、出発予定時刻を含み、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データであって、前記コストを時間帯に対応付けたものを有し、
前記検索条件情報に含まれる検索条件を満たす経路を探索するために、所定のネットワーク地図データ内のノードをリンクに従って出発地点から目的地点に辿る場合に、所定のノードから次のノードに進むのに通過するリンクを選択するときに、前記出発予定時刻に出発地点からの経過時間を加算した時刻を含む時間帯のコストを参照する
ことを特徴とする地図管理サーバ。
【請求項4】
少なくとも出発地点情報、目的地点情報および検索条件情報を含む経路探索の要求メッセージを受信し、その要求メッセージに含まれる各情報に従って経路探索を行い、その経路探索の結果情報を送信する地図管理サーバであって、
前記地図管理サーバは、
検索条件ごとに、その検索条件に係る評価値を示すコストを有する、ノードおよび2つのノード間の接続経路を示すリンクの少なくとも一方を含むネットワーク地図データを有するとともに、
前記検索条件情報に含まれる複数の検索条件を満たす経路を探索するために、その検索条件に係る複数のネットワーク地図データ内のコストを加算する場合に、ネットワーク地図データ間のノードの位置または数が異なるときに、対応するノードのないネットワーク地図データにダミーノードを設定し、そのダミーノードのコスト、または、そのダミーノードと他のノードとの間のリンクのコストを生成する
ことを特徴とする地図管理サーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−275922(P2006−275922A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98523(P2005−98523)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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