説明

ナビゲーション装置、および、その表示方法

【課題】ナビゲーション装置の表示装置に、目的地周辺の有効範囲に気象情報を表示させ、目的地の気象を事前に確認することができるようにする。また、目的地の天候が希望にそぐわない場合には、代替となる目的地の候補を提示する
【解決手段】任意の時刻の気象情報を外部のサーバや他の車両から取得して、表示装置に表示される地図に、有効範囲を示し、その気象情報を重畳して表示する。また、ユーザは地図上またはジャンル別目的地データから目的地と、ユーザの所望する気象条件を指定する。指定された目的地が到着予想時刻において、ユーザの所望しない気象条件であった場合、目的地ジャンル、車両の位置が近いという条件等に基づいて代替目的地の候補を抽出して提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、および、その表示方法に係り、気象条件を考慮して目的地に誘導するナビゲーションに用いて好適なナビゲーション装置、および、その表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、ユーザが入力した目的地までの複数の経路を探索して提示する機能や、提示された複数の経路からユーザ所望の経路が選択された場合には、その経路に基づいて進路方向を案内する誘導機能を持っている。
【0003】
ユーザがナビゲーション装置に目的地を設定するときには、ジャンル別に構成された目的地リスト等を用いて選択したり、電子地図上から位置を指定したりする。目的地を指定した後は、統計的な渋滞情報や道路種別などを考慮することによって複数の経路を計算し、提示するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、上記のような経路探索方法では、料金を安くすることや、目的地に早く到着することを優先していることが多く、降雪や降雨等の天候によって別の経路を推薦するという機能がない場合がある。
【0005】
気象情報を考慮したナビゲーションに関しては、以下の特許文献1に、天気情報を取り込むことによって経路探索をおこなう方法が開示されている。
【0006】
また、以下の特許文献2には、車両等に付設された通信部によって気象情報を取得し、目的地の到着予想時刻における気象情報を表示部の地図に重ね合わせて表示させる方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−294470号公報
【特許文献2】特開2000−258174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、経路上の天候を考慮に入れた経路が提示されるが、目的地設定の時点において目的地の天候は考慮されていない。それゆえ、例えば、屋外にある遊園地やレジャー施設、海、山等、目的地の天候が重要な場合には、目的地に到着してみないと現場の天候がわからないという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献2の技術では、目的地の到着予想時刻における気象情報を知ることはできるが、目的地が所望しない天候であった場合、目的地の代替となる候補の推薦を行わないため、代替となる目的地をユーザが再調査しなくてはならない。さらに、気象データをマッピングする単位としては、メッシュを想定しており、必ずしも目的地に関して有効範囲を示して気象情報を表示するものではない。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ナビゲーション装置の表示装置に、目的地周辺の有効範囲に気象情報を表示させ、目的地の気象を事前に確認することができ、目的地の天候が希望にそぐわない場合には、代替となる目的地の候補を提示することのできるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ナビゲーション装置の気象情報取得手段は、通信部を用いて外部から気象情報を取得する。画像処理手段は、地図データを読み込み、気象情報の有効範囲を解析し、気象情報を地図データに重畳させた画像を生成する。表示部はその画像を表示し、ユーザに気象情報を提示する。
【0012】
ユーザは目的地入力手段によって、ユーザが行きたい目的地を分類別目的地データから選択すると、確定した目的地の分類情報および位置情報が記憶部に格納される。ユーザは気象条件入力手段によって、目的地における所望の、あるいは所望しない具体的な気象名を選択すると、記憶部に気象条件登録データとして格納される。このとき、目的地の過去、現在、未来の少なくともいずれかの任意の時刻を指定することができる。
【0013】
目的地が登録されると、気象情報取得手段は、気象情報の中からユーザが設定した目的地の気象を抽出し、目的地の気象が気象条件登録データと比較し、一致、もしくは包含、不一致等を判定する。
【0014】
この判定条件を満たしたとき、記憶部に格納されている目的地の分類情報を取得し、分類別目的地データから代替となる目的地の候補を抽出する。代替目的地の候補の選出には、ユーザが代替目的地候補選出条件登録手段を用いて、代替となる目的地を提案する際の条件を指定できる。例えば、目的地の分類と一致、包含、あるいは、不一致であること、さらに、現在地もしくは目的地、任意の地点から近いことが条件として登録できる。
【0015】
この代替目的地選出条件にもとづいて選出された代替目的地候補のうち、気象条件登録データと比較し、同様の判定をおこなう。続いて、画像処理手段は、ユーザの希望に合致した順に代替目的地を示す画像を生成し、表示部を用いてユーザの登録条件に合致した代替目的地を提案することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ナビゲーション装置の表示装置に、目的地周辺の有効範囲に気象情報を表示させ、目的地の気象を事前に確認することができ、目的地の天候が希望にそぐわない場合には、代替となる目的地の候補を提示することのできるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る各実施形態を、図1ないし図6を用いて説明する。
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る第一の実施形態を、図1ないし図4を用いて説明する。
【0019】
先ず、図1および図2を用いて本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成図である。
【0020】
図2に示されるように、本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェアは、表示モニタ101、ROM102、CPU103、通信インタフェース104、GPS105、入力装置106、RAM107、ジャイロ108、HDD109、DVD−ROM110からなる。
【0021】
表示モニタ101は、液晶ディスプレイなどでユーザに情報を表示する装置である。ROM102は、不揮発性のメモリで制御プログラム、固定のデータなどが記憶されている。CPU103は、演算やプログラム実行、各部の制御をおこなう。通信インタフェース104は、アンテナを介して外部と通信するためのインタフェースである。GPS105は、衛星などと通信し、走行位置を確認するシステムである。入力装置106は、ボタン、リモコン、タッチパネルなどのユーザが情報を入力する装置である。RAM107は、揮発性のメモリであり、プログラムがロードされ、ワークデータが記憶される。ジャイロ108は、自動車の移動方向を計測するための装置である。HDD109は、大容量データが記憶できる装置であり、地図データやプログラムが格納される。DVD−ROMドライブ110は、地図データやプログラムが格納されたDVD−ROMから、データを読み込む装置である。
【0022】
ナビゲーション装置に提供される気象情報1は、気象情報サーバ4から送信されて提供される。気象情報1は、一つ、あるいは、複数の気象名データ11、有効範囲データ12、有効時刻データ13によって構成される。気象情報サーバ4は、天候情報を管理し、提供するサーバであり、インターネット、イントラネット、データ放送等により、ナビゲーション装置と通信する。
【0023】
気象名データ11は、晴、曇り、雨、雪、雹、霰等の具体的な気象名を表すデータである。
【0024】
有効範囲データ12は、気象データ11に関する有効範囲を示しており、例えば、多角形の頂点の座標に関するデータの集合である。
【0025】
有効時刻データ13は、気象名データ11および有効範囲データ12に関する有効時刻と、その前後の有効期間を示している。例えば、現在時刻における気象情報1を受信した場合は、気象情報1の提供元が気象名を判断した時刻となる。また、ある地点のある時刻における気象情報1を受信した場合は、その予報に関する時間の精度によって、有効期間としては、その時刻が含まれる数分間であったり、数時間であったりする。
【0026】
ナビゲーション装置2は、気象情報取得部21、通信部22、地図データ23、画像処理部24、表示部25を含んでいる。
【0027】
気象情報取得部21は、気象情報1を送受信するために通信部22を制御する機能を有する。また、通信部22を用いて取得した気象情報1のうち、必要な情報のみを取捨選択する機能を備えていてもよい。
【0028】
通信部22は、気象情報1を送受信する機能を有し、例えば、インターネット、イントラネット等の天候情報を持つサーバ、データ放送送信機、あるいは、他の車両等から気象情報1を受信する。
【0029】
地図データ23は、道路や付近の施設、目的地となる候補に関する情報などからなる地図のデータである。
【0030】
画像処理部24は、地図データ23を読み込んで表示部25に表示するための画像を生成したり、気象情報1を地図に重畳表示させた地図画像を生成したりする。また、気象情報取得部21で取得した気象情報1のうち、有効範囲データ12が目的地や経由地を含み、かつ、到達予想時刻264が有効時刻データ13に含まれている場合は、経由地や目的地に到達する時刻における気象名データ11を地図に重畳した画像を生成し、表示部25に表示を依頼する。
【0031】
表示部25は、画像処理部24で生成された画像をユーザに提示する役割を担う。
【0032】
記憶部26は、図2で示したHDD109、ROM102、RAM107で実現され、電子的なデータが情報とし記憶される。具体的には、目的地情報261、気象条件登録データ262、代替目的地選出条件263、到着予想時刻264を記憶することができる。
【0033】
目的地情報261は、目的地分類情報2611、および、目的地位置情報2612からなる。
【0034】
目的地分類情報2611は、ユーザが分類別目的地データ27の中から目的地を選んだ際の、目的地が属するジャンルである。例えば、目的地として○○遊園地を指定する場合、この遊園地が属するジャンルとしては、レジャー施設等が挙げられる。
【0035】
目的地位置情報2612は、ユーザが指定した目的地の位置情報であり、例えば、緯度経度等の情報で構成される。表示部25に表示された地図から、ある目的地を選んだ場合は、目的地位置情報2612はその目的地に関する緯度・経度となる。また、ユーザが分類別目的地データ27から目的地を選択した場合は、目的地位置情報2612はその目的地の所在地となる。
【0036】
気象条件登録データ262は、気象条件入力部40によって登録することができる、目的地や経由地、経路において所望する、あるいは、所望しない気象名データ11の集合である。この気象条件登録データ262には、時刻に関する条件も登録することができる。具体的には、過去、現在、未来の少なくともいずれかの任意の時刻とその有効範囲を指定することができる。
【0037】
代替目的地候補選出条件263は、目的地等の気象条件がユーザ所望の気象条件と一致、あるいは、一致しない場合において、代替案として提示される目的地の選出を行う際の条件であり、代替目的地候補選出条件登録部50によって登録することができる。具体的には、近傍条件と、同分類条件の少なくともどちらかで構成される。近傍条件とは、代替目的地候補として提示される目的地が、現在地、あるいは、現在の目的地または任意の地点の近傍であることの少なくともいずれかを選択することができる。同分類条件とは、代替目的地として提示される目的地が、現在の目的地が所属するジャンルと同一、包含、不一致の少なくともいずれかを選択することができる。
【0038】
到着予想時刻264は、到着予想時刻算出部70によって計算された時刻データである。現在地からユーザが設定した目的地位置情報2612へ移動するための所要時間を計算する。また、到着予想時刻264は、ユーザが、図2に示した入力装置106より明示的に入力することもできる。
【0039】
分類別目的地データ27は、ユーザが目的地を選択するために提示される候補地の集合である。場合によっては、地図データ23に含まれていることもある。
【0040】
目的地入力部30は、ユーザがこれから行きたい目的地を設定させることができる。目的地を決定する際には、図2に示した入力装置106を用いて表示部25に表示された地図をもとに地図上のある地点を直接指定する場合や、分類別目的地データ27を用いて目的地を選択する場合がある。
【0041】
気象条件入力部40は、ユーザが所望、もしくは所望しない気象条件を登録し、記憶部26に格納することができる。具体的には、晴れ、曇り、雨等の気象名から1つもしくは複数を選択することによって気象条件登録データ262を指定する。
【0042】
代替目的地候補選出条件登録部50は、代替目的地候補選出条件263を記憶部26に格納することができる。
【0043】
代替目的地候補選出部60は、気象条件判定部61を必須の構成要素とし、同分類代替候補抽出部62、近傍判定部63を任意の構成要素とする。代替目的地候補選出部60は、分類別目的地データ27から、ユーザが指定した気象条件登録データ262、代替目的地候補選出条件263に基づいて代替となる目的地の候補を抽出し、表示部25を用いてユーザに代替目的地候補を提示するために、画像処理部24に画像の生成を依頼する。
【0044】
気象条件判定部61は、気象情報取得部21が取得した気象情報1のうち、ユーザが指定した目的地位置情報2612が有効範囲データ12に含まれ、かつ、ユーザが指定した気象条件登録データ262が気象名データ11に一致、包含、あるいは、不一致となった場合、代替目的地候補選出部60に処理を依頼する役割を有する。また、代替目的地候補を選出する際にも、気象条件登録データが、その代替目的地候補に関する気象名データ11に一致、包含、あるいは、不一致となった場合に、候補に残す、または、候補から外す処理を担う。
【0045】
同分類代替候補抽出部62は、現在指定されている目的地分類情報2611、およびユーザが指定した代替目的地候補選出条件263に基づいて、分類別目的地データ27から適切な代替目的地候補を抽出する。
【0046】
近傍判定部63は、ユーザが指定した代替目的地候補選出条件263に基づいて、現在位置、目的地位置情報2612のいずれかを用いて、分類別目的地データ27から代替目的地候補を抽出する。
【0047】
到着予想時刻算出部70は、現在位置とユーザが指定した目的地位置情報2612に基づいて、目的地に到達するまでの所要時間を計算する機能を有する。
【0048】
次に、図3を用いてユーザが目的地を選出し、表示部に気象情報を地図に重畳表示させた地図画像を表示する処理について説明する。
図3は、目的地を決定する処理を示すフローチャートである。
図4は、ユーザに代替目的地候補を提示する画面の一例を示す図である。
【0049】
先ず、ユーザが気象条件登録部40を用いて、所望する、あるいは、所望しない気象名の条件、そして、気象を調査したい時刻、必要ならば、有効範囲を気象条件登録データ262として登録する(S1)。
【0050】
次に、代替目的地候補選出条件登録部50を用いて、代替として選出される目的地の特性となる、代替目的地選出条件263を登録する。例えば、以降に設定する目的地と同一、包含、不一致のジャンルであることや、設定する目的地から近い、現在地から近い等を条件として登録する(S2)。この処理は、予め登録されているときには、スキップしてもよい。
【0051】
次に、目的地入力部30を用いて、目的地を設定する(S3)。このとき、目的地の位置情報2611や分類情報2612が確定する。
【0052】
次に、現在地からS3で設定された目的地までの所要時間を計算し、到着予想時刻264として記憶部26に格納する(S4)。予め、ユーザが到着予想時刻を入力したときには、この処理は省かれる。
【0053】
次に、気象情報取得部21が、全国または地域の少なくともいずれかに関する気象情報1を、通信部22を用いて取得する(S5)。
【0054】
次に、登録した気象条件登録データ262の時刻におけるS3で設定された目的地位置情報2612に関する気象情報を抽出する(S6)。
【0055】
次に、S3で設定された目的地位置情報2612の気象が、S1で登録した気象条件登録データ262に一致、包含、不一致のいずれかにあたるかを判定する(S7)。判定の結果、ユーザの所望の条件にそぐわなかった場合は、S8へ進む。所望の条件を満たしたときはS16へ進む。
【0056】
S8では、同分類代替候補抽出部62が、分類別目的地データ27から、S3で設定された目的地の分類情報2611とS2で設定された代替目的地選出条件263に基づいて、ユーザ所望のジャンルの代替目的地候補を抽出する。
【0057】
次に、S8で抽出した代替目的地候補から、近傍判定部63が、現在地、目的地位置情報2612の少なくともいずれかを用い、代替目的地選出条件263に基づいて、ユーザ所望の地点から近い代替目的地を選ぶ(S9)。
【0058】
次に、S9で選ばれた代替目的地候補を、代替目的地選出条件263に基づいてユーザ所望の地点に近い順にソートする(S10)。
【0059】
次に、気象情報取得部21が、S10でソートされた代替目的地候補のうち、気象条件登録データ262に一致、包含、不一致のいずれを判定する。判定の結果、ユーザの所望する条件に合致した場合は、S13へ進む。一方、合致しなかった場合は、S12へ進む。
【0060】
S12では、ユーザの所望する条件に合致しなかった代替目的地を削除し、S13へ進む。
【0061】
S13では、画像処理部24が代替目的地候補に関する画像を生成し、表示部25に画像の表示を依頼する。
【0062】
次に、提示された代替目的地候補をユーザが選んだか否かを判定する。新しい目的地として提示した代替目的地候補を選択した場合には、S16へ進む。一方、選択しなかった場合はS15へ進む。
【0063】
S15では、画像処理部24は、ユーザに気象条件262、あるいは、代替目的地選出条件263の少なくともいずれかを変更する旨の画像を生成し、表示部25にその画像の表示を依頼する。ユーザが条件を変更する場合は、S1に戻る。変更しない場合は代替となる目的地を選出できないため、フローを終了する。
【0064】
S16では、目的地情報261が確定した状態となり、フローを終了する。
【0065】
以下、図3を用いて、ユーザに代替目的地候補を提示する画面の一例を示す。
【0066】
道路401は、地図データ23に含まれる道路に関する情報を画像化し、表示部25に示したものである。
【0067】
自車位置マーク402は、現在の自車2の位置を道路上に対応付けたアイコンである。
【0068】
気象境界線403は、道路地図上に複数の気象名データ1が存在する場合に表示される境界線である。
【0069】
気象アイコン404は、道路地図上に複数の気象名データ1が存在する場合に、領域の気象をアイコンで示したものである。このようなアイコンによる表示の代わりに、領域自体を色づけしてもよい。
【0070】
目的地アイコン405は、ユーザが最初に指定した目的地の位置を示すアイコンである。
【0071】
代替目的地アイコン406は、ナビゲーション装置が提示する代替となる目的地の位置を示すアイコンである。図4に示すように、目的地405は雨の領域に入っていることがユーザにも判別でき、ユーザが目的地の気象が雨であることを所望せず、晴れの目的地を選出する条件設定であった場合、代替目的地アイコン406が晴れの領域内に含まれる他の目的地が表示される。
【0072】
以上説明してきたように、ユーザが目的地を設定したとき、ユーザが設定した目的地の気象情報を保持しているサーバ等から受信することにより、ユーザは設定した目的地の気象を事前に確認することができ、目的地の気象がユーザの希望にそぐわない場合でも、条件に合致した代替となる目的地の候補が提示されることにより、目的地の再設定を支援することができる。
【0073】
〔実施形態2〕
以下、本発明に係る第二の実施形態を、図5および図6を用いて説明する。
【0074】
第一の実施形態では、ユーザが目的地を入力して、その目的地の気象に関する情報を、外部の気象情報サーバ4から受信した。本実施形態は、ユーザに目的地を入力させ、その経路を算出し、他車からその目的地またはそこまでの経路の気象に関する情報を受信する機能を有するものである。
【0075】
先ず、図5を用いて本発明の第二の実施形態に係るナビゲーション装置の構成について説明する。
図5は、本発明の第二の実施形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【0076】
気象情報1は、気象情報1は、一つ、あるいは、複数の気象名データ11、有効範囲データ12、有効時刻データ13によって構成される。本実施形態の気象情報1は、他車両設置のナビゲーション装置3に付設された通信部322から送信される。
【0077】
他車両に設置されたナビゲーション装置3は、自車のナビゲーション装置2とは異なる車両に設置されたナビゲーション装置であり、気象履歴取得部320、通信部322、記憶部326、気象情報送信部5から構成される。
【0078】
記憶部326には、気象情報1と気象履歴情報310を格納することができる。
【0079】
気象履歴情報310は、記憶部326に格納されるデータであり、時刻データ313が示す時刻における気象名データ311、および、走行位置312で一つのセットとし、一つ、あるいは、複数のセットで構成することができる。気象履歴情報310は、気象情報1と同一の種類の情報であるが、このナビゲーション装置を搭載した車両が走行してきた経路についての気象情報であることが異なっている。
【0080】
気象名データ311は、気象名データ1と同様の内容であり、雨、曇、雪等の具体的な気象名を指す。気象名データ311は、他の車両から受信した気象情報を蓄積したり、この車両についているセンサー(図示せず)により気象を判定して、情報として格納することもできる。
【0081】
走行位置データ312は、車両3が走行してきた道路に関する位置の情報である。
【0082】
時刻データ313は、有効時刻データ13と同様の内容であり、前記気象名データ311と走行位置312を格納した時刻、あるいは、期間の少なくともいずれかを指す。時刻データ313は、気象情報1を提供する気象情報送信部4が指定する形式に従う。
【0083】
気象履歴取得部320は、記憶部326から気象情報1に属するデータを読み出し、他の車両への送信や、図1に示した気象情報サーバ4への送信を通信部322へ依頼する。
【0084】
通信部322は、気象履歴取得取得部320が得た気象情報1を他の通信部へ送信する役割を担う。
【0085】
気象情報送信部5は、具体的には、インターネット、イントラネットにより接続されている気象情報を保持している気象情報サーバ上や、他の車両に気象情報を含むデータ放送を送信する発信装置である。
【0086】
ナビゲーション装置2は、第一の実施形態と比べると経路探索部90、経路情報265が追加されている。
【0087】
経路探索部90は、目的地情報261がユーザによって指定されたときに、現在地から目的地に到達するための経路を探索する機能を有する。探索した結果は経路情報265として、記憶部26に格納できる。
【0088】
経路情報265は、目的地位置情報2612に示された地点までの道路情報や右左折情報の集合であり、経路探索部90によって計算され、記憶部26に格納される。
【0089】
自車側の処理は、基本的には第一の実施形態の場合と同様であり、異なる部分のみを説明する。
【0090】
先ず、気象情報1を送信する他車両設置のナビゲーション装置3の構成が異なる。
【0091】
次に、通信部22は、他車のナビゲーション装置3の通信部322に気象情報1の要求を送信する。要求を受信した後は、気象情報取得部320が、記憶部321に格納されている気象情報1、気象履歴情報310の少なくともいずれかの存在を通信部322により、通信部22に送信する。そして、通信部22は、目的地位置情報2612および気象条件登録データ262のうちの時刻データを、通信部322へ送信する。
【0092】
あるい、通信部22は、他車両設置のナビゲーション装置3の通信部322に気象情報1の要求をする際、記憶部26に格納されている目的地位置情報2612、および気象条件登録データ262のうちの時刻データを同時に送信してもよい。
【0093】
気象履歴取得部320は、指定された時刻データ、および指定された目的地位置情報2612で示された位置を含む気象履歴310を検索する。
【0094】
検索条件に該当する気象履歴情報310がある場合は、通信部322はその気象履歴情報310を自車のナビゲーション装置2の通信部22に送信する。
【0095】
次に、図6を用いて他車両設置のナビゲーション装置が気象情報を送信する処理について説明する。
図6は、他車両設置のナビゲーション装置が気象情報を送信する処理を示すフローチャートである。
【0096】
他車両設置のナビゲーション装置がある地点の気象情報を送信するときには、現在の気象情報を送信するときもあり、過去にその地点を通過した所の気象情報を送信することもある。
【0097】
先ずS20では、記憶部321に格納されている気象履歴情報310を更新する(S20)。
【0098】
次に、通信部322は、自車のナビゲーション装置2の通信部22より、気象情報1を所有していないか応答する旨の要求を受けているか否かを判定する(S21)。受信している場合は、S22へ進む。要求を受信していない場合は、S20へ戻り、気象履歴情報310を更新する。
【0099】
S22では、通信部322は、自車のナビゲーション装置2の通信部22が送信する自車のナビゲーション装置2の記憶部26に格納されている目的地位置情報2612および気象条件登録データ262のうちの有効時刻データを含む要求を受信する。
【0100】
次に、気象履歴取得部320は、目的地位置情報2612が示す位置および有効時刻データを要求から抽出する(S23)。
【0101】
次に、抽出した検索条件に基づいて、気象履歴情報310から合致する気象履歴がないか検索する(S24)。
【0102】
次に、合致した気象履歴情報310がある場合は、通信部322がその気象履歴情報310を通信部22へ送信する(S25)。また、合致するものがない場合は、通信部322は何も送信しないか、合致した気象履歴情報310がない旨を送信する。
【0103】
この後、S20へ戻る。
【0104】
これまで説明してきたように、ユーザが目的地を設定したとき、目的地の気象情報を他車等から受信することにより、ユーザは設定した目的地の気象を事前に確認することができ、目的地の気象がユーザの希望にそぐわない場合でも、条件に合致した代替となる目的地の候補が提示されることにより、目的地の再設定を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成図である。
【図3】目的地を決定する処理を示すフローチャートである。
【図4】ユーザに代替目的地候補を提示する画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】他車両設置のナビゲーション装置が気象情報を送信する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
1…気象情報
2…ナビゲーション装置
3…他車両に設置されているナビゲーション装置
4…気象情報サーバ
5…気象情報送信部
21…気象情報取得部
22…通信部
23…地図データ
24…画像処理部
25…表示部
26…記憶部
27…分類別目的地データ
30…目的地入力部
40…気象情報入力部
50…代替目的地候補選出条件登録部
60…代替目的地候補選出部
61…気象条件判定部
62…同分類代替候補抽出部
63…近傍判定部
70…到着予想時刻算出部
90…経路探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象に関する情報を通信するための通信部と、
地図データを読み込んで画像処理をおこなう画像処理手段と、
前記画像処理手段によって生成された画像を表示する表示部とを備え、
前記気象に関する情報は、気象名およびその気象に関する情報の有効範囲からなり、
前記画像処理手段は、前記通信部が取得した気象に関する情報を用いて、前記気象に関する情報を地図上に重畳させた地図画像を作成し、
前記表示部は、前記地図画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記通信部が取得する気象に関する情報は、さらに、
その気象に関する情報の有効時刻または有効期間を含むことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
さらに、ユーザが目的地の位置を目的地位置情報として入力する目的地入力手段を備え、
前記画像処理手段は、前記通信部によって取得した気象に関する情報から前記目的地位置情報が含まれるものを抽出し、前記地図データにその前記気象に関する情報を重畳表示させた地図画像を作成することを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
さらに、目的地経路情報算出手段を備え、
前記目的地経路算出手段は、記目的地位置情報を用いて前記目的地位置情報として入力した目的地に到着するための経路と、その経路により目的地に到着すると想定される到着予想時刻を算出し、
前記画像処理手段は、前記通信部によって取得した前記気象に関する情報から前記目的地位置情報が含まれ、かつ、前記到着予想時刻が前記気象に関する情報の有効時刻であるか、または、有効期間に含まれるものを抽出し、前記地図データに抽出された気象に関する情報を重畳表示させた地図画像を作成することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
さらに、ユーザが任意の時刻を到着予想時刻として入力する到着時刻入力手段を備え、
前記画像処理手段は、前記通信部によって取得した気象に関する情報から前記目的地位置情報が含まれ、かつ、前記到着時刻入力から入力された到着予想時刻が前記気象に関する情報の有効時刻であるか、または、有効期間に含まれるものを抽出し、前記地図データに抽出された気象に関する情報を重畳表示させた地図画像を作成することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記目的地入力手段は、さらにユーザが分類情報によって目的地を選択することができ、
選択されたその目的地から前記目的地位置情報を決定することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
さらに、ユーザが気象名を気象条件登録データとして入力する気象条件入力手段と、気象条件判定手段とを備え、
前記通信部によって取得した気象に関する情報が、前記目的地位置情報を含み、かつ、前記到着予想時刻が前記気象に関する情報の有効時刻であるか、または、有効期間に含まれ、かつ、前記気象条件判定手段は、前記通信部によって取得した気象に関する情報が前記ユーザから入力された気象条件登録データの所定の条件に合致しないと判定した場合には、
前記画像処理手段は、目的地を変更する旨の目的地変更推奨画像を生成し、
前記表示部は、その目的地変更推奨画像を表示することを特徴とする請求項4および請求項5記載のいずれかのナビゲーション装置。
【請求項8】
さらに、同分類選出条件を前記記憶部に登録にする代替候補選出条件登録手段と同分類代替候補抽出手段と分類別目的地データとを備え、
前記同分類選出条件は、代替として選出する候補が前記目的地の属する分類と一致、包含関係、不一致の少なくともいずれかを代替候補選出条件とすることをユーザが登録することができ、
前記通信部によって取得した気象に関する情報が、前記目的地位置情報を含み、かつ、前記到着予想時刻が前記気象に関する情報の有効時刻であるか、または、有効期間に含まれ、かつ、前記気象条件判定手段は、前記通信部によって取得した気象に関する情報が前記ユーザから入力された気象条件登録データの所定の条件に合致しないと判定した場合には、
前記同分類代替候補抽出手段は、前記同分類選出条件に従って前記分類別目的地データから代替目的地候補を選出し、
前記画像処理手段は、前記地図データにその代替目的地候補に関する情報を重畳表示させた代替目的地を推薦する画像を生成し、
前記表示部は、その代替目的地を推薦する画像を表示することを特徴とする請求項7記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
さらに、近傍判定条件を登録する代替候補選出条件登録手段と、近傍判定手段と、分類別目的地データとを有し、
前記近傍判定条件として、前記目的地、現在地、任意の場所の少なくともいずれかに近いことを代替候補選出条件とすることをユーザが登録することができ、
前記通信部によって取得した気象に関する情報が、前記目的地位置情報を含み、かつ、前記到着予想時刻が前記情報の有効時刻であるか、または、有効期間に含まれ、かつ、前記気象条件判定手段は、前記ユーザから入力された気象に関する情報が前記気象条件登録データの所定の条件に合致しないと判定した場合には、
前記近傍判定手段は、前記近傍判定条件に従って前記分類別目的地データから代替目的地候補を選出し、
前記画像処理手段は、前記地図データにその代替目的地候補に関する情報を重畳表示させた代替目的地を推薦する画像を生成し、
前記表示部は、その代替目的地を推薦する画像を表示することを特徴とする請求項8記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記気象に関する情報は、自車から離れた地点を過去走行したか、現在走行している車両から送信されることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
気象名およびその気象に関する情報の有効範囲からなる気象に関する情報を受信するステップと、
地図データを読み込むステップと、
ユーザから目的地の位置を目的地位置情報として入力されるステップと、
前記目的地位置情報として入力した目的地に到着するための経路と、その経路により目的地に到着すると想定される到着予想時刻を算出するステップと、
前記受信した気象に関する情報から前記目的地位置情報が含まれ、かつ、前記到着予想時刻が前記気象に関する情報の有効時刻であるか、または、有効期間に含まれるものを抽出するステップと、
ユーザから気象名を気象条件として入力されるステップと、
前記抽出された気象に関する情報が、前記ユーザから入力された気象条件に合致するか否かを判定するステップと、
前記抽出された気象に関する情報が、入力された気象条件に合致しなかったときに、代替候補地を表示するステップと、
ユーザから前記代替候補地を新たな目的地として選択されるステップと、
前記地図データと前記抽出された気象条件に、前記気象に関する情報を地図上に重畳させた地図画像を作成して、表示するステップとを有することを特徴とするナビゲーション装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−39676(P2008−39676A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216995(P2006−216995)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501348139)株式会社 エイチ・シー・エックス (86)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】